以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1は、車両10の熱管理システム12の概略構成を示す模式図である。車両10は、車両10を駆動するための原動機として、エンジン14と、前輪と後輪をそれぞれ駆動する2機の電気モータ16F,16Rを搭載している。車両10は、電気モータ16F,16Rに電力を供給し、また制動時に電気モータ16F,16Rによって発電された電力が充電される電池18を搭載している。車両は、前輪または後輪のみを駆動する1機の電気モータを備える車両としてもよい。さらに、車両は、エンジンを備えずに、前輪と後輪の一方、または双方を電気モータで駆動する車両としてもよい。以降、簡単のために電気モータ16F,16Rを、単にモータ16と記す。
熱管理システム12は、エンジン14、モータ16および電池18の冷却を行い、さらに乗員室20の空気調和を行う。エンジン14の冷却系は、エンジン冷却液を介してエンジンが発生した熱を放熱するエンジンラジエータ22を含む。エンジン冷却液は、エンジン14とエンジンラジエータ22を繋ぐ配管を流れてエンジン14とエンジンラジエータ22の間を循環する。図1において、エンジン14とエンジンラジエータ22を繋ぐ配管は省略されている。モータ16の冷却系は、モータ冷却液を介してモータ16が発生した熱を放熱するモータラジエータ24を含む。モータ冷却液は、モータ16とモータラジエータ24を繋ぐ配管を流れてモータ16とモータラジエータ24の間を循環する。図1において、モータ16とモータラジエータ24を繋ぐ配管は省略されている。
熱管理システム12は、乗員室20の空気調和を行う空気調和装置26を含む。空気調和装置26は、温度、湿度等が調整された空気を乗員室20に供給する空調ユニット28を有する。空調ユニット28は、乗員室20の前席側の空間の空調を行う前側空調ユニット28Fと、後席側の空間の空調を行う後側空調ユニット28Rを含む。空気調和装置26は、空調ユニット28に冷媒を送る冷凍サイクル回路30と、加熱された液体を送る加熱回路32とを含む。冷凍サイクル回路30は、冷媒を圧縮するコンプレッサ34と、コンプレッサ34で圧縮された冷媒を外気で冷やして液化させる室外コンデンサ36を含む。コンプレッサ34は、電気モータで駆動される電動コンプレッサであってよく、電気モータの回転速度の制御により、コンプレッサ34の出力を調整することができる。また、コンプレッサ34は、電池18から電力が供給される。加熱回路32は、熱源として電気ヒータ38を含む。冷凍サイクル回路30および加熱回路32に関しては、熱管理システム12の他の冷却系を含め、後により詳しく説明する。
熱管理システム12は、さらに電池18を冷却する電池冷却回路40を含む。電池冷却回路40は、電池冷却用熱交換器41にて冷凍サイクル回路30の冷媒により冷却された電池冷却液を電池18に供給して電池18を冷却する。
図2は、前側空調ユニット28Fの構成を模式的に示す図である。前側空調ユニット28Fは、冷凍サイクル回路30の構成要素の1つである前側エバポレータ42Fと、加熱回路32の構成要素の1つである前側ヒータコア44Fとを有し、さらに前側エバポレータ42Fと前側ヒータコア44Fを収容する空調ケース46を有する。空調ケース46は、空調ケース46内に空気を導入する空気導入口48を有している。空気導入口48は、乗員室20内の空気を導入する内気導入口48Cおよび車外の空気を導入する外気導入口48Eを含む。また、空調ケース46は、空気調和された空気を所定の部位に向けて送り出す空気送出口50を有する。空気送出口50は、前席に着座した乗員の頭部およびその周囲に向かう気流を送出する頭部送出口50H、前席乗員の足元に向かう気流を送出する足元送出口50Fおよびウインドシールドの室内側表面に向かう気流を送出するデフロスタ送出口50Dを含む。頭部送出口50Hから送出された気流は、インストルメントパネル(不図示)内のダクトを通って、インストルメントパネルに形成された複数の吹出し口から乗員室20内の前席乗員の頭部およびその周囲に吹き出す。また、足元送出口50Fから送出された気流は、足元送出口50Fから直接、またはインストルメントパネル内のダクトを通って前席乗員の足元に吹き出す。さらに、デフロスタ送出口50Dから送出された気流は、インストルメントパネル内のダクトを通ってウインドシールド下縁近傍に対向して設けられた吹出し口から吹き出す。前側空調ユニット28Fは、空調ケース46の上流部に配置された送風機52を有する。送風機52は、空気導入口48から空気送出口50へ向かう気流を生成する。
内気導入口48Cからの流路と外気導入口48Eからの流路の合流部分には、内外気切替ドア54が配置されている。内外気切替ドア54は、内気導入口48Cを閉じる位置と、外気導入口48Eを閉じる位置の間で回動可能であり、回動角度に応じて内気と外気の混合割合が調整される。
