本発明の一態様について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタアクリル」を意味する。
〔硬化性組成物〕
本硬化性組成物は、(メタ)アクリルポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)と、エポキシ基を有するアルコキシシランとシリケート化合物の共縮合物(C)と、を含み、前記アクリル樹脂(A)の水酸基価が100~200mgKOH/gであり、前記共縮合物(C)のエポキシ当量が3600以上であることを特徴とする。本硬化性組成物は上記構成を有するが故に、リコート性、耐薬品性および耐傷性に優れる硬化物を提供することができる。
((A)(メタ)アクリルポリオール)
本硬化性組成物は、(メタ)アクリルポリオール(A)を含む。以下において、「(メタ)アクリルポリオール(A)」を「成分(A)」と称する場合がある。
本明細書において、成分(A)とは、(メタ)アクリル系単量体と、水酸基を有する単量体と、を共重合(例えば、ラジカル重合)してなる、分子中に水酸基を2個以上有する共重合体を意図する。成分(A)は、ラジカル重合することにより得られるものであることが好ましい。成分(A)は、(メタ)アクリル系単量体と、水酸基を有する単量体と、を含む共重合体であるともいえる。成分(A)としては、1種類の(メタ)アクリルポリオールを単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル系単量体としては特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、等の炭素数1~20のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の炭素数4~20のシクロアルキル(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート:ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の炭素数3~20のアラルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。成分(A)は、これら(メタ)アクリル系単量体の1種類のみを含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル基を有する単量体であるともいえる。
水酸基を有する単量体としては特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、4-ヒドロキシスチレンビニルトルエンなど水酸基含有ビニル単量体;PlaccelFA-1、PlaccelFA-4、PlaccelFM-1、PlaccelFM-4(以上、ダイセル化学(株)製)等の重合可能な炭素-炭素二重結合を末端に有する変性ラクトンまたはポリエステル;ブレンマーPPシリーズ、ブレンマーPEシリーズ、ブレンマーPEPシリーズ(以上、日油(株)製)、MA-30、MA-50、MA-100、MA-150、RA-1120、RA-2614、RMA-564、RMA-568、RMA-1114、MPG130-MA(以上、日本乳化剤(株)製)等の重合可能な炭素-炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレン等が挙げられる。成分(A)は、これら水酸基を有する単量体の1種類のみを含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。
また、成分(A)は、上述した(メタ)アクリル系単量体および水酸基を有する単量体、以外の単量体(その他の単量体)を含んでもよい。その他の単量体としては、特に限定されないが、エチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体、スチレン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の酸系単量体、無水マレイン酸等の酸無水物等、反応性ケイ素基を有する単量体、等が挙げられる。これらその他の単量体は1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
成分(A)の分子中に含まれる水酸基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、例えば、3個以上であり、5個以上であることが好ましく、7個以上であることがより好ましい。成分(A)の分子中に含まれる水酸基の数が3個以上であれば、緻密な架橋構造が得られ、耐傷性に優れる硬化物を得ることができる。また、成分(A)の分子中に含まれる水酸基の数の上限は特に限定されないが、例えば、50個以下であり、好ましくは40個以下である。成分(A)の分子中に含まれる水酸基の数が50個以下であれば、硬化物(塗膜)に硬化反応後に残存する水酸基の数が少なくなり、耐水性に優れる硬化物(塗膜)が得られる。
成分(A)の水酸基価は、100~200mgKOH/gであり、110~190mgKOH/gであることがより好ましく、120~180mgKOH/gであることがさらに好ましく、150~180mgKOH/gであることが特に好ましい。成分(A)の水酸基価が100~200mgKOH/gであれば、架橋密度が高く、かつ耐傷性および耐薬品性に優れる硬化性組成物を得ることができる。なお、本明細書において、水酸基価とは、JIS K 1557-1の規格に基づいて測定した値である。
成分(A)の数平均分子量(Mn)は、1,000~6,000であることが好ましく、1,500~5,000であることがより好ましく、2,000~4,500であることがさらに好ましく、2,500~4,200が特に好ましい。成分(A)の数平均分子量(Mn)が1,000~6,000であれば、架橋密度が高く、かつ耐傷性および耐薬品性に優れる硬化物を得ることができる。なお、成分(A)の数平均分子量(Mn)は、GPCを用いて、ポリスチレン換算で算出した値である。
成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、2,000~12,000であることが好ましく、3,000~10,000であることがより好ましく、4,000~9,000であることがさらに好ましい。成分(A)の重量平均分子量(Mw)が2,000~12,000であれば、後述するエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物とシリケート化合物の共縮合物との相溶性に優れ、透明性に優れた硬化物を得ることができる。なお、成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、GPCを用いて、ポリスチレン換算で算出した値である。
(成分(A)の製造方法)
上述した(メタ)アクリル系単量体と、水酸基を有する単量体と、任意でその他の単量体とを、公知の方法によって重合することにより(例えば、重合開始剤の存在下で加熱することにより)、成分(A)を製造することができる。
前記重合開始剤としては、特に限定されないが、加熱することによってラジカルを発生させることができる開始剤(ラジカル重合性開始剤)であることが好ましい。そのような重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物類等が挙げられる。これら重合開始剤は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
成分(A)を製造する際の、上記重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、上述したアクリル基を有する単量体、水酸基を有する単量体、および、その他の単量体の合計量100重量部に対して、0.1~5.0重量部であることが好ましく、0.3~4.0重量部であることがより好ましく、0.5~2.0重量部であることがさらに好ましい。重合開始剤の使用量が0.1重量部以上であると、重合反応が適切に進行する。また、重合開始剤の使用量が5.0重量以下であると、適切な分子量の共重合体を得ることができる。
