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JP7803133B2 - ポリマー組成物および成形体 - Google Patents
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JP7803133B2 - ポリマー組成物および成形体 - Google Patents

ポリマー組成物および成形体

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Description

本発明は、ポリエステルコポリマーと、生分解性ポリマーとを含有するポリマー組成物に関する。
ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトンあるいはこれらの共重合体に代表される、エステル結合形成性モノマーから製造されるポリエステルは、生分解性あるいは生体吸収性ポリマーとして注目され、例えば、縫合糸等の医用材料、医薬、農薬、肥料等の徐放性材料等、多方面に利用されている。さらに、生分解性汎用プラスチックとして容器やフィルム等の包装材料としても期待されている。
しかし、一般に、エステル結合形成性モノマーから製造される生分解性ポリエステルや生体吸収性ポリエステルは脆弱である。そのため、機械的特性を改善して実用に耐える強度や成形性を有する生分解性ポリマーを得る目的で、各種コポリマーの開発が試みられている。
例えば、ヤング率が低く、かつ引張強度が高い生分解性・生体吸収性ポリマーとして、2種類のエステル結合形成性モノマー(「モノマーA」、「モノマーB」)の残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーであって、下記式で表されるR値が0.45以上0.99以下であり、モノマーA残基またはモノマーB残基の少なくとも一方の結晶化率が14%未満であるポリエステルコポリマーが提案されている(例えば、特許文献1参照)
R=[AB]/(2[A][B])×100
[A]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基のモル分率(%)
[B]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーB残基のモル分率(%)
[AB]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造のモル分率(%)。
また、複数の生分解性ポリマーを混合することにより機械的特性を改善する試みも実施されている。例えば、強度や可撓性、伸び率、靭性などを改良した組成物として、硬質の合成生分解性ポリマーおよび軟質の合成生分解性ポリマーを含むポリマーブレンドであって、ポリマーブレンドが硬質または軟質の生分解性ポリマー自身よりも高い強度および/または伸びを持つ生分解性ポリマーブレンド(例えば、特許文献2参照)、ポリ乳酸と、L-ラクチド/ε-カプロラクトン共重合体と、フィラーを含有する樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)、ポリD-乳酸と、L-ラクチド/ε-カプロラクトン共重合体のブレンド、あるいはポリL-乳酸と、D-ラクチド/ε-カプロラクトン共重合体のブレンド(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
国際公開第2019/35357号 特開2008-255349号公報 特開2017-179234号公報 特表2020-529483号公報
一般的にポリ乳酸やポリグリコール酸は高い結晶性を持ち、ヤング率が高く硬い性質を持つことが知られている。しかし、これらのポリマーは柔軟性(softness)が乏しく、医療用材料に求められる生体追従性に劣る。また、硬い故に体内に包埋した際に周辺組織を障害したり、突出事故の原因となったりすることが報告されている。
そのため、これらのポリマーにポリカプロラクトンを共重合させることで、柔軟性を付与することが検討されてきた。特許文献1に記載されるマルチグラジエントポリマーは、ヤング率が低く、従来の問題点であった柔軟性が改良され、充填材や被覆材に適する。一方、関節への移植等、大きな変形に対する追従性が求められる用途に用いるには、引張強度が不足しており、さらなる改良が必要であった。
また、特許文献2~4に記載される樹脂組成物はヤング率が高く、生体追従性や成形加工性に劣るため、ヤング率の低い材料が求められている。
本発明は、上記課題に鑑み、ヤング率が低く、かつ、引張強度が高いポリマー組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下である。
ポリエステルコポリマーおよび生分解性ポリマーを含有するポリマー組成物であって、
前記ポリエステルコポリマーは、2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位としており、
前記ポリエステルコポリマーは、前記2種類のエステル結合形成性モノマーをそれぞれ「モノマーA」、「モノマーB」とした場合に、下記(1)~(3)を満たし、
前記生分解性ポリマーは、融点が100℃以上であり、
前記ポリエステルコポリマーと前記生分解性ポリマーの合計100重量%中に、前記生分解性ポリマーを0.1重量%以上30重量%未満含有する、ポリマー組成物:
(1)R値が0.45以上0.99以下である;
R=[AB]/(2[A][B])×100
[A]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基のモル分率(%)
[B]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーB残基のモル分率(%)
[AB]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造(A-B、およびB-A)のモル分率(%);
(2)モノマーA残基の結晶化率およびモノマーB残基の結晶化率が14%未満である;
(3)融点が100℃未満または明確な融点を持たない。
本発明により、低ヤング率であり、生分解性または生体吸収性を有し、かつ優れた引張強度を有する、医療用途やエラストマー用途に適したポリマー組成物を得ることができる。
本発明のポリマー組成物は、ポリエステルコポリマーおよび生分解性ポリマーを含有している。前記ポリエステルコポリマーは、2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位とするコポリマーである。本明細書においては、当該2種類のエステル結合形成性モノマーを、それぞれ「モノマーA」および「モノマーB」と表現することがある。また、「モノマーA」および「モノマーB」から形成されるコポリマー中における、「モノマーA」および「モノマーB」に由来するモノマー残基を、それぞれ「モノマーA残基」および「モノマーB残基」と表現することがある。
「エステル結合形成性モノマー」とは、該モノマーを重合することにより、モノマー単位がエステル結合で連結しているポリマー、すなわちポリエステルを生じるモノマーを言う。
エステル結合形成性モノマーとしては、ヒドロキシカルボン酸を用いることが好ましい。また、ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシ基とカルボキシル基が分子内脱水縮合した環状化合物であるラクトンや、2分子のヒドロキシカルボン酸の互いのヒドロキシ基とカルボキシル基が脱水縮合した環状化合物であるラクチドも好ましく用いることができる。
ヒドロキシカルボン酸としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を用いることが特に好ましい。脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、(2-ヒドロキシエトキシ)酢酸等が挙げられる。特に、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ吉草酸、およびヒドロキシカプロン酸から選ばれる化合物が好ましい。
乳酸としては、L-乳酸、D-乳酸、およびそれらの混合体のいずれも用いることができるが、得られるポリマーの物性や生体適合性の面からは、L-乳酸を用いることが好ましい。モノマーとして混合体を用いる場合、L体の含有率が85%以上であることが好ましく、95%以上である方がより好ましい。
ラクトンとしては、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキセパノン、エチレンオキサラート、p-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、β-プロピオラクトン、ピバロラクトン等を用いることができる。特にブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、p-ジオキサノン、トリメチレンカーボネートが好ましく、バレロラクトンまたはカプロラクトンがより好ましい。
