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JP7786707B2 - 光変調素子、並びに、光変調素子を用いた光変調器、及び、ライダー - Google Patents
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JP7786707B2 - 光変調素子、並びに、光変調素子を用いた光変調器、及び、ライダー - Google Patents

光変調素子、並びに、光変調素子を用いた光変調器、及び、ライダー

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特許法第30条第2項適用 https://confit.atlas.jp/guide/event/jsap2021a/subject/11p-N207-8/advanced、令和3年7月7日
本発明は、光変調素子、並びに、光変調素子を用いた光変調器、及び、ライダーに関する。
近年、電気信号に比べて動作帯域が広く伝搬損失が少ない光信号を用いることで、高速かつ省電力な通信を実現する機器の開発が行われている。一般に、光信号を用いた通信は、電気信号を光信号に変換する光変調素子により実現される。
例えば、非特許文献1には、Siの導波路コアと隣接してLiNbOを成膜させて構成した光導波路を備える光変調素子が開示されている。強誘電体のLiNbOを備える光導波路に電圧を印加すると、ポッケルス効果により屈折率が変化するので、電圧の印加に応じて光信号の変調制御を行うことができる。
C. Wang et al., Nature, vol. 562, no. 7725, pp. 101-104, 2018.
Siを用いた光変調素子の製造には、製造方法が確立されている半導体素子の製造プロセスを応用するのが好ましい。しかしながら、非特許文献1に開示されたLiNbOは半導体素子に一般的に利用されない材料であるため、半導体素子の製造プロセスを応用して製造するのが容易ではない。そこで、既存の半導体素子の製造プロセスとの親和性が高い材料を用いた光変調素子の実現が求められている。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、既存の半導体素子の製造プロセスとの親和性の高い材料を用いて、光導波路を伝播する光を印加電圧に応じて変調する光変調素子を提供することを目的とする。
本願発明の一態様の光変調素子は、光導波路と、光導波路に電界を印加する一対の電極と、を備える。光導波路は、HfZr1-x(0<x<1)で表される化合物を含有する強誘電体層を備える。
本願発明の一態様の光変調素子によれば、一対の電極に電圧を印加すると、HfZr1-xからなる強誘電体層を備える光導波路において、ポッケルス効果に起因して屈折率が変化するため、光導波路を伝播する光を印加電圧に応じて変調できる。さらに、HfZr1-xは、既存の半導体製造プロセスで用いられている材料であるため、既存の製造方法及び製造装置を流用して光変調素子を実用化することができる。
図1は、第1実施形態の光変調素子を使用する光変調器の概略構成図である。 図2は、光変調素子の断面図である。 図3Aは、光変調素子の製造工程の説明図である。 図3Bは、光変調素子の製造工程の説明図である。 図3Cは、光変調素子の製造工程の説明図である。 図3Dは、光変調素子の製造工程の説明図である。 図3Eは、光変調素子の製造工程の説明図である。 図3Fは、光変調素子の製造工程の説明図である。 図4は、光変調素子を用いたマッハツェンダー干渉計の概略構成図である。 図5は、図4の測定結果を示す図である。 図6は、第2実施形態の光変調素子の断面図である。 図7は、第3実施形態の光変調素子の断面図である。 図8は、第4実施形態の光変調素子の断面図である。 図9は、第5実施形態の光変調素子の断面図である。 図10は、第6実施形態の光変調素子の断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の光変調素子を用いた光変調器を示す図である。
