[関連出願情報]
[0001]本出願は、2017年6月7日に出願された米国仮特許出願第62/516,432号、及び2017年7月12日に出願された米国仮特許出願第62/531,626号への優先権を主張する。前述の出願の全ての内容は、全てのテキスト、表、配列表及び図面を含め、参照により本明細書に取り込まれる。
[発明の分野]
[0002]本発明は、核酸、例えばプラスミドでの細胞形質導入(トランスフェクション)の分野に関する。より詳細には、本発明は、形質導入(トランスフェクト)細胞を産生するための組成物及び方法を提供し、前記細胞は、任意選択でアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを産生する。
発明の詳細な説明
[序論]
[0003]本発明の属する最新技術を記載するために、本明細書全体を通していくつかの刊行物及び特許文書が引用されている。これらの引用のそれぞれは、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
[発明の概要]
[0004]本発明は、少なくとも1つの核酸配列で細胞をトランスフェクトするための組成物及び方法を提供する。一実施形態において、トランスフェクション組成物又は方法は:(a)細胞を、ポリエチレンイミン(PEI)を含む溶液で製剤化された少なくとも1つの核酸と接触させるステップ;(b)細胞を、核酸及びポリエチレンイミン(PEI)溶液とともにインキュベート又は培養するステップ;(c)ステップ(a)の時点又は直後、又はステップ(a)から3時間以内までに増強剤を加えて混合物を産生するステップ;並びに(d)ステップ(c)の前記混合物をインキュベートし、それにより細胞を核酸配列でトランスフェクトするステップを含む。
[0005]本発明はまた、rAAVベクターのような組換えウイルスベクターを産生する細胞の組成物及び細胞を作製する方法を提供する。一実施形態において、組成物又は方法は:(a)構成物(i)、(ii)及び(iii)のPEI/プラスミド混合物を提供するステップであって、(i)はAAVパッケージングタンパク質をコードする核酸及び/又はヘルパータンパク質をコードする核酸を含む1つ又は複数のプラスミドであり;(ii)はタンパク質をコードする又は目的の転写物に転写される導入遺伝子を含むプラスミドであり;(iii)はポリエチレンイミン(PEI)溶液であるステップ、(b)細胞を、ステップ(a)のプラスミド/PEI混合物と接触させて、プラスミド/PEI細胞培養液を産生するステップ;(c)増強剤をプラスミド/PEI細胞培養液に加えて、第2の混合物を産生するステップ;並びに(d)ステップ(c)の前記第2の混合物をインキュベートし、それにより組換えrAAVベクターを産生するトランスフェクトされた細胞を作製するステップを含む。
[0006]本発明の組成物及び方法の様々なさらなる実施形態には、1つ又は複数の追加の任意選択的なステップが含まれる。
[0007]特定の態様において、さらなるステップは、(e)ステップ(d)で産生された前記トランスフェクトされた細胞及び/又はステップ(d)で産生されたトランスフェクトされた細胞からの培養培地を収穫して、細胞及び/又は培養培地収穫物を産生することを含む。
[0008]特定の態様において、さらなる任意選択的なステップは、(e)核酸又はプラスミドでトランスフェクトされた細胞の培養、拡張、単離又は選択を含む。
[0009]特定の態様において、さらなる任意選択的なステップは、(e)ステップ(d)で産生されたトランスフェクトされた細胞及び/若しくは培養培地から、並びに/又はステップ(d)で産生されたトランスフェクトされた細胞から、組換えAAVベクターを単離及び/又は精製することを含む。
[0010]特定の態様において、さらなる任意選択的なステップは、(f)ステップ(e)で産生されたトランスフェクトされた細胞及び/又は培養培地収穫物から組換えAAVベクターを単離及び/又は精製することを含む。
[0011]さらなる実施形態において、核酸配列(複数可)はベクター及び/又はプラスミドを含む。
[0012]さらなる実施形態において、核酸配列(複数可)はウイルスベクター及び/又はウイルスプラスミドを含む。特定の態様において、ウイルスベクター又はウイルスプラスミドは、レンチウイルスベクター若しくはプラスミド、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター若しくはプラスミドを含む。
[0013]さらなる実施形態において、ベクターは、タンパク質をコードするか、又は目的の転写物に転写される導入遺伝子を含む。特定の態様において、導入遺伝子は、野生型又は機能的変異体の血液凝固因子、apoE2、TPP1、アルギニノコハク酸合成酵素、銅輸送ATPase2、酸性α-グルコシダーゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ又はC1阻害セリンプロテアーゼ阻害剤をコードする。特定の態様において、野生型又は機能的変異体の血液凝固因子は、因子VII、因子VIII、又は因子IXである。
[0014]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の前、ステップ(a)の時点、又はステップ(a)の直後に添加される。
[0015]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の前、ステップ(a)の時点、又はステップ(a)の16時間後までに添加される。
[0016]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の前、ステップ(a)の時点、又はステップ(a)の後3時間未満までに添加される。
[0017]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の前に添加され、ステップ(a)の時点で増強剤はステップ(a)又は(b)の前又は後に2回以上添加される。
[0018]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の時点又は直後、又はステップ(a)の16時間後までに最初に加えられ、ステップ(a)若しくは(b)の16~72時間後に再び加えられるか、又はステップ(a)若しくは(b)の16~48時間後に再び加えられるか、又はステップ(a)若しくは(b)の16~24時間後に再び加えられる。
[0019]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の時点又は直後、又はステップ(a)の3時間未満後までに最初に加えられ、ステップ(a)若しくは(b)の12~72時間後に再び加えられるか、又はステップ(a)若しくは(b)の12~48時間後に再び加えられるか、又はステップ(a)若しくは(b)の12~24時間後に再び加えられる。
[0020]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の12~72時間前に最初に添加され、ステップ(a)の時点又は直後又はステップ(a)の16時間後までに再び添加される。
[0021]さらなる実施形態において、増強剤は、ステップ(a)の12~72時間前に最初に添加され、ステップ(a)の時点又は直後又はステップ(a)の3時間未満後までに再び添加される。
[0022]さらなる実施形態において、プラスミド(i)及び(ii)は、約1:0.01~約1:100のモル比範囲にあるか、又は約100:1~約1:0.01のモル比範囲にあり、構成物(i)、(ii)及び(iii)の混合物は、ステップ(b)の前に約10秒~約4時間の期間にわたって任意選択でインキュベートされる。
[0023]さらなる実施形態において、核酸又はプラスミドは、約0.1:1~約5:1の範囲のPEI:核酸若しくはPEI:プラスミド重量比、又は約5:1~約0.1:1の範囲のPEI:核酸若しくはPEI:プラスミド重量比にある。
[0024]さらなる実施形態において、核酸又はプラスミドは、約1:1~約5:1の範囲のPEI:核酸若しくはPEI:プラスミド重量比、又は約5:1~約1:1の範囲のPEI:核酸若しくはPEI:プラスミド重量比にある。
[0025]さらなる実施形態において、核酸又はプラスミドは、約1:1~約3:1の範囲のPEI:核酸又はPEI:プラスミド重量比にある。
[0026]さらなる実施形態において、核酸又はプラスミドは、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1又は約3:1の範囲のPEI:核酸又はPEI:プラスミド重量比にある。
[0027]さらなる実施形態において、組成物又は方法は、遊離PEIを細胞に加えるステップをさらに含む。
[0028]さらなる実施形態において、遊離PEIは、ステップ(a)若しくは(b)の前、その時点若しくはその後に、又はステップ(c)の前若しくはその時点若しくはその後に、細胞に加えられる。
[0029]さらなる実施形態において、遊離PEIは、ステップ(a)若しくは(b)の時点若しくはその後、又はステップ(c)の時点若しくはその後に、細胞に加えられる。
[0030]さらなる実施形態において、遊離PEIは、PEI:核酸又はPEI:プラスミドの重量比が約0.1:1~約5:1の範囲、又は約5:1~約0.1:1までの範囲になるように加えられる。
[0031]さらなる実施形態において、遊離PEIは、PEI:核酸又はPEI:プラスミドの重量比が約1:1~約5:1の範囲、又は約5:1~約1:1の範囲になるように加えられる。
[0032]さらなる実施形態において、PEI:核酸及び/又はPEI:プラスミド及び/又は遊離PEIにおけるPEIは、直鎖ポリエチレンイミンを含む。
[0033]さらなる実施形態において、PEI:核酸及び/又はPEI:プラスミド及び/又は遊離PEIにおけるPEIは、加水分解された直鎖ポリエチレンイミンを含む。
[0034]さらなる実施形態において、PEI:核酸及び/又はPEI:プラスミド及び/又は遊離PEIにおけるPEIは、約4000~約160000の範囲の分子量及び/又は遊離塩基形態で約2500~約250000の分子量の範囲を有する加水分解された直鎖ポリエチレンイミンを含む。
[0035]さらなる実施形態において、PEI:核酸及び/又はPEI:プラスミド及び/又は遊離PEIにおけるPEIは、約40000の分子量及び/又は遊離塩基形態で約25000分子量を有する加水分解された直鎖ポリエチレンイミンを含む。
[0036]さらなる実施形態において、全PEI中の窒素(N)の核酸:PEI及び/又はプラスミド:PEI中のリン酸塩(P)に対するモル比は、約1:1~約50:1(N:P)の範囲である。
[0037]さらなる実施形態において、全PEI中の窒素(N)の核酸:PEI及び/又はプラスミド:PEI中のリン酸塩(P)に対するモル比は、約5:1~約10:1である。
[0038]さらなる実施形態において、全PEI中の窒素(N)の核酸:PEI及び/又はプラスミド:PEI中のリン酸塩(P)に対するモル比は、約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1(N:P)のいずれかである。
[0039]さらなる実施形態において、遊離PEIの量は、全PEIの約10%~約90%である。
[0040]さらなる実施形態において、遊離PEIの量は全PEIの約25%~約75%である。
[0041]さらなる実施形態において、遊離PEIの量は全PEIの約50%である。
[0042]さらなる実施形態において、遊離PEIの量は約0.1μg/mL~約10μg/mLである。
[0043]さらなる実施形態において、遊離PEIの量は約1.0μg/mL~約5μg/mLである。
[0044]さらなる実施形態において、PEI溶液及び/又は遊離PEIは、約7.0~約8.0のpHを有する溶液を含む。
[0045]さらなる実施形態において、核酸配列及びPEIは、ステップ(a)の前に互いに約10秒~約4時間インキュベートされている。
[0046]さらなる実施形態において、核酸配列及びPEIは、ステップ(a)の前に互いに約30秒~約4時間インキュベートされている。
[0047]さらなる実施形態において、核酸配列及びPEIは、ステップ(a)の前に互いに約1分~約30分インキュベートされている。
[0048]さらなる実施形態において、構成物(i)、(ii)及び(iii)の混合物は、ステップ(b)の前に約10秒~約4時間、一緒にインキュベートされる。
[0049]さらなる実施形態において、構成物(i)、(ii)及び(iii)の混合物は、ステップ(b)の前に約30秒~約4時間、一緒にインキュベートされる。
[0050]さらなる実施形態において、構成物(i)、(ii)及び(iii)の混合物は、ステップ(b)の前に約1分~約4時間、一緒にインキュベートされる。
[0051]さらなる実施形態において、ステップ(d)のインキュベーションは少なくとも約4時間である。
[0052]さらなる実施形態において、ステップ(d)のインキュベーションは約4時間~約140時間である。
[0053]さらなる実施形態において、ステップ(d)のインキュベーションは約4時間~約96時間である。
[0054]さらなる実施形態において、細胞は哺乳動物細胞を含む。特定の態様において、細胞はヒト胎児腎臓(HEK)又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。特定の態様において、細胞はヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を含む。特定の態様において、細胞はHEK 293E、HEK 293F又はHEK 293T細胞である。
[0055]さらなる実施形態において、細胞は安定的に又は一時的にトランスフェクトされる。
[0056]さらなる実施形態において、細胞は懸濁培養液中にある。
[0057]さらなる実施形態において、細胞は接着性である。
[0058]さらなる実施形態において、細胞は、無血清培養培地で増殖又は維持される。
[0059]さらなる実施形態において、細胞は、前記核酸配列若しくは前記プラスミド/PEI混合物と接触したとき、及び/又は前記遊離PEIと接触したとき、約1×105細胞/mL~」約1×108細胞/mLの範囲の密度である。
[0060]さらなる実施形態において、細胞は、前記核酸配列若しくは前記プラスミド/PEI混合物と接触したとき、及び/又は前記遊離PEIと接触したとき、約5×105細胞/mL~約1×107細胞/mLの範囲の密度である。
[0061]さらなる実施形態において、細胞は、前記核酸配列若しくは前記プラスミド/PEI混合物と接触したとき、及び/又は前記遊離PEIと接触したとき、約1×106細胞/mL~約5×106細胞/mLの範囲の密度である。
[0062]さらなる実施形態において、前記核酸配列若しくはプラスミド/PEI混合物又は前記遊離PEIと接触したときの細胞の生存率は、約60%若しくは60%よりも大きいか、又は前記核酸配列若しくはプラスミド/PEI混合物と接触させたときに前記細胞は対数増殖期にある。
[0063]さらなる実施形態において、前記核酸配列若しくはプラスミド/PEI混合物又は前記遊離PEIと接触したときの細胞の生存率は、約90%若しくは90%よりも大きいか、又は前記核酸配列若しくはプラスミド/PEI混合物又は前記遊離PEIと接触させたときに前記細胞は対数増殖期にある。
[0064]さらなる実施形態において、核酸配列又はプラスミドの総量は、細胞1mLあたり約0.1μg~約15μgの範囲にある。
[0065]さらなる実施形態において、導入遺伝子を含むプラスミドの、AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸及び/又はヘルパータンパク質をコードする核酸を含む1つ又は複数のプラスミドに対するモル比は、約1:5~約1:1、又は約1:1~約5:1である。
[0066]さらなる実施形態において、1つ又は複数のプラスミドは、AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸を含む第1のプラスミド及びヘルパータンパク質をコードする核酸を含む第2のプラスミドとを含む。
[0067]さらなる実施形態において、導入遺伝子を含むプラスミドと、AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸を含む第1のプラスミドと、ヘルパータンパク質をコードする核酸を含む第2のプラスミドとのモル比は、約1~5:1:1、又は1:1~5:1、又は1:1:1~5の範囲にある。
[0068]さらなる実施形態において、コードされたAAVパッケージングタンパク質は、AAV rep及び/又はAAV capを含む。
[0069]さらなる実施形態において、コードされたAAVパッケージングタンパク質は、AAV血清型のAAV rep及び/又はAAV capタンパク質を含む。
[0070]さらなる実施形態において、コードされたヘルパータンパク質は、アデノウイルスE2及び/若しくはE4、VARNAタンパク質、並びに/又は非AAVヘルパータンパク質を含む。
[0071]さらなる実施形態において、組換えAAVベクターは、AAV血清型1~12、AAV VP1、VP2及び/若しくはVP3キャプシドタンパク質、又は改変若しくは変異体AAV VP1、VP2及び/若しくはVP3キャプシドタンパク質、又は野生型AAV VP1、VP2及び/若しくはVP3キャプシドタンパク質のいずれかを含む。
[0072]さらなる実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、キャプシドVP1、VP2及び/若しくはVP3タンパク質配列、又はキャプシドタンパク質配列若しくは任意のキャプシドタンパク質配列のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、及びAAV10血清型から選択される逆位末端反復(ITR)配列に対して70%以上の配列同一性を有する逆位末端反復配列を含む。
