以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得る。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されない。
また、本明細書等において、一重項励起状態(S*)は、励起エネルギーを有する一重項状態のことである。また、S1準位は最も低い一重項励起状態(S1状態)の励起エネルギー準位のことである。また、三重項励起状態(T*)は、励起エネルギーを有する三重項状態のことである。また、T1準位は、最も低い三重項励起状態(T1状態)の励起エネルギー準位のことである。なお、本明細書等において、単に一重項励起状態および一重項励起エネルギー準位と表記した場合であっても、S1状態およびS1準位を表す場合がある。また、単に三重項励起状態および三重項励起エネルギー準位と表記した場合であっても、T1状態およびT1準位を表す場合がある。
また、本明細書等において蛍光性材料とは、一重項励起状態から基底状態へ緩和する際に可視光領域に発光を与える化合物である。りん光性材料とは、三重項励起状態から基底状態へ緩和する際に、室温において可視光領域に発光を与える化合物である。換言するとりん光性材料とは、三重項励起エネルギーを可視光へ変換可能な化合物の一つである。なお、本明細書等において、室温とは0℃以上40℃以下の範囲の温度をいう。
また、本明細書等において、青色の波長領域は、400nm以上490nm未満であり、青色の発光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する。また、緑色の波長領域は、490nm以上580nm未満であり、緑色の発光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する。また、赤色の波長領域は、580nm以上680nm以下であり、赤色の発光は、該波長領域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、発光層に三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料と一重項励起エネルギーを発光に変換することができる(蛍光性材料である)ゲスト材料とを有する発光デバイスにおいて、ホスト材料の三重項励起エネルギーを効率的に発光に変換することができるゲスト材料として用いることが可能な有機化合物について説明する。
三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料から、一重項励起エネルギーを発光に変換することができるゲスト材料へ励起エネルギーを移動させたい場合、ホスト材料の三重項励起エネルギー準位からゲスト材料の三重項励起エネルギー準位への三重項励起エネルギーの移動が生じてしまうと、ゲスト材料の三重項励起エネルギーは無放射失活が支配的となってしまうので、発光に寄与しないエネルギーが発生してしまう。この望ましくないエネルギー移動は、デクスター機構に基づくエネルギー移動であることから、これを抑制するためにゲスト材料のドープ濃度を薄くする対策が取られる場合がある。しかしこの場合、デクスター機構に基づくエネルギー移動だけでなく、フェルスター機構に基づくエネルギー移動も同時に抑制されてしまい、効率や寿命に悪影響を及ぼしてしまうことがあった。
一般に、ホスト材料とゲスト材料の距離が1nm以下ではデクスター機構が優勢となり、1nm以上10nm以下ではフェルスター機構が優勢となることがわかっている。なお、この場合の距離とは、本質的には、ホスト材料とゲスト材料の発光を担う骨格(発光団)との距離を意味している。
上述のゲスト材料のドープ濃度を薄くする対策では、デクスター機構、フェルスター機構どちらのエネルギー移動も抑制されてしまう。
すなわち、発光層に三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料と一重項励起エネルギーを発光に変換することができる(蛍光性材料である)ゲスト材料を有する発光デバイスにおいては、ホスト材料とゲスト材料の発光団との距離を適切に保つことによって、ホスト材料の三重項励起エネルギー準位からゲスト材料の三重項励起エネルギー準位へのデクスター機構に基づくエネルギー移動と、その後の無放射失活によるエネルギー失活経路を遮断し、フェルスター機構に基づくエネルギー移動を主とした、発光効率および寿命の良好な発光デバイスを得ることができる。このとき、ホスト材料とゲスト材料の発光団との距離は、1nm以上10nm以下が好ましい。そのため、ゲスト材料は、発光団とホスト材料との距離を適切に保つ機能を有する嵩高い置換基を有すると好ましい。
そこで、本発明の一態様では、このような発光デバイスを可能とする保護基を有する有機化合物を提供する。なお、保護基とは、ホスト材料と発光団との距離を適切に保つ機能を有する置換基を意味している。
すなわち、本発明の一態様の有機化合物は、下記一般式(G1-1)で表される有機化合物である。
ただし、上記一般式(G1-1)において、R1乃至R10はそれぞれ独立に、水素、炭素数3以上10以下のアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基のいずれか一を表し、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に置換基を有する炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基を表す。なお、Ar1およびAr2は、置換基として炭素数3乃至12のシクロアルキル基、又は架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基を少なくとも1以上各々有するものとする。
上記一般式(G1-1)で表される有機化合物は、キナクリドン骨格が発光団であり、Ar1およびAr2に結合した置換基が保護基として機能する。当該保護基が、炭素数3乃至12のシクロアルキル基、又は架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基であることによって、上記一般式(G1-1)で表される有機化合物はホスト材料との距離を適切に保つことができ、デクスター機構に基づくエネルギー移動を有効に抑制することができる。このことから、上記一般式(G1-1)で表される有機化合物は、発光層に三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料と一重項励起エネルギーを発光に変換することができるゲスト材料とを有する発光デバイスのゲスト材料として用いることで、デクスター機構に基づくエネルギー移動を抑制しつつ、フェルスター機構に基づくエネルギー移動により、効率的にホスト材料からエネルギーを受け取ることができる。
また、上記一般式(G1-1)で表される有機化合物は、発光団としてキナクリドン骨格を有しており蛍光量子収率も大きいことから、非常に良好な発光効率を示す発光デバイスの実現を可能とする。
なお、上記一般式(G1-1)で表される有機化合物は、Ar1およびAr2がフェニル基であることが、合成が簡便であり、昇華性が高いため好ましい。
また、本発明の一態様は、下記一般式(G1-2)で表される有機化合物である。
ただし、上記一般式(G1-2)において、R1乃至R10はそれぞれ独立に、水素、炭素数3以上10以下のアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基のいずれか一を表し、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に3つ以上の置換基を有する炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基を表す。なお、Ar1およびAr2が有する置換基は、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数3乃至12のシクロアルキル基および架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基から選ばれた複数であるものとする。
上記一般式(G1-2)で表される有機化合物はキナクリドン骨格が発光団であり、Ar1およびAr2が有する置換基が保護基として機能する。Ar1およびAr2に、当該保護基が各々3つ以上、好ましくは3つ以上5つ以下結合していることによって、上記一般式(G1-2)で表される有機化合物は、ホスト材料との距離を適切に保つことができ、デクスター機構に基づくエネルギー移動を有効に抑制することができる。このことから、上記一般式(G1-2)で表される有機化合物は、発光層に三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料と一重項励起エネルギーを発光に変換することができるゲスト材料とを有する発光デバイスのゲスト材料として用いることで、フェルスター機構に基づくエネルギー移動によりホスト材料からエネルギーを効率的に受け取ることができる。
なお、上記一般式(G1-2)で表される有機化合物は、Ar1およびAr2がフェニル基であることが、合成が簡便であり、昇華性が高いため好ましい。
また、前記Ar1およびAr2が各々有する置換基は、Ar1およびAr2のオルト位およびパラ位の両方に結合していることで、昇華性が良好となり好ましい。また、Ar1およびAr2が有する置換基の数は、各々3つであることが、合成が簡便であり、より昇華性が高く、デクスター機構によるエネルギー移動を有効に抑制できるため好ましい。
またAr1およびAr2が各々有する置換基が、シクロアルキル基、好ましくはシクロヘキシル基であると、デクスター機構によるエネルギー移動をより有効に抑制できるため好ましい。
上述のように、本発明の一態様の有機化合物は、Ar1およびAr2がフェニル基であり、当該フェニル基に結合する保護基は、オルト位およびパラ位の両方に結合していることが好ましい。すなわち、本発明の一態様の有機化合物は、下記一般式(G2)で表される有機化合物であることが好ましい。
ただし、上記一般式(G2)において、R1乃至R10およびR21乃至R24はそれぞれ独立に、水素、炭素数3以上10以下のアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基のいずれか一を表し、X1乃至X6は、それぞれ独立に炭素数1乃至10のアルキル基および炭素数3乃至12のシクロアルキル基および架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基のいずれか一を表す。
上記一般式(G2)で表される有機化合物はキナクリドン骨格が発光団であり、X1乃至X6は、保護基として機能する。これにより上記一般式(G2)で表される有機化合物は、ホスト材料との距離を適切に保つことができ、デクスター機構に基づくエネルギー移動を有効に抑制することができる。このことから、上記一般式(G2)で表される有機化合物は、発光層に三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料と一重項励起エネルギーを発光に変換することができるゲスト材料とを有する発光デバイスのゲスト材料として用いることで、フェルスター機構に基づくエネルギー移動によりホスト材料からエネルギーを効率的に受け取ることができる。
なお、上記一般式(G2)において、R21乃至R24が水素であることが、合成が簡便であるため好ましい。また、X1乃至X6は炭素数3乃至12のシクロアルキル基のいずれかであることが、合成が簡便であるため好ましく、より好ましくはシクロヘキシル基である。
また、上記一般式(G1-1)、(G1-2)および(G2)において、R1乃至R10が水素であることが、合成が簡便であるため好ましい。
このような構成を有する本発明の有機化合物は、当該有機化合物が有する発光団と、ホスト材料との距離を適切に保つことができることから、望ましくないエネルギー移動を有効に抑制することができ、本発明の有機化合物を用いることで発光効率が良好な発光素子を提供することができる。また、寿命の良好な発光素子を提供できる。
なお、また、上記一般式(G1-1)、(G1-2)および(G2)で表される有機化合物は、蛍光量子収率も大きいことから、非常に良好な発光効率を示す発光デバイスの実現を可能とする。
なお、本実施の形態において、炭素数3以上10以下のアルキル基としては、具体的には、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基を挙げることができ、また、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノナニル基、シクロデシル基を挙げることができる。
また、同様に、本実施の形態において、炭素数1乃至10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基を、炭素数3乃至12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノナニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基を、また、架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルボルナニル基、テトラヒドロジシクロペンタジエニル基を挙げることができる。
このような有機化合物の具体的な例としては、例えば、以下に示す構造式(100)から(140)で表されるような有機化合物を挙げることができる。
続いて、以上のような有機化合物の合成法の一例について、一般式(G1-1)及び(G2)で表される有機化合物を例に説明する。
<一般式(G1-1)で表される有機化合物の合成方法>
下記一般式(G1-1)で表される本発明の一態様の有機化合物は、あらゆる有機反応を利用することで合成することができるが以下、例として、二種の方法を示す。
なお、上記一般式(G1-1)において、R1乃至R10はそれぞれ独立に、水素、炭素数3以上10以下のアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基のいずれか一を表し、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に置換基を有する炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基を表す。なお、Ar1およびAr2は、置換基として炭素数3乃至12のシクロアルキル基、又は架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基を少なくとも1以上各々有するものとする。
一つ目の手法は、以下の合成スキーム(S-1)乃至(S-6)から成り立つ合成法である。最初の工程は、アニリン化合物(化合物1)と1,4-シクロヘキサジエン-2,5-ジカルボン酸化合物(化合物2)の脱水縮合反応により、アミン化合物(化合物3)を得る工程である。該工程をスキーム(S-1)に示す。
次いで、アミン化合物(化合物3)とアニリン誘導体(化合物4)を縮合反応させることで1,4ーシクロヘキサジエン化合物(化合物5)を得ることができる。化合物5を得る工程をスキーム(S-2)に示す。
また、1,4ーシクロヘキサジエン化合物(化合物5)において、同じ構造のアミノ基を導入する場合は、合成スキーム(S-1)において2等量のアニリン化合物(化合物1)を加えて同反応を行うことが好ましい。その場合、化合物2のカルボニル基に反応選択性が無くても単一の目的物を得ることができる。
次に、1,4ーシクロヘキサジエン化合物(化合物5)を空気中において酸化させることによりテレフタル酸化合物(化合物6)を得ることができる。化合物6を得る工程をスキーム(S-3)に示す。
続いて、テレフタル酸化合物(化合物6)を、酸を用いて分子内環化させることにより、キナクリドン化合物(化合物7)を得ることができる。化合物7を得る工程をスキーム(S-4)に示す。
その後、キナクリドン化合物(化合物7)とハロゲン化アリール化合物(化合物8)をカップリングすることにより、キナクリドン化合物(化合物9)を得ることができる。化合物9を得る工程をスキーム(S-5)に示す。
こののち、キナクリドン化合物(化合物9)とハロゲン化アリール化合物(化合物10)をカップリングすることにより、上記一般式(G1-1)で表される有機化合物を得ることができる。該工程をスキーム(S-6)に示す。
また、一般式(G1-1)においてAr1とAr2が同じ構造の場合、スキーム(S-5)において同じハロゲン化アリール化合物(化合物8)を2つカップリングすることができるため、2等量のハロゲン化アリール化合物(化合物8)を加えて同反応を行うことが好ましい。その場合、化合物7のアミノ基に反応選択性が無くても単一の目的物を得ることができる。
二つ目の手法は、以下の合成スキーム(S-1)乃至(S-3)と(S-7)乃至(S-9)から成り立つ。(S-1)乃至(S-3)の説明は上記の通りである。
スキーム(S-3)により得られたテレフタル酸化合物(化合物6)とハロゲン化アリール化合物(化合物8)をカップリングすることにより、ジアミン化合物(化合物11)を得ることができる。化合物11を得る工程をスキーム(S-7)に示す。
次いで、ジアミン化合物(化合物11)とハロゲン化アリール化合物(化合物10)をカップリングすることにより、ジアミン化合物(化合物12)を得ることができる。化合物12を得る工程をスキーム(S-8)に示す。
また、ジアミン化合物(化合物12)においてAr1とAr2が同じ構造の場合、テレフタル酸化合物(化合物6)に一段階で同じハロゲン化アリール化合物2分子をカップリングすることができるため、2等量のハロゲン化アリール化合物(化合物8)を加えて同反応を行うことが好ましい。その場合、化合物6のアミノ基に反応選択性が無くても単一の目的物が得られる。
最後に、ジアミン化合物(化合物12)を、酸を用いて縮環させることで、上記一般式(G1-1)で表される有機化合物を得ることができる。該工程をスキーム(S-9)に示す。
スキーム(S-9)において、対称的な構造を有するジアミン化合物(化合物12)を用いることで、上記一般式(G1-1)で表される有機化合物を合成することが可能である。
合成スキーム(S-1)乃至(S-4)及び(S-7)乃至(S-9)において、Al1は炭素数1-4のアルキル基を表す。
合成スキーム(S-5)乃至(S-8)において、Y1とY2は塩素、臭素、ヨウ素、トリフラート基を表す。
合成スキーム(S-3)においては、大気中の酸素で酸化することもできるが、酸化剤としてヨウ素などを用いることがより好ましい。
合成スキーム(S-5)乃至(S-8)においては、高温下で反応を進めることが出来、比較的高収率で目的化合物を得られることから、ウルマン反応を行うことが好ましい。当該反応で用いることができる試薬は、銅もしくは銅化合物、塩基としては、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。当該反応において、用いることができる溶媒は、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジフェニルエーテル等が挙げられる。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高い2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、DMPU、キシレン、ジフェニルエーテルを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高温が更に好ましいため、より好ましくはDMPU、ジフェニルエーテルを用いることとする。当該反応において、用いることができる試薬類は、上記試薬類に限られるものではない。
合成スキーム(S-5)乃至(S-8)において、パラジウム触媒を用いたブッフバルト・ハートウィッグ反応を行うことが出来、当該反応では、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、アリルパラジウム(II)クロリド(ダイマー)等のパラジウム化合物と、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ヘキシル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、トリ(オルトートリル)ホスフィン、(S)-(6,6’-ジメトキシビフェニル-2,2’-ジイル)ビス(ジイソプロピルホスフィン)(略称:cBRIDP(登録商標))等の配位子を用いる事ができる。当該反応では、ナトリウム tert-ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等を用いることができる。当該反応では、溶媒として、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を用いることができる。当該反応で用いることができる試薬類は、上記試薬類に限られるものではない。
また、本発明の一般式(G1-1)で表される有機化合物を合成するための方法は合成スキーム(S-1)乃至(S-9)に限られるものではない。
一般式(G1-1)においてR1乃至R10はそれぞれ独立に、水素、炭素数3以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数3以上10以下のシクロアルキル基のいずれか一を表す。具体例としては、水素、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、n-ヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノナニル基、シクロデシル基などが挙げられる。
一般式(G1-1)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換基を有する炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基を表す。なお、Ar1およびAr2は、置換基として炭素数3乃至12のシクロアルキル基、又は架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基を少なくとも1以上各々有するものとする。具体例としては、2-シクロプロピルフェニル基、2-シクロブチルフェニル基、2-シクロペンチルフェニル基、2-シクロヘキシフェニル基、2-シクロへプチルフェニル基、2-シクロオクチルフェニル基、2-アダマンチルフェニル基、2-ノルボルナニルフェニル基、2-テトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、3-シクロプロピルフェニル基、3-シクロブチルフェニル基、3-シクロペンチルフェニル基、3-シクロヘキシルフェニル基、3-シクロへプチルフェニル基、3-シクロオクチルフェニル基、3-アダマンチルフェニル基、3-ノルボルナニルフェニル基、3-テトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、4-シクロプロピルフェニル基、4-シクロブチルフェニル基、4-シクロペンチルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、4-シクロへプチルフェニル基、4-シクロオクチルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、4-ノルボルナニルフェニル基、4-テトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、1,3-ジシクロプロピルフェニル基、1,3-ジシクロブチルフェニル基、1,3-ジシクロペンチルフェニル基、1,3-ジシクロヘキシルフェニル基、1,3-ジシクロへプチルフェニル基、1,3-ジシクロオクチルフェニル基、1,3-ジアダマンチルフェニル基、1,3-ジノルボルナニルフェニル基、1,3-ジテトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、1,5-ジシクロプロピルフェニル基、1,5-ジシクロブチルフェニル基、1,5-ジシクロペンチルフェニル基、1,5-ジシクロヘキシルフェニル基、1,5-ジシクロへプチルフェニル基、1,5-ジシクロオクチルフェニル基、1,5-ジアダマンチルフェニル基、1,5-ジノルボルナニルフェニル基、1,5-ジテトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、3,4-ジシクロプロピルフェニル基、3,4-ジシクロブチルフェニル基、3,4-ジシクロペンチルフェニル基、3,4-ジシクロヘキシルフェニル基、3,4-ジシクロへプチルフェニル基、3,4-ジシクロオクチルフェニル基、3,4-ジアダマンチルフェニル基、3,4-ジノルボルナニルフェニル基、3,4-ジテトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、4-トリシクロペンチルフェニル基、2,3,4-トリシクロヘキシルフェニル基、2,3,4-トリシクロへプチルフェニル基、2,3,4-トリシクロオクチルフェニル基、2,3,4-トリアダマンチルフェニル基、2,3,4-トリノルボルナニルフェニル基、2,3,4-トリテトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、3,4,5-トリシクロプロピルフェニル基、3,4,5-トリシクロブチルフェニル基、3,4,5-トリシクロペンチルフェニル基、3,4,5-トリシクロヘキシルフェニル基、3,4,5-トリシクロへプチルフェニル基、3,4,5-トリシクロオクチルフェニル基、3,4,5-トリアダマンチルフェニル基、3,4,5-トリノルボルナニルフェニル基、3,4,5-トリテトラヒドロジシクロペンタジエニルフェニル基、3-シクロヘキシル-2-ナフチル基、8-シクロヘキシル-1-ナフチル基、9,9-ジシクロヘキシル-9H-フルオレン-3-イル基、9,9-ジシクロヘキシル-9H-フルオレン-2-イル基などが挙げられる。
