以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明するが、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
なお、以下では図面に座標系を示す。直交座標系のXは医療用デバイス100を構成する本体部10の軸方向または厚さ方向に沿い、軸方向Xと称する。Y、Zは軸方向Xと交差する面であって、面方向YZと称する。
円筒座標系のrは、面方向YZに沿い、医療用デバイス100の本体部10等の中心から径方向または放射方向に延びる方向であって、径方向rと称する。θは本体部10等の軸方向Xと交差する面方向YZにおいて本体部10等の周方向または角度方向に沿い、周方向θと称する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る医療用デバイス100を医療器具200の第2係合器具270のシャフト310に挿通させた状態を示す図、図2は医療用デバイス100の貫通孔11を示す図である。図3は医療器具200を示す図である。図4は医療器具200を構成する第1係合器具210の先端部と第2係合器具270を示す図である。
図5~図12は医療用デバイス100を用いて大腸を一例として消化管の吻合を行う手技を説明する図である。
医療用デバイス100は、図5~図12に示すように所定の生体器官同士を接合する手技(例えば、消化管の吻合術)に適用することができる。後述するように、本明細書の説明では医療用デバイス100を使用した手技の例として大腸吻合術を説明するが、本発明に係る癒合促進デバイスを使用可能な部位は大腸に限定されない。
医療用デバイス100の説明にあたり、医療器具200について説明する。
<医療器具200>
医療器具200は、生体組織における生体器官である一方の被接合部位(第1被接合部位)と第1被接合部位に対向する他方の被接合部位(第2被接合部位)とを接合する。医療器具200は、第1被接合部位及び第2被接合部位を介して医療用デバイス100を挟み込み可能な第1係合器具210と第2係合器具270を備える。医療器具200は、サーキュラーステープラーと呼ばれ得る。以下、各部の構成について説明する。
第1係合器具210は図8等に示すように医療用デバイス100の生体組織への吻合時に医療用デバイス100の一方の側に配置される。第1係合器具210は、第1被接合部位と当接可能に構成している。
第2係合器具270は、吻合時に医療用デバイス100に対して第1係合器具210と反対側に配置され、第2被接合部位と当接可能に構成している。詳細については後述する。第1係合器具210は、トロッカーと呼ばれ得るとともに、第2係合器具270はアンビルと呼ばれ得る。以下、詳述する。
<第1係合器具>
第1係合器具210は、図3、図4に示すように長尺部材220と、位置決め部230と、放出部240と、打抜き部250と、操作部260と、を備える。
長尺部材220は、第1係合器具210の本体に相当する。長尺部材220は、図4に示すように長手方向の先端において位置決め部230のシャフトを相対的に進退移動可能な空間Sを備える。長尺部材220は、軸方向に交差する断面を中空の円形状に構成している。
長尺部材220は、本実施形態において長手方向に直線状に延在するとともに屈曲箇所を備えているが、後述する吻合機能と打抜き機能を実現できれば、長尺部材には屈曲箇所を設けなくてもよい。
位置決め部230は、長尺状のシャフトを備える。位置決め部230のシャフトは、図4に示すように長尺部材220の長手方向における先端において空間Sから相対的に進退移動自在に構成している。位置決め部230は、医療用デバイス100の略中央に形成され得る穴部Ptと後述する第2係合器具270のシャフト310の内腔に挿入可能に構成している。第1係合器具210と第2係合器具270は、位置決め部230のシャフトとシャフト310の組み付けによって接続可能に構成している。
放出部240は、第1被接合部位と第2被接合部位とを接合する複数のステープルを略環状に放出可能に構成している。放出部240は長尺部材220の長手方向における先端側において略円板状に形成している。放出部240は、長尺部材220の先端において周方向に沿ってステープルの放出箇所を複数設けることによって構成している。
打抜き部250は、長尺部材220の先端において放出部240よりも径方向の内方に配置し、第1被接合部位と第2被接合部位の放射方向内方を打ち抜くように構成している。打抜き部250は、図4に示すように放出部240よりも径方向の内方に第1被接合部位と第2被接合部位を打ち抜く環状のブレードを備えるように構成している。打抜き部250の形状は、長手方向から平面視した際に真円に構成できるが、癒合促進に不要な部位を打抜ければ打抜き部250の形状は楕円等であってもよい。
操作部260は、位置決め部230と放出部240と打抜き部250とを操作できるように構成している。操作部260は、図3に示すように回転部261と、ハンドル262と、を備える。
回転部261は、長尺部材220の長手方向における基端部(基端側)に設けている。回転部261は、長尺部材220の基端側における長手方向を回転軸として長尺部材220に対して回転可能に構成している。回転部261は、第2係合器具270が第1係合器具210と係合した状態において、長尺部材220に対して回転させることによって第1係合器具210と第2係合器具270とを相対的に接近離間できるように構成している。
ハンドル262は、長尺部材220の基端部(基端側)とともに使用者によって把持可能に構成している。ハンドル262は、回転軸263によって長尺部材220と回転可能に接続されている。ハンドル262は、使用者によって握られることによって回転軸263の周りに回転して長尺部材220と相対的に接近する。これにより、放出部240からステープルを放出し、長尺部材220の先端から打抜き部250の環状ブレードを突出できるように構成している。
<第2係合器具>
第2係合器具270は、第1被接合部位と第2被接合部位を介して第1係合器具210とともに医療用デバイス100を挟み込み可能に構成している。第2係合器具270は、図4に示すようにヘッド280と、当接部290と、シャフト310と、を備える。
ヘッド280は、第1係合器具210と第2係合器具270とを係合させた際に第1係合器具210の長尺部材220の特に先端側に隣接して配置される。ヘッド280は、本実施形態において図3、図4に示すように略円板形状に構成しており、断面形状が長尺部材220の円形状と同一又は類似する形状として構成している。
当接部290はヘッド280における第1係合器具210側に相当し、放出部240から放出される複数のステープルと当接可能に構成している。放出部240から放出されたステープルは当接部290で当接し、変形することによって第1被接合部位と第2被接合部位とを接合する。
