しかし、本発明者が検討したところ、特許文献1に開示された皮下注射針安全囲い容器を備える針組立体には、穿刺時、留置時、抜針時の操作性や安全性等について、未だ改善すべき点が存在した。
本発明の解決課題は、従来の針組立体が内在していた穿刺時、留置時、抜針時の操作性及び安全性等についての未だ改善すべき点について改善が図られた、新規な構造の針組立体を提供することにある。
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
第1の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該一対の可変板状部を伸長状態に保持するロック機構が、該一対の可変板状部の対向内面に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、穿刺針が抜き取られた後、一対の可変板状部がロック機構によって伸長状態に保持されることにより、穿刺針の針先が抜針位置に保持されて、針先が誤って穿刺される事態を防ぐことができる。また、ロック機構が一対の可変板状部の対向内面に設けられていることから、ロック機構に触れることが難しくなっている。
第2の態様は、第1の態様に記載された針組立体において、前記ロック機構は、前記可変板状部において前記屈曲部よりも上側に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、一対の可変板状部の対向内面に設けられるロック機構が針先から離れた側に位置していることにより、例えば針先の保護構造などが設けられている場合にも、ロック機構を設けるスペースを確保し易い。
第3の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該一対の可変板状部の前記下側部分が、患者の肌に重ね合わされる底板部を介して相互につながっているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、一対の可変板状部の伸長変形によって穿刺針を引き抜くことができ、例えば片手で操作して穿刺針を抜き取ることもできる。このように、穿刺及び抜針の操作を片手で行うことも容易であることから、例えば患者自身が穿刺針を皮下埋込型ポートから抜き取ることも可能になる。
一対の可変板状部が底板部を介してつながっており、底板部が患者の肌に重ね合わされるようになっている。これにより、針組立体が患者の肌に対して底板部によって面接触して、針組立体と患者の肌との接触面積が大きくされることで接触圧の軽減が図られる。それゆえ、針組立体を穿刺状態で留置する際に針組立体の接触による痛みや違和感が低減されると共に、留置時のテーピング作業や抜針時等において針組立体の傾動が抑制されて、痛みの低減や作業効率の向上などが実現される。
また、底板部は、一対の可変板状部の伸縮の際にも、変形や変位が該一対の可変板状部よりも抑えられることから、患者の肌への接触状態を安定して確保することも容易となる。
第4の態様は、第3の態様に記載された針組立体において、前記底板部が、前記可変板状部の屈曲軸と平行な長さ方向において、該可変板状部よりも外側へ突出する突出部を備えているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、底板部が突出部を備えることによって、底板部と患者の肌との接触面積をより大きくすることができる。これにより、接触圧の低下による痛みの低減や、ぐらつきの抑制による固定作業の効率化などが、より効果的に実現される。
第5の態様は、第4の態様に記載された針組立体において、前記底板部が前記突出部において幅広とされているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、底板部が一対の可変板状部よりも外側へ突出した突出部において幅広とされることにより、底板部の面積をより大きく確保しながら、底板部が一対の可変板状部の連結部分のサイズ等に対して影響し難くすることができる。また、突出部の幅方向において底板部と患者の肌との接触面の長さが長くなることから、針組立体の傾動に対する抗力を大きく得て、針組立体の傾動を抑制することができる。
第6の態様は、第4又は第5の態様に記載された針組立体において、前記突出部が前記針ハブと対向して配されており、該突出部が該針ハブに向けて突出する支持部を備えているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、一対の可変板状部の収縮状態において、突出部に設けられた支持部が針ハブに当接することで針ハブの傾動等の動きが制限される。それゆえ、針ハブの不要な動きによる穿刺時の針先のブレ等が抑えられる。
第7の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該針ハブが該穿刺針の穿刺方向と交差する方向に延びる連結部を備え、該連結部の長さ方向の途中から該穿刺針が穿刺方向に突出しており、該一対の可変板状部の該上側部分が、該連結部において該穿刺針の突出部分を長さ方向に挟んだ各一方側に取り付けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、一対の可変板状部の伸縮による力が、穿刺針の針ハブからの突出部分に対する両側において針ハブに入力される。これにより、例えば、一対の可変板状部を伸長変形させて抜針する際に、針ハブに作用するモーメントが低減されて、針ハブが傾動し難く、患者から抜き取られる穿刺針の針ハブからの突出部分が針ハブの傾動による傾きを生じ難い。それゆえ、スムーズな抜針が可能であると共に、穿刺状態で穿刺針が傾動することによる痛みが低減される。
第8の態様は、第7の態様に記載された針組立体において、前記一対の可変板状部の前記上側部分はそれぞれ嵌合部を備えており、前記連結部が該一対の可変板状部における各該嵌合部に対して回動可能に嵌め合わされることで、該一対の可変板状部の相互の屈曲が許容されているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、針ハブと一対の可変板状部の各上側部分とを、連結部と一対の嵌合部の嵌め合わせによって簡単に連結することができる。また、連結部が一対の嵌合部に対して屈曲部における一対の可変板状部の屈曲を許容する状態に嵌め合わされていることから、一対の可変板状部の伸縮変形が連結部と一対の嵌合部との嵌め合わせによって阻害されない。
第9の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該穿刺針の穿刺時に把持される把持片が設けられており、該可変板状部の屈曲軸と平行な長さ方向において該把持片が該可変板状部の両端部間に位置しているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、把持片を把持して穿刺する際に、把持片に及ぼされる穿刺方向の力によって、穿刺針に不要なモーメントが作用し難く、穿刺針の傾動が生じ難いことから、スムーズな穿刺を実現することができる。特に、把持片と穿刺針の針先とが穿刺方向で並んで配されるようにすれば、把持片から穿刺針への穿刺方向の力の伝達効率が高くなって、よりスムーズな穿刺が実現される。