また、本発明の一般式(G1-1)で表される有機化合物を合成するための方法は合成スキーム(S-1)乃至(S-9)に限られるものではない。
<一般式(G2)で表される有機化合物の合成方法>
下記一般式(G2)で表される本発明の一態様の有機化合物は、あらゆる有機反応を利用することで合成することができる。例として、二種の方法を下記に示す。
一つ目の手法は、以下の合成スキーム(S-1)乃至(S-4)、(S-10)、(S-11)から成り立つ。(S-1)乃至(S-4)の説明は上記の通りである。合成スキーム(S-4)に次いで、キナクリドン化合物(化合物7)とハロゲン化アリール化合物(化合物13)をカップリングすることにより、キナクリドン化合物(化合物14)を得ることができる。化合物14を得る工程をスキーム(S-10)に示す。ただし、一段階で同じハロゲン化アリール化合物(化合物13)を2つカップリングすることができ、同じ構造のアミノ基を導入する場合は、2等量のハロゲン化アリール化合物(化合物13)を加えて同反応を行うことが好ましい。その場合、化合物7のアミノ基に反応選択性が無くても単一の目的物が得られる。
次いで、キナクリドン化合物(化合物14)とハロゲン化アリール化合物(化合物15)をカップリングすることにより、上記一般式(G2)で表される有機化合物を得ることができる。該工程をスキーム(S-11)に示す。
また、化合物(G2)においてフェニル基上の置換基が同じ構造の場合、スキーム(S-10)において同じハロゲン化アリール化合物(化合物13)を2つカップリングすることができるため、2等量のハロゲン化アリール化合物(化合物13)を加えて同反応を行うことが好ましい。その場合、化合物7のアミノ基に反応選択性が無くても単一の目的物が得られる。
二つ目の手法は、以下の合成スキーム(S-1)乃至(S-3)と、(S-12)乃至(S-14)から成り立つ。(S-1)乃至(S-3)の説明は上記の通りである。(S-3)に次いで、テレフタル酸化合物(化合物6)とハロゲン化アリール化合物(化合物13)をカップリングすることにより、ジアミン化合物(化合物16)を得ることができる。化合物16を得る工程をスキーム(S-12)に示す。
次いで、ジアミン化合物(化合物16)とハロゲン化アリール(化合物15)をカップリングすることにより、ジアミン化合物(化合物17)を得ることができる。化合物17を得る工程をスキーム(S-13)に示す。
また、テレフタル酸化合物(化合物17)においてフェニル基上の置換基が同じ構造の場合、一段階で同じハロゲン化アリール化合物2分子をカップリングすることができ、同じ構造のアミノ基を導入する場合は、2等量のハロゲン化アリール化合物(化合物13)を加えて同反応を行うことが好ましい。その場合、化合物6のアミノ基に反応選択性が無くても単一の目的物が得られる。
最後に、テレフタル酸化合物(化合物17)を、酸を用いて縮環させることで、上記一般式(G2)で表される有機化合物を得ることができる。該工程をスキーム(S-14)に示す。
合成スキーム(S-1)乃至(S-4)及び(S-12)乃至(S-14)において、Al1は炭素数1-4のアルキル基を表す。
合成スキーム(S-10)乃至(S-13)において、Y1とY2はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、トリフラート基を表す。
合成スキーム(S-10)乃至(S-13)においては、高温下で反応を進めることが出来、比較的高収率で目的化合物を得られることから、ウルマン反応を行うことが好ましい。当該反応で用いることができる試薬は、銅もしくは銅化合物、塩基としては、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。当該反応において、用いることができる溶媒は、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジフェニルエーテル等が挙げられる。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高い2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、DMPU、キシレン、ジフェニルエーテルを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高温が更に好ましいため、より好ましくはDMPU、ジフェニルエーテルを用いることとする。当該反応において、用いることができる試薬類は、上記試薬類に限られるものではない。
合成スキーム(S-10)乃至(S-13)において、パラジウム触媒を用いたブッフバルト・ハートウィッグ反応を行うことが出来、当該反応では、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、アリルパラジウム(II)クロリド(ダイマー)等のパラジウム化合物と、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ヘキシル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、トリ(オルトートリル)ホスフィン、(S)-(6,6’-ジメトキシビフェニル-2,2’-ジイル)ビス(ジイソプロピルホスフィン)(略称:cBRIDP(登録商標))等の配位子を用いる事ができる。当該反応では、ナトリウム tert-ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等を用いることができる。当該反応では、溶媒として、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を用いることができる。当該反応で用いることができる試薬類は、上記試薬類に限られるものではない。
また、本発明の一般式(G2)で表される有機化合物を合成するための方法は合成スキーム(S-1)乃至(S-4)、(S-10)乃至(S-14)に限られるものではない。
上記一般式(G2)において、R1乃至R10およびR21乃至R24はそれぞれ独立に、水素、炭素数3以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数3以上10以下のシクロアルキル基のいずれか一を表す。具体例としては、水素、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノナニル基、シクロデシル基などが挙げられる。
上記一般式(G2)において、X1乃至X3とX4乃至X6は、それぞれ独立に炭素数1乃至10のアルキル基および炭素数3乃至12のシクロアルキル基および架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基のいずれか一を表す。具体例としては、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノナニル基、シクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルナニル基、テトラヒドロジシクロペンタジエニル基などが挙げられる。
以上、本発明の一態様であり、一般式(G1-1)および一般式(G2)で表される有機化合物の合成方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、他の合成方法によって合成してもよい。
(実施の形態2)
本発明の一態様の発光デバイスについて、図1乃至図6を用いて以下説明する。
<発光デバイスの構成例>
まず、本発明の一態様の発光デバイスの構成について、図1を用いて、以下説明する。
図1Aは、本発明の一態様の発光デバイス150の断面模式図である。
発光デバイス150は、一対の電極(電極101及び電極102)を有し、該一対の電極間に設けられたEL層100を有する。EL層100は、少なくとも発光層130を有する。
また、図1Aに示すEL層100は、発光層130の他に、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層118、及び電子注入層119等の機能層を有する。
なお、本実施の形態においては、一対の電極のうち、電極101を陽極として、電極102を陰極として説明するが、発光デバイス150の構成としては、その限りではない。つまり、電極101を陰極とし、電極102を陽極とし、当該電極間の各層の積層を、逆の順番にしてもよい。すなわち、陽極側から、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層130と、電子輸送層118と、電子注入層119と、が積層する順番とすればよい。
なお、EL層100の構成は、図1Aに示す構成に限定されず、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層118、及び電子注入層119の中から選ばれた少なくとも一つを有する構成とすればよい。あるいは、EL層100は、正孔または電子の注入障壁を低減する層、正孔または電子の輸送性を向上する層、正孔または電子の輸送性を阻害する層、または電極による消光現象を抑制する層、等の機能層を有する構成としてもよい。なお、機能層はそれぞれ単層であっても、複数の層が積層された構成であってもよい。
<発光デバイスの発光機構>
次に、発光層130の発光機構について、以下説明を行う。本発明の一態様の発光デバイス150は、発光層に三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料と一重項励起エネルギーを発光に変換することができる(蛍光性材料である)ゲスト材料とを有する発光デバイスである。三重項励起エネルギーを発光に変換することができるホスト材料を用いることによって三重項励起子を発光に寄与させることができ、発光デバイスの発光効率を向上させることができる。また、ゲスト材料が安定な蛍光性材料であることによって、寿命の良好な発光デバイスを実現することができる。
三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料の一つとしては、りん光を発することができる化合物(以下、りん光性材料ともいう)を挙げることができる。本明細書等において、りん光性材料とは、室温以下の温度範囲において、りん光を呈し、且つ蛍光を呈さない化合物のことをいう。該りん光性材料は、スピン軌道相互作用の大きい金属元素を有する化合物であることが好ましく、具体的には遷移金属元素を有している化合物であることが好ましく、特に白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、または白金(Pt))を有する化合物であることが好ましい。中でもイリジウムは、該りん光性材料の一重項基底状態と三重項励起状態との間の直接遷移に係わる遷移確率を高めることができるため好ましい。
また、三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料としては、TADF材料も挙げることができる。TADF材料とは、S1準位とT1準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起エネルギーから一重項励起エネルギーへエネルギーを変換することができる材料である。そのため、TADF材料を使用することで三重項励起状態から一重項励起状態を効率よく生成することができる。なお、2種類の物質で励起状態を形成する励起錯体(エキサイプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)も、S1準位とT1準位との差が極めて小さく、TADF材料と同等の機能を有する。
なお、T1準位を直接求めることは難しいが、その指標は、低温(例えば10K)で観測されるりん光スペクトルより求めることができる。すなわち、当該スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをT1準位とみなすことができる。
また、同様にS1準位の指標は、室温または低温における蛍光スペクトルより求めることができる。すなわち、蛍光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをS1準位とみなすことができる。
TADF材料としての機能を有するためにはS1準位とT1準位の差が0.2eV以下であることが好ましい。
また、三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料としては、ペロブスカイト構造を有する遷移金属化合物のナノ構造体を挙げることもできる。特に金属ハロゲン化物ペロブスカイト類のナノ構造体がこのましい。該ナノ構造体としては、ナノ粒子、ナノロッドが好ましい。
図1Bは本発明の一態様である発光デバイスの発光層130を表す断面模式図である。本発明の一態様では、発光層130は化合物131及び化合物132を有する。化合物131は三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料であり、化合物132は一重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料、すなわち蛍光性材料である。蛍光性材料は安定性が高いため、化合物132として蛍光性材料を用いることで信頼性の高い発光デバイスを得ることができる。ここで、化合物131はエネルギードナー、化合物132はエネルギーアクセプターとして機能する。
<発光層の構成例1>
図1Cは、化合物131にTADF材料を用いた本発明の一態様の発光デバイス中の発光層におけるエネルギー準位の相関を表す図である。なお、図1Cにおける表記及び符号は、以下の通りである。
・Host(131):化合物131
・Guest(132):化合物132
・TC1:化合物131のT1準位
・SC1:化合物131のS1準位
・SG:化合物132のS1準位
・TG:化合物132のT1準位
ここで、電流励起によって生じた化合物131の三重項励起エネルギーに着目する。本構成例において化合物131はTADF性を有する。そのため、化合物131は三重項励起エネルギーをアップコンバージョンによって一重項励起エネルギーに変換することができる(図1C ルートA1)。化合物131が有する一重項励起エネルギーは、化合物132へ移動することができる。(図1C ルートA2)。このとき、SC1≧SGであると好ましい。
化合物131で生じた三重項励起エネルギーが、上記ルートA1及びルートA2を経てゲスト材料である化合物132のS1準位へエネルギー移動し化合物132が発光することによって、蛍光発光デバイスの発光効率を高めることができる。
ここで、化合物132が通常の蛍光性材料である場合、上記ルートA1及びルートA2と競合して化合物131の三重項励起エネルギーが化合物132の三重項励起エネルギーへ変換される過程(図1CルートA3)も同時に起こり得る。蛍光性材料である化合物132の三重項励起エネルギーは発光に寄与しないことから、ルートA3のエネルギー移動が生じると発光デバイスの発光効率は低下してしまう。(なお実際は、TC1からTGへのエネルギー移動(ルートA3)は、直接ではなく、化合物132のTGよりも高位の三重項励起状態に一度エネルギー移動し、その後内部変換によりTGになる経路もあり得るが、図中ではその過程を省略している。以降の本明細書中におけるTGへの失活過程は、全て同様である。)
ここで、分子間のエネルギー移動機構として、フェルスター機構(双極子-双極子相互作用)と、デクスター機構(電子交換相互作用)が知られている。エネルギーアクセプターである化合物132が蛍光性材料である場合、ルートA3のエネルギー移動はデクスター機構が支配的である。一般的に、デクスター機構はエネルギードナーである化合物131とエネルギーアクセプターである化合物132の距離が1nm以下で有意に生じる。そのため、ルートA3を抑制するためには、ホスト材料とゲスト材料の距離、すなわちエネルギードナーとエネルギーアクセプターの距離を遠ざけることが重要である。
そこで、エネルギーアクセプタ(化合物132)とエネルギードナー(化合物131)との距離を遠ざけるための手法として、発光層130が化合物132と化合物131との混合膜であることから、当該混合膜中の化合物132の濃度を低くする方法が採られる場合がある。
しかし、混合膜中のエネルギーアクセプターの濃度を低くすると、エネルギードナーからエネルギーアクセプターへのデクスター機構に基づくエネルギー移動だけでなく、フェルスター機構に基づくエネルギー移動も抑制されてしまう。その結果、ルートA2がフェルスター機構に基づくエネルギー移動であるため、発光デバイスの発光効率の低下や信頼性の低下といった問題が生じる。
ここで一般に、エネルギーアクセプターが有する発光団とエネルギードナーの距離が1nm以下ではデクスター機構が優勢となり、1nm以上10nm以下ではフェルスター機構が優勢となる。一般にエネルギーアクセプターとエネルギードナーの距離が10nm以上ではエネルギー移動は生じにくい。すなわち、デクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、フェルスター機構によるエネルギー移動の抑制を避けるためには、エネルギーアクセプターとエネルギードナーとの距離を1nm以上10nm以下に厳密に保つ必要がある。そこで、本発明者らはエネルギーアクセプターとして、エネルギードナーとの距離を遠ざけるための保護基を有する蛍光性材料を用いることで、上記発光効率の低下を抑制可能であることを見出した。
ここで、蛍光発光材料のT1準位は、当該材料中の発光団に由来するエネルギー準位であることが多い。そのため、より厳密にルートA2の経路を保ちつつルートA3を抑制するためには、エネルギーアクセプターである化合物132が有する発光団とエネルギードナーである化合物131との距離を制御することが重要である。発光団とは、蛍光性材料において、発光の原因となる原子団(骨格)を指す。発光団は一般的にπ結合を有しており、芳香環を含むことが好ましく、縮合芳香環または縮合複素芳香環を有すると好ましい。また、他の態様として、発光団とは、環平面上に遷移双極子ベクトルが存在する芳香環を含む原子団(骨格)と見なすことができる。また、一つの蛍光性材料が複数の縮合芳香環または縮合複素芳香環を有する場合、該複数の縮合芳香環または縮合複素芳香環のうち、最も低いS1準位を有する骨格を該蛍光性材料の発光団と考える場合がある。また、該複数の縮合芳香環または縮合複素芳香環のうち、最も長波長側に吸収端を有する骨格を該蛍光性材料の発光団と考える場合がある。また、該複数の縮合芳香環または縮合複素芳香環それぞれの発光スペクトルの形状から該蛍光性材料の発光団を予想できる場合がある。
縮合芳香環または縮合複素芳香環としては、フェナントレン骨格、スチルベン骨格、アクリドン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格等が挙げられる。特にナフタレン骨格、アントラセン骨格、フルオレン骨格、クリセン骨格、トリフェニレン骨格、テトラセン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、クマリン骨格、キナクリドン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格を有する蛍光性材料は蛍光量子収率が高いため好ましい。
図2Aに一般的な蛍光性材料である、保護基を有さない蛍光性材料をゲスト材料としてホスト材料に分散させた場合と、図2B本発明の一態様の発光デバイスに用いる、保護基を有する蛍光性材料をゲスト材料としてホスト材料に分散させた場合の概念図を示す。ホスト材料はエネルギードナー、ゲスト材料はエネルギーアクセプターと読み替えても構わない。また、エネルギードナーは図1における化合物131、エネルギーアクセプターは化合物132に相当する。
ここで、保護基は、発光団とホスト材料との距離を遠ざける機能を有する。図2Aにおいて、ゲスト材料301は保護基を有さない通常の蛍光性材料であり、発光団310を有する。ゲスト材料301はエネルギーアクセプターとしての機能を有する。一方、図2Bにおいて、ゲスト材料302は発光団310と保護基320を有する。また、図2A及び図2Bにおいてゲスト材料301及びゲスト材料302はホスト材料330に囲まれている。図2Aでは発光団とホスト材料の距離が近いため、ホスト材料330からゲスト材料301へのエネルギー移動として、フェルスター機構によるエネルギー移動(ルートA4)とデクスター機構によるエネルギー移動(ルートA5)の両方が生じうる。デクスター機構によってホスト材料の三重項励起エネルギー準位からゲスト材料の三重項励起エネルギー準位へのエネルギー移動が生じると、ゲスト材料が蛍光性材料である場合、三重項励起エネルギーが無放射失活するため、発光効率低下の一因となる。
一方、図2Bでは、ゲスト材料302は保護基320を有している。そのため、発光団310とホスト材料330の距離を適切に遠ざけることができ、デクスター機構によるエネルギー移動(ルートA5)を抑制することができる。
ここで、図2Bのようにデクスター機構によるエネルギー移動を抑制した状態でゲスト材料302が発光するためには、ゲスト材料302はフェルスター機構によるエネルギー移動によりホスト材料330からエネルギーを受け取る必要がある。すなわち、デクスター機構によるエネルギー移動は抑制しつつ、フェルスター機構によるエネルギー移動を効率良く利用できることが好ましい。
よって、保護基320は発光団310から1nm以上10nm以下の範囲に広がると好ましい。より好ましくは1nm以上5nm以下である。該構成とすることで、ホスト材料330とゲスト材料との距離を適切に保つことができ、ホスト材料330からゲスト材料302へのデクスター機構によるエネルギー移動を抑制しつつ、効率良くフェルスター機構によるエネルギー移動を利用することができる。そのため、高い発光効率を有する発光デバイスを作製することができる。
保護基として用いられる置換基は、当該保護基へのエネルギー移動を防ぐため、発光団及びホスト材料が有するT1準位よりも高い三重項励起エネルギー準位を有する必要がある。π結合を有さない置換基は三重項励起エネルギー準位が高いことから、当該保護基としては、飽和炭化水素基を用いることが好ましい。
また、π結合を有さない置換基は、キャリア(電子またはホール)を輸送する機能が低いため、飽和炭化水素基はホスト材料の励起状態またはキャリア輸送性にほとんど影響を与えずに、発光団とホスト材料の距離を適切に保つことができる。
また、π結合を有さない置換基とπ共役系を有する置換基を同時に有する有機化合物においては、π共役系を有する置換基側にフロンティア軌道{HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital、最高被占軌道ともいう)及びLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital、最低空軌道ともいう)}が存在する場合が多く、特に発光団がフロンティア軌道を有する場合が多い。ここで、デクスター機構によるエネルギー移動には、エネルギードナー及びエネルギーアクセプターHOMOの重なりと、LUMOの重なりが重要になる。そのため、飽和炭化水素基を保護基に用いることによって、エネルギードナーであるホスト材料のフロンティア軌道と、エネルギーアクセプターであるゲスト材料のフロンティア軌道との距離を遠ざけることができ、デクスター機構によるエネルギー移動を有効に抑制することができる。