シャフト310は、後述する医療用デバイス100の略中央に形成される穴部Ptを挿通可能に構成している。シャフト310は、第1係合器具210の位置決め部230のシャフトと係合可能に構成している。
シャフト310には第1係合器具210の位置決め部230のシャフトを収容する空間を設けている。シャフト310は、位置決め部230のシャフトと位置合わせが可能な機構を設けている。シャフト310における位置決め部230のシャフトとの位置合わせの機構は、本実施形態において図4等に示すようにシャフト310の筒形状から径方向に進退移動(突出)可能な突出部311を備えるように構成している。
<医療用デバイス100>
医療用デバイス100は、吻合対象となる生体器官の間に配置され、扁平に構成するとともに複数の貫通孔11を形成している。医療用デバイス100は、図1等に示すように本体部10と、補強部20と、固定部30と、孔部Prと、分離部40と、を備える。
<本体部>
本体部10は、吻合対象となる生体器官の間に配置され、吻合対象となる生体器官の動きに追従可能なシート状に構成している。
本体部10は、一例として円形状に形成しており、図2に示すように当該円形状の厚さ方向(軸方向X)に挿通するように形成された貫通孔11を複数備える。本体部10の貫通孔11の大きさについて例示すれば、好ましくは0.1~6mm、より好ましくは0.3~4mm、さらに好ましくは0.6~1.5mmである。本体部10は、貫通孔11の寸法DとピッチPとの比が0.25以上40未満となるように構成できる。なお、本体部10の形状として説明した(真)円は例示であり、上記以外にも楕円、四角形などの多角形、星形などを含むように構成してもよい。
本体部10の厚み(図2に示す寸法T)は特に制限されないが、好ましくは0.05~0.3mmであり、より好ましくは0.1~0.2mmである。
本体部10は、生分解性の材料(生体吸収性材料)で構成することができる。本体部10の構成材料について特に制限はなく、例えば、生分解性樹脂が挙げられる。
具体的には、(1)脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体;(2)上記(1)を構成する一以上の単量体から構成される共重合体などが挙げられる。
すなわち、生分解性シートは、脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体、ならびに前記重合体を構成する一以上の単量体から構成される共重合体からなる群より選択される少なくとも一種の生分解性樹脂を含むことが好ましい。
本体部10の製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した生分解性樹脂からなる繊維を作製し、当該繊維を用いてメッシュ形状のシートを製造する方法が挙げられる。生分解性樹脂からなる繊維を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロスピニング法(電界紡糸法・静電紡糸法)や、メルトブロー法等が挙げられる。本体部10は、上記の方法のうち1種のみを選択して用いてもよいし、2種以上を選択し適宜組み合わせてもよい。なお、本体部10の製造方法のさらに別の例として、上述した生分解性樹脂からなる繊維を常法に従って紡糸し、得られた繊維をメッシュ状に編むことによって本発明に係る生分解性シートを製造する方法、該繊維を圧縮することによって該生分解性シートを製造する方法、該繊維を織らずに絡み合わせることによって該生分解性シートを製造する方法を挙げることができる。
本体部10は、本体部10を構成する生分解性樹脂等の構成材料によって生体反応を惹起させる。本体部10は、この作用により、フィブリン等の生体成分の発現を誘導する。このようにして誘導された生体成分は、本体部10の貫通孔11を貫通するようにして集積することで、癒合を促進することができる。したがって、接合対象となる生体器官同士の間に、医療用デバイス100の本体部10を配置することにより、上記のメカニズムによる癒合の促進が生じる。
<補強部>
補強部20は、医療器具200によって医療用デバイス100を第1被接合部位と第2被接合部位との間に留置する際等に医療用デバイス100のヨレ、ズレ、破損等を抑制するために設けられる。補強部20は、本体部10の中空の円形状において外周縁に沿って形成している。
補強部20は、本実施形態において本体部10よりも剛性を高く構成している。補強部20は本体部10の径方向rにおいて分離部40と反対側に設けており、本体部10よりも硬くなるように構成している。
補強部20は、本実施形態において本体部10において貫通孔11を設けない形状として構成している。ただし、本体部10の展開を容易にし、展開状態の維持もできれば、補強部20の具体的な形状は上記に限定されず、位置は外周縁でなくてもよく、縁部の近傍等であってもよい。補強部20は、PGA(ポリグリコール酸)、PLA(ポリ乳酸)、PLGA(ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)、PDS(ポリジオキサノン)、PCL(ポリカプロラクトン)等の熱可塑性樹脂のような生体吸収性材料からなることが好ましい。
補強部20は生体吸収性でない材料を含んでもよい。補強部20は、本体部10の外側において全周にわたって設けてもよいし、全周の中で部分的に分散させるように複数設けてもよい。補強部20は、本体部10に対して接着剤や熱融着で接合したり、糸などで縫い付けたりしてもよい。
<固定部>
固定部30は、医療器具200によって医療用デバイス100を第1被接合部位と第2被接合部位との間に留置する際等に医療用デバイス100のズレを防止または抑制するとともに脱落を防止するために設けられる。固定部30は、本体部10の中空の円形状において内周縁に沿って形成している。
固定部30は、補強部20と同様に本体部10において貫通孔11を設けない形状として構成している。ただし、本体部10の展開を容易にし、展開状態の維持もできれば、固定部30の具体的な形状は上記に限定されない。固定部30は、補強部20と同様の材料によって構成できる。
固定部30は、本体部10の内側において全周にわたって設けてもよいし、全周の中で部分的に設けてもよい。また、固定部30は、内側縁部と同軸に構成しているが、癒合領域に入らなければ中心の位置が本体部10とずれていてもよい。
<孔部>
孔部Prは、本体部10の面方向YZにおいて本体部10の外周縁部から離間し、本実施形態では固定部30によって形成するように構成している。孔部Prは、医療器具200のシャフト310に挿通可能に構成している。孔部Prは、シャフト310装着時に第2係合器具270のシャフト310より大きくなるように構成している。孔部Prは、本実施形態において軸方向Xから見た際に略円形状に構成している。
