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JP7781492B2 - タイヤの摩耗状態評価方法、及びタイヤの摩耗状態評価装置 - Google Patents
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JP7781492B2 - タイヤの摩耗状態評価方法、及びタイヤの摩耗状態評価装置 - Google Patents

タイヤの摩耗状態評価方法、及びタイヤの摩耗状態評価装置

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Description

本発明は、タイヤの摩耗状態評価方法、及びタイヤの摩耗状態評価装置に関する。
例えば工場で量産された自動車などの完成車両を出荷地など所定の場所まで効率よく輸送するための手段として、コンテナなどの積載容器に複数台の完成車両を積載した状態で、当該積載容器を大型トラックなどの輸送車両で目的地近傍の港まで陸上輸送し、然る後、積載容器を輸送用船舶に積み替えて目的地まで水上輸送を行う方法が一般的に採られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、特許文献2には、牽引車両の無人自動運転により複数の台車を牽引して限定されたエリア内における所定の走行ルート上を走行する形式の搬送移動車両が、搬送対象である完成車両を台車上に搭載した状態で目的地まで搬送するシステムが提案されている。
特開2004-123258号公報 特開2019-36036号公報 特開平11-326145号公報 特開2008-143460号公報
近年、製造業界においても、来る高齢化社会に向けて、人手不足を補うための対策を講じる必要性が益々高まってきている。このような観点から少人数で効率よく完成車両の輸送を行うことを検討した場合、例えば搬送車を特許文献2に記載のように自走式とし、かつ搬送車を低コストで製作して多数の搬送車を準備することで、完成車両を一台ずつ搬送車に搭載して自動搬送する方法が考えられる。
上述のように、完成車両を搬送車に搭載して繰り返し自動搬送することを考えた場合、搬送車の接地部、具体的にはタイヤの摩耗状態を定期的に評価する必要が生じる。ここで、特許文献3には、フリーローリング時のタイヤの摩擦エネルギー、トー角が付与されている状態でのタイヤの摩擦エネルギー、横力が付与されている状態でのタイヤの摩擦エネルギー、駆動力が付与されている状態でのタイヤの摩擦エネルギー、及び制動力が付与されている状態でのタイヤの摩擦エネルギーの各々を求めると共にタイヤトレッド部のゴムの摩耗抵抗指数を求め、摩耗抵抗指数と、各摩擦エネルギーとに基づいてタイヤの摩耗寿命を予測するタイヤ摩耗寿命予測方法が提案されている。
また、特許文献4には、GPS受信器と、このGPS受信器で得られた位置データから車両の速度を検出する車両速度検出手段と、車輪の回転速度を測定する車輪回転速測定手段と、上記検出された車両速度と車輪回転速度とからタイヤの摩耗量を推定する摩耗量推定手段とを備えたことを特徴とするタイヤ摩耗量推定装置を用いて、タイヤの摩耗量を推定する方法が提案されている。
特許文献3に記載の予測方法において、各摩擦エネルギーは、所定のエネルギー測定装置を用いて測定される。しかしながら、現実のタイヤの摩擦エネルギーは、タイヤに付与される負荷条件、例えば走行条件や搬送対象となる車両の重量、重心等によっても大きく変動する。そのため、現実の複雑な負荷条件を実験室レベルで精度よく再現することは不可能であり、搬送車のタイヤの摩耗状態を高精度に評価することは難しい。
特許文献4に記載の方法であれば、実際の走行中の車両の速度や車輪の回転速度を測定し、測定した各速度に基づいて摩耗量を推定するので、特許文献3に記載の予測方法に比べれば、実際のタイヤの摩耗状態を高精度に評価できるようにも思われる。しかしながら、この方法には、少なくとも車輪の回転速度を測定するためのセンサと、タイヤの内圧を測定するためのセンサが必要になるため、搬送車の構成が複雑化する。また、搭載すべき部品の数が増える分だけ製造コストの増加を招く。
上述した問題は何も車両を搬送するための搬送車に限ったものではなく、車両以外の物体を搬送するための搬送車についても起こり得る。さらにいえば、自動走行を行う車両全般についても起こり得る。
以上の事情に鑑み、本明細書では、簡素な構成でかつ低コストに、車両のタイヤの摩耗状態を高精度に評価可能とすることを、解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価方法によって達成される。すなわち、この評価方法は、車両のタイヤの摩耗状態を評価するための方法であって、車両が自動走行する際の目標となる目標経路を設定する目標経路設定工程と、衛星測位システムで得られた車両の位置データから車両が自動走行する際の走行軌跡を取得する走行軌跡取得工程と、走行軌跡のうちカーブ領域におけるカーブ走行軌跡と、目標経路のうちカーブ領域におけるカーブ目標経路とのずれ量に基づいて、タイヤの摩耗状態を評価する摩耗状態評価工程とを備える点をもって特徴付けられる。