保護基の具体例としては、炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数3乃至12のシクロアルキル基、および架橋構造を有する炭素数7乃至10のシクロアルキル基が挙げられる。保護基は発光団とホスト材料との距離を遠ざける必要があるため、嵩高い置換基が好ましい。そのため、炭素数3以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数3以上10以下のシクロアルキル基を好適に用いることができる。特にアルキル基としては、嵩高い分岐鎖アルキル基およびシクロアルキル基が好ましい。また、該置換基は環状構造を有すると嵩高い置換基となり、デクスター機構によるエネルギー移動の抑制効果が高いためより好ましく、安定性からシクロヘキシル基が特に好ましい。
また、発光団と保護基を結ぶ2価以上の置換基はπ共役系を有する置換基であると好ましい。該構成とすることで、ゲスト材料の発光色やHOMO準位、ガラス転移点等の物性を調整することができる。なお、保護基は発光団を中心に分子構造を見た際に、最も外側に配置されると好ましい。
このようなゲスト材料として、本発明の一態様の発光デバイスでは実施の形態1で説明した有機化合物を用いる。
なお、フェルスター機構によるエネルギー移動効率を高める(エネルギー移動速度を向上させる)ためには、ホスト材料330に対するゲスト材料301またはゲスト材料302の濃度比を高めることが好ましい。
通常はゲスト材料の濃度が高まると、デクスター機構のエネルギー移動速度も促進してしまい、発光効率の低下を招いてしまうため、ゲスト材料の濃度を高めることは困難であった。しかし、本発明の一態様の発光デバイスでは、発光層に発光団に保護基を有するゲスト材料を用いており、デクスター機構によるエネルギー移動を抑制することができるため、エネルギーアクセプターであるゲスト材料の濃度を高めても、デクスター機構に由来する発光効率低下が起こりにくい。その結果、デクスター機構によるエネルギー移動を抑制しつつ、フェルスター機構によるエネルギー移動速度を高めるという、本来相矛盾する現象を可能とする。
また、上述の構成によりフェルスター機構によるエネルギー移動速度を高めることによって、発光層中のエネルギーのドナー励起寿命が短くなるため、劣化が抑制され発光デバイスの信頼性を向上させることができる。
なお、発光デバイスにおけるエネルギー移動は、常に劣化物や不純物の影響による消光過程と競合する。しかし上述の通り、本発明の一態様では、デクスター機構によるエネルギー移動を抑制しつつも、フェルスター機構によるエネルギー移動速度を従来の発光デバイスよりも高めることができるため、消光過程との競合の影響を小さくし、発光デバイスを長寿命化させることができる。
ゲスト材料の濃度はホスト材料に対して、2wt%以上30wt%以下が好ましく、より好ましくは5wt%以上20wt%以下、さらに好ましくは5wt%以上15wt%以下である。該構成とすることによって、フェルスター機構によるエネルギー移動速度を高めることができるため、発光効率が高い発光デバイスを得ることができる。また、エネルギードナーの励起寿命が短くなることで、信頼性の良好な発光デバイスを得ることができる。なお、上記濃度は発光層において、主として発光を呈する材料をゲスト材料とし、ゲスト材料以外の材料をホスト材料とした場合の濃度である。
<発光層の構成例2>
図4Cは、本発明の一態様の発光デバイス150の発光層130におけるエネルギー準位の相関の一例である。図4Aに示す発光層130は、化合物131と、化合物132と、さらに化合物133と、を有する。本構成例では、化合物132は実施の形態1に示した保護基を有する蛍光性材料であり、化合物131と化合物133は励起錯体を形成する組合せである。
化合物131と化合物133との組み合わせは、励起錯体を形成することが可能な組み合わせであればよいが、一方が正孔を輸送する機能(正孔輸送性)を有する化合物であり、他方が電子を輸送する機能(電子輸送性)を有する化合物であることが、より好ましい。この場合、ドナー-アクセプター型の励起錯体を形成しやすくなり、効率よく励起錯体を形成することができる。また、化合物131と化合物133との組み合わせが、正孔輸送性を有する化合物と電子輸送性を有する化合物との組み合わせである場合、その混合比によってキャリアバランスを容易に制御することが可能となる。正孔輸送性を有する化合物:電子輸送性を有する化合物=1:9から9:1(重量比)の範囲が好ましい。また、該構成を有することで、キャリアバランスを制御することが容易であることから、キャリア再結合領域の制御も簡便に行うことができる。
また、効率よく励起錯体を形成するホスト材料の組み合わせとしては、化合物131及び化合物133のうち一方のHOMO準位が他方のHOMO準位より高く、一方のLUMO準位が他方のLUMO準位より高いことが好ましい。なお、化合物131のHOMO準位が化合物133のHOMO準位と同等、または化合物131のLUMO準位が化合物133のLUMO準位と同等であってもよい。
なお、化合物のLUMO準位およびHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される化合物の電気化学特性(還元電位および酸化電位)から導出することができる。
例えば、化合物131が正孔輸送性を有し、化合物133が電子輸送性を有する場合、図4Bに示すエネルギーバンド図のように、化合物131{Comp(131)}のHOMO準位が化合物133{Comp(133)}のHOMO準位より高いことが好ましく、化合物131のLUMO準位が化合物133のLUMO準位より高いことが好ましい。このようなエネルギー準位の相関とすることで、一対の電極(電極101および電極102)から注入されたキャリアである正孔及び電子が、化合物131および化合物133に、それぞれ注入されやすくなり好適である。
なお、図4Bにおいて、ΔEC1は化合物131のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差を表し、ΔEC3は化合物132のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差を表し、ΔEEは化合物133のLUMO準位と化合物131のHOMO準位とのエネルギー差を表す、表記及び符号である。
また、化合物131と化合物133とが形成する励起錯体は、化合物131にHOMOの分子軌道を有し、化合物133にLUMOの分子軌道を有する励起錯体となる。また、該励起錯体の励起エネルギーは、化合物133のLUMO準位と化合物131のHOMO準位とのエネルギー差(ΔEE)に概ね相当し、化合物131のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差(ΔEC1)及び化合物133のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差(ΔEC3)より小さくなる。したがって、化合物131と化合物133とで励起錯体を形成することで、より低い励起エネルギーで励起状態を形成することが可能となる。また、より低い励起エネルギーを有するため、該励起錯体は、安定な励起状態を形成することができる。
また、発光層130における化合物131と、化合物132と、化合物133と、のエネルギー準位の相関を図4Cに示す。なお、図4Cにおける表記及び符号は、以下の通りである。
・Comp(131):化合物131
・Comp(133):化合物133
・Guest(132):化合物132
・SC1:化合物131のS1準位
・TC1:化合物131のT1準位
・SC3:化合物133のS1準位
・TC3:化合物133のT1準位
・TG:化合物132のT1準位
・SE:励起錯体のS1準位
・TE:励起錯体のT1準位
本発明の一態様の発光デバイスにおいては、発光層130が有する化合物131と化合物133とで励起錯体を形成する。励起錯体のS1準位(SE)と励起錯体のT1準位(TE)とは、互いに隣接したエネルギー準位となる(図4C ルートA6参照)。
励起錯体の励起エネルギー準位(SEおよびTE)は、励起錯体を形成する各物質(化合物131および化合物133)のS1準位(SC1およびSC3)より低くなるため、より低い励起エネルギーで励起状態を形成することが可能となる。これによって、発光デバイス150の駆動電圧を低減することができる。
励起錯体のS1準位(SE)とT1準位(TE)は、互いに隣接したエネルギー準位であるため、逆項間交差しやすく、TADF性を有する。そのため、励起錯体は三重項励起エネルギーをアップコンバージョンによって一重項励起エネルギーに変換する機能を有する(図4C ルートA7)。励起錯体が有する一重項励起エネルギーは、速やかに化合物132へ移動する。(図4C ルートA8)。このとき、SE≧SGであると好ましい。ルートA8において、励起錯体がエネルギードナーであり、化合物132がエネルギーアクセプターとして機能する。また、SE≧SGであることが好ましい。
なお、励起錯体におけるアップコンバージョンの効率を保つために、化合物131および化合物133の双方のT1準位、すなわちTC1およびTC3が、TE以上であることが好ましい。または、SE-TC1≦0.2eV、かつ、SE-TC3≦0.2eVであることが好ましい。
発光層130で生じた三重項励起エネルギーが、上記ルートA6及び励起錯体のS1準位からゲスト材料へのS1準位へのエネルギー移動(ルートA8)を経ることで、ゲスト材料が発光することができる。
ここで、本発明の一態様である発光デバイスでは、上述したような化合物132の発光団に保護基を有するゲスト材料を用いる。該構成とすることで、上述のように、ルートA9で表されるデクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、三重項励起エネルギーの失活を抑制することができる。そのため、発光効率の高い蛍光発光デバイスを得ることができる。
上記に示したような励起錯体から蛍光性材料への励起エネルギーの供与過程であるルートA6乃至A8を、本明細書等において、ExSET(Exciplex-Singlet Energy Transfer)またはExEF(Exciplex-Enhanced Fluorescence)と呼称する場合がある。
<発光層の構成例3>
本構成例では、構成例2における励起錯体を形成する化合物の一方にりん光性材料を用いた場合について説明する。
本構成例では励起錯体を形成する一方の化合物として重原子を有するりん光性材料を用いる。これにより、当該りん光性材料を一方の化合物として形成された励起錯体においても、重原子効果により一重項状態と三重項状態との間の項間交差が起こりやすくなるため、三重項励起状態から一重項基底状態への遷移が可能(すなわちりん光を呈することが可能)となる。
なお、上記構成で用いるりん光性材料が有する重原子としてはIr、Pt、Os、Ru、Pd等を挙げることができる。
このような励起錯体の場合、三重項励起エネルギー準位(TE)がフェルスター機構に基づくエネルギー移動のドナー準位となるため、TEが発光材料である化合物132の一重項励起エネルギー準位(SG)以上であること、具体的には、TE≧SGであることが好ましい。
このような構成を有する発光層では、生成した励起錯体の三重項励起エネルギーは、励起錯体の三重項励起エネルギー準位(TE)から化合物132の一重項励起エネルギー準位(SG)へエネルギー移動することができる。
なお、励起錯体のS1準位(SE)とT1準位(TE)は、互いに隣接したエネルギー準位であるため、発光スペクトルにおいて、蛍光とりん光とを明確に区別することが困難な場合がある。その場合、発光寿命によって、蛍光またはりん光を区別することが可能な場合がある。
また、本構成例ではりん光性材料はエネルギードナーとして機能するため、励起錯体が有する三重項励起エネルギー準位からゲスト材料の一重項励起エネルギー準位へのエネルギー移動が許容遷移であれば、りん光性材料の量子収率は高くても低くても構わない。
上述のようなりん光性材料から構成される励起錯体やりん光性材料からゲスト材料へのエネルギー移動は、エネルギードナーの三重項励起エネルギー準位からゲスト材料(エネルギーアクセプター)の一重項励起エネルギー準位へのエネルギー移動が許容遷移となるため、図4C中のルートA7の過程を経ることなく、励起錯体の三重項励起エネルギーをルートA8の過程によってゲスト材料のS1準位(SG)へ移動させることができることから、発光までのエネルギー移動の過程が短く、材料の劣化やエネルギーロスを抑制することができるため好ましい。
ここで、本発明の一態様である発光デバイスでは、上述したような化合物132に発光団に保護基を有するゲスト材料を用いる。該構成とすることで、上述のように、ルートA9で表されるデクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、三重項励起エネルギーの失活を抑制することができる。そのため、発光効率の高い蛍光発光デバイスを得ることができる。
<発光層の構成例4>
本構成例では構成例2における発光デバイスの化合物133として、TADF性を有する材料を用いた場合について図4Dを用いて説明する。
化合物133はTADF材料であるため、三重項励起エネルギーをアップコンバージョンによって一重項励起エネルギーに変換する機能を有する(図4D ルートA10)。化合物133が有する一重項励起エネルギーは、速やかに化合物132へ移動することができる。(図4D ルートA11)。このとき、SC3≧SGであると好ましい。
本構成例の発光デバイスでは、図4D中のルートA6乃至ルートA8を経て、三重項励起エネルギーがゲスト材料である化合物132へ移動する経路と、図4D中のルートA10及びルートA11を経て化合物132へ移動する経路が存在する。三重項励起エネルギーが蛍光性材料へ移動する経路が複数存在することで、本構成の発光デバイスはさらに発光効率を高めることができる。
ここで、本発明の一態様である発光デバイスでは、上述したような化合物132の発光団に保護基を有するゲスト材料を用いる。該構成とすることで、上述のように、ルートA9で表されるデクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、三重項励起エネルギーの失活を抑制することができる。そのため、発光効率の高い蛍光発光デバイスを得ることができる。
本構成例においては、励起錯体及び化合物133がエネルギードナーであり、化合物132がエネルギーアクセプターとして機能する。
<発光層の構成例5>
図5Aは発光層130に4種の材料を用いた場合について示している。図5Aにおいて発光層130は化合物131、化合物132、化合物133、化合物134と、を有する。本構成例では化合物133がりん光性材料である場合について説明する。化合物132は、実施の形態1に示した保護基を有する蛍光発光を呈するゲスト材料である。また、化合物131は化合物134と励起錯体を形成する有機化合物である。
また、発光層130における化合物131と、化合物132と、化合物133と、化合物134のエネルギー準位の相関図を図5Bに示す。なお、図5Bにおける表記及び符号は、以下の通りであり、その他の表記及び符号は図4Bに示す表記及び符号と同様である。
・SC4:化合物134のS1準位
・TC4:化合物134のT1準位
本構成例に示す、本発明の一態様の発光デバイスにおいて、化合物131と化合物134とは、励起錯体を形成する。励起錯体のS1準位(SE)と励起錯体のT1準位(TE)とは、近接したエネルギー準位となる(図5B ルートA12参照)。
上記の過程によって生成した励起錯体は、励起エネルギーを失うことによって、また、当該励起錯体を形成していた2種類の別々の物質として振る舞う。
励起錯体の励起エネルギー準位(SEおよびTE)は、励起錯体を形成する各物質(化合物131および化合物134)のS1準位(SC1およびSC4)より低くなるため、より低い励起エネルギーで励起状態を形成することが可能となる。これによって、発光デバイス150の駆動電圧を低減することができる。
ここで、化合物133はりん光性材料であり、一重項状態と三重項状態との間の項間交差が許容される。このことから、励起錯体が有する一重項励起エネルギー及び三重項励起エネルギーの双方が速やかに化合物133へと移動する(ルートA13)。このとき、TE≧TC3であると好ましい。
ここで、図5Bに示すように、TE≧TC3≧SGであると、化合物133の励起エネルギーが一重項励起エネルギーとして効率良くゲスト材料である化合物132へ移動するため好ましい(ルートA14)。
このとき、化合物131と化合物134との組み合わせは、励起錯体を形成することが可能な組み合わせであればよいが、一方が正孔輸送性を有する化合物であり、他方が電子輸送性を有する化合物であることが、より好ましい。
また、効率よく励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、化合物131及び化合物134のうち一方のHOMO準位が他方のHOMO準位より高く、一方のLUMO準位が他方のLUMO準位より高いことが好ましい。
なお、化合物131と化合物134とのエネルギー準位の相関は、図5Bに限定されない。すなわち、化合物131の一重項励起エネルギー準位(SC1)は、化合物134の一重項励起エネルギー準位(SC4)より高くても低くてもよい。また、化合物131の三重項励起エネルギー準位(TC1)は、化合物134の三重項励起エネルギー準位(TC4)より高くても低くてもよい。
また、本発明の一態様における発光デバイスにおいて、化合物131はπ電子不足骨格を有すると好ましい。該構成とすることで、化合物131のLUMO準位が低くなり、励起錯体の形成に好適となる。
また、本発明の一態様における発光デバイスにおいて、化合物131はπ電子過剰骨格を有すると好ましい。該構成とすることで、化合物131のHOMO準位が高くなり、励起錯体の形成に好適となる。
ここで、本発明の一態様である発光デバイスでは、上述したような化合物132の発光団に保護基を有するゲスト材料を用いる。該構成とすることで、上述のように、ルートA15で表されるデクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、三重項励起エネルギーの失活を抑制することができる。そのため、発光効率の高い蛍光発光デバイスを得ることができる。
なお、上記に示すような励起錯体から化合物133への励起エネルギーの供与があるルートA12及びA13の過程を、本明細書等においてExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)と呼称する場合がある。よって、本構成例は、ExTETを利用可能な発光層に保護基を有する蛍光性材料を混合した構成と言うことができる。
<発光層の構成例6>
本構成例では、上述の発光層の構成例5で説明した化合物134にTADF性を有する材料を用いた場合について説明する。
図5Cにおいて発光層130は化合物131、化合物132、化合物133、化合物134と、を有する。本発明の一態様において、化合物133は三重項励起エネルギーを発光に変換できる機能を有する。化合物132は、実施の形態1に示した保護基を有する蛍光発光を呈するゲスト材料である。また、化合物131は化合物134と励起錯体を形成する有機化合物である。
ここで、化合物134はTADF材料であるため、励起錯体を形成していない化合物134は、三重項励起エネルギーをアップコンバージョンによって一重項励起エネルギーに変換する機能を有する(図5C ルートA16)。化合物134が有する一重項励起エネルギーは、速やかに化合物132へ移動する。(図5C ルートA17)。このとき、SC4≧SGであると好ましい。
本構成例の発光層を有する本発明の一態様の発光デバイスでは、ルートA12乃至ルートA14を経て、三重項励起エネルギーがゲスト材料である化合物132へ移動する経路と、ルートA16及びルートA17を経て化合物132へ移動する経路が存在する。三重項励起エネルギーが蛍光性材料へ移動する経路が複数存在することで、さらに発光効率を高めることができる。ルートA14において、化合物133はエネルギードナー、化合物132はエネルギーアクセプターとして機能する。また、ルートA17において、化合物134はエネルギードナー、化合物132はエネルギーアクセプターとして機能する。
ここで、本発明の一態様である発光デバイスでは、上述したような化合物132の発光団に保護基を有するゲスト材料を用いる。該構成とすることで、上述のように、ルートA15で表されるデクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、三重項励起エネルギーの失活を抑制することができる。そのため、発光効率の高い蛍光発光デバイスを得ることができる。
<発光層の構成例7>
図6Aに示す発光層130は、化合物131と、化合物132と、さらに化合物133と、を有する。本発明の一態様において、化合物132は、実施の形態1に示した保護基を有する蛍光性材料である。また、化合物133は、三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する。本構成例では化合物133がりん光性材料である場合について説明する。
図6Bは、本発明の一態様の発光デバイス150の発光層130におけるエネルギー準位の相関の一例である。図6Bにおける表記及び符号は、以下の通りである。
・Comp(131):化合物131
・Comp(133):化合物133
・Guest(132):化合物132
・SC1:化合物131のS1準位
・TC1:化合物131のT1準位
・TC3:化合物133のT1準位
・TG:化合物132のT1準位
・SG:化合物132のS1準位
本発明の一態様の発光デバイスにおいては、発光層130が有する化合物131において主としてキャリアの再結合が生じることにより、一重項励起子及び三重項励起子が生じる。ここで化合物133はりん光性材料であるため、TC3≦TC1という関係の材料を選択することで、化合物131で生じた一重項及び三重項励起エネルギー双方を化合物133のTC3準位へ移動することができる(図6BルートA18)。
りん光性材料がエネルギードナーである場合、エネルギードナーの三重項励起エネルギー準位からゲスト材料(エネルギーアクセプター)の一重項励起エネルギー準位へのエネルギー移動が許容遷移となるため好ましい。よって、化合物133の三重項励起エネルギーをルートA19の過程によってゲスト材料のS1準位(SG)へ移動させることができる。ルートA19において、化合物133はエネルギードナー、化合物132はエネルギーアクセプターとして機能する。この場合、TC3≧SGであると、化合物133の励起エネルギーが効率良くゲスト材料である化合物132の一重項励起状態へ移動するため好ましい。
ここで、本発明の一態様である発光デバイスでは、化合物132に発光団に保護基を有するゲスト材料を用いる。該構成とすることで、上述のように、ルートA20で表されるデクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、三重項励起エネルギーの失活を抑制することができる。そのため、発光効率の高い蛍光発光デバイスを得ることができる。
<発光層の構成例8>
図6Cは、本発明の一態様の発光デバイス150の発光層130におけるエネルギー準位の相関の一例である。図6Cに示す発光層130は、化合物131と、化合物132と、さらに化合物133と、を有する。本発明の一態様において、化合物132は、実施の形態1に示した保護基を有する蛍光性材料である。また、化合物133は、三重項励起エネルギーを発光に変換できる機能を有する。本構成例では化合物133がTADF性を有する化合物である場合について説明する。
図6Cにおける表記及び符号は、以下の通りであり、その他の表記及び符号は図6Bに示す表記及び符号と同様である。
・SC3:化合物133のS1準位
本発明の一態様の発光デバイスにおいては、発光層130が有する化合物131において主としてキャリアの再結合が生じることにより、一重項励起子及び三重項励起子が生じる。ここでSC3≦SC1かつTC3≦TC1という関係の材料を選択することで、化合物131で生じた一重項励起エネルギー及び三重項励起エネルギー双方を化合物133のSC3及びTC3準位へ移動することができる(図6CルートA21)。なお、一部のキャリアは、化合物133で再結合し得る。
