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JP7807841B2 - 植物成長促進組成物 - Google Patents
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JP7807841B2 - 植物成長促進組成物 - Google Patents

植物成長促進組成物

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Description

本発明は植物成長促進組成物および植物成長促進方法に関する。
現在、人口が爆発的に増加していることもあり、食物となる植物を十分な供給量で生産していくことは世界的な課題となっている。また、緑地の減少等による土地の砂漠化等も問題となっており、加えて、世界的な温暖化現象に基づく地表の温度の上昇等も問題となり、植物を生育する上での環境上の問題点も増えつつある。すなわち、植物における地球環境要因に基づく過度のストレスは、植物の生育上問題となることが多い。
そこで従来よりも効率的な収穫を約束してくれる技術が求められており、バイオスティミュラントは、植物に対する環境ストレスを制御することにより気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減し、健全な植物を提供する新しい技術として注目されている。
特許文献1には、ステビアを含有する植物気孔開口促進剤について開示されており、ステビアにより植物気孔の開口を人為的に促進することで、熱ストレス耐性を向上させること等が報告されている。
特許文献2には、酵母細胞壁分解物を含む、エチレンおよび/またはジャスモン酸シグナル伝達系を活性化させる遺伝子の活性化用組成物について開示されており、酵母細胞壁分解物を植物に与えることにより、植物体の抗菌性や病害予防に関与する植物ディフェンシン遺伝子の発現を活性化させることが報告されている。
特許文献3には、メタノール資化性細菌の細胞壁含有物を穀物類の栽培用植物体に接種することで、穀物類の収量を増加させる方法について開示されている。
特許6741262号 特許4931388号 特開2019-180361号
上述のとおり、これまで各種資材を用いて植物の環境ストレス耐性向上や収量増加に関する研究がなされているが、にんじんエキスまたはにんじん粉末を用いた例については報告されていない。
本発明者らは鋭意検討した結果、独自に開発した高精度のスクリーニング法を用いることで、種々の資材の中でもにんじんエキス及びにんじん粉末からなる群から選択される1種以上が植物成長促進の有効成分になることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上を有効成分として含む植物成長促進組成物。
[2]
茎葉部若しくは根部の伸張、葉数の増加、開花若しくは結実の促進、花若しくは果実の数の増加、植物体重量若しくは作物収量の増加、緑化、および分蘖の促進からなる群から選択される1種以上の植物成長促進作用を有する、上記[1]記載の植物成長促進組成物。
[3]
環境ストレス耐性向上作用を有する、上記[1]又は[2]に記載の植物成長促進組成物。
[4]
温度ストレス、栄養ストレス、化学的ストレス、光ストレス、乾燥ストレス、pHストレス、塩ストレス、低酸素ストレス、食害ストレス、物理的ストレス、および病害ストレスからなる群から選択される1種以上に対する環境ストレス耐性向上作用を有する、上記[3]記載の植物成長促進組成物。
[5]
ストレス応答系の遺伝子を活性化させる、上記[3]記載の植物成長促進組成物。
[6]
にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上を有効成分として含む植物成長促進組成物を、植物若しくは植物の生育する土壌又は培養液に使用する、植物成長促進方法。
[7]
培養液又は希釈溶媒に対する前記植物成長促進組成物の使用量が0.001~50質量%または0.001~50体積%またはである、上記[6]記載の植物成長促進方法。
本発明のにんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上を含有した組成物を植物に適用することで、従来の資材と比べてより安全・安価に植物の成長を促進させることができる。
にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合(左)と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.1125mL(実施例1)添加した場合(右)のイネの根張りの向上を観察した画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合(左)と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.036mL(実施例2)添加した場合(右)のイネの根張りや地上部重量の向上を観察した画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合(左)と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL(実施例3)添加した場合(右)のイネの根張りの向上を観察した画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの高温ストレス耐性遺伝子の発現量ヒートマップを示す画