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JP7782906B2 - リガーゼ支援核酸環状化および増幅 - Google Patents
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JP7782906B2 - リガーゼ支援核酸環状化および増幅 - Google Patents

リガーゼ支援核酸環状化および増幅

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Description

本発明は、一般に、単離および/または精製工程を介在させずに、単一の反応器でローリングサークル増幅によって線状核酸配列を増幅するための方法に関する。この方法は、鋳型非依存性一本鎖DNAライゲーションと、それに続く専門のプライマー配列を使用するローリングサークル増幅による、一本鎖もしくは二本鎖線状DNAから一本鎖DNA環の生成を伴う。この方法はさらに、ランダムプライマー混合物を使用するローリングサークル増幅による単一の反応器での線状染色体DNAの全ゲノム増幅とその後のその検出に関する。
DNA増幅は、標的二本鎖DNA(dsDNA)を複製してその複数のコピーを生成するプロセスである。dsDNAの個々の鎖は、逆平行で相補的であるので、各々の鎖は、その相補鎖を生成するための鋳型鎖として用いることができる。鋳型鎖は全体として、または末端切断部分として保存され、相補鎖はDNAポリメラーゼによってデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTPs)から構築される。相補鎖合成は、鋳型鎖とハイブリダイズするプライマー配列の3’末端から出発して5’→3’方向に進む。
全ゲノム増幅(WGA)は、標的DNAの非特異的増幅を伴う。WGAは、多くの場合、鎖置換活性を有する高忠実度DNAポリメラーゼ(例えば、Phi29ポリメラーゼ)とともに標的DNAの複数の位置でDNA合成を開始させるためのランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用いる多置換増幅(MDA)技法によって達成される。たとえGenomiPhi(GEヘルスケア、米国)およびRepliG(キアゲン)キットなどの現在利用できる市販のWGA系が、高分子量の標的DNAで最適な結果を提供するとしても、標的DNAが短く、かつ/または高度に断片化されている場合には、これらの系の成績は悪い。標的DNAが断片化されていて、配列の長さが約1000ヌクレオチド未満である場合、従来法を用いる標的DNAの増幅は、結果として増幅速度の低下、特に標的DNAの末端の近くの重要な配列の脱落、および非常に配列に偏った増幅をもたらす。鋳型DNAの長さが短くなるほど、MDA反応において複数回プライミングされた鎖の尤度は低下する。このことは、これらのより短い断片の増幅可能性を低下させる。そのため、短い断片化されたDNAを非特異的に増幅するための効率的な方法が非常に望ましい。
ライゲーション媒介ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、断片化されたdsDNAを増幅するために使用されている。しかし、断片化されたDNAのごく一部だけしかこれらの反応において増幅されず、不適切なゲノムカバレッジを導く。断片化された標的dsDNAを効率的に増幅するためには、それらを最初に修復し、その後に平滑末端ライゲーションによって鎖状体化して、1000塩基対(bp)よりも長い配列を生成すればよい。しかし、標的DNAの濃度が比較的高いと、しばしば鎖状体化およびその後の増幅を促進することが必要とされる。二本鎖標的DNAの環状化は、MDA、WGA、高分岐ローリングサークル増幅(RCA)および大規模並列DNAシークエンシングを含む、様々な核酸に基づくアッセイでも用いられている。断片化されたdsDNAを効率的に環状化し増幅するためには、断片化されたDNAの二本鎖末端を最初に修復し、その後に平滑末端ライゲーションして二本鎖DNA環を形成する。しかし、長さが500bp未満の二本鎖DNA断片を環状化することは困難である。
二本鎖DNAは、変性させて一本鎖DNA(ssDNA)を生成することができ、一本鎖DNAはリガーゼを用いる鋳型依存性分子内ライゲーション反応においてさらに環状化
させることができる。しかし、標的DNAの事前の配列情報が、鋳型依存性環状化を実施するために必要とされる。ssDNAの鋳型非依存性分子内ライゲーションも文書化されている。例えば、TS2126 RNAリガーゼ(THERMOPHAGE(商標)RNAリガーゼ IIまたはTHERMOPHAGE(商標)ssDNAリガーゼ(Prokaria、Matis、アイスランド)あるいはCIRCLIGASE(商標)ssDNAリガーゼ(Epicenter Biotechnologies、米国ウィスコンシン州の登録商標で市販されている))は、デジタルDNAボールを作製するために、かつ/またはDNA、例えばゲノムDNAなどの遺伝子座特異的切断および増幅のために使用されている。CIRCLIGASE I(商標)は、CIRCLIGASE II(商標)がTS2126 RNAリガーゼの実質的にアデニル化された形態を含む、低い程度(約30%)のアデニル化を有する。mRNAの5’末端断片から調製した線状一本鎖相補的DNA(cDNA)分子も、TS2126 RNAリガーゼを用いる環状化の後、ローリングサークル複製によって増幅された。センスRNAポリメラーゼプロモーター配列をcDNAに適切に組み込むことにより、環状化されたcDNA鋳型は、転写基材として働き、したがって生体試料中のmRNA分子の増幅に影響を及ぼすことが示されている。さらに、TS2126 RNAリガーゼは、cDNA末端のランダム増幅(RACE)のためにcDNA末端を増幅するために使用されている。限られた量の断片化されたDNAから、ローリングサークル増幅のためのDNA鋳型も、TS2126 RNAリガーゼを用いることによって生成されている。この方法は、線状の断片化されたdsDNAを変性させて線状ssDNA断片を得、線状ssDNAとCIRCLIGASE(商標)ssDNAリガーゼを連結して一本鎖DNA環を得、その後RCAによってランダムプライマーおよびPhi29DNAポリメラーゼを用いて一本鎖DNA環を増幅することを伴った。しかし、反応条件を最適化した後でさえ、生成された一本鎖環状DNAの量は、変動が大きく、配列依存性であった。例えば、5’Gおよび3’Tヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、同一のライゲーション条件下で5’Aおよび3’Cを含むその相補オリゴヌクレオチドよりも著しく良好に連結された。さらに、分子内ライゲーション効率は、同一かまたは非常に似たサイズを有するがヌクレオチド配列がわずかに異なる線状ssDNA配列の間で変動した。この効率は異なるサイズ(例えば、サイズが100塩基から数キロベースに及ぶ配列長)の線状ssDNA配列間でも変動した。さらに、ライゲーション-増幅反応の全ての試みは中間の単離、精製および/またはクリーニング工程を必然的に含み、したがってライゲーション-増幅ワークフローを扱いにくいものにした。例えば、環状化とそれに続くローリングサークル増幅による、断片化されたDNAからなる法医学試料の分析は、5’DNAリン酸化、アダプターライゲーション、DNA環状化、および全ゲノム増幅を含む多数の工程で実行された。各々の工程反応は、次の工程を実施する前に反応クリーンアップに付した。さらに、多段階プロセスは多くの場合、鋳型DNAを失い、分析の失敗という結果をもたらした。ライゲーションおよび増幅を単一の反応器で実施した場合に、増幅の利点は観察されなかった;むしろ繰り越したライゲーション反応の成分はしばしばその後の増幅反応に対して抑制性であることが見出された。そのため、特に代表的で平均のとれた全ゲノム情報が望ましい場合に、介在するクリーニング工程がなく、単一の反応器で短いDNA配列を非特異的に増幅するための効率的な方法が非常に望ましい。さらに、ライゲーション-増幅の各々において反応物質に起因する抑制を克服する、単一の反応器でローリングサークル増幅によって線状の核酸配列を増幅するための方法は非常に望ましい。
国際公開第2015/022359号パンフレット
一部の実施形態では、ローリングサークル増幅による線状染色体DNAの増幅のための方法が提供される。この方法は、線状染色体DNAを準備する工程、一本鎖DNAの鋳型非依存性分子内ライゲーションの可能なリガーゼを用いて線状染色体DNAの分子内ライゲーションを実施して一本鎖DNA環を生成する工程、およびローリングサークル増幅によって一本鎖DNA環を増幅する工程を含む。ローリングサークル増幅は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体を有するオリゴヌクレオチド配列を含むランダムプライマー混合物を用いる。ライゲーション反応およびローリングサークル増幅反応を含む、この方法の全ての工程は、単離もしくは精製工程を介在させずに、単一の反応器で実施される。線状染色体DNAが二本鎖形態である場合、分子内ライゲーション反応の前にそれを変性させてて一本鎖DNAを生成する。一部の実施形態では、この方法は、標的DNAの全ゲノム増幅に使用される。
本発明のこれらおよびその他の特徴、態様および利点は、添付の図を参照して以下の詳細な説明を読むとより良く理解されるであろう。
断片化されたdsDNAのリガーゼ支援全ゲノム増幅の一実施形態の模式図を示す図である。 健康な個体の血漿から単離した循環DNAのサイズプロフィールを示す図である。 CIRCLIGASE II(商標)を用いる、全血の非細胞画分から抽出される循環DNAのリガーゼ支援全ゲノム増幅を示す図である。 T4 DNAリガーゼを用いる、全血の非細胞画分から抽出された循環DNAのリガーゼ支援全ゲノム増幅を示す図である。 大腸菌(E.Coli)DNAリガーゼを用いる、全血の非細胞画分から抽出される循環DNAのリガーゼ支援全ゲノム増幅を示す図である。 4つの異なるCODIS遺伝子座の感受性がありバランスのとれたDNA増幅のためのリガーゼ支援全ゲノム増幅の有効性を示す図である。 12の異なるCODIS遺伝子座の感受性がありバランスのとれたDNA増幅のためのリガーゼ支援全ゲノム増幅の有効性を示す図である。 異なる反応および緩衝条件でのリガーゼ支援全ゲノム増幅の効率を示す図である。 リガーゼ支援全ゲノム増幅における高分子量ゲノムDNAの増幅の抑制を示す図である。 ポリヌクレオチドキナーゼを用いる断片化されたDNAのプロセシング(例えば、末端修復)とその後のプロセシングされた断片化されたDNAのリガーゼ支援増幅を含むリガーゼ支援全ゲノム増幅の模式図を示す図である。 GTPの存在下、PNKおよびCIRCLIGASE II(商標)を用いる、断片化されたDNAのリガーゼ支援増幅の単一管反応の模式図を示す図である。 DYS14雄特異的マーカーがインプットDNAから作成したライブラリーを用いて検出される、雄-雌血漿/血液を用いる単一管リガーゼ支援増幅反応を示す図である。 断片化されたDNAのリン酸化およびプレ-アデニル化とその後の実質的非アデニル化リガーゼを用いるライゲーションの模式図を示す図である。 実質的非アデニル化リガーゼを用いるプレ-アデニル化DNA配列の環状化の効率の向上を示す図である。 標的DNA配列がプレ-アデニル化された場合およびライゲーションが非アデニル化リガーゼを用いて実施された場合のリガーゼ支援全ゲノム増幅の効率の向上を示す図である。 CIRCLIGASE II(商標)を用いる、血漿DNAのリガーゼ支援全ゲノム増幅を示す図である。 カバレッジ深度および均一性レベルに関して、増幅されたDNAの定性分析を示す図である。 AT六量体を使用する、標的配列領域の全体にわたって観察された全体的なカバレッジおよび均一性を示す図である。 ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)およびホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ(Fpg)を用いて一本鎖DNA環の生成の前に一本鎖DNAから損傷を修復する/除去するか、または生成された一本鎖DNA環から損傷を修復する/除去する場合の、あるいはDNA損傷の修復/除去が行われない場合の、カバレッジの深度を示す図である。 ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)およびホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ(Fpg)を用いて一本鎖DNA環の生成の前に一本鎖DNAからDNA損傷を修復する/除去するか、または生成された一本鎖DNA環からDNA損傷を修復する/除去する場合の、あるいはDNA損傷の修復/除去が行われない場合の、カバレッジの深度および均一性を示す図である。 ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)およびホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ(Fpg)を用いてローリングサークル増幅の前に一本鎖DNA環からDNA損傷を修復する/除去するか、または生成された一本鎖DNA環からDNA損傷を修復する/除去する場合の、あるいはDNA損傷の修復/除去が行われない場合の、良好な陽性的中率(PPV)および感受性を示す図である。
以下の詳細な説明は例示的なものであり、本発明または本発明の使用を制限することを目的としない。明細書全体を通して、特定の用語の例示は、限定されない例とみなされるべきである。単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上明らかに指示されている場合を除いて複数形への言及が含まれる。本明細書において明細書および特許請求の範囲の全体を通して使用される近似を表す語は、その関連する基本機能を変えることなく許容範囲内で変化し得る任意の量的表現を修飾するために適用されてよい。したがって、「約」などの用語によって修飾された値は、特定される正確な値に限定されない。別に指定されない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される構成成分の量、分子量などの性質、反応条件などを表す全ての数は、全ての例において「約」という用語で修飾されていると理解される。したがって、他にそうでないことが示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは本発明によって得ようとする望ましい性質によって変化する可能性のある近似値である。少なくとも、特許請求の範囲と同等物の学説の適用を制限する試みではなく、各々の数値パラメータは、少なくとも報告される有効数字の数を考慮し、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。必要な場合には、範囲が提供されており、それらの範囲はその間のあらゆる下位範囲を含む。特許請求される本発明の主題をより明白かつ簡潔に記載し示すために、以下の説明および添付される特許請求の範囲で使用される特定の用語に対して以下の定義が与えられる。
