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JP7794040B2 - 抗菌抗ウイルスコート剤、抗菌抗ウイルス性印刷物、およびその製造方法 - Google Patents
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JP7794040B2 - 抗菌抗ウイルスコート剤、抗菌抗ウイルス性印刷物、およびその製造方法 - Google Patents

抗菌抗ウイルスコート剤、抗菌抗ウイルス性印刷物、およびその製造方法

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Description

本発明は、抗菌抗ウイルスコート剤、およびそれから形成された抗菌抗ウイルスコート層を有する印刷物に関する。
近年の衛生思想の高まりによって、食品や医薬品の工場、病院や養護施設等の建物、食品厨房器具、医療器具、医療機器等の装置において、又は一般家庭用品においてまでも、細菌、かび等の拡大・感染防止を目的として、抗菌剤、抗ウイルス、抗カビ剤、消毒剤等が使用されている。しかし、最近では様々な感染症が出現しており、菌やウイルスからの感染を防止する志向が特に高まっている。そのため、公共施設のみならず一般家庭においても、様々な部材に抗菌性や抗ウイルス性を付与する技術が望まれている。
従来の技術では、これらの問題を解決するものとして、有機系又は無機系抗菌剤が提案されてきた。例えば、有機ヨード系抗菌剤、ピリジン系抗菌剤、ハロアルキルチオ系抗菌剤、チアゾール系抗菌剤、ベンゾイミダゾール系抗菌剤、イソフタロニトリル系抗菌剤、フェノール系抗菌剤、トリアジン系抗菌剤、臭素系抗菌剤、第4級アンモニウム塩系抗菌剤、有機金属系抗菌剤や、金属イオンをゼオライトやシリカゲル等の物質に担持させた抗菌材料等も多数開発され、それらを用いた抗菌コーティング剤が開発されている(特許文献1~3)。しかしながら、抗菌性を発現する化合物のバリエーションは限られており、新たな素材として抗菌性、更に好ましくは抗ウイルス性をも発現する素材が求められている。しかしながら、それらのコーティングを施した塗工物において、生活している中で何度も触れて擦れた後、その効果の持続性が劣るケースが有り、また、抗菌性等を発現したとしてもインキ皮膜の物性として影響があるなどのケースがあった。
特許第6801137号公報 特開2017-39905号公報 特開2017-137481号公報
本発明の目的は、抗菌抗ウイルス性が良好であり、基材密着性、耐摩擦性、耐熱性、耐ブロッキング性、カール適性が良好であり、更にコート剤塗布後のコート層へ摩擦、熱履歴を加えた後であっても抗菌抗ウイルス性を有したコート剤を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下に記載の「抗菌抗ウイルスコート剤」を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び無機粒子を含有する抗菌抗ウイルスコート剤であって、
前記可塑剤が、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記無機粒子が、銀系無機粒子を含む、抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、銀系無機粒子が、銀-リン酸ジルコニウム粒子であり、コート剤全質量中に、前記銀-リン酸ジルコニウム粒子を0.05~0.9質量%含む、上記の抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、銀系無機粒子が、銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子であり、コート剤全質量中に、前記銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子を0.5~9質量%含む、上記の抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、無機粒子の平均粒子径が、0.5~10μmである、上記の抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、ウレタン樹脂/ニトロセルロース樹脂の質量比率が、質量比で2/98~50/50である、上記の抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、更に、体質顔料および/または樹脂微粒子を含む、上記の抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、ウレタン樹脂/ニトロセルロース樹脂の質量比率が、質量比で98/2~50/50である、上記の抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、フレキソ印刷用である、上記の抗菌抗ウイルスコート剤に関する。
また、本発明は、基材上に上記の抗菌抗ウイルスコート剤から形成された抗菌抗ウイルスコート層を有する抗菌抗ウイルス性印刷物に関する。
また、本発明は、プラスチック基材上に抗菌抗ウイルスコート剤をフレキソ印刷する工程を含む抗菌抗ウイルス性印刷物の製造方法であって、前記抗菌抗ウイルスコート剤が、ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び無機粒子を含有し、前記可塑剤が、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系より選ばれる少なくとも一種を含み、前記無機粒子が、銀系無機粒子を含む、抗菌抗ウイルス性印刷物の製造方法に関する。
本発明により、抗菌抗ウイルス性が良好であり、基材密着性、耐摩擦性、耐熱性、耐ブロッキング性、カール適性が良好であり、更にコート剤塗布後のコート層へ摩擦、熱履歴を加えた後であっても抗菌抗ウイルス性を有したコート剤を提供することが可能となった。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその趣旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
