以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向や向きに関する記述は、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態における自転車システム1を示す図である。自転車システム1は、自転車10、チャイルドシート11およびカバー100を備えている。
なお、以下の説明では、特に断らない限り、カバー100を自転車10(チャイルドシート11)に装着した状態を想定した上で、自転車10の進行方向(ただし、ハンドルが回転していないときの進行方向とする。)を「前方」、「前方」の逆方向を「後方」、前方を向いて右を「右」、前方を向いて左を「左」と称する場合がある。
自転車10は、人(運転者)が座る運転者用のサドル12を備えている。なお、図1では、例えば、ブレーキレバーやヘッドライト、駐輪時に用いるスタンドなど、自転車10の詳細については図示を省略している。自転車システム1は、自転車10として、一般的な自転車を適宜採用することができる。ただし、自転車10は、後述するチャイルドシート11を搭載するために必要な構成(例えば、図示しない荷台など)を備えていることが必要である。
チャイルドシート11は、頭部を支えるヘッドレスト13、左右の側板14、背もたれを構成する背板15、底板16、および、左右のフットレスト17を備えている。チャイルドシート11の詳細は省略するが、チャイルドシート11は、人(同乗者、多くの場合は子供)が着座する座部を構成している。チャイルドシート11は、自転車に搭載可能な市販の製品が一般的に備えている各種構成を適宜採用することができる。すなわち、チャイルドシート11は、自転車10の後部座席を形成しており、図1に示す構成に限定されるものではない。
なお、座部(本実施の形態ではチャイルドシート11)に着座した状態の人を、以下の説明では、「同乗者」と称し、運転者と区別する場合がある。また、カバー100を操作する人を「操作者」と称し、運転者と区別する。本実施の形態では、運転中にカバー100を操作すること(運転者が同時に操作者であること)は、ほぼ想定されないからである。
カバー100は、詳細は後述するが、形状が変化する部材や、位置が変化する部材を備えている。したがって、カバー100は、これらの部材の形状や位置の変化により、様々な状態間で遷移する。以下の説明では、カバー100の状態について、「使用状態」、「非使用状態」および「防護状態」を定義する。
図1に示すカバー100は、自転車10のサドル12を覆っている。詳細は後述するが、図1に示すカバー100の状態は、カバー100の防護状態を示している。さらに言えば、図1は、カバー100が防護状態にあるときの各部の形状や位置を示している。
第1の実施の形態における自転車システム1は、例えば、自転車10の駐輪中において、カバー100を防護状態に遷移させておくことにより、サドル12を防水・防塵することができる。したがって、例えば、屋根のない場所に自転車10を駐輪しているときに雨天になったとしてもサドル12が濡れないので、運転者が自転車10に乗車する前に、サドル12を拭く必要はない。また、サドル12の劣化を抑制することもできる。
また、防護状態において、カバー100は、チャイルドシート11をほぼ覆うように設計されている。すなわち、カバー100は、防護状態において、サドル12のみならず、座部が濡れることも防止することができる。このように、第1の実施の形態におけるカバー100は、いわゆる自転車カバーとしての機能を有しているため、別途、自転車カバー(チャイルドシート11を覆うことができる大きな専用カバー)を用意する必要がない。
なお、図1によれば、防護状態において、フットレスト17が露出しているように見える。しかし、これは側方に対してであって、図3に示すように、カバー100はフットレスト17の上方を覆っている。したがって、横殴りの雨でなければ、防護状態においても、カバー100はフットレスト17が濡れることを有効に防止することができる。
図2は、第1の実施の形態におけるカバー100を左から右に向けて見た状態を示す図である。図2は、使用状態のカバー100を実線で示している。図2には、チャイルドシート11の概略位置を仮想線(二点鎖線)で示す。また、図2に示す軸O,P,Qは、いずれも水平方向に略平行で、自転車10の左右方向に延びる仮想軸である。
図2に示すように、カバー100は、基部101、シート部材102、補助フレーム103、第1操作フレーム104および第2操作フレーム105を備えている。
本実施の形態における基部101は、背板15と略平行に配置される板状の部材である。ただし、基部101は、板状の部材に限定されるものではなく、例えば、背板15の周縁部などに配置されるフレーム状の部材であってもよい。
基部101は、カバー100の各構成を規定して保持する基部(保持部)として機能するとともに、カバー100をチャイルドシート11の背板15に取り付ける取付部としても機能する。詳細は後述するが、基部101は、シート部材102の状態(形状と位置とを含む。)が遷移するとき、チャイルドシート11に対して当該シート部材102を保持しつづけることが可能である。
基部101は、図示しないボルトによって背板15(チャイルドシート11)に固定されているものとする。ただし、チャイルドシート11に基部101を固定する方法は、ボルトを用いる方法に限定されるものではない。例えば、基部101と背板15とにそれぞれ嵌合部を形成して互いに嵌め込む方法であってもよい。あるいは、チャイルドシート11に専用の構造を必要としない手法として、ベルトや紐、面ファスナー、磁石等を用いてもよい。このような方法であれば、カバー100の汎用性が向上する。
また、チャイルドシート11に取り付けられる基部101は、チャイルドシート11に対して着脱自在でなくてもよい。詳細は後述するが、カバー100は、非使用状態において、同乗者の体をほとんど覆うことはないように設計されている。すなわち、非使用時にカバー100が邪魔になることはなく、カバー100をわざわざ取り外す必要がない。したがって、基部101はチャイルドシート11に取り付けられた後は取り外せない構造であってもよい。さらには、背板15と基部101とが一体構造物として製造されていてもよい。
シート部材102は、薄い面状(布状)の部材であって、折り畳んだり、広げたりすることができる素材で構成されている。シート部材102は、変形自在であるため、形状が様々に遷移する。第1の実施の形態におけるシート部材102は、シート部材102aおよびシート部材102bから構成されている。
シート部材102のうちのシート部材102aの部分は、光を透過しない素材で構成されている。したがって、シート部材102aによって同乗者の頭部を覆うことにより、太陽光等を遮蔽することができる。すなわち、カバー100は日除け(サンシェード)としても機能する。
なお、第1の実施の形態におけるシート部材102aは、例えば雨天時には、雨避け(レインカバー)の一部としても利用される。したがって、シート部材102aは遮光性のみならず、撥水性も有する素材が好ましい。このような素材としては、従来より様々な素材が提案されており、シート部材102aの素材としては、それらのうちから適宜選択することができる。
シート部材102aの端部は基部101に対して固定されており、当該端部の位置は固定され、変化することはない。すなわち、シート部材102aの当該端部は固定端部となっている。一方で、シート部材102aの他端部は第1操作フレーム104に固定されている。詳細は後述するが、第1操作フレーム104は回動することによって位置が変化する。したがって、シート部材102aの他端部は自由端部となっている。
補助フレーム103は、シート部材102aの中間部に設けられる略U字形状(楕円を短軸で切断したような形状)の骨材であって、図2に示す軸Qを中心軸として基部101に対して回動可能に取り付けられている。
補助フレーム103が図2に示す位置に配置されることによって、シート部材102aは、下方より支持され、弛みにくくなる(下向きに凹むことがない。)。したがって、シート部材102aが広げられたときにおいて、同乗者(詳細には同乗者の頭部)の住空間が適切に形成される。このように、補助フレーム103は、同乗者の住空間を形成するようにシート部材102aを支持する。なお、補助フレーム103の個数は、1つに限定されるものではない。
第1操作フレーム104は、略U字形状の骨材である。第1操作フレーム104の上側には、第1操作フレーム104に沿うようにシート部材102aの自由端部が取り付けられている。第1操作フレーム104は、図2に示す軸Qを中心軸として基部101に対して回動可能に取り付けられている。
第1操作フレーム104を下方向(図2において左回転方向)に回動させると、第1操作フレーム104に固定されたシート部材102aの自由端部側が下方に引き出される。このように、シート部材102aを引き出して広げる操作(第1操作フレーム104を下方向に回動させる操作)を、以下、「第1開操作」と称する。
第1開操作を継続し、所定量のシート部材102aが引き出されると、シート部材102aに固定された補助フレーム103も当該シート部材102aに連動して下方向への回動を開始する。これにより、補助フレーム103と基部101との間のシート部材102aも補助フレーム103に連動して下方に引き出され、シート部材102aは、最終的に図2に示す形状(シート部材102aが最大に広げられた形状、以下、シート部材102aの「全開形状」と称する。)となる。
シート部材102aが全開形状となったとき、シート部材102aは最大に広げられており、これ以上広げることはできない形状となっている。また、すでに説明したように、シート部材102aの端部(固定端部)は、基部101に固定されている。したがって、シート部材102aが全開形状に達すると、これ以上、第1操作フレーム104を下方に回動させることはできない。このときの第1操作フレーム104の位置を「最下方位置」と称する。
基部101の位置、および、第1操作フレーム104の最下方位置によって、全開形状のシート部材102aの配置も決定される。すなわち、カバー100では、第1操作フレーム104の最下方位置に配置されることによって、シート部材102aの状態(形状および位置)が定まる。
したがって、第1操作フレーム104が最下方位置に配置されると、シート部材102aは、図2に示すように、同乗者の頭部(ヘッドレスト13)の上方において前方に張り出したような状態に遷移する。したがって、シート部材102aは、同乗者の頭部を覆う状態となる。
シート部材102aが同乗者の頭部を覆うと、太陽光はシート部材102aに遮蔽されるため、同乗者(より詳細には同乗者の頭部)に当たる直射日光等を防止することができる。また、シート部材102aは撥水性も有しているため、シート部材102aが全開形状のとき、雨はシート部材102aに遮蔽される。したがって、同乗者(より詳細には同乗者の頭部)が雨に濡れることを防止することができる。
第1操作フレーム104が最下方位置に配置されるときにおいても、シート部材102aの自由端部は、第1操作フレーム104により広げられており、充分な開口部を形成する。すなわち、シート部材102aは、同乗者の頭部を覆っているときにも、当該同乗者に触れることのない状態となっている。このように、第1操作フレーム104は、シート部材102aの自由端部を適切に広げて支持する機能も有しており、補助フレーム103と同様に、同乗者の住空間を適切に形成する機能を有している。
逆に、第1操作フレーム104を上方(図2において右回転方向)に回動させると、第1操作フレーム104の動きに追随してシート部材102a(自由端部)がめくれ上がり、折り畳まれる。このように、シート部材102aを折り畳む操作(第1操作フレーム104を上方向に回動させる操作)を、以下、「第1閉操作」と称する。
第1閉操作によって第1操作フレーム104を補助フレーム103の位置まで回動させた後は、補助フレーム103を第1操作フレーム104と連動するように上方に回動させると、補助フレーム103と基部101との間のシート部材102aが折り畳まれる。
さらに第1閉操作を継続して第1操作フレーム104および補助フレーム103を基部101に近接する位置(回動が停止する位置、以下、「最上方位置」と称する。)にまで回動させると、シート部材102aがほぼ完全に折り畳まれる。このとき、シート部材102aは、折り畳まれて面積が小さくなった略平坦な形状(以下、シート部材102aの「全閉形状」と称する。)となる。
基部101の位置、および、第1操作フレーム104の最上方位置によって、全閉形状のシート部材102aの配置も決定される。すなわち、カバー100では、第1操作フレーム104の最上方位置に配置されることによって、シート部材102aの状態(形状および位置)が定まる。
