JP7801150B2 - 金属充填微細構造体 - Google Patents
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Description
この異方導電性接合部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材や機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著であり、従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続するような方式や、フリップチップボンディング、サーモコンプレッション(熱圧着)ボンディングなどでは、接続の安定性を十分に保証することができないため、電子接続部材として異方導電性接合部材が注目されている。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
各導通路が、絶縁性基材の表面から突出した突出部分を有し、
突出部分の表面と、酸基および窒素原子を有する非アゾール系有機分子を含有する層とが接触している、金属充填微細構造体。
[2] 非アゾール系有機分子が、酸基を複数有している、[1]に記載の金属充填微細構造体。
[3] 非アゾール系有機分子が、酸基を3個以上有している、[1]または[2]に記載の金属充填微細構造体。
[4] 酸基がカルボキシル基である、[1]~[3]のいずれかに記載の金属充填微細構造体。
[5] 非アゾール系有機分子が、窒素原子を1個または2個有している、[1]~[4]のいずれかに記載の金属充填微細構造体。
[6] 非アゾール系有機分子が、ニトリロ三酢酸である、[1]~[5]のいずれかに記載の金属充填微細構造体。
[7] 突出部分が銅である、[1]~[6]のいずれかに記載の金属充填微細構造体。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
本発明の金属充填微細構造体は、無機材料からなる絶縁性基材と、絶縁性基材の厚み方向に貫通し、互いに絶縁された状態で設けられた、導電性部材からなる複数の導通路と、を有している。
また、各導通路は、絶縁性基材の表面から突出した突出部分を有しており、各導通路の突出部分の表面と、酸基および窒素原子を有する非アゾール系有機分子を含有する層(以下、「特定有機分子含有層」とも略す。)とが接触している。
このメカニズムは、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
すなわち、導通路の突出部分の表面は、導電性部材で構成されているため、経時で酸化が進行する。なお、経時の酸化は、導通路の突出部分が粘着層に埋設されていても進行すると考えられる。
そのため、本発明においては、導通路の突出部分の表面と、特定有機分子含有層とを接触することにより、有機分子が、酸基を介して導通路の突出部分の表面に吸着ないし配位したため、経時の酸化を抑制することができたと考えられる。また、有機分子が窒素原子を有し、金属への配位性が高いことによる酸化抑制性と、非アゾール系であることによる加熱時の脱離性との両立が可能となっているものと推定される。
図1および図2に示す金属充填微細構造体1は、絶縁性基材2と、導電性部材からなる複数の導通路3とを有する。
また、導通路3は、図1および図2に示すように、互いに絶縁された状態で絶縁性基材2を厚み方向Z(Z1:図1の裏面から正面の方向,Z2:図1の正面から裏面の方向)に貫通して設けられている。
更に、導通路3は、図2に示すように、絶縁性基材2の表面2aおよび2bから突出した突出部分3aおよび3bを有しており、この突出部分3aおよび3bの表面が、特定有機分子含有層4と接触している。
ここで、「互いに絶縁された状態」とは、絶縁性基材の内部(厚み方向)に存在している各導通路が絶縁性基材の内部において互いに絶縁された状態であることを意味する。
また、突出部分3aおよび3bの表面と、特定有機分子含有層4とが接触する態様は、図2に示す態様、すなわち、特定有機分子含有層4が突出部分3aおよび3bの形状に沿って被覆された態様であってもよく、図3に示す態様、すなわち、特定有機分子含有層4に突出部分3aおよび3bが埋設された態様であってもよい。
次に、本発明の金属充填微細構造体が有する絶縁性基材、導通路および特定有機分子含有層について、材料、寸法、形成方法等について説明する。
本発明の金属充填微細構造体が有する絶縁性基材は、無機材料からなり、従来公知の異方導電性フィルム等を構成する絶縁性基材と同程度の電気抵抗率(1014Ω・cm程度)を有するものであれば特に限定されない。
なお、「無機材料からなり」とは、無機材料のみから構成された絶縁性基材に限定する規定ではなく、無機材料を主成分(50質量%以上)とする規定である。
ここで、上記バルブ金属としては、具体的には、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。
