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JP7807917B2 - マウスピース及びマウスピースの製造方法 - Google Patents
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JP7807917B2 - マウスピース及びマウスピースの製造方法 - Google Patents

マウスピース及びマウスピースの製造方法

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Description

本発明は、積層造形装置で製造される、歯を覆うように口腔内に装着されるマウスピース及びマウスピースの製造方法に関するものである。
積層造形装置を使用してマウスピースを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、患者の歯列データを基に、歯科矯正用アライナーを3Dプリンターで製作する構成が記載されている。これにより、アライナーを直接的に造形し、既存のアライナーのように、雄型を作製する必要がなく、工程が短縮され、コストも削減される。
また、特許文献2には、患者の歯列データを基に、バイトスプリントを3Dプリンターで製作する構成が記載されている。これにより、顎変形症患者の上下顎骨切り手術後の上顎と下顎との正常な位置関係を正確に設定することのできるバイトスプリントを得ることができる。
特開2018-94245号公報 特開2006-81747号公報
ところで、3Dプリンターで造形した造形物は、造形方向(積層方向)によって、積層痕の残り方が異なる。特に、ドーム形状のように、大きな面から小さな面を順に積層することになる形状の場合には、完成した造形物の表面に、年輪のような環状の積層痕が形成される。この環状の積層痕は、マウスピース形状の造形物を製造する場合には、造形物の何れかの場所に必ず形成される。発明者らは、この環状の積層痕が前歯部に形成されると、大きく審美性が損なわれることを見出した。
天然歯には、規則的な環状の模様がほとんど見られない。一方、環状の積層痕は、光が乱反射しやすく、天然歯の有する半透明性を得られなくなってしまう。そのため、環状の積層痕が前歯部に形成されたマウスピース等を装着した際に違和感を与えてしまう。また、前歯部の審美性は、顔貌に影響する。そのため、前歯部の審美性が低下すると、患者のQOL(Quality of Life)は大きく低下する。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、歯科矯正用アライナー及びバイトスプリントが3Dプリンターによって製造される積層方向(造形方向)が記載されていない。そのため、特許文献1に記載のアライナー及び特許文献2に記載のバイトスプリントは、前歯部に環状の積層痕が形成されてしまう、という問題がある。
そこで、本発明は、前歯部における環状の積層痕の形成を防止することができるマウスピースの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のマウスピースの製造方法は、積層造形装置で製造される、歯を覆うように口腔内に装着されるマウスピースの製造方法であって、前記マウスピースは、前歯の頬側面を覆う頬側部に、環状の積層痕が形成されないように硬化層が積層して製造されることを特徴とする。
前記目的を達成するために、本発明のマウスピースは、歯を覆うように口腔内に装着されるマウスピースであって、前歯の頬側面を覆う頬側部に、環状の積層痕を有しないことを特徴とする。
このように構成された本発明のマウスピース及びマウスピースの製造方法は、前歯部に環状の積層痕が形成されてしまうことを防止することができる。
実施例1の歯列矯正用アライナーと下顎を示す分解斜視図である。 実施例1の歯列矯正用アライナーを、3次元データにおいて、矯正目標位置の歯モデルに装着した状態を示す臼歯の断面図である。 実施例1の歯列矯正用アライナーの製造方法を説明するフローチャートである。 実施例1の積層造形工程を説明する図である。 実施例1の積層造形工程を説明する図である。 実施例1の積層造形工程を説明する図である。 実施例1の積層造形工程で作製された造形物を示す側面図である。 歯列矯正用アライナーを角度θ=0°で造形したときの前歯部を示す図である。 歯列矯正用アライナーを角度θ=30°で造形したときの前歯部を示す図である。 歯列矯正用アライナーを角度θ=60°で造形したときの前歯部を示す図である。 歯列矯正用アライナーを角度θ=90°で造形したときの前歯部を示す図である。 実施例2の積層造形工程で作製された造形物を示す側面図である。 実施例2の歯列矯正用アライナーの硬化層の断面図である。 別の実施例の歯列矯正用アライナーの製造方法を説明する斜視図である。