本明細書において、用語「ヌクレオシド」とは、核酸塩基(ヌクレオベース)が糖部分に結合しているグリコシルアミン化合物をさす。「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドリン酸をさす。ヌクレオチドは、表1に記載されるようにそのヌクレオシドに対応するアルファベット文字(文字呼称)を用いて表すことができる。例えば、Aはアデノシン(ヌクレオベースを含有するヌクレオシド、アデニン)を意味し、Cはシチジンを意味し、Gはグアノシンを意味し、Uはウリジンを意味し、Tはチミジン(5-メチルウリジン)を意味する。WはAかまたはT/Uのいずれかを意味し、SはGかまたはCのいずれかを意味する。Nはランダムヌクレオシドを表し、dNTPは、デオキシリボヌクレオシド三リン酸をさす。Nは、A、C、G、またはT/Uのいずれであってもよい。
本明細書において、用語「ヌクレオチド類似体」とは、天然に存在するヌクレオチドに構造的に類似する化合物をさす。ヌクレオチド類似体は、変更されたリン酸主鎖、変更された糖部分、変更されたヌクレオベース、またはその組合せを有してよい。ヌクレオチド類似体は、天然ヌクレオチド、合成ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、または代替置換部分(例えば、イノシン)であってよい。一般に、変更されたヌクレオベースをもつヌクレオチド類似体は、とりわけ、異なる塩基対形成および塩基スタッキング特性を付与する。本明細書において、用語「LNA(ロックド核酸)ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの糖部分がリボ核酸(RNA)を模倣する糖コンホメーションにロックされた二環式フラノース単位を含有するヌクレオチド類似体をさす。デオキシリボヌクレオチド(またはリボヌクレオチド)からLNAヌクレオチドへの構造変化は、化学的見地から限られている、つまり、2’位と4’位の炭素原子間のさらなる結合の導入である(例えば、2’-C,4’-C-オキシメチレン結合;例えば、Singh,S.K.,et.al.,Chem.Comm.,4,455-456,1998、またはKoshkin,A.A.,et.al.,Tetrahedron,54,3607-3630,1998参照)。LNAヌクレオチドにおいてフラノース単位の2’位および4’位は、O-メチレン(例えば、オキシ-LNA:2’-O、4’-C-メチレン-β-D-リボフラノシルヌクレオチド)、S-メチレン(チオ-LNA)、またはNH-メチレン部分(アミノ-LNA)、および同類のものによって結合されてよい。そのような結合は、フラノース環のコンホメーションの自由度を制限する。LNAオリゴヌクレオチドは、相補的一本鎖RNA、および相補的一本鎖もしくは二本鎖DNAに対するハイブリダイゼーション親和性の向上を示す。LNAオリゴヌクレオチドは、A型(RNA様)の二重鎖コンホメーションを誘導することができる。改変されたリン酸塩-糖骨格(例えば、PNA、LNA)を有するヌクレオチド類似体は、多くの場合、とりわけ、二次構造形成などの鎖の性質を修飾する。
文字呼称の前の星(*)記号は、その文字で指定されるヌクレオチドがホスホロチオエート修飾ヌクレオチドであることを示す。例えば、*Nは、ホスホロチオエート修飾ランダムヌクレオチドを表す。文字呼称の前のプラス(+)記号は、その文字で指定されるヌクレオチドがLNAヌクレオチドであることを示す。例えば、+Aは、アデノシンLNAヌクレオチドを表し、+Nは、ロックドランダムヌクレオチド(すなわちランダムLNAヌクレオチド)を表す。文字呼称「(at N)」は、ヌクレオベース2-アミノ dA、2-チオ-dT、GまたはCを含有するランダムヌクレオチドを表す。
本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのオリゴマーをさす。本明細書において用いられる用語「核酸」とは、ヌクレオチドのポリマーをさす。本明細書において用いられる用語「配列」とは、オリゴヌクレオチドまたは核酸のヌクレオチド配列をさす。本明細書全体を通して、オリゴヌクレオチドまたは核酸が一連の文字で表される場合はいつでも、ヌクレオチドは、左から右へ5’→3’の順序である。例えば、文字配列(W)x(N)y(S)z(式中、x=2、y=3およびz=1)で表されるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド配列WWNNNSを表し、この際、Wは5’末端ヌクレオチドであり、Sは3’末端ヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドまたは核酸は、DNA、RNA、またはそれらの類似体(例えば、ホスホロチオエート類似体)であってよい。オリゴヌクレオチドまたは核酸には、修飾された塩基および/または骨格(例えば、修飾されたリン酸結合または修飾された糖部分)を含むこともできる。安定性および/またはその他の利点を核酸に与える合成骨格の限定されない例としては、ホスホロチオエート結合、ペプチド核酸、ロックド核酸、キシロース核酸、またはそれらの類似体を挙げることができる。
本明細書において、用語「プライマー」とは、標的核酸配列(例えば、増幅させるDNA鋳型)とハイブリダイズして核酸合成反応を開始させる短い線状のオリゴヌクレオチドをさす。プライマーは、RNAオリゴヌクレオチド、DNAオリゴヌクレオチド、またはキメラ配列であってよい。プライマーは、天然、合成、または修飾ヌクレオチドを含んでよい。プライマーの長さの上限と下限は経験的に求められる。プライマー長の下限は、核酸増幅反応条件下での標的核酸とのハイブリダイゼーションによって安定した二重鎖を形成するために必要とされる最小の長さである。非常に短いプライマー(通常3ヌクレオチド長未満)は、そのようなハイブリダイゼーション条件下で標的核酸と熱力学的に安定した二重鎖を形成しない。上限は、多くの場合、標的核酸の予め決められた核酸配列以外の領域で二重鎖形成ができる可能性によって決まる。一般に、適したプライマー長は、約3ヌクレオチド長から約40ヌクレオチド長の範囲内である。
本明細書において、用語「ランダムプライマー」とは、オリゴヌクレオチド配列の任意の所与位置で、該所与位置が可能性のあるヌクレオチドまたはそれらの類似体のいずれからも構成され得るような方法(完全ランダム化)でヌクレオチドをランダム化することによって生成されたプライマー配列の混合物をさす。したがってランダムプライマーは、配列内のヌクレオチドのあらゆる可能性のある組合せからなる、オリゴヌクレオチド配列のランダムな混合物である。例えば、六量体のランダムプライマーは、配列NNNNNNまたは(N)6で表すことができる。六量体ランダムDNAプライマーは、4つのDNAヌクレオチド、A、C、GおよびTのあらゆる可能性のある六量体の組合せからなり、結果として46(4,096)の特有の六量体DNAオリゴヌクレオチド配列を含むランダム混合物となる。ランダムプライマーは、標的核酸の配列が不明である場合か、または全ゲノム増幅反応のために、核酸合成反応を開始させるために効果的に使用することができる。
本明細書に記載されるように、用語「部分拘束プライマー」とは、オリゴヌクレオチド配列のヌクレオチドの一部を完全にランダム化すること(すなわち、ヌクレオチドは、A
、T/U、C、G、またはそれらの類似体のいずれかであってよい)一方で、一部のその他のヌクレオチドの完全なランダム化を制限する(すなわち、特定の位置でのヌクレオチドのランダム化は、可能性のある組合せA、T/U、C、G、またはそれらの類似体よりも程度が低い)ことによって生成されたプライマー配列の混合物をさす。例えば、WNNNNNで表される部分拘束DNA六量体プライマーは、混合物中の全ての配列の5’末端ヌクレオチドがAまたはTであるプライマー配列の混合物を表す。ここで、5’末端ヌクレオチドは、完全ランダムDNAプライマー(NNNNNN)の最大4の可能性のある組合せ(A、T、GまたはC)とは対照的に、2つの可能性のある組合せ(AまたはT)に拘束される。部分拘束プライマーの適したプライマー長は、約3ヌクレオチド長から約15ヌクレオチド長の範囲内であってよい。
本明細書に記載されるように、用語「末端ミスマッチプライマー-二量体構造を有する部分拘束プライマー」とは、部分拘束プライマー中の2つの個別のプライマー配列が、3以上のヌクレオチドの内部相同性で互いに分子間でハイブリダイズして、陥凹末端を持たないプライマー-二量体構造、または単一ヌクレオチド塩基3’陥凹末端を有するプライマー-二量体構造、または2つのヌクレオチド塩基3’陥凹末端を有するプライマー-二量体構造を形成する場合、プライマー-二量体構造の両方の3’末端ヌクレオチドにヌクレオチドミスマッチ(すなわちヌクレオチドが塩基対形成しない)が存在する、部分拘束プライマー配列をさす。例えば、WNNNSで表される部分拘束五量体プライマーは、分子間でハイブリダイズして陥凹末端を持たないプライマー-二量体構造を形成する場合に、両方の3’末端ヌクレオチドに末端ミスマッチをもたらす。プライマー-二量体構造には、3ヌクレオチドの内部相同性が存在する(すなわち、分子間ハイブリダイゼーションによって陥凹末端を持たないプライマー-二量体構造が形成される場合に、WNNNSの3つのランダムヌクレオチドは、互いに塩基対形成することがある)。しかし、このプライマー例は、分子間でハイブリダイズして単一ヌクレオチド塩基3’陥凹末端を含むプライマー-二量体構造を形成する場合に末端ミスマッチをもたらさない。同様に、WWNNNSで表される部分拘束六量体プライマーは、分子間でハイブリダイズして陥凹末端を持たないプライマー-二量体構造を形成する場合に、両方の3’末端ヌクレオチドに末端ミスマッチをもたらす。さらに、このプライマー例は、分子間でハイブリダイズして単一ヌクレオチド塩基3’陥凹末端を有するプライマー-二量体構造を形成する場合でさえ、両方の3’末端ヌクレオチドに末端ミスマッチをもたらす。WWWNNNSで表される部分拘束七量体プライマーは、分子間でハイブリダイズして陥凹末端を持たないプライマー-二量体構造を形成する場合に、両方の3’末端ヌクレオチドに末端ミスマッチをもたらす。さらに、このプライマー例は、分子間でハイブリダイズして、単一ヌクレオチド塩基3’陥凹末端を有するプライマー-二量体構造を形成するか、または2-ヌクレオチド塩基3’陥凹末端を有するプライマー-二量体構造を形成する場合に、両方の3’末端ヌクレオチドに末端ミスマッチをもたらす。
本明細書において、用語「ローリングサークル増幅(RCA)」とは、ローリングサークル機構によって、環状の核酸鋳型(例えば、一本鎖DNA環)を増幅する核酸増幅反応をさす。ローリングサークル増幅反応は、プライマーと、環状の、多くの場合一本鎖の、核酸鋳型とのハイブリダイゼーションによって開始される。次に、核酸ポリメラーゼが、環状の核酸鋳型の周囲を連続的に前進して、核酸鋳型の配列を何度も繰り返して複製すること(ローリングサークル機構)によって、環状の核酸鋳型にハイブリダイズしたプライマーを伸長させる。ローリングサークル増幅は、一般に、環状の核酸鋳型配列の縦列反復単位を含むコンカテマーを生成する。ローリングサークル増幅は、線状の増幅速度を示す線状RCA(LRCA)(例えば、単一の特異的プライマーを用いるRCA)であってもよいし、指数関数的な増幅速度を示す指数関数的RCA(ERCA)であってもよい。ローリングサークル増幅はまた、複数のプライマーを用いて実施して(多重プライムドローリングサークル増幅またはMPRCA)超分岐コンカテマーを導くこともできる。例えば
、二重プライミングRCAにおいて、一方のプライマーは、線状RCAでのように、環状の核酸鋳型に対して相補的であってよいが、もう一方はRCA産物の縦列反復単位核酸配列と相補的であってよい。その結果として、二重プライミングRCAは、両方のプライマーの関与する多重ハイブリダイゼーション、プライマー伸長、および鎖置換事象の分枝カスケードを特徴とする指数関数的(幾何学的)増幅速度をもつ連鎖反応として進行することができる。これは、多くの場合、別のコンカテマー二本鎖核酸増幅産物のセットを生成する。ローリングサークル増幅は、Phi29DNAポリメラーゼなどの適した核酸ポリメラーゼを用いて等温条件下、インビトロで実施されてよい。
本明細書において、多置換増幅(MDA)とは、増幅がプライマーを変性核酸にアニーリングした後に鎖置換核酸合成する工程を含む核酸増幅法をさす。核酸が鎖置換によって合成されるにつれて、プライミング事象の数は次第に増加して、超分岐核酸構造のネットワークが形成される。MDAは、配列の偏りが制限された高分子量DNAを少量のゲノムDNA試料から生成するための全ゲノム増幅に非常に有用である。Phi29DNAポリメラーゼまたはBst DNAポリメラーゼの大きい断片などの、その核酸合成活性の他に鎖置換活性を有する鎖置換核酸ポリメラーゼは、MDAで使用することができる。MDAは、配列の偏りが制限された増幅を実現するために、ランダムプライマーを用いて、等温反応条件下で実施される場合が多い。
本明細書において、用語「プレ-アデニル化リガーゼ」とは、そのアデニル化形態のリガーゼをさす。リガーゼのアデニル化形態は、ATPまたはdATPの不在下で5’ホスホリル基および3’ヒドロキシル基を有する線状ssDNA分子の分子内ライゲーションをする能力がある。プレ-アデニル化リガーゼを用いるライゲーションとは、反応で使用されるリガーゼ分子が高い割合でアデニル化形態であるライゲーション反応をさす。概して、リガーゼ分子の60%超がそのアデニル化形態であってよい。一部の実施形態では、プレ-アデニル化リガーゼを用いてライゲーション反応を実施する場合、反応に用いるリガーゼ分子の70%超がそのアデニル化形態であってよい。一部のその他の実施形態では、プレ-アデニル化リガーゼを用いてライゲーション反応を実施する場合、反応に用いるリガーゼ分子の80%、90%、または95%超がそのアデニル化形態であってよい。
本明細書において、用語「アデニル化酵素」とは、核酸配列をアデニル化して5’アデニル化核酸を生成する能力のある酵素をさす。本明細書において用いられる5’アデニル化核酸とは、ヒドロキシル基をその3’末端に有し、アデニル化末端ヌクレオチドをその5’末端に有する核酸配列をさす。例えば、5’アデニル化DNA(AppDNA)とは、その5’末端がアデニル化され、その3’末端にヒドロキシル基を有するDNA配列をさす。
本明細書において、用語「非アデニル化リガーゼ」とは、その非アデニル化形態のリガーゼをさす。リガーゼの非アデニル化形態は、ATPまたはdATPの不在下で3’ヒドロキシル基を有する線状5’-アデニル化ssDNA分子の分子内ライゲーションをする能力がある。非アデニル化リガーゼを用いるライゲーションとは、反応で使用されるリガーゼ分子が高い割合で非アデニル化形態であるライゲーション反応をさす。概して、リガーゼ分子の60%超がその非アデニル化形態であってよい。一部の実施形態では、非アデニル化リガーゼを用いてライゲーション反応を実施する場合、反応に用いるリガーゼ分子の70%超がその非アデニル化形態であってよい。一部のその他の実施形態では、非アデニル化リガーゼを用いてライゲーション反応を実施する場合、反応に用いるリガーゼ分子の80%、90%または95%超がその非アデニル化形態であってよい。
本明細書において、プライマー鋳型の核酸二重鎖の用語「融解温度」(Tm)は、二重鎖の二分の一が一本鎖の分子に分離する温度をさす。プライマー鋳型のDNA二重鎖の安
