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JP7801754B2 - 被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定方法 - Google Patents
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JP7801754B2 - 被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定方法 - Google Patents

被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定方法

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Description

本発明は、被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定装置および測定方法に関する。
従来、例えば新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)等のウイルス感染の確定診断の手法として採用されている、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)において、TaqMan(登録商標)プローブ法を用いたリアルタイムPCRが知られている(例えば、特許文献1ならびに非特許文献1および2)。
TaqManプローブは、5’端に蛍光物質を有し、3’端にはクエンチャーを有する。この状態では、クエンチャーが蛍光物質の近くに存在しているので、励起光を与えても、蛍光物質の蛍光発生が抑制される。目的核酸配列が存在すると、PCRにおけるアニーリングステップで、プライマーとTaqManプローブとが目的核酸配列に結合する。その後の伸長ステップでは、Taqポリメラーゼが遺伝子を合成し、TaqポリメラーゼがTaqManプローブのところまで届くと、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、TaqManプローブが分解される。TaqManプローブが分解されると、クエンチャーが蛍光物質の蛍光発生を抑制しなくなるので、励起光を与えると、蛍光物質が蛍光を発するようになる。PCRの増幅が進むにしたがい、蛍光の発光強度が増大する。
一方、液相での拡散過程および界面での化学反応の解析や、多孔質電極の解析等に用いる手法として、電気化学インピーダンス法(Electrochemical Impedance Spectroscopy、EIS)が知られている。(以下、「EIS法」という。)EIS法は、耐食性評価、電析プロセスの評価、各種センサの性能評価、電池等のエネルギー変換デバイスの性能評価、および、誘電材料の電気特性評価等の様々な分野において用いられていることが報告されている。
このような中、DNA鎖を増幅して検出を行うDNAの分析および定量手法であるPCRにおいて、EIS法で測定対象物中の目的とするDNAを検出する手法が提案されている(例えば、特許文献2および非特許文献3)。
この手法は、EIS法による、インピーダンスを計測することによって溶液中に存在する対象物質を検出する方法である。対象物質のDNAをPCRで増幅し、その過程で、ルテニウム等金属錯体を二本鎖DNAに挿入させ、溶液中の媒介物質により、電極との電子の授受、すなわち酸化還元反応を起こす。この酸化還元反応をインピーダンスで測定する。例えば、対象物質が初期値から増加すると、当初存在していたインピーダンス変動物質が対象物質に取り込まれることから減少し、インピーダンス観測物質の電荷移動性を変動させる。この電荷移動性の変動をインピーダンス応答という形で検出することにより、対象物質の増加を検出する。
特許文献2および非特許文献3では、所定の測定サイクルが終了した後に、サイクル毎の電荷移動抵抗(Charge Transfer Resistance)Rctの増加量を確認し、Rctが急激に増加し始めた時点付近で、二本鎖DNAが顕著に増加したと判断している。
ctは、電荷移動反応の速度が電流と比例関係にあることから、反応の起こりにくさの指針となる。電荷移動反応が起こりやすい場合にはRctが小さくなり、起こりにくい場合にはRctが大きくなる。Rctは、EIS法で得られたインピーダンスをコールコールプロットで描いたときの半円状プロットの直径がほぼRctとなり、コールコールプロットから直感的にも分かりやすくなっている。
なおコールコールプロットは、インピーダンスの実部を横軸にし、インピーダンスの虚部を負を上向きにして縦軸に表示した、ナイキストプロットの一種であり、電気回路の構成に応じて特徴的な軌跡が描かれ、スペクトルの概要を視覚的に捉えやすくなっている。EIS法の一つであるFRA(Frequency Response Analyzer、周波数応答解析装置)法による自動計測では、一般に、コールコールプロットを作成する機能を備えている。
特開2013-188164号公報 国際公開WO2019/026517号公報
Proc Natl Acad Sci U S A. 1991 Aug 15; 88(16): 7276-7280. 「リアルタイムPCRの原理」、[online]、タカラバイオ株式会社[2022年1月7日検索]、インターネット<URL:https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100009037> 応用物理学会編 特別WEBコラム『新型コロナウイルス禍に学ぶ応用物理』、[online]、公益社団法人応用物理学会[2022年1月7日検索]、インターネット<URL:https://www.jsap.or.jp/columns-covid19/covid19_4-3-3>
特許文献1ならびに非特許文献1および2のようなTaqManプローブ法では、蛍光測定を行うために、励起光を発生するための光源と、目的とする波長の蛍光のみを検出する受光部が必要であり、装置が高額化かつ大型化するという課題があった。
特許文献2および非特許文献3では、対象物質であるDNAをPCRで増幅した際に、金属錯体が二本鎖DNAに取り込まれる結果として、媒介物質を介しての酸化還元反応が減ることによりシグナルが減る現象をとらえていた。したがって、対象物質の含有量とシグナルとが反比例する関係にあるので、本質的には検出感度が低くなる傾向があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、装置が安価で小型であり、検出感度を向上した目的核酸配列を測定するための測定装置および測定方法を提供する。