[0073]さらなる実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、配列番号1及び配列番号2から選択されるキャプシドタンパク質配列に対して70%以上の配列同一性を有するキャプシドVP1、VP2及び/又はVP3タンパク質配列を含む。
[0074]さらなる実施形態において、AAVベクターは、AAV血清型又はAAV偽型を含み、前記AAV偽型は、ITR血清型とは異なるAAVキャプシド血清型を含む。
[0075]さらなる実施形態において、AAVベクターは、キャプシドVP1、VP2及び/又はVP3タンパク質、又はAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、配列番号1及び配列番号2から選択される任意の血清型の逆位末端反復を含む。
[0076]さらなる実施形態において、AAVベクターは、イントロン、発現制御要素、1つ又は複数のアデノ随伴ウイルス(AAV)逆位末端反復(ITR)及び/又はフィラーポリヌクレオチド配列(filler polynucleotide sequence)をさらに含む。
[0077]さらなる実施形態において、イントロンは、タンパク質をコードするか、又は目的の転写物に転写される核酸内にあるか、又は隣接する。
[0078]さらなる実施形態において、発現制御要素は、タンパク質をコードするか、又は目的の転写物に転写される核酸に作動可能に連結されている。
[0079]さらなる実施形態において、AAV ITR(複数可)は、タンパク質をコードするか、又は目的の転写物に転写される核酸の5’又は3’末端に隣接する。
[0080]さらなる実施形態において、フィラーポリヌクレオチド配列は、タンパク質をコードするか、又は目的の転写物に転写される核酸の5’又は3’末端に隣接する。
[0081]さらなる実施形態において、発現制御要素は、構成的若しくは調節可能な制御要素、又は組織特異的発現制御要素又はプロモーターを含む。
[0082]さらなる実施形態において、発現制御要素は、肝臓で発現を付与する要素を含む。
[0083]さらなる実施形態において、ITRは、AAV2又はAAV6血清型のいずれか、又はそれらの組み合わせの1つ又は複数のITRを含む。
[0084]さらなる実施形態において、細胞は、前記核酸配列又はプラスミド/PEI混合物と接触する前に、細胞密度が減少するまで継代培養される。
[0085]さらなる実施形態において、細胞は、前記核酸配列又はプラスミド/PEI混合物と接触する前に、約0.1×106細胞/mL~約5.0×106細胞/mLの範囲の細胞密度に継代培養される。
[0086]さらなる実施形態において、細胞は、継代培養後2日~5日の期間の間、前記核酸配列又はプラスミド/PEI混合物と接触される。
[0087]さらなる実施形態において、細胞は、継代培養後3日~4日の期間の間、前記核酸配列又はプラスミド/PEI混合物と接触される。
[0088]さらなる実施形態において、前記トランスフェクトされた細胞に導入される核酸配列又はプラスミドの量は、遊離PEIを細胞培養液に加えるステップを用いると、遊離PEIを細胞培養液に加えない場合と比較して少なくとも50%多い。
[0089]さらなる実施形態において、前記トランスフェクトされた細胞に導入される核酸配列又はプラスミドの量は、増強剤を添加するステップを用いると、増強剤を添加しない場合と比較して少なくとも50%多い。
[0090]さらなる実施形態において、産生された組換えAAVベクターの量は、遊離PEIをプラスミド/PEI細胞培養液に加えるステップを用いると、遊離PEIをプラスミド/PEI細胞培養液に加えない場合と比較して少なくとも50%以上である。
[0091]さらなる実施形態において、産生された組換えAAVベクターの量は、プラスミド/PEI細胞培養液に遊離PEIを加えるステップを用いると、遊離PEIをプラスミド/PEI細胞培養液に加えない場合と比較して1~5、5~8、8~10又は10~20倍多い。
[0092]さらなる実施形態において、産生された組換えAAVベクターの量は、増強剤を添加するステップを用いると、プラスミド/PEI細胞培養液に増強剤を加えない場合と比較して1~5、5~8、8~10又は10~15倍多い。
[0093]さらなる実施形態において、細胞は、約10~500mL、500mL~2リットル、2~20リットル、20~50リットル、50~100リットル、100~500リットル、500~1000リットル、又は1000~2000リットルの培養容量である。
[0094]さらなる実施形態において、導入遺伝子は約4.0Kb~約6.0Kbのサイズを有する。
[0095]さらなる実施形態において、導入遺伝子は約4.5Kb~約6.0Kbのサイズを有する。
[0096]さらなる実施形態において、導入遺伝子は約4.5Kb~約5.5Kbのサイズを有する。
[0097]さらなる実施形態において、導入遺伝子は約4.5Kb~約5.0Kbのサイズを有する。
[0098]さらなる実施形態において、増強剤は、バルプロ酸、その塩又は誘導体を含む。特定の態様において、バルプロ酸塩はナトリウム又はカリウム塩を含む。特定の態様において、バルプロ酸誘導体は、それに結合又はコンジュゲートしたアミノ酸を含む。
[0099]さらなる実施形態において、増強剤は、イソ酪酸、その塩又は誘導体を含む。特定の態様において、イソ酪酸塩はナトリウム又はカリウム塩を含む。特定の態様において、イソ酪酸誘導体は、それに結合又はコンジュゲートしたアミノ酸を含む。
[0100]さらなる実施形態において、増強剤は、イソ吉草酸、その塩又は誘導体を含む。特定の態様において、イソ吉草酸塩はナトリウム又はカリウム塩を含む。特定の態様において、イソ吉草酸誘導体は、それに結合又はコンジュゲートしたアミノ酸を含む。
[0101]さらなる実施形態において、添加後、増強剤(複数可)は約0.1mM~約25mMの濃度である。
[0102]さらなる実施形態において、添加後、増強剤(複数可)は約0.5mM~約10mMの濃度である。
[0103]さらなる実施形態において、添加後、増強剤(複数可)は約0.5mM~約5mMの濃度である。
[0104]さらなる実施形態において、添加後、増強剤(複数可)は、約1mM~約10mM、約1mM~約9mM、約1mM~約8mM、約1mM~約7mM、約1mM~約6mM、約1mM~約5mM、約1mM~約4mM、約1mM~約3mM、又は約1mM~約2mMの濃度である。
[0105]さらなる実施形態において、ステップ(a)~(f)のいずれか、又は請求項1~94のいずれかに記載される条件は、実施例1~3のいずれかに記載されるように行われる。
[0106]図1は、rAAV-FVIIIベクターの生産性の比較を示す図である。スピナーフラスコ内のHEK 293F細胞を3つのプラスミドを用いてトランスフェクトした:rAAV産生のためのアデノウイルス由来のヘルパー遺伝子を含むpAdヘルパープラスミド;Reps及びCapsのpAAV rep/cap発現AAV遺伝子;AAV ITRに隣接するヒト第VIII因子発現カセットを含むpAAVhFVIII。使用した総DNA量は、モル比1:1:1で1.86ug/mLであった。1:1(重量)のPEI/DNA比を使用して、PEI/DNA複合体を調製し、細胞をトランスフェクトした。追加の遊離PEI(PEI/DNA複合体の調製に使用されたものと同じ量)も、トランスフェクション時に別々に細胞培養液に加えた。エクスピフェクタミン(ExpiFectamine)(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサー1及び2を、トランスフェクションと同時、又はトランスフェクション後16~18時間(製造業者の指示に従って)に細胞に加えた。エンハンサー1及び2は、それぞれ培養量の1:200及び1:20で使用された。トランスフェクションの72時間後に細胞培養液を収穫し、rAAV-FVIIIベクターをQ-PCR分析により決定した。rAAV-FVIIIベクターの力価は、エンハンサーをトランスフェクション時に加えた場合には、エンハンサーをトランスフェクションの16時間後に加えた場合やエンハンサーを加えない場合と比べて2~3倍高かった。
[0107]図2は、異なるDNA量及びPEI/DNA比を使用したrAAV-FVIIIベクター産生の最適化を示す図である。3つのプラスミドを使用して、スピナーフラスコ内のHEK 293F細胞をDNAの総量がそれぞれ1.2、1.86、又は2.8μg/mLのDNAでトランスフェクトした。プラスミドDNAの比率は以前に記載した通りであった。ただし、この研究で使用したPEI/DNA比は1:1、1.5:1、2:1、2.5:1及び3:1であった。使用した遊離PEIは1.5μg/mLであった。エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサー1及び2を上に記載のように使用した。トランスフェクション時の細胞密度は2~3×106細胞/mLであった。トランスフェクション後48時間(#)又は72時間(*)にサンプルを採取し、rAAVベクター力価をQ-PCRアッセイで決定した。最も高いrAAVベクター収量は、1.2μg/mLのDNA、PEI/DNA比が2~2.5:1、エンハンサーを用いた条件下で、観察された。
[0108]図3は、バイオリアクター中のrAAV-FVIIIベクターの生産性を確認した図である。HEK 293F細胞をバイオリアクター中、400mLのスケールで培養し、3つのプラスミドを用いトランスフェクトした(プラスミドDNAの総量は1.2又は2.8μg/mL)。1:1:1のプラスミドDNAモル比、1.5:1、2:1、2.5:1及び3:1のPEI/DNA(重量)比を使用した。以前に記載したように、1.5μg/mLの遊離PEIとエンハンサー1及び2もまた使用した。トランスフェクション時の細胞密度は2~3×106細胞/mLであった。最も高いベクター産生(Q-PCRデータ)は、2.5~3:1のPEI/DNA比で1.2μg/mLの総DNAの条件下で観察された。
[0109]図4は、フルスケールのDASGIPバイオリアクターで、高いrAAVベクター生産性が維持されることを示す図である。最適化されたトランスフェクション条件を、フルスケールのDASGIPバイオリアクターである1.2リットル(L)スケールでのrAAV産生についてさらに評価した。HEK 293F細胞を、DASGIPバイオリアクターで、130rpm、150rpm、及び170rpmの攪拌速度で2つ又は3つのインペラーを備えた1.2Lスケールで培養した。1.2μg/mLの全プラスミドDNAの3つのプラスミドで細胞をトランスフェクトし、2.5:1のPEI/DNA比を使用してPEI/DNA複合体を調製した;DNAモル比と遊離PEI及びトランスフェクションエンハンサーの量は、以前に記載したようであった。Q-PCRデータは、1.2Lのスケールでのベクター生産性が小スケールで観察されたものと同等に維持することを示し、最適化されたトランスフェクションをスケールアップできることを示した。いかなる理論にも縛られることを望んでいないが、Q-PCRデータはまた、高速の攪拌速度がベクターの生産性をさらに増強することも示唆した。
[0110]図5は、エンハンサー1のみが、エンハンサー1及び2の両方を使用した場合に産生されるものと同じレベルまでrAAV生産性を改善したことを示す図である。rAAV生産方法をさらに最適化するために、いずれか1つだけのエンハンサー:トランスフェクション時にエンハンサー1又はエンハンサー2のみを使用して研究を行い、ベクターの生産性を両方のエンハンサーを使用した場合と比較した。Q-PCRデータは、エンハンサー1を使用した場合のrAAV生産性は、エンハンサー1と2の両方を使用した場合の生産性と同等であることを示した。しかしながら、エンハンサー2はrAAVの産生を低下させるだけであり、エンハンサー2がrAAVの産生にポジティブな影響を与えないことを示唆した。さらに、トランスフェクション時にエンハンサー1及び2の量を減らすと、rAAVの力価が低下した。
[0111]図6は、トランスフェクション(TF)及びトランスフェクション後24時間若しくは48時間の両方でのエンハンサー1及び2の反復使用により、又はトランスフェクション及びトランスフェクション後24時間及び48時間の3回のエンハンサー1及び2の反復使用により、rAAV力価がわずかに増加することを示す図である。エンハンサー1及び2は、最初のトランスフェクション時に、それぞれ培養量の1:200及び1:20で使用された。追加量のエンハンサー1及び2を、トランスフェクション後24時間、又は48時間、又は24時間と48時間の両方で細胞培養液に加えた。この研究において使用したトランスフェクション条件は図5に示されている。エンハンサーの反復使用によりrAAVベクターの生産性がわずかに増加すること(1倍未満の増加)がQ-PCRデータにより示された。
[0112]図7は、バルプロ酸がrAAV産生を増強することを示すデータを示す図である。スピナーフラスコ内のHEK 293F細胞を、以前に記載したPEIトランスフェクション法を使用して3つのプラスミドでトランスフェクトした。この研究においては、エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサーは使用しなかった。トランスフェクション時に異なる濃度のバルプロ酸を細胞に加えた。細胞は、1.2μg/mLの合計3つのプラスミドDNAを用いてトランスフェクトし、3つのプラスミドのDNAモル比は1:1:1であり、PEI/DNA(重量)比は2:1であり、1.5μg/mLの遊離PEIを使用した。0.25mM~2mMのバルプロ酸を評価した。トランスフェクション時に2mMバルプロ酸を使用した場合、バルプロ酸の非存在下で産生されたベクターの量と比較して、10倍高いrAAVベクターの産生が観察されたことが、Q-PCRデータにより示された。
[0113]図8は、qPCRにより決定された、バルプロ酸の異なる濃度でのrAAV-FVIIIベクター産生を示す。2mM~8mM(2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM及び8mM)のバルプロ酸を、1Lバイオリアクター培養液中でのHEK 293F細胞のトランスフェクションに使用した。バルプロ酸≧4mMは、2mMのバルプロ酸と比較して、1.2~1.8倍高いAAVベクター産生をもたらした。この研究においては、1.2μg/mLのDNA、1:1:1のDNAモル比、2.5のPEI/DNA重量比及び1.5μg/mLの遊離PEIを使用した。
[0114]核酸(例えば、プラスミド)などの分子を高効率で細胞に形質導入する組成物及び方法が本明細書に開示される。このような高効率形質導入細胞は、タンパク質をコードするか又は目的の転写物に転写される配列を含む核酸(プラスミド)を形質導入すると、高効率でタンパク質及び/又は転写物を産生できる。さらに、そのような細胞は、ウイルスパッケージングタンパク質及び/又はヘルパータンパク質をコードするプラスミドや、タンパク質をコードする、又は目的の転写物に転写される導入遺伝子などの配列で形質導入されると、タンパク質をコードするか又は、目的の転写物に転写される配列を含む導入遺伝子を含む組換えベクターを産生でき、これにより組換えウイルスベクターが高収率で産生される。
[0115]本発明は、現在の「産業標準」ウイルス(例えばAAV)ベクター産生プロセスと区別される特徴が含まれた、細胞のトランスフェクション/形質導入及び/又はウイルス(例えばAAV)ベクター産生プラットフォームを提供する。本発明の組成物及び方法は、特定の条件下でPEIを核酸と混合することを特徴とする。PEIを核酸と混合すると、PEIにより核酸が効率的に圧縮され、ポリプレックスと呼ばれる安定した複合体が形成される。細胞を核酸でトランスフェクトする組成物及び方法は、特定の条件下で細胞をPEIと混合した核酸と接触させることを含む。
[0116]本発明の組成物及び方法は、細胞に増強剤を加えることをさらに含む。特定の実施形態において、増強剤は、細胞が核酸/PEI混合物と接触する前に、又はほぼ同じ頃に、又は同時に加えられる。特定の実施形態において、増強剤は、細胞を核酸/PEI混合物と接触させた後に加えられる。特定の態様において、細胞を核酸/PEI混合物と接触させてから5~30又は30~60秒後に増強剤が加えられる。特定の態様において、増強剤は、細胞を核酸/PEI混合物と接触させてから1~2、2~5、5~10、10~20、20~30、30~60分後に加えられる。特定の態様において、増強剤は、細胞を核酸/PEI混合物と接触させてから1~2、2~4、4~6、6~12、12~24、24~36、36~48又は48~72時間後に加えられる。
[0117]増強剤は、細胞と一定の期間、接触させて維持させることができる。特定の実施形態において、増強剤は、細胞を核酸/PEI混合物と接触させた後、5分~72時間、細胞と接触する。特定の実施形態において、増強剤は、細胞を核酸/PEI混合物と接触させた後、1~2、2~5、5~10、10~20、20~30、30~60分、細胞と接触する。特定の態様において、増強剤は、細胞を核酸/PEI混合物と接触させた後、1~72時間、6~48時間、12~36時間、24~48時間、又は36~72時間、細胞と接触する。特定の態様において、増強剤は、細胞を核酸/PEI混合物と接触させた後、1~2、2~4、4~6、6~12、12~24、24~36、36~48又は48~72時間、細胞と接触する。
[0118]特定の実施形態において、細胞を遊離PEIと接触させるか、又は本方法は、細胞をPEI/核酸混合物と接触させるステップに関して特定の順序で、細胞を遊離PEIと接触させることを含む。特定の実施形態において、細胞が核酸/PEI混合物と接触するのとほぼ同じ頃、又は同時に、細胞を遊離PEIと接触させる。詳細な実施形態において、細胞が核酸/PEI混合物と接触した後で、細胞を遊離PEIと接触させる。