ラクチドとしては、乳酸2分子が脱水縮合したジラクチドや、グリコール酸2分子が脱水縮合したグリコリド、テトラメチルグリコリド等を用いることができ、特にジラクチドまたはグリコリドが好ましい。
エステル結合形成性モノマーとしては、以上例示したモノマーの誘導体を用いることもできる。
これらのなかでも本発明は、モノマーAおよびモノマーBが、それぞれ乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、(2-ヒドロキシエトキシ)酢酸、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ジオキセパノン、エチレンオキサラート、p-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、β-プロピオラクトン、ピバロラクトン、ジラクチド、グリコリド、およびテトラメチルグリコリドからなる群より選ばれる化合物から形成されるモノマーであることがより好ましい。モノマーAは、乳酸、グリコール酸、ジラクチド、グリコリドからなる群より選ばれる化合物であることがより好ましく、乳酸またはグリコール酸であることが特に好ましい。モノマーBは、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、バレロラクトン、カプロラクトンからなる群より選ばれる化合物であることがより好ましく、カプロラクトンまたはδ-バレロラクトンであることが特に好ましい。
本明細書中では、2種類のエステル結合性モノマーのうち、そのモノマー残基のみで構成されるホモポリマーの結晶性が高いものをモノマーA、結晶性の低いものをモノマーBとする。
ホモポリマーの結晶性は、後述のように示差走査熱量計を用いてDSC法により測定する。例えば乳酸残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たりの融解熱は135J/g、カプロラクトン残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たりの融解熱は51J/gである。すなわち、ポリエステルコポリマーが乳酸残基およびカプロラクトン残基を主構成単位とする場合、乳酸がモノマーA、カプロラクトンがモノマーBとなる。
本発明においては、ポリエステルコポリマー中のモノマーA残基の結晶化率およびモノマーB残基の結晶化率がともに14%未満である。当該結晶化率が14%未満であれば、ヤング率の上昇が抑えられ、医療材料やエラストマー用途に適したポリマー組成物を得ることができる。モノマーA残基とモノマーB残基結晶化率は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
ここで言うモノマー残基の結晶化率とは、あるモノマー残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たりの融解熱と前記ポリエステルコポリマー中の当該モノマー残基の重量分率の積に対する、ポリエステルコポリマー中の当該モノマー残基の単位重量当たりの融解熱の割合である。
すなわち、モノマーA残基の結晶化率とは、モノマーAのみからなるホモポリマーの単位重量あたりの融解熱とポリエステルコポリマー中のモノマーA残基の重量分率の積に対する、ポリエステルコポリマー中のモノマーA残基の単位重量当たりの融解熱の割合である。モノマーA残基およびモノマーB残基の結晶化率は、それぞれポリエステルコポリマー中に含まれるモノマーA残基もしくはモノマーB残基の中で結晶構造を形成している割合を示す。
モノマーA残基が乳酸残基、モノマーB残基がカプロラクトン残基である場合には、乳酸残基、カプロラクトン残基の結晶化率は14%未満であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
結晶化率は、具体的に下記の方法で求めるものとする。
ポリエステルコポリマーを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液をテフロン製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させる。これを減圧乾燥させて、ポリエステルコポリマーフィルムを得た。得られたポリエステルコポリマーフィルムをアルミナPANに採取し、示差走査熱量計を用いてDSC法により下記の条件で測定し、下記温度条件(D)から(E)の間に観測される融解ピークの測定結果から融解熱を算出する。
機器名:EXSTAR 6000(セイコーインスツル株式会社製)
温度条件:(A)25℃→(B)250℃(10℃/min)→(C)250℃(5min)→(D)-70℃(10℃/min)→(E)250℃(10℃/min)→(F)250℃(5min)→(G)25℃(100℃/min)
標準物質:アルミナ
ここで、上記温度条件は、25℃から250℃まで速度10℃/minで昇温し(1st run)、250℃で5min保持した後、-70℃まで速度10℃/minで降温し、再度250℃まで速度10℃/minで昇温し(2nd run)、250℃で5min保持した後、25℃まで速度100℃/minで降温することを意味する。すなわち、温度条件(D)から(E)の間に観測される融解ピークとは、2nd runの昇温時における融解ピークを意味する(以下同様)。
次にポリエステルコポリマーを形成するモノマーA残基のみからなるホモポリマー、および、モノマーB残基のみからなるホモポリマーをそれぞれ作成する。それぞれのホモポリマーの結晶性は、上記のポリエステルコポリマーの測定と同様にして、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
結晶化率は下記式から算出する。
モノマーA残基の結晶化率=(ポリエステルコポリマーのモノマーA残基の単位重量当たりの融解熱)/{(モノマーA残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たり融解熱)×(ポリエステルコポリマー中のモノマーA残基の重量分率)}×100(%)
モノマーB残基の結晶化率=(ポリエステルコポリマーのモノマーB残基の単位重量当たりの融解熱)/{(モノマーB残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たりの融解熱)×(ポリエステルコポリマー中のモノマーB残基の重量分率)}×100(%)
本明細書において、「モノマー残基」とは、原則として、当該モノマーを含む2種以上のモノマーを重合して得られたコポリマーの化学構造中における、当該モノマーに由来する化学構造の反復単位を言う。例えば、乳酸(CHCH(OH)COOH)と、カプロラクトン(ε-カプロラクトン:下記式)
とを重合して、乳酸とカプロラクトンのコポリマーを得た場合、
が上記式で表される単位が乳酸モノマー残基であり、下記式で表される単位がカプロラクトンモノマー残基である。
なお、例外として、モノマーとしてラクチド等の2量体を用いる場合には、「モノマー残基」は当該2量体に由来する2回繰り返し構造のうちの1つを意味するものとする。例えば、ジラクチド(L-(-)-ラクチド:下記式)
とカプロラクトンとを重合した場合、コポリマーの化学構造には、ジラクチドに由来するモノマー残基として上記式(R1)に示される構造、すなわち乳酸残基が2回繰り返された構造が形成されるが、この場合にはそのうち1つの乳酸残基を「モノマー残基」と捉える。すなわち、モノマーであるジラクチドに由来して、「モノマー残基」である乳酸残基が2つ形成されたと考えるものとする。
2種類のモノマー残基を「主構成単位」とする、とは、その他のモノマー残基を含めたポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100モル%とした場合に、当該2種類のモノマー残基数の和が50モル%以上であり、かつ、ポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100モル%とした場合に、それぞれの残基が20モル%以上であることを意味する。例えば、モノマーA残基とモノマーB残基とを主構成単位とするとは、ポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100モル%とした場合に、モノマーA残基とモノマーB残基の残基数の和が50モル%以上であり、かつ、モノマーA残基が20モル%以上であり、かつモノマーB残基が20モル%以上であることを意味する。ここで、モノマーA残基、モノマーB残基、その他の残基のモル分率は、核磁気共鳴(NMR)測定により、それぞれの残基に由来するシグナルの面積値より決定できる。例えば、モノマーA残基が乳酸残基、モノマーB残基がカプロラクトン残基である場合には、後述する測定例1に記載の方法で測定することができる。