前側エバポレータ42Fと前側ヒータコア44Fの間には、エアミックスドア56が配置されている。エアミックスドア56は、回動して、前側空調ユニット28Fを通過する空気の全部または大部分を前側ヒータコア44Fに導く全開位置と、同空気の全部または大部分を前側ヒータコア44Fを迂回させる全閉位置とに位置することができる。また、エアミックスドア56は、全開位置と全閉位置の間の任意の中間位置に位置することができる。エアミックスドア56が中間位置に位置することにより、前側ヒータコア44Fを通過する気流と、迂回する気流が生成され、後にこれらが混合する。エアミックスドア56の回動位置を変更することで、前側ヒータコア44Fを通過する空気と迂回する空気の比率が調節され、前側空調ユニット28Fが送出する空気の温度が調節される。言い換えれば、エアミックスドア56の回動位置によって、前側空調ユニット28Fを通過した空気に対する前側ヒータコア44Fを通過した空気の割合が調節され、前側空調ユニット28Fの送出空気の温度が調節される。図2において、実線で表すエアミックスドア56の位置が全開位置であり、破線で表す位置が全閉位置である。エアミックスドア56が全開位置にあるとき、前側空調ユニット28Fの送出空気の温度は、そのときに可能な最高の温度となる。このときの前側空調ユニット28Fの状態を、以下、最大暖房状態と記す。最大暖房状態は、MAXHOTモードと呼ばれることがある。
各空気送出口50に対応して、空気送出口50を開閉する送出口ドア58がそれぞれ設けられている。具体的には、頭部送出口50Hには頭部送出口ドア58Hが、足元送出口50Fには足元送出口ドア58Fが、デフロスタ送出口50Dにはデフロスタ送出口ドア58Dがそれぞれ設けられ、各送出口ドア58の開度により、各送出口50からの送風量が調節される。
送風機52の送風量と、内外気切替ドア54およびエアミックスドア56の回動位置と、各送出口ドア58の開度は、制御部60により制御される。制御部60は、乗員によって設定された条件、および環境条件に基づき、内外気切替ドア54およびエアミックスドア56の回動角度、各送出口ドア58の開度、並びに送風機52による送風量を制御する。各ドア54,56,58には、これらの回動位置または開度を検出するセンサが設けられ、制御部60はこれらのセンサの検出値に基づき、回動位置または開度を把握する。乗員は、温度設定スイッチ62を用いて希望の室内温度を設定し、さらに吹出し口切替スイッチ64を用いて送風を希望する空気送出口50を設定する。空気送出口50の選択は、空気送出口50H,50F,50Dのいずれかを単独で選択する吹出しモード、頭部送出口50Hと足元送出口50Fの両者から送風する吹出しモードなどが選択可能である。また、乗員は、自動空調スイッチ66を用いて自動空調モードを設定することができ、この場合、希望温度と環境条件に応じて制御部60は、送風を行う空気送出口50を所定のプログラムに従って選定する。制御部60には、室温センサ69により検出された乗員室20の気温、外気温センサ70により検出された外気温、液温センサ72により検出された加熱回路32の液温、および日射センサ74により検出された乗員室20に差し込む日射量などが入力される。さらに、制御部60には、前側エバポレータ42Fの直後に配置されたエバポレータ出口温度センサ76により検出された、前側エバポレータ42F通過直後の空気の温度(エバポレータ出口温度)が入力される。
乗員が、室内温度の設定可能な範囲の上限温度を設定すると、エアミックスドア56は全開位置とされ、前側空調ユニット28Fは最大暖房状態となる。また、設定された希望の室内温度が上限温度でなくても、外気温との差が大きいときには、前側空調ユニット28Fは最大暖房状態に制御される場合がある。
後側空調ユニット28Rは、前側空調ユニット28Fとほぼ同様の構成を有し、図示を省略する。後側空調ユニット28Rは、後側エバポレータ42Rおよび後側ヒータコア44R(図1参照)を収容する空調ケースを有し、空調ケースには空気導入口および空気送出口が設けられている。後側空調ユニット28Rにおいては、空気導入口は外気導入口を含まなくてよく、空気送出口はデフロスタ送出口を含まなくてよい。後側空調ユニット28Rは、前側空調ユニット28Fと同様に、後席の乗員の頭部またはその周囲と足元の一方に、また両方に空調された空気を送ることができる。
後側空調ユニット28Rは、乗員がオンオフを切り換えることができる。乗員が後側空調スイッチ67を操作することにより、制御部60が、前側空調ユニット28Fに加えて、後側空調ユニット28Rを動作させる。前側空調ユニット28Fと後側空調ユニット28Rは独立して温度設定、および吹出しモードの選択が可能である。また、熱管理システム12による電力消費を抑えるための電力抑制モード、いわゆる省エネモード、エコモードを設定するための電力抑制スイッチ68が設けられている。電力抑制スイッチ68が操作されると、制御部60は、熱管理システム12による電力消費を抑制するよう制御を行う。例えば、制御部60は、コンプレッサ34の出力に最大出力より低い上限を設定し、この上限出力以下でコンプレッサ34が運転されるよう制御する。
制御部60は、所定のプログラムに従って空気調和装置26を制御し、上記の各温度、日射量などに応じて乗員の希望する温度および送風モード等を実現するよう動作する処理装置である。