本発明者は、車両が所定の目標経路のうちカーブ領域を自動走行する場合において、タイヤの摩耗が進行しているほど、車両と路面との間に生じるカーブの中心向きの摩擦力が小さくなり、車両が想定している軌跡よりも、すなわち目標経路に沿った軌跡よりも大回りな軌跡を描いて走行する点、及び、実際の走行軌跡の目標経路からのずれ量と、タイヤの摩耗状態との間に強い相関が見られる点に着目した。本発明は上記知見に鑑みなされたもので、カーブ領域における車両の走行軌跡と目標経路とのずれ量に基づいて、タイヤの摩耗状態を評価するようにした。走行軌跡はGPSなどの衛星測位システムを利用して測定される正確な位置データに基づいて取得されることから、走行軌跡と目標経路とのずれ量に基づくことで、タイヤの摩耗状態を高精度に評価することができる。また、走行軌跡は、自動走行のために必要な既存の位置測定手段(衛星測位システム)を用いて得られることから、新たにセンサ等を追加配置することなくタイヤの摩耗状態を評価できる。よって、簡易な構成でかつ低コストにタイヤの摩耗状態を評価することが可能となる。また、この方法によれば、車両の通常の自動走行時にタイヤの摩耗状態を評価することができるので、タイヤの摩耗状態の評価するための時間を設ける必要がないため、極めて効率よくタイヤの摩耗状態を評価することが可能となる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価方法において、摩耗状態評価工程で、車両のカーブ走行軌跡上の複数点につき各点からカーブ目標経路までの最短距離をそれぞれ取得し、取得した複数の最短距離のうち最大となる最短距離の値をずれ量として、タイヤの摩耗状態を評価してもよい。
このように、カーブ走行軌跡上の一点からカーブ目標経路までの最短距離が最大となるのは、目標経路に対して走行軌跡が最も大きく膨らんでいる箇所の距離となるので(後述する図9を参照)、この最短距離の最大値をずれ量としてタイヤの摩耗状態を評価することで、タイヤの摩耗状態をより正確に評価することが可能となる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価方法において、摩耗状態評価工程で、カーブ走行軌跡とカーブ目標経路とで囲まれる部分の面積を取得し、取得した面積の値をずれ量として、タイヤの摩耗状態を評価してもよい。
このように、カーブ走行軌跡とカーブ目標経路とで囲まれる部分の面積の値をずれ量とすることによっても、タイヤの摩耗状態をより正確に評価できる。また、上述した最短距離の最大値をずれ量とする方法とは異なり、摩耗の影響で想定より大きく横滑りを生じた領域全てをずれ量に反映することができるので、走行軌跡の形態によっては、上述した最短距離をずれ量とする場合よりも正確にタイヤの摩耗状態を評価し得る。また、上述した最短距離の最大値をずれ量(第一ずれ量)として摩耗状態を評価すると共に、走行軌跡と目標経路とで囲まれる部分の面積をずれ量(第二ずれ量)として摩耗状態を評価することで、より信頼性に優れた摩耗状態の評価結果を得ることが可能となる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価方法において、路面のうちカーブ走行軌跡が生成される箇所を撮像し、撮像して得た路面の画像から路面の状態を評価する路面状態評価工程をさらに備え、摩耗状態評価工程で、評価した路面の状態に基づいて、タイヤの摩耗状態を評価してもよい。
このように、実際に車両が走行する路面を撮像して得た路面の状態に基づいて、タイヤの摩耗状態を評価することで、路面の状態がタイヤの横滑りに与える影響(例えば路面が雨で濡れていることによるタイヤと路面との摩擦係数の低下)を考慮して、より正確にタイヤの摩耗状態を評価することが可能となる。また、自動走行する車両においては、安全性向上のために、車両の周辺を撮像するためのカメラを搭載することが考えられる。そのため、この既存のカメラを利用して路面を撮像することにより、設備の複雑化ひいては大型化やコストアップを避けて、上述した路面状態を考慮した摩耗状態の評価が可能となる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価方法において、路面のうちカーブ走行軌跡が生成される箇所を撮像し、撮像して得た前記路面の画像から前記路面の状態を評価する路面状態評価工程をさらに備え、摩耗状態評価工程で、評価した路面の状態に基づいて、タイヤの摩耗状態の評価の要否を判定する判断してもよい。
本発明は、カーブ走行時におけるタイヤと路面との摩擦抵抗がタイヤの摩耗により変化(多くの場合は低下)することを利用してタイヤの摩耗状態を評価可能とするものであるが、例えば路面に水たまりが点在し、路面の状態が走行中に大きく変動する場合や、日照りにより路面が極めて高温状態となっている場合など、路面の状態がタイヤと路面との摺動抵抗に及ぼす影響について定量評価することが極めて難しい場合も起こり得る。ここで、上述のように、撮像して得た路面の状態に基づいて、タイヤの摩耗状態の評価の要否を判定することによって、路面の状態が不安定で、信頼性ある評価結果が得られる可能性が低い場合に、評価を避けることができる。そのため、路面の状態が安定している際に、タイヤの摩耗状態に関する評価を取得することで、常に信頼性のある評価結果を得ることが可能となる。
また、前記課題の解決は、本発明に係るタイヤの摩耗状態評価装置によっても達成され得る。すなわち、この評価装置は、車両が自動走行する際の目標となる目標経路を設定可能な目標経路設定部と、衛星測位システムで得られた車両の位置データから車両が自動走行する際の走行軌跡を取得可能な走行軌跡取得部と、走行軌跡のうちカーブ領域におけるカーブ走行軌跡と、目標経路のうちカーブ領域におけるカーブ目標経路とのずれ量に基づいて、タイヤの摩耗状態を評価可能な摩耗状態評価部とを備えた点をもって特徴付けられる。
