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JP7784875B2 - 巻上機の設定方法および巻上機 - Google Patents
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JP7784875B2 - 巻上機の設定方法および巻上機 - Google Patents

巻上機の設定方法および巻上機

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Description

本発明は、巻上機の設定方法および巻上機に関する。
荷を昇降させる巻上機の中には、たとえば特許文献1のように、サーボモータを備え、そのサーボモータの駆動によってロードシーブを回転させることで、ロードチェーンの巻上げおよび巻下げを行う電気チェーンブロックが存在している。
WO2021/079642号公報
ところで、特許文献1に開示の構成を始めとして、ロードシーブとロードチェーンの係合は、多角形形状に近似することができる。このため、ロードチェーンの巻上げおよび巻下げに際しては、垂下するロードチェーンの中心線と、ロードシーブの回転中心との距離が変動することで、ロードチェーンの速度が変動してしまう。また、かかる速度の変動と、電気チェーンブロックの機械的な構成とで、共振を生じさせて、より大きな振動を生じさせてしまう場合がある。
しかしながら、上記のような速度の変動を抑えることで、共振を含めた振動の発生を防止するために、何らかの機械的な構成を追加すると、その分だけ、大型化やコストが上昇してしまうので、望ましくない。そこで、巻上機を出荷する前(製造段階)の初期設定において、制御的に上記の振動を防止することが検討されている。しかしながら、製造段階の初期設定で制御的に振動を防止する場合においては、より簡便な制御で高い効果を得られる方が好ましい。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、簡便な制御で振動の発生を抑制することが可能な巻上機の設定方法および巻上機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、駆動モータの回転を検出するエンコーダを備えると共に、駆動モータの駆動によってロードシーブを回転させることでロードチェーンを巻き上げ下げして荷を昇降させる巻上機の設定方法であって、ロードチェーンに張力を与えながら駆動モータを一定の回転速度で駆動させる駆動ステップと、駆動ステップにおいてエンコーダから得られた位置情報と、当該位置情報に対応付けて駆動モータを制御するためのモータトルク指令値を記憶手段に記憶させる記憶ステップと、記憶ステップで記憶されているモータトルク指令値の周期的な変動を基に、駆動モータを駆動する速度指令を補正する速度補正曲線を算出する速度補正曲線速度補正曲線算出ステップと、を備えることを特徴とする巻上機の設定方法が提供される。
また、上述の発明において、ロードチェーンに吊り下げられる荷の荷重を検出可能な負荷センサを備えると共に、速度補正曲線算出ステップで算出された速度補正曲線で補正した速度指令によって駆動モータの駆動を制御した場合に、荷の振動が所定の閾値を超えずに抑制されているか否かを、負荷センサでの検出荷重に基づいて行う判定ステップを備え、判定ステップにおいて所定の閾値を超えていると判断された場合には、駆動ステップ、記憶ステップおよび速度補正曲線算出ステップを再び実行する、ことが好ましい。
また、上述の発明において、速度補正曲線算出ステップでは、モータトルク指令値の極大値および/または極小値における位置情報から、速度補正曲線の初期位相を算出する、ことが好ましい。
また、上述の発明において、速度補正曲線算出ステップでは、速度補正曲線を正弦波形として算出する、ことが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によると、駆動モータの回転を検出するエンコーダを備えると共に、駆動モータの駆動によってロードシーブを回転させることでロードチェーンを巻き上げ下げして荷を昇降させる巻上機であって、駆動モータの駆動に際してエンコーダから得られた位置情報と、当該位置情報に対応付けて駆動モータを制御するためのモータトルク指令値を記憶させる記憶手段と、記憶手段に記憶されているモータトルク指令値の周期的な変動を基に、駆動モータを駆動する速度指令を補正する速度補正曲線を算出する速度補正曲線算出手段と、速度補正曲線算出手段で算出された速度補正曲線により速度指令を補正し、駆動モータの駆動を制御するモータ制御手段と、を備えることを特徴とする巻上機が提供される。
本発明によると、簡便な制御で振動の発生を抑制することが可能な巻上機の設定方法および巻上機を提供することが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る巻上機の全体構成を示す側面図である。 図1に示す巻上機の制御的な構成を示す図である。 図1に示す巻上機のロードシーブおよびロードチェーンの模式図であり、(A)はロードチェーンが回転中心から最も離れた状態を示し、(B)および(C)はロードチェーンが回転中心に最も近接した状態を示している。 図1に示す巻上機の設定方法を説明するフローチャートである。 図1に示す巻上機において、駆動モータを一定速度で駆動した場合のトルク指令値とエンコーダから得られた位置情報の関係を示す図である。 図1に示す巻上機の上位指令部に記憶された速度補正曲線を示す図である。 図1に示す巻上機の上位指令部から速度制御部に送出された速度指令を記録したグラフを示す。実線は速度補正曲線で補正した速度指令を示し、破線は速度補正曲線で補正していない速度指令(基準速度指令)を記録したグラフである。 図1に示す巻上機において、振動の抑制前の一例、および振動抑制後の一例を示すグラフであり、実線は本発明を適用した速度指令(図7実線)で駆動モータを駆動した場合の時間と振動の関係を示し、破線は従来の速度指令(図7破線)で駆動モータを駆動した場合の時間と振動の関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態に係る巻上機10の設定方法および巻上機10について、図面に基づいて説明する。