これらのうち、寸法安定性がよく、比較的安価であることからアルミニウムの陽極酸化膜(基材)であるのが好ましい。
ここで、絶縁性基材の厚みは、金属充填微細構造体の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により観察し、10点で測定した厚みの平均値をいう。
ここで、各導通路の間隔とは、隣接する導通路間の幅(図2においては符号7で表される部分)をいい、金属充填微細構造体の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、隣接する導通路間の幅を10点で測定した平均値をいう。
本発明の金属充填微細構造体が有する複数の導通路は、上記絶縁性基材の厚み方向に貫通し、互いに絶縁された状態で設けられた、導電性部材からなる導通路である。
また、上記導通路は、絶縁性基材の表面から突出した突出部分を有しており、かつ、各導通路の突出部分の表面が後述する特定有機分子含有層と接触している。
上記導通路を構成する導電性部材は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であれば特に限定されず、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、インジウムがドープされたスズ酸化物(ITO)等が好適に例示される。
中でも、電気伝導性の観点から、銅、金、アルミニウム、ニッケルが好ましく、銅、金がより好ましく、銅が更に好ましい。
上記導通路の突出部分は、導通路が絶縁性基材の表面から突出した部分であり、また、突出部分の表面は、後述する特定有機分子含有層と接触している。
同様に、上記導通路の突出部分の直径は、5nm超10μm以下であるのが好ましく、20nm~1000nmであるのがより好ましい。
ここで、導通路の突出部分の高さは、金属充填微細構造体の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察し、導通路の突出部分の高さを10点で測定した平均値をいう。
同様に、導通路の突出部分の直径は、金属充填微細構造体の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により観察し、導通路の突出部分の直径を10点で測定した平均値をいう。
上記導通路は柱状であり、その直径(図2においては符号8で表される部分)は、突出部分の直径と同様、5nm超10μm以下であるのが好ましく、20nm~1000nmであるのがより好ましい。
本発明の金属充填微細構造体が有する特定有機分子含有層は、酸基および窒素原子を有する非アゾール系有機分子を含有する層である。
ここで、特定有機分子含有層は、導通路の突出部分の方面と接触しているが、この接触の態様は、上述した通り、特定有機分子含有層が導通路の突出部分の形状に沿って被覆された態様であってもよく、特定有機分子含有層に導通路の突出部分が埋設された態様であってもよい。これらの態様のうち、導通信頼性がより良好となり、接続対象となる半導体チップ等との密着性が良好となる理由から、特定有機分子含有層が導通路の突出部分の形状に沿って被覆された態様が好ましい。
特定有機分子含有層に含まれる非アゾール系有機分子は、上述した通り、酸基および窒素原子を有する非アゾール系の化合物である。
ここで、非アゾール系の化合物とは、窒素を1つ以上含む複素5員環化合物(例えば、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物など)に該当しない化合物のことをいう。
これらのうち、基材を侵さず十分な吸着量を確保することができる酸性度と、加熱による脱離を容易に実現できる極性を有することから、カルボン酸基であることが好ましい。
また、導通信頼性がより良好となる理由から、非アゾール系有機分子は、酸基を3個以上有していることがより好ましく、酸基を3個または4個有していることが更に好ましい。
また、接続対象となる半導体チップ等との密着性が良好となる理由から、非アゾール系有機分子は、酸基を3個有していることが特に好ましい。
アミノポリカルボン酸類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、エチレンジアミンジ酢酸(EDDA)、エチレングリコールジエチルエーテルジアミン四酢酸(GEDA)などが挙げられる。
アミノ酸類としては、具体的には、例えば、グリシン、アミノこはく酸、バリン、ロイシン、イソロイシンなどが挙げられる。
スルホ基含有有機分子としては、具体的には、例えば、3-ピリジンスルホン酸、1-ナフチルアミン-2,7-ジスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基含有有機分子としては、具体的には、例えば、N,N,N’,N’-エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸などが挙げられる。
フェノール性水酸基含有有機分子としては、具体的には、例えば、p-アミノフェノール、4-アミノカテコールを化合物などが挙げられる。
これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、アミノポリカルボン酸類であることが好ましく、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびニトリロ三酢酸(NTA)であることがより好ましく、ニトリロ三酢酸(NTA)であることが更に好ましい。
一方、特定有機分子含有層に導通路の突出部分が埋設された態様である場合は、特定有機分子含有層に含まれる非アゾール系有機分子の含有量は、特定有機分子含有層の全質量に対して0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~5質量%であることが好ましく、0.1~3質量%であることが更に好ましい。
ここで、非アゾール系有機分子の含有量が特定有機分子含有層の全質量に対して100質量%であるとは、特定有機分子含有層が非アゾール系有機分子の単膜で構成されていることを意味する。
一方、特定有機分子含有層に導通路の突出部分が埋設された態様である場合は、特定有機分子含有層の厚みは、50nm~1500nmであることが好ましく、250nm~1000nmであることがより好ましい。
ここで、特定有機分子含有層の厚みは、金属充填微細構造体の断面を電子顕微鏡により観察し、10点で測定した厚みの平均値をいう。
本発明の金属充填微細構造体の製造方法(以下、形式的に「本発明の製造方法」ともいう。)は特に限定されないが、例えば、上記絶縁性基材に設けられた貫通孔に上記導電性材料を存在させて上記導通路を形成する導通路形成工程と、導通路形成工程の後に上記絶縁性基材の表面のみを一部除去し、上記導通路を突出させる突出工程と、突出工程と同時または突出工程の後に上記絶縁性基材の表面および上記導通路の突出部分に特定有機分子含有層を形成する特定有機分子含有層形成工程とを有する製造方法等が挙げられる。
上記絶縁性基材は、例えば、貫通孔を有するガラス基板(Through Glass Via:TGV)をそのまま用いることができるが、上記導通路の開口径や突出部分のアスペクト比を上述した範囲とする観点から、バルブ金属に対して陽極酸化処理を施す方法が好ましい。
上記陽極酸化処理としては、例えば、上記絶縁性基材がアルミニウムの陽極酸化皮膜である場合は、アルミニウム基板を陽極酸化する陽極酸化処理、および、上記陽極酸化処理の後に、上記陽極酸化により生じたマイクロポアによる孔を貫通化する貫通化処理をこの順に施すことにより作製することができる。
本発明においては、上記絶縁性基材の作製に用いられるアルミニウム基板ならびにアルミニウム基板に施す各処理工程については、特開2008-270158号公報の[0041]~[0121]段落に記載したものと同様のものを採用することができる。
上記導通路形成工程は、上記絶縁性基材に設けられた上記貫通孔に上記導電性材料を存在させる工程である。
ここで、上記貫通孔に金属を存在させる方法としては、例えば、特開2008-270158号公報の[0123]~[0126]段落および[図4]に記載された各方法(電解メッキ法または無電解メッキ法)と同様の方法が挙げられる。
また、電解メッキ法または無電解メッキ法においては、金、ニッケル、銅等による電極層を予め設けることが好ましい。この電極層の形成方法としては、例えば、スパッタ等の気相処理;無電解めっき等の液層処理;これらを組合せた処理;等が挙げられる。
上記金属充填工程により、導通路の突出部分が形成される前の金属充填微細構造体が得られる。
上記陽極酸化工程は、上記アルミニウム基板の片面に陽極酸化処理を施すことにより、上記アルミニウム基板の片面に、厚み方向に存在するマイクロポアとマイクロポアの底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する工程である。
本発明の製造方法における陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポア配列の規則性を高くし、異方導電性を担保する観点から、自己規則化法や定電圧処理を用いるのが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法や定電圧処理については、特開2008-270158号公報の[0056]~[0108]段落および[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
上記バリア層除去工程は、上記陽極酸化処理工程の後に、上記陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。バリア層を除去することにより、マイクロポアを介してアルミニウム基板の一部が露出することになる。
バリア層を除去する方法は特に限定されず、例えば、上記陽極酸化処理工程の上記陽極酸化処理における電位よりも低い電位でバリア層を電気化学的に溶解する方法(以下、「電解除去処理」ともいう。);エッチングによりバリア層を除去する方法(以下、「エッチング除去処理」ともいう。);これらを組み合わせた方法(特に、電解除去処理を施した後に、残存するバリア層をエッチング除去処理で除去する方法);等が挙げられる。
