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JP7782148B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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JP7782148B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

積層体の製造方法

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JP7782148B2 JP2021090650A JP2021090650A JP7782148B2 JP 7782148 B2 JP7782148 B2 JP 7782148B2 JP 2021090650 A JP2021090650 A JP 2021090650A JP 2021090650 A JP2021090650 A JP 2021090650A JP 7782148 B2 JP7782148 B2 JP 7782148B2
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Description

本発明は、表面に凹凸を有する積層体の製造方法に関する。
従来、各種材料に対して、表面に微細な凹凸を形成する技術が開発されている。
例えば、包装材料では、蓋材や容器内周面に内容物が付着することを防止するために、凹凸を形成することが知られている。また、例えば光学材料に微細な凹凸を形成して曇り性を高くして透過を抑制したり、表面反射を抑制したりする技術なども知られている。
これら各用途に対しては、それぞれ最適な表面凹凸構造があり、凹凸構造を制御して形成されている。
特許文献1には、基材と、耐有機溶剤性シーラントフィルム層と、付着防止層とをこの順に備え、前記付着防止層が、熱可塑性樹脂、撥水性微粒子および前記撥水性微粒子よりも平均粒子径の大きいビーズ粒子を含むことを特徴とする、撥水性積層体について開示されている。
かかる積層体は、付着防止層が大きさの異なる2種類の粒子を含んでなるため、表面に特有の凹凸構造が形成され、粘性を有する内容物の付着防止性及び撥水性を顕著に向上させることができることが示されている。
特開2017-226199号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるように、粒子により凹凸を形成すると、表面付近に存在する粒子の脱落を無くすことはできず、例えば包装材料に使用する場合には、内容物に対する異物混入を起こしやすく、蓋材以外への適用は困難であった。
また、特許文献1には凹凸構造制御の方法について具体的に開示されておらず、凹凸構造を制御するためにはさらなる改良が求められていた。
さらに、特許文献1の凹凸形成技術ではバッチ式プロセスによって積層体を製造しているが、量産化のためには、大面積を連続的に製造することが求められる。
そこで、本発明は、表面凹凸形状が制御可能で、粒子脱落のおそれがない表面凹凸を有する積層体を連続的に製造するための製造方法を提供することを課題とする。
本発明の要旨は、以下の[1]~[20]に示すとおりである。
[1]基材の少なくとも一方の面に硬化性樹脂組成物を塗布して、樹脂層前駆体付き基材を得る、樹脂層前駆体形成工程(A)と、
半硬化又は未硬化の前記樹脂層前駆体付き基材に対してドライプロセスによる表面処理を行い、最表面に凹凸を有する積層体を得る、表面処理工程(B)と、
前記積層体をロール状に巻き取る、巻き取り工程(C)と、を少なくとも有する、積層体の製造方法。
[2]前記樹脂層前駆体形成工程(A)の後に、
前記樹脂層前駆体付き基材をロール状に巻き取る、巻き取り工程(X)と、
樹脂層前駆体付き基材をロールから巻き出す、巻き出し工程(Y)と、を行い、
その後表面処理工程(B)を行う、上記[1]に記載の積層体の製造方法。
[3]前記樹脂層前駆体付き基材を搬送しながら、前記表面処理工程(B)及び前記巻き取り工程(C)を行う、上記[2]に記載の積層体の製造方法。
[4]前記基材を搬送しながら、前記樹脂層前駆体形成工程(A)、前記表面処理工程(B)及び前記巻き取り工程(C)を連続して行う、上記[1]に記載の積層体の製造方法。
[5]前記樹脂層前駆体形成工程(A)の後に、
樹脂層前駆体を半硬化させる、半硬化工程(P)を行い、
その後表面処理工程(B)を行う、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[6]前記表面処理が、化学的気相蒸着、物理的気相蒸着及びプラズマ処理のいずれかである上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[7]前記表面処理工程(B)におけるフィルムの温度が30℃以上120℃以下である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[8]前記硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物であり、
前記熱硬化性樹脂組成物中の(イソシアネート基の数)/(水酸基の数)が10以下である、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[9]前記積層体の最表面の凹凸が、リンクル構造を含む、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[10]前記リンクル構造が、一次リンクル構造と、前記一次リンクル構造よりもうねりの周期が小さい二次リンクル構造とを含む、上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[11]前記積層体の最表面の比表面積(S/A)が1.001以上である、上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[12]前記積層体の最表面のSa(算術平均粗さ)が20nm以上である、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[13]前記積層体の最表面のSz(最大高さ)が1000nm以上である上記[1]~[12]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[14]前記積層体の最表面のSsk(偏り度)の絶対値が20以下である、上記[1]~[13]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[15]前記樹脂層の厚み(tb)が0.1μm以上15μm以下である、上記[1]~[14]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[16]前記ドライプロセスによりカバー層が形成される、上記[1]~[15]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[17]前記カバー層が、無機物含有層及びカバー樹脂層のいずれかである上記[16]に記載の積層体の製造方法。
[18]前記無機物含有層が、ダイヤモンドライクカーボン、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及びこれらの複合物からなる群から選ばれる少なくとも1種から形成される上記[17]に記載の積層体の製造方法。
[19]前記カバー層の厚み(ta)が5nm以上300nm以下である、上記[16]~[18]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
[20]前記樹脂層の厚み(tb、単位:μm)に対する前記カバー層の厚み(ta、単位:nm)の比(ta/tb)が0.1以上3500以下である、上記[16]~[19]のいずれか1つに記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、表面凹凸形状が制御可能で、粒子脱落のおそれがない表面凹凸を有する積層体を連続的に製造できる。
本発明の第一の実施形態に係る積層体の製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の第一の実施形態に係る積層体の製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の積層体の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の積層体の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の積層体の一例を示す概略図である。 本発明の積層体の一例を示す概略図である。 実施例1における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例2における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例3における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例4における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例4における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により5万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例5における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例5における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により5万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例6における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例7における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例8における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。 実施例9における凹凸を有する積層体の最表面を、走査型顕微鏡(SEM)により1万倍に拡大して観察した観察画像である。
次に、本発明の実施形態に基づいて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明が以下に説明する実施形態に何ら限定されるものではない。
<<積層体の製造方法>>
本発明の積層体の製造方法(以下、「本製造方法」ともいう)は、基材の少なくとも一方の面に硬化性樹脂組成物を塗布して、樹脂層前駆体付き基材を得る、樹脂層前駆体形成工程(A)と、半硬化又は未硬化の前記樹脂層前駆体付き基材に対してドライプロセスによる表面処理を行い、最表面に凹凸を有する積層体を得る、表面処理工程(B)と、前記積層体をロール状に巻き取る、巻き取り工程(C)と、を少なくとも有する。
本製造方法は、粒子を用いなくても凹凸構造を形成できるため、粒子脱落の懸念がなく、本積層体をより広い用途へ活用できる。また、本製造方法はフィルムを搬送しながら連続的に表面処理を行うため、従来のバッチ式処理よりも生産性が高い。
本製造方法では、樹脂層前駆体形成工程(A)の後に、樹脂層前駆体を半硬化させる半硬化工程(P)を行い、その後表面処理工程(B)を行ってもよい。
また、本製造方法では、ドライプロセスによりカバー層が形成されることが好ましい。
以下、本発明における基材、樹脂層及びカバー層の材料と、各工程について詳細に説明する。なお、本発明では、ドライプロセスによる表面処理を行う前の樹脂層を「樹脂層前駆体」ということがある。
<基材>
本発明における基材は、フレキシブルで巻き取り可能なものであれば特に限定されず、材料としては樹脂などの有機物、金属や金属酸化物などの無機物、有機無機複合体などが挙げられる。基材の形状としてはシートやフィルム、基板などが挙げられる。中でも、連続生産性の観点から、基材の形状はフィルムが好ましく、軽量で取り扱いが容易である点から、樹脂フィルムが好ましい。
[樹脂フィルム]
基材として用いられる樹脂フィルムは、必要十分な剛性を備えたフィルムであれば、材質及び構成を限定するものではない。樹脂フィルムは、単層構成であっても、多層構成であってもよい。樹脂フィルムが多層構成の場合、2層、3層構成以外にも本発明の効果を阻害しない限り、4層又はそれ以上の多層であってもよい。
