以下に図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の各実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状などを実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。本発明の各実施形態においては、非接触電力伝送装置の一例として、回転型の非接触電力伝送装置を開示する。非接触電力伝送装置は、トランスなどと呼ばれる場合がある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の非接触電力伝送装置1を示す概略的な斜視図である。図2は、第1実施形態の非接触電力伝送装置1を示す概略的な斜視断面図である。図3は、第1実施形態の非接触電力伝送装置1が備えるコイルユニット10Aを示す概略的な斜視図である。図4は、図3に示すコイルユニット10Aの概略的な分解斜視図である。
図1および図2に示すように、非接触電力伝送装置1は、一対のコイルユニット10を備えている。一対のコイルユニット10は、一次側のコイルユニット(以下、「コイルユニット10A」と呼ぶ)と、二次側のコイルユニット(以下、「コイルユニット10B」と呼ぶ)と、により構成されている。
一例として、コイルユニット10Aは給電側に相当し、コイルユニット10Bは受電側に相当する。本実施形態において、例えばコイルユニット10Aは固定された機器に設けられた固定側であり、コイルユニット10Bは回転する機器に設けられた回転側である。図3においては、一例として固定側であるコイルユニット10Aを示している。
コイルユニット10Aが備える巻線50(図2に示す)に電流が流れると、電磁誘導作用によってコイルユニット10Bが備える巻線50(図2に示す)に電圧が発生し、コイルユニット10Aからコイルユニット10Bへ電力が伝送される。
コイルユニット10A,10Bは、環状に形成されている。コイルユニット10Aの中心軸は、コイルユニット10Bの中心軸と同軸上に位置している。コイルユニット10Aの中心軸およびコイルユニット10Bの中心軸をまとめて中心軸CXと呼ぶ。以下の説明では、中心軸CXの延在方向を軸方向X、中心軸CXを中心とする周方向θ、中心軸CXを中心として中心軸CXから離れる方向を径方向Rとそれぞれ定義する。軸方向Xは中心軸CXに沿う方向であり、径方向Rは軸方向Xと交差(例えば、直交)する方向である。
コイルユニット10Aは、軸方向Xにおいてコイルユニット10Bと間隔をおいて対向している。コイルユニット10Aとコイルユニット10Bとの間には、隙間Gが形成されている。コイルユニット10Bは、コイルユニット10Aに対して中心軸CXを中心に回転自在に設けられている。コイルユニット10Bは、コイルユニット10Aと基本的な構成は同じである。以下、コイルユニット10Aについて、主に説明する。
図2および図4に示すように、コイルユニット10Aは、ケース20と、ケース20に収容された鉄心30と、ボビン40と、巻線50と、カバー60と、を備えている。ケース20、鉄心30、ボビン40、巻線50、およびカバー60は、軸方向Xに沿ってこの順で並んでいる。
ケース20は、例えばアルミニウム合金などの金属材料によって形成されている。ケース20は、中心軸を中心とする筒状の側壁70と、底壁21と、を有している。底壁21は、軸方向Xにおける側壁70の一端を閉じている。側壁70の中心軸は、コイルユニット10Aの中心軸CXと一致している。
側壁70と底壁21とは、一体で形成されてもよいし、別部材から形成されてもよい。側壁70と底壁21とが別部材から形成される場合、例えば、側壁70は接着材やねじなどの固定部材によって底壁21と接続される。
側壁70は、筒状の第1側壁71と、筒状の第2側壁72と、複数の凹部80と、を有している。本実施形態において、第1側壁71および第2側壁72は、円筒状に形成されている。第1側壁71および第2側壁72は、軸方向Xに沿って一様な径でそれぞれ延びている。第1側壁71の軸方向Xの長さは、第2側壁72の軸方向Xの長さとおおよそ等しい。
第1側壁71は径方向R内側に位置し、第2側壁72は径方向R外側に位置している。第2側壁72は、径方向Rに第1側壁71から間隔をおくとともに、径方向R外側から第1側壁71を囲っている。
底壁21は、中心軸CXを中心とする円板状に形成されている。底壁21の外径は、例えば第2側壁72の外径よりも大きい。底壁21の中央部には、中心軸CXを中心とする円形の開口が形成されている。
