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JP7801577B2 - ステンレス板の製造方法及びステンレス板を用いた発光装置の製造方法 - Google Patents
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JP7801577B2 - ステンレス板の製造方法及びステンレス板を用いた発光装置の製造方法 - Google Patents

ステンレス板の製造方法及びステンレス板を用いた発光装置の製造方法

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Description

本開示は、ステンレス板の製造方法及びステンレス板を用いた発光装置の製造方法に関する。
特許文献1には、ステンレス鋼板のエッチング加工においてフォトレジスト塗布を行う際の前処理として、ステンレス鋼板表面の酸化被膜をりん酸溶液またはりん酸と硝酸との混合溶液で処理して除去することが開示されている。これによりステンレス鋼板とフォトレジストとの密着性を向上させ、エッチングによりステンレス鋼板にパターンを形成する。
特開平8-225960
エッチングパターンが形成されたステンレス板の製造方法及びステンレス板を用いた発光装置の製造方法を提供する。
実施形態により開示されるステンレス板の製造方法は、水溶性のポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩を少なくとも1種以上含有した水溶液にステンレス板材の少なくとも一部を浸漬処理または前記水溶液を前記ステンレス板材の少なくとも一部にスプレー処理する塗布工程と、 前記ステンレス板材の前記水溶液が塗布された表面にフォトレジストをパターン形成するレジスト形成工程と、前記フォトレジストから露出する前記ステンレス板材の表面をエッチングするエッチング工程と、をこの順に備える。
実施形態により開示される発光装置の製造方法は、請求項1~8の何れか1項に記載の前記ステンレス板を用いて発光装置を製造する工程において、前記エッチング工程で形成されたエッチングパターンを画像認識する。
本開示によれば、エッチングパターンが形成されたステンレス板の製造方法及びステンレス板を用いた発光装置の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るステンレス板の製造方法を表すフローチャートである。 本実施形態に係るステンレス板の製造方法を説明するための断面図である。 本実施形態に係るステンレス板の製造方法において、りん酸エステル界面活性剤の作用を説明するための模式図である。 本実施形態におけるエッチングパターンが形成されたステンレス板の一例を説明するための上面図である。 マスクの上面視の形状の一例を示す上面図である。 本実施形態におけるエッチングパターンが形成されたステンレス板を用いて作製した発光装置の一例を示す断面図である。 本実施形態におけるエッチングパターンが形成されたステンレス板を用いて発光装置を作製する工程を説明するための図である。 実施例1のステンレス板において、エッチングパターンを形成した領域の一部を示す写真である。 比較例1のステンレス板において、エッチングパターンを形成した領域の一部を示す写真である。
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下、左右、表裏、前後、手前と奥などの記載は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関係と一致していなくてもよい。また実施形態の用語における上面視とは、ステンレス板材のパターンを形成した面、またはステンレス板材のパターンを形成する予定の面に向かって見ることをいう。したがって、ステンレス板材のパターンを形成した面、またはステンレス板材のパターンを形成する予定の面が上面(表)であり、その反対側が下面(裏)である。
本開示の実施形態に係るステンレス板の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。断面図として、切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。
<第1実施形態>
図1、図2(A)~図2(F)及び図3を参照して、第1実施形態に係るステンレス板の製造方法を説明する。図1は、本実施形態に係るステンレス板の製造方法を表すフローチャートである。図2(A)~図2(F)は、本実施形態に係るステンレス板の製造方法を説明するための断面図である。図3は、本実施形態に係るステンレス板の製造方法において、りん酸エステル界面活性剤の作用を説明するための模式図である。
本実施形態に係るステンレス板の製造方法は、図1に示すように、塗布工程S1と、レジスト形成工程S2と、エッチング工程S3と、をこの順に備える。