以下の説明において、抗菌抗ウイルスコート剤は単に「コート剤」と表現する場合があるが同義である。抗菌抗ウイルスコート剤から、印刷等により形成された層を「抗菌抗ウイルスコート層」または「コート層」というが、同義である。
以下、本発明の抗菌抗ウイルスコート剤を構成する各成分について詳述する。
本発明は、ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び抗菌剤粒子を含有する抗菌抗ウイルスコート剤であって、前記可塑剤が、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系より選ばれる少なくとも一種を含み、前記抗菌剤粒子が、銀系無機粒子を含む、抗菌抗ウイルスコート剤に関する。ニトロセルロースを用いたコート剤はコート層が硬くなる傾向があるが、上記可塑剤を用いることで、皮膜が柔軟になり銀系無機粒子が安定に存在し、結果として抗菌性・抗ウイルス性等を発現する。また一方で皮膜物性も良好に維持向上できる。
<ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂などのバインダー樹脂>
ウレタン樹脂とニトロセルロース樹脂は、バインダー樹脂として機能する。バインダー樹脂総量中、ウレタン樹脂およびニトロセルロース樹脂を合計で60質量%含有することが好ましい。80質量%含有することがなお好ましい。基材への接着性が良好となるためである。更に、ウレタン樹脂/ニトロセルロース樹脂の質量比率は、それぞれ質量比で2/98~50/50であることが好ましい。より好ましくは質量比で5/95~40/60あるいは5/95~30/70である。この配合比および組み合わせのとき、後述する可塑剤を併用することにより、印刷層の接着性及びカール適性が向上する。
一方、体質顔料および/または樹脂微粒子をマット化剤として含む場合にあっては、ウレタン樹脂/ニトロセルロース樹脂の質量比率は、それぞれ質量比で98/2~50/50であることが好ましい。より好ましくは質量比で95/5~60/40あるいは95/5~70/30である。この場合逆艶性、耐熱性及び基材密着性が向上する。
また更に塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ダンマル樹脂、ケトン樹脂および環化ゴムなどを含有してもよく、これらに限定されない。
<ウレタン樹脂>
ウレタン樹脂は、重量平均分子量が8000~80000のものが好ましく、10000~60000であることがなお好ましい。ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。-40℃~-5℃であることがなお好ましく、-35~-10℃であることが更に好ましい。ニトロセルロース樹脂および可塑剤との親和性が良好となるためである。また、ウレタン樹脂は、アミン価および/または水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は0.5~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~15mgKOH/gである。また、水酸基価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~20mgKOH/gである。上記範囲であると、基材への接着性が向上し、また、銀系無機粒子と作用して抗菌抗ウイルス性が発現しやすくなる。
ウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール(ポリラクトンポリオールを含む)由来の構成単位を含むものが好ましく、その含有量の合計は、ウレタン樹脂固形分100質量%中、5~80質量%であることが好ましく、より好ましくは10~60質量%であり、更に好ましくは10~50質量%である。
ウレタン樹脂は特に制限はなく、公知の方法により適宜製造される。ポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン樹脂や、ポリオールとポリイソシアネートからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンとを反応させることにより得られるウレタン樹脂などが好ましい。製造方法としては例えば、特開2013-256551号公報に記載の方法などが挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール(ポリラクトンポリオールを含む)、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール(ポリラクトンポリオールを含む)である。
ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリトリメチレングリコールおよびこれらから選ばれる共重合体であるポリエーテルポリオールなどが好適に挙げられる。ポリエーテルポリオールは平均分子量は200~5000であることが好ましい。数平均分子量は、末端を水酸基として水酸基価から計算するものであり、(式1)により求められる。(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸とジオールとのエステル化反応により得られる縮合物や、ポリラクトンポリオール等が挙げられる。ポリラクトンポリオールは、ラクトンは、環状エステルのことで、同分子内のヒドロキシ基とカルボキシ基が脱水縮合したものである。ポリラクトンポリオールは例えば、ジオールを開始剤としてラクトンと開環重合されたものなどが好適に挙げられる。当該ラクトンは、例えば、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトンおよびε-カプロラクトンなどが好適である。ジオールは以下に記載されたものと同様のものを用いることができる。多塩基酸とジオールとのエステル化反応により得られる縮合物であるポリエステルポリオールにおいて、多塩基酸としては二塩基酸であることが好ましく、当該二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。
