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JP7798941B2 - トリポード型等速自在継手 - Google Patents
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JP7798941B2 - トリポード型等速自在継手 - Google Patents

トリポード型等速自在継手

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JP7798941B2 JP2024032348A JP2024032348A JP7798941B2 JP 7798941 B2 JP7798941 B2 JP 7798941B2 JP 2024032348 A JP2024032348 A JP 2024032348A JP 2024032348 A JP2024032348 A JP 2024032348A JP 7798941 B2 JP7798941 B2 JP 7798941B2
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Description

本発明は、トリポード型等速自在継手に関する。
自動車の動力伝達系で使用されるドライブシャフトにおいては、インボード側(車幅方向の中央側)に摺動式等速自在継手を設け、アウトボード側(車幅方向の外側)に固定式等速自在継手を設ける場合が多い。ここでいう摺動式等速自在継手は、二軸間の角度変位および軸方向相対移動の双方を許容するものであり、固定式等速自在継手は、二軸間での角度変位を許容するが、二軸間の軸方向相対移動は許容しないものである。
摺動式等速自在継手としてトリポード型等速自在継手が公知である。このトリポード型等速自在継手としては、シングルローラタイプとダブルローラタイプとが存在する。シングルローラタイプのトリポード型等速自在継手は、外側継手部材のトラック溝に挿入されるローラを、トリポード部材の脚軸に複数の針状ころを介して回転可能に取り付けたものである。ダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手は、図9及び10に示すように、外側継手部材102のトラック溝105内に配されるローラ111と、トリポード部材103の脚軸132に外嵌してローラ111を回転自在に支持するインナーリング112とを備えるものである(例えば、特許文献1参照)。
ダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手では、図11に示すように、脚軸132の横断面(脚軸の軸線と直交する断面)を楕円形状とすると共に、図9に示すように、インナーリング112の内周面を断面凸円弧形状としている。これにより、図12に示すように、ローラ111を脚軸132に対して揺動させることが可能となるため、シングルローラタイプに比べ、誘起スラスト(継手内部での部品間の摩擦により誘起される軸力)とスライド抵抗を低減できるという利点を有する。また、図11に示すように、脚軸132は横断面形状が楕円形状をなすが、この場合、その長軸aがトルク負荷方向と平行に配置され、短軸bがトルク負荷方向と直交する方向に配置される。
特開2000-320563号公報
上記のトリポード型等速自在継手では、図10に示すように、ローラ111の外周面115が円弧状の母線を有する凸曲面であり、これと接触するローラ案内面106は、ローラ111の外周面115の形状に倣った断面凹形状(ゴシックアーチ形状)を有し、これらがアンギュラコンタクトをなしている。そのため、構造上、等速自在継手が作動角を取った状態で回転する際に、図13に示すような継手軸方向と直交する断面で、ローラ111及びインナーリング112を含むローラユニット104が矢印B1方向に傾く現象(以下、「左右傾き」と言う。)や、図14に示すような継手軸方向と平行な断面で、ローラユニット104が矢印B2方向に傾く現象(以下、「前後傾き」と言う。)が発生する。ローラユニット104に左右傾きや前後傾きが発生すると、ローラ111とローラ案内面106との接触部における転がり摺動抵抗や、ローラユニット104の脚軸32に対する回転抵抗が大きくなる。さらに、ローラユニット104内の針状ころ117がローラ案内面106に対し、外側継手部材102の軸線方向に転がることができなくなるため、摺動抵抗が増加する。これらの要因が著しい場合、誘起スラストやスライド抵抗が大きくなり、等速自在継手のNVH(Noise,Vibration,Harshness)特性が悪化するという問題がある。
