以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1~図10は、本実施形態に係る止血器具100を説明するための図、図11~図20は、止血器具100の使用例を説明するための図である。
止血器具100は、例えば、図11、図14~図16に示すように、患者の前腕部Aよりも遠位側(手指側)に位置する手Hに形成された穿刺部位(例えば、後述する各穿刺部位p1、p2、p3、p4)に留置していたイントロデューサー200のシースチューブを抜去する際、その穿刺部位を止血するために使用することができる。
止血器具100の止血対象となる穿刺部位の具体的な位置は特に限定されないが、本実施形態では下記の第1穿刺部位p1、第2穿刺部位p2、第3穿刺部位p3、第4穿刺部位p4を例示する。なお、本明細書では、主として、第1穿刺部位p1の止血に止血器具100を使用する例を通じて、止血器具100の各部の構造を説明する。
第1穿刺部位p1は、図11、図14に示すように、患者の前腕部Aよりも遠位側に位置する右手H1(手H)の甲Hb側を走行する手掌動脈のスナッフボックスに位置する動脈B(以下、「血管B」とも称する)に形成された穿刺部位である。なお、スナッフボックスは、患者が手Hの親指を広げた際に橈骨付近に位置する手の空洞である。
第2穿刺部位p2は、図11、図17に示すように、患者の右手H1の甲Hb側を走行する手掌動脈のスナッフボックスよりも遠位側に位置する遠位橈骨動脈に形成した穿刺部位である。第2穿刺部位p2は、患者の右手H1の甲Hbに位置する長母指伸筋腱t1を基準にして第1穿刺部位p1よりも右手H1の遠位側に位置する。
第3穿刺部位p3は、図18、図19に示すように、患者の左手H2(手H)の甲Hb側を走行する手掌動脈のスナッフボックスに位置する動脈に形成された穿刺部位である。
第4穿刺部位p4は、図18、図20に示すように、患者の左手H2の甲Hb側を走行する手掌動脈のスナッフボックスよりも遠位側に位置する遠位橈骨動脈に形成した穿刺部位である。第4穿刺部位p4は、患者の左手H2の甲Hbに位置する長母指伸筋腱t2を基準にして第3穿刺部位p3よりも左手H2の遠位側に位置する。
以下、止血器具100について詳述する。
止血器具100は、概説すると、図1、図2、図14、図15、図16に示すように、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1を圧迫するように構成された押圧部材110と、押圧部材110と接続可能に構成された第1帯体150と、押圧部材110と接続可能に構成された第2帯体160と、押圧部材110と接続可能に構成された第3帯体170と、を備える。図1、図2、図14、図15、図16に示すように、第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170は、押圧部材110と接続されている。詳細には、第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170は、支持部材140の第2領域142に設けられた複数の孔部(第1孔部145a、第2孔部147a、147b)を介して、押圧部材110と接続されている。
止血器具100では、後述するように、第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170の3つの帯体のうち、第2帯体160及び第3帯体170の2つの帯体が第1領域141に位置する押圧部120を中心として放射状に角度を変えて配置できるように構成される。そのため、第2領域142に設けられた複数の孔部のうち、一対の第2孔部147a、147bを形成する2つの孔部が第2帯体160及び第3帯体170の幅よりも大きく、かつ、非直線形状に構成されている。これらの孔部147a、147bの形状は、好ましくは曲線状である。第2帯体160及び第3帯体170は、それぞれの孔部147a、147bを通して巻き返すように配置された状態で、その構成部材の一部が融着等の方法で接続されることにより、それぞれの孔部147a、147bに対する接続状態が維持されている。孔部147a、147bのサイズ(孔部147a、147bの延在方向の長さ)が帯体160、170の幅よりも大きいことで、孔部147a、147bには帯体160、170の左右方向へのスライド移動を可能にする遊びが設けられる。また、孔部147a、147bの形状が曲線状や屈曲状等の非直線状であるために、帯体160、170は、孔部147a、147b内での位置を変えることによって、押圧部120を基準にした帯体160、170の延在方向の角度(押圧部120を中心にした放射方向の角度)を変えることができる。図8に示すように、止血器具100では、第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170の3つの帯体のうち、第2帯体160及び第3帯体170の2つの帯体が押圧部120を中心として、孔部147a、147bに沿ってスライド移動可能に構成されている。また、第2帯体160及び第3帯体170の2つの帯体は、第1領域141に設けられた中心点Rを中心として放射状に角度を変えて配置することができる。
第1帯体150は、図14に示すように、止血器具100を患者の右手H1に装着する際、隣り合う2つの指(例えば、親指と人差し指)の間に位置する指間部fbに引っ掛けるように配置することができる。
第2帯体160及び第3帯体170は、図12、図13、図14に示すように、止血器具100を患者の右手H1に装着する際、右手H1の外周に沿って巻き付けるように配置することができる。
<押圧部材>
押圧部材110は、図5、図6、図7に示すように、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1を圧迫するように構成された押圧部120と、押圧部120を固定するように構成された支持部材140と、を有する。
図6、図7に示すように、押圧部120は、例えば、空気等の流体が流入可能な内腔133を備える拡張部材130で構成することができる。なお、図6、図7には拡張部材130が拡張された状態の断面図を示している。また、図6、図7では、図5に示す矢印6A-6A及び矢印7A-7Aに沿う断面を上下反転させた部分断面図を示している。
拡張部材130は、例えば、樹脂製のバルーンで構成することができる。拡張部材130の内腔133には、後述するチューブ193が連結されている。
拡張部材130は、図6、図7、図15、図16に示すように、支持部材140の一の面140a側に配置している。支持部材140の一の面140aは、止血器具100を患者の手Hに装着した際に患者の手Hの体表面側に配置される面である。また、支持部材140の他の面140bは、一の面140aの反対側に位置する面である。
拡張部材130は、図6、図7に示すように、所定の接続部材139を介して支持部材140に接続することができる。