成分(A)は、(メタ)アクリル系単量体と、水酸基を有する単量体と、任意でその他の単量体と、を溶剤の存在下で重合して製造してもよい。このような溶剤としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、石油系溶媒等の炭化水素系溶剤;トリクロロエチレン等のハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル(IBAC)等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジブチルエーテル、ジペンチニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテル系溶剤;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤;等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、成分(A)を製造する際に、上記重合開始剤に加えて、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤を使用することにより、成分(A)の分子量(数平均分子量)を、好適な範囲に制御することができる。連鎖移動剤としては特に限定されないが、例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸-2-エチルヘキシル、n-オクチルメルカプタン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメイルジメトキシシラン、メルカプトエタノール、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。これら連鎖移動剤は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
成分(A)を製造する際の、上記連鎖移動剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、上述したアクリル基を有する単量体、水酸基を有する単量体、および、その他の単量体の合計量100重量部に対して、0.5~10重量部であることが好ましく、0.5~8重量部であることがより好ましく、0.5~6重量部であることがさらに好ましい。連鎖移動剤の使用量が0.5重量部以上であると、成分(B)のポリマー末端に上記重合開始剤(ラジカル発生剤)由来の官能基(ニトリル基、カルボキシル基、エステル基等)が導入されず、それらの官能基による成分(A)の硬化阻害を抑制できる。また、連鎖移動剤の使用量が10重量以下であると、ポリマー末端に効率的に導入されるため、未反応物(可塑剤)として硬化性組成物中に残存する虞がない。
((B)ポリイソシアネート)
本硬化性組成物は、ポリイソシアネート(B)を含む。以下において、「ポリイソシアネート(B)」を「成分(B)」と称する場合がある。
成分(B)の有するイソシアネート基の数は、1分子中に2個以上であれば特に限定されないが、1分子中に2.1個以上であることが好ましく、2.3個以上であることがより好ましく、2.5個以上であることがさらに好ましい。成分(B)の有するイソシアネート基の数の上限は、特に限定されないが、例えば、20個以下であること好ましく、10個以下であることがより好ましく、5個以下であることが特に好ましい。成分(B)の有するイソシアネート基の数が20個以下であれば、(i)成分(A)との相溶性に優れ、かつ、(ii)イソシアネート基の立体反発する虞がないため、反応性に優れる硬化性組成物を得ることができる。
成分(B)としては、従来公知のポリイソシアネートを使用することができる。そのようなポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-または2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等のジイソシアネート化合物;リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8-トリイソシアネートオクタン、1,6,11-トリイソシアネートウンデカン、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-トリイソシアネートヘキサン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアネートメチルオクタン等の3つ以上のイソシアネート基を有する化合物;等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;1,3,5-トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、3-イソシアネートメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、2-(3-イソシアネートプロピル)-2,5-ジ(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2-(3-イソシアネートプロピル)-2,6-ジ(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、3-(3-イソシアネートプロピル)-2,5-ジ(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5-(2-イソシアネートエチル)-2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6-(2-イソシアネートエチル)-2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、5-(2-イソシアネートエチル)-2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、6-(2-イソシアネートエチル)-2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン等の3つ以上のイソシアネート基を有する化合物;等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,3-もしくは1,4-キシリレンジイソシアネートまたはそれらの混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-もしくは1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼンまたはそれらの混合物等のジイソシアネート化合物;1,3,5-トリイソシアネートメチルベンゼン等の3つ以上のイソシアネート基を有する化合物;等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート、4,4′-トルイジンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;トリフェニルメタン-4,4′,4″-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、4,4′-ジフェニルメタン-2,2′,5,5′-テトライソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の3つ以上のイソシアネート基を有する化合物;等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、成分(B)として、前記各種のイソシアネート含有化合物の変性体を使用してもよい。そのような、変性体としては、アロファネート変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体等が挙げられる。