図1によれば、光変調素子1Aが、光変調器2に用いられている。光変調器2は、入力部3、分岐部4、第1分岐導波路5、第2分岐導波路6、合波部7、及び出力部8を備え、第1分岐導波路5に光変調素子1Aが設けられている。光変調素子1Aは、ポッケルス効果により導波路の屈折率を変化させることができる。
光変調素子1Aは、入射部10と、出射部11と、入射部10から出射部11へとつながる光導波路12と、変調電気入力信号が入力される電極としての入力電極13とを備える。光変調素子1Aは、光導波路12を通過する連続波の光(CW(Continuous Wave)光)を、入力電極13に入力される変調電気入力信号により変調し、変調された光変調信号を出射部11から出射する。光変調素子1Aの光導波路12の詳細な構成は、後に図2を用いて説明する。
入力部3に入射したCW光は、分岐部4で第1分岐導波路5と第2分岐導波路6に分岐される。第1分岐導波路5に分岐されたCW光の一部は、光変調素子1Aに入射し、入力電極13に入力された変調電気入力信号により変調された光変調信号として光変調素子1Aから出射される。光変調信号は、合波部7において第2分岐導波路6を伝播してきたCW光の余部と合波され、所定の強度変調が付与された変調光出力信号として出力部8から出力される。
このように、光の屈折率を利用した光変調素子1Aは、光変調器2に応用できる。入力されたCW光の一部は、光変調素子1Aで光変調信号に変換され、さらに光変調器2により強度変調された変調光出力信号として出力される。
図2は、図1の光変調素子1Aの断面図である。この図には、入射光の進行方向に対して垂直方向の断面が示されており、光変調素子1Aは紙面の手前奥方向に延在し、その内部に手前奥方向に進行する入射光の導波路が設けられる。以下の説明においては、図中の上下左右の方向を用いて説明するが、説明中の方向は光変調素子1Aの配置方向を限定するものではない。
光変調素子1Aにおいては、シリコン基板21上に酸化膜(SiO)からなる第1絶縁層22が積層されている。第1絶縁層22の上部の一部において、紙面手前奥方向に延在するSiからなる導波路コア23が形成されている。第1絶縁層22及び導波路コア23を覆うように、強誘電体膜24が設けられる。強誘電体膜24の上部には、さらに酸化膜(SiO)からなる第2絶縁層25が積層されている。第2絶縁層25の上面には、図左右方向の両端部に、対をなす第1電極26、及び、第2電極27が設けられる。なお、強誘電体膜24は、このような層状構造の光変調素子1Aのうちの一層であって、強誘電体層の態様の一例である。
強誘電体膜24は、主にHfOを材料として用いるHfO系の強誘電体からなる。HfO系の強誘電体は、Al、Zr等を混ぜて構成されてもよく、トランジスタのゲート絶縁膜として利用されることもある。本実施形態では、強誘電体膜24は、HfZr1-xからなる。
HfとZrとの混晶であるHfZr1-xは、例えば、x=0.5程度(Hf:Zr=0.5:0.5)であって、直方晶系の多結晶構造となると誘電性が強くなる。なお、この図の例においては、強誘電体膜24は、第1絶縁層22の上面に設けられるが、導波路コア23と隣接して設けられればよく、第1絶縁層22の全面を覆うように構成する必要はない。
導波路コア23は、Siに限らず、他の半導体材料(Ge、SiGe、SiC、InP系材料、GaAs系材料、GaN系材料)や、誘電体材料(SiN、SiO)で構成されてもよい。
光変調素子1A内を導波する光信号は、一部が強誘電体膜24へ染み出ながら、主に導波路コア23内を伝導する。つまり導波路コア23と強誘電体膜24の一部で光導波路(以下、「導波路」と称す。)が形成される。第1電極26と第2電極27との間に電圧を印加すると、図中に矢印で示されるように、導波路コア23及び強誘電体膜24に電界が生じる。そして、光変調素子1Aにおいては主にポッケルス効果によって導波路屈折率が変化する。
ポッケルス効果は、次式(1)で示される。ただし、Δnは導波路(媒質)の屈折率の変化量、nは媒質の屈折率、rは電気光学テンソル、Eは印加される電圧を示す。