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの高温ストレス耐性遺伝子Os08g0500700の発現量を示す画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの乾燥ストレス耐性遺伝子の発現量ヒートマップを示す画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの乾燥ストレス耐性遺伝子Os02g0753800の発現量を示す画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの低温ストレス耐性遺伝子の発現量ヒートマップを示す画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの低温ストレス耐性遺伝子Os04g0530900の発現量を示す画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの塩ストレス耐性遺伝子の発現量ヒートマップを示す画像である。 にんじんエキスまたはにんじん粉末を添加していない場合と、にんじんエキスを含む植物成長促進組成物を0.225mL添加した場合のイネの塩ストレス耐性遺伝子Os05g0127200の発現量を示す画像である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<植物成長促進組成物>
本実施形態における植物成長促進組成物は、にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上を有効成分として含む。にんじん(Daucus carota subsp. sativus)は、セリ科(Apiaceae)ニンジン属(Daucus)の植物である。具体的にはDaucus carota subsp. sativusが挙げられ、より具体的にはDaucus carota L.,が挙げられる。にんじんの品種及び産地等は特に限定されず、例えば、晩抽天翔、向陽2号、愛紅、れいめい等の品種が挙げられる。
本実施形態においてにんじんエキスとは、にんじんの各部位から特定の成分を抽出したものであり、特に限定されることはない。にんじんエキスは、例えば、後述する<植物成長促進組成物の調製方法>に記載した方法により得ることができる。また、にんじん粉末とは、にんじんの各部位やにんじんエキスを乾燥させて粉砕したものであり、特に限定されることはない。
本実施形態における植物成長促進組成物は、植物成長促進作用を有する組成物であり、ここで、植物成長促進作用とは、例えば、茎葉部若しくは根部の伸張、葉数の増加、開花若しくは結実の促進、花若しくは果実の数の増加、植物体重量若しくは作物収量の増加、緑化、又は分蘖の促進などの生育の促進作用が挙げられる。
植物成長促進作用が見られる場合とは、より具体的には、例えば、本実施形態の植物成長促進組成物を使用する場合と使用しない場合とを比較して、現物重量増加量(%)又は乾燥重量増加量(%)が増大することをいう。現物重量又は乾燥重量は、植物全体の現物重量又は乾燥重量であってもよく、植物の各部位(好ましくは、根部)の現物重量又は乾燥重量であってもよい。植物成長促進組成物を使用する場合における、現物重量増加量(%)又は乾燥重量増加量(%)は、本実施形態の植物成長促進組成物を使用しない場合と比較して好ましく10%以上、より好ましくは20%、さらに好ましくは30%以上に増大すればよい。植物成長促進作用がある場合とは、植物成長促進組成物の使用なしには全く生育が認められない場合に、植物成長促進組成物の使用により生育が認められるようになる場合を含む。なお、上記数値は植物成長促進組成物を適用した植物全体の平均値としての値である。
その他、植物成長促進作用には、以下のような植物の活性を向上させる作用も包含される。
1)根の伸長、根の活着率の向上
2)栄養吸収効率の増大
3)花芽の誘導、開花の促進、結実量の増大
4)糖分など成分の蓄積
5)節水効果の増大
6)カルス化の誘導効果
7)植物体のサイズの向上、中でも、地上部及び地下部の伸長又は肥大
8)傷の修復
すなわち、本実施形態の植物成長促進組成物は、茎葉部若しくは根部の伸張、葉数の増加、開花若しくは結実の促進、花若しくは果実の数の増加、植物体重量若しくは作物収量の増加、緑化、又は分蘖の促進のような生育の促進効果に加えて、上記1)~8)のような作用を有していてもよい。上記1)の作用が発揮されることで、根による栄養の吸収が促進され、植物全体の成長が促進されてもよい。
本実施形態における植物成長促進組成物は、植物が受ける種々の環境ストレス全般に対して耐性を付与するものであってもよい。本実施形態における植物成長促進組成物は、環境ストレス耐性向上作用を有していてもよい。ここで、環境ストレスとしては、例えば、生物的ストレス、非生物的ストレスなどが挙げられ、具体的には、食害ストレス、病害ストレス、高温ストレス、低温ストレス等の温度ストレス、栄養ストレス、化学的ストレス、光ストレス、乾燥ストレス、酸化ストレス等のpHストレス、浸透圧ストレス等の塩ストレス、低酸素ストレス、物理的ストレスなどが挙げられる。栄養ストレスは、例えば、栄養欠乏ストレスや栄養過剰ストレスを含む。
本実施形態において、「環境ストレス耐性」とは、環境ストレスを被る生育条件下であっても、生育不能(枯死)、生育不良(例えば、植物体の白化若しくは黄化、根長の減少若しくは葉数の減少)、生育速度の低下、又は植物体重量若しくは作物収量の減少のような望ましくない影響を実質的に受けることなく、正常に、又は正常に近い状態で生育できる形質を意味する。本実施形態の植物成長促進組成物によって植物の環境ストレス耐性を向上させることにより、通常の植物では生育に望ましくない影響を受ける外部環境においても、植物を正常に生育させることができる。