したがって、第1操作フレーム104が最上方位置に配置されると、シート部材102aは、シート部材102aが基部101に沿う状態となる。すなわち、全閉形状のシート部材102aは、略平坦な形状で、かつ、基部101に沿う位置に配置されるため、チャイルドシート11との間に住空間を形成することはない。したがって、第1操作フレーム104が最上方位置に配置されるときのシート部材102aは、同乗者の頭部を覆わないように開放する状態である。
また、シート部材102aが全閉形状にあるとき、シート部材102a、補助フレーム103および第1操作フレーム104は、同乗者が乗り降りするときの邪魔にならない位置に退避している。また、このとき、シート部材102aの自由端部は、第1操作フレーム104によって上方に配置され、同乗者の頭部付近に垂れ下がらないように支持される。
図2に示すシート部材102bは、主にレインカバーとして機能する部分であり、シート部材102aと同様に、撥水性の高い素材が用いられる。一方で、シート部材102bは、シート部材102aと異なり、透明な素材で構成されており、光を透過させる性質を有している。このような素材としては、従来より様々な素材が提案されており、シート部材102bの素材としては、それらのうちから適宜選択することができる。
シート部材102bは、端部102cおよび端部102dを有している。端部102cは、第1操作フレーム104に沿って取り付けられている。したがって、端部102cは、第1操作フレーム104の位置に応じて位置が変化する。また、端部102dは、第2操作フレーム105に沿って取り付けられている。したがって、端部102dは、第2操作フレーム105の位置に応じて位置が変化する。さらに、シート部材102bの形状は、主に、第1操作フレーム104と第2操作フレーム105との相対位置によって変化する。
図3は、第1の実施の形態におけるカバー100を上方から下方に向けて見た状態を示す図である。より詳細には、図3は、背板15に沿う向きに、上方から下方に見た図である。図1から明らかなように、背板15に沿う上下方向は、厳密には鉛直方向に平行ではない。したがって、図3は、鉛直方向下向きに見た図ではない。さらに、図3には、左右のフットレスト17の概略位置を仮想線(二点鎖線)で示す。
図2において図示を省略したが、基部101は、図3に示すように、保持部材101b,101cを備えている。ただし、保持部材101b,101cの構造および機能については後述する。
第2操作フレーム105は、前方フレーム106および後方フレーム107を備えている。カバー100では、第2操作フレーム105において、前方フレーム106(第1部材)と後方フレーム107(第2部材)とが回動する状態で接続されている。
図2は、カバー100が防護状態のときと非使用状態のときの第2操作フレーム105の位置を、それぞれ破線で示している。図2において、第2操作フレーム105が前方に延びるように図示されている位置が防護状態のときの第2操作フレーム105の位置である。一方、図2において、第2操作フレーム105が上方に延びるように図示されている位置が非使用状態のときの第2操作フレーム105の位置である。なお、実線で示す第2操作フレーム105は、すでに説明したように、カバー100が使用状態のときの第2操作フレーム105を示している。
図3に戻って、前方フレーム106は、略U字形状に折り曲げられた骨材であって、両端部(図3においていずれも後方に配置されている。)において後方フレーム107と接続される。
先述のように、前方フレーム106の上側には、シート部材102bの端部102dが取り付けられている。前方フレーム106の左右の幅は、左右のフットレスト17の配置幅よりも広いサイズに設計されている。したがって、前方フレーム106が下方に移動したとき、左右方向のサイズによって左右のフットレスト17(チャイルドシート11)と前方フレーム106とが干渉することはない。
後方フレーム107は、左側方部107a、右側方部107bおよび横軸部107cを備えている。後方フレーム107は、左側方部107a、右側方部107bおよび横軸部107cが適宜配置されることによって、全体として略U字形状の骨材を構成している。
先述のように、後方フレーム107の上側には、前方フレーム106と同様に、シート部材102bの端部102dが取り付けられている。なお、第1の実施の形態におけるカバー100では、後方フレーム107の左側方部107aおよび右側方部107bにシート部材102bが取り付けられるが、横軸部107cには取り付けられてはいない。すなわち、チャイルドシート11の後方側はカバー100によって覆われていない。ただし、後方側にもシート部材102bを配置して、カバー100がチャイルドシート11の全体を覆うように構成してもよい。
左側方部107aは、横軸部107cの左側に配置される部分である。左側方部107aは、横軸部107cの長手方向に直交する方向に延びるように横軸部107cに固設されている。また、左側方部107aの延びる方向は、右側方部107bの延びる方向と略平行となるように配置されている。さらに、左側方部107aの端部(横軸部107c側でない端部)は、前方フレーム106の端部と回動可能な状態で接続されている。
右側方部107bは、横軸部107cの右側に配置される部分である。右側方部107bは、横軸部107cの長手方向に直交する方向に延びるように横軸部107cに固設されている。さらに、右側方部107bの端部(横軸部107c側でない端部)は、前方フレーム106の端部と回動可能な状態で接続されている。
横軸部107cは、基部101において後方に突出した保持部材101b,101cを貫通している。なお、保持部材101b,101cは、例えば、L型金具で実現可能である。すなわち、L型金具の一方をボルト等によって基部101の板状部分に固定することにより他方を基部101から後方に突出させ、当該他方に貫通孔を設けて横軸部107cを挿入する構造とすればよい。
このようにして、保持部材101b,101cおよび横軸部107cは、架橋構造を形成している。これにより、横軸部107cは、軸Oに沿って延びる向きに配置されるように、基部101に取り付けられている。横軸部107cは、基部101に対して固定されておらず、軸Oを中心軸として回転可能に保持されている。したがって、後方フレーム107は、軸Oを中心軸として回動することが可能である。このように、後方フレーム107が横軸部107cを備え、横軸部107cによって左側方部107aと右側方部107bとを連結することによって、左側方部107aおよび右側方部107bが連動して回動する。これによって、前方フレーム106を操作したときに、当該前方フレーム106と連動して回動する後方フレーム107の動きが安定する。
後方フレーム107の左右の幅(左側方部107aと右側方部107bとの間隔)は、横軸部107cの長手方向の長さによって規定されており、前方フレーム106と同様に、左右のフットレスト17の配置幅よりも広いサイズとなるように設計されている。したがって、後方フレーム107が下方に回動したとき、左右のフットレスト17(チャイルドシート11)と後方フレーム107とが干渉することはない。
前方フレーム106と後方フレーム107(左側方部107aおよび右側方部107b)との接続部分は、軸Pを中心軸として回動可能な構造となっている。以下、前方フレーム106と後方フレーム107との接続部分を、屈曲部105aと称する。
先述のように、図2では、防護状態(図1に示す状態)および非使用状態における第2操作フレーム105の配置を破線で示しており、これらは、屈曲部105aにおいて、前方フレーム106と後方フレーム107とを伸ばした状態の例である。また、図2では、使用状態における第2操作フレーム105の配置を実線で示しており、これは屈曲部105aにおいて、前方フレーム106と後方フレーム107とを曲げた状態の例である。
このように、第2操作フレーム105は、屈曲部105aを肘関節のように回動させることにより、例えば、人の腕のように曲げ伸ばしすることが可能である。なお、本実施の形態では、屈曲部105aは、図2に実線で示す向き(山向きでなく谷向き)にしか曲がらないように規制されているものとする。
カバー100が非使用状態にあるときに、カバー100を使用することを望む操作者は、係止部101aを軽く押し下げることにより第2操作フレーム105(前方フレーム106)を基部101から外して回動可能な状態とする。次に、操作者は、最上方位置に配置されている第1操作フレーム104と、回動可能となった第2操作フレーム105とを保持しつつ、同時に下方向(図2において左回転方向)に回動させる(この操作を以下の説明では、「第2開操作」と称する。)。すなわち、第2開操作は、第1操作フレーム104を下方向に回動させる操作を伴う操作に相当するため、すでに説明した第1開操作を含む操作となる。
第2開操作において第1開操作が同時に進行している間は、第1操作フレーム104と第2操作フレーム105とが連動しつつ回動する。このとき、第1操作フレーム104に固定されている端部102cと、第2操作フレーム105に固定されている端部102dとの相対位置はあまり変化しない。したがって、第2開操作において第1開操作が同時に進行している間は、シート部材102aが広げられるものの、シート部材102bの形状はあまり遷移しない(側方において多少広がる程度。)。すなわち、この期間では、シート部材102における形状の遷移は、主に、シート部材102aにおいて生じることになる。ただし、シート部材102bも位置は変化する。
第2開操作を継続し、第1操作フレーム104が最下方位置に到達すると、シート部材102aが全開形状に達する。これにより、第2開操作における第1開操作の同時進行は終了する。
第1開操作の同時進行が終了したとき、第1操作フレーム104と第2操作フレーム105とを固定(例えば、紐やゴム、フック、面ファスナー等を用いることができる。)すれば、カバー100は、シート部材102aのみが全開形状となり、日除けとして使用することができる状態となる。なお、カバー100を日除けとしてのみ使用する場合には、第2操作フレーム105を係止部101aに固定したままで、第1操作フレーム104に対する第1開操作のみを行ってもよい。
第2開操作における第1開操作の同時進行が終了した後に、さらに第2開操作を継続する場合には、操作者は、第1操作フレーム104を放し、第2操作フレーム105のみを保持し続ける。そして、保持し続けている第2操作フレーム105をさらに下方向に回動させることにより、第2開操作を継続する。これ以後の第2開操作では、第1操作フレーム104は回動せず、最下方位置に静止したままとなる。
第2開操作の継続によって第2操作フレーム105はさらに下方に移動し、シート部材102bの端部102dも下方に移動する。しかし、第1操作フレーム104は静止しているため、シート部材102bの端部102cは移動しない。したがって、操作者は、第2開操作を継続することによって、シート部材102bを広げることができる。
このとき、第2操作フレーム105の屈曲部105aを伸ばしたまま第2操作フレーム105を操作(例えば、前方フレーム106を前方に軽く引きながら操作)すれば、第2操作フレーム105が下方に移動したときに、前方フレーム106はサドル12よりも前方に配置される。これにより、シート部材102は最も前方に張り出した形状(以下、シート部材102bの「前方突出開形状」と称する。)となる。
図1は、防護状態のカバー100を示しているが、このときのシート部材102aは全開形状、シート部材102bは前方突出開形状となっており、先述のように、シート部材102(主にシート部材102b)はサドル12を覆う状態(第3状態)となっている。
一方、カバー100(シート部材102や前方フレーム106)がサドル12と干渉する前に、操作者が第2操作フレーム105の屈曲部105aを曲げる操作をすれば、屈曲部105aを伸ばしたままの状態のときに比べて、前方フレーム106の位置を後方にずらすことができる。屈曲部105aを曲げた状態で、第2操作フレーム105を下方向に回動させると、前方フレーム106(シート部材102b)とサドル12との干渉を回避することができる。したがって、シート部材102bを、例えば、防護状態のときに比べてさらに下方に移動させることができる。
サドル12との干渉を回避しつつ第2開操作を継続すると、シート部材102bがさらに下方に引き出され、シート部材102bは、最終的に、図2に実線で示すように、シート部材102bが下方に最大に広げられた形状(以下、シート部材102bの「下方開形状」と称する。)となる。シート部材102bが「下方開形状」のときの第2操作フレーム105の位置を第2操作フレーム105の「最下方位置」と称する。