式(1)に示されるように、ポッケルス効果によって、印加電圧の正負に応じて導波路の屈折率の正負が変化する。屈折率を変化させる原因としては、ポッケルス効果以外に、熱光学効果や自由キャリア効果が知られている。熱光学効果は媒質が加熱されるとその屈折率が変化する現象であって、電界に応じた屈折率の変化はないため、光変調素子への応用は難しい。自由キャリア効果は、ポッケルス効果よりも光損失が大きい。そのため、ポッケルス効果が支配的な光変調素子1Aを用いることで、変調効率の高い光変調器2を構成できる。
また、ポッケルス効果の高い材料としては、LiNbOが知られているが、既存の半導体製造プロセスとの親和性が低く、製造コストの上昇を招く恐れがある。これに対して、本願の発明者らは、既存の半導体製造プロセスとの親和性の高いHfZr1-xが、直方晶構造が支配的である場合にポッケルス効果を示すことを見出した。このようなHfZr1-xを用いることで、光変調効果が高く、かつ、既存の半導体プロセスを応用して製造可能な光変調素子1Aを実現できる。以下では、光変調素子1Aの製造方法について、図3A~3Fを用いて説明する。
図3Aに示されるように、上下方向にSi、SiO、Siが積層された基板を準備する。シリコンウェハ(Si)の内部に絶縁体(SiO)層が形成された基板はSOI(Silicon On Insulator)基板と称される。図示されたSOI基板においては、下部の層がシリコン基板21に相当し、絶縁体層が第1絶縁層22に相当する。そして、第1絶縁層22の上に、シリコン(Si)層31が設けられている。
次に、図3Bに示されるように、SOI基板のシリコン層31において導波路コア23となる部分をレジストによりマスキングした後に、シリコン層31のマスキングされていない部分をエッチングにより除去する。この後レジストを除去することで、導波路コア23が構成される。
次に、図3Cに示されるように、導波路コア23及び第1絶縁層22の上面に、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)によりHfZr1-xからなる強誘電体膜24を形成する。HfとZrとの配合比は、x=0.4(Hf:Zr=0.4:0.6)~0.6(Hf:Zr=0.6:0.4)、好ましくはx=0.5(Hf:Zr=1:1(=0.5:0.5))とする。そして、図3Dに示されるように、強誘電体膜24の上面を覆うようにTiN膜32をスパッタにより形成し、その後、400°C程度でアニール処理を行う。
次に、図3Eに示されるように、APM洗浄(Ammonia-hydrogen Peroxide Mixture cleaning)によりTiN膜32を除去して、強誘電体膜24を露出させる。そして、図3Fに示されるように、強誘電体膜24の上に、第2絶縁層25、及び、金属層33を形成する。そして、金属層33において、第1電極26、及び、第2電極27のパターンに応じたエッチングを行うことで、図2に示される光変調素子1Aを得ることができる。
このように生成されたHfとZrとの混晶であるHfZr1-xからなる強誘電体膜24は、直方晶の構造が支配的となる。HfOの単晶は、単斜晶構造の常誘電体であり、ZrOの単晶は、正方晶構造の反強誘電体である。HfOとZrOとの混晶であるHfZr1-xであって直方晶構造のものは、強誘電特性を備える。図3A~3Fの工程を経て生成されるHfZr1-xは直方晶が支配的な構造となり、強誘電特性を示す。
直方晶は安定性の高い結晶相ではない。そこで、本願の発明者らは、図3Dの工程においてTiN膜32を成膜させた後にHfZr1-x層を加熱することで、TiN膜32からの応力によりHf0.5Zr0.5の結晶構造を直方晶構造が支配的とすることができることを見出した。なお、強誘電体膜24は、直方晶構造が支配的なHfZr1-xであればよく、TiN膜32を成膜後にアニールすることは必須の製造工程ではない。
