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JP7786938B2 - 中空突起具の製造方法、及び中空突起具 - Google Patents
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JP7786938B2 - 中空突起具の製造方法、及び中空突起具 - Google Patents

中空突起具の製造方法、及び中空突起具

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Description

本発明は、中空突起具の製造方法に関する。
医療又は美容分野において、微小サイズの針を皮膚の浅い層に穿刺することで、痛みを伴わずに剤を供給できるマイクロニードルの技術が知られており、該マイクロニードルの製造方法について種々の観点から検討がなされている。例えば、特許文献1には、基材シートの一面側から突起部形成部を刺入して非貫通の中空突起部を形成し、基材シートの他面側からレーザー光を照射して、開孔を形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、第1の材料から形成された基材シートと第2の材料とが積層された他材料積層部に、凸型を指すことによって微細中空突起を形成する技術が開示されている。また、特許文献3には、基板と、該基板の一方の面に形成された突起部とを有する針状体に該基板の他方の面側からレーザー光を照射して、該基板と該突起部とをともに貫通する貫通孔を形成する技術が開示されている。
特開2019-50927号公報 特開2019-205767号公報 国際公開番号2015-125475号公報
特許文献1に記載の技術では、中空突起部に形成される開孔は、該中空突起部の側壁の外面の開口面積が、該側壁の内面の開口面積よりも大きくなる。そのため、同文献に記載の技術により製造されたマイクロニードルでは、前記開孔を通って前記側壁の外面の開口から出た剤は、広い範囲に放出されるので、例えば皮膚内の特定の層等、所望の部位にピンポイントで剤を注液することが困難であった。
特許文献3に記載の技術では、突起部の突出方向に沿って貫通孔が形成される。そのため、貫通孔から放出された剤は前記突出方向に広がってしまい、所望の部位にピンポイントで剤を注液することは困難であった。
特許文献2では、微細中空突起に開孔を形成することについて何ら記載されていない。
したがって、本発明の課題は、所望の部位にピンポイントに注液可能な中空突起具及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、微細な中空突起部の側壁に、非接触式の開孔手段により該側壁を貫通する開孔を形成する開孔形成工程を有する、中空突起具の製造方法に関する。
前記中空突起具の製造方法は、熱可塑性樹脂を含む基材シートと、該基材シートよりも、前記開孔手段により加えるエネルギーの吸収率が高い成形補助シートとを積層して積層シートを形成するシート積層工程と、
前記積層シートに、前記成形補助シート側から、加熱部を有する凸型部を当接させ、該積層シートにおける該凸型部の当接部分を熱により軟化させながら、該基材シート側に向けて該凸型部を該積層シートに刺入する突起形成工程と、
前記凸型部を前記積層シートから引き抜くリリース工程と、
前記リリース工程後に行う前記開孔形成工程と、
前記開孔形成工程後に、前記中空突起部と前記成形補助シートとを分離する分離工程とを具備することが好ましい。
また本発明は、開孔を有する微細な中空突起部を備えた中空突起具に関する。
前記開孔は、前記中空突起部の側壁を貫通していることが好ましい。
前記開孔は、前記側壁の外面に位置する一方の開口の面積が、該側壁の内面に位置する他方の開口の面積よりも小さいことが好ましい。
本発明の中空突起具の製造方法及び中空突起具によれば、所望の部位にピンポイントに注液可能な中空突起具を提供することができる。
図1は、本発明の製造方法で製造される中空突起具(マイクロニードルアレイ)の一例を示す斜視図である。 図2は、図1に示す1個の中空突起部の斜視図である。 図3(a)は、図2に示すIII-III線断面図であり、図3(b)は、中空突起部の先端径の測定方法を示す説明図である。 図4は、図1に示す中空突起具の中空突起部を皮膚に刺入した状態を模式的に示す断面図である。 図5は、図1に示す中空突起具を製造する好ましい一実施形態の全体構成を示す図である。 図6は、凸型部の凸型の先端径及び先端角度の測定方法を示す説明図である。 図7(a)~(g)は、図4に示す製造装置を用いて、図1に示す中空突起具を製造する製造方法を説明する図である。 図8(a)~(d)は、積層突起にレーザーを照射したときに、中空突起部に開孔が形成されるメカニズムを説明する図である。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。まず、本発明の製造方法によって得られる中空突起具の一実施形態について、図1~図4を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1には、微細な中空突起部を有する中空突起具の一実施形態である、マイクロニードルアレイ1(中空突起具)が示されている。本実施形態のマイクロニードルアレイ1は、シート状の基底部2と複数の中空突起部3とを有し、中空突起部3の側壁31に開孔8が設けられている。中空突起部3は、基底部2から突出し、内部は中空となっている。開孔8は、中空突起部3における中空部を囲み且つ該中空部の頂点位置よりも基底部2側に位置する部分に形成されている。マイクロニードルアレイ1は、基底部2における中空突起部3が形成された部分の反対側に開口しており、開口部7(図3(a)参照)が形成されている。開口部7と中空突起部3の内部空間V(図3(a)参照)とが連通している。中空突起部3の内部空間Vは、中空突起部3の外形形状に対応した円錐状に形成されている。すなわち、中空突起部3の内周面は、中空突起部3の外周面に対応した形状を有している。中空突起部3の形状は、円錐状、円錐台状、円柱状、角柱状、角錐状、角錐台状等の任意の形状とすることができる。