ケース20には、底壁21、第1側壁71、および第2側壁72によって環状の収容部22が形成されている。第1側壁71の内側には、中空の軸部23が形成されている。底壁21は、第2側壁72よりも径方向R外側に位置するフランジ部24を有している。
一例として、コイルユニット10Aは、外径が約1100mm、内径が約400mm、軸方向Xの長さが約70mmである。底壁21の軸方向Xの長さ、第1側壁71および第2側壁72の径方向Rの長さは、約10mmである。第1側壁71の軸方向Xの長さおよび第2側壁72の軸方向Xの長さは、約50mmである。コイルユニット10Bにおいても、コイルユニット10Aと同じ大きさである。
鉄心30は、収容部22に収容されている。鉄心30は、フェライトなどの磁性体によって形成されている。径方向Rにおいて、鉄心30は、第1側壁71と第2側壁72との間に位置している。鉄心30は、例えば接着材などによってケース20に固定されている。
鉄心30は、中心軸CXを中心とする筒状の脚部31と、底部32と、を有している。底部32は、軸方向Xにおける脚部31の一端を閉じている。脚部31は、第1脚部33と、第2脚部34と、第1脚部33と第2脚部34との間の第3脚部35と、により構成されている。本実施形態において、第1脚部33、第2脚部34、および第3脚部35は、円筒状に形成されている。第1脚部33は径方向R内側に位置し、第2脚部34は径方向R外側に位置している。
第1脚部33と、第2脚部34、および第3脚部35は、軸方向Xに沿って一様な径でそれぞれ延びている。第1脚部33と、第2脚部34、および第3脚部35の軸方向Xの長さは、それぞれ等しい。
鉄心30は、底部32、第1脚部33、および第3脚部35によって形成される第1巻部36と、底部32、第2脚部34、および第3脚部35によって形成される第2巻部37と、を有している。図2および図4に示す例においては、第1巻部36は第2巻部37よりも大きいが、第1巻部36は第2巻部37よりも小さくてもよいし、第1巻部36は第2巻部37と同じ大きさでもよい。
図2に示す例において、鉄心30は、断面形状がE字型に形成されている。鉄心30は、軸方向Xにおいて底壁21と反対側に向けて開口するように収容部22に設けられている。
径方向Rにおいて、第1脚部33は第1側壁71と対向し、第2脚部34は第2側壁72と対向している。図2に示す例において、第1脚部33は第1側壁71と接し、第2脚部34は第2側壁72と接している。軸方向Xにおいて、底部32は、底壁21と対向している。
ボビン40は、樹脂材料で形成されている。ボビン40は、第1巻部36の内面を覆う第1ボビン41と、第2巻部37の内面を覆う第2ボビン42と、を有している。巻線50は、周方向θに沿って鉄心30に巻かれている。巻線50は、銅、アルミニウム合金などの金属材料によって形成されている。図示されていないが、例えば、コイルユニット10Aの巻線50は電力を供給する電源部と接続され、コイルユニット10Bの巻線50は電気負荷部と接続されている。
巻線50は、第1巻部36において鉄心30に巻かれた第1巻線51と、第2巻部37において鉄心30に巻かれた第2巻線52と、を有している。例えば、第1巻線51に流れる電流は、第2巻線52に流れる電流と反対方向に流れる。図2に示す例において、第1巻線51と鉄心30との間には第1ボビン41が位置し、第2巻線52と鉄心30との間には第2ボビン42が位置している。
図2に示す例において、巻線50を形成する線材は、断面形状が円形に形成されている。一例として、コイルユニット10Aにおいて、第1巻線51の線材の直径は第2巻線52の線材の直径よりも大きく、コイルユニット10Bにおいて、第1巻線51の線材の直径は第2巻線52の線材の直径よりも小さい。
他の観点からは、軸方向Xにおいて、コイルユニット10Aの第1巻線51とコイルユニット10Bの第1巻線51とは線材の直径が異なり、コイルユニット10Aの第2巻線52とコイルユニット10Bの第2巻線52とは線材の直径が異なる。
カバー60は、巻線50、ボビン40、および鉄心30が収容部22から脱落することを防止する。図2および図4に示す例において、カバー60は、軸方向Xにおいて、側壁70と収容部22とに重なるように設けられている。カバー60は、PPS、PEEKなどの樹脂材料によって形成されている。カバー60は、中心軸CXを中心とする円板状に形成されている。カバー60の中央部には、中心軸CXを中心とする円形の開口が形成されている。