接続部材139は、例えば、樹脂製のプレートで構成することができる。接続部材139は、支持部材140の一の面140aに接続されている。拡張部材130は、接続部材139に接続されている。
接続部材139と支持部材140との接続及び拡張部材130と接続部材139の接続は、例えば、融着や接着を採用することができる。なお、拡張部材130は、接続部材139を介さずに、支持部材140の一の面140aに直接接続してもよい。
拡張部材130は、図1~図5に示す平面視において、円形を有する。ただし、拡張部材130の平面視における形状は円形に限定されない。また、拡張部材130の拡張前後における断面形状、拡張部材130の構成材料、拡張部材130の具体的な構造等について特に制限はない。
拡張部材130には、図4、図5、図6、図7、図15、図16に示すように、拡張部材130を第1穿刺部位p1に位置合わせするためのマーカー135を配置している。
マーカー135は、拡張部材130の支持部材140が配置された側の面と反対側の面(止血器具100を患者の手Hに装着した際、患者の手Hの体表面側に配置される面)に配置している。
図5に示すように、マーカー135は、拡張部材130の面方向の略中心位置に配置している。また、マーカー135は、支持部材140の面方向の略中心位置と重なるように配置している。
マーカー135は、例えば、マーカー135全体が有色で形成された矩形形状のマーカーで形成することができる。なお、マーカー135の具体的な形状、色、形成方法、位置等は特に限定されない。例えば、マーカー135は、透明な中心部と、その中心部を囲む有色の線状の枠部とから構成されてもよい。また、例えば、マーカー135は、支持部材140に設けてもよい。
押圧部120は、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1に対して圧迫力を付与可能な限り、具体的な構成は限定されない。押圧部120は、例えば、プラスチック等の樹脂材料やゲル等で構成された部材、時間経過に応じて含水率が低下して圧迫力を徐々に減少させるゲルを含む部材、スポンジ状の物質等の弾性材料、綿(わた)のような繊維の集合体、金属、所定の立体形状を備える部材(球状、楕円体、三角錐等)、これらを適宜組み合わせたもの等で構成することもできる。
<支持部材>
支持部材140は、図3、図5、図6、図7に示すように、拡張部材130が配置された第1領域141と、第1領域141よりも外側に位置し、第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170が接続可能に構成された第2領域142と、を有する。
支持部材140は、図5に示す平面視において、円形を有する。
第1領域141は、図5に示す平面視において、押圧部120が重なる領域である。第2領域142は、図5に示す平面視において、第1領域141よりも外側に位置する領域である。
なお、第1領域141は、支持部材140に配置された押圧部120の外形や大きさに基づいて任意に定義することができる。また、第2領域142は、第1領域141との相対的な位置関係に基づいて定義することができる。そのため、第1領域141及び第2領域142は、支持部材140に配置された押圧部120の外形や大きさに応じて適宜変更し得る。
第1領域141には、図5、図6、図7、図8に示すように、第2帯体160及び第3帯体170が第2孔部147a、147bに沿ってスライド移動し、放射状に配置するときの中心となる中心点Rが位置されている。
第2領域142には、図5、図6、図7、図9、図10に示すように、押圧部120を間に挟んで対向した一対の第1孔部145a、145bと、一対の第1孔部145a、145bとは異なる位置で押圧部120を間に挟んで対向した一対の第2孔部147a、147bと、が形成されている。
本明細書の説明において、第1孔部145aは「一の第1孔部145a」とも称する。また、第1孔部145bは「他の第1孔部145b」とも称する。また、第2孔部147aは「一の第2孔部147a」とも称する。また、第2孔部147bは「他の第2孔部147b」とも称する。
図5に示すように、一の第1孔部145a及び他の第1孔部145bは、押圧部120を間に挟んで手Hの遠位側(指先側)又は手Hの近位側(前腕部A側)に配置される。本実施形態では、止血器具100を患者の右手H1に装着する際、一の第1孔部145aを押圧部120よりも手Hの遠位側に配置しており、他の第1孔部145bを押圧部120よりも手Hの近位側に配置している(図14を参照)。
なお、一の第1孔部145aと他の第1孔部145bは、後述する変形例で説明するように患者の手Hへの止血器具100の取り付け位置を変更する場合、押圧部120を基準にした両者の位置関係を入れ替えて配置することができる(図24を参照)。つまり、一の第1孔部145aを押圧部120よりも手Hの近位側に配置し、他の第1孔部145bを押圧部120よりも手Hの遠位側に配置してもよい。
一の第1孔部145a及び他の第1孔部145bは、図3、図4、図5に示すように、支持部材140の外形に沿った仮想円上に配置している。本実施形態では、支持部材140が図5に示す平面視において円形を有する。そのため、一の第1孔部145a及び他の第1孔部145bは、第1領域141よりも支持部材140の外側に位置する第2領域142の周方向に沿って配置されている。
上記の「仮想円上に配置される」とは、支持部材140の第2領域142の周方向に連続した孔が形成された場合を仮定し、その孔の一部を占める任意の位置に一の第1孔部145a及び他の第1孔部145bが互いに隙間を隔てて配置されることを意味する。後述する仮想円上に配置された一の第2孔部147a及び他の第2孔部147bの位置関係も上記と同様の定義である。
一の第1孔部145aには、図3、図4、図5、図7に示すように、第1帯体150を接続することができる。
本実施形態では、第1帯体150の第1の一端部151の幅(第1帯体150の延在方向と直交する方向の幅)W1が一の第1孔部145aの孔長L1と略同一である(図5を参照)。そのため、第1帯体150は、第1帯体150が一の第1孔部145aを介して支持部材140と接続された状態において、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にしたスライド移動が制限される。すなわち、第1帯体150は、第1帯体150が一の第1孔部145aを介して支持部材140と接続された状態において、押圧部120を中心としたスライド移動が制限される。
なお、本明細書における各孔部145a、145b、147a、147bの孔長は、各孔部145a、145b、147a、147bの支持部材140の周方向に位置する端部間の直線距離を意味する。
一の第1孔部145aの幅W1は他の第1孔部145bの孔長L2と略同一に形成している(図5を参照)。そのため、第1帯体150は、第1帯体150が他の第1孔部145bを介して支持部材140に接続された場合、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にしたスライド移動が制限される(後述する変形例の図24を参照)。すなわち、第1帯体150は、第1帯体150が他の第1孔部145bを介して支持部材140に接続された場合、押圧部120を中心としたスライド移動が制限される。