ジオールは、なかでも分岐構造を有するジオールが好ましい。分岐構造とは、ジオールに含まれるアルキレン基の水素原子の少なくとも1つがアルキル基によって置換された、アルキル側鎖を有するジオールを意味し、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、および2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは、印刷適性、印刷効果、耐ブロッキング性を向上させるため特に好ましい。これらのポリエステルポリオールは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なお、二塩基酸としてはセバシン酸、アジピン酸が特に好ましい。また、ヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは200~5000である。数平均分子量は、前記(式1)により求めることが可能である。
上記ポリイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。なおこれらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていても良い。芳香族ジイソシアネートとしては、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加された4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体から選ばれる少なくとも一種である。これらのポリイソシアネートは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ポリアミンとしては、以下に限定されるものではないが、分子量500以下が好ましく、ジアミン系、多官能アミン系等のものが挙げられ、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、p-フェニレンジアミンなどのジアミン系鎖延長剤の他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど水酸基を有するジアミン系鎖延長剤も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて3官能以上の多官能のアミン系鎖延長剤も使用出来る。具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。
上記ポリアミンは、1級、2級の1価のアミノ基を有する化合物を含んでもよい。これらの化合物は、過剰な反応を停止することを目的とした重合停止剤として機能する。かかる化合物としては例えば、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類や2-エタノールアミンなどのアミノアルコール類等があげられる。更に、特にウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を重合停止剤として用いることができる。重合停止剤を用いるときには、重合停止剤と鎖延長剤とを一緒に使用して鎖延長反応を行ってもよく、また鎖延長剤によりある程度鎖延長反応を行った後に重合停止剤を単独に添加して重合停止反応を行ってもよい。一方、重合停止剤を用いなくても分子量のコントロールは可能であるが、この場合には鎖延長剤を含む溶液中にプレポリマーを添加する方法が反応制御という点で好ましい。
(ニトロセルロース樹脂)
ニトロセルロース樹脂は、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましく、重量平均分子量は、5,000~2,00,000のものが好ましく、10,000~100,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~170℃、あるいは140℃~165℃であるものが好ましい。また、窒素分は10.5~12.5質量%であることが好ましい。上記においてニトロセルロース樹脂のガラス転移温度は、2か所に現れることが多いが、高温側のガラス転移温度として定義する。上記の範囲であれば、インキ被膜の強度が向上し、耐摩擦性、耐もみ性が向上するため好ましい。また、溶剤への溶解性、インキの低温安定性、併用樹脂との相溶性が向上するため好ましい。なお、ニトロセルロース樹脂は、ウレタン樹脂および可塑剤と併用されることで、熱可塑性が増し、コート層として安定なものとなる。
<有機溶剤>
本発明にて使用するコート剤は、有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピルなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、また、これらの混合物が挙げられる。中でもノルマルプロピルアルコールや酢酸ノルマルプロピルなどを含むことが好ましい。
<可塑剤>
本発明の抗菌抗ウイルスコート剤は、当該コート剤から形成された皮膜の性質の観点から可塑剤を有する事が好ましい。当該可塑剤としては、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系から選ばれる少なくとも一種を必要とし、中でもトリメット酸化合物、クエン酸エステル系が好ましい。その中でもクエン酸エステル系であることが更に好ましい。可塑剤が含まれる量としては、コート剤全質量中、0.1~8質量%が好ましく、0.5~5質量%であることがなお好ましく、1~3質量%が更に好ましい。クエン酸エステルとしては、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリn‐ブチル、クエン酸アセチルトリn‐ブチル、アセチルクエン酸-2-エチルヘキシルなどのクエン酸アセチルトリアルキルが好ましい。当該アルキル基としては炭素数2~12であることが好ましい。中でもクエン酸アセチルトリn‐ブチル、クエン酸アセチルトリエチルなどが好ましい。フタル酸エステルとしては、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシルなどのフタル酸ジアルキルが挙げられ、当該アルキル基としては炭素数2~12であることが好ましい。中でもフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどが好ましい。