第10の態様は、第9の態様に記載された針組立体において、前記把持片が前記可変板状部から延び出しており、該把持片の該可変板状部に対する屈曲を許容する可動部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、把持片が可変板状部から延び出していることにより、把持片と可変板状部の接続部分に可動部を設け易い。また、穿刺時には、可動部によって把持片を可変板状部から離すことにより、把持片を指先で摘まむなどして容易に把持することができる。更に、例えば、針組立体の穿刺後の留置に際して、可動部によって把持片を可変板状部に接近させることにより、把持片の突出を抑えることができて、テーピング等による固定が容易になる。
第11の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該一対の可変板状部の伸長状態において該穿刺針の針先の外部への突出を防ぐ保護部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、一対の可変板状部の伸長状態において、穿刺針の針先が一対の可変板状部の間から外部へ突出するのを防ぐことができる。それゆえ、針先に誤って触れる事態が生じ難く、誤穿刺等が問題になり難い。
第12の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該可変板状部の該屈曲部が該可変板状部の伸長変形時に押圧される入力屈曲部とされており、該可変板状部が該入力屈曲部に向けて厚肉となっているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、可変板状部が入力屈曲部に向けて厚肉とされていることによって、入力屈曲部における手指等との接触面積を大きくすることができる。それゆえ、入力屈曲部に対して力を安定して加えることができると共に、力を加える際に入力屈曲部の手指等への食い込みによる痛みを低減することができる。
第13の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該可変板状部が複数の該屈曲部を備え、高さ方向で隣り合う2つの該屈曲部間が該可変板状部の伸長変形時に押圧される入力板部とされているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、一対の可変板状部を伸長変形させる際に手指等によって力を加える部分が板状の入力板部とされていることにより、手指等との接触面積を大きくすることができる。それゆえ、入力板部に対して力を安定して加えることができると共に、力を加える際に入力板部の手指等への食い込みによる痛みを低減することができる。
第14の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、患者の肌に重ね合わされて固定される固定片が、該可変板状部の屈曲軸と平行な長さ方向において該一対の可変板状部よりも外側へ突出して設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、固定片を医療用テープ等で患者の肌に固定することにより、例えば一対の可変板状部を覆うように医療用テープ等で固定するだけの場合に比して、針組立体が患者の体表面に対してより安定して固定された状態で留置される。また、固定片が一対の可変板状部よりも幅方向の外側へ突出していることから、医療用テープ等で固定片を固定する際に、一対の可変板状部が邪魔になり難い。
第15の態様は、第1~第14の何れか1つの態様に記載された針組立体において弾性変形可能な緩衝体が患者の肌に接触状態で重ね合わされる表面に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、針組立体と患者の肌の間に緩衝体が配されることにより、針組立体の接触による痛みや違和感が低減される。
第16の態様は、第1~第15の何れか1つの態様に記載された針組立体において、前記一対の可変板状部の伸長状態において前記穿刺針の前記針先が該一対の可変板状部の間に収容されるものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、一対の可変板状部を伸長変形させて穿刺針を引き抜くことにより、穿刺針の針先が一対の可変板状部の間に収容される。これにより、抜き取られた穿刺針の針先が露出するのを防いで、誤穿刺等の防止が図られる。
第17の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該穿刺針の穿刺時に把持される把持片が設けられており、前記可変板状部の屈曲軸方向において該把持片と重なる位置で該穿刺針が穿刺方向に延びているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、例えば把持片への入力によって可変板状部を伸縮させて穿刺針の針先を穿刺位置又は抜針位置へ移動させる際など、把持片を手指で把持した状態で、針先を有する穿刺針の先部へ把持片からの力がバランスよく伝達されて、穿刺針の傾き等を生じることなくスムーズな穿刺及び抜針が可能となる。
第18の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられて、該一対の可変板状部の該上側部分において穿刺針の針ハブが保持されていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、該一対の可変板状部の該下側部分が患者の肌に重ね合わされる底板部を介して相互につながっており、該針先が該穿刺位置に位置する状態において該針ハブと該底板部との相対変位を制限する位置規制部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、例えば、位置規制部が針ハブと底板部との相対変位を一対の可変板状部の対向方向において制限することにより、穿刺針の針先のブレを抑制することができる。また、例えば、針ハブと底板部との相対変位を相互離隔方向において制限することにより、穿刺時に穿刺針の針先を穿刺位置に保持することができて、意図しない穿刺針の抜け(穿刺状態の解除)等を防ぐことができる。
第19の態様は、第18の態様に記載された針組立体において、前記底板部には、前記穿刺針の前記針先が該穿刺位置とされた状態で該穿刺針が挿通される針挿通孔が設けられて、該針挿通孔の周囲から前記針ハブに向けて突出する外挿部が設けられており、該針ハブには、該底板部へ向けて延び出す挿入部が設けられており、該針ハブと該底板部との離隔方向と該一対の可変板状部の対向方向との少なくとも一方で該針ハブと該底板部との相対変位を制限する前記位置規制部が、該挿入部の該外挿部への挿入によって構成されるものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、針挿通孔が穿刺針に対して十分に大径とされていても、針先が穿刺位置にある状態で針ハブの挿入部が底板部の外挿部に挿入されることによって、針ハブと底板部との相対変位を相互離隔方向と一対の可変板状部の対向方向とにおいて制限することができる。