マイクロニードルアレイ1は、基底部2の上面に、複数個の円錐台状の中空突起部3をアレイ(行列)状に有している。具体的には、9個の中空突起部3がアレイ状に配されており、後述する基材シート20を搬送する方向Y1(基材シート20の長手方向)に沿う方向Yに3行、方向Yと直交する方向Xに3列に配されている。方向Xは、基材シート20を搬送する方向Y1と直交する方向(基材シート20の幅方向)に沿う方向である。中空突起部3の数及び配置は、特に制限されず、任意の数及び配置にすることができる。
マイクロニードルアレイ1を皮膚に適用する場合、中空突起部3の先端を、最も浅いところで角層まで、深いところで真皮又は皮下組織まで刺入し得ることが好ましい。かかる観点から、中空突起部3の突出高さH1(図3(a)参照)は、好ましくは、0.01mm以上、より好ましくは、0.02mm以上であり、また好ましくは、10mm以下、より好ましくは、5mm以下であり、また好ましくは、0.01mm以上10mm以下、より好ましくは0.02mm以上5mm以下である。突出高さH1は、中空突起部3が突出している基底部2の上面2Uと平行であって中空突起部3の頂点Pを通る仮想線P1と上面2Uとの間の距離である。上面2Uが平坦面ではなく、波打つような凹凸がある場合、中空突起部3の高さ方向Zを鉛直方向に一致させた上で、仮想線P1を、頂点Pを通り且つ水平方向に平行な線とする。そして、仮想線P1と、上面2U側の凹凸における凸部の頂部との間の距離を突出高さH1とする。仮想線P1と上面2Uとの間の距離(突出高さH1)は、中空突起部3を走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて拡大観察して、計測される。
中空突起部3の肉厚T1(図3(a)参照)は、中空突起部3の高さ方向Zに沿って一定であってもよく、変化していてもよい。例えば、中空突起部3の肉厚T1が、高さ方向Zにおける基底部2側から先端側に向かって漸次減少していてもよい。
中空突起部3の肉厚T1は、以下の方法により求められる。中空突起部3の頂点Pを含み且つ高さ方向Zに沿う縦断面において、高さ方向Zにおける同じ位置の外面同士の間隔を外径r1とし、高さ方向Zにおける同じ位置の内面同士の間隔を内径r2とする。中空突起部3の高さ方向Zにおいて、内径r2が0より大きい位置にて外径r1及び内径r2を測定し、下記式(1)により肉厚T1を求める。
肉厚T1=(r1-r2)/2・・・(1)
r1:外径
r2:内径
基底部2の厚みT2(図3(a)参照)は、好ましくは、0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは、1.0mm以下、より好ましくは、0.7mm以下であり、また好ましくは、0.01mm以上1.0mm以下、より好ましくは、0.02mm以上0.7mm以下である。厚みT2は、後述する基材シート20の厚みでもある。
中空突起部3は、開孔8を有している。開孔8は、中空突起部3の側壁31を貫通して設けられている。開孔8は、中空突起部3の内部空間Vと連通しており(図3(a)参照)、中空突起部3の外面における任意の位置に形成することができる。開孔8の一方の開口8aは、側壁31の外面31aに位置している。開孔8の他方の開口8bは、側壁31の内面31bに位置している。
開孔8が有する一対の開口8a,8bは、開口面積が異なっている。具体的には、側壁31の外面31aに位置する一方の開口8aの面積Saが、側壁31の内面31bに位置する他方の開口8bの面積Sbよりも小さい。開孔8が側壁31に形成されており且つ開口8aの面積Saと開口8bの面積Sbとがこのような関係にあることの利点は以下のとおりである。
例えば、図4に示すように、マイクロニードルアレイ1の中空突起部3を皮膚Sの表皮S1に刺入して該表皮S1に剤を注入すると、該剤は、相対的に開口面積が大きい開口8bから該開孔8に入って、相対的に開口面積が小さい開口8aから放出される。剤が放出される出口となる開口8aの開口面積が相対的に小さいことによって、放出された剤が広がりにくくなるので、剤を表皮S1内にピンポイントに供給することができる。図4には、剤を表皮S1に供給する例を示したが、剤を供給する部位は、表皮S1に限られず、例えば、真皮S2、皮下組織S3、皮下脂肪(図示せず)、筋肉、静脈(図示せず)等であってもよい。特許文献3の突起部の貫通孔のように、一方の開口が突起部の側壁に位置し、他方の開口が基底部に位置していると、該貫通孔が該突起部の突出方向に沿って形成されることになるので、貫通孔から放出された剤は前記突出方向に広がってしまい、所望の部位にピンポイントで剤を注液することは困難である。
剤を一層ピンポイントに供給することができるようにする観点から、側壁31の内面31bに位置する開口8bの面積Sbに対する、側壁31の外面31aに位置する開口8aの面積Saの比Sa/Sbは、好ましくは1以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下であり、開孔8周辺の側壁31の強度を担保する観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.004以上、更に好ましくは0.01以上であり、これらの両立の観点から、好ましくは0.001以上1以下、より好ましくは0.004以上0.9以下、更に好ましくは0.01以上0.8以下である。
中空突起部3が有する開孔8は、その内径が、側壁31の内面31b側から外面31a側に向かって段階的に減少していてもよいが、剤を一層ピンポイントに供給することができるようにする観点から、その内径が、側壁31の内面31b側から外面31a側に向かって漸次減少していることが好ましい。
また本実施形態では、中空突起部3の中心軸L1と開孔8とのなす角αが、好ましくは15度以上、より好ましくは25度以上、更に好ましくは30度以上であり、また好ましくは90度以下、より好ましくは80度以下、更に好ましくは65度以下であり、また好ましくは15度以上90度以下、より好ましくは80度以上65度以下、更に好ましくは30度以上65度以下である。前記各αを上述の範囲内とすることによって、開孔8から放出された剤が、中空突起部3の突出方向と直交する方向に広がりやすくなるので、剤を一層ピンポイントに注液することができるようになる。前記角αは、中心軸L1と、開口8aの図心Qa及び開口8bの図心Qbを結ぶ仮想直線L2とのなす角を意味する。