<1.巻上機10の構成について>
図1は、巻上機10の全体構成を示す斜視図である。図2は、巻上機10の制御的な構成を示す図である。図1に示すように、巻上機10は、巻上機本体部20と、上フック30と、シリンダ操作装置130と、巻き上げ済みのロードチェーンC1を保持するチェーンバケット140と、下フック150とを主要な構成要素としている。すなわち、本実施の形態の巻上機10は、シリンダ操作装置130の操作によって、駆動モータ40の速度制御とトルク制御(電流制御)を行うことも可能な、電気チェーンブロックとなっている。
巻上機本体部20は、上フック30を介して、天井等の所定の部位に吊り下げることが可能となっている。この巻上機本体部20は、ハウジング21の内部に、各種の構成が収納されている。具体的には、ハウジング21の内部には、駆動モータ40と、減速機構50と、ブレーキ機構60と、ロードチェーンC1を巻き上げるロードシーブ70と、負荷センサ80と、制御部100と、ドライバ110とが設けられている。
駆動モータ40は、ロードシーブ70を駆動する駆動力を与えるモータである。本実施の形態では、駆動モータ40は、磁極情報を読み取る検出器(エンコーダ41)を備えるサーボモータであり、検出器(エンコーダ41)から速度情報と位置情報を検出または算出可能となっている。
また、減速機構50は、駆動モータ40の回転を減速して、ロードシーブ70側に伝達する部分であり、図示を省略するロードギヤを有している。また、ブレーキ機構60は、駆動モータ40の作動時には、電磁力によりブレーキ力を解放し、駆動モータ40が作動していない状態では、荷Pを保持するように、ブレーキ力を生じさせる部分である。
ロードシーブ70は、ロードチェーンC1を巻き上げおよび巻き下げする部分であり、その外周に沿って、ロードチェーンC1の金属環が入り込むポケット71が複数設けられている。ここで、ロードシーブ70の模式図を図3(A)~(C)に示す。なお、図3(A)~(C)においては、ロードチェーンC1は、その中心線のみを模式的に図示している。図3(A)~(C)に示すように、ロードシーブ70は駆動モータ40の駆動力をロードチェーンC1に伝達する部分であり、ロードチェーンC1に駆動力を伝達するためのポケット71を外周部に有している。
ロードチェーンC1は、捩じれていない状態のとき、奇数番の金属環に対して、偶数番の金属環は直交している。このため、ロードシーブ70には、縦溝と横溝のポケットが設けられている。したがって、一般的にロードシーブ70を模式的に表してた場合は、縦溝に係合するロードチェーンC1の中心線を結んで形成される八角形状と、横溝に係合するロードチェーンC1の中心線を結んで形成される八角形状という、2つの異なる八角形状を重ね合わせて、辺の交点を頂点とする十六角形状をしている。しかしながら、図3(A)~(C)においては、後述する図5に示すトルク指令値の実測値から得られた知見から、ロードチェーンC1の金属環の2つ分(奇数番と偶数番の金属環が1つずつ)のピッチ長さLを一辺とする1種類の正八角形状で示すようにロードシーブ70をモデル化して示している。
また、ロードチェーンC1がロードシーブ70と係合して屈曲する仮想の屈曲点72が、ロードシーブ70の隣り合うポケット71の間にそれぞれ存在する。屈曲点72の位置は、ロードチェーンC1の形状や、ロードシーブ70に対するロードチェーンC1の係合位置関係と、巻上機10の運転中の傾動によって、変動する。また、駆動モータ40の図示しないステータに対して、ロードシーブ70の位置関係(位相)を合わせて組み立てるのは困難となっている。なお、ロードシーブ70の概略形状は八角形には限られず、巻上機の仕様によって小型化したい場合は角数を小さく、振動を低減したい場合には角数の大きい多角形状を採用することが可能である。またポケット71は係止歯から形成されるようにしても良い。
上記のように、ロードシーブ70とロードチェーンC1の噛み合い関係は仮想の屈曲点72を頂点とする正多角形状で表せる。図3(A)に示すように、ロードシーブ70の中心O1と屈曲点72とを結ぶ線が水平線Hに対して平行な状態のとき、ロードチェーンC1は、中心O1から最も離れた位置に存在する。また、この状態では、ロードチェーンC1が作用点においてロードシーブ70から離れて吊り下がっている仮想的な垂下線が中心O1から最も離れる。なお、ロードチェーンC1がロードシーブ70から係脱する部位の屈曲点72は、力の作用点に対応する。また、上記の垂下線(ロードチェーンC1)は、ロードシーブ70が垂下するロードチェーンC1に対して巻上力を作用する作用線でもある。以下の説明では、この垂下線を、垂下線C1とも称呼する。また、垂下線C1とロードシーブ70の中心O1の距離を、回転トルクに関する腕長さAと称呼する。したがって、腕長さAが最大となるのは、図3(A)に示すような、力の作用点である屈曲点72が水平線H上にあるとき、となっている。垂下線C1は鉛直とは限らず、ロードチェーンC1の下端に働く力の作用線と一致する。その場合、水平線Hは、中心O1から作用線である垂下線C1に下した垂線Hと言い換えられる。
なお、腕長さAが最大の状態では、ロードシーブ70の回転に対しロードチェーンC1の速度は最大となり、駆動モータ40のモータトルクも最大となる。
一方、図3(B),(C)に示すように、隣り合う屈曲点72を結んだ線と、水平線Hとの交点が、隣り合う屈曲点72の中点となる場合、ロードチェーンC1は、中心O1に最も近接する位置に存在する。すなわち、垂下線C1がロードシーブ70の中心O1に最も近づく状態となり、このとき腕長さAが最小となる。なお、腕長さAが最小の状態では、ロードシーブ70の回転に対するロードチェーンC1の速度は最小となり、駆動モータ40のモータトルクも最小となる。なお、図3において腕長さAは次の(式1)で求められる。ここで、Aは、ロードシーブ70の中心O1から屈曲点72までの距離である。