第20の態様は、一対の可変板状部が対向配置されて上下の両側部分で相互に屈曲可能とされると共に、各該可変板状部の高さ方向の中間部分には屈曲変形可能な屈曲部が設けられており、該一対の可変板状部の該上側部分には、穿刺針の針ハブの外周面に取り付けられる溝状の嵌合部が設けられて、該嵌合部が該針ハブに対して該針ハブの周方向に摺動可能とされていることにより、該一対の可変板状部が該穿刺針の穿刺方向となる上下方向で伸縮するように変形可能とされており、該一対の可変板状部の収縮状態において該穿刺針の針先の位置が穿刺可能な穿刺位置とされると共に、該一対の可変板状部の伸長状態において該針先の位置が抜針される抜針位置とされる一方、少なくとも一方の該可変板状部の該嵌合部の外周面には、他方の該可変板状部への係止によって該針先が該抜針位置から該穿刺位置へ移動するのを阻止するストッパ突起が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた針組立体によれば、ストッパ突起が他方の可変板状部に係止されることによって、嵌合部の針ハブに対する摺動が阻止されることから、一対の可変板状部の伸長状態から収縮状態への移行が阻止される。その結果、抜針後の穿刺針が再露出して穿刺可能となるのを防ぐことができる。
本発明によれば、穿刺針の穿刺や抜針に際しての片手での操作性を確保しつつ改善された針組立体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1~図5には、本発明の第1実施形態としての針組立体10が収縮状態で示されている。針組立体10は、穿刺針12が羽部材14に取り付けられた構造を有している。以下の説明において、原則として、上下方向とは穿刺方向及び抜針方向となる図2中の上下方向を、左右方向とは図2中の左右方向を、前後方向とは図3中の左右方向を、それぞれ言う。なお、ここで規定する各方向は、便宜的に設定するものであり、例えば、上下方向は、針組立体10を使用する際の鉛直上下方向と必ずしも一致しない。
穿刺針12は、中空の金属針とされており、先端に鋭利な針先16を有している。本実施形態の穿刺針12は、図示しない皮下埋込型ポートのセプタムに穿刺されるフーバー針とされている。即ち、穿刺針12は、内腔の針先16側の端部が穿刺方向に対して直交する後方(図5中の右方)へ向けて開口しており、セプタムに穿刺される際のコアリング(穿刺針12によるセプタムの刳り貫き)が防止されている。もっとも、穿刺針は、通常の注射針のような穿刺方向に開口する中空針であってもよい。
穿刺針12は、全体としてL字状に屈曲して延びており、四半円弧状(中心角90°の円弧状)に湾曲する湾曲部18を備えている。穿刺針12は、湾曲部18よりも先端側が上下方向に延びる先部20とされていると共に、湾曲部18よりも基端側が穿刺方向と略直交する前後方向に延びる基部22とされている。
穿刺針12の基部22には、針ハブ24が固着されている。針ハブ24は、硬質の樹脂等で形成されて、略円筒状とされている。針ハブ24は、穿刺針12の穿刺方向に対する交差方向に延びる連結部25を備えている。連結部25は、穿刺針12の基部22に固着された第1連結部26と、穿刺針12よりも前方へ突出する第2連結部28と、第1連結部26と第2連結部28をつなぐ接続部30とを、一体的に備えている。
第1連結部26は、略円筒状とされており、中心孔に穿刺針12の基部22が挿入されて固着されている。第1連結部26の外周面には、前端部に外周へ向けて突出して周方向に延びる鍔状部32が設けられている。従って、第1連結部26の外周面は、鍔状部32よりも後方が小径とされている。
接続部30は、第1連結部26の前方に連続して設けられており、第1連結部26よりも軸方向長さが短い略円筒状とされている。第1連結部26よりも前方へ延び出した穿刺針12の湾曲部18が、接続部30の下部を貫通して下方へ突出している。そして、穿刺針12の先部20が接続部30の下方において下向きに延びており、先部20の下端に針先16が設けられている。要するに、穿刺針12の針先16は、連結部25の途中に設けられた接続部30の下方に位置しており、前後方向において第1連結部26と第2連結部28の間に位置している。
第2連結部28は、接続部30の前方に連続して設けられており、第1連結部26と同様の略円筒状とされている。第2連結部28の軸方向両端部には、第1連結部26と同様の鍔状部32がそれぞれ設けられており、第2連結部28の外周面は鍔状部32,32の軸方向間において小径とされている。
第2連結部28は、スリット34を備えている。スリット34は、第2連結部28の径方向中心から穿刺針12の先部20の突出方向である下方へ向けて径方向に貫通しており、前後軸方向の全長にわたって連続して延びている。スリット34は、接続部30まで達していると共に、スリット34の上端部は穿刺針12の基部22が挿入された第1連結部26の中心孔と連続しており、穿刺針12の湾曲部18がスリット34内を延びている。従って、例えば、穿刺針12とは別に形成された針ハブ24に対して、穿刺針12を前方からスリット34へ差し入れて、穿刺針12の基部22を第1連結部26の中心孔へ挿入し、基部22と第1連結部26を溶着や接着等の手段で固着することもできる。もっとも、例えば、針ハブ24の成形時に穿刺針12がインサートされて、針ハブ24が穿刺針12の基部22に固着された状態で形成されるようにしてもよい。
また、針ハブ24は、第1連結部26よりも後方にチューブ接続部36を一体的に備えている。チューブ接続部36は、第1連結部26よりも内径寸法及び外径寸法が大きくされており、チューブ38の一端部が挿入されて固着されている。チューブ38の他端部は、例えばコネクタや他のチューブを介して図示しない薬液バッグや輸液バッグ等に接続されており、薬液や輸液がチューブ38を通じて穿刺針12の内腔へ供給される。また、チューブ38の内腔の連通と遮断を切り替えるクランプをチューブ38の途中に設けることもできる。なお、図中では、チューブ38を2点鎖線で仮想的に示した。
針ハブ24は、羽部材14に取り付けられている。羽部材14は、硬質の樹脂によって形成されているが、部分的な線状の薄肉部分を設けることによって、当該薄肉部分での折曲げ(屈曲)を許容する靱性を備えている。羽部材14は、図1~図3に示すように一対の可変板状部40a,40bを備えている。
かかる一対の可変板状部40a,40bは、各一方の面を向き合わせるようにして対向配置されており、上側部分と下側部分でそれぞれ相互に屈曲可能とされている。更に、一対の可変板状部40a,40bには、それぞれ、高さ方向で互いに対応する中間部分において屈曲変形可能な屈曲部として第1屈曲部46が設けられている。そして、一対の可変板状部40a,40bは、上下の両側部分と高さ方向中間部分の屈曲部における屈曲変形によって、一対の可変板状部40a,40bの各中間部分が相互に接近/離隔することで上下方向で伸縮するようにして略パンタグラフのような変形が許容されるようになっている。
より詳細には、可変板状部40は、第1板部42と第2板部44が、屈曲可能とされた入力屈曲部としての第1屈曲部46によって接続された構造を有している。第1板部42と第2板部44は、第1屈曲部46に向けて次第に厚肉となっており、第1板部42と第2板部44の第1屈曲部46側の各端面の面積が大きくされている。第1屈曲部46は、第1板部42と第2板部44の間で長さ方向である前後方向に直線的に延びる薄肉部分であって、第1板部42と第2板部44と一体形成されていると共に、薄肉とされていることによって屈曲変形が許容されている。なお、本実施形態では、第1屈曲部46上に位置する屈曲軸まわりで折れるようにヒンジ状変形するようになっているが、例えば、可変板状部40から板厚方向に外れた屈曲軸を中心として湾曲状に曲がって屈曲変形する態様であっても良い。