図3は、熱管理システム12の構成を模式的に示す図である。すでに説明した構成要素については、同一符号を付す。冷凍サイクル回路30は、すでに述べたコンプレッサ34、室外コンデンサ36、前側および後側エバポレータ42F,42R、ならびに室外コンデンサ36に加え、加熱回路32との熱交換を行う液冷コンデンサ78と、電池冷却回路40との熱交換を行う電池冷却用熱交換器41とを含む。冷凍サイクル回路30において、前側エバポレータ42Fと電池冷却用熱交換器41それぞれの上流側には、開度を調節可能な電気式膨張弁84,86が設けられ、後側エバポレータ42Rの上流側には、膨張弁88と電磁弁90が設けられている。電気式膨張弁84,86は、完全に閉止することはできず、開度を最も小さくした状態でも、前側エバポレータ42Fと電池冷却用熱交換器41に少量の冷媒が供給される。一方、後側エバポレータ42Rについては、電磁弁90を閉じることにより、冷媒の供給を完全に停止することができる。さらに、室外コンデンサ36の上流側には、暖房用膨張弁92が設けられている。暖房用膨張弁92は、開度調整が可能であり、電気式膨張弁であってよい。冷凍サイクル回路30を暖房運転する場合は、冷媒は、開度が小さくされた暖房用膨張弁92を通過して膨張し、室外コンデンサ36で気化して吸熱する。よって、暖房運転において室外コンデンサ36は、エバポレータとして機能する。冷凍サイクル回路30が冷房運転する際には、暖房用膨張弁92は全開とされて、冷媒を単に通過させる。コンプレッサ34の出力調整および各膨張弁84,86,88,92の開度調整により、冷凍サイクル回路30の能力が調整される。
冷凍サイクル回路30は、前側および後側エバポレータ42F,42Rならびに電池冷却用熱交換器41に対して並列に配置された第1迂回流路94を有する。冷媒は、第1迂回流路94を通ることにより、前側および後側エバポレータ42F,42Rならびに電池冷却用熱交換器41を迂回することができる。また、冷凍サイクル回路30は、室外コンデンサ36と並列に配置された第2迂回流路96を有し、冷媒は、第2迂回流路96を通ることにより室外コンデンサ36を迂回することができる。
電池冷却回路40は、電池18と、電池冷却用熱交換器41と、電池18と電池冷却用熱交換器41の間に冷却液を循環させる電池冷却回路ポンプ98とを含む。電池冷却用熱交換器41で冷やされた冷却液を電池18に送ることにより電池18が冷却される。電池18には、電池18の温度を検出する電池温センサ100が設けられている。電池18の温度に基づき電池18の冷却要求のレベルが判断され、レベルに応じて電池冷却回路40が制御される。
加熱回路32は、電気ヒータ38と、前側および後側ヒータコア44F,44Rと、液冷コンデンサ78と、高温液を送る加熱回路ポンプ104とを含む。加熱回路ポンプ104は、電気ヒータ38と、前側および後側ヒータコア44F,44Rと、液冷コンデンサ78とを巡るように循環液を循環させる。液冷コンデンサ78は、冷凍サイクル回路30のコンプレッサ34で圧縮された高温の冷媒により加熱回路32の循環液を加熱して高温液を生成する。電気ヒータ38または液冷コンデンサ78によって加熱された循環液である高温液が前側および後側ヒータコア44F,44Rに送られる。また、加熱回路32は、エンジン冷却回路106を含んでよく、エンジン14を熱源として利用することができる。前側および後側ヒータコア44F,44Rに送る高温液が、エンジン14側から供給されるか、電気ヒータ38および液冷コンデンサ78側から供給されるかは、三方弁108の動作により決定される。
エンジン冷却回路106は、エンジン14とエンジンラジエータ22を含み、さらにエンジン14とエンジンラジエータ22の間にエンジン冷却液を循環させるエンジン冷却回路ポンプ110を含む。エンジン冷却回路106は、エンジンラジエータ22と並列に配置されたラジエータ迂回流路111を含み、エンジンラジエータ22を迂回してエンジン冷却液を循環させることができる。暖機中などエンジン14が冷えた状態では、エンジン冷却回路106は、エンジン冷却液をエンジンラジエータ22に送らず、ラジエータ迂回流路111を通して循環させることでエンジン冷却液の温度を早期に高めることができる。前述のように、エンジン冷却液は、加熱回路32の循環液と共用することができる。
冷凍サイクル回路30、電池冷却回路40、エンジン冷却回路106を含む加熱回路32の、冷媒または流体が流れる流路は、所定の条件に応じて変更される。冷媒または流体の流路の変更は、すでに述べた三方弁108および電磁弁90に加え、各回路に適宜設けられた不図示の複数の弁の動作により実現される。これらの弁の開閉および開度の制御は、制御部60により制御されてよい。また、制御部60は、要求に応じてコンプレッサ34の出力、電池冷却回路ポンプ98の吐出流量、および加熱回路ポンプ104の吐出流量を制御する。
熱管理システム12は、所定の条件に応じたいくつかの運転モードで動作する。この所定の条件は、例えば、外気温と、乗員の要求に基づく空気調和装置26から吹き出す気流の温度(要求吹出し温度)と、電池18の冷却要求に基づき定められる。