上記電解除去処理は、上記陽極酸化処理工程の上記陽極酸化処理における電位(電解電位)よりも低い電位で施す電解処理であれば特に限定されない。
本発明においては、上記電解溶解処理は、例えば、上記陽極酸化処理工程の終了時に電解電位を降下させることにより、上記陽極酸化処理と連続して施すことができる。
特に、上述したように上記電解除去処理と上記陽極酸化処理とを連続して施す場合は、同様の電解液を用いて処理するのが好ましい。
上記電解除去処理における電解電位は、上記陽極酸化処理における電解電位よりも低い電位に、連続的または段階的(ステップ状)に降下させるのが好ましい。
ここで、電解電位を段階的に降下させる際の下げ幅(ステップ幅)は、バリア層の耐電圧の観点から、10V以下であるのが好ましく、5V以下であるのがより好ましく、2V以下であるのが更に好ましい。
また、電解電位を連続的または段階的に降下させる際の電圧降下速度は、生産性等の観点から、いずれも1V/秒以下が好ましく、0.5V/秒以下がより好ましく、0.2V/秒以下が更に好ましい。
上記エッチング除去処理は特に限定されないが、酸水溶液またはアルカリ水溶液を用いて溶解する化学的エッチング処理であってもよく、ドライエッチング処理であってもよい。
化学エッチング処理によるバリア層の除去は、例えば、上記陽極酸化処理工程後の構造物を酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸漬させ、マイクロポアの内部に酸水溶液またはアルカリ水溶液を充填させた後に、陽極酸化膜のマイクロポアの開口部側の表面にpH緩衝液に接触させる方法等により、バリア層のみを選択的に溶解させることができる。
一方、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。また、アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10~60℃が好ましく、更に15~45℃が好ましく、更に20~35℃であるのが好ましい。なお、アルカリ水溶液には、亜鉛や他の金属を含有していてもよい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
なお、pH緩衝液としては、上述した酸水溶液またはアルカリ水溶液に対応した緩衝液を適宜使用することができる。
ドライエッチング処理は、例えば、Cl2/Ar混合ガス等のガス種を用いることが好ましい。
上記金属充填工程は、上記バリア層除去工程の後に、電解めっき処理を施して陽極酸化膜におけるマイクロポアの内部に金属を充填する工程であり、例えば、特開2008-270158号公報の[0123]~[0126]段落および[図4]に記載された各方法と同様の方法(電解メッキ法または無電解メッキ法)が挙げられる。
なお、電解メッキ法または無電解メッキ法においては、上述したバリア層除去工程の後にマイクロポアを介して露出するアルミニウム基板を電極として利用することができる。
上記基板除去工程は、上記金属充填工程の後にアルミニウム基板を除去し、金属充填微細構造体を得る工程である。
アルミニウム基板を除去する方法としては、例えば、処理液を用いて、上記金属充填工程においてマイクロポアの内部に充填した金属および絶縁性基材としての陽極酸化膜を溶解せずに、アルミニウム基板のみを溶解させる方法等が挙げられる。
また、上記処理液の濃度としては、0.01~10mol/Lが好ましく、0.05~5mol/Lがより好ましい。
また、処理温度としては、-10℃~80℃が好ましく、0℃~60℃が好ましい。
上記突出工程は、上記導通路形成工程後の金属充填微細構造体表面の絶縁性基材のみを一部除去し、導通路を突出させる工程である。
ここで、導通路を突出させる処理は、導通路を構成する金属を溶解しない条件であれば特に限定されず、例えば、酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1~10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25~60℃であるのが好ましい。
一方、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20~50℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸漬時間は、8~120分であるのが好ましく、10~90分であるのがより好ましく、15~60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよい。
ここで、同一平面状に加工する方法としては、例えば、物理的研磨(例えば、遊離砥粒研磨、バックグラインド、サーフェスプレーナー等)、電気化学的研磨、これらを組み合わせた研磨などが挙げられる。