以下、本発明によるマウスピース及びマウスピースの製造方法を実現する実施形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
実施例1におけるマウスピースは、下顎の歯を覆うように口腔内に装着される歯列矯正用アライナーに適用される。
[歯列矯正用アライナーの構成]
図1は、実施例1の歯列矯正用アライナーと下顎を示す分解斜視図である。図2は、実施例1の歯列矯正用アライナーを、3次元データにおいて、矯正目標位置の歯モデルに装着した状態を示す臼歯の断面図である。以下、実施例1の歯列矯正用アライナーの構成を説明する。
なお、図中において、歯10は矯正前のものを示し、歯モデル10Aは矯正目標位置のものを示す。また、図1に示すように、前歯14を覆う歯列矯正用アライナー20の部分を、前歯部24とする。
歯列矯正用アライナー20は、図2に示すように、矯正目標位置の歯モデル10Aに密着するように作成された3次元データに基づいて、積層造形装置によって形成される。歯列矯正用アライナー20は、矯正前の歯10に装着されて、矯正対象となる歯10を矯正目標位置に矯正する。
(歯の構成)
歯10は、図1に示すように、咬合面11と、頬側面12と、舌側面13と、で構成される歯冠を有する。歯10は、歯10の根元を取り巻く歯肉15によって支持される。
咬合面11とは、上下の歯の咬み合い側の端部であり、臼歯における咬合面のことをいう。
(歯モデルの構成)
歯モデル10Aは、図2に示すように、臼歯部分においては、咬合面11に対応する咬合面モデル11Aと、頬側面12に対応する頬側面モデル12Aと、舌側面13に対応する舌側面モデル13Aと、で構成される。歯モデル10Aは、前歯部分においては、頬側面12に対応する頬側面モデル12Aと、舌側面13に対応する舌側面モデル13Aと、で構成される。
(歯列矯正用アライナーの構成)
歯列矯正用アライナー20は、図1及び図2に示すように、臼歯部分においては、咬合部21と、頬側部22と、舌側部23とで凹溝状に形成される。歯列矯正用アライナー20は、前歯部分においては、頬側部22と、舌側部23とで凹溝状に形成される。歯列矯正用アライナー20は、下顎の歯冠に脱着可能になっている。歯列矯正用アライナー20は、下顎の全部の歯10の歯冠を覆うように、凹溝状に形成される。
咬合部21は、図2に示すように、歯モデル10Aの咬合面モデル11Aに沿った形状に形成される。すなわち、咬合部21は、咬合面モデル11Aを覆う形状に形成される。
頬側部22は、歯モデル10Aの頬側面モデル12Aに沿った形状に形成される。すなわち、頬側部22は、頬側面モデル12Aを覆う形状に形成される。
舌側部23は、歯モデル10Aの舌側面モデル13Aに沿った形状に形成される。すなわち、舌側部23は、舌側面モデル13Aを覆うように形成される。
このように構成された歯列矯正用アライナー20は、下顎の全部の歯10の歯冠を覆うように装着される。歯列矯正用アライナー20が装着された歯10は、矯正目標位置に矯正される。
歯列矯正用アライナー20は、複数用意され、歯10を段階的に、最終矯正目標位置に矯正する。1つの歯列矯正用アライナー20は、歯10を、例えば、0.25[mm]程移動して矯正することができる形状に形成される。
[歯列矯正用アライナーの製造方法]
図3は、実施例1の歯列矯正用アライナー20の製造方法を説明するフローチャートである。図4~6は、実施例1の積層造形工程を説明する図である。図7は、実施例1の積層造形工程で作製された造形物を示す側面図である。以下、実施例1の歯列矯正用アライナー20の製造方法を説明する。
(口腔内データ取得工程)
図3に示すように、口腔内データ取得工程(ステップS10)では、3次元スキャナーを用いて、患者の口腔内をスキャンして、口腔内の3次元データを取得する。
(デジタルセットアップ工程)
デジタルセットアップ工程(ステップS11)では、口腔内データ取得工程で取得した口腔内の3次元データをコンピュータで解析し、矯正目標位置の歯モデル10Aの3次元データを作成する。例えば、0.25[mm]刻みのように、段階的に最終矯正目標位置に矯正する場合は、複数の矯正目標位置の歯モデル10Aの3次元データを作成する。
(3次元データ作成工程)
3次元データ作成工程(ステップS12)では、デジタルセットアップ工程で作成した矯正目標位置の歯モデル10Aの3次元データに基づいて、歯列矯正用アライナー20の3次元データを作成する。
作成された歯列矯正用アライナー20の3次元データには、必要に応じてサポートを付与してよい。サポートの形状や太さ、密度、角度、分岐の有無等は、3次元データの大きさ、角度、オーバーハング部に応じて適宜調整される。