また、上記のトリポード型等速自在継手では、脚軸132の横断面が楕円形状であり、且つ、インナーリング112の内周面が断面凸円弧形状であるため、インナーリング112と脚軸132との接触が略点接触となり、脚軸132の動きに伴ってローラユニット104を傾かせるように作用する摩擦モーメントを抑制できる。また、継手が角度を取ったときでも、脚軸132が、インナーリング112の幅方向(脚軸132の軸線方向)中央部と接触するため、左右傾きを抑制する構造になっている。しかし、継手が大きな角度を取ったとき、脚軸132の横断面が楕円形であることで、ローラユニット104に前後傾き(図12参照)を発生させる力が生じる。また、脚軸132とインナーリング112との接触面積が小さいため、極めて厳しい車両使用条件などによる高トルク負荷時などにおいて両者の接触面の面圧が大きくなり、脚軸132の耐久性への影響が懸念される。
そこで、本発明は、最大作動角を取っても、脚軸とインナーリングの内周面とが負すきまになることなく、円滑な作動を実現でき、異音や振動発生によるNVH性能の悪化を防止でき、しかも、早期の損傷も有効に防止できるダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手を提供する。
本発明のトリポード等速自在継手は、継手軸方向に延びる三本のトラック溝が内周面に形成され、各トラック溝に、継手円周方向に対向する一対のローラ案内面が設けられた外側継手部材と、前記外側継手部材の内周に配され、前記トラック溝に向けて継手半径方向に突出した三つの脚軸を有するトリポード部材と、前記脚軸の外周に配され前記脚軸に回転可能且つ揺動可能な状態で支持されたインナーリング及び前記トラック溝に配置され前記インナーリングの外径側に配置されたアウタリング及び前記インナーリングと前記アウタリングの間に配置され前記インナーリングと前記アウタリングを相対回転可能に支持する複数の転動体からなるローラユニット三つと、を備えたトリポード型等速自在継手において、前記アウタリングの外周面が円筒面形状とされると共に、前記ローラ案内面が平坦面とされ、前記インナーリングは、内周面が円筒面形状とされ、前記脚軸の外周面には、縦断面及び横断面において、トルク伝達方向両側に膨出した凸曲線とされ、かつ、縦断面における凸曲線の曲率中心は、前記脚軸の中心軸に対してその凸曲線と反対側にオフセットし、横断面における凸曲面の曲率中心は、前記脚軸の中心軸に対してその凸曲線側かつ前記トリポード部材の回転方向にオフセットし、縦断面における凸曲線の曲率半径をRとし、横断面における凸曲面の曲率半径をrとしたときに、R>rとし、縦断面における曲率中心のオフセット量をFとし、脚軸とインナーリング間の左右傾き角をαとし、脚軸とインナーリング間の前記トリポード部材の回転方向のすきまをSとしたときに、次の数1の関係をなし、前記αは、次の数2で表わされるものである。なお、以下の数式中に出てくるS、F、R等の値の単位はmmである。
本発明のトリポード等速自在継手によれば、ローラが円筒面状外周面を有すると共に、ローラ案内面を平坦面としている。この場合、トルク負荷時に、平坦なローラ案内面とローラの円筒面状外周面とが、直線状の接触部を介して互いに押し付け合うため、ローラの左右傾き(図11参照)を抑制できる。さらに、ローラ案内面の幅方向両側に、ローラにその軸心方向両側から当接可能な一対のガイド面を設けることで、ローラの左右傾きをより確実に防止できる。
ところで、脚軸がオフセットされた円弧形状且つ、インナーリングの内周面が平坦な円筒形状の場合、脚軸とローラ内径間のすきま(ジャーナルすきま)が、トリポード部材とローラ間の左右傾き角によって変動していく。特に、脚軸の軸方向凸曲面の円弧中心(曲率中心)が脚軸中心軸よりも外側にオフセットされている場合は、左右傾き角が大きくなるほどすきまが詰まっていく。ジャーナルすきまが過少な場合、等速自在継手が高作動角を取った時に左右傾き角が大きくなり、脚軸とローラ内径間のすきまが互いに負になって干渉し、異音や振動発生によるNVH性能悪化や、早期損傷の要因になり得る。逆にジャーナルすきまが過大な場合は、円周方向ガタが増加しNVH性能が悪化する。