本発明はかかる課題を解決するため、目的核酸配列を含み得る被計測物のインピーダンスの変化を計測し、被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定装置を用いた測定方法であって、前記測定装置が、前記被計測物を収容する容器と、前記容器に設けられ、前記被計測物に接触する少なくとも一対の電極と、前記電極において前記インピーダンスを計測するインピーダンス計測部と、前記被計測物に印加する温度を調節する温度制御部と、を備え、前記被計測物が、前記被験検体と、インピーダンス観測物質と、前記目的核酸配列の標的配列に相補的な配列を持つプローブであって、インピーダンス変動置換基で修飾されたインピーダンス変動前駆物質と、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼと、プライマーと、を含む混合液であり、前記混合液に対してPCR(Polymerase Chain Reaction)を実施することで、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼによって、前記インピーダンス変動前駆物質が分解されてインピーダンス変動物質を生成する、測定方法を提供する。
前記測定方法では、前記測定装置は、前記インピーダンスが、所定の閾値をよぎったか否かを判定する判定部をさらに備える、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンス変動物質が、前記インピーダンス観測物質の電荷移動性を増強させるものであり、前記インピーダンス観測物質が、前記電極に対し電荷を発現し、前記インピーダンス変動物質以外とは相互作用を起こさないものである、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンス変動物質が、メチレンブルー、ナイルブルー、アントラキノン誘導体、ナフタレン誘導体、金属アンミン錯体、ならびに、有機配位子としてビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、および/または、ジピリドフェナジン誘導体を含む金属錯体からなる群から選択される酸化還元作用を有する化合物で修飾されているものである、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンス観測物質が、フェリシアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェロセン、および、これらの混合物からなる群から選択される酸化還元性電解質を形成する金属錯体である、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンスとして、前記インピーダンスの絶対値、前記インピーダンスの実部および前記インピーダンスの虚部のうち少なくとも1つを用いる、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンスとして、前記インピーダンスから算出される電荷移動抵抗の推定値を用いる、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンスの計測値に基づくコールコールプロットを、前記コールコールプロット上の2点以上を用いて半円に近似して、当該半円の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの差の絶対値を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて楕円に近似して、当該楕円の実軸方向の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、または、前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて円弧に近似して、当該円弧の虚部=0Ωにおける実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とする、としてもよい。
本発明はまた、PCR(Polymerase Chain Reaction)法とEIS(Electrochemical Impedance Spectroscopy)法とを組み合わせることにより被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定方法であって、前記目的核酸配列の標的配列に相補的な配列を持つプローブであって、インピーダンス変動置換基で修飾されたインピーダンス変動前駆物質を用い、前記被験検体と、インピーダンス観測物質と、前記インピーダンス変動前駆物質と、5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼとを含む混合液に対してPCR反応を実施し、前記ポリメラーゼによる前記インピーダンス変動前駆物質のインピーダンス変動物質への分解を惹起し、前記インピーダンス変動物質が、前記インピーダンス観測物質の電荷移動性を増強させることによって観測される前記混合液のインピーダンスの変化をEIS法によって計測する、測定方法を提供する。
前記測定方法では、前記インピーダンス変動物質が、前記インピーダンス観測物質の電荷移動性を増強させるものであり、前記インピーダンス観測物質が、前記インピーダンスを計測するための電極に対し電荷を発現し、前記インピーダンス変動物質以外とは相互作用を起こさないものである、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンス変動物質が、メチレンブルー、ナイルブルー、アントラキノン誘導体、ナフタレン誘導体、金属アンミン錯体、ならびに、有機配位子としてビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、および/または、ジピリドフェナジン誘導体を含む金属錯体からなる群から選択される酸化還元作用を有する化合物で修飾されているものである、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンス観測物質が、フェリシアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェロセン、および、これらの混合物からなる群から選択される酸化還元性電解質を形成する金属錯体である、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンスとして、前記インピーダンスの絶対値、前記インピーダンスの実部および前記インピーダンスの虚部のうち少なくとも1つを用いる、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンスとして、前記インピーダンスから算出される電荷移動抵抗の推定値を用いる、としてもよい。