<分離部>
分離部40は、本体部の中央部において本体部と一体的に構成され、外力の付与によって本体部から分離可能に構成している。分離部40は、本実施形態において図1に示すように第1部材41と、第2部材42と、連結部43と、を備える。
第1部材41は、本体部10の軸方向Xにおいて本体部10の一方の側に配置している。第2部材42は、本体部10の軸方向Xにおいて本体部10を挟んで第1部材41と反対側に配置するように構成している。第1部材41と第2部材42は、打抜き部250による打ち抜きまでに本体部10を第1部材41と第2部材42の間に保持し、一体になるように構成している。本明細書では打ち抜き操作まで本体部10が一体である状態を維持できる限度で第1部材41と第2部材42が本体部10と軸方向Xに間隔がある状態を、第1部材41と第2部材42が本体部10を挟持する、という。
第1部材41と第2部材42は、図1に示すように平面視した際の外形寸法が本体部10の孔部Prよりも大きくなるように形成することができる。これにより、外力が付与されて本体部10が術者の操作によって分離部40と分離されるまで本体部10を分離部40と一体に構成することができる。また、第1部材41と第2部材42は、打抜き部250によって体内に抜去できるように外形の寸法を打抜き部250の内径の寸法以下に構成している。
連結部43は軸方向Xにおいて間隔をあけるように第1部材41と第2部材42を一体的に連結するように構成している。第1部材41、第2部材42および連結部43は、外力を付与した際に本体部10が分離部40から分離しやすいように弾性変形可能な部材を含むことが好ましい。また、第1部材41と第2部材42は、本体部10よりも硬い材料を含むように構成できる。
連結部43は、本体部10を脱落させない程度に第1部材41と第2部材42を一体的に連結する筒形状を備えるように構成している。第1部材41と第2部材42は、外力を付与した際に本体部10を分離しやすいように軸方向Xにおいて本体部10の厚さ以上の間隔を空けるように構成している(図1参照)。第1部材41と第2部材42の間隔は、小さすぎると本体部10の分離部40からの分離が上手く行き難くなり得るが、第1部材41と第2部材42の本体部10側の表面が滑らかであれば、本体部10の厚み以下でも分離部40からの本体部10の分離がより容易になる。一方で、第1部材41と第2部材42の間隔は、大きすぎると、本体部10が保持できず途中で脱落し易くなり得る。したがって、第1部材41と第2部材42の間隔は、本体部10の厚みの0.8倍~3倍程度が好ましい。
連結部43は、本体部10を第2係合器具270のシャフト310に挿通させた際に第1部材41と第2部材42の軸方向Xの高さが突出部311に接触しない程度に第1部材41と第2部材42を連結するように構成している(図1参照)。連結部43は、シャフト310を挿通できるように穴部Ptを備える。穴部Ptは、孔部Prよりも径方向rの寸法を小さく構成している。穴部Ptは、本実施形態において例示的に軸方向Xから見た際に略円形に構成している。
<処置方法>
次に医療用デバイス100を用いた処置方法を説明する。図5は医療用デバイス100を用いた処置方法の各手順を示すフローチャートである。
処置方法は、図5に示すように生体器官の接合対象となる一方の第1被接合部位と他方の第2被接合部位との間に生体組織の癒合を促進するシート状の本体部10を備える医療用デバイス100を配置すること(S11)を含む。処置方法は、一方の第1被接合部位と他方の第2被接合部位との間に医療用デバイス100の本体部10の少なくとも一部を配置した状態で一方の第1被接合部位と他方の第2被接合部位とを接合すること(S12)を含む。
処置方法により接合される生体器官及び生体器官における被接合部位は特に限定されず、任意に選択することができる。ただし、以下の説明では、大腸吻合術を例に挙げて説明する。また、以下に説明する各手技において、公知の手技手順や公知の接合装置については詳細な説明を適宜省略する。
以下、本明細書の説明において「生体器官の間に医療用部材を配置する(以下、上記記載と言う)」とは、生体器官に医療用部材が直接的に又は間接的に接触した状態で配置されることを意味し得る。
また、上記記載は生体器官との間に空間的な隙間が形成された状態で医療用部材が配置されることを意味し得る。また、上記記載はその両方の状態で医療用部材が配置されること(例えば、一方の生体器官に医療用部材が接触し、他方の生体器官には医療用部材が接触していない状態で配置されること)を意味し得る。
また、本明細書の説明において「周辺」とは、厳密な範囲(領域)を規定するものではなく、処置の目的(生体器官同士の接合)を達成し得る限りにおいて、所定の範囲(領域)を意味する。
また、各処置方法において説明する手技手順は、処置の目的を達成し得る限りにおいて、順番を適宜入れ替えることが可能である。また、本明細書の説明において「相対的に接近させる」とは、接近させる対象となる2つ以上のものを、互いに接近させること、一方のみを他方のみに接近させることの両方を意味する。
図6は、処置方法の実施形態(大腸吻合術)の手順を示すフローチャートである。図7~図12は大腸吻合術の説明に供する図である。
本実施形態に係る処置方法において、接合対象となる生体器官は、癌腫瘍の切除に伴い切断された大腸である。具体的には、接合対象となる生体器官は、切断した大腸の口側A1と、切断した大腸の肛門側A2である。以下の説明では、切断した大腸の口側A1の腸壁の一部(一方の被接合部位)と、切断した大腸の肛門側A2の腸壁の一部(他方の被接合部位)を接合する手順を説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る処置方法は、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2の間に医療用デバイス100を配置すること(S101)、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2を相対的に接近させること(S102)を含む。処置方法は、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2との間で医療用デバイス100の本体部10を挟み込むこと(S103)、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2との間に医療用デバイス100の本体部10を挟み込んだ状態で接合すること(S104)を含む。以下、詳述する。
まず、術者は、医療器具200を用意し、臍のあたりの周囲にポートという穴のような部位を形成し、患者のお腹を膨らませる。