塗布工程S1は、水溶性のポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩を少なくとも1種以上含有した水溶液Pにステンレス板材10の少なくとも一部を浸漬または水溶液Pをステンレス板材10の少なくとも一部にスプレー処理する工程である。
まず、図2(A)に示すように、ステンレス材料からなり、かつ表面の少なくとも一部に酸化被膜を有する板状のステンレス板材10を準備する。本実施形態において、ステンレス板材10はウェットエッチング可能な材料であればいずれのステンレス鋼種でもよい。ステンレス板材10は、例えばオーステナイト系、オーステナイト・フェライト系(二相系)、フェライト系、マルテンサイト系の何れか1種を用いることが大気中の硫化ガスなどの腐食性ガスに対する耐蝕性の観点から好ましい。特に、オーステナイト系であればSUS304またはSUS316、オーステナイト・フェライト系(二相系)であればSUS329J1、フェライト系であればSUS430、マルテンサイト系であればSUS410を用いることが好ましい。また、ステンレス板材10の厚さは例えば0.05mm以上5.00mm以下である。ステンレス板材10の表面粗さについては、後述のフォトレジスト膜20との密着力の観点やエッチング加工精度の観点から、なるべく平滑なものが好ましい。平滑とは、銀めっきリードフレーム業界で一般に使用されている半光沢から光沢外観以上の表面光沢を有することが好ましい。ステンレス板材10の表面の光沢度は、例えばGAM値が0.4以上であることが好ましい。なおGAM値とは、例えばGAM(Graphic Arts Manufacturing)社製のDigital Densitmeter Model 144や日本電色工業株式会社製の微小面色彩計・反射率計VSS7700やデンシトメーター(反射濃度計)ND-11で測定される光沢度の数値である。
ステンレス板材10は、塗布工程S1の前に、表面に付いた油、錆及びよごれを脱脂処理によって除去する(清浄化する)ことが好ましい。脱脂処理としては、炭化水素系の溶剤浸漬、蒸気洗浄、アルカリ脱脂剤の浸漬またはアルカリ電解脱脂等の方法を用いることができる。その後、数%の硫酸水溶液や塩酸水溶液で浸漬活性化することが好ましい。
ステンレス板材10の脱脂処理の後、ステンレス板材10の表面に水溶性のポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩を少なくとも1種以上含有した水溶液Pを塗布する。ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩は、水溶性であればよい。本実施形態で用いる水溶性のポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩は、りん酸エステル界面活性剤であり、アニオン界面活性剤に属する。ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステルは、水溶性及び界面活性剤の作用の観点から、化学式(a-1)又は化学式(a―2)で示されるものであることが好ましい。
[式中、R:4~16、n:5~40である。]
[式中、R:4~16、n:5~40である。]
水溶液Pは、2種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩を含有してもよい。また水溶液Pに含まれるポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩が界面活性剤としての性質を維持するために、りん酸二ナトリウムやほう酸等の適切なpH緩衝剤を含有してもよい。また水溶液Pは、ステンレス板材10への濡れ性を向上させるために、化学式(a-1)又は化学式(a―2)で示されるもの以外のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤または高分子系界面活性剤を含有してもよい。アニオン界面活性剤は、例えばRCOONa(脂肪酸ナトリウム(石鹸))、ROSO Na(モノアルキル硫酸塩)、RO(CHCHO)SO3-Na(アルキルポリオキシエチレン硫酸塩)、RR’CHCHCSO3-Na(アルキルベンゼンスルホン酸塩)、ROPO(OH)ONa(モノアルキルリン酸塩)である。ノニオン界面活性剤は、例えばRO(CHCHO)H(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、RCON(CHCHOH)(脂肪酸ジエタノールアミド)、ROCHCH(OH)CHOH(アルキルモノグリセリルエーテル)である。両性界面活性剤は、例えばR(CHNO(アルキルジメチルアミンオキシド)、R(CHCHCOO(アルキルカルボキシベタイン)である。高分子系界面活性剤は、例えばポリアリルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである。なおR=8~16である。
