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JP7786906B2 - 粉末状増粘剤組成物 - Google Patents
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JP7786906B2 - 粉末状増粘剤組成物 - Google Patents

粉末状増粘剤組成物

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Description

本発明は、粉末状増粘剤組成物、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法、水硬性組成物スラリーの均質性向上方法、及び充填工法に関する。
増粘剤は、食品、化粧品、その他の工業製品に広く用いられ、溶媒、分散媒や分散質を保持、拘束することにより系の粘度を高め(増粘)、各々の用途に求められる適切なテクスチャの実現や、系の安定性の向上に貢献している。
溶媒、分散媒や分散質を保持、拘束する増粘剤の思想から、その分子設計は、溶媒、分散媒や分散質に対して相互作用力を示す構成単位を有することが考慮される。代表的な増粘剤としては、セルロースエーテル系増粘剤、アクリル系増粘剤、ポリビニルアルコール系増粘剤、ポリオキシエチレン系増粘剤、粘土系増粘剤、界面活性剤系増粘剤等が挙げられる。
また、増粘剤は、溶媒、分散媒に溶解、分散して増粘性を発現するため、その多くが、ハンドリングや輸送の観点から、溶媒、分散媒を極力取り除いた、固体状又は高有効分液体状の製品形態として流通することが多い。
セメントのような水硬性粉体を含有する水硬性スラリーでは、粘性、材料分離抵抗性などの物性を改善するために増粘剤(レオロジー改質剤)が用いられることがある。
特許文献1には、4級カチオン基と芳香族アニオン基とを含む特定の4級塩型化合物と、アニオン性芳香族化合物とを、特定のカチオン基/(アニオン基+アニオン性芳香族化合物)モル比で含有するレオロジー改質剤が開示されている。
特許文献2には、異なる2種の両性界面活性剤を併用することを特徴としたレオロジー改質剤が開示されている。
特許文献3には、アミンオキシドの水溶液またはアルコール性水溶液を、ゼオライトに担持させることで粉末化する方法が開示されている。
特開2010-065189号公報 特開2020-076022号公報 特開昭57-054159号公報
固体状又は高有効分液体状の増粘剤は、使用に際して、水溶液又はスラリーに溶解又は分散させて用いられる。その際、増粘剤が継粉(フロック)又はゲルを形成し、水溶液又はスラリーの増粘効果が損なわれうるため、他の成分を含有する場合は、予め増粘剤と他成分を混合し、増粘剤と水の接触による継粉又はゲルの形成を防いでいる。
しかしながら、実際の使用条件下では、ミキサーの形状や負荷等の設備都合から他成分との予混合が困難であり、水溶液又はスラリーに増粘剤を後添加し、レオロジーが改質された水溶液又はスラリーを得るケースが少なくない。
そのため上記のような粉体混合に制約のある現場では、継粉又はゲルを十分に水溶液又はスラリー中に分散するため、過度な撹拌が必要となり、施工が長時間化すること、長時間の撹拌によりワーカビリティー等のその他の要求性能を低下させること、また、十分に撹拌できない環境下では、継粉又はゲルが残存し、水溶液又はスラリーの均質性が損なわれるおそれがあった。
本発明は、増粘対象への分散性に優れ、増粘対象の均質性が向上する、粉末状増粘剤組成物を提供する。
本発明は、(A)下記一般式(1)で表される両性界面活性剤を2種以上、及び(B)無機粉体を含み、前記(A)の2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、粉末状増粘剤組成物に関する。

〔式中、Xは、R1a又はR1b-[CONH-CHCHCH-で表される基である。R1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。R1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。nは1以上3以下の整数である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数である。〕
また、本発明は、上記粉末状増粘剤組成物、水及び粉体を含有する、スラリー組成物に関する。
また、本発明は、上記粉末状増粘剤組成物と、水と、粉体を混合する、スラリー組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、粉体と水を含むスラリーに、上記粉末状増粘剤組成物を添加する、スラリーの均質性向上方法に関する。
また、本発明は、上記スラリー組成物を用いた、充填工法に関する。
本発明によれば、増粘対象への分散性に優れ、増粘対象の均質性が向上する、粉末状増粘剤組成物を提供できる。
近年、持続的な社会実現のために持続可能な開発目標(SDGs)が提唱されている。本発明は、均質性の向上に依るケミカルエコノミーの向上、混合・撹拌工程の省力化などを実現することができ、例えば、SDGsのNo.6、7、8、9、11、12、13、14などに貢献する技術となり得ると考えられる。
発明者らは、両性界面活性剤と無機粉体を含む粉末状増粘剤組成物を、増粘対象である水溶液又はスラリーに添加した際に、水溶液又はスラリーにおける継粉又はゲルの形成が抑制され、一律の撹拌・混合後に得られる水溶液又はスラリーの均質性が向上することを見出した。
本発明により増粘対象への分散性に優れ、増粘対象の均質性が向上するメカニズムは必ずしも定かではないが、以下のように推察される。乾燥粉体の凝集引力のうち、大きな相互作用力として知られるのが、静電気力である。一方、乾燥粉体の“ぬれ”は乾燥粉体の親水性が向上するほど促進されると考えられる。本発明は無機粉体に表面張力低下能に優れる両性界面活性剤を担持することにより、本発明の粉末状増粘剤組成物を増粘対象に添加したときに、粉末状増粘剤組成物表面への水のぬれを促進し、静電気力を低下させることで、増粘対象への粉末状増粘剤組成物の分散性を向上させ、増粘対象における継粉又はゲルの形成を抑制して、結果として一律の撹拌・混合後に得られる増粘対象の均質性が向上すると考えられる。なお、本発明は、この作用機構に制限されるものではない。
<粉末状増粘剤組成物>