図2における実線は、使用状態のカバー100を示しているが、このときのシート部材102aは全開形状、シート部材102bは下方開形状となっており、図2に示すように、シート部材102bの端部102dがフットレスト17の下端部付近にまで到達している。したがって、カバー100の使用状態では、シート部材102aは同乗者の頭部を覆う状態となっており、シート部材102bはフットレスト17に載置された状態の同乗者の下肢を覆う状態となっている。また、シート部材102aとシート部材102bは連続している。
すなわち、使用状態のカバー100において、シート部材102は、同乗者の頭部から少なくとも下肢までを覆う状態(第1状態)に遷移している。なお、カバー100は、使用状態においても、底面は開口しているが、底面方向から上向きに降雨が浸入することは稀であり、カバー100は雨避けとしての機能を充分に発揮する。
一方、カバー100を非使用状態に遷移させるときは、操作者が第2操作フレーム105(前方フレーム106)を手に持って、上方向(図2において右回転方向)に引き上げる操作(以下、「第2閉操作」と称する。)を行う。これによって、シート部材102bが折り畳まれる。第2閉操作を実行するとき、第2操作フレーム105が第1操作フレーム104の位置に到達した後は、第1操作フレーム104および第2操作フレーム105を同時に保持しながら操作するものとする。すなわち、第2閉操作は第1閉操作を伴う操作とする。
第2閉操作を継続しつつ、操作者が前方フレーム106を係止部101aに嵌め込めば、カバー100は非使用状態となり、第2閉操作は完了する。第2閉操作を完了することにより、前方フレーム106が係止部101aに嵌め込まれているときの第2操作フレーム105の位置を、第2操作フレーム105の「最上方位置」と称する。第1操作フレーム104および第2操作フレーム105が、それぞれの最上方位置にあるとき、基部101の板状部分の近傍において、両者がほぼ重なった状態となる。すなわち、シート部材102bはほぼ完全に折り畳まれた形状(以下、シート部材102bの「全閉形状」と称する。)となる。なお、第2閉操作を完了させることにより、第1操作フレーム104(および補助フレーム103)を基部101に近接する位置にまで回動させると、第1閉操作も完了し、先述のように、シート部材102aは「全閉形状」に遷移する。
このように、カバー100の非使用状態において、シート部材102aおよびシート部材102bは、いずれも全閉形状となり、基部101に沿うように折り畳まれる。すなわち、シート部材102(シート部材102aおよびシート部材102b)は、ヘッドレスト13および側板14の後方に配置される。したがって、カバー100の非使用状態におけるシート部材102の状態は、チャイルドシート11に着座した人(同乗者)を覆うことのないように開放する状態(第2状態)に遷移する。このとき、カバー100は、同乗者の乗降時に邪魔になることもない。
なお、すでに説明したように、晴天時等において日除けとしてのみ使用したいときは、第2操作フレーム105を非使用状態のときと同じ配置としつつ(前方フレーム106を係止部101aに嵌め込んだままとしつつ)、第1操作フレーム104(補助フレーム103)を引き出して、シート部材102aを全開形状とすればよい。
また、シート部材102bのサイズにもよるが、カバー100を日除けとしてのみを使用する場合において、シート部材102bの一部が第1操作フレーム104よりも下方に垂れ下がった状態となる場合がある。この場合は、シート部材102bの垂れ下がった部分を上方(外側または内側のいずれでもよい。)にめくりあげるようにして、所定の位置に設けたベルトや面ファスナー等で係止部101aや第1操作フレーム104などに止めればよい。
あるいは、補助フレーム103に相当する骨材をシート部材102bにおいても必要数だけ設け、これらを軸Oを中心軸として回動する構造とし、非使用状態において、基部101の近傍に配置されるようにしてもよい。このような骨材を設けることによって、シート部材102aを引き出したときに、折り畳まれたシート部材102bが必要以上に引き出されないようにすることができる。
以上のように、第1の実施の形態における自転車システム1は、自転車10、チャイルドシート11およびカバー100を備える。カバー100は、自転車10の後部座席を形成するチャイルドシート11に着座した人(同乗者)を覆うカバーであって、同乗者の頭部から少なくとも下肢までを覆う第1状態と、同乗者を覆うことのないように開放する第2状態との間で状態が遷移するシート部材102と、シート部材102が第1状態と第2状態との間で遷移するとき、チャイルドシート11に対してシート部材102を保持しつづける基部101とを備える。これにより、使用しないときに取り外さなくても開放感を得ることができるとともに、同乗者の乗り降りも容易である。
また、カバー100は、同乗者の住空間を形成するようにシート部材102(シート部材102a,102b)を支持する補助フレーム103、第1操作フレーム104および第2操作フレーム105をさらに備える。これにより、住空間の形状を安定させることができる。
また、カバー100は、第2操作フレーム105が前方フレーム106と後方フレーム107とを備え、前方フレーム106と後方フレーム107とが回動する状態で接続されている。このように、第2操作フレーム105の屈曲部105aが回動することによって、シート部材102が第1状態と第2状態との間で遷移するときに、第2操作フレーム105をコンパクトにすることができる。したがって、第2操作フレーム105の移動経路に干渉物(例えば、サドル12)がある場合でも、これを回避して移動させることができる。
また、カバー100において、シート部材102は、基部101に保持された状態のままで、自転車10の運転者用のサドル12を覆う第3状態に遷移する。これにより、駐輪中にシート部材102を防護状態に移動させておけば、サドル12を防水・防塵することができる。したがって、例えば、雨天に駐輪していてもサドル12が濡れないので、運転者は、乗車するときに、サドル12を拭く必要がない。
さらに、カバー100は、太陽光線を遮蔽するシート部材102aを備えているため、雨避け機能だけでなく、日除け機能も発揮することができる。すなわち、カバー100は、幌を備えないチャイルドシート11において日除けとしても適用することができる。
なお、上記実施の形態では、説明を簡単にするために、シート部材102bの全部が透明な素材で構成されているものとして説明した。しかし、例えば、シート部材102bの一部(視界を遮るおそれのある位置に配置される部分。)だけを透明な素材で構成し、同乗者の視線から外れる部分(視界を妨げない位置に配置される部分。例えば、端部102dの周辺部分。)についてはシート部材102aと同様に遮光性の高い素材で構成してもよい。すなわち、シート部材102bに、視覚的に「窓」として機能する部分が設けられていてもよい。このようにシート部材102bの一部に透明な部材で窓を設けることによっても、雨の進入を回避しつつ、シート部材102bに覆われた同乗者の視界を確保することができる。
シート部材102bの端部102dの周辺部分に遮光性の高い素材を用いると、この部分を日除けとして使用することも可能である。すでに、カバー100を日除けとしてのみ使用する場合は、第2操作フレーム105を係止部101aに固定したままで、第1操作フレーム104に対して第1開操作を行えばよいと説明した。しかし、例えば、第1操作フレーム104を最上方位置に固定したままで、第2操作フレーム105のみ下方に引き出すと、同乗者の頭部周辺は、シート部材102bの端部102dの周辺部分に覆われることになる。
また、シート部材102bの端部102dの周辺部分はカバー100を非使用状態に移動させたときに、シート部材102bの透明部分(窓部分)を覆うように配置される部分である(当該端部102dの周辺部分は非使用状態において「基本的に」最も外側に配置される。)。したがって、上記のように、同乗者の視界を遮るおそれのある部分にのみ透明素材を用いる一方で、端部102dの周辺部分に遮光性の高い素材を用いると、非使用状態のときに、シート部材102bの透明部分を遮光性の高い素材で遮光することができる。シート部材102bの透明部分は、他の部分に比べて太陽光に対して脆弱な素材を採用せざるを得ない場合があるが、そのような場合であっても、非使用状態において、当該部分を遮光することによってシート部材102bの劣化を抑制し保護することができる。
ところで、上記説明において、端部102dの周辺部分は非使用状態において「基本的に」最も外側に配置されると説明した。ここに言う「基本的に」とは、一方で、例外的に、端部102dの周辺部が最も外側に配置されない場合もあることを意味する。例えば、前方フレーム106を非使用状態に移動させるときに、前方フレーム106だけを手で保持して操作すると、シート部材102bの余剰部分が第1操作フレーム104の下方に垂れ下がった状態となる場合がある。このときの余剰部分は、使用状態においては、同乗者の視界を遮る蓋然性の高い位置に配置される部分であるから透明部分である。このような場合について、すでに、当該余剰部分を外側にたくし上げて非使用状態に配置することができる旨を説明した。このような例を検討すると、操作者の操作方法によっては、最後にたくし上げた部分(透明部分)が、「例外的に」非使用状態において最も外側に配置されることになる。
上記余剰部分を外側にたくし上げることなく収納するためには、例えば、2つの方法が考えられる。
1つ目は、当該余剰部分を、外側ではなく、シート部材102aの内側に巻き込むように操作する(たくしあげる)ことである。この場合、遮光性を有するシート部材102aが外側に配置されることになる。すなわち、操作者にシート部材102bの操作方法を周知し、シート部材102aの内側に当該余剰部分を止めるための面ファスナー等を設けておくとよい。
2つ目は、当該余剰部分を、端部102dの周辺部分と、シート部材102aとの間に引き込む機構を設けることである。例えば、当該余剰部分となる部分の外面の所定の位置(垂れ下がったときに最も下方となる位置が好ましい。)に、紐の一端を固定するとともに、シート部材102aの外面に沿って上方に向けて延伸配置し、当該紐の他端を係止部101aの周辺に固定する構造が想定される。当該紐は、余剰部分を外側にたくしあげたときに、シート部材102aとシート部材102bとの間に配置されることになる。操作者は、前方フレーム106を係止部101aに固定した後に、当該紐の他端側(係止部101a側)を引っ張ることによって、容易に、シート部材102bの余剰部分をシート部材102aと端部102dの周辺部分との間に引き込むことができる。
ただし、このような手法に限定されるものではない。例えば、シート部材102bの端部102cと端部102dとの間に補助フレーム103に相当するフレームを設けて、これらのフレームを第2操作フレーム105とともに適宜上方に上げることによって、上記余剰部分が生じないように構成してもよい。
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態におけるカバー100は、日除けとしてのシート部材102aを備えている。一方で、チャイルドシートとしては、日除け(幌)を備えた製品も存在するため、そのような製品にカバー100を取り付けることは困難である。しかし、本発明におけるカバーは、日除けを備えていなくてもよい。
図4は、第2の実施の形態における自転車システム2を示す図である。自転車システム2は、チャイルドシート11の代わりにチャイルドシート21を備える点と、カバー100の代わりにカバー200を備える点が第1の実施の形態における自転車システム1と異なっている。以下の説明では、第2の実施の形態における自転車システム2について、第1の実施の形態における自転車システム1と同様の構成には適宜同符号を付し、説明を省略する場合がある。
チャイルドシート21は、背板15の代わりに背板25を備える点と、幌28を備える点とが、チャイルドシート11と異なっている。すなわち、チャイルドシート21は、日除けを備えた製品として構成されている。
背板25は、ヘッドレスト13よりも上方に延びる部分を有している点が背板15と異なっている。このように、幌28を有するチャイルドシート21では、ヘッドレスト13よりも高い位置(幌28を畳んだときの位置)まで背板25が届くように構成されている。そして、背板25には、幌28が取り付けられている。
詳細は図示しないが、幌28は、シート部材102a、補助フレーム103および第1操作フレーム104に相当する構成を備えている。ただし、第2の実施の形態における第1操作フレーム104には、シート部材102bに相当する部材が取り付けられることはない。また、幌28は、基部101に取り付けられるのではなく、背板25に取り付けられている点がカバー100と異なっている。
以上の構成により、すでに説明したように、第2の実施の形態におけるチャイルドシート21は、第1の実施の形態におけるチャイルドシート11と異なり、一般的な幌付きのチャイルドシートを構成している。