その他のモノマー残基を含めたポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100モル%とした場合に、モノマーA残基とモノマーB残基の和は、75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。また、ポリマー全体に含まれる全てのモノマー残基数の和を100モル%とした場合に、モノマーA残基およびモノマーB残基は、それぞれ30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。モノマーA残基およびモノマーB残基の和がポリマー全体の100モル%である、すなわちモノマーAおよびモノマーBのみからなるポリマーは、特に好ましい態様として挙げられる。
なお、本発明の効果を損なわない限りにおいて、主構成単位を構成する2種類のエステル結合形成性モノマーと共重合し得る別のモノマーをさらに共重合させることもできる。このようなモノマーとしては、前述のエステル結合形成性モノマーのうちのモノマーAおよびモノマーB以外のものを用いることができる。
また、リンカーとして機能するモノマーを共重合させることも好ましい態様である。リンカーとして機能するモノマーとしては、主構成単位を構成する2種類のエステル結合形成性モノマーとは別のヒドロキシカルボン酸や、ジアルコール、ジカルボン酸、アミノ酸、ジアミン、ジイソシアネート、ジエポキシド等が挙げられる。
なお、本明細書においては、エステル結合形成性モノマー以外のモノマーを構成単位に含むことにより、一部にエステル結合以外の結合で連結された構成単位を含むコポリマーも含めて「ポリエステルコポリマー」と表記するものとする。
前記ポリエステルコポリマーは、生分解性あるいは生体吸収性を有することが好ましい。当業者は、上記例示したモノマーを適宜組み合わせ、また本発明に規定する範囲内においてモノマーの量比を調整することにより、用途に応じて適当な生分解性あるいは生体吸収性を発現するコポリマーを合成することができる。
前記ポリエステルコポリマーは融点が100℃未満または明確な融点を持たない。融点は融点測定装置やDSCを用いて測定することができ、DSCを用いて測定することが好ましい。DSCを用いて測定する場合、融点は、具体的に下記の方法で求めるものとする。
ポリエステルコポリマーを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液をテフロン製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させる。これを減圧乾燥させて、ポリエステルコポリマーフィルムを得る。得られたポリエステルコポリマーフィルムをアルミナPANに採取し、示差走査熱量計でDSC法により下記の条件で測定し、下記温度条件(D)から(E)の間に観測される、融解ピークの温度を融点とする。この範囲に明確な融解ピークが見られない場合、明確な融点を持たないとする。
機器名:EXSTAR 6000(セイコーインスツル株式会社製)
温度条件:(A)25℃→(B)250℃(10℃/min)→(C)250℃(5min)→(D)-70℃(10℃/min)→(E)250℃(10℃/min)→(F)250℃(5min)→(G)25℃(100℃/min)
標準物質:アルミナ
前記ポリエステルコポリマーにおいて、モノマーA残基とモノマーB残基のモル比は、一方のモノマーが過剰に存在するとホモポリマーの性質に近づくことから、モノマーA残基と前記モノマーB残基の全モル数100%に対する、モノマーA残基のモル比率が20~80%であることが好ましく、30~70%がより好ましく、40~60%がさらに好ましい。
前記ポリエステルコポリマーは、前述の2種類のエステル結合形成性モノマーをそれぞれ「モノマーA」、「モノマーB」とした場合に下記式で表されるR値が0.45以上0.99以下である。
R=[AB]/(2[A][B])×100
[A]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基のモル分率(%)
[B]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーB残基のモル分率(%)
[AB]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造(A-B、およびB-A)のモル分率(%)
R値は、2種類のエステル結合形成性モノマー残基、すなわちモノマーA残基およびモノマーB残基を主構成単位とするコポリマーにおける、モノマー残基の配列のランダム性を示す指標として用いられる。例えば、完全にモノマー配列がランダムなランダムコポリマーでは、R値は1となる。
R値は核磁気共鳴(NMR)測定によって、隣り合う二つのモノマー残基の組み合わせ(以下ダイアドと呼ぶ場合がある)のうちA-A、B-B、A-B、B-Aの数の割合を定量することで決定できる。具体的には後述する測定例1に記載の方法で測定するものとする。例えば、ポリエステルコポリマーがモノマーAおよびモノマーBのみからなる場合、[AB]とは、ポリエステルコポリマー中の全ダイアド(A-A、B-B、A-B、B-A)の総数に対する、A-Bダイアド、およびB-Aダイアドの数の合計の割合を指す。また、例えば、ポリエステルコポリマーがモノマーA、モノマーB、およびモノマーCの3成分からなる場合、[AB]とは、ポリエステルコポリマー中の全ダイアド(A-A、B-B、A-B、B-A、A-C、C-A、B-C、C-B、C-C)の総数に対する、A-Bダイアド、およびB-Aダイアドの数の合計の割合を指す。ポリエステルコポリマーが4成分以上のモノマーからなる場合も同様である。
R値が0.45未満であると、ポリエステルコポリマーの結晶性が高く、得られる成形品は硬くなりヤング率が上昇することがある。一方、R値が0.99を超えると、得られる成形品は柔らかくなりすぎ粘着性を示すようになり、取扱性が低下することがある。同様の観点から、ポリエステルコポリマーのR値は0.45~0.85または0.50~0.99が好ましく、0.45~0.80または0.50~0.85がより好ましく、0.50~0.80がさらに好ましい。
前記ポリエステルコポリマーの重量平均分子量は、引張強度を好適な範囲に制御するため、60,000以上が好ましく100,000以上がより好ましく、150,000以上がさらに好ましい。上限は特に定めないが、成形加工性を好適な範囲に制御するため、重量平均分子量は、1,000,000以下が好ましく、800,000以下がより好ましく、500,000以下がさらに好ましい。ポリエステルコポリマーの重量平均分子量は、例えば測定例2に記載の方法で測定することができる
前記ポリエステルコポリマーは、一例として、2種類のエステル結合形成性モノマーであるモノマーAおよびモノマーBを、重合完了時において、得られるポリエステルコポリマー中におけるモノマーA残基とモノマーB残基の和が全残基の50モル%以上、かつモノマーA残基とモノマーB残基がそれぞれ全残基の20モル%以上となるような量で配合して重合させるマクロマー合成工程;
前記マクロマー合成工程で得られたマクロマー同士を連結するか、あるいは前記マクロマー合成工程で得られたマクロマー溶液に前記モノマーAおよび前記モノマーBを追添加してさらに重合することによりマルチ化するマルチ化工程;
を有するポリエステルコポリマーの製造方法により製造することができる。
〔マクロマー合成工程〕
マクロマー合成工程では、モノマーAとモノマーBを、理論上重合完了時において、得られるポリエステルコポリマー中におけるモノマーA残基とモノマーB残基の和が全残基の50モル%以上、かつモノマーA残基とモノマーB残基がそれぞれ全残基の20モル%以上となるような量で配合して重合を行う。これにより、モノマーA残基とモノマーB残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーが得られるが、本製造方法においてはさらに後述するマルチ化工程を行うため、本明細書においては、本工程により得られるポリエステルコポリマーを「マクロマー」と表現する。
エステル結合形成性モノマーとしては、前述のものを用いることができ、好ましい組み合わせ等についても前述の記載に準じる。
2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーを構成するモノマー残基の分布のランダム性は、重合時の各モノマーの反応性の違いにより変化する。すなわち、重合時に、当該2種類のモノマーのうち、一方のモノマーの後に、同じモノマーと他方のモノマーが同確率で結合すれば、モノマー残基が完全にランダムに分布したコポリマーが得られる。しかし、一方のモノマーの後にいずれかのモノマーが結合し易い傾向がある場合は、モノマー残基の分布に偏りのあるグラジエントコポリマーが得られる。得られたグラジエントコポリマーは、その分子鎖にそって重合開始末端から重合終了末端にかけてモノマー残基の組成が連続的に変化している。