強誘電体膜24の結晶構造は、X線回折法(XRD)により確認することができる。X線回折法によりHfZr1-xを解析する場合には、解析対象の結晶構造(単斜晶、直方晶、及び、正方晶)と対応する回折角度のピークパターンを得ることができる。図3A~図3Fの方法により製造される光変調素子1Aの強誘電体膜24についてX線回折法を用いて得られる回折角度のピークは、その大部分が直方晶のピークパターンと一致し、単斜晶及び正方晶のピークパターンは支配的とならない。そのため、図3A~図3Fの方法により製造される強誘電体膜24の結晶構造は直方晶構造が支配的であると理解できる。
以下では、図4、5を用いて、強誘電体膜24を備える光変調素子1Aをマッハツェンダー干渉計に適用した実験結果を用いて、HfZr1-xからなる強誘電体膜24がポッケルス効果を備えることを説明する。
図4は、マッハツェンダー干渉計41の構成を示す図であって、図5は、図4のマッハツェンダー干渉計41からの出力を示す図である。
図4に示されるように、マッハツェンダー干渉計41は、分岐部42、及び、合波部43を備えている。分岐部42により分岐された光信号は、それぞれ第1分岐導波路(図左側)及び第2分岐導波路(図右側)を導波する。第1分岐導波路は第2分岐導波路よりも2ΔLだけ光路が長い。第2分岐導波路には光変調素子1Aが設けられ、第1電極26と第2電極27との間に電圧が印加されると、ポッケルス効果により導波路の屈折率が変化する。
図5には、実線(丸のプロット)、一点鎖線(四角のプロット)、及び、二点鎖線(菱形のプロット)で合波部43からの出力光が示されている。実線は、光変調素子1Aの第1電極26と第2電極27との間に電圧が印加されていない場合を示す。一点鎖線は、第1電極26から第2電極27に向かう電界が発生するように電圧が印加されている場合を示す。二点鎖線は、第2電極27から第1電極26に向かう電界が発生するように電圧が印加されている場合を示す。なお、電圧の印加方向は、図4においても一点鎖線及び二点鎖線で示されている。
第1電極26と第2電極27との間に電圧が印加されていない場合には、光変調素子1Aが設けられる第2分岐導波路の屈折率が変化しないが、第1分岐導波路と第2分岐導波路との間に光路差(2ΔL)が存在する。そのため、合波部43によって第1分岐導波路と第2分岐導波路とを通った光が合成されると、所定の波長において両者の光の強め合いや弱め合いが発生する。その結果、実線で示されるように、波長に応じて強度が強くなるピークと弱くなるピークとが発生し、これらのピークは所定の波長周期で観測される。
一点鎖線で示されるように、第1電極26から第2電極27に向かう電界を加えると、第2分岐導波路の屈折率が小さくなる。その結果、第2分岐導波路の光路長が短くなり、合波部43からの出力光におけるピークの波長が小さくなる。一方、二点鎖線で示されるように、第2電極27から第1電極26に向かう電界を加えると、第2分岐導波路の屈折率が大きくなる。その結果、第2分岐導波路の光路長が長くなり、合波部43からの出力光におけるピークの波長が大きくなる。電界方向に応じて屈折率の変化量の正負が反転することが観測できるため、光変調素子1Aにおいてポッケルス効果が生じていることが理解できる。
このように、直方晶構造が支配的なHfZr1-xの強誘電体膜24を備える光変調素子1Aによりポッケルス効果を得られるため、光変調素子1Aを用いて光変調器2を構成することができる。さらに、HfZr1-xは既存の半導体製造プロセスで用いられる材料であるため、既存の製造プロセスを応用して光変調素子1Aを製造しやすいという利点がある。
光変調素子1Aは図1に示されるように光変調器2に応用できるが、これに限らない。光変調素子1Aをライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging)に応用して、レーザ測定光を変調させてもよい。ライダーにおいては、光変調素子1Aを用いてCW光を所定の変調パターンで変調した光信号を測定物に照射し、測定物からの反射信号と、照射信号とを比較することで、前記測定物までの距離を測定することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態においては、強誘電体膜24が単層のHfZr1-xにより構成される例について説明したがこれに限らない。第2実施形態においては、強誘電体膜がHfZr1-xとAlとが積層されて構成される例について説明する。