ここで、化合物134はTADF材料であるため、三重項励起エネルギーをアップコンバージョンによって一重項励起エネルギーに変換する機能を有する(図6C ルートA22)。また、化合物133が有する一重項励起エネルギーは、速やかに化合物132へ移動することができる。(図6C ルートA23)。このとき、SC3≧SGであると好ましい。具体的には、化合物133の蛍光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをSC3とし、化合物132の吸収スペクトルの吸収端の波長のエネルギーをSGとした際に、SC3≧SGであることが好ましい。ルートA21乃至ルートA23の過程を経ることで、発光層130中の三重項励起エネルギーを化合物132の蛍光発光へ変換することができる。ルートA23において、化合物133はエネルギードナー、化合物132はエネルギーアクセプターとして機能する。
ここで、本発明の一態様である発光デバイスでは、化合物132に発光団に保護基を有するゲスト材料を用いる。該構成とすることで、上述のように、ルートA24で表されるデクスター機構によるエネルギー移動を抑制し、三重項励起エネルギーの失活を抑制することができる。そのため、発光効率の高い蛍光発光デバイスを得ることができる。
<材料>
次に、本発明の一態様に係わる発光デバイスの構成要素の詳細について、以下説明を行う。
≪発光層≫
発光層130に用いることができる材料について、それぞれ以下に説明する。本発明の一態様の発光デバイスの発光層には、三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有するエネルギードナーと、発光団及び保護基を有するエネルギーアクセプターを用いる。三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料としては、TADF材料、励起錯体及びりん光性材料等が挙げられる。
エネルギーアクセプターとして機能する化合物132が有する発光団としては、例えばフェナントレン骨格、スチルベン骨格、アクリドン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格等が挙げられる。特にナフタレン骨格、アントラセン骨格、フルオレン骨格、クリセン骨格、トリフェニレン骨格、テトラセン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、クマリン骨格、キナクリドン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格を有する蛍光性材料は蛍光量子収率が高いため好ましい。
また、保護基としては炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素数3以上10以下の分岐鎖アルキル基、炭素数3以上12以下のトリアルキルシリル基が好ましい。
炭素数1以上10以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、後述する炭素数3以上10以下の分岐鎖アルキル基が特に好ましい。なお、該アルキル基はこれらに限定されない。
炭素数3以上10以下のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。該シクロアルキル基はこれらに限定されない。また該シクロアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のような炭素数1以上7以下のアルキル基や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、8,9,10-トリノルボルナニル基、のような炭素数5以上7以下のシクロアルキル基や、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基のような炭素数6以上12以下のアリール基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基等が挙げられる。該分岐鎖アルキル基はこれらに限定されない。
炭素数3以上12以下のトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。該トリアルキルシリル基はこれらに限定されない。
また、該エネルギーアクセプターの分子構造としては、発光団と2つ以上のアリール基が結合し、アリール基のそれぞれが少なくとも一つの保護基を有する構造であると好ましい。該アリール基のそれぞれに少なくとも2つの保護基が結合するとさらに好ましい。保護基の数が多い方が、発光層に該ゲスト材料を用いた場合、デクスター機構によるエネルギー移動を抑制する効果が大きいためである。なお、分子量の増大を抑制し、昇華性を保つため、アリール基はフェニル基であることが好ましい。なお、発光団とアリール基は発光団が有する窒素原子で結合を有する構造が好ましい。
また、発光団に2つ以上のアリール基を結合させることによって、発光色を調整しつつ、量子収率が高い蛍光性材料を得ることができる。また、該アリール基は発光団に対して対称の位置に結合すると好ましい。該構成とすることによって、高い量子収率を有する蛍光性材料とすることができる。
また、発光団に直接保護基を導入するのではなく、アリール基を介して保護基を導入しても構わない。該構成とすることで、発光団を覆うように保護基を配置することができるため、どの方向からでもホスト材料と発光団との距離を遠ざけることができるため好ましい。また、発光団に直接保護基を結合させない場合、保護基は発光団1つに対して4つ以上導入することが好ましい。
また、図3で示したように、複数の保護基を構成する原子の少なくとも一つが、発光団すなわち縮合芳香環または縮合複素芳香環の一方の面の直上に位置し、かつ、複数の保護基を構成する原子の少なくとも一つが、該縮合芳香環または該縮合複素芳香環の他方の面の直上に位置する構成が好ましい。その具体的な手法としては、以下のような構成が挙げられる。すなわち、発光団である縮合芳香環または縮合複素芳香環が、2以上のフェニル基と結合し、該2以上のフェニル基は、それぞれ独立に、オルト位に保護基を有する。
このような構成とすることで、図3にて示したように、フェニル基上のオルト位の保護基が、発光団である縮合芳香環または縮合複素芳香環の直上に来るような立体配置を取ることができる。その結果、該縮合芳香環または該縮合複素芳香環の面の上方及び下方を効率良く覆うことができ、デクスター機構によるエネルギー移動を抑制することができる。
以上で述べたようなエネルギーアクセプター材料としては、特に、実施の形態1で示した有機化合物が好ましい。
化合物131、化合物133および化合物134のいずれかに用いることが可能なTADF材料としては、正孔輸送性を有する骨格と、電子輸送性を有する骨格と、を有することが好ましい。または、π電子過剰骨格または芳香族アミン骨格と、π電子不足骨格と、を有することが好ましい。そうすることで、分子内でドナー-アクセプター型の励起状態を形成しやすくなる。さらに、分子内でドナー性とアクセプター性が共に強くなるよう、電子輸送性を有する骨格と、正孔輸送性を有する骨格と、が直接結合する構造を有することが好ましい。あるいは、π電子過剰骨格または芳香族アミン骨格と、π電子不足骨格と、が直接結合する構造を有すると好ましい。分子内でのドナー性とアクセプター性を共に強くすることで、HOMOにおける分子軌道が分布する領域と、LUMOにおける分子軌道が分布する領域との重なりを小さくすることができ、一重項励起エネルギー準位と三重項励起エネルギー準位とのエネルギー差を小さくすることが可能となる。また、三重項励起エネルギー準位を高いエネルギーに保つことが可能となる。TADF材料のS1準位とT1準位とのエネルギー差は小さいことが好ましく、具体的には0eVより大きく0.2eV以下であることが好ましい。
TADF材料としては、例えば以下の材料を用いることができる。
まず、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(SnF2(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtCl2OEP)等が挙げられる。
また、一種の材料から構成されるTADF材料としては、π電子過剰骨格及びπ電子不足骨格の一方または双方を有する複素環化合物も用いることができる。具体的には、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)、4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4PCCzBfpm)、4-[4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4PCCzPBfpm)、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)等が挙げられる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格のうち、ピリジン骨格、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、およびトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため好ましい。特に、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格はアクセプター性が高く、信頼性が良好なため好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の少なくとも一を有することが好ましい。なお、フラン骨格としてはジベンゾフラン骨格が、チオフェン骨格としてはジベンゾチオフェン骨格が、それぞれ好ましい。また、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾール骨格、ビカルバゾール骨格、3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール骨格が特に好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強く、一重項励起状態の準位と三重項励起状態の準位の差が小さくなるため、特に好ましい。なお、π電子不足型複素芳香環の代わりに、シアノ基のような電子吸引基が結合した芳香環を用いても良い。また、π電子過剰型骨格として、芳香族アミン骨格、フェナジン骨格等を用いることができる。また、π電子不足型骨格として、キサンテン骨格、チオキサンテンジオキサイド骨格、オキサジアゾール骨格、トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、アントラキノン骨格、フェニルボランやボラントレン等の含ホウ素骨格、ベンゾニトリルまたはシアノベンゼン等のニトリル基またはシアノ基を有する芳香環や複素芳香環、ベンゾフェノン等のカルボニル骨格、ホスフィンオキシド骨格、スルホン骨格等を用いることができる。このように、π電子不足型複素芳香環およびπ電子過剰型複素芳香環の少なくとも一方の代わりにπ電子不足型骨格およびπ電子過剰型骨格を用いることができる。
また、化合物131、化合物133および化合物134のいずれかに用いることが可能なりん光性材料としては、イリジウム、ロジウム、または白金系の有機金属錯体、あるいは金属錯体が挙げられる。また、ポルフィリン配位子を有する白金錯体や有機イリジウム錯体が挙げられ、中でも例えば、イリジウム系オルトメタル錯体等の有機イリジウム錯体が好ましい。オルトメタル化する配位子としては4H-トリアゾール配位子、1H-トリアゾール配位子、イミダゾール配位子、ピリジン配位子、ピリミジン配位子、ピラジン配位子、あるいはイソキノリン配位子などが挙げられる。この場合、化合物133(りん光性材料)は三重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移の吸収帯を有する。また、当該りん光性材料をエネルギードナーとして用いる場合、当該りん光性材料の発光ピークが、化合物132(蛍光性材料)の最も長波長側(低エネルギー側)の吸収帯と重なるよう材料を選択することが好ましい。これにより、発光効率が飛躍的に向上した発光デバイスとすることができる。当該りん光性材料としては、具体的には以下のようなものが挙げられる。
青色または緑色に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(mpptz-dmp)3)、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz)3)、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrptz-3b)3)、トリス[3-(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPr5btz)3)、のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz1-mp)3)、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Prptz1-Me)3)のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrpmi)3)、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(dmpimpt-Me)3)のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。上述した中でも、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格およびイミダゾール骨格のような含窒素五員複素環骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、高い三重項励起エネルギーを有し、信頼性や発光効率にも優れるため、特に好ましい。
また、緑色または黄色に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)3)、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)3)、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[4-(2-ノルボルニル)-6-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(nbppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(mpmppm)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(dmppm-dmp)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(dppm)2(acac))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-Me)2(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr-iPr)2(acac))のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)2(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq)3)、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq)3)、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)2(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)2(acac))、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p-PF-ph)2(acac))、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)2(acac))など有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)3(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
また、黄色または赤色に発光ピークを有する物質としては、例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)2(dibm))、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)2(dpm))、ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(d1npm)2(dpm))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(acac))、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)2(dpm))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)2(acac))のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)3)、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)2(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)3(Phen))、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)3(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得られる。
また、化合物131、化合物133および化合物134のいずれかが励起錯体を形成する場合、上記TADF材料およびりん光性材料のほかに亜鉛やアルミニウム系金属錯体の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。他の例としては、芳香族アミンやカルバゾール誘導体などが挙げられる。
また、以下の正孔輸送性材料および電子輸送性材料を用いることができる。
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的には、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、スチルベン誘導体などを用いることができる。また、該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても良い。
これら正孔輸送性の高い材料として、例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、具体的には、3-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、他に、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、1,4-ビス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]-2,3,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス(4-フェニルフェニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAnth)、9,10-ビス(4-メチル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,10’-ジフェニル-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニル)-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフェニル)フェニル]-9,9’-ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14乃至炭素数42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
また、正孔輸送性の高い材料としては、例えば、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)やN,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPASF)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)アミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-アミン(略称:PCBASF)、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、2,7-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジメチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。また、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、3-[4-(9-フェナントリル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、1,3,5-トリ(ジベンゾチオフェン-4-イル)-ベンゼン(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)、4-[3-(トリフェニレン-2-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp-II)等のアミン化合物、カルバゾール化合物、チオフェン化合物、フラン化合物、フルオレン化合物、トリフェニレン化合物、フェナントレン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。
電子輸送性材料としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受け取りやすい材料(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族化合物や金属錯体などを用いることができる。具体的には、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体などが挙げられる。
例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び、6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)などのジアジン骨格を有する複素環化合物や、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)などのトリアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
なお、励起錯体を形成する化合物にTADF材料やりん光性材料が含まれない場合、一方が電子を輸送する機能を有し、他方が正孔を輸送する機能を有すると好ましい。また、一方がπ電子不足型複素芳香環を有し、他方がπ電子過剰型複素芳香環を有すると好ましい。
また、励起錯体の発光ピークは、化合物132(蛍光性材料)の最も長波長側(低エネルギー側)の吸収帯と重なるように化合物131と化合物133または化合物131と化合物134、および化合物132(蛍光性材料)を選択することが好ましい。これにより、発光効率が飛躍的に向上した発光デバイスとすることができる。
また、りん光性材料を一方の材料として励起錯体を形成する場合、りん光性材料は常温で発光する必要はなく、励起錯体を形成した際に常温で発光できればよい。この場合、例えば、Ir(ppz)3などをりん光性材料として用いることができる。
なお、発光層130は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層130とする場合、第1の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。
また、発光層130において、化合物131、化合物132、化合物133及び化合物134以外の材料(化合物135(図示せず))が含まれていても良い。その場合、化合物131及び化合物133(または化合物134)が効率よく励起錯体を形成するためには、化合物131及び化合物133(または化合物134)のうち一方のHOMO準位が発光層130中の材料のうち最も高いHOMO準位を有し、他方のLUMO準位が発光層130中の材料のうち最も低いLUMO準位を有すると好ましい。そのようなエネルギー準位の相関とすることで、化合物131と化合物135とで励起錯体を形成する反応を抑制することができる。