図3、図4、図5に示すように、一の第2孔部147aと他の第2孔部147bは、一の第1孔部145aと他の第1孔部145bを結ぶ直線(図5に示す仮想線C)と交差する方向で押圧部120を間に挟んで配置されている。
一の第2孔部147a及び他の第2孔部147bは、図3、図4に示すように、支持部材140の外形に沿った仮想円上に配置している。
止血器具100は、図12に示すように、一の第1孔部145aを押圧部120よりも患者の右手H1の遠位側に配置し、他の第1孔部145bを押圧部120よりも患者の右手H1の近位側に配置する場合、一の第2孔部147aは患者の右手H1の周方向の内側(患者の胴体が配置される側)に配置することができ、他の第2孔部147bは患者の右手H1の周方向の外側に配置することができる。
一の第2孔部147aの孔長L3は、各第1孔部145a、145bの各孔長L1、L2よりも長い(図5を参照)。同様に、他の第2孔部147bの孔長L4は、各第1孔部145a、145bの各孔長L1、L2よりも長い。一の第2孔部147aの孔長L3と他の第2孔部147bの孔長L4は略同一の長さで形成している。
一の第2孔部147aには、図3、図4、図5、図7に示すように、第2帯体160が接続される。
第2帯体160の第2の一端部161の幅(第2帯体160の延在方向と直交する方向の幅)W2は、一の第2孔部147aの孔長L3よりも短い(図5を参照)。そのため、第2帯体160は、図8に示すように、第2帯体160が一の第2孔部147aを介して押圧部材110と接続された状態で、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心として、所定のスライド角度θ1の範囲で放射状に角度を変えるようにスライド移動することができる。
第2帯体160のスライド角度θ1は、第2帯体160の第2の一端部161の幅W2と一の第2孔部147aの孔長L3によって任意に定義することができる。第2帯体160のスライド角度θ1は、特に限定されないが、例えば、第1領域141に設けられた中心点Rを中心として1°~45°に設定することができる。
他の第2孔部147bには、図3、図4、図5、図7に示すように、第3帯体170が接続される。
第3帯体170の第3の一端部171の幅(第3帯体170の延在方向と直交する方向の幅)W3は、他の第2孔部147bの孔長L4よりも短い(図5を参照)。そのため、第3帯体170は、図8に示すように、第3帯体170が他の第2孔部147bに接続された状態で、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心として、所定のスライド角度θ2の範囲で放射状に角度を変えるようにスライド移動することができる。
第3帯体170のスライド角度θ2は、第3帯体170の第3の一端部171の幅W3と他の第2孔部147bの孔長L4によって任意に定義することができる。第3帯体170のスライド角度θ2は、特に限定されないが、例えば、第1領域141に設けられた中心点Rを中心として1°~45°に設定することができる。
なお、各第1孔部145a、145bと各第2孔部147a、147bは、図5に示すように、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心とする仮想同心円上に配置することができる。ただし、各第1孔部145a、145bと各第2孔部147a、147bは仮想同心円上に配置されていなくてもよい。
また、一の第1孔部145aと他の第1孔部145bは形状や孔長が異なっていてもよい。また、一の第2孔部147aと他の第2孔部147bは形状や孔長が異なっていてもよい。
また、一の第1孔部145aの孔長L1及び/又は他の第1孔部145bの孔長L2は、第1帯体150の第1の一端部151の幅W1よりも大きく形成されていてもよい。このように構成した場合、第1帯体150は、第1帯体150が一の第1孔部145a又は他の第1孔部145bを介して支持部材140と接続された状態において、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心として放射状に角度を変えるようにスライド移動可能となる。
図6、図9、図10、図16に示すように、支持部材140の第2領域142において一対の第1孔部145a、145bが配置された部分には、支持部材140の一の面140aに配置された押圧部120から離間する側へ向けて凸状に湾曲した第1湾曲領域148aが形成されている。
上記の「押圧部120から離間する側」は、図16に示すように、止血器具100を患者の手Hに装着した際、患者の手Hの体表面から離間する側(図16の上側)である。
図6、図9、図10、図15に示すように、支持部材140の第2領域142において一対の第2孔部147a、147bが配置された部分には、支持部材140の一の面140aに配置された押圧部120側へ向けて凸状に湾曲した第2湾曲領域148bが形成されている。
上記の「押圧部120側」は、図15に示すように、止血器具100を患者の手Hに装着した際、患者の手Hの体表面に近接する側(図15の下側)である。
支持部材140は、所定の硬さを有する材料で構成することが好ましい。支持部材140が所定の硬さを有するように構成されている場合、図15、図16に示すように患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1に対して押圧部120が圧迫力を付与する際、支持部材140は、押圧部120を患者の右手H1に対して押さえ付けることができる。それにより、押圧部120が患者の右手H1から浮き上がることを防止できる。
上記のような硬さを備える支持部材140の構成材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(特に硬質ポリ塩化ビニル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
押圧部120及び支持部材140の各々において、図4、図5に示す平面視で互いに重なる部分は透明に形成することができる。このように押圧部120及び支持部材140を構成した場合、図12、図13、14に示すように、止血器具100を患者の右手H1に装着する際、術者が押圧部120及び支持部材140を介してマーカー135及び/又は第1穿刺部位p1の位置を目視でより簡単に確認することが可能になる。なお、上記「透明」には、有色透明、無色透明、半透明が含まれる。
<帯体>
第1帯体150は、図1、図2、図3、図4に示すように、第1の本体部155と、支持部材140の一の第1孔部145aに接続可能に構成された第1の一端部151と、自由な第1の他端部153と、を有する。