次に、術者は、臍のあたりに切開部(図示省略)を形成し、そこからリニアステープラーと呼ばれる医療機器で大腸の癌等の患部を切除し、大腸の切断箇所はステープル部材により自動的に縫合される。この状態で、大腸は口側A1と肛門側A2に分離されている。そして、術者は、切開部から、大腸の口側A1を体外に取り出して、大腸の口側A1に医療器具200の第2係合器具270を挿入する。術者は、第2係合器具270を大腸の口側A1に挿入し、シャフト310が突出した状態で巾着縫合し、縫合部A11を形成する。縫合部A11の外表面は、縫合に伴い凸側に部分的に突出した形状となる(図7参照)。
次に、術者は、図10に示すように本体部10の略中央部である孔部Prおよび分離部40の穴部Ptに第2係合器具270のシャフト310を挿通させる。穴部Ptを設けた分離部40によって本体部10を挟持することによって、本体部10は縫合部A11から動かないように保持・固定され、これにより本体部10の生体器官に対するズレと脱落が防止できる。
次に、術者は、医療用デバイス100を配置した大腸の口側A1の生体組織を切開部から腹腔内に収容する。次に、術者は、鉗子等を用いて第2係合器具270の先端を肛門側A2に接近させる。
次に、術者は、肛門から第1係合器具210を挿入することにより、大腸の肛門側A2に、医療器具200の第1係合器具210を配置する。第1係合器具210を大腸の肛門側A2に配置(挿入)するのに伴って、第1係合器具210の位置決め部230(シャフト)が大腸の肛門側A2付近の縫合部A11を貫通し、大腸の肛門側A2に貫通孔A21が形成される。なお、貫通孔A21を形成するタイミングは、第1係合器具210を配置する前であれば、特に限定されない。
次に、術者は、大腸の口側A1に対して本体部10を保持した状態を維持しつつ、位置決め部230と第2係合器具270のシャフト310とを離間した位置で係合させる(S101)。そして、回転部261を回転させて、図8に示すように第1係合器具210と第2係合器具270を相対的に接近させる(S102)。これにより、大腸の口部周辺と大腸の腸壁とが相対的に接近する。
次に、術者は、第1係合器具210と第2係合器具270との間で、大腸の口側A1の腸壁、医療用デバイス100の本体部10及び分離部40、並びに大腸の肛門側A2の腸壁に形成した貫通孔A21周辺を挟み込む(S103)。
術者は、医療器具200の操作部260のハンドル262を回転軸263の回りに回転させて打抜き部250の環状ブレードを突出させる。そして、術者は第1係合器具210と第2係合器具270との間に挟まれた大腸の口側A1の一部、本体部10の径方向rの内側、及び大腸の肛門側A2の一部を切除し、切除した部位の周囲をステープル(図示省略)により略環状に接合する(S104)。
次に、術者は、図9に示すように、医療器具200を、例えば、大腸の肛門側A2から肛門を介して生体外へ取り出す。このとき、第1係合器具210の打抜き部250の外径dより内方側に構成された領域を医療器具200とともに生体外へ取り出す。これにより、医療用デバイス100において打抜き部250よりも径方向rの内方に位置する部位は体内に残らず、除去される。なお、本体部10や補強部20を生体吸収性材料で構成しない場合、上述したポートから本体部10や補強部20の中でも生体に留置すべきでない部位を取り除く。
ここで、本実施形態では打抜き部250によって本体部10に外力を付与した際に本体部10が分離部40から分離しやすいように構成している。そのため、打抜き部250のブレードが本体部10に接触して図9に示すように本体部10が適切に打ち抜けない場合に、分離部40はシャフト310と一体である状態を維持する一方で、本体部10は打抜き部250に押され(引っ張られ)る(図11参照)。
その結果、図12に示すように分離部40の第1部材41と第2部材42の間から本体部10を分離させることができる。これにより、打抜き部250による打ち抜きの際に本体部10の打ち抜きがうまくできなかったとしても、医療器具200が生体器官から抜去できなくなることを防止できる。また、医療用デバイス100には孔部Prを設けているため、本体部10にほつれが生じても孔部Prを通じて第2係合器具270等を吻合部位から抜去できる。
医療用デバイス100の本体部10が接合対象となる生体器官の間に挟み込まれて留置されることによって、本体部10の打抜き部250よりも径方向rの外方に位置する部位の貫通孔11または本体部10を通じて接合対象となる生体器官の癒合を促進できる。
このような処置方法によれば、シート状の本体部10を第1被接合部位と第2被接合部位との間に挟み込ませるという簡便な方法により、接合手技(例えば、消化管の吻合術)後の縫合不全等のリスクを低減させることができる。
以上説明したように本実施形態に係る医療用デバイス100は、本体部10と、分離部40と、を備える。本体部10は、生体器官の吻合部に配置可能であって少なくとも一部が生体吸収性材料を含み、シート状に形成している。分離部40は、本体部10の中央において本体部10と一体的に構成され、外力の付与によって本体部10から分離可能に構成している。
医療器具200の打抜き部250によって本体部10を打ち抜く際には、稀に本体部10にほつれ等が生じて本体部10が破損したり、打ち抜きに伴う医療器具200の抜去が円滑に行えなかったりする場合がある。これに対して、医療用デバイス100に分離部40を設けることによって、仮に打ち抜き操作がうまくできなかったとしても、体内に留置されるはずの本体部10に過度にストレスがかかることを防止または低減できる。また、打ち抜きの際に本体部10の打ち抜きがうまくできないことによって医療器具200が体内から抜去できなくなることを防止できる。また、打抜き部250によって本体部10を打ち抜くまでは分離部40によって本体部10の第2係合器具270に対するズレや脱落を防止できる。
また、分離部40は、本体部10の軸方向Xにおいて本体部10の一方の側に配置される第1部材41と、本体部10を挟んで第1部材41と反対側に配置される第2部材42と、連結部43と、を備える。連結部43は、軸方向Xにおいて本体部10の厚さより第1部材41と第2部材42の間隔をあけるように第1部材41と第2部材42を連結する。このように構成することによって、打抜き部250による本体部10の打ち抜き操作がうまくできなかった際に本体部10を分離部40から分離し易くして医療器具200を体外に円滑に抜去できる。
また、第1部材41および第2部材42は、外周部の大きさを孔部Prの大きさ以上に構成している。このように構成することによって、外力を付与して本体部10を分離部40から分離させるまでは本体部10を分離部40と一体に維持できる。