カバー60の外径は、第2側壁72の外径とおおよそ等しい。カバー60の内径は、第1側壁71の内径とおおよそ等しい。カバー60の内径は、開口の直径に相当する。カバー60の外径は第2側壁72の外径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。カバー60の内径は、第1側壁71の内径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
カバー60の軸方向Xの長さは、一例として、約2~3mmである。図2に示す例において、カバー60には、複数の凹部80と重なる複数の突起61が内縁62および外縁63に沿って形成されている。
複数の突起61が複数の凹部80と重なることで、カバー60はケース20に固定される。他の例として、カバー60は、接着材やねじなどの固定部材によってケース20に固定されてもよい。複数の突起61の数量は、複数の凹部80の数量と等しくてもよいし、異なってもよい。突起61は、内縁62側にのみ形成されてもよいし、外縁63側にのみ形成されてもよい。カバー60は、突起61を有さなくてもよい。
図2に示すように、コイルユニット10Aのカバー60とコイルユニット10Bのカバー60とは、軸方向Xにおいて、間隔をおいて対向している。他の観点からは、コイルユニット10Aのカバー60とコイルユニット10Bのカバー60との間には、隙間Gが位置している。軸方向Xにおけるコイルユニット10Aのカバー60とコイルユニット10Bのカバー60との間隔は、例えば約2mmである。
図5は、第1実施形態のコイルユニット10Aが備えるケース20の一例を示す概略的な斜視図である。図6は、図5におけるVI-VI線に沿って示すケース20の概略的な断面図である。図7は、凹部80を示す概略的な部分拡大図である。図8は、図5に示すケース20の概略的な平面図である。図9は、図8におけるIX部を示す概略的な部分拡大図である。図10は、コイルユニット10A,10Bが備えるケース20の他の例を示す概略的な斜視図である。
上述の通り、ケース20は、第1側壁71および第2側壁72により構成された側壁70と、底壁21と、を有している。側壁70は、底壁21と反対側に位置する端面73を有している。図2に示す例において、軸方向Xにおいて、端面73は、鉄心30の脚部31が底部32と反対側に位置する端面と同一平面上に位置している。端面73は、例えば径方向Rと平行な面である。
端面73は、第1側壁71が有する第1端面74と、第2側壁72が有する第2端面75と、を有する。第1端面74および第2端面75は、中心軸CXと直交する同一平面上に位置している。
図2に示すように、軸方向Xにおいて、コイルユニット10Aの端面73は、コイルユニット10Bの端面73と間隔をおいて対向している。軸方向Xにおけるコイルユニット10Aの端面73とコイルユニット10Bの端面73との間隔は、例えば約7mmである。図2に示す位置において、コイルユニット10Aの複数の凹部80は、コイルユニット10Bの複数の凹部80と対向している。
側壁70には、複数の凹部80が形成されている。複数の凹部80は、隙間Gに向けて開口している。複数の凹部80は、複数の第1凹部81と、複数の第2凹部82と、により構成されている。第1端面74は周方向θに間隔をおいて並ぶ複数の第1凹部81を有し、第2端面75は周方向θに間隔をおいて並ぶ複数の第2凹部82を有している。
第1凹部81,第2凹部82は、軸方向Xにおいて底壁21に向けて凹んでいる。隣り合う第1凹部81と第1凹部81との間には第1壁部83が形成され、隣り合う第2凹部82と第2凹部82との間には第2壁部84が形成されている。径方向Rにおいて、第1凹部81および第1壁部83は、第1脚部33の一端側と対向し、第2凹部82および第2壁部84は、第2脚部34の一端側と対向する。
図7は、第2側壁72を径方向R外側から見た図である。第2凹部82は、軸方向Xに第2端面75から底壁21に向けて延びる一対の面801,802と、周方向θに延びる接続面803と、を有している。面801は、周方向θにおいて、面802と対向している。接続面803は、一対の面801,802の一端同士を接続している。本実施形態において、一対の面801,802は軸方向Xと平行な面であり、接続面803は径方向Rと平行な面である。
