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JP7793309B2 - 光学ガラスの製造方法 - Google Patents
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JP7793309B2 - 光学ガラスの製造方法 - Google Patents

光学ガラスの製造方法

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Description

本発明は、光学ガラスの製造方法に関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器や、プロジェクタやプロジェクションテレビ等の画像再生(投影)機器等の各種光学機器の分野では、光学系で用いられるレンズやプリズム等の光学素子の枚数を削減し、光学系全体を軽量化及び小型化する要求が強まっている。
光学ガラスを製造する中で坩堝などによく用いられる白金は、融点が1700℃超と高くガラスの熔解に適している反面、酸素と反応して劣化しやすいため、酸化された白金や白金イオンがガラス中に熔け出してしまう。ガラス中に熔け出した白金は可視光を吸収するため、最終製品である光学ガラスの着色を招く。
従って、白金の部材を用いて熔融しなければならない光学ガラスの製造においては、光学ガラス原料中の成分や熔融時のプロセスにおいて前記白金の熔出を防ぐような対策が試みられている。
特開2019-019050号公報 特開2020-169116号公報
特許文献1では、熔解工程において水分量を高めることで白金由来の着色が低減されたガラスが得られることを見出している。
特許文献2では、ガラスを熔融する際にガラス原料中に還元剤を含有させることで、白金由来の着色が低減されたガラスが得られることを見出している。
しかし、白金を使用した部材で熔解しなければならない高融点の光学ガラス、例えばB-La系の光学ガラスにおいて、特に着色の原因と考えられるTiO、Nb、WOなどの遷移金属酸化物を含有する高屈折率低分散光学ガラスにおいては、水分量増加や還元剤を包含させるだけでは、その着色抑制効果が十分でなかった。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、着色の原因と考えられるTiO、Nb、WOなどの遷移金属酸化物を含有するB-La系高屈折率低分散光学ガラスにおいて、熔解過程で生じるガラスの着色を抑制することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意試験研究を重ねた結果、B成分及びLa成分を含む原料に、所定量のアルカリ金属酸化物を添加することによって、ガラスを熔解する過程においてガラスの着色を抑制できることを見出した。
具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)
屈折率(n)が1.85000以上2.20000以下であり、
λ70が460nm以下であり、
酸化物換算組成の質量%において
及びSiO成分の合計が10~25%
La及びY成分の合計が30~65%
TiO、Nb及びWO成分の合計が10~35%
RnO成分(RnはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される1種以上)が0%超2.0%以下であり、
O+RbO+CsOの値が0%超である光学ガラス。
(2)ガラス原料から酸化物換算したガラス全質量を100%とした場合に、還元剤を外割で0.01~20.0%含有することを特徴とする(1)の光学ガラス。
(3)還元剤が硫黄及び/又は炭素或いはそれらの化合物であることを特徴とする(2)の光学ガラス。
(4)ZrOを2~10%含有する(1)~(3)いずれか記載の光学ガラス。
(5)ガラス原料を熔融して光学ガラスを製造する方法であって、
前記ガラス原料は、
酸化物換算の質量%で、
及びSiO成分の合計が10~25%
La及びY成分の合計が30~65%
TiO、Nb及びWO成分の合計が10~35%
であり、
RnO成分(RnはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される1種以上)を0%超2.0%以下であり、KO+RbO+CsOの値が0%超であることを特徴とする、光学ガラスの製造方法。
(6)ガラス原料から酸化物換算したガラス全質量を100%とした場合に、還元剤を外割で0.01~20.0%加えることを特徴とする(5)の製造方法。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、B成分及びLa成分を主成分とする高屈折率低分散ガラスにおいて、TiO、Nb及びWO成分などの着色原料を含むものであっても、少量のアルカリ金属酸化物であってKO、RbO、CsO成分を含有させることで、ガラスの着色を抑制した光学ガラスを提供することである。
以下、本発明の光学ガラス及び光学ガラスの製造方法の実施形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所について適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本明細書中において各成分の含有量は特に断りがない場合、全て酸化物換算組成の全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
La成分は、ガラスの屈折率及びアッベ数を高めるとともに、ガラスの化学的耐久性を向上する成分であり、本発明のガラス中の必須成分である。特に、La成分の含有率を65.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めつつアッベ数の大きなガラスを生産できる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLa成分の含有率は、好ましくは65.0%以下を上限とし、より好ましくは62.0%以下、最も好ましくは59.0%以下を上限とする。一方、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLa成分の含有率は、好ましくは30.0%以上、好ましくは35.0%以上、最も好ましくは40.0%以上を下限とする。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、アッベ数を大きくする成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、Y成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めつつ所望の光学数を得ることが可能である。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するY成分の含有率は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%以下、最も好ましくは11.0%以下を上限とする。一方、酸化物換算組成のガラス全質量に対するY成分の含有率は0%でもガラスの作成は可能であるが、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは5.0%超を下限とする。