このため、ジャーナルすきまを適切な値に設定する必要がある。そこで、本発明に係るトリポード等速自在継手では、上記数1及び数2のように設定することにより、脚軸とインナーリングの内周面との干渉を回避できる。
前記すきまの最小値をSminとしたときに、Sminは次の数3で表わされるのが好ましい。
このように設定することによって、等速自在継手が最大作動角をとったときでも、脚軸とローラ内周面(インナーリングの内周面)との干渉を有効に防止できる。
前記すきまの最大値をmaxとし、前記すきまの最小値をSminとしたときに、Smaxは次の数4で表わされるのが好ましい。
このように設定することにより、脚軸とローラ内周面(インナーリングの内周面)との間のすきま(ジャーナルすきま)が過大になるのを有効に防止できる。このため、円周方向ガタの増加を有効に防止でき、NVH特性の悪化を防止できる。
最大作動角が23~28degをとる等速自在継手に使用することができる。すなわち、このような最大作動角をとる等速自在継手において、作動角をとった際にも、脚軸とローラ内ユニット内周面(インナーリング内周面)間のすきま(ジャーナルすきま)が負になることがなく、異音や振動発生を防止でき、円周方向ガタを抑えることができ、NVH性能の悪化を防止できる。
本発明は、最大作動角を取っても、脚軸とインナーリングの内周面とが負すきまになることなく、円滑な作動を実現でき、異音や振動発生によるNVH性能の悪化を防止でき、しかも、早期の損傷も有効に防止できる。
本発明に係るトリポード型等速自在継手の継手軸方向の断面図である。 図1におけるK-K線断面図である。 ローラカセットの縦断面図である。 ローラカセットの横断面図である。 脚軸とインナーリング間の左右傾き角を示す要部簡略断面図である。 脚軸の外径寸法と、インナーリング間の左右傾き角を示す要部簡略断面図である。 図6の要部拡大断面図である。 本発明に用いるパラメータを示し、(a)は脚軸の縦断面における凸曲部の曲率半径と、左右傾き角と、振れ回り半径と、PCRとの関係を示す関係図であり、(b)は右傾き角と、振れ回り半径と、PCRとの関係を示す関係図である。 従来のトリポード型等速自在継手の継手軸方向の断面図である。 図9のK-K線における部分断面図である。 図9のL-L線における断面図である。 図9のトリポード型等速自在継手が作動角をとった状態を表す断面図である。 図9のトリポード型等速自在継手の継手軸方向と直交する断面図であり、ローラユニットの左右傾きが生じている状態を示す。 図9のトリポード型等速自在継手の継手軸方向の断面図であり、ローラユニットの前後傾きが生じている状態を示す。
以下本発明の実施の形態を図1~図8に基づいて説明する。図1~図4に本発明に係るトリポード型等速自在継手1を示し、このトリポード型等速自在継手1はダブルローラタイプである。なお、以下の説明において、作動角を0°の状態とした時のトリポード型等速自在継手の軸線方向を「継手軸方向」と言い、このときの軸線を中心とした円周方向及び半径方向をそれぞれ「継手円周方向」及び「継手半径方向」と言う。
図1及び図2に示すように、このトリポード型等速自在継手1は、外側継手部材2と、内側継手部材としてのトリポード部材3と、トルク伝達部材としてのローラユニット4とを備える。
外側継手部材2は、継手軸方向一端が開口し他端が閉塞されたカップ状をなしている(図1参照)。外側継手部材2の内周面には、継手軸方向に延びる3本の直線状トラック溝5が継手円周方向で等間隔に形成される(図2参照)。各トラック溝5には、継手円周方向に対向して配置された一対のローラ案内面6が形成されている。各ローラ案内面6は、継手軸方向に延びている。外側継手部材2の内部には、トリポード部材3とローラユニット4が収容されている。