ここで、モノマーAをモノマーBよりも初期重合速度が大きいモノマーであると仮定すると、マクロマー合成工程においてモノマーAとモノマーBとを共重合させた場合、モノマーAの後にモノマーAが結合し易い。そのため、合成されたマクロマーにおいては、重合開始末端から重合終了末端にかけてモノマーA単位の割合が徐々に減少する組成勾配をなすグラジエント構造が形成される。すなわち、本工程で得られるマクロマーは、モノマーAとモノマーBとの初期重合速度差により、モノマーA残基とモノマーB残基とが骨格中で組成勾配をなすグラジエント構造を有するマクロマーとなる。すなわち、初期重合速度の異なるモノマーAとモノマーBを本工程で用いることにより、骨格中で組成勾配をなすグラジエント構造を有するマクロマーを得ることができる。このようなマクロマーを、本明細書においては「グラジエントマクロマー」と呼ぶ場合がある。
マクロマー合成工程においては、このようなグラジエント構造を実現するために、開始末端から一方向に起こる重合反応によりマクロマーを合成することが望ましい。このような合成反応としては、開環重合またはリビング重合を利用することが好ましい例として挙げられる。
本工程で得られるマクロマーは、最終的に前述のR値を満たすポリエステルコポリマーを製造しやすくするため、ポリエステルコポリマーと同様のR値を有するもの、すなわち、下記式
R=[AB]/(2[A][B])×100
[A]:マクロマー中の、モノマーA残基のモル分率(%)
[B]:マクロマー中の、モノマーB残基のモル分率(%)
[AB]:マクロマー中の、モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造(A-B、およびB-A)のモル分率(%)
で表されるR値が0.45以上0.99以下であることが好ましく、0.50以上0.80以下であることがより好ましい。
マクロマー合成工程で合成されるマクロマーの重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上である。また、結晶性を抑え柔軟性を保つためにはマクロマーの重量平均分子量は、150,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましい。
〔マルチ化工程〕
マルチ化工程では、マクロマー合成工程で得られた複数のマクロマー同士を連結するか、あるいはマクロマー合成工程で得られたマクロマー溶液にモノマーAおよびモノマーBを追添加してさらに重合することにより、マルチ化する。本工程においては、一のマクロマー合成工程で得られたマクロマー同士を連結してもよいし、二以上のマクロマー合成工程で得られた複数のマクロマーを連結してもよい。なお、「マルチ化」とは、モノマーA残基とモノマーB残基とが骨格中で組成勾配を有するグラジエント構造を有するマクロマー単位が複数連結された構造を有するポリエステルコポリマーを形成することを意味する。
マルチ化するマクロマー単位の数は2以上であれば良いが、連結数が多いと分子鎖の絡み合いによる引張強度の向上効果が出ることから、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、6以上であることがさらに好ましい。一方、ポリエステルコポリマーの分子量が過度に増大すると、粘度上昇により成形性に悪影響を及ぼす懸念があるため、マクロマー単位の数は80以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
マクロマー単位の連結数は、マルチ化行程において使用する触媒や反応時間によって調整することができる。マクロマー同士を連結させてマルチ化を行う場合、マクロマー単位の数は、最終的に得られたポリエステルコポリマーの重量平均分子量を、マクロマーの重量平均分子量で除して求めることができる。
前記ポリエステルコポリマーは、マクロマー単位が直線状に連結した直鎖状ポリマーでも良いし、分岐して連結した分岐鎖状ポリマーであっても良い。
直鎖状のポリエステルコポリマーは、例えば、グラジエントマクロマーの両末端に同様のグラジエントマクロマーを1分子ずつ、末端同士を介して結合させてゆくことで合成できる。
グラジエントマクロマーがヒドロキシル基とカルボキシル基を両末端に有する場合は、末端同士を縮合剤により縮合させることで、マルチ化したポリエステルコポリマーが得られる。縮合剤としては、p-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウム、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド、塩酸1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’-カルボニルジイミダゾール、1,1’-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム=クロリドn水和物、トリフルオロメタンスルホン酸(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-(2-オクトキシ-2-オキソエチル)ジメチルアンモニウム、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロリン酸塩、(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、クロロトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロリン酸塩、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、S-(1-オキシド-2-ピリジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルチウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、O-[2-オキソ-1(2H)-ピリジル]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、{{[(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ}-4-モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-(クロロ-1-ピロリジニルメチレン)ピロリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-フルオロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩等が使用可能である。
また、重合反応がリビング性を有する場合、すなわち重合物の末端から連続して重合反応を開始しうる場合には、重合反応が終了した後のグラジエントマクロマー溶液にモノマーAおよびモノマーBを追添加してさらに重合する操作を繰り返すことで、マルチ化することができる。
あるいは、グラジエントマクロマー同士を、ポリマーの力学的特性に影響を与えない範囲においてリンカーを介してマルチ化しても良い。特に、複数のカルボキシル基および/または複数のヒドロキシ基を有するリンカー、例えば2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を使用すると、リンカーが分岐点となった分岐鎖状のポリエステルコポリマーを合成することができる。
以上のような製造方法により得られるポリエステルコポリマーは、モノマーA残基とモノマーB残基とが、骨格中で組成勾配を有するマクロマー単位が2つ以上連結した構造のコポリマーとなる。これは本発明のポリエステルコポリマーの好ましい態様である。本明細書においては、このような構造を便宜的に「マルチグラジエント」、マルチグラジエント構造を有するコポリマーを「マルチグラジエントコポリマー」と記載する場合がある。つまり前記ポリエステルコポリマーはマルチグラジエントコポリマーであることが好ましい。
ポリエステルコポリマーは、マクロマー単位が2つ以上連結した構造を有することが好ましく、3つ以上連結した構造を有することがより好ましい。また、マクロマー単位の連結数の上限としては、80以下であることが好ましく、40以下がより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。
前述の通り、モノマーA残基が乳酸残基、モノマーB残基がカプロラクトン残基であるポリエステルコポリマーは、本発明の特に好ましい態様である。このようなポリエステルコポリマーは、下記のような製造方法により好ましく製造される。