まず、本発明の粉末状増粘剤組成物について説明する。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、(A)上記一般式(1)で表される化合物〔以下、化合物(1)ともいう〕を2種以上〔以下、(A)成分ともいう〕、及び(B)無機粉体〔以下、(B)成分ともいう〕を含み、前記(A)の2種以上の化合物は、互いに一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、(A)成分を(B)成分に担持させた粉末状増粘剤組成物であってよい。例えば、(A)成分を含む液状組成物と(B)成分とを混合することで、(A)成分を(B)成分に担持することができる。
化合物(1)について、一般式(1)中のXが異なるとは、化合物(1)が2種である場合を例に考えると、例えば、以下のような態様が挙げられる。なお、以下の態様において、2種の化合物(1)のうち、少なくとも一方の化合物(1)のR1a又はR1bはアルケニル基である。
(i)一方のR1a又はR1bがアルキル基であり、他方のR1a又はR1bがアルケニル基である。
(ii)一方のR1a又はR1bの炭素数と、他方のR1a又はR1bの炭素数が異なっている。
(iii)一方のXがR1aであり、他方のXがR1b-[CONH-CHCHCH-である。
(iv)Xが共にR1b-[CONH-CHCHCH-であり、一方のnと他方のnが異なっている。
(v)前記(i)~(iv)の組み合わせ。
一般式(1)中、Xは、R1a又はR1b-[CONH-CHCHCH-で表される基である。
1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
1aがアルケニル基の場合、炭素数は、好ましくは18以上、そして、好ましくは22以下である。
1aがアルキル基の場合、炭素数は、好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
1bがアルケニル基の場合、炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは21以下である。
1bがアルキル基の場合、炭素数は、好ましくは15以上、そして、好ましくは21以下である。
nは、好ましくは0又は1である。
及びRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1以上2以下のアルキル基または-(CO)Hで表される基である。
pは、好ましくは0以上3以下の数である。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、一般式(1)中のXが異なる化合物(1)を2種以上、好ましくは5種以下、より好ましくは2種含有する。そして、粉末状増粘剤組成物が含有する2種以上の化合物(1)は、少なくとも1つが一般式(1)中のXのR1a又はR1bが炭素数14以上22以下のアルケニル基の化合物、つまり、一般式(1)中のXにおけるR1aとして炭素数14以上22以下のアルケニル基又はR1bとして炭素数13以上21以下のアルケニル基を含む化合物である。
本発明では、化合物(1)が2種であり、上記(i)~(v)を含め、2種の化合物(1)のうち、一方が、一般式(1)中のXがR1aで且つ炭素数14以上22以下のアルケニル基の化合物であることが好ましい。すなわち、本発明の粉末状増粘剤組成物として、前記一般式(1)で表される化合物を2種、及び(B)無機粉体を含有する粉末状増粘剤組成物であって、前記(A)の2種の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種の化合物のうち、一方は、一般式(1)中のXがR1aであり且つR1aがアルケニル基の化合物である、粉末状増粘剤組成物が挙げられる。
本発明の粉末状増粘剤組成物としては、一般式(1)中のXがR1a又はR1b-[CONH-CHCHCH-で表される基(ただし、R1aは炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、R1bは炭素数13以上21以下のアルケニル基である)である化合物(1a)と、化合物(1a)とは一般式(1)中のXが異なる化合物(1b)と、(B)無機粉体と、を含有する粉末状増粘剤組成物が挙げられる。
具体的には、下記一般式(1a)で表される化合物(1a)と、下記一般式(1b)で表される化合物(1b)と、(B)無機粉体と、を含有する粉末状増粘剤組成物が挙げられる。
〔式中、
n1、n2は、それぞれ、独立に0以上3以下の整数である。
11aは、n1が0のときは炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、n1が1~3のときは炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
11bは、n2が0のときは炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、n2が1~3のときは炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
ただし、n1とn2が同じ数である場合、R11bのアルケニル基はR11aとは異なるアルケニル基である。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数である。〕
一般式(1a)中、R11aの炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(1a)中、n1は、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
一般式(1b)中、n2が0でR11bがアルキル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(1b)中、n2が0でR11bがアルケニル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは18以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(1b)中、n2が1~3でR11bがアルキル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは15以上、そして、好ましくは21以下である。