成分(B)は、環状構造または直鎖構造もしくは分岐鎖構造を有するポリイソシアネートであることが好ましく、成分(B)は、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、および芳香脂肪族ポリイソシアネートよりなる群から選択される1種以上であることがさらに好ましい。脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物等の、分子内に環状構造を有するポリイソシアネートは、得られる硬化物の物性(接着性、靭性、耐衝撃性)改良効果が顕著である為、より好ましい。これらの中でも、芳香族ポリイソシアネートがよりさらに好ましく、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)が、得られる硬化性組成物が接着性に優れることから特に好ましい。
脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物を使用した場合、得られる硬化物の耐候性に優れることから好ましい。特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および、これらのイソシアヌレート変性体が好ましい。
これらポリイソシアネート化合物の使用に際し、黄変性が問題になる場合には、脂肪族、脂環族、または芳香脂肪族のポリイソシアネートを使用するのが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環族ポリイソシアネートがより好ましい。
本発明の一実施形態において、成分(B)は、イソシアネート基をブロック剤でマスクし、常温で不活性化したブロックイソシアネートとすることも可能である。ここで、ブロック剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、オキシム類、トリアゾール類、カプロラクタム類等が挙げられる。
本硬化性組成物における成分(B)の含有量は、成分(A)の水酸基価に応じて、調整すればよいが、例えば、成分(A)100重量部に対して40~70重量部であることが好ましい。本硬化性組成物における成分(B)の含有量が、40~70重量部である場合、成分(A)やエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物とシリケート化合物の共縮合物(C)と十分に反応し、架橋構造を形成することで、耐傷性、耐薬品性に優れた硬化物を得られる。
((C)エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物とシリケート化合物の共縮合物)
本硬化性組成物は、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物とシリケート化合物の共縮合物(C)を含む。以下において、「エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物とシリケート化合物の共縮合物(C)」を「成分(C)」と称する場合がある。
本明細書において、成分(C)とは、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物(以下、アルコキシシラン化合物(c1)と称する)と、シリケート化合物(以下、シリケート化合物(c2)と称する)と、を水の存在下で、加水分解・脱水縮合反応をさせて、すなわち、アルコキシシラン化合物(c1)、および、シリケート化合物(c2)間で、シロキサン結合を形成することで、形成したオルガノポリシロキサンを意図する。
(アルコキシシラン化合物(c1)(エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物))
アルコキシシラン化合物(c1)は、ケイ素原子上の置換基としてアルコキシ基、および、エポキシ基を有する、1種類、または2種類以上のシラン化合物である。当該エポキシ基の存在によって、成分(C)含む硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物のリコート性が向上し得る。
アルコキシシラン化合物(c1)は、モノオルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、トリオルガノモノアルコキシシランのいずれであってもよい。アルコキシシラン化合物(c1)は、少なくとも1種類のモノオルガノトリアルコキシシランを有することが好ましい。前記アルコキシシラン成分は、モノオルガノトリアルコキシシランのみから構成されるものであってもよいし、モノオルガノトリアルコキシシランとジオルガノジアルコキシシランのみから構成されるものであってもよいし、モノオルガノトリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、および/または、トリオルガノモノアルコキシシランから構成されるものであってもよい。
アルコキシシラン化合物(c1)がトリオルガノモノアルコキシシランを含有する場合、その含有量は発明の効果を阻害しない限り特に限定されず、例えば、アルコキシシラン成分の全量100モル%に対して、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、1モル%以下がさらに好ましい。
アルコキシシラン化合物(c1)がケイ素原子上の置換基として有するアルコキシ基としては、例えば、炭素数1~3のアルコキシ基等が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。前記アルコキシ基は1種類のみであってもよいし、2種以上が混在していてもよい。
アルコキシシラン化合物(c1)がケイ素原子上の置換基として有するエポキシ基としては、グリシジルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。例えば、1-グリシジルオキシメチル基、2-グリシジルオキシエチル基、3-グリシジルオキシプロピル基、4-グリシジルオキシブチルメチル基、6-グリシジルオキシヘキシル基、8-グリシジルオキシオクチル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)基等が挙げられる。前記エポキシ基は1種類のみであってもよいし、2種以上が混在していてもよい。これらの中でも、エポキシシクロヘキシル基が、得られる硬化物の耐傷性、リコート性、耐薬品性に優れることから好ましい。
アルコキシシラン化合物(c1)は、ケイ素原子上の置換基として、少なくとも一つのアルコキシ基と、少なくとも1つのエポキシ基とを含んでいればよく、それら以外に、有機基(エポキシ基以外の有機基)を含んでいてもよい。
このような有機基としては、例えば、炭素数1~8のアルキル基や、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数6~12のアリール基等が挙げられる。前記アルキル基、アルケニル基、およびアリール基は、無置換の基であってもよいし、置換基を有するものであっても良い。前記アルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4であり、さらに好ましくは1~3であり、よりさらに好ましくは1~2である。前記アルケニル基の炭素数は、好ましくは2~6であり、より好ましくは2~4であり、さらに好ましくは2~3である。前記有機基は、1種類のみであってもよいし、2種以上が混在していてもよい。
本発明の一実施形態において、アルコキシシラン化合物(c1)としては、例えば、グリシジルオキシ基を有するトリアルコキシシラン化合物、グリシジルオキシ基と有機基を有するジアルコキシシラン化合物、グリシジルオキシ基を有するトリアルコキシシラン化合物、グリシジルオキシ基と有機基を有するジアルコキシシラン化合物等が挙げられる。アルコキシシラン化合物(c1)としては、より具体的には、1-グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、1-グリシジルオキシメチルメチルジメトキシシラン、1-グリシジルオキシメチルトリエトキシシラン、1-グリシジルオキシメチルメチルジエトキシシラン、2-グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシジルオキシエチルメチルジメトキシシラン、2-グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、2-グリシジルオキシエチルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、4-グリシジルオキシブチルトリメトキシシラン、4-グリシジルオキシブチルメチルジメトキシシラン、4-グリシジルオキシブチルトリエトキシシラン、4-グリシジルオキシブチルメチルジエトキシシラン、6-グリシジルオキシヘキシルトリメトキシシラン、6-グリシジルオキシヘキシルメチルジメトキシシラン、6-グリシジルオキシヘキシルトリエトキシシラン、6-グリシジルオキシヘキシルメチルジエトキシシラン、8-グリシジルオキシオクチルトリメトキシシラン、8-グリシジルオキシオクチルメチルジメトキシシラン、8-グリシジルオキシオクチルトリエトキシシラン、8-グリシジルオキシオクチルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、3-グリシジルオキシプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物が好ましく、3-グリシジルオキシプロピル基を有するトリアルコキシシラン化合物が特に好ましい。