図5は、第2の実施の形態におけるカバー200を示す図である。カバー200は、全体として雨避け部を構成している点がカバー100と異なっている。カバー200は、シート部材102の代わりにシート部材202を備えている。
シート部材102bの端部102cは、第1操作フレーム104に取り付けられていた。しかし、第2の実施の形態におけるシート部材202の端部202cは、幌28(第1操作フレーム104に相当する部材)ではなく、幌28の上方において、基部101に取り付けられている。一方で、シート部材202の端部202dは、シート部材102bの端部102dと同様に、第2操作フレーム105に取り付けられている。このような構造により、カバー200(シート部材202)は、幌28と連動することなく、独立して状態が遷移する。
図5では、カバー200の防護状態を示しているが、第2操作フレーム105(前方フレーム106)を第1の実施の形態と同様に操作することによって、カバー200は、「使用状態」および「非使用状態」にも配置可能である。
したがって、第2の実施の形態におけるカバー200においても、第1の実施の形態におけるカバー100と同様の効果を得ることができる。また、カバー200は、幌28を備えるチャイルドシート21に適用可能である。
なお、自転車システム2においてカバー200を使用する場合、幌28を開いた状態に配置せずに閉じた状態とすることも構造上は可能である。しかし、その場合には、同乗者の頭部周辺においてシート部材202を支持する骨材が存在しない状態となり、シート部材202と同乗者とが干渉することも想定される。これを回避するためには、カバー200においても、補助フレーム103に相当する骨材を適所に設けてもよい。
また、カバー200において、シート部材202の代わりに、シート部材102bを用いることもできる。この場合、シート部材102bの端部102cの外縁部に面ファスナーのフック側を設ける一方で、幌28の最下方のフレーム(第1操作フレーム104に相当するフレーム)の内側に面ファスナーのパイル側を両面テープ等で固定する。そして、当該面ファスナーのフック側とパイル側とを互いに貼り合わせることにより端部102cを当該フレームの内側に固定する構造でもよい。すなわち、幌28(チャイルドシート21)の内側に、シート部材102bの端部102cを貼り付けるように構成してもよい。このような構成によっても、幌を備えたチャイルドシートをチャイルドシート21として採用して、本発明に係るカバー200を適用することができる。
<3. 第3の実施の形態>
上記実施の形態では、第2操作フレーム105(骨材)が屈曲部105aを形成しており、前方フレーム106が後方フレーム107に対して回動する例を説明した。これによって、例えば、非使用状態から使用状態に遷移するときに、前方フレーム106やシート部材102b,202がサドル12等に干渉することを回避することができる。しかし、自転車10やチャイルドシート11,21等の部材が、骨材と干渉するような位置に配置されていない場合には、このような屈曲部を設けなくてもよい。
図6は、第3の実施の形態における自転車システム3を示す図である。なお、図6は、カバー300の使用状態を示している。また、図6では、係止部101aに相当する構成を省略している。
自転車システム3は、カバー100の代わりにカバー300を備える点が第1の実施の形態における自転車システム1と異なっている。以下の説明では、第3の実施の形態における自転車システム3について、第1の実施の形態における自転車システム1と同様の構成には適宜同符号を付し、説明を省略する場合がある。
図7は、第3の実施の形態におけるカバー300をチャイルドシート11とともに示す図である。
カバー300は、基部301、シート部材302、補助フレーム303、第1操作フレーム304、第2操作フレーム305、3つの補助フレーム309および案内機構310を備えている。
本実施の形態における基部301は、第1の実施の形態における基部101と同様に、背板15と略平行に配置される板状の部材である。基部301は、カバー300の各構成を規定して保持する基部(保持部)として機能するとともに、カバー300をチャイルドシート11の背板15に取り付ける取付部としても機能する。基部301は、基部101と同様に、図示しないボルトによって背板15(チャイルドシート11)に固定されているものとする。
第3の実施の形態における基部301には、図7に示すように、係止部101a、上方固定部301aおよび下方固定部301bが固定されている。上方固定部301aおよび下方固定部301bの機能については後述する。なお、基部301は、保持部材101b,101cを備えていない点が基部101と異なっている。
シート部材302は、シート部材102と同様に、薄い面状(布状)の部材であって、折り畳んだり、広げたりすることができる素材で構成されている。シート部材302は、変形自在であるため、形状が様々に遷移する。第3の実施の形態におけるシート部材302は、シート部材302aおよびシート部材302bから構成されている。
シート部材302のうちのシート部材302aの部分は、光を透過しない素材で構成されている。したがって、シート部材302aによって同乗者の頭部を覆うことにより、太陽光等を遮蔽することができる。すなわち、カバー300は日除け(サンシェード)としても機能する。
なお、第3の実施の形態におけるシート部材302aも、シート部材102aと同様に、例えば雨天時には、雨避け(レインカバー)の一部としても利用される。したがって、シート部材302aは遮光性のみならず、撥水性も有する素材が好ましい。このような素材としては、従来より様々な素材が提案されており、シート部材302aの素材としては、それらのうちから適宜選択することができる。
シート部材302aの端部は基部301に対して固定されているため、当該端部の位置は固定され、変化することはない。すなわち、シート部材302aの当該端部は固定端部となっている。一方で、シート部材302aの他端部は第1操作フレーム304に固定されている。詳細は後述するが、第1操作フレーム304は回動することによって位置が変化する。したがって、シート部材302aの他端部は自由端部となっている。
第3の実施の形態における補助フレーム303は、第1の実施の形態における補助フレーム103に相当する部材である。補助フレーム303は、シート部材302aの中間部に取り付けられている。また、補助フレーム303は、軸Rを中心軸として基部301に対して回動する。
補助フレーム303が図7に示す位置に配置されることによって、シート部材302aは、下方より支持され、弛みにくくなる(下向きに凹むことがない。)。したがって、シート部材302aが広げられたときにおいて、同乗者(詳細には同乗者の頭部)の住空間が適切に形成される。このように、補助フレーム303は、同乗者の住空間を形成するようにシート部材302aを支持する。なお、補助フレーム303の個数は、1つに限定されるものではない。
第1操作フレーム304は、第1の実施の形態における第1操作フレーム104に相当する部材である。第1操作フレーム304は、略U字形状の骨材である。第1操作フレーム304の上側には、第1操作フレーム304に沿うようにシート部材302aの自由端部が取り付けられている。第1操作フレーム304は、図7に示す軸Rを中心軸として基部301に対して回動可能に取り付けられている。
このように、カバー300は、カバー100と類似の日除け部分に相当する構成(シート部材302a、補助フレーム303および第1操作フレーム304)を備えている。これらについての詳細な説明は省略するが、カバー300における日除け部分(第1操作フレーム304等)は、カバー100の場合に比べて前方に張り出した大型の形状を有している点が異なっている。
第1操作フレーム304を下方向(図7において左回転方向)に回動させると、シート部材302aの自由端部側が下方に引き出される。このように、カバー300においても、第1操作フレーム304を操作することにより第1開操作を行い、第1操作フレーム304を最下方位置に配置して、シート部材302aを全開形状に遷移させることができる。したがって、第1操作フレーム304を最下方位置に配置することにより、シート部材302aは、同乗者の頭部を覆う状態に遷移する。
逆に、第1操作フレーム304を上方(図7において右回転方向)に回動させると、第1操作フレーム304の動きに追随してシート部材302a(自由端部)がめくれ上がり、折り畳まれる。このように、カバー300においても、第1操作フレーム304を操作することにより第1閉操作を行い、第1操作フレーム304を最上方位置に配置して、シート部材302aを全閉形状に遷移させることができる。したがって、第1操作フレーム304を最上方位置に配置することにより、シート部材302aは、同乗者の頭部を覆わないように開放する状態に遷移する。
図7に示すシート部材302bは、第1の実施の形態におけるシート部材102bと同様に、主にレインカバーとして機能する部分であり、撥水性の高く、透明な素材で構成されており、光を透過させる性質を有している。
シート部材302bは、端部302cおよび端部302dを有している。端部302cは、第1操作フレーム304に沿って取り付けられている。したがって、端部302cは、第1操作フレーム304の位置に応じて位置が変化する。
また、端部302dは、第2操作フレーム305に沿って取り付けられている。したがって、端部302dは、第2操作フレーム305の位置に応じて位置が変化する。さらに、シート部材302bの形状は、主に、第1操作フレーム304と第2操作フレーム305との相対位置によって変化する。
第2操作フレーム305は、図7に示すように、第1の実施の形態における第2操作フレーム105の屈曲部105aに相当する構造は備えていない。したがって、カバー300において、第2操作フレーム305の形状は変化しない。
図8は、第3の実施の形態における第2操作フレーム305を示す図である。なお、図8は、カバー300が使用状態に配置されたときの第2操作フレーム305を、上方から下方に向けて見たときの図である。また、図8は、フットレスト17の概略位置を二点鎖線で示している。
第2操作フレーム305は、左右方向に延びる横軸部305aと、前後方向に延びる左側方部305bおよび右側方部305cとを備える骨材である。
横軸部305aは、図8における後方において、左側方部305bと右側方部305cとを連結している。左側方部305bと右側方部305cとの左右方向の間隔は、横軸部305aの長手方向の長さによって規定され、図8に示すように、当該間隔は、フットレスト17の左右方向の配置幅よりも広くなるように設計されている。これにより、カバー300の使用状態において、第2操作フレーム305が左右のフットレスト17に干渉することがないようにされている。
横軸部305aが、左側方部305bおよび右側方部305cと連結する部分には、それぞれリング部305d,305eが形成されている。
リング部305d,305eには、いずれも貫通孔が形成されており、案内機構310の案内部313が挿入される。リング部305dには左の案内部313が挿入され、リング部305eには右の案内部313が挿入される。また、リング部305d,305eは、各案内部313に対して固定されておらず、摺動することが可能であるが、詳細は後述する。
左側方部305bは、リング部305dによって横軸部305aと連結されている。左側方部305bは、前後方向に延びる骨材部分である。左側方部305bは、図8における前方において、角部を形成しており、その一部が右方向に折れ曲がった形状を有している。
右側方部305cは、リング部305eによって横軸部305aと連結されている。右側方部305cは、前後方向に延びる骨材部分である。右側方部305cは、図8における前方において、角部を形成しており、その一部が左方向に折れ曲がった形状を有している。
図8における前方において、左側方部305bと右側方部305cとは連結されておらず、第2操作フレーム305における欠損部を生じている。これにより、第2操作フレーム305は、略C字の形状を形成している。
カバー300の使用状態において、第2操作フレーム305は、図6に示すように、自転車10の一部分(後輪および後輪用泥よけ)よりも下方に配置される。すなわち、当該欠損部は、第2操作フレーム305が最下方位置に配置されるときに、第2操作フレーム305が自転車10と干渉しないようにするために設けられている。
なお、カバー300では、シート部材302bの端部302dは、左側方部305bおよび右側方部305cに取り付けられる。したがって、当該欠損部にもシート部材302bが配置される。しかし、この欠損部の位置において、シート部材302bには、上下方向に切れ目(図示せず)が入れられており、自転車10とシート部材302bとが干渉しないようにされている。