図4は、熱管理システム12の運転モード、特に空気調和装置26の運転モードを規定する条件の一例を示す図である。外気温が所定の気温T1(例えば0℃)未満の暖房領域Hにおいて、熱管理システム12は暖房モードで動作、つまり暖房運転する。また、外気温が所定の気温T1より高く、要求吹出し温度が低く、さらに要求吹出し温度と外気温の差が大きい冷房領域Cでは、熱管理システム12は冷房モードで動作、つまり冷房運転する。暖房領域Hと冷房領域Cの間の中間的な除湿暖房領域Dp,Dsにおいては、熱管理システム12は、空調ユニット28に取り込まれた空気を一旦冷やして除湿し、その後加熱して要求吹出し温度とする除湿暖房モードで動作、つまり除湿暖房運転する。除湿暖房領域は、さらに並列除湿暖房領域Dpと直列除湿暖房領域Dsに分かれている。熱管理システム12は、並列除湿暖房領域Dpにて並列除湿暖房運転を行い、直列除湿暖房領域Dsにて直列除湿暖房運転を行う。並列除湿暖房運転は、直列除湿暖房運転に比べ、暖房を強くする領域での運転モードである。また、前側空調ユニット28Fと後側空調ユニット28Rが独立して要求吹出し温度を設定可能である場合、あらかじめ定められた一方の空調ユニット28、例えば前側空調ユニット28Fの要求吹出し温度を、運転モードを規定する要素としてよい。また、より低い温度に設定された空調ユニット28の要求吹出し温度を、運転モードを規定する要素としてよい。以下、各運転モードにおける熱管理システム12の動作について説明する。
図5は、エンジン14の冷却液の温度が十分に高いときの動作状態を示す図である。エンジン冷却液の温度が高いときには、エンジン冷却回路ポンプ110により循環するエンジン冷却液の一部がヒータコア44に供給される。乗員の操作により、前側および後側ヒータコア44F,44Rのいずれか一方に、または双方にエンジン冷却液が供給されるようにしてよい。
図6は、エンジン冷却液の温度が低い場合の動作状態を示す図である。エンジン冷却液の温度が低い場合には、電気ヒータ38が高温液を生成し、この高温液が加熱回路ポンプ104によりヒータコア44に供給される。乗員の操作により、前側および後側ヒータコア44F,44Rのいずれか一方または双方に電気ヒータ38からの高温液が供給されるようにしてよい。また、エンジン14を搭載せず、電気モータ16の動力のみで走行する車両については、電気ヒータ38によって、または次に述べる冷凍サイクル回路30のヒートポンプ運転によって暖房が行われる。
図7は、冷凍サイクル回路30をヒートポンプ運転して暖房を行う動作状態を示す図である。コンプレッサ34により圧縮されて高温になった冷媒は、液冷コンデンサ78において、加熱回路32を循環する液体で冷却されて液化する。このとき、加熱回路32の循環液は、高温の冷媒により加熱されて高温液となる。液冷コンデンサ78で液化した冷凍サイクル回路30の冷媒は、暖房用膨張弁92を通過して膨張し、室外コンデンサ36で気化して外気から熱を吸収する。つまり、このとき室外コンデンサ36は、エバポレータとして機能する。気化した冷媒は、第1迂回流路94を通ってコンプレッサ34に戻る。液冷コンデンサ78で加熱された高温液は、加熱回路ポンプ104によりヒータコア44に供給される。このヒートポンプ運転においては、外気から汲み上げた熱により乗員室20が暖房される。ヒートポンプ運転による加熱が不足する場合、電気ヒータ38の加熱を更に加えて高温液を生成するようにしてよい。
図8は、冷房領域Cにおける熱管理システム12の動作状態を示す図である。以下の説明において、特段の区別が必要ないとき、前側エバポレータ42Fと後側エバポレータ42Rを総称してエバポレータ42と記す。コンプレッサ34で圧縮された冷媒は、室外コンデンサ36で外気に対して放熱し、自身は冷やされて液化する。液化した冷媒が、電気式膨張弁84および膨張弁88を通過して膨張し、それぞれ前側および後側エバポレータ42F,42Rで気化して吸熱する。これにより、乗員室20が冷房される。また、後席に乗員がいない場合など、乗員室20の後側を冷房する必要がないとき、電磁弁90が閉じられることによって、冷媒が後側エバポレータ42Rに供給されないようにしてよい。
図9は、並列除湿暖房領域Dpにおける熱管理システム12の動作状態を示す図である。コンプレッサ34で圧縮された冷媒は、液冷コンデンサ78にて、加熱回路32の循環液に放熱する。これにより、加熱回路32の高温液が生成されヒータコア44に供給される。前述の暖房運転と同様、前側ヒータコア44Fと後側ヒータコア44Rのいずれか一方または双方に高温液が供給されてよい。並列除湿暖房運転においては、冷凍サイクル回路30による熱の移動量が、ヒートポンプによる暖房運転および冷房運転に比して少ないため、冷凍サイクル回路30に要求される能力が小さくなる。このため、コンプレッサ34の出力が低く、液冷コンデンサ78にて放熱した冷媒は、完全には液化せず、気液の二相状態となっている。冷媒は、一部が室外コンデンサ36に向かい、絞られた暖房用膨張弁92を通過して室外コンデンサ36にて少なくとも一部が気化し、吸熱する。このとき、室外コンデンサ36はエバポレータとして機能する。室外コンデンサ36を通過した冷媒は、第1迂回流路94を通ってコンプレッサ34に戻る。液冷コンデンサ78を通過した冷媒の残余が、第2迂回流路96を通ってエバポレータ42に向かう。エバポレータ42で、液相の冷媒の少なくとも一部が気化して吸熱する。冷媒は、エバポレータ42を通過後、コンプレッサ34に戻る。また、後席に乗員がいない場合など、乗員室20の後側を冷房する必要がないとき、電磁弁90が閉じられることによって、冷媒が後側エバポレータ42Rに供給されないようにしてよい。