前記測定方法では、前記インピーダンスの計測値に基づくコールコールプロットを、前記コールコールプロット上の2点以上を用いて半円に近似して、当該半円の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの差の絶対値を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて楕円に近似して、当該楕円の実軸方向の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、または、前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて円弧に近似して、当該円弧の虚部=0Ωにおける実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とする、としてもよい。
本発明の測定装置および測定方法によれば、従来のPCRの良さは維持しつつ、装置を安価で小型な構成とすることができる。また、従来のEIS法を用いたPCRによる検出方法に比べ、検出感度を向上することができる。
本発明の測定装置の好適な一実施形態としての基本構成例を模式的に示す斜視図である。 本発明の測定装置の好適な一実施形態としての基本構成例を模式的に示す側断面図である。 本発明の測定装置の好適な一実施形態としての基本構成例のインピーダンス計測部および判定部を示す図である。 インピーダンス計測部の一例を示す図である。 本発明の被計測物中に含まれるプローブ(インピーダンス変動前駆物質)の模式図である。 本発明の被計測物中に含まれるプライマーの模式図である。 本発明の対象物質となる目的核酸配列の模式図である。 PCRのアニーリングステップにおいて、プライマーとプローブが目的核酸配列に結合する様子を示す模式図である。 PCRの伸長ステップにおいて、ポリメラーゼが相補鎖を合成する様子を示す模式図である。 伸長反応が進み、ポリメラーゼがプローブを分解する様子を示す模式図である。 プローブが分解される様子を示す模式図である。 PCRサイクル数とインピーダンスとの関係を示すグラフ図である。 EIS法の測定対象物である被計測物の一般的な等価回路の一例を示す図である。 好適な一実施形態において、EIS法におけるコールコールプロットの一例を模式的に示す概略図である。 好適な一実施形態に係るコールコールプロットにおいて、高低2つの周波数で半円に近似して、その半円の直径をインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとする際の電荷移動抵抗Rctの求め方を模式的に示す概略図である。 好適な一実施形態に係るコールコールプロットにおいて、高低2つの周波数で計測したインピーダンスにおける実部の差、または、インピーダンスの差の絶対値をインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとすることを模式的に示す概略図である。 好適な一実施形態に係るコールコールプロットにおいて、3つの周波数で楕円に近似して、その楕円の実軸方向の直径をインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとすることを模式的に示す概略図である。 好適な一実施形態に係るコールコールプロットにおいて、3つの周波数で円弧に近似して、その円弧の虚部=0Ωにおける実部の差をインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとすることを模式的に示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の測定装置および測定方法の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または、発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。そのような変形や変更もまた、本発明の範囲に含まれる。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
<測定装置の構成>
図1は、本発明の測定装置1の好適な一実施形態としての基本構成例を模式的に示す斜視図である。測定装置1は、被計測物2(図2を参照)を収容する容器3と、容器3に設けられ、被計測物2に接触する少なくとも一対の電極4とを備える。図2は、測定装置1の側断面図である。容器3内には、被計測物2が収容される。容器3毎に被計測物2を収容することで、試験試料のコンタミネーション防止が図れる。電極4上には、一例としてシール部5を介して、被計測物2に印加する温度を調節する温度制御部6が設けられる。測定装置1は、電極4において被計測物2のインピーダンスZを計測するインピーダンス計測部7と、インピーダンスZが、所定の閾値Zthをよぎったか否かを判定する判定部8とを備える。測定装置1は、時間経過と共に、目的核酸配列9(図7を参照)を含み得る被計測物2のインピーダンスZの変化を計測し、目的核酸配列9の有無を判定する。
電極4は、インピーダンス変動物質B(図11を参照)の電荷移動変動をより強く発現させるため、その溶液側表面に、インピーダンス変動物質Bと親和性を有する化合物Cを配することが好ましい。この親和性を有する化合物Cは、電極4表面を修飾するように配され、例えば、薄膜層として存在することが好ましい。インピーダンス変動物質Bが化合物Cの薄膜層内に留まるような構造をとることができる場合は、薄膜層内に存在していたインピーダンス変動物質Bの量が変動することにより、膜抵抗も変動することとなり、急激なインピーダンスZの変動として検出することができる。なお、インピーダンス変動物質Bは、薄膜層内に留まっているだけでなく、薄膜層を通過して電極4に到達している場合においても、その量の変動がインピーダンスZの変動として検出することができる。