本発明に係るタイヤの摩耗状態評価装置においても、カーブ領域における車両の走行軌跡と目標経路とのずれ量に基づいて、タイヤの摩耗状態を評価するようにしたので、タイヤの摩耗状態を高精度に評価することができる。また、走行軌跡は、車両の自動走行に際して既存の位置測定手段(衛星測位システム)を用いて得られることから、新たにセンサ等を追加配置することなくタイヤの摩耗状態を評価できる。よって、簡易な構成でかつ低コストにタイヤの摩耗状態を評価することが可能となる。もちろん、この装置によれば、車両の通常の自動走行時にタイヤの摩耗状態を評価することができるので、タイヤの摩耗状態の評価するための時間を設ける必要がないため、極めて効率よくタイヤの摩耗状態を評価することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、簡素な構成でかつ低コストに、車両のタイヤの摩耗状態を高精度に評価することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る車両の自動搬送システムの全体構成を示す図である。 図1に示す自動搬送装置の側面図である。 図1に示す自動搬送装置の平面図である。 図1に示す自動搬送装置の正面図である。 図1に示す自動搬送装置に完成車両の前輪が搭載された状態を示す側面図である。 図1に示す自動搬送装置に設けたタイヤの摩耗状態評価装置の構成を概念的に説明するための図である。 カーブ走行時の自動搬送装置における力の釣り合いを概念的に説明するための平面図である。 自動搬送装置の速度とずれ量との関係を示すグラフである。 カーブ走行軌跡上の点からカーブ目標経路までの最短距離を概念的に説明するための平面図である。 カーブ走行軌跡とカーブ目標経路とで囲まれた部分の面積を概念的に説明するための平面図である。 カーブ走行軌跡のカーブ半径を概念的に説明するための平面図である。 カーブ走行軌跡上の点における進行方向と、対応するカーブ目標経路上の点における進行方向とのずれ角を概念的に説明するための平面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るタイヤの摩耗状態評価装置を備えた自動搬送装置、及びこの自動搬送装置を備えた車両の自動搬送システムの内容を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の自動搬送システム10の全体構成を示している。この自動搬送システム10は、工場Fで完成した完成車両Cを、車両待機場であるコンテナヤードYに搬送するためのもので、自動走行が可能な複数の自動搬送装置11と、複数の自動搬送装置11の駆動を制御する制御部12と、摩耗状態評価装置27(図6を参照)を主に備える。ここでいう自動搬送装置11が、本発明に係る車両に相当する。本実施形態では、前輪駆動車である完成車両Cの左右の前輪FW(後述する図5を参照)を自動搬送装置11に搭載し、完成車両Cの左右の後輪RW(図5を参照)を接地させた状態で完成車両Cを搬送する場合を例にとって、以下に詳細を説明する。
自動搬送装置11は、図2~図4に示すように、二個の駆動輪13と、各駆動輪13に動力を付与する動力付与部14と、完成車両Cの前輪FWを搭載可能な搭載部15と、衛星測位システム(GNSS)の受信部16と、検出部17とを有する。本実施形態では、各駆動輪13はそれぞれケーシング18に収容されている。また、これら二個のケーシング18は連結部19により互いに連結されている。この場合、連結部19上の幅方向所定位置、すなわち、搭載すべき完成車両Cの前輪FWに対応した二箇所の幅方向位置に搭載部15がそれぞれ設けられている。よって、この場合、搭載部15は、二個の駆動輪13の間に配設される。言い換えると、搭載部15は、二個の駆動輪13と車体前後方向で重複する位置に配設される(図3を参照)。なお、ここでいう幅方向とは、完成車両Cを搭載した状態において車体前後方向に直交する向きを意味し、自動搬送装置11でいえば二個の駆動輪13が互いに離れている向きに相当する。なお、本実施形態では、自動搬送装置11による搬送対象を完成車両Cとした場合を例示したが、もちろんこれには限定されない。例えば量産される車両であって、軽トラックの開口荷台や箱状荷室などがない、言い換えると架装されていない状態の車両(架装前車両)などを搬送対象としてもよい。
各駆動輪13は、本実施形態では、図3及び図4に示すように、互いに並列に配置された二個の車輪20で構成されている。各車輪20は、互いに独立して回転可能に構成されると共に、車輪20間に配設された回転軸21に回転可能に支持されている。回転軸21は、自動搬送装置11の走行時において、その長手方向を鉛直方向に一致させた状態で配設され、これにより、例えば二個の車輪20を互いに逆方向に回転させることで、あるいは一方の車輪20のみを回転駆動させることで、二個の車輪20を有する駆動輪13が回転軸21まわりに回転し、自動搬送装置11としての操舵が可能となる。なお、本実施形態では、駆動輪13としての二個の車輪20は、回転軸21まわりに少なくとも90度回転可能(好ましくは360度回転可能)とされているので、例えば図示は省略するが、これら二個の車輪20を90度回転させることで、自動搬送装置11の移動方向を車体前後方向から幅方向に変更可能としている。
本実施形態では、動力付与部14は、図3に示すように、車輪20と同じ数だけ設けられ、各車輪20に回転駆動力を付与する複数のインホイールモータ22で構成されている。各インホイールモータ22は、例えば図示は省略するがステータとロータとを有し、ステータが回転軸21に固定され、ロータが車輪20のホイールに連結される。これにより、インホイールモータ22のロータを回転駆動することで、ロータに連結された車輪20がロータと共に回転可能となる。また、各インホイールモータ22は独立して電気的に制御可能であり、上述のように動力付与部14を構成することによって、並列して配設された二個の車輪20をそれぞれ独立して回転駆動できると共に、駆動輪13としてもそれぞれ独立して鉛直軸線まわりに回転し、かつ水平軸線まわりに回転駆動できるようになっている。
また、本実施形態では、連結部19の車体前方側に補助輪23が配設されている。この場合、補助輪23は、各駆動輪13よりも自動搬送装置11の車体前方側で接地可能とされ、駆動輪13の接地状態における回転駆動に伴って従動的に回転(地面に対して転動)する。あるいは、後述するように完成車両Cの前輪FWが搭載部15に搭載された状態で自動搬送装置11が走行する際、補助輪23は、駆動輪13の接地状態における回転駆動に伴って従動的に回転する。