加熱処理は、金属の酸化を抑制する観点から還元性雰囲気で施すことが好ましく、具体的には、酸素濃度が20Pa以下で行うことが好ましく、真空下で行うことがより好ましい。ここで、真空とは、大気よりも気体密度または気圧の低い空間の状態をいう。
また、加熱処理は、矯正の目的で、材料を加圧しながら行うことが好ましい。
上記特定有機分子含有層形成工程は、上記突出工程と同時または上記突出工程後に上記絶縁性基材の表面および上記導通路の突出部分に特定有機分子含有層を形成する工程である。
ここで、特定有機分子含有層の形成方法は特に限定されないが、特定有機分子含有層が導通路の突出部分の形状に沿って被覆された態様である場合は、例えば、浸漬法、スプレー法、塗布法などにより、上述した非アゾール系有機分子を溶媒に溶解させた溶液(以下、「特定有機分子含有層形成用溶液」とも略す。)を導通路の突出部分に供給する方法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。
また、上記方法による処理時間は、10~180秒が好ましく、30~120秒がより好ましい。
また、特定有機分子含有層形成用溶液は、pHを任意に設定してよいが、6~14が好ましく、8~13がより好ましく、9~12が更に好ましい。
また、特定有機分子含有層形成用溶液における非アゾール系有機分子の濃度は、0.01~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましく、0.1~3質量%が更に好ましい。
また、特定有機分子含有層形成用溶液に用いる溶媒は、非アゾール系有機分子が溶解するものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール、ケトン系、エーテル系、石油系などを用いることができる。
本発明においては、導通信頼性がより良好となる理由から、特定有機分子含有層形成工程は、上述した突出工程と同時に行うことが好ましい。なお、上述した突出工程と同時に行う場合には、特定有機分子含有層形成用溶液は、導通路を突出させる処理に用いる酸水溶液やアルカリ水溶液に非アゾール系有機分子を溶解させた溶液を用いることができる。
また、連続処理する場合には各工程間に適切な洗浄工程、乾燥工程を設置することが好ましい。
<アルミニウム基板の作製>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC(Direct Chill)鋳造法で作製した。
次いで、表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。
更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ1.0mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム基板を得た。
このアルミニウム基板を幅1030mmにした後、以下に示す各処理を施した。
上記アルミニウム基板に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110-30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、特開2007-204802号公報に記載の手順にしたがって自己規則化法による陽極酸化処理を施した。
電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/minの条件で、5時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に12時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/minの条件の条件で、3時間45分の再陽極酸化処理を施し、膜厚30μmの陽極酸化膜を得た。
なお、プレ陽極酸化処理および再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110-30R(株式会社高砂製作所製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS-100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
次いで、陽極酸化処理工程後に、水酸化ナトリウム水溶液(50g/l)に酸化亜鉛を2000ppmとなるように溶解したアルカリ水溶液を用いて、30℃で150秒間浸漬させるエッチング処理を施し、陽極酸化膜のマイクロポアの底部にあるバリア層を除去し、かつ、露出したアルミニウム基板の表面に同時に亜鉛を析出させた。
また、バリア層除去工程後の陽極酸化膜の平均厚みは30μmであった。
次いで、アルミニウム基板を陰極にし、白金を正極にして電解めっき処理を施した。
具体的には、以下に示す組成の銅めっき液を使用し、定電流電解を施すことにより、マイクロポアの内部にニッケルが充填された金属充填微細構造体を作製した。