リン酸エステルとしては、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルなどのリン酸エステルが好適に挙げられ、リン酸トリブチルなどが好ましい。トリメット酸エステルとしては、トリメット酸トリ-2-エチルヘキシル、トリメット酸トリオクチル、トリメット酸トリイソノニルなどのトリメリット酸トリアルキルが好適に挙げられ、当該アルキル基としては炭素数2~12であることが好ましい。中でもトリメット酸トリ-2-エチルヘキシルなどが好ましい。脂肪族二塩基酸エステル系としては脂肪酸ジアルキルエステルが好ましく、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルなどが好適であり、例えば、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジイソデシルなどのセバシンジアルキルが好適に挙げられ、当該アルキル基としては炭素数2~12であることが好ましい。スルホン酸アミド系としては、N-ブチルベンゼンスルフォン酸アミドやN-エチルトルエンスルフォン酸アミドなどが好ましい。
<無機粒子、銀系無機粒子>
銀系無機粒子その他の無機粒子は抗菌/抗ウイルス性を発現させるために用いられる。銀系無機粒子であることで抗菌/抗ウイルス性を発現可能である。一方で、コート層中にはそれらのみで存在するよりもコート層が可塑剤により熱可塑性を有する場合には、抗菌/抗ウイルス性に加え、基材密着性、耐摩擦性、などの強化が図れるので好適である。銀系無機粒子としては、銀-リン酸ジルコニウム粒子および/または銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子を含むことが好ましい。
なお、本発明において平均粒子径(分散平均粒子径)は、レーザー回析・散乱法によるD50測定値をいい、例えば、マイクロトラック・ベル社製の粒子径分布測定装置等を用いることができ、マイクロトラックMT3000IIシリーズなどを用いて測定できる。
<銀-リン酸ジルコニウム粒子>
銀-リン酸ジルコニウム粒子は無機イオン交換体である六方晶リン酸ジルコニウムに、イオン交換で銀イオンを担持させたものであり、ジルコニウムを中心とした酸素八面体とリンを中心とした酸素四面体が酸素共有で3次元的に連なり、その骨格中に銀イオンが存在する。具体的な製品としてはノバロンAG300(東亞合成株式会社)、ノバロンAG1100(東亞合成株式会社)、ノバロンAGZ330(東亞合成株式会社)、ノバロンAGT330(東亞合成株式会社)等が挙げられる。
銀-リン酸ジルコニウム粒子の平均粒子径は0.4~12μmが好ましく、更に0.7~4μmが好ましい。銀-リン酸ジルコニウム粒子の比重は1~7が好ましく、2~5が好ましい。銀-リン酸ジルコニウム粒子の見掛け比重(かさ比重)は0.05~1が好ましく、0.05~0.7がなお好ましく、更に0.1~0.4が更に好ましい。
<銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子>
銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子はゼオライトに銀を担持したものからなり、当該ゼオライトはリン酸亜鉛カルシウムを含む。銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子の平均粒子径は1.0~8.0μmが好ましく、更に2.0~6.0μmが好ましい。銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子の比重は0.1~8が好ましく、更に1.0~3が好ましい。
本発明の抗菌抗ウイルスコート剤は、更に、体質顔料および/または樹脂微粒子を含むことが好ましい。抗菌抗ウイルスコート剤が体質顔料および/または樹脂微粒子を含むことにより、マット感及び逆艶性を付与できる。マット感及び抗菌性の更なる向上の観点から、体質顔料および樹脂微粒子を含むことがなお好ましい。
本発明の抗菌抗ウイルスコート剤が体質顔料および樹脂微粒子を含む場合、体質顔料と樹脂微粒子との質量比は90:10~15:85であることが好ましく、85:15~25:75であることがなお好ましく、75:25~40:60であることが更に好ましい。マット感及び逆艶性向上のためである。体質顔料および樹脂微粒子をどちらも含む場合、その含有量は、抗菌抗ウイルスコート剤100質量%中、を合計で18~42質量%であることが好ましく、24~36質量%であることが更に好ましい。
<体質顔料>
本発明の抗菌抗ウイルスコート剤が体質顔料を含む場合、体質顔料の含有量は、抗菌抗ウイルスコート剤100質量%中、0.2~40質量%であることが好ましく、9~25質量%であることが更に好ましい。体質顔料は、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが好ましいが、更には硫酸バリウムが好ましい。耐ブロッキング性や抗菌剤の脱離を防ぐ為である。
<樹脂微粒子>
本発明のコート剤において、樹脂微粒子は固有の屈折率によって光拡散性の制御が可能であり、光沢、艶消し、透明性等によって求める意匠性を付与する事ができる。
本発明の抗菌抗ウイルスコート剤が樹脂微粒子を含む場合、使用する樹脂微粒子の屈折率は1.40以上であることが好ましく、1.45以上であることがなお好ましい。また、1.75以下であることが好ましく、1.70以下であることがなお好ましく、1.60以下であることが更に好ましい。当該樹脂微粒子としては、アクリル微粒子、ポリアミノ微粒子、ポリオレフィン微粒子、ポリスチレン微粒子などが挙げられ、上記微粒子から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましく。中でもアクリル微粒子であることが好ましい。樹脂微粒子の平均粒子径は、0.5~10μmであることが好ましく、1~8μmであることがなお好ましく、1.5~6μmであることが更に好ましい。耐摩耗性と艶消し効果向上のためである。
コート剤の不揮発成分総質量中における樹脂微粒子の含有率は、求める滑り性(耐摩耗性)や艶消し効果の程度、添加する樹脂微粒子の粒径、種類等に応じて、5~25質量%の範囲で好適である。9~17質量%であることがなお好ましい。コート剤全質量に対しては樹脂微粒子を3~30質量%含むことが好ましく、6~25質量%含むことがさらに好ましいく、7~20質量%含むことがなお好ましい。