中空突起部3の先端径L(図3(b)参照)は、好ましくは、0.001mm以上、より好ましくは、0.005mm以上であり、また好ましくは、0.5mm以下、より好ましくは、0.3mm以下であり、また好ましくは、0.001mm以上0.5mm以下、より好ましくは、0.005mm以上0.3mm以下である。中空突起部3の先端径Lは、以下のようにして測定される。
〔中空突起部3の先端径の測定〕
中空突起部3の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて拡大観察する。観察される中空突起部3の先端部について、図3に示すように、両側辺1a,1bのうちの一側辺1aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばす。これと同様に、他側辺1bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。次いで、先端側にて、一側辺1aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点1a1として求め、他側辺1bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点1b1として求める。このようにして求めた第1先端点1a1と第2先端点1b1とを結ぶ直線の長さLを測定し、これを中空突起部3の先端径Lとする。
次に、本発明の中空突起具の製造方法の好ましい一実施態様を、前述したマイクロニードルアレイ1の製造方法を例に、図5~図7を参照しながら説明する。図5には、本実施態様の製造方法の実施に用いる一実施形態の製造装置100の全体構成が示されている。尚、上述したように、マイクロニードルアレイ1の各中空突起部3は非常に小さなものであるが、説明の便宜上、図5においてはマイクロニードルアレイ1の各中空突起部3が非常に大きく描かれている。
製造装置100は、図5に示すように、基材シート20及び後述する成形補助シート21を積層して積層シート4を形成するシート積層部40と、基材シート20に中空突起部3を形成するための凸型部51を有する突起形成部50と、中空突起部3に貫通する開孔8を形成するための非接触式の開孔手段6Aを有する開孔形成部60とを備えている。
製造装置100を用いるマイクロニードルアレイ1の製造方法は、微細な中空突起部3の側壁31に、非接触式の開孔手段6Aにより該側壁31を貫通する開孔8を形成する開孔形成工程を有している。またマイクロニードルアレイ1の製造方法は、シート積層工程と、突起形成工程と、リリース工程と、分離工程とを有している。本実施形態では、開孔形成工程は、リリース工程の後に行う。また分離工程は、開孔形成工程後に行う。
本実施態様では、まず、図5に示すように、熱可塑性樹脂を含む基材シート20の原反ロールから帯状の基材シート20を繰り出し、搬送方向Yに搬送する。そして、これとは別に、成形補助シート21の原反ロールから帯状の成形補助シート21を繰り出し、搬送方向Yに搬送する。基材シート20及び成形補助シート21の搬送方法は、基材シート20が所定位置まで送られたところで、一旦搬送を止め、その後、再度搬送を再開する間欠搬送であってもよく、また、搬送を止めずに搬送を継続する連続搬送であってもよい。搬送手段は、搬送ロール又はコンベア等の公知の手段を用いることができる。
基材シート20は、中空突起部3を形成する部分以外の部分が、マイクロニードルアレイ1の基底部2を構成する。
基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)類、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等又はこれらの組み合わせが挙げられ、生分解性の観点から、ポリ脂肪酸エステルが好ましく用いられる。ポリ脂肪酸エステルとしては、具体的に、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。
基材シート20は、熱可塑性樹脂以外に、ヒアルロン酸、コラーゲン、でんぷん、セルロース等を含んだ混合物で形成されていてもよい。基材シート20の厚みは、マイクロニードルアレイ1の基底部2の厚みT2と同等である。
基材シート20は、熱可塑性樹脂を主体として形成されていることが好ましい。「熱可塑性樹脂を主体とする」とは、熱可塑性樹脂を50質量%以上含んでいることを意味する。基材シート20は、熱可塑性樹脂を好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上含み、さらに好ましくは熱可塑性樹脂の含有量が100質量%である。熱可塑性樹脂を主体とする基材シート20は、通常、フィルム状物となっている。
成形補助シート21は、基材シート20よりも、開孔手段6Aにより加えるエネルギーの吸収率が高い。エネルギーの吸収率は、例えば、以下の方法により測定することができる。
<エネルギーの吸収率の測定方法>
測定対象のシートに、開孔手段により照射するものと同じ波長の光を照射したときに、該シートに入射したエネルギーのうち、該シートで反射したエネルギーと透過したエネルギーとを引いたものが吸収したエネルギーとなる。エネルギーの吸収率は、シートに入射したエネルギーに対するシートが吸収したエネルギーの割合として求める。例えば、入射したエネルギーがUV光の場合、分光光度計等で吸収率を測定する。
次いで、本実施態様の製造方法では、図5及び図7(a)に示すように、基材シート20と成形補助シート21とを積層して積層シート4を形成するシート積層工程を行う。シート積層工程は、シート積層部40において行われる。シート積層部40は、図5に示すように、一対の互いに対抗するロール41,42を有している。本実施態様の製造方法では、一対のロール41,42間に基材シート20及び成形補助シート21を挿入することによって、両者が積層された積層シート4が形成される。シート積層工程では、成形補助シート21は、基材シート20の全域に積層されていてもよいし、基材シート20の一部にのみ積層されていてもよい。
次に、突起形成工程を行う。突起形成工程は、図5に示すように、凸型部51を有する突起形成部50において行われる。
凸型部51は、凸型底部52と、凸型底部52から突出する複数の凸型53とを有している。すなわち、凸型部51は、台となる支持体(凸型底部52)と、支持体の一方の面から複数箇所において突出する部分(凸型53)とを有している。かかる形態に限らず、凸型部51は、突出する部分(凸型53)のみからなる構造を有していてもよい。