空調ユニット28においては、エバポレータ42にて空気を冷やすことにより水蒸気が冷やされて凝縮し除湿される。冷やされた空気をヒータコア44にて加熱することにより、空調ユニット28は、暖かく乾いた空気を乗員室20に送り出す。
図10は、直列除湿暖房領域Dsにおける熱管理システム12の動作状態を示す図である。コンプレッサ34で圧縮された冷媒は、液冷コンデンサ78にて、加熱回路32の循環液に放熱する。これにより、加熱回路32の高温液が生成され、ヒータコア44に供給される。前述した暖房運転と同様、前側ヒータコア44Fと後側ヒータコア44Rのいずれか一方または双方に高温液が供給されてよい。液冷コンデンサ78を通過した冷媒は、全量が室外コンデンサ36に送られる。室外コンデンサ36では、液冷コンデンサ78で冷媒が放熱する熱量が多いとき、つまり暖房を強めにするときには、並列除湿暖房運転と同様に冷媒が吸熱する。暖房用膨張弁92の開度を絞ることにより、室外コンデンサ36において、冷媒の一部が気化し吸熱する。一方、暖房が弱めで済むときには、室外コンデンサ36において冷媒は放熱する。このとき、暖房用膨張弁92は、全開状態とされる。直列除湿暖房運転においては、冷凍サイクル回路30による熱の移動量が、ヒートポンプによる暖房運転および冷房運転に比して少ないため、冷凍サイクル回路30に要求される能力が小さくなる。このため、コンプレッサ34の出力が低く、液冷コンデンサ78および室外コンデンサ36にて放熱した冷媒は、完全には液化せず、気液の二相状態となっている。気液二相状態の冷媒がエバポレータ42に向かう。エバポレータ42で、液相の冷媒が気化して吸熱する。冷媒は、エバポレータ42を通過後、コンプレッサ34に戻る。また、後席に乗員がいない場合など、乗員室20の後側を冷房する必要がないとき、電磁弁90を閉じることによって、冷媒が後側エバポレータ42Rに供給されないようにしてよい。
冷凍サイクル回路30は、暖房運転において室外の熱を乗員室20内に移動させて、乗員室20を暖房し、冷房運転においては乗員室20内の熱を室外に移動させて冷房を行う。除湿暖房運転においては、冷凍サイクル回路30は、エバポレータ42から吸熱し、加熱回路32を介してヒータコア44から放熱して、乗員室20内で熱を移動させる。エバポレータ42で吸熱した熱量と、液冷コンデンサ78で放熱した熱量の差分が、室外コンデンサ36で吸熱または放熱される。
除湿暖房運転においては、暖房および冷房運転に比して熱の移動が少なく、コンプレッサ34の出力も抑えられる。このため、放熱後の冷媒が完全に液化せず、気液二相状態となる。気液二相状態の冷媒を複数の対象に供給する場合、液相の冷媒の分配が不均等になる場合がある。
除湿暖房領域Dp,Dsにおいて、空調ユニット28が最大暖房状態となると、冷媒が気液二相状態であるため効率が悪く、十分な吹出し温度が得られない場合がある。特に、前側および後側空調ユニット28F,28Rの両者が動作している(デュアルモード)ときには、液相の冷媒の分配が不均等となって、効率が悪化し、所定の性能を達成できない可能性がある。効率が悪い状態で、空気調和装置26が最大暖房状態で運転されると、冷凍サイクル回路30のコンプレッサ34の消費電力が大きくなる。その分、電池18の蓄電量が低下し、車両の航続可能距離が短くなる可能性がある。また、除湿暖房領域Dp,Dsでは、ヒータコア44で空気を加熱する以前に、エバポレータ42で空気を冷やしており、その分、空調ユニット28の送出空気の温度が低く抑えられてしまう。この場合、要求された吹出し温度を得られないか、または要求された吹出し温度を達成するために電力消費が大きくなる可能性がある。
この熱管理システム12においては、除湿暖房領域Dp,Dsにおいて、前側および後側空調ユニット28F,28Rが動作している場合に、前側空調ユニット28Fと後側空調ユニット28Rの少なくとも一方が最大暖房状態となると、冷凍サイクル回路30の運転を停止し、加熱回路32により前側および後側ヒータコア44F,44Rに高温液を供給する。エンジン冷却水の温度が高いときには、図5に示すように、エンジン14からの冷却水を高温液として前側および後側ヒータコア44F,44Rに供給する。エンジン冷却水の温度が低いときには、図6に示すように電気ヒータ38からの高温液を前側および後側ヒータコア44F,44Rに供給する。
図11は、除湿暖房領域Dp,Dsにおいて、前側および後側空調ユニット28F,28Rが共に動作しており、少なくとも一方が最大暖房状態となったときの熱管理システム12の制御フローを示す図である。制御部60が、この制御フローに従って熱管理システムを制御する。