[0119]特定の実施形態において、細胞を遊離PEIと接触させるか、又は本方法は、核酸/PEI混合物と接触した細胞に増強剤を加えるステップに関して特定の順序で、細胞を遊離PEIと接触させることを含む。特定の実施形態において、細胞を増強剤と接触させるのとほぼ同じ頃に、又は同時に細胞を遊離PEIと接触させる。詳細な実施形態において、細胞を増強剤と接触させた後、細胞を遊離PEIと接触させる。
[0120]「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書ではデオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む全ての形態の核酸、オリゴヌクレオチドを指すために互換的に使用される。核酸及びポリヌクレオチドには、ゲノムDNA、cDNA及びアンチセンスDNA、並びにスプライス又は非スプライスmRNA、rRNA tRNA及び阻害性DNA又はRNA(RNAi、例えば、スモール又は短ヘアピン(sh)RNA、マイクロRNA(miRNA)、スモール又は短干渉(si)RNA、トランススプライシングRNA、又はアンチセンスRNA)が含まれる。核酸及びポリヌクレオチドには、天然に存在する、合成の、及び意図的に修飾又は改変された配列(例えば、変異体核酸)が含まれる。
[0121]核酸又はプラスミドはまた、タンパク質をコードする配列を指し得る。そのようなタンパク質は、野生型又は変異体、修飾又はキメラタンパク質であり得る。「変異体タンパク質」とは、その修飾タンパク質が野生型タンパク質と比較してアミノ酸変化を有するような修飾タンパク質を意味し得る。
[0122]核酸又はプラスミドによってコードされるタンパク質には、治療用タンパク質が含まれる。非限定的な例には、血液凝固因子(例えば、因子XIII、因子IX、因子X、因子VIII、因子VIIa、又はプロテインC)、apoE2、TPP1、アルギニノコハク酸合成酵素、銅輸送ATPase2、酸性α-グルコシダーゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、C1阻害セリンプロテアーゼ阻害剤、CFTR(嚢胞性線維症膜貫通調節タンパク質)、抗体、網膜色素上皮特異的65kDaタンパク質(RPE65)、エリスロポエチン、LDL受容体、リポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、β-グロビン、α-グロビン、スペクトリン、α-アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、金属輸送体(ATP7A又はATP7)、スルファミダーゼ、リソソーム蓄積症に関与する酵素(ARSA)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、β-25グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソームヘキソサミニダーゼ、分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、ホルモン、成長因子(例えば、インスリン様成長因子1及び2、血小板由来成長因子、表皮成長因子、神経成長因子、神経栄養因子-3及び-4、脳由来神経栄養因子、グリア由来成長因子、形質転換成長因子α及びβなど)、サイトカイン(例えば、α-インターフェロン、β-インターフェロン、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン12、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、リンホトキシンなど)、自殺遺伝子産物(例えば、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ジフテリア毒素、シトクロムP450、デオキシシチジンキナーゼ、腫瘍壊死因子など)、薬物耐性タンパク質(例えば、がん治療に使用される薬物に対する耐性を提供するもの)、腫瘍抑制タンパク質(例えば、p53、Rb、Wt-1、NF1、フォンヒッペルリンダウ(VHL)、大腸腺腫症(APC))、免疫調節特性を持つペプチド、寛容原性又は免疫原性のペプチド又はタンパク質トレギトープ、又はhCDR1、インスリン、グルコキナーゼ、グアニル酸シクラーゼ2D(LCA-GUCY2D)、Rab護衛タンパク質1(色素沈着症)、LCA5(LCA-レベルシリン)、オルニチンケト酸アミノトランスフェラーゼ(ジャイレート萎縮)、リチノスキシン1(X連鎖網膜分離症)、USH1C(アッシャー症候群1C)、X連鎖網膜色素変性症GTPase(XLRP)、MERTK(AR型RP:色素性網膜炎)、DFNB1(コネキシン26難聴)、ACHM2、3及び4(色覚異常)、PKD-1又はPKD-2(多発性嚢胞腎)、TPP1、CLN2、リソソーム蓄積症の原因となる遺伝子欠損(例えば、スルファターゼ、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸トランスフェラーゼ、カテプシンA、GM2-AP、NPC1、VPC2、スフィンゴ脂質活性化タンパク質など)、ゲノム編集用の1つ又は複数の亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、又はゲノム編集のための修復テンプレートとして使用されるドナー配列が含まれる。
[0123]核酸又はプラスミドはまた、転写されたときに転写物を産生する配列を指し得る。そのような転写物は、阻害性RNA(RNAi、例えば、スモール又は短ヘアピン(sh)RNA、マイクロRNA(miRNA)、スモール又は短干渉(si)RNA、トランススプライシングRNA、又はアンチセンスRNA)などのRNAであり得る。
[0124]非限定的な例には、以下の発現を阻害する阻害性核酸が含まれる:ハンティングチン(huntingtin;HTT)遺伝子、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubropallidolusyan atropy)に関与する遺伝子(例えば、アトロフィン1(atrophin 1)、ATN1);脊髄球性筋萎縮症におけるX染色体上のアンドロゲン受容体、ヒトのアタキシン-1(Ataxin-1)、-2、-3、及び-7、Cav2.1 P/Q電位依存性カルシウムチャネルは、(CACNA1A)によってエンコードされる、TATA結合タンパク質、ATXN8OSとしても知られるアタキシン8の反対側鎖、脊髄小脳運動失調症(タイプ1、2、3、6、7、8、12 17)におけるセリン/スレオニンタンパク質ホスファターゼ2A 55kDa調節サブユニットBベータアイソフォーム、脆弱X症候群におけるFMR1(脆弱X精神遅滞1)、脆弱X関連振戦/運動失調症候群におけるFMR1(脆弱X精神遅滞1)、脆弱XE精神遅滞におけるFMR1(脆弱X精神遅滞2)又はAF4/FMR2ファミリーメンバー2;筋強直性ジストロフィーにおけるミオトニンプロテインキナーゼ(MT-PK);フリードライヒ失調症のフラタキシン;筋萎縮性側索硬化症におけるスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子の変異体;パーキンソン病及び/又はアルツハイマー病の病因に関与する遺伝子;アポリポタンパク質B(APOB)及びプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、高コレステロール血症;HIV感染症における、HIV Tat、転写遺伝子のヒト免疫不全ウイルストランスアクチベーター;HIV感染症における、HIV TAR、HIV TAR、ヒト免疫不全ウイルストランスアクチベーター応答要素遺伝子;HIV感染におけるC-Cケモカイン受容体(CCR5);RSV感染症におけるラウス肉腫ウイルス(RSV)ヌクレオキャプシドタンパク質、C型肝炎ウイルス感染症における肝臓特異的microRNA(miR-122);p53、急性腎障害又は遅発性移植機能腎移植又は腎障害急性腎不全;進行再発又は転移性の固形悪性腫瘍におけるプロテインキナーゼN3(PKN3);LMP2、プロテアソームサブユニットベータ型9(PSMB9)としても知られるLMP2、転移性黒色腫;プロテアソームサブユニットベータ型8(PSMB8)としても知られるLMP7、転移性黒色腫;プロテアソームサブユニットベータ型10(PSMB10)としても知られるMECL1、転移性黒色腫;固形腫瘍の血管内皮成長因子(VEGF);固形腫瘍におけるキネシン紡錘体タンパク質、慢性骨髄性白血病におけるアポトーシス抑制B細胞CLL/リンパ腫(BCL-2);固形腫瘍におけるリボヌクレオチド還元酵素M2(RRM2);固形腫瘍におけるフューリン(Furin);肝腫瘍におけるポロ様キナーゼ1(PLK1)、C型肝炎感染におけるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)、家族性大腸腺腫症におけるベータカテニン;ベータ2アドレナリン受容体、緑内障;糖尿病黄斑浮腫(DME)又は加齢性黄斑変性症における、DAN損傷誘導性転写物4タンパク質としても知られるRTP801/Redd1;加齢性黄斑変性症又は脈絡膜血管新生における血管内皮成長因子受容体I(VEGFR1)、非動脈炎性虚血性視神経症におけるカスパーゼ2;先天性爪甲におけるケラチン6A N17K変異タンパク質;インフルエンザ感染におけるインフルエンザAウイルスのゲノム/遺伝子配列;SARS感染における重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスゲノム/遺伝子配列;呼吸器合胞体ウイルス感染における呼吸器合胞体ウイルスのゲノム/遺伝子配列;エボラ感染症におけるエボラフィロウイルスゲノム/遺伝子配列;B型及びC型肝炎感染におけるB型及びC型肝炎ウイルスゲノム/遺伝子配列;HSV感染における単純ヘルペスウイルス(HSV)ゲノム/遺伝子配列、コクサッキーウイルスB3感染におけるコクサッキーウイルスB3ゲノム/遺伝子配列;原発性ジストニアにおけるトルシンA(torsin A;TOR1A)、パン-クラスI(pan-class I)及び移植に特異的なHLA対立遺伝子のような遺伝子の病原性対立遺伝子のサイレンシング(対立遺伝子特異的サイレンシング);常染色体優性遺伝性網膜色素変性症(adRP)における変異ロドプシン遺伝子(RHO);又は、阻害性核酸は、前述の遺伝子又は配列のいずれかの転写物に結合する。
[0125]核酸(プラスミド)は、単鎖、二重鎖、又は三重鎖、線状又は環状であり得、任意の長さであり得る。核酸(プラスミド)を議論する場合、特定のポリヌクレオチドの配列又は構造は、5’から3’方向に配列を提供する慣例に従って本明細書に記載され得る。
[0126]「プラスミド」は、典型的にはプラスミドの発現(例えば、転写、複製など)又は増殖(複製)のための追加の要素を有する核酸又はポリヌクレオチドの形態である。本明細書で使用されるプラスミドを使用して、核酸及びポリヌクレオチド配列を参照することもできる。したがって、全ての態様において、本発明の組成物及び方法は、例えば、プラスミド、核酸又はポリヌクレオチドを細胞に導入し、プラスミド、核酸又はポリヌクレオチドで細胞を形質導入(トランスフェクト)し、プラスミド、核酸又はポリヌクレオチドを有する形質導入(トランスフェクトされた)細胞を産生して、ウイルス(例えば、AAV)ベクターを産生する細胞を産生する、ウイルス(例えば、AAV)ベクターを産生する、ウイルス(例えば、AAV)ベクターを有する細胞培養培地を産生することなどについて、プラスミド、核酸及びポリヌクレオチドに適用可能である。
[0127]本発明の組成物及び方法には、ポリエチレンイミン(PEI)が含まれる。PEIはカチオン性ポリマーであり、ポリプレックスと呼ばれる核酸と安定な複合体を形成することができる。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、ポリプレックスはエンドサイトーシスを介して細胞に導入されると考えられている。
[0128]PEIは、直鎖PEI又は分岐鎖PEIであり得る。PEIは、塩の形態又は遊離塩基であり得る。詳細な実施形態において、PEIは、任意選択で加水分解された直鎖PEIなどの直鎖PEIである。加水分解されたPEIは、完全に又は部分的に加水分解されてもよい。加水分解直鎖PEIは、非加水分解直鎖PEIと比較して、より多くの割合の遊離(プロトン化可能な)窒素を有し、典型的には非加水分解直鎖PEIと比較して少なくとも1~5%より多くの遊離(プロトン化可能な)窒素を有し、より典型的には非加水分解直鎖PEIと比較して5~10%より多くの遊離(プロトン化可能な)窒素を有し、最も典型的には非加水分解直鎖PEIと比較して10~15%より多くの遊離(プロトン化可能な)窒素を有する。
[0129]詳細な実施形態において、PEIは、約4000~約160000の範囲の分子量及び/又は遊離塩基形態で約2500~約250000の範囲の分子量を有し得る。さらに詳細な実施形態において、PEIは、約40000の分子量及び/又は遊離塩基形態で約25000の分子量を有し得る。詳細には、約40000及び/又は遊離塩基形態で約25000の分子量を有する直鎖PEI。さらに、化学修飾された直鎖PEI又は分岐鎖PEIもまた使用できる。PEIは市販されている(例えば、Polysciences、Inc.、ウォリントン、ペンシルバニア州、米国)。
[0130]本発明の組成物及び方法において、プラスミドのような核酸をPEIと混合して、PEI混合物又は溶液を形成する。そのような混合物又は溶液は、「プラスミド/PEI混合物」又は「核酸/PEI混合物」と呼ばれ得る。したがって、「プラスミド/PEI混合物」及び「核酸/PEI混合物」という用語は、PEIが核酸/プラスミドと混合されたものを意味する。したがって、本明細書に記載のPEIは、形質導入/トランスフェクションのために、細胞の接触の前又は実質的に同時に、核酸(プラスミド)と混合されてもよい。
[0131]本明細書で使用される場合、「遊離PEI」という用語は、実質的に又は完全に核酸(プラスミド)を含まないPEIを意味する。したがって、本明細書に記載されるPEIは、遊離PEIの形態でもあり得る。したがって、「プラスミド/PEI混合物」又は「核酸/PEI混合物」は、遊離PEIとは異なる。遊離PEIが実質的に遊離している場合、存在する核酸(プラスミド)配列の量は、分子量又は質量によって決定された約5%以下になる。もちろん、量は5%未満、例えば約4.5%以下、約4%以下、約3.5%以下、約3%以下、約2.5%以下、約2%以下、約1.5%以下、約1%以下、又は約0.5%以下であってもよい。
[0132]本明細書で使用される場合、「全PEI」という用語は、PEI/プラスミド混合物中に存在するPEIと遊離PEIの合計を意味する。したがって、全PEIには、プラスミドと混合されるPEIと、プラスミドのような核酸配列を実質的又は完全に含まないPEIとが含まれる。
[0133]PEIの量、比率、組成、溶液、溶媒及び緩衝液、pH、塩、並びに細胞接触及びインキュベーションのタイミング及び持続時間の開示は、以下のいずれか1つ、いずれか2つ、又は3つの全てに適用される:1)プラスミド/PEI混合物又は核酸/PEI混合物中のPEI;2)遊離PEIとしてのPEI(すなわち、プラスミドのような核酸又はポリヌクレオチド配列を実質的又は完全に含まないPEI;及び3)全PEI(プラスミド/PEI混合物又は核酸/PEI混合物中のPEI+遊離PEI)。
[0134]詳細な実施形態において、PEIは、水溶液(例えば、水)などの溶液である。追加の詳細な実施形態において、PEIは酸性化又は中和PEIである。「酸性化PEI」という用語は、酸性溶媒にPEIを溶解することにより調製されるPEI溶液を意味する。酸性化PEI溶液の酸性度は、典型的には約0~約3.0のpH、より典型的には約0.5~約2.0のpHである。「中和PEI」という用語は、PEIを中性溶媒又は緩衝液に溶解することにより調製されるPEI溶液を意味する。中和PEI溶液は、約6.0~約8.0の範囲のpH、典型的には約6.5~約7.5の範囲のpH、より典型的には約6.8~約7.2の範囲のpH、最も典型的には約7.0~約7.2の範囲、例えば約7.1のpHを有し得る。
[0135]PEIのトランスフェクション活性を破壊することなく、PEI溶液のpHを前述の範囲内に確立又は維持するために、任意の溶媒又は緩衝液を使用することができる。酸性溶媒の例には、塩酸(HCl)などの鉱酸、及びグリシン塩酸溶液などの酸性範囲のpHを持つ有機酸が含まれる。中性溶媒/緩衝液の非限定的な例には、トリス(トリズマ塩基)及びHEPESが含まれる。緩衝液は、約1mM~約100mM、より典型的には約2mM~約50mM、最も典型的には約5mM~約20mMの範囲であり得る。
[0136]PEI溶液は、任意選択で塩を含むことができる。塩の非限定的な例には、ナトリウム(Na)、カリウム(K)及びマグネシウム(Mg)塩が含まれる。特定の態様において、PEI溶液の塩濃度は、約50mM~約500mM、より典型的には約100mM~約250mM、最も典型的には約125mM~約175mMの範囲である。
[0137]核酸(プラスミド)及びPEIの混合は、溶液中で核酸(プラスミド)及びPEIを混合することにより行われる。混合は、PEIベースの細胞形質導入と互換性のある任意の溶液で起き得る。非限定的な例は、本明細書に記載されている通りである。混合後、核酸(プラスミド)/PEI混合物を、約1分~約8時間;約10秒~約4時間;約1分~約60分;約1分~約30分;約10分~約45分;約10分~約30分;及び/又は約20分~約30分間の間インキュベートすることができる。典型的には、時間には約1分、約5分、約10分、約15分、約20分、及び約30分が含まれる。