ここで、定電流電解は、株式会社山本鍍金試験器社製のめっき装置を用い、北斗電工株式会社製の電源(HZ-3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後に、以下に示す条件で処理を施した。
(銅めっき液組成および条件)
・硫酸銅 100g/L
・硫酸 50g/L
・塩酸 15g/L
・温度 25℃
・電流密度 10A/dm2
金属充填工程後の構造体を、水酸化カリウム水溶液(濃度:5質量%、液温度:20℃)に、非アゾール系有機分子であるニトリロ三酢酸を1質量%となるよう溶解させた液に浸漬させ、突出部分の高さが400nmとなるように浸漬時間を調整してアルミニウムの陽極酸化膜の表面を選択的に溶解し、充填金属である銅を突出させ、銅の突出部分の表面に特定有機分子含有層が接触した構造体を作製した。
アルミニウム基板が設けられていない側の表面に、熱剥離型の粘着層付き樹脂基材(リバアルファ 3195MS、日東電工株式会社製)を貼り付けた。なお、この樹脂基材は、後述する「基板除去工程」の際に、上述した「突出工程(表面)」で作製した構造体を支持するための基材である。
次いで、塩化銅/塩酸の混合溶液に浸漬させることによりアルミニウム基板を溶解して除去し、平均厚み30μmの金属充填微細構造体を作製した。
作製された金属充填微細構造体における導通路の直径は60nmであり、導通路間のピッチは100nmであり、導通路の密度は5770万個/mm2であった。
基板除去工程後の構造体を、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5質量%、液温度:20℃)に、非アゾール系有機分子であるニトリロ三酢酸を1質量%となるよう溶解させた液に浸漬させ、突出部分の高さが400nmとなるように浸漬時間を調整してアルミニウムの陽極酸化膜の表面を選択的に溶解し、充填金属である銅を突出させ、銅の突出部分の表面に特定有機分子含有層が接触した構造体を作製した。
突出工程(裏面)後に、大気下で110℃1分加熱し、樹脂基材を剥離させ、金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程で用いた非アゾール系有機分子をエチレンジアミン四酢酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程で用いた非アゾール系有機分子をイミノ二酢酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程で用いた非アゾール系有機分子をエチレンジアミン二酢酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程で用いた非アゾール系有機分子をエチレングリコールジエチルエーテルジアミン四酢酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程において非アゾール系有機分子を用いず、表面および裏面の突出工程の各工程の直後に、非アゾール系有機分子であるニトリロ三酢酸を含有する水溶液(1wt%、液温25℃)に60秒浸漬する工程を追加する以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程において非アゾール系有機分子を用いず、表面および裏面の突出工程の各工程の直後に以下のアンダーフィル材を形成した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
下記に示す材料を混合し、塗布液1を調製した。
次いで、調製した塗布液1を突出工程後の表面および裏面に、厚みが400nmとなるようスピンコーターで塗布した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
塗布液1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・メチルエチルケトン 50質量部
・エチルアクリレート-アクリロニトリル共重合体
(Mw.1600000,共重合比95:5) 16質量部
・マレイミド化合物(製品名:BMI5100、
大和化成工業株式会社製) 21質量部
・ビスフェノール(製品名:DABPA、
大和化成工業株式会社製) 12質量部
・ニトリロ三酢酸(東京化成工業株式会社製) 1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
表面および裏面の突出工程で用いた非アゾール系有機分子を1-ナフチルアミン-2,7-ジスルホン酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程で用いた非アゾール系有機分子をニトリロトリスメチレンホスホン酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程で用いた非アゾール系有機分子を4-アミノカテコールに変更した以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程において非アゾール系有機分子を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