なお、本明細書における「自由な他端部」とは、止血器具100の未装着状態(患者に止血器具を装着していない状態)において、他の部材と直接又は間接的な接続関係が無い端部であることを意味する。
第1の本体部155は、図1、図2に示すように、第1帯体150の長手方向に沿って延びている。
第1帯体150の第1の一端部151は、図7に示すように、支持部材140の一の第1孔部145aに挿通及び巻き付けるようにして配置することができる。第1帯体150は、第1の一端部151及び一の第1孔部145aを介して、支持部材140と接続される。
前述したように、本実施形態では、第1帯体150の第1の一端部151の幅W1は、一の第1孔部145aの孔長L1と略同一に形成している(図5を参照)。そのため、第1帯体150は、第1帯体150が支持部材140と接続された状態において、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心としたスライド移動が制限される。
なお、第1帯体150の第1の一端部151と支持部材140を接続する構造は特に限定されない。例えば、第1帯体150の第1の一端部151には、一の第1孔部145aに巻き付けられた状態を保持及び解除することが可能な固定部材(例えば、面ファスナー)を配置することができる。このように第1帯体150を構成した場合、第1帯体150は支持部材140に対して接続分離可能となる。
第2帯体160は、図1、図2、図3、図4に示すように、第2の本体部165と、支持部材140の一の第2孔部147aに接続可能に構成された第2の一端部161と、自由な第2の他端部163と、を有する。
第2の本体部165は、図1、図2に示すように、第2帯体160の長手方向に沿って延びている。
第2帯体160の第2の一端部161は、図6に示すように、支持部材140の一の第2孔部147aに挿通及び巻き付けるようにして配置することができる。第2帯体160は、第2の一端部161及び一の第2孔部147aを介して、支持部材140と接続される。
前述したように、第2帯体160の第2の一端部161の幅W2は、一の第2孔部147aの孔長L3よりも短い(図5を参照)。そのため、第2帯体160は、第2帯体160が支持部材140と接続された状態において、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にして放射状に角度を変えるようにスライド移動可能である(図8を参照)。
なお、第2帯体160の第2の一端部161と支持部材140を接続する構造は特に限定されない。例えば、第2帯体160の第2の一端部161には、一の第2孔部147aに巻き付けられた状態を保持及び解除することが可能な固定部材(例えば、面ファスナー)を配置することができる。このように第2帯体160を構成した場合、第2帯体160は支持部材140に対して接続分離可能となる。
第3帯体170は、図1、図2、図3、図4に示すように、第3の本体部175と、支持部材140の他の第2孔部147bに接続可能に構成された第3の一端部171と、自由な第3の他端部173と、を有する。
第3の本体部175は、図1、図2に示すように、第3帯体170の長手方向に沿って延びている。
第3帯体170の第3の一端部171は、図6に示すように、支持部材140の他の第2孔部147bに挿通及び巻き付けるようにして配置することができる。第3帯体170は、第3の一端部171及び他の第2孔部147bを介して、支持部材140と接続される。
前述したように、第3帯体170の第3の一端部171の幅W3は、他の第2孔部147bの孔長L4よりも短い(図5を参照)。そのため、第3帯体170は、第3帯体170が支持部材140と接続された状態において、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にして放射状に角度を変えるようにスライド移動可能である(図8を参照)。
なお、第3帯体170の第3の一端部171と支持部材140を接続する構造は特に限定されない。例えば、第3帯体170の第3の一端部171には、他の第2孔部147bに巻き付けられた状態を保持及び解除することが可能な固定部材(例えば、面ファスナー)を配置することができる。このように第3帯体170を構成した場合、第3帯体170は支持部材140に対して接続分離可能となる。
各帯体150、160、170の構成材料は特に限定されないが、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等で構成することができる。また、各帯体150、160、170の形状、長さ、厚み等について特に制限はない。
<固定部材>
止血器具100は、図1、図2、図3、図4に示すように、第1固定部材181、第2固定部材182、第3固定部材183、第4固定部材184の4つの固定部材を備える。
図1、図3に示すように、第2帯体160の外面には第1固定部材181を配置している。第3帯体170の外面には第2固定部材182を配置している。
また、図2、図4に示すように、第3帯体170の内面には第3固定部材183を配置している。第1帯体150の内面には第4固定部材184を配置している。
なお、各帯体150、160、170の内面は止血器具100を患者に装着した際に患者の体表面側に配置される面であり、各帯体150、160、170の外面は内面と反対側に位置する面である。
第1固定部材181及び第2固定部材182は、面ファスナーの雄側で構成している。第3固定部材183及び第4固定部材184は、面ファスナーの雌側で構成している。本明細書における面ファスナーは、面的に着脱可能なファスナーであり、例えば、Magic Tape(登録商標)やVelcro(登録商標)である。
なお、各固定部材181、182、183、184は、止血器具100を患者の右手H1に配置した状態で各帯体150、160、170同士を接続することにより、押圧部120を右手H1に固定することが可能な限り、具体的な構造は限定されない。例えば、一部の固定部材の設置の省略や各帯体150、160、170において固定部材を配置する位置の変更等は任意に行いうる。また、各固定部材181、182、183、184を面ファスナーで構成する場合、面ファスナーの雄側と雌側を入れ替えた構成としてもよい。また、各固定部材181、182、183、184は、例えば、スナップ、ボタン、クリップ、孔部が形成された枠部材等であってもよい。また、例えば、第2帯体160の内面にも固定部材(第3固定部材)を配置してもよい。
<注入部>
止血器具100は、図1、図2に示すように、拡張部材130に流体を注入するための注入部191を有する。
注入部191は、逆止弁(図示せず)を内蔵するコネクタで構成している。注入部191にはシリンジ(図示せず)を接続することができる。
注入部191と拡張部材130との間には、拡張可能な空間を有する緩衝部材192を配置している。緩衝部材192は、内部に空間が形成された可撓性を備える袋状の部材で構成している。なお、緩衝部材192には注入部191へのシリンジの挿入方向を示す矢印状のマーカーを設けてもよい。
