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JP7825980B2 - 液体吐出装置 - Google Patents
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JP7825980B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出装置

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Description

本発明は、流路形成部材の剥がれを検知できる液体吐出装置に関する。
液体(インク)を吐出して記録を行う液体吐出装置には、液体を吐出する吐出口や、液体を膜沸騰させるための加熱素子、基板等を有する記録素子基板が備えられている。記録の高速化に伴い、記録素子基板を長尺化することがある。
記録素子基板を長尺化すると、記録素子基板を構成する部材どうしの線膨張係数の違いにより、記録素子基板に応力が生じる。例えば、シリコンの基板と、流路が形成されている樹脂材料の流路形成部材とを接合した場合においては、基板と流路形成部材との間に応力によるひずみが生じ、流路形成部材が基板から剥離することがある。
特許文献1には、流路外側を取り囲むような溝を流路形成部材に形成し、ひずみによる基板と流路形成部材との剥離の発生を抑制する液体吐出装置が開示されている。
特開2003-80717号公報
記録品位の向上のために表面張力の低い溶剤を多く含むインクや、高速記録のために揮発性の高い溶剤を含むインクなどを使用する場合、応力によるひずみを生じやすい。そのため、このようなインクを長期間利用すると、特許文献1のように剥離に対する対策を講じた場合においても、基板と流路形成部材との界面において剥離が生じることがある。基板と流路形成部材との剥離が生じると、例えば、発泡による圧力が効果的にインクに伝わらず、インク吐出量のばらつきが生じる。
そのため、特に、高価なメディアに印字することが多い商業印刷の分野においては、記録物への影響が生じる前に、流路形成部材の基板からの剥離を検知し、液体吐出ヘッドの交換を行いたいという要望がある。しかしながら、特許文献1においては、流路形成部材の剥離を検知することができない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、流路形成部材の剥がれを検知できる液体吐出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基板と、液体を吐出する吐出口と、前記基板上に形成され、前記吐出口に液体を供給する流路が形成されている流路形成部材と、液体との接触により電気抵抗が変化する材料から成る検知部と、前記検知部の電気抵抗を測定する測定部と、を有する液体吐出ヘッドと、前記測定部の測定結果に基づいて前記流路形成部材の剥離を検知する検知手段と、を有する液体吐出装置において、前記検知部は、前記基板と前記流路形成部材との間であって該流路形成部材の直下に、前記流路形成部材と接触するように配されており、前記検知手段によって、前記流路形成部材の剥離を検知した際に、前記液体吐出ヘッドの交換を促すことを特徴とする。
本発明によれば、流路形成部材の剥がれを検知できる液体吐出装置を提供することができる。
液体吐出装置の概略図。 液体吐出ヘッドの斜視図。 液体吐出装置の制御系の構成を示すブロック図。 記録素子基板の概略図。 図4(c)に示すA-A´断面図。 検知パターンの回路構成を示す図。 記録処理の処理内容を示すフローチャート。
本願明細書では、液体吐出装置として、記録媒体に対してインクを吐出して記録するインクジェット記録装置(以下、「記録装置」と称する)を例として説明する。
(液体吐出装置)
図1は、記録装置(液体吐出装置)10を示す概略図である。図2は、図1に示す液体吐出ヘッド42を示す概略図である。図3は、記録装置(液体吐出装置)500の制御系の構成を示すブロック図である。
記録装置10は、液体吐出ヘッド42が着脱可能なキャリッジ14を備えている。キャリッジ14は、ガイドシャフト502に支持されながら矢印A方向に移動する。キャリッジ14の移動に伴い、液体吐出ヘッド42もA方向に移動する。記録装置10は、搬送ローラ11、511を備えている。搬送ローラ11、511は、搬送モータ70(図3参照)によって回転し、記録媒体Pを矢印B方向に搬送する。