トリポード部材3は、中心孔30を有する胴部31(トラニオン胴部)と、胴部31の外周面の継手円周方向の三等分位置から半径方向に突出する3本の脚軸32(トラニオンジャーナル)とを一体に有する。胴部31の中心孔30に形成された雌スプラインに、シャフト8に形成された雄スプラインを嵌合させ、止め輪等によりこれらを継手軸方向に固定することで、トリポード部材3とシャフト8とがトルク伝達可能に結合される。
ローラユニット4は、トリポード部材3の各脚軸32の外周に設けられ、図3および図4に示すように、それぞれ外側継手部材2のトラック溝5に収容されている。ローラユニット4は、脚軸32の軸線を中心とした円環状のローラであるアウタリング11と、アウタリング11の内周に配置されて脚軸32に外嵌された円環状のインナーリング12と、アウタリング11とインナーリング12との間に介在された転動体13とを備える。本実施形態では、転動体13の一例として、保持器のない総ころ状態の多数の針状ころが使用されている。針状ころ13は、アウタリング11の円筒状内周面を外側軌道面とし、インナーリング12の円筒状外周面を内側軌道面として、これらの外側軌道面と内側軌道面の間に転動自在に配置される。アウタリング11、インナーリング12、および針状ころ13からなるローラユニット4は、一対のスナップリング14により、自然には分解しない構造となっている。
次に、ローラ案内面6とアウタリング11との関係について説明する。この場合、継手軸方向をZ方向、脚軸32の軸線方向をY方向、継手軸方向Z及び脚軸軸線方向Yの双方と直交するトルク伝達方向をX方向として示している。
アウタリング11の外周面15は、脚軸32の軸線を中心とした円筒面とされる。アウタリング11の、自身の軸心方向両側の端面16は、自身の軸心と直交する平坦面とされる(図3参照)。アウタリング11の外周面15と両端面16とは、面取り17を介して連続される。面取り17は、例えば、断面直線状のテーパ面と、テーパ面と外周面15及び両端面16とを滑らかに連続する断面曲線状(例えば、円弧状)の凸曲面とからなる。
外側継手部材2の各トラック溝5の一対のローラ案内面6は、互いに平行な平坦面とされる。各ローラ案内面6の幅方向(Y方向)の両側には、一対のガイド面7が設けられる。ガイド面7は、ローラ案内面6の幅方向両端から、脚軸32の軸線Yに近接する側に立ち上がっている。ローラ案内面6及びガイド面7の形状は、アウタリング11の外周面15及び面取り17の形状に倣っている。具体的に、図3に示す断面において、ローラ案内面6とアウタリング11の外周面15とが平行であり、対向する一対のローラ案内面6の間隔Wがアウタリング11の外周面15の直径よりも僅かに大きい。これにより、ローラ案内面6とアウタリング11の外周面15との間にX方向の僅かな隙間が形成される。また、ガイド面7は、図3に示す断面においてアウタリング11の面取り17と略平行であり、例えば、断面直線状の傾斜面と、傾斜面とローラ案内面6とを滑らかに連続する断面曲線状(例えば、円弧状)の凹曲面とからなる。ローラ案内面6の幅方向両側に設けられた一対のガイド面7のY方向の間隔は、アウタリング11の外周面15の幅方向両側に設けられた一対の面取り17のY方向の間隔よりも僅かに大きい。これにより、ガイド面7とアウタリング11の面取り17との間にY方向の僅かな隙間が形成される。
外側継手部材2に図2の矢印T方向のトルクが加わると、図中左側のローラ案内面6にアウタリング11の外周面15が押し付けられる。本実施形態では、上記のように、ローラ案内面6が平坦面であり、アウタリング11の外周面15が円筒面であるため、これらが直線状の接触部を介して互いに押し付け合う。これにより、アウタリング11の外周面15がローラ案内面6と平行になるように、アウタリング11の姿勢が矯正されるため、アウタリング11の左右傾き(図13参照)を抑制できる。また、アウタリング11の面取り17にガイド面7がY方向から当接することで、アウタリング11の前後傾き(図14参照)が規制されると共に、アウタリング11の左右傾きがより一層抑制される。
上記のように外側継手部材2に図2の矢印T方向のトルクが加わると、図中左側のローラ案内面6(以下、「トルク負荷側のローラ案内面6」と言う。)にアウタリング11の外周面15が押し付けられる一方で、図中右側のローラ案内面6(以下、「トルク非負荷側のローラ案内面6」と言う。)及びその幅方向両側のガイド面7と、アウタリング11の外周面15及び面取り17との間に隙間が形成される。このとき、ローラユニット4が傾いて、トルク非負荷側のローラ案内面6やガイド面7にアウタリング11の外周面15や面取り17が接触すると、アウタリング11の回転抵抗が増大する。
