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JP7802467B2 - 加熱調理用ホイップドクリームおよび該加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品 - Google Patents
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JP7802467B2 - 加熱調理用ホイップドクリームおよび該加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品 - Google Patents

加熱調理用ホイップドクリームおよび該加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品

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Description

本発明は、加熱調理用ホイップドクリームおよびその製造方法、ベーカリー製品およびその製造方法、ホイップドクリームの製造方法、並びに、ホイップドクリームの泡立ちを維持する方法に関する。
ベーカリー製品やデザート類において、ホイップドクリームはナッペしたり、デコレーションに使用したりする重要な要素の1つである。大量生産したベーカリー製品やデザート類を冷蔵・冷凍流通させることが多くなってきており、ホイップドクリームも冷蔵・冷凍保存を想定した技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、生クリームに安定剤としてアラビアガムを0.3~10%添加し、必要に応じて更に冷水可溶性カラギナンを0.01~1.0%添加することにより、滑らかな食感を保ちながらデコレートしたときの形を安定に保持することが可能で、冷蔵しても乾燥,硬化が起こりにくく、低糖度での離水も少ないホイップクリームを作ることができ、ホイップの作業性にも優れた起泡性クリームの技術が開示されている。
また、特許文献2には、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、植物性蛋白加水分解物とカラギーナンとの組合せ、および低脂肪含有量と乳製品との主組成物からなることで、ホイップクリーム状食品の起泡後の凍結保存の可能性および解凍後のホイップクリームの食感、組織の変性の難点を解消したホイップクリーム状食品が開示されている。
さらに、特許文献3には、エステル化度が30~50%のペクチンを、0.25~1.0重量%含有させることで、冷蔵保存後や凍結解凍後における離水が防止され、また、ダレが防止されデコレーションした時の保型性も良好であるホイップクリームが開示されている。
特開平9-37715号公報 特開平5-63号公報 特開2003-180280号公報
前述の通り、起泡後のホイップドクリームを冷蔵保存や冷凍保存する技術や、解凍後のホイップドクリームの品質を向上させる技術は、種々存在する。しかし、従来の技術においては、ホイップドクリームを加熱して喫食することは全く想定されていない。
また、本願発明者らは、ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品等の付加価値向上を目的に、ホイップドクリームを緩やかに崩れて広がっていく演出に注目した。しかしながら、ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品等を加熱すると、ベーカリー製品が温まる前に組み合わされたホイップドクリームが崩れて広がってしまったり、気泡が消えてしまい、ベーカリー製品等の食感が著しく低下したり、ホイップドクリームとベーカリー製品等の口どけのバランスが悪く、違和感があるといった問題が生じる場合があった。
そこで、本技術では、ホイップドクリームを加熱した場合においても、気泡を維持し、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の食感や口どけの低下を防止する技術を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の糖類と、特定の増粘剤とを、特定量含有させることで、ホイップドクリームを加熱した場合においても、気泡を維持し、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の食感や口どけの低下を防止することに成功し、本技術を完成させるに至った。
即ち、本技術では、まず、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類と、
グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤と、
を含有する加熱調理用ホイップドクリームであって、
前記糖類の含有量が、固形分として18~35質量%であり、
前記増粘剤の含有量が、0.1~0.3質量%である、
加熱調理用ホイップドクリームを提供する。
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームは、冷凍用として用いることができる。
また、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームは、冷凍された状態で流通させることもできる。
本技術では、次に、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされた、ベーカリー製品を提供する。
また、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームと、
該ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品と、
を含有する加熱調理用ベーカリー製品を提供する。
本技術に係るベーカリー製品および加熱調理用ベーカリー製品において、前記加熱調理用ホイップドクリームを組み合わせる前記ベーカリー製品中の脂質含有量は、3質量%以上とすることができる。
本技術に係るベーカリー製品および加熱調理用ベーカリー製品は、冷凍することができる。