一方の可変板状部40aの第2板部44は、一対の係止部48a,48aを備えており、他方の可変板状部40bの第2板部44は、一対の係止部48b,48bを備えている。係止部48a,48aは、第2板部44の厚さ方向へ突出して、第2板部44の幅方向である前後方向において対向して設けられており、突出先端部分において対向方向の内側へ向けて突出する爪が設けられた構造を有している。係止部48b,48bは、第2板部44の厚さ方向へ突出して、第2板部44の幅方向で対向して設けられており、突出先端部分において対向方向の外側へ向けて突出する爪が設けられた構造を有している。係止部48a,48aの対向間距離は、係止部48b,48bの対向間距離よりも大きくされており、係止部48a,48aの対向間へ係止部48b,48bを挿入することが可能となっている。係止部48a,48aと係止部48b,48bは、相互に対向して配される一対の可変板状部40a,40bの対向内面に突出して設けられている。なお、第2板部44には、係止部48a,48a又は係止部48b,48bを成形する金型の跡である一対の貫通孔52,52が形成されており、一方の第2板部44において係止部48a,48aが貫通孔52,52の前後外側の開口縁部に設けられていると共に、他方の第2板部44において係止部48b,48bが貫通孔52,52の前後内側の開口縁部に設けられている。
可変板状部40の第1板部42は、図1,図4に示すように、入力屈曲部としての第1屈曲部46と反対側の端部(下端部)において底板部54とつながっている。底板部54は、略平板状とされており、穿刺方向を含む上下方向に対して略直交して広がる下面を有している。底板部54の中央部分には、上下に貫通して穿刺針12が挿通可能とされた針挿通孔56が形成されている。なお、底板部54は、例えば、針組立体10が穿刺される部位における患者の体表面の凹凸や湾曲等を考慮して、凹凸を設けたり、湾曲させたりすることもできる。
底板部54の中央部分には、上面に突出する保護部としての保護筒部58が設けられている。保護筒部58は、円筒状とされており、針挿通孔56の周囲において上方へ突出して、穿刺針12が挿通可能とされている。保護筒部58の上面は、針ハブ24のチューブ接続部36の外周面に対応する凹状に湾曲している。
底板部54は、前後方向の両端部分が、屈曲軸と平行な長さ方向(前後方向)で可変板状部40よりも外側へ突出する突出部60,60とされている。突出部60は、幅方向である左右方向の両側へ更に突出する拡幅部62,62を備えており、可変板状部40につながった底板部54の前後中央部分に比して、左右方向に幅広とされている。拡幅部62,62の突出先端は、略半円弧状とされており、角がない形状とされている。後方の突出部60には、上面に突出する支持部64が設けられている。支持部64は、突出部60の左右方向中央において上方へ向けて突出しており、略矩形ブロック状とされている。支持部64は、針ハブ24のチューブ接続部36の下方に位置して、チューブ接続部36に向けて突出しており、突出先端面である上面がチューブ接続部36の外周面に対応する凹状の湾曲面とされている。
底板部54の下面には、底板部54と略対応する外形を有するシート状の緩衝体66が重ね合わされている。緩衝体66は、樹脂エラストマー或いはゴム弾性体等で形成されており、底板部54よりも柔軟で容易に弾性変形することにより、接触時に緩衝作用を発揮する。緩衝体66は、底板部54の下面に固着されていることが望ましい。底板部54の針挿通孔56は、緩衝体66を貫通して形成されている。なお、緩衝体66は必須ではなく、省略することもできる。また、例えば、緩衝体を第2板部44にも設けて、第2板部44が患者の肌Aに触れた場合に、患者に痛み等の不快感を与え難くすることもできる。なお、図4では、底板部54の形状を示すために、緩衝体66の図示を省略した。
可変板状部40の第1板部42は、底板部54に対して屈曲可能に連続しており、第1板部42と底板部54の接続部分が下側部分としての第2屈曲部68とされている。第2屈曲部68は、第1屈曲部46と同様に、前後方向に直線的に延びる薄肉部分であって、第1板部42及び底板部54と一体的に形成されていると共に、薄肉であることによって屈曲変形が許容されている。底板部54の左右両側に一対の可変板状部40a,40bが設けられており、一対の可変板状部40a,40bが底板部54の左右各一方側に連続して設けられている。これにより、一対の可変板状部40a,40bは、下端部において底板部54を介して相互につながっており、図6,図7に示すように、羽部材14が一対の可変板状部40a,40bと底板部54とを一体的に備えている。
可変板状部40は、一方の端部が図1,図2に示すように、針ハブ24に連結されている。即ち、可変板状部40の第2板部44における第1板部42と反対側の端部(上側部分)には、図6,図7に示すような嵌合部としての嵌合溝部70が設けられている。嵌合溝部70は、半周を超える優弧状のC字環状断面で前後方向に延びている。嵌合溝部70は、前後方向の長さが第2板部44の前後方向の長さの半分よりも短くされており、第2板部44よりも変形剛性が小さくされて、弾性的な撓み変形による開口部分の拡開が許容されている。嵌合溝部70は、一方の可変板状部40aにおいて後方に偏倚して設けられていると共に、他方の可変板状部40bにおいて前方に偏倚して設けられている。
そして、一方の可変板状部40aの嵌合溝部70に対して、針ハブ24の第1連結部26が嵌め入れられると共に、他方の可変板状部40bの嵌合溝部70に対して、針ハブ24の第2連結部28が嵌め入れられることにより、一対の可変板状部40a,40bの一方の端部が針ハブ24に取り付けられている。一方の可変板状部40aの嵌合溝部70が穿刺針12の先部20よりも後方において第1連結部26に取り付けられていると共に、他方の可変板状部40bの嵌合溝部70が穿刺針12の先部20よりも前方において第2連結部28に取り付けられている。要するに、一対の可変板状部40a,40bは、針ハブ24における穿刺針12の突出部分である接続部30を前後方向で挟んだ各一方側において、針ハブ24の連結部25に取り付けられている。なお、針ハブ24は、一対の可変板状部40a,40bの嵌合溝部70,70に対して周方向で回動可能とされており、一対の可変板状部40a,40bの第2板部44,44が針ハブ24に対して角度変化(針ハブ24を中心軸とする傾動)を許容された状態で連結されている。
一方の可変板状部40aの嵌合溝部70が第1連結部26の鍔状部32とチューブ接続部36との間に位置することで、可変板状部40aと針ハブ24が前後方向において位置決めされている。同様に、他方の可変板状部40bの嵌合溝部70が第2連結部28の鍔状部32,32間に位置することで、可変板状部40bと針ハブ24が前後方向において位置決めされている。
嵌合溝部70は、周方向の一端が第2板部44と連続していると共に、他端が把持片72と連続している。把持片72は、板状とされており、可変板状部40と一体的に設けられて、可変板状部40の端部を構成する嵌合溝部70から延び出している。把持片72は、前後方向の長さ寸法が可変板状部40の前後方向の長さ寸法以下とされて、可変板状部40に対して前後方向の外側へ突出することなく、前後方向において可変板状部40の前後両端の間に位置している。把持片72は、嵌合溝部70と同じ前後長さ寸法とされた接続基部74と、接続基部74の先端に一体的につながって第2板部44と同じ前後長さ寸法とされた把持先部76とを備えている。接続基部74と把持先部76の接続部分は、幅方向に延びる線状に薄肉とされており、当該薄肉とされた部分が把持先部76の接続基部74に対する屈曲を許容する可動部78とされている。接続基部74は、嵌合溝部70に対して屈曲可能とされていてもよいが、本実施形態では嵌合溝部70に対する屈曲は許容されていない。接続基部74の嵌合溝部70に対する屈曲が許容される場合には、接続基部74と嵌合溝部70の屈曲可能な接続部分によって可動部を構成することができ、把持片72の途中に可動部78を設けなくてもよい。