受信部16は、衛星測位システム用の複数の衛星(図示は省略)からの信号を受信可能とされる。この受信した信号に基づいて所定の演算処理を実行することにより、受信時刻における完成車両C(の受信部16)の地球上の位置を取得可能としている。ここで、位置取得のための演算処理は、受信部16で実行してもよく、あるいは制御部12(具体的には後述する端末制御部24又は統括制御部25)で実行してもよい。自動搬送装置11に対する受信部16の取付け位置は任意であり、例えば衛星測位システム用の衛星(測位衛星)との円滑な通信を考慮した場合、自動搬送装置11のなるべく高い位置に取付けるのがよい。本実施形態では、ケーシング18の上面から立設した立設部26の先端(上端)に受信部16が配設されている(図2等を参照)。
検出部17は、自動搬送装置11の所定位置に設けられる。この検出部17は、自動搬送装置11の周囲の空間情報(接近物の有無など)を正確に知るために用いられ、あるいは、搬送対象となる完成車両Cの所定部位(例えば前輪FW)の位置を正確に知るために用いられる。本実施形態では、検出部17は、光学カメラ、赤外線カメラなどの画像取得装置であり、自動搬送装置11が自動走行する路面Rを撮像可能としている。
制御部12は、二個の駆動輪13と動力付与部14を制御することで、自動搬送装置11の操舵を伴う自動走行を可能としている。本実施形態では、制御部12は、各自動搬送装置11に設けられる複数の端末制御部24と、これら複数の端末制御部24との間で通信を行う統括制御部25とで構成される。ここで、端末制御部24は、統括制御部25からの指令と、受信部16を通じて衛星測位システムにより得られた自動搬送装置11の位置情報(位置データ)と、自動走行の際の目標となる目標経路TR(図1を参照)に関する情報、及び検出部17により得られた自動搬送装置11の周囲の空間情報とに基づき、駆動輪13と動力付与部14とを制御することで、自動搬送装置11の操舵を伴う自動走行を可能としている。すなわち、端末制御部24は、上述した指令や位置情報等に基づいて、自動搬送装置11の操舵角と速度(加速、減速、停止を含む)を適時制御可能としている。
なお、上述のような場合、制御部12による制御を容易にする観点から、動力付与部14はモータなど電力により駆動する装置であることが望ましい。また、動力付与部14とは別に、完成車両Cの搭載及び搭載状態での搬送に必要な動作を行う機構が自動搬送装置11に設けられる場合には、当該機構は、動力付与部14と同様の理由で、電力により駆動する機構であることが望ましい。
摩耗状態評価装置27は、図6に示すように、目標経路設定部28と、走行軌跡取得部29と、摩耗状態評価部30とを備える。本実施形態では、摩耗状態評価装置27は、路面状態評価部31をさらに備えており、この摩耗状態評価装置27が端末制御部24に組み込まれている。
目標経路設定部28は、車両としての自動搬送装置11が自動走行する際の目標となる目標経路TR(図1を参照)を設定可能に構成される。また、設定した目標経路TRに関する情報、例えば目標経路TRを構成する複数の目標地点の位置情報を記憶可能に構成される。なお、目標経路設定部28は、統括制御部25に設けてもよく、この場合、端末制御部24は、設定した目標経路TRの位置情報を記憶可能に構成される。
走行軌跡取得部29は、衛星測位システムで得られた自動搬送装置11の位置データから自動搬送装置11が目標経路TR上を自動走行する際の実際の走行軌跡P(図7を参照)を取得可能に構成される。この場合、走行軌跡Pは、例えば受信部16を通じて衛星測位システムにより得られた自動搬送装置11の所定時間おきの位置データの集合、あるいはこれら複数の位置データに係る座標を通る近似直線又は曲線として取得され得る。
摩耗状態評価部30は、図7に示すように、走行軌跡Pのうち所定のカーブ領域Rcにおけるカーブ走行軌跡Pcと、目標経路TRのうちカーブ領域Rcにおけるカーブ目標経路TRcとのずれ量Dに基づいて、車輪20のタイヤ20a(図2を参照)の摩耗状態を評価可能に構成される。すなわち、摩耗状態評価部30は、走行軌跡取得部29で取得したカーブ走行軌跡Pcに関する情報と、目標経路設定部28で設定したカーブ目標経路TRcに関する情報とに基づいて、カーブ走行軌跡Pcとカーブ目標経路TRcとのずれ量Dを算出する。そして、算出したずれ量Dに基づいて、タイヤ20aの摩耗状態を評価するようになっている。
次に、ずれ量Dと、自動搬送装置11の速度Vとの関係について、図7及び図8に基づいて説明する。
自動搬送装置11が目標経路TR上を自動走行する場合、制御部12(ここでは端末制御部24)は、自動搬送装置11の位置情報と、目標経路TRに関する位置情報等に基づいて、自動搬送装置11の操舵角と速度Vとを制御する。すなわち、制御部12は、予め設定されている目標経路TRと速度Vのプロファイルとに基づいて、毎回、同じ目標経路TR上を同じ速度Vで自動走行するように、自動搬送装置11の移動方向や速度Vを制御可能としている。そのため、図7に示すように、遠心力を受けて大回りになり易いカーブ領域Rcにおいても、実際のカーブ走行軌跡Pcとカーブ目標経路TRcとのずれ(ずれ量D)はほぼない状態で自動搬送装置11の自動走行を可能としている。なお、自動搬送装置11の速度Vは、公知の速度測定手段、例えば車輪20の速度センサや車輪20回転用のモータ(インホイールモータ22)の回転数計測装置などにより直接又は間接的に検知することが可能である。
ここで、カーブ走行時の力の釣り合いについて考察する。図7に示すように、カーブしている路面Rの走行時、自動搬送装置11には、カーブの中心Oから遠ざかる向きの遠心力Fcが作用すると共に、この遠心力Fcと釣り合う力として、カーブの中心Oに近づく向きの摩擦力Ffが作用する。ここで、遠心力Fcは、自動搬送装置11の速度Vの関数として表すことができる(数式1を参照)。また、摩擦力Ffは、タイヤ20aと路面Rとの摩擦係数(ここでは静止摩擦係数μ)の関数として表すことができる(数式2を参照)。