本技術では、さらに、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類:固形分として18~35質量%と、
グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤:0.1~0.3質量%と、
を含有するホイップドクリームを加熱する加熱工程を行う、ホイップドクリームの製造方法を提供する。
また、本技術では、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類:固形分として18~35質量%と、
グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤:0.1~0.3質量%と、
を含有するホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品を加熱する加熱工程を行う、ベーカリー製品の製造方法を提供する。
本技術では、さらに、ホイップドクリームに、
単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類:固形分として18~35質量%と、
グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤:0.1~0.3質量%と、
を含有させることにより、加熱調理後のホイップドクリームの泡立ちを維持する方法を提供する。
本技術によれば、ホイップドクリームを加熱した場合においても、気泡を維持し、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の食感や口どけの低下を防止することができる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
1.加熱調理用ホイップドクリーム
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームは、原料となる流動性のクリームに後述する成分を添加した上で、ミキサー等の撹拌子(以下、単に「ホイッパー」ともいう。)でホイップする(泡立てる)ことにより、気泡を含有させたものである。
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームの原料として使用されるクリームは、特に限定されず、一般的なホイップドクリームに用いられるクリームを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。例えば、日本の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(以下、「乳等省令」という。)において「生乳、牛乳、又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもの」と規定されるフレッシュクリーム、及び乳等省令で規定される「乳又は乳製品を主要原料とする食品」に分類される乳主原クリーム、乳原料の代替原料として豆乳を用いた豆乳クリームなどが挙げられる。乳主原クリームは、乳脂肪分以外の成分(植物油脂、タンパク質、各種添加剤(乳化剤、安定剤、香料など)など)を含み、脂肪として乳脂肪のみを含む純乳脂タイプ(純乳脂クリーム)、脂肪として乳脂肪と植物油脂とを含む混合タイプ(いわゆるコンパウンドクリーム)、及び脂肪として植物油脂のみを含む純植物油脂タイプ(いわゆるノンデイリークリーム)に分類される。
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームは、喫食前に加熱することを特徴とする。前述の通り、ホイップドクリームは、ベーカリー製品等の食品に組み合わされることが多いが、従来のホイップドクリームが組み合わされた食品を加熱すると、組み合わせたホイップドクリームがベーカリー製品等が温まる前に崩れて広がってしまったり、気泡が消えてしまい、ベーカリー製品等の食感が著しく低下したり、ホイップドクリームとベーカリー製品等の口どけのバランスが悪く、違和感があるといった問題があった。しかしながら、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームは、後述する特定の糖類と、特定の増粘剤と、を特定量含有することで、加熱後も、気泡を維持し、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の食感や口どけの低下を防止することができる。
本発明において、「加熱調理」とは、一般的な加熱調理であれば特に限定されず、例えば、焼成、蒸し、マイクロ波加熱などが挙げられる。ただし、冷蔵や冷凍状態から常温(20℃程度)まで復温する行為やクリームを焦がす行為とは異なる。好ましい度合は、ホイップドクリームが30~50℃程度になる加熱調理である。
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームは、冷凍することができる。即ち、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームは、常温または冷蔵状態で流通し、冷凍保存することも可能であるし、冷凍状態で流通することも可能である。以下、各成分について、詳細に説明する。
(1)単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類
本技術では、後述する実施例で示す通り、重合度の高い糖を多く含む糖類を用いた場合、ホイップドクリームの加熱後の口どけが劣ってしまうことを見出した。そこで、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームには、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類を用いることを特徴とする。
単糖類としては、例えば、グルコース、フラクトース、マンノース、ガラクトース、プシコース、アロース、タガトースなどのヘキソース、キシロース、アラビノース、リボースなどのペントース、エリトロース、トレオースなどのテトロース等が挙げられる。