本実施形態における植物成長促進組成物の温度ストレス耐性付与効果としては、例えば、高温条件や低温条件において正常な生育を促す効果が挙げられる。高温条件は、本技術分野の技術常識に基づき当業者が適宜決定してよいが、35℃以上の条件が好ましく、例えば、35℃~50℃の条件であってよい。低温条件は、本技術分野の技術常識に基づき当業者が適宜決定してよいが、10℃以下の条件が好ましく、例えば、0℃~10℃の条件であってよい。また、塩ストレス付与効果としては、塩化ナトリウム0.1~3.0質量%存在下において正常な生育を可能とする。乾燥ストレス耐性付与効果としては、相対湿度10~40%においても正常な生育を可能とする。
本実施形態における植物成長促進組成物の栄養ストレス耐性付与効果としては、例えば、植物の栄養源となる化学物質の欠乏状態(栄養不足状態)にある植物に対して正常な生育を促す効果が挙げられる。ここで、栄養不足状態とは、例えば、実施例の表1の試験期の濃度に示される栄養成分未満の状態であってよく、具体的には、各栄養成分の量が、表1の試験期の濃度に示される量の2分の1~3分の1、3分の1~4分の1、4分の1~5分の1、5分の1~6分の1、6分の1~7分の1、7分の1~8分の1程度となっている状態であってよい。なお、表1の試験期の濃度は、イネ等の作物の栽培に一般的に使用される濃度である。
本実施形態において植物の環境ストレス耐性は、例えば、以下の手段によって評価することができる。塩ストレス耐性の有無は、対象となる植物を、適当な濃度で塩を添加した培地又は土壌中で、該植物にとって好適な状態の生育温度及び生育期間の条件で生育させ、その表現型を評価することにより確認することができる。乾燥ストレス耐性の有無は、対象となる植物を、該植物にとって乾燥状態の生育温度、生育湿度及び生育期間の条件で生育させ、その表現型を評価することにより確認することができる。高温ストレス耐性の有無は、対象となる植物を、35℃~50℃等の高温で馴化させた後、その後、該植物にとって好適な状態の生育温度及び生育期間の条件で生育させ、その表現型を評価することにより確認することができる。また、低温ストレス耐性の有無は、対象となる植物を、凍らない程度の低温で馴化させた後、その後、該植物にとって好適な状態の生育温度及び生育期間の条件で生育させ、その表現型を評価することにより確認することができる。
本実施形態における植物成長促進組成物が環境ストレス耐性向上作用を有する場合、ストレス応答系の遺伝子を活性化させるものであってもよい。ストレス応答系の遺伝子としては、特に限定されず、温度ストレス、栄養ストレス、化学的ストレス、光ストレス、乾燥ストレス、pHストレス、塩ストレス、低酸素ストレス、食害ストレス、物理的ストレス、病害ストレス等の環境ストレスへの応答指標として一般的に知られている遺伝子が挙げられる。
環境ストレスへの応答指標として一般的に知られている遺伝子とは、例えば、National Center for Biotechnology Information(NCBI)、Ensembl Plants、The Arabidopsis Information Resource(TAIR)、The Rice Annotation Project (RAP)等の公知のデータベースに開示されている遺伝子である。具体的には、高温ストレスへの応答指標として一般的に知られている遺伝子としては、Os01g0135900、Os01g0273500、Os01g0875700、Os02g0753800、Os03g0161900、Os03g0266300、Os03g0426900、Os05g0110100、Os05g0364500、Os05g0460000、Os05g0530400、Os06g0682900、Os06g0716700、Os06g0727200、Os08g0127600、Os08g0191100、Os08g0500700、Os09g0133600、Os11g0216100、Os11g0661200等が挙げられる。例えば、本実施形態における植物成長促進組成物を植物に施用することで、高温で馴化した該植物における、Os01g0135900、Os01g0273500、Os01g0875700、Os02g0753800、Os03g0161900、Os03g0266300、Os03g0426900、Os05g0110100、Os05g0364500、Os05g0460000、Os05g0530400、Os06g0682900、Os06g0716700、Os06g0727200、Os08g0127600、Os08g0191100、Os08g0500700、Os09g0133600、Os11g0216100、Os11g0661200等の遺伝子の発現量が、コントロールと比べて上昇する。
また、低温ストレスへの応答指標として一般的に知られている遺伝子としては、Os03g0678800、Os04g0517100、Os04g0530900、Os05g0559900、Os07g0635900、Os09g0271100、Os09g0334500等が挙げられる。例えば、本実施形態における植物成長促進組成物を植物に施用することで、低温で馴化した該植物における、Os03g0678800、Os04g0517100、Os04g0530900、Os05g0559900、Os07g0635900、Os09g0271100、Os09g0334500等の遺伝子の発現量が、コントロールと比べて上昇する。