まず、マクロマー合成工程において、触媒の存在下にてジラクチドとε-カプロラクトンを重合させる。ジラクチドおよびε-カプロラクトンは、使用前に不純物を取り除くために、好ましくは精製される。ジラクチドの精製は、たとえばナトリウムによって乾燥されたトルエンを溶媒として用いた再結晶で可能である。ε-カプロラクトンは、たとえばCaHからN雰囲気下で減圧蒸留によって精製される。
乳酸残基とカプロラクトン残基とを有するマクロマー合成工程の触媒としては、通常のゲルマニウム系触媒、チタン系触媒、アンチモン系触媒、スズ系触媒等のポリエステルの重合触媒が使用可能である。このようなポリエステルの重合触媒の具体例としては、オクチル酸スズ、三フッ化アンチモン、亜鉛粉末、酸化ジブチルスズ、シュウ酸スズなどが挙げられる。触媒の反応系への添加方法としては、特に限定されるものではないが、好ましくは原料仕込み時に原料中に分散させた状態で、あるいは減圧開始時に分散処理した状態で添加する方法である。触媒の使用量は使用するモノマーの全量を100重量部として、金属原子換算で0.01~3重量部、より好ましくは0.05~1.5重量部である。
乳酸残基とカプロラクトン残基とを有するマクロマーは、ジラクチド、カプロラクトンおよび触媒を、撹拌機を備えた反応容器に入れ、120~250℃、窒素気流下で反応させることにより得ることができる。水を助開始剤として使用する場合は、重合反応に先立って、90℃付近で助触媒反応を行うことが好ましい。反応時間としては2時間以上、好ましくは4時間以上、さらには重合度を上げるためにはより長時間、例えば8時間以上が好ましい。ただし、長時間反応を行いすぎるとポリマーの着色の問題が生じるため、反応時間は3~30時間が好ましい。
次に、マルチ化工程において、乳酸残基とカプロラクトン残基とを有するグラジエントマクロマーの末端同士を縮合反応により連結し、マルチ化する。縮合反応の反応温度は10~100℃が好ましく、さらに好ましくは20~50℃である。反応時間としては1日以上、さらに好ましくは2日以上が好ましい。ただし、長時間反応を行いすぎるとポリマーの着色の問題が生じるため、反応時間は2~4日が好ましい。
前記ポリエステルコポリマーは、マクロマー単位が2つ以上連結した構造を有するポリエステルコポリマーであって、モノマーAおよびモノマーBにおいて、初期重合速度の速い方の速度をV、初期重合速度の遅い方の速度をVとした場合に、前記マクロマー単位は、1.1≦V/V≦40を満たすモノマーA残基およびモノマーB残基を主構成単位とすることが好ましい。1.1≦V/V≦40を満たすモノマーA残基およびモノマーB残基を主構成単位とするポリエステルコポリマーからなるマクロマー単位を2つ以上連結した構造の前記ポリエステルコポリマーとすることにより、グラジエント構造のマクロマー単位とすることができ、結果として前記ポリエステルコポリマーがマルチグラジエント構造となるために好ましい。
ここで、モノマーAおよびモノマーBにおいて、初期重合速度の速い方の速度であるV、および初期重合速度の遅い方の速度であるVは、以下の方法で求められる。モノマーAとモノマーBを等モル混合し、必要に応じて溶媒および触媒を添加し、最終的に合成しようとするポリエステルコポリマーにおける後述するR値と誤差10%の範囲内で同じR値になるように温度等の条件を調整し重合反応を開始する。重合中の試料から定期的にサンプリングを行い、モノマーAとモノマーBの残量を測定する。残量は、例えば、クロマトグラフィーや核磁気共鳴(NMR)測定で測定する。各モノマーの仕込み量から残量を差し引くことで、重合反応に供されたモノマー量が求められる。サンプリング時間に対して重合反応に供されたそれぞれのモノマー量をプロットすると、その曲線の初期勾配がそれぞれVおよびVである。
モノマーAの初期重合速度の方がモノマーBの初期重合速度よりも速い場合、重合初期においてモノマーAが重合中のポリマー末端に結合する確率が高い。一方、モノマーAが消費され反応液中の濃度が減少する重合後期においては、モノマーBが重合中のポリマー末端に結合する確率が高くなる。その結果、一方の末端からモノマーA残基の割合が徐々に減少するグラジエントポリマーが得られる。このようなグラジエントポリマーは、結晶性が低くなり、ヤング率上昇も抑えられる。こうしたグラジエント構造を形成されやすくするため、V/Vは、1.3以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。一方、モノマーAとモノマーBの重合速度の差が大きすぎると、モノマーAのみが重合した後にモノマーBが重合したブロックポリマーに近い構造となり、得られるポリマーの結晶性が高くなってヤング率の上昇を招く場合があることから、V/Vは30以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましく、10以下であることが一層好ましい。
このようなモノマーAとモノマーBの好ましい組み合わせとしては、ジラクチドとε-カプロラクトン、グリコリドとε-カプロラクトン、グリコリドとジラクチド、ジラクチドとジオキセパノン、エチレンオキザラートとジラクチド、ジラクチドとδ-バレロラクトン、グリコリドとδ-バレロラクトンなどが挙げられる。
本発明のポリマー組成物は、ポリエステルコポリマーおよび生分解性ポリマーを含有しているが、前記生分解性ポリマーは、融点が100℃以上である。なお、融点の測定方法は、前述のポリエステルコポリマーの測定方法と同様である。ただし、サンプルフィルムの作製において、当該生分解性ポリマーがクロロホルムに難溶の場合は、適宜溶媒を変更してもよく、また加熱プレス法などの溶融成形法でフィルムを作製してもよい。
また生分解性とは、生体内で分解される性質のことを指し、生分解性ポリマーとはそのような性質を有するポリマーを指す。生分解性と互換的に使用され得る用語として生体吸収性、生体適合性等が挙げられる。生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリバレロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリビニルアルコール等が挙げられる。上記生分解性ポリマーの共重合体を用いてもよいが、本発明においては融点が100℃以上のものに限る。また、これらの混合物またはポリアルキレングリコール等の水溶性ポリマーとの混合物であってもよい、なかでも、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサノエートおよびポリジオキサノンから選ばれるポリマー、あるいはこれらの混合物が好ましい。
ポリアルキレングリコールとは、1種類以上のアルキレングリコールが重合されたポリマーである。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等、およびこれらの共重合体が挙げられる。
本発明のポリマー組成物中は、引張強度を好適な範囲に制御するため、ポリエステルコポリマーと生分解性ポリマーの合計100重量%中に、生分解性ポリマーを0.1重量%以上30重量%未満含有する。生分解性ポリマーを0.1重量%以上20重量%未満含有することが好ましく、0.5重量%~15重量%含有することがより好ましく、1.0重量%~10重量%含有することがさらに好ましい。
ポリエステルコポリマーのみの引張強度に対する、ポリマー組成物の引張強度の比は1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2以上がさらに好ましい。またポリマー組成物中の生分解性ポリマーの含有量が多すぎると、ヤング率が上昇することがあり、ポリエステルコポリマーのみのヤング率に対する、ポリマー組成物のヤング率の比は5以下が好ましく、3以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましく、2以下がもっとも好ましい。
また本発明のポリマー組成物は、フィラーを含むことができる。フィラーとしては、例えば、タルク、シリカ、クレー、ウォラストナイト、ゾノトライト、アルミボレート、マイカ、ガラスフレーク、カーボンブラック、アルミナ、フェライト、黒鉛、カーボンナノチューブ、グラフェン、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、β-トリカルシウムフォスフェート、α-トリカルシウムフォスフェート、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸ナトリウム、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の無機フィラーや、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、石膏繊維、ポリエステル繊維等の有機フィラーが挙げられる。