アンダーフィル材を形成する塗布液に、非アゾール系有機分子であるニトリロ三酢酸を用いなかった以外は、実施例7と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
表面および裏面の突出工程において非アゾール系有機分子の代わりに1,2,3-トリアゾールを用いた以外は、実施例1と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。
<導電性>
作製した各金属充填微細構造体を35℃、大気環境に6時間、12時間、24時間、72時間および168時間置いたものを準備した。
その後、WALTS社製のTEGチップ(デイジーチェインパターン)およびインターポーザーを用意し、これらをチップボンダーの上下に設置し、予めアライメントを調整した。
アライメント調整後、下側に設置したインターポーザーのCuポスト側に、作製した各金属充填微細構造体を重ね合わせ、常温接合装置(WP-100、PMT社製)を用いて、250℃、1分間、6MPaの条件で加熱圧着をし、接合した。
接合後のサンプルについて、チップ配線間の電気抵抗を測定し、35℃の環境下に置かなかったもの(製造直後の金属充填微細構造体を用いたサンプル)をA0とし、35℃の環境下に置いたもの(上記各時間置いた後の金属充填微細構造体を用いたサンプル)をそれぞれA1、A2、A3、A4およびA5として比率Dを以下の式で計算した。小数点以下を四捨五入した計算結果を下記表1に示す。
D=(An/A0)×100-100 (n=1~5)
導電性の評価サンプル(168時間置いた後の金属充填微細構造体を用いたサンプル)について、万能型ボンドテスター(DAGE4000、デイジ社製)を用い、TEGチップに荷重を加えて剥離強度を測定した。
その結果、剥離強度が15N以上のものを「A」と評価し、10N以上15N未満のものを「B」と評価し、5N以上10N未満のものを「C」と評価し、5N未満のものを「D」と評価した。結果を下記表1に示す。
また、導通路の突出部分の表面と、アゾール系有機分子である1,2,3-トリアゾールを含有する層とが接触している金属充填微細構造体を用いた場合には、導通信頼性が劣ることが分かった(比較例3)。
特に、実施例1~5の対比から、非アゾール系有機分子が酸基を3個以上有していると、導通信頼性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例2との対比から、非アゾール系有機分子が酸基を3個有していると、接続対象となる半導体チップ等との密着性が良好となることが分かった。
また、実施例2と実施例4との対比から、非アゾール系有機分子のモル質量が100~500g/molであると、接続対象となる半導体チップ等との密着性が良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例7との対比から、特定有機分子含有層が導通路の突出部分の形状に沿って被覆された態様であると、導通信頼性がより良好となることが分かった。
2 絶縁性基材
2a,2b 絶縁性基材の表面
3 導通路
3a,3b 導通路の突出部分
4 特定有機分子含有層
6 絶縁性基材の厚み
7 導通路間の間隔
8 導通路の直径
9 導通路の中心間距離(ピッチ)
Claims (7)
- 無機材料からなる絶縁性基材と、前記絶縁性基材の厚み方向に貫通し、互いに絶縁された状態で設けられた、導電性部材からなる複数の導通路と、を有する金属充填微細構造体であって、
前記各導通路が、前記絶縁性基材の表面から突出した突出部分を有し、
前記突出部分の表面と、酸基および窒素原子を有する非アゾール系有機分子を含有する層とが接触しており、
前記非アゾール系有機分子が、アミノポリカルボン酸類、スルホ基含有有機分子、リン酸基含有有機分子、および、フェノール性水酸基含有有機分子からなる群から選択される少なくとも1種である、金属充填微細構造体。 - 前記非アゾール系有機分子が、前記酸基を複数有している、請求項1に記載の金属充填微細構造体。
- 前記非アゾール系有機分子が、前記酸基を3個以上有している、請求項1または2に記載の金属充填微細構造体。
- 前記酸基がカルボキシル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体。
- 前記非アゾール系有機分子が、前記窒素原子を1個または2個有している、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体。
- 前記非アゾール系有機分子が、ニトリロ三酢酸である、請求項1~5のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体。
- 前記突出部分が銅である、請求項1~6のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体。
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