図7においては、一対の面801,802の軸方向Xの長さを長さL1として示し、第2側壁72の軸方向Xの長さを長さL2として示す。図7に示すように、長さL1は、長さL2以下である(L1≦L2)。例えば、長さL1は長さL2の半分よりも小さい。他の例として、長さL1は長さL2の4分の1よりも小さい。
一例として、長さL1は約7.5mmであり、長さL2は約50mmである。図7に示す例において、長さL1は、接続面803の周方向θの長さよりも小さい。例えば、長さL1は、接続面803の周方向θの長さよりも大きくてもよい。
本実施形態において、第1凹部81は、第2凹部82と同様に構成されている。第1凹部81は、軸方向Xに第1端面74から底壁21に向けて延びる一対の面801,802と、接続面803と、を有している。第1凹部81の一対の面801,802の軸方向Xの長さは、例えば、長さL1とおおよそ等しい。
本実施形態において、第1凹部81および第2凹部82は、周方向θにおいて等間隔にそれぞれ並んでいる。ここで、等間隔に並ぶとは、周方向θに隣り合う凹部80と凹部80との間隔が等しいことをいう。より具体的には、第1壁部83の周方向θの長さはそれぞれ等しく、第2壁部84の周方向θの長さはそれぞれ等しい。第1壁部83および第2壁部84の周方向θの長さとは、凹部80の面801から隣り合う他の凹部80の面802までの長さである。
本実施形態において、第1凹部81の数量は、第2凹部82の数量と等しい。図5乃至図9に示す例において、第1凹部81および第2凹部82の数量は、8個である。第1凹部81および第2凹部82の数量は、8個に限られず、7個以下でもよいし、9個以上でもよい。
図10に示すように、例えば、第1凹部81および第2凹部82の数量は、それぞれ32個でもよい。図10における第1凹部81および第2凹部82は、図5における第1凹部81および第2凹部82と同様に構成されている。他の例として、第1凹部81および第2凹部82の数量は、16個でもよいし、64個でもよい。
図8に示すように、例えば、径方向Rにおいて、第1凹部81は、第2凹部82とそれぞれ重なっている。より具体的には、周方向θにおける第1凹部81の位置は、周方向θにおける第2凹部82の位置とそれぞれ等しい。
本実施形態において、周方向θにおける第1凹部81の角度は、周方向θにおける第2凹部82の角度と異なっている。ここで、角度とは、周方向θにおける面801から面802までの角度である。図9においては、周方向θにおける第1凹部81の角度を角度θ1として示し、周方向θにおける第2凹部82の角度を角度θ2として示す。
図9に示す例において、角度θ1は、角度θ2よりも大きい。一例として、角度θ1は5度(degrees)であり、角度θ2は2.5度(degrees)である。角度θ1は角度θ2と等しくてもよいし、角度θ1は角度θ2よりも小さくてもよい。
周方向θの長さの観点からは、第1凹部81の周方向θの長さは第2凹部82の周方向θの長さと等しくてもよいし、第1凹部81の周方向θの長さは第2凹部82の周方向θの長さよりも短くてもよいし、長くてもよい。
図11は、第1実施形態の非接触電力伝送装置1の比較例を示す図である。図11においては、比較例である非接触電力伝送装置100の断面の一部を示している。非接触電力伝送装置100は、一対のコイルユニット10を備えている。
一対のコイルユニット10は、コイルユニット10Aと、コイルユニット10Bと、により構成されている。コイルユニット10A,10Bは、ケース200を備えている。非接触電力伝送装置100において、ケース200には、複数の凹部80が形成されていない。
次に、図11を用いて、ケースに発生する渦電流について説明する。図11においては、電流の流れ方向を印S1と、印S2と、によって示している。図中において、印S1は手前から奥へ向かう方向を示し、印S2は奥から手前へ向かう方向を示している。
コイルユニット10Aにおいて、巻線50に電流が流れると、ケース200を貫く磁束によりケース200には周方向θに流れる渦電流に発生する。図11に示す例には、第1側壁71の第1端面74側および第2側壁72の第2端面75側に発生する渦電流をそれぞれ示している。第1側壁71に発生した渦電流は第1巻線51に流れる電流と反対方向に流れ、第2側壁72に発生した渦電流は第2巻線52に流れる電流と反対方向に流れている。