ポリマー組成物中のフィラーの含有量は特に限定されないが、生分解性を好適な範囲に制御するため、ポリエステルコポリマーと生分解性ポリマーの合計100重量部に対して、フィラーを0~3重量部含有することが好ましく、0~1重量部含有することがより好ましく、0~0.1重量部含有することがさらに好ましい。なお、フィラーは少なければ少ないほど好ましいため、特に好ましくはフィラーを含有しない態様、つまりポリエステルコポリマーと生分解性ポリマーの合計100重量部に対して、フィラーの含有量が0重量部の態様である。
本発明のポリマー組成物は、ヤング率が6.3MPa以下、引張強度が5MPa以上であることが好ましい。また生体追従性を好適な範囲に制御するため、ポリマー組成物のヤング率は0.1~6.3MPaがより好ましい。ヤング率の下限は、1.0MPa以上がさらに好まい。ヤング率の上限は、5.0MPa以下がさらに好ましい。そして同様の理由で、ポリマー組成物の引張強度は5~100MPaがより好ましい。引張強度の下限は、10MPa以上がさらに好ましく、15MPa以上がさらに好ましく、20MPa以上が特に好ましく、30MPa以上がもっとも好ましい。引張強度の上限は、80MPa以下がさらに好ましく、50MPa以下が特に好ましい。
ここで、ポリマー組成物のヤング率および引張強度は、JIS K6251(2017)に規定される方法に準じて測定することができる。具体的には、ポリマー組成物を濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液をテフロン製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させる。これを減圧乾燥させて得られる、厚み0.1mmのフィルムを短冊状(30mm×5mm)に切り出し、小型卓上試験機 EZ-LX(株式会社島津製作所製)を用いて、
初期長:10mm、
引張速度:500mm/min、
ロードセル:1kN
の条件において引張試験を行い、ヤング率および引張強度を測定する。各3回測定し、その平均値を算出することにより、ポリマー組成物のヤング率および引張強度を求めることができる。
本発明のポリマー組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記ポリエステルコポリマーと前記生分解性ポリマー以外の成分を含むことができる。本発明のポリマー組成物100重量%中に、ポリエステルコポリマーと生分解性ポリマーの合計を50~100重量%含むことが好ましく、70~100重量%含むことがより好ましく、90~100重量%含むことがさらに好ましい。
本発明のポリマー組成物は、本発明のポリマー組成物からなる成形体として好適に用いることが可能である。以下、本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体は、本発明のポリマー組成物からなる。本発明において成形体とは、本発明のポリマー組成物を、目的に応じて従来の方法により種々の形状に成形した物体を指す。成形体としては、例えば、膜状体(メンブラン、フィルム、シート)、板状体(ボード)、棒状体(ロッド)、筒状体(パイプ、チューブ)、糸状体(フィラメント)、網状体(メッシュ)、袋状体、織布または不織布等が挙げられる。
本発明のポリマー組成物は、加工してフィラメントとして用いることが好適である。つまり本発明のフィラメントは、本発明のポリマー組成物からなる。なお、本発明においてフィラメントとは、上述の通り糸状体、つまり糸状の成形体のことを指す。フィラメントは複数のフィラメントを撚り合わせて1本の糸とするマルチフィラメントや、1本のフィラメントを1本の糸とするモノフィラメントの状態で用いられる。
また、本発明のポリマー組成物は、医療用成形体に好適に用いることができる。医療用成形体とは、医療用途として用いられる上記の成形体である。医療用途としては、縫合糸、人工骨、人工皮膚、創傷被覆材、DDS用の担体、マイクロニードル、組織や臓器の再生用足場材料などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリマー組成物は、ステントとして用いることができる。つまり本発明のステントは、本発明のポリマー組成物からなる。ここでステントとは、径方向に拡張可能なインプラント医療機器であり、様々な体腔または脈管(例えば血管系、食道、胃腸管、大腸および小腸、胆管、膵管、肺管、尿管および気管など)の内側に移植される。体腔または脈管が狭窄した場合、内腔を確保するためにステントが狭窄部分に留置される。このようなステントは、体腔または脈管に長期にわたって留置されるものや、予め所定の期間のみ内腔の開通性を維持した後に体内から回収されて除去されるものがある。
また、本発明のポリマー組成物は、3Dプリンター用途にも好ましく用いられる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(測定例1:核磁気共鳴(NMR)による各残基のモル分率およびR値の測定)
精製したポリエステルコポリマーを重クロロホルムに溶解し、H-NMRにより測定してポリエステルコポリマー中の乳酸モノマー残基およびカプロラクトンモノマー残基の比率をそれぞれ算出した。また、Hホモスピンデカップリング法により、乳酸残基のメチン基(5.10ppm付近)ならびにカプロラクトン残基のαメチレン基(2.35ppm付近)およびεメチレン基(4.10ppm付近)について、隣り合うモノマー残基が乳酸残基かカプロラクトン残基かを分離し、それぞれのピーク面積を定量した。ε-カプロラクトンの代わりにδ-バレロラクトンを用いた場合、同様に乳酸残基のメチン基(5.10ppm付近)ならびにバレロラクトンのαメチレン基(2.35ppm付近)およびδメチレン基(4.10ppm付近)について、隣り合うモノマー残基が乳酸残基かバレロラクトン残基かを分離し、それぞれのピーク面積を定量した。
それぞれのピーク面積比から、[AB]を計算しR値を算出した。ここで、[AB]は、コポリマー中の乳酸残基とカプロラクトン残基もしくはバレロラクトン残基が隣り合った構造のモル分率である。具体的にはA-Aダイアド、A-Bダイアド、B-AダイアドおよびB-Bダイアドの総数に対するA-Bダイアドの数とB-Aダイアドの数の合計の割合(%)である。結果を表に示す。
機器名:JNM-ECZ400R(日本電子株式会社製)
Hホモスピンデカップリング照射位置:1.66ppm
溶媒:重クロロホルム
測定温度:室温。
(測定例2:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量の測定)
機器名:Prominence(株式会社島津製作所製)
移動相:クロロホルム(HPLC用)(和光純薬工業株式会社製)
流速:1mL/min
カラム:TSKgel GMHHR-M(φ7.8mmX300mm;東ソー株式会社製)
検出器:UV(254nm)、RI
カラム、検出器温度:35℃
標準物質:ポリスチレン
精製したポリエステルコポリマーをクロロホルムに溶解し、0.45μmのシリンジフィルター(DISMIC-13HP;ADVANTEC社製)を通過させて不純物等を除去した後にGPCにより測定して、ポリエステルコポリマーの重量平均分子量を算出した。結果を表に示す。
(測定例3:示差走査熱量(DSC)による結晶化率、融点の測定)
ポリエステルコポリマーまたは生分解性ポリマーを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液をテフロン製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させる。これを減圧乾燥させて、厚さ約100μmのフィルムを得た。得られたフィルム(約10mg)をアルミナPANに採取し、示差走査熱量計でDSC法により下記の条件で測定し、温度条件(D)から(E)の間に観測される融解ピークの測定結果から、下記式1、2を用いて結晶化率を算出した。また、融解ピークが見られる温度を融点とし、明確な融解ピークが見られない場合、そのポリエステルコポリマーまたは生分解性ポリマーは明確な融点を持たないとした。
共重合体等で融解ピークが複数見られる場合は、それぞれの融解ピークが見られる温度とその融解ピークの由来となるモノマー残基の重量分率の積の和を融点とする。すなわち、例えばモノマーA残基とモノマーB残基からなる共重合体について複数の融解ピークが見られる場合において、その共重合体の融点は、{(モノマーA残基由来の融解ピークが見られる温度)×(共重合体中のモノマーA残基の重量分率)+(モノマーB残基由来の融解ピークが見られる温度)×(共重合体中のモノマーB残基の重量分率)}で求めることができる。
機器名:EXSTAR 6000(セイコーインスツル株式会社製)
温度条件:(A)25℃→(B)250℃(10℃/min)→(C)250℃(5min)→(D)-70℃(10℃/min)→(E)250℃(10℃/min)→(F)250℃(5min)→(G)25℃(100℃/min)
標準物質:アルミナ
モノマーAの結晶化率=(ポリエステルコポリマー中のモノマーA残基単位重量当たりの融解熱)/{(モノマーA残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たりの融解熱)×(ポリエステルコポリマー中のモノマーA残基の重量分率)}×100 ・・・式1