また、本体部10には複数の貫通孔11が形成される。本体部10は、生体器官の吻合部に適用されることによって、生体器官の生体成分が本体部10の貫通孔11を貫通して集積することによって吻合部の癒合を促進する。このように構成することによって、吻合部の接合を促進することができる。
また、固定部30に相当する本体部10の内周縁部はシャフト310装着時に第2係合器具270のシャフト310よりも大きくなるように構成している。このように構成することによって、医療用デバイス100を第2係合器具270のシャフト310に速やかに挿通させて吻合の手技を実施できる。
医療器具200は、シャフト同士の組付けによって接続が可能な第1係合器具210と第2係合器具270と、を備える。第2係合器具270は、第1係合器具210との接続の際に径方向に突出可能な突出部311を備える。分離部40は、孔部Prをシャフト310に挿通させた際に突出部311と接触しない程度の高さに構成している。このように構成することによって、第2係合器具270と第1係合器具210の接続を可能にする。
また、分離部40は、本体部10よりも硬度を高く構成している。そのため、分離部の硬度が本体部10より劣ることによって、使用者の意図に反して本体部10が分離部40から分離することを防止または抑制できる。
(第1実施形態の変形例1)
図13は第1実施形態の変形例1に係る医療用デバイス100aを示す図である。第1実施形態では孔部Prと分離部40の穴部Ptの形状が略円形であると説明した。ただし、外力を付与した際に本体部10が分離部から分離できれば、孔部や穴部の具体的な形状は円形に限定されない。上記以外にも固定部30aにより形成される孔部Praおよび分離部40aの穴部Ptaは図13に示すように矩形等の多角形で構成してもよい。また、孔部Prの断面は、上記以外にも楕円、三角、四角、凹形状、凸形状などに構成してもよい。なお、医療用デバイス100aにおける固定部30a、孔部Praおよび分離部40aの穴部Ptaの形状以外は第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
(第1実施形態の変形例2)
図14は第1実施形態の変形例2に係る医療用デバイス100bを示す平面図である。第1実施形態において孔部Prを形成する内周縁部に相当する固定部30は平面視した際に略円形に形成していると説明した。ただし、外力を付与した際に本体部10を分離部40から分離できれば、孔部Prの具体的な形状は円形に限定されない。
本体部10の固定部30bは図14に示すように内周部に切れ目を設けるように構成してもよい。切れ目は、本体部10が周方向θにおいて分離部40から同じタイミングで分離できるように、周方向θに規則的に設けることが好ましい。なお、図14では固定部30bの形状を示すために分離部40の図示を省略している。
このように構成することによって、本体部10を分離部40からより分離しやすくできる。なお、本変形例において本体部10の内周部である固定部30bおよび孔部Prbの形状以外は第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
(第2実施形態)
図15は第2実施形態に係る医療用デバイス100cを示す図であり、図16は第2実施形態に係る医療用デバイス100cの分解図である。第1実施形態では分離部40が第1部材41と第2部材42と連結部43を備えると説明した。ただし、分離部は以下のように構成することができる。なお、本体部10、補強部20、固定部30および孔部Prは第1実施形態と同様であるため、共通する説明を省略する。
分離部40cは、図16に示すように第3部材41cと、第4部材42cと、第5部材43cと、を備える。第3部材41c、第4部材42c、および第5部材43cの序数は第1実施形態から連番で付与しているが、冒頭で述べたように番号は上記に限定されない。
第3部材41c、第4部材42c、および第5部材43cは、図16に示すようにシャフト310を挿通可能な穴部Ptを形成したベースbd1、bd2、bd3を備えるように構成している。ベースbd1、bd2、bd3は、例示的に環状に形成している。ベースbd1、bd2、bd3は、打ち抜き操作によって分離部40cを体外に抜去できるように、平面視した際の外形を打抜き部250の打ち抜き寸法以下に構成している。
第3部材41cのベースbd1には、本体部10をひっかけるように取り付けて少なくとも一時的に保持する取り付け部44cと穴部45cを設けるように構成している。取り付け部44cは、本実施形態においてベースbd1の周方向θにおいて一定間隔で配置しており、本実施形態では3つ周方向θにおいて等しい角度間隔で配置している。ただし、打抜き部250によって分離されるまで本体部10を保持できれば、取り付け部の数は2つ以上あればよく、角度間隔も等間隔でなくてもよい。穴部45cは、ベースbd1において第4部材42cの突起部47cを挿通可能な大きさに構成している。
第4部材42cのベースbd2には、連結部材46cと突起部47cとを設けている。連結部材46cは、軸方向Xの間隔を所定の範囲で調整できる程度に第3部材41cと第4部材42cを連結している。第4部材42cは、上記のように構成することによって本体部10の軸方向Xにおいて第3部材41cと接近離間可能に構成している。連結部材46cは、本実施形態においてばねをベースbd1とベースbd2に接合するように構成している。ただし、所定の範囲で第3部材と第4部材を連結できれば、ばね以外の伸縮性のある部材をベースbd1とベースbd2に接合してもよい。
突起部47cは、第3部材41cの取り付け部44cから本体部10を分離させるきっかけを作るように本体部10に外力を付与可能に構成している。突起部47cはベースbd1の穴部45cを挿通可能であることで本体部10に外力を付与可能に構成している。突起部47cは、本実施形態において図16に示すようにベースbd2に3つ設けている。ただし、軸方向Xへの圧縮によって本体部10の取り付け部44cに対する取り付け力を減少できれば、突起部47cの数は3つに限定されず、2つ以上あればよい。
第5部材43cは、本体部10の軸方向Xにおいて第3部材41cに対して第4部材42cと反対側に配置している。第5部材43cのベースbd3には、取り付け部44cおよび突起部47cよりも径方向rの内方に位置し、軸方向Xに延びる形状として抑制部48cを設けている。第5部材43cは、抑制部48cによって抑制部48cよりも径方向rの外方であってベースbd3と本体部10の間に隙間Scを形成するように構成している(図15参照)。隙間Scを設けることにより、第4部材42cの突起部47cによって本体部10を取り付け部44cから分離させる際に本体部10が大腸の肛門側A2によって軸方向Xに圧迫されて本体部10が分離部40から分離されなくなることを防止または抑制し得る。