緩衝部材192の一端側には注入部191を接続している。注入部191の内腔は、緩衝部材192の空間と連通している。ただし、注入部191に内蔵された逆止弁が閉じている間は、注入部191の内腔と緩衝部材192の空間との連通は遮断されている。
緩衝部材192の他端側には可撓性を備えるチューブ193が接続されている。チューブ193の内腔は、緩衝部材192の空間と連通している。また、チューブ193は、緩衝部材192と接続された一端部と反対側の他端部が拡張部材130に接続されている。チューブ193の内腔は、拡張部材130の内腔133と連通している。
術者は、拡張部材130を拡張させる際、注入部191にシリンジ(図示せず)の先筒部を挿入して逆止弁を開く。術者は、注入部191の逆止弁を開いた状態で、シリンジの押し子を押すことにより、シリンジ内の空気を拡張部材130の内腔133に注入する。
拡張部材130の内腔133に空気が注入されると、拡張部材130が拡張する。拡張部材130が拡張すると、チューブ193を介して拡張部材130の内腔133と連通する緩衝部材192が膨張する。術者は、緩衝部材192の膨張を目視により確認することにより、空気が漏れること無く、拡張部材130が拡張したことを簡単に把握することができる。
術者は、拡張部材130を収縮させる際、注入部191にシリンジの先筒部を挿入して、シリンジの押し子を引く。術者は、上記の操作を行うことにより、拡張部材130の内腔133の空気をシリンジへ排出することができる。
<止血器具の使用例>
次に、図12~図16を参照して、止血器具100の第1使用例を説明する。
第1使用例では、患者の右手H1に形成した第1穿刺部位p1を止血する際の止血器具100の使用手順を説明する。
図12には、第1穿刺部位p1にイントロデューサー200のシースチューブを挿入して各種の手技を実施し終えた状態を示している。
術者は、図12に示すように、患者の右手H1の甲Hbに押圧部材110を重ねるように配置する。この際、術者は、拡張部材130に配置されたマーカー135の位置を目視で確認しつつ、マーカー135を第1穿刺部位p1に配置することにより、押圧部材110を第1穿刺部位p1に適切に位置決めすることができる。
なお、術者は、イントロデューサー200を使用した手技を終えた後、止血器具100を患者の右手H1に装着する前に、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1からイントロデューサー200のシースチューブの一部を引き抜いてもよい。術者は、例えば、イントロデューサー200のシースチューブが血管Bに留置された状態で、術者の手元側にシースチューブを2~3cm程度引き抜いた後、止血器具100の装着作業を開始することができる。
術者は、図12、図13に示すように、第2帯体160及び第3帯体170を患者の右手H1の外周に沿って巻き付ける。術者は、第3帯体170の内面に配置された第3固定部材183(図2を参照)を、第2帯体160の外面に配置された第1固定部材181(図1を参照)と接触させることにより、各固定部材181、183を介して、第2帯体160と第3帯体170を固定することができる。
術者は、第2帯体160及び第3帯体170を患者の右手H1の外周に沿って巻き付ける際、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にして第2帯体160を放射状にスライド移動させたり、第3帯体170を放射状にスライド移動させたりすることができる。術者は、第2帯体160及び第3帯体170を放射状に角度を変えるようにスライド移動させることにより、患者の右手H1において各帯体160、170が巻き付けられる位置を調整することができる。例えば、術者は、各帯体160、170が第1穿刺部位p1よりも前腕部A側(近位側)の位置で患者の右手H1に巻き付けられるように、各帯体160、170をスライド角度θ1、θ2(図8を参照)の範囲でスライド移動させることができる。
術者は、図14に示すように、第1帯体150を患者の右手H1の親指と人差し指の間に位置する指間部fbに通しつつ、第1帯体150の一部を患者の右手H1の掌側に配置する。この際、術者は、第1帯体150の内面に配置された第4固定部材184(図2を参照)を第3帯体170の外面に配置された第2固定部材182(図1を参照)と接触させることにより、各固定部材182、184を介して、第1帯体150と第3帯体170を固定することができる。
術者は、以上のように、第2帯体160及び第3帯体170を患者の右手H1の外周に沿って巻き付けるように配置し、さらに患者の右手H1の親指と人差し指の間の指間部fbに第1帯体150の一部を引っ掛けて配置することにより、止血器具100が患者の右手H1から位置ずれすることを効果的に防止することができる。
術者は、注入部191にシリンジを接続した状態で、拡張部材130に空気を注入することにより、拡張部材130を拡張させる。止血器具100は、図15、図16に示すように、拡張部材130が拡張すると、拡張部材130が患者の右手H1の第1穿刺部位p1に対して圧迫力を付与する。
図14、図16に示すように、術者は、止血器具100を患者の手Hに装着する際、患者の右手H1の遠位側の位置に一の第1孔部145a付近に形成された第1湾曲領域148aを配置することができる。また、術者は、患者の右手H1の近位側の位置に他の第1孔部145b付近に形成された第1湾曲領域148aを配置することができる。このように止血器具100を配置することにより、止血器具100が患者の右手H1に装着された状態で、患者が手首を捻って右手H1を上下方向や左右方向に動作させた際、第1湾曲領域148aが、患者の右手H1に対して支持部材140の周縁部が当接することを防止する。同様に、止血器具100は、上記のように患者が右手H1を動作させた際、他の第1孔部145b付近に形成された第1湾曲領域148aが、患者の右手H1に支持部材140の周縁部が当接することを防止する。それにより、止血器具100は、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1を止血している間、支持部材140の周縁部が患者の右手H1に当接したり、食い込んだりすることによって患者が不快に感じたり、痛みを感じたりすることを防止できる。
また、図14、図15に示すように、術者は、止血器具100を患者の手Hに装着する際、支持部材140に形成された第2湾曲領域148bが患者の右手H1の外周の一部に沿って配置されるように押圧部120を患者の右手H1に固定することができる。このように止血器具100を患者の右手H1に装着した状態で押圧部120が拡張すると、支持部材140の第2湾曲領域148bが患者の右手H1の外周の一部に沿って押圧部120を押さえ付ける。それにより、止血器具100は、押圧部120が患者の右手H1から浮き上がることを防止できる。そのため、止血器具100は、拡張部材130によって第1穿刺部位p1に対して効果的に圧迫力を付与することができる。