[0138]PEI及び核酸(プラスミド)は、限定されない比率で混合される。典型的な比率には、プラスミド/PEI混合物を産生するための、約1:0.01~約1:100のモル(又は重量)比率範囲、又は約100:1~約1:0.01のモル(又は重量)比率範囲のプラスミドの混合物が含まれる。より典型的なモル(又は重量)比には、プラスミド/PEI混合物を産生するための、約1:1~約1:5のモル(又は重量)比範囲、又は約1:2~約1:4のモル(又は重量)比範囲のプラスミドの混合物が含まれる。さらなる実施形態において、PEI:プラスミド重量比は、約0.1:1~約5:1の範囲、又は約5:1~約0.1:1の範囲である。さらなる実施形態において、遊離PEI/プラスミド/PEI細胞培養液は、約0.1:1~約5:1の範囲のPEI:プラスミド重量比を有するか、又は約5:1~約0.1:1の範囲のPEI:プラスミド重量比を有する。特定の実施形態において、プラスミド/PEI混合物は、約1:1~約5:1の範囲、又は約5:1~約1:1の範囲のPEI:プラスミド重量比を有する。他の詳細な実施形態において、遊離PEI/プラスミド/PEI細胞培養液は、約1:1~約5:1の範囲、又は約5:1~約1:1の範囲のPEI:プラスミド重量比を有する。
[0139]組成物を産生するために使用される核酸(プラスミド)の量及び細胞形質導入の方法は様々である。詳細な実施形態において、全PEI中の窒素(N)のプラスミド中のリン酸塩(P)に対するモル比は、遊離PEI/プラスミド/PEI細胞培養液中で約1:1~約50:1(N:P)の範囲にあるか、又は全PEI中の窒素(N)のプラスミド中のリン酸塩(P)に対するモル比は、遊離PEI/プラスミド/PEI細胞培養液中で約1:1~10:1(N:P)であるか、又は全PEI中の窒素(N)のプラスミド中のリン酸塩(P)に対するモル比は、遊離PEI/プラスミド/PEI細胞培養液中で約5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1(N:P)である。追加の詳細な実施形態において、タンパク質をコードするか、又は目的の転写物に転写される核酸を含むプラスミドの合計量、及びAAVパッケージングタンパク質をコードする核酸及び/又はヘルパータンパク質をコードする核酸を含む1つ又は複数のプラスミドは細胞1mLあたり約0.1μg~約15μgの範囲にある。
[0140]核酸(プラスミド)/PEIの混合物の細胞への適用は、核酸(プラスミド)/PEIの混合物が細胞に接触するように核酸(プラスミド)/PEI混合物を細胞に加えることにより行われる。核酸(プラスミド)/PEI溶液の混合物が加えられる(接触する)細胞は、接着細胞又は懸濁液中の細胞であり得る。そのような細胞には、他の細胞との共培養が含まれ得る。
[0141]細胞は、細胞形質導入を達成するために、限定されない核酸(プラスミド)/PEIの混合物とある時間の間、接触させる。典型的には、細胞の遊離PEIとの接触は、細胞が核酸(プラスミド)/PEI混合物と接触するのと同時に(又はその直後)、又は接触した後に起きる。細胞の核酸(プラスミド)/PEI混合物との接触と細胞の遊離PEIとの接触の間に時間間隔がある場合、その時間間隔は約1秒~約140時間、典型的には約1秒~約96時間、より典型的には約1秒~約48又は約72時間、最も典型的には約1秒~約24時間、それ以下、例えば約16、約12、約8、又は約6時間、それ以下であり得る。
[0142]長期間接触した場合、細胞はPEIの細胞毒性に影響されて、死(生存不能)細胞の量が増加し、それによりトランスフェクション効率が低下し得る。細胞を全PEIと接触させた後のインキュベーション時間は、数秒~数日までの範囲であり得る。特に、例えば、約1分~約48時間;約1分~約24時間;約1分~約16時間;約1分~約8時間;約1分~約4時間;約1分~約120分;約5分~約60分;約10分~約45分;又は約10分~約30分の期間、細胞を核酸(プラスミド)/PEI、又は全PEIと接触させることができる。
[0143]PEIの細胞毒性を低減するために、細胞を核酸(プラスミド)/PEIと接触させた後、培養培地を新鮮な培養培地と交換してもよい。トランスフェクション後の培養培地交換により、細胞トランスフェクション効率を大きく損なうことなくPEI細胞毒性を最小化できる。
[0144]トランスフェクションのための細胞は、プラスミド/PEI混合物との接触、及び/若しくは増強剤との接触、及び/若しくは遊離PEIとの接触前又は接触時のいずれかで、約1×105細胞/mL~約1×108細胞/mLの範囲の密度を有する。典型的には、細胞は、約2×105細胞/mL~約5×106細胞/mLの範囲の密度を有する。より典型的には、細胞は、約3×105細胞/mL~約4×106細胞/mL、例えば約4×105細胞/mL~約3×106細胞/mL、又は約5×105細胞/mL~約2×106細胞/mLの範囲の密度を有する。他の実施形態において、細胞は、約5×105細胞/mL~約5×106細胞/mL、例えば、約6×105細胞/mL~約4×106細胞/mL、又は約7×105細胞/mL~約3×106細胞/mLの範囲の密度を有する。さらなる実施形態において、細胞は、約1×106細胞/mL~約5×106細胞/mL、例えば、約1×106細胞/mL~約4×106細胞/mL、又は約2×106細胞/mL~約3×106細胞/mLの範囲の密度を有する。
[0145]トランスフェクションのための細胞は、プラスミド/PEI混合物との接触、及び/若しくは増強剤との接触、及び/若しくは遊離PEIとの接触前又は接触時のいずれかで、任意選択で対数(指数)増殖期にあってもよい。トランスフェクションのための細胞は、プラスミド/PEI混合物との接触、及び/若しくは増強剤との接触、及び/若しくは遊離PEIとの接触前又は接触時のいずれかで、任意選択で60%又は60%を超える生存率、例えば70%、80%、90%、又は90%を超える生存率を有していてもよい。
[0146]本明細書に記載されるように接触され得る細胞には、ヒト細胞のような哺乳動物細胞が含まれ得る。そのような細胞は、インビトロで成長又は生存率を維持できるか、又はインビトロ組織培養に適合した初代細胞又は細胞株であり得る。細胞株の例には、HEK293F(293F)及びHEK293T(293T)細胞などのHEK293細胞を含む、HEK(ヒト胎児腎臓)細胞が含まれる。
[0147]より一般的には、本明細書に記載されるように接触されるような細胞は、「宿主細胞」と呼ばれ得る。「宿主細胞」は、AAVパッケージングタンパク質などのパッケージングタンパク質をコードする核酸(プラスミド)、ヘルパータンパク質をコードする核酸(プラスミド)、タンパク質をコードするか若しくは目的の転写物に転写される核酸(プラスミド)、又は他のトランスファー核酸(プラスミド)のレシピエントとして使用され得るか、又は使用されている、例えば、微生物、酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞を意味する。この用語には、形質導入又はトランスフェクトされた元の細胞の子孫が含まれる。したがって、本明細書で使用される「宿主細胞」は、一般に、外因性核酸配列で形質導入又はトランスフェクトされた細胞を指す。単一の親細胞の子孫は、自然変異、偶発的変異、又は計画的な変異により、形態又はゲノム若しくは全核酸相補体が元の親と必ずしも完全に同一ではない場合があることが理解される。
[0148]細胞の生存率を維持するか、細胞の成長及び/又は増殖を提供するのに適した多数の細胞増殖培地が市販されているか、又は容易に生産することができる。そのような培地の例には、生存率を維持するための又は哺乳動物(例えば、ヒト)細胞の増殖を提供するための培地のような無血清真核生物増殖培地が含まれる。非限定的な例には、HamのF12又はF12K培地(Sigma-Aldrich)、フリースタイル(FreeStyle)(商標)(FS)F17培地(Thermo-Fisher Scientific)、MEM、DMEM、RPMI-1640(Thermo-Fisher Scientific)及びそれらの混合物が含まれる。そのような培地には、哺乳動物(例えば、ヒト)細胞に必須のアミノ酸のようなビタミン及び/又は微量ミネラル及び/又は塩及び/又はアミノ酸を補充することができる。
[0149]「増強剤」は、他に本明細書で「トランスフェクションエンハンサー」又は同じ文脈で単に「エンハンサー」とも呼ばれるが、核酸(プラスミド)を用いた細胞形質導入/トランスフェクションを増加させる化合物である。詳細な実施形態において、増強剤は、バルプロ酸、その塩又は誘導体を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、バルプロ酸塩は、ナトリウム塩又はカリウム塩を含むか、又はからなる。特定の実施形態において、バルプロ酸誘導体は、それに連結又はコンジュゲートされたアミノ酸を含むか、又はからなる。増強剤のさらなる例には、例えば限定されることなく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0316400号及び2017/0016043号に記載されるもの、並びに当技術分野で公知の他のトランスフェクションエンハンサーが含まれる。
[0150]バルプロ酸を含む増強剤は、例えば、限定されることなく、約0.1mM~約25mMの範囲の濃度、又はそれによって包含される任意の下位範囲又は濃度値で使用することができる。特定の実施形態において、増強剤の濃度は、約0.5mM~約10mMである。特定の実施形態において、増強剤の濃度は、約0.5mM~約5mMである。特定の実施形態において、増強剤の濃度は、約1mM~約4mM、約1mM~約3mM、又は約1mM~約2mMである。
[0151]「形質導入」及び「トランスフェクト」という用語は、核酸(プラスミド)のような分子の宿主細胞への導入を指す。細胞は、外因性核酸が細胞膜内に導入されたときに「形質導入」又は「トランスフェクト」されている。したがって、「形質導入細胞」は、「核酸」又は「ポリヌクレオチド」が導入された細胞、又は外因性核酸が導入されたその子孫である。詳細な実施形態において、「形質導入された」細胞(例えば、哺乳動物において、細胞又は組織又は器官細胞)は、外因性分子、例えば核酸(例えば、導入遺伝子)の取り込みの後の細胞における遺伝的変化である。「形質導入された」又は「トランスフェクトされた」細胞(複数可)を増殖させ、導入された核酸を転写及び/又はタンパク質を発現させることができる。
[0152]「形質導入された」又は「トランスフェクトされた」細胞において、核酸(プラスミド)は、レシピエント細胞のゲノム核酸に組み込まれてもよいし、組み込まれなくてもよい。導入された核酸がレシピエント細胞又は生物の核酸(ゲノムDNA)に組み込まれるようになると、その細胞又は生物の内で安定に維持され、さらにレシピエント細胞又は生物の子孫細胞又は生物に受け継がれるか、又は遺伝し得る。最後に、導入された核酸は、レシピエント細胞又は宿主生物の染色体外に、又は一時的にのみ存在する可能性がある。多数の技術が知られている(例えば、Grahamら、(1973)Virology、52:456、Sambrookら、(1989)Molecular Cloning、a laboratory manual、Cold Spring Harbor Laboratories、New York、Davisら、(1986)Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier、及びChuら、(1981)Gene 13:197を参照されたい。このような技術は、1つ又は複数の外因性DNA部分を適切な宿主細胞に導入するために使用できる。
[0153]「ベクター」という用語は、小さなキャリア核酸分子、プラスミド、ウイルス(例えば、AAVベクター)、又は核酸の挿入又は取り込みによって操作され得る他の媒体を指す。そのようなベクターは、ポリヌクレオチドの細胞への導入/移入、及び細胞内に挿入されたポリヌクレオチドの転写又は翻訳のための、遺伝子操作(すなわち、「クローニングベクター」)に使用できる。「発現ベクター」は、宿主細胞内の発現に必要な、必要な調節領域を持つ遺伝子又は核酸配列を含む、特殊ベクターである。ベクター核酸配列は、一般に、少なくとも細胞内での増殖のための複製起点と、任意選択で異種ポリヌクレオチド配列、発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー)、イントロン、ITR(複数可)、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性)、ポリアデニル化シグナルのような追加要素を含む。本発明の目的について、本明細書に記載の「ベクター」は、本明細書でこの用語が使用されるように「プラスミド」の範囲内にある。
[0154]ウイルスベクターは、ウイルスゲノムを含む1つ又は複数の核酸要素に由来するか、又は基づく。特定のウイルスベクターには、レンチウイルス、偽型レンチウイルス、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなどのパルボウイルスベクターが含まれる。
[0155]組換えウイルス、例えば、レンチ又はパルボウイルス(例えば、AAV)ベクターのようなベクターの修飾因子、並びに組換えポリヌクレオチド及びポリペプチドのような配列の修飾因子としての「組換え(の)」という用語は、その組成物が、通常は自然界では起こらない方法で操作されていること(つまり、エンジニアリングされていること)を意味する。AAVベクターなどの組換えベクターの特定の例は、野生型ウイルス(例えば、AAV)ゲノムに通常存在しないポリヌクレオチドがウイルスゲノム内に挿入される、すなわち異種である場合であろう。「組換え(の)」という用語は、ウイルス及びAAVベクターなどのベクター、並びにポリヌクレオチドなどの配列を指すように本明細書で常に使用されるわけではないが、いかなるそのような省略にもかかわらず、ポリヌクレオチドを含む組換え型が明示的に含まれる。
[0156]組換えウイルス「ベクター」又は「AAVベクター」は、ウイルス(例えば、AAV)から野生型ゲノムを取り除く分子法を使用して、転写物に転写されるか、又はタンパク質をコードする核酸のような非天然型核酸と置換することによるAAVのような、ウイルスの野生型ゲノムに由来している。典型的には、AAVの場合、AAVゲノムの1つ又は両方の逆位末端反復(ITR)配列がAAVベクターに保持される。「組換え」ウイルスベクター(例えば、AAV)は、ウイルスゲノムの全部又は一部が、ウイルス(例えば、AAV)ゲノム核酸に関して非天然型(すなわち、異種)配列で置換されているため、ウイルス(例えば、AAV)ゲノムと区別される。したがって、非天然型配列の組み込みでは、ウイルスベクター(例えば、AAV)が「組換え」ベクターと定義され、AAVの場合は「rAAVベクター」と呼ぶことができる。
[0157]組換えベクター(例えば、レンチ、パルボ、AAV)配列は、本明細書で呼ぶところのエクスビボ、インビトロ又はインビボでの細胞のその後の感染(形質導入)のための「粒子」として、パッケージ化することができる。組換えベクター配列がAAV粒子にキャプシド化又はパッケージ化される場合、粒子は「rAAV」とも呼ばれ得る。そのような粒子には、ベクターゲノムをキャプシド化又はパッケージ化するタンパク質が含まれる。特定の例には、ウイルスエンベロープタンパク質が含まれ、AAVの場合、AAV VP1、VP2及びVP3などのキャプシドタンパク質が含まれる。
[0158]ベクター「ゲノム」は、ウイルス(例えば、AAV)粒子を形成するために最終的にパッケージ化又はキャプシド化される組換えプラスミド配列の部分を指す。組換えプラスミドを使用して組換えベクターを構築又は製造する場合、ベクターゲノムには、組換えプラスミドのベクターゲノム配列に対応しない「プラスミド」の部分は含まない。組換えプラスミドのこの非ベクターゲノム部分は「プラスミドバックボーン」と呼ばれ、増殖と組換えウイルスの産生に必要なプロセスであるプラスミドのクローニングと増幅に重要であるが、それ自体はウイルス(例えば、AAV)粒子にパッケージ化又はキャプシド化されない。したがって、ベクター「ゲノム」とは、ウイルス(例えば、AAV)によってパッケージ化又はキャプシド化された核酸を指す。
[0159]「空のキャプシド」及び「空の粒子」という用語は、AAVタンパク質シェルを含むが、タンパク質をコードするか又はAAV ITRに隣接する目的の転写物に転写される核酸の全部又は一部を欠くAAVビリオンを指す。したがって、空のキャプシドは、タンパク質をコードするか又は目的の転写物に転写された核酸を宿主細胞に移入するようには機能しない。しかしながら、空のキャプシド製剤は、ELISAのような他の用途に有用である。
[0160]「パッケージングタンパク質」という用語は、AAVがその複製に依存する非AAV由来のウイルス及び/又は細胞機能を指す。したがって、この用語は、AAV遺伝子転写の活性化、段階特異的AAV mRNAスプライシング、AAV DNA複製、Cap発現産物の合成及びAAVキャプシドアセンブリーに関与する部分を含む、AAV複製に必要なタンパク質及びRNAを網羅する。ウイルスベースのアクセサリー機能は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型以外)、ワクシニアウイルスなどの既知のヘルパーウイルスのいずれかに由来し得る。
[0161]本明細書で使用される「AAVパッケージングタンパク質」は、生産的なAAV複製のためにトランスで機能するAAV由来配列を指す。したがって、AAVパッケージングタンパク質は、主要なAAVオープンリーディングフレーム(ORF)、rep及びcapによってコードされる。repタンパク質は、とりわけ、DNA複製のAAVオリジンの認識、結合、及びニッキング;DNAヘリカーゼ活性;並びにAAV(又は他の異種)プロモーターからの転写の調節を含む、多くの機能を持っていることが示されている。cap(キャプシド)タンパク質は、必要なパッケージング機能を提供する。本明細書において、AAVパッケージングタンパク質は、AAVベクターにはないAAV機能をトランスで補完するために使用される。