コイルユニット10Bにおいても、ケース200を貫く磁束によりケース200には渦電流が発生する。図11に示す例において、第1側壁71の第1端面74側および第2側壁72の第2端面75側に流れる渦電流をそれぞれ示している。非接触電力伝送装置において、渦電流は、ケースなどの発熱、一対のコイルユニット間における電力の伝送効率の低下などの原因となり得る。
次に、本実施形態における渦電流損失および漏れ磁束の解析結果について、説明する。図12は、渦電流損失および渦電流損失の低減率の解析結果を示す図である。図12における数量は、第1凹部81および第2凹部82の数量に相当する。第1凹部81の数量は、第2凹部82の数量と等しい。
数量が0個の場合は、図11を用いて説明した比較例である非接触電力伝送装置100に相当する。数量が8個の場合は図5乃至図9を用いて説明したケース20を備える非接触電力伝送装置1に相当し、数量が32個の場合は図10を用いて説明したケース20を備える非接触電力伝送装置1に相当する。
渦電流損失は、ケースに発生した渦電流による損失を示すものである。低減率は、数量が0個の場合を基準として、第1凹部81および第2凹部82の数量における渦電流損失の低減率を算出している。各数量において、第1凹部81および第2凹部82における、一対の面801,802の長さL1および接続面803の周方向θの長さは、それぞれ等しい。
数量が0個の場合、渦電流損失は、1596.7Wであった。数量が8個の場合、渦電流損失は1480.8Wであり、低減率は7.3%であった。数量が16個の場合、渦電流損失は1309.7Wであり、低減率は18.0%であった。数量が32個の場合、渦電流損失は1197.7Wであり、低減率は25.0%であった。数量が64個の場合、渦電流損失は794.7Wであり、低減率は50.2%であった。
図13は、第1凹部81近傍における磁束密度の解析結果を示す図である。図14は、第2凹部82近傍における磁束密度の解析結果を示す図である。図13においては第1凹部81よりも径方向R内側の点A(図2に示す)から周方向θに沿って磁束密度を解析したものを示し、図14においては第2凹部82よりも径方向R外側の点B(図2に示す)から周方向θに沿って磁束密度を解析したものを示している。
図13および図14における数量は、図12と同様、第1凹部81および第2凹部82の数量に相当する。図13および図14における角度は、点A,Bからの中心軸CXを中心とする角度である。
図13および図14において、例えば、各数量における最大の磁束密度を示す角度は周方向θにおける第1凹部81および第2凹部82が形成された角度を含み、各数量における最小の磁束密度を示す角度は周方向θにおける第1壁部83および第2壁部84が形成された角度を含む。
図13および図14において、第1凹部81および第2凹部82が形成された角度を含む領域は漏れ磁束の影響が大きい領域に相当し、第1壁部83および第2壁部84が形成された角度を含む領域は漏れ磁束の影響が小さい領域に相当する。
図15は、第1実施形態における渦電流損失と磁束密度の関係を説明するための図である。図15においては、第1凹部81近傍の点Aにおける磁束密度と、第2凹部82近傍の点Bにおける磁束密度と、をそれぞれ示している。
図15において、第1凹部81および第2凹部82の数量が増加すると、渦電流損失は低減し、磁束密度は大きくなる。他の観点からは、第1凹部81および第2凹部82の数量が増加すると、ケース20の外部へ漏れる漏れ磁束が増大している。渦電流損失の低減と漏れ磁束の増大とは、トレードオフの関係にある。
以上のように構成された本実施形態の非接触電力伝送装置1によれば、ケース20は、複数の凹部80を有している。より具体的には、第1側壁71の第1端面74には周方向θに間隔をおいて並ぶ複数の第1凹部81が形成され、第2側壁72の第2端面75には周方向θに間隔をおいて並ぶ複数の第2凹部82が形成されている。
第1凹部81および第2凹部82によって、第1側壁71の第1端面74側および第2側壁72の第2端面75側に発生する渦電流の経路を遮断することができる。これにより、ケース20において、第1側壁71の第1端面74側および第2側壁72の第2端面75側に周方向に沿って渦電流が流れにくくなり、渦電流損失を低減することができる。
渦電流が流れにくくなることで、非接触電力伝送装置1の発熱を抑制することができるとともに、コイルユニット10Aからコイルユニット10Bへの電力の伝送効率の低下を抑制することができる。