定性は、そのTmで測定され得る。プライマーの長さおよび配列は、成功する増幅のパラメータを設計する際の重要な決定要因である。プライマー鋳型の核酸二重鎖の融解温度は、プライマー長とともに、かつGC含量の増加とともに上昇する。一価および二価の塩濃度(例えば、K+、Mg2+、K+)、温度ならびに化学変性剤の存在は、プライマー鋳型の核酸二重鎖のTmに影響を及ぼし得、プライマー鋳型の核酸二重鎖の安定性を変えるために使用することができる。例えば、DNA二重鎖の安定性は、通常、より高い塩濃度とともに増加するが、上昇した温度の関数として、または変性剤の存在下で低下する。例えば、Na+イオンはホスホジエステル骨格の負電荷を遮蔽することができ、それによりDNA鎖の静電反発力を減少させるので、高濃度の塩(例えばNaClなど)は、プライマー-標的DNA二重鎖のTmを上昇させる。一方、より高い温度(使用する緩衝条件下のプライマー-標的DNAハイブリッドのTmに近いかまたはそれを上回る)は、二重鎖安定性およびDNAハイブリダイゼーション効率を低下させる。任意の定義された配列のTmは、二重鎖長、GC含量、塩濃度、変性剤濃度、およびpHを含む緩衝液組成の複合作用に依存する。その上、ハイブリダイゼーションはDNA増幅反応中に必要とされるので、酵素活性とのバッファー適合性も主要な関心事である。最適な酵素活性のためには、プライマー鋳型ハイブリダイゼーションの条件は、達成されなければならないだけでなく、酵素安定性および酵素活性のための条件でもなければならない。一部の例では、最適な酵素活性は、プライマー-標的ハイブリダイゼーションが最適でない条件下で生じることがあり、Tmをもたらすプライマー条件に修正を含めることによって、使用する条件下で二重鎖のTmを修正することによってプライマー-標的ハイブリダイゼーションを改善することができる。
一部の実施形態では、一本鎖DNAの鋳型非依存性分子内ライゲーションの可能な適したリガーゼとともにインキュベートすることによる、線状DNAから一本鎖DNA環を生成するための方法が提供される。線状DNAは、線状染色体DNA、無細胞循環DNA、非常に古いDNAまたは環境露出によって劣化したDNA、あるいはホルマリン固定DNAであってよい。一部の実施形態では、線状DNAは、断片化された線状DNAであってよい。断片化された線状DNAの長さは、15ヌクレオチドから21000ヌクレオチドに及んでよい。線状DNAは、ライゲーション可能な末端を既に有する配列を含んでもよく、またはそれはライゲーション不可能な末端を有する配列を含んでもよい。一実施形態では、線状DNAは、ライゲーション可能な末端を既に有する配列を含んでよい。例えば、線状DNAは、5’末端のリン酸基および3’末端のヒドロキシル基を既に有してよい。そのようなDNA配列は、適したリガーゼとのインキュベーションによって分子内ライゲーションに従う。一部の実施形態では、線状染色体DNAから一本鎖DNA環を生成するための方法が提供され、該方法には、一本鎖DNAの鋳型非依存性分子内ライゲーションの可能なリガーゼとともに線状染色体DNAをインキュベートして、一本鎖DNA環を生成することが含まれる。一部の実施形態では、プレ-アデニル化リガーゼは、ライゲーション反応に使用される。鋳型に依存しない方法で一本鎖DNA配列を連結することのできるどんなプレ-アデニル化リガーゼを用いてもよい。一部の実施形態では、TS2126 RNAリガーゼの実質的にアデニル化された形態が鋳型非依存性分子内ライゲーション反応に使用される。線状染色体DNAは、二本鎖形態である場合、分子内ライゲーション反応の前に変性させる必要がある。ライゲーション反応は、ATPおよび/またはdATPの不在下で実施されてよい。
一部の実施形態では、該線状DNAは、ライゲーションできない末端を有する配列を含んでよい。例えば、線状DNAは、5’ヒドロキシル基かまたは3’ホスホリル基のいずれか、あるいは両方を有してよい。一部の実施形態では、この方法は、線状DNAを準備する工程、リン酸供与体の存在下でポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)とともに線状DNAをインキュベートすることによってそれを末端修復して、5’末端にリン酸基を有し、3’末端にヒドロキシル基を有するライゲーション可能なDNA配列を生成する工程、
および、ライゲーション可能なDNA配列のリガーゼによる分子内ライゲーションを実施して、一本鎖DNA環を生成する工程を含む。末端修復には、ライゲーション可能なDNA配列を生成するための、5’末端ヌクレオチドのリン酸化、3’末端ヌクレオチドの脱リン酸化または両方が含まれてよい。末端修復したライゲーション可能なDNAは、二本鎖形態である場合、分子内ライゲーション反応の前に変性させる必要がある。一部の実施形態では、DNAをPNK反応の前に変性させる。一本鎖DNAのリン酸化または脱リン酸化は、通常、二本鎖平滑末端または5’陥凹末端のリン酸化または脱リン酸化よりも効率的である。リン酸供与体および反応混合物中のその濃度は、それがその後の分子内ライゲーション反応を阻害しないように選択される。例えば、アデノシン三リン酸(ATP)またはデオキシアデノシン三リン酸(dATP)以外のいずれの適したリン酸供与体も、PNKを用いる末端修復反応に使用されてよい。適したリン酸供与体としては、限定されるものではないが、グアノシン三リン酸(GTP)、シチジン三リン酸(CTP)、ウリジン三リン酸(UTP)またはデオキシチミン三リン酸(dTTP)が挙げられる。一部の実施形態では、プレ-アデニル化リガーゼは、ライゲーション反応に使用される。鋳型非依存性一本鎖DNA配列の可能ないずれのプレ-アデニル化リガーゼも用いることができる。一部の実施形態では、TS2126 RNAリガーゼの実質的にアデニル化された形態が鋳型非依存性分子内ライゲーション反応に使用される。キナーゼ反応およびライゲーション反応は、ATPおよび/またはdATPの不在下で実施される。この方法の全ての工程は、単離もしくは精製工程を介在させずに、単一の反応器で実施される。この方法の個々の工程は、中間の精製もしくは単離工程を含まずに同時にまたは順次に実施することができる。例えば、PNKは、線状標的DNAの末端修復を促進するために、GTPとともに、線状標的DNAを含む核酸溶液を含有する反応器(例えば、エッペンドルフチューブ)に添加されてよい。5’リン酸化および3’ホスファターゼ活性を有するいずれのPNK(例えば、T4 PNK)も、末端修復反応に使用することができる。その各々が5’リン酸化または3’ホスファターゼを有するPNKの組合せを末端修復反応に使用してもよい。ひとたびキナーゼ反応が完了すれば、プレ-アデニル化リガーゼを同じ反応器に添加して、分子内ライゲーション反応を促進することができる。
線状DNAは、天然もしくは合成起源の二本鎖または一本鎖DNAであってよい。DNAは、生体試料から得てもよいし(例えば、生物学的被験体から得た試料)、あるいは、インビボまたはインビトロで未知の物体から見出してもよい(例えば、法医学調査中に得たDNA)。例えば、それは、限定されるものではないが、生物学的被験体の体液(例えば、血液、血漿、血清、尿、乳、脳脊髄液、胸腔内液、リンパ液、涙、痰、唾液、便、肺吸引液、咽頭もしくは生殖器スワブ)、器官、組織、細胞培養、細胞分画、切片(例えば、器官または組織の断面部分)あるいは生物学的被験体から、または特定領域(例えば、疾患細胞、または血中循環腫瘍細胞を含有する領域)から単離した細胞から得ることができる。標的線状DNA(すなわち目的の線状DNA)を含有するか含有すると思われる生体試料は、真核生物起源、原核生物起源、ウイルス起源またはバクテリオファージ起源の試料であってよい。例えば、標的線状DNAは、昆虫、原虫、鳥類、魚類、爬虫類、哺乳類(例えば、ラット、マウス、ウシ、イヌ、モルモット、またはウサギ)、または霊長類(例えば、チンパンジーまたはヒト)から得ることができる。線状DNAは、ゲノムDNA(例えば、線状染色体DNA)またはcDNA(相補DNA)であってよい。cDNAは、逆転写酵素を用いてRNA鋳型(例えば、mRNA、リボソームRNA)から生成することができる。線状DNAは、断片化されたDNAであってよく、ライゲーション不可能な末端ヌクレオチドを有してよい。例えば、線状DNAは、DNAリガーゼが分子内ライゲーション反応を実施することができないように、5’ヒドロキシル基および/または3’リン酸基を含むことがある。線状DNAは、溶液中に分散させてもよいし、固相支持体、例えばブロット、アッセイ、アレイ、スライドガラス、マイクロタイタープレートまたはELISAプレートの上に固定化されていてもよい。例えば、線状DNAは、プライマーを通じて基板の上に固定化されていてよく、その後環状化され増幅されてよい。
線状DNAが二本鎖形態である場合、それは分子内ライゲーション反応の前に一本鎖形態に変性させる必要がある。これは、dsDNAをssDNA配列に変換するための当該技術分野で承認されている方法のいずれかを使用することによって実現することができる。例えば、dsDNAは、加熱変性させてもよいし、化学変性させてもよいし、熱化学変性させてもよい。dsDNAは、dsDNAの融解温度を低下させる変性剤(例えば、グリセロール、エチレングリコール、ホルムアミド、尿素またはその組合せ)を用いて化学変性させることができる。変性剤は、反応混合物に加えられる変性剤10%(容積/容積)ごとに融解温度を5℃~6℃低下させることができる。変性剤または変性剤の組合せ(例えば、10%グリセロールおよび6~7%エチレングリコール)は、1%、5%、10%、15%、20%、または25%の反応混合物(容積/容積)を含んでよい。ハイブリダイゼーション・ストリンジェンシーを低下させる塩を、低い濃度で反応緩衝液に含めて、dsDNAを低温で化学変性させてもよい。dsDNAは、例えば、95℃でdsDNAを加熱することによって、熱変性させることができる。
変性工程の後、生成したssDNAは、鋳型の不在下でssDNA基質の分子内ライゲーションをする能力のあるDNAまたはRNAリガーゼで処理されて一本鎖DNA環を形成することができる。ライゲーション反応に使用してよい適したリガーゼとしては、限定されるものではないが、TS2126 RNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T3 DNAリガーゼまたは大腸菌DNAリガーゼが挙げられる。線状一本鎖DNA分子の一本鎖DNA環への変換は、T4 RNAリガーゼなどのライゲーション酵素を用いて鋳型依存性分子内ライゲーション反応によって慣習的に実施される。しかし、特にssDNA分子の環状化が未知の配列および/またはサイズのssDNA分子の集団で実施される場合に、一本鎖DNAまたは一本鎖RNAの鋳型依存性分子内ライゲーションは、制限された成功しかしなかった。たとえバクテリオファージT4 RNAリガーゼIが鋳型非依存性分子内ライゲーション活性を示すとしても、この活性は非常に低く、線状ssDNA分子から環状ssDNA分子を生成する際に実際に使用するには非効率的である。
一部の実施形態では、ssDNAの一本鎖DNA環への変換は、5’ホスホリルおよび3’ヒドロキシル基を有する線状ssDNAおよび/またはssRNA基質に対して良好な鋳型非依存性分子内ライゲーション活性を有する熱安定性RNAリガーゼで実施される。リガーゼは、実質的にプレ-アデニル化形態であってよい。例えば、好熱性細菌、サーマス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)に感染させるサーマスバクテリオファージTS2126に由来するTS2126 RNAリガーゼを、断片化された線状ssDNAの環状ssDNAへの鋳型非依存性環状化に用いることができる。TS2126 RNAリガーゼは、T4 RNAリガーゼなどの中温性のRNAリガーゼの多くよりも熱安定性が高い(約75℃まで安定)。TS2126 RNAリガーゼ活性の温度範囲は、約40℃よりも高く、例えば、約50℃~約75℃であり得る。このため、TS2126 RNAリガーゼは、より高い温度で使用されてよく、それはssDNAの望ましくない二次構造をさらに減らす。線状ssDNAの環状化は、TS2126 RNAリガーゼ以外のリガーゼによって、またはトポイソメラーゼなどのDNA結合活性を有する任意のその他の酵素を用いることによっても実現されることができる。一部の実施形態では、断片化された一本鎖DNA分子の環状化は、線状の断片化されたssDNA分子を環状化する際に高い鋳型非依存性リガーゼ活性を有する好熱性古細菌、メタノバクテリウム・テルモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(Mth RNAリガーゼ)に由来するRNAリガーゼ1によって実現される。
一部の実施形態では、TS2126 RNAリガーゼによるssDNAの環状化の効率
を向上させる方法が提供される。pH8.0のHEPES緩衝液のライゲーション反応への使用は、ライゲーション効率を向上させた。鋳型非依存性ssDNAライゲーションは、反応をTRIS緩衝液(例えば、CIRCLIGASE II(商標)について、EpiCenterにより提案される10x反応緩衝液は、0.33M TRIS酢酸(pH7.5)、0.66M酢酸カリウム、および5mM DTTを含む)で実施した場合に非効率的であった。さらに、ライゲーション反応の必須補因子であるマンガンは、アルカリ条件下で急速に酸化され、TRISの存在下で沈殿を生じる。Mn2+のMn3+への空気酸化は、Mn3+イオンを強く錯化することのできる陰イオンによって促進することができる。例えば、HClでpHを適切に調節した等量の0.2モル/リットルTRISおよび2ミリモル/リットルのMnCl2を混合した場合、色の変化は、pH9.3(TRIS塩基だけのpH)では即座であり;pH8.5では約3分の初期のタイムラグがあり;8.3よりも低いpH値では1時間以内に検出できなかった。低いpHでは反応が起こらなかったが、高いpHで観察された変化は、酸を添加することによって逆転しなかった。TRIS緩衝液中のマンガンの急速な酸化のために、分子内ライゲーションをTRIS緩衝液中で実施する場合には、より高い濃度のマンガンがライゲーション反応に必須である(例えば、2.5mMの終濃度へのMnCl2の添加)。さらに、マンガン濃度は時間とともに低下し続けるので、反応物中のマンガンの働く濃度を正確に予測することは困難となる。ライゲーションおよび増幅が単一の反応器で実施される場合に、マンガンの濃度が高いほど、増幅中のポリメラーゼのエラーレートは高くなり得る。ライゲーション反応でTRIS緩衝液をHEPES緩衝液で置き換えることにより、効果的な分子内ライゲーションを、0.5mM未満のマンガンイオン濃度によって実現することができる。HEPESの他には、その他のGoodの緩衝液のいずれか(例えば、Good,Norman et al.Biochemistry,5(2):467-477,1966;およびGood,Norman et al.,Methods Enzymol.,24:53-68,1972参照)を分子内ライゲーション反応に用いることができる。一実施形態では、分子内ライゲーション反応は、約2.5mM MnCl2、約66mM KOAc、約0.5mM DTT、約0.003%(wt/wt)Tween-20および約0.5Mベタインを含有する35mM HEPES緩衝液(pH=8.0)中で実施される。