一般式(1b)中、n2が1~3でR11bがアルケニル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは21以下である。
一般式(1b)中、R11bは、アルキル基が好ましい。
一般式(1b)中、n2は、好ましくは0又は1である。
一般式(1a)又は(1b)中、R及びRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1もしくは2のアルキル基又は-(CO)Hで表される基であり、より好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。
一般式(1a)又は(1b)中、pは、好ましくは0以上3以下の数である。
n1とn2が同じ数である場合、R11bのアルケニル基はR11aとは異なるアルケニル基である。
本発明の好ましい粉末状増粘剤組成物として、下記一般式(11a)で表される化合物(11a)と、下記一般式(1b)で表される化合物(1b)と、(B)無機粉体と、を含有する粉末状増粘剤組成物が挙げられる。
〔式中、
n2は、0以上3以下の整数である。
11aは、炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
11bは、n2が0のときは炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、n2が1~3のときは炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
ただし、n2が0の場合、R11bのアルケニル基はR11aとは異なるアルケニル基である。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数である。〕
一般式(11a)で表される化合物(11a)は、前記一般式(1a)中、n1が0の化合物に相当する。一般式(11a)中のR11a、R及びRの好ましい態様は、一般式(1a)と同じである。この組み合わせにおいても、化合物(1b)の好ましい態様は前記と同じである。
本発明の粉末状増粘剤組成物では、化合物(1b)/化合物(1a)の質量比は、より広い温度領域でレオロジー改質効果、例えば高い粘弾性が得られる観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは25/75以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは75/25以下、更に好ましくは60/40以下である。
本発明の粉末状増粘剤組成物では、化合物(1b)/化合物(11a)の質量比は、より広い温度領域でレオロジー改質効果、例えば高い粘弾性が得られる観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは25/75以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは75/25以下、更に好ましくは60/40以下である。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、化合物(1)と同様の構造を有する化合物であって、炭素数の小さいアルキル基又はアルケニル基を有する化合物の含有量が少ない方が好ましい。具体的には、炭素数14未満のアルキル基、炭素数14未満のアルケニル基又は炭素数14未満のアシル基を有するアミンオキシド(以下、短鎖アミンオキシドともいう)の含有量が少ない方が好ましい。本発明の粉末状増粘剤組成物は、短鎖アミンオキシドの合計含有量/化合物(1)の合計含有量の質量比が、好ましくは50/50以下、より好ましくは25/75以下、更に好ましくは10/90以下、より更に好ましくは0/100、つまり短鎖アミンオキシドを含有しないことである。短鎖アミンオキシドは、便宜的に一般式(1)で考えると、一般式(1)中のXのR1aが炭素数14未満のアルキル基又は炭素数14未満のアルケニル基である化合物及びR1bが炭素数13未満のアルキル基又は炭素数13未満のアルケニル基である化合物に相当する。
(B)成分は、無機粉体である。(B)成分は、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム等の無機塩類の粉末やカオリナイト、ベントナイト等の粘土鉱物粉末、又は高炉スラグやフライアッシュなどの微粉末、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、ゼオライト、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ粉末(シリカ微粉末及び多孔質シリカ微粉末を含む。)、若しくはこれらの任意の組合せなどが挙げられる。(B)成分は、液体担持能を有する無機粉体が好ましく、固結防止性の観点から、シリカ粉末(シリカ微粉末及び多孔質シリカ微粉末を含む。)、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム等の無機塩類の粉末が好ましく、シリカ粉末(シリカ微粉末及び多孔質シリカ微粉末を含む。)がより好ましい。
本発明において、(B)成分の「液体担持能を有する」とは、JIS K6220(-1995)の記載の方法による吸油能が100ml/100g以上であることをいう。(B)成分の前記吸油能は、好ましくは200ml/100g以上、そして、好ましくは450ml/100g以下、より好ましくは350ml/100g以下である。
(B)成分の平均粒子径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。この平均粒子径は、体積基準で算出されたものであり、レーザー回析式流動分布測定装置:LA-920(堀場製作所(株)製)を用いて測定された値である。
(B)成分の比表面積は、混合性の観点から、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、そして、吸油能の観点から、好ましくは300m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。この比表面積は、全自動比表面積測定装置Macsorb HM-model 1201(株式会社マウンテック製)によって測定されたものである。
(B)成分の非晶質シリカとしては、例えば、ニップシール NS-K(東ソー・シリカ株式会社製)として市販されている合成非晶質シリカを使用することができる。ここで、非晶質シリカとはSi-Oの網目状構造からなり、一定の結晶構造を持たないものをいう。