重合度が2~6のオリゴ糖としては、例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース等の二糖類;ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノース等の三糖類;マルトテトラオース、アカルボース、スタキオース等の四糖類;マルトペンタオース等の五糖類;マルトヘキサオース等の六糖類が挙げられる。
本技術では、グルコース、および重合度2~6のマルトオリゴ糖(マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース)およびこれらの還元糖から選ばれる1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類が好ましく、グルコース、および重合度2~6のマルトオリゴ糖から選ばれる1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類がより好ましい。甘味を強くしすぎないように、重合度3~6のマルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース)から選ばれる1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類がさらに好ましい。後述する実施例で示す通り、生クリーム100質量部に対し、マルトトリオースを固形分当たり57質量%含む糖類であるピュアトースP(甘味度35)を固形分として58質量部配合して本課題を達成していることから、重合度3~6のマルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース)から選ばれる1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含み、かつ、甘味度35以下の糖類がよりさらに好ましい。また、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の口どけの観点から、マルトトリオースを固形分当たり40質量%以上含む糖類が特に好ましい。
また、本技術に用いる糖類の状態は特に限定されず、粉体であっても液体であってもよいが、本技術では、作業性の観点から、ホイップドクリームの他の原料と素早く混合し、また泡立ちが早い液体状の糖類を用いることが好ましい。
本技術では、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類を含有する場合であっても、後述する実施例に示す通り、加熱調理用ホイップドクリーム中の、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類の含有量が固形分として18質量%未満であると、ホイップドクリームの加熱後の広がりが悪く、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の食感や口どけも劣ってしまうことを見出した。また、当該糖類の含有量が固形分として35質量%を超えると、ホイップドクリームが泡立ちにくくなったり、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の口どけが悪くなることが考えられる。
そこで、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームには、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類を、固形分として18~35質量%含有することを特徴とする。ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の口どけの観点から、当該糖類を、固形分として20~35質量%含有することが好ましく、20~30質量%含有することがより好ましい。また、グルコース、および重合度2~6のマルトオリゴ糖(マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース)およびこれらの還元糖から選ばれる1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類を、固形分として18~35質量%含有することが好ましく、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の口どけの観点から、固形分として20~35質量%含有することがより好ましく、20~30質量%含有することがさらに好ましい。
(2)グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームに用いる増粘剤は、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤である。ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の口どけの観点から、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される1以上の増粘剤であることが好ましい。
本技術では、これらの増粘剤を含有する場合であっても、後述する実施例に示す通り、加熱調理用ホイップドクリーム中の増粘剤の含有量が0.1質量%未満であると、ホイップドクリームの加熱後の広がりが悪く、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の食感も劣ってしまうことを見出した。また、本技術では、加熱調理用ホイップドクリーム中の増粘剤の含有量が0.3質量%を超えると、ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の口どけが劣ってしまうことを見出した。
そこで、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームには、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤を、0.1~0.3質量%含有することを特徴とする。ホイップドクリームと組み合わされた対象食品の口どけの観点から、加熱調理用ホイップドクリーム中の増粘剤の含有量が0.1~0.25質量%であることが好ましい。グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤は、ダマになりやすい性質があるため、粉体原料、例えば、砂糖などの粉末糖類に分散させた後、クリームなどの液体原料と混合させることが好ましい。