抑制部48cは取り付け部44cに保持されている本体部10に突起部47cによって外力を付与する際に第3部材41cの移動を抑制する。抑制部48cはベースbd3から第3部材41cに向かって突出するように設けられ、第3部材41cのベースbd1と一体に連結している。抑制部48cは、本実施形態において医療器具200の第2係合器具270のシャフト310を挿通できるように穴部Ptを形成した円筒形状を備えるように構成している。抑制部48cは、生体器官の間に挟むように配置した際に本体部10が軸方向Xに圧縮されることを防止または抑制する。また、抑制部48cは、第1実施形態の連結部43と同様に、径方向rにおいて本体部10の孔部Prと隙間を設けるように構成できる。
図17から図20は第2実施形態の医療用デバイス100cを用いた処置方法の説明に供する図である。本実施形態における医療用デバイス100cを用いた処置方法は分離部40cによる本体部10の分離部40cからの分離原理が第1実施形態と異なる。
術者は、図17、図18に示すように第1実施形態と同様に体外で大腸の口側A1に医療器具200の第2係合器具270のシャフト310を挿通させ、医療用デバイス100をシャフト310に取り付けた上で大腸の口側A1を体内に挿入する。そして、術者は、第1実施形態と同様に第1係合器具210の位置決め部230と第2係合器具270のシャフト310を係合させ、両者を接近させて、打抜き部250によって本体部10を打ち抜く。
ここで、仮に本体部10が打ち抜けなかったとしても、分離部40cの第4部材42cの突起部47cが穴部45cを通過して取り付け部44cにおける本体部10を押圧して分離部40cにおける本体部10の取り付け力を減少させる。これにより、打抜き部250によって本体部10に引っ張り力を作用させて、図19、図20に示すように本体部10を分離部40cから分離させて体内に留置させる一方で、打ち抜き操作の際に分離部40cと医療器具200を体外に抜去できる。その他は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように本実施形態において医療用デバイス100cの分離部40cは、第3部材41cと、第4部材42cと、を備える。第3部材41cは、取り付け部44cによって少なくとも一時的に本体部10を保持するとともに穴部45cを設けている。第4部材42cは穴部45cを挿通可能であって本体部10に外力を付与する突起部47cを備える。第4部材42cは、本体部10の軸方向Xにおいて第3部材41cに対して接近離間可能に構成している。
このように構成することによって、突起部47cによって本体部10を押圧するまでは第3部材41cの取り付け部44cによって本体部10を一体的に保持できる。また、打抜き部250による打ち抜きが適切にできない場合には、突起部47cによって本体部10を分離部40cの第3部材41cから分離させて、本体部10を吻合部に留置しつつ、医療器具200と分離部40cを体外に抜去できる。なお、本体部10の内側は円形でなくても良く、径方向に切れ目を入れて本体部10を分離部40から分離しやすくしても良いし、本体部10の内側において、取り付け部44cの部分のみに本体部10が存在するような形状であっても良い。
また、分離部40cは第5部材43cを備える。第5部材43cは、突起部47cが第3部材41cに保持されている本体部10に外力を付与する際に第3部材41cの移動を抑制する抑制部48cを含み、本体部10の軸方向Xにおいて第3部材41cに対して第4部材42cと反対側に配置される。このように構成することによって、生体器官内において第1係合器具210と第2係合器具270によって本体部10を挟持した際に本体部10の圧縮を防止または抑制して、本体部10を分離部40cから分離させ易くできる。
(第3実施形態)
図21から図24は第3実施形態に係る医療用デバイス100eの説明に供する図である。第1実施形態では分離部40の第1部材41と第2部材42の間隔を打抜き部250による打ち抜きまでに本体部10を脱落しない程度に設定すると説明した。第2実施形態では第4部材42cの突起部47cが穴部45cを通じて本体部10を押圧することによって本体部10が分離部40cから分離すると説明した。ただし、分離部は以下のように構成することができる。なお、本体部10と補強部20は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
固定部30eは、第1実施形態の変形例2と同様に本体部10の内周縁部の形状として、略円形状の周方向θに切れ目を設けるように構成している。図21において固定部30eは、周方向θに4つ切れ目を設けているが、あくまで例示であって、本体部10を分離部40から分離しやすくできれば、固定部30eの切れ目の具体的な態様は図21に限定されない。孔部Preは、あくまで一例として切れ目を設けた固定部30eによって形成している。すなわち、固定部30eは、略円形のように切れ目を設けないように形成してもよく、孔部についても切れ目を設けていない固定部によって形成してもよい。
分離部40eは、図22に示すようにフランジ部41e(第1部分に相当)を形成した胴体部Cyeと、挟持部材42eと、伸縮部材43e(弾性部材に相当)と、移動部材44e(移動部に相当)と、連結部材45e(牽引部に相当)と、を備える。分離部40eは、打抜き部250によって体外に抜去できるように、軸方向Xから平面視した際に打抜き部250の内径の寸法(打ち抜き部分の大きさ)以下に構成している。
胴体部Cyeは、図24に示すように移動部材44eの少なくとも一部が進退移動可能な内部空間Spを形成し、中空の筒形状47eを備えるように構成している。筒形状47eは、第1実施形態の連結部43と同様に、打抜き部250による打ち抜きができなかった際に本体部10が分離しやすいように、径方向rにおいて固定部30と隙間を設けるように形成できる。フランジ部41eは、軸方向Xにおける胴体部Cyeの筒形状47eの一端部に設け、筒形状47eの他端部にはフランジ部46eを設けている。フランジ部41eは、本体部10を挟持する一方の部位として構成している。
挟持部材42eは、伸縮部材43eと一体的に連結されて、本体部10を挟持する他方の側(第2部分)を構成する。挟持部材42eは、本体部10の軸方向Xにおいて弾性変形可能な伸縮部材43eによってフランジ部41eに対する軸方向Xの位置を変化可能に構成している。挟持部材42eは、図21、図22に示すようにフランジ部41eに最も接近した状態においてフランジ部41eとともに本体部10を挟持可能に構成している。