(積層造形工程)
積層造形工程(ステップS13)では、3次元データ作成工程で作成した歯列矯正用アライナー20の3次元データに基づいて、積層造形装置によって、歯列矯正用アライナー20を製造する。
具体的には、図4に示すように、積層造形装置30は、液状の光硬化性樹脂Wを収容した容器32と、容器32内で、上下方向に移動可能に構成される可動ステージ33と、紫外線レーザ光31aを照射する紫外線レーザ装置31とを備える。なお、光硬化性樹脂Wは、例えば、(メタ)アクリル系モノマー等のラジカル重合性化合物と、エポキシ化合物等のカチオン重合性化合物を含む重合性モノマーと、光重合開始剤とを含有するものを使用することができる。
このように構成された積層造形装置30は、まず、図4に示すように、可動ステージ33の上面が、光硬化性樹脂Wの液面から所定の距離(例えば、0.01[mm])だけ下方に位置するように配置される。
次いで、紫外線レーザ装置31が、可動ステージ33上の光硬化性樹脂Wの薄層に、紫外線レーザ光31aを、歯列矯正用アライナー20の3次元データに基づいた所定のパターンで走査する。これにより、歯10の外形を有する第1硬化層(硬化層25の一例)25aが形成される。
次いで、図5に示すように、可動ステージ33が、所定の距離(例えば、0.01[mm])だけ下方に移動する。これにより、第1硬化層25aの上に光硬化性樹脂Wの薄層が形成される。
次いで、図6に示すように、紫外線レーザ装置31が、第1硬化層25a上の光硬化性樹脂Wの薄層に、紫外線レーザ光31aを、歯列矯正用アライナー20の3次元データに基づいた所定のパターンで走査する。これにより、歯10の外形を有する第2硬化層(硬化層25の一例)25bが形成される。
以後、同様の動作を繰り返して、最終的に、図7に示すように、複数の硬化層25a、25b、・・・、25n(25)が所定の積層ピッチ(実施例1では、0.01[mm])で積層された、サポート26が付随した歯列矯正用アライナー20が作製される。
なお、歯10の咬合面11を覆う歯列矯正用アライナー20における咬合平面を、咬合平面S1とする。咬合平面とは、左右中切歯の近心隅角間の中点(切歯点)と左右側第一大臼歯の遠心頬側咬頭頂を含む平面として規定される基準面を指す。すなわち、咬合平面S1は、歯列矯正用アライナー20の各歯10を覆う部分の並び方向に平行な平面である。歯列矯正用アライナー20の前後方向Dを含む鉛直面を鉛直面S2とする。
咬合平面S1と、鉛直面S2との交線を第1交線L1とする。鉛直面S2と、水平面S3との交線を第2交線L2とする。第1交線L1と第2交線L2とのなす角度を角度θとする。歯列矯正用アライナー20は、角度θとなる姿勢で硬化層25が鉛直方向に積層される。
(後処理工程)
後処理工程(ステップS14)では、サポート26が、ニッパー等の工具を使用して、歯列矯正用アライナー20から除去される。なお、サポート26を除去した後に、サポート26の痕を研磨してもよい。
また、後処理工程(ステップS14)では、製造された歯列矯正用アライナー20から一部あるいは全部の未反応物、例えば未重合の単量体を除去する。後処理工程には、重力や遠心力を利用した未反応物の除去、有機溶剤による洗浄やエアブローによる未反応物の除去、乾燥、蛍光灯、ハロゲンランプ、LED光源などを用いた照射器による光重合や熱重合を施す工程を含んでもよい。
以上の工程を経て、歯列矯正用アライナー20が製造される。
[様々な角度で造形された歯列矯正用アライナー]
図8は、歯列矯正用アライナーを角度θ=0°で造形したときの前歯部を示す図である。図9は、歯列矯正用アライナーを角度θ=30°で造形したときの前歯部を示す図である。図10は、歯列矯正用アライナーを角度θ=60°で造形したときの前歯部を示す図である。図11は、歯列矯正用アライナーを角度θ=90°で造形したときの前歯部を示す図である。以下、様々な角度で造形された歯列矯正用アライナーについて説明する。
なお、図1に示すように、前歯14の中切歯10aを覆う歯列矯正用アライナー20の前歯部24を、中切歯部20aとする。前歯14の側切歯10bを覆う歯列矯正用アライナー20の前歯部24を、側切歯部20bとする。前歯14の犬歯10cを覆う歯列矯正用アライナー20の前歯部24を、犬歯部20cとする。
(角度θ=0°)
角度θ=0°の場合、図8に示すように、中切歯部20aと側切歯部20bの上端には、環状の積層痕M1が形成される。環状の積層痕M1は、中切歯部20aと側切歯部20bを正面から見た際には、全く見えない状態である。また、中切歯部20aと側切歯部20bの頬側部22には、略水平に直線状の積層痕N1が形成される。