術者は、拡張部材130を拡張させた後、図14に示すようにイントロデューサー200のシースチューブを患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1から抜去する。術者は、止血器具100を使用して止血を行っている間、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1から出血がないことを確認する。術者は、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1から出血がある場合、拡張部材130への空気の注入量を調整する。
術者は、以上の手順により、止血器具100を使用して患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1を止血することができる。
図17には、止血器具100の第2使用例を示している。第2使用例は患者の右手H1に形成した第2穿刺部位p2を止血する際の止血器具100の使用例である。
術者は、図17に示すように、患者の右手H1に形成された第2穿刺部位p2を止血するに際し、止血器具100を患者の右手H1に装着させる。患者の右手H1に形成された第2穿刺部位p2は、前述した第1穿刺部位p1よりも患者の右手H1の遠位側に位置する(図11を参照)。術者は、各帯体160、170を患者の右手H1に巻き付ける際、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にして各帯体160、170をスライド移動させる。例えば、術者は、各帯体160、170が第1穿刺部位p1よりも前腕部A側(近位側)の位置で患者の右手H1に巻き付けられるように各帯体160、170をスライド移動させる。術者は、各帯体160、170を患者の右手H1の近位側の位置に巻き付けることにより、患者の右手H1の遠位側の部分が各帯体160、170で拘束されることを防止できる。
図19には止血器具100の第3使用例を示している。また、図20には止血器具100の第4使用例を示している。第3使用例は患者の左手H2に形成された第3穿刺部位p3を止血する際の止血器具100の使用例である。第4使用例は患者の左手H2に形成された第4穿刺部位p4を止血する際の止血器具100の使用例である。
第3使用例及び第4使用例においても、前述した第1使用例及び第2使用例と同様の手順で止血器具100を患者の左手H2に装着することができる。術者は、患者の左手H2の各穿刺部位p3、p4の位置に応じて、支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にして各帯体160、170をスライド移動させることにより、各帯体160、170を左手H2に巻き付ける位置を調整することができる。術者は、各帯体160、170を左手H2に巻き付ける位置を調整することにより、各穿刺部位p3、p4を止血する際、患者の左手H2の遠位側の部分が各帯体160、170で拘束されることを防止できる。
各使用例を通じて説明したように、止血器具100は、患者の右手H1及び左手H2のいずれの手にも装着することができる。また、止血器具100は、患者の右手H1の異なる位置に形成された各穿刺部位p1、p2の止血に使用される場合、及び患者の左手H2の異なる位置に形成された各穿刺部位p3、p4の止血に使用される場合においても、患者の手Hの遠位側の部分が各帯体160、170で拘束されることのないように患者の手Hに装着させることができる。
以上、本実施形態に係る止血器具100は、患者に形成された第1穿刺部位p1を圧迫するように構成された押圧部材110と、押圧部材110と接続可能に構成された第1帯体150と、押圧部材110と接続可能に構成された第2帯体160と、押圧部材110と接続可能に構成された第3帯体170と、を備える。押圧部材110は、第1穿刺部位p1を圧迫するように構成された押圧部120と、押圧部120を固定するように構成された支持部材140と、を有する。支持部材140は、押圧部120が配置された第1領域141と、第1領域141よりも外側に位置し、第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170が接続可能に構成された第2領域142と、を有する。第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170は、第2領域142に設けられた複数の孔部(第1孔部145a、第2孔部147a、147b)にそれぞれ接続可能に構成される。複数の孔部のうちの第2孔部147a、147bは、第2孔部147a、147bに接続された第2帯体160及び第3帯体170が第1領域141に位置する押圧部120を中心として放射状に角度を変えて配置できるよう、帯体160、170の幅よりも大きく(第2帯体160の第2の一端部161の幅が一の第2孔部147aの孔長よりも長く、かつ、第3帯体170の第3の一端部171の幅が他の第2孔部147bの孔長よりも長く)、かつ、非直線形状に構成される。
上記のように構成した止血器具100によれば、複数の孔部のうちの一対の第2孔部147a、147bは、第2孔部147a、147bに接続された第2帯体160及び第3帯体170が第1領域141に位置する押圧部120を中心として放射状に角度を変えて配置することができるように、帯体160、170の幅よりも大きく、かつ、非直線形状に構成される。そのため、止血器具100は、押圧部材110を患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1に配置しつつ、押圧部120を中心として、第2孔部147a、147bに接続された各帯体160、170をそれぞれの孔部147a、147bに沿って放射状に配置されるよう移動させることにより、患者の右手H1に対する各帯体160、170の角度及び位置を調整することができる。それにより、止血器具100は、患者の右手H1の動きが拘束されないように各帯体160、170を患者の右手H1に配置することができ、かつ、患者の右手H1に簡単に装着することができる。
また、支持部材140の第2領域142は、押圧部120を間に挟んで対向した一対の第1孔部145a、145bと、第1孔部145a、145bとは異なる位置で押圧部120を間に挟んで対向した一対の第2孔部147a、147bと、を有する。第1孔部145a、145b及び第2孔部147a、147bは、支持部材140の外形に沿った仮想円上に配置されている。第1帯体150、第2帯体160、及び第3帯体170の各々は、第1孔部145a、145b及び第2孔部147a、147bのいずれかの孔部のうち異なる孔部に配置されている。
