以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置及び医用情報学習装置の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る医用情報システム100の構成例を示す図である。医用情報システム100は、診療情報保管装置1、医療知識グラフ保管装置2、医用情報学習装置3及び医用情報処理装置4を有するコンピュータネットワークシステムである。診療情報保管装置1、医療知識グラフ保管装置2、医用情報学習装置3及び医用情報処理装置4は、相互に通信可能にネットワークに接続されている。
診療情報保管装置1は、複数の患者の診療情報等を保管する記憶装置を有するコンピュータである。医療知識グラフ保管装置2は、医療知識グラフ等を保管する記憶装置を有するコンピュータである。医療知識グラフは、複数の患者の診療情報や医療オントロジといった医学的知見に基づいて生成されたグラフ構造で表現される。以下、医療知識グラフは、グラフであることを前提とする。医用情報学習装置3は、医療知識グラフを用いて医学的判断情報を推定する機械学習モデルを訓練するコンピュータである。また、医用情報学習装置3は、医療知識グラフのグラフ特徴量を規定する数理モデルを訓練する。医用情報処理装置4は、患者間のグラフ特徴量等の揺らぎを算出して提示するコンピュータである。
図2は、医療知識グラフ20の概念図である。医療知識グラフ20は、医療知識と複数の患者の診療情報とを融合したグラフである。診療情報は、ある患者に対する診療により生成された情報である。診療情報は、診療事象に関する情報(以下、診療事象情報と呼ぶ)と疾患に関する情報(以下、疾患情報と呼ぶ)と患者の背景因子に関する情報(以下、患者背景情報と呼ぶ)に分類される。診療事象の種類は、例えば、症状、所見、治療及び反応の4種のカテゴリに分けられる。症状は、疾患により生じる心身の変化である。具体的には、症状に関する診療事象の種類としては、例えば、むくみや動機、息切れ等がある。所見は、症状に対する医師の判断である。所見は、更に身体所見のカテゴリと検査所見のカテゴリとに分けられてもよい。治療は、症状を治す又は軽快するための医療行為である。治療に関する診療事象の種類としては、例えば、強心薬の投与、CRT埋め込み手術等がある。反応は、治療に対応する患者の心身の反応である。反応は、更に治療反応のカテゴリと副作用のカテゴリとに分けられてもよい。反応に関する診療事象の種類としては、例えば、利尿剤の投与に対して、40mL/h以上の利尿ありや電解質異常あり等がある。疾患情報は、当該患者が該当する疾患に関する名称又は記号に関する情報である。患者背景情報は、患者の診療事象情報の大部分に広く影響を及ぼしたり、診療事象情報間の関係に対して交互作用項として働いたりする情報である。診療事象情報と患者背景情報とは、時間情報の有無や変化の頻度を基準に割り付けてもよい。典型的には、患者背景情報は、時間情報を有さない情報であるとする。時間情報を有さない患者背景情報の因子である患者背景因子としては、例えば、性別や身長、体重、BMI、生活習慣、病歴、手術歴等が挙げられる。
診療情報は、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)や放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication System)等の種々の病院情報システムにより収集される。診療情報に含まれる各診療事象情報及び疾患情報は当該情報の発生日が関連付けられている。
図2に示すように、医療知識グラフ20は、複数のノード21と複数のエッジ22とにより構築されるグラフである。ノード21は診療事象に対応する。エッジ22はノード21間の関係性を示す。すなわち、エッジ22は、接続されるノード21に対応する診療事象間の関係性を示している。診療事象間の関係性とは、診療事象間の因果関係や相関関係を意味する。因果関係は、診療事象間に存在する原因と結果の関係を意味し、相関関係は、因果関係のない関係性を意味する。すなわち、因果関係を表すエッジ22は有向であり、相関関係を表すエッジ22は無向である。エッジ22は、異なるカテゴリに属する診療事象間を結ぶことも可能である。医療知識グラフ20に用いる診療事象は、診療情報保管装置1に保管されている診療情報から、医療知識や医療オントロジ等に基づいて取捨選択される。ある診療事象と他の診療事象との関係性が医療知識や医療オントロジ等に基づいて解析され、関係性が認められた場合、当該2つの診療事象に対応する2つのノード21間がエッジ22で結ばれる。
医療知識グラフ20は、疾患という診療事象に対応するノードを有しない。対象患者に生じた症状、所見、治療及び反応の一連の診療事象の集合から、ある特定の疾患が抽出される。すなわち、医療知識グラフ20は、個々の疾患を、症状、所見、治療及び反応の一連の診療事象の関係性の連鎖で表現する。医療知識グラフ20は、症状、所見、治療及び反応の一連の診療事象の関係性の連鎖を記述する、疾患概念を表すグラフであるともいえる。
図3は、医療知識グラフの具体例を示す図である。図3に示す医療知識グラフは、医療知識グラフに対象患者の診療事象情報を写像したグラフである。対象患者の診療事象情報が写像された医療知識グラフは患者グラフとも呼ばれる。図3に示す医療知識グラフは、一例として、症状カテゴリに属する診療事象に限定した症状グラフを示している。図3に示すように、症状グラフは、症状を表すノードと、症状間の関係性を示すエッジとを含むグラフを表している。ノードの色濃度は、当該診療事象に対する対象患者の該当の程度を表している。このように、医療知識グラフは、対象患者に生じた一連の診療事象の関係性の連鎖を記述しており、この一連の診療事象の関係性の連鎖から、対象患者が罹患している可能性のある疾患等の医学的判断を得ることが可能である。
同一の疾患であっても、診療事象間の関係性の有無又は強弱は個々の患者の背景に応じて異なる。患者背景を考慮せずに当該患者の疾患を推定しても必ずしも適切な結果を得ることはできない。
図4は、患者背景と患者グラフとの関係性の概念を示す図である。図4に示すように、患者背景は、ノードやエッジとは異なり、患者グラフに全体的に影響を及ぼすものである。患者Aと患者Bとで同一の患者グラフが構築された場合であっても、性別や年齢、BMI、病歴等の患者背景が異なる場合がある。このように、患者Aと患者Bとで患者グラフが同一であっても、患者背景が異なれば、両患者グラフから異なる医学的判断を導き出せる余地がなければならない。これは、患者グラフが、患者背景というコンテクスト(文脈)に乗ることで、患者グラフのノード及び/又はエッジの一部が修飾されて変異することに相当する。本実施形態に係る医用情報システム100は、異なる患者背景間での修飾度合いを揺らぎとして提示する。
図5は、本実施形態に係る医用情報学習装置3の構成例を示す図である。図5に示すように、医用情報学習装置3は、処理回路31、メモリ32、入力インタフェース33、通信インタフェース34及びディスプレイ35を有する。
処理回路31は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサを有する。処理回路31は、学習プログラムを実行することにより、取得機能311、学習機能312及び表示制御機能313等を実現する。なお、各機能311~313は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能311~313を実現するものとしても構わない。また、機能311~313は、それぞれ、学習プログラムを構成するモジュール化されたプログラムであってもよいし、個別のプログラムであってもよい。これらプログラムはメモリ32に記憶される。
取得機能311の実現により、処理回路31は、種々の情報を取得する。例えば、処理回路31は、複数の患者の背景因子に関する患者背景情報を、診療情報保管装置1から取得する。また、処理回路31は、医療知識グラフを医療知識グラフ保管装置2から取得する。医療知識グラフは、上記の通り、診療事象に対応するノードと当該ノード間の関係性を表すエッジとを有する。医療知識グラフのグラフ特徴量は、患者背景情報を含む数理モデルにより特徴付けられる。
学習機能312の実現により、処理回路31は、複数の患者の患者背景情報と数理モデルとに基づいて当該数理モデルのパラメータを決定する。また、処理回路31は、医療知識グラフから医学的判断情報を推定する機械学習モデルの学習パラメータを訓練する。学習パラメータは、患者背景情報を含む数理モデルにより特徴付けられる。処理回路31は、学習パラメータと共に、複数の患者の患者背景情報と数理モデルとに基づいて当該数理モデルのパラメータを決定する。処理回路31は、複数の患者の患者背景情報に基づく統計解析又は機械学習により数理モデルのパラメータを決定する。
表示制御機能313の実現により、処理回路31は、種々の情報をディスプレイ35に表示する。
メモリ32は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ32は、上記記憶装置以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ32は、医用情報学習装置3にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。例えば、メモリ32は、医療知識グラフ保管装置2から取得された医療知識グラフを記憶する。また、メモリ32は、機械学習モデルを記憶する。