[0162]「AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸」とは、一般に、形質導入組換えAAVベクターを産生するために使用される、AAVベクターから欠失したAAV機能を提供するヌクレオチド配列を含む核酸分子を指す。AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸は、一般的にAAV rep及び/又はcap遺伝子の一過性発現を提供し、AAV複製に必要である失われたAAV機能を補完するために使用される;しかし、核酸構築物はAAV ITRが欠如しており、複製もパッケージ化もできない。AAVパッケージングタンパク質をコードする核酸は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、ウイルス、又はビリオンの形態であり得る。Rep及びCap発現産物の両方をコードする一般的に使用されるプラスミドpAAV/Ad及びpIM29+45など、多くの核酸構築物が記載されている。例えば、Samulskiら(1989)J.Virol.63:3822-3828;及びMcCartyら(1991)J.Virol.65:2936-2945を参照されたい。Rep及び/又はCap発現産物をコードする多くのベクターが記載されている(例えば、米国特許第5,139,941号及び第6,376,237号)。
[0163]「ヘルパータンパク質をコードする核酸」という用語は、一般に、ヘルパー機能(複数可)を提供するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子(複数可)を指す。ヘルパータンパク質(複数可)をコードする核酸(複数可)を含むベクターを適切な宿主細胞にトランスフェクトすることができ、ここではベクターは宿主細胞におけるAAVビリオン産生を支援することができる。アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス粒子など、自然界に存在する感染性ウイルス粒子は、この用語から明示的に除外される。
[0164]したがって、ヘルパータンパク質ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン又はコスミドの形態であり得る。特に、アデノウイルス遺伝子の全相補体はヘルパー機能に必要がないことが実証されている。例えば、DNA複製が不能で遺伝子合成が遅いアデノウイルス変異体は、AAV複製を許容することが示されている。Itoら、(1970)J.Gen.Virol.9:243;Ishibashiら、(1971)Virology 45:317。
[0165]E2B及びE3領域内の変異体は、AAV複製を支援することが示されているが、これは、E2B及びE3領域がおそらくヘルパー機能の提供に関与していないことを示している。Carterら:(1983)Virology 126:505。しかしながら、El領域に欠陥があるか、又はE4領域を欠失したアデノウイルスは、AAV複製をサポートできない。したがって、アデノウイルスヘルパータンパク質については、AAV複製にはEIA及びE4領域が直接又は間接的に必要である可能性が高い。Laughlinら、(1982)J.Virol. 41:868;Janikら、(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1925;Carterら、(1983)Virology 126:505。他の特徴付けられたAd変異体には、EIB(Laughlinら(1982)、上記参照;Janikら(1981)、上記参照;Ostroveら、(1980)Virology 104:502);E2A(Handaら、(1975)J.Gen.Virol.29:239;Straussら、(1976)J.Virol.17:140;Myersら、(1980)J.Virol.35:665;Jayら、(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2927;Myersら、(1981)J.Biol.Chem.256:567);E2B(Carter,Adeno-Associated Virus Helper Functions,in I CRC Handbook of Parvoviruses(P.Tijssen編、1990));E3(Carterら(1983)、上記参照);及びE4(Carterら(1983)、上記参照;Carter(1995))が含まれる。
[0166]E1Bに変異を有するアデノウイルスにより提供されるヘルパータンパク質の研究により、El B55kはAAVビリオン産生に必要であるが、E1B 19kは必要ではないことが報告されている。さらに、国際公開第97/17458号及びMatshushitaら、(1998)Gene Therapy 5:938-945には、様々なAd遺伝子をコードするヘルパー機能ベクターが記載されている。ヘルパーベクターの例には、アデノウイルスVA RNAコード領域、アデノウイルスE4 ORF6コード領域、アデノウイルスE2A 72kDコード領域、アデノウイルスE1Aコード領域、及びインタクトのE I BS5kコード領域が欠如したアデノウイルスE1B領域が含まれる(例えば、国際公開第01/83797号を参照されたい)。
[0167]「導入遺伝子」は、本明細書において、細胞又は生物に意図されるか又は導入された核酸を便宜上に指すために使用される。導入遺伝子には、転写物に転写されるか、ポリペプチド又はタンパク質をコードする遺伝子などの任意の核酸が含まれる。
[0168]「発現制御要素」とは、作動可能に連結された核酸の発現に影響を及ぼす核酸配列(複数可)を指す。プロモーター及びエンハンサーなどの本明細書に記載の発現制御要素を含む制御要素、AAVベクターを含むベクター配列は、1つ又は複数の「発現制御要素」を含むことができる。典型的には、そのような要素は、適切な異種ポリヌクレオチド転写及び、適切な場合、翻訳を促進するために含まれる(例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAのインフレーム翻訳を可能にする遺伝子の正しいリーディングフレームの維持、及び停止コドンなど)。そのような要素は典型的にはシスで作用し、「シス作用」要素と呼ばれるが、トランスで作用することもある。
[0169]発現制御は、転写、翻訳、スプライシング、メッセージ安定性などのレベルであり得る。典型的には、転写を調節する発現制御要素は、転写された核酸の5’末端(すなわち「上流」)付近に並置される。発現制御要素は、転写された配列の3’末端(つまり、「下流」)又は転写物内(例えば、イントロンの中)に配置することもできる。発現制御要素は、転写された配列に隣接するか、又は転写された配列から離れた位置に(例えば、ポリヌクレオチドから1~10、10~25、25~50、50~100、100~500、又はそれ以上のヌクレオチド)かなりの距離でも配置できる。それにもかかわらず、AAVベクターなどの特定のベクターの長さの制限により、発現制御要素は、典型的には転写された核酸から1~1000ヌクレオチド以内にあるだろう。
[0170]機能的に、作動可能に連結された核酸の発現は、要素が核酸の転写、及び必要に応じて転写物の翻訳を調節するように、要素(例えば、プロモーター)によって少なくとも部分的に制御可能である。発現制御要素の具体例はプロモーターであり、通常、転写された配列の5’に位置する。プロモーターは典型的には、プロモーターが存在しない場合に発現される量と比較して、作動可能に連結された核酸から発現される量を増加させる。
[0171]本明細書で使用される「エンハンサー」は、異種ポリヌクレオチドに隣接して位置する配列を指し得る。エンハンサー要素は、典型的にはプロモーター要素の上流に位置するが、機能することもあり、核酸配列の下流又は内部に位置することができる。したがって、エンハンサー要素は、核酸の上流又は下流に100塩基対、200塩基対、又は300塩基対以上に位置することができる。エンハンサー要素は、典型的にはプロモーター要素によって与えられる発現よりも作動可能に連結された核酸の発現を増加させる。
[0172]発現構築物は、特定の細胞又は組織型で発現を促す役割を果たす調節要素を含み得る。発現制御要素(例えば、プロモーター)には、本明細書で「組織特異的発現制御要素/プロモーター」と呼ばれる特定の組織又は細胞型で活性なものが含まれる。組織特異的発現制御要素は典型的には、特定の細胞又は組織で活性である(例えば、肝臓)。発現制御要素は、特定の細胞、組織、又は器官の型に固有の転写活性化因子タンパク質、又は転写の他の調節因子によって認識されるため、特定の細胞、組織、又は器官で典型的には活性である。そのような調節要素は、当業者に知られている(例えば、Sambrookら(1989)及びAusubelら(1992)を参照されたい)。
[0173]本発明のプラスミドへの組織特異的調節要素の組み込みは、核酸の発現のための少なくとも部分的な組織親和性を提供する。肝臓で活性なプロモーターの例には、とりわけ、TTRプロモーター(例えば、変異TTRプロモーター)、ヒトα1アンチトリプシン(hAAT)プロモーター;アルブミン、Miyatakeら、J.Virol.、71:5124-32(1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandigら、Gene Ther.3:1002-9(1996);α-フェトプロテイン(AFP)、Arbuthnotら、Hum.Gene.Ther.、7:1503-14(1996)]がある。肝臓で活性なエンハンサーの例には、アポリポタンパク質E(apoE)HCR-1及びHCR-2がある(Allanら、J.Biol.Chem.、272:29113-19(1997))。
[0174]発現制御要素には、多くの異なる細胞型においてポリヌクレオチドの発現を促すことができる遍在性又は無差別的なプロモーター/エンハンサーも含まれる。そのような要素には、サイトメガロウイルス(CMV)の最初期プロモーター/エンハンサー配列、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター/エンハンサー配列、及び様々な哺乳類細胞タイプで活性な他のウイルスプロモーター/エンハンサー、又は自然界に存在しない合成要素(例えば、Boshartら、Cell、41:521-530(1985)を参照されたい)、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、並びにホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
[0175]発現制御要素はまた、調節可能であるように発現を付与することができる。すなわち、シグナル又は刺激により、作動可能に連結された異種ポリヌクレオチドの発現を上昇又は減少させる。シグナル又は刺激に応答して作動可能に連結されたポリヌクレオチドの発現を上昇させる調節可能な要素は、「誘導性要素」とも呼ばれる(すなわち、シグナルによって誘導される)。特定の例には、ホルモン(例えば、ステロイド)誘導性プロモーターが含まれるが、これに限定されない。典型的には、このような要素によって与えられる上昇又は減少の量は、存在するシグナル又は刺激の量に比例する;シグナル又は刺激の量が多いほど、発現の上昇又は減少が大きくなる。特定の非限定的な例には、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター;ステロイドホルモン誘導性マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター;T7ポリメラーゼプロモーターシステム(国際公開第98/10088号);テトラサイクリン抑制システム(Gossenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992));テトラサイクリン誘導システム(Gossenら、Science 268:1766~1769(1995);Harveyら、Curr.Opin.Chem.Biol.2:512-518(1998)もまた参照されたい);RU486誘導システム(Wangら、Nat.Biotech.15:239-243(1997)及びWangら、Gene Ther.4:432-441(1997));及びラパマイシン誘導システム(Magariら、J.Clin.Invest.100:2865-2872(1997);Riveraら、Nat.Medicine.2:1028-1032(1996))が含まれる。この文脈で有用かもしれない他の調節可能な制御要素は、特定の生理学的状態、例えば体温、急性期、発生によって調節されるものがある。
[0176]発現制御要素には、核酸の天然要素(複数可)も含まれる。異種ポリヌクレオチドの発現が天然の発現を模倣することが望ましい場合、天然の制御要素(例えば、プロモーター)を使用してもよい。異種ポリヌクレオチドの発現が時間的又は発生的に、又は組織特異的な方法で、又は特定の転写刺激に応答して調節される場合、天然要素を使用してもよい。イントロン、ポリアデニル化部位又はKozakコンセンサス配列などの他の天然の発現制御要素も使用できる。
[0177]「作動可能に連結された」という用語は、コード配列の発現に必要な調節配列が、コード配列の発現をもたらすようにコード配列に対して適切な位置に配置されることを意味する。この同じ定義は時折、発現ベクター内のコーディング配列及び転写制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、及び終結要素)の配置に適用される。この定義は時折、ハイブリッド核酸分子が生成される第1及び第2の核酸分子の核酸配列の配置にも適用される。
[0178]核酸と作動可能に連結した発現制御要素の例において、その関係は、制御要素が核酸の発現を調節するようなものである。より詳細には、例えば、作動可能に連結された2つのDNA配列は、少なくとも1つのDNA配列が他の配列に生理学的効果を及ぼすことができるような関係で2つのDNAが配置(シス又はトランス)されることを意味する。
[0179]したがって、ベクターの追加要素には、AAV ITRシーケンスの1つ又は複数のコピー、又はイントロンなどの配列に隣接する、発現制御(例えば、プロモーター/エンハンサー)要素、転写終結シグナル又は停止コドン、5’又は3’非翻訳領域(例えば、ポリアデニル化(polyA)配列)が含まれるが、これらに限定されない。
[0180]さらなる要素には、例えば、パッケージングを改善し、混入核酸の存在を低減する、例えば、フィラー又はスタッファーポリヌクレオチド(filler or stuffer polynucleotide)配列が含まれる。AAVベクターは、典型的には、一般に約4kb~約5.2kb又はそれよりわずかに大きいサイズ範囲を有するDNAの挿入物を許容する。したがって、より短い配列については、ウイルス粒子へのAAVベクターのパッケージングに許容可能なウイルスゲノム配列の長さをほぼ又は通常のサイズに調整するために、スタッファー又はフィラーを含める。様々な実施形態において、フィラー/スタッファー核酸配列は、核酸の非翻訳(非タンパク質コード化)セグメントである。4.7Kb未満の核酸配列について、フィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列は、配列と組み合わされる(例えば、ベクターに挿入される)と、約3.0~5.5Kb、又は約4.0~5.0Kb、又は約4.3~4.8Kbの全長を有する長さである。
[0181]イントロンはまた、ウイルス粒子へのAAVベクターパッケージングの長さを達成するために、フィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列として機能することができる。フィラー又はスタッファーポリヌクレオチド配列として機能するイントロン及びイントロン断片もまた、発現を増強できる。
[0182]「核酸」又は「プラスミド」によってコードされる「ポリペプチド」、「タンパク質」及び「ペプチド」には、天然に存在する野生型タンパク質と同様に、完全長の天然配列、及び天然の全長タンパク質のある程度の機能性を保持している限り、機能的部分配列、修飾型、配列変異体が含まれる。例えば、タンパク質は欠失、置換又は付加を有し、少なくとも部分的な機能又は活性を保持することができる。
[0183]用語「修飾」又は「変異体」及びそれらの文法的なバリエーションは、核酸又はポリペプチドが参照配列から逸脱することを意味する。したがって、修飾及び変異体配列は、参照配列と実質的に同じ、より大きい又はより小さい発現、活性又は機能を有し得るが、少なくとも参照配列の部分的な活性又は機能を保持する。
[0184]修飾の非限定的な例には、1つ又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸置換が含まれる(例えば、1~3、3~5、5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~40、40~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~500、500~750、750~850以上のヌクレオチド又は残基)。
[0185]アミノ酸修飾の例には、保存的アミノ酸置換又は参照配列の欠失(例えば、部分配列又は断片)がある。詳細な実施形態において、修飾された配列又は変異体配列は、修飾されていない配列の機能又は活性の少なくとも一部を保持する。
[0186]転写される核酸の全ての哺乳動物及び非哺乳動物の形態、及びタンパク質をコードする核酸が含まれる。したがって、本発明は、ヒトの遺伝子及びタンパク質と実質的に同様に機能する、非哺乳動物、ヒト以外の哺乳動物、及びヒト由来の遺伝子及びタンパク質を含む。