凸型部51が具備する凸型53は、マイクロニードルアレイ1における中空突起部3の内部空間Vの形状に対応している。凸型53の先端側の外周面54(図6参照)は、中空突起部3の側壁31の内面31bに沿った形状を有している。凸型部51の凸型53の数及び配置は、マイクロニードルアレイ1の中空突起部3の数及び配置に対応している。
凸型部51が有する加熱部としては、各種公知のものを用いることができる。本実施態様では、加熱部は、超音波発振器と、超音波発振器から送信される超音波信号によって所定の超音波振幅、発振周波数で振動する超音波ホーンとを備えた超音波振動装置である。超音波振動装置は、凸型部51の凸型底部52に設けられ、超音波ホーンが振動することで凸型53を振動させる。
突起形成工程では、図5及び図7(b)に示すように、積層シート4に、成形補助シート21側から、加熱部を有する凸型部51を当接させ、該積層シート4における凸型部51の当接部分を熱により軟化させながら、基材シート20側に向けて凸型部51を積層シート4に刺入する。より具体的には、積層シート4に凸型部51の凸型53を当接させて、積層シート4における凸型53の当接部分を熱により軟化させながら、凸型53を積層シート4に刺入する。
凸型53は、前述した超音波振動装置によって当接した積層シート4を加熱するので、当接部分が加熱によって軟化され変形し易くなる。積層シート4の軟化部分は、凸型53の刺入に伴い延伸され、凸型53の外面に沿って変形していき、積層突起44が形成される。積層突起44は、基材シート20の内面側に成形補助シート21が積層された構造を有しており、積層突起44における基材シート20からなる部分が、後続の工程を経ることにより中空突起部3となる。
次に、リリース工程を行う。リリース工程では、図7(c)に示すように、凸型部51を積層シート4から引き抜く。より具体的には、積層突起44の内側から、凸型53を引き抜く。本実施態様では、リリース工程により形成された中空突起部3の内面に沿うように成形補助シート21が配されている。
次に、開孔形成工程を行う。開孔形成工程では、非接触式の開孔手段6Aにより、中空突起部3の側壁31を貫通する開孔8を形成する。開孔形成工程は、図5に示すように、開孔形成部60で行われる。開孔形成部60は、図5に示すように、積層シート4における基材シート20側に非接触式の開孔手段6Aを備えている。非接触式の開孔手段6Aとしては、レーザー光を照射するレーザー装置、ホットエアーを発射するホットエアー発射装置、赤外線を照射するハロゲンランプ照射装置等、熱源を用いた加工装置が挙げられ、製造装置100では、微細加工に必要な集光性や高精度なエネルギー制御が可能である観点から、レーザー装置6Aが用いられている。レーザー装置6Aは、図5に示すように、レーザー光6Lを自在に走査するガルバノスキャナである照射ヘッド61を有している。照射ヘッド61は、積層シート4における基材シート20側に、該基材シート20から厚み方向の上方に一定の間隔を空けて配置されている。このように積層シート4における基材シート20側に配された照射ヘッド61からレーザー光6Lを非貫通の中空突起部3に照射して、中空突起部3に開孔8を形成すると、中空突起部3の外面31aにおける開孔8の周囲にばりが形成され難い。また、中空突起部3の任意の位置に開孔8を形成し易いため、液剤等を供給したい皮膚表面に対する位置を任意に制御し易い。
照射ヘッド61は、図5に示すように、照射されたレーザー光6Lを集光するレンズ63及び集光した該レーザー光6Lを自在に走査する2枚のミラー62及び保護レンズ66を有している。保護レンズ66は設けていても設けていなくても良いが、光学系への塵やほこりの進入を防止するため、設けている方が好ましい。ミラー62は、モータ軸に取り付けられている。ミラー62は、レーザー光6Lが積層シート4上の積層突起44に当たる照射点を、基材シート20の搬送方向Yに移動させる機構、積層シート4の搬送する方向と直交する方向Xに移動させる機構を備え、レーザー光6Lを自在に走査できるようになっている。レンズ63は、光軸方向に移動可能となっており、レーザー光6Lを集光して、積層突起44に当たるレーザー光6Lの照射点のスポット径を一定にする機構、該レーザー光6Lの照射点を基材シート20の厚み方向Z方向に移動させる機構等を備えている。ミラー62及びレンズ63を有する照射ヘッド61は、レーザー光6Lの照射点をX方向、Y方向及びZ方向からなる3次元に調整できるようになっている。その為、9個の積層突起44それぞれの照射したい位置を3次元に座標化することで、レーザー光6Lを各積層突起44の照射したい位置に所定のスポット径で照射することができる。レーザー光6Lとしては、開孔を形成する中空突起部3に吸収され得るものを用いることが好ましい。中空突起部3を形成する基材シート20が、熱可塑性樹脂を主体とするフィルム等のシートである場合、レーザー光6Lとしては、COレーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVOレーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。
本実施態様の開孔形成工程では、図7(d)に示すように、積層突起44にレーザー光6Lを照射することにより、中空突起部3の側壁31に開孔8を形成している。この点について、図8を参照しながら詳述する。本実施態様では、上述のように、成形補助シート21は、基材シート20よりもエネルギーの吸収率が高い。そのため、図8(a)に示すように積層突起44に、基材シート20側からレーザー光6Lを照射すると、成形補助シート21が基材シート20よりも多くのエネルギーを吸収するので、図8(b)に示すように、成形補助シート21が基材シート20よりも先に溶融する。そして、図8(c)に示すように、成形補助シート21の溶融熱によって、基材シート20が溶融する。成形補助シート21の溶融熱は、該成形補助シート21と基材シート20との接触部分を介して、基材シート20に伝わる。そのため、基材シート20における成形補助シート21の溶融部分に近い部分、即ち、基材シート20の側壁31の内面31bの方が、基材シート20における成形補助シート21の溶融部分から遠い部分、即ち、基材シート20の側壁31の外面31aよりも伝導される溶融熱のエネルギーが大きい。したがって、図8(d)に示すように、基材シート20の側壁31の内面31bの方が外面31aよりも広い範囲で溶融される。その結果、基材シート20に形成される開孔8は、側壁31の外面31aに位置する一方の開口8aの方が、内面31bに位置する他方の開口8bよりも開口面積が小さくなる。