図9は、第3の実施の形態における補助フレーム309を示す図である。なお、図9は、カバー300が使用状態に配置されたときの補助フレーム309を、上方から下方に向けて見たときの図である。また、図9は、フットレスト17の概略位置を二点鎖線で示している。
補助フレーム309は、左右方向に延びる横軸部309aと、前後方向に延びる左側方部309bおよび右側方部309cとを備えており、これらの構成によって略コの字状を形成する骨材である。
横軸部309aは、図9における前方において、左側方部309bと右側方部309cとを連結している。左側方部309bと右側方部309cとの左右方向の間隔は、横軸部309aの長手方向の長さによって規定され、図9に示すように、当該間隔は、フットレスト17の左右方向の配置幅よりも広くなるように設計されている。これにより、カバー300の使用状態において、補助フレーム309が左右のフットレスト17に干渉することがないようにされている。
左側方部309bの後方部分(横軸部309aと固設されていない方の端部)にはリング部309dが設けられている。同様に、右側方部309cの後方部分にはリング部309eが形成されている。
リング部309d,309eには、いずれも貫通孔が形成されており、案内機構310の案内部313が挿入される。リング部309dには左の案内部313が挿入され、リング部309eには右の案内部313が挿入される。また、リング部309d,309eは、各案内部313に対して固定されておらず、摺動することが可能であるが、詳細は後述する。
補助フレーム309の横軸部309a、左側方部309bおよび右側方部309cには、後述するシート部材302bが固定される。一方、リング部309dとリング部309eとの間にはシート部材302bは配置されない。
図7に戻って、本実施の形態における案内機構310は、丸棒部材を所定の形状に配置した構造の部材である。案内機構310の各部位は、上方横軸部311、下方横軸部312および2つの案内部313を形成している。詳細は後述するが、これらの各部位は、後方から前方に向けて見たときに、四方を取り囲む矩形(略ロの字形状)の囲いのように配置されている。
上方横軸部311および下方横軸部312は、案内機構310において、いずれも左右方向に沿って延びる部分である。上方横軸部311には上方固定部301aが固定されており、下方横軸部312には下方固定部301bが固定されている。このような構造により、案内機構310は、上方固定部301aおよび下方固定部301bによって基部301に固定され保持されている。
また、上方横軸部311および下方横軸部312の両端部には、いずれも案内部313が配置されている。すなわち、図7において明示されていないが、案内部313は、左右に一つずつ配置されている。
案内部313の本体部は、上下方向に延びる丸棒状の部材を形成している。また、図7に示すように、案内部313の上部には、後方に向けて湾曲する湾曲部313aが形成されている。また、案内部313は丸棒状の部材であるため、断面(延伸方向に直交する面における断面)は円である。さらに、案内部313の太さはほぼ均一に形成されており、当該円のサイズは案内部313の部位にかかわらずほぼ一定となっている。
先述のように、案内部313は、第2操作フレーム305のリング部305d,305e、および、補助フレーム309のリング部309d,309eに通されている。より詳細には、図7に示す左の案内部313はリング部305d,309dを貫通しており、図示しない右の案内部313はリング部305e,309eを貫通している。そして、リング部305d,305e,309d,309eは、いずれも案内部313に対して固定されていない。したがって、リング部305d,305e,309d,309eは、いずれも案内部313の延びる方向に摺動する。
左右の案内部313の本体部は上下方向に延びるように配置されているため、リング部305d,305e,309d,309eが当該本体部を摺動するとき、第2操作フレーム305および補助フレーム309は上下方向に移動する。また、左右の案内部313の湾曲部313aは後方に向けて湾曲するように配置されているため、リング部305d,305e,309d,309eが当該湾曲部313aを摺動するとき、第2操作フレーム305および補助フレーム309は回動する。
図10は、第3の実施の形態における第2操作フレーム305を補助フレーム309とともに上方に回動させた状態を示す図である。なお、図10は、係止部101aおよび上方固定部301aの図示を省略している。また、図10は、第2操作フレーム305を係止部101aに嵌め込んだときの位置(最上方位置)を示しているわけでない。より詳細には、図10は、第1操作フレーム304および第2操作フレーム305を少し下方向(図10において左回転方向)に回動させることにより、シート部材302aおよびシート部材302bを少し広げた状態を示している。
図7に示す位置から第2操作フレーム305および補助フレーム309を上方向に移動させて、リング部305d,305e,309d,309eを案内部313の湾曲部313aに配置すると、第2操作フレーム305および補助フレーム309は回動して、図10に示すような姿勢となる。すなわち、左側方部305b,309bおよび右側方部305c,309cが上下方向に延びる姿勢となる。
第2操作フレーム305を、図10に示す位置からさらに後方に移動させて、係止部101aによって基部301に固定すると、第2操作フレーム305は、最上方位置に配置された状態(カバー300の非使用状態のときの配置状態)となる。このときに、第1操作フレーム304も最上方位置に配置されていれば、第2操作フレーム305は当該第1操作フレーム304に沿う状態となる。
第1操作フレーム304と第2操作フレーム305とが互いに沿うように配置されるとき、第1操作フレーム304と第2操作フレーム305との相対位置は最小となり、シート部材302bは最も小さく折り畳まれて全閉形状となる。また、第1操作フレーム304が最上方位置に配置されているとき、シート部材302aは基部301と第1操作フレーム304との間で折り畳まれて全閉形状となる。
したがって、第1操作フレーム304および第2操作フレーム305を最上方位置に配置すると、シート部材302a,302bがいずれも全閉形状となり、シート部材302は最も折り畳まれた状態に遷移する。このときのシート部材302の状態は、同乗者を覆うことのないように開放する状態(第2状態)である。このように、第3の実施の形態におけるカバー300においても、第1操作フレーム304および第2操作フレーム305を最上方位置に配置した状態が非使用状態である。
非使用状態のカバー300を使用状態に遷移させるとき、操作者は、第1操作フレーム304および第2操作フレーム305を下方向(図10において左回転方向)に回動させる。この操作は、カバー300に対する「第2開操作」である。第3の実施の形態においても第2開操作は、第1操作フレーム304に対する第1開操作を伴っている。すなわち、第3の実施の形態においても、第2開操作を開始すると、第1開操作が同時に進行する。
このとき、第1操作フレーム304(補助フレーム303)は、軸Rを中心軸として回動する。したがって、シート部材302aが徐々に引き出され、全閉形状から全開形状へと遷移していく。
一方で、第2操作フレーム305は、リング部305d,305eが案内機構310の湾曲部313aに沿って摺動することによって回動する。すなわち、第2操作フレーム305は、案内機構310に案内されることによって回動する。しかし、第1操作フレーム304も同時に回動しているため、第1操作フレーム304と第2操作フレーム305との相対位置はあまり変化せず、シート部材302bの形状はあまり変化しない。
第2開操作が継続されて、第1操作フレーム304が最下方位置に配置されると、シート部材302aは全開形状に遷移し、第1操作フレーム304は、これ以上、下方に回動しない状態となる。
最下方位置に配置されている第1操作フレーム304に、第2操作フレーム305を、例えば、束ねるように取り付ける(例えば、紐やゴム、フック、面ファスナー等による固定で実現できる。)と、カバー300は、遮光性の高いシート部材302aのみが全開形状となるため、日除けとして利用することができる。
第2開操作によって第1操作フレーム304が最下方位置に配置されると、操作者は第1操作フレーム304を放した状態で、第2操作フレーム305を下方向に移動させることにより、第2開操作を継続することができる。
先述のように、第2操作フレーム305は、案内部313を摺動しながら移動することから、第2操作フレーム305の移動方向は、案内部313の延びる方向(下方向)として規定される。したがって、第2開操作において、第2操作フレーム305を下方向に移動させるときにも、操作者は、移動させる方向等を特に意識しなくても、適切に(例えば、他の部材に干渉させることなく)、第2操作フレーム305を移動させることができる。したがって、カバー300の状態を遷移させるときの操作者の負担が軽減される。
第1操作フレーム304が最下方位置に静止している状態で、第2操作フレーム305を下方向に移動させると、第1操作フレーム304と第2操作フレーム305との相対位置が大きくなり、折り畳まれたシート部材302bが引き出され、広げられる。このようにして、シート部材302bが全て引き出されて全開形状に達すると、第2操作フレーム305は、これ以上、下方向に移動できない状態となる。このときの第2操作フレーム305の位置が、第2操作フレーム305の最下方位置(図6および図7に示す位置)である。
例えば、図7を見れば明らかなように、最下方位置の第2操作フレーム305は、フットレスト17の位置まで下がっている。すなわち、第2操作フレーム305に取り付けられているシート部材302bの端部302dも、フットレスト17の位置まで下がっている。これにより、使用状態のカバー300において、シート部材302は、同乗者の頭部から少なくとも下肢までを覆う状態(第1状態)となる。
逆に、使用状態のカバー300を非使用状態に遷移させるときには、操作者は、最下方位置の第2操作フレーム305を保持して、上方向に移動させる操作(第2閉操作)を開始する。第2閉操作の開始されると、第2操作フレーム305に取り付けられたシート部材302bの端部302dがめくれ上がり、シート部材302bが折り畳まれていく。
第2閉操作において、第2操作フレーム305を上方向に移動させるときにも、第2操作フレーム305は案内機構310によって案内されるため、操作者は、移動させる方向等を特に意識しなくても、適切に(例えば、他の部材に干渉させることなく)、第2操作フレーム305を移動させることができる。したがって、カバー300の状態を遷移させるときの操作者の負担が軽減される。
第2閉操作において、第2操作フレーム305を上方向に移動させているときに、第2操作フレーム305の位置が補助フレーム309の高さ位置となるたびに、当該補助フレーム309も第2操作フレーム305とともに束ねるように保持しつつ、上方向に移動させる。これにより、シート部材302bが蛇腹状に折り畳まれていく。そして、第2操作フレーム305を第1操作フレーム304の最下方位置まで移動させると、シート部材302bは全閉形状となる。
次に、操作者は、第1操作フレーム304を第2操作フレーム305(および補助フレーム309)とともに保持しつつ、上方向(図7において右回転方向)に回動させる。すなわち、第2閉操作とともに、第1操作フレーム304に対する第1閉操作を同時進行させる。これによって、全閉形状のシート部材302bが基部301に向けて移動するとともに、シート部材302aが折り畳まれていく。
第1操作フレーム304および第2操作フレーム305を基部301に近接させ、第1操作フレーム304および第2操作フレーム305を最上方位置に配置すると、シート部材302aは全閉形状に遷移し、シート部材302は第2状態に遷移する。すなわち、カバー100は、非使用状態に遷移し、第2閉操作は完了する。
以上のように、第1の実施の形態における第2操作フレーム105の屈曲部105aのような構造を備えていないカバー300においても、第1の実施の形態のカバー100と同様の効果を得ることができる。
また、カバー300がシート部材302の状態の遷移を案内する案内機構310をさらに備えることにより、操作者がカバー300の状態を遷移させるときの操作が安定し、負担を軽減することができる。
なお、本実施の形態における3つの補助フレーム309は、いずれも同一形状の部材として説明したが、これらは完全に同一でなくてもよい。また、補助フレーム309の数は、3つに限定されるものではない。シート部材302bの形状や性質(例えば、強度や重量など)、形成すべき住空間のサイズや位置等に応じて適宜決定すればよい。