また、乾燥ストレスへの応答指標として一般的に知られている遺伝子としては、Os01g0615050、Os01g0864500、Os02g0115700、Os02g0178800、Os02g0682300、Os02g0753800、Os02g0766700、Os03g0225100、Os03g0594400、Os05g0127200、Os05g0247100、Os05g0382900、Os05g0542500、Os07g0684000、Os08g0492500、Os09g0271100、Os09g0421700、Os10g0562900、Os11g0167800、Os11g0704500等が挙げられる。例えば、本実施形態における植物成長促進組成物を植物に施用することで、乾燥状態で生育させた該植物における、Os01g0615050、Os01g0864500、Os02g0115700、Os02g0178800、Os02g0682300、Os02g0753800、Os02g0766700、Os03g0225100、Os03g0594400、Os05g0127200、Os05g0247100、Os05g0382900、Os05g0542500、Os07g0684000、Os08g0492500、Os09g0271100、Os09g0421700、Os10g0562900、Os11g0167800、Os11g0704500等の遺伝子の発現量が、コントロールと比べて上昇する。
また、塩ストレスへの応答指標として一般的に知られている遺伝子としては、Os01g0141000、Os01g0200700、Os01g0615100、Os01g0624500、Os01g0864500、Os02g0132300、Os02g0327000、Os02g0594700、Os03g0285700、Os03g0364400、Os03g0594400、Os03g0678800、Os04g0493000、Os04g0511200、Os04g0530900、Os05g0127200、Os05g0542500、Os07g0684000、Os08g0492500、Os10g0370500等が挙げられる。例えば、本実施形態における植物成長促進組成物を植物に施用することで、適当な濃度で塩を添加した培地又は土壌中で生育させた該植物における、Os01g0141000、Os01g0200700、Os01g0615100、Os01g0624500、Os01g0864500、Os02g0132300、Os02g0327000、Os02g0594700、Os03g0285700、Os03g0364400、Os03g0594400、Os03g0678800、Os04g0493000、Os04g0511200、Os04g0530900、Os05g0127200、Os05g0542500、Os07g0684000、Os08g0492500、Os10g0370500等の遺伝子の発現量が、コントロールと比べて上昇する。
本実施形態における植物成長促進組成物は、にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上を単独で含んでもよく、1種以上の農業上許容される成分と組み合わせて含んでもよい。農業上許容される成分としては、特に限定されることはないが、例えば、溶媒、担体、賦形剤、結合剤、溶解補助剤、安定剤、増粘剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、油性液、緩衝剤、殺菌剤、不凍剤、消泡剤、着色剤、酸化防止剤、及びさらなる活性成分等を挙げることができる。農業上許容される担体としては、水、ケロセン若しくはディーゼル油のような鉱油画分、植物若しくは動物由来の油、環状若しくは芳香族炭化水素(例えばパラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類若しくはそれらの誘導体、又はアルキル化ベンゼン類若しくはそれらの誘導体)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はシクロヘキサノール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン)、若しくはアミン(例えばN-メチルピロリドン)、又はこれらの混合物のような農業上許容される液体担体が好ましい。
本実施形態における植物成長促進組成物が1種以上のさらなる活性成分を含有する場合、さらなる活性成分としては、本技術分野で公知の様々な環境ストレス耐性向上活性を有する化合物を適用することができる。植物成長促進組成物がこのような1種以上のさらなる活性成分を含有することにより、植物の環境ストレス耐性をさらに向上させることができる傾向にある。
本実施形態における植物成長促進組成物は、農薬や肥料等の従来公知の農業資材と併せて用いることができ、農業資材としては、農薬、肥料、土壌改良剤、培土(培養土)等が挙げられる。具体的には、農薬は、殺菌剤、殺虫剤、殺虫殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺そ剤、防虫・忌避剤、誘引剤、展着剤、ホルモン剤(成長調整剤)、除草剤等であってよく、肥料は、有機肥料、化学肥料、液体肥料、固体肥料、複合肥料、たい肥、成長促進剤、活力剤、カルシウム補給剤等であってよく、土壌改良剤は、物理的、化学的、生物的な土壌改善を目的とするものであってよく、酸素供給剤等であってもよい。また、農薬、肥料、土壌改良剤、培土は、植物、動物、石灰、鉱石、又は微生物由来の成分を含んでいてもよい。