ライゲーション反応混合物中のssDNA環は、ローリングサークル増幅(RCA)方法によって等温条件下で増幅させることができる。DNAポリメラーゼ、プライマーおよびdNTPを含む増幅試薬を同じ反応器に添加して増幅反応混合物を生成し、RCA反応を開始させてよい。増幅反応に使用される個々の試薬は、混入している核酸を除去するために前処理されてよい。増幅試薬の汚染除去は、当分野で公知の方法のいずれかを用いることによって実施されてよい。例えば、除染されたphi29 DNAポリメラーゼなどの除染された検査用DNAポリメラーゼが、RCA反応に使用されてよい。プルーフリーディングDNAの汚染除去は、混入している核酸を除去するためにdNTPの不在下で二価陽イオンとともにそれをインキュベートすることによって実施されてよい。Bst DNAポリメラーゼなどのプルーフリーディング能力のないDNAポリメラーゼは、混入している核酸を除去するために二価陽イオンの存在下およびdNTPの不在下でプルーフリーディングDNAポリメラーゼとともにそれをインキュベートした後に使用されてよい。汚染除去は、増幅試薬をDNAアーゼなどのヌクレアーゼとともにインキュベートすることによって実施されてもよい。汚染除去がヌクレアーゼを用いることによって実施される場合、それは増幅反応の前に除去されるかまたは消化される必要がある。増幅反応混合物には、一本鎖DNA結合タンパク質などの試薬および/または適した増幅反応緩衝液がさらに含まれてよい。ssDNA環の増幅は、ライゲーションが実施されている同じ反応器で実施される。ssDNA環の単離または精製および/またはリガーゼの除去は、増幅反応の前に必要ではない。増幅されたDNAは、DNA検出のための現在公知の方法のいずれかによって検出されてよい。
RCAは、当技術分野で公知のDNAポリメラーゼ(例えば、Phi29DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ)のいずれかを使用することによって実施されてよい。それは、ランダムプライマー混合物を用いて、または特異的プライマーを用いることにより実施されてよい。一部の実施形態では、ランダムプライマーがRCA反応に使用される。1または複数のヌクレオチド類似体(例えば、LNAヌクレオチド、2-アミノ-dA、または2-チオ dT修飾)を含むプライマー配列を使用してもよい。一部の実施形態では、ヌクレアーゼ耐性プライマー(例えば、適切な位置にホスホロチオエート基を含むプライマー配列)を増幅反応に用いる(例えば、NNNN*N*N)。一部の実施形態では、RCAは、ssDNA環をランダムプライマー混合物を含むプライマー溶液と接触させて、核酸鋳型-プライマー複合体を形成すること;核酸鋳型-プライマー複合体をDNAポリメラーゼおよびデオキシリボヌクレオチド三リン酸と接触させること;ならびに、核酸鋳型を増幅することにより実施されてよい。一部の実施形態では、プライマー溶液は、WWNNSなどの部分拘束プライマーを含む。部分拘束プライマーは、末端にミスマッチのあるプライマー-二量体構造を有し得る。一部の実施形態では、x、yおよびzが互いに独立した整数値であり、xの値が2または3であり、yの値が2、3または4であり、zの値が1または2である、ヌクレオチド配列(W)x(N)y(S)zからなる部分拘束プライマーが、RCA反応に使用される。部分拘束プライマーは、1または複数のヌクレオチド類似体を含んでよい。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドを含み、末端ミスマッチプライマー-二量体構造を有する、ヌクレアーゼ耐性、部分拘束プライマーがRCA反応に用いられる。適したプライマー配列としては、限定されるものではないが、+W+WNNS、W+W+NNS、+W+WNNNS、W+W+NNNS、W+W+NN*S、+W+WNN*S、W+W+NNN*S、+W+WNNN*S、W+W+N*N*S、+W+WN*N*S、W+W+NN*N*S、または+W+WNN*N*Sが挙げられる。一部の実施形態では、RCA反応は、ssDNA環を末端ミスマッチプライマー-二量体構造を含む部分拘束プライマー混合物から本質的になるプライマー溶液と接触させ、ssDNA環を増幅することによって実施される。一部のその他の実施形態では、RCA反応は、ssDNA環を、ヌクレオチド類似体を含む部分拘束プライマー混合物から本質的になるプライマー溶液と接触させ、ssDNA環を増幅することによって実施される。ssDNA環のRCAは、配列の脱落が減少し、増幅の偏りが減少した大量のDNAを生成する。ssDNAライゲーションおよび増幅の全プロセスは、中間の精製もしくは単離工程を含まずに、単一の管で実施されてよい。非標的増幅を避けるために、ライゲーションおよび/または核酸増幅で使用される試薬(例えば、プライマー溶液、ライゲーション緩衝液、DNAポリメラーゼ)は、混入している核酸を除去するために前処理されてよい。
一部の実施形態では、線状染色体DNAの増幅方法が提供される。この方法は、染色体DNAの全ゲノム増幅のために使用されてよい。線状染色体DNAは、無細胞循環DNA、ホルマリン固定パラフィン包埋試料から単離されたDNA、法医学DNA試料、または非常に古いDNA試料であってよい。線状染色体DNAは、環境条件に露出されていてもよく、断片化されたDNAであってもよい。この方法には、(a)線状染色体DNAを準備する工程、(b)一本鎖DNA配列の鋳型非依存性分子内ライゲーションの可能なリガーゼとともに線状染色体DNAをインキュベートして一本鎖DNA環を生成する工程、および(c)ランダムプライマー混合物を使用するローリングサークル増幅によって一本鎖DNA環を増幅して増幅DNA産物を形成する工程が含まれる。この方法の全ての工程は、単離もしくは精製工程を介在させずに、単一の反応器で実施される。増幅反応に使用される個々の試薬は、混入している核酸を除去するために前処理されてよい。増幅試薬の汚染除去は、当分野で公知の方法のいずれかを用いることによって実施されてよい。例えば、除染されたphi29 DNAポリメラーゼなどの除染された検査用DNAポリメラーゼが、RCA反応に使用されてよい。プルーフリーディングDNAの汚染除去は、混入し
ている核酸を除去するためにdNTPの不在下で二価陽イオンとともにそれをインキュベートすることによって実施されてよい。リガーゼは、TS2126 RNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T3 DNAリガーゼ、大腸菌DNAリガーゼまたはこれらの組合せであってよい。プレ-アデニル化TS2126 RNAリガーゼは、例示的な実施形態の一本鎖DNA配列の鋳型非依存性分子内ライゲーションに用いられる。過剰な塩、ライゲーション試薬および/またはその他の副生成物の存在は、標準的なランダムプライマー混合物がRCA反応に使用される場合に、生成された一本鎖DNA環のローリングサークル増幅を阻害し得る。単一の反応器でのライゲーション支援全ゲノム増幅法で使用されるランダムプライマー混合物は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチド配列を含む。ランダムプライマー混合物中のヌクレオチド類似体は、それがプライマーの融解温度(Tm)を上昇させ、プライマー-二量体形成を防ぎ、かつ/またはプライマーをヌクレアーゼに耐性にするように選択される。例えば、一部の実施形態では、この方法は、修飾ヌクレオベース(例えば、2-アミノ-dA)および、単一の反応器内でのリガーゼ支援全ゲノム増幅に使用されるランダムプライマー混合物の融解温度を上昇させるLNAを含むヌクレオチド類似体を組み込む。各々の2-アミノ-dA塩基をランダム六量体プライマー混合物に含めることにより、Tmは約3℃まで上昇し、各々のLNAヌクレオチドを含めることにより、Tmは2~8℃上昇する。修飾されたランダムプライマー混合物は、ヌクレオベース、2-チオ-デオキシチミジン(2-チオ-dT)を含むヌクレオチド類似体をさらに含んでよく、2-アミノ-dAおよび2-チオ-dTを含むヌクレオチド類似体の組み込みは、プライマー-二量体形成を防ぐ。さらに、2-アミノ-dAおよび2-チオ-dTを含むヌクレオチド類似体を含めると、2-アミノ-dAは、未修飾のデオキシチミジン(dT)と3つの水素結合を形成し、2-チオ-dTは、その未修飾のパートナー(すなわちデオキシアデノシン(dA))と通常の安定した対合を形成するので、プライマーの標的核酸とハイブリダイズする能力が改善される。修飾されたヌクレオチド類似体塩基およびLNAヌクレオチドのランダムプライマー混合物中での使用は、よりストリンジェントなハイブリダイゼーション緩衝液の使用を可能にし、それにより不必要な核酸二重鎖の形成を大幅に減少させ、不必要な非標的核酸増幅の発生を低下させる。さらに、プライマーが修飾されたランダムプライマーである場合には、高い塩濃度も核酸増幅反応に用いられてよい。ランダムプライマー混合物は、標的線状染色体DNAと比較した場合、一般に過剰に使用される。ランダムプライマー混合物は、混入している核酸を除去するためにDNアーゼなどのヌクレアーゼで前処理されてよい。一部の実施形態では、線状染色体DNAは、ライゲーションおよび増幅反応の前にDNA修復酵素で処理される。一部の実施形態では、線状染色体DNAは、増幅反応の前にDNA修復酵素で処理される。一部の実施形態では、DNA修復酵素による処理は、ライゲーション反応後であるが増幅反応の前に実施される。処理は、ライゲーション混合物をウラシルDNAグリコシラーゼ、ホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ、またはその混合物とともにインキュベートすることによって実施されてよい。TS2126 RNAリガーゼによるライゲーションに使用される条件などの高い温度でのインキュベーション時間の増加は、自発的なDNA塩基の変化(例えば、C-TおよびG-A変異をもたらすDNA塩基転位)という、より大きなインシデントの危険にさらす。特に、一本鎖DNAは、二本鎖DNAよりも140倍速い自発的脱アミノ反応速度を示す。例えば、TS2126 RNAリガーゼに媒介されるサークル・シークエンシングにより、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)および/またはホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ(Fpg)などのDNA修飾酵素による処理が、C-TおよびG-A変異を効果的に抑制したことが示された。一部の実施形態では、この方法の個々の工程は、中間の精製または単離工程を含まずに順次に実施される。この方法の工程は、通常、HEPES緩衝液中、アデノシン三リン酸またはデオキシアデノシン三リン酸の不在下で実施される。一実施形態では、増幅反応は、約38mM HEPES(pH8.0)、約18mM MgCl2、約1mM TCEP、約2.5mM KOAc、約2.5% PEG-8000、約0.007% Tween-20および約40uMの、少なくとも1つのヌ
クレオチド類似体を有するオリゴヌクレオチド配列を含むランダムプライマー混合物を含む緩衝液中で実施される。一部の実施形態では、この方法の全ての工程は、中間の精製または単離工程を含まずに同時に実施される。単一の反応器でライゲーション支援全ゲノム増幅を実施する間、過剰なライゲーション試薬、過剰なDNA、過剰な塩および/またはその他のライゲーション反応からの不純物(例えば、望まれないライゲーション産物)が、ライゲーション反応の後に反応器に存在することがあり、増幅反応は、これらの試薬、塩、DNAおよび/またはその他の不純物のいずれかを除去せずに同じ反応器で実施される。さらなる実施形態では、線状染色体DNAは断片化されていて、ライゲーション工程の前にライゲーション可能なDNAを生成するためにポリヌクレオチドキナーゼで処理されてよい。PNK反応は、アデノシン三リン酸またはデオキシアデノシン三リン酸以外のリン酸供与体の存在下で実施されるので、PNK反応、分子内ライゲーションおよびRCA増幅をはじめとする全ての工程は、単離もしくは精製工程を介在させずに、単一の反応器で実施することができる。
一部の実施形態では、ランダムプライマー混合物は、少なくとも1つの修飾された塩基を含むオリゴヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、修飾された塩基は、2-アミノ-デオキシアデノシン(2-アミノ-dA)かまたは2-チオ-デオキシチミジン(2-チオ-dT)のいずれかである。一部のその他の実施形態では、ランダムプライマー混合物は、少なくとも1つの2-チオ-デオキシチミジンおよび少なくとも1つの2-チオ-デオキシチミジンを含むオリゴヌクレオチド配列を含む。一例である実施形態では、全ゲノム増幅に用いられるランダムプライマー混合物は、選択的結合相補的オリゴヌクレオチド(Selective Binding Complimentary Oligonucleotides:SBCオリゴヌクレオチド)を形成するオリゴヌクレオチドを含む。SBCオリゴヌクレオチドは、1以上の修飾された塩基対を含むオリゴヌクレオチドの相補対である(つまり、相補対を形成する各メンバーオリゴヌクレオチドは、修飾された塩基で修飾される)。個々の修飾された塩基は、その修飾されたパートナーと安定な塩基対を形成しないが、その天然の(未修飾の)対応物とは特に安定な塩基対を形成する。したがって、2つの相補的なSBCオリゴヌクレオチドは、互いに安定な二重鎖を形成しないが、個々のSBCオリゴヌクレオチドは、相補標的などの未修飾配列と非常に安定な二重鎖を形成する。この特性は、SBC二重鎖が、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の両方またはRNA二重鎖標的と効果的に結合することを可能にする。
一つの特定の実施形態では、全ゲノム増幅で使用されるランダムプライマー混合物は、SBCオリゴヌクレオチドから本質的になる。例えば、選択的結合相補対から本質的になるプライマー混合物を生成するために、ランダムプライマー混合物中のオリゴヌクレオチド配列のデオキシアデノシンの1以上は、2-アミノ-デオキシアデノシンと交換されてよく、ランダムプライマー混合物中のオリゴヌクレオチド配列のデオキシチミジンの1以上は、2-チオ-デオキシチミジンと交換されてよい。2-アミノ-dAの組み込みは、その標的とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの能力を改善する。2-アミノ-dAヌクレオチド塩基は、未修飾のAとTとの間の2つだけのH-結合と比較して、チミン(T)と3つの水素結合(H-結合)を形成する。2-アミノA:T塩基対は、このように、G:C塩基対が形成するのと同じ数のH-結合を有する。その結果、2-アミノ-dAオリゴヌクレオチドがその未修飾標的と結合する場合、二重鎖の融解温度(Tm)は、未修飾例と比較して、添加される2-アミノ-dA残基につき約3℃まで上昇する。その上、おそらくA上の2-アミノとG上の2-アミノとの間の立体的衝突のために、2-アミノ-dAはA-Gゆらぎミスマッチも不安定にする。したがって、2-アミノ-dA修飾オリゴヌクレオチドは、それらの未修飾対応物よりも良好な、標的に対する特異性を示す。SBCオリゴヌクレオチドの優れた対は、2-アミノ-dAをAの代わりに用い、2-チオ-dTをTの代わりに用いる(本明細書においてATランダムプライマーと呼ばれる)ことによって作製することができる。2-アミノ-dAは2-チオ-dTとだ1つの水