A=Acosθ …(式1)
以上のように、ロードシーブ70との噛み合いによるロードチェーンC1に対する作用点の位置が変動することで、駆動モータ40を一定速度で回転させてもロードチェーンC1の速度が変動し、同様に駆動モータ40のモータトルクも変動する。なお、ロードチェーンC1の金属環(略長円形のリンク)の2つ分(奇数番と偶数番の金属環が1つずつ)のピッチ長さLは、図2に示すロードチェーンC1の寸法Lと一致する。ロードシーブ70のピッチ円半径Rpは、Rp=n・L/2πで表すことができる。nはモデル化したロードシーブ70の角数を示し、図3に示す八角形状の場合は、Rp=4L/πとなる。ロードシーブ70が回転速度ωで回転しているときの下フック150の平均速度(基準速度)Vaは、Va=n・L・ω=2π・Rp・ωと表すことができる。
再び巻上機10の各構成の説明に戻るが、負荷センサ80は、上フック30に掛かる荷重負荷を測定する負荷センサである。すなわち、負荷センサ80は、巻上機本体部20の荷重負荷と、ロードチェーンC1の荷重負荷(床等に着地していない部分)と、荷Pの荷重負荷との合計荷重負荷を測定・検知するセンサである。この負荷センサ80を用いて測定・検知された合計荷重負荷から、本体自重等を差し引くことで、ロードチェーンC1を介してロードシーブ70に掛かる荷重負荷を検知(算出)することができる。負荷センサ80は、たとえば上フック30を巻上機本体部20に取り付けるための取付軸に取り付けられている。なお、負荷センサ80は、荷重測定手段に対応する。
この負荷センサ80としては、歪みゲージを備えるロードセルを用いることができる。負荷センサ80の配置位置は、上記の他に、上フック30と不図示の滑車の間、下フック150と荷Pの間、ロードチェーンC1の端末と下フック150の間など、荷Pを吊り下げるロードチェーンC1によりロードシーブ70に掛かる負荷を検知・測定できる位置であればいずれでも良い。また、負荷センサ80は、ロードセルの他、クレーンスケールなどを流用することが可能であるが、図8に示すように動的荷重変動の測定に利用可能な精度と応答性を有するものである必要がある。
また、制御部100は、後述するドライバ110に対し、所定の制御指令を送信する。具体的には、制御部100は、位置、速度、トルク等の指令値を与える部分である。制御部100としては、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ101(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、内部ストレージ、外部記憶装置等)、入出力インターフェース等を備えるコンピュータや集積回路が挙げられる。
また、制御部100では、当該制御部100が備えるハードウエアと、たとえばメモリ101に記憶されている所定のプログラムやデータが読み込まれて協動することにより、上位指令部102、速度制御部103、電流制御部104、判定部105が機能的に実現される。
メモリ101には、エンコーダ41から得られた位置(駆動モータ40の原点からの回転角度(位置))情報を記憶することが可能である。また、メモリ101には、駆動モータ40を制御するための所定のプログラムや、制御に関する各種データが記憶されている。
また、上位指令部102は、速度制御部103に対して、目標とする速度に関する速度指令を送信し、あるいは目標とする位置に関する位置指令を送信する部分である。また、上位指令部102は、後述するような、速度補正曲線(関数)を算出し、メモリ101にその速度補正曲線(速度補正曲線を算出する関数とパラメータ)を記憶させる。そして、上位指令部102は、シリンダ操作装置130からの操作指令とメモリ101から読み出された速度補正曲線(速度補正曲線を算出する関数とパラメータ)に基づいて、エンコーダ41から得られた回転角度(位置)情報に応じた速度指令を、速度制御部103に対して送信する。
また、速度制御部103は、上位指令部102から送信された速度指令に基づいて、駆動モータ40の駆動を制御するための演算を行う部分である。具体的には、速度制御部103では、目標速度である速度指令と、エンコーダ41から得られた回転角度(位置)に基づく速度情報とから、たとえばPID制御における比例制御(P制御)、積分制御(I制御)、微分制御(D制御)を行う。
また、電流制御部104は、速度制御部103における演算値に基づいて、モータトルク指令値(電流制御値)をドライバ110に対して出力する部分である。
また、判定部105は、速度補正曲線で補正した速度指令によって駆動モータ40の駆動を制御した場合に、負荷センサ80での荷重検出に基づいて、荷Pの振動が所定の閾値を超えずに抑制されているか否かの判定を行う。なお、判定部105は、判定手段に対応する。
また、ドライバ110は、上記の電流制御部104からのモータトルク指令値(電流制御値)と速度指令値を受信し、その駆動指令値に基づく電力を、駆動モータ40に供給する。それにより、その制御された電力にて駆動モータ40が駆動される。なお、制御部100およびドライバ110はモータ制御手段に対応する。なお、図2では制御部100に速度制御部103と電流制御部104を備え、ドライバ110に速度指令を出力する構成としているが、ドライバ110に速度制御部と電流制御部を備える構成とするようにしても良い。
ここで、図2から明らかなように、エンコーダ41から得られる回転角度(位置)に基づく速度情報がフィードバックされることで、制御部100およびドライバ110は、駆動モータ40が、速度指令で指令された速度となるようにフィードバック制御を行う。それにより、駆動モータ40は、速度指令で指令された速度に追従することが可能となっている。なお、エンコーダ41は、モータの回転に伴うパルス信号を出力し、制御部100は、パルス信号を速度情報や位置情報に変換し速度制御や位置制御のフィードバックに利用している。