例えば、化合物131が正孔輸送性を有し、化合物133(または化合物134)が電子輸送性を有する場合、化合物131のHOMO準位が化合物133のHOMO準位および化合物135のHOMO準位より高いことが好ましく、化合物133のLUMO準位が化合物131のLUMO準位および化合物135のLUMO準位より低いことが好ましい。この場合、化合物135のLUMO準位は、化合物131のLUMO準位より高くても低くてもよい。また、化合物135のHOMO準位は、化合物133のHOMO準位より高くても低くてもよい。
化合物135としては、特に限定はないが、例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N,9-ジフェニル-N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)などを挙げることができる。また、これら及び公知の物質の中から、上記化合物131及び化合物132のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。
≪一対の電極≫
電極101及び電極102は、発光層130へ正孔と電子を注入する機能を有する。電極101及び電極102は、金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物や積層体などを用いて形成することができる。金属としてはアルミニウム(Al)が典型例であり、その他、銀(Ag)、タングステン、クロム、モリブデン、銅、チタンなどの遷移金属、リチウム(Li)やセシウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム(Mg)などの第2族金属を用いることができる。遷移金属としてイッテルビウム(Yb)などの希土類金属を用いても良い。合金としては、上記金属を含む合金を使用することができ、例えばMgAg、AlLiなどが挙げられる。導電性化合物としては、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITO)、珪素または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)、タングステン及び亜鉛を含有したインジウム酸化物などの金属酸化物が挙げられる。導電性化合物としてグラフェンなどの無機炭素系材料を用いても良い。上述したように、これらの材料の複数を積層することによって電極101及び電極102の一方または双方を形成しても良い。
また、発光層130から得られる発光は、電極101及び電極102の一方または双方を通して取り出される。したがって、電極101及び電極102の少なくとも一つは可視光を透過する機能を有する。光を透過する機能を有する導電性材料としては、可視光の透過率が40%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下であり、かつその抵抗率が1×10-2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。また、光を取り出す方の電極は、光を透過する機能と、光を反射する機能と、を有する導電性材料により形成されても良い。該導電性材料としては、可視光の反射率が20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下であり、かつその抵抗率が1×10-2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。光を取り出す方の電極に金属や合金などの光透過性の低い材料を用いる場合には、可視光を透過できる程度の厚さ(例えば、1nmから10nmの厚さ)で電極101及び電極102の一方または双方を形成すればよい。
なお、本明細書等において、光を透過する機能を有する電極には、可視光を透過する機能を有し、且つ導電性を有する材料を用いればよく、例えば上記のようなITOに代表される酸化物導電体層に加えて、酸化物半導体層、または有機物を含む有機導電体層を含む。有機物を含む有機導電体層としては、例えば、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を含む層、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を含む層等が挙げられる。また、透明導電層の抵抗率としては、好ましくは1×105Ω・cm以下、さらに好ましくは1×104Ω・cm以下である。
また、電極101及び電極102の成膜方法は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、塗布法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。
≪正孔注入層≫
正孔注入層111は、一対の電極の一方(電極101または電極102)からのホール注入障壁を低減することでホール注入を促進する機能を有し、例えば遷移金属酸化物、フタロシアニン誘導体、あるいは芳香族アミンなどによって形成される。遷移金属酸化物としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物などが挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、フタロシアニンや金属フタロシアニンなどが挙げられる。芳香族アミンとしてはベンジジン誘導体やフェニレンジアミン誘導体などが挙げられる。ポリチオフェンやポリアニリンなどの高分子化合物を用いることもでき、例えば自己ドープされたポリチオフェンであるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)などがその代表例である。
正孔注入層111として、正孔輸送性材料と、これに対して電子受容性を示す材料の複合材料を有する層を用いることもできる。あるいは、電子受容性を示す材料を含む層と正孔輸送性材料を含む層の積層を用いても良い。これらの材料間では定常状態、あるいは電界存在下において電荷の授受が可能である。電子受容性を示す材料としては、キノジメタン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプターを挙げることができる。具体的には、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F6-TCNNQ)等の電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基やシアノ基)を有する化合物を挙げることができる。特に、HAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基やシアノ基)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などが挙げられる。また、遷移金属酸化物、例えば第4族から第8族金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどである。中でも酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
正孔輸送性材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的には、発光層130に用いることができる正孔輸送性材料として挙げた芳香族アミンおよびカルバゾール誘導体を用いることができる。また、芳香族炭化水素およびスチルベン誘導体などを用いることができる。また、該正孔輸送性材料は高分子化合物であっても良い。
芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス(4-フェニルフェニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAnth)、9,10-ビス(4-メチル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(1-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,10’-ジフェニル-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニル)-9,9’-ビアントリル、10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフェニル)フェニル]-9,9’-ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14以上炭素数42以下である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
≪正孔輸送層≫
正孔輸送層112は正孔輸送性材料を含む層であり、正孔注入層111の材料として例示した材料を使用することができる。正孔輸送層112は正孔注入層111に注入された正孔を発光層130へ輸送する機能を有するため、正孔注入層111のHOMO準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有することが好ましい。
上記正孔輸送性材料として、正孔注入層111の材料として例示した材料を用いることができる。また、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層してもよい。
≪電子輸送層≫
電子輸送層118は、電子注入層119を経て一対の電極の他方(電極101または電極102)から注入された電子を発光層130へ輸送する機能を有する。電子輸送性材料としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族や金属錯体などを用いることができる。具体的には、発光層130に用いることができる電子輸送性材料として挙げたキノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体が挙げられる。また、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体などが挙げられる。また、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層118は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層してもよい。
また、電子輸送層118と発光層130との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けても良い。電子キャリアの移動を制御する層は、上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であり、電子キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
≪電子注入層≫
電子注入層119は電極102からの電子注入障壁を低減することで電子注入を促進する機能を有し、例えば第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩などを用いることができる。また、先に示す電子輸送性材料と、これに対して電子供与性を示す材料の複合材料を用いることもできる。電子供与性を示す材料としては、第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物などを挙げることができる。具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層119にエレクトライドを用いてもよい。該エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。また、電子注入層119に、電子輸送層118で用いることが出来る物質を用いても良い。
また、電子注入層119に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層118を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、ノズルプリント法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層には、上述した材料の他、量子ドットなどの無機化合物または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよい。
なお、量子ドットとしては、コロイド状量子ドット、合金型量子ドット、コア・シェル型量子ドット、コア型量子ドット、などを用いてもよい。また、2族と16族、13族と15族、13族と17族、11族と17族、または14族と15族の元素グループを含む量子ドットを用いてもよい。または、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、硫黄(S)、リン(P)、インジウム(In)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、等の元素を有する量子ドットを用いてもよい。
ウェットプロセスに用いる液媒体としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることができる。
また、発光層に用いることができる高分子化合物としては、例えば、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン](略称:MEH-PPV)、ポリ(2,5-ジオクチル-1,4-フェニレンビニレン)等のポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリ(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)(略称:PF8)、ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル)](略称:F8BT)、ポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-(2,2’-ビチオフェン-5,5’-ジイル)](略称F8T2)、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレニレン)-alt-(9,10-アントラセン)]、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(2,5-ジメチル-1,4-フェニレン)]等のポリフルオレン誘導体、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(略称:P3HT)等のポリアルキルチオフェン(PAT)誘導体、ポリフェニレン誘導体等が挙げられる。また、これらの高分子化合物や、PVK、ポリ(2-ビニルナフタレン)、ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン](略称:PTAA)等の高分子化合物に、発光性の化合物をドープして発光層に用いてもよい。発光性の化合物としては、先に挙げた発光性の化合物を用いることができる。
≪基板≫
また、本発明の一態様に係る発光デバイスは、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に作製すればよい。基板上に作製する順番としては、電極101側から順に積層しても、電極102側から順に積層しても良い。
なお、本発明の一態様に係る発光デバイスを形成できる基板としては、例えばガラス、石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレートからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光デバイス、及び光学素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。あるいは、発光デバイス、及び光学素子を保護する機能を有するものであればよい。
例えば、本発明の一態様においては、様々な基板を用いて発光デバイスを形成することが出来る。基板の種類は、特に限定されない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含むセルロースナノファイバ(CNF)や紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、発光デバイスを形成してもよい。または、基板と発光デバイスとの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に発光デバイスを一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも発光デバイスを転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
つまり、ある基板を用いて発光デバイスを形成し、その後、別の基板に発光デバイスを転置し、別の基板上に発光デバイスを配置してもよい。発光デバイスが転置される基板の一例としては、上述した基板に加え、セロファン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、壊れにくい発光デバイス、耐熱性の高い発光デバイス、軽量化された発光デバイス、または薄型化された発光デバイスとすることができる。
また、上述した基板上に、例えば電界効果トランジスタ(FET)を形成し、FETと電気的に接続された電極上に発光デバイス150を作製してもよい。これにより、FETによって発光デバイスの駆動を制御するアクティブマトリクス型の表示装置を作製できる。
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1に示す発光デバイスの構成と異なる構成の発光デバイスについて、図7を用いて、以下説明を行う。なお、図7において、図1Aに示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
<発光デバイスの構成例2>
図7は、発光デバイス250の断面模式図である。
図7に示す発光デバイス250は、一対の電極(電極101及び電極102)の間に、複数の発光ユニット(発光ユニット106及び発光ユニット108)を有する。複数の発光ユニットのうちいずれか一つの発光ユニットは、図1Aに示した、EL層100と同様な構成を有すると好ましい。つまり、図1Aで示した発光デバイス150は、1つの発光ユニットを有し、発光デバイス250は、複数の発光ユニットを有すると好ましい。なお、発光デバイス250において、電極101が陽極として機能し、電極102が陰極として機能するとして、以下説明するが、発光デバイス250の構成としては、逆であっても構わない。
また、図7に示す発光デバイス250において、発光ユニット106と発光ユニット108とが積層されており、発光ユニット106と発光ユニット108との間には電荷発生層115が設けられる。なお、発光ユニット106と発光ユニット108は、同じ構成でも異なる構成でもよい。例えば、発光ユニット108に、EL層100と同様な構成を用いると好ましい。
また、発光デバイス250は、発光層120と、発光層170と、を有する。また、発光ユニット106は、発光層120の他に、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層113、及び電子注入層114を有する。また、発光ユニット108は、発光層170の他に、正孔注入層116、正孔輸送層117、電子輸送層118、及び電子注入層119を有する。
発光デバイス250は発光ユニット106及び発光ユニット108が有するいずれかの層に本発明の一態様に係る化合物が含まれていればよい。なお、該化合物が含まれる層として好ましくは発光層120または発光層170である。
電荷発生層115は、正孔輸送性材料に電子受容体であるアクセプター性物質が添加された構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体であるドナー性物質が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
電荷発生層115に、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料が含まれる場合、該複合材料には実施の形態1に示す正孔注入層111に用いることができる複合材料を用いればよい。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が1×10-6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物とアクセプター性物質の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。なお、発光ユニットの陽極側の面が電荷発生層115に接している場合は、電荷発生層115が該発光ユニットの正孔注入層または正孔輸送層の役割も担うことができるため、該発光ユニットには正孔注入層または正孔輸送層を設けない構成であっても良い。あるいは、発光ユニットの陰極側の面が電荷発生層115に接している場合は、電荷発生層115が該発光ユニットの電子注入層または電子輸送層の役割も担うことができるため、該発光ユニットには電子注入層または電子輸送層を設けない構成であっても良い。
なお、電荷発生層115は、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と他の材料により構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料を含む層と、透明導電膜を含む層とを組み合わせて形成してもよい。
なお、発光ユニット106と発光ユニット108とに挟まれる電荷発生層115は、電極101と電極102とに電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図7において、電極101の電位の方が電極102の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層115は、発光ユニット106に電子を注入し、発光ユニット108に正孔を注入する。
なお、電荷発生層115は、光取出し効率の点から、可視光に対して透光性(具体的には、電荷発生層115に対する可視光の透過率が40%以上)を有することが好ましい。また、電荷発生層115は、一対の電極(電極101及び電極102)よりも低い導電率であっても機能する。
上述した材料を用いて電荷発生層115を形成することにより、発光層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
また、図7においては、2つの発光ユニットを有する発光デバイスについて説明したが、3つ以上の発光ユニットを積層した発光デバイスについても、同様に適用することが可能である。発光デバイス250に示すように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに長寿命な発光デバイスを実現できる。また、消費電力が低い発光デバイスを実現することができる。
なお、上記各構成において、発光ユニット106及び発光ユニット108、に用いるゲスト材料が呈する発光色としては、互いに同じであっても異なっていてもよい。発光ユニット106及び発光ユニット108、で互いに同じ色の発光を呈する機能を有するゲスト材料を有する場合、発光デバイス250は少ない電流値で高い発光輝度を呈する発光デバイスとなり好ましい。また、発光ユニット106及び発光ユニット108、で互いに異なる色の発光を呈する機能を有するゲスト材料を有する場合、発光デバイス250は多色発光を呈する発光デバイスとなり好ましい。この場合、発光層120及び発光層170のいずれか一方もしくは双方、に発光波長の異なる複数の発光材料を用いることによって、発光デバイス250が呈する発光スペクトルは異なる発光ピークを有する発光が合成された光となるため、少なくとも二つの極大値を有する発光スペクトルとなる。
上記の構成は白色発光を得るためにも好適である。発光層120及び発光層170、の光を互いに補色の関係とすることによって、白色発光を得ることができる。特に、演色性の高い白色発光、あるいは少なくとも赤色と緑色と青色とを有する発光、になるようゲスト材料を選択することが好適である。