植物成長促進組成物におけるにんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上の、植物成長促進組成物全体に対する含有量は、にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上が植物成長促進のための有効成分として機能する限り任意の値であってよいが、例えば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90質量%(体積%)以上であってよく、99、95、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10質量%(体積%)以下であってよい。
本実施形態における植物成長促進組成物は、農業化学製剤又は農薬として、植物の生育を促進するために使用することができる。植物成長促進組成物は、例えば、固体(例えば粉末若しくは粒状物)、液体(例えば溶液若しくは懸濁液)のような任意の形態であってよく、溶液又は懸濁液のような液体の形態で使用することが好ましい。溶液として用いる場合、液体の状態であってもよく、施用する際に、用時調整した液体として用いてもよい。
本実施形態の植物成長促進組成物の剤形は、特に限定されず、本技術分野で通常使用される、乳剤、水和剤、液剤、水溶剤、粉剤、粉末剤、ペースト剤又は粒剤等の剤形に製剤することができる。
本実施形態において、植物成長促進組成物の適用対象となる植物は、特に限定されるものではなく、例えば、被子植物及び裸子植物が挙げられる。対象となる植物としては、例えば、キク及びガーベラのようなキク科植物、ジャガイモ、トマト及びナスのようなナス科植物、ナタネ及びアブラナのようなアブラナ科植物、イネ、トウモロコシ、コムギ、サトウキビ及びオオムギのようなイネ科植物、ダイズのようなマメ科植物、ニンジンのようなセリ科植物、バジル、ミント及びローズマリーのようなシソ科植物、アサガオのようなヒルガオ科植物、ポプラのようなヤナギ科植物、トウゴマ、キャッサバ及びジャトロファのようなトウダイグサ科植物、サツマイモのようなヒルガオ科植物、オレンジ及びレモンのようなミカン科植物、サクラ及びバラのようなバラ科植物、コチョウランのようなラン科植物、トルコキキョウのようなリンドウ科植物、シクラメンのようなサクラソウ科植物、パンジーのようなスミレ科植物、ユリのようなユリ科植物、テンサイのようなヒユ科植物、ブドウのようなブドウ科植物、スギ及びヒノキなどのヒノキ科植物、オリーブ及びキンモクセイなどのモクセイ科植物、並びにアカマツのようなマツ科植物等が挙げられる。
対象となる植物としては、植物の全体(すなわち完全な植物体)だけでなく、植物の組織若しくは器官(例えば、切り花、又は根茎、塊根、球茎若しくはランナー等の栄養繁殖器官)、培養細胞及び/又はカルス等の植物の部分であってもよい。
本実施形態における植物成長促進組成物は、植物の発芽前又は発芽後を含む任意の生育段階にある植物の全体又はその部分(例えば、種子、幼苗又は成熟した植物の全体又はその部分)に施用することができる。
<植物成長促進組成物の調製方法>
植物成長促進組成物の調製方法としては、例えば、にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上を得た後、必要に応じて上述した農業上許容される成分と混合することにより得ることができる。
にんじんエキスの取得方法は特に限定されず、一般的な植物エキスを抽出するための方法を用いることができる。具体的には、例えば、にんじんの葉、茎、皮、又は根を加熱又は破砕した後、夾雑物を除去することでにんじんエキス原料を得る工程と、前記工程で得られたにんじんエキス原料を濃縮してにんじん濃縮液を得る工程と、前記工程で得られたにんじん濃縮液を分画することで、特定の成分を含むにんじんエキスを得る工程と、を含む方法により取得することができる。また、にんじんエキスの取得における各工程を経たにんじんの葉、茎、根、皮、種子、花、及び果実からなる群から選択される1種以上を原料として、にんじんエキスを取得することもできる。例えば、にんじんエキス原料を得る工程で除去された夾雑物などのにんじん残渣から、上記と同様の方法でにんじんエキス原料やにんじん濃縮液を得て、そのにんじんエキス原料やにんじん濃縮液から、上記と同様の方法でにんじんエキスを得ることができる。あるいは、任意のにんじん加工品の製造過程で得られた夾雑物などのにんじん残渣を原料として、にんじんエキスを取得してもよい。にんじんエキス原料、又はにんじん濃縮液を、そのままにんじんエキスとして用いてもよい。各工程において、又は、各工程の後に、にんじんエキス原料、にんじん濃縮液、又はにんじんエキスを加熱又は加圧してもよい。加熱する場合、加熱温度や加熱時間等の諸条件は、使用するにんじんの品種、部位、状態等によって適宜決定することができる。
にんじん粉末の取得方法は特に限定されず、にんじんエキス原料、にんじん濃縮液、若しくはにんじんエキスを取得する際に生じるような夾雑物などのにんじん残渣、にんじんエキス原料、にんじん濃縮液、にんじんエキス、又はにんじん(にんじんの葉、茎、皮、果梗、種子、及び実からなる群から選択される1種以上)の新鮮物または凍結物を、熱風乾燥や風乾、乾熱乾燥、減圧乾燥などの手法により乾燥させた後、粉末状に破砕することにより取得することができる。
(破砕工程)
にんじんの破砕は、にんじん新鮮物やにんじん乾物を用いて、例えばミキサーにより行うことができる。粉砕されたにんじんは濾布、濾紙などを用いて濾過することで夾雑物が取り除かれたにんじんエキス原料を得る。濾過を行う際には、有機溶媒等の抽出溶媒をあらかじめ加えてもよい。また、濾過に代えて、遠心分離機で上清を取得する方法で夾雑物を取り除いてもよい。