図6は、第2実施形態の光変調素子1Bの断面図であって、図2と対応する図である。強誘電体膜61は、例えば、3つのHfZr1-xの第1層62がAlの第2層63を介して積層され、上下にさらにAlの第2層63が設けられた構成を備える。この図の例においては、HfZr1-xの第1層62の厚さは概ね10nmであり、Alの第2層63の厚さは概ね1nmであり、強誘電体膜61の全体の厚さは概ね30nmとなる。
本願の発明者らは、図3A~図3Fの方法で生成されたHfZr1-xは、膜厚が5nm-20nm程度(好ましくは10nm)である場合に誘電性が比較的高くなることを見出した。しかしながら、光変調素子1Aの導波路において導波路光との重なりを大きくするためには、一定の膜厚が必要である。そこで、本実施形態のように、HfZr1-xの第1層62とAlの第2層63とを積層させることで、一定の膜厚を有する強誘電体膜61を構成することができる。
HfZr1-xの第1層62とAlの第2層63とが積層されて強誘電体膜61が構成される場合においては、HfZr1-xの第1層62は、Alの第2層63よりも厚く構成することで、強誘電体膜61のポッケルス効果が高くなる。そこで、5nm-20nmの膜厚のHfZr1-xの第1層62に対して、0.5nm-2nmの膜厚のAlの第2層63を積層させて強誘電体膜61を構成することによって、高いポッケルス効果を得られる。好ましくは、10nmの膜厚のHfZr1-xの第1層62と、1nmの膜厚のAlの第2層63とを積層させることにより、より高いポッケルス効果を得られる強誘電体膜61を構成できる。
さらに、一般的に、強誘電体膜は酸素を奪われると酸素空孔が形成され、その結果、誘電性が高くなることが知られている。本願の発明者らは、第2層63(Al)を設けることにより、Al成分が第1層62(HfZr1-x)から酸素を奪うため、強誘電体膜61の誘電性が高くなることを見出した。
これらの知見により、HfZr1-x(第1層62)とAl(第2層63)との積層体で構成された強誘電体膜61を光変調素子1Bに用いることで、より高い光変調効率を得ることができる。
(第3実施形態)
第1実施形態においては、Siからなる導波路コア23が第1絶縁層22の上部の一部に構成される例について説明したが、これに限らない。第3実施形態では、他の形態の導波路コア23の構成について説明する。
図7は、第3実施形態の光変調素子1Cの断面図であって、図2と対応する図である。この図によれば、Siからなる導波路コア71は、板状部材の上面の中央部に紙面手前奥方向に延在する突出部を備えることで、凸状の断面となるように構成される。導波路コア71の上面が強誘電体膜24により覆われる。凸状の断面の導波路コア71は、図3Aに示された工程においてシリコン層31の一部がスラブとして残ることにより形成され、リブ導波路と称される。このような導波路コア71であっても強誘電体膜24を備えることでポッケルス効果が生じるので、光変調器2に応用することができる。なお、強誘電体膜24自身を導波路とする場合には、導波路コア71をSiに替えて強誘電体で構成することにより実現することができる。
(第4実施形態)
第3実施形態においては、光変調素子1Cの上面の両端に第1電極26、第2電極27を設ける例について説明したが、これに限らない。第4実施形態では、他の形態の電極の構成について説明する。
図8は、第4実施形態の光変調素子1Dの断面図であって、図7と対応する図である。光変調素子1Dの上部の両端に第1電極81A、81Bが設けられ、中央部に1つの第2電極82が設けられている。そして、両端部の第1電極81A、81Bは下方に向かって第2絶縁層25及び強誘電体膜24の内部を延伸して導波路コア71と電気的に接続されている。導波路コア71は、Siに不純物がドープされて導電性を備える。
第1電極81A、81Bに電源の正極を接続し、第2電極82に電源の負極を接続すると、第1電極81A、81Bに印加された電圧は導波路コア71の内部に伝導し、光変調素子1Dの中心部において導波路コア71の中央の突出部の上面から第2電極82に向かって電界が生じる。