発光層120及び発光層170の一方または両方に実施の形態1で示した発光層130の構成を用いると好ましい。該構成にすることによって、発光効率及び信頼性が良好な発光デバイスを得ることができる。発光層130に含まれるゲスト材料は蛍光性材料である。そのため、発光層120及び発光層170の一方または両方に実施の形態1で示した発光層130の構成を用いることで、高効率、高信頼性を有する発光デバイスを得ることができる。
また、3つ以上の発光ユニットを積層した発光デバイスの場合、それぞれの発光ユニットに用いるゲスト材料が呈する発光色は、互いに同じであっても異なっていてもよい。同色の発光を呈する発光ユニットを複数有する場合、この複数の発光ユニットが呈する発光色は、小さい電流値で高い発光輝度を得ることができる。このような構成は、発光色の調整に好適に用いることができる。特に、発光効率が異なり且つ、異なる発光色を呈するゲスト材料を用いる場合に好適である。例えば、3層の発光ユニットを有する場合、同色の蛍光性材料を有する発光ユニットを2層、該蛍光性材料とは異なる発光色を呈するりん光材料を有する発光ユニットを1層とすることで、蛍光発光とりん光発光の発光強度を調整することができる。すなわち、発光ユニットの数によって発光色の強度を調整可能である。
このような蛍光発光ユニットを2層、りん光発光ユニットを1層有する発光デバイスの場合、青色蛍光性材料を含む発光ユニットを2層及び黄色りん光材料を含む発光ユニットを1層含有する発光デバイス、青色蛍光性材料を含む発光ユニットを2層及び、赤りん光材料及び緑りん光材料を含む発光ユニットを1層有する発光デバイスまたは、青色蛍光性材料を含む発光ユニットを2層及び赤りん光材料、黄色りん光材料及び緑りん光材料を含む発光ユニットを1層有する発光デバイス、であると効率良く白色発光が得られるため好ましい。このように本発明の一態様の発光デバイスは、りん光発光ユニットと適宜組み合わせることができる。
また、上述のりん光発光ユニットは青色以外の発光色を呈する。この青色以外の発光ユニットとして実施の形態1で示した発光層130の構成を用いることが可能である。この場合、青色以外の発光ユニットは蛍光性材料を有する。例えば、青色蛍光性材料を含む発光ユニットを2層及び黄色蛍光性材料を含む発光ユニットを1層含有する発光デバイス、青色蛍光性材料を含む発光ユニットを2層及び、赤蛍光性材料及び緑蛍光性材料を含む発光ユニットを1層有する発光デバイスまたは、青色蛍光性材料を含む発光ユニットを2層及び赤蛍光性材料、黄色蛍光性材料及び緑蛍光性材料を含む発光ユニットを1層有する発光デバイスが考えられる。この場合、発光デバイスが有する発光ユニットの中で、青色以外の発光を呈する発光ユニット、上述の発光ユニットの組合せの場合、赤、緑、黄色の発光ユニットに実施の形態1で示した発光層130の構成も用いる構成が考えられる。該構成とすることで、効率良く白色発光が得られるため好ましい。この場合、青色蛍光発光ユニットが有する発光層には下記の材料を用いることができる。また、該青色蛍光発光ユニットが有する発光層に含まれるホスト材料のT1準位とゲスト材料のT1準位の関係はホスト材料のT1準位<ゲスト材料のT1準位であると、三重項-三重項消滅(TTA:triplet-triplet annihilation)による高効率化が期待できるため好ましい。もちろん、青色蛍光発光ユニットに実施の形態1で示した発光層130の構成も用いても構わない。
また、発光層120または発光層170の少なくとも一つを層状にさらに分割し、当該分割した層ごとに異なる発光材料を含有させるようにしても良い。すなわち、発光層120、または発光層170の少なくとも一つが2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層とする場合、第1の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する材料を用い、第2の発光層のホスト材料として電子輸送性を有する材料を用いる構成などがある。この場合、第1の発光層と第2の発光層とが有する発光材料は、同じ材料あっても異なる材料であってもよく、同じ色の発光を呈する機能を有する材料であっても、異なる色の発光を呈する機能を有する材料であってもよい。互いに異なる色の発光を呈する機能を有する複数の発光材料を有する構成により、三原色や、4色以上の発光色からなる演色性の高い白色発光を得ることもできる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では実施の形態1及び実施の形態3で説明した発光デバイスを用いた発光装置について、図8A及び図8Bを用いて説明する。
図8Aは、発光装置を示す上面図、図8Bは図8AをA-BおよびC-Dで切断した断面図である。この発光装置は、発光デバイスの発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、625は乾燥材、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB:Printed Wiring Board)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態を含むものとする。
次に、上記発光装置の断面構造について図8Bを用いて説明する。素子基板610上に駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は種々のCMOS回路、PMOS回路等で形成しても良い。また本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく、外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆うように絶縁物614が形成されている。絶縁物614は、ポジ型の感光性樹脂膜を用いることにより形成することができる。
また、絶縁物614上に形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料として感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲面をもたせることが好ましい。該曲面の曲率半径は0.2μm以上0.3μm以下が好ましい。また、絶縁物614として、ネガ型、ポジ型、いずれの感光材料も使用することができる。
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したインジウム錫酸化物膜、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616を構成する材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、EL層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi等)を用いることが好ましい。なお、EL層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617により、発光デバイス618が形成されている。発光デバイス618は実施の形態1及び実施の形態2の構成を有する発光デバイスであると好ましい。なお、画素部は複数の発光デバイスが形成されてなっているが、本実施の形態における発光装置では、実施の形態2で説明した構成を有する発光デバイスと、それ以外の構成を有する発光デバイスの両方が含まれていても良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光デバイス618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、樹脂若しくは乾燥材又はその両方で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、実施の形態2で説明した発光デバイスを用いた発光装置を得ることができる。
<発光装置の構成例1>
図9には発光装置の一例として、白色発光を呈する発光デバイスを形成し、着色層(カラーフィルタ)を形成した発光装置の例を示す。
図9Aには基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光デバイスの第1の電極1024W、1024R、1024G、1024B、隔壁1026、EL層1028、発光デバイスの第2の電極1029、封止基板1031、シール材1032、赤色画素1044R、緑色画素1044G、青色画素1044B、白色画素1044Wなどが図示されている。
また、図9A、図9Bには着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を透明な基材1033に設けている。また、黒色層(ブラックマトリックス)1035をさらに設けても良い。着色層及び黒色層が設けられた透明な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及び黒色層は、オーバーコート層1036で覆われている。また、図9Aにおいては、光が着色層を透過せずに外部へと出る発光層と、各色の着色層を透過して外部に光が出る発光層とがあり、着色層を透過しない光は白、着色層を透過する光は赤、青、緑となることから、4色の画素で映像を表現することができる。
図9Bでは赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034Bをゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例を示した。図9Bに示すように着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられても良い。
また、以上に説明した発光装置では、TFTが形成されている基板1001側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としたが、封止基板1031側に発光を取り出す構造(トップエミッション型)の発光装置としても良い。
<発光装置の構成例2>
トップエミッション型の発光装置の断面図を図10A及び図10Bに示す。この場合、基板1001は光を通さない基板を用いることができる。TFTと発光デバイスの陽極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトムエミッション型の発光装置と同様に形成する。その後、第3の層間絶縁膜1037を電極1022を覆って形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜1021と同様の材料の他、他の様々な材料を用いて形成することができる。
発光デバイスの下部電極1025W、下部電極1025R、下部電極1025G、下部電極1025Bはここでは陽極とするが、陰極であっても構わない。また、図10A及び図10Bのようなトップエミッション型の発光装置である場合、下部電極1025W、下部電極1025R、下部電極1025G、下部電極1025Bは反射電極とすることが好ましい。なお、第2の電極1029は光を反射する機能と、光を透過する機能を有すると好ましい。また、第2の電極1029と下部電極1025W、下部電極1025R、下部電極1025G、下部電極1025Bとの間でマイクロキャビティ構造を適用し特定波長の光を増幅する機能を有すると好ましい。EL層1028の構成は、実施の形態1及び実施の形態3で説明したような構成とし、白色の発光が得られるような素子構造とする。
図9A、図9B、図10A及び図10Bにおいて、白色の発光が得られるEL層の構成としては、発光層を複数層用いること、複数の発光ユニットを用いることなどにより実現すればよい。なお、白色発光を得る構成はこれらに限られない。
図10A及び図10Bのようなトップエミッション構造では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うことができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するように黒色層(ブラックマトリックス)1030を設けても良い。着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)はオーバーコート層によって覆われていても良い。なお封止基板1031は透光性を有する基板を用いる。
また、図10Aでは赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行う構成を示したが、図10Bに示すように、赤、緑、青、白の4色でフルカラー表示を行っても構わない。また、フルカラー表示を行う構成はこれらに限定されない。例えば、また、赤、緑、青、黄の4色でフルカラー表示を行ってもよい。
本発明の一態様に係る発光デバイスは、ゲスト材料として蛍光性材料を用いる。蛍光性材料はりん光材料と比較し、スペクトルがシャープであるため、色純度が高い発光を得ることができる。そのため、本実施の形態に示す発光装置に該発光デバイスを用いることによって、色再現性が高い発光装置を得ることができる。
以上のようにして、実施の形態2で説明した発光デバイスを用いた発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器及び表示装置について説明する。
本発明の一態様によって、平面を有し、発光効率が良好な、信頼性の高い電子機器及び表示装置を作製できる。また、本発明の一態様により、曲面を有し、発光効率が良好な、信頼性の高い電子機器及び表示装置を作製できる。また、上述のように色再現性が高い発光デバイスを得ることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
図11A、図11Bに示す携帯情報端末900は、筐体901、筐体902、表示部903、及びヒンジ部905等を有する。
筐体901と筐体902は、ヒンジ部905で連結されている。携帯情報端末900は、折り畳んだ状態(図11A)から、図11Bに示すように展開させることができる。これにより、持ち運ぶ際には可搬性に優れ、使用するときには大きな表示領域により、視認性に優れる。
携帯情報端末900には、ヒンジ部905により連結された筐体901と筐体902に亘って、フレキシブルな表示部903が設けられている。
本発明の一態様を用いて作製された発光装置を、表示部903に用いることができる。これにより、高信頼性を有する携帯情報端末を作製することができる。
表示部903は、文書情報、静止画像、及び動画像等のうち少なくとも一つを表示することができる。表示部に文書情報を表示させる場合、携帯情報端末900を電子書籍端末として用いることができる。
携帯情報端末900を展開すると、表示部903が曲率半径が大きい状態で保持される。例えば、曲率半径1mm以上50mm以下、好ましくは5mm以上30mm以下に湾曲した部分を含んで、表示部903が保持される。表示部903の一部は、筐体901から筐体902にかけて、連続的に画素が配置され、曲面状の表示を行うことができる。
表示部903は、タッチパネルとして機能し、指やスタイラスなどにより操作することができる。
表示部903は、一つのフレキシブルディスプレイで構成されていることが好ましい。これにより、筐体901と筐体902の間で途切れることのない連続した表示を行うことができる。なお、筐体901と筐体902のそれぞれに、ディスプレイが設けられる構成としてもよい。
ヒンジ部905は、携帯情報端末900を展開したときに、筐体901と筐体902との角度が所定の角度よりも大きい角度にならないように、ロック機構を有することが好ましい。例えば、ロックがかかる(それ以上に開かない)角度は、90度以上180度未満であることが好ましく、代表的には、90度、120度、135度、150度、または175度などとすることができる。これにより、携帯情報端末900の利便性、安全性、及び信頼性を高めることができる。
ヒンジ部905がロック機構を有すると、表示部903に無理な力がかかることなく、表示部903が破損することを防ぐことができる。そのため、信頼性の高い携帯情報端末を実現できる。
筐体901及び筐体902は、電源ボタン、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク等を有していてもよい。
筐体901または筐体902のいずれか一方には、無線通信モジュールが設けられ、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)などのコンピュータネットワークを介して、データを送受信することが可能である。
図11Cに示す携帯情報端末910は、筐体911、表示部912、操作ボタン913、外部接続ポート914、スピーカ915、マイク916、カメラ917等を有する。
本発明の一態様を用いて作製された発光装置を、表示部912に用いることができる。これにより、高い歩留まりで携帯情報端末を作製することができる。
携帯情報端末910は、表示部912にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部912に触れることで行うことができる。
また、操作ボタン913の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部912に表示される画像の種類の切り替えを行うことができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
また、携帯情報端末910の内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けることで、携帯情報端末910の向き(縦か横か)を判断して、表示部912の画面表示の向きを自動的に切り替えることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部912に触れること、操作ボタン913の操作、またはマイク916を用いた音声入力等により行うこともできる。
携帯情報端末910は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。携帯情報端末910は、例えば、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、動画再生、インターネット通信、ゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
図11Dに示すカメラ920は、筐体921、表示部922、操作ボタン923、シャッターボタン924等を有する。またカメラ920には、着脱可能なレンズ926が取り付けられている。
本発明の一態様を用いて作製された発光装置を、表示部922に用いることができる。これにより、高信頼性を有するカメラを作製することができる。
ここではカメラ920を、レンズ926を筐体921から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ926と筐体921とが一体となっていてもよい。
カメラ920は、シャッターボタン924を押すことにより、静止画または動画を撮像することができる。また、表示部922はタッチパネルとしての機能を有し、表示部922をタッチすることにより撮像することも可能である。
なお、カメラ920は、ストロボ装置や、ビューファインダーなどを別途装着することができる。または、これらが筐体921に組み込まれていてもよい。
図12Aは、掃除ロボットの一例を示す模式図である。
掃除ロボット5100は、上面に配置されたディスプレイ5101、側面に配置された複数のカメラ5102、ブラシ5103、操作ボタン5104を有する。また図示されていないが、掃除ロボット5100の下面には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット5100は、その他に赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなどの各種センサを備えている。また、掃除ロボット5100は、無線による通信手段を備えている。
掃除ロボット5100は自走し、ゴミ5120を検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
また、掃除ロボット5100はカメラ5102が撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシ5103に絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシ5103の回転を止めることができる。
ディスプレイ5101には、バッテリーの残量や、吸引したゴミの量などを表示することができる。掃除ロボット5100が走行した経路をディスプレイ5101に表示させてもよい。また、ディスプレイ5101をタッチパネルとし、操作ボタン5104をディスプレイ5101に設けてもよい。
掃除ロボット5100は、スマートフォンなどの携帯電子機器5140と通信することができる。カメラ5102が撮影した画像は、携帯電子機器5140に表示させることができる。そのため、掃除ロボット5100の持ち主は、外出先からでも、部屋の様子を知ることができる。また、ディスプレイ5101の表示をスマートフォンなどの携帯電子機器5140で確認することもできる。
本発明の一態様の発光装置はディスプレイ5101に用いることができる。
図12Bに示すロボット2100は、演算装置2110、照度センサ2101、マイクロフォン2102、上部カメラ2103、スピーカ2104、ディスプレイ2105、下部カメラ2106、障害物センサ2107および移動機構2108を備える。
マイクロフォン2102は、使用者の話し声及び環境音等を検知する機能を有する。また、スピーカ2104は、音声を発する機能を有する。ロボット2100は、マイクロフォン2102およびスピーカ2104を用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
ディスプレイ2105は、種々の情報の表示を行う機能を有する。ロボット2100は、使用者の望みの情報をディスプレイ2105に表示することが可能である。ディスプレイ2105は、タッチパネルを搭載していてもよい。また、ディスプレイ2105は取り外しのできる情報端末であっても良く、ロボット2100の定位置に設置することで、充電およびデータの受け渡しを可能とする。
上部カメラ2103および下部カメラ2106は、ロボット2100の周囲を撮像する機能を有する。また、障害物センサ2107は、移動機構2108を用いてロボット2100が前進する際の進行方向における障害物の有無を察知することができる。ロボット2100は、上部カメラ2103、下部カメラ2106および障害物センサ2107を用いて、周囲の環境を認識し、安全に移動することが可能である。
本発明の一態様の発光装置はディスプレイ2105に用いることができる。
図12Cはゴーグル型ディスプレイの一例を表す図である。ゴーグル型ディスプレイは、例えば、筐体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、接続端子5006、センサ5007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、第2の表示部5002、支持部5012、イヤホン5013等を有する。
本発明の一態様の発光装置は表示部5001および第2の表示部5002に用いることができる。
また、図13A、図13Bに、折りたたみ可能な携帯情報端末5150を示す。折りたたみ可能な携帯情報端末5150は筐体5151、表示領域5152および屈曲部5153を有している。図13Aに展開した状態の携帯情報端末5150を示す。図13Bに折りたたんだ状態の携帯情報端末5150を示す。携帯情報端末5150は、大きな表示領域5152を有するにも関わらず、折りたためばコンパクトで可搬性に優れる。
表示領域5152は屈曲部5153により半分に折りたたむことができる。屈曲部5153は伸縮可能な部材と複数の支持部材とで構成されており、折りたたむ場合は、伸縮可能な部材が伸びて、屈曲部5153は2mm以上、好ましくは5mm以上の曲率半径を有して折りたたまれる。
なお、表示領域5152は、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。本発明の一態様の発光装置を表示領域5152に用いることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイスを様々な照明装置に適用する一例について、図14を用いて説明する。本発明の一態様である発光デバイスを用いることで、発光効率が良好な、信頼性の高い照明装置を作製できる。