(濃縮工程)
得られたにんじんエキス原料は減圧濃縮法、凍結濃縮法、膜濃縮法などを用いて濃縮することでにんじん濃縮液を得ることができる。濃縮する際の濃縮率は、好ましくは3~30倍であり、より好ましくは4~20倍である。濃縮率が5倍以上であると、植物成長促進組成物の植物への添加量が少なくなるためハンドリング性が向上し、運搬コストが削減される傾向にあり、30倍以下であると、植物成長促進組成物中の沈殿物が少なく取扱いが容易となる傾向にある。
なお、植物成長促進組成物の調製においては、にんじんエキス原料の濃縮は必須ではなく、得られたにんじんエキス原料をそのまま以下の分画工程に供してもよい。
(分画工程)
得られたにんじん濃縮液は溶媒抽出などにより分画することで、特定の成分を含むにんじんエキスを得ることができる。分画工程では、例えば、液液分配によって親水性画分と疎水性画分が得られる。さらにカラムを通すことでより精製された画分を取得できる。
分画工程で得られたにんじんエキスは、必要に応じて更に精製処理や高活性画分の分離処理に供してもよい。精製処理としては、例えば、濾過、吸着(イオン交換樹脂カラム、活性炭カラム等)等による処理が挙げられる。また、高活性画分の分離処理としては、ゲル濾過、吸着処理、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC等の処理が挙げられる。
<植物成長促進方法>
本実施形態における植物成長促進方法は、上述したにんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上を有効成分として含む組成物を、植物若しくは植物の生育する土壌又は培養液に使用することで、植物の成長を促進させる方法である。当該方法においては、植物成長促進組成物を、発芽前又は発芽後を含む任意の生育段階にある植物又はその部分(例えば、種子、幼苗又は成熟した植物)に施用することができる。また、植物自体だけでなく、植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に施用することができる。生育段階にある植物又は植物が生育する土壌、培地若しくは培養液に植物成長促進組成物を施用することにより、植物の成長を促進させることができる。
植物成長促進組成物を植物に施用する回数としては、1回であってもよいし、複数回であってもよい。また、施用時期が複数の場合における、各施用時期における施用の回数としても、1回であってもよいし、複数回であってもよい。
植物成長促進組成物を植物に施用する手段としては、例えば、添加、噴霧、塗布、浸漬などが挙げられる。これらは、1種単独で行ってもよいし、2種以上を組み合わせて行ってもよい。植物成長促進組成物の植物への施用は、手作業であってもよく、機械を用いてもよい。機械を用いる場合、特に限定されないが、例えば、ドローンを用いて施用(散布)してもよい。
植物成長促進組成物を植物に施用する量としては、植物が生育する培養液に施用する場合、あるいは、植物が生育する圃場等に希釈溶媒で希釈して施用する場合、培養液又は希釈溶媒に対する植物成長促進組成物の使用量は好ましくは0.001~50質量%、又は、0.001~50体積%、より好ましくは0.01~30質量%、又は、0.01~30体積%、さらに好ましくは0.01~10質量%、又は、0.01~10体積%である。植物成長促進組成物の使用量が上記範囲内であると、十分な植物成長促進効果が得られる傾向にあるが、植物成長促進組成物におけるにんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上の含有量、植物成長促進組成物を施用する植物の種類や生育状態、また、気温、湿度、光等の植物の生育環境などに応じて、使用量を適宜調節してもよい。公知の栽培試験方法を用いて、効果が得られる濃度域を調査し、使用量を決定してもよい。ドローンを用いて、希釈溶媒で希釈した植物成長促進組成物を植物に施用する場合、ドローンに搭載可能な溶液の量はドローンの可搬重量等によって制限されるため、希釈溶媒に対する植物成長促進組成物の使用量は、好ましくは1~50質量%、又は、1~50体積%である。
上記の培養液および希釈溶媒の成分については、植物の生育に悪影響を与えない限り特に限定されることはなく、水や農薬等が含まれていてもよい。
なお、上記の使用量は上述したにんじんエキス原料の濃縮率によって好適な数値範囲は変動するが、上記使用量は濃縮率3~30倍である場合の好適な数値範囲である。
本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
(根部重量の測定方法)
イネの色と形から根部を特定し、特定された根部の重量を微量天秤で瓶量した。
[実施例1]
20.0gのにんじんの葉を5cm間隔で切った後、乾燥させ、ミキサーで破砕してにんじん粉末を得た。にんじん粉末から親水性画分を得て、にんじんエキスとした。
表1に示す育苗期の培養液でイネを生育させた。その後、表1に示す試験期の培養液900mLにイネを移し、得られたにんじんエキスを0.1125mL添加(0.0125体積%)し、イネに与える影響を調査した。その結果、にんじんエキスを添加していない場合と比較してイネ根部の重量が72.0%増加しており、イネの根張りの向上効果が見られた(図1)。
なお、育苗期の栄養成分の濃度は、イネの生育に十分である試験期の濃度の6分の1~7分の1程度であったことから、にんじんエキスを添加されたイネは栄養不足状態であった。
[実施例2]