親和性を有する化合物Cとしては、PCR反応液成分、増幅成分、生体由来物質等に対する相互作用の小さい化合物であることが好ましく、例えば、ポリマー、SAM膜が挙げられる。構造表面は、例えば水酸基、エーテル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、リン酸基、スルホン酸基等の官能基が配置される。ポリマー材料である場合、その主鎖あるいは、側鎖、あるいはその両方に官能基が配置される。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、多糖類等が挙げられる。
電極4に化合物Cを配する方法は周知の方法を適用することができる。周知の手法を用いて、電極4上に電解重合、光重合、熱重合、ラジカル重合等を適用して化合物Cを形成させることも可能である。薄膜層は、インピーダンス観測物質Aが出入り可能で、インピーダンス変動物質Bが吸脱着可能なポーラス構造を有する材料であることが望ましく、0.001~10μmの厚さであることが好ましい。
電極4は、電気化学計測用の電極であれば材料は特に限定されないが、電極4表面に化合物Cを配する場合は、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラック等から構成されるカーボン電極、金電極、ITO等の導電性酸化物電極であることが好ましい。
図3に示すように、インピーダンス計測部7は、被計測物2の特定の周波数におけるインピーダンスZを、例えば四端子法により計測する。この特定の周波数は、単一の周波数でもよいし、複数の周波数を切り替えて複数回の計測としてもよい。インピーダンス計測部7は、例えば、図4に示すように、特定の周波数の信号を印加する信号源10と、その周波数の電流および電圧(共にベクトル値)を計測する電流電圧計測手段11とを有し、インピーダンスZは電圧/電流で求めることができる。インピーダンスZの測定には、例えば上記のFRAを用いることができる。なお、インピーダンス計測部7は、測定装置1に含めてもよいし、測定装置1の外部の装置としてもよい。本実施形態では、例えば、PCRサイクルごとにインピーダンスZの計測を行う。
判定部8は、例えば、図示しない演算処理手段としてのCPU(中央演算装置)や、記憶手段としてのメモリを備え、メモリに記憶されたソフトウェアプログラムにより、インピーダンスZの計測値を入力として、インピーダンスZが所定の閾値Zthをよぎったか否かによって被験検体中の目的核酸配列9の有無を出力したり、後述する方法による目的核酸配列9の定量結果を出力したりする。
<被計測物>
被計測物2は、目的核酸配列9を含み得る被験検体と、インピーダンス観測物質Aと、プローブ12(図5を参照)としてのインピーダンス変動前駆物質と、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼと、プライマー13(図6を参照)とを含む混合液である。
(目的核酸配列)
本実施形態の測定装置1および測定方法は、被験検体中の目的核酸配列9が核酸、核酸構造を分子内に有する化合物に好適に用いることができ、特にPCR法による核酸の増幅物である、二本鎖DNAの増加をモニタリングするのに適している。
RNAウイルスの感染を検出する場合には、被験検体(宿主)から試験試料を採取する。採取した試験試料からRNAを抽出した後、cDNAを合成し、鋳型DNAとして用いる。
(インピーダンス観測物質)
インピーダンス観測物質Aは、電極4に対し電荷を発現する、インピータンス計測の対象となるものであり、インピーダンス変動物質B以外とは相互作用を起こさないもの、起こしても極めて小さいものであることが好ましい。溶液中でのインピーダンス観測物質Aの移動度の変動が、電極4に対してインピーダンスの変動として認識される。
インピーダンス観測物質Aは、例えば、フェリシアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェロセン、および、これらの混合物からなる群から選択される酸化還元性電解質を形成する金属錯体である。
(プローブ)
プローブ12は、図5に示すように、目的核酸配列9の標的塩基配列に相補的な塩基配列を持つヌクレオチドであって、インピーダンス変動置換基B’で修飾されたインピーダンス変動前駆物質である。(図5では、インピーダンス変動置換基B’としてルテニウム錯体を例示している。)
インピーダンス変動置換基B’は、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を変動させる化合物から誘導される基である。インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を変動させる化合物は、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を増強する化合物であってもよく、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を減弱する化合物であってもよいが、感度の点からインピーダンス観測物質Aの電荷移動性を増強する化合物が好ましい。インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を変動させる化合物としては、メチレンブルー、ナイルブルー、アントラキノン誘導体、ナフタレン誘導体、金属アンミン錯体、ならびに、有機配位子としてビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、および/または、ジピリドフェナジン誘導体を含む金属錯体からなる群から選択される酸化還元作用を有する化合物等が挙げられる。金属錯体として、例えば、ルテニウム錯体等を用いることができ、ルテニウム錯体として、例えば、ビピリジン、ジピリドフェナジンを配位子としたルテニウム錯体や、ビス(2,2’-ビピリジン)ジピリド[3,2-a:2’,3’-c]フェナジンルテニウム(II)(Ru(bpy)DPPZ錯体)等を用いることができる。なお、後記のインピーダンス変動物質Bが塩基対にインターカレートすることは好ましくないため、例えば芳香族環3個以上が縮環した縮合環がインピーダンス変動置換基B’中にある場合は、縮合環部分にリンカーを介してプローブ12のヌクレオチドと結合することが好ましい。例えば、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を変動させる化合物として、ビス(2,2’-ビピリジン)ジピリド[3,2-a:2’,3’-c]フェナジンルテニウム(II)(Ru(bpy)DPPZ錯体)を用いる場合、有機配位子のうちジピリド[3,2-a:2’,3’-c]フェナジン部分にリンカーを介してプローブ12のヌクレオチドと結合することが好ましい。または、フェナントロリン骨格またはジピリドフェナジン骨格にかさ高い置換基を導入したフェナントロリン誘導体またはジピリドフェナジン誘導体を有機配位子としてもよい。