本発明の一態様の発光デバイスを、可撓性を有する基板上に作製することで、曲面を有する発光領域を有する電子機器、照明装置を実現することができる。
また、本発明の一態様の発光デバイスを適用した発光装置は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、フロントガラス、天井等に照明を設置することもできる。
図14は、発光デバイスを室内の照明装置8501として用いた例である。なお、発光デバイスは大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8502を形成することもできる。本実施の形態で示す発光デバイスは薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の壁面に大型の照明装置8503を備えても良い。また、照明装置8501、8502、8503に、タッチセンサを設けて、電源のオンまたはオフを行ってもよい。
また、発光デバイスをテーブルの表面側に用いることによりテーブルとしての機能を備えた照明装置8504とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光デバイスを用いることにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
以上のようにして、本発明の一態様の発光デバイスを適用して照明装置及び電子機器を得ることができる。なお、適用できる照明装置及び電子機器は、本実施の形態に示したものに限らず、あらゆる分野の照明装置及び電子機器に適用することが可能である。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
≪合成例1≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(100)で表される有機化合物である5,12-ビス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(略称:ch3P2Qd)の合成方法について説明する。ch3P2Qdの構造式を以下に示す。
<ステップ1:ジメチル 2,5-ジヒドロ-3,6-ビス(フェニルアミノ)テレフタラートの合成>
20g(88mmol)の1,4-シクロヘキサンジオン-2,5-ジカルボン酸ジメチルと、26g(280mmol)のアニリンを、500mL三口フラスコに入れ、この混合物を80℃で5時間加熱した。析出した固体を吸引ろ過で回収し、得られた固体をヘキサンとメタノールを用いて洗浄したところ、目的物と、目的物が酸化された化合物の混合物を33g得た。この混合物をステップ2にそのまま用いた。ステップ1の合成スキームを以下に示す。
<ステップ2:ジメチル 2,5-ビス(フェニルアミノ)テレフタラートの合成>
ステップ1で得られた33gのジメチル 2,5-ジヒドロ-3,6-ビス(フェニルアミノ)テレフタラートとその酸化物の合物と、10gのヨウ素と、220mLのトルエンを、還流管を付けた500mL三口フラスコに入れ、120℃で16時間還流した。撹拌後、得られた混合物に水を加え、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた混合物から自然ろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮したところ、20gの赤色固体を得た。この固体をエタノールとアセトンで再結晶し、目的物の赤色固体を13g、収率40%で得た。ステップ2の合成スキームを以下に示す。
<ステップ3:ジメチル 2,5-ビス[(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)フェニルアミノ]テレフタラートの合成>
ステップ2で得られた1.7g(4.5mmol)のジメチル 2,5-ビス(フェニルアミノ)テレフタラートと、4.0g(10mmol)の1-ブロモ-2,4,6-トリシクロヘキシルベンゼンと、0.57g(9.0mmol)の銅と0.86g(4.5mmol)のヨウ化銅と、1.4g(10mmol)の炭酸カリウムと、5mLのジフェニルエーテルを、還流管を付けた200mL三口フラスコに入れ、混合物の減圧脱気をした後、系内を窒素置換した。この混合物を235℃で11時間攪拌した。得られた混合物にトルエンと水を加え、この混合物を吸引濾過し、不溶物を除去した。得られたろ液を有機層と水層に分離し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた混合物から自然ろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮したところ、黒褐色の粘性固体を得た。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=1:1)にて精製し、橙黄色固体を0.58g、収率13%で得た。また、得られた橙黄色固体は、LC\MS分析の結果m/zが1021.68であり、目的物であることがわかった。ステップ3の合成スキームを以下に示す。
<ステップ4:5,12-ビス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(略称:ch3P2Qd)の合成>
ステップ3で得られた0.58gのジメチル 2,5-ビス[N,N’-(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)フェニルアミノ]テレフタラートと、5mLのメタンスルホン酸を、100mL三口フラスコに入れ、140℃で1.5時間攪拌した。冷却後、反応物を氷水へ加えて反応を停止させた。得られた混合物にトルエンを加え、水層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、続けて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた混合物から自然ろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮したところ、橙黄色固体0.49gを得た。得られた固体をアセトンと少量のトルエンで2回洗浄し、得られた橙黄色固体を乾燥させたところ、橙黄色固体を0.32g、収率59%で得た。ステップ4のスキームを以下に示す。
0.22gのステップ4で得られた橙黄色固体を、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、アルゴンを5mL/minで流しながら、圧力3.4Pa、320℃で固体を8時間加熱して行った。昇華精製後に目的物の橙黄色固体を0.15g、回収率68%で得た。
得られた固体の1H NMRのチャートを図15A及び図15Bに、数値データを以下に示す。これにより、目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(ジクロロメタン-d2,300MHz):δ=8.42(dd,J=8.1Hz,1.5Hz,2H),7.90(s,2H),7.50(t,J=8.1Hz,2H),7.34(s,4H),7.22(t,J=7.5Hz,2H),6.71(d,J=8.4Hz,2H),2.78-2.70(m,2H),2.13-1.26(m,52H),1.11-1.03(m,4H),0.76-0.61(m,8H)
次に、ch3P2Qdのジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)、発光スペクトルおよび発光量子収率を測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V-550)を用いた。なお溶液の吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いて算出した。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計(日本分光 FP-8600)を用いた。量子収率の測定には絶対PL量子収率測定装置((株)浜松ホトニクス製 Quantaurus-QY)を用いた。
得られたジクロロメタン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定結果を図16に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。図16の結果より、ch3P2Qdのジクロロメタン溶液では、515nm、482nm、456nm付近に吸収ピークが見られ、617nm、565nm、528nm(励起波長:480nm)に発光波長のピークが見られた。また、ジクロロメタン溶液での量子収率を測定したところ、94%と非常に高く、ch3P2Qdは発光材料として好適であることがわかった。
ch3P2QdのHOMO準位およびLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した。測定装置としては電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705-6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウム(n-Bu4NClO4)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。
また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC-3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag+電極(ビー・エー・エス(株)製、RE7非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20以上25℃以下)で行った。
また、CV測定時のスキャン速度は、0.1V/secに統一し、参照電極に対する酸化電位Ea[V]および還元電位Ec[V]を測定した。Eaは酸化-還元波の中間電位とし、Ecは還元-酸化波の中間電位とした。ここで、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、-4.94[eV]であることが分かっているため、HOMO準位[eV]=-4.94-Ea、LUMO準位[eV]=-4.94-Ecという式から、HOMO準位およびLUMO準位をそれぞれ求めることができる。
また、CV測定を100回繰り返し行い、100サイクル目の測定での酸化-還元波と、1サイクル目の酸化-還元波を比較して、化合物の電気的安定性を調べた。
この結果、ch3P2Qdの酸化電位Ea[V]の測定において、HOMO準位は-5.78eVであることがわかった。一方、還元電位Ec[V]の測定において、LUMO準位は-3.24eVであることがわかった。また、酸化-還元波の繰り返し測定において1サイクル目と100サイクル後の波形と比較したところ、Ec測定においては84%のピーク強度を保っていた。
また、ch3P2Qdの示差熱分析(:Thermogravimetry-Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG-DTA2410SA)を用いた。測定は、昇温速度10℃/min、10Pa、窒素気流下(流速2.0mL/min)の条件で行った。熱重量測定-示差熱分析において、熱重量測定から求めた重量が測定開始時から5%減少する温度は261℃であることがわかった。
また、ch3P2Qdの構造より全てのシクロヘキシル基を除いた5,12-ジフェニル-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(DPQd)を同様の条件で測定した場合の同温度は294℃となった。この結果より、シクロヘキシル基を導入することで昇華温度を下げ、昇華しやすくする効果が得られることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイスと比較発光デバイスの作製例と該発光デバイスの特性について説明する。本実施例で作製した発光デバイスの構成は図1Aと同様である。使用した化合物の構造と略称を以下に示す。
<発光デバイス1の作製方法>
ガラス基板上に電極101として、ITSO膜を厚さが70nmになるように形成した。なお、電極101の電極面積は、4mm2(2mm×2mm)とした。
次に、電極101上に正孔注入層111として、上記構造式(i)で表される4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)と、酸化モリブデン(MoO3)と、を重量比(DBT3P-II:MoO3)が1:0.5になるように、且つ厚さが40nmになるように共蒸着した。
次に、正孔注入層111上に正孔輸送層112として、上記構造式(ii)で表される9-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]9H-カルバゾール(略称:mCzFLP)を厚さが20nmになるように蒸着した。
次に、正孔輸送層112上に発光層130として、上記構造式(iii)で表される8-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8BP-4mDBtPBfpm)と、上記構造式(iv)で表される3,3’-9H-カルバゾール-9-イル-ビフェニル(略称:mCBP)と、上記構造式(v)で表される、2,4,5,6-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル(略称:4CzIPN)と、上記構造式(vi)で表される5,12-ビス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(略称:ch3P2Qd)とを、重量比0.6:0.4:1:0.055(=8BP-4mDBtPBfpm:mCBP:4CzIPN:ch3P2Qd)となるように、且つ厚さが31nmになるように共蒸着した。
本発光デバイスにおいては、4CzIPNがTADF性材料であることが非特許文献1より知られている。また、ch3P2Qdが保護基を有する蛍光性材料である。
次に、発光層130上に、8BP-4mDBtPBfpmを厚さが20nmになるように蒸着した後、NBPhenを厚さが15nmになるよう蒸着し、電子輸送層118を形成した。その後、電子輸送層118上に、電子注入層119として、LiFを厚さが1nmになるように蒸着した。
それから、電子注入層119上に、電極102として、アルミニウム(Al)を厚さが200nmになるように形成し、発光デバイス1を作成した。
続いて、窒素雰囲気のグローブボックス内において、ガラス基板に形成した有機材料の周囲にシール材を塗布し、該ガラス基板と封止するためのガラス基板とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光を6J/cm2照射し、80℃にて1時間熱処理し、有機材料を形成したガラス基板に固定することで、発光デバイス1を封止した。
<比較発光デバイスの作製方法>
比較発光デバイス1は、発光デバイス1の発光層におけるch3P2Qdを上記構造式(viii)で表されるN,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)に変え、重量比を8BP-4mDBtPBfpm:mCBP:4CzIPN:DPQd=0.6:0.4:1:0.052とした他は、発光デバイス1と同様に形成した。すなわち、比較発光デバイス1は、保護基を有さない蛍光性材料を用いた発光デバイスである。また、比較発光デバイス2は、発光デバイス1における発光層を、重量比で8BP-4mDBtPBfpm:mCBP:4CzIPN=0.6:0.4:1、且つ厚さが30nmになるように共蒸着して形成した。すなわち、比較発光デバイス2は、実施の形態1で説明した有機化合物を用いない発光デバイスである。
発光デバイス1および比較発光デバイス1の素子構造を以下に示す。
<発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の特性>
次に、上記作製した発光デバイス1、比較発光デバイス1および比較発光デバイス2の特性を測定した。輝度、CIE色度、および電界発光(EL)スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。
発光デバイス1、比較発光デバイス1及び比較発光デバイス2の輝度-電流密度特性を図17に、電流効率-輝度特性を図18に、輝度-電圧特性を図19に、電流密度-電圧特性を図20に、電力効率-輝度特性を図21に、外部量子効率-輝度特性を図22に示す。また、各発光デバイスに2.5mA/cm2の電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図23に示す。なお、測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
また、1000cd/m2付近における、発光デバイス1、比較発光デバイス1、及び比較発光デバイス2の素子特性を下記表4に示す。
発光デバイス1は、4CzIPNがエネルギードナーとなって、実施の形態1に示した有機化合物(蛍光性材料)であるch3P2Qdにエネルギー移動し、ch3P2Qdから発光を得る発光素子である。また、比較発光デバイス1は、4CzIPNがエネルギードナーとなって、保護基を有さない有機化合物(蛍光性材料)であるDPQdにエネルギー移動し、DPQdから発光を得る発光素子である。また、比較発光デバイス2は、4CzIPNから発光を得る発光素子である。
図23に示すように、発光デバイス1のELスペクトルは、ピーク波長が521nmで半値全幅が26nmの非常にシャープなスペクトル形状を示した。これは、蛍光性材料であるch3P2Qdに基づく発光である。また、比較発光デバイス1のELスペクトルは、ピーク波長が526nmで半値全幅が53nmのシャープなスペクトル形状を示した。これは、蛍光性材料であるDPQdに基づく発光である。また、比較発光デバイス2のELスペクトルは、ピーク波長が540nmで半値全幅が81nmのスペクトル形状を示した。これは、TADF材料である4CzIPNに基づく発光である。比較発光デバイス2は、発光デバイス1および比較発光デバイス1の発光スペクトルとは明らかに異なった形状をしていることから、各々異なる発光物質からの発光を観測していることがわかる。
なお、図20より分かるように、発光デバイス1、比較発光デバイス1、及び比較発光デバイス2の駆動電圧はほぼ同一である。
比較発光デバイス2は、外部量子効率が最大で20%を超える高い値を示した。このことから、4CzIPNがTADF材料として良好な発光効率を示すことが分かる。また、発光デバイス1の外部量子効率は、最大で18%を超える高い値が得られている。一般に、一対の電極から注入されたキャリア(正孔及び電子)の再結合によって生成する一重項励起子の生成確率が最大で25%であるため、外部への光取り出し効率を30%とした場合、蛍光発光デバイスの外部量子効率は、最大で7.5%となる。発光デバイス1においては、外部量子効率が7.5%より高い効率が得られていることから、一重項励起子に由来する発光に加えて、三重項励起子からのエネルギー移動に由来する発光が蛍光性材料より得られていることが分かる。一方、比較発光デバイス1の外部量子効率は、最大でも8%程度と、発光デバイス1の半分以下の効率となっている。そのため、比較発光デバイス1においては、三重項励起エネルギーが効率よく発光に変換できていないことが分かる。すなわち、本発明の一態様の化合物であるch3P2Qdを用いることにより、三重項励起子の無放射失活が抑制され、一重項励起エネルギーと三重項励起エネルギーの双方が蛍光性材料の発光に効率良く変換されていると言える。
また、発光デバイス1は高い発光効率を示し、且つ発光スペクトルは半値幅が狭いことから、2.5mA/cm2におけるピーク強度を比較すると、図23のように発光デバイス1のピーク強度が最も高いことがわかった。さらに、発光デバイス1は、発光スペクトルの半値幅が狭く、色純度が良好であることから、ディスプレイ用途として好適である。
また、発光デバイス1のELスペクトルのピーク波長は、比較発光デバイス2のELスペクトルのピーク波長より短波長であった。そのため、表4に示すように、発光デバイス1は、比較発光デバイス2より色純度が良く、色度yが大きい良好な緑色発光を示しており、ディスプレイ用途に好適である。これは、図16に示したように、ch3P2Qdのストークスシフトが小さいためである。このように、発光団として、キナクリドンのような縮合複素芳香環を用いるとストークスシフトが小さい蛍光性発光材料が得られるため好ましい。
次に、各発光デバイスの発光層に用いた、8BP-4mDBtPBfpmとmCBPの電気化学的特性(酸化反応特性および還元反応特性)をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定した結果を示す。測定方法は実施例1と同様である。
CV測定の結果より算出した8BP-4mDBtPBfpmのHOMO準位は-6.21eV、LUMO準位は-3.01eV、mCBPのHOMO準位は-5.93eV、LUMO準位は-2.22eVであった。
以上のように、8BP-4mDBtPBfpmのLUMO準位は、mCBPのLUMO準位より低く、mCBPのHOMO準位は、8BP-4mDBtPBfpmのHOMO準位より高い。そのため、発光層に該化合物を用いた場合、電子および正孔が、効率よく8BP-4mDBtPBfpmとmCBPにそれぞれ注入され、8BP-4mDBtPBfpmとmCBPとで励起錯体を形成することができる。
≪合成例2≫
本実施例では、本発明の一態様の有機化合物である3,10-ジ-tert-ブチル-5,12-ビス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(略称:3,10tBu-ch3P2Qd)の合成方法について説明する。3,10tBu-ch3P2Qdの構造式を以下に示す。
<ステップ1:ジメチル 2,5-ジヒドロ-3,6-ビス{(3-tert-ブチルフェニル)アミノ)テレフタラートの合成>
5.0g(22mmol)の1,4-シクロヘキサンジオン-2,5-ジカルボン酸ジメチルと、7.5g(50mmol)の3-tert-ブチルアニリンと、75mLの酢酸と、75mLのエタノールを、還流管を付けた300mL三口フラスコに入れ、115℃で7時間還流した。混合物を冷却した後、析出した赤色固体を吸引ろ過で回収し、得られた固体をヘキサンとメタノールを用いて洗浄した。また、吸引ろ過にて得られたろ液に水を加え、トルエンで水層を抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムによって乾燥した。得られた混合物から自然ろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、得られた溶液を濃縮した。吸引ろ過及び濃縮により得られた固体を合わせて5.6gの赤色固体を得た。また、得られた赤色固体は、LC\MS分析の結果m/zが491と489であり、目的物と目的物酸化物であることがわかった。この混合物をステップ2にそのまま用いた。ステップ1の合成スキームを以下に示す。
<ステップ2:ジメチル 2,5-ビス{(3-tert-ブチルフェニル)アミノ}テレフタラートの合成>
ステップ1で得られた5.6gのジメチル 2,5-ジヒドロ-3,6-ビス{(3-tert-ブチルフェニル)アミノ)テレフタラート及びその酸化物の混合物と、4.5g(35mmol)のヨウ素と、0.15Lのトルエンを、還流管を付けた500mL三口フラスコに入れ、120℃で10時間攪拌しながら還流した。撹拌後、析出した固体を吸引ろ過で回収し、得られた固体をヘキサンとメタノールを用いて洗浄し、2.7gの赤色固体を得た。吸引ろ過により得られたろ液に水を加え、水層をトルエンで抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、続けてチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。得られた混合物から自然ろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮したところ、赤色固体を得た。この固体にメタノールを入れてスラリー化させ、吸引ろ過にて固体を回収し、固体をメタノールとヘキサンで洗浄した。この作業により、2.0gの赤色固体を得た。この固体と吸引ろ過にて得られた固体と合わせ、目的化合物を4.7g、収率44%で得た。また、得られた赤色固体は、LC\MS分析の結果m/zが489であり、目的物であることがわかった。ステップ2の合成スキームを以下に示す。