当該樹脂微粒子としては、ポリアクリル微粒子は、根上工業社製アートパールGSシリーズ、アートパールJシリーズ、ポリアミノ微粒子は、日産化学社製オプトビーズシリーズ、ポリオレフィン微粒子は、住友精化社製フロービーズLEシリーズ、ポリスチレン樹脂微粒子は、綜研化学社製ファインパウダーMPシリーズ、積水化成社製テクポリマーSBXシリーズ、テクポリマーSSXシリーズなどが挙げられる。
<その他の添加剤>
本発明のコート剤には、必要に応じて、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防菌防かび剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、充填剤、潜在性硬化剤、難燃剤、硬化剤等を配合することもできる
<コート剤の製造>
本発明のコート剤は、例えば、ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び抗菌剤粒子を、必要に応じて体質顔料を有機溶剤中に溶解および/または分散することにより製造することができる。具体的には、例えば抗菌剤粒子をニトロセルロース樹脂、および必要に応じてウレタン樹脂を混合し、有機溶剤に分散させた分散体を製造し、得られた分散体に更にニトロセルロース樹脂、可塑剤、あるいは必要に応じて他の樹脂や添加剤等を配合することによりコート剤を製造することができる。また分散体の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、分散体の吐出速度、分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては一般的に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを好適に用いることができる。
<抗菌抗ウイルス性印刷物>
また抗菌抗ウイルス性印刷物は基材上に前記抗菌抗ウイルス性コート剤を印刷・塗布することで形成される。当該印刷・塗布方法としては、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式などの輪転印刷方式が好ましい。フレキソ印刷法による印刷が下記印刷膜厚との観点から好ましい。基材上に上記コート剤のフレキソ印刷を行い、コート層を基材上に形成させることで抗菌抗ウイルス性印刷物の製造を行うことができる。印刷物は基材とコート層の間に印刷インキから形成された絵柄層などを有する形態も好ましい。コート層は、表面保護層として位置することが好ましい。他の層としては、プライマー層、絵柄層と熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、等が挙げられる。
<コート層>
抗菌抗ウイルス剤は、上記バインダー樹脂とともに可塑剤と併用することで、コート層の軟調化による塗膜の自由度が増す。必然的に抗菌抗ウイルス剤が塗膜に埋もれて抗菌抗ウイルス性の発現を阻害することや、コート層を擦った後などにコート層からの離脱を防ぐことが可能になり、抗菌抗ウイルス性能が持続しやすくなる。そのため、無機粒子の平均粒子径との兼ね合いから、コート層としての膜厚は0.5~5μmが好ましく、更に1~3μmが好ましい。コート層としての抗菌抗ウイルス剤添加量は固形分で0.01~2質量%が好ましく、更に0.1~1質量%が好ましい。
<フレキソ印刷>(フレキソ版)
上記フレキソ印刷に使用される版としてはUV光源による紫外線硬化を利用する感光性樹脂版またはダイレクトレーザー彫刻方式を使用するエラストマー素材版が挙げられる。フレキソ版の画像部の形成方法に関わらず版のスクリーン線数において75lpi以上のものが使用される。版を貼るスリーブやクッションテープについては任意のものを使用することができる。(印刷機)フレキソ印刷機としてはCI型多色フレキソ印刷機、ユニット型多色フレキソ印刷機等があり、インキ供給方式についてはチャンバー方式、2ロール方式が挙げることが出来、適宜の印刷機を使用することができる。
<粘度>
前記方法で製造されたコート剤の粘度は、フレキソ印刷法の高速印刷(50~300m/分)に対応させるためには、B型粘度計での25℃における粘度が100~1000cpsの粘度範囲であることが好ましい。より好ましくは400~800cpsである。この粘度範囲は、ザーンカップ#4での粘度が10秒~40秒程度に相当する。なお、コート剤の粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤などの量比率を適宜選択することにより調整することができる。また、コート剤中の体質顔料の粒度および粒度分布を調節することによりコート剤の粘度を調整することもできる。
<基材>
本発明に使用できる基材としては、プラスチック基材が好適であり、プラスチック基材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系基材、ポリカーボネート系基材、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系基材、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のポリアミド系基材、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース等の繊維素系基材、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系基材、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂ポリスチレン基材、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系基材等が挙げられ、フィルム状またはシート状であることが好ましい。基材は、これらの熱可塑性樹脂から一種又は二種以上から選ばれた混合物を用いて得られる。基材は、積層体であってもよい。また、コロナ処理などの表面処理が施されていても良い。また、上記熱可塑性樹脂に着色剤が混練された着色基材を用いても良い。当該着色剤は特に限定は無く、上記の有機顔料、無機顔料などを適宜使用できる。一実施形態において着色剤を含む基材である場合もまた好ましい。