角度θ=0°の場合、歯列矯正用アライナー20は、咬合平面S1に垂直方向に硬化層25が積層される。そのため、歯列矯正用アライナー20の前歯部24の頬側部22には、咬合平面S1に対して水平に積層痕N1が形成される。なお、角度θ=180°の場合の造形物は、角度θ=0°の場合の造形物と、同じように積層痕が形成される。
(角度θ=30°)
角度θ=30°の場合、図9に示すように、中切歯部20aと側切歯部20bの上端には、環状の積層痕M2が形成される。環状の積層痕M2は、中切歯部20aと側切歯部20bを正面から見た際には、ほとんど見えない状態である。また、中切歯部20aと側切歯部20bの頬側部22には、略水平に直線状の積層痕N2が形成される。
角度θ=30°の場合、歯列矯正用アライナー20は、咬合平面S1に垂直方向に対して、角度θ=30°傾斜した方向に硬化層25が積層される。なお、角度θ=150°、角度θ=210°又は角度θ=330°の場合の造形物は、角度θ=30°の場合の造形物と、同じように積層痕が形成される。
(角度θ=60°)
角度θ=60°の場合、図10に示すように、中切歯部20aと側切歯部20bの上端には、環状の積層痕M3が形成される。環状の積層痕M3は、中切歯部20aと側切歯部20bを正面から見た際には、中切歯部20aと側切歯部20bの上部に多少見えるが、目立たない状態である。また、中切歯部20aと側切歯部20bの頬側部22の上部から下部にかけて、曲線状の積層痕N3が形成される。
角度θ=60°の場合、歯列矯正用アライナー20は、咬合平面S1に垂直方向に対して、角度θ=60°傾斜した方向に硬化層25が積層される。なお、角度θ=120°、角度θ=240°又は角度θ=300°の場合の造形物は、角度θ=60°の場合の造形物と、同じように積層痕が形成される。
(角度θ=90°)
角度θ=90°の場合、図11に示すように、中切歯部20aと側切歯部20bの頬側面12には、環状の積層痕M4が形成される。環状の積層痕M4は、中切歯部20aと側切歯部20bを正面から見た際には、中切歯部20aと側切歯部20bの頬側部22の全面に、明確に見える状態である。
角度θ=90°の場合、歯列矯正用アライナー20は、咬合平面S1に垂直方向に対して、角度θ=90°傾斜した方向に硬化層25が積層される。なお、角度θ=270°の場合の造形物は、角度θ=90°の場合の造形物と、同じように積層痕が形成される。
以上より、歯列矯正用アライナー20は、角度θが、0~60°、120~240°、又は、300~360°となるようにして、造形されることが好ましい。
より好ましくは、歯列矯正用アライナー20は、角度θが、0~30°、150~210°、又は、330~360°となるようにして、造形される。
すなわち、歯列矯正用アライナー20は、前歯(中切歯部20a,側切歯部20b,犬歯部20c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕が形成されないように硬化層25が積層して製造される。
[歯列矯正用アライナー及び歯列矯正用アライナーの製造方法の作用]
以下、実施例1の歯列矯正用アライナー及び歯列矯正用アライナーの製造方法の作用を説明する。実施例1のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の製造方法は、積層造形装置30で製造される、歯10を覆うように口腔内に装着されるマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の製造方法であって、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)は、前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕が形成されないように硬化層25が積層して製造される(図7)。
これにより、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕を形成しないようにすることができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際に、他人から環状の積層痕を見られないようにすることができる。その結果、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際の審美性を向上させることができる。
ところで、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕が形成されるように硬化層が積層してマウスピース(歯列矯正用アライナー20)を造形した場合、環状の積層痕が形成された頬側部22に、積層ピッチに相当する段差が形成されてしまう。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した場合、異物感が顕著となってしまう。