[0187]本明細書に記載の細胞トランスフェクション及び/又は組換えウイルス(例えば、AAV)ベクターの産生後、所望であれば、ウイルス(例えば、rAAV)ビリオンを細胞/細胞培養液から収集/収穫し、任意選択で精製及び/又は、様々な従来の方法を使用してトランスフェクトされた細胞から単離することができる。そのような方法には、カラムクロマトグラフィー、CsCI勾配などが含まれる。例えば、陰イオン交換カラム、親和性カラム及び/又は陽イオン交換カラムでの精製などの複数のカラム精製ステップを使用することができる。(例えば、国際公開第02/12455号及び米国特許出願公開第20030207439号を参照されたい)。或いは、又はさらに、CsCl勾配ステップが使用できる(例えば、米国特許出願公開第20120135515号;及び20130072548号を参照されたい)。さらに、感染性ウイルスの使用がパッケージング及び/又はヘルパータンパク質の発現に使用される場合、様々な方法を使用して、残ったウイルスを不活化することができる。例えば、アデノウイルスは、約60℃の温度に、例えば20分以上、加熱することにより不活性化することができる。ヘルパーアデノウイルスは熱に不安定であるが、AAVは熱安定性であるため、この処理はヘルパーウイルスを効果的に不活性化する。
[0188]「単離された」という用語は、組成物の改変として使用される場合、組成物が人間の手によって作られるか、又は天然に存在するインビボ環境から、完全に又は少なくとも部分的に、分離されることを意味する。一般的に、単離された組成物は、それらが自然界で通常付随する1つ又は複数の物質、例えば、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜などの1つ又は複数の汚染物質を実質的に含まない。
[0189]RNA分子に関して、「単離された」という用語は主に、上で定義された単離されたDNA分子によりコードされるRNA分子を指す。或いは、この用語は、「実質的に純粋な」形態で存在するように、自然状態(すなわち、細胞内又は組織内)で会合するであろうRNA分子から十分に分離されたRNA分子を指してもよい(「実質的に純粋」という用語は、以下で定義される)。
[0190]タンパク質に関して、「単離されたタンパク質」又は「単離及び精製されたタンパク質」という用語は、本明細書において時々使用される。この用語は、主に、単離された核酸分子の発現によって産生されるタンパク質を指す。或いは、この用語は、「実質的に純粋な」形態で存在するように、自然に関連するであろう他のタンパク質から十分に分離されたタンパク質を指してもよい。
[0191]「単離された」という用語は、人間の手によって産生される組み合わせ、例えば組換えベクター(例えば、rAAV)配列、又はベクターゲノム及び医薬製剤をパッケージング又はキャプシド化するウイルス粒子を除外しない。「単離された」という用語は、ハイブリッド/キメラ、マルチマー/オリゴマー、修飾(例えば、リン酸化、グリコシル化、脂質化)又は誘導体形態、又は人の手で産生された宿主細胞で発現された形態など、組成物の代替的な物理形態も除外しない。
[0192]「実質的に純粋な」という用語は、少なくとも50~60重量%の目的の化合物(例えば、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質など)を含む調製物を指す。調製物は、少なくとも75重量%、又は約90~99重量%の目的の化合物を含み得る。純度は、目的の化合物に適した方法(例えば、クロマトグラフィー法、アガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動、HPLC分析など)により測定される。
[0193]核酸分子、発現ベクター(例えば、ベクターゲノム)、プラスミドは、組換えDNA技術法を使用することにより調製されてもよい。ヌクレオチド配列情報を利用することにより、様々な手段により単離された核酸分子を調製することができる。例えば、核酸(例えば、プラスミド)は、細胞発現又はインビトロ翻訳及び化学合成技術を介して、様々な標準的なクローニング、組換えDNA技術を使用して作成することができる。純度は、配列決定、ゲル電気泳動などによって決定できる。例えば、核酸は、ハイブリダイゼーション又はコンピューターベースのデータベーススクリーニング技術を使用して単離することができる。そのような技術には:(1)ゲノムDNA又はcDNAライブラリーとプローブとのハイブリダイゼーションにより、相同ヌクレオチド配列を検出する;(2)例えば、発現ライブラリーを使用して、構造的特徴を共有するポリペプチドを検出するための抗体スクリーニング;(3)目的の核酸配列にアニーリングできるプライマーを使用したゲノムDNA又はcDNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR);(4)関連する配列の配列データベースのコンピューター検索;(5)サブトラクション核酸ライブラリーのディファレンシャルスクリーニングが含まれるが、これらに限定されない。
[0194]核酸は、任意の便宜的なクローニングベクターでDNAとして維持され得る。一実施形態において、核酸はプラスミド内で維持される。或いは、核酸は、哺乳動物細胞での発現に適したベクターで維持され得る。
[0195]核酸、プラスミド、ベクター、発現ベクター(例えば、rAAV)、及び組換えウイルス粒子の方法及び使用により、遺伝病の治療が可能になる。欠乏状態の疾患については、遺伝子導入を使用することにより、置換療法のために正常な遺伝子を罹患組織に持ち込むことができると同時に、アンチセンス変異を使用して疾患の動物モデルを作成することができる。不均衡な疾患状態については、遺伝子導入を使用することにより、モデル系での疾患状態を作成することもでき、それを使用して疾患状態の中和を図ることができる。核酸配列の部位特異的組み込みを使用して欠陥を修正することもまた可能である。
[0196]AAV血清型及びその変異体を含むレンチ及びパルボウイルスベクターのようなウイルスベクターは、細胞がコードされたタンパク質を発現するようにタンパク質をコードする核酸をエクスビボ、インビトロ及びインビボで細胞に送達する手段を提供する。AAVは、細胞に侵入して核酸/遺伝物質を導入させて、核酸/遺伝物質が細胞内で安定して維持することができるため、遺伝子治療ベクターとして有用なウイルスである。さらに、これらのウイルスは、例えば特定の部位に核酸/遺伝物質を導入することができる。AAVはヒトの病原性疾患に関連していないため、AAVベクターは実質的なAAVの病因又は疾患を引き起こすことなく、ヒト患者に異種ポリヌクレオチド配列(例えば、治療用タンパク質及び薬剤)を送達することができる。
[0197]使用され得るウイルスベクターには、複数の血清型のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、AAV-1~AAV-12など)及びハイブリッド/キメラAAVベクター、レンチウイルスベクター及び偽型レンチウイルスベクター(例えば、エボラウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV))、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター(組織特異的プロモーター/エンハンサーの有無にかかわらず)、ワクシニアウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、非ウイルスベクターなどが含まれるが、これらに限定されない。
[0198]AAV及びレンチウイルス粒子は、効果的な遺伝子送達のための媒体として有利に使用され得る。そのようなビリオンは、細胞の分裂及び非分裂についての指向性を含むような用途のための多くの望ましい特徴を有する。これらのベクターを用いた初期の臨床経験も、持続的な毒性がないことが実証され、免疫応答も最小限であるか検出不可能であった。AAVは、受容体を介したエンドサイトーシス又はトランスサイトーシスにより、インビボ及びインビトロで幅広く様々な細胞に感染することが知られている。これらのベクター系は、網膜上皮、肝臓、骨格筋、気道、脳、関節、及び造血幹細胞を標的とするヒトにおいて試験されている。例えば、プラスミドDNA又はミニサークルに基づく非ウイルスベクターもまた、適切な遺伝子導入ベクターである。
[0199]したがって、本発明の様々な実施形態において、ベクターは、アデノウイルスベクターのようなレンチウイルス又はパルボウイルスベクターを含む。詳細な実施形態において、組換えベクターはパルボウイルスベクターである。パルボウイルスは、一本鎖DNAゲノムを持つ小さなウイルスである。「アデノ随伴ウイルス」(AAV)はパルボウイルス科である。
[0200]AAVベクター及びレンチウイルスベクターは、病因に関連するウイルス遺伝子を典型的には含まない。そのようなベクターは、典型的には、例えばrep及び/又はcap遺伝子など、1つ又は複数の野生型AAV遺伝子の全体又は一部が削除されているが、レスキュー、複製、及び組換えベクターのAAVベクター粒子へのパッケージングに必要な少なくとも1つの機能的な隣接ITR配列を保持している。例えば、ベクターの必須部分、例えばITR及びLTR要素のみがそれぞれ含まれる。したがって、AAVベクターゲノムには、複製及びパッケージングのためにシスに必要な配列(例えば、機能的なITR配列)が含まれるであろう。
[0201]組換えAAVベクター、並びにその方法及び使用には、任意のウイルス株又は血清型が含まれる。非限定的な例として、組換えAAVベクターは、例えば、AAV-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、又はAAV-2i8などの任意のAAVゲノムに基づくことができる。そのようなベクターは、同じ株又は血清型(又はサブグループ又は変異体)に基づいていても、互いに異なっていてもよい。非限定的な例として、1つの血清型ゲノムに基づく組換えAAVベクターは、ベクターをパッケージする1つ又は複数のキャプシドタンパク質と同一であり得る。さらに、組換えAAVベクターゲノムは、ベクターをパッケージングする1つ又は複数のAAVキャプシドタンパク質とは異なるAAV(例えば、AAV2)血清型ゲノムに基づいていてもよい。例えば、AAVベクターゲノムはAAV2に基づくことができ、3つのキャプシドタンパク質の少なくとも1つは例えば、AAV1、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、又はAAV-2i8又はその変異体であり得る。AAV変異体には、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12 AAV-2i8、配列番号1及び配列番号2のキャプシドの変異体及びキメラが含まれる。
[0202]詳細な実施形態において、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターには、例えば、国際公開第2013/158879号(国際出願PCT/US2013/037170)、国際公開第2015/013313号(国際出願PCT/US2014/047670)及び米国特許出願公開第2013/0059732号(米国特許出願第13/594,773、LK01、LK02、LK03などを開示)に記載されるような、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV-2i8、配列番号1及び配列番号2、並びにその変異体(例えば、アミノ酸挿入、付加、置換及び欠失などのキャプシド変異体)が含まれる。
[0203]AAV及びAAV変異体(例えば、キャプシド変異体)血清型(例えば、VP1、VP2、及び/又はVP3配列)は、例えば、AAV1~AAV12を含む他のAAV血清型と異なる場合と異ならない場合とがある(例えば、AAV1~AAV12血清型のいずれかのVP1、VP2、及び/又はVP3配列とは異なる)。
[0204]本明細書で使用される場合、「血清型」という用語は、他のAAV血清型と血清学的に異なるキャプシドを有するAAVを指すために使用される区別法である。血清学的特徴は、別のAAVと比較して、1つのAAVに対する抗体間の交差反応性の欠如に基づいて決定される。そのような交差反応性の差異は、通常、キャプシドタンパク質配列/抗原決定基の違いによる(例えば、AAV血清型のVP1、VP2、及び/又はVP3配列の違いによる)。キャプシド変異体を含むAAV変異体は、参照AAV又は他のAAV血清型と血清学的に区別されない可能性があるにもかかわらず、参照又は他のAAV血清型と比較して少なくとも1つのヌクレオチド又はアミノ酸残基が異なる。
[0205]従来の定義では、血清型は、目的のウイルスを中和活性について全ての既存及び特徴付けられた血清型の血清特異性に対して試験し、目的のウイルスを中和する抗体は見出されなかったことを意味する。より天然に存在するウイルス分離株が発見される、及び/又はキャプシド変異体が生成されると、現在存在する血清型のいずれかと血清学的な違いがある場合とない場合があり得る。したがって、新しいウイルス(例えば、AAV)に血清学的な違いがない場合、この新しいウイルス(例えば、AAV)は、対応する血清型のサブグループ又は変異体になるであろう。多くの場合、キャプシド配列が改変された変異ウイルスに対して、それらが血清型の従来の定義に従って他の血清型であるかどうかを判定するための中和活性についての血清学的検査はまだ行われていない。したがって、便宜のために及び繰り返しを避けるために、「血清型」という用語は、血清学的に異なるウイルス(例えば、AAV)並びに、血清学的に異なっておらず、ある血清型のサブグループ又は変異体の内にあり得るウイルス(例えば、AAV)の両方を広く指す。
[0206]様々な例示的な実施形態において、参照血清型に関連するAAVベクターは、1つ又は複数のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV-2i8、配列番号1又は配列番号2と少なくとも80%以上(例えば、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%など)同一な配列(例えば、ITR、又はVP1、VP2、及び/又はVP3配列のような)を含むか、又はからなるポリヌクレオチド、ポリペプチド又はその部分配列を有する。
[0207]本発明の組成物、方法及び使用には、AAV配列(ポリペプチド及びヌクレオチド)、及びAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、又はAAV-2i8のような参照AAV血清型と100%未満の配列同一性を示すその部分配列が含まれるが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、又はAAV-2i8、遺伝子又はタンパク質などのような既知のAAV遺伝子又はタンパク質とは異なり、同一ではない。一実施形態において、AAVポリペプチド又はその部分配列は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV-2i8、配列番号1又は配列番号2のような任意の参照AAV配列又はその部分配列(例えば、VP1、VP2及び/又はVP3キャプシド又はITR)と少なくとも75%以上同一、例えば80%、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%など、100%まで同一である配列を含むか、又はからなる。特定の態様において、AAV変異体は、1、2、3、4、5、5~10、10~15、15~20個又はそれ以上のアミノ酸置換を有する。
[0208]AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV-2i8、配列番号1又は配列番号2を含む組換えAAVベクター、及び変異体、関連、ハイブリッド及びキメラ配列は、1つ又は複数の機能的AAV ITR配列に隣接した1つ又は複数の核酸配列(導入遺伝子)を含むように、当業者に知られている組換え技術を使用して構築することができる。
[0209]核酸(プラスミド)、ベクター、組換えベクター(例えば、rAAV)、及び組換えウイルス粒子を医薬組成物に組み込むことができる。そのような医薬組成物は、とりわけ、インビボ又はエクスビボでの対象への投与及び送達に有用である。詳細な実施形態において、医薬組成物は、医薬的に許容される担体又は賦形剤を含む。そのような賦形剤には、組成物を受けている個人に有害な免疫応答をそれ自体で誘発せず、過度の毒性なく投与できる、任意の医薬品が含まれる。
[0210]本明細書で使用される「医薬的に許容される」及び「生理学的に許容される」という用語は、1つ又は複数の投与経路、インビボ送達又は接触に適した、生物学的に許容される製剤、気体、液体又は固体、又はそれらの混合物を意味する。「医薬的に許容される」又は「生理学的に許容される」組成物は、生物学的又はその他の点で望ましくないものではない材料である。例えば、その材料は実質的に望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく対象に投与することができる。したがって、そのような医薬組成物は、例えば、対象に核酸、ベクター、ウイルス粒子又はタンパク質を投与することに使用され得る。
[0211]医薬的に許容される賦形剤には、水、生理食塩水、グリセロール、糖及びエタノールなどの液体が含まれるが、これらに限定されない。医薬的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩のような鉱酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩のような有機酸の塩もまたその中に含まれてもよい。さらに、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質が、そのような媒体に存在してもよい。
[0212]医薬組成物は、塩として提供されてもよく、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含むがこれらに限定されない、多くの酸で形成することができる。塩は、対応する遊離塩基の形態よりも水溶液又は他のプロトン性溶媒により溶けやすい傾向がある。他の場合において、製剤は凍結乾燥粉末であり:1~50mMヒスチジン、0.1%~2%スクロース、及び2~7%マンニトールのいずれか又は全てを含んでもよく、4.5~5.5のpH範囲で、使用前に緩衝液と混ぜ合わせる。