素結合を形成するので、これらの修飾された塩基対は非常に弱く、対応する二重鎖は不安定である。しかし、2-アミノ-dAと2-チオ-dTの両方は、T塩基およびA塩基とそれぞれ効果的に結合する。一般に、20-merのDNA標的に対してアニールされた20-merのSBCは、対応するDNA-DNAハイブリッドよりも10℃高いTm値を示すが、SBC-SBCハイブリッドは、3℃低いTm値を示す。ATランダムプライマー混合物中のオリゴヌクレオチドは、2-アミノ-dAおよび2-チオ-dTに加えて、ホスホロチオエート修飾ヌクレオチドまたはLNAヌクレオチドも含んでよく、それはプライマー-標的二重鎖の融解温度(Tm)をさらに改善し、プライマー-二量体構造の形成を防ぎ、かつ/またはランダムプライマー混合物をエキソヌクレアーゼに耐性にすることができる。
介在する単離および精製工程を含まない、単一の反応器でのライゲーションとそれに続くRCAによる線状染色体DNAの単一管増幅は、標準的なヌクレアーゼ耐性ランダム六量体を用いる場合には非効率的であった(図14)。過剰な塩、ライゲーション試薬および/またはその他の副生成物が存在すると、生成されたDNA環のローリングサークル増幅は阻害された。しかし、2-アミノ-dA、2-チオ-dT、ホスホロチオエート修飾ヌクレオチドおよびLNAヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を含有するATランダムプライマー混合物を使用すると、驚くことに、介在する単離および精製工程を含まずに、ライゲーション-増幅反応を単一の反応器で進行させることが可能になる。このプライマーは、増幅反応をこれらの緩衝条件下で良好に行うことを可能にするが、標準的なヌクレアーゼ耐性ランダム六量体は、同じレベルで行うことができない。プライマー配列中のLNAヌクレオチドの位置は、それがプライマー配列の3’末端を占有しないように選択される。一部の実施形態では、ランダムプライマー混合物中の個々のオリゴヌクレオチド配列は、少なくとも1つの2-アミノ-dAまたは2-チオ-dTを含む。一つの例示的な実施形態では、単一の反応器でのRCAによるリガーゼ支援全ゲノム増幅は、一般構造、+N+N(at N)(at N)(at N)*Nを有する六量体オリゴヌクレオチド配列を含むランダムプライマー混合物を用いて実施される。ランダムプライマー混合物の濃度は、一般に、多重ランダムプライムドローリングサークル増幅を促進するために、上記の全ゲノム増幅法の間の一本鎖DNA環の濃度よりも高く保たれる。
ライゲーション支援全ゲノム増幅の増幅DNA産物を用いて、ゲノムDNAライブラリーを作製することができる。ゲノムライブラリーは、増幅DNA産物を断片化することによって作製されてよい。一部の実施形態では、断片化された産物には、鎖状体の増幅DNA産物の単一の単量体配列が含まれる。一部のその他の実施形態では、断片化された産物には、鎖状体の増幅DNA産物の1以上の単量体配列が含まれる。増幅DNA産物は、さらに配列決定されてよい。シークエンシングは、NextGenシークエンシング技法をはじめとする、当分野で確立されたDNAシークエンシングの技法のいずれかを用いることによって実施されてよい。増幅DNA産物はDNA環の縦列反復配列であるので、増幅DNA産物のシークエンシングを用いて、NextGenシークエンシング技法に関連するシークエンシングエラーを除去することができる。ハイスループットDNAシークエンシングの主な制限は、高率で生じる間違った塩基要求である。ライゲーション支援RCA増幅による全ゲノム増幅によるゲノムDNAライブラリーの作製は、作製されたゲノムDNAライブラリーのシークエンシングエラーの頑強な下流の計算による補正を可能にする。線状染色体DNA鋳型は環状化され、ローリングサークルポリメラーゼによって縦列に複数回コピーされ、その後、任意のハイスループットシークエンシング機で配列決定されるので、生じる各読み取りデータは、計算によって処理されて、最初の配列の全ての関連するコピーのコンセンサス配列を得ることができる。コピーを物理的に結び付けることは、各コピーが独立に最初の配列に由来し、そのようなサークル・シークエンシング・プロトコールでのコンセンサス配列の効率的な形成を可能にすることを確実にする。本明細書に記載される全ゲノム増幅の方法は、このように、全ゲノムの単一管増幅とそれに続く作
製されたゲノムDNAライブラリーの誤りのないシークエンシングのための簡便なプロトコールを許容する。ゲノムDNAライブラリーは、標的ゲノムDNAのハイブリダイゼーションに基づく捕捉にも使用することができる。ハイブリダイゼーションに基づく捕捉は、溶液で、または表面で(例えば、マイクロアレイに基づく捕捉)実施されてよい。溶液に基づく標的捕捉は、一般に、特に多数の試料が含まれる場合に、よりスケーラブルであり、経済的である。さらに、標的DNAの溶液に基づく捕捉は、カバレッジの均一性の向上をもたらす。捕捉された標的DNAは、標的化再シークエンシングによってさらに配列決定されてよい。標的DNA配列は、エクソーム解析を可能にするためにゲノムDNAのエクソーム領域であるように選択されてよい。
一部の実施形態では、多置換増幅(MDA)による制限量の線状の断片化されたDNAの増幅のための方法が提供される。MDAの従来法は、線状の断片化されたDNAで試みた場合、増幅速度の低下および非常に配列に偏った増幅をもたらした。さらに、重要な配列の脱落が特に断片化されたDNAの末端の近くで多くの場合観察された。これらの制限を克服するために、断片化されたdsDNAは最初にssDNAに変換される。次に、ssDNAは、鋳型非依存性分子内ライゲーション反応によって一本鎖環状DNA(すなわちDNA環)に変換され、それにより問題の多いDNA末端を除去する。500bpよりも短いssDNA配列でさえも、ssDNAの鋳型非依存性分子内ライゲーションを用いて環状化することができる。さらに、ssDNAのライゲーションが鋳型に依存しない方法で実施される場合には、標的配列の事前の知識はDNA環を作成するために必要でない。環状化の前に、断片化されたDNAをPNKで処理してライゲーションできない末端を修復することができる。断片化されたssDNAを環状化した後、環状化されたDNAでMDAが実施される。増幅反応は、ローリングサークル増幅(RCA)方法を用いることによって等温条件下で実施することができる。RCAは、TempliPhi(商標)RCAキット(GEヘルスケア)などの市販のRCA増幅キットを用いて実施することができる。TempliPhi(商標)ローリングサークル増幅は、ロックド核酸を含有するランダムプライマーを用い、それはより高い感受性および増幅バランスを提供する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼ耐性プライマーがRCA反応に使用される。本明細書に開示される方法は、増幅感受性を向上させ、配列の脱落を減らし、よりバランスのとれた増幅を可能にする。一本鎖の断片化されたDNAの鋳型非依存性環状化は、低い濃度でさえ、より短い配列で達成され得るので、リガーゼ支援全ゲノム増幅を高度に断片化されたDNA(例えば、血漿中の循環DNA)の増幅に用いる場合、速度が速く配列包括度の向上した、よりバランスのとれたDNA増幅を達成することができる。例えば、ssDNAの持続長は、ssDNAの鋳型非依存性環状化に関して15ヌクレオチドと低いことがある。CIRCLIGASE(商標)をライゲーション反応に用いる場合、標準条件下で、線状のコンカテマーまたは環状のコンカテマーはほとんど生成されない。さらに、環状化および増幅反応は、ともに中間の精製もしくは単離工程を含まずに単一の反応器で実施することができ、それにより汚染の機会を減らし、増幅ワークフローを単純化することができる。リガーゼ支援全ゲノム増幅法は、限定されるものではないが、循環血漿無細胞DNA、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料から単離され断片化されたDNA、環境条件経の曝露によって損傷した法医学DNA試料または非常に古いDNA試料を分析するために用いることができる。増幅されたライブラリーは、qPCRまたはシークエンシングによって、増幅された配列の標的検出にさらに使用されてよい。
ssDNA断片のDNA環への事前のライゲーションとそれに続くローリングサークル増幅を含む、本明細書に記載される様々なライゲーション支援全ゲノム増幅法は、高分子量ゲノムDNAよりも断片化されたDNAの優先増幅をもたらす。例えば、循環DNAを含む血漿調製物は、精製プロセス中に血液細胞から放出されるゲノムDNAでしばしば汚染されることがある。MDAによる全ゲノム増幅の従来法は、循環DNAとゲノムDNAの両方を増幅する。対照的に、断片化された循環DNA分子が最初にTS2126 RN
Aによって環状化され、その後にPhi29DNAポリメラーゼを用いるRCAによって環状化されたDNA分子が増幅される場合、循環DNAは高分子量ゲノムDNAよりも優先的に増幅された。そのような、断片化されたDNAのゲノムDNAへの優先増幅は、診断上関連するDNAを下流の分析のために優先的に増幅することができるので、診断用途に特に適している(実施例4参照)。さらに、リガーゼ支援全ゲノム増幅は、従来のMDAに基づく全ゲノム増幅と比較した場合に、断片化されたDNAのより強い増幅を許容する。
図1は、断片化されたdsDNAのリガーゼ支援全ゲノム増幅の一実施形態の模式図を示す。二本鎖DNAの持続長は非常に高く(約150bp)、その生得的な剛性は500bp未満の断片の環状化を非常に非効率的にする。さらに、約250bpの範囲の小型の二本鎖の断片化されたDNA分子で、末端が適切なアラインメントでない限り、環状化は非効率的である(約10.5bp/回転)。対照的に、一本鎖の断片化されたDNAの環状化の持続長は、二本鎖の断片化されたDNAと比較すると非常に小さく約15ヌクレオチドである。図1に示されるように、リガーゼ支援全ゲノム増幅において、断片化されたdsDNAは、最初に一本鎖DNA環に変換される。これは、断片化された二本鎖DNAを95℃で十分な時間インキュベートしてdsDNAを一本鎖に変性させることによって実現することができる。次に、断片化されたssDNAを、一本鎖DNA基質の鋳型非依存性分子内ライゲーションの能力のあるDNAまたはRNAリガーゼで処理して、一本鎖DNA環を生成する。分子内ライゲーションに使用され得るリガーゼの限定されない例としては、CIRCLIGASE(商標)、T3 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、Mth RNAリガーゼ(MthRnl1)、または大腸菌リガーゼが挙げられる。次に、DNAポリメラーゼ、ランダムプライマー、およびdNTPを含む増幅試薬を添加して一本鎖DNA環のRCA反応を開始させる。RCAを用いるこのリガーゼ支援全ゲノム増幅は、従来の全ゲノム増幅法とは対照的に配列の脱落および増幅の偏りの低下した大量のDNAを生成する。そのため、それは非常に断片化されたDNAでさえも増幅および検出するために使用され得る。一本鎖DNA環の生成およびRCAによるそのその後の増幅の全プロセスは、精製工程が介在することなく単一の管で行われる。
一部の実施形態では、ライゲーションできないDNA末端を修復するための断片化されたDNAのプロセシングを含む、断片化されたDNAのリガーゼ支援全ゲノム増幅に対して、単一管ワークフローが提供される。例えば、断片化された一本鎖DNAが5’ホスホリル基および3’ヒドロキシル基を含まない場合、それは分子内ライゲーション反応において連結されないことがある。そのようなライゲーションできないDNA配列の存在は、リガーゼ支援全ゲノム増幅において増幅の偏りを引き起こすことがある。例えば、図8に概略的に表されるように、細胞死の間のDNアーゼII消化により生成されるDNA断片は、5’ヒドロキシル基、3’ホスホリル基を含むことがある。そのような5’ヒドロキシル基、3’ホスホリル基を含む二本鎖DNA断片から生じる一本鎖DNA断片は、分子内ライゲーション反応において環状化されない。したがってDNアーゼII型の切れ目は、全ゲノム増幅において標本として不十分である。一部の実施形態では、断片化されたDNAは、キナーゼ(例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼ、TPK)で処理されて断片化されたDNAの5’ヒドロキシル基をリン酸化し、かつ/または3’ホスホリル基を脱リン酸化する。キナーゼを反応に含めることにより、5’リン酸を含まないプールの断片の効率的な環状化が許容される。断片化されたDNAの5’末端をキナーゼでリン酸化し、その後断片化されたDNAを増幅することにより、より代表的なライブラリーが作成される。
一部の実施形態では、断片化されたdsDNAのリン酸化修復は、T4 PNKキナーゼを用いて実施することができる。リン酸化修復は、断片化されたdsDNAかまたは変性し断片化されたssDNAのいずれかで実施されてよい。リン酸化修復がdsDNAで
実施される場合、修復されたdsDNAをその後変性させて線状ssDNAとしてよく、それはその後にCIRCLIGASE II(商標)(CLIIと略される)を用いて環状化させることができる。CIRCLIGASE II(商標)は、実質的にアデニル化形態のTS2126 RNAリガーゼを含む。CIRCLIGASE II(商標)によるssDNAの鋳型非依存性分子内ライゲーションは、より高い濃度のATPまたはdATPによって阻害される。しかし、キナーゼによるリン酸化修復は、多くの場合ATPの存在を必要とする。さらに、DNAに損傷を与えずに反応混合物からATPを除去することは容易でないことがある。例えば、ATPを除去するための反応混合物のホスファターゼ処理も、結果として(DNAが、例えば、プレ-アデニル化によって保護されていない限り)DNAの脱リン酸化をもたらし、したがってDNA鎖をライゲーション不可能にする。結果として、精製もしくは単離工程が介在することなく、単一管において、断片化されたDNAのリン酸化修復およびssDNA環の生成を実施することは、困難な場合が多い。本明細書において提供される方法は、キナーゼ反応中にATPの代わりにGTP、CTP、UTPまたはdTTPを用いる。CIRCLIGASE II(商標)はGTPまたは代替リン酸供与体(例えば、CTPまたはUTP)に対する寛容性が高いので、キナーゼ修復工程およびライゲーション工程は、精製および/または単離工程を介在させずに、単一の反応器で実行することができる。キナーゼ反応混合物は、マンガン塩およびベタイン(両性イオントリメチルグリシン)などの追加の試薬をさらに含んでよい。連結させると、ssDNA環を増幅させることができる。ライゲーションおよび増幅反応を比較的低濃度のGTPで実行することにより、本明細書に記載される単一管ワークフローは、酵素処理間の間欠性のクリーンアップ工程を回避し、DNA鋳型の喪失を最小限に抑える(キナーゼ修復、ライゲーションおよび増幅を伴う単一管ワークフローの模式図について図9を参照)。
