JP7782882B2 - ドリル - Google Patents
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Description
しかし、このようなドリルについては、ドリル自体の強度や剛性を確保することが先決であると考えられ、加えてドリルを購入した作業者が自分の好みにドリルを研磨して使用していたという実状もあって、ドリルメーカーにおいて切削抵抗を低減させるための研究は殆どなされていなかった。
このドリルは、回転軸対称に2枚の切刃を有し、先端部にシンニング加工が施されているドリルで、チゼル幅が0.05mm~0.3mmであり、かつシンニングがドリル先端側から見た場合において2枚の切刃の刃先を結んだ直線に対して1°~4°傾いた角度で施されている。
このドリルは、回転軸対称に2枚の切刃を有し、先端部にシンニング加工が施されているドリルであって、主切刃により形成されたすくい角θ1と、シンニング切刃により形成されたすくい角θ2とがチゼルの直下を除いて、θ1>θ2>0°を満たすものである。
このように、従来型の2枚刃ドリルに於いては、先端部から外周部にかけて切屑排出溝を設けるため、中心部が細くなることによって、施術時に折損する可能性があり、中心部の強度を確保するために中心部をある程度太く成形した上で、シンニング加工によって先端中心部を細くすることが行われている。
さらに本出願人は、医療用のドリルとして、キルシュナー鋼線と呼ばれる切屑排出溝を設けず、丸棒状態から先端部にかけて傾斜を設け、先端部を薄く成形し、ドリル状の先端部を設けた形状のものも提案している(特許文献5参照)。
特に、ガイドピンなど細径ドリルに於いては、従来型の医療用ドリル形状では、概ね2mm程度の細径で、全長が長い上に、施術箇所に対して工業系ドリルの様に垂直に穿孔することは少なく、水平方向側に傾斜させて穿孔する場合が多い。
このように傾斜させて穿孔するため、切屑排出溝を設けている箇所では、更に、強度的に折れやすい可能性があるうえ、強度と同様、剛性にも劣っているため、傾斜部での穿孔時に先端が滑り易く、目的箇所に正確に穿孔できない可能性があるという問題がある。この問題を解決するために前述の特許文献5において、キルシュナー鋼線と呼ばれる先端部を薄く成形し、ドリル状の先端部を設けた形状のもので対処していたが、この形状は単に棒の先を鋭く形成しただけで、切削性に劣っているため、骨穿孔時に発熱を誘発し骨壊死などの懸念があるという問題がある。
特許文献4及び5には、円弧状溝によって形成される実施形態を開示している。この実施形態の円弧状形状では切屑排出の問題と、既に穿設された穿孔部とドリル外周部との密着の問題が解決されていないという問題もある。
本発明は、叙上の従来技術の問題点を解消し、折れ難く、切れ味のよいドリルを提供することを目的とする。
前記第1及び第2の切刃の各々の背面に、回転軸対称に形成された第1及び第2の逃げ面と、
前記第1及び第2の切刃のうちの1つから外周側に向けて形成された1つの切屑排出溝と、
前記第1及び第2の切刃のうちの他の1つから外周側に向けて形成された1つ以上の円弧状溝と、を備え、
前記切屑排出溝は、1つだけ設けられており、
前記円弧状溝が1つだけ形成され、当該1つの円弧状溝と前記第1の逃げ面の間に第3の逃げ面が形成され、当該1つの円弧状溝と前記第2の逃げ面とが隣接し、当該1つの円弧状溝と前記第1の逃げ面とが部分的に隣接してなることを特徴とするドリルに関する。
前記第1及び第2の切刃の各々の背面に、回転軸対称に形成された第1及び第2の逃げ面と、
前記第1及び第2の切刃のうちの1つから外周側に向けて形成された1つの切屑排出溝と、
前記第1及び第2の切刃のうちの他の1つから外周側に向けて形成された1つ以上の円弧状溝と、を備え、
前記切屑排出溝は、1つだけ設けられており、