<絵柄層>
上記印刷物は、基材とコート層との間に絵柄層を有していてもよい。当該絵柄層は、印刷インキを、上記基材上に、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式などの輪転印刷方式で絵柄層を形成することで得ることができる。例えば、印刷インキをグラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで有機溶剤で希釈され、各印刷ユニットに供給され印刷される。印刷方式は特段限定されないが、スクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、インクジェット印刷方式など好適に挙げられるが、なかでもグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式が好ましい。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、特に断りのない限り、実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
なお、実施例15b、15c、15dは、参考例である。
(重量平均分子量)
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(昭和電工社製「ShodexGPCSystem-21」)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。以下に測定条件を示す。カラム:下記の複数のカラムを直列に連結して使用。東ソー株式会社製、TSKgelSuperAW2500、東ソー株式会社製、TSKgelSuperAW3000、東ソー株式会社製、TSKgelSuperAW4000、東ソー株式会社製、TSKgelguardcolumnSuperAWH検出器:RI(示差屈折計)、測定条件:カラム温度40℃、溶離液:テトラヒドロフラン流速:1.0mL/分
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定測定)により求めた。なお、測定機は株式会社リガク製DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~250℃、昇温速度10℃/分、DSC曲線におけるガラス転移に基づく吸熱開始温度と終了温度との中点をガラス転移温度とした。
(合成例1)[ウレタン樹脂PU1]
数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール(以下「PTMG」)100部、ポリカプロラクトン(以下「MePCL」)100部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)103.4部、および酢酸エチル75.8部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(IPDA)44.6部、酢酸エチル/IPA=50/50(質量比)の混合溶剤755.2部のものに、上記末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分35質量%、アミン価0.3mgKOH/g、水酸基価0.0mgKOH/g、重量平均分子量30000のウレタン樹脂溶液PU1を得た。
(合成例2~3)[ウレタン樹脂PU2およびPU3の合成]
表1に記載の原料を使用する以外は、合成例1と同様によりウレタン樹脂PU2およびPU3を得た。
[実施例1a]
ウレタン樹脂溶液PU1を10部、ニトロセルロース樹脂(重量平均分子量52000ガラス転移温度150℃固形分30質量%溶液)40部、有機溶剤(n-プロピルアルコール/酢酸n-プロピル=質量比70/30)37.8部、可塑剤B1(クエン酸アセチルトリn‐ブチル)を2.0部、銀系無機粒子F1(銀-リン酸ジルコニウム粒子分散平均粒子径1.8μm比重3)0.2部で配合し、ビーズミルであるアイガーミルで10分分散し、その後、ワックスE1(ポリエチレン系ワックス分散液)10.0部を添加し、攪拌混合してコート剤(S1)を得た。
次に上記で得られたコート剤S1を混合溶剤(n-プロピルアルコール/酢酸n-プロピル=質量比70/30)により、25℃におけるザーンカップNo.4の粘度が13秒となるように希釈混合し、12cm3/cm2容積のアニロックス(ステンレス製)と、感光性樹脂素材の版を用いて厚さ60μmのポリエチレン基材のコロナ処理面に印刷速度150m/分でフレキソ印刷し、印刷物を得た(層構成:基材/コート層)。
[実施例2a~19a、比較例1a~4a]
表2に記載の原料および配合比率を使用した以外は、実施例1と同様の方法にてコート剤(S2~S19およびSS1~SS4)を得た。尚、表2において、空欄は配合なしを表す。この内、S1~19は、それぞれ実施例に相当するコート剤であり、SS1~SS4は、それぞれ比較例に相当し、本発明のコート剤ではない組成物である。なお、表2および表4で使用した材料の略号の詳細は表6に表す。
[実施例1b]
ウレタン樹脂溶液PU1を10部、ニトロセルロース樹脂(重量平均分子量52000ガラス転移温度150℃固形分30質量%溶液)40部、有機溶剤(n-プロピルアルコール/酢酸n-プロピル=質量比70/30)36.0部、可塑剤B1(クエン酸アセチルトリn‐ブチル)を2.0部、銀系無機粒子G1(銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子分散平均粒子径4.2μm)2.0部で配合し、ビーズミルであるアイガーミルで10分分散し、その後、ワックスE1(ポリエチレン系ワックス分散液)10.0部を添加し、攪拌混合してコート剤(T1)を得た。
次に上記で得られたコート剤T1を混合溶剤(n-プロピルアルコール/酢酸n-プロピル=質量比70/30)により、25℃におけるザーンカップNo.4の粘度が13秒となるように希釈混合し、12cm3/cm2容積のアニロックス(ステンレス製)と、感光性樹脂素材の版を用いて厚さ60μmのポリエチレン基材のコロナ処理面に印刷速度150m/分でフレキソ印刷し、印刷物を得た(層構成:基材/コート層)。