前記エポキシシクロへキシル基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、エポキシシクロへキシルアルキル基を有するトリアルコキシシラン、エポキシシクロへキシルアルキル基と前記有機基を有するジアルコキシシラン等が挙げられる。より具体的には、1-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、1-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジメトキシシラン、1-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、1-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジエトキシシラン、4-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルメチルジメトキシシラン、4-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、4-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルメチルジエトキシシラン、6-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ヘキシルトリメトキシシラン、6-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ヘキシルメチルジメトキシシラン、6-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ヘキシルトリエトキシシラン、6-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ヘキシルメチルジエトキシシラン、8-(3,4-エポキシシクロヘキシル)オクチルトリメトキシシラン、8-(3,4-エポキシシクロヘキシル)オクチルメチルジメトキシシラン、8-(3,4-エポキシシクロヘキシル)オクチルトリエトキシシラン、8-(3,4-エポキシシクロヘキシル)オクチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)基を有するトリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物が好ましく、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)基を有するトリアルコキシシラン化合物が特に好ましい。
(シリケート化合物(c2))
本発明の一実施形態において、シリケート化合物(c2)としては、例えば、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの加水分解縮合物等が挙げられる。
前記テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、得られる加水分解縮合物の貯蔵安定性及び形成される硬化物の耐擦り傷性等の観点から、テトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランが好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。
前記テトラアルコキシシランとしては、市販品を使用することができる。具体的には、例えば、前記テトラメトキシシランの市販品として、「正珪酸メチル」(商品名、多摩化学工業社製)等を使用することができる。また、前記テトラエトキシシランの市販品として、「KBE-04」(信越化学工業株式会社製)、「エチルシリケート28」(コルコート株式会社製)等が挙げられる。
また、前記テトラアルコキシシランの加水分解縮合物の市販品としては、例えば、「エチルシリケート40」、「エチルシリケート48」、「メチルシリケート51」、「メチルシリケート53A」、「EMS-485」(以上、コルコート株式会社製)等が挙げられる。
成分(C)のエポキシ当量は、3600以上であり、7200以上であることが好ましく、10800以上であることがさらに好ましい。成分(C)のエポキシ当量が3600以上であれば、リコート性を発現する。要因は定かではないが、エポキシ当量が3600以上であれば、成分(C)が硬化物表面に局在化し、成分(C)中のエポキシ基がリコート塗膜と結合を形成し、リコート性を発現すると考える。エポキシ当量の上限は特に限定されないが、例えば、1750000以下であるのが好ましく、350000以下であるのがさらに好ましい。
なお、エポキシ当量とは、エポキシ基1個当たりの樹脂の質量であり、成分(C)の固形分量を成分(C)に含まれるエポキシ基のモル数で除すことで求めることができる。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準じた方法でも求めることができる。
本硬化性組成物における成分(C)の含有量は、成分(A)100重量部に対して1~10重量部であることが好ましく、1~8重量部であることがさらに好ましく、1~5重量部であることがさらに好ましい。本硬化性組成物における成分(C)の含有量が1~10重量部であれば、硬化物の透明性を損なうことなく、耐傷性、および、耐薬品性に優れる硬化物を得ることができる。
(成分(C)の製造方法)
上述したアルコキシシラン化合物(c1)と、シリケート化合物(c2)とを、水の存在下で、加水分解及び脱水縮合反応させることによって、成分(C)を製造することができる。
本発明の一実施形態において、前記アルコキシシラン化合物(c1)と、前記シリケート化合物(c2)と、を加水分解・脱水縮合反応させる際に、任意で脱水縮合触媒を添加してもよい。そのような脱水縮合触媒としては、前記アルコキシシラン化合物(c1)と、前記シリケート化合物(c2)と、水と、を含む混合物の脱水縮合反応を促進することが可能な物質であれば、特に限定されず、例えば、酸性触媒、塩基性触媒、中性塩触媒等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基の失活を抑制でき、かつ、密着性、および、耐傷性に優れる硬化物を得ることができることから、中性塩触媒が好ましい。