記録装置10では、制御部52によって、キャリッジモータ24を駆動させながら、記録データに従って記録媒体Pに対してインクを吐出する記録動作を行う。これにより、1バンド分の画像が記録媒体Pに記録される。その後、制御部52によって、搬送モータ70を駆動して、1バンド分に相当する距離だけ記録媒体Pを矢印B方向に搬送する搬送動作を行う。記録装置10では、このようにして記録動作と搬送動作とを交互に繰り返し実行することによって、記録媒体Pに記録画像を形成することとなる。
また、記録装置10は、A方向の一方の端部に位置するホームポジションにおいて、液体吐出ヘッド42に対するメンテナンスを行うための回復ユニット34を備えている。回復ユニット34には、液体吐出ヘッド42を保護するためのキャップ部材36と、吸引してキャップ部材36内に負圧を生じさせるポンプ38などを備えている。液体吐出ヘッド42は、キャリッジ14に4つ配されており、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのインクを吐出可能な構成となっている。液体吐出ヘッド42には、記録データや電力などを供給するための電気配線部材44が取り付けられている。
(制御系)
次に、図3を参照しながら、記録装置10の制御系について説明する。記録装置10は、インターフェース(I/F)48を介して、別体で設けられたホスト装置50と接続されている。記録装置10は、このI/F48を介してホスト装置50との間で、各種の情報の送受信を行う。具体的には、記録装置10は、I/F48を介して、ホスト装置50より記録コマンドや画像データを受信したり、記録装置10のステータス情報をホスト装置50に送信したりする。ホスト装置50としては、汎用のパーソナルコンピュータのほか、デジタルカメラ、スキャナ、携帯端末などの公知の装置を用いることができる。ホスト装置50で記録コマンドが発生すると、当該記録コマンドが画像データとともに、I/F48を介して記録装置10に入力される。
記録装置10は、制御部52により全体の動作が制御される。制御部52は、MPU54、ROM56、DRAM58、EEPROM60、およびゲートアレイ(GA)62を備えている。EEPROM60は、電源がOFFにされた状態でも、次に電源がONになったときに記録装置10に必要な種々の情報を記録しておくためのメモリである。また、GA62は、MPU54の指示のもと、I/F48との間でデータ転送制御を行う。
MPU54は、ROM56に格納されたプログラムやパラメータに従って、DRAM58をワークエリアとしながら、種々の処理を行う。例えば、MPU54は、制御部52に接続されたCRモータドライバ64を介してキャリッジモータ24を駆動し、キャリッジ14をX方向に移動させる。記録動作では、この際に、制御部52に接続されたヘッドドライバ66を介してDRAM58より液体吐出ヘッド42に記録データを転送し、液体吐出ヘッド42に1バンド分の画像が記録される。
また、MPU54は、1バンド分の画像の記録が行われるたびに、制御部52に接続されたLFモータドライバ68を介して搬送モータ70を駆動し、搬送ローラ11、511により記録媒体PをB方向に所定の距離だけ搬送する。こうしたMPU54の、キャリッジモータ24および液体吐出ヘッド42の制御による記録動作と、搬送ローラ11、511の制御による搬送動作とを交互に繰り返して、ホスト装置50から受信した画像データを、記録媒体Pに記録することとなる。
さらに、MPU54は、1ページ分の画像の記録が終了した後などのタイミングで、制御部52に接続された回復モータドライバ72を介して回復系モータ74を駆動し、液体吐出ヘッド42に対する吸引回復処理を実行する。即ち、回復系モータ74は、ポンプ38を駆動するモータや、キャップ部材36を、例えば、昇降させるモータを含む。
また、MPU54は、制御部52に接続された電界調整器76を介して液体吐出ヘッド42に設けられた検知パターン(検知部とも称す)の電位調整を行う。また、測定部82(測定部82-1)は、液体吐出ヘッド42において、電極または検知パターンを配線の一部とする回路における抵抗値を測定し、測定結果を制御部52に出力する。なお、検知パターンについては後述する。
ROM56には、種々の制御を行うためにMPU54が使用する様々なパラメータが記憶されている。こうしたパラメータとしては、例えば、液体吐出ヘッド42の発熱抵抗素子に印加する電圧パルスの形状、記録媒体Pの搬送速度、キャリッジ14の移動速度などがある。
(液体吐出ヘッドの構成)
次に、液体吐出ヘッドの構成について説明する。図4(a)は、記録素子基板1を模式的に示す平面図である。図4(b)、図4(c)は、図4(a)の枠Cの拡大図である。図5は、図4(c)に示すA-A´断面である。