これに対し、実施例1では、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)は、前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕が形成されないように硬化層25を積層して造形される。そのため、環状の積層痕が形成された頬側部22に、積層ピッチに相当する段差より小さい段差とすることができる。その結果、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際の異物感を抑制することができる。
実施例1のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の製造方法において、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の咬合平面S1と、前後方向Dを含む鉛直面S2との第1交線L1と、水平面S3と、前後方向Dを含む鉛直面S2との第2交線L2と、のなす角度θが、0~60°、120~240°、又は、300~360°となる姿勢で、硬化層25が鉛直方向に積層して製造される(図10)。
これにより、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕を形成しないようにすることができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際の審美性を向上させることができる。
実施例1のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の製造方法において、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の咬合平面S1と、前後方向Dを含む鉛直面S2との第1交線L1と、水平面S3と、前後方向Dを含む鉛直面S2との第2交線L2と、のなす角度θが、0~30°、150~210°、又は、330~360°となる姿勢で、硬化層25が鉛直方向に積層して製造される(図9)。
これにより、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、略直線状の積層痕を形成することができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際の審美性を向上させることができる。
実施例1のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)は、歯10を覆うように口腔内に装着されるマウスピース(歯列矯正用アライナー20)であって、前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕を有しない(図8及び図9)。
これにより、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕を形成しないようにすることができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際に、他人から環状の積層痕を見られないようにすることができる。その結果、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際の審美性を向上させることができる。
実施例2のマウスピース及びマウスピースの製造方法は、積層造形工程において、歯列矯正用アライナーが造形される角度θが異なる点で、実施例1のマウスピース及びマウスピースの製造方法と相違する。
[歯列矯正用アライナーの製造方法]
図12は、実施例2の積層造形工程で作製された造形物を示す側面図である。以下、実施例2の歯列矯正用アライナーの製造方法を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一の用語又は同一の符号を用いて説明する。
(積層造形工程)
積層造形工程では、歯列矯正用アライナー20は、図12に示すように、咬合平面S1に垂直方向D1に、硬化層25が、所定の積層ピッチ(実施例2では、0.01[mm])で積層されて製造される。すなわち、歯列矯正用アライナー20は、積層造形装置30によって、積層方向を咬合平面S1に垂直方向D1として、造形される。言い換えると、歯列矯正用アライナー20は、咬合平面S1に垂直方向D1に、積層痕を有する。すなわち、歯列矯正用アライナー20は、第1交線L1と第2交線L2とのなす角度を角度θ=0°で硬化層25が積層される。