入力インタフェース33は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路31に出力する。具体的には、入力インタフェース33は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器に接続されている。入力インタフェース33は、当該入力機器への入力操作に応じた電気信号を処理回路31へ出力する。また、入力インタフェース33に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でも良い。
通信インタフェース34は、医用情報システム100に含まれる診療情報保管装置1、医療知識グラフ保管装置2及び医用情報処理装置4等の他のコンピュータとの間で種々の情報を送受信するためのインタフェースである。
ディスプレイ35は、処理回路31の表示制御機能313に従い種々の情報を表示する。ディスプレイ35としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。また、ディスプレイ35の代わり又はディスプレイ35と併用して、プロジェクタが設けられてもよい。
次に、学習プログラムに従い処理回路31により実行される学習処理について説明する。まず、学習処理において使用される機械学習モデルについて説明する。
本実施形態に係る機械学習モデルは、対象患者の診療事象情報が写像された患者グラフから当該対象患者の医学的判断情報を推定するニューラルネットワークである。医学的判断情報は、疾患分類情報、予後予測情報及び重症度分類情報のうちの少なくとも1つの医学的判断に関する情報である。以下の実施例において医学的判断情報は疾患分類情報であるとする。
図6は、本実施形態に係る機械学習モデルの入出力を示す図である。図6に示すように、機械学習モデルは、対象患者の診療事象情報が写像された患者グラフを入力して疾患分類情報を出力するように学習パラメータが訓練されたニューラルネットワークである。機械学習モデルは、グラフ畳込み層61、読出し層62及び線形結合層63を有する。
患者グラフは、対象患者の診療事象情報を医療知識グラフに写像することにより生成される。診療事象情報は、診療事象の種類と当該診療事象の特徴量との組合せを有する情報である。診療事象の特徴量は、例えば、当該診療事象に対象患者が該当する程度、当該診療事象の発生順序、当該診療事象の発生回数及び当該診療事象の発生程度の少なくとも一種を含む。なお、該当の程度は、該当又は非該当の2値が典型的であるが、該当の程度を示す3以上の離散値又は連続値により定義されてもよい。
上記の通り、医療知識グラフは、複数のノードと複数のエッジとにより構築されるグラフである。医療知識グラフは、グラフ特徴量を有している。グラフ特徴量は、ノードの種類、ノードの値、エッジの種類及びエッジの値を含む。ノードの種類は、診療事象の種類又はカテゴリである。ノードの値は、ノードに写像された診療事象の特徴量である。すなわち、ノードの値は、当該診療事象に対象患者が該当する程度、当該診療事象の発生順序、当該診療事象の発生回数及び当該診療事象の発生程度等である。ノードの種類及び値を総称してノード特徴量と呼ぶ。エッジの種類は、因果の方向(有向グラフの場合)、接続している2つのノードの種類の組合せである。エッジの値は、因果・相関の程度である。因果・相関の程度は、有り(有向)又は無し(無向)の2値が典型的であるが、その程度を示す3以上の離散値又は連続値により定義されてもよい。エッジの種類及び値を総称してエッジ特徴量と呼ぶ。患者グラフは、診療事象情報が医療知識グラフに写像されたグラフであるので、グラフ特徴量を有することとなる。
なお、本実施形態において「種類」と「値」とは明確に区別する必要はない。例えば、ノードやエッジの値を閾値に対して比較することにより種類又はカテゴリに分類してもよい。
グラフ畳込み層61は、畳み込み前の患者グラフを入力して畳み込み後の患者グラフを出力するグラム畳み込みネットワーク(GCN:Graph Convolutional Network)である。グラフ畳み込み層61は、畳み込み前の患者グラフに畳み込み処理を実行し、畳み込み前のグラフ特徴量から畳み込み後のグラフ特徴量を算出する。処理対象ノードの畳み込み後のグラフ特徴量は、処理対象ノードの畳み込み前のグラフ特徴量と、処理対象ノードにエッジを介して接続されたノード(以下、隣接ノードと呼ぶ)の畳み込み前のグラフ特徴量と、グラフ畳み込み層61の重みパラメータとに基づいて算出される。グラフ畳み込み層61の重みパラメータは、医用情報学習装置3により訓練される学習パラメータの一例である。
読出し層62は、畳み込み後の患者グラフ20Bのグラフ特徴量を特徴ベクトル20Cに変換するネットワーク層である。特徴ベクトル20Cは、畳み込み後の患者グラフ20Bに含まれるノードの個数と同数の次元数を有するベクトルである。
線形結合層63は、特徴ベクトル20Cを疾患分類情報71に変換するネットワーク層である。線形結合層63は、多層パーセプトロン(MLP:Multilayer Perceptron)とも呼ばれる。線形結合層63は、クラス分類タスク又は回帰タスクを行う。クラス分類タスクは、該当の疾患の有無を判別する2クラス分類でもよいし、複数の疾患候補の中から1つの疾患を特定する多クラス分類でもよい。同じデータセットに対して複数のラベルを許容するマルチラベル分類でもよい。回帰タスクは、該当の1又は複数の疾患各々に該当する確率を示す数値を出力する。
本実施例において線形結合層63は、特徴ベクトル20Cを、複数の疾患にそれぞれ対応する複数のクラスに分類する多クラス分類を実行する分類器を有する。多クラス分類においては、特徴ベクトル20Cが各疾患(クラス)に属する確率を出力するソフトマックス関数の演算が実行される。この各疾患に属する確率が疾患分類情報71として出力される。例えば、図6に示すように、疾患「心不全」に該当している確率、疾患「腎不全」に該当している確率、疾患「COPD」に該当している確率等が疾患分類情報71として出力される。疾患分類情報71のうちの各疾患の該当確率は、畳み込み後の特徴ベクトル20Cと線形結合層63の重みパラメータとに基づいて算出される。線形結合層63の重みパラメータは、医用情報学習装置3により訓練される学習パラメータの一例である。
患者間の患者背景が異なることに起因する揺らぎは、図6に示す機械学習モデルを利用した疾患分類情報の推定処理にも現れる。
図7は、本実施形態に係る機械学習モデルに関与する要素のうちの揺らぎを有する要素を示す図である。図7に示すように、揺らぎを有する要素としては、ノードの種類、ノードの値、エッジの種類及びエッジの値を含むグラフ特徴量である。例えば、ノードの種類及び値等のノード特徴量は、診療事象に基づく値であるが、診療事象の発生の有無及び程度等は、現実的には患者背景に影響を受けている。これに起因して、エッジの種類及び値等のエッジ特徴量も、患者背景に影響を受けている。揺らぎを有する他の要素としては、グラフ畳み込み層61の重みパラメータや線形結合層63の重みパラメータ等もある。
図8は、揺らぎを表す数理モデルの類型を示す図である。図8に示すように、揺らぎを表す数理モデルは、固定効果モデル、層別化モデル、混合モデル及び関数化モデルがある。固定効果モデルは、個々の患者を区別せず、患者の値を、患者の値=真値+誤差で表す。固定効果モデルは、個人差及び群間差を説明することができない。層別化モデルは、1以上の背景因子に関する患者背景情報で層別化した数理モデルである。層別化モデルは、個々の患者を区別し、A患者の値を、A患者の値=A患者の真値+誤差で表し、男性患者群(以下、単に男性)の値を、男性の値=男性の真値+誤差で表す。なお、「値」は、グラフ特徴量や重みパラメータの値等の揺らぎの生じる値を意味する。層別化モデルは、個人差及び群間差を少し説明することができる。混合モデルは、1以上の背景因子に関する患者背景情報による変量効果に基づく数理モデルである。混合モデルは、階層モデルとも呼ばれる。混合モデルは、A患者の値を、A患者の値=真値+A患者の変量効果+誤差で表し、男性の値を、男性の値=真値+男性の変量効果+誤差で表す。混合モデルは、個人差及び群間差を良く説明することができる。関数化モデルは、1以上の背景因子に関する患者背景情報によって一意に値が定まる関数に基づく数理モデルである。関数化モデルは、A患者の値を、A患者の値=真値+A患者のバイアス+誤差で表す。関数化モデルは、個人差を完全に説明することができる。
次に、学習プログラムに従い処理回路31により実行される学習処理について説明する。
図9は、学習処理の流れを示す図である。図9に示すように、処理回路31は、取得機能311の実現により、複数の患者各々の患者背景情報及び診療事象情報を取得する(ステップSA1)。
ステップSA1が行われると処理回路31は、学習機能312の実現により、患者背景情報と診療事象情報と数理モデルとに基づく統計解析により、医療知識グラフのエッジ特徴量に関する数理モデルのパラメータを決定する(ステップSA2)。本実施形態に係る数理モデルは、層別化モデル、混合モデル(階層モデル)及び関数化モデルの何れかで表される。
図10は、エッジ特徴量に関する数理モデルの概要を示す図である。図10に示すように、エッジ特徴量eiは、下記(1)式の通り、患者背景情報Zを説明変数とする数理モデルfにより一般化される。患者背景情報Zは、患者背景因子Z1、Z2、…を有する。個々の患者背景因子は、例えば、年齢や性別、BMI等である。
ei=f(Z1,Z2,…) (1)
ここで、数理モデルfは、関数化モデルで表すものとする。この場合、数理モデルfは、患者背景情報に依存しない固定効果項と患者背景因子によって特徴付けられる変量効果項との組合せからなる。