[0213]医薬組成物には、医薬投与又はインビボ接触又は送達に適合した、溶媒(水性又は非水性)、溶液(水性又は非水性)、エマルジョン(例えば、水中油又は油中水)、懸濁液、シロップ、エリキシル、分散媒体及び懸濁媒体、コーティング、等張剤並びに吸収促進剤又は遅延剤が含まれる。水性及び非水性溶媒、溶液及び懸濁液は、懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい。そのような医薬的に許容される担体には、錠剤(コーティング又は非コーティング)、カプセル(ハード又はソフト)、マイクロビーズ、粉末、顆粒、及び結晶が含まれる。補助的な活性化合物(例えば、防腐剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤)もまた、組成物に組み込むことができる。
[0214]医薬組成物は、特定の投与又は送達経路に適合するように製剤化することができる。したがって、医薬組成物は、様々な経路による投与に適した担体、希釈剤、又は賦形剤を含む。
[0215]組成物及び方法は無菌条件であってもよい。そのようなプロセスに適した容器内で組成物を作製し、方法を行うことができる。このような容器には、皿、フラスコ、ローラーボトル、バッグ、バイオリアクター、容器、チューブ、バイアルなどが含まれる。容器は、ポリスチレン、ポリブチレン、ポリプロピレンなどのガラス、プラスチック及びポリマーを含むがこれらに限定されない材料で作られ得る。
[0216]組成物及び方法のステップは、指定された順序、又は再編成された順序で行ってもよい。方法のステップは、段階的に、又は時間を挟んで間隔を置いて行うことができる。言い換えると、方法のステップが行われ、その後、次のステップ間の時間間隔が生じてもよく、そのような間隔は、例えば、約1秒~約60秒;約1分~約60分;約1時間~約24時間;約1日~約7日;又は約1週間~約48週間の範囲である。
[0217]アデノウイルスベクターの生成のためのプロトコルは、米国特許第5,998,205号;第6,228,646号;第6,093,699号;及び第6,100,242号;及び国際特許第94/17810号及び国際特許第94/23744号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0218]本発明は、ヒト及び獣医学医療用途のための細胞及びベクターの産生に有用である。したがって、適切な対象には、ヒトのような哺乳動物、並びに非ヒト哺乳動物が含まれる。「対象」という用語は、動物、典型的にはヒト、非ヒト霊長類(類人猿、テナガザル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、マカク)、家畜(イヌ及びネコ)、農業動物(トリやアヒル、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタのような家禽)、及び実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)のような哺乳類を指す。ヒト対象には、胎児、新生児、乳児、少年、成人の対象が含まれる。対象には、動物疾患モデル、例えば、HemAなどの血液凝固疾患のマウス及び他の動物モデル、並びに当業者に知られている他の動物モデルが含まれる。
[0219]本明細書で使用される「単位剤形」は、治療される対象についての単位用量として適した物理的に分離した単位を指す;各ユニットは、1つ又は複数の用量で投与された場合に、所望の効果(例えば、予防効果又は治療効果)を生じるように計算される医薬担体(賦形剤、希釈剤、媒体又は充填剤)と任意選択で関連する所定の量を含む。単位剤形は、液体組成物、又は凍結乾燥又は凍結乾燥状態の組成物を含み得る、例えば、アンプル及びバイアル内にあってもよい;例えば、滅菌液体担体を、インビボでの投与又は送達の前に加えることができる。個々の単位剤形は、複数回投与キット又は容器に含めることができる。組換えベクター(例えば、rAAV)配列、組換えウイルス粒子、及びそれらの医薬組成物は、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、単一又は複数の単位剤形に包装することができる。
[0220]本発明は、包装材料及びその中に1つ又は複数の構成物を備えたキットを提供する。キットは、典型的には、その中に構成物の説明又は構成物の使用説明書を含むラベル又はパッケージ挿入物を含む。キットは、そのような構成物のコレクション、例えば、核酸(プラスミド)、PEI、増強剤、細胞を含むことができる。
[0221]キットは、キットの1つ又は複数の構成物を収容する物理的構造を指す。包装材料は、構成物を滅菌状態に維持することができ、そのような目的に一般的に使用される材料(例えば、紙、段ボール、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプル、バイアル、チューブなど)で作ることができる。
[0222]ラベル又は挿入物は、その中の1つ又は複数の構成物の識別情報を含むことができる。ラベル又は挿入物には、製造業者、ロット番号、製造場所と日付、有効期限を示す情報を含めることができる。ラベル又は挿入物には、製造業者情報、ロット番号、製造業者の場所及び日付を示す情報を含めることができる。ラベル又は挿入物には、方法、使用、又は製造プロトコルについて、1つ又は複数のキット構成物を使用するための取扱説明書を含めることができる。取扱説明書には、組成物の作成又は本明細書に記載の方法のいずれかを行うための説明を含めることができる。
[0223]ラベル又は挿入物には、構成物、キット若しくは包装材料(例えば、箱)とは別個に又は添付した、又はキット構成物を含むアンプル、チューブ若しくはバイアルに取り付けた、「印刷物」、例えば紙若しくは厚紙、が含まれる。ラベル又は挿入物には、バーコード印刷ラベル、ディスク、CD-又はDVD-ROM/RAMなどの光ディスク、DVD、MP3、磁気テープ、又はRAM及びROMのような電子ストレージメディア、又は磁気/光ストレージメディア、フラッシュメディア、メモリタイプカードなどこれらのハイブリッドのようなコンピューター可読媒体が付加的に含まれてもよい。
[0224]他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の方法及び材料が本発明の実施又は試験に使用され得るが、適切な方法及び材料は本明細書に記載されている。
[0225]本明細書に引用される全ての特許、特許出願、刊行物、及び他の参考文献、GenBank引用及びATCC引用は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む明細書が支配する。
[0226]本発明の生体分子に関連する様々な用語は、上記及び同様に本明細書及び特許請求の範囲全体にわたって使用されている。
[0227]本明細書に開示される特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。明細書で開示される各々の特徴は、同じ、同等、又は同様の目的を果たす代替的特徴に置き換えることができる。したがって、他に明記しない限り、開示される特徴(例えば、PEI、プラスミド、ベクター(例えば、rAAV、又は組換えウイルス粒子)は、同等又は同様の特徴の属の一例である。
[0228]本明細書で使用される単数形「a」、「and」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「プラスミド」又は「核酸」への参照には複数のそのようなプラスミド又は核酸が含まれ、「ベクター」への参照には複数のそのようなベクターが含まれ、「ウイルス」又は「粒子」への参照には複数のそのようなウイルス/粒子が含まれ、「増強剤」への参照は複数のそのような薬剤が含まれる。
[0229]本明細書で使用される場合、全ての数値又は数値範囲は、文脈が明らかに他を示していない限り、そのような範囲内の整数及びその値の小数部分又は範囲内の整数を含む。したがって、80%以上の属性への参照には、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%など、並びに81.1%、81.2%、81.3%、81.4%、81.5%など、82.1%、82.2%、82.3%、82.4%、82.5%など、及びその他を含む。
[0230]より多い(より大きい)又はより小さい整数への参照は、それぞれの参照数より大きい又は小さい任意の数を含む。したがって、例えば、100未満への参照には、99、98、97など、1に至るまでの数が含まれ、10未満の場合は、9、8、7など、1に至るまでの数が含まれる。
[0231]本明細書で使用される場合、全ての数値又は範囲は、文脈が明らかに他を示していない限り、そのような範囲内の値及び整数の小数部分及びそのような範囲内の整数の小数部分を含む。したがって、説明として、1~10などの数値範囲への参照には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5など、及びその他が含まれる。したがって、1~50の範囲への参照には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20など、50を含めて50に至るまで、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5など、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5など、及びその他が含まれる。
[0232]一連の範囲への参照は、その一連の内の異なる範囲の境界の値を結合する範囲を含む。したがって、説明のため、例えば1~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~75、75~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~400、400~500、500~750、750~850の一連の範囲への参照には、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、50~75、50~100、50~150、50~200、50~250、100~200、100~250、100~300、100~350、100~400、100~500、150~250、150~300、150~350、150~400、150~450、150~500など。
[0233]本発明は、多数の実施形態及び態様を説明するために肯定的な言葉を使用して本明細書で一般的に開示される。本発明には、物質又は材料、方法のステップ及び条件、プロトコル、又は手順など、特定の要件が全て又は部分的に除外される実施形態もまた特に含まれる。例えば、本発明の特定の実施形態又は態様において、材料及び/又は方法のステップは除外される。したがって、本発明では、本発明が含まない本発明において明確に除外されていない態様に関しては、本明細書内に一般に表されていないが、それにもかかわらず本明細書で開示されたものとする。
[0234]本発明の多くの実施形態が説明された。それにもかかわらず、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更及び修正を施して、様々な使用法及び条件に適合させることができる。したがって、以下の実施例は例示を意図したものであり、特許請求された発明の範囲を限定するものでは決してない。
実施例1
代表的な材料と方法
[0235]細胞培養液:Thermo Fisher Scientific(R79007)から購入したフリースタイル(商標)293F(HEK 293F)細胞を、1xグルタマックス(GlutaMAX)(商標)(Thermo Fisher Scientific、35050-061)及び1xアンチバイオティック-アンチマイコティック(Antibiotic-antimycotic)(Thermo Fisher Scientific、15240)を補充したフリースタイル(商標)F17(F17)発現培地(Thermo Fisher Scientific、A1383501)で培養した。細胞は、スピナーフラスコ(Corning、3152又は3153)、振盪フラスコ(Corning 431143、又は431145)又はバイオリアクターで培養した。スピナー/振盪フラスコでは、37℃のインキュベーターで170rpmの攪拌と8%CO2の加湿雰囲気で細胞を培養した;バイオリアクター(Eppendorf、DASGIPパラレルバイオリアクターシステム、ガラス容器及び使い捨て容器)では、プログラムされたパラメーター(DO40%、pH7.2、130rpm、150rpm又は170rpmでの攪拌)によって細胞培養液を制御した。典型的には、0.25~0.5×106/mLで細胞を播種し、細胞密度がおよそ2~3×106/mLに達したときに新鮮な細胞培養液培地を添加することにより、2~3日ごとに継代培養した。細胞密度及び生存率は、Vi-cell(商標)XR細胞生存率解析機(Beckman Coulter)を使用して決定した。
[0236]プラスミド:組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)を作製するために3つのプラスミドを使用した:1)ITRが隣接したhFVIIIを含む導入遺伝子プラスミド、2)rep及びcap遺伝子を含むパッケージングプラスミド、3)アデノウイルスを含むアデノウイルスヘルパープラスミドE2、E4及びVARNA遺伝子。全てのプラスミドは、Aldevronにより製造されたものを購入した。
[0237]PEI溶液の調製:直鎖ポリエチレンイミン(PEI)「Max」40KDa(Polysciences、24765-2、直鎖PEI 25KDaの塩酸塩)をトランスフェクション試薬として使用した。トランスフェクション最適化研究のために、PEI“Max”を5mM Trisに溶解して0.5mg/mL溶液を作成し、溶液をpH7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.6、7.8、又は8.0を含む異なるpHに調整した。いくつかの研究の後、最高のトランスフェクションとrAAV産生の理由で、特定されない場合は、pH7.1のPEI溶液が全ての研究に選択された。
[0238]PEI媒介トランスフェクションにおける増強剤の使用:トランスフェクション及びrAAV産生におけるその効果について評価された潜在的なトランスフェクション増強剤は、エクスピフェクタミン(ExpiFectamine)(商標)293トランスフェクションキット(Thermo Fisher Scientific、A14525)におけるエンハンサー1及び2、リポフェクタミン(Lipofectamine)(登録商標)3000トランスフェクションキット(Thermo Fisher Scientific、L3000015)におけるP3000試薬、エフェクテン(Effectene)(登録商標)トランスフェクション試薬キット(Qiagen、301427)におけるエンハンサーであった。また、バルプロ酸、エトポシド、テニポシド、シオマイシンA、及びボリノスタットを含む様々な化合物を調べて、PEI細胞トランスフェクション及びrAAV産生における有効性を試験した。
[0239]HEK 293F細胞を、スピナーフラスコ又は振盪フラスコ内で、1×グルタマックス(登録商標)サプリメント及び1×アンチバイオティック-アンチマイコティックを加えたF17培地で増殖させた。トランスフェクションの前日、新鮮な培地を加えることにより、細胞を0.5~2×106細胞/mLで播種した。24時間後、細胞を1~4×106細胞/mLの細胞密度でトランスフェクトした。トランスフェクション用の3つのプラスミド、hFVIII、Rep/cap、Ad2ヘルパーをモル比1:1:1、0.5:1:1及び1:2:2、並びに重量比0.75:0.75:0.75、1:1:1及び1.5:1.5:1.5で使用した。トランスフェクションに使用したDNAの総量は、細胞培養液容量1mLあたり0.5~4.2μgであった。異なる重量比のPEIとDNAを1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1でPEI/DNA複合体を調製し、室温で1、5、10、15、20、25及び30分間インキュベートし、DNA/PEI複合体を細胞培養液に加えた。DNA/PEI複合体の直後に、0.5~5.6μg/mLの遊離PEI(DNA無し)を細胞培養液に加えた。トランスフェクション時又はトランスフェクションの24時間前又はトランスフェクションの16~18時間後に増強剤を細胞に直接加えた。様々な量の増強剤を研究した。細胞及び細胞培養液培地を含むサンプルは、細胞数及び細胞生存率のためにトランスフェクションの48及び72時間後に採取され、トランスフェクションの72時間後に細胞培養液を収穫した。
[0240]バイオリアクターでのrAAVベクターの生産:2つ又は3つのピッチ付きブレードインペラーを備えた2L DASGIPパラレルバイオリアクターシステム(Eppendorf)を使用して、ベクター生産プロセスをスケールアップした。最終的な作業容量は400mL又は1.2Lに調整された。攪拌を130rpm、150rpm又は170rpmに設定し、温度を37℃に維持した。pHは6.3、6.8、7.2、7.4、7.6、又は8で試験された。最良の細胞増殖とrAAV産生のため、pH7.2が選択された。溶存酸素は、酸素、二酸化炭素、空気の混合ガスを補充することで40%に維持された。これらのパラメーターは全て、DASGIP制御4.0ソフトウェアを備えたDASGIP制御システムによって監視及び制御された。F17培地で培養したHEK 293F細胞を、細胞密度0.4×106細胞/mL、95%を超える生存率で接種した。播種後3日目に、新鮮な培地を加えて細胞を継代培養した。継代培養後、細胞密度をおよそ0.5~1.7×106細胞/mLに調整した。継代培養の24時間後、上及び図の説明に記載したように、PEI/DNA複合体、遊離PEI及びトランスフェクションエンハンサーを用いて細胞をトランスフェクトした。細胞密度は、トランスフェクション時で約1~3×106細胞/mLであった。1.2~4.2ug/mLのDNA、PEI/DNAの重量比1:1、1.5:1、2:1、2.5:1又は3:1を0.5~4.2ug/mlの遊離PEI及び増強剤とともにプラスミドトランスフェクション及びrAAV生産について分析した。トランスフェクション後72時間で細胞培養液を収穫した。