樹脂フィルムに使用する樹脂としては、ポリエステル、ポリアリレート類、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル系液晶ポリマー、トリアセチルセルロース、セルロース誘導体、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリイミド、ポリシクロオレフィン類等を例示することができる。これら樹脂は、樹脂フィルムにおいて1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、樹脂フィルムが多層である場合、各層を構成する樹脂は互いに異なる種類であってもよいし、互いに同じ種類であってもよい。また、樹脂フィルムは、上記各樹脂を2種以上組み合わせて各層を構成して、単層又は多層としてもよい。
樹脂フィルムが単層構成であっても多層構成であっても、各層の主成分樹脂がポリエステルであるポリエステルフィルムであることが好ましい。
この際、「主成分樹脂」とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂のうち最も含有割合の多い樹脂を意味し、例えばポリエステルフィルムを構成する樹脂のうち50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
樹脂フィルムの各層は、ポリエステルを主成分樹脂として含有すれば、ポリエステル以外の樹脂或いは樹脂以外の成分を含有していてもよい。
上記ポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。前記脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
他方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸等の1種又は2種以上を挙げることができ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の1種又は2種以上を挙げることができる。
ポリエステルの具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が例示される。これらのなかでは、PET、PENが好ましく、より好ましくはPETである。
樹脂フィルムは、フィルム表面に微細な凹凸構造を形成して各種機能を付与する目的及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
当該粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、ポリエステルなどの樹脂成分を製造する工程で、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
上記粒子の形状は、特に限定されるわけではない。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。また、上記粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
上記粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは0.01μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上2.5μm以下である。5μm以下とすることで、樹脂フィルムの表面粗度が粗くなるのを防止し、樹脂層、カバー層を形成させる際に不具合が生じにくくする。
粒子の含有量は、樹脂フィルム100質量%に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.0003質量%以上3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上2質量%以下である。粒子含有量をこのような範囲とすることで、フィルムの滑り性と透明性との両立が可能となる。
樹脂フィルムに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、樹脂成分を製造する過程において添加することができる。例えば、ポリエステルフィルムの場合には、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのがよい。
樹脂フィルムには、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等を添加することができる。
樹脂フィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは12μm以上250μm以下、より好ましくは25μm以上250μm以下、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。
樹脂フィルムは、例えば樹脂組成物を溶融製膜方法や溶液製膜方法によりフィルム形状にすることにより形成することができる。多層構造の場合は、共押出してもよい。また、一軸延伸又は二軸延伸したものであってもよく、剛性の点から、二軸延伸フィルムが好ましい。
[樹脂以外の基材]
樹脂以外の基材としては、後述する樹脂層が基材上に定着できる限り特に限定されないが、金属、半金属、セラミックス、複合材料などが挙げられる。
金属としては、アルミニウム、銅、銀、金、鉄、ニッケルなどが挙げられ、これらの金属を単体あるいは合金で用いてもよく、好ましくはアルミニウム、銅、鉄鋼系材料のSUSなどが挙げられる。
半金属としては、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられ、これらの半金属を単体あるいは合金で用いてもよい。
セラミックスとしては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などの無機固体材料が挙げられ、好ましくはガラスなどが挙げられる。
複合材料は、樹脂、金属、半金属及びセラミックなどからなる2種以上の異なる材料を一体的に組み合わせた材料であり、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック、ナノコンポジット材料などが挙げられる。
<樹脂層>
本発明における樹脂層は、硬化性樹脂組成物が硬化することで形成される硬化物である。硬化性樹脂組成物は硬化することで、基材、カバー層などに対して容易に接着できる。また、本製造方法において樹脂層を未硬化又は半硬化状態にしてドライプロセスによる表面処理を行うと、面方向に沿って作用される圧縮応力に追従して座屈しリンクル構造を形成できる。
本発明における硬化性樹脂組成物は、熱又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。積層体の凹凸構造制御が容易である点では、熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。また、半硬化工程(P)を短時間で行いやすい点では、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物がより好ましい。
[熱硬化性樹脂組成物]
硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合、当該熱硬化性樹脂組成物はバインダー樹脂を含有することが好ましく、バインダー樹脂と硬化剤を含むことがより好ましい。熱硬化性樹脂組成物は、バインダー樹脂と硬化剤を含むことで、基材、カバー層などに対する接着性を確保しつつ、圧縮応力が作用されると座屈しやすくなり、リンクル構造を形成しやすい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、加熱することで硬化することが可能な熱硬化性樹脂であり、熱硬化性樹脂組成物が硬化剤を含む場合には、硬化剤の存在下に硬化する樹脂である。
バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂、アルコキシル基含有樹脂、変性スチレン樹脂及び変性シリコーン樹脂等を挙げることができ、これらを単独或いは2種以上組み合わせて使用することができる。バインダー樹脂は、バインダー樹脂同士を反応させて樹脂層を形成してもよい。
中でも、基材又は基材及びカバー層との密着性、及び耐熱水性の点から、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ基含有樹脂、及びアルコキシル基含有樹脂から選ばれる少なくとも1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
また、バインダー樹脂は、ウレタン硬化やエポキシ硬化などの熱架橋が可能な樹脂であればよく、後述する硬化剤として好ましく使用されるイソシアネート化合物との反応性の観点から、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基を有する樹脂が好ましく、水酸基を有する樹脂がより好ましい。
さらにその中でも、一分子中に水酸基を2つ以上有するポリオールが好ましく、中でもアクリルポリオールが好ましい。
アクリル樹脂としては、例えば(メタ)アクリル系モノマーを含む重合性モノマーを重合した(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。(メタ)アクリル系重合体は、単独重合体であってもよいし共重合体であってもよいし、さらには(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよい。
(メタ)アクリル系モノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーである。また、(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーは、重合性官能基を有するモノマーであり、重合性官能基としては、ビニル基などの(メタ)アクリロイル基以外の炭素-炭素不飽和結合を含む官能基が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基という表現を用いた場合、「アクリロイル基」と「メタクリロイル基」の一方又は両方を意味するものとし、他の類似する用語も同様である。
重合性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの環状アルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する(メタ)アクリレートなどの重合性官能基以外の部分が炭化水素からなる炭化水素系(メタ)アクリレートが例示できる。
これらの中では、アルキル(メタ)アクリレート又は環状アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系重合体において、炭化水素系(メタ)アクリレート由来の構成単位は、例えば20質量%以上90質量%以下、30質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
重合性モノマーとしては、炭化水素系(メタ)アクリレート以外のモノマー成分を使用してもよく、具体的には水酸基含有モノマーを使用することが好ましい。水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、水酸基含有モノマーでいう水酸基は、芳香族環に直接結合しない水酸基である。これらの中では、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
水酸基含有モノマーは、上記炭化水素系(メタ)アクリレートと併用することが好ましく、したがって、アクリル樹脂は、炭化水素系(メタ)アクリレートと水酸基含有モノマーを共重合した(メタ)アクリル系共重合体、又は炭化水素系(メタ)アクリレートと水酸基含有モノマーとこれら以外のモノマー成分(その他のモノマー成分)を共重合した(メタ)アクリル系共重合体が好ましい。これにより、(メタ)アクリル系共重合体を、複数の水酸基を含有するアクリルポリオールとすることができる。
(メタ)アクリル系重合体において、水酸基含有モノマー由来の構成単位は、例えば0.5質量%以上80質量%以下が好ましく、1質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
