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JP7827872B2 - 積層造形用水硬性組成物用の添加剤 - Google Patents
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JP7827872B2 - 積層造形用水硬性組成物用の添加剤 - Google Patents

積層造形用水硬性組成物用の添加剤

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Description

本発明は、積層造形用水硬性組成物を製造するための技術、特には積層造形用水硬性組成物に用いられる添加剤に関する。
近年、積層造形(3Dプリンティング)技術は、製造業等における模型・部品の作製に活用されている。その技術を分類すると、光造形(紫外線硬化型樹脂を1層ずつ硬化させて積層する方法)、インクジェット方式(プリンターヘッドから紫外線硬化型樹脂を噴射しながら紫外線を照射して積層する方法)、粉末セッコウ造形(プリンターヘッドから樹脂や糊を噴射し粉末セッコウを固める方法)、粉末焼結造形(樹脂や金属粉末をレーザーで焼き固めて積層する方法)、熱溶融積層造形(細いノズルから熱で溶融した熱可塑性樹脂を吐出して積層する方法)が知られている。造形体は樹脂、セッコウ、及び金属が主体であり、水硬性材料組成物を用いた建設部材のような大型の造形体を造る技術は、国内よりも海外での検討が進んでいる。既に、欧米や中国では、自動建設工事機械として戸建て住宅レベルの大型の造形体の製造を実施している。
水硬性組成物を用いた積層造形等に関連する技術として、たとえば、以下の特許文献1~5が紹介されている。
特許文献1には、コンピュータで作成した3次元データを所定の厚さで切断して2次元スライスデータを作成し、吹付けノズルを2次元スライスデータに基づいて縦横方向に移動制御しつつ、急結剤を添加混合したモルタルを、ベッド(台)上に吹き付け、吹き付けたモルタルを自立硬化させることで2次元スライスデータに基づく形状の固化層を形成し、かかる固化層の形成作業を繰り返して上下方向に順次積層させて造形する技術が開示されている。
特許文献2では、鋳物を製造するための型を3Dプリンターで造るための材料が紹介されており、セメント、砂、促進剤としての水溶性ケイ酸塩からなる材料が開示されている。
特許文献3では、水硬性材料組成物としてリグニンスルホン酸系分散剤とメラミンスルホン酸系分散剤を併用したグラウト組成物が紹介されている。
特許文献4では、分散剤と増粘剤を併用した材料としてPCグラウト材が紹介されている。
特許文献5では、イオン性エマルション型増粘剤を使用する、積層造形用水硬性組成物の製造方法が知られている。
積層造形(3Dプリンティング)のための水硬性組成物は積層性を発揮させるために流動性を低下させる必要がある。しかしながら、水硬性材料組成物の流動性を低下させるとホース内での移動に支障が生じるため、吐出直前において硬化促進剤を添加して流動性を低下させて対応せざるを得ないのが現状である。また、其の積層性自体については、積層造形による建築を更に普及させるためには解決されるべき課題が少なからずあると現在考えられている。
特開平10-235623号公報 米国特許第8211226号明細書 特開2008-247677号公報 特開2006-290694号公報 特開2021-133667号公報
本発明は、積層造形用水硬性組成物の積層性を向上する効果等に優れた添加剤等を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の重合体が積層性の向上に有用であることを見出した。本発明者らはその知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
以下で本発明の添加剤等の其々に係る事項を詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明をこの記載範囲にのみ特別限定する趣旨ではない。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態であり、本明細書に開示されているとみなされる(つまり、補正の適法な根拠となる)。
また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味し、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。更に、「重量」と「質量」、「重量部」と「質量部」、「重量%」と「質量%」はそれぞれ同義語として扱う。
(本発明の例示)
本発明の添加剤等の好ましい構成は以下の(1)~(8)等において記述されるものである。
(1)下記構造単位(I)を有する重合体を含む、積層造形用水硬性組成物用の添加剤。
(構造単位(I)中、XはC=O又は(CH[pは0~5の整数]であり、ROは炭素数2~8のオキシアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって15~500の数であり、Rは水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基であって、残りのR~Rが同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基を表す。)
(2)前記nが100~500である、前記(1)に記載の添加剤。
(3)前記Xが(CH[pは0~2の整数]である、前記(1)又は(2)に記載の添加剤。
(4)前記重合体において前記構造単位(I)が前記重合体100重量部に対して50~100重量部含有されている、前記(1)~(3)のいずれかに記載の添加剤。
(5)前記重合体が、さらに下記構造単位(II)を含む共重合体である、前記(1)~(4)のいずれかに記載の添加剤。