一部の実施形態では、線状DNAから一本鎖DNA環を生成するための代替法が提供される。該方法は分子内ライゲーション工程の前にDNAプレ-アデニル化工程を用いる。最初に、線状DNAは、ATPの存在下でポリヌクレオチドキナーゼとともにインキュベートされて、5’末端にリン酸基を有し、3’末端にヒドロキシル基を含むライゲーション可能なDNA配列を生成することができる。その後、ライゲーション可能なDNA配列をアデノシン三リン酸の存在下でアデニル化酵素とともにインキュベートして、5’アデニル化DNA配列を生成する。5’アデニル化DNA配列は、遊離3’ヒドロキシル基を有する。ライゲーション反応でのATPの濃度は、ライゲーション可能なDNA配列の3’末端でアデニル化が起こらないように選択される。その後、5’アデニル化DNA配列を、5’アデニル化DNA配列の鋳型非依存性分子内ライゲーションの能力のある非アデニル化リガーゼとともにインキュベートして、一本鎖DNA環を生成する。ATP依存性非アデニル化リガーゼを分子内ライゲーション反応に用いる場合、ATPは、分子内ライゲーション反応の前に反応混合物をホスファターゼで処理することにより反応混合物から除去されているべきであり得る。DNAの末端ヌクレオチドの5’リン酸塩(通常、ホスファターゼによって除去される)は、プレ-アデニル化のためにホスファターゼ処理から保護される。DNAが二本鎖形態である場合、それは分子内ライゲーション反応の前に変性させる必要がある。この方法の全ての工程は、単離もしくは精製工程を介在させずに、単一の反応器で実施される。
一部の実施形態では、好熱性古細菌、メタノバクテリウム・テルモオートトロフィカム(Mth RNAリガーゼ1)に由来するRNAリガーゼIなどのRNAリガーゼをATPの存在下で使用して線状DNAのアデニル化形態を生成する。一本鎖DNA環を生成するために、自己アデニル化、脱アデニル化および/またはアデニル酸転移のできない変異体または適切に操作されたATP非依存性リガーゼを、アデニル化線状DNAの分子内ライゲーション反応に使用してよい。例えば、Mth RNAリガーゼのモチーフVリジン変異体(K246A)を用いることができる。この変異体はプレ-アデニル化基質で完全
なライゲーション活性を有する。モチーフI(K97A)において触媒リジンに対するアラニン置換を有するMth RNAリガーゼ変異体を用いてもよい。K97A変異体の活性は、供与体基質としてプレ-アデニル化RNAかまたは一本鎖DNA(ssDNA)のいずれかと類似しているが、同一配列をもつssDNAと比較して受容体基質としてRNAに対して2倍優先される。TS2126 RNAリガーゼなどのATP依存性リガーゼが5’アデニル化DNA配列の分子内ライゲーション反応に用いられる場合、反応中のATPは、ライゲーション反応の前に除去されているべきであり得る。
一部の実施形態では、代替ワークフローを用いるリガーゼ支援全ゲノム増幅が提供される。このワークフローの模式図は図11に提供される。この方法は、ライゲーションおよび増幅の前に、断片化されたDNAをキナーゼで修復することおよび断片化されたDNAの5’末端をATPの存在下でRNAリガーゼまたはDNAリガーゼでプレ-アデニル化することを含む。ライゲーションできない末端を有する配列(例えば、5’ヒドロキシルおよび/または3’ホスホリル基を含む配列)を含む断片化されたDNAは、キナーゼで処理することによって5’末端でリン酸化され、3’末端で脱リン酸化されて、ライゲーション可能なDNA配列を生成する。次に、ライゲーション可能なDNA配列をATPの存在下でMth RNAリガーゼ(MthRnl 1)などのRNAリガーゼを用いてアデニル化して、断片化されたDNAのアデニル化形態を生成することができる。ATPはその後に反応混合物をホスファターゼ(例えば、シュリンプアルカリホスファターゼ(SAP))で処理することによって反応混合物から除去される。DNAの5’アデニル化のための、当技術分野で利用可能ないずれの方法を用いてもよい(例えば、RNAリガーゼ、DNAリガーゼまたは合成法)。次に、プレ-アデニル化一本鎖線状DNAを、CIRCLIGASE I(商標)などの低い程度のアデニル化を有するRNAリガーゼで処理して、分子内ライゲーションによってDNA環を生成する。次に、RCAを使用してDNA環を増幅させる。CIRCLIGASE I(商標)が分子内ライゲーションによってDNA環を生成する実施形態では、分子内DNAライゲーションおよびその後の増幅反応はATPの不在下で実施される。CIRCLIGASE I(商標)によるプレ-アデニル化ssDNAの環状化はATPによって阻害されるので、キナーゼ処理およびプレ-アデニル化反応の後の反応混合物からのATPの除去は必須である。一部の実施形態では、ATPは、ホスファターゼによる処理によってアデノシンおよびリン酸に変換される。たとえアデノシンが環状化反応に対して抑制性でないとしても、結果として得られるリン酸塩が分子内ライゲーション反応を阻害することがある。生成されたリン酸塩は、反応混合物をリン酸塩封鎖酵素で、またはリン酸塩を沈殿または除去する試薬(例えば、LayneRT樹脂などのリン酸塩結合樹脂)で処理することによって、溶液からさらに除去することができる。リン酸塩の除去は、マルトースのグルコースおよびグルコース-1-リン酸塩への変換を触媒するマルトースホスホリラーゼなどの酵素で反応混合物を処理し、それによりリン酸塩を溶液から除去することによっても実現することができる。キナーゼを反応に含めることにより、5’リン酸塩および/または3’ヒドロキシル基を含まないプールのDNA断片の環状化および増幅が許容され、それによって、リガーゼ支援増幅による、より代表的なライブラリーが作製される。標的DNAのプレ-アデニル化は、分子内ライゲーション反応に、低い程度のアデニル化を有するリガーゼ(例えば、約30%アデニル化されているCIRCLIGASE I(商標))を使用することを容易にする。高い程度のアデニル化を有するリガーゼ(例えば、CIRCLIGASE II(商標))は、非アデニル化DNAを1回だけしか連結しないので、これは興味深いものであり得る。したがって、化学量論量のリガーゼがしばしば分子内ライゲーション反応を完了させるために必要とされる。対照的に、低い程度のアデニル化を有するリガーゼ(例えばCIRCLIGASE I(商標)など)は、高い回転率を有し、可逆的かつ触媒的にまたは繰り返して、複数のプレ-アデニル化されたDNA分子に作用することができる。これは、ライゲーション速度を高め、必要なリガーゼの量を減らし、潜在的により困難または複雑なDNA鋳型の環状化の増加を可能にする。
一部の実施形態では、リガーゼ支援全ゲノム増幅のための方法は、全血または尿などの生体試料中の循環核酸(例えば、生体試料の非細胞画分由来の循環DNA)の増幅およびその後の検出に使用される。循環核酸は、アポトーシス細胞または壊死細胞に起源をもつものであってもよいし、細胞から活発に放出されたものであってもよい。細胞ヌクレアーゼは高分子量ゲノムDNAを小型のヌクレオソームの大きさの断片に分解するので、循環核酸は天然に高度に断片化されている。高度に断片化された循環核酸は多くの場合、従来の核酸増幅法に従わない。さらに、循環核酸は血流中に非常に少量で存在する。二本鎖循環線状核酸の標準的なローリングサークル増幅(RCA)は、非効率的であり、非常に偏っている。ローリングサークル増幅の前に循環核酸を一本鎖に分離し、リガーゼによって環状化することは、効率を高め、偏りを少なくする。そのような希薄なDNA鋳型によって良好なRCA速度および高い感受性を可能にするために、過剰なライゲーション試薬、塩およびその他のライゲーション反応の副生成物の存在下で、ヌクレオチド類似体および/またはLNAを含むプライマーを用いるRCA法が用いられる。この改良されたRCAは、微量DNAおよび単一細胞増幅のために最適化された。
一部の実施形態では、全血由来の循環DNAを増幅する方法が提供される。循環DNAは、全血の非細胞画分(例えば、血漿または血清)から増幅される。この方法は、全血の非細胞画分を収集する工程、非細胞画分から循環DNA(主にその天然の二本鎖形態に存在)を収集する工程、二本鎖DNAを変性させて線状一本鎖DNAを生成する工程、循環一本鎖DNA分子を環状化して一本鎖DNA環を生成する工程、およびローリングサークル増幅によって一本鎖DNA環を増幅する工程を含む。持続長のために、150bpよりも小さい配列長を有するdsDNAを環状化することは通常可能ではなく、DNAが200bpよりも長くなるまでdsDNAを環状化することは非常に困難である。対照的に、15ヌクレオチド(nt)以上の配列長を有する線状ssDNA分子は、5’末端がリン酸化され、3’末端がヒドロキシル化されている限り、適したリガーゼによって非常に効率的に環状化される。一本鎖DNA環を生成するための一本鎖DNAの環状化は、一本鎖DNAの鋳型非依存性分子内ライゲーションの能力のあるリガーゼを用いることによって実現される。一部の実施形態では、一本鎖DNA分子の環状化は、一本鎖線状DNAを、CIRCLIGASE II(商標)などのRNAリガーゼで処理することによって実施される。
一部の実施形態では、循環DNA検出の感受性は、ssDNAライゲーション工程およびRCAの前にポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)で循環核酸をリン酸化することによってさらに高まる。PNK工程をワークフローに組み込むと、本明細書に提示されるリガーゼ支援全ゲノム増幅法は、1%のレベルでスパイクした場合に(三重反復)、雌全血中の雄循環DNAを検出することができた。鋳型非依存性分子内ライゲーションは、ssDNA鋳型が5’リン酸基および3’ヒドロキシル基を有さない限り、達成されることができない。多様な条件がDNAにおいて5’ヒドロキシルを生じる(DNアーゼII酵素切断、および血液中のホスファターゼ活性など)。PNK処理はこの問題を除去し、ローリングサークル増幅CNAライブラリーの多様性を向上させる。
一部の実施形態では、線状DNAからの一本鎖DNA環の生成のためのキットが提供される。一実施形態では、このキットは、一緒にパッケージングされた、ポリヌクレオチドキナーゼ、リン酸供与体、およびssDNA配列の鋳型非依存性分子内ライゲーションの能力のあるプレ-アデニル化リガーゼを含む。ポリヌクレオチドキナーゼは、T4 PNKであってよい。リン酸供与体は、GTP、UTP、CTPまたはdTTPから選択されてよい。一実施形態では、キットには、TS2126リガーゼが含まれてよい。TS2126リガーゼの60%超がプレ-アデニル化されていてよい。キットは、緩衝液(例えば、HEPES)、DNA増幅試薬(例えば、DNAポリメラーゼ、プライマー、dNTP
)、および、提供される方法による一本鎖DNA環の生成に用いられるその他の試薬(例えば、MnCl2、ベタイン)をさらに含んでよい。一部の実施形態では、キットには、Phi29DNAポリメラーゼおよびランダム/部分拘束プライマーが含まれてよい。もう一つの実施形態では、キットは、一緒にパッケージングされた、アデニル化酵素、ホスファターゼおよび非アデニル化リガーゼを含む。キットは、ポリヌクレオチドキナーゼおよび/またはリン酸供与体をさらに含んでよい。アデニル化酵素は、メタノバクテリウム・テルモオートトロフィカムに由来するRNAリガーゼI(Mth RNAリガーゼ)であってよい。非アデニル化リガーゼは、リガーゼの60%超がその非アデニル化形態である、TS2126リガーゼの組成物であってよい。キットには、線状DNAからの一本鎖DNA環の生成の説明書がさらに含まれてよい。
発明の実践は、説明のためだけに本明細書に提示され、添付される特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない、以下の実施例からさらにより十分に理解されるであろう。実施例の項で使用されるいくつかの略語は、略さずに書くと以下の通りである:「mg」:ミリグラム;「ng」:ナノグラム;「pg」:ピコグラム;「fg」:フェムトグラム;「mL」:ミリリットル;「mg/mL」:ミリリットル毎ミリグラム;「mM」:ミリモル;「mmol」:ミリモル;「pM」:ピコモル濃度;「pmol」:ピコモル;「μL」:マイクロリットル;「min.」:分および「h.」:時間。
実施例
実施例1:血漿由来の循環核酸の全ゲノム増幅:
Wako DNA抽出器SPキット(和光純薬株式会社)を用いて、明らかに健康な個体の、クエン酸塩-リン酸塩-デキストロース(CPD)で安定化させた血漿から循環DNAを単離した。約1.3ngを、TBE緩衝液を用いる2%アガロースゲルによる電気泳動により分析し、SYBR Goldで染色し、Typhoonイメージャで可視化した。図2に示されるように、循環DNAの大部分は約180bpの長さであった。さらなるそれよりも少ない量の配列は約370bpの長さであり、さらにそれよりもかなり少ない量のそれよりも高分子量の配列があった。
350pgの血漿由来の循環DNAを95℃で加熱して鋳型を変性させた。次に、変性した一本鎖DNA鋳型をRNAまたはDNAリガーゼで処理して一本鎖DNA環を生成した。ATP依存性T4 DNAリガーゼ、細胞にコードされたNAD依存性大腸菌DNAリガーゼまたは熱安定性RNAリガーゼ(CIRCLIGASE II(商標))をライゲーション反応に使用した。次に、100pgのDNAを連結した一本鎖DNA環を、Phi29DNAポリメラーゼを用いるGenomiPhiキット(GEヘルスケア)を用いる全ゲノム増幅に供した。「(at N)」が、2-アミノ dA、2-チオ-dT、正常なGおよび正常なCを含有するランダム混合物を表す、プライマー混合物+N+N(at N)(at N)(at N)*Nを用いて増幅を実施した。リアルタイム増幅は、少量のSYBRグリーンIを増幅混合物に添加し、Tecanプレートリーダー(Tecan SNiPer,Amersham-Pharmacia Biotech)で経時的に蛍光シグナル増加をモニターすることによって実施した。比較のために、当量濃度の未処理ゲノムDNA、未処理血漿DNA、およびDNA鋳型を含まない(鋳型増幅のない)試料を含めた。
図3に示されるように、同等量の高分子量ゲノムDNAと比較した場合に、未処理の断片化された血漿DNAの増幅速度は、はるかに低く、増幅の欠陥を示した。しかし、断片化された血漿DNAが前処理され、CIRCLIGASE II(商標)を用いて一本鎖DNA環に変換された場合、急速な増幅速度が実現された(図3A)。ATP依存性T4 DNAリガーゼ(図3B)および細胞にコードされたNAD依存性大腸菌DNAリガー
ゼ(図3C)を含むリガーゼも効果的であったが、断片化された血漿DNAの増幅速度を回復させるには効率が低かった。これらの実施例では、増幅速度の相対的な増加は、一本鎖DNA鋳型の分子内ライゲーションを促進する際のリガーゼの各々の有効性を示す。
実施例2:リガーゼ支援全ゲノム増幅により増幅させた血漿由来の循環核酸の分析。
実施例1で生成した増幅DNAを、4つの異なるCODIS遺伝子座(vWA、TPOX、D8S1129、およびD13S317)を標的とするプライマーを用いる定量的PCRによってさらに分析して、感受性がありバランスのとれたDNA増幅を促進するためのリガーゼ支援全ゲノム増幅法の有効性を試した。これらのDNAレベルを増幅させていないDNAから得た値と比較して、増幅後の相対的な発現レベルを決定した。図4に示されるように、両方の例において、未処理血漿DNAの増幅は、配列の脱落を導くか、または試験した遺伝子座で標本として非常に不十分であるDNAを生成した。対照的に、この方法にCIRCLIGASE II(商標)かまたはT4 DNAリガーゼのいずれかを含めると、4つの遺伝子座の配列の脱落を防ぎ、増幅させた高分子量ゲノムDNAに表示の点でより類似するDNAを生成した。CIRCLIGASE II(商標)を一本鎖DNAリガーゼとして使用する実施例では、12の異なるCODIS遺伝子座を標的とするプライマーを用いる定量的PCR(qPCR)によって試験した12の異なるCODIS遺伝子座のうち、11を増幅後に回収したが、増幅させた未処理血漿DNAでは4しか存在しなかった(図5)。図5において、報告されるCt値は、2つの複製の平均である。Ct値が未決定であったPCR反応は「X」で印がつけられている。