重合性モノマーとしては、炭化水素系(メタ)アクリレート及び水酸基含有モノマー以外のモノマー成分(その他のモノマー成分)を使用してもよく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のようなカルボキシル基含有モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)メタクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグルシジル(メタ)アクリレート、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなどのアクリルアミド系化合物;(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンなどのスチレン誘導体;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニルなどが挙げられる。
また、重合性モノマーは、樹脂層の耐光性などを向上させる観点から、紫外線吸収機能を有する官能基を有するモノマーを使用してもよい。具体的には、ベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、ヒンダードアミン骨格などの紫外線吸収性官能基と、(メタ)アクリロイル基などの重合性官能基を有するモノマーが挙げられる。
その他のモノマー成分(炭化水素系(メタ)アクリレート及び水酸基含有モノマー以外のモノマー成分)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル系重合体において、例えば50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。下限は特に限定されず、0質量%以上であればよい。
なお、上記各モノマー成分(炭化水素系(メタ)アクリレート、水酸基含有モノマー、その他のモノマー成分)は、上記で例示したように、分子中に重合性官能基を1つ有する単官能モノマーであることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーを適宜含んでもよい。
(硬化剤)
硬化剤としては、上記バインダー樹脂に反応して硬化できる化合物を使用すればよいが、バインダー樹脂との硬化性の観点から、イソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物は、芳香族又は脂肪族ジイソシアネート或いは3価以上のポリイソシアネートが好ましい。イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、又はこれらの三量体を使用することができる。
また、これらイソシアネート化合物の過剰量と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、ビウレット、シアヌル酸、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物、又は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリアミド等の活性水素高分子化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を使用してもよい。
(熱硬化性樹脂組成物の好ましい形態)
樹脂層が熱硬化性樹脂組成物から形成される場合、当該樹脂層はウレタン結合及び/又はウレア結合を有する樹脂を含有することが好ましい。ウレタン結合及び/又はウレア結合を有する樹脂を使用することで柔軟性が確保され、ドライプロセスにより表面処理がされた際に発生する圧縮応力により座屈しやすくなる。
ウレタン結合及びウレア結合は、上記バインダー樹脂同士の反応、硬化剤の反応、及びバインダー樹脂と硬化剤との反応の少なくともいずれかにより形成されることが好ましく、中でもバインダー樹脂と硬化剤との反応により形成されることがより好ましい。これら反応によりウレタン結合及び/又はウレア結合を形成すると、樹脂層のカバー層、基材などに対する密着性を良好にしやすくなる。
バインダー樹脂との硬化性促進や、樹脂層のカバー層、基材などに対する密着性、及び二次リンクル構造の形成しやすさの観点から、硬化剤としてイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物としてバインダー樹脂と硬化剤の両方を用いる場合には、硬化剤としてイソシアネート化合物、バインダー樹脂としてポリオールを使用することが好ましく、バインダー樹脂としてアクリル樹脂を使用する場合には、アクリル樹脂は1分子中に水酸基を複数含有するアクリルポリオールであることが好ましい。
バインダー樹脂と硬化剤の配合比を調整することで、後述するリンクル構造の形状を制御することができる。
硬化剤としてイソシアネート化合物、バインダー樹脂としてポリオールを使用する場合、イソシアネート化合物に対するポリオールの配合量が少なくなるほど、熱硬化性樹脂組成物の硬化途中における流動性が長く保たれるので、高次リンクル構造を形成しやすくなる。
上記の観点から、熱硬化性樹脂組成物中のR((硬化剤のイソシアネート基の数)/(バインダー樹脂の水酸基の数))は0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、1.3以上がよりさらに好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物はバインダー樹脂を含有しなくてもよく、すなわち、水酸基の数が0であってもよい(R=∞)。半硬化又は未硬化の状態でのタック性を低減する観点からは、Rは10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
樹脂層における上記Rは、NMR、熱分解GC/MS、TOF-SIMS等の分析方法を組み合わせて求めることができる。より具体的には、まず、硬化後の樹脂層から未反応の硬化剤を抽出し、上記分析方法で硬化剤の母骨格とイソシアネート基の数(価数)を特定する。その後、上記分析方法で硬化後の樹脂層からバインダー樹脂を構成する単量体の構造と水酸基の数(価数)を特定し、硬化剤の母骨格とバインダー樹脂を構成する単量体の比率及びそれぞれの価数から、Rを求めることができる。
熱硬化性樹脂組成物において、ポリオールに対してイソシアネート化合物が過剰に含まれる場合(Rが1を超える)、硬化後の樹脂層は、ポリオールとイソシアネート化合物が反応して形成されたウレタン結合と、過剰分のイソシアネート化合物から形成されたウレア結合を有する。よって、上記Rは、固体NMR及びFT-IR等を用いて、硬化後の樹脂層のウレタン結合とウレア結合との比からも求めることができる。
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
(光重合性化合物)
硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である場合、当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は光重合性化合物を含有する。光重合性化合物は、活性エネルギー線が照射されることで重合することが可能な化合物である。なお、活性エネルギー線の詳細は、後述する製造方法で述べる通りである。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物により形成される樹脂層の樹脂成分は、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレートなどのプレポリマーと光重合性モノマーとを混合したもの、あるいは光重合性モノマーを単独で用いることができる。
光重合性モノマーは、ラジカル重合性基を有する化合物であれば特に限定されないが、多官能の光重合性モノマーが挙げられる。多官能の光重合性モノマーにおいて一分子中に含まれるラジカル重合性基の数は特に限定されず、2以上であればよい。
ラジカル重合性基は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの炭素-炭素不飽和結合を含む官能基が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性モノマーとして、芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環、フェナレン環などを有する多官能(メタ)アクリレートが好ましく、これらの中ではフルオレン環を有するフルオレン系多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
フルオレン系多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-((メタ)アクリロイルオキシポリ(エチレンオキシ))フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-((メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-((メタ)アクリロイルオキシポリ(プロピレンオキシ))-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-((メタ)アクリロイルオキシポリ(エチレンオキシ))-3,5-ジメチルフェニル]フルオレンなどが挙げられる。
また、光重合性モノマーとしては、芳香環を有する多官能(メタ)アクリレート以外にも様々な多官能(メタ)アクリレートを使用可能であり、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記した光重合性モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記した中では、芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましく、芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートは他の光重合性化合物と併用してもよい。
光重合性モノマーは、単独で使用してもよいし、後述する単官能の光重合性化合物と併用してもよい。
光重合性モノマーは、多官能に限定されず、単官能光重合性モノマーでもよい。単官能の光重合性モノマーは、単独で使用してもよいが、上記のとおり多官能の光重合性モノマーと併用してもよい。
単官能光重合性モノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレート、芳香環を有する(メタ)アクリレート、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリロニトリル、スチレン誘導体、ハロゲン化ビニルなどが挙げられる。これらの具体的な化合物としては、上記した(メタ)アクリル系重合体において例示したものが適宜使用できる。
(光重合開始剤)
硬化性樹脂組成物は、光重合性化合物を含む場合、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤を含有することで、後述するように樹脂層前駆体に活性エネルギー線を照射することで樹脂層前駆体を容易に硬化させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、α-ヒドロキシアセトフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類、オキシムエステル化合物などが挙げられる。中でも、α-ヒドロキシアルキルフェノン類は硬化時に黄変を起こしにくく、透明な硬化物が得られるので好ましい。
光重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.2質量部以上3質量部以下の範囲である。光重合開始剤の含有量が0.05質量部以上であることで、所望する開始効果が得られ、また、光開始剤の含有量が5質量部以下であることで、活性エネルギー線の照射より、硬化性樹脂組成物が硬化されすぎず、半硬化状態に留めやすくなる。
なお、以上の説明では、硬化性樹脂組成物は、熱硬化性又は活性エネルギー線硬化性のいずれかを有する態様について説明したが、熱及び活性エネルギー線の両方により硬化可能な熱及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であってもよい。この場合には、硬化性樹脂組成物は、バインダー樹脂及び光重合性化合物の両方を含むとよい。
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の主旨を損なわない範囲で、内消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料、無機粒子及び有機粒子等を含有してもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