<本発明の粉末状増粘剤組成物の組成及びその他成分>
本発明の粉末状増粘剤組成物における(A)成分の含有量は、増粘性の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上、そして、粉末状増粘剤組成物の流動性の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
本発明の粉末状増粘剤組成物における(B)成分の含有量は、粉末状増粘剤組成物の流動性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、増粘性の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
(A)成分と(B)成分の含有量の割合(A)/(B)は、増粘性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、粉末状増粘剤組成物の流動性の観点から、好ましくは300質量%以下、より好ましくは150質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、幅広い温度領域でより良好なレオロジー改質効果が発現する観点から、任意に(C)アニオン性芳香族化合物〔以下(C)成分という〕を含有することができる。(C)成分としては、芳香環を有するスルホン酸、芳香環を有するカルボン酸、芳香環を有するホスホン酸、またはこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。(C)成分の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩やカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
(C)成分は、酸型化合物として、総炭素数が6以上12以下であるものが好ましい。(C)成分としては、具体的には、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m-スルホ安息香酸、p-スルホ安息香酸、4-スルホフタル酸、5-スルホイソフタル酸、p-フェノールスルホン酸、m-キシレン-4-スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸等が挙げられる。これらは塩を形成していていも良い。(C)成分は、2種以上を使用してもよい。(C)成分は、芳香環を有するスルホン酸、芳香環を有するカルボン酸、またはこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
本発明の粉末状増粘剤組成物が(C)成分を含有する場合、粉末状増粘剤組成物中、(C)成分の含有量は、増粘性の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、そして、保存安定性の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下である。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、任意に(D)水溶性高分子化合物〔以下(D)成分という〕を含むことができる。(D)成分は、(D1)ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルコールアルコキシレート等のノニオン性高分子化合物、(D2)ポリアミドポリアミン/エピクロロヒドリン縮合物、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロロヒドリン縮合物、ジメチルアミン/トリメチルアミン/エピクロロヒドリン縮合物、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリオキシアルキレン基を付加してもよい四級化ポリエチレンイミン、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体等のカチオン性高分子化合物等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、完全鹸化ポリビニルアルコール、又は一部未鹸化のポリビニルアルコール、例えば、中間鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコールであってもよく、部分鹸化ポリビニルアルコールが好ましい。また、アルコールアルコキシレートは、炭化水素基、好ましくは炭素数が好ましくは10以上22以下である炭化水素基と平均付加モル数が好ましくは9以上5000以下であるポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物であってよい。
(D)成分は、汎用性の観点から、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンから選択される1種以上の高分子化合物が好ましく、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及びポリビニルアルコールが更に好ましい。
(D)成分において、水溶性とは、20℃の水100gに1g以上溶解する高分子化合物であってよい。
(D)成分の重量平均分子量は、汎用性の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、更に好ましくは2,000以上、そして、レオロジー改質効果の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、更に好ましくは100,000以下、より更に好ましくは30,000以下、より更に好ましくは5,000以下である。(D)成分の重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定されたものである。
*GPC条件
装置:GPC(HLC-8320GPC)東ソー株式会社製
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー株式会社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CHCN=9/1