また、カバー300において、最下方位置に配置された第1操作フレーム304と、第2操作フレーム305とが沿うように配置されているときに、第2操作フレーム305を放すと、第2操作フレーム305は操作者が特に操作しなくても重力の作用によって下方に落下する。このようにして落下するときの、第2操作フレーム305の姿勢および落下方向は、すでに説明したように案内機構310の案内部313によって規定される。したがって、案内機構310を備えていることにより、カバー300は、わざわざ操作者が操作しなくても、第2開操作を完了することができる。
<4. 第4の実施の形態>
第1ないし第3の実施の形態では、シート部材102,302は、日除けとして使用されつつレインカバーとしても兼用される部分(シート部材102a,302a)と、主にレインカバーとして使用される部分(シート部材102b,302b)とに分割されていた。しかし、本発明のシート部材の分割の態様は、機能の異なる部分に分割する例に限定されるものではない。
図11は、第4の実施の形態における自転車システム4を示す図である。なお、図11は、防護状態のカバー400を示している。
第4の実施の形態における自転車システム4は、カバー100の代わりに、カバー400を備えている点が第1の実施の形態における自転車システム1と異なっている。以下の説明では、第4の実施の形態における自転車システム4について、第1の実施の形態における自転車システム1と同様の構成には適宜同符号を付し、説明を省略する場合がある。
カバー400は、図11に示すように、シート部材102の代わりにシート部材402を備えており、さらに駆動機構421を備えている。
図12は、第4の実施の形態におけるカバー400を上方から下方に向けて見た図である。図12は、シート部材402aを破線で示している。また、図12は、使用状態のカバー400を示している。
カバー400は、基部101の代わりに基部401を備え、補助フレーム103および第1操作フレーム104の代わりに、補助フレーム403,404を備えている。また、第2操作フレーム105の代わりに、第2操作フレーム405を備えている。
基部401は、基部101と同様に、背板15の後方に配置される板状の部材であるが、上部に駆動機構421(ケース部422)が固設される点が基部101と異なっている。また、基部401は、基部101と異なり、係止部101aを備えていない。
シート部材402(図11)は、薄い面状(布状)の部材であって、折り畳んだり、広げたりすることができる素材で構成されている。シート部材402は、変形自在であるため、形状が様々に遷移する。また、シート部材402は、撥水性の高い素材で構成されている。
シート部材402は、使用状態において、住空間の天井部分と前面部分とを構成するシート部材402aと、左側方に配置されるシート部材402bと、右側方に配置されるシート部材402cとを備えている。すなわち、第4の実施の形態におけるシート部材402は、主に3つの部分に分割されている。
シート部材402aは、略矩形の平坦面形状である。シート部材402aは、中央部(同乗者の視界を遮る位置に配置される部分)が光透過性の高い透明な素材であり、前方部分および後方部分が遮光性の高い素材で構成されている。シート部材402aの先端部は、左右方向に直線状に延びる端部を形成しており、横軸部406cに沿って取り付けられる。一方、シート部材402aの後端部はケース部422内に取り付けられている(図示せず。)。
シート部材402b,402cは、遮光性の高い素材で構成されている。シート部材402b,402cは、広げられたときに、住空間を形成する側壁として略垂直面を構成する部材である。ただし、シート部材402b,402cの一部または全部を、適宜、透明な素材で構成してもよい。
シート部材402b,402cの一方端は、いずれも基部401に固定されている。シート部材402bの他方端は、前方フレーム406の左側方部406aおよび後方フレーム107の左側方部107aに沿って取り付けられている。また、シート部材402cの他方端は、前方フレーム406の左側方部406bおよび後方フレーム107の左側方部107bに沿って取り付けられている。
補助フレーム403は、湾曲した形状の補助フレーム103とは異なり、直棒状の骨材である。補助フレーム403は、補助フレーム103と同様に、軸Qを中心軸として回動可能な状態で基部401に取り付けられている。補助フレーム403の端部(軸Q側ではない端部、以下、「頭側端部」と称する。)には、貫通孔(図示せず。)が形成されており、当該貫通孔にはワイヤー430が通されている。なお、補助フレーム403の頭側端部はワイヤー430に対して固定されておらず、補助フレーム403の頭側端部はワイヤー430に沿って移動可能である。
図12に示すように、補助フレーム403は、左右にそれぞれ独立して設けられており、左右の補助フレーム403は互いに連結されていない。左側に配置される補助フレーム403は、シート部材402bの所定の位置に取り付けられている。また、右側に配置される補助フレーム403は、シート部材402cの所定の位置に取り付けられている。
補助フレーム404は、湾曲した形状の第1操作フレーム104とは異なり、直棒状の骨材である。補助フレーム404は、第1操作フレーム104と同様に、軸Qを中心軸として回動可能な状態で基部401に取り付けられている。補助フレーム404の端部(軸Q側ではない端部、以下、「頭側端部」と称する。)には、貫通孔(図示せず。)が形成されており、当該貫通孔にはワイヤー430が通されている。なお、補助フレーム404の頭側端部はワイヤー430に対して固定されておらず、補助フレーム404の頭側端部はワイヤー430に沿って移動可能である。
図12に示すように、補助フレーム404は、左右にそれぞれ独立して設けられており、左右の補助フレーム404は互いに連結されていない。左側に配置される補助フレーム404は、シート部材402bの所定の位置に取り付けられている。また、右側に配置される補助フレーム404は、シート部材402cの所定の位置に取り付けられている。
このような構成により、カバー400では、補助フレーム403,404が、シート部材402b,402cに対する扇の骨材に類似の機能を奏する。なお、補助フレーム403,404の数は、ここに示した数に限定されるものではない。
左右の補助フレーム403の間隔は、図12に示すように、シート部材402aの横幅よりも狭いサイズである。同様に、左右の補助フレーム404の間隔は、シート部材402aの横幅よりも狭いサイズである。したがって、シート部材402bはシート部材402aの左側端部よりも右側に配置され、シート部材402cはシート部材402aの右側端部よりも左側に配置される。
これにより、使用状態のシート部材402aは、シート部材402b,402cに対して、庇のごとく、上方において外側に張り出した状態で配置される。したがって、使用状態において、カバー400は、住空間に雨が進入することを防止することができる。
また、補助フレーム403,404は、使用状態のシート部材402aの裏面に下方から当接し、当該シート部材402aを下方から支持する機能を有している。
第4の実施の形態における第2操作フレーム405は、前方フレーム406と後方フレーム107とを備えている。すなわち、第2操作フレーム405は、前方フレーム106の代わりに、前方フレーム406を備える点が第2操作フレーム105と異なっている。
前方フレーム406は、左側方部406aと、右側方部406bと、横軸部406cとを備えている。
左側方部406aの端部は、後方フレーム107の左側方部107aと回動可能に接続されている。右側方部406bの端部は、後方フレーム107の右側方部107bと回動可能に接続されている。
このように、前方フレーム406(左側方部406aおよび右側方部406b)と後方フレーム107(左側方部107aおよび右側方部107b)との接続部分は、軸Pを中心軸として回動可能な構造となっている。以下、前方フレーム406と後方フレーム107との接続部分を、屈曲部405aと称する。屈曲部405aは、第1の実施の形態における屈曲部105aと同様の構造および機能を有している。
また、左側方部406aおよび右側方部406bの他端部は、横軸部406cによって貫通されている。左側方部406aおよび右側方部406bは、横軸部406cを中心軸として回動可能となっている。さらに、左側方部406aおよび右側方部406bの他端部には、左右のワイヤー430の端部が固定されている。
図11に示す駆動機構421は、円筒状のケース部422、シート部材402aおよび横軸部406cによって、いわゆる巻き取り式のロールスクリーンを構成している。なお、駆動機構421は、シート部材402aだけでなく、左右のワイヤー430をシート部材402aとともに巻き取るように構成されている。
駆動機構421を採用することによって、操作者は、横軸部406cを前方に引っ張ることによって、ケース部422内に収容されたシート部材402aを引き出すことが可能である。また、駆動機構421は、引き出されたシート部材402aを、任意の位置でロック(止める)することができる。さらに、ロックを外せば、駆動機構421は、ケース部422内のバネ(図示せず)によって、シート部材402aをケース部422の内部に巻き取って収納することができる。このような巻き取り式のロールスクリーンとしては、従来より様々な技術が提案されており、これらの技術を適宜採用可能であるため、以下では詳細な説明を省略する。
ケース部422は、長手方向が左右方向となるように基部401に固定されている。ケース部422には、長手方向に延びるスリットが形成されており、当該スリットからシート部材402a(ワイヤー430)が外部に引き出される構造である。
ケース部422の左右の幅は、カバー400の全幅となっており、比較的広い横幅を有するシート部材402aを左右方向に広げたままで収納可能である。
左右のワイヤー430は、糸状の部材であって、変形自在な素材で構成されている。ワイヤー430の素材としては、金属の他、樹脂や繊維などであってもよい。ワイヤー430は、引き出されたり、巻き取られたりする他、シート部材402aを支持する機能も有しているため、丈夫な素材が好ましい。ただし、駆動機構421によってシート部材402aとともに巻き取られるため、シート部材402aを過度に傷つけない素材が好ましい。
すでに説明したように、左側に配置されるワイヤー430の前端部は、左側方部406aの他端部側に固定されている。同様に、右側に配置されるワイヤー430の前端部は、右側方部406bの他端部側に固定されている。これにより、横軸部406cが操作され、シート部材402aがケース部422から引き出されるときには、当該横軸部406cにワイヤー430の前端部が固定されているために、左右のワイヤー430も当該横軸部406cの動きに連動してケース部422から引き出される。
図示しないが、ワイヤー430の後端部は、ケース部422の内部にシート部材402aと同様に固定されている。これにより、シート部材402aが駆動機構421によって巻き取られるときには、ワイヤー430も駆動機構421によってケース部422の内部に巻き取られる。
ワイヤー430は、先述のように、補助フレーム403,404の頭側端部に固定されることなく、当該頭側端部を貫通している。したがって、ワイヤー430が引き出されるときには、ワイヤー430が補助フレーム403,404に対して駆動力を作用させることはほぼない。なお、ワイヤー430が巻き取られるときについては後述する。
以上がカバー400の構成および機能の説明である。次に、カバー400が使用状態、非使用状態および防護状態に遷移するときの操作について説明する。
まず、図12に示す使用状態のカバー400を非使用状態に遷移させる操作について説明する。
使用状態のカバー400を非使用状態に遷移させるとき、操作者は、第2操作フレーム405(前方フレーム406の横軸部406c)を下方に移動させて、シート部材402aをわずかに引き出す操作を行う。すなわち、駆動機構421のロックを外す操作を行う。これによって駆動機構421のロックが外れたら、操作者は第2操作フレーム405を放す。その後は、シート部材402aおよびワイヤー430を巻き取ることにより、駆動機構421が、シート部材402を、シート部材402が同乗者の体を覆うことのない位置まで移動させる。これによって、カバー400は非使用状態に遷移する。
より詳細には、シート部材402のシート部材402aは駆動機構421に巻き取られて、その大部分がケース部422に収納される。このように、ケース部422に収納されたシート部材402aは同乗者の体を覆うことはない。すなわち、ケース部422に大部分が収納されたときのシート部材402aの形状が、シート部材402aの「全閉形状」である。
シート部材402のシート部材402b,402cについては、次の原理によって、同乗者の体を覆うことのない位置に移動する。