モノマーBの結晶化率=(ポリエステルコポリマー中のモノマーB残基単位重量当たりの融解熱)/{(モノマーB残基のみからなるホモポリマーの単位重量当たりの融解熱)×(ポリエステルコポリマー中のモノマーB残基の重量分率)}×100 ・・・式2
ここで、ホモポリマーの単位重量当たりの融解熱は次のように求められる。ポリエステルコポリマーを形成するモノマーA残基のみからなるホモポリマー、および、モノマーB残基のみからなるホモポリマーをそれぞれ作成し、それぞれのホモポリマーを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液をテフロン製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させる。これを減圧乾燥させて、フィルムを得た。得られたフィルムをアルミナPANに採取し、示差走査熱量計でDSC法により下記の条件で測定し、温度条件(D)から(E)の間に観測される融解ピークの測定結果から得られる、グラフの融解ピーク面積から融解熱を読み取る。
機器名:EXSTAR 6000(セイコーインスツル株式会社製)
温度条件:(A)25℃→(B)250℃(10℃/min)→(C)250℃(5min)→(D)-70℃(10℃/min)→(E)250℃(10℃/min)→(F)250℃(5min)→(G)25℃(100℃/min)
標準物質:アルミナ。
(測定例4:引張試験によるヤング率、引張強度の測定)
ポリマー組成物を減圧乾燥し、これを濃度が5重量%になるようにクロロホルムに溶解させ、その溶液をテフロン製シャーレ上に移して、常圧、室温下で1昼夜乾燥させた。これを50℃で一昼夜減圧乾燥させて、フィルムを得た。
得られたフィルム(厚さ約0.1mm)を短冊状(50mm×5mm)に切り出し、JIS K6251(2017)に従い下記条件で引張試験を行い、ヤング率、引張強度を求めた。結果を表に示す。
また試験片に標線をつける場合には、適切なマーカを用いて、2本の標線を試験片につけた。標線をつける際には、試験片は引っ張られていない状態とし、試験片の平行部分に対して直角に、かつ、試験片の中央から等距離に、正確、かつ、鮮明に付けた。
機器名:EZ-1kNLX(島津アクセス製)
試験前の標線間距離:10mm
つかみ具間距離:10mm(標線の位置をつかんだ)
引張速度:500mm/min
ロードセル:1kN。
(合成例1)
50.0gのL-ラクチド(PURASORB L;PURAC社製)と、39.6gのεーカプロラクトン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)とを、モノマーとして、0.45gのヒドロキシピバル酸を開始剤として、セパラブルフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、5.8mLのトルエン(超脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解した触媒である0.27gのオクチル酸スズ(II)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を加え、150℃で9.5時間反応させ、粗コポリマーを得た。
得られた粗コポリマーを200mLのクロロホルムに溶解し、攪拌状態にある3000mLのヘキサンに滴下して、沈殿物を得た。沈殿物を50℃で減圧乾燥してマクロマーを得た。
当該マクロマー50gと、触媒である2.1gのp-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウム(合成品)と、0.87gの4,4-ジメチルアミノピリジン(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)をフラスコに採取した。これらをアルゴン雰囲気下とし、200mLのジクロロメタン(脱水)(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)に溶解し、縮合剤である1.7mLのジイソプロピルカルボジイミド(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)を添加し、室温で終夜縮合重合させた。
得られた反応混合物を220mLのクロロホルムで希釈し、さらに470mLの0.5M塩酸を添加し、30分間攪拌した後、デカンテーションで水層を除去した。その後470mLのイオン交換水を加え、10分間攪拌し、デカンテーションで水層を除去する工程を、除去した水層のpHが7になるまで繰り返した。残った有機層を攪拌状態にある2200mLのメタノールに滴下して、沈殿物を得た。この沈殿物を50℃で減圧乾燥して合成例1の精製ポリエステルコポリマーを得た。
(合成例2)
トルエンの量を3.0mL、粗コポリマーを得るための反応温度を140℃、4,4-ジメチルアミノピリジンの量を0.80gに変更した以外は、合成例1と同様の方法で合成を行い、合成例2の精製ポリエステルコポリマーを得た。
(合成例3)
トルエンの量を4.2mL、p-トルエンスルホン酸4,4-ジメチルアミノピリジニウムの量を1.8g、4,4-ジメチルアミノピリジンの量を0.60g、ジイソプロピルカルボジイミドの量を1.5mLに変更した以外は、合成例1と同様の方法で合成を行い、合成例3の精製ポリエステルコポリマーを得た。
(実施例1)
50mLスクリュー管に、合成例1のポリエステルコポリマーを987mgおよびポリ乳酸(Nature3D社製)を13mg加え、クロロホルム(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)20mLに溶解し、常圧、室温下で1昼夜乾燥させた。これを50℃で一昼夜減圧乾燥させて、実施例1のポリマー組成物を得た。
(実施例2)
ポリエステルコポリマーの量を979mg、ポリ乳酸の量を21mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例2のポリマー組成物を得た。
(実施例3)
ポリエステルコポリマーの量を963mg、ポリ乳酸の量を37mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例3のポリマー組成物を得た。
(実施例4)
ポリエステルコポリマーの量を877mg、ポリ乳酸の量を123mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例4のポリマー組成物を得た。
(実施例5)
ポリ乳酸(Nature3D社製)をポリ乳酸(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例5のポリマー組成物を得た。
(実施例6)
ポリエステルコポリマーの量を979mg、ポリ乳酸(Nature3D社製)をポリ乳酸(和光純薬工業株式会社製)に変更し、ポリ乳酸の量を21mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例6のポリマー組成物を得た。
(実施例7)
ポリエステルコポリマーの量を959mg、ポリ乳酸(Nature3D社製)をポリ乳酸(和光純薬工業株式会社製)に変更し、ポリ乳酸の量を42mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例7のポリマー組成物を得た。
(実施例8)
ポリエステルコポリマーの量を921mg、ポリ乳酸(Nature3D社製)をポリ乳酸(和光純薬工業株式会社製)に変更し、ポリ乳酸の量を79mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例8のポリマー組成物を得た。
(比較例1)
50mLスクリュー管に、合成例1のポリエステルコポリマーを1000mg加え、クロロホルム(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)20mLに溶解し、常圧、室温下で1昼夜乾燥させた。これを50℃で一昼夜減圧乾燥させて、比較例1のポリマー組成物を得た。
(比較例2)
ポリエステルコポリマーの量を594mg、ポリ乳酸の量を406mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、比較例2のポリマー組成物を得た。
(比較例3)
ポリエステルコポリマーの量を498mg、ポリ乳酸の量を502mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、比較例3のポリマー組成物を得た。
(比較例4)
ポリエステルコポリマーの量を700mg、ポリ乳酸(Nature3D社製)をポリ乳酸(和光純薬工業株式会社製)に変更し、ポリ乳酸の量を300mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、比較例4のポリマー組成物を得た。