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール換算(単分散のポリエチレングリコール:分子量250,000、145,000、87,500、46,000、24,000)
本発明の粉末状増粘剤組成物が(D)成分を含有する場合、該組成物中、(D)成分の含有量は、汎用性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、増粘性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、任意に、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、遅延剤、急結剤、起泡剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、本発明の粉末状増粘剤組成物を除く増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、防腐剤、消泡剤、分散剤、水、溶剤などを含有できる。水は、(A)成分の製造時に混入する水であってよい。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、スラリー用の粉末状増粘剤組成物であってよい。
また、前記スラリーは、水硬性組成物であってよい。つまり、本発明の粉末状増粘剤組成物は、水硬性組成物用の粉末状増粘剤組成物であってよい。
また、本発明の粉末状増粘剤組成物は、セメントミルク用の粉末状増粘剤組成物であってよい。
本発明の粉末状増粘剤組成物は、例えば、(A)成分を含有する液体成分と、(B)成分と混合して製造することができる。(A)成分を含有する液体成分は、(A)成分と水を含む組成物であってよい。
<スラリー組成物>
本発明は、本発明の粉末状増粘剤組成物、水及び粉体を含有するスラリー組成物を提供する。
本発明のスラリー組成物は、粉末状増粘剤組成物、水及び粉体を含有するスラリー組成物であって、
粉末状増粘剤組成物は、(A)前記一般式(1)で表される化合物〔以下、化合物(1)ともいう〕を2種以上、及び(B)無機粉体を含み、
前記(A)の2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、スラリー組成物であってよい。前記の粉末状増粘剤組成物は、(A)成分を(B)成分に担持させた粉末状増粘剤組成物であってよい。
本発明のスラリー組成物には、本発明の粉末状増粘剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
粉体としては、無機粉体が挙げられる。無機粉体としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。無機粉体のうち、水硬性粉体を用いるものが、水硬性スラリー組成物である。粉体は、水硬性粉体を含むものが好ましい。
(1)セメント、石膏などの水硬性粉体
(2)フライアッシュ、シリカフューム、火山灰、けい酸白土などのポゾラン作用を持つ粉体
(3)石炭灰、高炉スラグ、けい藻土などの潜在水硬性粉体
(4)カオリン、ケイ酸アルミニウム、クレー、タルク、マイカ、ケイ酸カルシウム、セリサイト、ベントナイトなどのケイ酸塩
(5)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸鉛などの炭酸塩
(6)硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩
(7)ストロンチウムクロメート、ピグメントイエローなどのクロム酸塩
(8)モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸マグネシウムなどのモリブデン酸塩
(9)アルミナ、酸化アンチモン、酸化チタニウム、酸化コバルト、四酸化三鉄、三酸化ニ鉄、四酸化三鉛、一酸化鉛、酸化クロムグリーン、三酸化タングステン、酸化イットリウムなどの金属酸化物
(10)水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、メタチタン酸などの金属水酸化物
(11)炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素、炭化チタンなどの金属炭化物
(12)窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、チタン酸バリウム、サチンホワイト、カーボンブラック、グラファイト、クロムイエロー、硫化水銀、ウルトラマリン、パリスブルー、チタニウムイエロー、クロムバーミリオン、リトポン、アセト亜ヒ酸銅、ニッケル、銀、パラジウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの、上記(1)~(11)に分類されない他の無機粉体
本発明のスラリー組成物中、本発明の粉末状増粘剤組成物の含有量は、スラリー組成物の水100質量部に対して、増粘性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上、より更に好ましくは2.0質量部以上、そして、ハンドリング性の観点から、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは12.0質量部以下、更に好ましくは9.0質量部以下、より更に好ましくは6.0質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。
本発明のスラリー組成物は、化合物(1)の合計含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、更に好ましくは0.04質量部以上、より更に好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは8.00質量部以下、より好ましくは4.00質量部以下、更に好ましくは2.00質量部以下、より更に好ましくは1.00質量部以下、より更に好ましくは0.50質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。