エッジ特徴量に関する数理モデルのパラメータを決定するための統計解析手法としては、分散分析、グレンジャー(Granger)因果推定又は因果効果推定が用いられる。一例として、グレンジャー因果推定によるモデルパラメータの決定方法について説明する。
図11は、グレンジャー因果推定を用いたエッジ特徴量の決定処理を模式的に示す図である。図11に示すように、診療事象xから診療事象yへの因果は、有向グラフにおける診療事象xから診療事象yへのエッジで表すことができる。ここでは、診療事象xから診療事象yへのエッジのエッジ特徴量、例えば、エッジの有無の決定を想定する。診療事象xから診療事象yへの因果は、患者背景因子zの影響を受けているものと仮定する。なお、診療事象x及びyは、「むくみ」や「息切れ」等の具体的な診療事象の種類に置き換えられる。
現在の診療事象yの発生確率は、過去の診療事象xの発生確率と過去の診療事象yの発生確率とに基づいて決定される。より詳細には、図11及び下記(2)式の通り、現在の診療事象yの発生確率λy(t)は、誤差項μと過去の診療事象xの発生確率を表す第2項と過去の診療事象yの発生確率を表す第3項との和に基づいて決定される。tiは、診療事象であり、iは診療事象のインデックスを表す。第2項のExは、診療事象xの集合(標本空間)を表す。ti∈Exは個々の診療事象xの発生時刻を意味する。第3項のEyは、診療事象yの集合(標本空間)を表す。ti∈Eyは個々の診療事象yの発生時刻を意味する。φ(t-ti)は、過去t-tiにおける診療事象の発生確率を表す。即ち第2項は過去の診療事象xの発生確率を表し、第3項は過去の診療事象yの発生確率を表す。
関数化モデルの場合、第2項の係数αxは、下記(3)式の様に表される、患者背景因子を変数とするパラメータである。より詳細には、係数αxは、個々の患者背景因子及び重みWxの積と、バイアスbxとの和(WxZ+bx)との関数σにより表される。患者背景情報に依存しない固定効果項はbxであり、患者背景因子によって特徴付けられる変量効果項はWxである。係数αxがゼロ相当である場合、診療事象xから診療事象yへの因果が無いことを示す。重みWxとバイアスbxとはモデルパラメータの一例である。第3項の係数αyも、係数αxと同様に患者背景因子を考慮して表現してもよいし、患者背景因子を考慮しないで表現してもよい。係数αxは、診療事象xから診療事象yへのエッジのエッジ特徴量の一例である。係数αyは、診療事象yから診療事象xへのエッジのエッジ特徴量の一例である。
αx=σ(WxZ+bx) (3)
処理回路31は、複数の患者の診療事象情報に基づいて、診療事象xと診療事象yとを結ぶエッジについてグレンジャー因果性検定を行い、当該エッジのエッジ特徴量を表す数理モデルのモデルパラメータである重みWx及びバイアスbxを決定する。一例として、F検定を用いてグレンジャー因果性が検定される。例えば、まず、(2)式に第2項を入れた場合と入れない場合とで、現在の診療事象yの発生確率λy(t)を推定する。次に両者の発生確率λy(t)の推定誤差の統計的差異をF検定に基づいて決定する。統計的差異に応じて係数αxに含まれる重みWx及びバイアスbxが決定される。統計的差異がない場合、係数αxは、ゼロに設定される。診療事象xと診療事象yとの組合せを、複数の患者の診療事象情報に含まれる複数の診療事象の中から順次組み換えて、全ての組合せについてグレンジャー因果性が決定される。これにより、医療知識グラフに含まれる全てのエッジについて、エッジ特徴量に関する数理モデルのモデルパラメータが決定される。なお、診療事象xと診療事象yとの間にグレンジャー因果性が存在しないと判断された場合、診療事象xと診療事象yとの間にエッジは存在せず、従って、エッジ特徴量はゼロであり、モデルパラメータである重みWx及びバイアスbxもゼロに決定される。
処理回路31は、エッジ番号毎にエッジ特徴量と当該エッジ特徴量に関する数理モデルのモデルパラメータとを関連付ける。例えば、処理回路31は、エッジ毎にエッジ特徴量と当該エッジ特徴量に関する数理モデルのモデルパラメータとを関連付けたLUT(Look Up Table)等のデータベースを作成する。以下、当該データベースをエッジ特徴量DBと呼ぶことにする。
図12は、エッジ特徴量DBの一例を示す図である。図12に示すように、エッジ特徴量DBは、エッジ番号、エッジ特徴量及びモデルパラメータを互いに検索可能に関連付けて記録している。例えば、エッジ番号「1」には、エッジ特徴量「e1」とモデルパラメータ「Wx1」「bx1」とが関連付けられている。なお、層別化モデルにおいては、モデルパラメータは、患者背景因子毎に決定される。エッジ特徴量DBは、医療知識グラフ保管装置2に保管される。
なお、(3)式は、線形結合層63が1層の線形ニューラルネットワークであることを前提して設計されているが、多層の線形ニューラルネットワークを前提として設計されてもよいし、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)や再帰型ニューラルネットワーク(RNN)等の他のニューラルネットワークを前提として設計されてもよい。
上記の実施例において、数理モデルは関数化モデルであるとした。しかしながら、本実施形態に係る数理モデルは混合モデルでもよい。混合モデルは、関数化モデルと同様、患者背景情報に依存しない固定効果項と患者背景因子によって特徴付けられる変量効果項との組合せからなる。混合モデルの場合、係数αxを、患者背景情報を考慮した一般化線形混合モデルや階層ベイズモデルを用いて推定すればよい。また、数理モデルは層別化モデルでもよい。層別化モデルの場合、患者背景情報で層別化した患者群(例えば、男性群や女性群)それぞれでグレンジャー因果性検定を行い、各患者群で別々の係数αxを算出すればよい。なお、この場合の係数αxは、重みWx及びバイアスbxを含む関数ではなく、一般的なものが用いられればよい。
ステップSA2が行われると処理回路31は、学習機能312の実現により、患者背景情報と診療事象情報と数理モデルとに基づく機械学習により、ノード特徴量及び学習パラメータに関する数理モデルのパラメータを決定する(ステップSA3)。
図13は、ノード特徴量及び学習パラメータに関する数理モデルの概要を示す図である。図13に示すように、医療知識グラフ20Bに含まれるノードのノード特徴量viは、下記(4)式の通り、患者背景情報Zを変数とする数理モデルgにより表される。患者背景情報Zは、患者背景因子Z1、Z2、…を有する。
vi=g(Z1,Z2,…) (4)
以下、数理モデルgは、関数化モデルで表すものとする。この場合、数理モデルgは、患者背景情報に依存しない固定効果項と患者背景因子によって特徴付けられる変量効果項との組合せからなる。
図13に示すように、線形結合層63の学習パラメータwiは、下記(5)式の通り、患者背景情報Zを変数とする数理モデルhにより表される。患者背景情報Zは、患者背景因子Z1、Z2、…を有する。
wi=h(Z1,Z2,…) (5)
以下、数理モデルhは、関数化モデルで表すものとする。この場合、数理モデルhは、下記(6)式の通り、患者背景情報に依存しない固定効果項βと患者背景因子によって特徴付けられる変量効果項h´との組合せからなる。下記(7)式の通り、変量効果項h´の期待値はゼロである。
h(Z1,Z2,…)=β+h´(Z1,Z2,…) (6)
E(h´)=0 (7)
ノード特徴量及び学習パラメータに関する数理モデルのパラメータを決定するために機械学習が用いられる。具体的には、図6に示す機械学習モデルの学習パラメータの訓練時において、ノード特徴量及び学習パラメータに関する数理モデルのパラメータも決定される。以下、当該機械学習について説明する。
図14は、機械学習によるノード特徴量及び学習パラメータに関する数理モデルのパラメータの決定処理を模式的に示す図である。図14に示すように、機械学習モデル60は、患者グラフ20Aを入力して疾患ラベルyを出力するように学習パラメータが訓練される。機械学習モデル60は、グラフ畳み込み層61、読出し層62及び線形結合層63を有する。グラフ畳み込み層61は、畳み込み前の患者グラフ20Aを入力して畳み込み後の患者グラフ20Bを出力する。
患者グラフ20Bに含まれる各ノードのノード特徴量は、患者背景情報の影響を受ける。例えば、ノード番号「i」のノード特徴量viは、患者背景情報Zの影響を受けている。ノード特徴量viは、下記(8)式に示す数理モデルで表される。(8)式に示すように、ノード特徴量viは、係数(αvZ+βv)と初期的なノード特徴量xiとの積と、バイアスbvとの和で表される。患者背景情報Zに依存しない固定効果項はβvであり、患者背景情報Zによって特徴付けられる変量効果項はαvである。なお、重みαv、バイアスβv及びバイアスbvはノード毎に決定される。
vi=(αvZ+βv)xi+bv (8)
読出し層62は、畳み込み後の患者グラフ20Bのグラフ特徴量を特徴ベクトル20Cに変換する。特徴ベクトル20Cの複数の要素と患者グラフ20Bに含まれる複数のノードとは一対一対応している。例えば、図14に示すように、患者グラフ20Bに含まれる1番目のノードのノード特徴量v1は、特徴ベクトル20Cの1番目の要素に割り当てられる。
線形結合層63は、特徴ベクトル20Cを疾患ラベルyに変換する。例えば、線形結合層63は、特徴ベクトル20Cに含まれる複数の要素のノード特徴量に基づくソフトマックス演算を施して複数の疾患クラス各々の疾患該当確率を表す疾患情報を算出する。図14は、ある疾患クラスyのソフトマックス演算を図示している。この際、各ノード特徴量vに、各要素と疾患クラスyとの組合せに応じて定められる重みパラメータwが乗じられる。重みパラメータwは、患者背景情報の影響を受ける。例えば、要素番号(ノード番号)「i」の重みパラメータwiは、患者背景情報の影響を受けている。重みパラメータwiは、下記(9)式に示す数理モデルで表される。(9)式に示すように、重みパラメータwiは、係数(αwZ+βw)とノード特徴量viとの積と、バイアスbwとの和で表される。患者背景情報Zに依存しない固定効果項はβwであり、患者背景情報Zによって特徴付けられる変量効果項はαwである。なお、重みαw、バイアスβw及びバイアスbwはノード毎に決定される。