<ステップ3:ジメチル 2,5-ビス[{3-(tert-ブチル)フェニル}(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)アミノ]テレフタラートの合成>
ステップ2で得られた2.4g(5.0mmol)の1,4-ベンゼンジカルボン酸,2,5-ビス{(3-tert-ブチルフェニル)アミノ}-,ジメチルエステルと、4.4g(11mmol)の1-ブロモ-2,4,6-トリシクロヘキシルベンゼンと、1.3g(20mmol)の銅と、0.95g(5.0mmol)のヨウ化銅と、2.8g(20mmol)の炭酸カリウムと、10mLのジフェニルエーテルを還流管を付けた200mL三口フラスコに入れ、混合物の減圧脱気をした後系内を窒素置換した。この混合物を240℃で8時間、更に260℃で2時間攪拌した。得られた混合物にトルエンと水を加え、この混合物を吸引濾過し不溶物を除去した。得られたろ液を有機層と水層に分離し、有機層を水で2回洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。得られた混合物から自然ろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮したところ黒褐色の粘性固体を得た。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=2:1)にて精製し、目的物の橙黄色固体を0.99g、収率17%で得た。また、得られた橙黄色固体は、LC\MS分析の結果m/zが1133であり、目的物であることがわかった。ステップ3の合成スキームを以下に示す。
<ステップ4:3,10-ジ-tert-ブチル-5,12-ビス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(略称:3,10tBu-ch3P2Qd)の合成>
0.73gのステップ3で得られた1,4-ベンゼンジカルボン酸,2,5-ビス{(3-tert-ブチルフェニル)アミノ}-,N’-(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)アミノ]-,ジメチルエステルと、10mLのメタンスルホン酸を、100mL三口フラスコに入れ、140℃で1時間攪拌した。混合物を冷却した後、反応物を氷水へ加えて反応を停止させた。得られた混合物にトルエンを加え、水層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、続けて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた混合物から自然ろ過にて硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮したところ、橙黄色固体0.62gを得た。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)にて精製し、目的物の橙色固体を0.39g、収率57%で得た。ステップ4のスキームを以下に示す。
得られた橙色固体0.30gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、アルゴンを10mL/minで流しながら、圧力5.0Pa、345℃で固体を16時間加熱して行った。昇華精製後に目的物の橙色固体を0.25g、回収率83%で得た。
得られた固体の1H NMRのチャートを図24A及び図24Bに、数値データを以下に示す。これにより、目的化合物が得られたことがわかった。
1H NMR(ジクロロメタン-d2,300MHz):δ=8.46(d,J=8.4Hz,2H),7.98(s,2H),7.35(s,4H),7.31(dd,J=4.2Hz,1.8Hz,2H),6.61(d,J=1.5Hz,2H),2.81-2.65(m,2H),2.16-2.05(m,4H),2.00-1.77(m,10H),1.71-1.28(m,38H),1.16(s,18H),1.13-0.98(m,4H),0.85-0.52(m,8H)
次に、3,10tBu-ch3P2Qdのジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V-550)を用いた。なお溶液の吸収スペクトルは、石英セルにジクロロメタンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いて算出した。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計(日本分光 FP-8600)を用いた。量子収率は絶対PL量子収率測定装置((株)浜松ホトニクス製 Quantaurus-QY)を用いた。
得られたジクロロメタン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定結果を図25に示す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。横軸は波長、縦軸は吸収強度および発光強度を表す。図25の結果より、3,10tBu-ch3P2Qdのジクロロメタン溶液では、512nm、480nm、449nm付近に吸収ピークが見られ、617nm、565nm、528nm(励起波長:480nm)に発光波長のピークが見られた。
また、ジクロロメタン溶液での量子収率を測定したところ、91%と非常に高く、3,10tBu-ch3P2Qdは発光材料として好適であることがわかった。
3,10tBu-ch3P2QdのHOMO準位およびLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した。測定装置としては電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705-6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウム(n-Bu4NClO4)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。
また、CV測定時のスキャン速度は、0.1V/secに統一し、参照電極に対する酸化電位Ea[V]および還元電位Ec[V]を測定した。Eaは酸化-還元波の中間電位とし、Ecは還元-酸化波の中間電位とした。ここで、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、-4.94[eV]であることが分かっているため、HOMO準位[eV]=-4.94-Ea、LUMO準位[eV]=-4.94-Ecという式から、HOMO準位およびLUMO準位をそれぞれ求めることができる。
また、CV測定を100回繰り返し行い、100サイクル目の測定での酸化-還元波と、1サイクル目の酸化-還元波を比較して、化合物の電気的安定性を調べた。この結果、3,10tBu-ch3P2Qdの酸化電位Ea[V]の測定において、HOMO準位は-5.77eVであることがわかった。一方、還元電位Ec[V]の測定において、LUMO準位は-3.18eVであることがわかった。また、酸化-還元波の繰り返し測定において1サイクル目と100サイクル後の波形と比較したところ、Ea測定においては75%のピーク強度を保っていた。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイスと比較発光デバイスの作製例と該発光デバイスの特性について説明する。本実施例で作製した発光デバイスの構成は図1Aと同様である。使用した化合物の構造と略称を以下に示す。
<発光デバイス2の作製方法>
ガラス基板上に電極101として、ITSO膜を厚さが70nmになるように形成した。なお、電極101の電極面積は、4mm2(2mm×2mm)とした。
次に、電極101上に正孔注入層111として、上記構造式(i)で表される4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)と、酸化モリブデンと、を重量比(DBT3P-II:酸化モリブデン)が1:0.5になるように、且つ厚さが40nmになるように共蒸着した。
次に、正孔注入層111上に正孔輸送層112として、上記構造式(ii)で表される9-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]9H-カルバゾール(略称:mCzFLP)を厚さが20nmになるように蒸着した。
次に、正孔輸送層112上に発光層130として、上記構造式(iv)で表される3,3’-9H-カルバゾール-9-イル-ビフェニル(略称:mCBP)と上記構造式(v)で表される、2,4,5,6-テトラ(9H-カルバゾール-9-イル)イソフタロニトリル(略称:4CzIPN)と、上記構造式(ix)で表される3,10-ジ-tert-ブチル-5,12-ビス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(略称:3,10tBu-ch3P2Qd)とを、重量比1:1:0.05(=mCBP:4CzIPN:3,10tBu-ch3P2Qd)となるように、且つ厚さが40nmになるように共蒸着した。
本発光デバイスにおいては、4CzIPNがTADF性材料であることが非特許文献1より知られている。また、3,10tBu-ch3P2Qdが保護基を有する蛍光性材料である。
次に、発光層130上に、上記構造式(x)で表される9,9’-(ピリミジン-4,6-ジイルジ-3,1-フェニレン)ビス(9H-カルバゾール)(略称:4,6CzP2Pm)を厚さが20nmになるように蒸着した後、NBPhenを厚さが15nmになるよう蒸着し、電子輸送層118を形成した。その後、電子輸送層118上に、電子注入層119として、LiFを厚さが1nmになるように蒸着した。
その後、電子注入層119上に、電極102として、アルミニウム(Al)を厚さが200nmになるように形成し、発光デバイス2を作成した。
続いて、窒素雰囲気のグローブボックス内において、ガラス基板に形成した有機材料の周囲にシール材を塗布し、該ガラス基板と封止するためのガラス基板とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光を6J/cm2照射し、80℃にて1時間熱処理し、有機材料を形成したガラス基板に固定することで、発光デバイス2を封止した。
<比較発光デバイスの作製方法>
比較発光デバイス3は、発光デバイス2の発光層における3,10tBu-ch3P2Qdを上記構造式(viii)で表されるN,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)に変え、重量比をmCBP:4CzIPN:DPQd=1:1:0.05、且つ厚さが30nmとなるように形成した他は、発光デバイス2と同様に形成した。すなわち、比較発光デバイス3は、本発明の有機化合物の代わりに保護基を有さない蛍光性材料を用いた発光デバイスである。また、比較発光デバイス4は、発光デバイス2における発光層を、重量比でmCBP:4CzIPN=1:1、且つ厚さが30nmになるように形成した他は、発光デバイス2と同様に作製した。すなわち、比較発光デバイス4は、本発明の有機化合物を用いない発光デバイスである。
発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の素子構造を以下に示す。
<発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の特性>
次に、上記作製した発光デバイス2、比較発光デバイス3および比較発光デバイス4の特性を測定した。輝度、CIE色度、および電界発光(EL)スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。
発光デバイス2、比較発光デバイス3及び比較発光デバイス4の輝度-電流密度特性を図26に、電流効率-輝度特性を図27に、輝度-電圧特性を図28に、電流密度-電圧特性を図29に、電力効率-輝度特性を図30に、外部量子効率-輝度特性を図31に示す。また、各発光デバイスに2.5mA/cm2の電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図32に示す。なお、測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
また、1000cd/m2付近における、発光デバイス2、比較発光デバイス3、及び比較発光デバイス4の素子特性を表8に示す。
発光デバイス2は、TADF材料である4CzIPNがエネルギードナーとなって、本発明の一態様の有機化合物(蛍光性材料)である3,10tBu-ch3P2Qdにエネルギー移動し、3,10tBu-ch3P2Qdから発光を得る発光素子である。また、比較発光デバイス3は、4CzIPNがエネルギードナーとなって、保護基を有さない有機化合物(蛍光性材料)であるDPQdにエネルギー移動し、DPQdから発光を得る発光素子である。また、比較発光デバイス4は、4CzIPNが発光する発光デバイスである。
図32に示すように、発光デバイス2のELスペクトルは、ピーク波長が521nmで半値全幅が53nmの非常にシャープなスペクトル形状を示した。これは、蛍光性材料である3,10tBu-ch3P2Qdに基づく発光である。また、比較発光デバイス3のELスペクトルは、ピーク波長が526nmで半値全幅が56nmのシャープなスペクトル形状を示した。これは、蛍光性材料であるDPQdに基づく発光である。また、比較発光デバイス4のELスペクトルは、ピーク波長が543nmで半値全幅が82nmのスペクトル形状を示した。これは、TADF材料である4CzIPNに基づく発光である。比較発光デバイス4は、発光デバイス2および比較発光デバイス3の発光スペクトルとは明らかに異なった形状をしていることから、各々異なる発光物質からの発光を観測していることがわかる。
比較発光デバイス4は、外部量子効率が最大で20%程度の高い値を示した。このことから、4CzIPNがTADF材料として良好な発光効率を示すことが分かる。また、発光デバイス2の外部量子効率は、最大で18%を超える高い値が得られている。一般に、一対の電極から注入されたキャリア(正孔及び電子)の再結合によって生成する一重項励起子の生成確率が最大で25%であるため、外部への光取り出し効率を30%とした場合、蛍光発光デバイスの外部量子効率は、最大で7.5%となる。発光デバイス2においては、外部量子効率が7.5%より高い効率が得られていることから、一重項励起子に由来する発光に加えて、三重項励起子からのエネルギー移動に由来する発光が蛍光性材料より得られていることが分かる。一方、比較発光デバイス3の外部量子効率は、最大でも9%台と、発光デバイス2の半分程度の効率となっている。そのため、比較発光デバイス3においては、三重項励起エネルギーが効率よく発光に変換できていないことが分かる。すなわち、本発明の一態様の化合物である3,10tBu-ch3P2Qdを用いることにより、三重項励起子の無放射失活が抑制され、一重項励起エネルギーと三重項励起エネルギーの双方が蛍光性材料の発光に効率良く変換されていると言える。
また、発光デバイス2は高い発光効率を示し、且つ発光スペクトルの半値全幅が狭いことから、2.5mA/cm2におけるピーク強度を比較すると、図32のように発光デバイス2のピーク強度が最も高いことがわかった。さらに、発光デバイス2は、発光スペクトルの半値幅が狭く、色純度が良好であることから、ディスプレイ用途として好適である。
また、発光デバイス2のELスペクトルのピーク波長は、比較発光デバイス4のELスペクトルのピーク波長より短波長であった。そのため、表4に示すように、発光デバイス2は、比較発光デバイス4より色純度が良く、色度yが大きい良好な緑色発光を示しており、ディスプレイ用途に好適である。これは、図25に示したように、3,10tBu-ch3P2Qdのストークスシフトが小さいためである。このように、発光団として、キナクリドンのような縮合複素芳香環を用いるとストークスシフトが小さい蛍光性発光材料が得られるため好ましい。
また、図33は、ドーパント濃度が発光効率に及ぼす影響を表すグラフである。発光デバイス2および比較発光デバイス3とドーパント濃度のみ異なる発光デバイスを作製し、1000cd/m2付近における外部量子効率をプロットした。この結果、DPQdをドーパントとして用いたデバイスはドーパント濃度が濃くなるにしたがって外部量子効率が大きく低下しているのに対し、3,10tBu-ch3P2Qdをドーパントとして用いたデバイスは濃度が濃くなっても大きな効率の低下は起きないことがわかった。これは、3,10tBu-ch3P2Qdが保護基を有することによってドーパント同士の適切な距離を保つことが可能となったことから、濃度消光が大幅に抑制された結果であると推察される。このように、本発明の一態様の発光デバイスは、ドーパント濃度に対する作製マージンが広く、製造しやすい発光デバイスでもある。
本実施例では、本発明の一態様の発光デバイスと比較発光デバイスの作製例と該発光デバイスの特性について説明する。本実施例で作製した発光デバイスの構成は図1Aと同様である。使用した化合物の構造と略称を以下に示す。
<発光デバイス3の作製方法>
ガラス基板上に電極101として、ITSO膜を厚さが70nmになるように形成した。なお、電極101の電極面積は、4mm2(2mm×2mm)とした。
次に、電極101上に正孔注入層111として、上記構造式(i)で表される4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)と、酸化モリブデンと、を重量比(DBT3P-II:酸化モリブデン)が1:0.5になるように、且つ厚さが40nmになるように共蒸着した。
次に、正孔注入層111上に正孔輸送層112として、上記構造式(xi)で表される4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)を厚さが20nmになるように蒸着した。
次に、正孔輸送層112上に発光層130として、上記構造式(xii)で表される9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)と上記構造式(xiii)で表される、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)と、上記構造式(xiv)で表される[2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(略称:[Ir(ppy)2(mdppy)])と、上記構造式(ix)で表される3,10-ジ-tert-ブチル-5,12-ビス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)-5,12-ジヒドロキノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(略称:3,10tBu-ch3P2Qd)と、を重量比0.5:0.5:0.1:0.01(=mPCCzPTzn-02:PCCP:[Ir(ppy)2(mdppy)]:3,10tBu-ch3P2Qd)となるように、且つ厚さが40nmになるように共蒸着した。
本発光デバイスにおいては、[Ir(ppy)2(mdppy)]がりん光性材料であることが知られている。また、3,10tBu-ch3P2Qdが保護基を有する蛍光性材料である。
次に、発光層130上に、mPCCzPTzn-02を厚さが20nmになるように蒸着した後、NBPhenを厚さが10nmになるよう蒸着し、電子輸送層118を形成した。その後、電子輸送層118上に、電子注入層119として、LiFを厚さが1nmになるように蒸着した。
その後、電子注入層119上に、電極102として、アルミニウム(Al)を厚さが200nmになるように形成し、発光デバイス3を作成した。
続いて、窒素雰囲気のグローブボックス内において、ガラス基板に形成した有機材料の周囲にシール材を塗布し、該ガラス基板と封止するためのガラス基板とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光を6J/cm2照射し、80℃にて1時間熱処理し、有機材料を形成したガラス基板に固定することで、発光デバイス3を封止した。
<比較発光デバイスの作製方法>
比較発光デバイス5は、発光デバイス3の発光層における3,10tBu-ch3P2Qdを上記構造式(viii)で表されるN,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)に変えた他は、発光デバイス3と同様に形成した。すなわち、比較発光デバイス5は、本発明の有機化合物の代わりに保護基を有さない蛍光性材料を用いた発光デバイスである。
発光デバイス3および比較発光デバイス5の素子構造を以下の表に示す。
<発光デバイス3および比較発光デバイス5の特性>
次に、上記作製した発光デバイス3および比較発光デバイス5の特性を測定した。輝度、CIE色度、および電界発光(EL)スペクトルの測定には分光放射計(トプコン社製、SR-UL1R)を用いた。
発光デバイス3および比較発光デバイス5の輝度-電流密度特性を図34に、電流効率-輝度特性を図35に、輝度-電圧特性を図36に、電流密度-電圧特性を図37に、電力効率-輝度特性を図38に、外部量子効率-輝度特性を図39に示す。また、各発光デバイスに2.5mA/cm2の電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図40に示す。なお、測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
また、1000cd/m2付近における、発光デバイス3および比較発光デバイス5の素子特性を表11に示す。
発光デバイス3は、りん光性材料である[Ir(ppy)2(mdppy)]がエネルギードナーとなって、本発明の一態様の有機化合物(蛍光性材料)である3,10tBu-ch3P2Qdにエネルギー移動し、3,10tBu-ch3P2Qdから発光を得る発光素子である。また、比較発光デバイス5は、[Ir(ppy)2(mdppy)]がエネルギードナーとなって、保護基を有さない有機化合物(蛍光性材料)であるDPQdにエネルギー移動し、DPQdから発光を得る発光素子である。
図40に示すように、発光デバイス3のELスペクトルは、ピーク波長が519nmで半値全幅が57nmの非常にシャープなスペクトル形状を示した。これは、蛍光性材料である3,10tBu-ch3P2Qdに基づく発光である。また、比較発光デバイス5のELスペクトルは、ピーク波長が524nmで半値全幅が37nmのシャープなスペクトル形状を示した。これは、蛍光性材料であるDPQdに基づく発光である。
発光デバイス3の外部量子効率は、最大で13%を超える高い値が得られている。一般に、一対の電極から注入されたキャリア(正孔及び電子)の再結合によって生成する一重項励起子の生成確率が最大で25%であるため、外部への光取り出し効率を30%とした場合、蛍光発光デバイスの外部量子効率は、最大で7.5%となる。発光デバイス3においては、外部量子効率が7.5%より高い効率が得られていることから、一重項励起子に由来する発光に加えて、三重項励起子からのエネルギー移動に由来する発光が蛍光性材料より得られていることが分かる。一方、比較発光デバイス5の外部量子効率は、最大でも5%台と、発光デバイス3の半分以下の効率となっている。そのため、比較発光デバイス5においては、三重項励起エネルギーが効率よく発光に変換できていないことが分かる。すなわち、本発明の一態様の化合物である3,10tBu-ch3P2Qdを用いることにより、三重項励起子の無放射失活が抑制され、一重項励起エネルギーと三重項励起エネルギーの双方が蛍光性材料の発光に効率良く変換されていると言える。
次に、各発光デバイスの発光層に用いた、mPCCzPTzn-02とPCCPの電気化学的特性(酸化反応特性および還元反応特性)をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定した結果を示す。測定方法は実施例1と同様である。
CV測定の結果より算出したmPCCzPTzn-02のHOMO準位は-5.69eV、LUMO準位は-3.00eV、PCCPのHOMO準位は-5.63eV、LUMO準位は-1.96eVであった。
以上のように、mPCCzPTzn-02のLUMO準位は、PCCPのLUMO準位より低く、PCCPのHOMO準位は、mPCCzPTzn-02のHOMO準位より高い。そのため、発光層に該化合物を用いた場合、電子および正孔が、効率よくmPCCzPTzn-02とPCCPにそれぞれ注入され、mPCCzPTzn-02とPCCPとで励起錯体を形成することができる。励起錯体が形成されることによって、当該励起錯体からエネルギードナーである[Ir(ppy)2(mdppy)]に効率よくエネルギーを移動させることができ、発光効率の向上に寄与する。