そこで、本実施形態では、トリポード部材3にトルクが加わったときに、アウタリング11が、トルク負荷側のローラ案内面6と接触する一方で、トルク非負荷側のローラ案内面6及びその幅方向両側のガイド面7と接触しないように、アウタリング11とローラ案内面6との間の初期隙間や、ガイド面7の形状等が設計される。
次に、インナーリング12の内周面18及び脚軸32の外周面33の形状について、図3及び図4を用いて詳しく説明する。インナーリング12の内周面18は、脚軸軸線方向Yと平行な円筒面とされる。
脚軸32の自身の軸線を含む縦断面において、脚軸32の外周面33は、トルク伝達方向Xの両側に膨出した凸曲線を有する。図示例では、脚軸32の外周面の縦断面における凸曲線が、曲率半径Rの円弧33aで構成される。これにより、脚軸32の外周面の円弧33aの頂部(X方向端部)がインナーリング12の円筒面状内周面18と近接対峙し、円弧33aの頂部からY方向両側に行くにつれて、脚軸32の外周面33とインナーリング12の内周面18との間の隙間が徐々に大きくなっている。この場合、縦断面における凸曲線の円弧33aの曲率中心Aは、凸曲線と反対側に寸法Fだけオフセットしている。
図4に示す脚軸32の自身の軸線と直交する方向の横断面において、脚軸32の外周面は、トルク伝達方向Xの両側に膨出した凸曲線を有する。図示例では、脚軸32の外周面の横断面における凸曲線が、曲率半径rの円弧33bで構成される。この場合、横断面における凸曲線の円弧33bの曲率中心Obは凸曲線側に寸法Eだけオフセットしている。
脚軸32の外周面の円弧33bが、その頂部(X方向端部)でインナーリング12の円筒面状内周面18と近接対峙し、頂部からZ方向両側に行くほど、インナーリング12の内周面18から離反して、Z方向ではこれらの間に隙間Gが設けられる。
以上のように、脚軸32の外周面33は、縦断面における凸曲線(円弧33a)の曲率半径Rと、横断面における凸曲線(円弧33b)の曲率半径rとが異なる非球面形状を成している。また、曲率半径Rは曲率半径rよりも大きく設定され、つまり、R>rと設定されているが、この場合、曲率半径Rは、脚軸32のトルク伝達方向の最大寸法(後述する作動角が0°のときの脚軸32の最大径DJ)の半分よりも大きく、また、曲率半径rは、DJの半分よりも小さく設定される。ここで、DJ(図3および図6参照)は作動角が0°のときの脚軸32の外径寸法であり、ジャーナル径と呼ぶことができる。
脚軸32がオフセットされた円弧形状且つ、インナーリング12の内周面が平坦な円筒形状の場合、脚軸32の横断面における長軸とインナーリング12の内径間のすきま(図3中のD-DJ(ジャーナルすきま))が、トリポード部材3とインナーリング12間の左右傾き角によって変動していく。特に、脚軸32の縦断面における軸方向凸曲面の円弧中心(図3中のA、A‘(曲率中心))が脚軸32中心軸Pに対しオフセットされている場合は、脚軸32の左右傾き角が大きくなるほどすきまが詰まっていく。ジャーナルすきまが過少な場合、等速自在継手が高作動角を取った時に、脚軸32の左右傾き角が大きくなり、脚軸32とインナーリング12の内径間のすきまが互いに負になって干渉し、異音や振動発生によるNVH性能悪化や、早期損傷の要因になり得る。逆にジャーナルすきまが過大な場合は、円周方向ガタが増加しNVH性能が悪化する。
このため、ジャーナルすきまを適切な値に設定する必要がある。そこで、本発明に係る、トリポード等速自在継手では、上記数3及び数4のように設定することにより、脚軸32とインナーリング12の内周面18との干渉を回避できる。数3において、Sはジャーナルすきまと呼び、インナーリング11の内径をDとし、作動角が0°のときの脚軸32の最大径がDJのときに、S=D-DJである。また、Fは軸方向アールのオフセット量であり、縦断面における凸曲面の曲率中心Aの脚軸中心からのオフセット量である。αは左右傾き角であり、継手軸心と平行であり脚軸中心Pを通る平面が脚軸中心Pの傾く角度である。数4において、θは等速自在継手の作動角である。