wi=(αwZ+βw)vi+bw (9)
処理回路31は、医療知識グラフに診療事象情報を写像して患者グラフを生成する。処理回路31は、患者グラフを入力サンプルとし、疾患情報を教示サンプルとする教師有り学習に基づいて、機械学習モデルの学習パラメータを訓練する。処理回路31は損失関数を計算する。損失関数は、患者グラフをグラフ畳み込み層、読出し層及び線形結合層に対して順次に伝播することにより算出される疾患分類情報と、教示サンプルである疾患情報との誤差を評価する関数である。処理回路31は、任意の最適化法に従い損失関数が最小化するように機械学習モデルの学習パラメータを更新する。最適化法は、確率的勾配降下法やAdam(adaptive moment estimation)等の任意の方法が用いられればよい。
処理回路31は、停止条件を充足するか否かを判定する。停止条件は、例えば、学習パラメータの更新回数が所定回数に到達したことや学習パラメータの更新量が閾値未満であること等に設定されるとよい。処理回路31は、停止条件が充足されるまで、入力サンプルと教示サンプルとの組合せを変更しながら、学習パラメータの更新と損失関数の計算とを繰り返す。そして停止条件が充足されると処理回路31は、現在の更新回数での学習パラメータを最終的な学習パラメータに設定する。これにより学習が終了する。
訓練される学習パラメータは、グラフ畳み込み層61の重みパラメータの他、ノード特徴量vi及び重みパラメータwiを含む。重みパラメータwiは、(9)式の通り、係数(αwZ+βw)とノード特徴量viとの積と、バイアスbwとの和で表されるので、重みパラメータwiとノード特徴量viとから、係数(αwZ+βw)とバイアスbwとを決定することが可能である。また、係数(αwZ+βw)と患者背景情報Zとからパラメータαwとパラメータβwとを決定することが可能である。ノード特徴量viは、(8)式の通り、係数(αvZ+βv)と初期的なノード特徴量xiとの積と、バイアスbvとの和で表されるので、初期的なノード特徴量xiとノード特徴量viとから、係数(αvZ+βv)とバイアスbvとを決定することが可能になる。また、係数(αvZ+βv)と患者背景情報Zとからパラメータαvとパラメータβvとを決定することが可能である。
処理回路31は、ノード毎にノード特徴量と当該ノード特徴量に関する数理モデルのモデルパラメータとを関連付ける。例えば、処理回路31は、ノード毎にノード特徴量とノード特徴量に関する数理モデルのモデルパラメータとを関連付けたLUT等のデータベースを作成する。以下、当該データベースをノード特徴量DBと呼ぶことにする。
図15は、ノード特徴量DBの一例を示す図である。図15に示すように、ノード特徴量DBは、ノード番号、ノード特徴量及びモデルパラメータを互いに検索可能に関連付けて記録している。例えば、ノード番号「1」には、ノード特徴量「v1」とノード特徴量の数理モデルに関するモデルパラメータ「αv1」「βv1」「bv1」とが関連付けられている。ノード特徴量DBは、医療知識グラフ保管装置2に保管される。
同様に、処理回路31は、重みパラメータ毎に重みパラメータと当該重みパラメータに関する数理モデルのモデルパラメータとを関連付ける。例えば、処理回路31は、重みパラメータ番号毎に重みパラメータと重みパラメータに関する数理モデルのモデルパラメータとを関連付けたLUT等のデータベースを作成する。以下、当該データベースを重みパラメータDBと呼ぶことにする。
図16は、重みパラメータDBの一例を示す図である。図16に示すように、重みパラメータDBは、重みパラメータ番号、重みパラメータ及びモデルパラメータを互いに検索可能に関連付けて記録している。例えば、重みパラメータ番号「1」には、重みパラメータ「w1」と重みパラメータに関するモデルパラメータ「αw1」「βw1」「bw1」とが関連付けられている。重みパラメータDBは、医療知識グラフ保管装置2に保管される。
なお、(8)式及び(9)式は、線形結合層63が1層の線形ニューラルネットワークであることを前提して設計されているが、多層の線形ニューラルネットワークを前提として設計されてもよいし、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)や再帰型ニューラルネットワーク(RNN)等の他のニューラルネットワークを前提として設計されてもよい。
上記の実施例において、数理モデルは関数化モデルであるとした。しかしながら、本実施形態に係る数理モデルは混合モデルでもよい。混合モデルは、関数化モデルと同様、患者背景情報に依存しない固定効果項と患者背景情報によって特徴付けられる変量効果項との組合せからなる。混合モデルの場合、重みαvや重みαwを、患者背景情報を考慮した一般化線形混合モデルや階層ベイズモデルを用いて推定すればよい。また、数理モデルは層別化モデルでもよい。層別化モデルの場合、患者背景情報で層別化した患者群(例えば、男性群や女性群)それぞれでグレンジャー因果性検定を行い、各患者群で別々の重みαvや重みαwを算出すればよい。なお、この場合の重みαvや重みαwは、(3)式のような重みWx及びバイアスbxを含む関数ではなく、一般的なものが用いられればよい。
ステップSA3が行われると処理回路31は、学習機能312の実現により、医療知識グラフと学習済みモデルとを出力する(ステップSA4)。ステップSA4において処理回路31は、エッジ特徴量に関する数理モデルのモデルパラメータとグラフ特徴量に関する数理モデルのモデルパラメータとが割り当てられた医療知識グラフを出力する。なお、エッジ特徴量を患者に依らずに固定する場合、更にエッジ特徴量が割り当てられた医療知識グラフが出力されてもよい。また、処理回路31は、重みパラメータと当該重みパラメータに関する数理モデルのモデルパラメータとが割り当てられた機械学習モデルを出力する。出力された医療知識グラフと機械学習モデルとは、医療知識グラフ保管装置2に保管される。
ステップSA4が行われると学習処理が終了する。
なお、上記の学習処理は一例であり、種々の変形が可能である。例えば、ステップSA2とステップSA3とは順番が逆でもよいし、並行して行われてもよい。また、ステップSA3においてノード特徴量に関する数理モデルのパラメータと学習パラメータに関する数理モデルのパラメータとは教師有り学習に基づいて決定されるものとしたが、階層ベイズモデルに基づいて決定されてもよい。
上記の説明の通り、医用情報学習装置3は、処理回路31とメモリ32とを有する。処理回路31は、複数の患者の背景因子に関する患者背景情報を取得する。メモリ32は、診療事象に対応するノードと当該ノード間の関係性を表すエッジとを有する医療知識グラフを記憶する。医療知識グラフのグラフ特徴量は、患者背景情報を含む数理モデルにより特徴付けられる。処理回路31は、複数の患者の患者背景情報と数理モデルとに基づいて当該数理モデルのモデルパラメータを決定する。
上記の構成によれば、医療知識グラフのグラフ特徴量を、患者背景情報を使用した数理モデルで定義することが可能になる。これにより医療知識グラフのグラフ特徴量に、患者間の患者背景の違いに起因する揺らぎ成分を持たせることが可能になる。
次に、本実施形態に係る医用情報処理装置4について説明する。
図17は、医用情報処理装置4の構成例を示す図である。図17に示すように、医用情報処理装置4は、処理回路41、メモリ42、入力インタフェース43、通信インタフェース44及びディスプレイ45を有する。
処理回路41は、CPU及びGPU等のプロセッサを有する。処理回路41は、揺らぎを表示するため医用情報処理プログラムを実行することにより、取得機能411、推定機能412、揺らぎ算出機能413、可視化グラフ生成機能414、選択機能415及び表示制御機能416等を実現する。なお、各機能411~416は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能411~416を実現するものとしても構わない。また、機能411~416は、それぞれ、医用情報処理プログラムを構成するモジュール化されたプログラムであってもよいし、個別のプログラムであってもよい。これらプログラムはメモリ42に記憶される。
取得機能411の実現により、処理回路41は、種々の情報を取得する。例えば、処理回路41は、表示対象の1以上の患者(以下、対象患者)に関する患者背景情報を診療情報保管装置1から取得する。また、処理回路41は、医療知識グラフやエッジ特徴量DB、ノード特徴量DB及び重みパラメータDBを取得する。
推定機能412の実現により、処理回路41は、医用情報学習装置3により生成された学習済みモデルを使用して、患者グラフから医学的判断情報を推定する。
揺らぎ算出機能413の実現により、処理回路41は、対象患者の患者背景情報と数理モデルとに基づいて、対象患者に関するグラフ特徴量及び/又は学習パラメータの揺らぎを算出する。グラフ特徴量及び学習パラメータは、モデルパラメータを変数とする数理モデルにより表される。モデルパラメータは、医用情報学習装置3により患者背景情報に基づいて決定されている。
可視化グラフ生成機能414の実現により、処理回路41は、表示対象の患者に関する医療知識グラフを可視化した可視化グラフを生成する。可視化グラフのグラフ及び/又はエッジは、グラフ特徴量の揺らぎに応じた表示形態を有する。