また、挟持部材42eは、図23に示すように軸方向Xにおいてフランジ部41eから離間することによって、本体部10の挟持を解除できる。挟持部材42eは、本実施形態において中空の板状部材を含むように構成しているが、フランジ部41eとともに本体部10を挟持できれば、具体的な形状は中空の板状部材に限定されない。
伸縮部材43eは、挟持部材42eをフランジ部41eに向けて付勢するように伸縮可能に構成している。伸縮部材43eは、フランジ部41eとフランジ部46eの間で軸方向Xに弾性力などによって伸縮可能に配置している。これにより、連結部材45eが挟持部材42eをフランジ部41eから離間させなければ、挟持部材42eはフランジ部41eとともに本体部10を挟持できる。伸縮部材43eは、本実施形態においてらせん状のつるまきばね等を含むように構成している。ただし、挟持部材42eをフランジ部41eに向けて付勢できれば、付勢部材の具体的な構成はつるまきばねに限定されない。
移動部材44eは、本体部10の軸方向Xにおいてフランジ部41eに接近離間可能に構成している。移動部材44eは、フランジ部41eを設けている胴体部Cyeに対して軸方向Xに移動可能に構成している。移動部材44eは、図24に示すように挿通部48eと当接部49eを備える。
挿通部48eは、胴体部Cyeの内部空間Spの少なくとも一部に挿入可能に構成している。挿通部48eには内部にシャフト310を挿通可能な穴部Ptを設けている。当接部49eは、挿通部48eに連なって形成され、胴体部Cyeに当接可能な部位であって移動部材44eの移動方向における終端位置を規定するように構成している。挿通部48eは、本実施形態において中空の筒状に構成し、当接部49eは、挿通部48eの軸方向Xにおける端部から径方向rの外方に突出する部位として構成している。
連結部材45eは、挟持部材42eと移動部材44eとを接続する。連結部材45eは、移動部材44eの位置に応じてフランジ部41eと挟持部材42eによる本体部10の挟持の有無を切り替えるようにフランジ部41eに対して挟持部材42eの位置を牽引により変位可能に構成している。連結部材45eは、挟持部材42eと胴体部Cyeと移動部材44eとを一体的に連結するように構成している。
これにより、連結部材45eは、図21、図22に示すように移動部材44eがフランジ部41eから離間している離間状態においてフランジ部41eと挟持部材42eに本体部10を挟持させる。また、連結部材45eは、図23に示すように移動部材44eがフランジ部41eに接近している接近状態においてフランジ部41eおよび挟持部材42eによる本体部10の挟持を解除させるように挟持部材42eの位置を調整する。
連結部材45eは、本実施形態において糸等の長尺状の線状部材を含むように構成できる。連結部材45eは、挟持部材42eを周方向θにおいて均等な力で牽引できれば、具体的な態様は特に限定されない。連結部材45eについて例示すれば、糸状部材を周方向θに3か所程度、均等な角度間隔にて配置できる。また、連結部材45eは、移動部材44eを軸方向Xに円滑に移動できるように、図21等に示すように、径方向rにおいて伸縮部材43eよりも外側に配置できる。
本実施形態に係る医療用デバイス100eを用いた処置方法は体外において縫合部A11を形成するところまでは第1実施形態と同様である。次に、術者は穴部Ptに第2係合器具270のシャフト310を挿通させるように医療用デバイス100eを第2係合器具270に取り付ける。そして、術者は第2係合器具270とともに医療用デバイス100eを体内に挿入する。
以降の操作は第1実施形態と同様であるが、第1係合器具210と第2係合器具270を接近させるまでは伸縮部材43eによってフランジ部41eと挟持部材42eは本体部10を挟持する。そして、術者の操作により、第1係合器具210と第2係合器具270が接近すると、移動部材44eの当接部49eは図23に示すように胴体部Cyeと当接する。
これにより、連結部材45eが挟持部材42eを牽引して伸縮部材43eを圧縮させ、フランジ部41eと挟持部材42eによる本体部10との接触面積が減少し、フランジ部41eと挟持部材42eによる本体部10の挟持力が減少する。この状態で打ち抜き操作が行われると、本体部10は上述のように打ち抜かれるか、または打ち抜かれなかったとしてもフランジ部41eと挟持部材42eによる挟持は解除されているか、挟持力が減少している。そのため、本体部10を吻合部に留置させた状態で分離部40と医療器具200を体外に抜去できる。以降の操作は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態においてフランジ部41eは挟持部における一方の部位を構成する。挟持部材42eは、挟持部においてフランジ部41eとともに本体部10を挟持し、伸縮部材43eによってフランジ部41eに対する位置を変化可能に構成している。移動部材44eは、本体部10の軸方向Xにおいてフランジ部41eに接近離間可能に構成している。連結部材45eは、伸縮部材43eの端部と移動部材44eとを接続し、移動部材44eの位置に応じてフランジ部41eおよび挟持部材42eによる本体部10の挟持の有無を切り替えるように伸縮部材43eの端部を牽引によって変位可能に構成している。
これにより、打ち抜き操作を行うまでは本体部10を挟持し、打ち抜き操作の際に本体部10を打抜き部250によって打ち抜けなかったとしても、本体部10を吻合部に留置しつつ分離部40eと医療器具200を体外に抜去できる。
また、分離部40eは、挿通部48eの少なくとも一部が進退移動可能な内部空間Spを形成した胴体部Cyeと、伸縮部材43eと一体的に連結されて端部に設けられる板状の挟持部材42eを備えるように構成している。これにより、打ち抜き操作を行うまでは本体部10を挟持し、打ち抜き操作の際に本体部10を打抜き部250によって打ち抜けなかったとしても、本体部10を吻合部に留置しつつ分離部40eと医療器具200を体外に抜去できる。
(第3実施形態の変形例1)
図25、図26は第3実施形態の変形例1に係る医療用デバイス100fの分離部40fを示す図である。第3実施形態の胴体部Cyeの変形例である胴体部Cyfは図25、図26に示すように筒形状47fおよびフランジ部41fにおいて周方向θにスリットStを設けるように構成してもよい。筒形状47fおよびフランジ部41fにスリットStを設けると、これらの部品を他の部品と組み立てやすくなる。なお、胴体部Cyf以外の医療用デバイス100fの構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(第3実施形態の変形例2)
図27、図28は第3実施形態の変形例2に係る医療用デバイス100gの分離部40gを示す図である。第3実施形態では本体部10の挟持を胴体部Cyeのフランジ部41eと挟持部材42eによって行うと説明した。ただし、伸縮部材43e、移動部材44e、連結部材45eによって本体部の挟持と挟持の解除が行えれば、医療用部材には図27、図28に示すように挟持部材42eを設けなくてもよい。