(構造単位(II)中、R~Rが同一又は異なって、水素原子、炭素数1~8の炭化水素基又はカルボキシル基を表し、Mは水素原子又はカチオン種を表す。)
(6)前記重合体が、さらにスルホン酸基、リン酸基及び其れらの塩の基からなる群から選択される少なくとも1種を有する不飽和単量体由来の構造単位を含む共重合体である、前記(1)~(5)のいずれかに記載の添加剤。
(7)前記(1)~(6)のいずれかに記載の添加剤を含む、積層造形用水硬性組成物。
(8)水硬性組成物及び前記(1)~(6)のいずれかに記載の添加剤を混合して攪拌する工程、
を含む積層造形用水硬性組成物の製造方法。
以下、構造単位(I)を有する重合体を含む、積層造形用水硬性組成物用の添加剤を本発明の添加剤とも称する。また、構造単位(I)を有する重合体を本発明における重合体とも称する。
本発明の添加剤等は、積層造形用水硬性組成物の積層性を向上する効果等に優れたものである。
ここで、積層性の向上とは、例えば、後述の積層性指数が高いことが挙げられる。具体的には、積層性の向上とは、水硬性組成物から形成されるモルタル又はフレッシュコンクリート等の水硬性組成物が所望の高さを形成することができる能力を指し、水硬性組成物が完全に硬化する前に所望の高さを維持できることを指す。そして、本発明の添加剤によって、積層造形用水硬性組成物の積層性指数を高くすることができる。
(添加剤)
本発明の添加剤は、積層造形用水硬性組成物に用いられるものである。本発明の添加剤はモルタル又はフレッシュコンクリート等の水硬性組成物と混練されるように用いられることが望ましい。
本発明の添加剤は、より具体的には下記構造単位(I)を少なくとも有する重合体を含むものである。好ましくは、本発明の添加剤は、下記構造単位(I)を少なくとも有する重合体を主成分として含む。ここで主成分とは、添加剤中、当該重合体が80重量%以上(好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上)であることを指す。より好ましくは、本発明の添加剤は、下記構造単位(I)を少なくとも有する重合体からなる。
本発明の添加剤は、用途をより具体的に限定して、増粘剤又は積層性向上剤とすることができる。
本発明の添加剤の具体的な使用方法として、例えば積層造形用のモルタル又はフレッシュコンクリート等の水硬性組成物に添加して攪拌することが挙げられる。
(積層造形)
本発明において、「積層造形」とは、型枠等の専用工具を使わずに、3次元データに基づく断面形状を積層していくことで、任意の形状の成形体を製造する技術をいう。「3Dプリンティング」、「立体造形」又は「ラピッドプロトタイピング」と一般に呼ばれることもある。
(積層造形用水硬性組成物)
本発明において、「積層造形用水硬性組成物」とは、積層造形のために用いられる水硬性組成物のことである。水硬性組成物は、水硬性材料及び骨材(粗骨材及び/又は細骨材)を含み、必要に応じて、消泡剤、分散剤等その他成分を含む。水硬性組成物の例として、例えば、モルタルやフレッシュコンクリートが挙げられる。
本発明における積層造形用水硬性組成物は、水硬性組成物に加えて本発明の添加剤を含むことが望ましい。当該積層造形用水硬性組成物は本発明の添加剤を水硬性物質(セメント)比で0.01~1.0重量%含むことが望ましい。
(水硬性材料)
本発明で使用する「水硬性材料」は、水硬性物質又はポゾラン反応性物質若しくは潜在水硬性物質であり、好ましくは水硬性物質を含むものである。水硬性材料がポゾラン反応性物質又は潜在水硬性物質を含む場合、当該水硬性材料はセメント(又は水酸化カルシウム)や刺激剤を更に含むことが望ましい。
(水硬性物質)
本発明における「水硬性物質」とは所謂セメントであり、セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)が挙げられる。本発明におけるセメントは、1種、または2種以上であってもよい。
(ポゾラン反応性物質)
本発明における「ポゾラン反応性物質」とは、それ単独での水硬性はないが、コンクリート中の成分(例えば、セメントの水和により生成した水酸化カルシウム)と徐々に化合して不溶性の化合物(例えばカルシウムシリケート水和物)をつくる物質であり、天然ポゾラン、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、メタカオリン又はシリカフュームが挙げられ、好ましくはフライアッシュである。フライアッシュはI、II、III、IV種があるが、好ましくはII種である。ポゾラン反応性物質は粒径が0.01~10mmの粒状物となっていることが望ましい。
(潜在水硬性物質)
本発明における「潜在水硬性物質」とは、単に水を混ぜただけでは硬化は起さないが、刺激剤と呼ばれる少量の物質が存在するときに硬化する物質であり、例えばスラグ(高炉スラグ・高炉徐冷スラグ・製鋼スラグ等)である。潜在水硬性物質は粒径が0.01~10mmの粒状物となっていることが望ましい。
刺激剤としては、アルカリ金属炭酸塩の水溶液、アルカリ金属フッ化物の水溶液、アルカリ金属水酸化物の水溶液、アルカリ金属アルミン酸塩の水溶液、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液(例えば水ガラス)及び/又はそれらの混合物が挙げられ、本発明における潜在水硬性物質を含む組成物に添加することができる。
(骨材)
本発明で使用する骨材としては、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)などの任意の適切な骨材を採用し得る。このような骨材としては、例えば、砂、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
(消泡剤)