数式1において、mは搬送対象(ここでは完成車両C)の重量を加味した自動搬送装置11の重量、rは、カーブ半径をそれぞれ示す。

数式2において、μはタイヤ20aの路面Rに対する静止摩擦係数、gは重力加速度をそれぞれ示す。
数式1と数式2から、速度Vと静止摩擦係数μとの関係は、数式3のように表すことができる。
数式3より、静止摩擦係数μを一定とした場合、速度Vが大きいほどカーブ走行軌跡Pcが描くカーブ半径rが大きくなることを想定して、カーブ目標経路TRcを設定する必要があることがわかる。逆に言えば、カーブ領域Rcにおけるカーブ目標経路TRcのカーブ半径に合わせて、速度Vを適切な大きさに設定する必要があることがわかる。
一方、一定の条件下では、数式3中の速度V以外の変数μ,g,rが一定となることから、遠心力Fcと求心力(摩擦力)Ffとの釣り合いが保たれる最大の速度Vmが存在することがわかる。そのため、速度Vが最大速度Vmを超えると、遠心力Fcが摩擦力Ffを上回って、自動搬送装置11がカーブ領域Rcの自動走行時に横滑りを生じる。この場合、自動搬送装置11のカーブ走行軌跡Pc1(図7を参照)は、カーブ目標経路TRcよりも大回りな曲線を描く。また、図8に示すように、速度Vの値が大きいほど、横滑り量(ずれ量D)が大きくなる。よって、制御部12(端末制御部24)は、横滑りが生じないようにカーブ領域Rcを走行する際の自動搬送装置11の速度Vを適切な大きさ(最大速度Vm以下)に設定する必要がある。
一方、自動搬送装置11の自動走行(ここでは自動搬送)を繰り返し実施することで、タイヤ20aの摩耗が不可避的に進行する。摩耗の進行によりタイヤ20aの路面Rに対するグリップ力が低下し、路面Rとの摩擦係数(ここでは静止摩擦係数μ)が低下する。この場合、これまでと同じ速度(例えば横滑りを生じない最大速度Vm)で目標経路TR上を自動走行させたとしても、求心力(摩擦力)Ffが遠心力Fcを下回ることで横滑りが生じる。結果、自動搬送装置11がカーブ目標経路TRcよりも大回りなカーブ走行軌跡Pc2(図7を参照)を描いて自動走行することになる。
図8は、カーブ走行時における自動搬送装置11の速度Vと横滑り量(ずれ量D)との関係を示している。図8に示すように、タイヤ20aが例えば未使用で摩耗していない状態(使用初期状態)において、横滑りを生じない最大速度Vm1で自動走行する場合、横滑り量(ずれ量D)は零となる(図8中のグラフG1を参照)。一方、自動搬送装置11の自動走行を繰り返し実施することで、タイヤ20aの摩耗が進行した場合、上述の如く静止摩擦係数μが低下し、グラフG1が全体的に左側にシフトする。すなわち、図8中のグラフG2に示すように、摩耗により、横滑りを生じない最大速度Vmが減少(Vm1からVm2に減少)するため、これまでと同じ最大速度Vm1で自動走行させた場合、相応の横滑り(ずれ)が生じる。よって、摩耗状態評価部30では、この横滑りの大きさ(ずれ量D1)から逆にタイヤ20aの摩耗状態を評価する。
ここで、ずれ量Dとしては、種々の値を採用することができ、具体例として、カーブ走行軌跡Pc上の一点からカーブ目標経路TRcまでの最短距離Eの最大値Em(図9を参照)、カーブ走行軌跡Pcとカーブ目標経路TRcとで囲まれる部分の面積S(図10を参照)、カーブ走行軌跡Pcのカーブ半径rの最大値rm(図11を参照)、及び進行方向のずれ角θの最大値θm(図12を参照)を挙げることができる。
ここで、ずれ量Dを、例えば図9に示す最短距離Eの最大値Emとして求める場合、走行軌跡P上の複数の点p1,p2…pi…につき、各点p1(p2…pi…)からカーブ目標経路TRcまでの最短距離E1(E2…Ei…)をそれぞれ求める。そして、求めた複数の最短距離E1,E2…Ei…のうち、最も大きい最短距離の値Em(例えばEi)をずれ量Dとして取得する。なお、最短距離E1(E2…Ei…)の求め方は任意であり、例えば図示のようにカーブ目標経路TRcと接する各点p1(E2…Ei…)の内接円のうち、最大径となる内接円ICと接する点Eiとカーブ目標経路TRcの点との直線距離として、求めることが可能である。
次に、ずれ量Dと実際のタイヤ20aの摩耗量との関係を実験等により予め取得しておき、このずれ量Dと摩耗量との関係に基づいて、求めたずれ量D(ここでは例えば最短距離Eの最大値Em)から、タイヤ20aの摩耗状態(摩耗量)を評価する。
また、摩耗状態評価部30は、上述のようにして評価したタイヤ20aの摩耗状態に基づいて、タイヤ20aの交換の要否を判定してもよい(後述するタイヤ交換要否判定工程S4)。すなわち、この判定工程では、例えばタイヤ20aの交換が必要な摩耗量につき予め閾値を設定しておき、評価した摩耗量が閾値以上であった場合、タイヤ20aの交換の必要ありと判定し、評価した摩耗量が閾値未満であった場合、タイヤ20aの交換の必要なしと判定してもよい。
なお、上述のタイヤ交換要否判定工程S4は、摩耗状態評価部30で求めたずれ量Dの値に基づいて行うことも可能である。その場合、タイヤ交換要否判定工程S4では、例えばタイヤ20aの交換が必要な摩耗量に対応するずれ量Dの閾値を予め設定しておき、取得したずれ量Dが閾値以上であった場合、タイヤ20aの交換の必要ありと判定し、評価したずれ量Dが閾値未満であった場合、タイヤ20aの交換の必要なしと判定することが可能である。
また、本実施形態のように、摩耗状態評価装置27が路面状態評価部31を備える場合、路面状態評価部31は、路面Rのうちカーブ走行軌跡Pcが生成される箇所を撮像し、撮像して得た路面Rの画像から路面Rの状態を評価してもよい(後述する路面状態評価工程S5)。この場合、摩耗状態評価部30では、路面状態評価部31で評価した路面Rの状態に基づいて、タイヤ20aの摩耗状態を評価する。例えば路面Rが常時に比べて若干滑りやすい状態だと画像より判断した場合、路面Rの状態に係る係数(1未満の数値)をずれ量Dに乗じて、タイヤ20aの摩耗状態を評価してもよい。