[樹脂層の厚み]
樹脂層の厚み(tb)は、形成したい凹凸の段差や用途に応じて調整すればよく制約はないが、0.1μm以上15μm以下であることが好ましい。15μm以下であれば、樹脂層自体の内部応力によって基材から剥離することなどを防止できる。0.1μm以上の厚みであれば、樹脂層の厚みを均一に保つことができ、リンクル構造により一定以上の粗さを確保できる。かかる観点から、樹脂層の厚み(tb)は、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、よりさらに好ましくは1.2μm以上であり、また、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。
なお、樹脂層及び後述するカバー層の厚みは、微細形状測定機を使用した段差測定、あるいは走査電子顕微鏡(SEM)及び/又は透過電子顕微鏡(TEM)を使用した断面観察により、最大厚み(凸の山部)と最小厚み(凹の谷部)を測定し、これらの平均値により求めることができる。
<カバー層>
本発明においては、樹脂層の上にカバー層を形成することが好ましい。カバー層を形成することで、積層体の最表面に撥水性、撥油性、親水性等の特性を付与できる。
カバー層は、樹脂層の上に直接接触する層として形成すればよい。カバー層は、具体的には、無機物含有層、カバー樹脂層などが挙げられる。これらの中では、無機物含有層が好ましい。
[無機物含有層]
無機物含有層は、無機物により形成され、無機物を主成分として含有する層である。なお、「無機物を主成分として含有する」とは、無機物含有層の50質量%以上、中でも70質量%以上、中でも80質量%以上、中でも90質量%以上、中でも100質量%を無機物が占めるということを意味する。無機物含有層は、樹脂層との密着性が良好な無機物により形成するとよい。また、無機物含有層は、ドライプロセスにより樹脂層の上に容易に成膜できる材料を使用して形成することが好ましい。
無機物含有層は、無機物として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、又はこれらの複合物から選ばれる少なくとも一種から形成されることが好ましい。なお、ここでいう金属には、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウムなどのいわゆる半金属も含まれる。
無機物含有層において、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、又はこれらの複合物を構成する金属としては、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、チタン、ニオブ、金、銀、銅、インジウム、スズ、ニッケルなどが挙げられ、中でもケイ素、ニオブが好ましく、より好ましくはケイ素である。
無機物含有層に使用される無機物は、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、炭化ケイ素、フッ素含有酸化ケイ素、フッ素含有炭化ケイ素などのケイ素系化合物、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウムなどのアルミニウム系化合物、酸化ニオブなどのニオブ系化合物、酸化亜鉛などの亜鉛系化合物、酸化チタンなどのチタン系化合物、ダイヤモンドライクカーボン、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン及び、ITO、IZOなどの導電性酸化物から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
無機物含有層は、積層体の硬度を高くでき、積層体の耐久性を良好にできる観点から、上記した中でも、無機物としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ケイ素、酸化ケイ素、酸化ニオブ、酸化炭化ケイ素、及び炭化ケイ素の少なくともいずれかを含む層であることが好ましく、DLC、ケイ素及び酸化ケイ素の少なくともいずれかを含む層であることがより好ましく、ケイ素及び酸化ケイ素のいずれかを含む層であることがさらに好ましい。
[カバー樹脂層]
カバー樹脂層は、ドライプロセスにより樹脂層の上に成膜されることが好ましい。カバー樹脂層は、樹脂成分により形成され、樹脂成分を主成分として含有する層である。ここで、「樹脂成分を主成分として含有する」とは、カバー樹脂層の50質量%以上、中でも70質量%以上、中でも80質量%以上、中でも90質量%以上、中でも100質量%を樹脂成分が占めるということを意味する。
カバー樹脂層に使用される樹脂成分としては、ドライプロセスにより樹脂層の上に成膜できる樹脂成分を好ましく使用できる。具体的な樹脂成分としては、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレンなどが挙げられ、中でもフッ素系樹脂により形成されたフッ素系樹脂層が好ましい。フッ素系樹脂を使用することで、ドライプロセスにより容易に樹脂層の上にカバー樹脂層を成膜できる。また、フッ素系樹脂を使用することで、カバー樹脂層が最表面となる場合には、積層体に耐薬品性、滑り性又は撥液性を付与しやすくなる。
フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体などが挙げられる。
[カバー層の形成]
カバー層は、必ずしもドライプロセスにより形成される必要はない。カバー層をドライプロセスにより形成しない場合には、予め別のドライプロセスにより樹脂層に凹凸を形成し、その後にカバー層を成膜すればよい。
このようにドライプロセス以外にカバー層を形成する場合には、無機物含有層、カバー樹脂層に使用される無機物、樹脂成分には上記以外のものも使用できる。具体的には、上記した樹脂成分以外にも、後述するオーバーカバー層に使用できる樹脂成分として例示したものを使用してもよい。
[カバー層の厚み]
カバー層の厚み(ta)は、5nm以上300nm以下が好ましい。カバー層の厚み(ta)を上記範囲内にすることで、ドライプロセスにより成膜した際に適度に膜応力が発生し、樹脂層に対して適度に圧縮応力を作用させ、所望の粗さのリンクル構造を形成しやすくなる。積層体の最表面に所望の凹凸を形成しやすくする観点から、カバー層の厚み(ta)は、10nm以上250nm以下がより好ましく、20nm以上200nm以下がさらに好ましい。
[カバー層と樹脂層との厚み比率(ta/tb)]
本発明において、樹脂層の厚み(tb、単位:μm)に対するカバー層の厚み(ta、単位:nm)の比(ta/tb)は、0.1以上3500以下が好ましい。厚み比を上記範囲内とすることで、ドライプロセスによりカバー層を成膜した際に、該ドライプロセスにより所望の粗さの凹凸を形成しやすくなる。また、カバー層を成膜する前に、予め樹脂層表面に凹凸を形成している場合には、カバー層による凹凸の平滑化が防止できる。積層体の最表面に所望の凹凸を形成しやすくする観点から、上記厚み比(ta/tb)は、1以上500以下がより好ましく、2以上400以下がさらに好ましく、5以上250以下がよりさらに好ましい。
<第一の実施形態に係る製造方法>
本発明の第一の実施形態に係る製造方法(以下、「第一の製造方法」ともいう)は、樹脂層前駆体形成工程(A)の後、樹脂層前駆体付き基材をロール状に巻き取り、再度巻き出して表面処理工程(B)を行うものである。
すなわち、第一の製造方法は、樹脂層前駆体形成工程(A)の後に、樹脂層前駆体付き基材をロール状に巻き取る、巻き取り工程(X)と、樹脂層前駆体付き基材をロールから巻き出す、巻き出し工程(Y)とを行い、その後表面処理工程(B)を行うものである。
表面処理工程(B)の前に一度巻き取りを行うことによって、例えば表面処理工程(B)において減圧下での処理を行う場合に、基材や樹脂層前駆体に含まれる水分を事前に除去する等の減圧環境を設定しやすくなる。また、巻き取り後に恒温環境で保管する等により、樹脂層前駆体を半硬化させる半硬化工程(P)を行うこともできる。
本製造方法では、連続生産性を良好にする観点から、樹脂層前駆体付き基材を搬送しながら表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)を行うことが好ましい。
表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)における搬送速度は、0.1m/分以上30m/分以下が好ましく、0.2m/分以上20m/分以下がより好ましく、10m/分以下がさらに好ましい。搬送速度を上記範囲とすることで、生産性を良好にしつつ、表面処理を十分に行うことができ、リンクル構造を含む凹凸を形成しやすくなる。
以下、樹脂層前駆体形成工程(A)、半硬化工程(P)、巻き取り工程(X)、巻き出し工程(Y)、表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)について説明する。なお、以下では、巻き取り工程(X)により樹脂層前駆体付き基材をロール状に巻き取ったものを「第一の捲回体」ともいい、巻き取り工程(C)により積層体をロール状に巻き取ったものを「第二の捲回体」ともいう。
1.樹脂層前駆体形成工程(A)
樹脂層前駆体形成工程(A)では、基材の少なくとも一方の面に硬化性樹脂組成物を塗布して樹脂層前駆体を形成する。
樹脂層前駆体形成工程(A)で使用される基材及び硬化性樹脂組成物の詳細は上記で説明したとおりである。硬化性樹脂組成物は、必要に応じて水、有機溶剤などの溶媒により希釈されていてもよい。なお、水、有機溶剤などの溶媒により希釈される場合、上記で述べた硬化性樹脂組成物の量(質量部など)、及び組成物を構成する各成分の量は、固形分基準を意味する。
使用する有機溶剤としては特に限定されず、硬化性樹脂組成物の組成に応じて溶解性や分散性などの観点から選べばよく、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、ジメチルグリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート系溶媒、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、各種アルカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。硬化性樹脂組成物を構成する成分は、溶媒に溶解していてもよいし、溶媒中に分散していてもよい。
硬化性樹脂組成物は、水、有機溶剤などにより希釈される場合には、固形分濃度が例えば0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは3質量%以上40質量%以下程度となるように調整することが好ましい。
硬化性樹脂組成物を基材上に塗布する方法としてはリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、スピンコート等の従来公知の塗工方式を用いることができる。
また、基材が樹脂フィルムの場合には、硬化性樹脂組成物をインラインコーティングによって塗布してもよい。インラインコーティングとは、樹脂フィルムを形成した製造ライン上で硬化性樹脂組成物を塗布することをいう。
塗布後の溶剤の乾燥は、オーブンによる加熱乾燥や減圧乾燥機による無加熱の乾燥を用いることができる。
なお、硬化性樹脂組成物を塗布する基材表面には、予めコロナ処理、プラズマ処理、UVオゾン処理等の表面処理を施してもよい。
2.半硬化工程(P)
半硬化工程(P)では、樹脂層前駆体形成工程(A)で形成した樹脂層前駆体を半硬化させる。
第一の製造方法において半硬化工程(P)は必須ではないが、樹脂層前駆体付き基材のハンドリング性を良好にする観点、及び、表面処理工程(B)で形成するリンクル構造を制御できる観点からは、半硬化工程(P)を行うことが好ましい。
例えば、樹脂層前駆体形成工程(A)で得た樹脂層前駆体のタックが強くて取り扱いが難しい場合は、樹脂層前駆体形成工程(A)と巻き取り工程(X)との間に半硬化工程(P)を行うことが好ましいが、取り扱い上問題がなければ本工程(P)は必須ではなく、加熱やエネルギー線照射を行わずに未硬化の状態で巻き取り工程(X)に搬送されてもよい。
また、硬化性樹脂組成物を半硬化状態とすることでドライプロセスによる表面処理により樹脂層前駆体が座屈しやすくなるため、凹凸構造を制御したい場合は、巻き取り工程(X)と巻き出し工程(Y)との間、あるいは、巻き出し工程(Y)と表面処理工程(B)との間に半硬化工程(P)を行うことが好ましい。