消泡剤としては、ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド1~20モル付加、エチレンオキシド1~20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等のオキシアルキレン系消泡剤:鉱油系、油脂系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、アミド系、リン酸エステル系、金属石鹸系、シリコーン系等の消泡剤が挙げられる。
(構造単位(I))
本発明における重合体は、下記構造単位(I)を有するものである。
上記の構造単位(I)において、XはC=O又は(CH[pは0~5の整数]であり、ROは炭素数2~8のオキシアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって15~500の数であり、Rは水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基であって、残りのR~Rが同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基を表す。なお、重合体において、異なる種類の構造単位(I)が含まれてもよいことは言うまでもない。
上記Xは好ましくは(CH[pは0~5の整数]であり、より好ましくは(CH[pは0~2]であり、さらに好ましくは(CH[pは1]である(p=0の場合、構造単位(I)におけるXの上部のCと下部のOは直接結合することになる)。上記ROは好ましくは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2のオキシアルキレン基である。
また上記nは、本発明の効果の点から、20~500であっても良く、25~500であっても良く、30~500であっても良く、50~500であっても良く、好ましくは75~500であり、より好ましくは100~500であり、更により好ましくは150~500であり、特に好ましくは200~500であり、最も好ましくは200~400である。上記下限以上であることで、積層性が一層向上し、上限以下であることで、重合体の取り扱い性が良好となる。
上記Rは、水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基であり、本発明の効果の点から、好ましくは水素原子又は炭素数1~4の炭化水素基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、さらにより好ましくは水素原子である。上記R~Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1~4の炭化水素基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。より好ましくは、R~Rのうち、少なくとも1つは、炭素数1~8の炭化水素基であり、1または2が、炭素数1~8の炭化水素基であってもよい。上記の炭化水素基として、より具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基)、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基であり、特に好ましくはメチル基が挙げられる。
上記構造単位(I)は、ポリアルキレングリコール基(水酸基末端)、アルコキシポリアルキレングリコール基(アルキル基末端)、又はフェノキシポリアルキレングリコール基(アリール基末端)を含有する単量体(以下、ポリアルキレングリコール基等含有単量体と言う。)が炭素-炭素二重結合が開裂した際に形成される構造単位であって良く、当該ポリアルキレングリコール基等含有単量体として、不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体又は不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体が挙げられる。中でも、上記構造単位(I)は、不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体及び/又は不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体が炭素-炭素二重結合が開裂した際に形成される構造単位であることが好ましく、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体が炭素-炭素二重結合が開裂した際に形成される構造単位であることがより好ましい。
上記の不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体として、例えばポリアルキレングリコールモノメタクリレート、ポリアルキレングリコールモノアクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノメタクリレート、アルコキシポリアルキレングリコールモノアクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールモノアクリレート等が挙げられ、好ましくはアルコキシポリアルキレングリコールモノメタクリレート又はアルコキシポリアルキレングリコールモノアクリレートであり、より好ましくはアルコキシポリアルキレングリコールモノメタクリレートである。
上記アルコキシポリアルキレングリコールモノメタクリレートとして、例えば、メトキシポリエチレングリコール-メタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-メタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール-メタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール-メタクリレートが挙げられ、好ましくはメトキシポリエチレングリコール-メタクリレートである。