一方、路面状態評価部31で評価した路面Rの状態が、例えば運搬中の荷物の散乱など突発的な事象の影響を受けている場合、あるいは、猛暑や長雨など天候に係る事象の影響を受けている場合、タイヤ20aの摩耗以外の要因で、ずれ量Dが大きく変動している可能性が考えられる。よって、摩耗状態評価部30では、路面状態評価部31で得た路面Rの状態に関する評価に基づき、タイヤ20aの摩耗状態の評価の要否を判定してもよい。すなわち、路面Rの状態が、例えば異物の散乱や地割れ、盛り上がり、水たまり、凍結など、常時と大きく異なる状態であると判断(評価)した場合には、摩耗状態評価部30で、タイヤ20aの摩耗状態の評価を回避する、との判定を行ってもよい。
次に、上記構成の自動搬送装置11を備えた完成車両Cの自動搬送システム10の動作の一例を主に図1~図5に基づいて説明すると共に、上記構成の摩耗状態評価装置27による摩耗状態の評価の一例を主に図6~図12に基づいて説明する。
まず、統括制御部25は、複数の自動搬送装置11に向けて各自動搬送装置11が次になすべきことに関する指令を送る。例えば図1中、コンテナヤードYと工場Fとの間に位置する空の状態(完成車両Cを搭載していない状態)の自動搬送装置11(11a)に対しては、工場Fに向けて移動する指令を送る。また、工場Fの敷地内に位置する自動搬送装置11(11b)に対しては、搬送対象となる完成車両Cを搭載可能な位置に向けて移動する指令を送る。また、工場FとコンテナヤードYとの間に位置し完成車両Cを搭載した状態の自動搬送装置11(11c)に対しては、コンテナヤードY内の所定の待機位置に向けて所定の目標経路TR上を移動する指令を送り、荷下ろし後の自動搬送装置11(11d,11e)に対しては、必要に応じて移動方向に対する姿勢を変更した後、コンテナヤードY内から退避する指令を送る。指令を受けた各自動搬送装置11(11a~11e)は、指令の内容に応じた動作を行うよう、端末制御部24により駆動輪13及び動力付与部14の制御を行う。このようにして、複数の自動搬送装置11(11a~11e)の自動走行、及びこれらの自動搬送装置11(11a~11e)による完成車両Cの自動搬送が継続的に実施される。
ここで、上述した完成車両Cの自動搬送に用いられる目標経路TRは、予め摩耗状態評価装置27の目標経路設定部28により設定される(目標経路設定工程S1)。また、目標経路TR上を自動走行する指令を受けた自動搬送装置11は、摩耗状態評価装置27の走行軌跡取得部29により、受信部16を通じて衛星測位システムにより得られた自動搬送装置11の位置データから、自動走行時の走行軌跡Pを取得する(走行軌跡取得工程S2)。そして、端末制御部24は、目標経路設定工程S1で設定した目標経路TRと、走行軌跡取得工程S2で取得した走行軌跡Pとに基づき、常に目標経路TRと走行軌跡Pとの間にずれが生じないように、自動搬送装置11の操舵角と速度Vを制御する。これにより、自動搬送装置11の目標経路TRに沿った自動搬送が継続的に行われる。
また、統括制御部25は、所定のタイミングで、摩耗状態評価装置27に対し、自動走行中の自動搬送装置11(11a~11e)のタイヤ20aの摩耗状態の評価を行う旨の指令を送る。指令を受けた摩耗状態評価装置27の摩耗状態評価部30は、自動搬送装置11が所定のカーブ領域Rc(図1を参照)を走行する際に、タイヤ20aの摩耗状態を評価する(摩耗状態評価工程S3)。
具体的に、走行軌跡取得部29は、自動搬送装置11が所定のカーブ領域Rcを走行する際の走行軌跡P(カーブ走行軌跡Pc)を取得する。取得したカーブ走行軌跡Pcに係る情報は、摩耗状態評価部30に送信され、又は参照できる状態とする。また、カーブ領域Rcにおける目標経路TRであるカーブ目標経路TRcに関する情報についても、摩耗状態評価部30に送信され、又は参照できる状態とする。
摩耗状態評価部30は、カーブ走行軌跡Pcとカーブ目標経路TRcとのずれ量Dに基づいて、自動搬送装置11のタイヤ20aの摩耗状態を評価する。ここでは、ずれ量Dを、上述したカーブ走行軌跡Pc上の点p1(p2…pi…)からカーブ目標経路TRcまでの最短距離Eの最大値Emとして求める。然る後、取得したずれ量Dと、予め取得しておいたずれ量Dとタイヤ20aの摩耗状態との関係とに基づいて、タイヤ20aの摩耗状態(ここでは摩耗量)を評価する。そして、評価した摩耗量に基づいて、タイヤ20aの交換の要否を判定する(タイヤ交換要否判定S4)。そして、評価した摩耗量が上述の如く予め設定しておいた摩耗量の閾値以上であった場合、タイヤ20aの交換の必要ありと判定し、評価した摩耗量が上記閾値未満であった場合、タイヤ20aの交換の必要なしと判定する。
タイヤ20aの交換の必要ありと判定された場合、直ちに完成車両Cの自動搬送を停止し、あるいは現時点で実施している自動搬送が完了次第、タイヤ20aの交換エリアに移動し、タイヤ20aの交換を行う。タイヤ20aの交換の必要なしと判定された場合、引き続き、完成車両Cの自動搬送を繰り返し行う。このようにして、タイヤ20aの摩耗状態の評価が行われる。この摩耗状態の評価は、例えば自動搬送装置11がカーブ領域Rcを所定の回数通過する度に実施される。
また、本実施形態では、摩耗状態評価装置27の路面状態評価部31が、路面Rのうちカーブ走行軌跡Pcが生成される箇所(図7を参照)を撮像し、撮像して得た路面Rの状態を評価する(路面状態評価工程S5)。そして、評価した路面Rの状態に基づいて、タイヤ20aの摩耗状態評価工程S3の要否を判定する。ここで、評価した路面Rの状態が、常時とそれほど大きく変わらない状態であると判定(評価された場合)、上述したタイヤ20aの摩耗状態評価工程S3を実施する。一方、評価した路面Rの状態が、既述の如く常時と大きく異なる状態であると判定(評価)された場合、タイヤ20aの摩耗状態の評価を回避する、と判定する。