なお、角度θ=180°の場合の造形物は、角度θ=0°の場合の造形物と、同じように積層痕が形成される。また、垂直方向D1は、略1°程の誤差を含むものとする。
歯列矯正用アライナー20は、咬合平面S1に垂直方向D1において、歯列矯正用アライナー20の咬合面である咬合部21と反対側に、歯列矯正用アライナー20を支持するサポート26が形成される。
[歯列矯正用アライナー及び歯列矯正用アライナーの製造方法の作用]
図13は、実施例2の歯列矯正用アライナーの硬化層の断面図である。以下、実施例2の歯列矯正用アライナー及び歯列矯正用アライナーの製造方法の作用を説明する。
実施例2のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の製造方法において、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の咬合平面S1に垂直方向D1に硬化層25が積層されて製造される(図12)。
これにより、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕を形成しないようにすることができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際に、他人から環状の積層痕を見られないようにすることができる。その結果、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際の審美性を向上させることができる。
また、図13に示すように、硬化層25の面積を大きくすることができる。そのため、咬合平面S1に垂直方向D1のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の強度を高くすることができる。一方、咬合平面S1に水平方向に積層した場合は、各層の面積が小さくなってしまい、咬合平面S1に垂直方向D1のマウスピースの強度が低くなってしまう。
また、積層造形装置30で造形された造形物は、積層方向の強度より、積層方向に垂直な方向の強度の方が高くなる。実施例2では、積層方向が咬合平面S1に垂直方向D1であるため、咬合平面S1に対して水平方向の引張強度及び圧縮強度を向上させることができる。言い換えると、実施例2では、歯10の前歯14を覆う前歯部24の頬側部22は、咬合平面S1に水平方向の引張強度及び圧縮強度を向上させることができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の着脱時に、曲げや伸ばしやねじり等の負荷が繰り返しかかる前歯部24の強度を向上させることができる。
また、積層造形装置30で造形された造形物は、積層回数が多くなる程、積層方向の圧縮強度を高くすることができる。さらに、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の咬合平面S1に垂直方向D1に硬化層25が積層されるので、頬側部22は、前記以外の方向で積層した場合より、積層回数を多くすることができる。そのため、頬側部22の圧縮強度を、前記以外の方向で積層した場合より高くすることができる。その結果、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)による矯正時に、矯正しようとする歯10から反作用力を受ける頬側部22の強度を向上させることができ、頬側部22におけるクリープ変形を生じにくくすることができる。つまり、歯10によるマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の変形を抑制することができる。その結果、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)による歯10の矯正の正確性を向上させることができる。
実施例2のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の製造方法において、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)は、上顎の歯又は下顎の歯の全部を覆うように、凹溝状に形成される(図2)。
これにより、図13に示すように、硬化層25を環状にして閉じた形状にすることができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の強度を高くすることができる。
実施例2のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の製造方法において、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)は、咬合平面S1に垂直方向D1において、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の咬合部21と反対側に、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を支持するサポート26が形成される(図12)。