また、シリンダ操作装置130は、作業者が手で握った状態で操作を行うための操作装置であり、ロードチェーンC1の下端側に連結されている。シリンダ操作装置130は、作業者が操作指令を入力する操作スイッチ部131を有しており、巻上機10の動作モードを切り替え、駆動モータ40の回転方向である巻上・下指令や速度指令および非常停止信号を入力できる。また、シリンダ操作装置130には、荷Pを掛けるための下フック150が連結されている。なお、シリンダ操作装置130の操作スイッチ部131に代えて、巻上機10の巻上機本体部20等からケーブルで吊り下げられた操作装置(ペンダントスイッチ)を用いても良く、無線式リモコン装置を用いても良い。
また、チェーンバケット140は、ロードシーブ70を挟んで下フック150とは反対側に存在する無負荷側(巻き取り済み)のロードチェーンC1を収納する部分である。また、下フック150は、荷を掛ける部分である。
<巻上機10の設定方法について>
次に、上述のような構成の巻上機10の設定方法に関して、図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下で説明する巻上機10の設定方法は、巻上機10の初期設定に関するものであるが、初期設定以外の場合(たとえば巻上機10の使用途中での設定変更や修理の際の設定等)についても適用することが可能である。
ステップS1:所定位置までの巻下げ
まず、原点位置まで上昇している下フック150を、所定の位置まで巻下げる。このとき、制御部100の上位指令部102は、速度制御部103に対して所定の位置まで巻下げるための位置指令を出力し、その出力に基づいて、速度制御部103は、エンコーダ41から得られる回転角度(位置)情報に基づいてドライバ110に駆動指令を出力し、下フック150を所定の位置まで下げるように駆動モータ40を制御する。所定の位置までの巻下げ指令は、上述の通り予め定められた巻下げ量を制御部100から指令するようにすることが好ましいが、操作者が操作スイッチ部131を用いて巻下げ操作するようにしても良い。
なお、上記における原点とは、下フック150を巻上げて上昇させた場合の基準位置であり、具体的には、巻上機本体部20の下部に設けられた不図示の上限リミットスイッチが押し込まれている位置が該当する。かかる原点を基準とすることで、エンコーダ41から得られた位置(駆動モータ40の回転角度)情報によって下フック150の現在位置(ロードチェーンC1の繰り出し長さ)を算出することが可能となっている。上記のように原点は、巻上機10において機械的にも制御的にもそれ以上巻上げられない位置(上限位置)とすることが好ましい。
なお、所定の位置まで巻下げた後に、下フック150に所定の重量の荷Pを吊り下げる。かかる所定の重量の荷Pとしては、定格荷重を十分に下回る程度の重量を有するものが挙げられ、ロードシーブ70とロードチェーンC1の噛み合いを安定させられる程度の張力を垂下するロードチェーンC1に負荷することが好ましい。
ステップS2:駆動モータ40の一定速度での駆動(駆動ステップに対応)
次に、制御部100は、駆動モータ40を巻上げ方向に駆動させるように制御して、荷の巻上げを行う。具体的には、制御部100の上位指令部102は、速度制御部103に対して、駆動モータ40を一定の微速速度で駆動させるための速度指令を出力し、その速度指令に基づいて速度制御部103で演算を行い、さらに演算結果に基づいて電流制御部104は所定のモータトルク指令値(電流制御値)をドライバ110に出力する。このとき、エンコーダ41から得られた、回転角度(位置)に基づく駆動モータ40の速度情報が速度制御部103に供給されることで、速度指令(目標速度)に追従するような、フィードバック制御がなされる。速度指令は駆動モータ40の回転速度としているが、ロードシーブ70のピッチ円直径と減速機構50の減速比から算出する下フック150の速度とするようにしても良い。
ステップS3:エンコーダから得られた位置情報とモータトルク指令の記憶(記憶ステップに対応)
また、上記のステップS2において、エンコーダ41から得られた位置情報と駆動モータ40のモータトルク指令値(電流制御値)を関連付けてメモリ101に記憶させる。上記のように駆動モータ40がフィードバック制御されて一定速度で駆動されるように制御される場合、駆動モータ40に作用する負荷が変動すると、駆動モータ40の回転を一定速度に維持するために駆動モータ40に与えるモータトルク指令値(電流制御値)が変動する。この変動するモータトルク指令値をエンコーダ41から得られる位置情報と関連付けてメモリ101に記憶させる。
なお、エンコーダ41から得られる位置情報とは、駆動モータ40の図示しないロータの回転数や回転角度に対応するが、ロードチェーンC1の繰り出し長さや下フック150の位置情報に変換することを目的とする情報であり、変換した値とモータトルク指令値を関連付けてメモリ101に記憶する。具体的には、制御部100は、エンコーダ41からのパルス信号を積算することで位置情報である駆動モータ40の回転角度(原点からの回転角度)に変換する。なお、これらのエンコーダ41を基準とする位置情報は、減速比、ロードシーブ70とロードチェーンC1を構成する金属環の形状、上限リミットスイッチの取り付け位置と形状、および下フックの形状等を考慮し、ロードチェーンC1の繰り出し長さや下フックの位置情報に変換できる。また、ステップS3でロードチェーンC1の繰り出し長さは、ロードシーブ70のピッチ円を基準に算出するが、ロードシーブ70のピッチ円とは、ロードシーブ70を1回転したときに巻上げるロードチェーンC1の長さを円周長とする仮想の円である。
次に、駆動モータ40に掛かる負荷トルクの変動について説明する。図3(A)に示すような、作用線である垂下線C1がロードシーブ70の中心O1から最も離れたとき、駆動モータ40に掛かる負荷トルクが最大となり、駆動モータ40に与えるモータトルク指令値が最大となる。