前記円弧状溝が互いに隣接して2つ以上形成され、当該2つ以上の円弧状溝の全てと前記第1の逃げ面とが部分的に隣接し、当該2つ以上の円弧状溝のうちの1つと前記第2の逃げ面が隣接してなることを特徴とするドリルに関する。
シンニング加工を施すことなく、切屑排出溝成形時にドリル中心部近くまで溝を成形できるため、切屑排出溝自体にシンニング加工と同様の効果(即ち、良好な切れ味)を奏することができる。
回転軸対称に形成された第1の逃げ面及び第2の逃げ面を備えているので、穿孔開始時に中心部が暴れてしまうといったトラブルを起こすことが抑制される。
また、前記円弧状溝が1つだけ形成され、当該1つの円弧状溝と前記第1の逃げ面の間に第3の逃げ面が形成され、当該1つの円弧状溝と前記第2の逃げ面とが隣接し、当該1つの円弧状溝と前記第1の逃げ面とが部分的に隣接してなる構成を具備しているので、上記構成と相まって、第1及び第2の切刃の背面は、従来の2枚刃ドリルと同様に第1及び第2の逃げ面を形成し、切屑排出溝の無い、第1の逃げ面の後方ヒール側に第3の逃げ面を設けて穿孔時の逃げ面干渉を回避することができる。
図1は本発明の一実施形態にかかるドリルの先端部を示す正面図である。図2は図1のドリルの先端部について矢印B方向から見た下面図である。図3は図1のドリルの先端部について矢印A方向から見た上面図である。図4は図1のドリルの第1の切刃を示す斜視図である。図5は図4のドリルを軸線回りに45°程度回転させた斜視図である。図6は図4のドリルを半回転程度回転させた斜視図である。図7は本発明の他の実施形態に係るドリルの先端部を示す正面図である。図8は図7のドリルの斜視図である。図9は本発明の更に他の実施形態に係るドリルの先端部を示す正面図である。図10は図9のドリルの先端部について矢印B方向から見た下面図である。図11は図9のドリルの先端部について矢印A方向から見た上面図である。図12は本発明の更に他の実施形態に係るドリルの先端部を示す正面図である。図13は図12のドリルの斜視図である。
第1の切刃(1)の掬い角(θ1)は、切屑排出溝(5)の捩れ角によって形成され、中心部と外周部では掬い角(θ1)が異なるため、同一の掬い角(θ1)とはならないが、掬い角(θ1)は必ず正の掬い角(θ1)を有する様に形成する(即ち、θ1>0°)。このように、掬い角(θ1)を正とする理由は、掬い角(θ1)が負になると、ドリル(D)の切削抵抗が増加し、切れ味が悪くなるからである。
図1を参照すると、前述の実施形態1の変形例に係るドリル(D)は、前記した円弧状溝(6)が1つだけ形成され、当該1つだけの円弧状溝(6a)と第1の逃げ面(3)の間に第3の逃げ面(4a)が形成され、当該1つだけの円弧状溝(6a)と第2の逃げ面(4)とが隣接し、当該1つだけの円弧状溝(6a)と第1の逃げ面(3)とが部分的に隣接してなる構成を具備している。
より詳しくは、第1の背溝(7)及び第2の背溝(8)と第1のマージン部(M1)及び第2のマージン部(M2)は、穿孔深さに応じて外周部に適宜形成すれば良く、第1の背溝(7)及び第2の背溝(8)を設けた部分は第1のマージン部(M1)及び第2のマージン部(M2)よりも細く、第1のマージン部(M1)及び第2のマージン部(M2)のみ穿孔部の壁面と接触することとなり、穿孔時の摩擦が軽減される。
図9乃至11を参照すると、本実施形態に係るドリル(D)は、実施形態1に係るドリル(D)の円弧状溝(6a)が互いに隣接して3つ形成され、当該3つの円弧状溝(6a、6b、6c)と前記第1の逃げ面(3)とが部分的に隣接し、当該3つの円弧状溝(6a、6b、6c)の1つ(即ち、円弧状溝(6a))とが隣接してなる構成を具備しているので、第2の切刃(2)によって発生する少量の切屑を留めてしまう虞がある。それゆえ、第2の切刃(2)を形成する溝(即ち、円弧状溝(6a))と略平行に更なる溝(即ち、円弧状溝(6b、6c))を設けて穿孔時の逃げ面干渉と切屑が留まる問題を回避することができる。