上記アルコキシポリアルキレングリコールモノアクリレートとして、例えば、メトキシポリエチレングリコール-アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール-アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール-アクリレートが挙げられる。
上記フェノキシポリアルキレングリコールモノメタクリレートとして、例えば、フェノキシポリエチレングリコール-メタクリレートが挙げられる。
上記アルコキシポリアルキレングリコールモノアクリレートとして、例えば、メトキシポリエチレングリコール-アクリレートが挙げられる。
上記フェノキシポリアルキレングリコールモノアクリレートとして、例えば、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール-アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアクリレートが挙げられる。
上記ポリアルキレングリコールモノメタクリレートとして、例えば、ポリエチレングリコール-モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール-モノメタクリレート、ポリエチレングリコール-プロピレングリコール-モノメタクリレート、ポリエチレングリコール-テトラメチレングリコール-モノメタクリレート、プロピレングリコール-ポリブチレングリコール-モノメタクリレートが挙げられる。
上記ポリアルキレングリコールモノアクリレートとして、例えば、ポリエチレングリコール-モノアクリレート、ポリプロピレングリコール-モノアクリレートが挙げられる。
上記の不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オール、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルのいずれかの水酸基にアルキレンオキシドを15~500モル付加した化合物が挙げられ、好ましくは3-メチル-3-ブテン-1-オールにアルキレンオキシドを15~500モル(好ましくは50~500モル)付加した化合物、アリルアルコールにアルキレンオキシドを15~500モル(好ましくは50~500モル)付加した化合物又はメタリルアルコールにアルキレンオキシドを15~500モル(好ましくは50~500モル)付加した化合物であり、より好ましくはアリルアルコールにアルキレンオキシドを15~500モル付加した化合物及び/又はメタリルアルコールにアルキレンオキシドを15~500モル付加した化合物である。当該アルキレンオキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドであることが好ましく、エチレンオキシドが最も好ましい。
(構造単位(II))
本発明における重合体は、セメント等の水硬性組成物への吸着性を向上させる観点から下記構造単位(II)を更に有することが望ましい。
上記の構造単位(II)において、R~Rが同一又は異なって、水素原子、炭素数1~8の炭化水素基又はカルボキシル基を表し、Mは水素原子又はカチオン種(好ましくは、本発明の効果の点から、Mはカチオン種)を表す。なお、重合体において、異なる種類の構造単位(II)が含まれてもよいことは言うまでもない。
上記のR~Rは同一又は異なって、好ましくは水素原子、炭素数1~4の炭化水素基又はカルボキシル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。上記の炭化水素基として、より具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基)、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基であり、特に好ましくはメチル基が挙げられる。上記のカチオン種として、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等が挙げられるが、好ましくはナトリウムである。カチオン種としては2種以上のカチオン種であってもよい。
上記の構造単位(II)は、不飽和カルボン酸系単量体が有する炭素-炭素二重結合が開裂した際に形成される構造単位であって良く、当該不飽和カルボン酸系単量体として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、3-メチルクロトン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、2-メチレングルタル酸およびこれらの塩が挙げられる。塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられるが、好ましくはナトリウム塩である。不飽和カルボン酸系単量体として、好ましくはアクリル酸(塩)、メタクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)又はフマル酸(塩)であり、より好ましくはアクリル酸(塩)及び/又はメタクリル酸(塩)であり、さらに好ましくはアクリル酸塩及び/又はメタクリル酸塩であり、さらにより好ましくは、アクリル酸ナトリウム及び/又はメタクリル酸ナトリウムである。なお、ここで、アクリル酸(塩)とは、アクリル酸及び/又はアクリル酸塩を指し、メタクリル酸(塩)とは、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸塩を指す。
(その他の構造単位)
本発明における重合体は、上記の構造単位(I)及び(II)以外の構造単位を残部に含むことが可能である。