本明細書において、中性塩触媒とは、強酸と、強塩基とから生成する塩(中性塩)を意図する。具体的には、第一族元素イオン、第二族元素イオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、およびグアニジウムイオンよりなる群から選ばれるいずれかのカチオンと、フッ化物イオンを除く第十七族元素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、および過塩素酸イオンよりなる群から選ばれるいずれかのアニオンとの組合せからなる塩である。中性塩触媒として使用される中性塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化フランシウム、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ラジウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラペンチルアンモニウム、塩化テトラヘキシルアンモニウム、塩化グアニジウム;臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム、臭化フランシウム、臭化ベリリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化ストロンチウム、臭化バリウム、臭化ラジウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラペンチルアンモニウム、臭化テトラヘキシルアンモニウム、臭化グアニジウム;ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化フランシウム、ヨウ化ベリリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化ラジウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラペンチルアンモニウム、ヨウ化テトラヘキシルアンモニウム、ヨウ化グアニジウム;硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸フランシウム、硫酸ベリリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム、硫酸ラジウム、硫酸テトラメチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラプロピルアンモニウム、硫酸テトラブチルアンモニウム、硫酸テトラペンチルアンモニウム、硫酸テトラヘキシルアンモニウム、硫酸グアニジウム;硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、硝酸フランシウム、硝酸ベリリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸ラジウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラエチルアンモニウム、硝酸テトラプロピルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラペンチルアンモニウム、硝酸テトラヘキシルアンモニウム、硝酸グアニジウム;過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ルビジウム、過塩素酸セシウム、過塩素酸フランシウム、過塩素酸ベリリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸ストロンチウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸ラジウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラプロピルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラペンチルアンモニウム、過塩素酸テトラヘキシルアンモニウム、過塩素酸グアニジウム等が挙げられる。これら中性塩は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を組合せて使用することもできる。
加水分解・脱水縮合反応に際して添加する脱水縮合触媒の量は、加水分解・脱水縮合反応の所望の進行度に応じて適宜決定することができるが、アルコキシシラン化合物(c1)と、シリケート化合物(c2)と、の合計量に対して、1ppm~100,000ppmであることが好ましく、10ppm~10,000ppmがより好ましく、20ppm~5,000ppmがさらに好ましく、50ppm~1,000ppmがよりさらに好ましい。
成分(C)の製造方法において、前記アルコキシシラン化合物(c1)と、前記シリケート化合物(c2)と、を加水分解・脱水縮合反応させる際の水の使用量は、前記アルコキシシラン化合物(c1)と、前記シリケート化合物(c2)と、の合計100重量部に対して、1~10重量部であることが好ましく、1~5重量部がより好ましい。水の使用量が1~10重量部であると、加水分解・脱水縮合反応が十分に進行し、硬化物の耐傷性が向上し得る。
当該反応時に、アルコキシシラン成分に含まれていた一部のアルコキシ基が未反応で残留し、または、該アルコキシ基が加水分解反応を受けた後、脱水縮合反応は進行せずにシラノール基として残留することで、製造されたポリオルガノシロキサンは、反応性ケイ素基(アルコキシシリル基及び/又はシラノール基)を有することができる。成分(C)に残留したシラノール基は、組成物の硬化時に、成分(A)の水酸基と結合(Si-O-C)を形成でき、硬化物の透明性または耐傷性を向上し得る。
本発明の一実施形態において、前記アルコキシシラン化合物(c1)と、前記シリケート化合物(c2)と、を加水分解・脱水縮合反応させる際に、水に加えて、水以外の有機溶剤を使用してもよい。このような有機溶剤としては、水と併用するため、水への溶解度の高い有機溶剤が好ましい。また、アルコキシシラン成分の溶解性を確保するため、炭素数が4以上の有機溶剤が好ましい。以上の観点から、好ましい有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記アルコキシシラン化合物(c1)と、前記シリケート化合物(c2)と、を加水分解・脱水縮合反応を実施する際の反応温度は当業者が適宜設定できるが、例えば反応液を50℃~110℃に加熱することが好ましい。加水分解・脱水縮合反応を50℃~110℃以下の温度で行うと、成分(C)を製造することが容易になる。また、加水分解・脱水縮合反応を実施する際の反応時間は、当業者が適宜設定できるが、例えば10分間~12時間程度であってよい。
成分(C)の製造方法において、前記加水分解・脱水縮合反応の後、加水分解反応で発生したアルコールを反応液から除去する工程(アルコール除去工程)を実施することが好ましい。アルコールを除去することによって、アルコールを副生するアルコキシシリル基の加水分解反応をさらに進行させることができる。アルコール除去工程は、例えば、加水分解・脱水縮合反応後の反応液を減圧蒸留に付してアルコールを留去することで実施できる。減圧蒸留の条件は当業者が適宜設定することが可能であるが、この時の温度は、成分(C)を製造することが容易になることから、50℃~110℃であることが好ましい。アルコール除去工程では、加水分解反応により発生したアルコールのうち、80モル%以上のアルコールを除去することが好ましく、90モル%以上のアルコールを除去することがより好ましい。
前記加水分解・脱水縮合反応の後(好ましくは、前記アルコールを除去工程の後)の、反応系を冷却(例えば、30℃以下に冷却)して、成分(C)を得ることができる。
(その他の成分)
(溶剤)
本硬化性組成物は、上記成分(A)~(C)に加え、溶剤をさらに含んでもよい。
溶剤としては、特に限定されることなく、各種の化合物を使用することができる。より具体的には、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、石油系溶媒等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル(IBAC)、メトキシプロピルアセテート等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PMA)、ジブチルエーテル、ジペンチニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤等が挙げられる。中でも、成分(A)および成分(B)への溶解性が高く、また、スプレー塗装時の揮発性が高いことから、エステル系溶剤、エーテル系溶剤が好ましく、酢酸イソブチル、メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが特に好ましい。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本硬化性組成物における溶剤の含有量は、前記硬化性組成物の全量100重量部に対して、40~80重量部であることが好ましく、45~75重量部であることがより好ましく、50~70重量部であることがさらに好ましい。本硬化性組成物における溶剤の含有量が40重量部以上であると、粘度が低く、かつ、チクソ性が高い、作業性に優れる硬化性組成物を得ることができる。また、本硬化性組成物における溶剤の含有量が80重量部以下であると、一回の塗装で十分な膜厚の硬化物を得ることが出来る。