選択機能415の実現により、処理回路41は、揺らぎの表示にあたり、患者や診療事象カテゴリ、疾患等の種々の表示対象を選択する。処理回路41は、入力インタフェース43を介したユーザの指示に従い表示対象を選択する。
表示制御機能416の実現により、処理回路41は、種々の情報をディスプレイ45に表示する。例えば、処理回路41は、グラフ特徴量及び/又は学習パラメータの揺らぎ等を表示する。
メモリ42は、種々の情報を記憶するROMやRAM、HDD、SSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ42は、上記記憶装置以外にも、CD、DVD、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ42は、医用情報処理装置4にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。例えば、メモリ42は、医療知識グラフ保管装置2から取得した医療知識グラフやエッジ特徴量DB、ノード特徴量DB及び重みパラメータDBを記憶する。
入力インタフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路41に出力する。具体的には、入力インタフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器に接続されている。入力インタフェース43は、当該入力機器への入力操作に応じた電気信号を処理回路41へ出力する。また、入力インタフェース43に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
通信インタフェース44は、医用情報システム100に含まれる診療情報保管装置1、医療知識グラフ保管装置2及び医用情報学習装置3等の他のコンピュータとの間で種々の情報を送受信するためのインタフェースである。
ディスプレイ45は、処理回路41の表示制御機能414に従い種々の情報を表示する。ディスプレイ45としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。また、ディスプレイ45の代わり又はディスプレイ45と併用して、プロジェクタが設けられてもよい。
次に、医用情報表示プログラムに従い処理回路41により実行される揺らぎ表示処理について説明する。
図18は、揺らぎ表示処理の流れを示す図である。図18に示すように、処理回路41は、選択機能415の実現により、表示対象の1以上の患者(以下、対象患者)を選択する(ステップSB1)。例えば、ステップSB1においては、ディスプレイ45に対象患者の選択画面が表示され、ユーザによる入力インタフェース43を介した指示に従い1以上の対象患者が選択される。本実施例において1人の患者が表示対象に選択されたものとする。なお、医療知識グラフやエッジ特徴量DB、ノード特徴量DB及び重みパラメータDBが医療知識グラフ保管装置2から取得されてもよい。処理回路41は、必要に応じて、エッジ特徴量DB、ノード特徴量DB及び重みパラメータDBからエッジ特徴量、ノード特徴量、重みパラメータ及びモデルパラメータを適宜読み出すものとする。
後述するように、対象患者として、特定の疾患に該当する患者が選択されてもよい。例えば、心不全に該当する患者のリストが表示され、リストの中から特定の患者が対象患者として選択されてもよい。
ステップSB1が行われると処理回路41は、取得機能411の実現により、ステップSB1において選択された対象患者の患者背景情報を取得する(ステップSB2)。ステップSB2において処理回路41は、対象患者の患者背景情報を、診療情報保管装置1から取得する。
ステップSB2が行われると処理回路41は、揺らぎ算出機能413の実現により、ステップSB2において取得された患者背景情報に基づいて、グラフ特徴量及び/又は学習パラメータの揺らぎを算出する(ステップSB3)。
グラフ特徴量の揺らぎは、グラフ特徴量の患者背景情報に対する相関度合いを意味する。患者背景情報間の違いに依らずグラフ特徴量が一定の値をとる場合、グラフ特徴量の揺らぎは小さい。反対に、患者背景情報間の違いに応じてグラフ特徴量が大きく変動する場合、グラフ特徴量の揺らぎは大きい。対象患者が1人の場合、当該対象患者のグラフ特徴量の揺らぎは、患者背景情報の異なる複数時点でのグラフ特徴量に基づいて定義できる。対象患者が複数人の場合、当該複数人のグラフ特徴量の揺らぎは、患者背景情報の異なる複数人且つ複数時点でのグラフ特徴量に基づいて定義できる。学習パラメータの揺らぎについても同様である。
以下、具体的に揺らぎの算出方法について説明する。典型的には、処理回路41は、複数の対象患者各々について、患者背景情報とグラフ特徴量の数理モデルとに基づいて当該対象患者のグラフ特徴量を算出し、これら複数の対象患者に亘るグラフ特徴量のばらつきの指標を、グラフ特徴量の揺らぎとして算出する。グラフ特徴量の数理モデルは、医用情報学習装置3によりモデルパラメータが決定されている数理モデルが使用される。ばらつきの指標として、標準偏差や分散等が算出されるとよい。対象患者としては、統計的母集団に属する患者が選択される。統計的母集団としては、全患者や特定疾患に罹患している患者、男性患者、女性患者、特定年齢層の患者等の調査対象に応じて任意に設定可能である。重みパラメータについても同様に揺らぎを算出可能である。重みパラメータの数理モデルは、医用情報学習装置3によりモデルパラメータが決定されている数理モデルが使用される。
ノードやエッジ毎にグラフ特徴量の値の取り得る範囲が異なる場合が想定されるので、処理回路41は、揺らぎを正規化してもよい。例えば、心不全患者のみの揺らぎを表示する場合、全ての対象患者のうちの心不全患者のグラフ特徴量のばらつきを算出し、「心不全患者のグラフ特徴量のばらつき」を「全患者のグラフ特徴量のばらつき」で除することにより、正規化することが可能である。重みパラメータについても同様に揺らぎを正規化することが可能である。
ノード特徴量については、(8)式の数理モデル(vi=(αvZ+βv)xi+bv)で定義されるノード特徴量viの揺らぎを計算してもよいし、係数(αvZ+βv)のみの揺らぎを計算してもよい。前者の場合、ノード特徴量そのものの揺らぎを計算することができるが、ノード特徴量の値xiやviが患者間でばらついている場合は、患者背景因子起因でない揺らぎも考慮されるおそれがあり、後者に比べ解釈が難しくなるおそれがある。後者の場合、患者背景因子に起因する、ノード特徴量への写像の揺らぎを得ることができる。前者の揺らぎを計算するか、後者の揺らぎを計算するかは、ユーザにより任意に選択可能である。重みパラメータについても同様に、(9)式の数理モデル(wi=(αwZ+βw)vi+bw)で定義される重みパラメータwの揺らぎを計算してもよいし、係数(αwZ+βw)のみの揺らぎを計算してもよい。エッジ特徴量については、(3)式の数理モデル(αx=σ(WxZ+bx))で定義されるエッジ特徴量αxの揺らぎが計算される。
対象患者が1人の場合、処理回路41は、複数の時点の患者背景情報各々について、当該患者背景情報とグラフ特徴量の数理モデルとに基づいて当該対象患者のグラフ特徴量を算出し、これら複数の時点に亘るグラフ特徴量のばらつきの指標を、グラフ特徴量の揺らぎとして算出する。ばらつきの指標として、標準偏差や分散等が算出されるとよい。重みパラメータについても同様に揺らぎを算出可能である。また、対象患者1人の場合、処理回路41は、統計的母集団について算出されたグラフ特徴量又は重みパラメータのばらつきに対する、対象患者のグラフ特徴量又は重みパラメータの偏差値を、揺らぎとして計算してもよい。
ステップSB3が行われると処理回路41は、表示制御機能416の実現により、ステップSB3において算出された揺らぎを表示する(ステップSB4)。揺らぎは、ディスプレイ45に表示される。
図19は、揺らぎの表示画面I1の一例を示す図である。図19に示すように、表示画面I1は、医療知識グラフ81の表示欄I11、患者の選択欄I12、疾患の選択欄I13及び診療事象カテゴリの選択欄I14を有する。
選択欄I12には患者の識別子(以下、患者識別子と呼ぶ)が表示される。患者識別子は、患者IDや患者名等が用いられる。選択欄I12に表示された患者識別子は入力インタフェース33等を介して操作者により選択可能である。選択された患者識別子は強調されるとよい。例えば、図19では、患者識別子「00003」が強調されている。なお、患者識別子は、一個又は複数個を選択可能である。
選択欄I13には、対象疾患の識別子(以下、疾患識別子と呼ぶ)が表示される。疾患識別子は、疾患の名称や記号等が用いられる。選択欄I13に表示された疾患識別子は入力インタフェース33等を介して操作者により選択可能である。選択された疾患識別子は強調されるとよい。例えば、図19では、疾患識別子「心不全」が強調されている。疾患識別子が選択された場合、当該疾患識別子に対応する疾患に該当する患者の患者識別子が選択欄I12に表示される。疾患識別子と患者識別子とは、診療情報保管装置1等において互いに紐付けて管理されている。なお、診療事象カテゴリは、一個のカテゴリが選択されてもよいし、複数個のカテゴリが選択されてもよい。なお、疾患識別子は、一個又は複数個を選択可能である。
選択欄I14には、表示対象の診療事象カテゴリの一覧が表示される。表示される診療事象カテゴリは、当該診療事象カテゴリの名称や記号でもよいし、当該診療事象カテゴリに関する患者グラフの模擬画像や縮小画像でもよい。選択された診療事象カテゴリは強調されるとよい。例えば、図19では、診療事象カテゴリ「症状」にチェックマークが付されている。なお、診療事象カテゴリは、一個又は複数個を選択可能である。