次に、分離工程を行う。分離工程では、図7(g)に示すように、開孔8が形成された中空突起部3と成形補助シート21とを分離する。これにより、開孔8を有する微細な中空突起部3が形成された連続シートが得られる。
本実施態様の製造方法では、分離工程後に、得られた連続シートを所定の範囲に切断するカット工程を含んでもよい。カット工程では、連続シートを切断装置によって切断する。これにより、マイクロニードルアレイ1が製造される。切断装置としては、例えば、アンビルとトムソン刃とを備えるものを用いてもよい。
このように、本実施態様によれば、中空突起部3の側壁31の外面31aに位置する一方の開口8aの面積Saが、側壁31の内面31bに位置する他方の開口8bの面積Sbよりも小さいマイクロニードルアレイ1を製造することができるので、所望の部位にピンポイントに注液可能な中空突起具を提供することができる。
また本実施態様では、リリース工程後に開孔形成工程を行っているので、中空突起部3に開孔8を形成するときに、開孔手段6Aによって凸型部51が傷つけられることを防ぐことができる。
また、本実施態様では、積層シート4における成形補助シート21側から凸型部51を刺入し積層突起44を形成しているので、積層突起44から凸型部51を引き抜いた後も、中空突起部3の内面に沿うように成形補助シート21が配されている。そのため、凸型部51を引き抜いた後の積層突起44に、開孔手段6Aによって貫通孔を形成しても、中空突起部3の形状が維持されやすい。
このように、本実施態様の製造方法は、凸型部51が傷つくことを防ぐことができるとともに、中空突起部3の成形性に優れる。
本実施態様では、非接触式の開孔手段6Aがレーザー光の照射であることが、開孔8の周囲にバリが形成され難い点、及び中空突起部3の任意の位置に開孔8を形成し易い点からも好ましい。この効果が一層顕著に奏されるようにする観点から、成形補助シート21の構成材料として、レーザー光の吸収率が、基材シート20の構成材料の吸収率よりも高いものを用いることが好ましい。
本実施態様では、突起形成工程において積層シート4を加熱する手段は特に制限されないところ、凸型部51を超音波振動させて積層シート4を加熱することが好ましい。こうすることにより、凸型部51を差し入れる程度に応じて熱量を変化させることも可能であり、その際、熱量変化の応答性がよく、所望の形状の中空突起具1の形成が容易となる。
凸型部51の加熱による積層シート4の加熱温度は、中空突起部3の形成の観点から、使用される基材シート20又は成形補助シート21のガラス転移温度以上溶融温度未満であることが好ましく、特に軟化温度以上溶融温度未満であることが好ましい。より具体的には、基材シート20のガラス転移温度以上溶融温度未満且つ成形補助シート21のガラス転移温度以上溶融温度未満であることが好ましく、基材シート20の軟化温度以上溶融温度未満且つ成形補助シート21の軟化温度以上溶融温度未満であることがより好ましい。
詳述すると前記加熱温度は、好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、好ましくは300℃以下であり、更に好ましくは250℃以下であり、具体的には、好ましくは30℃以上300℃以下であり、更に好ましくは40℃以上250℃以下である。なお、超音波振動装置を用いて積層シート4を加熱する場合においては、凸型53と接触した成形補助シート21の部分の温度範囲として適用される。一方、超音波振動装置の代わりに加熱ヒーター装置を用いて積層シート4を加熱する場合には、凸型部51の加熱温度を上述した範囲で調整すればよい。なお、ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、以下の方法によって測定され、軟化温度の測定方法は、JIS K-7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って行う。
〔ガラス転移温度(Tg)の測定方法〕
DSC測定器を使用して熱量の測定を行い、ガラス転移温度を求める。具体的に、測定器はPerkin Elmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を使用する。基材シートから試験片10mgを採取する。測定条件は20℃で5分間維持した後に、20℃から320℃まで、5℃/分で昇温させ、横軸温度、縦軸熱量のDSC曲線を得る。そして、このDSC曲線からガラス転移温度Tgを求める。
尚、前記「基材シートのガラス転移温度(Tg)」は、基材シートの構成樹脂のガラス転移温度(Tg)を意味し、該構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種のガラス転移温度(Tg)が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も低いガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、それら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も高いガラス転移温度(Tg)以上であることがさらに好ましい。「成形補助シートのガラス転移温度(Tg)」についても同様である。
また、前記「基材シートの軟化温度」についてもガラス転移温度(Tg)と同様であり、即ち、基材シートの構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種の軟化温度が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数の軟化温度のうち最も低い軟化温度以上であることが好ましく、それら複数の軟化温度のうち最も高い軟化温度以上であることがさらに好ましい。「成形補助シートの軟化温度」についても同様である。