これとは逆に、図3(B),(C)に示すような、作用線である垂下線C1がロードシーブ70の中心O1に最も近づくとき、駆動モータ40に掛かる負荷トルクが最小となり、駆動モータ40に与えるモータトルク指令値が最小となる。
前述の通り、モータトルク指令値(モータトルク)を計測すれば、ロードチェーンC1と係合するロードシーブ70に掛かる負荷トルクの変動を把握することができる。ロードシーブ70にはロードチェーンC1との噛み合い位置関係により周期的に変動することが知られており、ロードチェーンC1の巻き上げ速度(下フック150の移動速度)の変動要因となっている。したがって、モータトルク指令値とエンコーダ41から得られた位置情報を関連付けてメモリ101に記憶することにより、ロードシーブ70とロードチェーンC1の噛み合い位置関係をサーボモータである駆動モータ40の制御に用いるエンコーダ41から得られた位置情報と関連付けて制御することができ、巻上機10の傾動などによる外的要因に影響されない。
たとえば、図5に示すグラフにおいては、モータトルク指令値が極大値Tmaxの位置が、図3(A)に示すような、腕長さAが最大のときに対応する。また、図5においては、モータトルク指令値が極小値Tminの位置が、図3(B),(C)に示すような、腕長さAが最小のときに対応する。
なお、図5は、図3で示すモデル化したロードシーブ70を巻上げ方向に一定の微速速度で駆動して得たモータトルク指令値とエンコーダ41から得られた位置との関係を示すグラフであるが、当該グラフにおいて細線は位置情報と関連付けてメモリ101に記憶されているモータトルク指令値を示し、太線は、減速機構50の図示しない歯車の噛み合いなどにより細かく変動するモータトルク指令値を移動平均等の所定の方法により平滑化処理を行った値である。また、図5においては、グラフの左から右に進むにつれて、ロードチェーンC1のロードシーブ70からの繰り出し長さが減少する位置関係となっている。図5のグラフには、モータトルク指令値の極大値Tmaxを示す位置が2つと、極小値Tminを示す位置が2つ示されている。この図5においては、隣り合う2つの極大値を示す位置の間隔または隣り合う2つの極小値を示す位置の間隔を、変動する波形の周期長さとみなすことができる。そして、駆動モータ40とロードシーブ70を連結する減速機構50の減速比の関係から、図5から得られる周期長さは、ロードチェーンC1を構成する、隣り合って連結されている金属環2個分(縦リンクと横リンク)の長さLに対応していることが新たに確認できた。これによって、ロードシーブ70を縦リンクと横リンクの金属環それぞれ一辺とする多角形(実施例では十六角形)のモデルとして振動を抑制する制御を実行するよりも、金属環2個分(縦リンクと横リンク)の長さLを一辺とする正多角形形(実施例では八角形)のモデルで制御することが好ましいことが確認できた。また、ロードシーブ70は1回転で巻き上げるロードチェーンC1を構成する金属環の個数は一定なので、このデータから、原点から任意の位置の変動波形の位相も算出することができる。
ステップS4:速度補正曲線の算出(速度補正曲線算出ステップに対応)
次に、下フック150の速度変動を抑制する速度指令を作成するための速度補正曲線(関数)を算出する。前述の通り、ロードシーブ70のポケット71には縦溝と横溝を組とする複数のポケットを有している。ロードシーブ70の1回転で巻上げるロードチェーンC1の長さはポケット71の数とロードチェーンC1を構成する金属環(縦リンクと横リンク)の形状寸法で決定できる。そして、縦リンクと横リンクを一組としてロードシーブ70と係合する位置関係を正多角形状に近似することができる。この場合、正多角形状の一辺の長さを縦リンクと横リンクを一組とした長さ(図2に示すロードチェーンC1の寸法L)とする正多角形とする。図3では正八角形としている。
この速度補正曲線の算出に当たっては、先ず、ステップ3で記憶したエンコーダ41から得られた位置情報とモータトルク指令値の関係から、速度の変動周期と位置情報における変動周期の位相を確認する。モータトルク値が極大値を示す位置で巻上げ速度も極大値となり、それとは逆にモータトルク値が極小値を示す位置で巻上げ速度も極小値となる。
図6は、速度制御部103に与える速度指令において、下フック150の速度変動を抑制するために与える速度の変動成分を、正弦波形として作成した速度補正曲線を示している。速度補正曲線は、図5に示すモータトルク指令値の極小値を示す位置と速度補正曲線の極大値を示す位置を一致するように、または、モータトルク指令値の極大値を示す位置と速度補正曲線の極小値を示す位置を一致するように、正弦波形の位相を合わせて作成している。これによって、ロードチェーンC1をロードシーブ70で巻上げ駆動するときに発生する速度変動を低減する速度指令yを作成することができ、次の(式2)のように表すことができる。
y=s[1+k・sin{(2π/L)(x-d)}] …(式2)
ここで、式k・sin{(2π/L)(x-d)}が下フック150の速度変動を抑制するために与える速度の変動成分で、速度補正曲線(関数)に対応する。
ここで、上記の(式2)において、各記号は、以下のものとなっている。
s:基準速度
k:変動係数
L:周期長さ
x:原点からの距離(変数)
d:初期位相
基準速度sは、補正前のシリンダ操作装置130の操作指令に対応し作成した速度指令の速度であり、ロードシーブ70のピッチ円を基準に作成する速度となっている。変動係数kは、腕長さAの変動から求められる。また、周期長さLは、ロードチェーンC1を構成する金属環2個分(縦リンクと横リンク)の長さである。原点からの距離xは、原点から積算したエンコーダ41の回転数(駆動モータ40の回転角度に対応)とロードシーブ70のピッチ円の円周長の積と減速比から求めた距離であるが、ロードチェーンC1の繰り出し長さとみなせる。初期位相dは、図6に示す位相であり、エンコーダ41の位置情報を基準とし、原点でのロードシーブ70とロードチェーンC1の噛み合い関係を示している。速度補正曲線は、図5に示すモータトルク指令値の任意の隣り合う2つの極大値または極小値の位置の一つの組から作成するようにしているが、複数の組から統計的処理により作成するようにしても良い。変動係数kは、ロードシーブ70のピッチ円の半径Rpと、ロードシーブ70の回転トルクに関する腕長さAの最大値Aの関係からk=(A-Rp)/Rpとすることができ、この値を基準に振動の実測を繰り返して定めると良い。周期長さLと原点からの距離xと初期位相dは、エンコーダ41のパルス信号の積算値を基準に定められるので、パルス数で表しても良く、エンコーダ41のパルス信号を変換して駆動モータ40の回転角度や回転数で表すようにしても良い。基準速度sと変動係数kの積は、補正後の速度指令の周期変動成分の振幅aとなるが、振幅aを決めてから変動係数kを求めるようにしても良い。