液体吐出ヘッド42は、圧力室502にインクを供給するインク供給口414と、圧力室502からインクを回収するインク回収口416が形成された基板406を備えている。この基板406の一方の面には、圧力室にインクを供給するための流路が形成された流路形成部材408が形成されている。
インク供給口414およびインク回収口416は、流路形成部材408における吐出口列の延在方向に沿って延在している。また、基板406の一方の面には、インク供給路402と連通する複数の供給口414が吐出口列の延在方向に沿って配列されている。さらに、基板406の一方の面は、インク回収路404と連通する複数の回収口416が吐出口列の延在方向に沿って配列されている。
基板406の一方の面には、吐出口412(図6参照)と対応する位置に、インクを熱エネルギーによって発泡させるための熱作用部が形成されている。この熱作用部は、インクを吐出させて記録を行うための記録素子(以下の説明では、「発熱抵抗素子」、「加熱素子」とも称する)610(図6参照)と、発熱抵抗素子610を保護する上部保護層506(単に、保護層とも称す)とを含む。熱作用部は、流路形成部材408に形成された圧力室418内に位置することとなる。上部保護層506は、絶縁層上に形成されている。
また、基板406の一方の面には、基板406に設けられた電気配線(不図示)によって発熱抵抗素子610と電気的に接続される端子420が形成されている。従って、発熱抵抗素子610は、外部の配線基板(不図示)を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱して、圧力室418内のインクを沸騰させる。この沸騰による発泡の力で、インクが吐出口から吐出される。
圧力室502内では発熱抵抗素子610の上方の位置に、インクと接するように、上部保護層506が設けられている。インク吐出する際、上部保護層506の上方の領域でインク温度が瞬間的に上昇してキャビテーションが生じる。そのため、耐食性が高く、信頼性の高い材料によって形成される。上部保護層506の材料は、例えば、イリジウム(Ir)若しくは、ルテニウム(Ru)等の白金族金属、又はやタンタル(Ta)等が挙げられる。
圧力室502を形成する流路形成部材408の下には、検知パターン(検知部とも称す)510が設けられている。更に検知パターン510の2つの端部には、配線が接続され、それぞれ別の端子に接続されて、検知パターンを含む配線抵抗を測定可能な構成となっている。検知パターン510には開口部528が設けられている。流路形成部材と基板間の剥がれにより開口部528より侵入したインクにより、検知パターン510がダメージ受けると、検知パターンを含む配線抵抗が増加することから、剥がれ及びインクの侵入を検知することができる。
検知パターン510は、インクとの接触により電気抵抗が変化しやすい材料で作られる。例えば、電位-pH図より、インクのpHに対し腐食域ももつものの中から、選択することができる。例えば、弱アルカリ性のインクの場合、Ni,W,Ge,Zn、Cr,Mn、AL,等がなどから選択できる。即ち、検知パターン510は、液体との接触により電気化学反応が生じる金属を含む材料で形成される。
(検知パターンの配置位置)
検知パターン510を配置する場所は、基板上の流路形成部材の下であれば、どこに設けても良いが、より迅速に剥がれを検知するためには、圧力室502により近い位置に配置することが好ましい。また、もっとも応力ひずみが発生しやすい箇所に単独で配置しても良いし、突発異常時の意図しない剥がれを検知するために、全体にわたり複数個配置しても良い。
発熱抵抗素子610が配列された配列方向と直交する方向における流路形成部材の下に設けても良いし、発熱抵抗素子610が配列された配列方向の端部における流路形成部材の下に設けても良い。更には、発熱抵抗素子610の間における流路形成部材の下に設けても良い。
(検知パターンの配線)
検知パターン510の一方の端部には、第一の検知用個別配線518が接続され、端子520に接続されている。検知パターン510の他方の端部には第二の検知用個別配線519が接続され、端子521に接続されている。従って、端子520と端子521は、検知パターン510を介してつながっていることになる。こうして形成される回路内には、配線抵抗を測定可能な測定部82-1が設けられている。
検知パターンを複数個配置した場合、検知パターンを複数個つないだ直列抵抗を測定できるよう配線を引き回すこともできる。その場合、一か所でも剥がれが起きた場合抵抗値が増加することから、少ない端子数で効率よく検知が可能である。
(電池効果利用)