(3)その他
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームには、前述した糖、および増粘剤の他に、本技術の効果を損なわない限り、一般的なホイップドクリームに用いられている材料や添加物を1種または2種以上、自由に組み合わせて用いることができる。例えば、前述した糖以外の糖質類(澱粉分解物、デキストリン、重合度7以上のオリゴ糖等の糖質類)、澱粉類、食塩、炭酸カルシウム、メタリン酸ナトリウム等の塩類、乳化剤、酵素、pH調整剤、ビタミン類、甘味料、香辛料、調味料、ミネラル類、色素、香料、チョコレート、バター、マーガリン、ヨーグルト、コーヒー等の任意成分等を適宜含有させることができる。
2.ベーカリー製品
本技術に係るベーカリー製品は、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされていることを特徴とする。本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームの詳細は、前述と同一のため、ここでは説明を割愛する。
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされるベーカリー製品の種類は特に限定されず、一般的なベーカリー製品を用いることができる。例えば、スポンジケーキ、パウンドケーキ、ホットケーキ、パンケーキ、クレープ、ワッフル、ケーキドーナツ等の菓子類、ドーナツ、デニッシュ、ロールパン、食パン、菓子パン、ブリオッシュ等のパン等が挙げられる。
本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされるベーカリー製品は、加熱調理用ホイップドクリームを除く前記ベーカリー製品中の脂質含有量を、3質量%以上とすることが好ましく、5質量%以上とすることがより好ましく、8質量%以上とすることが更に好ましい。当該脂質含有量を3質量%以上とすることで、加熱後の本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが、ベーカリー製品に染み込むのを防止することができ、ベーカリー製品本来の食感が残りやすく好ましい。
また、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされるベーカリー製品は、焼成工程またはフライ工程を得て製造されていることが好ましい。本技術に用いるベーカリー製品が、焼成工程またはフライ工程を得て製造されていることで、その表面に本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが接した状態で加熱しても、加熱後の本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが、組み合わされたベーカリー製品に染み込むのを防止することができ、組み合わされたベーカリー製品本来の食感が残りやすく好ましい。
本技術に係るベーカリー製品は、冷凍することができる。即ち、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品は、常温または冷蔵状態で流通し、冷凍保存することも可能であるし、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品を冷凍状態で流通することも可能である。
3.ホイップドクリームの製造方法、ベーカリー製品の製造方法
本技術に係るホイップドクリームの製造方法は、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームを加熱する工程を含む方法である。本技術に係るベーカリー製品の製造方法は、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品を加熱する工程を含む方法である。本技術に係るベーカリー製品の製造方法は、加熱調理用ホイップドクリームが、本技術に用いるベーカリー製品の表面にトッピングされる工程を含むことが好ましい。また、本技術に用いるベーカリー製品の製造方法として、焼成工程またはフライ工程を含むことが好ましい。本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームの詳細、および、本技術に係る加熱調理用ホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品の詳細は、前述と同一のため、ここでは説明を割愛する。
本技術における加熱工程での加熱方法は、本技術の効果を損なわない限り、一般的な加熱方法を1種または2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、焼成、蒸し、マイクロ波加熱等が挙げられる。ただし、冷蔵や冷凍状態から常温(20℃程度)まで復温する行為やクリームを焦がす行為とは異なる。本技術における加熱工程は、ホイップドクリームが30~50℃程度になる加熱工程であることが好ましい。
本技術では、前記加熱工程の前に、冷蔵または冷凍工程を行うこともできる。冷蔵工程における冷蔵条件や冷凍工程における冷凍条件は、本技術の効果を損なわない限り、自由に設定することができる。
4.加熱調理後のホイップドクリームの泡立ちを維持する方法
本技術に係る加熱調理後のホイップドクリームの泡立ちを維持する方法は、ホイップドクリームに、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類:固形分として18~35質量%と、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤:0.1~0.3質量%と、を含有させた状態で加熱調理を行うことにより、加熱後のホイップドクリームの泡立ちを維持する方法である。本技術に用いる糖類や増粘剤の詳細は、前述と同一のため、ここでは説明を割愛する。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