(金属触媒)
本硬化性組成物は、上記成分(A)~(C)に加え、金属触媒をさらに含んでもよい。金属触媒としては、例えば、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機鉄化合物等の有機金属系類酸触媒が挙げられる。
(添加剤)
本硬化性組成物は、本発明の効果を奏する範囲で、当該技術分野において通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、脱水剤、安定化剤、充填剤、難燃剤、分散剤、消泡剤、可塑剤、粘着性付与剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、エポキシ樹脂、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、加水分解安定化剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、低収縮剤、シリコーン界面活性剤、水分等が挙げられる。添加剤としては、1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これら添加剤の量は、その使用目的に応じて当業者が適宜設定可能である。また、これら添加剤は、任意のタイミングで硬化性組成物に添加でき、例えば、前記成分(A)~(C)を混合する際に合わせて添加してもよく、本硬化性組成物を使用する直前に添加してもよい。
(その他)
本硬化性樹脂組成物は、1成分型であってもよいし、多液型であってもよい。1成分型の硬化性樹脂組成物とは、すべての配合成分(成分(A)~(C)、およびその他の成分)を予め配合した後、密封保存したものである。1成分型硬化性樹脂組成物は、使用後に空気中の湿気により硬化することにより硬化物を提供することができる。一方、多液型硬化性樹脂組成物は、樹脂成分を含む第1液と、硬化剤(硬化触媒)を含む第2液と、を別途製造、および貯蔵し、使用の直前に、上記の第1液と、第2液と、を混合することにより硬化物を提供することができる。
本発明の一実施形態において、本硬化性樹脂組成物は、多液型硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
本発明の一実施形態において、多液型硬化性組成物は、本硬化性組成物中の成分(A)を第1液として含み、かつ、成分(B)を第2液として含むことが好ましく、成分(A)および成分(C)を第1液として含み、かつ、成分(B)を第2液として含むことがより好ましい。なお、第1液は、多液型硬化性組成物の主剤であるともいえ、また、第2液は多液型硬化性組成物の硬化剤であるともいえる。
本発明の一実施形態において、多液型硬化性樹脂組成物の第1液は、成分(A)および成分(C)に加えて、他の樹脂成分を含んでいてもよい。そのような樹脂成分としては、特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、水酸基を有さない(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、多液型硬化性樹脂組成物の第2液は、成分(B)に加えて、他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、特に限定されず、例えば、溶剤、レベリング剤、脱水剤、安定剤、水酸基を有さない有機樹脂、金属触媒(例えば、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機鉄化合物等の有機金属系類酸触媒)等が挙げられる。
多液型硬化性組成物における、本第1液と第2液との配合比は、用途等に応じて適宜調節できる。多液型硬化性組成物における、本第1液と第2液との配合比は、例えば、20:1~1:1であり、15:1~2:1であることが好ましく、10:1~3:1であることがより好ましい。本第1液と第2液との配合比が10:1~2:1であれば、混合しやすく性能ムラを生じにくい多液型硬化性組成物を提供できる。
本発明の一実施形態において、多液型硬化性組成物は、例えば、本第1液と、第2液と、の混合時に、着色剤等をさらに添加することができる。このことにより、例えば、限られた硬化性組成物の種類から、サイディングボードの色に合わせて豊富な色揃えのシーリング材を提供することができる等の利点を有する。それゆえ、多液型の硬化性組成物は、多色化に対する市場からの要望に容易に応えることができ、低層建物用途などに好適である。着色剤は、例えば、顔料、可塑剤、必要に応じて充填材を混合し、ペースト化したものが、作業性が高く好ましい。
また、多液型の硬化性組成物は、多液成分の混合時に遅延剤を添加することができる。これにより、硬化速度を作業現場にて微調整することができる。
(硬化性組成物の製造方法)
上述した各成分(成分(A)~(C))と、必要に応じて、その他の成分と、を公知の方法によって混合することにより、本硬化性組成物を製造することができる。混合方法としては、特に限定されないが、例えば、プロペラ型/櫂型などの攪拌羽根の付いた混合槽、プラネタリーミキサー、ニーダー、ホーバルトミキサー、ハイスピードミキサー、ラインミキサー、ロールミル、サンドミル、アトライター、2軸ミキサーなどの混合機を用いる方法が挙げられる。
本硬化性組成物の製造方法において、上述した各成分を同時に混合してもよく、成分ごとに投入、混合、および、均一化を順次繰り返しながら混合してもよい。より均一に混合した組成物を得られることから、成分ごとに投入、混合、および均一化を順次繰り返しながら混合することが好ましい。
また、多液型の硬化性組成物とする場合、上記の方法で得られた、第1液および第2液をさらに混合することで、本硬化性組成物が得られる。この場合の第1液および第2液を混合する方法としては、例えば、各成分を配合してハンドミキサーやスタティックミキサーで混合する方法、プラネタリーミキサーやディスパー、ロール、ニーダーなどを用いて、常温または加熱下で混練する方法、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合する方法等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明の一実施形態において、本硬化性組成物を硬化してなる、硬化物(以下、「本硬化物」と称する。)を提供する。
本硬化物は、本硬化性組成物を硬化して形成されたものである。好適には、本硬化物は、成分(A)および成分(C)を含む第1液(主剤)と、成分(B)を含む第2液(硬化剤)と、を混合し、得られた硬化性組成物を加熱して硬化させることによって形成されたものである。なお、本硬化性組成物が、溶剤等の揮発成分を含む場合、当該揮発成分は、硬化時の加熱によって揮発する。したがって、本硬化物は、本硬化性組成物に含まれる揮発成分を実質的に含まない。
本硬化性組成物を硬化させる時の加熱温度は特に限定されることなく、通常、50~200℃であるが、60~140℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、80~120℃がさらに好ましい。本硬化物は、60~140℃といった比較的低温で形成させても、優れた耐傷性を有することができる。
本硬化性組成物を硬化させる時の加熱時間は特に限定されないが、コストおよび硬化反応の進行度を両立する観点から、10~120分が好ましく、15~100分がより好ましく、30~60分がさらに好ましい。
本硬化物の厚みとしては、特に限定されないが、1~100μmであることが好ましい。本硬化物の厚みが1μm以上であると、硬化塗膜(本硬化物)の耐傷性や耐水性が良好なものとなる。本硬化物の厚みが100μm以下であると、硬化収縮によるクラックを生じにくい。より好ましくは5~50μmであり、さらに好ましくは10~40μmである。
(用途)