インピーダンス変動置換基B’による修飾は周知の方法を用いることができ、修飾するのはプローブ12のヌクレオチドの3’端でも5’端でもよいが、修飾のしやすさや安価であることからプローブ12のヌクレオチドの5’端を修飾することが好ましい。インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を変動させる化合物が有する官能基と直接プローブ12のヌクレオチドの5’端または3’端を修飾してもよく、クロスリンカーまたはスペーサー等を介してインピーダンス観測物質Aの電荷移動性を変動させる化合物をプローブ12のヌクレオチドの5’端または3’端を修飾してもよい。
例えば、目的核酸配列9の標的配列に相補的な配列を持つヌクレオチドの5’端の塩基中のアミノ基を、S-アセチルチゴグリコール酸N-スクシンイミジル(SATA)等のクロスリンカーと反応させたものと、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を変動させる化合物中の有機配位子の炭素原子に結合した水素原子1つを臭素原子で置換したものとを反応させることで、インピーダンス変動置換基B’で修飾されたインピーダンス変動前駆物質を得ることができる。
プローブ12の塩基配列は目的核酸配列9に応じて適宜決定されるが、プローブ12の塩基数は少なくとも20塩基であることが好ましく、30塩基程度であることがより好ましい。プローブ12の塩基数の上限値は例えば100塩基以下程である。例えば、インピーダンス変動置換基B’を5’端に修飾する場合、3’端に標的配列に非特異的な塩基配列を付加して、所望とする塩基数のプローブ12を得てもよい。
また、プローブ12は、電気化学的検出だけでなく、光学的検出にも使えるようにするため、蛍光を発する化合物や置換基で修飾されてもよい。
(ポリメラーゼ)
ポリメラーゼとしては、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼが使用でき、特に、PCRに常用されている、Taq DNAポリメラーゼ等の各種耐熱性ポリメラーゼが使用できる。
被計測物2である混合液には、上記のほか、必要に応じて、PCRに常用されている、緩衝液、塩および添加剤の1種または2種以上を、常用されている濃度で含んでいてもよい。
(インピーダンス変動物質)
インピーダンス変動置換基B’で修飾したプローブ12は、分子量が大きく拡散係数が小さいため、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性に作用せず、被計測物2のインピーダンスZは変動しない。
被計測物2である混合液に目的核酸配列9が存在し、混合液に対してPCR反応が実施されると、まず、PCRのアニーリングステップでは、プライマー13およびプローブ12が、目的塩基配列9の所定領域に相補的に結合し、続くPCRの伸長ステップでは、ポリメラーゼの作用により、プローブ12が分解され、インピーダンス変動物質Bを生成する。このインピーダンス変動物質Bは、プローブ12のヌクレオチドの5’端または3’端の1塩基がインピーダンス変動置換基B’で修飾されたものであり、分子量がインピーダンス変動前駆物質に比して小さく、拡散係数が大きいため、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を増強または減弱させる作用が大きくなる。
(プライマー)
プライマー13は、図6に示すように、目的核酸配列9の標的塩基配列に相補的な塩基配列を持つヌクレオチドであり、目的核酸配列9に応じて、適宜公知の方法で設計したものを使用できる。
<目的核酸配列の検出方法>
インピーダンス変動置換基B’で修飾したプローブ12は、分子量が大きいので拡散係数が小さいため、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性に作用せず、被計測物2のインピーダンスZは変動しない。
PCRのアニーリングステップでは、被計測物2中に目的核酸配列9が存在すると、図8に示すように、プローブ12およびプライマー13が、目的核酸配列9の所定領域に相補的に結合する。
PCRの伸長ステップでは、図9に示すように、伸長反応で、ポリメラーゼが相補鎖を合成する。
さらに伸長反応が進むと、図10に示すように、ポリメラーゼがプローブ12のところまで届き、ポリメラーゼがプローブ12をインピーダンス変動物質Bへ分解する。
図11に示すように、プローブ12が分解されると、インピーダンス変動物質Bの作用により、被計測物2のインピーダンスZが低下する。より具体的には、インピーダンス変動置換基B’で修飾されたプローブ12が分解されることで、インピーダンス変動置換基B’の修飾1個当たりの塩基の数が1塩基となり(インピーダンス変動物質B)、分子量が小さくなるので、拡散係数が増大する。拡散係数が増大することにより、インピーダンス観測物質Aの電荷移動性を例えば増強させる作用が大きくなり、インピーダンス観測物質AのインピーダンスZが低下する。図12に示すように、PCRの増幅が進むにしたがい、さらにインピーダンスZが低下する。
被計測物2中に目的核酸配列9が存在しない場合は、プローブ12は分解されないので、PCRサイクル数が増えても、被計測物2のインピーダンスZは変動しない。
したがって、図12において、インピーダンスZが、所定の閾値Zthをよぎった場合に、被計測物2中に目的核酸配列9が存在すると判定することができる。一方、所定のPCRサイクル数の後も、インピーダンスZが所定の閾値Zthをよぎらない場合は、被計測物2中に目的核酸配列9が存在しないと判定することができる。
PCR条件は、特に限定されないが、例えば、98℃2分間の初期変性ステップを行った後に、98℃10秒間の変性ステップ、55℃20秒間のアニーリングステップ、および、68℃30秒間の伸長ステップを1サイクルとして、40サイクル繰り返す。インピーダンス計測は、伸長ステップ後に行うことが好ましく、伸長ステップ直後、すなわち伸長ステップ後、次の変性ステップの前に行うことがより好ましい。インピーダンス計測の温度は適宜選択でき、インピーダンス計測はPCRサイクルごとに一定の温度で行うことが好ましい。