この場合、本体部10は、挟持部材42eの代わりに伸縮部材43eの端部とフランジ部41eによって挟持されたり、連結部材45eの牽引によってフランジ部41eと伸縮部材43eの端部による挟持を解除したりできる。なお、本変形例において挟持部材42eを使用していない事項以外の構成は第3実施形態の変形例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
(第4実施形態)
図29は第4実施形態に係る医療用デバイス100hの分離部40hによって本体部10を挟持した状態を示す図、図30は分離部40hによる本体部10の挟持を解除した状態を示す図である。第3実施形態では伸縮部材43eによって挟持部材の一方を他方に向けて付勢してフランジ部41eと挟持部材42eによって本体部10を挟持すると説明したが、以下のように構成することもできる。なお、本体部10、補強部20および孔部Prは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
分離部40hは、図29に示すように押さえ部材41hと板状部材42hと、を備える。押さえ部材41hは、弾性変形可能な材料を含み、反転可能な湾曲部分43hと当接部44hを備えるように構成している。湾曲部分43hは弾性変形可能に構成している。湾曲部分43hは、本体部10の軸方向Xにおいて本体部10に隣接して配置した際に本体部10の側に向かうことを可能に構成している。
当接部44hは、本実施形態において湾曲部分43hの外周部に設けている。当接部44hは、本体部10に向かうように形状づけされることで本体部10と隣接して配置した際に本体部10と当接可能に構成している。また、湾曲部分43hは、外周部が本体部10と接触しないように本体部10と反対側に反転可能に変形し得る。
湾曲部分43hは本体部10の側に向いた状態で当接部44hが板状部材42hとともに本体部10に接触した状態で当接部44hは板状部材42hとともに本体部10を挟持する。一方で、押さえ部材41hの当接部44hが板状部材42hとともに本体部10を挟持した状態から湾曲部分43hは本体部10と反対側を向くように変形する。これによって、押さえ部材41hと板状部材42hによる本体部10の挟持を解除できる。
板状部材42hは、押さえ部材41hの当接部44hとともに本体部10を挟持可能に構成している。板状部材42hは、本実施形態において平坦な板状の部材を含むように構成している。ただし、押さえ部材41hとともに本体部10を一時的に挟持できれば、板状部材42hの形状は平坦な板状に限定されず、上記以外にも押さえ部材41hと同様に湾曲部分を備えるように構成してもよい。押さえ部材41hと板状部材42hには、シャフト310を挿通可能な穴部Ptを設けている。押さえ部材41hと板状部材42hは、打抜き部250によって生体器官から抜去できるように、外形の大きさを打抜き部250の打ち抜き径(打ち抜き部分の大きさ)以下となるように構成している。
固定部30は、打抜き部250によって本体部10が打ち抜けなかった場合に、第1実施形態と同様に分離部40hにおける変形可能な押さえ部材41hが孔部Prを通過して分離部40hを体外に抜去できる程度の寸法に構成している。
医療用デバイス100hを用いた処置方法は体外で縫合部A11を形成するところまでは第1実施形態と同様である。次に、術者は第2係合器具270のシャフト310に板状部材42hの穴部Ptを挿通させ、その次に本体部10の孔部Prをシャフト310に挿通させる。術者は、その次に湾曲部分43hを本体部10に向けた状態で押さえ部材41hの穴部Ptをシャフト310に挿通させ、板状部材42hの少なくとも一部が本体部10と当接した状態で当接部44hを本体部10に当接させる。
これにより、当接部44hの外周部は板状部材42hとともに本体部10を挟持して本体部10と一体的に構成される。この後の術者による操作は第1実施形態と同様である。
そして、第1係合器具210と第2係合器具270によって生体器官の一部を挟み、第1係合器具210と第2係合器具270を接近させると、押さえ部材41hの湾曲部分43hは図31に示すように本体部10と反対側を向くように反転して変形する。これによって、当接部44hが本体部10と当接しなくなり、押さえ部材41hと板状部材42hによる本体部10の挟持が解除される。その結果、打抜き部250によって本体部10を打ち抜けなかったとしても、本体部10を吻合部に留置しつつ、分離部40hと医療器具200を体外に抜去できる。
以上説明したように、本実施形態における分離部40hは押さえ部材41hと、板状部材42hを備える。押さえ部材41hは、弾性変形可能であって本体部10の軸方向Xにおいて本体部10に隣接して配置した際に本体部10の側に向くことで外周部が本体部10と当接可能な一方で本体部10と反対側に反転可能な湾曲部分43hを備える。板状部材42hは、押さえ部材41hとともに本体部10を挟持可能に構成している。
湾曲部分43hが本体部10の側を向いて本体部10が押さえ部材41hの外周部および板状部材42hと接触した状態において、押さえ部材41hの外周部である当接部44hは板状部材42hとともに本体部10を挟持する。これにより、分離部40hは本体部10と一体的に構成される。本体部10が押さえ部材41hと板状部材42hによって挟持された状態から湾曲部分43hが本体部10と反対側を向くことによって、押さえ部材41hと板状部材42hによる本体部10の挟持が解除される。
これにより、押さえ部材41hと板状部材42hによって本体部10を挟持している間は押さえ部材41hと板状部材42hを本体部10と一体的に構成できる。そして、押さえ部材41hと板状部材42hによる本体部10の挟持を解除した際には、分離部40hを本体部10から分離させて、本体部10を吻合部に留置しつつ、分離部40hと医療器具200を体外に抜去できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。第1実施形態において分離部40の連結部43は筒状に形成していると説明した。ただし、医療器具200によって本体部10を打ち抜くまで分離部40が本体部10と一体的に構成できれば、連結部43においても図25と同様のスリットStを設けてもよい。
また、第2実施形態において分離部40cを構成する第3部材41cと第5部材43cは別部品として説明した。ただし、打ち抜きを行うまで本体部10を取り付け部44cに保持し、突起部47cの動作によって本体部10を分離部40cから分離できれば、第3部材41cと第5部材43cは一部品として一体的に構成してもよい。