ここで、本発明における半硬化とは、硬化性樹脂組成物を完全に硬化させていない状態をいい、さらに熱を照射させ、又はエネルギー線を照射すると、硬化性樹脂組成物の硬化が更に進行する状態をいう。
硬化性樹脂組成物が半硬化であるか否かは、例えば、溶剤を浸した綿棒で樹脂層前駆体の表面を軽く50回擦り、基材の表面が露出するか否かで確認できる。硬化性樹脂組成物が完全に硬化していれば、樹脂層前駆体の表面を擦っても基材の表面が露出しない。半硬化の度合いは、樹脂層前駆体の表面が膜減り始める擦り回数や基材の表面が露出するまでの擦り回数などから判断できる。なお、綿棒を浸す溶剤は、硬化性樹脂組成物を希釈した溶媒と同じものを用いることが好ましい。
硬化性樹脂組成物が熱硬化性を有する場合、半硬化工程(P)では、樹脂層前駆体形成工程(A)で形成した樹脂層前駆体を加熱により半硬化させる。樹脂層前駆体を半硬化させる方法は、自然乾燥などのように常温で行ってもよいが、実用上の観点から、加熱乾燥などのように加熱により行うことが好ましい。なお、樹脂層前駆体形成工程(A)の溶剤の乾燥を加熱乾燥で行う場合は、当該溶剤の乾燥が半硬化工程(P)を兼ねていてもよい。
また、硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線硬化性を有する場合、半硬化工程(P)では、樹脂層前駆体形成工程(A)で形成した樹脂層前駆体に活性エネルギー線を照射することで樹脂層前駆体を半硬化させる。ただし、樹脂層成分として熱及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いる場合などには、加熱のみ、あるいは活性エネルギー線の照射のみで樹脂層前駆体を半硬化させてもよいし、加熱と活性エネルギー照射を併用して樹脂層前駆体を半硬化させてもよい。
樹脂層前駆体を加熱により半硬化させる場合、その加熱温度及び加熱時間は、硬化性樹脂組成物に含まれる成分に応じて設定すればよいが、例えば50℃以上200℃以下、好ましくは70℃以上150℃以下の温度で、例えば3秒以上30分以下、好ましくは30秒以上10分以下、より好ましくは40秒以上5分以下の時間で樹脂層前駆体を加熱する。
また、活性エネルギー線を照射することで樹脂層前駆体を半硬化させる場合、使用される活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射により樹脂層前駆体を半硬化させる場合には、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LEDランプ等を用いればよい。また、紫外線は、樹脂層前駆体が半硬化する程度に照射すればよく、その照射量は特に限定されないが、例えば0.5~5000mJ/cm、好ましくは1~2000mJ/cm程度の積算光量で紫外線を照射すればよい。
本実施形態では、硬化が十分に進んでいない樹脂層前駆体に対してドライプロセスによる表面処理を行う。したがって、リンクル構造を安定的に形成するために、樹脂層前駆体形成工程(A)を行った後、表面処理工程(B)を行うまで(例えば、巻き取り工程(X)と巻き出し工程(Y)との間)の時間や保存温度を調整することが好ましい。
樹脂層前駆体形成工程(A)と表面処理工程(B)の間のインターバル(すなわち、加熱及び/又は活性エネルギー線照射が終了してから、ドライプロセスによる表面処理を開始するまでの時間)は、表面処理を開始させる際に樹脂層前駆体が所望の半硬化状態になる限り特に限定されないが、例えば3日以下、好ましくは2日以下、より好ましくは24時間以下である。当該インターバルの下限は特に限定されず、0分以上であればよい。
また、樹脂層前駆体形成工程(A)と表面処理工程(B)の間のインターバルでは、特に限定されないが、樹脂層前駆体が形成された基材を例えば0℃以上60℃以下、好ましくは5℃以上40℃以下、より好ましくは5℃以上30℃以下の温度で放置すればよい。
また、インターバル時間が長い場合には、樹脂層前駆体形成工程(A)と表面処理工程(B)の間で硬化が進行することも考慮して、樹脂層前駆体形成工程(A)における加熱条件、活性エネルギー線の照射条件などを適宜選択すればよい。
3.巻き取り工程(X)
巻き取り工程(X)では、樹脂層前駆体付き基材をコアに捲回し、ロール状に巻き取ることで、第一の捲回体を得る。
コアとは、フィルムの巻き取りに用いられる円柱形状の巻芯をいう。コアの材料は特に限定されないが、例えば、紙、樹脂含浸紙、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、FRP、フェノール樹脂、無機物含有樹脂が挙げられる。中でも、熱膨張係数が小さく、剛性が高く、湿度に対する膨潤性が低く、かつ捲回性に優れるという観点から、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、FRP、フェノール樹脂、無機物含有樹脂などの樹脂からなることが好ましい。
コアの素材が紙である場合は、特に樹脂等でその表面をコートすることで、所望の特性が得られやすい。さらに、コアは、表面平滑性の観点から、樹脂含浸紙の管であることも好ましい。
ロール状に巻き取られる樹脂層前駆体付き基材の長さは、特に限定されないが、5m以上が好ましく、10m以上がより好ましく、50m以上がさらに好ましい。また、フィルムの長さは10000m以下が好ましい。フィルムの長さが5m以上であることで、生産性が良好になる。
巻き取り工程(X)における巻き取り張力は、基材の剛性、幅及び厚みに応じて選択されてよいが、捲回体の巻きずれを防止する観点から、10~500Nが好ましい。
4.巻き出し工程(Y)
巻き出し工程(Y)では、上記樹脂層前駆体付き基材をロール(第一の捲回体)から巻き出す。巻き出した樹脂層前駆体付き基材はそのまま搬送されて半硬化工程(P)又は表面処理工程(B)が行われてもよいが、後の工程に適した幅にスリットしたり、長さを短くしたりしてもよい。
樹脂層前駆体付き基材の長さを短くする場合、後述する表面処理工程(B)を連続的に行いやすくする観点から、5m以上5000m以下とすることが好ましく、10m以上1000m以下がより好ましく、50m以上がさらに好ましい。
5.表面処理工程(B)
表面処理工程(B)では、半硬化又は未硬化の樹脂層前駆体付き基材に対してドライプロセスによる表面処理を行う。樹脂層前駆体が半硬化又は未硬化の状態でドライプロセスによる表面処理を行うことによって、リンクル構造を含む凹凸が形成できる。
なお、ドライプロセスは、半硬化させた樹脂層前駆体、又は未硬化の樹脂層前駆体に減圧下又は真空中で表面処理を行う手法である。
表面処理工程(B)ではドライプロセスによってカバー層を形成してもよいが、カバー層を形成せず、成膜を伴わないドライプロセス処理を行ってもよい。
また、リンクル構造は、後述のとおり高次リンクル構造を有することがあるが、高次リンクル構造は、表面処理工程(B)において形成されるとよい。
本実施形態において、ドライプロセスによる表面処理でリンクル構造を含む凹凸が形成される原理、及び高次リンクル構造が形成される原理は定かではないが、以下のように推定される。
半硬化又は未硬化の樹脂層前駆体に対してドライプロセスによってカバー層を形成すると、樹脂層前駆体がドライプロセス処理によるエネルギー(プラズマからの光、輻射熱、電子やイオン、あるいは、入射粒子から受けるエネルギー)を受けて硬化が進むと考えられる。その際、ドライプロセス処理によるエネルギーを受けた樹脂層前駆体が昇温しながら硬化収縮し流動性を失っていく過程と、カバー層が成長するときに膜応力を生成する過程が同時に進行する。その中で、樹脂層前駆体の面方向に沿う圧縮応力が大きくなり、樹脂層前駆体がその圧縮応力に対して抵抗できなくなった時点で座屈が起こり、リンクル構造が形成されると推定される。
また、カバー層を形成せず、成膜を伴わないドライプロセスであっても、同様にドライプロセス処理によるエネルギーにより樹脂層前駆体に面方向に沿う圧縮応力が生成し、樹脂層前駆体がその圧縮応力に対して抵抗できなくなった時点で座屈が起こりリンクル構造が形成されると推定される。
なお、カバー層を形成する際に、カバー層成膜時に発生する膜応力が大きい場合には、早い段階で1度目の座屈が起こって大きなうねり(一次リンクル構造)が生成し、その後、樹脂流動性が少し下がった段階で2度目の座屈が起こると小さなうねり(二次リンクル構造)が生成すると考えられる。
なお、リンクル構造におけるうねりの大きさ(すなわち、表面粗さ(Sa、Sz)、比表面積S/Aなど)は、樹脂層及びカバー層の厚み、樹脂層前駆体の半硬化又は未硬化状態における硬さ、樹脂流動性のバランスで変化すると推定される。したがって、うねりの大きさは、樹脂層及びカバー層の厚み、樹脂層及びカバー層に含有される成分、及び硬化条件などを適宜変更することで調整できる。
また、ドライプロセスによる表面処理は、上記のとおり樹脂層前駆体の硬化を進行させるものであり、表面処理工程(B)では例えば樹脂層を全硬化させてもよい。なお、全硬化とは、樹脂層を加熱し、又は活性エネルギー線を照射させても、硬化が実質的に進行しない状態を意味する。
本製造方法では、ドライプロセスによる表面処理によってカバー層を形成することが好ましい。ドライプロセスによる表面処理によってカバー層を形成すると、上記のとおり膜応力が生じて、リンクル構造を形成しやすくなり、さらには高次リンクル構造も形成可能となる。また、ドライプロセスによる表面処理によってカバー層を形成することで、表面処理工程(B)において、リンクル構造を含む凹凸を形成しつつ、カバー層も形成できるので工程を簡略化できる。
なお、ドライプロセス処理を行ったか否かは、断面をSEM及び/又はTEMで観察することによって判断できる。例えば、カバー層が結晶性材料からなる場合、カバー層の厚み方向で結晶粒径が変化していれば、ドライプロセス処理を行っていると判断できる。ドライプロセスによる成膜が進行するにつれて樹脂層表面に生成した結晶核が成長し、徐々に粒径が拡大していくため、カバー層表面の結晶粒径が最も大きくなり、樹脂層に近づくにしたがって結晶粒径が小さくなる傾向がある。
一方で、溶剤を塗布するウェット処理を行っている場合はこのような結晶粒径の変化は見られない。ウェット処理の場合は、塗膜を乾燥させる過程で溶剤が蒸発するため、カバー層の厚み方向全体にわたって微小なボイドが生じやすく低密度な膜となりやすい。
ドライプロセスによる表面処理によってカバー層を形成する場合、当該ドライプロセスによる表面処理は、例えば、化学的気相蒸着(CVD)、物理的気相蒸着(PVD)などが挙げられる。
ドライプロセスは、真空又は減圧下で行われる処理であることが好ましい。真空又は減圧下で表面処理が行われると、半硬化又は未硬化の樹脂層前駆体は酸素が少ない雰囲気下に置かれることになり、ドライプロセスにより硬化が進行しやすくなる。そのため、真空又は減圧下でドライプロセスを行うと、リンクル構造を形成しやすい。特に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の場合は、ラジカル重合を妨げる酸素阻害が抑制されることから架橋が進みやすくなる。
真空又は減圧下で行われるドライプロセスにおける圧力は、ドライプロセスの手法にもよるが、例えば15Pa以下、好ましくは10Pa以下、より好ましくは1Pa以下である。また、ドライプロセスにおける圧力の下限は、特に限定されないが、各装置の性能限界を考慮すると、例えば、1×10-7Paである。
また、ドライプロセスによりカバー層を形成する場合、フィルムを加温してもよく、その温度は好ましくは30℃以上120℃以下、より好ましくは40℃以上100℃以下である。フィルムを加温することで、樹脂層前駆体の流動性が高くなるため、高次リンクル構造を形成しやすくなる。
[CVD]
CVDは、特に限定されず、プラズマCVD、熱CVD、cat-CVD(触媒化学気相成長法)などがあるが、プラズマCVDが好ましい。プラズマCVDを使用することで、リンクル構造を形成しやすくなる。CVDは、リンクル構造を形成しやすくする観点から減圧下で行うことが好ましく、カバー層を形成する際の圧力は、成膜速度と凹凸構造形成性との観点から、好ましくは15Pa以下、より好ましくは1×10-2Pa以上10Pa以下、更に好ましくは1×10-1Pa以上1Pa以下である。
CVDにより表面処理を行う場合、カバー層を形成する際の出力条件は、カバー層に必要十分な膜応力を発生させる観点から、好ましくは100W以上1500W以下、より好ましくは300W以上1200W以下、更に好ましくは400W以上1000W以下である。
カバー層の膜厚調整は、公知の方法で行うことができ、例えば、プラズマCVDを使用する場合、出力、原料ガスの圧力、原料ガスの濃度、プラズマ発生時間等を調節することなどによりできる。
CVDにより表面処理を行う場合、カバー層には耐水性、耐久性向上のため、必要に応じて、電子線照射による架橋処理を施してもよい。