塗布工程において、水溶液Pに含まれるポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩の濃度は0.05g/L以上10.00g/L以下であることが好ましい。より好ましくは0.1g/L以上3.0g/L以下である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩の濃度を0.05g/L以上10.00g/L以下とすることにより、ステンレス板材10の表面に水溶性ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステルを含む化合物の膜(以後、水溶性りん酸エステルの膜と称する場合がある。)を形成することができ、ステンレス板材10とフォトレジスト膜20とを強く密着させることができる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩の濃度が10.00g/L以下であるため、水溶液Pをステンレス板材10に塗布した後の水洗で無駄に消費することがなく、経済的である。
水溶液Pをステンレス板材10に塗布する方法は、水溶液Pにステンレス板材10の少なくとも一部を浸漬処理するかまたは水溶液Pをステンレス板材10の少なくとも一部にスプレー処理する。浸漬処理する場合、その処理槽は、ステンレス板材10の表面に水溶液Pが不足なく接触するように撹拌または循環することが好ましい。またスプレー処理する場合は、ステンレス板材10の表面に十分な量の水溶液Pが塗布されるようスプレーノズルの構造やスプレー圧を維持することが好ましい。
塗布工程S1において、水溶液Pの温度は10℃以上60℃以下であることが好ましい。水溶液Pの温度を10℃以上60℃以下とすることにより、ステンレス板材10の表面の酸化を抑制し、水溶性リン酸エステルの膜がステンレス板材10に付着しやすくなる。
塗布工程S1において、水溶液Pにステンレス板材10を浸漬する時間または水溶液Pをステンレス板材10にスプレーする時間は5秒以上60秒以下であることが好ましい。処理時間を5秒以上60秒以下とすることにより、水溶性リン酸エステルの膜がステンレス板材10に付着しやすくなるとともに、単位時間あたりの生産効率も良好である。
塗布工程S1の後、水溶液Pを塗布したステンレス板材10を純水にて水洗及び乾燥する。水洗及び乾燥したステンレス板材10の表面には、少なくとも1分子膜(厚さが数nm)程度の水溶性りん酸エステルの膜が付着している。続いてレジスト形成工程S2を行う。レジスト形成工程S2は、ステンレス板材10の水溶液Pが塗布された表面にフォトレジスト21をパターン形成する工程である。
本実施形態では、ネガタイプのフォトレジスト21を形成する工程を例に説明する。図2(B)に示すように、水溶液Pを塗布したステンレス板材10の上面及び下面の少なくとも一部に、液体のフォトレジスト膜20を塗布し乾燥するか、または厚さ15μmのフィルム状のフォトレジスト膜(換言するとドライフィルム膜)20を例えば温度110℃、圧力0.3MPa、圧着時ローラー送り速度1.3m/minで熱圧着により密着させる。一般的にステンレスの表面には、負電荷を帯びる水酸基を持つCrを含む、厚く緻密な酸化被膜がある。本実施形態のステンレス板材10は、塗布工程S1を経ることにより、図3に示すように、その酸化被膜に水溶性りん酸エステルの膜が付着している。アニオン界面活性剤に属するリン酸エステル界面活性剤を含む水溶性リン酸エステルの膜は、その官能基の配向性により、カチオン界面活性剤のように帯電防止作用が働く。これによって、本来負電荷を帯びる水酸基を持つCrの酸化被膜が電気的に中和され、フォトレジスト膜20との密着性が向上する。つまり、本実施形態では、帯電性のあるアニオン界面活性剤を用いてステンレス板材10の表面の静電気的配向を変えることにより、ステンレス板材10とフォトレジスト膜20との密着性を向上させる。
次に、図2(C)に示すようにフォトレジスト膜20上にマスク30を設け、波長365nmの紫外線(UV)を出力60mJ/cmで3秒間照射する。続いて、このステンレス板材10のフォトレジスト膜20を、例えば60g/L以上100g/L以下の炭酸ナトリウムの現像液で24℃以上30℃以下処理する。これにより、図2(D)に示すように紫外線が照射されなかったフォトレジスト膜20が除去され、液体レジスト又はドライフィルムからなるフォトレジスト膜20から形成されたフォトレジスト21が配置されるとともに、ステンレス板材10の表面の一部が露出する。
フォトレジスト膜20を露光及び現像してフォトレジスト21をパターン形成した後、エッチング工程S3を行う。エッチング工程S3は、フォトレジスト21から露出するステンレス板材10の表面をエッチングする工程である。