検知パターン510を圧力室の上部保護層506の金属材料よりも卑な(イオン化しやすい)金属材料で形成し、検知パターン510と上部保護層506と電気的に接続することで、より早いタイミングでの剥がれを検知することができる。つまり、このような構成においては、剥がれにより検知パターン上の金属に圧力室からのインクが侵入すると、検知パターン510、上部保護層506、インクの間で、電池を形成する。検知パターン510の材料の方が卑であることから、検知パターン510における腐食反応が加速しやすく、抵抗増加として表れやすい。このような材料の組み合わせとして、検知パターンにALを含む材料、上部保護層にIrなどの白金族もしくはTaを含む材料、といった組み合わせが好適に用いることができる。
(面積比)
上記に記載した、検知パターン510と上部保護層506を接続した構成においては、検知パターン510につなげる上部保護層の面積比を大きくすることで、より早期に検知が可能となる。つまり、インク侵入の際に、インクに接する上部保護層面積より、インクに接する検知パターンの面積が小さければ、検知パターン510を流れる電流密度が増加することから、検知パターンの腐食速度をあげることができる。そのため、微小なインク侵入を検知可能となる。
(コゲ制御)
近年の液体吐出ヘッドとして、上部保護層506を上部電極(第1電極)とし、同じく上部保護層506で同じ液室内に対向電極508(第2電極)を設け、両電極間に電圧を印加することで、吐出性能を長期にわたり安定させる構成が開示されている。このようなインクジェットヘッドにおいては、検知パターン510は、上部電極506や、もしくは対向電極508と、電気的に接続しても良い。(図5(c)参照)。
上記の構成においては、上部電極506は、電気化学反応によってインク中に溶出可能な材料により形成されている。このように、上部電極506は、基板406においてインクと接する側において、発熱抵抗素子の上部に設けられることとなる。また、液室502では、上部電極506(第1電極)に対応して対向電極508(第2電極)が設けられている。なお、この対向電極508は、上部電極506とインクとの電気化学反応を生じさせ、上部電極506をインク中に溶出させるための電極となっている。
また、上部電極506は、上部電極用の共通配線514を介して端子420(図4参照)に接続されており、端子420を通して外部から電位が印加される。また、対向電極508は、対向電極用の共通配線526を介して端子420(図4参照)に接続されており、端子420を介して外部から電位が印加される。これにより、上部電極506と対向電極508とには、液室502内のインクを介して電圧が印加可能な構成となっている。
本構成では、検知パターン510と上部電極506を接続した場合において、検知パターン510の配線抵抗を測定するための配線として、上部電極用の共通配線514と端子420を利用することができる。また、検知パターン510と対向電極508を接続した場合において、検知パターン510の配線抵抗を測定するための配線として、対向電極用の共通配線526と端子420を利用することができる。
(積層構成)
次に、基板における発熱抵抗素子、検知パターンの積層構成について説明する。本実施形態では、上部電極、対向電極を備えた構成について説明するが、本構成は必ずしも必須ではない。
図5は、流路形成部材が形成された液体吐出ヘッドの、図4(c)のA-A’線に対応する位置における断面図である。理解を容易にするために、配線類は省略されているが、基材に設けられた発熱抵抗素子、検知パターン、上部電極、対向電極はそれぞれ、発熱、剥がれ検知、コゲ抑制及びコゲ除去のためのクリーニング処理に必要な電力を得るための配線に電気的に接続されている。
加熱素子上には、加熱素子610が液体に接触することを抑制するSiNからなる絶縁層614が設けられている。また、絶縁層604の上面に、アルミニウムと銅との合金からなる第1配線パターン606が設けられている。この第1配線パターン606は、発熱抵抗素子610に電圧を供給するための配線と、検知パターンの抵抗を測定するための配線である。
第1配線パターン606はSiOなどからなる絶縁層608で被覆されている。この絶縁層608には、第1配線パターン606と発熱抵抗素子610とを接続するためのプラグ612と、第一配線パターン606と検知パターン510を接続するための、プラグ612が設けられている。プラグ612は、材料としてタングステンなどを用いることができる。また、絶縁層608の上面はCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて平坦化された面となっている。