また、基材シート又は成形補助シートが融点の異なる2種以上の樹脂を含んで構成されている場合、前記加熱手段による積層シート4の加熱温度は、それら複数の融点のうち最も低い融点未満であることが好ましい。
成形補助シート21の構成材料としては、例えば、基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂としてポリ乳酸(PLA)が使用されている場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ナイロン樹脂等が挙げられ、これらの中でも、成形補助シート21は最終製品にはならないためリサイクル性が高い観点から、PETが好ましい。
分離工程において、中空突起部3から成形補助シート21を容易に分離できるようにする観点から、成形補助シート21として、基材シート20と熱溶着しないものを用いることが好ましい。基材シート20と熱溶着しないものとしては、例えば、基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂としてポリ乳酸(PLA)が使用されている場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン樹脂等が挙げられる。
本実施態様では、成形補助シート21に含まれる熱可塑性樹脂として、その融点が、基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも高いものを用いることが好ましい。また、成形補助シート21に含まれる熱可塑性樹脂として、そのガラス転移点が、基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いものを用いることも好ましい。成形補助シート21及び基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂の融点又はガラステイン点を上述のような関係とすることによって、仮に中空突起部3が貫通孔形成時の溶融熱等の影響で、屈曲ないし湾曲し易くなる可能性があっても、賦形突起部33が中空突起部3の変形を抑制することができる。
凸型部51を基材シート20に刺入する刺入速度は、遅過ぎると樹脂を過剰に加熱軟化させ、速過ぎると加熱軟化不足となるので、中空突起部3を効率的に形成する観点から、好ましくは0.1mm/秒以上、更に好ましくは1mm/秒以上であり、そして、好ましくは1000mm/秒以下であり、更に好ましくは800mm/秒以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm/秒以上1000mm/秒以下であり、更に好ましくは1mm/秒以上800mm/秒以下である。
基材シート20に刺す凸型部51の刺入高さは、中空突起部3を効率的に形成する観点から、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上5mm以下である。ここで、「刺入高さ」とは、積層シート4に最も凸型部51の凸型53を刺し込んだ状態において、凸型53の頂点と、積層シート4における基材シート20の上面2Uとの間の距離を意味する。したがって、突起部形成工程における刺入高さとは、突起部形成工程で凸型53が最も深く刺し込まれて基材シート20の上面2Uから凸型53が出てきた状態における、該上面2Uから垂直方向に測定した凸型53の頂点までの距離のことである。
凸型部51の超音波振動装置による超音波振動に関し、その周波数は、中空突起部3の形成の観点から、好ましくは10kHz以上、更に好ましくは15kHz以上であり、そして、好ましくは50kHz以下であり、更に好ましくは40kHz以下であり、具体的には、好ましくは10kHz以上50kHz以下であり、更に好ましくは15kHz以上40kHz以下である。また、凸型部51の超音波振動に関し、その振幅は、中空突起部3の形成の観点から、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは60μm以下であり、更に好ましくは50μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上60μm以下であり、更に好ましくは5μm以上50μm以下である。
凸型部51の先端側の形状は、製造する中空突起具1の有する中空突起部3の外形形状に対応した形状となっていればよい。凸型部51の凸型53は、その高さが、製造される中空突起具1の有する中空突起部3の突出高さH1(図3(a)参照)と同じか或いは若干高く形成されており、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上30mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上20mm以下である。凸型部51の凸型53は、その先端径D1(図6参照)が、好ましくは0.001mm以上、更に好ましくは0.005mm以上であり、そして、好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.001mm以上1mm以下であり、更に好ましくは0.005mm以上0.5mm以下である。凸型部51の凸型53の先端径D1は、以下のようにして測定する。
凸型部51の凸型53は、その根本径D2が、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、そして、好ましくは5mm以下であり、更に好ましくは3mm以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm以上5mm以下であり、更に好ましくは0.2mm以上3mm以下である。凸型部51の凸型53は、十分な強度が得られ易くなる観点から、その先端角度βが、好ましくは1度以上、更に好ましくは5度以上である。そして、先端角度βは、適度な角度を有する中空突起部3を得る観点から、好ましくは60度以下であり、更に好ましくは45度以下であり、具体的には、好ましくは1度以上60度以下であり、更に好ましくは5度以上45度以下である。凸型部51の先端角度βは、以下のようにして測定する。
〔凸型部51の凸型53の先端径の測定〕