また、ジャーナルすきまの最小値(Smin)は、次の数5で設定できる。また、ジャーナルすきまの最大値(Smax)は、次の数6で表すことができる。
ところで、数5におけるαは、継手が作動角θを取ったときの左右傾き角であり、次の数7で表すことができる。図7は、脚軸がαの左右傾き角をなしたときの、脚軸の最大外径を示す説明図であり、図8(a)(b)は、脚軸がαの左右傾き角をなしたときの、PCRと脚軸の振れ回り半径e(図5及び図8参照)との関係を示す。
ここで、Oはトリポード部材3の中心であり、Pは脚軸32とPCRの交点であり、O´はPから振れ回り半径eの円に下した接線の交点である。このため、数7におけるPOは、交点Pとトリポード部材3の中心との線分の長さを示し、OO´はトリポード部材3の中心と交点O´との線分の長さを示す。このため、逆三角関数の定義から数7を導き出すことができる。また、線分POはPCRであり、線分OO´は半径eであり、数7は次の数8に置き換えることができる。
また、振れ回り半径eは、PCRと作動角θを用いて、次の数9で表すことができる。そこで、数9を数8に代入すれば、数10のようになって、数11の式を算出することができる。
次に、図7に示す左右傾き角がαのときの脚軸32の最大外径寸法DJ´(図6参照)の算出方法を説明する。図7において、脚軸32の縦断面における凸曲部の曲率中心(中心点)を、A、A´とすると、各中心点A、A´から水平方向に線を引いたときの凸曲部の円弧との交点C、C´とした場合、C、C´間寸法は最大外径寸法DJ´となる。すなわち、DJ´=CC´であり、交点Pから線分ACに下した垂線との交点をP´とすると、次の数12の関係式が成り立つ。
この場合、AC=R、AP=F、∠PAP´=αである。このため、DJ´は次の数13で表すことができる。また、AP´は数14で表すことができる。

ところで、ジャーナル最小すきまを、最大作動時に脚軸32とインナーリング12の内周面とが干渉しないのが好ましい。この場合、作動角が0°のときのインナーリングの内径寸法をDとし、作動角が0°のときの脚軸の外径寸法をDJとしたときに、ジャーナルすきまSは、D-DJとなり、このジャーナルすきまSが、数15に示す式の値と同等か大きくする必要がある。
この場合、DJ´は、数13で示す式で表すことができ、DJは2(R-F)で表すことができ、これらを数15の式に代入すれば、数16の式になって、数17の式を求めることができる。
このため、数1で示す関係式が、脚軸32とインナーリングの内周面とが干渉しない条件となる。この場合、ジャーナルすきま最小値(Smin)としては、数5の数式に設定することができる。またジャーナルすきま最大値(Smax)としては、数6の数式に設定することができる。
本発明のトリポード等速自在継手によれば、ローラ11が円筒面状外周面を有すると共に、ローラ案内面6を平坦面としている。この場合、トルク負荷時に、平坦なローラ案内面6とローラ11の円筒面状外周面とが、直線状の接触部を介して互いに押し付け合うため、ローラ11の左右傾き(図11参照)を抑制できる。さらに、ローラ案内面6の幅方向両側に、ローラ11にその軸心方向両側から当接可能な一対のガイド面7,7を設けることで、ローラ11の左右傾きをより確実に防止できる。
トリポード等速自在継手では、上記数1及び数2のように設定することにより、図6に示すように、脚軸32とインナーリング12の内周面18との干渉を回避できる。
このため、本トリポード等速自在継手では、最大作動角を取っても、脚軸32とインナーリング12の内周面18とが負すきまになることなく、円滑な作動を実現でき、異音や振動発生によるNVH性能の悪化を防止でき、しかも、早期の損傷も有効に防止できる。
前記すきまの最小値をSminとしたときに、Sminは前記数5で表わされるのが好ましい。このように設定することによって、等速自在継手が最大作動角をとったときでも、脚軸32とローラ内周面(インナーリング12の内周面18)との干渉を有効に防止できる。