CVDは、例えば、無機物含有層、カバー樹脂層を形成する際に使用することが好ましく、特にDLCを無機物として含む無機物含有層、炭化ケイ素及び/又は酸化ケイ素を無機物として含む無機物含有層、フッ素系樹脂などを樹脂成分として含むフッ素系樹脂層などを形成する際に好適に使用できる。
例えば、無機物としてDLCを含む無機物含有層をCVDにより形成する場合には、原料として炭化水素などを使用するとよい。具体的には、式C4n+64n+12で(nは1以上の整数)表される脂環式炭化水素、例えば、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、ペンタマンタン、テトラマンタン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセチレン、エチレン、プロピレン、メタン、エタン、プロパン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。これら原料は、各化合物を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。また、原料ガスをアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の希ガスで希釈して使用してもよい。
例えば、無機物としてケイ素を含む無機物含有層をCVDにより形成する場合には、原料としてシラン、ジシランなどのケイ素成分を使用するとよい。
また、例えば無機物として酸化ケイ素を含む無機物含有層をCVDにより形成する場合には、原料としてテトラエトキシシランを使用するか、シラン、ジシランなどのケイ素成分を使用して酸化二窒素(亜酸化窒素)との混合ガスとするとよい。
原料ガスは、水素やアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の希ガスで希釈して使用してもよい。
また、例えば無機物として炭化ケイ素を含む無機物含有層をCVDにより形成する場合には、原料としてテトラメチルシラン、ヘキサメチルジシランなどのオルガノシランを使用するとよい。また、シラン、ジシランなどのケイ素成分と、炭素原子数1~6のアルカンなどの炭素成分の混合ガスに適宜水素ガスも混入させてもよい。ただし、炭化ケイ素を形成できる限り、他の原料を使用してもよい。
さらに、例えば、フッ素樹脂層をCVDにより形成する場合には、原料として、CF、C、C、C、C、Cなどのフッ素系ガスを使用すればよい。
さらに、例えば無機物として炭化酸化ケイ素を含む無機物含有層をCVDにより形成する場合には、原料としてのケイ素化合物(以下、「ケイ素化合物原料」ともいう)を使用すればよい。ケイ素化合物原料は、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても使用できる。気体の場合にはそのまま反応器内部(例えば、放電空間)に導入することもできる。液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用することができる。また、溶媒希釈してから使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n-ヘキサン等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒を使用することができる。
上記ケイ素化合物原料としては、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn-ブトキシシラン、テトラt-ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4-ビストリメチルシリル-1,3-ブタジイン、ジ-t-ブチルシラン、1,3-ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1-(トリメチルシリル)-1-プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、メチルシリケート(例えば、コルコート株式会社製「メチルシリケート51」)等を挙げることができる。
[PVD]
PVDとしては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどが挙げられ、これらの中では、真空蒸着、スパッタリングが好ましい。PVDは、例えば、無機物含有層に含有させる無機物として、金属、酸化ニオブ、酸化ケイ素などの金属酸化物、金属窒化物などを使用する場合に好適である。
また、真空蒸着は、無機物含有層に含有される無機物が金、銀、銅、アルミニウム、ケイ素などの金属、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、フッ化カルシウムなどのフッ化物を使用する場合に好適であり、また、スパッタリングは、無機物含有層に含有される無機物が金、銀、銅、アルミニウム、ケイ素などの金属、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化ケイ素、ITO、IZOなどの金属酸化物、DLCなどの共有結合性材料を使用する場合に好適である。
PVDによりカバー層を形成する際の圧力は、凹凸構造形成性と真空排気能力などの観点から、好ましくは1×10-7Pa以上20Pa以下、より好ましくは1×10-6Pa以上10Pa以下、更に好ましくは1×10-4Pa以上5Pa以下である。
表面処理工程(B)におけるドライプロセスでは、カバー層が形成されなくてもよい。カバー層が形成されない場合の表面処理は、表面処理により樹脂層前駆体が座屈してリンクル構造を含む凹凸を形成できる限り特に限定されないが、イオンビーム照射処理、プラズマ処理、UV照射処理などが挙げられる。
イオンビーム照射処理としては、特に限定されないが、ライン状のイオンビームを生成するアノードレイヤ―ソース(ALS)を用いることでアルゴン、窒素、酸素等のガスのイオン照射が可能である。ガスは、これらのガスの1種のみを用いてもよく、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。これらの中ではアルゴンが好ましい。
プラズマ処理としては、特に限定されないが、真空又は減圧プラズマ処理などの方法で行うとよいが、これらの中では真空プラズマ処理が好ましい。また、プラズマ処理は、ガスをプラズマ化してプラズマ処理を行えばよい。使用するガスの種類は、例えば、酸素ガス、水素ガス、窒素ガス、又はアルゴンやヘリウムのような希ガスが挙げられる。ガスは、これらのガスの1種のみを用いてもよく、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。これらの中ではアルゴンが好ましい。
UV照射処理は、特に限定されないが、UV-LED照射装置などを用いればよく、特に硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物である場合に用いられる。UV光の波長は365nm、385nm、395nm、405nmなどが使用可能であるが、365nmが好ましく用いられる。
6.巻き取り工程(C)
巻き取り工程(C)では、上記表面処理を経て得られた積層体がコアに捲回され、ロール状に巻き取られることにより、第二の捲回体が得られる。第二の捲回体のコアは、上記3.巻き取り工程(X)にて説明したコアと同じものを用いることができる。
ロール状に巻き取られたフィルムの長さは、特に限定されないが、5m以上が好ましく、10m以上がより好ましく、50m以上がさらに好ましい。また、フィルムの長さは10000m以下が好ましい。
巻き取り工程(C)における巻き取り張力は、積層体の剛性、幅及び厚みに応じて選択されてよいが、捲回体の巻きずれを防止する観点から、10~500Nが好ましい。
<第一の実施形態に係る製造装置>
以下、第一の実施形態に係る積層体の製造装置の一例を、図1及び図2を用いて説明する。
第一の実施形態に係る積層体の製造装置は、第一装置100aと、第二装置100bとからなる。
図1に示される第一装置100aでは、第一の実施形態における樹脂層前駆体形成工程(A)及び巻き取り工程(X)が行われ、樹脂層前駆体付き基材αからなる第一の捲回体が得られる。第一装置100aは、基材11に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布手段101と、樹脂層前駆体付き基材をロール状に巻き取る第一巻き取り手段102と、を少なくとも有する。第一装置100aは、樹脂層前駆体を乾燥するための乾燥手段103を有していてもよい。また、基材11がロール状である場合は、第一巻き出し手段104を有していてもよい。
塗布手段101は、上述した塗工方式を採用することができるものであれば特に限定されず、公知の塗工装置を用いればよい。当該塗布手段101によって、基材11上に硬化性樹脂組成物が塗布され、樹脂層前駆体付き基材αが得られる。
第一巻き取り手段102としては、フィルムを巻き取って捲回体とすることのできる公知の装置を用いればよい。当該第一巻き取り手段102によって、樹脂層前駆体付き基材αがコアに捲回される。
乾燥手段103としては、オーブンや減圧乾燥機等の公知の乾燥装置を用いることができる。
第一巻き出し手段104としては、ロール状のフィルムを巻き出すことができる公知の巻き出し装置を用いればよい。
図2に示される第二装置100bでは、第一の実施形態における巻き出し工程(Y)、表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)が行われる。第二装置100bとしては、株式会社神戸製鋼所製のW35シリーズ等のロールコータを用いるとよい。
第二装置100bは、スパッタによる表面処理を行う場合の一例である。
第二装置100bは、第一の捲回体から樹脂層前駆体付き基材αを巻き出す第二巻き出し手段105と、表面処理手段106a及び/又は106bと、得られた積層体10をロール状に巻き取る第二巻き取り手段107と、を少なくとも有する。
第二装置100bは、ロールtoロール式のフィルム搬送装置であり、搬送方向に沿って、第二巻き出し手段105、表面処理手段106a及び/又は106b、第二巻き取り手段107がこの順に配置されることが好ましい。
第二装置100bにおいて、第二巻き出し手段105で巻き出された樹脂層前駆体付き基材αは、成膜ローラー108及びガイドローラー109a~109eによってガイドされて搬送されつつ、表面処理手段106a及び/又は106bによって表面処理が行われ、第二巻き取り手段108によって第二の捲回体として巻き取られる。
なお、図2における成膜ローラー及びガイドローラーの数は一例であり、特に限定されない。また、ガイドローラー以外の搬送手段によって搬送されてもよい。
第二巻き出し手段105としては、ロール状のフィルムを巻き出すことができる公知の巻き出し装置を用いればよい。
表面処理手段106aと106bは、いずれか一方のみであってもよい。図2に示されるように、表面処理手段を複数設ける場合は、前段にある表面処理手段106aは成膜を伴わないイオンビーム照射機構等で構成し、後段にある表面処理手段106bは成膜が可能なスパッタ装置等で構成するとよい。また、樹脂層前駆体付き基材αを加温して表面処理を行う場合は、温度制御が可能な成膜ローラー108を用いるとよい。
第二巻き取り手段107としては、フィルムを巻き取って捲回体とすることのできる公知の装置を用いればよい。当該第二巻き取り手段107によって、積層体10がコアに捲回される。
<第二の実施形態に係る製造方法>
本発明の第二の実施形態に係る製造方法(以下、「第二の製造方法」ともいう)は、基材を搬送しながら、樹脂層前駆体形成工程(A)、表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)を連続して行うものである。第二の製造方法によれば、より製造工程を短縮でき、生産性がより良好となる。
なお、「連続して行う」とは、途中で巻き出し及び巻き取りを行わずに製造することをいい、樹脂層前駆体形成工程(A)、表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)の間に巻き出し及び巻き取り以外の工程が入ることを妨げるものではない。
第二の製造方法は、表面処理工程(B)において高真空度を必要としないCVD等を用いる場合に好適である。大気圧から減圧した環境へ基材を連続搬送するには、例えば、ATV(Air to Vacuum)装置(日立造船社製)などを用いることができる。