絶縁層608の上面には、発熱抵抗素子610が設けられている。発熱抵抗素子610は、TaSiNなどからなる発熱抵抗体層を備えている。この発熱抵抗体層には、プラグ612が接続されている。そして、発熱抵抗体層において、プラグ612を介して電流が流れる部分が発熱抵抗素子610として機能することとなる。
検知パターン510においてもプラグが接続されており、検知パターンの抵抗測定する際の配線の一部となる。
更に、絶縁層608の上面には、アルミニウムと銅の合金などからなる、第二の配線パターンと検知パターンが形成されている。第二の配線パターン及び検知パターンの下にはTaSiNの層が残っていたとしても構わない。
本実施の形態においては、検知パターン510は、第二の配線パターンと同じ層により、同じ材料、かつ、同じ製造工程で形成したが、異なる材料で形成しても良い。発熱抵抗素子610と第二の配線パターンと検知パターンは、例えば、SiNからなる厚さ200nmの絶縁層614で覆われている。
(上部電極、対向電極)
絶縁層614の上面には、保護層616が設けられている。保護層616は、例えば、絶縁層614側から、30nmのイリジウム(Ir)層(図中粗いハッチング層)、60nmのタンタル(Ta)層(図中細かいハッチング層)の順で積層された2層構造となっている。なお、保護層616の発熱抵抗素子610が位置する領域を覆う部分では、上層のタンタル層を除去してイリジウム層が圧力室418内に露出した状態となっている。なお、この露出したイリジウム層が上部電極506として機能することとなる。発熱抵抗素子610と保護層616とは、絶縁層614によって電気的に絶縁されている。
また、絶縁層614の上面には、個別配線512、共通配線524が設けられている。個別配線512および共通配線524は、保護層616と同じ材料を用いて、同じ層として形成してもよい。
さらに、絶縁層614の上面には、上部電極506の配列方向と交差する方向において上部電極506と間隔を空けて、対向電極508が設けられている。対向電極508は、上部電極506と同様にして、30nmのイリジウム層と60nmのタンタル層とが積層されて構成され、上層のタンタル層の一部を除去してイリジウム層が圧力室418内に露出させて形成されている。本実施形態では、対向電極508は、上部電極506と同じ層で形成されている。
また、個別配線524、共通配線526も、上部電極506、個別配線512、共通配線514と同じ層で形成される。共通配線514と共通配線526とは、保護層616と同じ構成としたが、絶縁層614を開口して第2配線パターンに接続することで、第2配線パターンを用いた引き回しとすることもできる。
(電池効果利用)
図5に示すように、保護層と検知パターンを導通させる場合においては、保護層を成膜する前の工程で検知パターン上の一部の絶縁膜614にスルーホールを開け、接続部529を設ける。する。この接続部529上に上部保護層を成膜することにより、保護層616と検知パターンを電気的に接続することができる。
(PV)
更に、検知パターン上面の一部の領域において絶縁層614を開口し、開口部にて検知パターンと流路形成部材とが積層されるよう、開口部528を形成する。流路形成部材の剥がれにより開口部より侵入したインクは検知パターンを腐食させる。
次に、検知パターンについて説明する。図6は、検知パターンの回路構成を示す図である。図6では、理解を容易にするために、基板406における一部の構成を省略して示している。検知パターン510には、その両端に、個別配線518及び519が接続されている。検知パターン510は、配線の一部として機能し、個別配線518および個別配線519とともに回路802を形成している。回路802には、スイッチ804が設けられており、スイッチ804を閉じることによって閉回路が形成される。回路802には、個別配線518用の端子520との個別配線519用の端子521と間に、スイッチ804とともに、配線抵抗を測定可能な測定部82-1が設けられている。
印字パルスの増加に伴い流路構成部材の剥がれが生じ検知パターンにインクが侵入すると、制御部52では、測定部82-1の測定結果から、回路802の一部がダメージを受け抵抗が大きくなった状態、つまり剥がれが発生したと判定される。即ち、制御部52では、測定部82-1の測定結果に応じて、ノズル剥がれが起きたタイミングを検知することができる。
なお、本実施形態では、測定手段としての測定部82(測定部82-1)は、液体吐出ヘッド42の外部に設けられた構成であるが、これらの少なくとも一部が液体吐出ヘッド42の内部に設けられていてもよい。
(記録処理)