図2(E)に示すように、フォトレジスト21に覆われていないステンレス板材10の表面にエッチング液を塗布、例えばスプレー処理すると、ステンレス板材10の表面が溶解する。このとき、フォトレジスト21とステンレス板材10とが密着しているため、フォトレジスト21とステンレス板材10との間へのエッチング液のしみ込みが抑制される。エッチング液は、例えば塩化第一鉄溶液又は塩化第一銅溶液である。そしてエッチング処理後、図2(F)に示すように、炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液によりフォトレジスト21を除去することにより、ステンレス板材10がエッチングされた領域でありマスク30と略同じ形状のエッチングパターン80を有するステンレス板11を得ることができる。
なおエッチング液の処理時間を調整することによりエッチングパターン80の深さを変えてもよい。例えばステンレス板材10の表面に凹部を形成したり、ステンレス板材10を貫通したりしてもよい。また本実施形態において、図2(B)~図2(F)ではフォトレジスト21としてネガタイプを用いて説明しているが、ポジタイプでも適用可能である。
従来、ステンレス板材をエッチングにより加工する場合、ステンレス板材とフォトレジストとの密着力が弱く、微細なエッチングパターンを精密に形成することが困難であった。本実施形態のステンレス板の製造方法では、塗布工程S1を経ることにより、ステンレス板材10の表面の酸化被膜に帯電性のあるアニオン界面活性剤を含む水溶性りん酸エステルの膜を付着させる。これにより、ステンレス板材10の表面の静電気的配向を変え、ステンレス板材10とフォトレジスト21(フォトレジスト膜20)との密着性を向上させる。このように、ステンレス板材10とフォトレジスト21との密着性を向上させてエッチング液のしみ込みを防ぐことにより、微細なエッチングパターン80が精度よく形成されたステンレス板11を作製することができる。また、水溶液Pでステンレス板材10を処理する塗布工程S1において、ステンレス板材10はほとんど溶解せず、ステンレス板材10の表面荒れや変色等の外観の劣化を抑制することもできる。
<第2実施形態>
図4及び図5を参照して、第2実施形態に係るステンレス板を説明する。図4は、本実施形態におけるエッチングパターンが形成されたステンレス板の一例を説明するための上面図である。図5は、マスクの上面視の形状の一例を示す上面図である。なお、第1実施形態と同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。この点は以降に示す実施形態においても同様とする。
図4は、縦60.0mm、横90.0mm、厚さ0.4mmのステンレス板材10を用いて第1実施形態で説明した製造方法により形成された複数のエッチングパターン80を備えるステンレス板11の上面を示す。上面視が長方形のステンレス板11の上面には、長辺側に45個ずつ、短辺側に3個ずつ、合計96個のエッチングパターン80が配置されている。長方形の長辺側の上下それぞれに配置された45個のエッチングパターン80は、それぞれ隣り合うエッチングパターン80と等間隔で並んでいる。また短辺側の左右それぞれに配置された3個のエッチングパターン80も、それぞれ隣り合うエッチングパターン80と等間隔で並んでいる。各エッチングパターン80は、図5に示すように、上面視で幅xが0.1mm、幅yが0.5mmの略十字形状のマスクを用いて形成したものであり、このマスクと略同じ形状を有している。なおステンレス板11の上面からのエッチングパターン80の深さは例えば0.005mm以上0.1mm以下である。
エッチングパターン80の上面視の形状はこれに限らず、三角形、四角形等の多角形や円形、楕円形等であってもよい。このように、ステンレス板材10の所望の位置に、所望の数及び形状のエッチングパターン80が形成されたステンレス板11を得ることができる。
<第3実施形態>
図6、図7(A)~図7(F)を参照して、本実施形態に係るステンレス板を用いて作製された発光装置、及びその発光装置を作製する工程を説明する。図6は、本実施形態におけるエッチングパターンが形成されたステンレス板を用いて作製した発光装置の一例を示す断面図である。図7(A)~図7(F)は、本実施形態におけるエッチングパターンが形成されたステンレス板を用いて発光装置を作製する工程を説明するための図である。
本実施形態では、ステンレス板11を用いて発光装置70を製造する工程において、エッチング工程S3で形成されたエッチングパターン80を画像認識する工程を備える。詳細には、エッチングパターン80は発光装置70を作製する際に、ステンレス板11上に発光装置70の構成部材を配置する工程において、構成部材を配置する位置を把握したり決定したりするための目印として、画像認識に使用することができる。
まず、この方法で得られる発光装置70の構成について説明する。発光装置70は、少なくとも正負一対の電極64を有する発光素子63と、発光素子63の主発光面上に設けられた波長変換層61及び透光層60と、発光素子63と波長変換層61とを接着する接着樹脂62と、少なくとも発光素子63の側面及び接着樹脂62を被覆する反射部材65と、を備える。発光装置70の主発光面は、透光層60の上面である。また電極64は発光素子63の主発光面とは反対側(換言すると発光素子63の下面側)に設けられる。