表示欄I11には、対象患者の医療知識グラフを可視化した可視化グラフ81が表示される。可視化グラフ81は、診療事象に対応するノード82とノード82間を接続するエッジ83とを有する。ノード82には、対応する診療事象の名称又は記号が付して表示される。
可視化グラフ81は、例えば、以下の手順で表示される。まず、処理回路41は、選択欄I14において選択された診療事象カテゴリを特定する。選択欄I14において診療事象カテゴリが選択されていない場合又は可視化グラフ81を初期的に表示する場合、選択された診療事象カテゴリとして全ての診療事象カテゴリを特定する。次に、処理回路41は、特定された診療事象カテゴリに属するノード及び当該ノード間を結ぶエッジからなるグラフ(以下、部分グラフと呼ぶ)を、医療知識グラフから抽出する。例えば、図19においては、選択欄I14において症状カテゴリが選択されているので、症状カテゴリに属するノード及び当該ノード間を結ぶエッジからなる部分グラフが医療知識グラフから抽出される。
そして処理回路41は、部分グラフを可視化した可視化グラフ81を表示し、ノード82をノード特徴量の揺らぎに応じた表示形態で表示し、エッジ83をエッジ特徴量の揺らぎに応じた表示形態で表示する。例えば、図19においては、揺らぎの程度が大きいほどノード82の輪郭のぼかし具合が大きくなるように表示される。また、揺らぎの程度が大きいほどエッジ83を表す直線のぼかし具合が大きくなるように表示される。なお、ノード82又はエッジ83の何れか一方のみ揺らぎが表示されてもよい。
揺らぎの程度の把握を促進するため、エッジを表す直線のぼかし具合を段階的に示すオブジェクトI15とノードの輪郭のぼかし具合を段階的に示すオブジェクトI16とが表示画面I1の任意の箇所に表示されるとよい。
このように、ノード特徴量の揺らぎをノード82に可視化し、エッジ特徴量の揺らぎをエッジ83に可視化することにより、対象患者の患者背景情報間の揺らぎの程度を把握することが可能になる。また、揺らぎが各ノード82及びエッジ83について表示されるので、各ノード82及びエッジ83について揺らぎを確認することができる。
図19に示すように、表示画面I1には、医学的判断情報の揺らぎの表示欄I17が設けられるとよい。表示欄I17には、対象患者について算出された医学的判断情報の揺らぎが表示される。例えば、医学的判断情報の揺らぎとして、疾患分類情報の一例である疾患該当確率の揺らぎが表示される。疾患該当確率の揺らぎとしては、例えば、図19に示すように、「70%±20%」のように表示される。70%が疾患該当確率の中央値に対応し、±20%が揺らぎに対応する。なお、疾患該当確率の揺らぎの表示方法は上記方法に限定されず、「50%-90%」のように疾患該当確率の取り得る範囲が表示されてもよい。
疾患該当確率の揺らぎは、重みパラメータの揺らぎに基づいて算出可能である。厳密には、疾患該当確率の揺らぎは、重みパラメータの揺らぎのみからではなく、ノード特徴量及びエッジ特徴量の揺らぎにも依存する。
具体的には、以下のように疾患該当確率の揺らぎが算出される。まず、処理回路41は、複数の対象患者各々について、当該対象患者の患者背景情報と当該対象患者の患者グラフと機械学習モデルとに基づいて疾患該当確率を算出し、これら複数の対象患者に亘る疾患該当確率のばらつきの指標を、疾患該当確率の揺らぎとして算出する。患者グラフは、医用情報学習装置3によりモデルパラメータが決定されている数理モデルにより定義されるグラフ特徴量が割り当てられた医療知識モデルに、当該対象患者の診療事象情報を写像することにより生成される。機械学習モデルの線形結合層には、医用情報学習装置3によりモデルパラメータが決定されている数理モデルにより定義される重みパラメータwiが割り当てられている。ばらつきの指標として、標準偏差や分散等が算出されるとよい。
なお、揺らぎに応じた表示形態に加え、グラフ特徴量に応じた表示形態を加えてノード82及びエッジ83が表示されてもよい。この場合、処理回路41は、ノード82にノード特徴量を、エッジ83にエッジ特徴量を割り当てる。ノード特徴量が該当又は非該当等の単一次元のスカラー値で規定される場合、処理回路41、当該スカラー値をノードに割り当てる。ノード特徴量が、発生回数、発生順序及び発生程度等の複数次元のベクトルで規定される場合、処理回路41は、当該ベクトルを集約してスカラー値に変換し、当該スカラー値をノード82に割り当てる。例えば、ノード特徴量が大きいほどノード82の表示色が濃くなるように表示される。
同様に、エッジ特徴量が有り又は無し等の単一次元のスカラー値で規定される場合、処理回路31は、当該スカラー値をエッジに割り当てる。エッジ特徴量が複数次元のベクトルで規定される場合、処理回路31は、当該ベクトルを集約してスカラー値に変換し、当該スカラー値をエッジ83に割り当てる。そして処理回路41は、割り当てられたノードに応じた表示形態でノード82を表示し、割り当てられたエッジに応じた表示形態でエッジ83を表示する。例えば、エッジ特徴量が大きいほどエッジ83が太くなるように表示される。
なお、グラフ特徴量の揺らぎの表示方法は上記のみに限定されない。例えば、ノード特徴量の揺らぎは、当該揺らぎの程度を表す数値又はカテゴリが当該ノードに付して表示され、エッジ特徴量の揺らぎは、当該揺らぎの程度を表す数値又はカテゴリが当該エッジに付して表示されてもよい。また、ノード特徴量及びエッジ特徴量の揺らぎを表す数値又はカテゴリが、ノード番号及びエッジ番号と共に一覧で表示されてもよい。
学習パラメータの揺らぎが表示画面I1に表示されてもよい。学習パラメータの揺らぎは、例えば、学習済みモデルにより推定された疾患分類情報に影響するので、対象患者の疾患分類情報と共に表示されるとよい。例えば、揺らぎの程度を表す数値又はカテゴリが表示されるよい。
ステップSB4が行われると揺らぎ表示処理が終了する。
なお、上記の揺らぎ表示処理は一例であり、種々の変形が可能である。
一例として、上記の実施例において対象患者は1人であるとしたが、対象患者は複数人でもよい。以下、変形例1として、心不全に該当する全ての患者が対象患者に指定された場合の揺らぎの表示例について説明する。
図20は、心不全に該当する全ての患者が対象患者に指定された場合の揺らぎの表示画面I2を示す図である。図20に示すように、表示欄I11には、心不全に該当する全ての患者に関する医療知識グラフ81が表示される。各ノード82は、心不全に該当する全ての患者に関するノード特徴量の揺らぎに応じたぼやけ具合で表示され、各エッジ83は、心不全に該当する全ての患者に関するエッジ特徴量の揺らぎに応じたぼやけ具合で表示される。
変形例1によれば、特定の疾患に該当する全ての患者に関するグラフ特徴量の揺らぎを表示することにより、患者間での揺らぎを確認することが可能になる。
他の例として、患者背景因子毎に揺らぎが表示されてもよい。以下、変形例2として、患者背景因子毎の揺らぎの表示例について説明する。なお、患者背景因子毎の揺らぎの表示は、数理モデルが層別化モデルや混合モデルである場合等、患者背景因子毎にモデルパラメータを決定されている場合に実施可能である。
図21は、患者背景因子毎の揺らぎの表示画面I3を示す図である。図21に示すように、表示画面I3には、患者背景因子を選択するためのGUIボタンが表示される。例えば、図21の場合、患者背景因子「年齢」を選択するための年齢ボタン、患者背景因子「性別」を選択するための性別ボタン、患者背景因子「BMI」を選択するためのBMIボタンが表示欄I11に表示されている。これらGUIボタンは、ユーザにより入力インタフェース43を介して選択可能に表示される。
任意のGUIボタンが選択された場合、処理回路41は、選択されたGUIボタンに対応する患者背景因子により強く揺らいでいるノードやエッジを強調して表示する。当該ノードやエッジは、例えば、以下の方法により強調表示される。まず、処理回路41は、選択されたGUIボタンに対応する患者背景因子を着目因子として特定する。処理回路41は、各ノードやエッジのモデルパラメータのうちの着目因子に関連するモデルパラメータを特定する。例えば、モデルパラメータとしては、特定された患者背景因子の係数である(8)式の重みαvや(9)式の重みαwが特定される。処理回路41は、特定されたモデルパラメータが閾値以上の値を有する場合、当該モデルパラメータに係るノードやエッジが、着目因子により強く揺らいでいるノードやエッジとして、強調される。他の方法として、処理回路41は、着目因子以外の患者背景因子の値を固定し、着目因子の値を大きく変えて、計算されるノードやエッジの揺らぎを強調してもよい。
例えば、図21に示すように、興味のある患者背景因子としてBMIが選択された場合、可視化グラフ81のうちの、BMIにより強く揺らいでいるノード82やエッジ83が強調して表示される。他のノード82及びエッジ83は、強く揺らいでいるノード82やエッジ83に比して薄く表示される。これにより、興味のある患者背景因子に関連するノードやエッジの揺らぎのみを可視化することが可能である。
変形例2によれば、ユーザが興味のある患者背景因子に限定した揺らぎを表示することができる。ユーザは、個別の患者背景因子の揺らぎを確認することが可能になる。
他の例として、2以上の診療事象カテゴリが選択されてもよい。以下、変形例3として、治療カテゴリ及び反応カテゴリが選択されたときの揺らぎの表示例について説明する。治療カテゴリ及び反応カテゴリに関する可視化グラフを治療-反応グラフと呼ぶ。治療-反応グラフと共に揺らぎが表示される。