このような構成においては、第1~第3実施形態と比較すると、強誘電体膜24に直接的に電圧を印加することができるため、より高いポッケルス効果を得ることができる。その結果、光変調素子1Dを用いて高い光変調効率を実現する光変調器2を構成することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態においては、強誘電体膜への電界の印加方法が異なる例について説明する。
図9は、第5実施形態の光変調素子1Eの断面図であって、図8と対応する図である。この図によれば、第1絶縁層22の上部に設けられる導波路コア91、92は、上面の一辺の端部の層厚が厚くなることで形成された、紙面手前奥方向に延在する突出端部を備える板状部材であって、突出端部の端面が互いに対向するように配置されている。導波路コア91、92の突出端部の端面の間には溝(スロット)が形成され、第1絶縁層22の一部が露出するように構成されている。導波路コア91、92は、溝を介して対向し、他の部分よりも高さ方向に厚い膜厚部を備える。
導波路コア91、92の間の溝部を充填するとともに、溝部を介して対抗する突出端部を覆うように強誘電体膜93が設けられる。さらに、上部の両端に第1電極94及び第2電極95が設けられる。第1電極94及び第2電極95は下部に向かって第2絶縁層25の内部を延伸して導波路コア91、92と接続されている。導波路コア91、92は、Siに不純物がドープされて導電性を備える。
導波路コア91、92に光信号を入射させると溝部に導波光が集中する。第1電極94と第2電極95との間に電圧を印加すると、特に、導波路コア91、92の対向する突出端部の間の強誘電体膜93において電界が発生する。ここで、溝部を介した導波路コア91、92の突出端部の端面は比較的面積が大きく、かつ、溝幅が短くなるように構成することで、強誘電体膜93に高い電圧を印加でき、その結果、高いポッケルス効果を得ることができる。
さらに強誘電体膜93は、高いポッケルス効果を得るためには、膜中の自発分極を揃える必要があり、予め電界を加えておくのが好ましい。本実施形態では、導波路コア91、92の間の強誘電体膜93に高電圧を印加させることが比較的容易であるので、分極作業が容易になり高い自発分極を得やすい。その結果、光変調素子1Eを用いて高い光変調効率を持つ光変調器2を実現できる。
(第6実施形態)
第6実施形態においては、金属間ギャップに光を閉じ込めるプラズモン導波路を用いた例について説明する。
図10は、第6実施形態の光変調素子1Fの断面図であって、図2等と対応する図である。この図によれば、第1絶縁層22の上部に設けられる金属層101、102は、中央付近において側面方向に離間することで、両者の間に紙面手前奥方向に延在する溝(スロット)が構成され、第1絶縁層22の一部が露出するように構成されている。
金属層101、102の間の溝部を充填し、金属層101、102の上面の全体を覆うように強誘電体膜103が設けられる。さらに、上部の両端に第1電極104及び第2電極105が設けられている。第1電極104及び第2電極105は、それぞれ、下部に向かって第2絶縁層25及び強誘電体膜103の内部を延伸して金属層101、102と接続されている。すなわち、第1電極104、及び、金属層101が一方の電極を構成し、第2電極105、及び、金属層102が他方の電極を構成する。
第1電極104と第2電極105との間に電圧が印加されると金属層101、102の対向する端面の間において電界が生じ、ポッケルス効果によって強誘電体膜103の屈折率が変化する。
このような構造では、強誘電体膜103自体が光導波路となり、金属層101、102の間の溝部(ギャップ)に光が強く閉じ込められたプラズモン導波路が形成される。さらに、金属層101、102の表面において表面プラズモンポラリトン共鳴が発生し、その結果、高い導波特性を得ることができる。そのため、強誘電体膜103を光導波路として用いることができる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
1A、1B、1C、1D、1E、1F 光変調素子
2 光変調器
21 シリコン基板