後側空調スイッチ67がオン状態、つまり前側および後側空調ユニット28F,28Rの両者が動作するデュアルモードであり(S100)、かつ動作条件が除湿暖房領域Dp,Dsである(S102)とき、制御部60は、さらに前側および後側空調ユニット28F,28Rの少なくとも一方が、最大暖房状態にあるかを判断する(S104)。ステップS104において、最大暖房状態ではないと判断されれば、処理は制御フローの開始に戻る。ステップS104において、最大暖房状態であると判断されると、制御部60は、冷凍サイクル回路30の運転を停止し、加熱回路32の熱源による暖房を実行する(S106)。エンジン冷却水が十分な高温であればエンジン14を熱源とし、エンジン冷却水の温度が低温であるときには電気ヒータ38を熱源とする。デュアルモードに係る判断(S100)、除湿暖房領域に係る判断(S102)、最大暖房状態に係る判断(S104)の3つの条件の判断の順序は入れ替えてもよく、これら3つの条件のAND条件が成立したとき、制御部60は、冷凍サイクル回路30の運転を停止し、加熱回路32の、その熱源のみによる暖房を実行させる(S106)。
また、別の制御態様として、熱管理システム12は、除湿暖房領域Dp,Dsにおいて、電力抑制モードが設定され、かつ前側および後側空調ユニット28F,28Rが動作している場合に、前側空調ユニット28Fと後側空調ユニット28Rの少なくとも一方が最大暖房状態となると、冷凍サイクル回路30の運転を停止し、加熱回路32により前側および後側ヒータコア44F,44Rに高温液を供給する。エンジン冷却水の温度が高いときには、図5に示すように、エンジン14からの冷却水を高温液として前側および後側ヒータコア44F,44Rに供給する。エンジン冷却水の温度が低いときには、図6に示すように電気ヒータ38からの高温液を前側および後側ヒータコア44F,44Rに供給する。
図12は、除湿暖房領域Dp,Dsにおいて、電力抑制モードが設定され、かつ前側および後側空調ユニット28F,28Rが共に動作しており、少なくとも一方が最大暖房状態となったときの熱管理システム12の制御フローを示す図である。制御部60が、この制御フローに従って熱管理システム12を制御する。
後側空調スイッチ67がオン状態、つまり前側および後側空調ユニット28F,28Rの両者が動作するデュアルモードであり(S100)、かつ動作条件が除湿暖房領域Dp,Dsである(S102)とき、制御部60は、さらに前側および後側空調ユニット28F,28Rの少なくとも一方が、最大暖房状態にあるかを判断する(S104)。ステップS104において、最大暖房状態ではないと判断されれば、処理は制御フローの開始に戻る。ステップS104において、最大暖房状態であると判断されると、制御部60は、電力抑制モードが設定されているかを判断する(S108)。ステップS108において、電力抑制モードに設定されていないと判断されれば、処理は制御フローの開始に戻る。ステップS108において、電力抑制モードであると判断されると、制御部60は、冷凍サイクル回路30の運転を停止し、加熱回路32の熱源による暖房を実行する(S106)。冷凍サイクル回路30の停止により冷凍サイクル回路30による電力消費が抑制される。エンジン冷却水が十分な高温であればエンジン14を熱源とし、エンジン冷却水の温度が低温であるときには電気ヒータ38を熱源とする。デュアルモードに係る判断(S100)、除湿暖房領域に係る判断(S102)、最大暖房状態に係る判断(S104)、さらに電力抑制モードに係る判断(S108)の4つの条件の判断の順序は入れ替えてもよく、これら4つの条件のAND条件が成立したとき、制御部60は、冷凍サイクル回路30の運転を停止し、加熱回路32の、その熱源のみによる暖房を実行させる(S106)。
図13は、第2の実施形態の熱管理システム112の構成を模式的に示す図である。図13は、熱管理システム112の、特に熱移動を担う冷媒および液体が循環する各回路130,132,140を示しており、空調ユニットなどの他の構成は、前述の熱管理システム12と同様の構成を有する。熱管理システム112を制御する制御部の構成も前述の制御部60と同様の構成である。前述の熱管理システム12と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図示する熱管理システム112が備えられる車両は、車両を駆動する原動機としてエンジンを含まず、電気モータのみで走行する車両である。
熱管理システム112は、前側および後側エバポレータ42F,42Rならびに前側および後側ヒータコア44F,44Rを有する前側および後側空調ユニットを含む。この前側および後側空調ユニットの構成は、前述の熱管理システム12の前側および後側空調ユニット28F,28Rと同様の構成を有する。以降の説明において、熱管理システム112の空調ユニットについても、符号28,28F,28Rを用いて説明する。
熱管理システム112は、エバポレータ42R,42Fに冷媒を供給する冷凍サイクル回路130と、ヒータコア44F,44Rに高温液を供給する加熱回路132を含む。冷凍サイクル回路130は、前述の冷凍サイクル回路30に対して室外コンデンサ36を有していない点で相違し、室外コンデンサ36に関連する第1および第2迂回流路94,96を有していない。