当該残部の構造単位として、例えばスルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位、リン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位、及び(メタ)アクリレート由来の構造単位等が挙げられる。中でも、セメント等の水硬性組成物への吸着性を向上させる観点から、本発明における重合体は、残部の構造単位として、スルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位、ならびにリン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位を含むことがより好ましい。
尚、本願明細書中の「単量体由来の構造単位」とは、単量体が重合して形成される構造単位の意味であり、より詳細には、単量体が有する炭素-炭素二重結合が開裂して形成される構造を意味している。また、本願明細書中の「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味している。
上記のスルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体は、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、下記式(III)で表されるスルホン酸又はこれらの塩が挙げられ、より好ましくは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、下記式(III)で表されるスルホン酸又はそれらの塩であり、最も好ましくは3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムである。これらの不飽和単量体は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
本発明における重合体は、上記の構造単位(I)と、上記の構造単位(II)と、さらに上記のスルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位と、を含むものであっても良い。また、本発明における重合体は、上記の構造単位(II)を含まずに、上記の構造単位(I)と上記のスルホン酸基又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位とを含むものであっても良い。
構造単位(III)中、pは1~4の整数であり、q及びrは同一又は異なって0~100の整数(好ましくは0~50の整数、より好ましくは0~20の整数)であり、R,R10は炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、Y及びZは同一又は異なってヒドロキシ基、炭素数2~4のアルコキシル基、1価のリン酸基又は1価のスルホン酸基であり、Y及びZのうち少なくとも1つはスルホン酸基を表す。
上記のリン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体は、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートモノリン酸エステル、ヒドロキシエチルプロピルメタクリレートモノリン酸エステル、ヒドロキシエチルブチルメタクリレートモノリン酸エステル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノリン酸エステル又は其の塩が挙げられる。
本発明における重合体は、上記の構造単位(II)を含まずに、上記の構造単位(I)と上記のリン酸及び/又は其の塩である不飽和単量体由来の構造単位とを含むものであっても良い。
上記の(メタ)アクリレートは、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。本発明における重合体は、上記の構造単位(I)と、上記の構造単位(II)と、さらに上記の(メタ)アクリレート由来の構造単位と、を含むものであっても良い。
(重合体の構成)
本発明における重合体は、上記の構造単位(I)を当該重合体100重量部に対して好ましくは10.0~100.0重量部、より好ましくは50.0~100.0重量部、更に好ましくは75.0~99.0重量部、更により好ましくは80.0~99.0重量部含むことが望ましい。また、本発明における重合体は、上記の構造単位(II)を当該重合体100重量部に対して好ましくは1.0~30.0重量部、より好ましくは2.0~20.0重量部、更に好ましくは2.0~15.0重量部、更により好ましくは2.0~10.0重量部含むことが望ましい。上記残部の構造単位は、本発明における重合体100重量部に対して、例えば1.0~30.0重量部で当該重合体に含まれる。
本発明における重合体は、構造単位(I)及び構造単位(II)を含むこと((I)及び(II)からなるもの及び実質的になるもの(例えば全構造単位100重量部に対して(I)及び(II)が99.0重量部以上)も含む)が望ましい。この際、残部の構造単位は、重合体100重量部に対して、例えば1.0~20.0重量部で当該重合体に含まれても良く、1.0~10.0重量部で含まれても良い。さらには、本発明における重合体は、構造単位(I)及び構造単位(II)を含むことに加えて、残部の構造単位として、スルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位、ならびにリン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことも好ましい一態様である。