駆動機構421によるシート部材402aおよびワイヤー430に対する巻き取りが開始されると、第2操作フレーム405(横軸部406c)が上方(図11において右回転方向)への回動を開始する。これによって、シート部材402b,402cが上方に上がり、折り畳まれていく。
ここで、ワイヤー430の前端部が取り付けられた前方フレーム406(左側方部406aおよび右側方部406b)の端部は、ワイヤー430が巻き取られるときにおいて、補助フレーム403,404の頭側端部の貫通孔を通過することはない(当該貫通孔は充分に小さい。)。したがって、ワイヤー430が巻き取られるときには、前方フレーム406が補助フレーム404の位置まで回動してきたときに、補助フレーム404はワイヤー430によって前方フレーム406と連結された状態となる。これにより、以後、前方フレーム406がさらに上方に回動するとき、補助フレーム404は、前方フレーム406とともに一体的に上方に回動する。すなわち、ワイヤー430は、例えば、使用状態から非使用状態に遷移するときに、駆動機構421の駆動力を補助フレーム404に伝達する機能を有している。なお、補助フレーム403に対してもほぼ同様である。
このように、左側のワイヤー430が駆動機構421に巻き取られると、左側方部107a,406a、左側の補助フレーム404、左側の補助フレーム403が順次回動を開始することによって、シート部材402bが折り畳まれつつ、基部401側に移動する。同様に、右側のワイヤー430が駆動機構421に巻き取られると、右側方部107b,406b、右側の補助フレーム404、右側の補助フレーム403が順次回動を開始することによって、シート部材402cが折り畳まれつつ、基部401側に移動する。
ワイヤー430が最後の位置まで巻き取られると、補助フレーム403,404および第2操作フレーム405は最上方位置に配置される。最上方位置における補助フレーム403,404および第2操作フレーム405は、基部401と沿うように配置される。したがって、シート部材402b,402cは、ほぼ完全に折り畳まれ、基部401に沿う状態に配置される。この状態では、シート部材402b,402cは、同乗者の体を覆うことのない形状となっており、「全閉形状」に遷移している。
このように、カバー400では、駆動機構421のロックを外す操作を行うだけで、使用状態から非使用状態に遷移させることができる。
なお、駆動機構421の駆動力が足りない場合は、操作者は、横軸部406cを手に持ったまま、駆動機構421の近傍まで横軸部406cを手動で移動させてもよい。すなわち、駆動機構421にシート部材402aおよびワイヤー430の弛みを巻き取らせるだけでもよい。これによっても操作者の負担は軽減される。
次に、非使用状態から防護状態または使用状態に遷移させる操作について説明する。
まず、操作者は、第2操作フレーム405(横軸部406c)を手に持って必要な量のシート部材402aをケース部422から引き出す操作を行う。
これにより、ワイヤー430もシート部材402aとともに引き出される。また、横軸部406cに接続されている左側方部406aおよび右側方部406bも下方へ移動し、左側方部406aおよび右側方部406bに接続されている後方フレーム107が下方(図11において左回転方向)に回動する。
先述のように、左側方部107a,406aにはシート部材402bが取り付けられており、右側方部107b,406bにはシート部材402cが取り付けられている。したがって、操作者がシート部材402aを引き出すために横軸部406cを下方に移動させることによって、シート部材402b,402cも下方に広げられる。
操作者が防護状態または使用状態に必要な量のシート部材402aを引き出せば、広げられたシート部材402b,402cに引っ張られて、補助フレーム403,404も下方に向けて回動する。なお、必要量のシート部材402aを引き出したら、操作者はシート部材402aの引き出しを停止し、駆動機構421をロックする。
駆動機構421がロックした状態で、操作者が屈曲部405aを伸ばして、横軸部406cをサドル12の前方にまで移動させると、カバー400は図11に示す防護状態に遷移する。
一方で、操作者が屈曲部405aを屈曲させてサドル12との干渉を回避しつつ、横軸部406cを下方に移動させると、カバー400は図12に示す使用状態に遷移する。
以上のように、第4の実施の形態における自転車システム4は、自転車10、チャイルドシート11およびカバー400を備える。カバー400は、自転車10の後部座席を形成するチャイルドシート11に着座した人(同乗者)を覆うカバーであって、同乗者の頭部から少なくとも下肢までを覆う第1状態と、同乗者を覆うことのないように開放する第2状態との間で状態が遷移するシート部材402と、シート部材402が第1状態と第2状態との間で遷移するとき、チャイルドシート11に対してシート部材402を保持しつづける基部401とを備える。これにより、他の実施の形態と同様に、使用しないときに取り外さなくても開放感を得ることができるとともに、同乗者の乗り降りも容易である。
また、シート部材402が第1状態から第2状態へと遷移するのを支援する駆動機構421をさらに備えることにより、遷移させる操作の負担が軽減される。
なお、シート部材402が非使用状態のときのシート部材402b,402c、補助フレーム403,404などの部材を収納するための戸袋をカバー400の左右側にそれぞれ配置してもよい。このような構成を設けることにより、シート部材402b,402cの劣化を抑制することができるとともに、非使用状態のときのカバー400の外観も向上する。
また、第4の実施の形態におけるカバー400では、駆動機構421は、ワイヤー430によって補助フレーム403,404に駆動力を伝達すると説明した。しかし、このような構成に限定されるものではない。例えば、前方フレーム406の左側方部406a(または後方フレーム107の左側方部107a)に右側に突出する突起部を設け、この突起部が左側の補助フレーム404に下方から当接して当該補助フレーム404を上方に回動させるように構成してもよい。
また、シート部材402aに、適宜、左右方向に延びる骨材を取り付けてもよい。これにより、シート部材402aが下方に撓むことを防止してもよい。
<5. 第5の実施の形態>
図13は、第5の実施の形態におけるカバー500を示す図である。図13は、カバー500について、図3におけるカバー100と同様に示す図である。
第5の実施の形態におけるカバー500は駆動機構521を備えている点が、第1の実施の形態におけるカバー100と異なっている。したがって、カバー500は、カバー100と同様に、例えば、チャイルドシート11に取り付けることが可能である。以下の説明では、第5の実施の形態におけるカバー500について、第1の実施の形態におけるカバー100と同様の構成には適宜同符号を付し、説明を省略する場合がある。
カバー500は、カバー100に2つの駆動機構521を取り付けた構成を有している。駆動機構521は、ケース部522およびテープ523を備えている。
駆動機構521は、外部に繰り出されたテープ523を、ケース部522内に設けられたバネ(図示せず。)に蓄えられた弾性エネルギーによって、自動的に巻き取る構造を備えている。
一方、ケース部522内に巻き取られたテープ523は、先端部を引っ張ることによって、ケース部522の外部に繰り出すことが可能である。このようにしてテープ523を外部に繰り出すときに、駆動機構521は、ケース部522内に設けられた固定機構(図示せず。)によって、繰り出されたテープ523を任意の位置で停止させ、テープ523の繰り出し量を規定することができる。また、テープ523を任意の位置で停止させる機構としてはケース部522の外部から操作可能なボタン等によって行うものも提案されている。駆動機構521については、例えば、従来より巻尺や掃除機の電源ケーブルを巻き取る機構などに利用される技術を適宜採用することができる。したがって、ここでは、駆動機構521の構成および機能についての詳細な説明は省略する。
左右の駆動機構521のテープ523の先端部は、前方フレーム106(第2操作フレーム105)の前方両端部(左右方向に延びる軸部分の両端部)にそれぞれ固定されている。したがって、テープ523の先端部の位置は、前方フレーム106の位置に応じて変化する。
駆動機構521のケース部522は、係止部101aと同程度の高さ位置となるように基部101に固定されている。より詳細には、テープ523をケース部522内に巻き取ったときに、第2操作フレーム105が最上方位置に配置されるように、ケース部522の位置が決定されている。
操作者が第2操作フレーム105を保持して、カバー500に対して第2開操作を行うと、第2開操作における前方フレーム106の移動に追随して、左右の駆動機構521から、それぞれテープ523が繰り出される。したがって、カバー500において、操作者は第2開操作を支障なく実行できる。
なお、第2操作フレーム105を任意の位置に停止させたい場合、操作者は、ケース部522内の固定機構を機能させるとよい。ただし、当該固定機構による停止が誤って解除され、意図せずにテープ523が巻き取られることがないように、例えば、前方フレーム106をフック等で固定するようにしてもよい。例えば、所定の位置(サドル12の後方など)に設けたフックに前方フレーム106を引っ掛けることにより移動を防止し、所望の位置に第2操作フレーム105を停止させるように構成してもよい。
第2閉操作を行う場合には、第2操作フレーム105のフック等を外してから、第2操作フレーム105をわずかに引っ張り、駆動機構521内の固定機構を解除して第2操作フレーム105を放す。これにより、それぞれのテープ523のケース部522への巻き取りが開始され、第2操作フレーム105が上方向に移動を開始し、シート部材102が第2状態への遷移を開始する。このように、駆動機構521は、第2操作フレーム105に固定されたテープ523をケース部522内に巻き取ることによって、シート部材102が使用状態における状態(第1状態)から非使用状態における状態(第2状態)へと遷移するのを支援する。
駆動機構521によるテープ523の巻き取りが完了すると、最終的に、屈曲部105aは延び、第2操作フレーム105は、最上方位置に配置される。しかし、第5の実施の形態における駆動機構521が第2操作フレーム105を最上方位置に移動させても、これだけでは第1操作フレーム104は最上方位置に移動しない。したがって、シート部材102aが全閉形状とならない。また、このとき第1操作フレーム104と第2操作フレーム105との相対位置も最小とはならず、シート部材102bも全閉形状とならない。したがって、駆動機構521が第2操作フレーム105を最上方位置に配置したとしても、カバー500は非使用状態に遷移しない。
カバー500では、第2操作フレーム105が最上方位置に配置された後に、操作者が第1操作フレーム104に対する第1閉操作を行うことにより、第1操作フレーム104が最上方位置に配置される。このようにして、第1操作フレーム104および第2操作フレーム105がいずれも最上方位置に配置されると、カバー500は非使用状態に遷移する。
以上のように、第5の実施の形態におけるカバー500は、非使用状態と使用状態との間を遷移するとともに、このような遷移をしているときにおいても着脱作業は不要である。したがって、カバー500においても、他の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、カバー500は、シート部材102が第1状態から第2状態へと遷移するのを支援する駆動機構521をさらに備える。これにより、状態を遷移させるときの負担が軽減される。
なお、第5の実施の形態では、第2閉操作を実行するとき、駆動機構521の固定機構を解除した後は、第2操作フレーム105を放して、駆動機構521のみで第2操作フレーム105を移動させると説明した。しかし、第2閉操作を実行するとき、操作者が第2操作フレーム105を放さずに保持したまま、第1の実施の形態と同様に第2閉操作を行ってもよい。その場合、駆動機構521が第2操作フレーム105を引っ張るので、第2操作フレーム105を上方向に移動させる操作が軽くなり、負担は軽減される。また、このとき、途中で第1操作フレーム104を保持することが容易であるため、第2閉操作と第1閉操作とを同時に進行させることも可能となる。
また、駆動機構521の数は2つに限定されるものではない。また、駆動機構521を第1操作フレーム104に装着して、第1閉操作を支援させてもよい。
また、駆動機構521が第2操作フレーム105を移動させる速度(テープ523を巻き取る速度)は、ギヤ等により調整することが好ましい。例えば、駆動機構521による巻き取りが高速の場合には、濡れたカバー500から水しぶきが飛び散ることも想定される。このような場合には、当該ギヤによって巻き取り速度を低下させるとよい。