なお、実施例で用いた糖類の種類を、以下の表1に示す。
<実験例1>
実験例1では、糖類の種類の違いによる加熱調理用ホイップドクリームの品質への影響を調べた。実験例1では、組み合わせるベーカリー製品の一例として、パンケーキを用いた。
(1)加熱調理用ホイップドクリームの製造
表2に記載する配合割合で各材料を混合し、最終的に表2に示した比重となるように泡立てて、加熱調理用ホイップドクリームを製造した。
(2)パンケーキの製造
ボウルに水60gを入れ、全卵35g、サラダ油(昭和産業製)22g、粉体原料(薄力粉(ル・ガトー:昭和産業製)100g、ベーキングパウダー(アイコク製)4g、食塩0.5g、砂糖20g)の順に添加、その都度泡立て器での撹拌混合し、パンケーキ用生地を調製した。どら焼き焼成機SDR-SGA(マスダック製)を用いて、調製したパンケーキ用生地(1枚当たり30g)を、180℃で2分間焼成した。
(3)冷凍保存・加熱調理
前記で製造したパンケーキの表面に、前記で製造した加熱調理用ホイップドクリームを20gトッピングし、さらに前記で製造したパンケーキをのせ、前記で製造した加熱調理用ホイップドクリームを20gトッピングした。その後、-35℃で1時間急速冷凍後、-20℃で1週間保存した。保存後、冷凍状態のまま、マイクロ波加熱(500Wで2分間の電子レンジ加熱)により加熱調理を行った。
(4)評価
加熱調理用ホイップドクリームがトッピングされたパンケーキについて、次の通り評価を行った。加熱調理後のホイップドクリームの広がりは、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル5名の合議で評価結果を決定した。なお、参考例1の加熱調理用ホイップドクリームの加熱前の粘度は5700mPa・s、加熱後の粘度は360mPa・sであった。粘度測定は、B型粘度計(TVB-10M:東機産業製)を用いて、回転数12rpmで測定した。また、ホイップドクリームとベーカリー製品の食感、口どけは、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル5名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
<加熱後の広がり>
5:参考例1の加熱前より緩やかに崩れて広がっていき、非常に良好である
4:参考例1の加熱前と同様に緩やかに崩れて広がっていき、良好である
3:参考例1の加熱前より崩れて広がるスピードは速いが、やや良好である
2:参考例1の加熱後より緩やかに崩れ広がっていくが、やや好ましくない
1:参考例1の加熱後と同様に素早く崩れて広がっていき、好ましくない
<食感>
5:ベーカリー製品本来の食感が感じられ、非常に良好である
4:ベーカリー製品本来の食感が残り、良好である
3:ベーカリー製品本来の食感がやや残り、やや良好である
2:ベーカリー製品本来の食感がややなくなり、やや劣る
1:ベーカリー製品本来の食感がなくなり、劣る
<口どけ>
5:ホイップドクリームとベーカリー製品がバランスよく口溶け、非常に良好である
4:ホイップドクリームとベーカリー製品が違和感なく口溶け、良好である
3:ホイップドクリームの口溶けがやや良好である
2:ホイップドクリームの口溶けがやや劣る
1:ホイップドクリームの口溶けが劣る
(5)結果
結果を表2に示す。
(6)考察
表2に示す通り、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類と、増粘剤と、を用いた実施例1~4は、全ての評価が良好であった。なお、ホイップドクリームを単体で喫食した際、含水結晶ぶどう糖を用いた実施例1ではとがった甘味であり、実施例2~4のホイップドクリームの方がまろやかな甘みで好ましかった。一方、重合度8以上の成分を固形分当たり73質量%含む糖類を用いた比較例1は、加熱後の口どけの評価が劣っていた。
<実験例2>
実験例2では、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を40質量%以上含む糖類の含有量の違いによる、加熱調理用ホイップドクリームの品質への影響を調べた。実験例2では、組み合わせるベーカリー製品の一例として、パンケーキを用いた。
(1)方法
実験例1と同様の方法で、加熱調理用ホイップドクリームの製造、パンケーキの製造、冷凍保存・加熱調理、および評価を行った。
(2)結果
結果を表3に示す。
(3)考察
表3に示す通り、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類の含有量が、固形分として18~36質量%の範囲である実施例2、4~10は、全ての評価が良好であった。なお、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類の製品形態が液状の場合、粉体の場合と比較して、ホイップドクリームの他の原料と素早く混合し、また泡立ちが早く好ましかった。一方、単糖類、重合度が2~6のオリゴ糖、およびこれらの還元糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類の含有量が固形分として18質量%未満である比較例2および3は、加熱後の広がりが悪く、食感や口どけの評価も劣っていた。
<実験例3>
実験例3では、増粘剤の種類の違いによる加熱調理用ホイップドクリームの品質への影響を調べた。実験例1では、組み合わせるベーカリー製品の一例として、パンケーキを用いた。
(1)方法
実験例1と同様の方法で、加熱調理用ホイップドクリームの製造、パンケーキの製造、冷凍保存・加熱調理、および評価を行った。
(2)結果
結果を表4に示す。
(3)考察
グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤を用いた実施例2、11~14は、全ての評価が良好であった。なお、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの方が、寒天に比べ、ホイップドクリームの他の原料と素早く混合し、また泡立ちが早く好ましかった。一方、α化澱粉を用いた比較例4は、加熱後の口どけの評価が劣っていた。
<実験例4>