上記のように構成した止血器具100では、例えば、第1帯体150を第1孔部145aに接続し、第2帯体160を第2孔部147aに接続し、第3帯体170を第2孔部147bに接続することができる。また、第1孔部145a、145b及び第2孔部147a、147bは、支持部材140の外形に沿った仮想円上に配置される。そのため、第2帯体160は、各第1孔部145a、145b及び第2孔部147bとは異なる第2孔部147aと接続された状態で、押圧部120を中心として放射状に角度を変えるように配置することができる。同様に、第3帯体170は、各第1孔部145a、145b及び第2孔部147aとは異なる第2孔部147bと接続された状態で、押圧部120を中心として放射状に角度を変えるように配置することができる。そのため、術者は、止血器具100を患者の右手H1に装着する際、押圧部120を支点として右手H1に対する各帯体160、170の位置を簡単に微調整することができ、押圧部120が患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1から位置ずれすることを防止できる。
また、一対の第1孔部は、押圧部120を間に挟んで患者の右手H1の遠位側の位置又は患者の右手H1の近位側の位置に配置された一の第1孔部145aと他の第1孔部145bを有する。一対の第2孔部は、一の第1孔部145aと他の第1孔部145bを結ぶ直線Cと交差する方向で押圧部120を間に挟んで配置された一の第2孔部147aと他の第2孔部147bと、を有する。第1帯体150は、一の第1孔部145a又は他の第1孔部145bに接続される。第2帯体160は、一の第2孔部147aにスライド移動可能な状態で接続される。第3帯体170は、他の第2孔部147bにスライド移動可能な状態で接続される。
上記のように構成した止血器具100によれば、一の第2孔部147a及び他の第2孔部147bは、患者の右手H1の遠位側の位置及び患者の右手H1の近位側の位置を結ぶ直線Cと交差する方向で押圧部120を間に挟んで配置される。そのため、止血器具100は、止血器具100を患者の右手H1に装着する際、患者の右手H1の体表面に押圧部120の側面を押し付けるようにしつつ、一の第2孔部147aにスライド移動可能な状態で接続された第2帯体160と他の第2孔部147aにスライド移動可能な状態で接続された第3帯体170を患者の右手H1の外周に沿って巻き付けることができる。また、第2帯体160と第3帯体170を患者の右手H1の外周に沿って巻き付ける際、各帯体160、170を支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にしてスライド移動させることにより、患者の右手H1の動きが拘束されないように各帯体160、170の位置を簡単に調整することができる。
また、一対の第2孔部147a、147bの各々の孔長L3、L4は、一対の第1孔部145a、145bの各々の孔長L1、L2よりも長い。
上記のように構成された止血器具100によれば、一対の第2孔部147a、147bの各々の孔長L3、L4が一対の第1孔部145a、145bの各々の孔長L1、L2よりも長いため、各第2孔部147a、147bに接続した各帯体160、170のスライド角度θ1、θ2を大きくすることができる。そのため、止血器具100を患者の右手H1に装着する際、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1から押圧部120が位置ずれすることを防止しつつ、各帯体160、170の位置を簡単に調整することができる。
また、支持部材140の第2領域142において一対の第1孔部145a、145bが配置された部分には、支持部材140の一の面140aに配置された押圧部120から離間する側へ向けて凸状に湾曲した第1湾曲領域148aが形成されている。
上記のように構成された止血器具100によれば、術者は、止血器具100を患者の手Hに装着する際、患者の右手H1の遠位側の位置に一の第1孔部145a付近に形成された第1湾曲領域148aを配置することができ、また患者の右手H1の近位側の位置に他の第1孔部145b付近に形成された第1湾曲領域148aを配置することができる。このように止血器具100を配置することにより、止血器具100が患者の右手H1に装着された状態で、患者が手首を捻って右手H1を上下方向や左右方向に動作させた際、患者の右手H1に対して支持部材140の周縁部が当接することを第1湾曲領域148aが防止する。それにより、止血器具100は、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1を止血している間、支持部材140の周縁部が患者の右手H1に当接したり、食い込んだりすることによって、患者が不快に感じたり、痛みを感じたりすることを防止できる。
また、支持部材140の第2領域142において一対の第2孔部147a、147bが配置された部分には、支持部材140の一の面140aに配置された押圧部120側へ向けて凸状に湾曲した第2湾曲領域148bが形成されている。
上記のように構成された止血器具100によれば、術者は、止血器具100を患者の手Hに装着する際、支持部材140に形成された第2湾曲領域148bが患者の右手H1の外周の一部に沿って配置されるように押圧部120を患者の右手H1に固定することができる。このように止血器具100を患者の右手H1に装着した状態で押圧部120が拡張すると、支持部材140の第2湾曲領域148bが患者の右手H1の外周の一部に沿って押圧部120を押さえ付ける。それにより、止血器具100は、押圧部120が患者の右手H1から浮き上がることを防止できる。そのため、止血器具100は、拡張部材130によって第1穿刺部位p1に対して効果的に圧迫力を付与することができる。
次に、本発明に係る止血器具の変形例を説明する。変形例の説明では、前述した実施形態の説明において既に説明した部材や止血器具の使用手順等についての説明は適宜省略する。また、各変形例において特に説明の無い内容は、前述した実施形態と同一のものとすることができる。
<変形例>
図21には、変形例に係る止血器具100Aの一部を拡大して示している。
図21に示すように、変形例に係る止血器具100Aの押圧部120A(拡張部材130A)は、他の第1孔部145b側から一の第1孔部145a側へ向けて幅が次第に小さくなるように構成されている。
具体的には、押圧部120Aは、図21に示す平面視において、一の第1孔部145a側に配置された頂点126を有する二等辺三角形の形状を有する。なお、押圧部120Aの幅は、一の第1孔部145aと他の第1孔部145bを結ぶ直線Cと直交する方向(図21の左右方向)の寸法である。
また、本変形例に係る止血器具100Aでは、第1帯体150が一の第1孔部145a及び他の第1孔部145bに対して接続分離可能に構成されている。第1帯体150の第1の一端部151には、第1の一端部151を各孔部145a、145bに対して巻き付けた状態に保持及び解除することが可能な固定部材(例えば、面ファスナー)を設けている。なお、固定部材の図示は省略している。
図22には、患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1及びその周辺部を含む第1穿刺スポットs1と、患者の右手H1に形成された第2穿刺部位p2及びその周辺部を含む第2穿刺スポットs2を例示している。