上記の(式2)においては、原点からの距離xは、前述の通りロードシーブ70を円形と仮定したときの仮想距離であり、次式で表せられる。
x=n・L・N …(式3)
n:モデル化したロードシーブ角数
n・L:ロードシーブのピッチ円の円周長さに相当
N:原点からのロードシーブ回転数
ロードシーブ70のピッチ円を基準として算出している、原点からの距離xは、実際のロードチェーンC1の繰り出し長さとは異なるが、(式2)を用いて作成した速度指令yを積分することで、ロードシーブ70とロードチェーンC1の噛み合い位置関係を考慮したロードチェーンC1の繰り出し長さや下フック150の位置を正確に算出することができる。
かかる(式2)で求められる速度指令で、駆動モータ40の駆動を制御する場合には、当該駆動モータ40は一定速度では駆動されずに回転速度に周期的な変動を生じるが、下フック150および荷Pは、ロードシーブ70とロードチェーンC1の噛み合いが多角形状であることに起因する速度の変動が抑制されて上昇する状態となる。
このようにして算出した速度指令を記録したグラフを図7に示す。図7では、実線は速度補正曲線で補正した速度指令を示し、破線は速度補正曲線で補正していない従来の速度指令(基準速度指令)を示している。
具体的には、下フック150に荷Pを吊り下げた状態で、操作スイッチ部131で高速巻上指令を所定時間入力したときの、速度補正あり(実線)、速度補正無し(破線)の、上位指令部102から速度制御部103に送出された速度指令を、それぞれ記録したグラフとなっている。
なお、算出された速度補正曲線は、関数とその定数として、メモリ101に記憶させられる。
ステップS5:振動が抑制されているか否かの判定(判定ステップに対応)
次に、ステップS4で求められた速度補正曲線を用いて作成した速度指令yによって駆動モータ40を駆動制御した場合に、下フック150における振動が抑制されているか否かの判定を行う。そして、たとえば所定の振動の閾値を下回るように振動が抑制されていると確認された場合(Yesの場合)には、算出された速度補正曲線が問題ないものとして、速度補正曲線を求めるための巻上機10の初期設定を終了する。これとは逆に、所定の振動の閾値を超えるものと確認された場合(Noの場合)には、再びステップS1~S5の各ステップを実行する。あるいは、ステップS4で作成した速度補正曲線(関数)における変動係数kの値を変更して、次のステップS5を繰り返し実行することで最適な変動係数kを決定するようにしても良い。
また、振動の抑制前の一例、および振動抑制後の一例を図8に示す。図8は、ステップS4で算出された速度補正曲線にて補正した速度指令で、駆動モータ40を駆動した場合の時間と振動による荷重の関係を実線で示すと共に、ステップS4で算出された速度補正曲線で速度指令を補正した場合の制御ではなく、基準速度sによる通常の速度制御にて、駆動モータ40を駆動した場合の時間と振動による荷重の関係を破線で示すグラフである。この図8では、それぞれの速度指令で駆動されたときに負荷センサ80で検知した負荷情報から振動成分(巻上運転中の荷重:動荷重-運転直前の荷重:静荷重)を算出し記録したグラフを示している。
図8に示すグラフでは、実線で示すような補正した速度指令で、駆動モータ40を駆動した場合には、破線で示すような基準速度sによる通常の速度制御にて駆動モータ40を駆動した場合と比較して、駆動モータ40の駆動によってロードシーブ70を回転させた際に、下フック150に生じる振動が抑制されている。すなわち、エンコーダ41から得られた位置情報(駆動モータ40の原点からの回転角度位置)とモータトルク指令を関連付けて記憶したデータから作成した速度補正曲線を用いて算出した速度指令によって、駆動モータ40の駆動を制御することで、下フック150(すなわち荷P)の振動を良好に抑制することが可能となっている。なお、このステップ5では、振動成分を2乗平均して所定の閾値と比較し、補正曲線の良否を判断するようにしている。
<効果について>
以上のような、駆動モータ40の回転を検出するエンコーダ41を備えると共に、駆動モータ40の駆動によってロードシーブ70を回転させることでロードチェーンC1を巻き上げ下げして荷を昇降させる巻上機の設定方法においては、ロードチェーンC1に張力を与えながら駆動モータ40を一定の回転速度で駆動させる駆動ステップと、駆動ステップにおいてエンコーダ41から得られた位置情報と、当該位置情報に対応付けて駆動モータ40を制御するためのモータトルク指令値をメモリ101(記憶手段)に記憶させる記憶ステップと、記憶ステップで記憶されているモータトルク指令値の周期的な変動を基に、駆動モータ40を駆動する速度指令を補正する速度補正曲線(関数)を算出する速度補正曲線算出ステップと、を備えている。
このようにすることで、巻上機10の設定において(特に出荷段階の設定において)、減速機の減速比やロードチェーンC1のピッチ長さが異なるそれぞれの巻上機10毎に、下フック150の上下振動を抑制するための速度補正曲線をモータトルク指令値の周期的変動から容易に算出することができ、その速度補正曲線に基づいて速度指令を算出し駆動モータ40の駆動を制御する。それにより、垂下するロードチェーンC1の中心線と、ロードシーブ70の回転中心との間の距離が変動し、その変動によって発生する振動が巻上機10毎に異なっていても、上記のモータ負荷の変動を予め計測し作成した速度補正曲線に基づいて速度指令を算出し駆動モータ40を駆動させることで、荷Pの巻上げ速度の変動を適切に抑制し、振動を抑制することができる。また、上記のように、駆動モータ40を駆動させた際に、下フック150(荷P)の巻上げ速度の変動を適切に抑えることにより、巻上機10に共振が生じるのを防止することが可能となる。