実験例4では、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤の含有量の違いによる、加熱調理用ホイップドクリームの品質への影響を調べた。実験例2では、組み合わせるベーカリー製品の一例として、パンケーキを用いた。
(1)方法
実験例1と同様の方法で、加熱調理用ホイップドクリームの製造、パンケーキの製造、冷凍保存・加熱調理、および評価を行った。
(2)結果
結果を表5に示す。
(3)考察
表5に示す通り、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤の含有量が0.1~0.3質量%の範囲である実施例2、15、16は、全ての評価が良好であった。一方、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤の含有量が0.1質量%未満である比較例5は、加熱後の広がりが悪く、食感の評価も劣っていた。また、増粘剤の含有量が0.3質量%を超える比較例6は、口どけの評価が劣っていた。
<実験例5>
実験例5では、組み合わせるベーカリー製品の種類の違いによる各評価への影響を調べた。
(1)加熱調理用ホイップドクリームの製造
実験例1と同様の方法で、加熱調理用ホイップドクリームを製造した。
(2)ベーカリー製品の製造
<パンケーキ>
実験例1と同様の方法で、製造されたパンケーキ中の脂質含有量が3質量%、5質量%、10質量%になるように、サラダ油の量を6g、10.5g、22gとし、パンケーキを製造した。
<ロールパン>
ミキサーに、表6に示す割合で、油脂以外の材料を投入し、捏ね上げ温度27℃にて、低速3分間、中速4分間混捏後、油脂を加えて、さらに、低速2分間、中速3分間混捏した。温度27℃、湿度80%にて60分間、生地をたたみ直してさらに30分間のフロアタイムをとった。生地を65gずつに分割し、さらに27℃、湿度80%にて20分間のベンチタイムをとった。その後、ミニモルダー(オシキリ製)にて圧延後、ロール成形し、温度38℃、湿度85%にて約50分間ホイロをとった後、200℃で10分間焼成し、ロールパンを製造した。製造されたロールパンの脂質含有量は、8質量%であった。
<ドーナツ>
ミキサーに、表7に示す割合で、油脂以外の材料を投入し、捏ね上げ温度27℃にて、低速3分間、中速3分間混捏後、油脂を加えて、さらに、低速2分間、中速4分間混捏した。温度27℃、湿度75%にて60分間のフロアタイムをとり、45gずつに分割し、さらに27℃、湿度75%にて15分間のベンチタイムをとった。その後、所定の形に成形し、温度35℃、湿度70%にて約30分間ホイロをとった後、180℃で1分~1分30秒間、反転させて1分~1分30秒間油ちょうし、ドーナツを製造した。製造されたドーナツ中の脂質含有量は、17質量%であった。
(3)冷凍保存・加熱調理
前記で製造した各ベーカリー製品の表面に、前記で製造した加熱調理用ホイップドクリームを40gトッピングし、-35℃で1時間急速冷凍後、-20℃で1週間保存した。保存後、冷凍状態のまま、マイクロ波加熱(500Wで2分間の電子レンジ加熱)により加熱調理を行った。
(4)評価
実験例1と同様の方法で、評価を行った。
(5)結果
結果を表8に示す。
(6)考察
表8に示す通り、ベーカリー製品の種類に関わらず、全ての評価は良好であった。脂質含有量に着目すると、ベーカリー製品中の脂質含有量が5質量%以上であるとき食感や口どけの評価が高く、8質量%以上であるときさらに評価が高いことが分かった。

Claims (7)

  1. グルコース、および重合度が2~6のマルトオリゴ糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類と、
    グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤と、
    を含有する、食品と組み合わせて加熱調理されるためのホイップドクリームであって、
    前記糖類の含有量が、固形分として18~35質量%であり、
    前記増粘剤の含有量が、0.1~0.3質量%である、
    ホイップドクリーム。
  2. 冷凍用である、請求項1に記載のホイップドクリーム。
  3. 請求項1又は2に記載のホイップドクリームが組み合わされた、ベーカリー製品
  4. 前記ベーカリー製品中の脂質含有量が3質量%以上である、請求項3に記載のベーカリー製品。
  5. ホイップドクリームと、ベーカリー製品と、を含有する加熱調理用の冷凍ベーカリー製品であって、
    前記ホイップドクリームは、
    グルコース、および重合度2~6のマルトオリゴ糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類と、
    グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤と、
    を含有し、
    前記糖類の含有量が、固形分として18~35質量%であり、
    前記増粘剤の含有量が、0.1~0.3質量%である、
    冷凍ベーカリー製品。
  6. グルコース、および重合度が2~6のマルトオリゴ糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類:固形分として18~35質量%と、
    グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤:0.1~0.3質量%と、
    を含有するホイップドクリームが組み合わされたベーカリー製品を加熱する加熱工程を行う、ベーカリー製品の製造方法。
  7. ホイップドクリームに、
    グルコース、および重合度が2~6のマルトオリゴ糖から選択される1以上の糖を固形分当たり40質量%以上含む糖類:固形分として18~35質量%と、
    グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および寒天から選択される1以上の増粘剤:0.1~0.3質量%と、
    を含有させることにより、食品と組み合わせて加熱調理された後のホイップドクリームの泡立ちを維持する方法。
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