100.0gのにんじんの葉を5cm間隔で切った後、100mLの超純水に加えてミキサーで破砕し、夾雑物を取り除いて得られたにんじんエキス原料をにんじんエキスとした。
実施例1と同様に育苗させたイネを、表1に示す試験期の培養液900mLに移し、上記で得られたにんじんエキスを培養液900mLに0.036mL添加(0.004体積%)し、イネに与える影響を調査した。その結果、にんじんエキスを添加していない場合と比較してイネ根部の重量が18.4%増加しており、イネの根張りの向上効果が見られた。また、イネ地上部の重量が10.2%増加していた(図2)。
[実施例3]
100.0gのにんじんの葉を5cm間隔で切った後、100mLの超純水を加え、夾雑物を取り除いてにんじんエキス原料を抽出した。得られたにんじんエキス原料を濃縮することでにんじんエキスを得た。
実施例1と同様に育苗させたイネを、表1に示す試験期の培養液900mLに移し、上記で得られたにんじんエキスを培養液900mLに0.225mL添加(0.025体積%)し、イネに与える影響を調査した。その結果、にんじんエキスを添加していない場合と比較してイネ根部の重量が16.6%増加しており、イネの根張りの向上効果が見られた(図3)。
[実施例4]
イネの遺伝子発現の変動についても評価を実施した。
(A)サンプル調製
・イネの植物体の調製
実施例1と同様に育苗させたイネを、表1に示す試験期の培養液900mLに移し、実施例3に用いたにんじんエキスを培養液900mLに0.225mL添加(0.025体積%)し、イネを栽培した。
・RNA抽出
Maxwell RSC Plant RNA Kit(Promega)およびMaxwell RSC Instrument(Promega)を用いて、手順書通りにRNAサンプルを取得した。
・RNAの品質確認
測定機器:Agilent 5400 Bioanalyzer <5312AA> (Agilent Technologies社)、試薬kit:Agilent RNA kit(15nt)<DNF-471> (Agilent Technologies社)および解析ソフト:ProSize(AgilentTechnologies社)を用いて、RNAサンプルの品質に問題ないことを確認した後、ライブラリ調製に用いた。
・ライブラリ調製
NEBNext Ultra II RNA Library Prep Kit for Illuminaを用いて次世代シーケンサーDNBSEQ T7用ライブラリを以下の工程に従い調製した。
1 オリゴ(dT)マグネティックビーズによるmRNAの精製
2 断片化
3 ランダムプライマーを用いた1本鎖cDNAならびに2本鎖cDNAの合成
4 エンドリペア、ポリアデニル化、アダプターの結合、サイズによる選択、増幅を実施
(B)次世代シーケンサーによる解析
・シーケンス解析
機器:DNBSEQ T7 (MGI社)
・シーケンス(概略)
DNBSEQ T7を用いて以下の工程に従いシーケンスを行った。
1 シーケンス試薬の添加
2 1塩基伸長反応
3 未反応塩基の除去
4 蛍光シグナルの取り込み
5 保護基と蛍光の除去
6 2Cycle…3Cycle…とサイクルを繰り返し、300cycleまで実施
(C)データ解析
・1次データ解析
解析用コンピューターのOS:Ubuntu Desktop 22.04.4 LTS
解析ソフトウェア:FastQC、hisat2、samtools、HTSeq、DESeq2
上記のソフトウェアを使用して解析を実施した。
1 リードのクオリティの確認
FastQCを用いて、得られたfastqファイルに含まれている塩基のクオリティを確認した。
2 マッピング・ソーティング
hisat2を用いて、Oryza sativaリファレンスゲノムOryza sativa Japonica Group (assembly IRGSP-1.0)にマッピングした。続いて、samtoolsを用いて、ファイルをソートし、二値データに変換した。
3 リードカウント
HTSeqの中のhtseq-countを用いてマッピングされたリード数を計数した。
4 統計解析
統計パッケージR上でDESeq2パッケージを用いて、対照区とにんじんエキス添加区における遺伝子発現量を比較した。
・3次データ解析
先行研究にて、各種の環境ストレス耐性に関与すると報告されている遺伝子をイネアノテーションプロジェクト(https://rapdb.dna.affrc.go.jp/)から検索した。検索した遺伝子を本実験にて作成した遺伝子発現リストから検索した。
・解析対象遺伝子の選定と遺伝子発現量の描画
既知のデータベースに存在する各種の環境ストレス耐性遺伝子を収集した。その後、発現量が上昇した遺伝子のリストから各種ストレス耐性遺伝子を抽出し、それらの発現量をヒートマップならびに棒グラフとして表した。図4、6、8及び10のヒートマップにおけるCTSは対照区、CRSはにんじんエキス添加区を示す。
遺伝子発現解析の結果、にんじんエキス添加区の地上部では、高温ストレス耐性遺伝子である
Os01g0135900、Os01g0875700、Os02g0753800、Os08g0500700とOs11g0661200の発現量が対照区よりも増大する傾向にあった(図4)。中でも、高温ストレス耐性遺伝子であるOs08g0500700の発現量が地上部で増大していた(図5)。これらの高温ストレス耐性に関連する分子について、これまでに下記の内容が報告されているため、高温ストレス耐性に寄与していると考えられる。Os08g0500700と相同な分子は高温ストレスによって発現が誘導され、生化学的な解析から植物が高温条件下でも生存するために重要な役割を果たしていることが示唆されている(参考文献1)。この遺伝子ならびに類似遺伝子は、シロイヌナズナやイネ以外にも、ブドウ、ローズガム、Amborella trichopoda、オレンジ、ゼニゴケ等において広く存在していることが報告されている(参考文献2)。