また、上記のように、サーボモータの速度制御モードにおける速度の変動を抑えるためのモータトルク指令値を基に速度補正曲線を予め作成し、その速度補正曲線に基づいて速度指令を算出し駆動モータ40を制御駆動するので、作業者の操作指令に基づく速度で巻上げ下げする駆動モータ40の制御が簡便であると共に、緩衝装置のような別途の機械的な構成が不要であり、コストの上昇を抑えることが可能となる。
また、本実施の形態では、ロードチェーンC1に吊り下げられる荷Pの荷重を検出可能な負荷センサ80を備えると共に、速度補正曲線算出ステップS4で算出された速度補正曲線で補正した速度指令によって駆動モータ40の駆動を制御した場合に、荷Pの振動が所定の閾値を超えずに抑制されているか否かを、負荷センサ80での検出荷重に基づいて行う判定ステップを備え、判定ステップにおいて所定の閾値を超えていると判断された場合には、巻下げステップS1,駆動ステップS2、記憶ステップS3および速度補正曲線算出ステップS4のうち、少なくとも速度補正曲線算出ステップS4を再び実行する。
このようにすることで、速度補正曲線で補正した速度指令に基づく駆動モータ40の制御で、荷Pの実際の振動を負荷センサ80で検出することで、振動の抑制効果を判定することができる。そして、下フック150(荷P)の振動が所定の閾値を超えるような、振動の抑制効果が低い場合には、再度、速度指令曲線を求めるため、確実に振動の抑制効果が高い状態とすることができる。
また、本実施の形態では、速度補正曲線算出ステップS4では、モータトルク指令値の極大値Tmaxまたは/および極小値Tminにおける位置情報から、速度補正曲線の初期位相を算出する。
このようにすることで、周期的に変動する速度補正曲線の初期位相を容易に算出することができる。また、巻上機10の初期位相の個体毎のばらつきを反映させた状態で、速度補正曲線を算出することができるので、駆動モータ40の駆動時に、効果的に速度が変動するのを防止でき、巻上機10に振動が生じるのを良好に防止することができる。
また、本実施の形態では、速度補正曲線算出ステップS4で、速度補正曲線を正弦波形として算出する。
このようにすることで、速度補正曲線の算出が容易で、正弦波を基本とする速度補正曲線で補正した速度指令に、駆動モータ40が追従するように駆動モータ40の駆動制御も用意に実現でき、効果的に下フック150(荷P)の振動を抑制することができる。
また、本実施の形態の巻上機10は、駆動モータ40の駆動に際してエンコーダ41から得られた位置情報と、当該位置情報に対応付けて駆動モータ40を制御するためのモータトルク指令値を記憶させるメモリ101(記憶手段)と、メモリ101(記憶手段)に記憶されているモータトルク指令値の周期的な変動を基に、駆動モータ40を駆動する速度指令を補正する速度補正曲線を算出する速度補正曲線算出手段と、速度補正曲線算出手段で作成した速度補正曲線により速度指令を補正し、駆動モータ40の駆動を制御する制御部100およびドライバ110(モータ制御手段)と、を備えている。
このため、既に述べたように、巻上機10の設定において(特に出荷段階の設定において)、減速機の減速比やロードチェーンC1のピッチ長さが異なるそれぞれの巻上機10毎に、駆動モータ40を一定速度で駆動した時のモータトルク指令値を用いて速度補正曲線を事前に算出し、その速度補正曲線に基づいて駆動モータ40の駆動を制御する。それにより、垂下するロードチェーンC1の中心線と、ロードシーブ70の回転中心との間の距離(回転半径)が変動し、その変動によって発生する振動が巻上機10毎に異なっていても、上記のモータ負荷の変動を予め測定し算出した速度補正曲線に基づいて速度指令を補正し駆動モータ40を駆動させることで、荷Pの巻上げ速度の変動を適切に抑制することができる。また、上記のように、駆動モータ40を駆動させた際に、下フック150(荷P)の巻上げ速度の変動を適切に抑えることにより、巻上機10に共振が生じるのを防止することが可能となる。
また、上記のように、速度の変動を抑えるために、荷重の変動による振動を抑制するための速度指令曲線を上位指令部102で算出し、その速度指令曲線に基づいて駆動モータ40を制御駆動するので、駆動モータ40の制御が簡便であると共に、緩衝装置のような別途の機械的な構成が不要であり、コストの上昇を抑えることが可能となる。
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、駆動モータ40を駆動する間は、同一の速度指令曲線に基づいて駆動モータ40の駆動を制御するものとしている。しかしながら、駆動モータ40の駆動から停止までの間を複数の区間に区切り、その区間毎に、(式2)の速度指令曲線の変動係数kを変えるようにしても良い。たとえば、図8に示すように、駆動モータ40の起動の際には、他の区間よりも振動が大きくなっているが、そのような区間では、(式2)の変動係数kを調整することで、駆動モータ40の駆動に伴って発生する振動を一層良好に低減することが可能となる。
また、上記のように駆動モータ40の駆動から停止までの間を複数の区間に区切ることに代えて、変動係数kを、何らかの関数としても良い。
また、上述の実施の形態では、速度補正曲線を正弦波として算出したが、実測したトルク指令値を基に、三角波形として算出するようにしても良い。その場合も、速度補正曲線はモータトルク指令値の極小値を示す位置(駆動モータ40の回転角度)と速度補正曲線の極大値を示す位置(駆動モータ40の回転角度)とが一致するようにし、モータトルク指令値の極大値を示す位置(駆動モータ40の回転角度)と速度補正曲線の極小値を示す位置(駆動モータ40の回転角度)とが一致するように作成する。速度補正曲線の振幅は、腕長さAの駆動モータ40の回転角度の移動に伴う変化量を基に算出するようにすると良い。