すきまの最大値をmaxとし、すきまの最小値をSminとしたときに、Smaxは前記数6で表わされるのが好ましい。このように設定することにより、脚軸32とローラ内周面(インナーリング12の内周面18)との間のすきま(ジャーナルすきま)が過大になるのを有効に防止できる。このため、円周方向ガタの増加を有効に防止でき、NVH特性の悪化を防止できる。
また、曲率半径Rを曲率半径rよりも大きくすることにより、脚軸32の外周面33とインナーリング12の内周面18との接触部の脚軸軸線方向長さ(すなわち、接触楕円の短径)が長くなるため、これらの接触部における面圧の上昇を抑えることができる。
最大作動角が23~28degをとる等速自在継手に使用することができる。すなわち、このような最大作動角をとる等速自在継手において、作動角をとった際にも、脚軸32とローラ内ユニット内周面(インナーリング12の内周面18)間のすきま(ジャーナルすきま)が負になることがなく、異音や振動発生を防止でき、円周方向ガタを抑えることができ、NVH性能の悪化を防止できる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、縦断面における凸曲部の曲率中心と曲率半径、及び横断面における凸曲部の曲率中心と曲率半径は、前記数1から数17を満たすものであれば、任意に変更できる。また、トリポード型等速自在継手としては、自動車のトルク伝達系に装備されるドライブシャフト用いることができるが、もちろん等速自在継手の用途は自動車用には限定されず、自動車や産業機器一般の動力伝達系に広く用いることが可能である。
2 外側継手部材
3 トリポード部材
4 ローラユニット
5 直線状トラック溝
6 ローラ案内面
11 アウタリング
12 インナーリング
18 内周面
32 脚軸
33 外周面
33a 円弧
33b 円弧

Claims (4)

  1. 継手軸方向に延びる三本のトラック溝が内周面に形成され、各トラック溝に、継手円周方向に対向する一対のローラ案内面が設けられた外側継手部材と、前記外側継手部材の内周に配され、前記トラック溝に向けて継手半径方向に突出した三つの脚軸を有するトリポード部材と、前記脚軸の外周に配され前記脚軸に回転可能且つ揺動可能な状態で支持されたインナーリング及び前記トラック溝に配置され前記インナーリングの外径側に配置されたアウタリング及び前記インナーリングと前記アウタリングの間に配置され前記インナーリングと前記アウタリングを相対回転可能に支持する複数の転動体からなるローラユニット三つと、を備えたトリポード型等速自在継手において、
    前記アウタリングの外周面が円筒面形状とされると共に、前記ローラ案内面が平坦面とされ、前記インナーリングは、内周面が円筒面形状とされ、前記脚軸の外周面には、前記脚軸の自身の軸線を含む断面である縦断面及び前記脚軸の自身の軸線と直交する方向の断面である横断面において、トルク伝達方向両側に膨出した凸曲線とされ、かつ、縦断面における凸曲線の曲率中心は、前記脚軸の中心軸に対してその凸曲線と反対側にオフセットし、横断面における凸曲面の曲率中心は、前記脚軸の中心軸に対してその凸曲線側かつ前記トリポード部材の回転方向にオフセットし、縦断面における凸曲線の曲率半径をRとし、横断面における凸曲面の曲率半径をrとしたときに、R>rとし、
    縦断面における曲率中心のオフセット量をFとし、脚軸とインナーリング間の左右傾き角をαとし、脚軸とインナーリング間の前記トリポード部材の回転方向のすきまをSとしたときに、次の数1の関係をなし、前記αは、次の数2で表わされることを特徴とするトリポード型等速自在継手。
  2. 前記すきまの最小値をSminとしたときに、Sminは次の数3で表わされることを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。

  3. 前記すきまの最大値をmaxとし、前記すきまの最小値をSminとしたときに、Smaxは次の数4で表わされることを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。
  4. 最大作動角を23~28degとしたことを特徴とする請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。
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