以上において説明した記録装置10では、ホスト装置50などから記録コマンドが入力されると、記録処理が実行される。図7は、記録処理の詳細な処理内容を示すフローチャートである。図7のフローチャートに示される一連の処理は、制御部52において、MPU54がROM56に記憶されているプログラムコードをDRAM58に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図8におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。なお、各処理の説明における符号Sは、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
記録処理が開始されると、まず、MPU54は、I/F48を介してホスト装置50などから入力された画像データを、GA62を介してDRAM58に展開する。そして、液体吐出ヘッド42におけるインクの吐出、非吐出を制御するための記録データを生成する(S1102)。
次に、第3回路802における配線抵抗を測定する(S1104))。即ち、S1118では、MPU54が電界調整器76を介して、第3回路802において、スイッチ804を閉じて測定部82-1により配線抵抗を測定する。この値を、初期の配線抵抗Riniとする。
その後、MPU54は、記録データに基づいて記録動作(および搬送動作)を実行するとともに、記録動作中の液体吐出ヘッド42におけるインクの吐出回数Cのカウントを開始する(S1106)。所定量の記録動作が終了するなどのタイミングで、MPU54は、DRAM58に保存されている累積吐出回数Sを読み出す(S1108)。累積吐出回数Sとは、液体吐出ヘッド42がインクを吐出した回数の総数である。累積吐出回数Sは、液体吐出ヘッド42を交換するタイミングで初期化される。そして、累積吐出回数Sと、記録動作中にカウントした吐出回数Cとを加算し、総吐出回数Snを取得する(S1110)。なお、S1110ではさらに、MPU54は、DRAM58に保存されている累積吐出回数Sの値を、総吐出回数Snの値に更新する。
次に、MPU54は、S1110で総吐出回数Snが、予め記憶されている閾値T以上であるか否かを判定する(S1112)。この閾値Tは、例えば、流路形成部材の剥がれに起因する、液体吐出ヘッド42におけるインクの吐出の不安定化が生じない吐出回数の上限値、または、当該上限値よりも所定値だけ小さい値とする。こうした閾値Tについては、例えば、使用するインクの種類やヘッド温度などに応じて実験的に求められる。
S1112において、総吐出回数Snが閾値T以上でないと判定されると、後述するS1122に進む。また、S1112において、総吐出回数Snが閾値T以上であると判定されると、MPU54は、吸引回復処理を実行する(S1114)。即ち、S1114では、MPU54は、CRモータドライバ64を介してキャリッジモータ24を駆動し、キャリッジ14をホームポジションに移動させる。そして、回復モータドライバ72を介して回復系モータ74を駆動して、液体吐出ヘッド42にキャップ部材36を当接させるとともに、ポンプ38によりキャップ部材36内を減圧して、吐出口412からインクを強制的に排出する。
次に、第3回路802および第4回路806における配線抵抗を測定する(S1118)。即ち、S1118では、MPU54が電界調整器76を介して、第3回路802において、スイッチ804を閉じて測定部82-1により配線抵抗を測定する。
そして、S1118において得られた抵抗値Rが、閾値Rt以下か否かを判定する(S1120)。閾値Rtは、例えば、初期の測定値Riniに対し測定誤差を含めた上限値とする。
S1120において、抵抗値Rが閾値Rt以下であると判定されると、再度記録を行うか否かを判定し(S1122)、記録を行うと判定されるとS1102に戻る。記録を行わないと判定されると、この記録処理を終了する。即ち、MPU54は、抵抗値Rが閾値Rt以下であると、流路形成部材の剥がれはないと判定し、後続する記録の実行が可能となる。
また、S1120において、抵抗値Rが閾値Rt以下でないと判定されると、MPU54は、液体吐出ヘッド42の交換を促す通知を行い(S1124)、この記録処理を終了する。即ち、MPU54は、抵抗値Rが閾値Rt以下でない、つまり、閾値Rtを超えていると、ノズル剥がれが発生し、正常な吐出をする機能を喪失したと判定し、液体吐出ヘッド42の交換を促す。