また、本発明のおける重合体は、構造単位(I)ならびにスルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位を含むこと((I)ならびにスルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位からなるもの、及び実質的になるもの(例えば全構造単位100重量部に対して(I)及びスルホン酸基又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位が99.0重量部以上)も含む)が望ましい。この際、スルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体由来の構造単位は、合計で、重合体100重量部に対して、例えば1.0~30.0重量部で当該重合体に含まれても良く、5.0~30.0重量部で含まれても良く、10.0~25重量部で含まれても良い。
本発明における重合の例として、例えば(1)ポリアルキレングリコール基等含有単量体と(2)不飽和カルボン酸系単量体とを用いて共重合したものや(1)ポリアルキレングリコール基等含有単量体とスルホン酸基及び/又は其の塩の基を有する不飽和単量体とを用いて共重合したものが挙げられる。
本発明における重合体の重量平均分子量は、静的光散乱法や下記実施例に記載の方法(好ましくは下記実施例に記載の方法)を用いた重量平均分子量として、例えば、1,000~10,000,000、好ましくは2,000~8,000,000、より好ましくは3,000~6,000,000であり、更により好ましくは4,000~5,000,000であり、更に好ましくは、10,000~500,000であることが望ましく、特に好ましくは、10,000~100,000であることが望ましい。
(重合方法)
本発明にかかる重合体を得るための重合は、重合開始剤の存在下で行ってもよい。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられる。この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L-アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。
重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤の使用量は、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、単量体成分100重量部に対して、例えば、0.05重量部以上、好ましくは0.1重量部以上等であってよく、例えば、2重量部以下、好ましくは1重量部以下等であってもよい。
重合開始剤の添加方法は、特に限定されないが、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。
なお、重合反応は、必要に応じて、還元剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム)、重合開始剤の分解剤(例えば、硫酸第一鉄などの遷移金属塩)、連鎖移動剤[例えば、チオール基を有する化合物(例えば、tert-ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、2-メルカプトエタンスルホン酸等)]、pH緩衝剤、キレート剤等の存在下で行ってもよい。重合の際の雰囲気は、特に限定されないが、重合効率などの観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであってもよい。
重合温度は、特に限定されないが、例えば、50~100℃、好ましくは60~95℃であってもよい。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。重合時間は、特に限定されず、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1時間以上(例えば、1~24時間)、好ましくは2~12時間(例えば、2~9時間)程度であってもよい。
(積層造形用水硬性組成物)
本発明における積層造形用水硬性組成物は積層造形用のモルタルやフレッシュコンクリートであってよい。当該積層造形用水硬性組成物の製造方法として、例えば、水硬性組成物及び本発明の添加剤を混合して攪拌する工程、を含む製造方法が挙げられる。他の形態としては、(a)水硬性組成物と水を攪拌する工程、及び(b)当該工程後の攪拌物に本発明の添加剤を添加して攪拌する工程、を含む製造方法が挙げられる。当該製造方法における(a)工程及び(b)工程は其々独立して行われるものであり、(a)工程の後に(b)工程が行われる。
また当該製造方法における上記工程の後は、当該フレッシュコンクリートは直ち(例えば上記工程後の0~300秒間)に別のフレッシュコンクリート上に対して積層されることが望ましい。
<積層造形物及び積層造形方法>
本発明の水硬性組成物は、積層造形用として用いられるのに適している。よって、本発明によれば、本発明の積層造形用水硬性組成物から形成される積層造形物も提供される。
また、他の一実施形態は、上記実施形態の水硬性材料組成物を用いて積層造形物を製造する方法である。
積層造形用水硬性材料組成物を用いて積層造形物を製造する方法(積層造形方法)は、上記実施形態の水硬性組成物をノズルから押出し、水硬性組成物を積層する工程を含む。本実施形態に係る積層造形方法は、好ましくは、積層造形用水硬性組成物を圧縮空気又はポンプ等により圧送する工程と、圧送された積層造形用水硬性組成物をノズルから押出し、積層造形用水硬性組成物を積層させて積層造形物を形成する工程と;を含む。本発明の添加剤は、水硬性組成物の流動性を低下させることなく、積層性を向上させることができるため、水硬性組成物を圧縮空気又はポンプ等により圧送する前に、本発明の添加剤を添加することが好ましい。すなわち、積層造形用水硬性材料組成物を用いて積層造形物を製造する方法(積層造形方法)は、本発明の添加剤を含む積層造形用水硬性組成物を準備する工程と、得られた積層造形用水硬性組成物を圧縮空気又はポンプ等により圧送する工程と、圧送された積層造形用水硬性組成物をノズルから押出し、積層造形用水硬性組成物を積層させて積層造形物を形成する工程と;を含む。