また、本発明のスラリー組成物が、前記化合物(1a)と前記化合物(1b)とを含有する場合、前記化合物(1a)の含有量は、水100質量部に対して、幅広い温度で高い粘弾性を得る観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上、そして、ハンドリング性の観点から、好ましくは4.00質量部以下、より好ましくは2.00質量部以下、更に好ましくは1.00質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。
また、本発明のスラリー組成物が、前記化合物(1a)と前記化合物(1b)とを含有する場合、前記化合物(1b)の含有量は、水100質量部に対して、幅広い温度で高い粘弾性を得る観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上、そして、ハンドリング性の観点から、好ましくは4.00質量部以下、より好ましくは2.00質量部以下、更に好ましくは1.00質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。
本発明のスラリー組成物は、化合物(1a)と化合物(1b)の合計含有量が所定の範囲内であり、かつ化合物(1a)と化合物(1b)の各含有量が所定の範囲内であることが好ましい。
本発明のスラリー組成物は、前記した(C)成分を含有することができる。この場合、(C)成分の含有量は、スラリー組成物の水100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは5.00質量部以下、より好ましくは3.00質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは0.80質量部以下、より更に好ましくは0.40質量部以下、より更に好ましくは0.20質量部以下、より更に好ましくは0.10質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。
本発明のスラリー組成物は、前記した(D)成分を含有することができる。この場合、(D)成分の含有量は、スラリー組成物の水100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.10質量部以上、更に好ましくは0.20質量部以上、そして、好ましくは4.00質量部以下、より好ましくは2.00質量部以下、更に好ましくは1.00質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。
本発明のスラリー組成物は、水(W)と粉体(P)の質量比である水/粉体比(W/P)が、ハンドリング性の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは55質量%以上、そして、材料分離抵抗性の観点から、好ましくは200質量%以下、より好ましくは150質量%以下、更に好ましくは100質量%以下である。
ここで、水/粉体比(W/P)は、スラリー組成物中の水と粉体の質量百分率(質量%)であり、水/粉体×100で算出される。なお、スラリー組成物に含まれる粉末状増粘剤組成物は、スラリー組成物中の粉体に対して微量であるので、この水/粉体比(W/P)には、本発明の粉末状増粘剤組成物は含まれない(以下、同じである。)。
〔水硬性スラリー組成物〕
本発明のスラリー組成物として、水硬性スラリー組成物が挙げられる。以下、水硬性スラリー組成物について説明する。
本発明は、本発明の粉末状増粘剤組成物、水、及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物を提供する。すなわち、本発明の水硬性スラリー組成物は、本発明の粉末状増粘剤組成物、水、及び水硬性粉体を含有する。
本発明の水硬性スラリー組成物には、本発明の粉末状増粘剤組成物及びスラリー組成物で述べた事項を適宜適用することができる。水硬性組成物における各成分の好ましい含有量は、スラリー組成物における各成分の好ましい含有量と同じである。
本発明の水硬性スラリー組成物に使用される水硬性粉体とは、水と混合することで硬化する粉体であり、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、
白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、水硬性スラリー組成物の必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、早強ポルトランドセメント、及び普通ポルトランドセメントから選ばれるセメントがより好ましい。
また、水硬性粉体には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、無水石膏等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてもよい。水硬性粉体として、セメントと高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等とが混合された高炉セメントやフライアッシュセメント、シリカヒュームセメントを用いてもよい。
本発明の水硬性スラリー組成物は、骨材を含有することが好ましい。骨材は、細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
水硬性スラリー組成物は、本発明の効果に影響ない範囲で、化合物(1)以外のその他の成分を含有することもできる。例えば、前記した(C)成分、(D)成分、分散剤、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤などが挙げられる。
本発明の水硬性スラリー組成物は、水(W)と水硬性粉体(P)の質量比である水/水硬性粉体比(W/P)が、水硬性スラリー組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは55質量%以上、そして、水硬性スラリー組成物の水硬性を確保する観点から、好ましくは200質量%以下、より好ましくは150質量%以下、更に好ましくは100質量%以下である。
ここで、水/水硬性粉体比(W/P)は、水硬性スラリー組成物中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)であり、水/水硬性粉体×100で算出される。水/水硬性粉体比は、水和反応により硬化する物性を有する粉体の量に基づいて算出される。またW/Pは、水硬性粉体がセメントである場合は、W/Cで表記される場合がある。