このような構造とされた羽部材14は、図6,図7に示されているような板状に形成される。そして、第1,第2屈曲部46,68を屈曲させて、嵌合溝部70,70に針ハブ24の第1,第2連結部26,28を嵌め込むことにより、羽部材14が図1~図5に示す収縮状態の針組立体10を構成する形状とされる。羽部材14が板状に形成された後に折り曲げられることから、針組立体10において一対の可変板状部40a,40bの対向間に位置する係止部48a,48bや保護筒部58を容易に成形することができる。
収縮状態の針組立体10において、穿刺針12の先部20は、底板部54の針挿通孔56を貫通しており、針先16の位置が底板部54よりも下方に突出して外部に露出していることから、針先16の位置が穿刺可能な穿刺位置とされている。収縮状態の針組立体10において、針ハブ24の底板部54に対する上下方向での接近は、針ハブ24の接続部30が保護筒部58の上面に接することにより制限される。これにより、第1屈曲部46の過剰な屈曲が防止されており、一対の可変板状部40a,40bの損傷が回避されていると共に、一対の可変板状部40a,40bの針ハブ24側の端部が、第1屈曲部46よりも上側に保持されている。
収縮状態の針組立体10において、把持片72は、図8に示すように、接続基部74が可変板状部40に接触状態又は僅かに離れた近接状態で重ね合わされていると共に、把持先部76が可動部78の屈曲によって可変板状部40から離れて上方へ突出している。そして、医療従事者が一対の把持片72,72の把持先部76,76を、例えば片手の人差指αと親指βとによって摘まんで把持して、穿刺針12を患者に穿刺する。把持による左右方向内向きの力や穿刺方向である下向きの力が一対の把持先部76,76に作用しても、一対の可変板状部40a,40bが伸長変形することはなく、穿刺針12の針先16が下方へ露出した状態に保持される。
患者に穿刺された針組立体10は、緩衝体66が患者の肌Aに接触状態で重ね合わされて、底板部54が患者の肌Aに対して緩衝体66を介した間接的な接触状態で重ね合わされる。これにより、穿刺された針組立体10は、患者の肌Aに対して面接触しており、患者の肌Aに対する接触圧の分散化によって痛みや違和感が低減されると共に、患者の肌Aに対する接触面積が大きく確保されることによって針組立体10のぐらつき等が防止される。更に、底板部54と患者の肌Aの間に柔軟な緩衝体66が介在することにより、患者の肌Aに対する接触圧の更なる低減が図られて、痛みや違和感を一層低減することができる。
患者に穿刺された針組立体10は、図9に示すように、医療用テープ80,82によって患者の肌Aに固定される。即ち、前方の突出部60の上方を左右方向に跨ぐ医療用テープ80と、一対の可変板状部40a,40bの上方を左右方向に跨ぐ医療用テープ82とによって、針組立体10が患者の肌Aに固定される。このように、本実施形態では、前方の突出部60が患者の肌Aに固定される固定片とされており、一対の可変板状部40a,40bだけでなく前方の突出部60も患者の肌Aに固定されることから、針組立体10を患者の肌Aに対してより強く固定することができる。また、前方の突出部60は、患者の肌Aに重ね合わされていることから、患者の肌Aから離れて位置する一対の可変板状部40a,40bの第2板部44,44等に比して、医療用テープ80で容易に固定することができる。それゆえ、針組立体10の穿刺後に、先ず前方の突出部60を医療用テープ80で簡単に固定して、針組立体10を仮に位置決めした状態で、一対の可変板状部40a,40bを医療用テープ82で固定することにより、固定作業が容易になり得る。
なお、医療用テープ82によって可変板状部40a,40bを患者の肌Aに固定する際には、可動部78,78の屈曲によって把持片72,72の把持先部76,76が第2板部44,44と接触状態又は近接状態で重ね合わされる。これにより、把持先部76,76の突出が抑えられて、針組立体10の上下方向の高さ寸法が小さくなると共に、針組立体10の上面が突出部分の少ない滑らかな形状とされて、針組立体10に対する医療用テープ82の固着面積を大きく得ることができると共に、穿刺状態で留置された針組立体10が邪魔になり難い。
穿刺された針組立体10を患者から取り除く際には、先ず、医療従事者や患者自身等が医療用テープ80,82を剥がして、針組立体10の患者の肌Aへの固定を解除する。次に、医療従事者や患者自身等が、図2に示すように、例えば片手の人差指αと親指βを一対の可変板状部40a,40bの第1屈曲部46,46の各一方に当てて、第1屈曲部46,46の接近方向となる左右内向きの力を加える。これにより、第1屈曲部46,46及び第2屈曲部68,68の屈伸と、嵌合溝部70,70の針ハブ24に対する周方向の摺動とが生じて、一対の可変板状部40a,40bは、図10~図12に示す伸長状態に変形する。このように、一対の可変板状部40a,40bは、第1屈曲部46,46における屈伸が、第2屈曲部68,68の屈伸と、嵌合溝部70,70の針ハブ24に対する周方向の摺動とによって許容されている。
一対の可変板状部40a,40bの収縮状態において、第1板部42が底板部54側から第1屈曲部46に向けて上傾していると共に、第2板部44が嵌合溝部70側から第1屈曲部46に向けて下傾している。その結果、収縮状態の一対の可変板状部40a,40bは、前後方向視において略菱形をなしている。これにより、一対の可変板状部40a,40bの第1屈曲部46,46に左右内向きの力を加えることによって、各可変板状部40において第1板部42と第2板部44の傾斜角度が小さくなる方向の変形が生じて、一対の可変板状部40a,40bが伸長変形する。
本実施形態では、第1板部42と第2板部44が入力屈曲部である第1屈曲部46に向けて厚肉となっており、手指α(β)によって押圧される第1板部42及び第2板部44の第1屈曲部46側の端面の面積が大きくされている。これにより、第1屈曲部46,46を手指α,βによって押圧する際の接触圧が低減されて、第1屈曲部46,46の手指α,βへの食い込みによる痛みや違和感等が低減されることから、一対の可変板状部40a,40bを伸長変形させる操作を行いやすくなる。
一対の可変板状部40a,40bが伸長変形する際に、針ハブ24が患者の肌Aに重ね合わされた底板部54から離れる方向(上方)へ移動する。これにより、一対の可変板状部40a,40bの伸長状態では、針ハブ24から患者の肌Aまでの距離が穿刺針12の先部20の長さよりも長くなる。その結果、図12に示すように、穿刺針12の針先16が底板部54の下面よりも上方に位置して、針先16の位置が穿刺を解除されて抜針される抜針位置とされる。このように、針先16が患者の肌Aから遠ざかるように移動することにより、患者に穿刺された穿刺針12は、患者から抜き取られる。そして、底板部54を患者の肌Aから離隔させることにより、針組立体10が患者から取り除かれる。
抜き取られた穿刺針12の先部20は、図11に示すように、針先16を含む全体が伸長状態とされた一対の可変板状部40a,40bの対向間に収容されており、針先16が外部へ露出することなく保護されている。それゆえ、抜き取られた穿刺針12の針先16に誤って触れる事態が生じ難く、優れた安全性が実現される。伸長状態とされた一対の可変板状部40a,40bは、左右方向の対向面間の間隙が手指等を挿入できない程度に狭くされている。好適には、一対の可変板状部40a,40bの対向間に手指を挿入する場合に、指先が穿刺針12に触れない位置までしか進入できないように、一対の可変板状部40a,40bの対向間距離が設定される。