図12乃至13を参照すると、第1の切刃(1)及び第2の切刃(2)の各々に、第1の切刃(1)及び第2の切刃(2)の外周部後方から第1の逃げ面(3)及び第2の逃げ面(4)にかけて、それぞれ第1の背溝(7)及び第2の背溝(8)が設けられ、かつ第1の切刃(1)及び第2の切刃(2)の第1のマージン部(M1)及び第2のマージン部(M2)が設けられてなる構成を具備している。
ドリルの直径は2mm~6mm程度、先端角は40°~90°、逃げ角は5°~30°、捩れ角(切屑排出溝)は15°~20°、溝(切屑排出溝)の長さは、円周上1/4周程度(施術対象により決定)、ドリルの全長は施術対象により決定(100mm以上)
<共通スペック>
ドリル径:2.4mm
全長:200mm(切削試験使用時)
70mm(曲げ試験時:切断)
溝長:8mm(曲げ試験時の治具固定位置)
材質:JIS・SUS316L ステンレス鋼
ワーク:ソーボーン社製・模擬骨、材質:ソリッドリジッドポリウレタン、
密度50pcf (品番:SAW1522-27)幅6mm,厚さ6mm
切削条件
回転数:1,000RPM
送り速度:120mm/min(0.12mm/rev)
切削試験時のチャックからドリル先端までの距離:150mm
(2)傾斜面切削試験
水平から40°の傾斜面に対し、切削を行い、切削後の孔位置のズレを測定した。
(1)と同じ材質のテストピースに40°の傾斜面を形成し、
穿孔後の孔中心位置を計測して、ズレを確認した。
孔の基準位置は、基準点より、X=10、Y=7.5(mm)
この位置を基準に穿孔後の孔位置を計測し、
L=√((X-10) 2+(Y-7.5) 2 ) 式より、ズレ量Lを計算した。
(例:X=10.5、Y=8.0の場合はL=0.71)
切削条件
回転数:300RPM
送り速度:43.26mm/min
(1)と同じ材質を使用した。
(3)曲げ試験(強度・剛性試験)
ドリル全長を70mmに切断し、
切屑排出溝が、<1>上向き(0°)になる様に、<2>横向き(90°)になる様に、
先端から8mmの位置を固定し、固定位置から50mmの位置に毎分10mmの速度で、末端の変移が15.4mmとなるまで荷重を加え、その際の荷重を確認した。
(3-1)切削抵抗試験
前記、ソーボーン社製・模擬骨に対し、切削抵抗と回転トルク抵抗を計測し、最大値を比較する。
本発明のドリル(実施例)及び比較例(特許文献4:特開2018-108223号公報)のドリルを用いて、各々2回貫通穴を開けた。
即ち、
トルク抵抗に於いては、本件ドリル(実施例に係るドリル)は比較対象ドリル(比較例に係るドリル)の60%(1回目)及び64%(2回目)となること、換言すれば、比較対象ドリル(比較例に係るドリル)の40%減(1回目)及び36%減(2回目)となること、が判明した。
一方、
スラスト荷重抵抗比においては、本件ドリル(実施例に係るドリル)は比較対象ドリル(比較例に係るドリル)の86%(1回目)及び90%(2回目)となること、換言すれば、比較対象ドリル(比較例に係るドリル)の14%減(1回目)及び10%減(2回目)となること、が判明した。
以上の結果より、本件ドリル(実施例に係るドリル)は、比較対象ドリル(比較例に係るドリル)と同程度以上の優れた切削性能を有していることが確認された。
各々5回の穿孔試験を行い、傾斜面における穿孔部のズレを確認した。
また、ズレ量の最大は、本件ドリル(実施例):0.440mmに対し、比較対象ドリル(比較例):1.146mm、
最少は、本件ドリル(実施例):0.161mmに対し、比較対象ドリル(比較例):0.321mm、と本件ドリル実施例)の傾斜面での優位性が確認できた。特にX方向のズレに於いて、半分以上が+側(上昇方向)にずれていることが確認され、傾斜面での穿孔に於ける優位性が示された。(比較対象ドリル(比較例)は総て-側:下降方向にズレ)
結果を下表(表3)に示す。
以上の結果より、本件ドリル(実施例)は、
1)切削抵抗試験に於いて、