これにより、サポート26を除去した際のサポート26の跡を、咬合部21に形成しないようにすることができる。そのため、サポート26の跡によって、咬合部21に応力が集中してしまうことを防止することができる。その結果、繰り返し荷重がかかる咬合部21に対して、耐久性を向上させることができる。
実施例2のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)は、歯10を覆うように口腔内に装着されるマウスピース(歯列矯正用アライナー20)であって、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の咬合平面S1に垂直方向D1に、積層痕を有する(図12)。
これにより、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)の前歯(中切歯10a,側切歯10b,犬歯10c)の頬側面12を覆う頬側部22に、環状の積層痕を形成しないようにすることができる。そのため、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際に、他人から環状の積層痕を見られないようにすることができる。その結果、マウスピース(歯列矯正用アライナー20)を口腔内に装着した際の審美性を向上させることができる。
また、硬化層25の面積を大きくすることができる。そのため、咬合平面S1に垂直方向D1のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の強度を高くすることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例と略同様であるので説明を省略する。
[審美的満足度の評価] 本発明のマウスピース(歯列矯正用アライナー20)の効果を確認するために、以下のように、審美的満足度の評価を行った。
図8に示す角度θ=0°で造形した歯列矯正用アライナー20と、図9に示す角度θ=30°で造形した歯列矯正用アライナー20と、図10に示す角度θ=60°で造形した歯列矯正用アライナー20と、図11に示す角度θ=90°で造形した歯列矯正用アライナー20と、図14に示す積層方向D2を前後方向Dに垂直な幅方向に造形した歯列矯正用アライナー20と、を準備した。
各歯列矯正用アライナー20を装着した状態を5名の被験者に見せて、以下の3項目に対して、「全く思わない=4点」,「あまり思わない=3点」,「多少そう思う=2点」,「強く思う=1点」,「とても強く思う=0点」の5段階評価を行った。

・積層段差 :凹凸があることが目に付く
・透明性 :透明性が低い
・不自然さ :「天然歯ではない」という違和感を覚える
項目毎に平均値を算出して、平均値が2を上回った場合に審美性が良好であると評価した。
角度θ=0°で造形した歯列矯正用アライナー20は、積層段差が3.6で、透明性が3.2で、不自然さが3.6であった。角度θ=30°で造形した歯列矯正用アライナー20は、積層段差が3.6で、透明性が3.8で、不自然さが3.8であった。角度θ=60°で造形した歯列矯正用アライナー20は、積層段差が2.8で、透明性が3.4で、不自然さが3.2であった。角度θ=90°で造形した歯列矯正用アライナー20は、積層段差が1.6で、透明性が1.2で、不自然さが1.2であった。積層方向D2を前後方向Dに垂直な幅方向に造形した歯列矯正用アライナー20は、積層段差が3.2で、透明性が3.8で、不自然さが3.2であった。
以上より、角度θ=0°と角度θ=30°と角度θ=60°の場合、各項目とも良好な評価が得られた。また、角度θ=0°と角度θ=30°の場合、各項目ともさらに良好な評価が得られた。また、積層方向D2を前後方向Dに垂直な幅方向に造形した場合も、各項目とも良好な評価が得られた。一方、角度θ=90°の場合、各項目とも良い評価は得られなかった。
以上、本発明のマウスピース及びマウスピースの製造方法を実施例1及び実施例2に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、追加等は許容される。
実施例1及び実施例2では、第1交線L1と第2交線L2とのなす角度θが、0~60°、120~240°、又は、300~360°となる姿勢で、硬化層25が鉛直方向に積層される例を示した。しかし、図14に示すように、積層方向D2を、前後方向Dに垂直な幅方向としてもよい。また、積層方向を、前後方向Dに垂直な幅方向に対して傾斜した方向にしてもよい。これにより、前歯の頬側面を覆う頬側部に、縦方向の積層痕を形成することができ、審美性を向上させることができる。