一対の可変板状部40a,40bの対向間に収容された穿刺針12の針先16は、図12に示すように、底板部54に設けられた保護筒部58内に収容されている。これにより、抜き取られた穿刺針12の針先16が露出せず、針先16の誤穿刺が防止されている。
伸長状態の一対の可変板状部40a,40bは、第2板部44,44が左右方向で対向し且つ接近することから、一方の可変板状部40aの第2板部44に設けられた係止部48a,48aの間に、他方の可変板状部40bの第2板部44に設けられた係止部48b,48bが挿入されて、それら係止部48a,48aと係止部48b,48bとが相互に係止される。これにより、一対の可変板状部40a,40bの第2板部44,44の離隔を阻止するロック機構84が構成されており、一対の可変板状部40a,40bがロック機構84によって伸長状態に保持されている。従って、伸長状態の可変板状部40a,40bが収縮変形することがなく、穿刺針12の下方への再突出が防止されることから、誤穿刺の発生を防ぐことができる。
なお、入力屈曲部である第1屈曲部46,46に力を加えて一対の可変板状部40a,40bを伸長変形させる際に、手指α,βによる入力位置は、一対の可変板状部40a,40bの伸長変形に伴って第2板部44,44側へずれる或いは広がることが想定される。そこで、係止部48a,48a及び係止部48b,48bは、第1屈曲部46,46よりも穿刺方向と逆側(針ハブ24への連結端部側)である上側に位置する第2板部44,44に設けられている。これにより、一対の可変板状部40a,40bの伸長状態において係止部48a,48a及び係止部48b,48bが設けられた部位に力を加えやすく、係止部48b,48bを係止部48a,48aの対向間へ押し込んでロック機構84を構成しやすくなっている。
第2板部44,44の対向間を延びる穿刺針12の先部20は、係止部48a,48aの対向間及び係止部48b,48bの対向間を延びて、ロック機構84を上下方向に貫通しており、穿刺針12の先部20の前後方向への移動がロック機構84によって制限されている。これにより、穿刺針12の先部20が一対の可変板状部40a,40bの対向間を外れて前方又は後方へ突出するのを防いで、針先16の外部への露出を防ぐことができる。
ロック機構84を構成する係止部48a,48aと係止部48b,48bは、可変板状部40a,40bの対向内面に設けられていることから、特に可変板状部40a,40bの伸長状態において手指等で触れることが難しくされている。それゆえ、ロック機構84に誤って触れることによってロック機構84が解除されてしまう事態が生じ難く、ロック機構84による可変板状部40a,40bの伸長状態の保持や針先16の保護等を安定して維持することができる。
図13~図15には、本発明の第2実施形態としての針組立体90が示されている。針組立体90は、穿刺針12が羽部材92に取り付けられた構造を有している。以下の説明において、第1実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
穿刺針12の基部22には、針ハブ94が固着されている。本実施形態の針ハブ94は、穿刺針12の基部22が挿入状態で固着される連結部96と、連結部96の後方に一体形成されたチューブ接続部36とを、有している。連結部96は、チューブ接続部36よりも小径の略円筒形状とされていると共に、前端には外周へ突出する鍔状部32を備えている。
羽部材92は、一対の可変板状部98a,98bを備えている。可変板状部98は、略平板形状とされた入力板部100を備え、入力板部100の一方側にハブ連結板部102が第1屈曲部104によって屈曲可能に連続して設けられ、入力板部100の他方側に底連結板部106が第2屈曲部108によって屈曲可能に連続して設けられた構造を有している。換言すれば、可変板状部98は、2つの屈曲部104,108を有しており、それら屈曲部104,108の間に入力板部100を備えていると共に、屈曲部104,108の外側にハブ連結板部102と底連結板部106を備えている。なお、図13~図15では、一対の可変板状部98a,98bが収縮状態とされて、穿刺針12の針先16が穿刺可能な穿刺位置にある。
ハブ連結板部102は、略平板状とされており、一対の可変板状部98a,98bの収縮状態において、入力板部100との接続端部である第1屈曲部104に向けて下傾している。ハブ連結板部102の入力板部100と反対側の端部には、幅寸法が小さくされた嵌合部110が設けられている。嵌合部110は、針ハブ94の連結部96に嵌合可能な略C字環状の溝状部を備えており、針ハブ94の連結部96が嵌合部110の溝状部に嵌め合わされることによって、針ハブ94が一対の可変板状部98a,98bの一方の端部によって保持されて、可変板状部98a,98bが針ハブ94まわりで回動可能とされている。嵌合部110は、一方の可変板状部98aの前端部に設けられていると共に、他方の可変板状部98bの後端部に設けられており、針ハブ94の連結部96に対して前後方向で離れた位置に取り付けられている。なお、本実施形態では、ロック機構を構成する係止部48a,48aと係止部48b,48bがハブ連結板部102,102に設けられている。
底連結板部106は、略平板状とされており、一対の可変板状部98a,98bの収縮状態において、入力板部100との接続部分である第2屈曲部108に向けて上傾している。底連結板部106の入力板部100と反対側の端部には、底板部112が第3屈曲部114によって屈曲可能に連続して設けられている。本実施形態の底板部112は、穿刺針12が挿通される針挿通孔56が前方の突出部60の前端部に設けられており、針挿通孔56が上下に貫通すると共に、穿刺針12の外径よりも小さな幅寸法で前方へ開放されている。本実施形態の前方の突出部60は、穿刺時の収縮状態とされた針組立体90において穿刺針12の先部20が貫通しており、医療用テープによる患者の肌Aへの固定が第1実施形態に比して難しいことから、固定片としての機能を有していなくてもよい。なお、針挿通孔56の周囲から上方へ突出する筒状の保護筒部を設けて、抜き取られた穿刺針12の針先16を収容するようにしてもよい。
本実施形態において、穿刺針12は、針ハブ94から突出した湾曲部18及び先部20が一対の可変板状部98a,98bよりも前方へ突出しており、針先16が一対の可変板状部98a,98bよりも前方に位置している。穿刺針12は、穿刺時や抜針時の力が針ハブ94に及ぼされることから、針先16を備える先部20に作用するモーメントを低減するために、先部20が針ハブ94の途中において突出していることが望ましいが、本実施形態のように、先部20が針ハブ94の端部から突出して設けられていてもよい。
このような構造とされた針組立体90は、一対の入力板部100,100を手指α,βで摘まんで左右方向の内側へ向けて押圧することにより、収縮状態から伸長状態へ変形する。即ち、入力板部100,100に力を加えると、第1,第2,第3屈曲部104,108,114が屈伸変形して、一対の可変板状部98a,98bの一方の端部と他方の端部が、穿刺針12の先部20の延伸方向である上下方向において相互に離隔する。これにより、穿刺針12の針先16が患者の肌Aに重ね合わされた底板部112の下面よりも上方で穿刺不可能な抜針位置へ移動し、患者に穿刺されていた穿刺針12が引き抜かれる。