本硬化性組成物および本硬化物は、種々の用途に用いることができる。例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、インク、着色インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、光ディスク用コート、光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、発光ダイオード用のリフレクター・反射板、光半導体封止材料、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用材料、光造形、電子ペーパー用材料、ホログラム用材料、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜に応用できる。また、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズ、酸素富化膜の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
また、本硬化性組成物を基材に塗布し、熱源を用いて当該混合物を硬化させ、硬化塗膜を形成することにより、本硬化物を含む積層体を得ることができる。当該積層体は、パソコン、スマートフォン、タブレット等の前面板、自動車等の窓ガラス、自動車等のランプの保護具材、フィルム等に好適に使用できる。
前記基材は特に限定されず、例えば、金属(例えば、アルミニウム、SUS、銅、鉄等)、セラミックス、ガラス、セメント、窯業系基材、石材、プラスチック(例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリル、ABS、PC-ABSアロイ、ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、木材、紙、繊維等であってよい。前記基材はフィルムやシートであってもよい。本硬化性組成物は、自動車、建築物、家電用品、産業機器等の塗装に好適に使用することができる。本硬化性組成物は加熱により硬化するものであるため、特に、複雑な形状を有する基材の表面に塗膜を形成する場合に好適である。また、本硬化性組成物は、上述した通り、60~120℃といった比較的低温で硬化させても優れた耐傷性を達成できる。そのため、基材が有機基材であっても、硬化時の加熱による基材へのダメージを抑制できるので、有機基材に対しても好適に使用できる利点がある。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[材料]
実施例および比較例において、以下の材料を使用した。
<成分(A)>
((メタ)アクリル系単量体)
メチルメタクリレート(略称「MMA」):三菱ガス化学株式会社製
ブチルアクリレート(略称「BA」):株式会社日本触媒製
(水酸基を有する単量体)
ヒドロキシエチルメタクリレート(略称「HEMA」):株式会社日本触媒製
(その他の単量体)
アクリル酸(略称「AA」):(和光純薬工業株式会社製)
(重合触媒)
2,2‘-アゾビス(2-メチルブチルニトリル)(略称「V59」):(和光純薬工業株式会社製、分子量192.3)
<成分(B)>
ヘキサメチレンジイソシアネートの平均3量体(イソシアネート変性体)(略称「N3300」:コベストロジャパン株式会社製の「スミジュールN3300」)
<成分(C)>
(アルコキシシラン化合物(c1))
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(略称「Ge」):(ダウ・東レ株式会社製の「OFS-6040」、分子量236.3)
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(略称「EC」):(信越化学株式会社製の「KBM-303」、分子量246.3)
(シリケート化合物(c2))
エチルシリケート48(略称「ESi48」):(コルコート社製)
メチルシリケート56(略称「MS56」):(三菱ケミカル株式会社製)
KR-517:(信越化学工業株式会社製、エポキシ変性エチル/メチルシリケートの低縮合物、エポキシ当量830)
(縮合触媒)
臭化リチウム(無水)(略称「LiBr」):(キシダ化学株式会社、分子量86.84)
<その他の成分>
(溶剤)
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(略称「PMA」):(東京化成株式会社製、分子量132.2)
メタノール(略称「MeOH」):(ナカライテスク株式会社)
(金属触媒)
ジブチル錫化合物(商品名「ネオスタン(登録商標) U-220H」略称「U-220H」)(日東化成株式会社製)。
[測定および評価方法]
実施例および比較例における測定および評価を、以下の方法で行った。
(重量平均分子量)
得られた成分(A)または成分(C)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。送液システムとして東ソー(株)製HLC-8320GPCを用い、カラムとして東ソー(株)製TSK-GEL Hタイプを用い、溶媒としてTHFを用いて測定を行い、ポリスチレン換算で算出した。
(リコート性)
得られた、ABS上に塗装した硬化物(塗膜)上に、それぞれ1mm間隔の、クロスカット10×10の100マスとなるようにカッターで切り込みを入れ、切込み上にニチバン製セロハンテープ(登録商標)を貼り付けた。次いで90°上方に勢い良く剥離させ、基材から硬化塗膜が剥がれないかを目視にて観察した。樹脂が剥離していないマス1マス当たりを1点として、硬化物の密着性を測定した(剥離評価)。なお、完全に密着している場合(すなわち、樹脂が剥離したマスが存在しない場合)を100点、すべての樹脂が完全に剥離した場合を0点とした。90点以上である場合、硬化物が被塗装体に密着したと判断し、90点未満である場合、硬化物が被塗装体から剥離した、と判断した。
(耐薬品性)
得られたABS上に塗装した硬化物(塗膜)に対して、乳酸10%水溶液を0.2g、塗膜上にスポットし、80℃に調整した熱風乾燥機にて10分間静置した。その後、塗膜の色見変化、および平滑性変化を目視にて確認し、以下の基準に基づき、硬化物の耐薬品性を評価した:
◎(良好):色見変化はなく、スポット痕は残らない。また、塗膜の表面は平滑で、縮れはない。
〇(合格):色見変化はなく、スポット痕は薄く残る。また、塗膜の表面は平滑で、縮れはない。
△(不合格):スポット痕が僅に白化し、また、塗膜の表面に僅かに縮れが生じる。
×(不良):スポット痕が明らかに白化し、また、塗膜の表面に明らかな縮れが生じる。
(耐傷性)
消しゴム磨耗試験機((株)光本製作所製)を用い、得られたABS上に塗装した硬化物(塗膜)に対してスチールウール#0000に500g/cm2の荷重をかけて、硬化塗膜の表面をストローク長10cmで10回往復させた後の、塗膜の光沢保持率を測定した。ここで、塗膜の光沢保持率はBYK製マイクロトリグロスによって測定した値である。以下の基準に基づき、硬化物の耐傷性を評価した:
〇(良好):光沢保持率が30%以上。
×(不良):光沢保持率が30%未満。
(製造例1:成分(A-1)の作製)
4口フラスコに窒素導入管、冷却管、および測温計を設置し、微加圧、還流条件下となるように装置を組み立てた。窒素フローしながら内温が110℃となるようにオイルバスを設定し、PMAを114.8g仕込み、110℃になるまで加熱した。
上記4口フラスコとは別に、褐色瓶に、HEMAを85.0gと、MMAを73.5gと、BAを68.9gと、AAを2.3gと、V59を10.33gと、PMAを45.2gと、を加えて、ポンプ追加用のモノマー溶液を作製した。作製したモノマー溶液を、ダイヤフラム式ポンプを用いて、前記4口フラスコ内に4時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに2時間加熱することで、成分(A-1)を得た。得られた成分(A-1)のSC(固形分)は60.0%であり、水酸基価は160mgKOH/gであり、重量平均分子量は8800であった。なお、SCは、得られた成分(A)の全量を105℃に加熱した際に、揮発しなかった成分が、成分(A)全量に対して占める重量割合を示すものである。