加熱回路132は、加熱回路132を循環する循環液を外気で冷却する加熱回路ラジエータ200を有する。電気ヒータ38を通過した循環液は、流量調整三方弁202によりヒータコア44に向かう流量と、加熱回路ラジエータ200に供給される流量が調整される。ヒータコア44に必要な流量を超える循環液が、加熱回路ラジエータ200に送られる。加熱回路132は、冷凍サイクル回路130と共有する液冷コンデンサ78を含む。加熱回路132の循環液は、液冷コンデンサ78において、冷凍サイクル回路130のコンプレッサ34で圧縮された高温の冷媒を冷却し液化させる。一方、循環液自身は加熱され、電気ヒータ38に送られ、必要に応じて電気ヒータ38により加熱される。高温液のとなった循環液は、さらにヒータコア44または加熱回路ラジエータ200に送られ、ここで冷やされる。
電池冷却回路140は、電池冷却液を循環させて電池18を冷却する。冷凍サイクル回路130と共有する室内熱交換器204において、冷凍サイクル回路130の冷媒が液化して、電池冷却液を冷却する。この冷却された電池冷却液が電池18に送られる。電池冷却回路140は、電池18と並列配置された室外熱交換器206を含む。電池冷却回路140は、電池冷却液を、室内熱交換器204と室外熱交換器206の間で循環させることができる。この場合、室外熱交換器206で外気により温められた電池冷却液が、室内熱交換器204で冷凍サイクル回路130の冷媒を温める。
熱管理システム112の空気調和装置126は、冷凍サイクル回路130と加熱回路132に加え、電池冷却回路140を含む。
図14は、熱管理システム112の運転モード、特に空気調和装置126の運転モードを規定する条件の一例を示す図である。外気温が所定の気温T1(例えば0℃)未満の暖房領域Hにおいて、熱管理システム112は暖房モードで動作、つまり暖房運転する。また、外気温が所定の気温T1より高く、要求吹出し温度が低く、さらに要求吹出し温度と外気温の差が大きい冷房領域Cでは、熱管理システム112は冷房モードで動作、つまり冷房運転する。暖房領域Hと冷房領域Cの間の中間的な除湿暖房領域Dにおいては、熱管理システム112は、空調ユニット28に取り込まれた空気を一旦冷やして除湿し、その後加熱して要求吹出し温度とする除湿暖房モードで動作、つまり除湿暖房運転する。除湿暖房領域では、熱管理システム112は、後述する3つの態様で運転する。また、前側空調ユニット28Fと後側空調ユニット28Rが独立して要求吹出し温度を設定可能である場合、あらかじめ定められた一方の空調ユニット28、例えば前側空調ユニット28Fの要求吹出し温度を、運転モードを規定する要素としてよい。また、より低い温度に設定された空調ユニット28の要求吹出し温度を、運転モードを規定する要素としてよい。
図15は、除湿暖房領域Dの、冷房領域C寄りの条件、つまり冷房を強めとする条件での熱管理システム112の運転状態を示す図である。冷凍サイクル回路130は、コンプレッサ34によって冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒は、液冷コンデンサ78により冷却される。除湿暖房領域Dでは、エバポレータ42による冷却能力は、冷房領域Cでの運転ほどには要求されないため、コンプレッサ34の出力が低い。そのため、液冷コンデンサ78で冷却された冷媒は、一部が液化せず、気液二相状態となる場合がある。冷媒は、さらに前側および後側エバポレータ42F,42Rの一方または双方に送られる。液相の冷媒がエバポレータ42で気化し、吸熱してコンプレッサ34に戻る。
加熱回路132では、液冷コンデンサ78において、冷凍サイクル回路130の冷媒で加熱された循環液(高温液)が前側および後側ヒータコア44F,44Rの一方または双方に、ならびに加熱回路ラジエータ200に送られる。ヒータコア44と加熱回路ラジエータ200への高温液の流量の比率は流量調整三方弁202で調整される。ヒータコア44による加熱の要求を超えた流量の循環液は、加熱回路ラジエータ200に送られ、ここで冷却される。
エバポレータ42で吸収された乗員室内または外気の熱は、液冷コンデンサ78を介して、加熱回路132の循環液に伝達し、一部がヒータコア44から乗員室内に放熱され、残余が加熱回路ラジエータ200から放熱される。
図16は、除湿暖房領域Dの、冷房領域C寄りでもなく、暖房領域H寄りでもない中間的な条件での熱管理システム112の運転状態を示す図である。冷凍サイクル回路130は、コンプレッサ34によって冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒は、液冷コンデンサ78により冷却される。除湿暖房領域Dでは、エバポレータ42による冷却能力はさほど要求されないため、コンプレッサ34の出力が低い。そのため、液冷コンデンサ78で冷却された冷媒は、一部が液化せず、気液二相状態となる場合がある。冷媒は、さらに前側および後側エバポレータ42F,42Rの一方または双方に送られる。また、冷媒は、室内熱交換器204にも送られる。冷媒は、エバポレータ42および室内熱交換器204で気化し、吸熱してコンプレッサ34に戻る。