本発明においては、La成分及びY成分の合計量は、ガラスの耐失透性を高めつつ所望の光学定数を得るために好ましくは65.0%以下を上限とし、より好ましくは62.0%以下、最も好ましくは60.0%以下を上限とする。他方、本発明において所望の高屈折率、低分散特性を得るために好ましくは30.0%以上、より好ましくは35.0%以上、より好ましくは40.0%以上、最も好ましくは45.0%以上を下限とする。
Gd成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、アッベ数を大きくする成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、Gd成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めつつ所望の光学数を得ることが可能である。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するGd成分含有率は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、最も好ましくは1.0%以下を上限とする。
成分は、安定なガラスの形成を促すことで耐失透性を高める成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、B成分の含有率を25.0%以下にすることで、B成分による屈折率の低下が抑えられるため、高屈折率を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するB成分の含有率は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは20.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下を上限とする。一方、酸化物換算組成のガラス全質量に対するB成分の含有率は、好ましくは1.0%以上、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは5.0%以上を下限とする。
SiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの着色を低減することで短波長の可視光に対する透過率を高めるとともに、安定なガラス形成を促すことでガラスの耐失透性を高める成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、SiO成分の含有率を15%以下にすることで、SiO成分による屈折率の低下が抑えられるため、高屈折率を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSiO成分の含有率は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%以下、最も好ましくは9.0%以下を上限とする。一方、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSiO成分の含有率は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%以上、最も好ましくは2.0%以上を下限とする。
本発明においては、B成分及びSiO成分の合計量は、本発明において所望の高屈折率、低分散特性を得るために好ましくは25.0%以下を上限とし、より好ましくは23.0%以下、最も好ましくは20.0%以下を上限とする。他方、本発明において耐失透性を高め安定的に製造可能とするために好ましくは10.0%以上、より好ましくは11.0%以上、最も好ましくは12.0%以上を下限とする。
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、且つガラスの化学的耐久性を高める成分であり、本発明のガラスの任意成分である。特に、TiO成分を含むことで、高屈折率を得ることができ、且つ所望のアッベ数に調整することができる。一方、TiO成分の含有率を30.0%以下にすることで、過剰な含有による失透を抑制し、かつ透過率の劣化を抑えることができる。ガラスのアッベ数を特に高めることができる観点からも、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTiO成分の含有率は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは6.0%以上を下限とする。一方、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTiO成分の含有率は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは20.0%以下、最も好ましくは15.0%以下を上限とする。
Nb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高める成分であり、一方、Nb成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高め、耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNb成分の含有率は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは13.0%以下、最も好ましくは11.0%以下を上限とする。
WO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を上げる成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、WO成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めるとともに、短波長の可視光に対するガラスの透過率の低下を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するWO成分の含有率は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、最も好ましくは5.0%以下を上限とする。
本発明においては、TiO成分、Nb及びWO成分の合計量は、屈折率(n)を高めながら高屈折率化成分由来の還元色を低減するために、35.0%以下を上限とし、より好ましくは28.0%以下、最も好ましくは25.0%以下を上限とする。他方、本発明において所望の高屈折率特性を得るために好ましくは10.0%以上、より好ましくは12.0%以上、最も好ましくは15.0%以上を下限とする。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの着色を低減して短波長の可視光に対する透過率を高めるとともに、安定なガラス形成を促してガラスの耐失透性を高める成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。一方で、ZrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ZrO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZrO成分の含有率は、好ましくは10.0%以下を上限とし、より好ましくは9.0%以下、最も好ましくは8.0%以下を上限とする。一方、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZrO成分の含有率は、好ましくは2.0%以上、より好ましくは3.0%以上、最も好ましくは4.0%以上を下限とする。
LiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔解温度を下げる成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、LiO成分の含有率を2.0%以下にすることで、高屈折率を得易くすることができ、且つガラスの安定性を高めて失透等の発生を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLiO成分の含有率は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.9%以下、最も好ましくは0.7%以下を上限とする。
NaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔解温度を下げる成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、NaO成分の含有率を2.0%以下にすることで、高屈折率を得易くすることができ、且つガラスの安定性を高めて失透等の発生を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNaO成分の含有率は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.9%以下、最も好ましくは0.7%以下を上限とする。
O成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔解温度を下げる成分であり、またガラス溶融時の着色を抑える効果を奏する本発明のガラス中の任意成分である。特に、KO成分の含有率を2.0%以下にすることで、高屈折率を得易くすることができ、且つガラスの安定性を高めて失透等の発生を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するKO成分の含有率は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.9%以下、最も好ましくは0.7%以下を上限とする。
RbO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔解温度を下げる成分であり、またガラス溶融時の着色を抑える効果を奏する本発明のガラス中の任意成分である。特に、RbO成分の含有率を2.0%以下にすることで、高屈折率を得易くすることができ、且つガラスの安定性を高めて失透等の発生を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRbO成分の含有率は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.9%以下、最も好ましくは0.7%以下を上限とする。
CsO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔解温度を下げる成分であり、またガラス溶融時の着色を抑える効果を奏する本発明のガラス中の任意成分である。特に、CsO成分の含有率を2.0%以下にすることで、高屈折率を得易くすることができ、且つガラスの安定性を高めて失透等の発生を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するCsO成分の含有率は、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.9%以下、最も好ましくは0.7%以下を上限とする。
本発明においては、RnO(RnはLi成分、Na成分、K、Rb及びCs成分からなる群より選択される1種以上)の合計量は、本発明において所望の着色度を得るために2.0%以下を上限とし、より好ましくは1.0%以下、最も好ましくは0.8%以下を上限とする。他方、本発明において所望の高屈折率特性を得るために好ましくは0%を超え、より好ましくは0.02%以上、最も好ましくは0.04%以上を下限とする。
本発明においては、RnO(RnはLi成分、Na成分、K、Rb及びCs成分からなる群より選択される1種以上)の合計量に対するKO、RbO、及びCsO成分の比(KO+RbO+CsO)/RnOの比の値が0.005~1.0であることが好ましい。RnO成分において特にKO、RbO及びCsOがガラス溶融時の着色を抑える効果が大きいため、(KO+RbO+CsO)/RnOの比の値は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、最も好ましくは0.05以上となる。
本発明においては、アルカリ金属酸化物の中でも、特にKO、RbO及びCsO成分からなる群より選択される1種以上の合計量が0%超であることが好ましい。KO、RnO及びCsOの合計量は、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.01%以上、最も好ましくは0.02%以上を下限とし、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下、最も好ましくは1.0%以下を上限とする。
Al成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性を向上しつつ、ガラス熔融時の粘度を高める成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、Al成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの熔融性を高めつつ、ガラスの失透傾向を弱めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するAl成分の含有率は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、最も好ましくは3.0%以下を上限とする。
ZnO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げ、且つガラスの耐失透性を高める成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、ZnO成分の含有率を15.0%以下にすることで、高屈折率及び低分散を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZnO成分の含有率は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%以下、最も好ましくは9.0%以下を上限とする。
MgO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げ、ガラスの耐失透性を高める任意成分であり、且つ、可視光に対する透過率を低下し難くする成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、MgO成分の含有率を10.0%以下にすることで、高屈折率及び低分散を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するMgO成分の含有率は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、最も好ましくは3.0%以下を上限とする。
CaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げ、ガラスの耐失透性を高める成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、CaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、高屈折率及び低分散を得易くすることができ、且つガラスの耐失透性及び化学的耐久性の低下を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するCaO成分の含有率は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、最も好ましくは10.0%以下を上限とする。
SrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げ、ガラスの耐失透性を高める成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、SrO成分の含有率を10.0%以下にすることで、高屈折率及び低分散を得易くすることができ、且つガラスの耐失透性及び化学的耐久性の低下を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSrO成分の含有率は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、最も好ましくは3.0%以下を上限とする。
BaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、ガラスの耐失透性を高める成分であり、且つ、可視光に対する透過率を低下し難くする成分であり、本発明のガラス中の任意成分である。特に、BaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、高屈折率及び低分散を得易くすることができ、且つ耐失透性及び化学的耐久性の低下を抑えることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するBaO成分の含有率は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、最も好ましくは10.0%以下を上限とする。
Ta成分は、0%超含有する場合にガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる成分である。しかし高額であるためコストを下げるために、Ta成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
成分は、0%超含有する場合にガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる成分である。P成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
GeO成分は、0%超含有する場合にガラスの屈折率を高められ、且つ耐失透性を向上できる成分である。GeO成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
Ga成分は、0%超含有する場合にガラスの化学的耐久性を向上でき、且つ熔融ガラスの耐失透性を向上できる成分である。Ga成分の含有量は、5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
Bi成分は、0%超含有する場合に屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる成分である。Bi成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
TeO成分は、0%超含有する場合に屈折率を高められ、且つガラス転移点を下げられる成分である。TeO成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
SnO成分は、0%超含有する場合に熔融ガラスの酸化を低減して清澄し、且つガラスの可視光透過率を高められる成分である。SnO成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
F成分は、0%超含有する場合にガラスの熔融性を高めることができる成分であるが、一方で含有量が多いとF成分の揮発による失透を招いてしまう。F成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下を上限とする。
Sb成分は、0%超含有する場合に熔融ガラスを脱泡できる成分である。
他方で、Sb成分の含有量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下を上限とする。
本発明の光学ガラスは、還元剤を添加してガラス中への白金混入を抑え、透過率を向上させることができる。ガラス原料に還元剤を添加して白金由来の着色を低減させることができる。使用できる還元剤は特に限定されるものではないが、還元剤としては、例えば、カーボン、S等の単元素、スクロース等の有機化合物、また、硫酸アンモニウム等の熱分解時に還元性ガスを発生させる原料が挙げられる。
還元剤の添加量は、ガラス原料から酸化物換算したガラス全質量を100%とした場合に、還元剤を外割で0.01~20.0%含有することを特徴とする。
ここで「ガラス原料から酸化物換算したガラス全質量」とは、還元剤以外のガラス原料が全て酸化物になった場合の総重量を100%とした場合に,添加される還元剤の全質量を%表示したものである。
還元剤の添加量は好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上、最も好ましくは0.03%以上であり、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、最も好ましくは10.0以下である。
本発明においては、還元剤として硫黄又は硫黄化合物、炭素又は炭素化合物を使用することが好ましい。
この場合、還元剤が硫黄化合物又は炭素化合物である場合には、添加量は当該化合物中の炭素又は硫黄元素の部分の質量に換算して、前記好ましい添加量にて添加する。
本発明において、以下の成分を合計して95.0%以上、97.0%以上、98.0%以上の順に含有していることが好ましい。
La成分、Y成分、Gd成分、Yb成分、SiO成分、B成分、Al成分、TiO成分、Nb成分、WO成分、Bi成分、ZnO成分、ZrO成分、MgO成分、CaO成分、SrO成分、BaO成分、LiO成分、NaO成分、KO成分、Ta成分。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない
成分について説明する。
他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、Nd、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
また、PbO等の鉛化合物及びAs等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物質として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1100~1500℃の温度範囲で2~5時間熔解させて攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
[物性]