以上述べたように、本実施形態に係る摩耗状態評価装置27では、所定のカーブ領域Rcにおける自動搬送装置11のカーブ走行軌跡Pcとカーブ目標経路TRcとのずれ量Dに基づいて、自動搬送装置11のタイヤ20aの摩耗状態を評価するようにした。このように実際の走行中に得られる情報に基づいてタイヤ20aの摩耗状態を評価することによって、タイヤ20aの摩耗状態を高精度に評価することができる。また、自動搬送装置11の走行軌跡P(カーブ走行軌跡Pc)は、自動搬送装置11の自動走行に際して既存の位置測定手段(衛星測位システム)を用いて得られることから、新たにセンサ等を追加配置することなくタイヤ20aの摩耗状態を評価できる。よって、簡易な構成でかつ低コストにタイヤ20aの摩耗状態を評価することが可能となる。もちろん、この摩耗状態評価装置27によれば、自動搬送装置11の通常の自動走行時にタイヤ20aの摩耗状態を評価することができるので、タイヤ20aの摩耗状態の評価するための時間を別に設ける必要がない。そのため、極めて効率よくタイヤ20aの摩耗状態を評価することが可能となる。
また、本実施形態では、摩耗状態評価工程S3で、自動搬送装置11のカーブ走行軌跡Pc上の複数点p1,p2…pi…につき各点p1(p2…pi…)からカーブ目標経路TRcまでの最短距離E1(E2…Ei…)をそれぞれ取得し、取得した複数の最短距離E1,E2…Ei…のうち最大となる最短距離の値Emをずれ量Dとして、タイヤ20aの摩耗状態を評価した(図9を参照)。このようにずれ量Dを評価した場合、カーブ走行軌跡Pc上の一点p1(p2…pi…)からカーブ目標経路TRcまでの最短距離E1(E2…Ei…)が最大となるのは、カーブ目標経路TRcに対してカーブ走行軌跡Pcが最も大きく膨らんでいる箇所の距離となる。そのため、この最短距離の最大値Emをずれ量Dとしてタイヤ20aの摩耗状態を評価することで、タイヤ20aの摩耗状態をより正確に評価することが可能となる。
また、本実施形態では、路面Rのうちカーブ走行軌跡Pcが生成される箇所を撮像し、撮像して得た路面Rの画像から路面Rの状態を評価する路面状態評価工程S5をさらに設けると共に、摩耗状態評価工程S3において、路面状態評価工程S5で評価した路面Rの状態に基づいて、タイヤ20aの摩耗状態の評価の要否を判定するようにした。このように、撮像して得た路面Rの状態に基づいて、タイヤ20aの摩耗状態の評価の要否を判定することによって、路面Rの状態が不安定で、信頼性の高い評価結果が得られる可能性が低い場合に、評価を避けることができる。そのため、路面Rの状態が安定している(常時と変わらない状態である)と判定された場合にのみ、タイヤ20aの摩耗状態に関する評価を取得することで、常に信頼性のある評価結果を得ることが可能となる。従って、安定した自動走行ひいては完成車両Cの自動搬送を常に安定した状態でかつ安全に実施することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係る摩耗状態評価方法、及び摩耗状態評価装置は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
例えば上記実施形態では、ずれ量Dとして、カーブ走行軌跡Pc上の一点からカーブ目標経路TRcまでの最短距離Eの最大値Em(図9を参照)を採用して、タイヤ20aの摩耗状態を評価した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えばカーブ走行軌跡Pcとカーブ目標経路TRcとで囲まれる部分の面積S(図10を参照)、カーブ走行軌跡Pcのカーブ半径rの最大値rm(図11を参照)、及び進行方向のずれ角θの最大値θm(図12を参照)など、種々のパラメータを採用することが可能である。
また、上述した複数のパラメータEm,S,rm,θmのうち二以上のパラメータ(例えば最短距離Eの最大値Emと面積S)を用いて、タイヤ20aの摩耗状態を評価してもかまわない。複数のパラメータに基づいてタイヤ20aの摩耗状態を評価することによって、より安定した評価結果を得ることができ、また評価結果の信頼性をさらに高めることが可能となる。
また、上記実施形態では、摩耗状態評価工程S3で評価したタイヤ20aの摩耗状態(摩耗量)に基づいて、タイヤ20aの交換の要否を判定する(タイヤ交換要否判定工程S4)場合を例示したが、もちろんこれ以外の態様で摩耗状態に関する評価結果を利用することも可能である。例えば図示は省略するが、摩耗状態評価工程S3で評価したタイヤ20aの摩耗状態に基づいて、カーブ領域Rcを走行する際の自動搬送装置11の速度V(より正確には速度Vの最大値Vm)を調整する速度調整工程S6をさらに備えてもよい。
また、上記実施形態では、摩耗状態評価工程S3で評価するタイヤ20aの摩耗状態として、タイヤ20aの摩耗量を評価した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、タイヤ20aの摩耗面積(タイヤ20aの表面全体に占める摩耗領域の面積比など)を摩耗状態の一態様として評価することも可能である。
また、上記実施形態では、ずれ量Dと、路面Rの状態とに基づいてタイヤ20aの摩耗状態を評価する場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば、ずれ量Dや路面Rの状態に加えて、タイヤ20aが路面Rから受ける力をステアリングモータの負荷として検知し、この検知した力も考慮に加えて、タイヤ20aの摩耗状態を評価してもよい。あるいは、タイヤ20aの温度を検知し、検知したタイヤ20aの温度も考慮に加えて、タイヤ20aの摩耗状態を評価してもよい。