なお、水硬性粉体が、セメントなどの水和反応により硬化する物性を有する粉体の他、ポゾラン作用を有する粉体、潜在水硬性を有する粉体、及び石粉(炭酸カルシウム粉末)から選ばれる粉体を含む場合、本発明では、それらの量も水硬性粉体の量に算入する。また、水和反応により硬化する物性を有する粉体が、高強度混和材を含有する場合、高強度混和材の量も水硬性粉体の量に算入する。これは、水硬性粉体の質量が関係する他の質量部などにおいても同様である。
<スラリー組成物の製造方法>
本発明は、本発明の粉末状増粘剤組成物、水及び粉体を混合する、スラリー組成物の製造方法を提供する。
本発明のスラリー組成物の製造方法は、水及び粉体を混合したスラリーに、本発明の粉末状増粘剤組成物を混合する、スラリー組成物の製造方法であってよい。
本発明のスラリー組成物の製造方法は、(A)成分を含む液体組成物と(B)成分とを予め混合した粉末状増粘剤組成物を、水及び粉体と混合する、スラリー組成物の製造方法であってよい。前記粉体は水硬性粉体であってよい。
本発明のスラリー組成物の製造方法には、本発明の粉末状増粘剤組成物、及びスラリー組成物で述べた事項を適宜適用することができる。本発明のスラリー組成物の好ましい含有量は、本発明のスラリー組成物の製造方法における好ましい配合量と置き換えて適用することができる。
本発明のスラリー組成物の製造方法は、予め水と粉体とを含むスラリーを調製し、本発明の粉末状増粘剤組成物を該スラリーに添加し、混合してスラリー組成物を製造することが好ましい。本発明の粉末状増粘剤組成物は、(A)成分を(B)成分に担持させた粉末状増粘剤組成物であってよい。
本発明のスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法で得られたスラリー組成物は、幅広い温度領域でスラリーのレオロジーが改質される。本発明のスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法は、例えば、水硬性スラリー組成物及び水硬性スラリー組成物の製造方法として有用である。
<充填工法>
本発明は、本発明のスラリー組成物を用いた充填工法を提供する。本発明の充填工法は、例えば、空洞充填工法、空隙充填工法、間隙充填工法、裏込め工法、ひび割れ補修工法、杭周固定工法、杭引き抜き工法であってよい。
本発明の充填工法は、例えば、地盤を、掘削攪拌ロッドを用いて支持層まで掘削した後、掘削孔に本発明のスラリー組成物を注入する、充填工法であってよい。本発明の充填工法において、本発明のスラリー組成物を、根固め液や杭周固定液として使用できる。本発明のスラリー組成物は、水硬性組成物、すなわち本発明の水硬性スラリー組成物であってよい。
<スラリー組成物の均質性向上方法>
本発明は、粉体と水を含むスラリーに、上記本発明の粉末状増粘剤組成物を添加するスラリーの均質性向上方法を提供する。スラリーは、水硬性組成物であってよい。また、粉末状増粘剤組成物は、(A)成分を(B)成分に担持させた粉末状増粘剤組成物であってよい。
本発明の均質性向上方法には、本発明の粉末状増粘剤組成物、スラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
<実施例1及び比較例1>
実施例1及び比較例1では、下記(A)両性界面活性剤、(B)無機粉体、(C)アニオン性芳香族化合物、(D)水溶性高分子化合物、その他成分などを用いた。
(1)粉末状増粘剤組成物の製造に使用した化合物
<(A)両性界面活性剤>
・(a-1):オレイルジメチルアミンオキシド(一般式(1a)中、R11a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、n1:0、R:メチル基、R:メチル基)
・(a-2):オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(一般式(1a)中、R11a:炭素数17のアルケニル基、n1:1、R:メチル基、R:メチル基)
・(a-3):ステアリルジメチルアミンオキシド(一般式(1a)中、R11a:炭素数18のアルキル基(ステアリル基)、n1:0、R:メチル基、R:メチル基)
<(A’)比較両性界面活性剤>
・(a’-1):オクチルジメチルアミンオキシド(一般式(1a)中、R11a:炭素数8のアルキル基(オクチル基)、n1:0、R:メチル基、R:メチル基)
なお、上記(A)成分及び(A’)成分は、それぞれ有効固形分30質量%と水を含む組成物を使用した。
<(B)無機粉体>
・(b-1):シリカ粉体、ニップシール NS-K(東ソー・シリカ株式会社製)
・(b-2):高炉スラグ微粉末、エスメント 4000(日鉄高炉セメント株式会社製)
<(C)アニオン性芳香族化合物>
・(c-1):メタキシレンスルホン酸ナトリウムの1水塩結晶、SXS-Y(伊藤忠ケミカルフロンティア株式会社製)
<(D)水溶性高分子>
・(d-1):ポリエチレングリコール 4,000(富士フイルム和光純薬株式会社製)、平均重量分子量2,700~3,300
・(d-2):Poly(ethyleneoxide) average MV 200,000,powder(Merck KGaA製)
<その他成分>
・上水道水(和歌山県和歌山市上水)
・プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
<比較粉末増粘剤>
・MC:メチルセルロース、メトローズ SM-4000(信越化学工業株式会社製)
・HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトローズ 90SH-4000(信越化学工業株式会社製)
・HEMC:ヒドロキシエチルセルロース、PMC-50UF(LOTTEChemical Corporation製)
(2)粉末状増粘剤組成物の製造
コーヒーミルGCM-56(デバイススタイルホールディングス)に、上記(B)成分、(C)成分及び(D)成分を表1記載の割合で入れた後に、(A)成分及びその他成分を添加し、粉体が均質となるまで1分間混合し、粉末状増粘剤組成物を製造した。粉末状増粘剤組成物は、目開き600μmの篩を通過したものを試験に用いた。
(3)スラリーの調製
水硬性粉体として普通ポルトランドセメント(比重3.16、太平洋セメント株式会社製)をJIS R 5201記載のホバート型のミキサーに投入し、次いで、水として上水道水(比重1.00、和歌山県和歌山市上水)を添加し62rpmで1分間混練し、スラリーを調製した。このとき、水硬性粉体と水は、表1の質量部で用いた。