図22は、治療-反応グラフ及び揺らぎの表示画面I3を示す図である。図22に示すように、表示対象の診療事象カテゴリとして治療及び反応が選択されている。また、対象患者として、心不全に該当する患者「00001」、患者「00002」及び患者「00003」が選択されている。この場合、患者「00001」、患者「00002」及び患者「00003」に、治療事象と反応事象との関係性を示す医療知識グラフを可視化した可視化グラフである治療-反応グラフが表示欄I11に表示される。例えば、利尿剤の投与を表す治療事象「利尿剤」のノードと、利尿が40mL/h以上を表す反応(より詳細には、治療反応)事象「利尿40mL/h以上」のノードと、尿に電解質異常が発生したことを表す反応(より詳細には、副作用)事象「電解質異常」のノードとが、エッジを介して接続されている。
各エッジには、エッジ特徴量の揺らぎの程度を表す数値が付されている。例えば、患者「00001」の治療-反応グラフには、治療事象「利尿剤」から「利尿40mL/h以上」へのエッジには、エッジの相関又は因果の程度として数値「90%」が表示され、治療事象「利尿剤」から「電解質異常」へのエッジには、エッジの相関又は因果の程度として数値「5%」が表示される。なお、図22に示すように、患者間において相関又は因果の程度が異なることは、揺らぎが生じていることを意味する。エッジの相関又は因果の程度は、数値で表す方法のみに限定されず、図22に示すように、エッジの太さ等の形態で表してもよい。
変形例3によれば、治療-反応グラフと合わせて揺らぎを表示することが可能である。治療-反応グラフを表示することにより、治療効果予測を行うことができるが、この際に、エッジ特徴量等の揺らぎを表示することにより、患者間の治療効果の揺らぎを評価することも可能である。
上記の説明の通り、本実施形態に係る医用情報処理装置4は、処理回路41とメモリ42とを有する。処理回路41は、1以上の対象患者の背景因子に関する患者背景情報を取得する。メモリ42は、診療事象に対応するノードと当該ノード間の関係性を表すエッジとを有する医療知識グラフを記憶する。医療知識グラフのグラフ特徴量は、患者背景情報に特徴付けられた数理モデルにより表現される。処理回路41は、対象患者の患者背景情報と数理モデルとに基づいて、対象患者に関するグラフ特徴量の揺らぎを算出する。処理回路41は、グラフ特徴量の揺らぎを表示する。
上記の構成によれば、患者背景情報間のグラフ特徴量の揺らぎを表示することが可能になる。揺らぎは、患者等への疾患を説明するときに表示すると有用である。例えば、同じ疾患でも特定の症状の出る人、出ない人がいることが理解したり、同じ疾患でも治療効果が大きい人、小さい人がいることが理解したりすることができる。また、揺らぎは、研究仮説を発掘するときに表示しても有用である。例えば、新しいサブタイプ分類の候補を知ることがしたり、研究デザインの適格基準を把握したりすることもできる。また、揺らぎは、病名候補推定や治療反応予測、予後予測を行うときに表示しても有用である。例えば、個人差を考慮した推定を行うことができる。
また、グラフ特徴量の揺らぎを医療知識グラフのノードやエッジに可視化することにより、診療事象間の関係性について、共通的な概念や解釈性を維持したまま、患者の個人差を可視化することができる。
以下、本実施形態に係る医用情報システム100の種々の応用例について説明する。以下の応用例は、上記の種々の実施例に適宜適用可能である。
(応用例1)
図23は、応用例1に係るグラフ特徴量の概要を表す図である。図23に示すように、患者グラフ20Aの各ノードには、グラフ特徴量として、該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び/又は場所的特徴量等の診療事象情報が割り当てられる。該当/非該当特徴量は、当該ノードに対応する診療事象に該当する度合い又は該当しない度合いを表す情報である。時間的特徴量は、診療事象が発生した時間に関する情報である。具体的には、時間的特徴量は、診療事象の発生日時や発生順序、発生回数等である。場所的特徴量は、診療事象が発生した場所に関する情報である。具体的には、場所的情報は、診療事象の発生位置や発生場所等である。発生位置は、診療事象が発生した地点を表すGPS(Global Positioning System)等のセンサ情報である。発生場所は、診療事象が診断された医療機関、診療科、自宅又は病院の住所や名称である。
上記の通り、処理回路41は、揺らぎ算出機能413の実現により、対象患者の患者背景情報と数理モデルとに基づいて、対象患者に関するグラフ特徴量の揺らぎを算出する。該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量各々は、(8)式の数理モデルで数式化される。該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量各々の揺らぎは、例えば、複数患者間の当該特徴量のばらつき指標として算出されればよい。処理回路41は、可視化グラフ生成機能414の実現により、各特徴量の揺らぎに応じた表示形態を有する可視化グラフを生成する。揺らぎの表示対象の特徴量は、該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量の中から任意に選択可能である。処理回路41は、表示制御機能416の実現により、生成された可視化グラフを、揺らぎに応じた表示形態で表示する。
処理回路41は、該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量の総合的な揺らぎを算出してもよい。一例として、処理回路41は、該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量各々の揺らぎを算出し、各特徴量の揺らぎの統計値(平均値や最小値、最大値など)を、総合的な揺らぎとして算出するとよい。
(応用例2)
図24は、応用例2に係るグラフ特徴量の概要を表す図である。図24に示すように、患者グラフ20Aの各ノードには、グラフ特徴量として、互いに発生時刻の異なる複数の診療事象情報から構成される時系列の診療事象情報が割り当てられている。診療事象情報は、時間に応じて値が変化する。例えば、診療事象の該当又は非該当は時間に応じて変化する。診療事象情報にはメタ情報として発生時間情報が割り当てられている。発生時間情報は、当該診療事象情報のタイムスタンプであり、例えば、当該診療事象の診断日時や記録日時等が割り当てられる。例えば、図24に示すように、各ノードには、時間tの診療事象情報、時間t+1の診療事象情報、時間t+2の診療事象情報がグラフ特徴量として割り当てられている。
応用例2に係る処理回路41は、時系列のグラフ特徴量に基づいてグラフ特徴量の揺らぎを算出する。
図25は、応用例2に係る機械学習モデル60Aのネットワーク構成例を示す図である。図25に示すように、機械学習モデル60Aは、グラフ畳み込み層61、読出層62及びRNN(再帰型ニューラルネットワーク:Recurrent Neural Network)層64を有する。RNN層64は、時系列のグラフ特徴量20Cから疾患分類情報71を出力する。
図25に示すように、時間tのグラフ特徴量が割り当てられた患者グラフ20A0、時間t+1のグラフ特徴量が割り当てられた患者グラフ20A1及び時間t+2のグラフ特徴量が割り当てられた患者グラフ20A2が処理対象であるとする。処理回路31は、患者グラフ20A0、患者グラフ20A1及び患者グラフ20A2をグラフ畳み込み層61に入力して、患者グラフ20A0に対応する畳み込み後の患者グラフ、患者グラフ20A1に対応する畳み込み後の患者グラフ及び患者グラフ20A2に対応する畳み込み後の患者グラフを出力し、各畳み込み後の患者グラフを読出し層62に入力して時間tの特徴ベクトル20C0、時間t+1の特徴ベクトル20C1、時間t+2の特徴ベクトル20C2を出力する。特徴ベクトル20C0は時間tのグラフ特徴量のベクトル表現であり、特徴ベクトル20C1は時間t+1のグラフ特徴量のベクトル表現であり、特徴ベクトル20C2は時間t+2のグラフ特徴量のベクトル表現である。
図25に示すように、処理回路31は、特徴ベクトル20C0、特徴ベクトル20C1及び特徴ベクトル20C2をRNN層64に入力して単一の疾患分類情報71を出力する。RNN層64を利用することにより、系列的な複数の時刻の診療事象情報を利用して種々の疾患の該当確率を得ることが可能になる。RNN層64の重みパラメータは、患者背景情報の影響を受ける。RNN層64の重みパラメータwiは、(9)式に類似して、係数、ノード特徴量及びバイアスを要素とする数理モデルで表すことが可能である。
応用例2においては、揺らぎの成分に患者背景の時間的変化が組み込まれる。応用例2に係る患者背景情報は、互いに発生時刻の異なる複数の患者背景情報から構成される時系列の患者背景情報が割り当てられている。各患者背景情報は、年齢や性別、BMI、病歴等の患者背景因子を有している。上記の通り、機械学習モデルに関与する要素のうちの揺らぎを有する要素としては、ノード特徴量とエッジ特徴量とがある。
応用例2に係るノード特徴量の算出例について説明する。上記図14や(8)式に示す通り、ノード特徴量viは、係数(αvZ+βv)と初期的なノード特徴量xiとの積と、バイアスbvとの和で表される。応用例2においては、(8)式の患者背景情報Zを、下記(10)式に示す患者背景情報Z´に置き換えることにより、ノード特徴量viを算出することが可能である。
Z´=RNN(Z[t]) (10)
(10)式に示すRNN(Z[t])の具体的なアルゴリズムとしては、エルマンネットワークやジョーダンネットワーク、LSTM(long short-term memory)、GRU(gated recurrent unit)等、種々のアルゴリズムが適用可能である。