本実施形態のように、コイルユニット10Aおよびコイルユニット10Bの側壁70において、複数の凹部80をそれぞれ形成することで、渦電流損失をより低減することができる。また、第1側壁71および第2側壁72において、第1凹部81および第2凹部82をそれぞれ形成することで、渦電流損失をより低減することができる。その結果、本実施形態においては、電力の伝送効率の低下をさらに抑制することができる。
さらに、第1壁部83および第2壁部84によって、ケース20の外部へ磁束が漏れることを抑制することができる。他の観点からは、図13および図14を用いて説明したように、第1壁部83および第2壁部84が形成された角度を含む領域において、ケース20の外部には、漏れ磁束の影響が小さい領域を形成することができる。
その結果、非接触電力伝送装置1の外部に設けられた周辺機器への漏れ磁束の影響(例えば、発熱など)を抑制することができる。周辺機器は、例えばケーブルなどの金属部品である。
本実施形態において、複数の凹部80は、周方向θにおいて等間隔に並んでいる。そのため、非接触電力伝送装置1の外部には、漏れ磁束の影響が大きい領域と、漏れ磁束の影響が小さい領域と、を等間隔に形成することができる。複数の凹部80の数量および大きさは、例えば、予め設定された非接触電力伝送装置1の外部における漏れ磁束の磁束密度のしきい値に対して適宜設定することができる。
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同一の部分には、第1実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
[第2実施形態]
図16は、第2実施形態の非接触電力伝送装置1におけるコイルユニット10Aが備えるケース20の一例を示す概略的な斜視図である。図17は、コイルユニット10Aが備えるケース20の他の例を示す概略的な斜視図である。図16および図17におけるケース20は、コイルユニット10A,10Bにそれぞれ適用することができる。第2実施形態の非接触電力伝送装置1は、ケース20の形状が第1実施形態と相違する。
図16および図17に示す例において、第1凹部81および第2凹部82の数量は、それぞれ32個である。第2実施形態において、第1凹部81または第2凹部82は、周方向θにおいて不等間隔に並んでいる。
図16に示す例において、第1凹部81は周方向θに不等間隔に並び、第2凹部82は周方向θに等間隔に並んでいる。図16において、第1壁部83は、第1部分85と、第1部分85よりも周方向θの長さが長い第2部分86と、を有している。第1凹部81、第1部分85、第1凹部81、および第2部分86は、この順で周方向θに並んでいる。第1部分85および第2部分86によって、第1凹部81は、周方向θにおいて不等間隔に並んでいる。
例えば、第1部分85の周方向θの長さは図10を用いて説明したケース20における第1壁部83の周方向θの長さよりも小さく、第2部分86の周方向θの長さは図10を用いて説明したケース20における第1壁部83の周方向θの長さよりも大きい。第1部分85および第2部分86の周方向θの長さは、適宜設定することができる。
図17に示す例において、第1凹部81は周方向θに等間隔に並び、第2凹部82は周方向θに不等間隔に並んでいる。図17において、第2壁部84は、第3部分87と、第3部分87よりも周方向θの長さが長い第4部分88と、を有している。第2凹部82、第3部分87、第2凹部82、および第4部分88は、この順で周方向θに並んでいる。第3部分87および第4部分88によって、第2凹部82は、周方向θにおいて不等間隔に並んでいる。
例えば、第3部分87の周方向θの長さは図10を用いて説明したケース20における第2壁部84の周方向θの長さよりも小さく、第4部分88の周方向θの長さは図10を用いて説明したケース20における第2壁部84の周方向θの長さよりも大きい。第3部分87および第4部分88の周方向θの長さは、適宜設定することができる。
図18は、渦電流損失および渦電流損失の低減率の解析結果を示す図である。図18においては、各図を用いて説明したケースを備える非接触電力伝送装置をそれぞれ示している。比較例は図11を用いて説明したケース200を備え、第1形状は図10を用いて説明したケース20を備え、第2形状は図16を用いて説明したケース20を備え、第3形状は図17を用いて説明したケース20を備えている。第1形状は、第1凹部81および第2凹部82が周方向θにおいて等間隔にそれぞれ並んでいる。