また、上記実施形態では、一定の方向にカーブするカーブ領域Rc(図7を参照)における自動搬送装置11のずれ量Dを評価し、評価したずれ量Dに基づいて、路面Rに接する全てのタイヤ20aの摩耗状態を評価した場合を例示したが、もちろん、タイヤ20aの摩耗状態は上記以外の態様で評価することも可能である。例えば図示は省略するが、左方向にカーブする第一カーブ領域と、右方向にカーブする第二カーブ領域とにおいて、それぞれ上述したずれ量Dの評価を行う。そして、各々のずれ量Dに基づいて、タイヤ20aの摩耗状態を評価すると共に、第一カーブ領域におけるずれ量Dと、第二カーブ領域におけるずれ量Dとを比較することで、タイヤ20a全体としての摩耗状態を総合的に評価しつつも、左右何れのタイヤ20aがより多く摩耗しているか(摩耗の偏りの有無)についても同時に評価することが可能となる。
また、以上の説明では、端末制御部24と統括制御部25とで制御部12を構成した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば統括制御部25を省略し、端末制御部24のみで自動搬送装置11の自動走行をそれぞれ制御してもかまわない。この場合、例えば自動搬送装置11については、予め搭載及び荷下ろしを伴う自動搬送に関するプログラムを端末制御部24に記憶させておき、作業者の所定の操作により上記プログラムに基づいて、駆動輪13及び動力付与部14を駆動制御するようにしてもよい。
また、以上の説明では、自動搬送装置11の駆動部を二個の駆動輪13とした場合を例示したが、もちろんこれには限られない。図示は省略するが、三個又は四個以上の駆動輪13で駆動部を構成してもかまわない。同様に、以上の説明では、各駆動輪13を並列配置された二個の車輪20で構成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の構成をとることも可能である。駆動輪13の数によっては、駆動輪13を一個の車輪20で構成してもよい。
また、以上の説明では、動力付与部14として、複数のインホイールモータ22を設けた場合を例示したが、もちろんこれには限られない。駆動輪13に所定の動力(回転駆動力)を付与可能な限りにおいて、任意の構成の駆動源を動力付与部14として自動搬送装置11に設けることが可能である。
なお、上記実施形態では、搭載動作として、停止中の自動搬送装置11に対して完成車両Cが移動(例えば前進)することで、完成車両Cの前輪FWを自動搬送装置11に搭載する場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、所定の車輪案内部を有する自動搬送装置11を移動させて、停止中の完成車両Cの前輪FWを連結部19上に案内することで、前輪FWを自動搬送装置11に搭載してもよい。あるいは、同じく図示は省略するが、自動搬送装置11と別体に製造され、自走可能なリフトアップ装置を完成車両Cの前方下部に潜り込ませた状態で停止中の完成車両Cの前方側をリフトアップし、然る後、自動搬送装置11を移動させることで、前輪FWを自動搬送装置11に搭載してもよい。要は、前輪FWを自動搬送装置11に搭載可能な限りにおいて、その手段は任意である。もちろん、上述した事項は、前輪FWではなく後輪RWを自動搬送装置11に搭載する場合においても同様に適用し得る。
また、以上の説明では、自動搬送装置11のタイヤ20aを摩耗状態の評価対象(本発明の適用対象)とした場合を例示したが、これには限られない。例えば耐久性試験の対象となる自動運転車のタイヤなどを本発明に係る評価方法及び評価装置の評価対象としてもよい。もちろん、評価対象は自動走行が可能な車両に限らず、乗員が運転を行う通常の車両のタイヤについても本発明の適用対象となり得る。
10 自動搬送システム
11 自動搬送装置
12 制御部
13 駆動輪
14 動力付与部
15 搭載部
16 受信部
17 検出部
18 ケーシング
19 連結部
20 車輪
20a タイヤ
21 回転軸
22 インホイールモータ
23 補助輪
24 端末制御部
25 統括制御部
26 立設部
27 摩耗状態評価装置
28 目標経路設定部
29 走行軌跡取得部
30 摩耗状態評価部
31 路面状態評価部
C 完成車両
D ずれ量
E 最短距離
F 工場
Fc 遠心力
Ff 摩擦力
FW 前輪
RW 後輪
IC 内接円
P 走行軌跡
Pc,Pc1,Pc2 カーブ走行軌跡
r カーブ半径
R 路面
Rc カーブ領域
S 面積
TR 目標経路
TRc カーブ目標経路
V 速度
Y コンテナヤード
θ ずれ角

Claims (3)

  1. 車両のタイヤの摩耗状態を評価するための方法であって、
    前記車両が自動走行する際の目標となる目標経路を設定する目標経路設定工程と、
    衛星測位システムで得られた前記車両の位置データから前記車両が自動走行する際の走行軌跡を取得する走行軌跡取得工程と、
    前記走行軌跡のうちカーブ領域におけるカーブ走行軌跡と、前記目標経路のうち前記カーブ領域におけるカーブ目標経路とのずれ量と、前記タイヤの摩耗状態との相関を取得する相関取得工程と、
    前記ずれ量と、前記相関とに基づいて、前記タイヤの摩耗状態を評価する摩耗状態評価工程とを備えた、タイヤの摩耗状態評価方法。
  2. 前記摩耗状態評価工程で、前記車両の前記カーブ走行軌跡上の複数点につき各点から前記カーブ目標経路までの最短距離をそれぞれ取得し、取得した複数の最短距離のうち最大となる最短距離の値を前記ずれ量として、前記タイヤの摩耗状態を評価する請求項1に記載の摩耗状態評価方法。
  3. 車両が自動走行する際の目標となる目標経路を設定可能な目標経路設定部と、
    衛星測位システムで得られた前記車両の位置データから前記車両が自動走行する際の走行軌跡を取得可能な走行軌跡取得部と、
    前記走行軌跡のうちカーブ領域におけるカーブ走行軌跡と、前記目標経路のうち前記カーブ領域におけるカーブ目標経路とのずれ量と、前記タイヤの摩耗状態との相関を予め取得しておき、前記走行軌跡取得部で取得した走行軌跡に基づき新たに算出したずれ量と、前記予め取得しておいた相関とに基づいて、前記タイヤの摩耗状態を評価する摩耗状態評価部とを備えたタイヤの摩耗状態評価装置。
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