(9)式により表されるRNN層64の重みパラメータwiについても、(9)式の患者背景情報Zを、(10)式に示す患者背景情報Z´に置き換えることにより算出することが可能である。
応用例2に係るエッジ特徴量の算出例について以下に説明する。上記図11、(2)及び(3)式に例示する通り、処理回路31は、複数の患者の診療事象情報に基づいて、診療事象xと診療事象yとを結ぶエッジについてグレンジャー因果性検定を行い、当該エッジのエッジ特徴量を表す数理モデルのモデルパラメータである重みWx及びバイアスbxを決定し、重みWx及びバイアスbxに基づいてエッジ特徴量である係数αxを決定する。応用例2においては、(3)式の患者背景情報Zを、上記(10)式に示す患者背景情報Z´に置き換えることにより、重みWx及びバイアスbxを決定することが可能である。
(応用例3)
応用例2においては各ノードに時系列のグラフ特徴量が割り当てられるものとした。応用例3においては患者グラフ自体が時系列で変化する。
応用例3に係る医用情報学習装置3の処理回路31は、一旦学習済みモデルを生成した後においても、発生時刻の異なる学習サンプル(診療情報)を継続的に取得する。上記の通り、学習サンプルは、すなわち、診療事象情報及び疾患情報の組合せである。処理回路31は、取得された複数の診療情報に基づいて、定期又は不定期に機械学習モデルの学習パラメータ及び数理モデルのモデルパラメータを継続学習(Continuous Learning)する。継続学習により発生時刻の異なる時系列の学習済みモデルが生成されることとなる。なお、学習パラメータは、隣接行列及び/又は機械学習モデルの学習パラメータを含む。各時点の学習済みモデルに各時点の畳み込み前の患者グラフを適用し、各時点の畳み込み後の患者グラフが生成される。これにより、各ノードのグラフ特徴量及びノード間の接続関係が時系列で変化する時系列の患者グラフを生成することが可能である。
時系列の学習済みモデルを構成する各発生時刻の学習済みモデルは、当該時刻までに取得された学習サンプルに基づいて、上記図9に示す処理手順に従い訓練される。この際、隣接行列A及び/又は重みパラメータWの更新の前後において患者グラフの特性が大きく変わることを抑制するために、下記(11)及び(12)式に示すように、損失関数に正則化項が設けられてもよい。(11)式は、隣接行列Aの更新に係る正規化項Lregであり、処理基準時刻の隣接行列Aと他の時刻の隣接行列A´との間のカルバックライブラー情報量により表される。(12)式は、重みパラメータW(l)の更新に係る正規化項Lregであり、処理基準時刻の重みパラメータW(l)と他の時刻の重みパラメータW´(l)との間のカルバックライブラー情報量により表される。
(応用例4)
上記の幾つかの実施例においては、患者グラフの各ノードに、グラフ特徴量として、場所的特徴量等の空間情報が割り当てられるものとした。応用例4においては患者グラフ自体に空間の概念が追加される。
図26は、応用例4に係る患者グラフと空間情報との関係性を模式的に示す図である。図26に示すように、各患者グラフに、当該患者グラフの対象患者に関する空間情報が割り当てられる。空間情報は、その要素として、場所的情報と生物学的情報とを含む。場所的情報は、対象患者の現在位置を表すGPS等のセンサ情報であってもよいし、対象患者が受診する医療機関、対象患者の自宅住所、対象患者が入院している病室等の位置でもよい。生物学的情報は、対象患者の血縁関係や病歴、遺伝子配列情報等を含む。患者グラフに空間情報を埋め込むことにより、空間情報の関係の有無又は程度に従い複数の患者グラフが配置されたネットワーク(以下、患者グラフネットワーク)を構成することが可能である。
図27は、患者グラフネットワーク200の概念を示す図である。図27に示すように、患者グラフネットワーク200は、空間情報の関係の有無又は程度に従い連結された複数の患者グラフにより構成される。図27は、4個の患者グラフ201,202,203,204を例示しているが、患者グラフの個数は2個以上であれば特に限定されない。
互いにエッジで接続された患者グラフ同士(例えば、患者グラフ201と患者グラフ202)は互いに空間情報の関係性を有することを意味する。反対に、エッジで接続されていない患者グラフ同士(例えば、患者グラフ201と患者グラフ204)は互いに空間情報の関係性を有しないことを意味する。また、エッジで接続された患者グラフ同士の距離は、空間情報の関係性の程度を表している。処理回路31は、空間情報の関係性の程度を、場所的情報については、例えば、両者の自宅住所や病室間の距離に基づいて評価することが可能である。処理回路31は、生物学的情報については、両者の親等数、病歴の医学的関係性、遺伝子配列の一致率に基づいて評価することが可能である。処理回路31は、空間情報の関係性の有無を、上記方法により評価された程度と閾値との比較に基づいて判定することが可能である。エッジは、空間情報の上記要素の総合評価に基づいて形成されてもよいし、上記要素毎に形成されてもよい。
患者グラフに空間情報を割り当てることにより、対象患者の患者グラフに空間情報が近接する患者グラフを容易に検索することが可能である。一例として、処理回路31は、対象患者の患者グラフにエッジで接続された患者グラフを、対象患者に空間情報が近接する患者の患者グラフとして、抽出することが可能である。
なお、空間情報は、場所的情報と生物学的情報との双方を含むことに限定されず、場所的情報と生物学的情報との何れか一方のみを含んでもよい。
(応用例5)
応用例5は、応用例4に係る空間情報を利用するものである。応用例5に係る医用情報処理装置3の処理回路31は、対象患者とは異なる患者の患者グラフのグラフ特徴量を、対象患者の患者グラフに畳み込む。
図28は、応用例5に係るグラフ特徴量の概要を表す図である。図28に示すように、患者グラフ20Bの各ノードには、グラフ特徴量として、該当/非該当特徴量、時間的特徴量、場所的特徴量及び/又は空間的近接患者特徴量等の診療事象情報が割り当てられる。該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量は、応用例1で説明した通りである。空間的近接患者特徴量は、対象患者に空間情報が近接している他の患者の診療事象情報である。例えば、診療事象「頭痛」のノードには、対象患者の該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量の他、対象患者の父親及び/又は母親の該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量が割り当てられることとなる。
応用例5に係る処理回路31は、応用例5に係る診療事象情報を医療知識グラフに写像して対象患者の患者グラフ20Aを生成する。応用例5に係る診療事象情報は、診療事象毎に該当/非該当特徴量、時間的特徴量、場所的特徴量及び空間的近接患者特徴量を含んでいる。該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量は、対象患者の診療事象情報である。空間的近接患者特徴量は、対象患者に空間情報が近接する他の患者の診療事象情報である。すなわち、応用例5に係る処理回路31は、対象患者の診療事象情報と他の患者の診療事象情報とを各ノードのノード特徴量として当該ノードに写像する。写像により、各ノードに該当/非該当特徴量、時間的特徴量、場所的特徴量及び空間的近接患者特徴量が割り当てられた患者グラフ20Bが生成される。
その後、処理回路31は、該当/非該当特徴量、時間的特徴量、場所的特徴量及び空間的近接患者特徴量が割り当てられたノードを有する患者グラフを、機械学習モデル60に適用して、疾患分類情報等の医学的判断情報を推定する。応用例5によれば、各診療事象の該当/非該当特徴量、時間的特徴量、場所的特徴量及び空間的近接患者特徴量を考慮して医学的判断情報を推定することが可能になる。これにより対象患者だけでなく、対象患者に空間情報が近接する患者の診療情報(グラフ特徴量)を考慮した医学的判断情報を推定することが可能である。なお、各ノードには該当/非該当特徴量、時間的特徴量、場所的特徴量及び空間的近接患者特徴量の全て割り当てられている必要はなく、空間的近接患者特徴量と、該当/非該当特徴量、時間的特徴量及び場所的特徴量のうちの何れか2種又は1種とが割り当てられてもよい。
(応用例6)
上記の幾つかの実施例において処理回路31は、患者グラフに基づく可視化グラフの表示について、症状、身体所見、検査所見、治療、治療反応及び副作用を含む全ての診療事象カテゴリのうちの一部カテゴリに属するノード及びエッジのみ含む部分患者グラフに基づく可視化グラフを表示するものとした。しかしながら、処理回路31は、図2に示すように、全ての診療事象カテゴリに亘る患者グラフ全体に基づく可視化グラフを表示してもよい。この際、処理回路31は、各カテゴリを色等の視覚効果により識別可能に可視化グラフを表示してもよい。これにより、患者グラフ全体を俯瞰することが可能になる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、患者間の個人差を可視化することができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現しても良い。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1、図5及び図17における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。