第1穿刺スポットs1は、スナッフボックス周辺の所定の範囲を含む。第1穿刺スポットs1は、患者の右手H1の遠位側に向けて先細る略二等辺三角形の形状を有する。また、第1穿刺スポットs1には、患者が右手H1の親指を広げた際、長母指伸筋腱t1よりも患者の右手H1の内側に窪む凹部が形成される。
第2穿刺スポットs2は、長母指伸筋腱t1を基準にしてスナッフボックスよりも患者の右手H1の遠位側の所定の範囲を含む。第2穿刺スポットs2は、患者の右手H1の近位側に向けて先細る略二等辺三角形の形状を有する。また、第2穿刺スポットs2には、患者が右手H1の親指を広げた際、長母指伸筋腱t1よりも患者の右手H1の内側に窪む凹部が形成される。
術者は、止血器具100Aを使用して患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1を止血する場合、押圧部120Aを第1穿刺スポットs1に配置する。術者は、押圧部120Aを第1穿刺スポットs1に配置する際、押圧部120Aの頂点126を患者の右手H1の遠位側に配置する。術者は、上記のように押圧部120Aを配置することにより、押圧部120Aを第1穿刺スポットs1に重ねるように配置することができる。それにより、止血器具100Aは、第1穿刺部位p1及びその周辺部を含む第1穿刺スポットs1に対して押圧部120Aが効果的に圧迫力を付与することが可能になる。また、止血器具100Aは、患者が右手H1の親指を広げた際に患者の右手H1の内側に窪む凹部が形成される第1穿刺スポットs1に押圧部120Aを配置することにより、押圧部120Aが患者の右手H1に形成された第1穿刺部位p1から位置ずれすることを防止できる。
術者は、止血器具100Aを使用して患者の右手H1に形成された第2穿刺部位p2を止血する場合、図23に示すように止血器具100Aの向きを変更して患者の右手H1に止血器具100Aを装着する。具体的には、術者は、押圧部120Aの頂点126が患者の右手H1の近位側の位置に配置されるように、止血器具100Aの向きを図23の上下方向で反転させる。術者は、上記のように止血器具100Aの向きを反転させることにより、押圧部120Aを第2穿刺スポットs2に重ねるように配置することができる。それにより、術者は、第2穿刺部位p2及びその周辺部を含む第2穿刺スポットs2に対して効果的に圧迫力を付与することができる。また、術者は、第2穿刺スポットs2から押圧部120Aが位置ずれすることを防止できる。
術者は、上記のように止血器具100Aの向きを反転させた状態で、図24に示すように、第1帯体150の第1の一端部151を一の第1孔部145aから取り外して、他の第1孔部145bに接続する。術者は、他の第2孔部147bを介して支持部材140に接続した第1帯体150を患者の右手のH1の親指と人差し指の間の指間部fb(図22を参照)に配置することができる。また、術者は、各帯体160、170を支持部材140の第1領域141に設けられた中心点Rを中心にして放射状にスライド移動させることにより、患者の右手H1の動作が拘束されないように各帯体160、170を患者の右手のH1に配置することができる。そのため、術者は、止血器具100Aを患者の右手H1にしっかりと固定することができる。
上記の例では、患者の右手H1の各穿刺スポットs1、s2に対する止血器具100Aの適用例を説明したが、患者の左手H2の各穿刺部位p3、p4(図18を参照)を含む各穿刺スポットに対しても同様の手順で止血器具100Aを適用することが可能である。
なお、変形例に係る止血器具100Aでは、押圧部120Aが他の第1孔部145b側から一の第1孔部145a側へ向けて幅が次第に小さくなるように構成されているが、押圧部120Aは一の第1孔部145a側から他の第1孔部145b側へ向けて幅が次第に小さくなるように構成されていてもよい。押圧部120Aが一の第1孔部145a側から他の第1孔部145b側へ向けて幅が次第に小さくなるように構成されている場合、第1穿刺スポットs1に押圧部120Aを配置する際、他の第1孔部145bを患者の手Hの末梢側の位置に配置することができる。
また、変形例に係る止血器具100Aの押圧部120Aの外形は、二等辺三角形に限定されることはない。例えば、台形などでもよい。
以上、実施形態を通じて本発明に係る止血器具を説明したが、本発明は明細書において説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
実施形態の説明では、第2帯体及び第3帯体が押圧部を中心として放射状に角度を変えて配置可能であり、第1帯体が押圧部を中心として放射状に角度を変更できない構成を備える止血器具を例示した。ただし、止血器具は、第1帯体、第2帯体、及び第3帯体のうち少なくとも2つが押圧部を中心として放射状に角度を変えて配置できる構成を有していればよい。
実施形態の説明では、各帯体は支持部材の各孔部に接続された状態で、支持部材の第1領域に設けられた中心点を中心にしてスライド移動可能に構成されていた。ただし、各帯体を支持部材に接続するための構造は、支持部材に設けられた孔部に限定されない。各帯体を支持部材に接続するための構造は、例えば、支持部材及び各帯体の一方に設けられた凸部と、支持部材及び各帯体の他方に設けられ、上記凸部をスライド移動可能に保持する溝とによって構成することも可能である。
実施形態の説明では、支持部材が平面視において円形に形成されており、各孔部が支持部材の外形に沿った仮想円上に配置されていた。ただし、支持部材の外形及び各孔部の配置や形状は、第1帯体、第2帯体、及び第3帯体のうち少なくとも2つの帯体が押圧部を中心として放射状に角度を変えて配置できるように構成可能な限り、特に限定されない。例えば、押圧部が楕円形の場合、上記2つの帯体がそれぞれ第1領域に設けられた異なる中心点を中心として放射状に角度を変えて配置できるように構成してもよい。
実施形態の説明では、手の甲に形成された穿刺部位を止血するための止血器具を例示した。ただし、止血器具は、手の掌に形成された穿刺部位に形成された穿刺部位を止血するために使用することも可能である。また、止血器具を患者に装着する際の各帯体の配置は図示により説明した位置に限定されることはなく、適宜変更することが可能である。例えば、第1帯体は、親指と人差し指の間に位置する指間部以外の指間部に配置することも可能である。また、止血器具は、手と同様に、指等の動きがある部分が多い足に使用してもよい。例えば、止血器具は、患者の足(例えば、足背、足底など)に形成された穿刺部位を止血するために使用してもよい。
止血器具の各部の形状や寸法等は、止血すべき部位に拡張部材を配置可能な限り、特に限定されることはなく、適宜変更することが可能である。
本出願は、2020年8月21日に出願された日本国特許出願第2020-139907号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。