凸型部51の凸型53の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて所定倍率に拡大した状態で観察する。次に、図6に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、先端側にて、一側辺11aが仮想直線ILcから離れる箇所を第1先端点11a1として求め、他側辺11bが仮想直線ILdから離れる箇所を第2先端点11b1として求める。このようにして求めた第1先端点11a1と第2先端点11b1とを結ぶ直線の長さD1を、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該直線の長さを、凸型53の先端径とする。
〔凸型部51の凸型53の先端角度βの測定〕
凸型部51の凸型53の先端部を、走査型電子顕微鏡もしくはマイクロスコープを用いて所定倍率拡大した状態で、例えば、図6に示す画像のように観察する。次に、図6に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、仮想直線ILcと仮想直線ILdとのなす角を、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該なす角を、凸型部51の凸型53の先端角度βとする。
凸型部51は、折れ難い高強度の材質で形成されている。凸型部51の材質としては、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ベリリウム銅合金等の金属、又はセラミック等が挙げられる。
本実施態様では、中空突起部3の先端に開孔8を形成してもよいが、中空突起部3の先端にダメージを与え難く、皮膚に穿刺し易い観点から、開孔形成工程では、非貫通の中空突起部3の先端部の中心からずれた位置にレーザー光6Lを照射して開孔8を形成することが好ましい。少ない照射エネルギーで中空突起部3の側壁にレーザー光6Lを照射して開孔8を形成する観点と、レーザー光6Lの照射エネルギーの影響を抑え形成された開孔8周辺の強度を維持する観点から、開孔形成工程では、図7(d)に示すように、レーザー装置6Aの照射ヘッド61からレーザー光6Lを凸型部51の凸型53の刺入方向ILeに対して傾斜する方向ILfから非貫通の中空突起部3に照射して開孔8を形成することが好ましい。同様の観点から、凸型53の刺入方向ILeと、レーザー光6Lを照射する傾斜する方向ILfとのなす角θは、5度以上であることが好ましく、10度以上であることが更に好ましく、15度以上であることが特に好ましく、そして、85度以下であることが好ましく、80度以下であることが更に好ましく、75度以下であることが特に好ましい。具体的には、5度以上85度以下であることが好ましく、10度以上80度以下であることが更に好ましく、15度以上75度以下であることが特に好ましい。同様の観点から、レーザー光6Lの照射時間は、0.001ms以上であることが好ましく、0.005ms以上であることが更に好ましく、そして、5ms以下であることが好ましく、3ms以下であることが更に好ましく、具体的には、0.001ms以上5ms以下であることが好ましく、0.005ms以上3ms以下であることが更に好ましい。また、同様の観点から、レーザー光6Lのレーザー出力は、0.5W以上であることが好ましく、1W以上であることが更に好ましく、そして、100W以下であることが好ましく、50W以下であることが更に好ましく、具体的には、0.5W以上100W以下であることが好ましく、1W以上50W以下であることが更に好ましい。
以上、本発明を、その好ましい本実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、本実施態様の製造方法では、凸型部51を積層シート4に刺入し、積層突起44を形成した後に、該積層突起44を冷却する冷却工程を行ってもよい。冷却工程は、例えば製造装置100が備える冷風送風装置によって、凸型部51の凸型53を積層突起44の内部に刺し込んだ状態で、該積層突起44に冷風を吹き付けることに行うことができる。なお、製造装置100のように、凸型部51の加熱手段が超音波振動である場合には、冷風送風装置を必ず備える必要はなく、超音波振動装置の振動を切ることにより、冷却することもできる。この点で、超音波振動を加熱手段として用いると、装置の簡便化とともに、高速でのマイクロニードルアレイ1の製造が容易となるので好ましい。また、積層シート4の凸型部51と当接していない部分では、より熱が伝わりにくく、また、超音波振動付与のオフによって冷却が効率的に行われるので、成形部分以外の変形が生じにくいという長所がある。
冷却工程を行う場合、加熱状態の凸型部51の温度上昇を停止させ、中空突起部3の内部に凸型部51を刺入した状態のまま次工程の冷却工程を行うまでの時間である軟化時間は、長過ぎると過剰加熱となるが、加熱不足を補う観点から、好ましくは0秒以上、更に好ましくは0.1秒以上であり、そして、好ましくは10秒以下であり、更に好ましくは5秒以下であり、具体的には、好ましくは0秒以上10秒以下であり、更に好ましくは0.1秒以上5秒以下である。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の中空突起具及び中空突起具の製造補法を開示する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
(1)製造装置の備える凸型部51の準備
凸型部51としては、1個の円錐状の凸型53を有しているものを用意した。凸型53は、その高さ(テーパー部の高さ)H2が2.5mmであり、その先端径D1が15μmであり、その根本径D2が0.5mmであり、その先端角度βが11度であった。
(2)製造装置の備える開孔手段6Aの準備
開孔手段6Aとしては、UVレーザー装置を用い、波長355nmのUVレーザー光を照射した。
〔実施例1〕
図7(a)~(g)に示す順序で、実施例1の中空突起具を製造した。基材シート20としては、PLAからなる、厚さ0.4mmのシートを用いた。成形補助シート21としては、PETからなる、厚さ0.4mmのシートを用いた。開孔形成工程においては、積層突起44の先端からの位置を300μm、レーザー光6Lのレーザー出力を2W、レーザー光6Lの照射時間を2ミリ秒、刺入方向ILeと傾斜する方向ILfとのなす角θを30度とした。
〔比較例1〕