また、単に実測したトルク指令値を平滑化して求めた曲線を上下反転して得られた曲線を基に速度補正曲線を算出するようにしても良い。その場合も、前述したロードシーブ70のピッチ円半径Rpで定まる基準速度sに対し、変動波形の振幅を、図3に示す腕長さの最大値Aとピッチ円半径Rpの差または腕長さAの最小値とピッチ円半径Rpの差を基に求めると良い。
また、本実施の形態の巻上機10は、駆動モータ40の速度制御とトルク制御が可能な電気チェーンブロックとしていて、駆動モータは、サーボモータが好ましいとしているが、ロードシーブとロードチェーンの噛み合い位置関係(多角形作用)による駆動モータに作用する負荷トルクを精度よく検知できる駆動モータとエンコーダと駆動制御装置を備えていることが好ましい。
また、ステップS1において所定の位置まで巻下げて、ステップS2からS3でモータトルク指令を記憶するようにしているが、巻上機10の全揚程分巻下げてからステップS2からS3で全揚程分巻上げてモータトルク指令を記憶し、ステップS4で全揚程の位置の速度補正曲線(関数)を算出しメモリに記憶させるようにしても良い。
10…巻上機、20…巻上機本体部、21…ハウジング、30…上フック、40…駆動モータ、41…エンコーダ、50…減速機構、60…ブレーキ機構、70…ロードシーブ、71…ポケット、72…屈曲点、80…負荷センサ(荷重測定手段に対応)、100…制御部、101…メモリ(記憶手段に対応)、102…速度指令算出部(速度指令算出手段に対応)、110…ドライバ(モータ制御手段に対応)、130…シリンダ操作装置、140…チェーンバケット、150…下フック、C1…ロードチェーン、P…荷

Claims (5)

  1. 駆動モータの回転を検出するエンコーダを備えると共に、前記駆動モータの駆動によってロードシーブを回転させることでロードチェーンを巻き上げ下げして荷を昇降させる巻上機の設定方法であって、
    前記ロードチェーンは、縦リンクと横リンクを一組として連結されたリンクチェーンであり、
    前記ロードチェーンに張力を与えながら前記駆動モータを一定の回転速度で駆動させる駆動ステップと、
    前記駆動ステップにおいて前記エンコーダから得られた位置情報と、当該位置情報に対応付けて前記駆動モータを制御するためのモータトルク指令値を記憶手段に記憶させる記憶ステップと、
    前記記憶ステップで記憶されている前記モータトルク指令値の周期的な変動を基に、前記駆動モータを駆動する速度指令を補正する速度補正曲線を算出する速度補正曲線算出ステップと、
    を備え
    前記速度補正曲線算出ステップでは、前記ロードチェーンが前記ロードシーブと係合する位置関係を前記縦リンクと前記横リンクを一組とした一辺の長さとする正多角形状に近似することで、前記ロードチェーンの速度の周期的な変動を抑えるための前記速度補正曲線を算出している、
    ことを特徴とする巻上機の設定方法。
  2. 請求項1記載の巻上機の設定方法であって、
    前記ロードチェーンに吊り下げられる荷の荷重を検出可能な負荷センサを備えると共に、
    前記速度補正曲線算出ステップで算出された前記速度補正曲線で補正された前記速度指令によって前記駆動モータの駆動を制御した場合に、前記荷の振動が所定の閾値を超えずに抑制されているか否かを、前記負荷センサでの検出荷重に基づいて行う判定ステップを備え、
    前記判定ステップにおいて前記所定の閾値を超えていると判断された場合には、前記駆動ステップ、前記記憶ステップおよび前記速度補正曲線算出ステップのうち、少なくとも前記速度補正曲線算出ステップを再び実行する、
    ことを特徴とする巻上機の設定方法。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の巻上機の設定方法であって、
    前記速度補正曲線算出ステップでは、前記モータトルク指令値の極大値および/または極小値における位置情報から、前記速度補正曲線の初期位相を算出する、
    ことを特徴とする巻上機の設定方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の巻上機の設定方法であって、
    前記速度補正曲線算出ステップでは、前記速度補正曲線を正弦波形として算出する、
    ことを特徴とする巻上機の設定方法。
  5. 駆動モータの回転を検出するエンコーダを備えると共に、前記駆動モータの駆動によってロードシーブを回転させることでロードチェーンを巻き上げ下げして荷を昇降させる巻上機であって、
    前記ロードチェーンは、縦リンクと横リンクを一組として連結されたリンクチェーンであり、
    前記駆動モータの駆動に際して前記エンコーダから得られた位置情報と、当該位置情報に対応付けて前記駆動モータを制御するためのモータトルク指令値を記憶させる記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶されている前記モータトルク指令値の周期的な変動を基に、前記駆動モータを駆動する速度指令を補正する速度補正曲線を算出する速度補正曲線算出手段と、
    前記速度補正曲線算出手段で算出された前記速度補正曲線により前記速度指令を補正し、前記駆動モータの駆動を制御するモータ制御手段と、
    を備え
    前記速度補正曲線算出手段では、前記ロードチェーンが前記ロードシーブと係合する位置関係を前記縦リンクと前記横リンクを一組とした一辺の長さとする正多角形状に近似することで、前記ロードチェーンの速度の周期的な変動を抑えるための前記速度補正曲線を算出している、
    ことを特徴とする巻上機。
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