本実施形態の針組立体90では、手指α,βによる入力部分が板形状の入力板部100,100とされていることから、入力時に手指α,βが面接触して、手指α,βに作用する当接圧が分散される。それゆえ、手指α,βへの食い込みによる痛みや不快感等が低減されて、手指α,βによる押圧操作が行いやすくなる。本実施形態において、第1屈曲部104が第2屈曲部108よりも左右方向の内側に位置しており、それら第1屈曲部104と第2屈曲部108の間に位置する入力板部100が、上方へ行くにしたがって左右方向の内側へ傾斜している。これにより、入力板部100,100は、左右方向の外面を上方から手指で摘まみやすい形状とされており、穿刺状態で入力板部100,100を患者の肌Aと反対側(上方)から手指で摘まんで、針組立体90に抜針方向の力を加えやすく、抜針作業が容易とされている。
図16~図19には、第3実施形態としての針組立体120が収縮状態で示されている。針組立体120は、穿刺針12が羽部材122に取り付けられた構造を有している。
穿刺針12は、先部20の上端部分と湾曲部18と基部22とが、何れも針ハブ124に固着されている。針ハブ124は、連結部25とチューブ接続部36とを一体的に備えている。本実施形態の連結部25には、第1実施形態のようなスリット34は設けられていない。穿刺針12は、針ハブ124の成形時にインサートされており、針ハブ124に対して分離不能な部分埋設状態で一体的に固着されている。針ハブ124の接続部30には、下方へ延び出す挿入部126が一体形成されている。挿入部126は、穿刺針12の先部20の上端部分に固着されており、略円筒形の外周面を有している。
羽部材122は、一対の可変板状部40a,40bと、可変板状部40a,40bの下端部を相互に連結する底板部128とを、備えている。底板部128は、第1実施形態の底板部54と略同じ外形を有しており、中央部分を上下方向に貫通する針挿通孔56が形成されている。針挿通孔56は、穿刺針12の先部20よりも大径とされており、先部20に装着されるキャップ129(図19参照)が通過可能な大きさとされている。なお、図20~図22には、羽部材122が針ハブ124に取り付けられていない単体の展開状態で示されている。
底板部128における針挿通孔56の周囲には、上方へ向けて突出する外挿部としての保護筒部130が設けられている。保護筒部130は、略円筒形状とされていると共に、後方部分が厚肉とされて後方へ突出している。保護筒部130の内径寸法は、針ハブ124の挿入部126を挿入可能な大きさとされている。保護筒部130の内周面には、図20や図22に示すように、複数の内面突部132が内周へ向けて突出している。内面突部132は、表面が滑らかに連続する曲面で構成されており、特に上端部分が上方へ向けて外周へ傾斜するテーパー形状とされている。複数の内面突部132は、相互に略同一とされており、保護筒部130の周方向で相互に離隔して略均等に配されているが、形状や大きさの異なる複数種類の内面突部が設けられていてもよいし、複数の内面突部が周方向で不均等に配されていてもよい。
本実施形態の羽部材122は、図20~図22に示す展開状態での上面に開口する複数の肉抜凹所を備えており、強度を確保しながら軽量化と形成材料の削減とが図られている。尤も、このような肉抜凹所は必須ではなく、羽部材122は、第1実施形態の羽部材14のような略平坦な表面を有していてもよい。
羽部材122の上端部は、嵌合部としての嵌合溝部70,70によって針ハブ124の連結部25に取り付けられている。即ち、一方の可変板状部40aに設けられた嵌合溝部70が針ハブ124の第1連結部26の外周面に取り付けられると共に、他方の可変板状部40bに設けられた嵌合溝部70が針ハブ124の第2連結部28の外周面に取り付けられる。これにより、針ハブ124は、可変板状部40a,40bの上側部分によって保持されている。嵌合溝部70,70は、針ハブ124の外周面に対して周方向に摺動可能とされており、それによって、羽部材122の第2板部44,44が針ハブ124から延び出す向き(角度)を変更することが可能とされて、羽部材122の伸縮変形が許容されている。
嵌合溝部70の外周面には、ストッパ突起134が突出している。ストッパ突起134は、突出先端に向けて嵌合溝部70の周方向で幅狭となる先細形状を有している。本実施形態のストッパ突起134は、外周面が嵌合溝部70と接する形状とされている。本実施形態では、嵌合溝部70,70の両方にストッパ突起134がそれぞれ設けられているが、例えば、何れか一方の嵌合溝部70だけにストッパ突起134が設けられて、他方の嵌合溝部70にはストッパ突起134がなくてもよい。
また、穿刺時に把持される把持片136が、可変板状部40a,40bの上側にそれぞれ設けられている。把持片136は、第1実施形態の把持片72と同様に、前後方向の幅が狭い接続基部74と、前後方向の幅が広い把持先部76とを備えており、接続基部74が嵌合溝部70の第2板部44との接続端部付近から突出している。把持片136は、接続基部74と把持先部76との間に可動部78がなく、把持先部76が接続基部74に対する揺動(屈曲)を許容されていない。また、把持片136の接続基部74と第2板部44との接続部分に可動部78が設けられており、把持片136全体が第2板部44に対する揺動(屈曲)を許容されている。
針ハブ124に羽部材122を取り付ける際に、穿刺針12の先部20にキャップ129を予め装着しておいて、キャップ129を針挿通孔56に対して上方から下方へ通過させることもできる。これによれば、針ハブ124が羽部材122に取り付けられた状態で先部20にキャップ129を取り付ける作業を行う必要がなく、製造が容易になる。そして、穿刺時には、キャップ129を穿刺針12から取り外して、先部20の針先16を露出させる。なお、本実施形態では、図19に示した羽部材122の収縮状態において、キャップ129が底板部128よりも下方に位置しており、キャップ129が針挿通孔56に挿入されていないが、例えば羽部材122の収縮状態において、キャップ129の上端部が針挿通孔56に挿入されていることによって、キャップ129が底板部128で保持されていてもよい。キャップ129は、硬質の樹脂等によっても形成され得るが、本実施形態では柔軟な樹脂チューブで形成されている。
羽部材122は、穿刺時には、図23に示すような収縮状態とされており、穿刺針12の先部20が底板部128の針挿通孔56を貫通して底板部128よりも下方に突出している。このような穿刺針12の針先16の位置が穿刺位置とされた状態において、図19に示すように、針ハブ124の挿入部126が底板部128の保護筒部130に挿入されており、挿入部126が保護筒部130の内周面に突出する複数の内面突部132の内周へ嵌め入れられている。これにより、針先16の位置が穿刺位置とされた状態において、針ハブ124と底板部128との相対変位量を制限する位置規制部138が構成されている。本実施形態の位置規制部138は、挿入部126が保護筒部130の内周へ嵌め入れられることによって、針ハブ124と底板部128との相対変位を上下方向及び上下直交方向において制限する。そして、位置規制部138によって、羽部材122に対する穿刺針12の左右方向の変位(ぶれ)が低減されると共に、穿刺抵抗やセプタムの弾性等によって穿刺針12が底板部128に対して上方へ意図せずに移動してしまうのが防止される。