(比較例5)
ポリエステルコポリマーの量を980mgに変更し、ポリ乳酸(Nature3D社製)13mgの代わりに、ポリカプロラクトン(シグマアルドリッチ社製)20mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、比較例5のポリマー組成物を得た。
(比較例6)
ポリエステルコポリマーの量を899mgに変更し、ポリ乳酸(Nature3D社製)13mgの代わりに、ポリカプロラクトン(シグマアルドリッチ社製)101mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、比較例6のポリマー組成物を得た。
(比較例7)
ポリエステルコポリマーの量を500mgに変更し、ポリ乳酸(Nature3D社製)13mgの代わりに、ポリカプロラクトン(シグマアルドリッチ社製)500mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、比較例7のポリマー組成物を得た。
(実施例9)
ポリエステルコポリマーの量を960mg、ポリ乳酸(Nature3D社製)をポリブチレンサクシネート(Nature3D社製)に変更し、ポリブチレンサクシネートの量を40mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例9のポリマー組成物を得た。
(実施例10)
ポリエステルコポリマーの量を813mg、ポリ乳酸の量を187mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例10のポリマー組成物を得た。
(実施例11)
合成例1のポリエステルコポリマーを合成例2のポリエステルコポリマーに変更し、ポリエステルコポリマーの量を961mg、ポリ乳酸の量を40mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例11のポリマー組成物を得た。
(実施例12)
合成例1のポリエステルコポリマーを合成例2のポリエステルコポリマーに変更し、ポリエステルコポリマーの量を900mg、ポリ乳酸の量を100mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例12のポリマー組成物を得た。
(実施例13)
合成例1のポリエステルコポリマーを合成例3のポリエステルコポリマーに変更し、ポリエステルコポリマーの量を961mg、ポリ乳酸の量を39mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例13のポリマー組成物を得た。
(実施例14)
合成例1のポリエステルコポリマーを合成例3のポリエステルコポリマーに変更し、ポリエステルコポリマーの量を880mg、ポリ乳酸の量を120mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、実施例14のポリマー組成物を得た。
(比較例8)
ポリエステルコポリマーの量を700mg、ポリ乳酸(Nature3D社製)をポリブチレンサクシネート(Nature3D社製)に変更し、ポリブチレンサクシネートの量を300mgに変更した以外は、実施例1と同様の方法で操作を行い、比較例8のポリマー組成物を得た。
(比較例9)
合成例1のポリエステルコポリマーを合成例2のポリエステルコポリマーに変更した以外は、比較例1と同様の方法で操作を行い、比較例9のポリマー組成物を得た。
(比較例10)
合成例1のポリエステルコポリマーを合成例3のポリエステルコポリマーに変更した以外は、比較例1と同様の方法で操作を行い、比較例10のポリマー組成物を得た。
実施例1~14、比較例1~10のポリマー組成物について、測定例1~4に記載の測定を行った。結果を表に示す。ただし、比較例8はフィルム作製不可だったので、測定例4の評価は実施できなかった。
なお、表中のモノマーA残基比率とは、モノマーA残基とモノマーB残基の全モル数100%に対する、モノマーA残基のモル比率を示す。
表中のMwとは、重量平均分子量を示す。
本発明のポリマー組成物の具体的な用途としては、繊維では不織布等、容器としては使い捨てのトイレタリー製品や化粧品、フィルムとしては包装用フィルム、農業用マルチフィルム、テープ類等の利用が考えられる。他にも医療用途として、縫合糸、人工骨、人工皮膚、創傷被覆材、DDS用の担体、マイクロニードル、組織や臓器の再生用足場材料などが考えられる。さらに、その他トナーや熱転写用インキのバインダー、3Dプリンター用途等の利用が考えられるが、これらに限定されるものではない。

Claims (10)

  1. ポリエステルコポリマーおよび生分解性ポリマーを含有するポリマー組成物であって、
    前記ポリエステルコポリマーは、2種類のエステル結合形成性モノマー残基を主構成単位としており、
    前記ポリエステルコポリマーは、前記2種類のエステル結合形成性モノマーをそれぞれ「モノマーA」、「モノマーB」とした場合に、下記(1)~(3)を満たし、
    前記モノマーAが、乳酸、グリコール酸、ジラクチドおよびグリコリドからなる群より選ばれる化合物であり、
    前記モノマーBが、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、バレロラクトンおよびカプロラクトンからなる群より選ばれる化合物であり、
    前記生分解性ポリマーは、融点が100℃以上であり、
    前記生分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサノエートおよびポリジオキサノンから選ばれるポリマー、あるいはこれらの混合物であり、
    前記ポリエステルコポリマーと前記生分解性ポリマーの合計100重量%中に、前記生分解性ポリマーを0.1重量%以上30重量%未満含有する、ポリマー組成物。
    (1)R値が0.45以上0.99以下である。R=[AB]/(2[A][B])×100[A]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基のモル分率(%)[B]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーB残基のモル分率(%)[AB]:ポリエステルコポリマー中の、モノマーA残基とモノマーB残基が隣り合った構造(A-B、およびB-A)のモル分率(%)
    (2)モノマーA残基の結晶化率およびモノマーB残基の結晶化率が14%未満である。
    (3)融点が100℃未満または明確な融点を持たない。
  2. 前記モノマーAが、乳酸、前記モノマーBが、カプロラクトン、前記生分解性ポリマーが、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネートから選ばれるポリマーである請求項1記載のポリマー組成物。
  3. 前記ポリエステルコポリマーと前記生分解性ポリマーの合計100重量部に対して、フィラーを0~3重量部含有する、請求項1または2記載のポリマー組成物
  4. 前記ポリエステルコポリマーの重量平均分子量が60,000以上である、請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物。
  5. ヤング率が6.3MPa以下、引張強度が5MPa以上である、請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物。
  6. 前記ポリエステルコポリマーが、マクロマー単位が2つ以上連結した構造を有する、ポリエステルコポリマーであって、
    前記モノマーAおよび前記モノマーBにおいて、初期重合速度の速い方の速度をV、初期重合速度の遅い方の速度をVとした場合に、前記マクロマー単位は、1.1≦V/V≦40を満たすモノマーA残基およびモノマーB残基を主構成単位とする、請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物
  7. 前記ポリマー組成物100重量%中に、前記ポリエステルコポリマーと前記生分解性ポリマーの合計を50~100重量%含有する、請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物。
  8. 請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物からなる、成形体。
  9. 請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物からなる、フィラメント。
  10. 請求項1~のいずれかに記載のポリマー組成物からなる、ステント。
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