第二の製造方法における樹脂層前駆体形成工程(A)、半硬化工程(P)、表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)は、第一の製造方法で説明した樹脂層前駆体形成工程(A)、半硬化工程(P)、表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)と同じである。
ただし、第二の製造方法では、樹脂層前駆体形成工程(A)により得られた樹脂層前駆体付き基材の巻き取りを行わずに、そのまま表面処理工程(B)に搬送する。
基材の長さは、樹脂層前駆体形成工程(A)と表面処理工程(B)を連続的に行いやすくする観点から、5m以上5000m以下とすることが好ましく、10m以上1000m以下がより好ましく、50m以上がさらに好ましい。
第二の製造方法における樹脂層前駆体形成工程(A)、表面処理工程(B)及び巻き取り工程(C)における搬送速度は0.1m/分以上30m/分以下が好ましく、0.2m/分以上20m/分以下がより好ましく、10m/分以下がさらに好ましい。搬送速度を上記範囲とすることで、生産性を良好にしつつ、表面処理を十分に行うことができ、リンクル構造を含む凹凸を形成しやすくなる。
なお、第二の製造方法においても半硬化工程(P)は必須ではないが、凹凸構造を制御したい場合には、樹脂層前駆体形成工程(A)と表面処理工程(B)との間に半硬化工程(P)を行うことが好ましい。
<<積層体>>
本発明の製造方法によって得られる積層体10は、例えば、図3及び4に示すように、基材11と、基材11の少なくとも一方の面11Aに設けられる樹脂層12とを有する。
積層体10においては、樹脂層12上に他の層が設けられず、図3に示すように、樹脂層12が、基材11の一方の面11A側における積層体10の最表面10Aとなってもよい。また、積層体10は、図4に示すように、樹脂層12の上にカバー層13が設けられることが好ましい。
なお、積層体10において、樹脂層12は、基材11の上に直接接触するように形成されてもよいが、基材11との間に接着層などの層が適宜設けられてもよい。
以下、本発明の製造方法によって得られる積層体についてより詳細に説明する。
<最表面の凹凸>
積層体10では、基材11の一方の面11A側における積層体10の最表面10Aに凹凸を有する。
積層体10は、最表面に凹凸を有することで、表面の微細な凹凸を活用する各種用途(付着防止、光透過性など)に適用可能である。
例えば、積層体10の最表面10Aを構成する層として撥液性の材料を選択すれば、積層体の表面に内容物が付着しにくくなり包装材料への適用ができる。
また、凹凸構造を制御することで、細胞、細菌などの付着性を低減できれば、衛生材料への適用もできる。
さらには、最表面に凹凸を有することで、良好な曇り性も発現でき、例えば積層体のヘイズや光透過性を制御できる。
上記最表面の凹凸は、リンクル(wrinkle)構造を有することが好ましい。
ここで、リンクル構造とは、樹脂層12が座屈することで生じるしわ形状であり、粒子により形成される凹凸形状のように、点状の突起が多数ある凹凸形状とは異なる形状である。本実施形態では、樹脂層自体の座屈により凹凸を形成することで、粒子脱落のおそれがない凹凸表面を形成できる。また、このリンクル構造は自発的に形成されるため、転写シートのような型は不要である。
図5に、リンクル構造の概略図を示す。リンクル構造は、複数のうねりcで構成されており、当該複数のうねりcは、それぞれ突条部aと、溝部bとを有する。突条部a及び溝部bは、それぞれ直線、曲線又はこれらを組み合わせた形状を有する。突条部aは、不規則に形成される。突条部aは、連続的に形成されてもよいし、不連続に形成されてもよい。
リンクル構造は、樹脂層12に面方向に沿う圧縮応力が作用されたことに伴い形成される。ここで、圧縮応力は、面方向に沿う多数の方向に沿って作用され、それにより、突条部a及び溝部bが不規則に形成されると推定される。
リンクル構造の有無は、積層体の最表面を、走査電子顕微鏡(SEM)などの顕微鏡により、例えば1000~10万倍程度の倍率で確認できる(図7~17参照)。なお、リンクル構造を有する場合には、突条部aと溝部bがうねりcを形成するように現れる。うねりcは、一辺が例えば0.5~500μm、好ましくは1~100μm程度の方形又は矩形の観察画像のいずれかにおいて観察されるとよい。
なお、リンクル構造を形成する突条部aは、不規則であり、また上記うねりcもマイクロメーターオーダーの周期で現れる。そのため、図7~17に示すとおり、突条部a及び溝部bにより形成されるうねりcは、上記観察画像において縦方向、横方向、及び斜め方向などの多方向(例えば、3方向)に沿って見ても、突条部aの頂部と溝部bの底部とがそれぞれ複数回(例えば、5回以上)現れる。なお、うねりcの周期は、典型的には一定ではなく、したがって、突条部aの頂部間の距離、溝部bの底部間の距離なども一定ではない。
なお、「うねりcの周期」とは、図5に示すように、突条部aの頂点と、該突条部aに隣接する溝部bに隣接する突条部aの頂点との距離dをいう。
また、リンクル構造は、互いにうねりの周期が異なる2以上のリンクル構造(以下、「高次リンクル構造」ともいう)を有していてもよい。
例えば、リンクル構造は、一次リンクル構造と、一次リンクル構造よりもうねりの周期が小さい二次リンクル構造を含んでもよい。
図6に、一次リンクル構造と二次リンクル構造を含む場合の概略図を示す。図6において、一次リンクル構造は複数のうねりcで構成され、二次リンクル構造は、当該複数のうねりcを構成する突条部a及び溝部bのそれぞれにおいて、うねりcよりも周期が小さい複数のうねりc’で構成される。
すなわち、リンクル構造は、一次リンクル構造と、一次リンクル構造を形成する比較的大きな突条部a及び溝部bそれぞれにおいて、より微細な突条部a’と溝部b’により形成される二次リンクル構造とを有するとよい。このように、一次リンクル構造に加えて二次リンクル構造を有すると、疑似フラクタル表面を形成することが可能である。
なお、一次及び二次リンクル構造を有するか否かは、異なる倍率で観察した2つの観察画像の両方にうねりが現れるか否かにより判断できる。例えば一方の観察画像の倍率(X)に対する他方の観察画像の倍率(Y)の比(Y/X)が、5以上(Y>Xとする)であっても、両方の観察画像において上記うねりが観察されると、一次及び二次リンクル構造があると判断できる。
積層体10の最表面10Aの凹凸が自発的に形成されたリンクル構造を有していることは、例えばSsk(スキューネス)の値に現れる。
Sskは、表面の凹凸の偏り度を示すパラメータである。この偏り度Sskは、二乗平均平方根高さSqの三乗によって無次元化した基準面において、Z(x,y)の三乗平均を表したもので、歪度(わいど)を意味し、平均面を中心とした山部と谷部の対称性を表す数値である。そのため、偏り度Ssk<0の場合は平均線に対して下側に偏っている、つまり凸の山部よりも凹の谷部が多く存在することを意味する。他方、Ssk>0の場合は平均線に対して上側に偏っている、つまり凹の谷部よりも凸の山部が多く存在することを意味する。そして偏り度Ssk=0の場合は、平均線に対して対称(正規分布)な状態を意味する。
本発明の積層体10の最表面10Aが有するリンクル構造は、樹脂層12が座屈することで生じるしわ形状である。そのため、粒子により形成される凹凸形状に比べて、凸の山部と凹の谷部の対称性が高い。よって、本発明の積層体10が有するリンクル構造のSskは、粒子により形成される凹凸形状のSskよりも0に近い値となると考えられる。
このような観点から、積層体10の最表面10AのSskの絶対値は20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。中でも、8以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。さらにその中でも、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.8以下であることがよりさらに好ましい。さらには、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。
なお、SskはISO25178に基づいたパラメータであり、例えば以下の方法で算出できる。
三次元非接触表面形状計測機((株)菱化システム製のVertScan2.0 R5200G)を使用し、装置CCDカメラ SONY HR-50 1/3インチ(対物レンズ10倍、波長フィルタ530nm white)で測定モード;Wave、測定面積:469.17μm×351.89μmでの測定を行い、付属の解析ソフト(VS-Viewer Version5.1.3)により撮影画面を多項式4次近似面補正にてうねり成分を除去し、次いで補間処理(高さデータの取得ができなかった画素に対し周囲の画素より算出した高さデータで補う処理)を行うことで算出できる。
積層体の最表面10Aは、その比表面積(S/A)が1.001以上であることが好ましい。比表面積を1.001以上とすることで、リンクル構造により十分に表面積が大きくなったことを意味する。そのため、光学用途においては曇り性も発現しやすくなり、比表面積を調整することで積層体のヘイズ値を調整できる。
上記観点から、比表面積(S/A)は1.005以上がより好ましく、1.01以上がさらに好ましく、1.05以上がさらに好ましく、1.1以上がよりさらに好ましい。
また、比表面積(S/A)は、特に限定されないが、リンクル構造の突条が高くなりすぎて構造的強度が低下することを防止するために、2以下が好ましく、1.7以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
なお、比表面積(S/A)は、最表面10Aにおいて、測定対象エリアの面積をA、測定対象エリアの表面積をSとすると、S/Aにより算出できる。より詳細には、後述する実施例に示す方法で求めることができる。
積層体の最表面10AのSa(算術平均粗さ)は、特に限定されないが、例えば20nm以上である。Saを20nm以上とすることで、リンクル構造により十分に凹凸が形成されたことを意味し、例えば光学材料に適用すれば曇り性の調整を行える。これら観点から、Sa(算術平均粗さ)は、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。
また、Sa(算術平均粗さ)は、特に限定されないが、リンクル構造の物理的強度を保つ観点から、好ましくは3000nm以下、より好ましくは2000nm以下、さらに好ましくは1500nm以下、よりさらに好ましくは1000nm以下、中でも好ましくは500nm以下である。
積層体の最表面10AのSz(最大高さ)は、特に限定されないが、好ましくは1000nm以上、より好ましくは1500nm以上、さらに好ましくは2000nm以上である。Szがこれら下限値以上であると、十分な座屈が進み、突条の高いリンクル構造が形成されたことを意味する。したがって、例えば光学材料に適用すれば曇り性の調整を行える。
Sz(最大高さ)は、特に限定されないが、リンクル構造の物理的強度を保つ観点から、好ましくは20000nm以下、より好ましくは15000nm以下、さらに好ましくは10000nm以下である。
なお、Sa及びSzは、後述する実施例に示す方法で測定することができる。
<積層体の用途>
本発明の積層体は、食品包装用、日用品包装用、工業品、医薬品の包装用などに好適に使用できる。具体的には、フィルムなどの包装材料として使用できる。包装材料では、撥水性、撥油性を付与することで、内容物や汚れの付着防止のための構成部材として好適に使用できる。
また、積層体は、光学材料にも使用できる。光学材料では、リンクル構造の凹凸により曇り性を付与することで、光学材料のヘイズ、光透過性を制御することができ、窓ガラス用の遮光フィルムとして好適に使用できる。
本発明の積層体は、本発明の効果を損なわない程度において、用途に応じて、当該積層体の最表面となる樹脂層又はカバー層の上にコート層を設けてもよい。例えば、付着防止用途においては、撥液効果を有するコート層を設けることによって、積層体の表面に付着防止性を付与できる。
<語句の説明>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
本発明で用いた測定法及び評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂層の厚みの測定方法
樹脂層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片を再度RuO染色し、樹脂層断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H-7650」、加速電圧100kV)を用いて測定した。
なお、厚みは、最大厚みと最小厚みの平均値を用いた。
(2)カバー層の厚みの測定方法