閾値Zthは、例えば、ある特定の被計測物2に対して予備実験をした結果から適宜決定することで、以後、同様の被計測物2に対して適用することができる。
<目的核酸配列の定量測定>
目的核酸配列9の定量測定は、リアルタイムPCRで周知の絶対定量法および相対定量法と同様の方法で行うことができる。絶対定量法では、例えば、Y軸にC値(増幅曲線が閾値に達した時のPCRサイクル数)、X軸にスタンダード量を取った検量線を書き、目的核酸配列9の量を定量すればよい。相対定量法では、例えば、希釈率またはテンプレート量の対数値(X軸)に対してC値(Y軸)をプロットし、それぞれの検量線を作成すればよい。
以上のように目的核酸配列9の検出および定量測定が可能な本実施形態の測定装置1および測定方法によれば、大規模な連続解析やリアルタイム分析を実現することができる。
<インピーダンスの計測値>
図13は、EIS法の測定対象物である被計測物2の一般的な等価回路の一例を示す図である。このような等価回路については、EIS法における従来技術で知られているところであり、簡単に説明する。被計測物2の種類によっては、図中の等価回路と異なる場合もある。
溶液抵抗Rは、被計測物2の抵抗率等で決まる電気抵抗成分である。電荷移動抵抗Rctは、電極4界面での被計測物2の反応による抵抗である。電気二重層静電容量Cdlは、被計測物2の静電容量成分を表す。ワールブルグインピーダンスWは、拡散抵抗を表す。
被計測物2中の電荷移動を担う物質が取り込まれるような条件において、一例として、被計測物2のインピーダンスZの計測に基づく電荷移動抵抗Rctに関する計測により、被計測物2の化学的性質の変化の進捗を知ることができる。
このような等価回路のインピーダンスZは、例えば、数kHz程度以上の高い周波数における計測では、ほぼ溶液抵抗Rとなる。等価回路で、電気二重層静電容量Cdlが短絡と近似できる周波数領域に相当するからである。
電気二重層静電容量Cdlによる容量リアクタンスの絶対値に対して電荷移動抵抗Rctの絶対値が無視できない程度の大きさとなるような周波数、例えば、数百Hzから数Hz程度の周波数領域では、コールコールプロットにおいて半円状のインピーダンスを示す。計測を行う周波数として、当該半円の頂点付近になる周波数を選択すれば、インピーダンスの虚部は電荷移動抵抗Rctの半分程度になる。すなわち、一つの周波数による計測におけるインピーダンスの虚部によって、インピーダンス計測を行うことが可能である。また、当該半円の頂点付近になる周波数を複数選択して計測を行い、そのインピーダンスの虚部の値の平均をとることなども可能である。
周波数が低いと、電気二重層静電容量Cdlが開放と近似できる周波数領域に近づくため、等価回路のインピーダンスは、溶液抵抗Rと電荷移動抵抗Rctの和に近づく。すなわち、計測を行う周波数としてこのような低い周波数を選択すれば、インピーダンスの実部は溶液抵抗Rと電荷移動抵抗Rctの和に近くなる。つまり、一つの周波数による計測におけるインピーダンスの実部によって、インピーダンス計測を行うことが可能である。また、当該電気二重層静電容量Cdlが開放と近似できる周波数を複数選択して計測を行い、そのインピーダンスの実部の値の平均をとることなども可能である。さらに、インピーダンスの実部の代わりにインピーダンスの絶対値を用いることも可能であり、特に、当該周波数においてインピーダンスの虚部がゼロではない場合に有効な場合がある。
例えば、数Hz以下のようなさらに低い周波数領域では、ワールブルグインピーダンスWによる変化が支配的になるようなインピーダンスの変化を示す。すなわち、周波数が低くなるにつれて、インピーダンスの実部と虚部が共に増加するような変化が生じる。
図14は、EIS法におけるコールコールプロットの一例を模式的に示す概略図である。このコールコールプロットから分かるように、インピーダンスの絶対値|Z|と、インピーダンスの実部Zrealとの間には大きな相違はない。インピーダンスの虚部も同様の傾向を示す。
図15は、コールコールプロットにおいて、高低2つの周波数で半円に近似して、その半円の直径をインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとする際の電荷移動抵抗Rctの求め方を模式的に示す概略図である。図中、溶液抵抗R、および、中心点が実軸上にある半円上の1点a-jbの2点が定まれば、b:(a-R)=(R+Rct-a):bなので、以下の式により、高低2つの周波数fで計測したインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctが求められる。溶液抵抗Rは、例えば少なくとも1回、例えば1kHz以上の高い周波数におけるインピーダンスの計測により溶液抵抗Rに相当するインピーダンスを計測すればよく、例えば、周波数f=1kHzにおけるインピーダンス計測値の実部Zrealとすることができる。
インピーダンスの絶対値、虚部、実部のいずれかを用いる場合は、1つの周波数の計測結果でも複数の周波数の計測結果でもよいことを前述した。一方、この半円への近似による方法では、最低2つの周波数(コールコールプロット上の2点)における計測結果が必要である。さらに、より多くの周波数における計測結果を用いて半円への近似を行い、それらの平均を取るなどの方法も可能である。
図16は、コールコールプロットにおいて、高低2つの周波数で計測したインピーダンスにおける実部の差、またはインピーダンスの差の絶対値(ベクトル差の絶対値)を、インピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとすることを模式的に示す概略図である。この方法においても、最低2つの周波数(コールコールプロット上の2点)における計測結果が必要である。さらに、より多くの周波数における計測結果を用いて、それらの平均を取るなどの方法も可能である。
図17は、コールコールプロットにおいて、3つの周波数で楕円に近似して、その楕円の実軸方向の直径をインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとすることを模式的に示す概略図である。具体的な対象物における実測結果では、半円が縦につぶれたようなコールコールプロットになることも多いので、楕円に近似することによってより正確な近似を行うことができる場合がある。この方法においては、最低3つの周波数(コールコールプロット上の3点)における計測結果が必要である。さらに、より多くの周波数における計測結果を用いて、それらの平均を取るなどの方法も可能である。なお、具体的な対象物における実測結果において、もし半円が縦に伸びたようなコールコールプロットであっても(すなわち、実軸方向の直径が短径であっても)、同様に近似が可能である。