[実施例2b~19b、比較例1b~4b]表4に記載の原料および配合比率を使用した以外は、実施例1bと同様の方法にてコート剤(T2~T19およびTT1~TT4)を得た。尚、表4において、空欄は配合なしを表す。この内、T1~T19は、それぞれ実施例に相当するコート剤であり、TT1~TT4は、それぞれ比較例に相当し、本発明のコート剤ではない組成物である。
[実施例1c~21c、比較例1c~4c]
表7に記載の原料および配合比率を使用した以外は、実施例1と同様の方法にてコート剤(J2~J21およびJJ1~JJ4)を得た。尚、表7において、空欄は配合なしを表す。この内、J1~J21は、それぞれ実施例に相当するコート剤であり、JJ1~JJ4は、それぞれ比較例に相当し、本発明のコート剤ではない組成物である。なお、表7で使用した材料の略号の詳細は表6に表す。
[実施例1d~21d、比較例1d~4d]
表9に記載の原料および配合比率を使用した以外は、実施例1と同様の方法にてコート剤(K2~K21およびKK1~KK4)を得た。尚、表9において、空欄は配合なしを表す。この内、K1~K21は、それぞれ実施例に相当するコート剤であり、KK1~KK4は、それぞれ比較例に相当し、本発明のコート剤ではない組成物である。なお、表9で使用した材料の略号の詳細は表6に表す。
<コート剤の評価>
表2および4に示したコート剤について、以下の方法で抗菌性、抗ウイルス性、耐ブロッキング性、基材密着性、耐摩擦性、耐熱性、耐ブロッキング性、カール適性を評価し結果を表3および表5に示す。
また抗菌性に関しては、得られたコート層に対して、耐摩擦性を加えた後での抗菌性も確認した。
また抗ウイルス性に関しては、得られたコート層に対して、耐摩擦性を加えた後での抗ウイルス性も確認した。
<抗菌性>
上記印刷物にて、日本工業規格JISZ 2801:2000「抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果」5.2プラスチック製品などの試験方法に準拠して、大腸菌または黄色ぶどう球菌に対する抗菌試験を行った。抗菌活性値にて、2.0以上を効果ありと判定した。
<抗ウイルス性>
上記印刷物にて、JISZ2801:2000「抗菌加工製品―抗菌性試験方法・抗菌効果」のフィルム密着法に準拠して、菌液の代わりにインフルエンザウイルス液とネコカリシウイルス液を用いた。試験体表面へのウイルス接種後の条件は25℃で24時間とし、対照区にはポリエチレンフィルムを用いた。ウイルスの感染価は、JISL1922「繊維製品の抗ウイルス性試験方法」附属書Bに記載されるプラーク測定法によって求め、抗ウイルス活性値を算出した。抗ウイルス活性値が2.0以上であれば、抗ウイルス効果があると評価した。
<基材密着性>
上記印刷物について、印刷面にセロハンテープを貼り付け、すばやく剥がした。テープを貼り付けた面積と、コート剤がフィルムから剥離した面積との比較から、コート剤のフィルムに対する密着性を評価した。評価「C」以上であれば、実際の使用時に特に問題ない。(判定基準)
A.コート層が全く剥離しないもの(優)
B.コート層がフィルムから剥離した面積がテープ接着面積の0%以上~10%未満剥離するもの(良)
C.コート層がフィルムから剥離した面積がテープ接着面積の10%以上~30%未満剥離するもの(可)
D.コート層がフィルムから剥離した面積がテープ接着面積の30%以上~50%未満剥離するもの(不可)
E.コート層がフィルムから剥離した面積がテープ接着面積の50%以上剥離するもの(劣)
<耐摩擦性>
上記印刷物について、学振型摩擦堅牢試験機を用いて耐摩擦性を評価した。評価条件は荷重200g×往復回数3回、当紙上質紙とした。堅牢後の印刷物コート層の耐摩擦性を評価した。評価「C」以上であれば、実際の使用時に特に問題ない。
(判定基準)
A.コート層が全く剥離しないもの(優)
B.コート層が当紙との堅牢面積の0%超え~5%未満剥離するもの(良)
C.コート層が当紙との堅牢面積の5%以上~10%未満剥離するもの(可)
D.コート層が当紙との堅牢面積の10%以上~30%未満剥離するもの(不可)
E.コート層が当紙との堅牢面積の30%以上剥離するもの(劣)
<耐熱性>
上記印刷物について、印刷面にアルミホイルを貼り合わせ、貼り合わせた印刷物の両側よりヒートシールテスターにて熱履歴を加えた。印刷物の粗熱をとった後、印刷物とアルモホイルを剥離する。アルミホイルと印刷物を貼り合わせた面積と、フィルムからコート層が剥がれた面積との比較から、コート層の耐熱性を評価した。評価「C」以上であれば、実際の使用時に特に問題ない。
(判定基準)
A.コート層のアルミ面への付着が全く剥離しないもの(優)
B.コート層がフィルムから剥離した面積がアルミホイル貼り合わせ面積の0%超え~5%未満剥離するもの(良)
C.コート層がフィルムから剥離した面積がアルミホイル貼り合わせ面積の5%以上~10%未満剥離するもの(可)
D.コート層がフィルムから剥離した面積がアルミホイル貼り合わせ面積の10%以上~30%未満剥離するもの(不可)
E.コート層がフィルムから剥離した面積がアルミホイル貼り合わせ面積の30%以上剥離するもの(劣)
<耐ブロッキング性>
上記印刷物について、4cm×4cmの大きさに切り、同じ大きさに切った上記ポリプロピレン基材を重ね合わせ5kg/cm2荷重をかけ、40℃、湿度80%RHの雰囲気下で24時間静置後、印刷面とフィルムを引きはがし、コート層の取られ具合を目視で判定した。評価「C」以上であれば、実際の使用時に特に問題ない。
(判定基準
A.コート層が全く剥離しないもの(優)
B.コート層が0%超え~5%未満剥離するもの(良)
C.コート層が5%以上~10%未満剥離するもの(可)
D.コート層が10%以上~30%未満剥離するもの(不可)
E.コート層が30%以上剥離する、あるいは印刷面とフィルムが全面密着して剥がせないもの(劣)
<カール適性>
上記印刷物について、サイズ横10cm×10cmに切り出し、左上端部から右か端部と、右上端部から左上端部にかけて切り込みを入れ印刷物を24時間静置させた。24時間後の印刷物の切り込み部分の反り方のよりカール適性を評価した。評価「C」以上であれば、実際の使用時に特に問題ない。
(判定基準)
A.切り込み部が全く反らず、カールしない。(優)
B.切り込み部の0.0cm超え~0.5cm未満の反りが確認された。(良)
C.切り込み部の0.5cm以上~1.0cm未満の反りが確認された。(可)