まず、図7(A)に示すように、エッチングパターン80が形成されたステンレス板11の上面に、エッチングパターン80を覆わないように接着剤51として上面及び下面が粘着性のUVシートを配置する。次に図7(B)に示すように、接着剤51の上面に透光性の樹脂を含む透光層60を貼り合わせ、透光層60の上面に蛍光体等の波長変換物質を含有した樹脂からなる半硬化状態のシートを配置し、加熱加圧により硬化する。次に図7(C)に示すように、ブレード等によって溝52を形成し、波長変換層61を個片化して複数の領域に分ける。このとき、透光層60にブレードに起因する応力がかかるのを低減するために、透光層60を貫通しないように溝52を形成することが好ましい。次に図7(D)に示すように、複数領域に分けられた各波長変換層61上に、接着樹脂62を用いて電極64を含む発光素子63を接着する。発光素子63は、電極64が波長変換層61の反対側に位置するように配置される。次に図7(E)に示すように、溝52、透光層60、波長変換層61、接着樹脂62、電極64を含む発光素子63を圧縮成型により反射部材65で被覆する。反射部材65は電極64の全体を覆ってもよいが、その場合は発光装置70と発光装置70を実装する基板との電気的接続が可能になるように電極64の一部が露出するまで研削等を行う。そして図7(F)に示すように、溝52に位置する切断予定線CLに沿って透光層60及び反射部材65を切断し、接着剤51から分離する。この時、発光素子63をダイシングシートに転写させるとともに透光層60を接着剤51から分離し、透光層60側から切断予定線CLに沿ってダイサーで切断することにより、図6に示す発光装置70を得る。
上述のような発光装置70の作製において、波長変換層61の配置、波長変換層61の個片化、発光素子63の配置、反射部材65の圧縮成型、切断予定線CLでの切断等、各工程において発光装置の構成部材の位置を把握する精度が非常に重要である。本実施形態のエッチングパターン80は、設計された寸法のマスクと略同じ形状のパターンであるため、画像認識において位置決めの目印として好適に使用することができる。
発光装置70の構成部材について説明する。
(発光素子63)
発光素子63は、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等の種々の半導体を含むことが好ましい。半導体としては、InAlGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系半導体を使用することが好ましく、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等も使用できる。また発光素子63の主発光面とは反対側の面には少なくとも正負一対の電極64が設けられることが好ましい。電極64は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金等で構成することができる。
(波長変換層61)
波長変換層61は、発光素子63が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。波長変換層61は波長変換物質を含む。波長変換物質としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、M(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、CCA系蛍光体(例えば、(Ca,Sr)10(POCl:Eu)、又は、量子ドット蛍光体等を用いることができる。また、波長変換物質は、これらの蛍光体のうちの1種を単体で、又はこれらの蛍光体のうち2種以上を組み合わせて用いることができる。
(透光層60)
透光層60は、発光素子63及び波長変換層61それぞれの上に配置され、発光素子63及び波長変換層61を保護する部材である。透光層60の母材の材料は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などの樹脂、又はガラスである。透光層60の母材は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などのフィラーを含んでいてもよい。
(接着樹脂62)
接着樹脂62は、発光素子63と波長変換層61とを接着し、発光素子63からの光を波長変換層61に導光する部材である。接着樹脂62の材料は、例えばシリコーン樹脂である。
(反射部材65)
反射部材65は、発光素子63、波長変換層61及び透光層60の側面を覆い保護する部材である。反射部材65は、発光素子63からの光を上面側(波長変換層61側)に取り出すために光反射性を有することが好ましい。また、反射部材65は、白色であることが好ましく、反射部材65の母材中に、例えば酸化チタン、酸化マグネシウムなどの白色顔料を含有することが好ましい。反射部材65の母材は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などの樹脂又はこれらの変性樹脂が挙げられる。