実施例1及び実施例2では、積層造形装置30を、紫外線によって硬化する光硬化樹脂を使用した吊り下げ式の光造形装置を例として示した。しかし、積層造形装置としては、光硬化樹脂を使用した吊り上げ式の光造形装置であってもよいし、プロジェクターの光を利用して光硬化樹脂を硬化させ積層していくプロジェクション方式であってもよいし、液状の紫外線硬化樹脂を噴射して、紫外線を照らすことにより硬化させ積層させるインクジェット方式であってもよいし、熱に溶ける樹脂を1層ずつ積み上げていく熱溶解積層方式であってもよいし、粉末状の材料に高出力のレーザ光線をあて焼結させる粉末焼結方式であってもよい。
実施例1及び実施例2では、歯列矯正用アライナー20を、歯冠を覆う凹溝状に形成される例を示した。しかし、歯列矯正用アライナーとしては、歯冠と歯肉、あるいは歯冠と床部分を覆う形状であってもよい。
実施例1及び実施例2では、歯列矯正用アライナー20が、下顎の全部の歯10の歯冠を覆うように、凹溝状に形成される例を示した。しかし、歯列矯正用アライナーは、一部の歯の歯冠を覆うように、凹溝状に形成されてもよい。
実施例1及び実施例2では、本発明を下顎の歯冠に装着する歯列矯正用アライナー20に適用する例を示した。しかし、本発明は、上顎の歯冠に装着する歯列矯正用アライナーに適用することができる。
実施例1及び実施例2では、本発明を、歯10を覆うように口腔内に装着される歯列矯正用アライナー20に適用する例を示した。しかし、本発明は、歯列矯正用アライナーに限定されず、歯ぎしり防止用のマウスピース、顎関節疾患や睡眠時無呼吸症候群の治療用マウスピース、ホワイトニング用のマウスピース、インダイレクトボンディング用のマウスピース、スポーツ用マウスピースにも適用することができる。また、本発明のマウスピースは、歯を覆うようにして装着される装置を含むものとする。
本出願は、2019年6月12日に日本国特許庁に出願された特願2019-109886と、2019年6月12日に日本国特許庁に出願された特願2019-109887とに基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。

Claims (6)

  1. 積層造形装置で製造される、歯を覆うように口腔内に装着されるマウスピースの製造方法であって、
    前記マウスピースは、前歯の頬側面を覆う頬側部に、環状の積層痕が形成されないように硬化層が積層して製造され、
    前記マウスピースの咬合平面と、前後方向を含む鉛直面との第1交線と、
    水平面と、前後方向を含む鉛直面との第2交線と、のなす角度が、
    30°、60°、120~150°、210~240°、又は、300~330°となる姿勢で、
    前記硬化層が鉛直方向に積層して製造される
    ことを特徴とする、マウスピースの製造方法。
  2. 前記マウスピースの咬合平面と、前後方向を含む鉛直面との第1交線と、
    水平面と、前後方向を含む鉛直面との第2交線と、のなす角度が、
    30°、150°、210°、又は、330°となる姿勢で、
    前記硬化層が鉛直方向に積層して製造される
    ことを特徴とする、請求項1に記載のマウスピースの製造方法。
  3. 前記硬化層が、前記マウスピースの咬合平面に垂直方向に対して、30°又は60°傾斜した方向に積層して製造される
    ことを特徴とする、請求項1に記載のマウスピースの製造方法。
  4. 前記マウスピースは、上顎の歯又は下顎の歯の全部を覆うように、凹溝状に形成される
    ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のマウスピースの製造方法。
  5. 前記マウスピースは、前記咬合平面に垂直方向において、前記マウスピースの咬合部と反対側に、前記マウスピースを支持するサポートが形成され、
    上顎の歯又は下顎の歯の全部を覆うように、凹溝状に形成される
    ことを特徴とする、請求項3に記載のマウスピースの製造方法。
  6. 積層造形装置で製造される、歯を覆うように口腔内に装着されるマウスピースの製造方法であって、
    前記マウスピースは、前歯の頬側面を覆う頬側部に、縦方向の積層痕が形成され、環状の積層痕が形成されないように硬化層が前記マウスピースの前後方向に垂直な幅方向又は前後方向に垂直な幅方向に対して傾斜した方向に積層して製造される
    ことを特徴とする、マウスピースの製造方法。
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