(4)粉末状増粘剤組成物の添加方法
次いで、(2)記載の方法で調製した粉末状増粘剤組成物、又は比較粉末状増粘剤を、(3)記載の方法で調製したスラリーに添加し、さらに1分間混練して、粉末状増粘剤組成物又は比較粉末状増粘剤によって改質されたスラリー組成物を得た。
(5)均質性の評価方法
次いで、(4)記載の方法で調製したスラリー組成物を採取して目開き1.18mmの篩上に展開し、振とう機MVS-1N(アズワン株式会社製)により1分加振することでスラリー組成物を通過させ、その重量を測定することで、下記式に基づいて目開き1.18mm篩通過率(%)を算出した。結果を表1に記載する。なお、この篩通過率の算出は3回実施し、表1には3回の平均値を示した。
目開き1.18mm篩通過率(%)=〔篩を通過したスラリー組成物重量(g)×100〕/〔篩にかけたスラリー組成物の総重量(g)〕
(6)スラリー組成物の粘度測定方法
(5)記載の方法で調製したスラリー組成物を500mLのディスポーザブルカップにサンプリングし、20℃下で、B型粘度計(RION株式会社製、VISCO TESTER VT-04E、ローターNo.1、回転数:62.5rpm)を用いて測定を実施し、スラリー組成物の粘度を測定した。結果を表1に記載する。
(7)スラリー組成物の硬化体の強度測定
(5)記載の方法で調製したスラリー組成物を用いて、JSCE-F504-1999記載の方法に従って供試体を作成し、JSCE-G 505-2010記載の方法に従って、供試体の材齢28日一軸圧縮強度を測定・記録した。結果を表1に記載する。
※1:(A)成分の欄には、(A)成分に含まれない比較成分(a’-1)も記載されている。また、表中、(a-1)成分、(a-2)成分及び(a’-1)成分の配合量は、それぞれ30質量%の有効固形分と水を含む組成物での配合量を示す。
※2:その他成分は、水:プロピレングリコールを1:1の質量比で含む。
※3:スラリー組成物に含まれる水100質量部に対する質量部である。
※4:比較例1-11は、(A)成分と(B)成分を、別々にスラリー組成物に混ぜて調製した。
表1に示すように、実施例1-1~1-12は、比較例1-1~1-5、1-7~1-9及び1-11より優れた篩通過率を示した。これは、粉末状増粘剤組成物が両性界面活性剤を含むことで、粉末状増粘剤組成物表面への水のぬれが促進され、粉末状増粘剤組成物間の静電引力を低下させることで、粉末状増粘剤組成物の分散性を向上させ、スラリー組成物における継粉又はゲルの形成を抑制したためであると考えられる。
表1に示すように、実施例1-1~1-12は、比較例1-1~1-2、1-4~1-9及び1-11より優れた篩通過率及び材齢28日一軸圧縮強度を示した。これは、上記メカニズムによりスラリー組成物中で継粉又はゲルの形成が抑制されたことで、スラリー組成物の硬化体の均質性が向上し、圧縮試験時の応力の偏重が低減されたためであると考えられる。

Claims (15)

  1. (A)下記一般式(1)で表される両性界面活性剤を2種以上〔以下、(A)成分という〕、及び(B)無機粉体を含み、(A)成分は、下記一般式(11a)で表される化合物(11a)と、下記一般式(1b)で表される化合物(1b)を含み、(A)成分を(B)成分に担持させた、粉末状増粘剤組成物。

    〔式中、Xは、R1a又はR1b-[CONH-CHCHCH-で表される基である。R1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。R1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。nは1以上3以下の整数である。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数である。〕

    〔式中、
    n2は、1以上3以下の整数である。
    11a は、炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    11b は、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    及びR は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(C O) Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R 及びR の合計で0以上5以下の数である。〕
  2. スラリー用である、請求項1に記載の粉末状増粘剤組成物。
  3. スラリーは、水硬性組成物である、請求項に記載の粉末状増粘剤組成物。
  4. さらに、(C)アニオン性芳香族化合物を含む、請求項1~の何れか1項に記載の粉末状増粘剤組成物。
  5. さらに、(D)水溶性高分子化合物を含む、請求項1~の何れか1項に記載の粉末状増粘剤組成物。
  6. セメントミルク用である、請求項1~の何れか1項に記載の粉末状増粘剤組成物。
  7. 請求項1~の何れか1項に記載の粉末状増粘剤組成物、水及び粉体を含有する、スラリー組成物。
  8. 水(W)と粉体(P)の質量比(W/P)が40質量%以上200質量%以下である、請求項に記載のスラリー組成物。
  9. 請求項1~の何れか1項に記載の粉末状増粘剤組成物と、水と、粉体と、を混合する、スラリー組成物の製造方法。
  10. 水(W)と粉体(P)の質量比(W/P)が40質量%以上200質量%以下である、請求項に記載のスラリー組成物の製造方法。
  11. 前記粉末状増粘剤組成物は、(A)成分を含む液状組成物と(B)成分とを混合した粉末状増粘剤組成物であり、
    粉体と水を含むスラリーに、前記粉末状増粘剤組成物を添加する、請求項又は10に記載のスラリー組成物の製造方法。
  12. 粉体と水を含むスラリーに、請求項1~の何れか1項に記載の粉末状増粘剤組成物を添加する、スラリーの均質性向上方法。
  13. 前記スラリーは、水硬性組成物である、請求項12に記載のスラリーの均質性向上方法。
  14. 請求項7又は8に記載のスラリー組成物を用いた、充填工法。
  15. 地盤を、掘削攪拌ロッドを用いて支持層まで掘削した後、掘削孔に前記スラリー組成物を注入する、請求項14に記載の充填工法。
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