突起形成工程において、積層シート4における基材シート20としては、PETからなる、厚さ0.4mmのシートを用いた。成形補助シート21としては、PLAからなる、厚さ0.4mmのシートを用いた。つまり、比較例1の突起形成工程では、基材シート20として用いるシートと、成形補助シート21として用いるシートとを、実施例1とは反対にした。これら以外は、実施例1と同様にして中空突起具を製造した。
〔比較例2〕
実施例1において、成形補助シート21として、PLAからなる、厚さ0.4mmのシートを用いた。つまり、比較例2のシート積層工程では、エネルギーの吸収率が同じシートどうしを重ねた。また開孔形成工程において、レーザー光6Lの照射時間を20ミリ秒に変更した。分離工程においては、突起形成工程で形成された突起の外面側に位置する基材シート20から、該突起の内面側に位置する成形補助シート21を分離した。
実施例1、比較例1及び比較例2の中空突起具について、マイクロスコープを用いて観察し、中空突起部の側壁に形成された開孔8の形状を確認した。その結果を表1に模式的に示す。表1の開孔の拡大断面図においては、該断面図における左側が、側壁31の内面31b側であり、該断面図における右側が、側壁31の外面31a側である。
また、分離工程における分離のしやすさを、以下の基準により評価した。これらの結果を表1に示す。
(分離のしやすさの評価基準)
〇:中空突起具と成形補助シートとを、該中空突起具の内面に成形補助シートとの溶着痕がない状態で分離できた場合
×:中空突起具と成形補助シートとを分離できるが、分離した中空突起具の内面に成形補助シートとの溶着痕が付いた場合、又は中空突起具と成形補助シートとを分離できなかった場合
比較例1の中空突起具は、表1に示すとおり、中空突起具の側壁に形成された貫通孔が、該側壁31の内面31b側から外面31a側に向かって漸増していた。即ち、側壁31の外面31a側に位置する開口8aの面積が、側壁31の内面31bに位置する開口8bの面積よりも大きくなっていた。したがって、比較例1の中空突起具は、所望の場所にピンポイントで剤を供給することが困難であることが分かる。
比較例2の中空突起具も、比較例1の中空突起具と同様に、中空突起具の側壁に形成された貫通孔が、該側壁31の内面31b側から外面31a側に向かって漸増しており、側壁31の外面31a側に位置する開口8aの面積が、側壁31の内面31bに位置する開口8bの面積よりも大きくなっていた(表1参照)。したがって、比較例2の中空突起具は、所望の場所にピンポイントで剤を供給することが困難であることが分かる。
また比較例2においては、分離のしやすさの評価結果が「×」であった。より具体的には、基材シート20と成形補助シート21との界面が熱融着しており、該シート20,21どうしを剥離することが困難であった。また剥離した基材シート20における内面に成形補助シート21との溶着痕が付いており、該内面が荒れている様子が確認できた(表1の比較例2のA-A線断面図参照)。また剥離した成形補助シート21における外面に基材シート20との溶着痕が付いており、該外面が荒れている様子が確認できた(表1の比較例2の正面図及び左側面図参照)。
実施例1の中空突起具は、表1に示すとおり、中空突起部3の側壁31に形成された開孔8が、該側壁31の内面31b側から外面31a側に向かって漸減していた。即ち、側壁31の外面31a側に位置する開口8aの面積が、側壁31の内面31bに位置する開口8bの面積よりも小さくなっていた。したがって、実施例1の中空突起具は、所望の場所にピンポイントで剤を供給することができることが分かる。また、実施例1は、表1に示すとおり、分離のしやすさの評価結果が「〇」となっており、中空突起具を容易に製造することができることもわかる。
1 マイクロニードルアレイ(中空突起具)
2 基底部
3 中空突起部
31 側壁
6A 非接触の開孔手段
6L レーザー光
7 開口部
8 開孔
20 基材シート
21 成形補助シート
51 凸型部
52 凸型底部
53 凸型
100 製造装置
V 内部空間
Y1 搬送方向
Z 高さ方向

Claims (4)

  1. 微細な中空突起部の側壁に、非接触式の開孔手段により該側壁を貫通する開孔を形成する開孔形成工程を有する、中空突起具の製造方法であって、
    製造する前記中空突起具は、開孔を有する微細な中空突起部を備え、該開孔は、該中空突起部の側壁を貫通し、該側壁の外面に位置する一方の開口の面積が、該側壁の内面に位置する他方の開口の面積よりも小さくなっており
    熱可塑性樹脂を含む基材シートと、該基材シートよりも、前記開孔手段により加えるエネルギーの吸収率が高い成形補助シートとを積層して積層シートを形成するシート積層工程と、
    前記積層シートに、前記成形補助シート側から、加熱部を有する凸型部を当接させ、該積層シートにおける該凸型部の当接部分を熱により軟化させながら、該基材シート側に向けて該凸型部を該積層シートに刺入する突起形成工程と、
    前記凸型部を前記積層シートから引き抜くリリース工程と、
    前記リリース工程後に行う前記開孔形成工程と、
    前記開孔形成工程後に、前記中空突起部と前記成形補助シートとを分離する分離工程とを具備しており
    前記非接触式の開孔手段が、レーザー光の照射であり、
    前記成形補助シートの構成材料として、前記レーザー光の吸収率が、前記基材シートの構成材料の吸収率よりも高いものを用い、
    前記成形補助シートに含まれる熱可塑性樹脂として、その融点が、前記基材シートに含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも高いものを用いる、中空突起具の製造方法。
  2. 前記成形補助シートとして、前記基材シートと熱溶着しないものを用いる、請求項1に記載の中空突起具の製造方法。
  3. 前記成形補助シートに含まれる熱可塑性樹脂として、そのガラス転移点が、前記基材シートに含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いものを用いる、請求項1又は2に記載の中空突起具の製造方法。
  4. 前記凸型部を超音波振動させて前記積層シートを加熱する、請求項1~の何れか一項に記載の中空突起具の製造方法。
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