図18は、コールコールプロットにおいて、3つの周波数で円弧に近似して、その円弧の虚部=0Ωにおける実部の差をインピーダンスから推定した電荷移動抵抗Rctとすることを模式的に示す概略図である。半円の中心が実軸よりも下側にあるような状態に近いコールコールプロットにおいては、円弧に近似することによってより正確な近似を行うことができる場合もある。この方法においても、最低3つの周波数(コールコールプロット上の3点)における計測結果が必要である。さらに、より多くの周波数における計測結果を用いて、それらの平均を取るなどの方法も可能である。
かように、インピーダンスから推定する電荷移動抵抗Rctの求め方は例示しているだけでも5通りある。被計測物2のインピーダンスZの求め方は、インピーダンスの実部・虚部・絶対値を加えて、例示しているだけでも8通りあることになるが、これらに限定するものではない。
以下の実施例において、ゲノムDNAの調製、PCR等は、当業者に周知慣用の方法を用いて行うことができる。例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual, 4th ed.(Michael R. Green and Joseph Sambrook)等を参照されたい。
<PCRおよびインピーダンス計測>
PCRは一例として、表1(組成)、表2(反応条件)および表3(配列)に示す条件で実施する。ヒトβアクチン遺伝子座を含むヒト細胞由来ゲノムDNAをヒト細胞から調製し、鋳型DNAとして用いる。KOD FX(東洋紡株式会社)を用いて製造者の指示に従ってPCRを行う。また、PCR用プライマーおよびインピーダンス観測物質(フェリシアン化物およびフェロシアン化物)は、市販のものを用いる。
インピーダンス変動前駆物質(Ru錯体修飾プローブ)は、例えば以下の文献に記載の方法にしたがって調製する。
Jing-Tang Linら、”A Sulfhydryl-Reactive Ruthenium (II) Complex and Its Conjugation to Protein G as a Universal Reagent for Fluorescent Immunoassays”、PLOS ONE、Volume 7、Issue 4、2012年4月
目的核酸配列の測定は、インピーダンスを計測可能な測定装置を用いて行う(図3)。インピーダンスは、PCRを行いながら、インピーダンス観測物質の変化を指標にして計測する(図12、図14)。インピーダンスの計測は、表2の伸長ステップ後に行う。インピーダンスの計測条件は、一例として、電圧100mV、周波数は10kHz~0.1Hzとする。
別の一例として、PCRは、表4(組成)、表5(反応条件)および表6(配列)に示す条件で実施することもできる。表5では、アニーリングステップと伸長ステップを一つのステップとして実行しているが、このような場合でも同様に本発明を適用可能である。ヒトβアクチン遺伝子座を含むヒト細胞由来ゲノムDNAをヒト細胞から調製し、鋳型DNAとして用いる。Premix Ex Taq(登録商標)(タカラバイオ株式会社)を用いて製造者の指示に従ってPCRを行う。また、PCR用プライマーおよびインピーダンス観測物質(フェリシアン化物およびフェロシアン化物)は、市販のものを用いる。そのほかの条件は、インピーダンスの計測を、表5のアニーリングおよび伸長ステップ後に行う以外は実施例1と同様にして、PCRを行いながら、インピーダンスを計測し、目的核酸配列の測定を行う。
PCRにおいて、インピーダンス変動前駆物質の核酸配列として、配列番号7に記載のものを用いる代わりに、配列番号8に記載のものを用いる以外は、実施例2と同様に、PCRを行いながら、インピーダンスを計測し、目的核酸配列の測定を行う。
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。種々の変形実施も本発明の範囲に含まれる。
1 測定装置
2 被計測物
3 容器
4 電極
5 シール部
6 温度制御部
7 インピーダンス計測部
8 判定部
9 目的核酸配列
10 信号源
11 電流電圧計測手段
12 プローブ(インピーダンス変動前駆物質)
13 プライマー
B インピーダンス変動物質
B’ インピーダンス変動置換基
溶液抵抗
ct 電荷移動抵抗
Z インピーダンス
th 閾値

Claims (15)

  1. 目的核酸配列を含み得る被計測物のインピーダンスの変化を計測し、被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定装置を用いた測定方法であって、
    前記測定装置が、
    前記被計測物を収容する容器と、
    前記容器に設けられ、前記被計測物に接触する少なくとも一対の電極と、
    前記電極において前記インピーダンスを計測するインピーダンス計測部と、
    前記被計測物に印加する温度を調節する温度制御部と、
    を備え、
    前記被計測物が、
    前記被験検体と、
    インピーダンス観測物質と、
    前記目的核酸配列の標的配列に相補的な配列を持つプローブであって、インピーダンス変動置換基で修飾されたインピーダンス変動前駆物質と、
    5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼと、
    プライマーと、
    を含む混合液であり、
    前記混合液に対してPCR(Polymerase Chain Reaction)を実施することで、前記5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼによって、前記インピーダンス変動前駆物質が分解されてインピーダンス変動物質を生成する、測定方法
  2. 前記測定装置は、前記インピーダンスが、所定の閾値をよぎったか否かを判定する判定部をさらに備える、請求項1に記載の測定方法
  3. 前記インピーダンス変動物質が、前記インピーダンス観測物質の電荷移動性を増強させるものであり、
    前記インピーダンス観測物質が、前記電極に対し電荷を発現し、前記インピーダンス変動物質以外とは相互作用を起こさないものである、請求項1または2に記載の測定方法