比較例(特開2018-108223号)のドリルに比べ、直進方向の切削抵抗、回転方向の回転トルク抵抗、共に上回り、特に回転トルク抵抗では大幅に上回っており、本件ドリルは、優れた切削性能を有し、少ない力で穿孔できることが確認された。
2)傾斜面切削試験において、
比較例(特開2018-108223号)のドリルに比べ、傾斜面での穿孔に於いて、優位性が示されている。
これについては、ドリル自体の剛性に優れているため、しなり難く、ドリル先端が滑る要素が軽減されたことと、先端部の切削力(特にトルク:回転方向の切味)に於いても優れているため、ズレ量が少なかったものと推測できる。
3)曲げ試験(強度試験)において、
比較例(特開2018-108223号)のドリルに比べ、強度・剛性に優れていることが数値により明確となった。
また本発明のドリルは、シンニング加工を施すことなく、切屑排出溝成形時にドリル中心部近くまで溝を成形できるため、切屑排出溝自体にシンニング加工と同様の効果(即ち、切れ味)を奏することができる。
また本発明のドリルは、回転軸対称に形成された第1の逃げ面及び第2の逃げ面を備えているので、穿孔開始時に中心部が暴れてしまうといったトラブルを起こすことが抑制される。
したがって、本発明のドリルは、ハンドドリルやボール盤等を使用して金属板等の被削材に折損することなく優れた回転トルク抵抗と切削性能で穴を穿設するために使用されるだけでなく、医療、とりわけ整形外科の施術時に施術部に直接穿孔するためにも用いられる。また、本発明のドリルは、施術部に直接穿孔するドリルとして使用される他、ガイドピン、ガイドワイヤー、アイレットピンなどと呼ばれる細径のドリルで、中空ドリル穿孔時の回転中心として、予め施術対象部の骨、関節などに穿孔固定後、中空ドリル(即ち、回転中心部に細径ドリル相当の貫通孔)穿孔時の固定回転中心として使用される。
2 第2の切刃
3 第1の逃げ面
4 第2の逃げ面
4a 第3の逃げ面
5 切屑排出溝
6a、6b、6c 円弧状溝
7 第1の背溝
8 第2の背溝
D ドリル
M1 第1のマージン部
M2 第2のマージン部
θ1 第1の切刃の掬い角
θ2 第2の切刃の掬い角
Claims (3)
- 回転軸対称に形成された第1及び第2の切刃と、
前記第1及び第2の切刃の各々の背面に、回転軸対称に形成された第1及び第2の逃げ面と、
前記第1及び第2の切刃のうちの1つから外周側に向けて形成された1つの切屑排出溝と、
前記第1及び第2の切刃のうちの他の1つから外周側に向けて形成された1つ以上の円弧状溝と、を備え、
前記切屑排出溝は、1つだけ設けられており、
前記円弧状溝が1つだけ形成され、当該1つの円弧状溝と前記第1の逃げ面の間に第3の逃げ面が形成され、当該1つの円弧状溝と前記第2の逃げ面とが隣接し、当該1つの円弧状溝と前記第1の逃げ面とが部分的に隣接してなることを特徴とするドリル。 - 回転軸対称に形成された第1及び第2の切刃と、
前記第1及び第2の切刃の各々の背面に、回転軸対称に形成された第1及び第2の逃げ面と、
前記第1及び第2の切刃のうちの1つから外周側に向けて形成された1つの切屑排出溝と、
前記第1及び第2の切刃のうちの他の1つから外周側に向けて形成された1つ以上の円弧状溝と、を備え、
前記切屑排出溝は、1つだけ設けられており、
前記円弧状溝が互いに隣接して2つ以上形成され、当該2つ以上の円弧状溝の全てと前記第1の逃げ面とが部分的に隣接し、当該2つ以上の円弧状溝のうちの1つと前記第2の逃げ面が隣接してなることを特徴とするドリル。 - 前記第1及び第2の切刃の各々に、当該第1及び第2の切刃の外周部後方から第1及び第2の逃げ面にかけて、それぞれ第1及び第2の背溝が設けられ、かつ前記第1及び第2の切刃の第1及び第2のマージン部が設けられてなる、請求項1または2に記載のドリル。
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