<実施例>
実施例1として、下記の条件でステンレス板11を作製した。
縦60.0mm、横90.0mm、厚さ0.2mmの大きさのオーステナイト系SUS304のステンレス板材10を準備した。
まず、電解脱脂剤として商品名パクナエレクターZ-1(ユケン株式会社製)を水に溶解し50g/Lの濃度の水溶液を調製した。この水溶液にて、液温30℃、電流密度5A/dmでカソ-ド電解脱脂30秒を行い、ステンレス板材10の表面を清浄化した。その後、ステンレス板材10を室温の10%硫酸水溶液に浸漬し、浸漬活性化した。そして、水溶性Pとして0.1g/Lの濃度のポリオキエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社製プライサ-フA219B)水溶液を準備し、ステンレス板材10を25℃で5秒浸漬した。その後、ステンレス板材10を純水で洗浄し、乾燥した。
次に、ステンレス板材10の上面の全面及び下面の全面にフォトレジスト膜20として厚さ15μmのドライフィルム(日立化成株式会社製RY-3315)を配置し、温度110℃、圧力0.3MPaで上下から挟み込むようにして熱圧着した。その後、図5に示すパタ-ン(幅xが0.1mm、幅yが0.5mm)のマスク30をフォトレジスト膜20上に配置して、波長365nmの紫外線を60mJ/cmで3.2秒露光した。そしてマスク30を除去し、10g/L炭酸ナトリウム水溶液を用いて、ステンレス板材10を液温28℃にて75秒浸漬して現像を行い、フォトレジスト21のパターンを形成した。さらに、42ボーメ度の塩化第二鉄溶液にて、液温40℃、スプレー圧0.25 MPaで15秒エッチングを行い、幅xが0.1mm、幅yが0.5mm、深さが0.1mm以上0.3mm以下のエッチングパターン80を形成した。その後、25g/L水酸化ナトリウム溶液にて、液温50 ℃ で30秒処理してフォトレジスト21を除去し、ステンレス板11を得た。
実施例1で作製したステンレス板11について、エッチングパターン80の寸法を測定して、マスク30の設計寸法とエッチングパターン80との寸法の差異を確認し、ステンレス板材10とフォトレジスト21との密着力の良否を画像認識の可否により判定した。画像認識は、波長変換層個片化機、発光素子ダイボンダー、ハーフカットダイサーの装置でそれぞれ行った。発光装置70を作製する各工程において、各部材を実装する際にエッチングパターン80が認識され、部材の実装位置が指定する通りであった場合を画像認識可と判定した。そして画像認識が可の場合、ステンレス板材10とフォトレジスト21の密着状態が良好であっためエッチングパターン80が設計通りに形成できたと判断した。
同様に、実施例2~6では、水溶液Pのポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩の組成、液温、処理時間及び処理方法を変えてハーフエッチングしてエッチングパターン80を形成したステンレス板11を作製した。その他の処理工程及び処理条件は、実施例1と同じであった。なお実施例2では水溶液Pとして1.0g/Lの濃度のポリオキエチレントリデシルエ-テルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社製プライサ-フA215C)水溶液を用い、実施例3では水溶液Pとして0.3g/Lの濃度のポリオキエチレンアルキル(C8)トリデシルエ-テルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社製プライサ-フAL12H)水溶液を用いた。
また、比較例1として、ステンレス板材にフォトレジスト膜を塗布する前に、水溶液Pで処理せずにハーフエッチングし、エッチングパターンを形成したステンレス板を作製した。さらに、比較例2として、ステンレス板材にフォトレジスト膜を塗布する前に、25%りん酸水溶液にて40℃、15秒処理してハーフエッチングし、エッチングパターンを形成したステンレス板を作製した。その他の処理工程は、実施例1と同じ条件で行った。各実施例及び各比較例について、処理条件及び、マスクの設計値とエッチングパターン寸法との差異を表1に示す。