低減率は、比較例を基準として、各形状における渦電流損失の低減率を算出している。第1凹部81の数量は、第2凹部82の数量と等しい。各形状において、第1凹部81および第2凹部82における、一対の面801,802の長さL1および接続面803の周方向θの長さは、それぞれ等しい。
比較例の場合、渦電流損失は、1596.7Wであった。第1形状の場合、渦電流損失は1197.7Wであり、低減率は25.0%であった。第2形状の場合、渦電流損失は1193.2Wであり、低減率は25.3%であった。第3形状の場合、渦電流損失は1195.2Wであり、低減率は25.2%であった。これより、渦電流損失は、各形状によりほとんど変化しない。
図19は、第1凹部81近傍における磁束密度の解析結果を示す図である。図20は、第2凹部82近傍における磁束密度の解析結果を示す図である。図19においては第1凹部81よりも径方向R内側を周方向θに沿って磁束密度を解析したものを示し、図20においては第2凹部82よりも径方向R外側を周方向θに沿って磁束密度を解析したものを示している。図20においては、周方向θに沿う解析結果の一部を示している。
図19および図20において、各形状における最大の磁束密度を示す角度は周方向θにおける第1凹部81および第2凹部82が形成された角度を含み、各形状における最小の磁束密度を示す角度は周方向θにおける第1壁部83および第2壁部84が形成された角度を含む。
図19において、第2形状における最大の磁束密度は第3形状における最大の磁束密度よりも大きく、第2形状における最小の磁束密度は第3形状における最小の磁束密度よりも小さい。
図20において、第3形状における磁束密度が大きい領域を領域R1として示し、領域R1よりも磁束密度が小さい領域を領域R2として示す。領域R1は漏れ磁束の影響が大きい領域に相当し、領域R2は漏れ磁束の影響が小さい領域に相当する。第2凹部82を周方向θに不等間隔に形成することで、第3形状では、領域R1の大きさと、領域R2の大きさとが異なっている。
領域R1における最大の磁束密度を示す角度は、周方向θにおける第2凹部82が形成された角度を含む。領域R1における最小の磁束密度を示す角度は、周方向θにおける第3部分87が形成された角度を含む。領域R2は、周方向θにおける第4部分88が形成された角度を含む。
上述の構成の第2実施形態においても、電力の伝送効率の低下を抑制することが可能な非接触電力伝送装置1を提供することができる。第2実施形態においては、周方向θにおいて複数の凹部80を不等間隔に並べることで、非接触電力伝送装置1の外部への漏れ磁束の影響が大きい領域および漏れ磁束の影響が小さい領域の位置、大きさをそれぞれ調整することができる。
例えば、図17に示すように第2凹部82を不等間隔に並べることで、図20を用いて説明したように、第2側壁72よりも径方向R外側において、漏れ磁束が発生する位置、大きさを調整することができる。
なお、図16および図17においては、複数の凹部80の数量が32個であったが、複数の凹部80の数量はこれに限定されない。なお、第1凹部81および第2凹部82は、周方向θにおいて、不等間隔にそれぞれ並べてもよい。第1側壁71よりも径方向R内側、および第2側壁72よりも径方向R外側において、漏れ磁束が発生する位置、大きさをそれぞれ調整することができる。
なお、第1壁部83は第1部分85と第2部分86とは周方向θの長さの異なる他の部分をさらに有してもよいし、第2壁部84は第3部分87と第4部分88とは周方向θの長さの異なる他の部分をさらに有してもよい。
[第3実施形態]
図21は、第3実施形態の非接触電力伝送装置1におけるコイルユニット10Aが備えるケース20の一例を示す概略的な平面図である。図21においては、固定側であるコイルユニット10Aのケース20を示している。
ケース20には、複数の凹部80を含む部分P1と、それ以外の部分P2とが形成されている。部分P1,P2は、周方向θに沿ってそれぞれ形成されている。図21においては、ケース20の部分P1を含む領域を領域R3として示し、ケース20の部分P2を含む領域を領域R4として示す。
図21に示す例において、非接触電力伝送装置1の外部の領域R4には、周辺機器の一例として金属部品Mが配置されている。他の観点からは、金属部品Mは、部分P1から離れて配置されている。