使用者は、図23に示すように、把持片136を手指α,βで摘まんで把持して、穿刺針12を患者に穿刺する。図18からも分かるように、穿刺針12の先部20は、使用者が把持した把持片136,136に対して、前後方向において重なる位置で穿刺方向である上下方向に延びている。換言すれば、使用者が把持した図23の状態の把持片136,136は、上端の重ね合わせ部分が穿刺針12の先部20の上側へ向けた延長上に位置している。これにより、把持片136から先部20へ力が効率的に且つバランスよく伝達されることから、穿刺作業を行い易くされている。なお、使用者が把持した図23の状態において、把持片136,136は、穿刺針12の先部20の上側へ向けた延長線に対して左右対称に広がっている。穿刺針12が患者に穿刺された状態において、羽部材122の底板部128の下面は、緩衝体66を介して、患者の肌Aに当接状態で重ね合わされている。
穿刺針12を患者から抜き取る際には、可変板状部40a,40bの第1屈曲部46,46を可変板状部40a,40bの対向方向で相互に接近させる側へ押し込むことにより、可変板状部40a,40bを図24~図27に示すような伸長状態に変形させる。これにより、穿刺針12が上方へ移動して、針先16が底板部128の下面よりも上側となる抜針位置まで移動する。その結果、穿刺針12が患者から抜針されて、針先16が保護筒部130内に収容される。
伸長状態の可変板状部40a,40bは、第1実施形態と同様のロック機構84によって、収縮状態への移行が阻止されている。また、図25,図27に示すように、嵌合溝部70,70の外周面に突出するストッパ突起134,134が第2板部44,44の上端に係止されることによっても、第2板部44,44の相対角度の変化を伴う可変板状部40a,40bの収縮状態への移行が阻止されている。なお、ストッパ突起134,134は、収縮状態の可変板状部40a,40bが伸長状態へ移行するに際して、第2板部44,44を乗り越えて移動可能とされると共に、伸長状態の可変板状部40a,40bが収縮状態へ移行するに際して、第2板部44,44を乗り越えることなく係止されるように、外周面形状が設定されている。
このように、本実施形態の針組立体120は、針先16が穿刺位置と抜針位置とに安定して保持されるようになっており、針先16の位置が穿刺位置から抜針位置へ或いは抜針位置から穿刺位置へ意図せずに移行してしまう事態が防止されている。それ故、穿刺状態において穿刺針12がセプタムの弾性によって上方へ移動してしまったり、抜針後に穿刺針12の針先16が底板部128よりも下方へ再露出するといった不具合の発生を防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態に示したロック機構84は、あくまでも例示であって、一対の可変板状部40a,40bを伸長状態に保持することが可能であれば良く、例えば一対の係止部の片方(48a,48b)だけを採用してもよいし、また、図28,図29に例示されるような他の構造を採用することもできる。
すなわち、図28に示すロック機構140は、一方の可変板状部40aから突出する係止部142が、先端部分に爪部144を備えており、一対の可変板状部40a,40bの伸長変形時に、爪部144を乗り越えた穿刺針12が爪部144に係止されることで構成される。このロック機構140は、爪部144が穿刺針12に係止されることによって、一方の可変板状部40aと穿刺針12の離隔が制限されて、一対の可変板状部40a,40bを伸長状態に保持する。
図29に示すロック機構150は、一方の可変板状部40aから他方の可変板状部40bに向けて突出する針保持部152と、他方の可変板状部40bから一方の可変板状部40aに向けて突出する押込部154とを、備えている。針保持部152は、略矩形ブロック状であって、上下方向(図29中の紙面直交方向)に貫通する針収容孔156と、針収容孔156を全長にわたって針保持部152の突出先端側へ開放する挿入開口部158とが形成されている。押込部154は、略矩形ブロック状とされており、一対の可変板状部40a,40bの伸長状態において、突出先端が針保持部152の突出先端に対して近接又は当接する。そして、一対の可変板状部40a,40bの伸長変形時に、押込部154の突出先端面が穿刺針12の外周面に押し当てられて、穿刺針12が押込部154によって針保持部152の挿入開口部158へ押し込まれ、穿刺針12が挿入開口部158を通じて針収容孔156に挿通される。挿入開口部158の幅は、針収容孔156の直径よりも小さくされており、針収容孔156に挿通された穿刺針12が挿入開口部158を通じて針収容孔156から外部へ出ないことから、一方の可変板状部40aと穿刺針12の離隔が制限されて、ロック機構150が一対の可変板状部40a,40bを伸長状態に保持する。
穿刺針12は、必ずしも湾曲部18を有してL字状に延びるものに限定されず、例えば先部20に相当する部分だけで構成された直線的な中空針であってもよい。この場合には、例えば、針ハブをT字状断面として、針ハブの途中に穿刺方向(下方)へ向けて突出する部分を設け、当該突出部分に穿刺針の基端部を固着することで、前記第1実施形態のように一対の可変板状部40a,40bを針ハブに取り付けることができる。なお、針ハブをL字状断面として、針ハブの先端部分に穿刺方向(下方)へ向けて突出する部分を設け、当該突出部分に穿刺針の基端部を固着すれば、前記第2実施形態のように一対の可変板状部40a,40bを針先16よりも後方で針ハブに取り付けることができる。
底板部54を設ける場合に、底板部54は必ずしも前後両側へ突出する突出部60,60を備えていなくてもよく、前後片側へ突出する一方の突出部60だけを備えていてもよいし、左右方向に突出する突出部を備えていてもよいし、突出部を備えていなくてもよい。また、突出部60は拡幅部62を備えていなくてもよく、突出部60を含む底板部54の全体が略一定の幅とされていてもよい。
針ハブと底板部の相対変位を規制する位置規制部の外挿部は、第3実施形態の保護筒部130のような筒状に限定されず、例えば、底板部128から針ハブ124へ向けて上方へ突出する一対の突起によって構成されて、それら突起間に針ハブ124の挿入部126が差し入れられることで位置規制部が構成されていてもよい。また、挿入部126から底板部128の針挿通孔56に挿入されることによって、位置規制部を構成することもできる。また、挿入部126は、外挿部としての保護筒部130に多少の隙間を持って挿入されることによって、針ハブ124と底板部128との水平方向の相対変位だけを規制するようにしてもよい。この場合に、保護筒部130の内周面に突出する内面突部132は省略され得る。
また、針ハブと底板部との上下方向の位置規制は、必ずしも挿入部と外挿部の嵌め合わせによる摺動抵抗を利用するものに限定されない。例えば、挿入部の外面に突出する爪と、外挿部の内面に突出する爪とを上下方向で係止させることによって、上下方向の位置規制部を構成することもできる。
前記実施形態に示した把持片72,136は、あくまでも一例であって、把持片の具体的な態様が前記実施形態によって限定的に解釈されるものではない。例えば、把持片の形状は、前記実施形態のようなプレート状に限定されず、ロッド状等の別形状とすることもできる。また、把持片の数は、2つに限定されず、例えば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、把持片は、例えば、針ハブ24に設けられていてもよく、針ハブ24に対して屈曲可能に一対を設けたり、針ハブ24に対して屈曲しない態様で固定的に外周へ突出するように設けることもできる。