図8は、実施例1のステンレス板において、エッチングパターンを形成した領域の一部を示す写真である。図9は、比較例1のステンレス板において、エッチングパターンを形成した領域の一部を示す写真である。実施例1では、設計されたマスクの寸法とほぼ同等の形状でエッチングパターンを形成できたが、比較例1では、エッチングパターンの形状がマスクの設計形状と大きく異なっていた。実施例1~6では、水溶性のポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩を少なくとも1種以上含有した水溶液Pにステンレス板材を浸漬処理するかまたはステンレス板材に水溶液Pをスプレー処理することによって、ステンレス板材の表面に水溶性リン酸エステルの膜が形成され、ステンレス板材とフォトレジストとの密着が強固となり、これらの間へのエッチング液のしみ込みがほとんどなく、設計どおりの寸法のエッチングパターンが形成されたステンレス板を作製することができた。一方比較例1では、ステンレス板材とフォトレジストとの密着が十分ではないため、フォトレジストとステンレス板材との間にエッチング液がしみこみ、設計寸法から大きく異なる形状のエッチングパターンを得た。また、比較例2では、ステンレス板材を25%りん酸溶液で処理したことによりステンレス板材の表面粗さが大きくなり、フォトレジストとの密着が十分でなかったため、結果的にステンレス板材とフォトレジストとの間にエッチング液がしみ込み、設計されたエッチングパターンを形成することができなかった。
次に、水溶液Pでステンレス板材を処理すると、りん酸エステルを含む化合物がステンレス板材の表面に付着するか確認した。上述の実施例1~6と比較例1及び2の処理条件で50.0mm×50.0mm×0.2mmのステンレス板材を処理したあと、水洗及び乾燥したテストピ-スを作製した。それらテストピ-スをエネルギ-分散型検出器付きの走査電子顕微鏡(SEM-EDX:Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectrometry、堀場製作所SDD検出器付きの日立製作所SU8230)を用いて、加速電圧4kVの条件で組成分析を行った。その結果を表2に示す。
実施例1~6の条件で処理したステンレス板からは、りん酸エステルのりん元素が検出されたが、比較例1及び2の条件で処理したテストピ-スからはりん元素が検出されなかった。このことから、りん酸エステルを含む化合物がステンレス板材の表面に付着していることが確認された。また水溶液Pでステンレス板材を処理することにより、水溶性りん酸エステルまたはその塩がステンレス板材の表面に膜として形成されたため、ステンレス板材とフォトレジストとの密着力が向上し、エッチング工程においてステンレス板材とフォトレジストとの間へのエッチング液のしみ込みが抑制されたと考えられる。
10 ステンレス板材
11 ステンレス板
20 フォトレジスト膜
21 パターン形成されたフォトレジスト
30 マスク
40 界面活性剤
51 接着剤
52 溝
60 透光層
61 波長変換層
62 接着樹脂
63 発光素子
64 電極
65 反射部材
70 発光装置
80 エッチングパターン
CL 切断予定線

Claims (9)

  1. 水溶性のポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル又はその塩を少なくとも1種以上含有した水溶液にステンレス板材の少なくとも一部を浸漬処理または前記水溶液を前記ステンレス板材の少なくとも一部にスプレー処理する塗布工程と、
    前記ステンレス板材の前記水溶液が塗布された表面にフォトレジストをパターン形成するレジスト形成工程と、
    前記フォトレジストから露出する前記ステンレス板材の表面をエッチングするエッチング工程と、
    をこの順に備えるステンレス板の製造方法。
  2. 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステルは、下記の化学式(a-1)又は化学式(a―2)で示される請求項1に記載のステンレス板の製造方法。
    [式中、R:4~16、n:5~40である。]
    [式中、R:4~16、n:5~40である。]
  3. 前記フォトレジストが、液体レジスト又はドライフィルムである請求項1に記載のステンレス板の製造方法。
  4. 前記塗布工程において、前記水溶液の濃度が0.05g/L以上10.00g/L以下である請求項1に記載のステンレス板の製造方法。
  5. 前記塗布工程において、前記水溶液の温度が、10℃以上60℃以下である請求項1に記載のステンレス板の製造方法。
  6. 前記塗布工程において、前記水溶液に前記ステンレス板材を浸漬する時間または前記水溶液を前記ステンレス板材にスプレーする時間が5秒以上60秒以下である請求項1に記載のステンレス板の製造方法。
  7. 前記塗布工程において、前記ステンレス板材の厚さが、0.05mm以上5.00mm以下である請求項1に記載のステンレス板の製造方法。
  8. 前記ステンレス板材が、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系の何れか1種からなる請求項1に記載のステンレス板の製造方法。
  9. 請求項1~8の何れか1項に記載の前記ステンレス板を用いて発光装置を製造する工程において、前記エッチング工程で形成されたエッチングパターンを画像認識する発光装置の製造方法。
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