実施例3:リガーゼ支援全ゲノム増幅の反応条件の最適化。
リガーゼ支援DNA増幅反応を、TS2126 RNAリガーゼによる一本鎖DNA分子のライゲーション反応の効率を最適化することによってさらに最適化した。標準的な製造業者の推奨する緩衝液からマンガンを除去することによって増幅率がバックグラウンドレベルまで低下したので、金属イオンの存在はライゲーション反応に必要不可欠であった。未処理ゲノムDNAおよび未処理血漿DNAを、変更した緩衝条件を用いてCIRCLIGASE II(商標)で処理した血漿DNA試料と比較した(図6)。全ての緩衝条件は、33mM KOAc、0.5mM DTT、および1Mベタインを含んだ。指示される場合、緩衝液は33mM TRIS-酢酸塩(pH7.5)または33mM HEPES-KOH(pH8.0)を含み、さらに2.5mM MgCl2かまたは2.5mM MnCl2を含んだ。少量のSYBRグリーンIを増幅混合物に添加し、Tecanプレートリーダーで経時的に蛍光の増加をモニターすることによってリアルタイム増幅を実施した。増幅閾値は、蛍光がバックグラウンドレベル(2000RFU)より高くなる時点である。
リガーゼ支援全ゲノム増幅反応(試料100pg)の増幅速度の比較を図6に示す。マグネシウムとマンガンの両方が、標準的なTRIS緩衝液の存在下で同様の効果を促進したが、HEPES緩衝液pH8.0の存在下でマンガンとマグネシウムの組合せが、高い増幅率を促進するのに最も効果的であったことが観察された。HEPES緩衝液がこの反応条件において血漿DNAの環状化効率を増加させたことは、HEPES緩衝液中のマンガン陽イオンの酸化の減少に起因し得る。
実施例4:リガーゼ支援全ゲノム増幅における高分子量ゲノムDNAの増幅の抑制。
未処理のゲノムDNAの全ゲノム増幅反応の増幅速度を、CIRCLIGASE I(商標)およびCIRCLIGASE II(商標)で処理したゲノムDNA試料(試料100pg)と比較した。結果を図7に示す。図7に示されるように、ゲノムDNAのCI
RCLIGASE(商標)処理は、高分子量ゲノムDNAの増幅率に抑制効果(血漿DNAへのプラスの効果とは異なる)を生じた。抑制は、CIRCLIGASE I(商標)およびCIRCLIGASE II(商標)の両方について明白であった。
Phi29に基づく増幅がリガーゼによって抑制されたかを調査するために、未処理のゲノムDNAを活性のあるリガーゼの存在下で増幅させた。少量のSYBRグリーンIを増幅混合物に添加し、Tecanプレートリーダーで経時的に蛍光の増加をモニターすることによってリアルタイム増幅を実施した。増幅閾値は、蛍光がバックグラウンドレベル(2000RFU)より高くなる時点である。ゲノムDNA増幅の抑制は、増幅中に存在する、活性のあるリガーゼの効果ではないことが観察された。
血液細胞由来のゲノムDNAはしばしば循環核酸の調製物を汚染し、診断価値が少ないので、高分子量ゲノムDNAよりも循環の増幅を優先することは、特定の用途に有利であり得る。
実施例5:リガーゼ支援全ゲノム増幅を用いる断片化されたDNAの単一管増幅-分子内ライゲーションの前のキナーゼによる循環DNA断片のリン酸化の効果。
循環DNA断片のキナーゼによるリン酸化は、血漿中の循環DNAのより感受性の高い検出を許容した。雄-雌血漿/血液混合実験を実施して、キナーゼで処理したインプットDNAから作成したライブラリーがより代表的であったことを確立し、DYS14雄特異的マーカーのより感受性の高い検出を可能にした(図10、3/3複製物、それに反してリン酸化が行われなかった場合は1/3しか検出されなかった)。100μLの血液/血漿混合物を以下の通り調製した:100A:100%雄血漿;5A~C:雌全血に5%v/vでスパイクした雄血漿;1A~C:雌全血に1%v/vでスパイクした雄血漿;および0A:100%雌血液。MF1膜(Whatman)を通した横の流れによって血漿を血液細胞から分離し、それに続いて乾燥させ一晩貯蔵したセルロースパッドの上に収集した。次に、循環DNAを、標準的なヨウ化ナトリウム/洗浄剤に基づく方法であるWako抽出器SPキット(和光純薬株式会社)の変更によって、セルロースパッドから単離した。次に、約1.8ngのDNAを、GTP、マンガン、およびベタインの存在下、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてまたは用いずに処理し、次にCIRCLIGASE II(商標)で処理して一本鎖DNA断片を環状化した。次に、DNAをGenomiPhi全ゲノム増幅(GEヘルスケア)に供し、生成物を定量的PCRで分析して、2つのマーカー:Dys14(Y-染色体に位置するマルチコピー遺伝子であり、雄画分だけから検出可能であるべきである)、およびD16S539(染色体16に位置するSTR遺伝子座であり、雄と雌の両方の画分から検出可能であるべきである)の検出を評価した。反応は、ワークフロー中に中間の精製もしくは単離工程を含まずに、単一の反応器で実施された。これは、比較的低い濃度のGTPでリン酸化反応を実施することによって実現された。
図10は、キナーゼを反応に含めることにより、5’リン酸塩を含まないプールのDNA断片の環状化および増幅が許容され、それによって、より代表的なライブラリーが作成されることを示す。これには、細胞死の間にDNアーゼII消化によって特異的に生成される5’ヒドロキシルを含有するDNA断片が含まれる。雄-雌血漿/血液混合実験を用いて、キナーゼで処理したインプットDNAから作成したライブラリーがより代表的であったことが証明され、DYS14雄特異的マーカーのより感受性の高い検出(3/3複製物、それに反してリン酸化が行われなかった場合は1/3しか検出されなかった)を可能にした。
実施例6:環状化反応の前の断片化DNAのプレ-アデニル化の効果。
40分でリン酸化されたかまたはプレ-アデニル化された小型のDNA断片の環状化の効率は、異なる量のCIRCLIGASE(商標)酵素で評価される。5’位にリン酸基かまたはアデニル化を含む、2.5pmolの64-merオリゴヌクレオチドを、漸増量のCIRCLIGASE I(商標)またはCIRCLIGASE II(商標)で40分間60℃で処理した。環状化率を、線状および環状の位置のバンドの強度を走査することによって求めた。図12に示されるように、断片化されたDNAのプレ-アデニル化は、ライゲーションおよび増幅速度を向上させた。図12では、P-64merは、5’-リン酸化された64-ntオリゴヌクレオチドを表し;ad-64は、プレ-アデニル化された64-ntオリゴヌクレオチドを表す。プレ-アデニル化DNAは、標準的なリン酸化されたDNAよりも急速に環状化された。さらに、アデニル化の程度の低いライゲーション酵素は、モル過剰の基質のライゲーションを触媒し、リガーゼがプレ-アデニル化されたDNA分子と連結する複数の機会を有することを示した。そのことは、ライゲーション速度を増加させ、より困難な鋳型の環状化の増加を可能にする可能性がある。
実施例7:プレ-アデニル化ワークフローを用いる5’-リン酸塩および5’-ヒドロキシル含有オリゴヌクレオチドの環状化。
5pmolの64-merオリゴヌクレオチドを含有する、5’位にリン酸基かまたはヒドロキシル基のいずれかとの反応物を、1.25UのT4ポリヌクレオチドキナーゼで指示される場所で37℃で処理した。25pmol Mth RNAリガーゼとの65℃でのインキュベーションの後、反応物を0.25単位のシュリンプアルカリホスファターゼで処理した。Mth RNAリガーゼはATP濃度に対して非常に感受性が高いので、標準的な100μMのATP濃度で、Mth RNAリガーゼは、DNA末端をほとんどアデニル化する。このATP濃度ではMth RNAリガーゼによる分子内ライゲーションは起こらない。酵素は各々のインキュベーションの後に熱失活させた。最後に、反応物を、指示される場所で50単位のCIRCLIGASE I(商標)で処理し、60℃で60分間インキュベートした。環状化率を、線状および環状の位置のバンドの強度を走査することによって求めた(図13)。P-64merは、5’-リン酸化された64-ntオリゴヌクレオチドを表し;ad-64merは、プレ-アデニル化された64-ntオリゴヌクレオチドを表す。
図11は、5’-リン酸塩または5’-ヒドロキシル基を含有する線状オリゴヌクレオチドが環状形態に変換される、「単一管」プレ-アデニル化ワークフローを示す。この「単一管」プロセスにおいて、基質は、中間の精製工程を含まずに、ポリヌクレオチドキナーゼ、Mth RNAリガーゼ、シュリンプアルカリホスファターゼ、およびCIRCLIGASE I(商標)で連続的に処理される。
実施例8:血漿由来の断片化された核酸の全ゲノム増幅の速度:
Wako DNA抽出器SPキット(和光純薬株式会社)を用いて、明らかに健康な個体から血漿DNAを単離した。1ngの精製された血漿DNAを95℃で加熱して鋳型を変性させた。次に、変性した一本鎖DNA鋳型をRNAリガーゼ(CIRCLIGASE II(商標)、Epicenter)で処理して一本鎖DNA環を生成した。ライゲーション反応のために、50mM HEPES、pH8.0、66mM KOAc、0.5mM DTT、1Mベタイン、および30U CIRCLIGASE II(商標)(Epicentre)を含有するライゲーション反応混合物(6μL)とともに血漿DNAを60℃で2時間インキュベートした。その後に反応混合物を80℃で10分間インキュベートすることによってリガーゼを熱失活させた。次に、一本鎖DNA環を、phi29 DNAポリメラーゼを用いるランダムプライムドローリングサークル全ゲノム増幅を用いる全ゲノム増幅に供した。一本鎖DNA環は、DNAの精製を介在させずに、ライゲー
ション反応混合物を以下の条件:20mM MgCl2、1mM TCEP、0.01% Tween-20、2.5% PEG-8000、40μM ATランダム六量体プライマー混合物、20ng/μL Phi29ポリメラーゼおよび50mM HEPES(pH8.0)に調節して最終容積を20μLとすることによって、同じ反応器で増幅された。増幅反応混合物を30℃で10時間インキュベートし、その後に65℃で20分間ポリメラーゼを熱失活させた。リアルタイム増幅は、少量のSYBRグリーンIを増幅混合物に添加し、Tecanプレートリーダー(Tecan SNiPer,Amersham-Pharmacia Biotech)で蛍光シグナル増加を経時的にモニターすることによって実施した。増幅は、「at N」が2-アミノ dA、2-チオ-dT、正常なGおよび正常なCを含有するランダム混合物を表す、配列+N+N(at N)(at N)(at N)*N(ATランダム六量体)を有するランダムプライマー混合物を用いて実施した。
比較のために、上記と同じプロトコールを用いて、当量濃度の血漿DNAを標準的なランダム六量体(NNNN*N*N)およびDNA鋳型を含まない(鋳型コントロールのない)試料で増幅させた。図14に示されるように、ATランダム六量体プライマー混合物を用いて実施した増幅反応は、驚くことに、標準的なランダム六量体と比較して、より速い速度を示し、著しく高い増幅産物DNA収率を生じた。標準的なランダム六量体を用いるDNA収率の0.84μgと比べると、ATランダム六量体を用いる増幅のDNA収率は、2.25μgである。DNA収率は、「鋳型コントロールなし」(NTC)反応についてはゼロである。図14に示されるように、ATランダム六量体などの修飾されたヌクレオチドを含むランダムプライマーが使用される場合に、CIRCLIGASE II(商標)を用いて血漿DNAを一本鎖DNA環に連結し、変換すると、急速な増幅速度が達成された。(図3)。単一管ライゲーションおよび増幅反応は、ベタイン、酢酸カリウム、およびマンガンをはじめとする、DNAライゲーション反応からのキャリーオーバー成分を含み、それらは増幅に対して阻害効果を有することが一般に公知である。しかし、反応が、修飾されたヌクレオチドを含むATランダム六量体の存在下で実施された際、増幅に対するこの阻害効果は驚くほど最小限であった。図14に例示されるような増幅速度の相対的増加は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを含むランダムプライマー混合物の、介在する単離および精製工程を含まない、同じ反応器中の一本鎖DNA鋳型の分子内ライゲーションの後のローリングサークル増幅反応を促進する際の有効性を示す。
実施例9:リガーゼ支援全ゲノム増幅により増幅させた血漿由来の核酸の分析。
実施例8で生成した増幅DNA産物を、エタノール沈殿法によって精製し、シークエンシング反応に供して、ATランダム六量体プライマーを用いるリガーゼ支援全ゲノム増幅法の品質を決定した。Ion Torrent PGMを318個のチップおよび200bpの読み取り長さ使用するIon Ampliseq Comprehensive Cancer Panelシングルエンド標的化シークエンシングを用いてシークエンシングを実施した。図15に例示されるように、ATランダム六量体を用いて増幅DNA産物は、標準的なランダム六量体を用いて増幅されたDNAよりも高品質である。AT六量体を用いて増幅させたDNAの回収された塩基の百分率は、バルク非増幅血漿DNAから得たものにより近い。表2に示されるように、AT六量体を用いて増幅されたDNAのカバレッジ深度および均一性レベルは、バルク非増幅血漿DNAから得たものにより近い。
ATランダム六量体を用いる標的配列領域の全体にわたって観察される、より高い全体的なカバレッジおよび均一性は、既知のClinVar変異部位で測定された臨床的に関連のある一塩基多型(SNPs)を含む領域でも、より高いカバレッジ深度をもたらした(図16、図中、ラベリングはカバレッジの平均深度、1x深度、15x深度などを示す)。この図は、全てのカットオフレベルで、ATプライマーが、ランダムプライマーよりも多くの割合のClinVar変異領域をカバーすることを示す。対照的に、環状化工程を行わずに血漿DNAを直接に増幅させるワンステップ反応では、配列包括度は非常に不十分であり、これらの領域のカバレッジ深度は変わりやすく、ClinVar変異部位でのカバレッジは不十分であった。
実施例10:標的化再シークエンシングのための単一管FFPE組織抽出、DNA環状化、修復、およびゲノム増幅。