D.切り込み部の1.0cm以上~1.5cm未満の反りが確認された。(不可)
E.切り込み部の反りが1.5cm以上確認された。(劣)
本発明のコート剤を使用した場合は、表3、表5に示すように、抗菌性、基材密着性、耐摩擦性、耐熱性、耐ブロッキング性、カール適性の全ての項目において優れた結果を示した(実施例1~19)。そのほか、本発明以外のコート剤を使用した場合は、抗菌性、基材密着性、耐摩擦性、耐熱性、耐ブロッキング性、カール適性のいずれかに難があり、使用困難であることが分かった。
<逆艶性>
上記印刷物について、マルチラブテスター試験機(往復回転摩耗試験機)を用いて逆艶性を評価した。印刷物をサイズ横7cm×7cmに切り出し、ヘッド部に装着させ、ステージ部にはKライナーを装着させた。ヘッド部とステージ部の往復摩耗の繰り返しに伴い、印刷物と段ボールが往復摩耗により擦れ、印刷物表面が摩耗し逆艶が発生する。その際に発生した逆艶性を評価した。同様に、ステージ部に印刷物を装着した際の逆艶性も評価した。
評価「C」以上であれば実際の使用時に特に問題ない。以下の評価において「%」とは面積%を表す。
(判定基準)
A.印刷物表面に逆艶が全く発生しない。(優)
B.印刷物表面を、角度を変更して目視した場合に限り、逆艶が確認できる。(良)
C.印刷物表面を正面から目視した際に逆艶の発生が確認できる。逆艶の発生は摩耗部の10%未満(可)
D.印刷物表面を正面から目視した際に逆艶の発生が容易に確認でき、逆艶の発生が摩耗部の10%以上30%未満。(不可)
E.印刷物表面を正面から目視した際に逆艶の発生が容易に確認でき、逆艶の発生が摩耗部の30%以上。(劣)
<マット感>
上記印刷物について、マイクロトリグロス(光沢計・BYK社製)を用いて光沢値を測定し、マット感の指標とした。マット感は光沢値によって評価した。一般的に光沢値が低い程マット感が高いものとされる。
評価「C」以上であれば実際の使用時に特に問題ない。
(判定基準)
A.光沢値が4未満(優)
B.光沢値が4以上7未満(良)
C.光沢値が以上11未満(可)
D.光沢値が11以上15未満(不可)
E.光沢値が15以上(劣)
[実施例1e~4e]
下記コート剤組成物を用いた印刷物それぞれについて、上記逆艶性およびマット感を評価したところ、下記の通りであった。
コート剤組成物S18を用いた印刷物 逆艶性:C マット感:C
コート剤組成物S19を用いた印刷物 逆艶性:C マット感:C
コート剤組成物T18を用いた印刷物 逆艶性:C マット感:C
コート剤組成物T19を用いた印刷物 逆艶性:C マット感:C

Claims (12)

  1. ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び無機粒子を含有する抗菌抗ウイルスコート剤であって、
    前記可塑剤が、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記無機粒子が、銀系無機粒子を含み、
    前記銀系無機粒子が銀-リン酸ジルコニウム粒子である、抗菌抗ウイルスコート剤。
  2. ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び無機粒子を含有する抗菌抗ウイルスコート剤であって、
    前記可塑剤が、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、前記無機粒子が、銀系無機粒子を含み、
    前記銀系無機粒子が銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子である、抗菌抗ウイルスコート剤。
  3. ート剤全質量中に銀-リン酸ジルコニウム粒子を0.05~0.9質量%含む、請求項1に記載の抗菌抗ウイルスコート剤。
  4. ート剤全質量中に銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子を0.5~9質量%含む、請求項に記載の抗菌抗ウイルスコート剤。
  5. 無機粒子の平均粒子径が、0.5~10μmである、請求項1~いずれか1項に記載の抗菌抗ウイルスコート剤。
  6. ウレタン樹脂/ニトロセルロース樹脂の質量比率が、質量比で2/98~50/50である、請求項1~いずれか1項に記載の抗菌抗ウイルスコート剤。
  7. 更に、体質顔料および/または樹脂微粒子を含む、請求項1~いずれか1項に記載の抗菌抗ウイルスコート剤。
  8. ウレタン樹脂/ニトロセルロース樹脂の質量比率が、質量比で98/2~50/50である、請求項に記載の抗菌抗ウイルスコート剤。
  9. フレキソ印刷用である、請求項1~いずれか1項に記載の抗菌抗ウイルスコート剤。
  10. 基材上に請求項1~のいずれか1項に記載の抗菌抗ウイルスコート剤から形成された抗菌抗ウイルスコート層を有する抗菌抗ウイルス性印刷物。
  11. プラスチック基材上に抗菌抗ウイルスコート剤をフレキソ印刷する工程を含む抗菌抗ウイルス性印刷物の製造方法であって、前記抗菌抗ウイルスコート剤が、ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び無機粒子を含有し、前記可塑剤が、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系より選ばれる少なくとも一種を含み、前記無機粒子が、銀系無機粒子を含み、前記銀系無機粒子が銀-リン酸ジルコニウム粒子である、抗菌抗ウイルス性印刷物の製造方法。
  12. プラスチック基材上に抗菌抗ウイルスコート剤をフレキソ印刷する工程を含む抗菌抗ウイルス性印刷物の製造方法であって、前記抗菌抗ウイルスコート剤が、ウレタン樹脂、ニトロセルロース樹脂、有機溶剤、可塑剤、及び無機粒子を含有し、前記可塑剤が、クエン酸エステル系、フタル酸エステル系、リン酸エステル系、トリメット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、およびスルホン酸アミド系より選ばれる少なくとも一種を含み、前記無機粒子が、銀系無機粒子を含み、前記銀系無機粒子が銀-リン酸亜鉛カルシウム粒子である、抗菌抗ウイルス性印刷物の製造方法。
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