遺伝子発現解析の結果、にんじんエキス添加区の地上部では、乾燥ストレス耐性遺伝子であるOs02g0115700、Os02g0178800、Os02g0753800、Os02g0766700、Os03g0594400、Os05g0127200、Os05g0247100、Os05g0382900、Os08g0492500とOs11g0167800の発現量が対照区よりも増大する傾向にあった(図6)。中でも、乾燥ストレス耐性遺伝子であるOs02g0753800の発現量が地上部で増大していた(図7)。これらの乾燥ストレス耐性に関連する分子について、これまでに下記の内容が報告されているため、乾燥ストレス耐性に寄与していると考えられる。Os02g0753800と相同な分子は乾燥ストレスによって発現が誘導され、この遺伝子からお翻訳されるタンパク質の活性が上昇することが報告されている(参考文献3)。この遺伝子ならびに類似遺伝子は、シロイヌナズナやイネ以外にも、ヒマワリ、キャッサバ、パンコムギ、トウモロコシ等において広く存在していることが報告されている(参考文献4)。
遺伝子発現解析の結果、にんじんエキス添加区の地上部では、低温ストレス耐性遺伝子であるOs04g0530900とOs07g0635900の発現量が対照区よりも増大する傾向にあった(図8)。中でも、低温ストレス耐性遺伝子であるOs04g0530900の発現量が地上部で増大していた(図9)。これらの低温ストレス耐性に関連する分子について、これまでに下記の内容が報告されているため、低温ストレス耐性に寄与していると考えられる。この遺伝子ならびに類似遺伝子は、シロイヌナズナやイネ以外にも、キヌワタ、タバコ、トウモロコシ等において広く存在していることが報告されている(参考文献4)。
遺伝子発現解析の結果、にんじんエキス添加区の地上部では、塩ストレス耐性遺伝子であるOs02g0594700、Os03g0594400、Os04g0530900、Os05g0127200、Os08g0492500とOs10g0370500の発現量が対照区よりも増大する傾向にあった(図10)。中でも、塩ストレス耐性遺伝子であるOs05g0127200の発現量が地上部で増大していた(図11)。これらの乾燥ストレス耐性に関連する分子について、これまでに下記の内容が報告されているため、塩ストレス耐性に寄与していると考えられる。Os05g0127200の欠損変異体では塩ストレス環境下における生育が対照区よりも悪くなったが、その過剰発現体では生育の悪化も緩和された(参考文献6)。この遺伝子ならびに類似遺伝子は、シロイヌナズナやイネ以外にも、キヌワタ、ヒマワリ、アマモ、パンコムギ等において広く存在していることが報告されている(参考文献4)。
以上から、にんじんエキスはイネ以外の他の多くの植物に対しても、高温ストレス耐性遺伝子、乾燥ストレス耐性遺伝子、低温ストレス耐性遺伝子及び塩ストレス耐性遺伝子、あるいはこれらの類似分子を刺激することで、高温ストレス、乾燥ストレス、低温ストレス及び塩ストレスからなる群から選択される1種以上のストレスに対する耐性を向上させる効果があると考えられる。
参考文献1:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC362454
参考文献2:https://phylogenes.arabidopsis.org/tree/PTHR11528
参考文献3:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jac.12533
参考文献4:https://www.arabidopsis.org/locus?key=30587
参考文献5:https://www.arabidopsis.org/locus?key=29007
参考文献6:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pce.13437

Claims (6)

  1. にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上のみを有効成分として含むバイオスティミュラント。
  2. 茎葉部若しくは根部の伸張、葉数の増加、開花若しくは結実の促進、花若しくは果実の数の増加、植物体重量若しくは作物収量の増加、緑化、および分蘖の促進からなる群から選択される1種以上の植物成長促進作用を有する、請求項1記載のバイオスティミュラント。
  3. 温度ストレス、栄養ストレス、化学的ストレス、光ストレス、乾燥ストレス、pHストレス、塩ストレス、低酸素ストレス、食害ストレス、物理的ストレス、および病害ストレスからなる群から選択される1種以上に対するストレス耐性向上作用を有する、請求項1又は2に記載のバイオスティミュラント。
  4. ストレス応答系の遺伝子を活性化させる、請求項1又は2に記載のバイオスティミュラント。
  5. にんじんエキスおよびにんじん粉末からなる群から選択される1種以上のみを有効成分として含むバイオスティミュラントを、植物若しくは植物の生育する土壌又は培養液に使用する、環境ストレス耐性向上方法。
  6. 培養液又は希釈溶媒に対する前記バイオスティミュラントの使用量が0.001~50質量%または0.001~50体積%である、請求項5記載の環境ストレス耐性向上方法。
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