(製造例2:成分(A-2)の作製)
4口フラスコに窒素導入管、冷却管、および測温計を設置し、微加圧、還流条件下となるように装置を組み立てた。窒素フローしながら内温が110℃となるようにオイルバスを設定し、PMAを114.8g仕込み、110℃になるまで加熱した。
上記4口フラスコとは別に、褐色瓶に、HEMAを41.3gと、MMAを105.7gと、BAを80.4gと、AAを2.3gと、V59を10.33gと、PMAを45.2gと、を加えて、ポンプ追加用のモノマー溶液を作製した。作製したモノマー溶液を、ダイヤフラム式ポンプを用いて、前記4口フラスコ内に4時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに2時間加熱することで、成分(A-2)を得た。得られた成分(A-2)のSCは60.0%であり、水酸基価は78mgKOH/gであり、重量平均分子量は8800であった。
(製造例3:成分(C-1)の作製)
500mLの4口フラスコに、ESi48を197.8gと、ECを2.15gと、LiBrを0.16gと、純水を7.99gと、MeOHを82.8gと、PMAを29.1gと、を加え、90℃に設定したオイルバスで加熱し、1時間反応させた。その後、反応系にPMAを231.7g追加し、エバポレーター、および140℃に設定したオイルバスを用いて常圧蒸留を行い、発生したメタノール、エタノール、および残存水を合計で162.0g除去した。その後、SC調整のためにPMAを10.3g加え、反応系を130℃に加熱し、さらに4時間反応、縮合を進行させることで、約400gの成分(C-1)を得た。得られた成分(C-1)のSCは、38%であり、重量平均分子量は46000、エポキシ当量は17200であった。なお、SCは、得られた成分(C)の全量を105℃に加熱した際に、揮発しなかった成分が、成分(C)全量に対して占める重量割合を示すものである。エポキシ当量は、得られた(C-1)成分の固形分量を、原料の仕込量から算出される(C-1)成分のエポキシ基の数で除することで算出した。
(製造例4:成分(C-2)の作製)
500mLの4口フラスコに、ESi48を99.0gと、Geを1.09gと、LiBrを0.04gと、純水を4.00gと、MeOHを41.4gと、PMAを14.6gと、を加え、90℃に設定したオイルバスで加熱し、1時間反応させた。その後、反応系にPMAを115.9g追加し、エバポレーター、および140℃に設定したオイルバスを用いて常圧蒸留を行い、発生したメタノール、エタノール、および残存水を合計で81.0g除去した。その後、SC調整のためにPMAを5.1g加え、反応系を130℃に加熱し、さらに4時間反応、縮合を進行させることで、約200gの成分(C-2)を得た。得られた成分(C-2)のSCは、38%であり、重量平均分子量は133000、エポキシ当量は19610であった。
(製造例5:成分(C-3)の作製)
500mLの4口フラスコに、MS56を98.8gと、ECを1.07gと、LiBrを0.08gと、純水を3.99gと、MeOHを41.4gと、PMAを14.5gと、を加え、90℃に設定したオイルバスで加熱し、1時間反応させた。その後、反応系にPMAを106.6g追加し、エバポレーター、および140℃に設定したオイルバスを用いて常圧蒸留を行い、発生したメタノール、エタノール、および残存水を合計で75.6g除去した。その後、SC調整のためにPMAを5.1g加え、反応系を130℃に加熱し、さらに4時間反応、縮合を進行させることで、約200gの成分(C-3)を得た。得られた成分(C-3)のSCは、38%であり、重量平均分子量は68500、エポキシ当量は9600であった。
(製造例6:成分(C-4)の作製)
500mLの4口フラスコに、ESi48を89.9gと、ECを10.74gと、LiBrを0.08gと、純水を3.99gと、MeOHを40.7gと、PMAを14.5gと、を加え、90℃に設定したオイルバスで加熱し、1時間反応させた。その後、反応系にPMAを115.9g追加し、エバポレーター、および140℃に設定したオイルバスを用いて常圧蒸留を行い、発生したメタノール、エタノール、および残存水を合計で81.0g除去した。その後、SC調整のためにPMAを5.1g加え、反応系を130℃に加熱し、さらに4時間反応、縮合を進行させることで、約200gの成分(C-4)を得た。得られた成分(C-4)のSCは、38%であり、重量平均分子量は213000、エポキシ当量は1840であった。
(製造例7:成分(C-5)の作製)
500mLの4口フラスコに、ESi48を50.0gと、ECを53.69gと、LiBrを0.08gと、純水を3.99gと、MeOHを30.7gと、PMAを14.6gと、を加え、90℃に設定したオイルバスで加熱し、1時間反応させた。その後、反応系にPMAを115.9g追加し、エバポレーター、および140℃に設定したオイルバスを用いて常圧蒸留を行い、発生したメタノール、エタノール、および残存水を合計で81.0g除去した。その後、SC調整のためにPMAを5.1g加え、反応系を130℃に加熱し、さらに4時間反応、縮合を進行させることで、約200gの成分(C-5)を得た。得られた成分(C-5)のSCは、40%であり、重量平均分子量は49100、エポキシ当量は360であった。
(製造例8:成分(C-6)の作製)
500mLの4口フラスコに、ESi48を100.0gと、LiBrを0.04gと、純水を4.00gと、MeOHを41.5gと、PMAを14.6gと、を加え、90℃に設定したオイルバスで加熱し、1時間反応させた。その後、反応系にPMAを115.9g追加し、エバポレーター、および140℃に設定したオイルバスを用いて常圧蒸留を行い、発生したメタノール、エタノール、および残存水を合計で81.0g除去した。その後、SC調整のためにPMAを5.1g加え、反応系を130℃に加熱し、さらに4時間反応、縮合を進行させることで、約200gの成分(C-6)を得た。得られた成分(C-6)のSCは、38%であり、重量平均分子量は16600であった。成分(C-6)はエポキシ基を有するアルコキシシランを用いて製造していない。
[実施例1]
(硬化性組成物の作製)
表1に記載の配合に沿って、製造例1で作成した成分(A)と、製造例3で作製した成分(C)とを、マヨネーズビンに添加し、マグネティックスターラーを用いて混合した。その後、溶剤であるPMAと、成分(B)であるN3300と、触媒としてU-220Hを添加し、混合し、硬化性組成物を作成した。
なお、表1に記載の成分(A)および成分(C)の配合量は、SC(固形分)量である。また、表1に記載の溶剤の配合量は、各製造例で作製した成分(A)および成分(C)中の溶剤の量(各製造例で作製した成分(A)および成分(C)から、固形分を除いた量)と、各成分を配合する際に別途添加した溶剤の量、との合計量(すなわち、硬化性組成物に含まれる溶剤の全量)である。
(硬化物(塗膜)の作製)
作成した硬化性組成物を、70×150×2mmのABS基材上に、40番バーコーターで塗装し、80℃に設定した熱風乾燥機内に30分間入れることで溶剤の除去、および塗装した硬化性組成物の硬化を実施、乾燥膜厚が約30μmの硬化物(塗膜)を得た。さらに得られた硬化物(塗膜)の上に、作成した硬化性組成物を、40番バーコーターで再び塗装し、80℃に設定した熱風乾燥機内に60分間入れることで溶剤の除去、および塗装した硬化性組成物の硬化を実施、乾燥膜厚が約30μmの硬化物(リコート塗膜)を得た。
[実施例2~4、比較例1~9]
各成分の配合量を表1に記載の通りに変更したこと以外は実施例1と同様の手順により、硬化性組成物をおよび硬化物を作製した。得られた硬化物について、リコート性、耐薬品性および耐傷性を評価した。結果を表1に示す。
表1より、実施例1~4の硬化性組成物は、リコート性、耐薬品性および耐傷性に優れることが示された。すなわち、本発明の一実施形態によれば、リコート性、耐薬品性および耐傷性に優れる硬化物を提供し得る、硬化性組成物を提供できることが示された。
一方、表1より、比較例1~9の硬化性組成物は、得られる硬化物のリコート性、耐薬品性または耐傷性が不十分となっている。すなわち、硬化性組成物が本硬化性組成物の構成を満たさない場合、得られる硬化物のリコート性、耐薬品性または耐傷性が不良となることが示された。