FFPE組織スライドの脱パラフィンは、FFPE組織スライドを65℃のオーブンで1時間インキュベートすることによって実施した。脱パラフィン化されたスライドを、HISTOCHOICE(商標)Clean Agent(AMRESCO、カタログ番号H103)を5分間使用して、2回洗浄した。スライドを連続的に100%エタノール(2回、各回5分)、75%エタノール(1回、5分)および50%エタノール(1回、5分)で洗浄した。次に、スライドをヌクレアーゼフリー水ですすぎ、風乾した。抗原は、クエン酸塩-TRIS抗原回収(AR)緩衝液を使用してスライドから回収した。クエン酸塩-AR(pH6.0)およびTRIS-AR緩衝液(pH8.5)は、70℃で20分間予熱した。予熱したクエン酸塩-ARを含有するジャーにスライドを入れ、ジャーを110℃の圧力鍋に4分間入れ、続いて75℃の圧力鍋に20分間入れた。次に、スライドを予熱したTRIS-AR緩衝液に移し、20分間保持した。ジャーを室温で10分間冷却し、スライドを手短に水で洗浄し、その後風乾した。次に、FFTE組織を、プロテイナーゼKを用いて消化させた。消化には、0.6μLの2mg/mLプロテイナーゼK消化液を1mm2の面積の組織に使用した(例えば、4mm×6mmの組織切片には、約15μLのプロテイナーゼK消化液を使用した)。プロテイナーゼK消化液は、5μLの20mg/mLプロテイナーゼ(Invitrogen # AM2548)と5μLの組織消化緩衝液(30mM HEPES(pH8.0)、1mM EDTA、0.5% SDSおよび0.01%Tween-20)を混合することによって調製した。最初に、0.5μLのプロテイナーゼK消化液をスライドに添加して組織を濡らした。エタノールで拭いたカミソリの刃を使用し;組織をこすり取って0.2mL管に移した。次に、2m
g/mLプロテイナーゼK消化液の残りを管に添加し、50℃で2時間またはそれ以上、スラリーが透明になるまでインキュベートした。スラリーを室温まで冷却し、2μLの粗抽出物をDNA濃度測定のために別にして取っておいた(Quant-iT(商標)DNA Assay Kit、高感受性(Invitrogen# Q-33120))。
消化混合物を失活させるために、5μLの粗抽出物(40ngのDNAを含有)をプロテイナーゼK阻害剤(0.6μLの5mM プロテイナーゼK阻害剤(EMD Millipore # 539470)、3.3μLの9.1% α-シクロデキストリン、(Sigma #C4680))で処理する。次に、試料を3つの異なる組合せで処理する。
REV10プロトコール-抽出物に、1.1μLの5Mベタイン、1.1μLの10×環状化緩衝液(350mM HEPES(pH8.0)、25mM MnCl2、660mM KOAc、5mM DTT、および0.03%Tween-20)ならびに10.56μLまでのヌクレアーゼフリー水を添加した(総容積11μL)。混合物を室温で10分間インキュベートした。その後、反応混合物を約95℃に3分間加熱し、それに続いて氷上で急冷した。これに0.44μLのCIRCLIGASE II(商標)(Epicentre #CL9025K)を添加して最終反応容積を11μLとした。反応混合物をサーモサイクラーで60℃で8時間、それに続いて80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた。
REV11プロトコール-抽出物に、1.1μLの10×修復緩衝液(0.03%Tween-20、100mM MgCl2、6mM DTT)、0.77μL修復/損傷除去ミックス(0.6μL UDG(5U/μL)、0.3μL Fpg(8U/μL)、0.15μL Endo IV(10U/μL)(New England Biolabs))およびヌクレアーゼフリー水を添加することによって修復反応成分を添加して、最終容積を11μLとした。反応混合物をサーモサイクラーで37℃で30分間、それに続いて85℃で15分間インキュベートして酵素を失活させた。これに、1.5μLの5Mベタイン、1.5μLの10×環状化緩衝液(350mM HEPES(pH8.0)、25mM MnCl2、660mM KOAc、5mM DTT、および0.03%Tween-20)ならびにヌクレアーゼフリー水を添加した(総容積14.4μL)。反応混合物を約95℃に3分間加熱し、それに続いて氷上で急冷した。これに0.6μLのCIRCLIGASE II(商標)(Epicentre #CL9025K)を添加して最終反応容積を15μLとした。反応混合物を60℃のヒートブロックで8時間、その後80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた。
REV12プロトコール-抽出物に、1.1μLの5Mベタイン、1.1μLの10×環状化緩衝液(350mM HEPES(pH8.0)、25mM MnCl2、660mM KOAc、5mM DTT、および0.03%Tween-20)ならびにヌクレアーゼフリー水を添加した(総容積10.56μL)。混合物を室温で10分間インキュベートした。その後、反応混合物を約95℃に3分間加熱し、それに続いて氷上で急冷した。これに0.44μLのCIRCLIGASE II(商標)(Epicentre #CL9025K)を添加して最終反応容積を11μLとした。反応混合物をサーモサイクラーで60℃で8時間、それに続いて80℃で10分間インキュベートして酵素を失活させた。環状化ミックス全体(11μL)を、1.5μLの10×修復緩衝液(0.03%Tween-20、100mM MgCl2、6mM DTT)、1.05μL修復ミックス(0.6μL UDG(5U/μL)、0.3μL Fpg(8U/μL)、0.15μL Endo IV(10U/μL)(New England Biolabs))および1.45μLのヌクレアーゼフリー水を添加することによって修復/損傷除去反応に使用して、最終容積を15μLとした。反応混合物をサーモサイクラーで37℃で
30分間、それに続いて85℃で15分間インキュベートして酵素を失活させた。
DNA増幅用に、クリーニング反応マスターミックスを、20μLの3×Phi29緩衝液(114mM HEPES(pH8.0)、120μM ATプライマー混合物 0.021% Tween-20、54.6mM MgCl2、3mM TCEP、7.5mM KOAcおよび7.5%PEG-8000)、0.3μLの1:100 サイバーグリーンI*(Life Tech S-7563)、1.2μLのPhi29ポリメラーゼ(1mg/mL、GEヘルスケア)、21.1μLのヌクレアーゼフリー水を混合することによって構築し、最終容積を42.6μLとした。クリーニング反応マスターミックスを30℃で1時間インキュベートし、使用するまで4℃で保持した。増幅反応は、2.4μLの10mM dNTPs溶液を該クリーニング反応に添加することによって開始させた。直ちに、全部のクリーニングされた反応ミックスを、60μLの最終反応容積を得るために15μLの修復されたミックスに添加した。これを30℃で8~16時間インキュベートし、その後に65℃で15分間ポリメラーゼを熱失活させた。リアルタイムセットアップでは、データは10分おきに収集された。
全ゲノム増幅産物は、精製用の製造業者の説明書によって精製された(SURECLEAN PLUS(商標)、Bioline)。手短に言えば、60μLのSURECLEAN PLUS(商標)を60μLのWGA産物に添加し、完全に混合した。これを30分間室温でインキュベートし、ベンチトップ遠心機で30分間最大速度で遠心した。上清を吸引によって除去した。120μLの新しく作製した70%エタノールを添加し、10秒間ボルテックスし、15分間最大速度で遠心した。上清を注意深く除去した。洗浄工程を1回繰り返した後、風乾して確かにエタノールを完全に除去した。乾燥したペレットを30μLの10mM Tris-HCl(pH8)に再懸濁した。2μLの精製WGA産物DNA濃度測定に使用した(Quant-iT(商標)dsDNA Broad-Range Assay Kit、Invitrogen# Q-33130)。予測収量は約3μgであった。
DNA試料を、MiSeqプラットフォーム(Illumina)での次世代シークエンシングを用いて分析した。体細胞変異を検出するための高度に多重化された標的化再シークエンシングアッセイである、TruSeqアンプリコン-癌パネル(TSACP)(Illumina)を製造業者の推奨に従って使用した。250ngの最近に凍結させた組織由来のDNAを陽性対照として使用し、REV10、REV11、およびREV12プロトコールから全て二度繰り返して得られる40ngのFFPE DNA由来の1,000ngのローリングサークル増幅された全ゲノムDNAを、シークエンシングワークフローで使用した。これらのシークエンシング反応から、カバレッジの深度、配列標的均一性、および突然変異の統計量を求めた。図17、図18、および図19に示されるように、REV10、11、および12プロトコールは、優れたカバレッジ深度およびカバレッジの均一性を提供する。しかし、DNA修復/DNA損傷除去工程が長いDNAの環状化工程の後に実施されるREV12プロトコールは、REV10およびREV11プロトコールと比較して、改善された陽性的中率および改善された感受性を有した(図19)。
特許請求される本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなくその他の具体的な形態で具体化されてよい。前述の実施形態は、多様な全ての可能性のある実施形態または実施例から選択された実施形態または実施例である。そのため、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明を制限するというよりもむしろあらゆる点で実例となると考えられるべきである。特許請求される本発明の特定の特徴だけが本明細書において例示され説明されたが、当業者が、本開示の利益を得て、これらおよびその他の種類の用途に適した本発明の原理に従って本方法を用いるための適した条件/パラメータを特定し、選択し、最適化するかまたは変更することができることは理解されるべきである。試薬の正確な使用、選択、変数、例えば濃度、容積、インキュベーション時間、インキュベーション温度、および同類のものなどの選択は、主にそれが意図される特定の用途に依存し得る。そのため、添付される特許請求の範囲は、本発明の真の精神の中に入る全ての変更および改変を網羅することを目的とすることが理解される。さらに、特許請求の範囲の等価物の意味および範囲内にある全ての改変は、その中に包含されることを意図する。

Claims (15)

  1. 核酸増幅のための方法であって、前記方法が、
    (a)線状染色体DNAを準備する工程;
    (b)前記線状染色体DNAが二本鎖形態である場合に、前記線状染色体DNAを一本鎖DNAに変性させる工程;
    )一本鎖DNA配列の鋳型非依存性分子内ライゲーションの可能なリガーゼとともに前記線状染色体DNAをインキュベートして、ライゲーション混合物中の一本鎖DNA環を生成する工程;
    (d)ウラシルDNAグリコシラーゼ、ホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ、又はその組合せとともに前記ライゲーション混合物をインキュベートすることによって、いずれかの損傷したヌクレオベースを修飾するために前記一本鎖DNA環を処理する工程;及び
    )ランダムプライマー混合物を使用するローリングサークル増幅によって前記一本鎖DNA環を増幅して増幅DNA産物を形成する工
    含み、
    前記ランダムプライマー混合物が、少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含むオリゴヌクレオチド配列を含み
    記方法の前記工程の全てが、介在する単離又は精製工程を伴わずに、単一の反応器で実施される、
    法。
  2. 前記少なくとも1つのヌクレオチド類似体が、2-アミノ-デオキシアデノシン及び/又は2-チオ-デオキシチミジンを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ランダムプライマー混合物が、選択的結合相補オリゴヌクレオチドを含み、前記選択的結合相補オリゴヌクレオチドの各メンバーが、2-アミノ-デオキシアデノシンを含む少なくとも1つのヌクレオチド又は2-チオ-デオキシチミジンを含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ランダムプライマー混合物が、ホスホロチオエート修飾ヌクレオチド、LNAヌクレオチド、2-アミノ-デオキシアデノシンを含むヌクレオチド、2-チオ-デオキシチミジンを含むヌクレオチド、又はその組合せを含むオリゴヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ランダムプライマー混合物が、一般構造+N+N(at N)(at N)(at N)*Nを有するオリゴヌクレオチド配列を含む六量体であり、
    Nは、A、C、G、T及びUのいずれかから選択されるヌクレオベースを含有するランダムヌクレオチドを表し;
    (+N)は、ランダムロックド核酸(LNA)含有ヌクレオチドを表し;
    (at N)は、2-アミノdA、2-チオ-dT、G又はCから選択されるヌクレオベースを含有するランダムヌクレオチドを表し;
    *Nは、ホスホロチオエート修飾ランダムヌクレオチドを表す、
    求項1に記載の方法。
  6. 前記ランダムプライマー混合物の濃度が、多重ランダムプライムドローリングサークル増幅を促進するために、前記一本鎖DNA環の濃度よりも高い、請求項1に記載の方法。
  7. 前記線状染色体DNAが、無細胞循環DNA、ホルマリン固定パラフィン包埋試料から単離したDNA、環境条件にさらされた法医学DNA試料、非常に古いDNA試料、及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記線状染色体DNAが、断片化されたDNAである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記リガーゼが、TS2126 RNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T3 DNAリガーゼ、大腸菌DNAリガーゼ、及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記方法の前記工程の全てが、HEPES緩衝液中で実施される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記線状染色体DNAを前記リガーゼとともにインキュベートする前に、前記線状染色体DNAを、アデノシン三リン酸又はデオキシアデノシン三リン酸以外のリン酸供与体の存在下でポリヌクレオチドキナーゼで処理して、リン酸基を5’末端に有しヒドロキシル基を3’末端に有するライゲーション可能なDNA配列を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記増幅DNA産物を配列決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記増幅DNA産物を断片化してゲノムDNAライブラリーを作製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記増幅が全ゲノム増幅である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記ローリングサークル増幅が、除染されたDNAポリメラーゼを用いて実施される、請求項1に記載の方法。
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