[0241]rAAVベクターの定量:マイクロ流動化(マイクロフルイダイザー(microfluidizer)(商標)、Microfluidics)又は3回の超音波処理のいずれかにより、トランスフェクトされたHEK 293F細胞収穫物からrAAVベクターを放出した。細胞片を遠心分離によりペレット化し、上清を収集してリアルタイムPCRで分析した。
[0242]rAAVベクターゲノムコピー数は、タックマン(TaqMan)マスターミックス(Thermo Fisher Scientific、4304437)を使用して、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)(Thermo Fisher Scientific、QuanStudio7)で決定した。10μLの細胞溶解液を最初に2μlのユニバーサルRNA(Biochain、R423565)で処理した後、7.6 U DNase I(Qiagen、79254)で処理し、混入しているパッケージ化されていないDNAを消化した。次に、溶液を0.2% SDS/5mM EDTA/0.2M NaClで処理し、95℃で10分間加熱してDNase Iを不活性化し、ベクターDNAを放出させた。プライマー及びプローブにより、導入遺伝子hFVIII配列が検出された:フォワードプライマー:5’-TGAGGAGGCTGAAGACTAT-3’(配列番号3)、リバースプライマー5’-CCACAGACCTGATCTGAATGAA-3’(配列番号4)及びプローブ/5’-6FAM/TGGATGTGG/ZEN/TGAGGTTTGATGATGACA/3IABkFQ/-3’(配列番号5)。標準は、pAAV-hFVIIIプラスミドを直線化することにより作成された。全てのサンプルは3重に行った。
[0243]ウエスタンブロット分析:マイクロ流動化(マイクロフルイダイザー(商標)、Microfluidics)又は3回の超音波処理のいずれかにより、トランスフェクトされたHEK 293F細胞収穫物からrAAVベクターを放出した。細胞片を遠心分離によりペレット化し、上清をウエスタンブロット用に収集した。細胞溶解物を4xNuPAGE LDSサンプルバッファー(Thermo Fisher Scientific、NP0007)と混合し、その後、95℃で5分間加熱した。サンプルをSDS-PAGEで分離し、PVDFメンブレン(Thermo Fisher Scientific、LC2002)に転写した。オデッセイ(Odyssey)ブロッキングバッファー(Li-COR Biosciences、927-50000)で1時間ブロッキングした後、膜を室温で2時間、1:500希釈のマウスモノクローナル抗AAV VP1,2,3抗体(American Research Products、Inc.、03-65158)とともにインキュベートした。3回リンスした後、膜を室温で1時間、1:5000希釈(Invitrogen、A21057)のヤギ抗マウスIgG、アレクサ・フルオ(Alexa Fluo)(登録商標)680コンジュゲート二次抗体とともにインキュベートした。オデッセイ(登録商標)CLxイメージャー(Li-COR Biosciences)で膜をスキャンした。
実施例2
トランスフェクションエンハンサーによるrAAV-FVIIIベクター生産性の向上。
[0244]トランスフェクション試薬としてPEI「Max」を使用した高効率なPEIベースのトランスフェクション方法は、F17培地で3つのプラスミドをHEK 293F細胞にトランスフェクトしてrAAVベクターを産生するように開発された。最高のrAAV生産性を得るためのプラスミドトランスフェクションに最適な細胞培養液ウィンドウが記載されている。しかし、rAAV-FVIIIベクターの生成に使用した場合、ベクターの生産性は比較的低かった(2~3E+10vg/mLのベクター力価)。低い生産性の原因は、FVIII導入遺伝子がeGFP、FIXなどの他の導入遺伝子と比較してとても大きいからであることがある。
[0245]トランスフェクション効率を改善できる薬剤の探索を行った。エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキット、リポフェクタミン(登録商標)3000トランスフェクションキット、エフェクテン(商標)トランスフェクション試薬キットを含むいくつかのトランスフェクションキットの異なるトランスフェクションエンハンサーを評価した。データは、エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのトランスフェクションエンハンサーがrAAVベクターの生産を顕著に増加できることを示している。他のトランスフェクションキットのエンハンサーは、rAAV生産を有意に改善しなかった。エクスピフェクタミン(商標)293エンハンサー1及び2は、それぞれ培養量の1:200及び1:20で使用された。トランスフェクション時のエクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサー1及び2は、rAAV力価を、トランスフェクション後16~18時間で加えた場合又はエンハンサー無しの場合と比較して2~3倍増加させた(図1)。トランスフェクションの前にエンハンサー1及び2を加えても、rAAVの産生は検出可能なほど増加しなかった。エンハンサー1及びエンハンサー2は、Expi293(商標)発現培地で培養したExpi293F(商標)細胞からのタンパク質発現のためのカチオン性脂質ベースのトランスフェクション試薬キットであるエクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットの構成物である。エンハンサーは動物由来でなく、化学的に定義された、タンパク質フリーで、無血清の試薬であると製造業者は述べている。これらのエンハンサーは、このキットの元来の設計とは異なる新しい用途で使用された。これらのエンハンサーは、タンパク質を発現する代わりにrAAVベクターを生成するために使用された。このキットでは、トランスフェクション及びタンパク質発現を高めるために、トランスフェクション後16~18時間でエンハンサー1及び2を使用することが勧められている。しかしながら、本明細書で開示された研究は、トランスフェクション時に同時にエンハンサー1とエンハンサー2を加えることにより最高のrAAV産生がもたらされ、トランスフェクション後の使用よりも2~3倍高いことを示し、エンハンサーがrAAV産生においてタンパク質発現とは異なる役割を果たしていることが示唆される。これらのエンハンサーを本明細書及び国際出願PCT/US16/64414に記載されるPEI媒介トランスフェクション法に加えると、大きな導入遺伝子プラスミドの細胞へのトランスフェクションが増加し、rAAVの大幅な増加がもたらされた。
[0246]これらのエンハンサーの存在下又は非存在下での、トランスフェクション時の細胞密度、DNA量、PEI/DNA比、遊離PEI量を含む、トランスフェクションパラメーターをさらに最適化した。データは、トランスフェクション時の細胞密度とPEI/DNA比を増加させ、DNAと遊離PEIをより少なく使用すると、エンハンサーの存在下で最大のrAAV生産性が得られたことを示している。
[0247]図2は、qPCRにより決定されたスピナーフラスコ中の異なるDNA量及びPEI/DNA比を使用したrAAV-FVIIIベクター産生を示す。スピナーフラスコ中のHEK 293F細胞に1.2、1.86、2.8μg/mLのDNAをトランスフェクトし、使用したPEI/DNA(N/P)比は1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1及び1.5μg/mLの遊離PEIであった。エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサー1及び2をトランスフェクション時に細胞に加えた。エンハンサー1及びエンハンサー2は、それぞれ培養量の1:200及び1:20で使用された。細胞密度は、トランスフェクション時で2.5~3×106細胞/mLであった。ベクターの生産に最適な条件は、1.2μg/mLのDNAをトランスフェクション時にPEI/DNA比2~2.5:1及び1.5μg/mLの遊離PEI並びにエンハンサー1(1:200希釈)及び2(1:20希釈)とともに使用することから得られた。
[0248]2L DASGIPバイオリアクターの条件を評価し、より大規模スケールでさらに最適化した。図3は、qPCRによって決定された異なるDNA量とPEI/DNA比を使用したバイオリアクター中のrAAV-FVIIIベクター生産を示す。HEK 293F細胞を、400mL F17でバイオリアクター中、37℃、pH7.2、DO40%、150rpmで攪拌し、培養した。細胞にDNAモル比1:1:1及び1.2又は2.8μg/mLのDNA、PEI/DNA(N/P)比1.5:1、2:1、2.5:1又は3:1及び1.5μg/mLの遊離PEIをトランスフェクトした。エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサー1及び2をトランスフェクション時に細胞に加えた。エンハンサー1及びエンハンサー2を、それぞれ培養量の1:200及び1:20で使用した。トランスフェクション時の細胞密度は2~3×106細胞/mLであった。最高のrAAVベクターの生産性で得られた条件は、1:1:1のDNAモル比及び1.2μg/mLのDNAを2.5~3:1のPEI/DNA比及び1.5μg/mLの遊離PEI及びエンハンサーとともに使用することであった。
[0249]バイオリアクター中、細胞培養液量を400mLから1.2Lに増加させて、rAAVを産生した。HEK 293F細胞は、37℃、pH7.2、DO40%、2又は3インペラーで130rpm、150rpm又は170rpmで攪拌して培養した。細胞を、1:1:1のDNAモル比、1.2μg/mLのDNA、2.5:1のPEI/DNA(N/P)比、及び1.5μg/mLの遊離PEIでトランスフェクトした。エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサー1及び2を上記のように使用した。図4は、これらの研究からのrAAV力価を示す。このデータは、スピナーフラスコ内の50mLの小規模スケールから最適化された条件を400mLにスケールアップし、その後1.2Lスケールまでスケールアップできることを実証した。最適化されたPEIを介したトランスフェクション条件で増強剤を使用すると、無血清懸濁培養においてrAAVベクターの生産性を8~10倍増加させることができる。このプロセスは高効率で、安全、拡張可能である。
[0250]エンハンサー1及び2の両方がrAAV産生を改善するためにトランスフェクションで必要であるかどうかを決定し、これらのエンハンサーの量をさらに定義するために、これらを個別に評価した。データは、エンハンサー1単独でrAAVの生産性をエンハンサー1と2の両方を組み合わせたものと同じレベルまで改善できることを示している。エンハンサー2単独では、rAAV産生を検出可能なほど増加させなかった(図5)。エンハンサー1及び2の量も減少し、プロセスの最適条件がさらに定義された。エンハンサー1及び2の量を減らすと、rAAV力価が低下した(図5)。トランスフェクション時でのエンハンサー1(1:100又は1:150希釈)及び2(1:10又は1:15希釈)の量を増加しても、rAAVの生産性を検出できるほど改善しなかった。トランスフェクション時にエンハンサー1及び2を使用することに加えて、トランスフェクションの24時間後、又は48時間後、又は24時間後と48時間後の両方でそれらを評価し、rAAV力価をさらに増加できるかどうかを決定した。図6は、エンハンサーの反復使用がrAAV産生をわずかに増加させたことを示している。
実施例3
バルプロ酸は、rAAV-FVIIIベクターの生産性を改善する。
[0251]バルプロ酸、エトポシド、テニポシド、シオマイシンA及びボリノスタットを含む様々な化合物を評価して、トランスフェクション及びrAAV産生に対する効果を決定した。これらの化合物の中で、バルプロ酸はrAAVの生産性を顕著に上昇させた。バルプロ酸は、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害剤であり、けいれんを治療するためのFDA承認薬でもある。異なる濃度のバルプロ酸、0.25mM、0.5mM、1mM、1.5mM、2mM、5mM、7.5mM、及び10mMを、トランスフェクション時にスピナー/振盪フラスコ培養液及びDASGIPバイオリアクター培養液中で使用した。最適化されたPEI媒介トランスフェクションでバルプロ酸を使用すると、rAAV-FVIIIベクターの力価がエンハンサー無しの場合と比較して約10倍増加し、無血清懸濁培養システムのエンハンサー1及び2と同じか又はそれ以上のrAAV生産性レベルに達した(図7)。これらのバルプロ酸の研究では、1.2μg/mLのDNA、1:1:1のDNAモル比、2:1又は2.5:1のPEI/DNA重量比、及び1.5μg/mLの遊離PEIを使用した。トランスフェクション時にPEI/DNA複合体及び遊離PEIを細胞に加えた後、異なる濃度のバルプロ酸を加えた。この研究では、エクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサーは使用されなかった。図8は、1Lバイオリアクター培養液中、例えば5~8mMなどの4mM以上のバルプロ酸のようにバルプロ酸濃度が増加した場合のAAVベクター生産の改善を示している。
実施例4
[0252]最適化されたPEIベースのトランスフェクション法のみで使用されるエクスピフェクタミン(商標)293トランスフェクションキットのエンハンサー1のみ及びバルプロ酸は、rAAVベクター生産性を、同様の技術を使用する現在報告されている生産プロトコルよりも、実質的に約10倍高く増加させることができる。rAAV生産システムにおいてエンハンサー1又はバルプロ酸のみを使用することにより、無血清懸濁細胞培養液でrAAVベクターの血清型を効率的に生産するために使用できる新しい拡張可能なrAAV生産プラットフォームが提供される。このプロセスは、大きな導入遺伝子を持つrAAVベクターの産生や、生成が困難なrAAVベクターの産生に特に適用できる。このプロセスは、十分に拡張可能で、cGMPに適合した、rAAVの大規模スケール製造に適した用途の広いrAAV生産システムである。
実施例5
[0253]図4のデータは、スピナーフラスコでの50mLの小規模スケールから最適化された条件が400mLまで、次いで1.2Lスケールまでスケールアップされ得ることを実証している。より大きな容量までのさらなる拡張可能性が達成され得る。例えば、本方法は2リットル、2~20リットル、20~50リットル、又は50~100リットルまで拡張可能であると考えられる。100~500リットル、500~1000リットル、又は1000リットル以上など、さらに大きな容量も考えられる。そのようなスケールアップには、細胞のクローニングと、大量のrAAVベクターを産生するクローンの選択が含まれ得る。本明細書の本発明の組成物及び方法に適用可能な細胞の信頼でき、再現可能な供給源は、rAAVベクターを大量に発現するそのようなクローンのマスター細胞バンクを作成することにより提供される。
[0254]細胞培養液条件、トランスフェクション条件、細胞溶解及び/又はrAAVベクター収穫物の培養上清収集、不純物の除去、及び引き続く下流精製条件のさらなる改良も、拡張性の実質的な向上に寄与し得る。
実施例6
1.0 例示的で、非限定的な、プロセス開発許容基準、概要、フロー説明、及び懸濁液細胞を使用したrAAVベクター(例えば、LK03-FVIII)の生産スケールを増加させるために変化させるパラメーター
1.1 セルの解凍と増殖
1.2 1.2LバイオリアクタースケールでのrAAVベクター生産
2.0 プロセスの概要
2.1 細胞解凍及び細胞増殖プロセス
2.1.1 プロセスフロー図
以下は、上流rAAVベクタープロセスの細胞解凍及び細胞増殖部分の代表的なプロセスフロー図である:
2.1.2 プロセスフローの説明
以下は、上流rAAVベクター(例:LK03-FVIII)プロセスの細胞解凍及び細胞増殖部分の代表的なプロセスフローの説明である:
2.1.3 細胞解凍及び細胞増殖研究中に変化させるパラメーター
293-F細胞解凍及び細胞増殖プロセスの開発中に以下のパラメーターを評価した:
実施例7
2.3 1.2Lバイオリアクタースケールでの例示的で、非限定的なrAAVベクター(例えば、LK03-FVIII)生産、プロセスフロー及びrAAVベクタータンパク質のスケールの増加に応じて変化させるパラメーター
2.3.1. プロセスフロー図
以下は、rAAVベクター(例えば、LK03-FVIII)の1.2Lバイオリアクター生産の代表的なプロセスフロー図である:
2.3.2 プロセスフローの説明
以下は、rAAVベクター(例えば、LK03-FVIII)の1.2Lバイオリアクター生産のプロセスフローの説明である:
2.3.3 rAAVベクター(例えば、LK03-FVIII)生産開発研究中に変化させたパラメーター
rAAVベクター(例えば、LK03-FVIII)の1.2Lバイオリアクター生産プロセスの開発中に、以下のパラメーターを評価した:
実施例8
[0255]代表的なAAVキャプシド(VP1)タンパク質。