本発明の光学ガラスは、屈折率(n)は、1.85000以上が好ましい。本発明のガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.85000以上、より好ましくは1.86000以上、さらに好ましくは1.88000以上を下限とする。この屈折率(n)は、好ましくは2.20000以下、より好ましくは2.10000以下、さらに好ましくは2.05000以下を上限としてもよい。また、本発明のガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは20.00以上、より好ましくは23.00以上、さらに好ましくは25.00以上を下限とする。このアッベ数(ν)は、好ましくは45.00以下、より好ましくは40.00以下、さらに好ましくは37.00以下を上限とする。
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、それにより着色が少ないことが好ましい。
本発明のガラスの厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す最も短い波長(λ70)は、好ましくは460nm以下、より好ましくは450nm以下、さらに好ましくは430nm以下を上限とする。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このように、本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用である。その中でも特に、本発明の光学ガラスからプリフォームを形成し、このプリフォームを用いてリヒートプレス成形や精密プレス成形等を行い、レンズやプリズム等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、径の大きなプリフォームの形成が可能になるため、光学素子の大型化を図りながらも、カメラやプロジェクタ等の光学機器に用いたときに高精細で高精度な結像特性及び投影特性を実現できる。
本発明のガラスの実施例及び比較例の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、分光透過率が70%及び5%を示す波長(λ70、λ)の結果を表に示す。以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して、均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1100~1500℃の温度範囲で2~5時間熔解させた後、攪拌均質化してから金型等に鋳込み、徐冷して作製した。

実施例及び比較例のガラスの屈折率(n)は、JIS B 7071-2:2018に規定されるVブロック法に準じて、ヘリウムランプのd線(587.56nm)に対する測定値で示した。また、アッベ数(ν)は、上記d線の屈折率と、水素ランプのF線(486.13nm)に対する屈折率(n)、C線(656.27nm)に対する屈折率(n)の値を用いて、アッベ数(ν)=[(n-1)/(n-n)]の式から算出した。そして、求められた屈折率(n)及びアッベ数(ν)の値から、関係式n=-a×ν+bにおける、傾きaが0.01のときの切片bを求めた。
実施例及び比較例のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02-2003に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200~800nmの分光透過率を測定し、光線透過率(分光透過率)、λ70(透過率70%時の波長)及びλ(透過率70%時の波長)を求めた。
本発明の実施例の本発明のガラスは、いずれもλ70(透過率70%時の波長)が450nm以下であった。より詳細には、本発明の実施例の本発明のガラスは、いずれもλ70(透過率70%時の波長)が430nm以下だった。一方で、KO、RbO及びCsOのいずれも含有しない比較例1~3のガラスは、λ70が460nmより大きかった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて着色し難いことが明らかになった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、所定量のKO、RbO及びCsOを包含するアルカリ金属化合物を添加することによって、ガラスを熔解する過程の着色を抑制できることが明らかになった。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (6)

  1. 屈折率(n)が1.88000以上2.20000以下であり、λ70が430nm以下であり、
    酸化物換算組成の質量%で、
    23及びSiO2成分の合計が12.0~20.0%、
    La23及びY23成分の合計が30~65%、
    TiO2成分が13.36%以上であり且つTiO2、Nb25及びWO3成分の合計が22.11~35%、
    25成分が5.0%以下
    であり、
    Rb2O成分が0%超又はCs2O成分が0%超であり且つRn2O成分(RnはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される1種以上)の合計量が0%超0.05%以下、あるいは、K2O成分が0%超であり且つRn2O成分(RnはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される1種以上)の合計量が0%超0.05%以下である、
    光学ガラス。
  2. ガラス原料から酸化物換算したガラス全質量を100%とした場合に、還元剤を外割で0.01~20.0%含有することを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 還元剤が硫黄及び/又は炭素或いはそれらの化合物であることを特徴とする請求項2に記載の光学ガラス。
  4. ZrO2成分を2~10%含有する請求項1~3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. ガラス原料を熔融してλ 70 が430nm以下の光学ガラスを製造する方法であって、
    前記ガラス原料は、
    酸化物換算の質量%で、
    23及びSiO2成分の合計が12.0~20.0%、
    La23及びY23成分の合計が30~65%、
    TiO2成分が13.36%以上であり且つTiO2、Nb25及びWO3成分の合計が22.11~35%、
    25成分が5.0%以下
    であり、
    Rb2O成分が0%超又はCs2O成分が0%超であり且つRn2O成分(RnはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される1種以上)の合計量が0%超0.05%以下、あるいは、K2O成分が0%超であり且つRn2O成分(RnはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される1種以上)の合計量が0%超0.05%以下であることを特徴とする、
    光学ガラスの製造方法。
  6. ガラス原料から酸化物換算したガラス全質量を100%とした場合に、還元剤を外割で0.01~20.0%加えることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
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