エポキシ樹脂包埋超薄切片法で試料を調製し、断面TEM装置(日本電子株式会社製「JEM-1200EXII」)により加速電圧120kVの条件で測定した。
(3)Sa(算術平均粗さ)、Sz(最大高さ)及び比表面積(S/A)
三次元非接触表面形状計測機((株)菱化システムのVertScan2.0 R5200G)を用いて積層体における最表面のSa、Sz及び比表面積(S/A)を測定した。測定は10倍対物レンズで496.17μm×351.89μmの範囲で行った。
なお、比表面積(S/A)において、Aは測定対象エリアの面積、Sは測定対象エリアの表面積、S/Aは測定対象エリアの比表面積を表す。
(4)偏り度の測定
ISO25178に基づき、明細書記載の方法で得られた積層体における最表面の偏り度Sskを測定した。
(5)表面観察
基材の一方の面側における積層体の最表面を、走査型顕微鏡を用いて1万倍、5万倍で撮影して、12.7μm×9.5μmの観察画像及び2.5μm×1.9μmの観察画像を得た。
12.7μm×9.5μmの観察画像と2.5μm×1.9μmの観察画像の両方でリンクル構造の凹凸が見られた場合にA(1次リンクル及び2次リンクルあり)と評価し、いずれか一方の観察画像においてリンクル構造の凹凸が見られた場合にB(1次リンクルあり)と評価し、両方の観察画像においてリンクル構造の凹凸が見られなかった場合にC(リンクルなし)と評価した。
実施例1
(熱硬化性樹脂組成物(AC1)の調製)
バインダー樹脂としてのアクリルポリオール(株式会社日本触媒製、製品名「UV-G301」、固形分42.4%の酢酸エチル溶液)の固形分42.4質量部と、硬化剤としてのイソシアネート系化合物(三井化学株式会社製、製品名「タケネートD-165N」、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物、固形分100%)18.46質量部に対して、溶剤としてメチルエチルケトン:酢酸プロピル:酢酸ブチル:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=5:2:2:1の比率で混合した溶剤を固形分濃度15質量%になるように添加して混合し、熱硬化性樹脂組成物(AC1)の希釈液を調製した。熱硬化性樹脂組成物(AC1)のR((硬化剤のイソシアネート基の数)/(バインダー樹脂の水酸基の数))は1.5であった。
基材としてのPETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、製品名「T100-75S」、厚み75μm、幅520mm、長さ450m)がコアに捲回された基材捲回体を、搬送速度5m/minで搬送し、PETフィルムの一方の面上に、熱硬化性樹脂組成物(AC1)の希釈液を2ロールのリバースコーティング法により塗布した後、設定温度80℃の乾燥炉と、設定温度100℃の乾燥炉で計72秒加熱することで、樹脂層前駆体を形成し、樹脂層前駆体が外側になるようにして巻き取り張力70Nでコアに巻き取り、樹脂層前駆体付き基材からなる第一の捲回体を得た。その後、室温(23℃)で22時間放置して、以下に示すスパッタ処理を開始した。
(カバー層の形成)
スパッタロールコータ装置(株式会社神戸製鋼所製、W35シリーズ)を使用して、上記第一の捲回体を巻き出し、搬送速度0.3m/minで搬送して、ロールトゥロール方式でスパッタリングを行った後、得られた積層体を、カバー層が外側になるようにして巻き取り張力60Nでコアに巻き取り、基材/樹脂層/カバー層の積層構造を有する第二の捲回体を得た。
なお、スパッタリングを行う際に基材と接する成膜ローラーの温度(MR温度)は40℃とし、ターゲット材料としてケイ素(多結晶シリコン)を用い、デュアルマグネトロンスパッタ方式で、アルゴン350sccmと酸素40sccmを導入して、0.48Paの減圧下、電力5kWの条件下で反応性スパッタリングを行い、半硬化の樹脂層前駆体上に厚み100nmの無機物含有層(酸化ケイ素層)を形成した。
実施例2
スパッタロールコータ装置における搬送速度を1m/minに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例3
リバースコーティング法における2本のロール間のギャップと回転数比の調整により、樹脂層の厚みを表1に記載の通りに変更した以外は、実施例2と同様に実施した。
実施例4
スパッタロールコータ装置における成膜ローラーの温度(MR温度)を60℃に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例5
スパッタロールコータ装置における成膜ローラーの温度(MR温度)を80℃に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例6
スパッタロールコータ装置における導入ガスの流量をアルゴン150sccm、酸素38sccmとして成膜圧力を0.24Paに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例7
スパッタリングにおける導入ガスの流量をアルゴン350sccm、酸素0sccmとしてケイ素層の成膜に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
実施例8
スパッタロールコータ装置で第一の捲回体を巻き出し、搬送速度0.3m/minで搬送して、イオンビーム照射機構(ALS:Anode Layer Source)によってALS電圧:2000V、アルゴン流量:27sccm、処理中の圧力:0.05Paの条件下でアルゴンイオンを照射した後、得られた積層体をコアに巻き取り、基材/樹脂層の積層構造を有する第二の捲回体を得た。
実施例9
スパッタロールコータ装置において、第一の捲回体を巻き出した後、スパッタリングの前にイオンビーム照射機構(ALS:Anode Layer Source)によってALS電圧:2000V、アルゴン流量:27sccm、処理中の圧力:0.05Paの条件下でアルゴンイオンを照射した以外は、実施例1と同様に実施した。
比較例1
基材として用いたPETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、製品名「T100-75S」)単体を比較例1とした。
実施例1~9の積層体の、走査型顕微鏡による観察画像を図7~17に示す。
実施例1~9では、半硬化した樹脂層前駆体にロールトゥロール方式でドライプロセスによる表面処理を施すことで、積層体の最表面にリンクル構造を含む凹凸を形成できた。
実施例1と実施例2を比較すると、ドライプロセスにおける搬送速度が速いほど、より細かく、算術平均粗さSaの小さい凹凸が形成されることが確認できた。
これは、減圧したドライ環境でエネルギーを与えると、樹脂層前駆体の表層で硬化収縮による微細なシワの形成が短時間で起こり、更に処理時間を長くすると、樹脂層前駆体の下層部まで昇温されて流動性が高まり、積層体表面の凹凸が大きく成長するためであると考えられる。
実施例1と、実施例4及び5とを比較すると、成膜ローラーの温度(MR温度)を高くするほど、微細な高次リンクル構造が形成されることが確認できた。
これは、成膜ローラーの温度(MR温度)が高くなると、樹脂層前駆体が流動しやすくなり、樹脂層前駆体の硬化収縮による座屈で大きなうねり(一次リンクル構造)が生成した後、更に、カバー層成膜に伴う膜応力での座屈も起きやすくなり、表層に小さなうねり(二次リンクル構造)が生成するからであると考えられる。
実施例1と実施例6を比較すると、ドライプロセスにおける成膜圧力が低いほど、凹凸がはっきり形成されることが確認できた。
これは、成膜圧力が低いほど樹脂層前駆体にエネルギーが伝わりやすくなり、大きな硬化収縮力が発生するためであると考えられる。
また、実施例7より、ドライプロセスの成膜種を変更することで、凹凸構造が変化することが確認できた。
実施例8では、成膜を伴わないドライプロセスによる表面処理であっても、凹凸が形成されることが確認できた。
そして、実施例1と実施例8を比較すると、イオンビーム照射処理を行うことによって凹凸の表面が滑らかになることが確認できた。
これは、イオンビーム照射が成膜を伴わない処理のため、膜応力などが発生せず、樹脂層残躯体が滑らかさを保ったまま流動変形するためであると考えられる。
本発明では、特許文献1に開示された技術のように、凹凸形成に粒子を使っていないので粒子脱落の懸念はなく、より広い用途へ活用可能となる。
100a 第一装置
100b 第二装置
101 塗布手段
102 第一巻き取り手段
103 乾燥手段
104 第一巻き出し手段
105 第二巻き出し手段
106a、106b 表面処理手段
107 第二巻き取り手段
108 成膜ローラー
109a~109e ガイドローラ―
α 樹脂層前駆体付き基材
10 積層体
10A 積層体の最表面
11 基材
11A 基材の一方の面
12 樹脂層
13 カバー層

Claims (13)

  1. 基材の少なくとも一方の面に硬化性樹脂組成物を塗布して、樹脂層前駆体付き基材を得る、樹脂層前駆体形成工程(A)と、
    半硬化又は未硬化の前記樹脂層前駆体付き基材に対してドライプロセスによる表面処理を行い、最表面に凹凸を有する積層体を得る、表面処理工程(B)と、
    前記積層体をロール状に巻き取る、巻き取り工程(C)と、を少なくとも有し、
    前記樹脂層前駆体形成工程(A)の後に、
    前記樹脂層前駆体付き基材をロール状に巻き取る、巻き取り工程(X)と、
    樹脂層前駆体付き基材をロールから巻き出す、巻き出し工程(Y)と、を行い、
    その後表面処理工程(B)を行う、積層体の製造方法。
  2. 前記樹脂層前駆体付き基材を搬送しながら、前記表面処理工程(B)及び前記巻き取り工程(C)を行う、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 基材の少なくとも一方の面に硬化性樹脂組成物を塗布して、樹脂層前駆体付き基材を得る、樹脂層前駆体形成工程(A)と、
    半硬化又は未硬化の前記樹脂層前駆体付き基材に対してドライプロセスによる表面処理を行い、最表面に凹凸を有する積層体を得る、表面処理工程(B)と、
    前記積層体をロール状に巻き取る、巻き取り工程(C)と、を少なくとも有し、
    前記積層体の最表面の凹凸が、リンクル構造を含み、
    前記リンクル構造が、一次リンクル構造と、前記一次リンクル構造よりもうねりの周期が小さい二次リンクル構造とを含む、積層体の製造方法。
  4. 前記基材を搬送しながら、前記樹脂層前駆体形成工程(A)、前記表面処理工程(B)及び前記巻き取り工程(C)を連続して行う、請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記樹脂層前駆体形成工程(A)の後に、
    樹脂層前駆体を半硬化させる、半硬化工程(P)を行い、
    その後表面処理工程(B)を行う、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記表面処理が、化学的気相蒸着、物理的気相蒸着及びプラズマ処理のいずれかである請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記表面処理工程(B)におけるフィルムの温度が30℃以上120℃以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物であり、
    前記熱硬化性樹脂組成物中の(イソシアネート基の数)/(水酸基の数)が10以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記積層体の最表面の比表面積(S/A)が1.001以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  10. 前記積層体の最表面のSa(算術平均粗さ)が20nm以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  11. 前記積層体の最表面のSz(最大高さ)が1000nm以上である請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  12. 前記積層体の最表面のSsk(偏り度)の絶対値が20以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  13. 塗布された前記硬化性樹脂組成物が硬化されることで形成された樹脂層の厚み(tb)が0.1μm以上15μm以下である、請求項1~12のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
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