22 第1絶縁層
23、71、91、92 導波路コア
24、61、93、103 強誘電体膜(強誘電体層)
25 第2絶縁層
26、81A、81B、94、104 第1電極
27、82、95、105 第2電極
62 第1層(HfZr1-x
63 第2層(Al
101、102 金属層

Claims (12)

  1. 光導波路と、
    前記光導波路に電界を印加する一対の電極と、を備える光変調器において、
    前記光導波路は、HfZr1-x(0<x<1)で表される化合物を含有する強誘電体層を備え
    前記光導波路は、Siにより構成される導波路コアを備え、
    前記強誘電体層は、前記導波路コアの表面の少なくとも一部を覆うように設けられる、光変調素子。
  2. 請求項に記載の光変調素子であって、
    前記HfZr1-x(0<x<1)で表される化合物は、直方晶が支配的な結晶構造である、光変調素子。
  3. 請求項に記載の光変調素子であって、
    xは、0.4~0.6の範囲の値である、光変調素子。
  4. 請求項に記載の光変調素子であって、
    前記一対の電極への電圧の印加方向に応じて、前記光導波路の屈折率の増減が変化する、光変調素子。
  5. 光導波路と、
    前記光導波路に電界を印加する一対の電極と、を備える光変調器において、
    前記光導波路は、Hf Zr 1-x (0<x<1)で表される化合物を含有する強誘電体層を備え、
    前記強誘電体層は、HfZr1-xで表される化合物からなる第1層と、Alの酸化膜である第2層が積層されて構成される、光変調素子。
  6. 請求項に記載の光変調素子であって、
    前記第1層の層厚は、前記第2層の層厚よりも大きい、光変調素子。
  7. 光導波路と、
    前記光導波路に電界を印加する一対の電極と、を備える光変調器において、
    前記光導波路は、Hf Zr 1-x (0<x<1)で表される化合物を含有する強誘電体層を備え、
    前記光導波路は、導波方向に延在する突出部を一方の面に備える板状部材であって、
    前記強誘電体層は、前記突出部を含む前記光導波路の一方の面の少なくとも一部を覆うように形成される、光変調素子。
  8. 請求項に記載の光変調素子であって、
    前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記光導波路と接続され、
    前記一対の電極のうちの他方の電極は、前記光導波路の前記突出部と、突出方向において絶縁層を介して対向するように設けられる、光変調素子。
  9. 請求項1に記載の光変調素子であって、
    前記光導波路は、端部に一方の面から突出する突出端部を備える一対の板状部材であって、それぞれの前記突出端部の端面が溝部を介して離間して対向するように配置され、
    前記強誘電体層は、前記溝部に設けられ、
    前記一対の電極のうちの一方の電極は、前記光導波路の一方と接続され、
    前記一対の電極のうちの他方の電極は、前記光導波路の他方と接続される、光変調素子。
  10. 請求項に記載の光変調素子であって、
    前記光導波路は、導波方向に延在する突出部を一方の面に備える前記強誘電体層で構成され、
    前記一対の電極のうちの一方の電極と他方の電極とは、前記突出部を介して対向するように設けられる、光変調素子。
  11. 連続波の光を2つの分岐光路を経て合流された所定の変調パターンの光信号を出力するマッハツェンダー型の光変調器であって、
    一方の前記分岐光路に、請求項1、5、7及び9のいずれか1項に記載の光変調素子が設けられ、前記一対の電極に前記変調パターンに応じた電圧が印加される、光変調器。
  12. 請求項1、5、7及び9のいずれか1項に記載の光変調素子を用いて連続波の光を所定の変調パターンで変調した光信号を測定物に照射し、前記測定物からの反射信号と、前記測定物に照射した光信号とを比較することで、前記測定物までの距離を測定するライダー。
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