  4. 前記インピーダンス変動物質が、メチレンブルー、ナイルブルー、アントラキノン誘導体、ナフタレン誘導体、金属アンミン錯体、ならびに、有機配位子としてビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、および/または、ジピリドフェナジン誘導体を含む金属錯体からなる群から選択される酸化還元作用を有する化合物で修飾されているものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定方法
  5. 前記インピーダンス観測物質が、フェリシアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェロセン、および、これらの混合物からなる群から選択される酸化還元性電解質を形成する金属錯体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の測定方法
  6. 前記インピーダンスとして、前記インピーダンスの絶対値、前記インピーダンスの実部および前記インピーダンスの虚部のうち少なくとも1つを用いる、請求項1~5のいずれか1項に記載の測定方法
  7. 前記インピーダンスとして、前記インピーダンスから算出される電荷移動抵抗の推定値を用いる、請求項1~5のいずれか1項に記載の測定方法
  8. 前記インピーダンスの計測値に基づくコールコールプロットを、前記コールコールプロット上の2点以上を用いて半円に近似して、当該半円の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、
    前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、
    前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの差の絶対値を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、
    前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて楕円に近似して、当該楕円の実軸方向の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、または、
    前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて円弧に近似して、当該円弧の虚部=0Ωにおける実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とする、請求項7に記載の測定方法
  9. PCR(Polymerase Chain Reaction)法とEIS(Electrochemical Impedance Spectroscopy)法とを組み合わせることにより被験検体中の目的核酸配列を測定するための測定方法であって、
    前記目的核酸配列の標的配列に相補的な配列を持つプローブであって、インピーダンス変動置換基で修飾されたインピーダンス変動前駆物質を用い、
    前記被験検体と、インピーダンス観測物質と、前記インピーダンス変動前駆物質と、5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼとを含む混合液に対してPCR反応を実施し、
    前記ポリメラーゼによる前記インピーダンス変動前駆物質のインピーダンス変動物質への分解を惹起し、
    前記インピーダンス変動物質が、前記インピーダンス観測物質の電荷移動性を増強させることによって観測される前記混合液のインピーダンスの変化をEIS法によって計測する、測定方法。
  10. 前記インピーダンス変動物質が、前記インピーダンス観測物質の電荷移動性を増強させるものであり、
    前記インピーダンス観測物質が、前記インピーダンスを計測するための電極に対し電荷を発現し、前記インピーダンス変動物質以外とは相互作用を起こさないものである、請求項9に記載の測定方法。
  11. 前記インピーダンス変動物質が、メチレンブルー、ナイルブルー、アントラキノン誘導体、ナフタレン誘導体、金属アンミン錯体、ならびに、有機配位子としてビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、および/または、ジピリドフェナジン誘導体を含む金属錯体からなる群から選択される酸化還元作用を有する化合物で修飾されているものである、請求項9または10に記載の測定方法。
  12. 前記インピーダンス観測物質が、フェリシアン化物イオン、フェロシアン化物イオン、フェロセン、および、これらの混合物からなる群から選択される酸化還元性電解質を形成する金属錯体である、請求項9~11のいずれか1項に記載の測定方法。
  13. 前記インピーダンスとして、前記インピーダンスの絶対値、前記インピーダンスの実部および前記インピーダンスの虚部のうち少なくとも1つを用いる、請求項9~12のいずれか1項に記載の測定方法。
  14. 前記インピーダンスとして、前記インピーダンスから算出される電荷移動抵抗の推定値を用いる、請求項9~12のいずれか1項に記載の測定方法。
  15. 前記インピーダンスの計測値に基づくコールコールプロットを、前記コールコールプロット上の2点以上を用いて半円に近似して、当該半円の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、
    前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、
    前記コールコールプロット上の2点以上を用いた前記インピーダンスの差の絶対値を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、
    前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて楕円に近似して、当該楕円の実軸方向の直径を前記電荷移動抵抗の推定値とするか、または、
    前記コールコールプロットを、前記コールコールプロット上の3点以上を用いて円弧に近似して、当該円弧の虚部=0Ωにおける実部の差を前記電荷移動抵抗の推定値とする、請求項14に記載の測定方法。
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