なお、閾値Rtについては、求められる吐出性能によっては、その値を異なる値に設定しても良い。少しでも剥がれが生じると印字に影響を与えるような場合は、閾値Rtは初期の抵抗Riniに測定公差のみを加えた値を設定し、多少の剥がれでは印字に弊害をもたらさないような場合には閾値RtはRiniに対しての増え分を大きく設定しても良い。これらの増え分は、実験的に求めることができる。
以上において説明したように、本実施形態では、液体吐出ヘッド42において、検知パターン510を含む第3回路802を形成し、第3回路802における配線抵抗を測定可能なようにした。
これにより、液体吐出ヘッド42において、流路形成部材が基板から剥離するという正常な吐出機能を喪失するタイミングを検知することができるようになる。このため、液体吐出ヘッドの交換のタイミングを適切に検知することができるようになり、より適切なタイミングで液体吐出ヘッド42の交換を行うことができるようになる。従って、印字不良による失敗コストを抑制することができるようになる。
(検証実験)
次に、本実施形態の効果を確認するために本願発明者が行った検証実験について説明する。なお、検証実験で用いる記録装置10は、ヘッドユニット12においてタンク40が着脱可能であり、液体吐出ヘッド42はキャリッジ14に固定的に設けられた構成となっている。また、インクとして、顔料シアンインクを用いた。
<検証例1>
(液体吐出ヘッドの構成)
検証例1では、基板406において、絶縁層614上に保護層616として、タンタル層200nmを形成してパターニングした。検知パターン510は、発熱抵抗素子の間における、流路形成部材が配置される領域に、第二の配線層材料にて設けた。検知パターン510の上部において保護層616を開口し、その内側で絶縁膜614を開口することで、検知パターンと流路形成部材が接するようにした。
すべての検知パターンはプラグ及び第一の配線層により直列に接続し、検知パターン510を配線の一部とする回路802において、測定部82-1により配線抵抗を測定可能な構成とした。その他の必要な端子などを形成することにより、液体吐出ヘッド42を作製した。本実施例では、検知パターンと保護層は接続していない。
(印字耐久)
最初に、スイッチ804を閉じて、測定部82-1により回路802の配線抵抗を測定した。この初期の測定値に測定公差を上乗せしたものを、Rtとした。その後、液体吐出ヘッド42に(1×10^7)回の吐出動作を実行させた。吐出動作中、液体吐出ヘッド42は40℃に温度調整されるようにした。スイッチ804を閉じて、測定部82-1により第3回路802の配線抵抗を測定した結果、得られた抵抗値Rが閾値Rt以下であることを確認した。
その後、(1×10^7)回の吐出動作を実行し、配線抵抗を測定する、を繰り返したところ、累計(1×10^9)回目の吐出動作を完了した後の配線抵抗測定にて、閾値Rtより大きな数値を示した。金属顕微鏡にて観察したところ、一部の検知パターンに腐食が見られ、検知パターンに積層した流路形成部材の下にインクが侵入していることがわかった。この状態のヘッドで印字評価を行ったところ、印字品質には問題は見られなかった。
その後、更に追加で(1×10^7)回の吐出動作を行ったところで配線抵抗を測定すると更に増加していた。このヘッドを用い印字評価したところ、印字の一部にかすれが見られた。
その後、同条件の別ヘッドで同じ実験を行い、累計(1×10^9)回目の吐出動作後に閾値Rtより大きな抵抗を示すことを確認し、その断面を観察したところ、基板と流路形成部材の間に2um程度の浮きが発生していることがわかった。
<検証例2>
(液体吐出ヘッドの構成)
検証例2では、基板406において、絶縁層614上に保護層616として、イリジウム層30nmを形成した後にパターニングし、当該イリジウム層上にタンタル層60nmを形成してパターニングした。こうして形成された保護層616によって、基板406に、上部電極506および対向電極508を形成し、それぞれの電極に電圧を印加するための配線を保護層616にて形成した。上部電極上のイリジウムの露出領域は、対向電極上のイリジウム露出領域よりも、大きくなるように、タンタル層を開口した。
検知パターンは、吐出口配列方向に直交する方向における流路形成部材の下に、2個の吐出口に対し左右1個ずつの検知パターンを配置した。全ての検知パターンを直列に接続し、端子520との端子521によりその抵抗を測定可能にした。また、検知パターンの流路形成部材と接する領域は、5×5umとなるようにした。
保護層616を成膜する前に検知パターン上部の絶縁層614の一部を開口することにより、検知パターンと保護層616を電気的に接続した。その後のパターニングにて、対向電極と導通するようなパターンを形成し、列内における全ての検知パターンと全ての対向電極が導通するような構成とした。