電池冷却回路140では、電池冷却液が室内熱交換器204と室外熱交換器206の間で循環される。室内熱交換器204において、冷凍サイクル回路130の冷媒で冷却された電池冷却液は、室外熱交換器206にて外気により温められて、室内熱交換器204に戻る。
加熱回路132では、液冷コンデンサ78において、冷凍サイクル回路130の冷媒で加熱された循環液(高温液)が前側および後側ヒータコア44F,44Rの一方または双方に送られる。また、冷凍サイクル回路130の冷媒による加熱では、加熱回路132の循環液の温度が十分高くならないときには、電気ヒータ38により、冷媒で加熱された循環液を更に加熱して、ヒータコア44に送る。
エバポレータ42で吸収された乗員室内または外気の熱と、室外熱交換器206で吸収され、室内熱交換器204で冷媒に伝達された熱とが、液冷コンデンサ78を介して、加熱回路132の循環液に伝達され、さらにヒータコア44から乗員室内に放熱される。
図17は、除湿暖房領域Dの、暖房領域H寄りの条件、つまり暖房が強めの条件での熱管理システム112の運転状態を示す図である。冷凍サイクル回路130は、図15に示された運転状態と同様に運転する。この領域では、ヒータコア44で空気を十分に加熱する必要があり、加熱回路132は、図15の運転状態とは異なり、液冷コンデンサ78で加熱された循環液を電気ヒータ38によって更に加熱する。また、加熱回路132は、加熱回路ラジエータ200には循環液を送らない。エバポレータ42で吸収された乗員室内または外気の熱は、液冷コンデンサ78を介して、加熱回路132の循環液に伝達し、ヒータコア44から乗員室内に放熱される。
除湿暖房領域Dでは、冷凍サイクル回路130の冷媒は、液冷コンデンサ78で冷却された後、気液二相状態となっており、冷凍サイクルの効率が悪い。特に、前側および後側
空調ユニット28F,28Rの両者が動作しているデュアルモードの場合、冷媒が前側および後側エバポレータ42F,42Rに適切に分配されず、所定の性能を達成できない可能性がある。さらに、図16に示す運転状態では、冷媒は、前側および後側エバポレータ42F,42Rに加え、室内熱交換器204にも供給される。冷媒が、気液二相状態であると、2つのエバポレータ42F,42Rは元より、室内熱交換器204にも冷媒が適切に分配されず、室内熱交換器204における電池冷却水との熱交換が十分に行われない可能性がある。この場合、外気から乗員室内への熱移動が阻害され、冷凍サイクル回路130の効率が悪くなる。効率が悪い状態で、空気調和装置126が最大暖房状態で運転されると、冷凍サイクル回路130のコンプレッサ34による電力消費が大きくなる。その分、電池18の蓄電量が低下し、車両の航続可能距離が短くなる可能性がある。
また、除湿暖房運転は、乗員室内の空気を一旦冷やして除湿し、冷やした空気を加熱する運転である。空気を冷やすことは、吹出し温度を高くする目的に対しては不要な動作である。よって、空気調和装置126が最大暖房状態で運転されるときには、要求された吹出し温度を得られないか、または要求された吹出し温度を達成するために電力消費が大きくなる可能性がある。
熱管理システム112は、前述の熱管理システム12と同様に、除湿暖房領域Dにおいて、前側および後側空調ユニット28F,28Rが動作している(デュアルモード)場合に、前側空調ユニット28Fと後側空調ユニット28Rの少なくとも一方が最大暖房状態(MAXHOT)となると、冷凍サイクル回路130の運転を停止し、加熱回路132により前側および後側ヒータコア44F,44Rに高温液を供給する。
具体的には、図18に示すように、冷凍サイクル回路130は運転せずに、加熱回路132を動作させ、電気ヒータ38により高温液を生成する。高温液が前側および後側ヒータコア44F,44Rに供給され、暖房が行われる。制御フローは、図11と同様であり、説明を省略する。
また、別の制御態様として、熱管理システム112は、前述の熱管理システム12と同様、除湿暖房領域Dにおいて、電力抑制モード(エコモード)が設定され、かつ前側および後側空調ユニット28F,28Rが動作している(デュアルモード)場合に、前側空調ユニット28Fと後側空調ユニット28Rの少なくとも一方が最大暖房状態(MAXHOT)となると、冷凍サイクル回路30の運転を停止し、加熱回路32により前側および後側ヒータコア44F,44Rに高温液を供給する。
具体的には、図18に示すように、冷凍サイクル回路130は運転せずに、加熱回路132を動作させ、電気ヒータ38により高温液を生成する。高温液が前側および後側ヒータコア44F,44Rに供給され、暖房が行われる。制御フローは、図12と同様であり、説明を省略する。
上述した熱管理システム12,112において、空調ユニット28は、エアミックスドア56が全開位置のとき最大暖房状態であるとしたが、空調ユニット28から送出される空気に対するヒータコア44を通過する空気の割合が所定値以上、例えば90%以上となるエアミックスドア56の位置を最大暖房状態と定めてもよい。