<6. 第6の実施の形態>
第3の実施の形態におけるカバー300は、第2操作フレーム105に欠損部を設けることによって干渉物(例えば、後輪など)への干渉を回避すると説明した。しかし、干渉物への干渉を回避する手法はこれに限定されるものではない。
図14は、第6の実施の形態におけるカバー600を概略的に示す図である。図14は、使用状態のカバー600の一部分を前方から後方に向けて(自転車10の進行方向逆向きに)見た図である。したがって、図14における左側にカバー600の右方の部材(例えば、右側方部605c)が配置され、図14における右側にカバー600の左方の部材(例えば、左側方部605b)が配置されている。また、図14では、自転車10、チャイルドシート11、および、案内機構310などの構成の図示を適宜省略している。
カバー600は、基部301の代わりに基部601を備え、シート部材302の代わりにシート部材602を備え、第2操作フレーム305の代わりに第2操作フレーム605を備える点が、第3の実施の形態におけるカバー300と異なっている。そして、カバー600は、カバー300と同様に、例えば、チャイルドシート11(幌を備えていないチャイルドシート)に取り付けることが可能である。以下の説明では、第6の実施の形態におけるカバー600について、第3の実施の形態におけるカバー300と同様の構成には適宜同符号を付し、説明を省略する場合がある。
図14において、カバー600の基部601は、シート部材602bの欠損部(図14において窓のような矩形部分)から覗き込んだ向こう側に壁のように配置されている様子が示されている。
基部601は、基部301と同様に、背板15と略平行に配置される板状の部材である。基部601は、カバー600の各構成を規定して保持する基部(保持部)として機能するとともに、カバー600をチャイルドシート11の背板15に取り付ける取付部としても機能する。基部601は、基部301と同様に、図示しないボルトによって背板15(チャイルドシート11)に固定されているものとする。
また、基部601は、係止部101aを備えていない。ただし、基部601の後面側(背板15が配置される側の反対側)に、第2操作フレーム605を止めるための係止機構(係止部101aと同等の機能を有する部材(図示せず))を備えている。
シート部材602は、シート部材302と同様に、薄い面状(布状)の部材であって、折り畳んだり、広げたりすることができる素材で構成されている。シート部材602は、変形自在であるため、形状が様々に遷移する。第6の実施の形態におけるシート部材602は、シート部材302bの代わりにシート部材602bを備えている点が、第3の実施の形態におけるカバー300と異なっている。すなわち、シート部材602は、シート部材302aおよびシート部材602bから構成されている。
シート部材602bは、主にレインカバーとして機能する部分であり、シート部材302aと同様に、撥水性の高い素材が用いられる。一方で、シート部材602bは、シート部材302bと同様に、透明の素材(光透過性の高い素材)が用いられる。ただし、シート部材602bの一部または全部を遮光性の高い素材で構成してもよい。
シート部材602bは、端部302cおよび端部602dを有している。図示は省略するが、シート部材602bの端部のうち、第1操作フレーム304に取り付けられる側の端部は、シート部材302bと同様に端部302cとなっている。また、端部602dは、第2操作フレーム605に沿って取り付けられている。したがって、端部602dは、第2操作フレーム605の位置に応じて位置が変化する。さらに、シート部材602bの形状は、主に、第1操作フレーム304と第2操作フレーム605との相対位置によって変化する。
図示は省略したが、シート部材302bの端部302dの前方部には、干渉物との干渉を避けるための切れ目が入れられていた。第6の実施の形態における端部602dには、当該切れ目の代わりに、図14に示すように、略矩形の欠損部が形成されている。そして、詳細は後述するが、端部602dに形成された当該欠損部を縁取るように第2操作フレーム605(回動部605a)が配置されている。
このような欠損部を形成することによっても、シート部材602bと干渉物との干渉を回避することができる。昨今では、チャイルドシート11において、自転車10への取り付けを強固にする、あるいは、部材の補強等のために、チャイルドシート11とサドル12との間に、様々な部材(取り付け用の追加のベルトや紐、ケーブル、保持フレームなど)が配置される場合がある。
カバー600は、端部602dに欠損部を形成することによって、そのような部材が存在するチャイルドシート11にも対応することができる。すなわち、カバー600の汎用性が向上する。なお、欠損部は住空間への雨水の浸入を許すことになるため、当該欠損部の大きさは予定される干渉物に応じて可能な限り小さくすることが好ましい。
カバー600が備える第2操作フレーム605は、第2操作フレーム305と異なり、回動部605aを備えている。また、第2操作フレーム605は、左側方部305bおよび右側方部305cの代わりに、左側方部605bおよび右側方部605cを備えている点が第2操作フレーム305と異なっている。
図15は、第6の実施の形態における第2操作フレーム605を示す図である。図15は、カバー600が使用状態のときの第2操作フレーム605を上方から下方に向けて見た図である。
第6の実施の形態における第2操作フレーム605は、第3の実施の形態における第2操作フレーム305のような欠損部を形成していないため、略C字形状(図8参照)ではなく、図15において、略ロ字形状となっている。
回動部605aは、略コ字形状の骨材である。回動部605aの端部は、左側方部605bまたは右側方部605cに接続されている。回動部605aと、左側方部605bおよび右側方部605cとの接続部は、屈曲部605f,605gを形成している。これにより、回動部605aは、左右方向に延びる軸(図示せず)を中心軸として回動可能である。
左側方部605bは、左側方部305bに相当する部材であり、左側方部305bと同様にリング部305dに連結されている。ただし、左側方部605bの先端部(リング部305dと接続されない端部)は、屈曲部605fにおいて、回動部605aと回動可能に接続されている。
右側方部605cは、右側方部305cに相当する部材であり、右側方部305cと同様にリング部305eに連結されている。ただし、右側方部605cの先端部(リング部305eと接続されない端部)は、屈曲部605gにおいて、回動部605aと回動可能に接続されている。
図16は、回動部605aが回動する様子を示す概念図である。なお、図16は、シート部材602の図示を省略している。第2操作フレーム605が図14に示す形状のまま(回動部605aを回動させないまま)で最上方位置に配置されると、回動部605aは図16に破線で示す位置となる。すなわち、第2操作フレーム605(回動部605a)が、基部601の後方に大きく突出することとなる。しかし、すでに説明したように、回動部605aは、屈曲部605f,605gにおいて、回動可能である。したがって、回動部605aを下方に回動させて、例えば、回動部605aが基部601の後側において、当該基部601に沿うように配置することができる。
このように、回動部605aが回動することによって、非使用状態におけるカバー600を小型化することができる。このとき、先述の係止機構(基部601が備える係止機構)により回動部605aを基部601に対して係止すれば、第3の実施の形態における係止部101aを用いる場合と同様に、第2操作フレーム605を静止させておくことができる。
なお、屈曲部605f,605gを設計することにより、回動部605aを回動させるために必要な外力が充分に大きくなるようにすれば、回動部605aを係止するための係止機構は不要である。当該外力は、回動部605aを人の力で回動させることが可能な範囲で、かつ、シート部材602等の自重や振動などによって回動部605aが意図せず容易に回動することのない程度が好ましい。この場合、回動部605aを下方に回動させる操作が、第2操作フレーム605を係止する操作となる。
また、上記説明では、シート部材602の欠損部を縁取るように回動部605aが設けられていると説明した。カバー600において、シート部材602を回動部605aに固定してもよいが、その場合には、回動部605aが基部601の後方に移動したときに、シート部材602の一部も基部601の後方まで突出することになる。
したがって、カバー600のシート部材602は、回動部605aに対して固定されていない。より詳細には、シート部材602は、回動部605aのうち、図14に示す配置において、左右方向に延びるように配置される部分には取り付けられていない。したがって、第2操作フレーム605を操作する際に、操作者はシート部材602に妨げられることなく、容易に回動部605aの当該部分を握ることができる。一方で、シート部材602は、回動部605a(一部、左側方部605bおよび右側方部605cを含む。)のうち、図14に示す配置において、上下方向に延びるように配置される部分に対してはスライド可能に取り付けられている(例えば、巾着袋における紐と布との構造)。これにより、回動部605aが基部601の後方にまで引き上げられた場合でも、シート部材602は基部601の後方に突出することなく、前方に残ることになる。
以上のように、第6の実施の形態におけるカバー600によっても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、カバー600の第2操作フレーム605が回動部605aを備えることにより、シート部材602bの欠損部の縁を補強することができる。すなわち、シート部材602bに切れ目を形成して干渉物を回避するように構成すると、当該切れ目からシート部材602bが裂けるおそれがある。したがって、回動部605aを設けることにより、シート部材602bの耐久性が向上する。
また、シート部材602bを補強する回動部605aが回動可能な構造となっていることにより、非使用状態のときに回動部605aが後方に突出することを防止することができるので、非使用状態におけるカバー600を小型化することができる。
<7. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
例えば、シート部材102bの端部102dの周辺に予め余剰部分(襠)を設けて、面ファスナーや紐などで止めておいてもよい。このような余剰部分を準備しておくことにより、同乗者の体格や所持物等によってシート部材102bの広さ(サイズ)が不足したときに当該余剰部分を引き出して利用することができる。
また、上記実施の形態では、使用状態において最も下方に配置されるフレーム(例えば、第2操作フレーム105)を操作するとして説明した。しかし、操作対象となるフレームは、最下方に配置されるフレームに限定されるものではない。例えば、シート部材102bの中央部に設けられたフレームを係止部101aに固定できるように構成し、当該フレームを操作することにより第2開操作および第2閉操作を行うようにしてもよい。特に、シート部材102bの端部102cと端部102dとの中間付近にこのようなフレームを設けて係止部101aに固定すれば、最下方位置に配置された第1操作フレーム104より下方に、シート部材102bが垂れ下がる部分を抑制することができる。また、この場合には、シート部材102bの端部102dが最も外側に配置されるため、この部分を遮光性の高い素材とすれば、シート部材102bの透明部分を保護することができる。
また、例えば、シート部材102において、同乗者の下肢を覆う部分(シート部材102b)は、日除け部分(シート部材102a、補助フレーム103および第1操作フレーム104)と基部101との間に収納されていてもよい。すなわち、第2操作フレーム105をシート部材102aと基部101との間に設けることもできる。このように構成して第2開操作を行うと、日除け部分が第2操作フレーム105に連動して下方に移動する。下方に移動した第1操作フレーム104に第1開操作を行えば、同乗者の下肢付近でシート部材102aを全開形状に遷移させることができ、日除け部分を泥よけとして利用することができる。
また、上記実施の形態では特に説明しなかったが、フレーム(骨材)の断面形状を略H字形状や略コ字形状等とすることにより、フレームの表面に、フレームの延伸方向に沿った溝を形成してもよい。このような溝を形成することによって、例えば、シート部材102に溜まる雨水をフレーム(補助フレーム103や第1操作フレーム104など)の当該溝に沿って左右方向に流れ落ちるように積極的に導くことができる。これにより、溜まる雨水を減らすことができるため、カバー100の状態を遷移させるときに、同乗者や操作者、あるいは荷物等が濡れることを抑制することができる。