本実施形態においては、部分P1の大きさは、部分P2の大きさとおおよそ等しい。図21に示す例においては、部分P1,P2は、周方向θに沿って180度ずつ設けられている。図21には図示されていないが、部分P1には、複数の第1凹部81および第2凹部82がそれぞれ形成されている。部分P1において、複数の第1凹部81および第2凹部82は、等間隔に並んでもよいし、不等間隔に並んでもよい。
部分P1,P2の位置および大きさによって、領域R3,R4の位置および大きさは調整することができる。例えば、部分P1の大きさを大きくすることで領域R3は大きくなり、部分P1の大きさを小さくすることで領域R3は小さくなる。部分P2と領域R4とにおいても、部分P1と領域R3との関係と同様の関係にある。
部分P1,P2の位置および大きさは、非接触電力伝送装置1の外部に配置される金属部品Mの位置、大きさなどに応じて適宜設定することができる。図21に示す例において、部分P1の大きさと部分P2の大きさとをおおよそ等しくすることで、領域R3の大きさと領域R4の大きさとは、おおよそ等しくなる。
図22は、第2凹部82近傍における磁束密度の解析結果を示す図である。図22においては第2凹部82よりも径方向R外側の磁束密度を周方向θに沿って解析したものを示している。
図22において、磁束密度が大きい角度は周方向θにおける部分P1が形成された角度と重なり、磁束密度が小さい角度は周方向θにおける部分P2が形成された角度と重なる。これより、部分P1を含む領域R3は漏れ磁束の影響が大きい領域に相当し、部分P2を含む領域R4は漏れ磁束の影響が小さい領域に相当する。
上述の構成の第3実施形態においても、電力の伝送効率の低下を抑制することが可能な非接触電力伝送装置1を提供することができる。第3実施形態においては、ケース20に部分P1,部分P2を形成することで、非接触電力伝送装置1の外部に漏れ磁束の影響が大きい領域R3と、漏れ磁束の影響が小さい領域R4とを形成することができる。
これにより、領域R4に配置される金属部品Mへの漏れ磁束の影響を抑制することができる。金属部品Mが配置される位置に応じて非接触電力伝送装置1の外部に領域R4を形成することで、例えば、漏れ磁束の影響による金属部品Mの発熱を抑制することができる。
さらに、固定側であるコイルユニット10Aのケース20において、部分P1,P2を設けることで、金属部品Mへの漏れ磁束の影響を効果的に抑制することができる。なお、本実施形態においては、コイルユニット10Aが備えるケース20について説明したが、コイルユニット10Bが備えるケース20にも適用することができる。
以上説明したように上述の各実施形態によれば、ケース20に形成された複数の凹部80により、電力の伝送効率の低下を抑制することが可能な非接触電力伝送装置1を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、本実施形態においては、コイルユニット10Aおよびコイルユニット10Bが複数の凹部80をそれぞれ有している場合を説明したが、一対のコイルユニット10の少なくとも一方において、端面73は周方向θに間隔をおいて並ぶ複数の凹部80を有してもよい。
この場合、コイルユニット10Aにおける側壁70の端面73が複数の凹部80を有してもよいし、コイルユニット10Bにおける側壁70の端面73が複数の凹部80が有してもよい。このような場合であっても、電力の伝送効率の低下を抑制することが可能な非接触電力伝送装置1を提供することができる。
なお、本実施形態においては、第1側壁71および第2側壁72において、第1端面74が第1凹部81を有し、第2端面75が第2凹部82を有する場合を説明したが、第1側壁71および第2側壁72の少なくとも一方において、端面73は複数の凹部80を有してもよい。なお、第1凹部81の数量は、第2凹部82の数量と異なってもよい。第1凹部81の数量は第2凹部82の数量よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
なお、複数の凹部80は、底壁21まで凹むように形成されてもよい。なお、凹部80の形状および大きさは、それぞれ異なってもよい。一例として、第1凹部81の形状がそれぞれ異なってもよいし、第2凹部82の形状がそれぞれ異なってもよい。他の例として、第1凹部81の形状は、第2凹部82の形状と異なってもよい。
例えば、凹部80は、一対の面801,802および接続面803の少なくとも1つが曲面でもよい。なお、非接触電力伝送装置の一例として回転型の非接触電力伝送装置を開示したが、上述の各実施形態は、回転型以外の非接触電力伝送装置にも適用することができる。