(印字耐久)
まず最初に、スイッチ804を閉じて、測定部82-1により回路802の配線抵抗を測定した。この初期の測定値に測定公差を上乗せしたものを、Rtとした。その後、液体吐出ヘッド42に(1×10^8)回の吐出動作を実行させた。吐出動作中、液体吐出ヘッド42は40℃に温度調整されるようにした。スイッチ804を閉じて、測定部82-1により第3回路802の配線抵抗を測定した結果、得られた抵抗値Rが閾値Rt以下であることを確認した。
その後、(1×10^8)回の吐出動作を実行し、配線抵抗を測定する、を繰り返したところ、累計(5×10^9)回目の吐出動作を完了した後の配線抵抗測定にて、閾値Rtより大きな数値を示した。
金属顕微鏡にて観察したところ、一部の流路形成部材の下にインクが侵入している様子が観察され、検知パターンの腐食が観察された。一方、印字確認を行ったところ、良好な印字を得られ、印字に影響を与えないレベルの流路形成部材の浮きであることがわかった。その後断面観察をしたところ、流路形成部材が基板から0.5um程度浮いていることがわかった。
<検証例3>
(液体吐出ヘッドの構成)
検証例3では、列内における全ての検知パターンと全ての上部電極が導通するような構成とした以外は、検証例2で用いた液体吐出ヘッドを同じである。
(印字耐久)
最初に、スイッチ804を閉じて、測定部82-1により回路802の配線抵抗を測定した。この初期の測定値に測定公差を上乗せしたものを、Rtとした。その後、液体吐出ヘッド42に(1×10^8)回の吐出動作を実行させ、抵抗値Rが閾値Rt以下であることを確認した。その後、(1×10^8)回の吐出動作を実行し、配線抵抗を測定する、を繰り返したところ、累計(4.9×10^9)回目の吐出動作を完了した後の配線抵抗測定にて、閾値Rtより大きな数値を示した。
金属顕微鏡にて観察したところ、一部の検知パターンの腐食が見られ、検知パターンに積層した流路形成部材の下にインクが侵入していることがわかった。一方、印字確認を行ったところ、良好な印字を得られ、印字に影響を与えないレベルの流路形成部材の浮きであることがわかった。その後断面観察をしたところ、流路形成部材が基板から0.2um程度の浮きが生じていることがわかった。
82 測定部
406 基板
408 流路形成部材
412 吐出口
500 液体吐出装置
510 検知部

Claims (6)

  1. 基板と、
    液体を吐出する吐出口と、
    前記基板上に形成され、前記吐出口に液体を供給する流路が形成されている流路形成部材と、
    液体との接触により電気抵抗が変化する材料から成る検知部と、
    前記検知部の電気抵抗を測定する測定部と、
    を有する液体吐出ヘッドと、
    前記測定部の測定結果に基づいて前記流路形成部材の剥離を検知する検知手段と、
    を有する液体吐出装置において、
    前記検知部は、前記基板と前記流路形成部材との間であって該流路形成部材の直下に、前記流路形成部材と接触するように配されており、
    前記検知手段によって、前記流路形成部材の剥離を検知した際に、前記液体吐出ヘッドの交換を促すことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記検知部は、液体との接触により電気化学反応が生じる金属を含む材料で形成されている請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記基板上に、液体を加熱するための加熱素子が形成されており、
    前記加熱素子上に、該加熱素子と液体との接触を抑制する絶縁層が形成されており、
    前記絶縁層上に、金属を含む材料から成る保護層が形成されており、
    前記検知部と前記保護層とは電気的に接続されており、
    前記検知部は、前記保護層の金属を含む材料よりもイオン化しやすい金属から成る請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記検知部は、ALまたはALを含む合金から成る請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記保護層は、Ir、またはTa、またはIrを含む合金、またはTaを含む合金から成る請求項3に記載の液体吐出装置。
  6. 複数の前記検知部を有し、
    前記複数の検知部は、直列に接続されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
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