積層造形用水硬性材料組成物の圧送配管の先端には、通常ノズル(吐出部)が設けられている。ノズルの径は特に限定されないが、使用する骨材のサイズや積層造形用水硬性材料組成物を積層する幅によって適宜設定すればよい。例えば、骨材のサイズが5mm以下、積層幅が50mm以下であれば、ノズルの径は8~15mmが好ましい。ノズルの形状は、特に限定するものではないが、円形、楕円形、矩形、十字形、星形などが挙げられ、吐出された水硬性材料組成物の表面に平滑性を付与することを目的にノズル周囲にツバを設けてもよい。
ノズルから吐出された積層造形用水硬性材料組成物を積層させて造形していく際には、ノズルを鉛直方向や水平方向に移動させることにより積層造形用水硬性材料組成物による造形を行ってもよい。例えば、ロボットアームや門型プロッターにノズルを固定し、コンピュータ制御することによりノズルの移動を制御するのが好ましい。コンピュータで作成した3次元データを所定の厚さで切断して2次元スライスデータを作成し、吹付けノズルを2次元スライスデータに基づいて縦・横・斜めなどの水平方向の移動制御を行いながら、ノズルから積層造形用水硬性材料組成物を吐出させ、垂直方向にノズルを移動させることで繰り返して順次積層させて造形する方法が可能である。ノズルの移動速度は、特に限定されず、積層する幅によって変えることができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、特に断りがない限り、「部」は重量部を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
<実施例1>
L-アスコルビン酸0.4部、3-メルカプトプロピオン酸0.8部を水50.0部に溶解させた水溶液(B1a)を調製した。温度計、撹拌機、滴下装置、窒素導入管、還流冷却器を備えた反応容器に水90.4部、3-メチル-3-ブテン-1-オールにエチレンオキシドが平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(IPN-50)191.0部、アクリル酸(AA)0.3部を仕込み、続いて撹拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、過酸化水素35%水溶液を0.9部投入した。30分後、上述の混合溶液(B1a)を3.5時間かけて、アクリル酸(AA)25.5部を3.0時間かけて、それぞれ一定速度で計量滴下した。この間の温度は60℃で一定とした。混合溶液(B1a)の滴下終了後、1時間引き続き60℃を維持し、重合反応を終了した。その後、重合反応温度以下の温度において水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液のpHをpH=6.3まで中和した。このようにして、目的の重合体を含む水溶液を得た。該重合体の重量平均分子量Mwは32000であった。
重合体の重量平均分子量Mwは、以下の条件に従ってGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を実施して測定した。
・装置名:Waters製 alliance e2695
・使用カラム:東ソー株式会社製のTSKguardcolumnα+TSKgelα-5000+TSKgelα-4000+TSKgelα-3000を各1本ずつ連結して使用した。
・溶離液:リン酸二水素ナトリウム・2HO:62.4g、リン酸水素二ナトリウム・12HO:143.3gを、イオン交換水:7794.3gに溶解させた溶液に、アセトニトリル:2000gを混合した溶液を用いた。
・検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)
較正曲線作成用標準物質:ジーエルサイエンス社製ポリエチレンオキシド(Mw 255000、200000、107000、72500、44900、31440、21300、11840、6450、4020、1470)
較正曲線:上記標準物質のMw値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成した。
・打ち込み量
サンプルおよび標準資料:ポリマー濃度が1.0vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
・流速:0.5ml/min
・カラム温度:40℃
・測定時間:90分。
<実施例2~29及び比較例1、2>
実施例2~29及び比較例1、2の重合体は、実施例1と同様の手順で、下記の表1の配合で重合を行うことで得た。これら重合体の分子量は3-メルカプトプロピオン酸の添加量を適宜変更して重合を行うことで調整した。
IPN50:3-メチル-3-ブテン-1-オールにエチレンオキシドが平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体
PGM25E:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数25モル)
PGM40E:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数40モル)
MLA20:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均20モル付加した不飽和アルコール
MLA50:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均50モル付加した不飽和アルコール
MLA75:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均75モル付加した不飽和アルコール
ALA75:アリルアルコールにエチレンオキサイドを平均75モル付加した不飽和アルコール
ALA150:アリルアルコールにエチレンオキサイドを平均150モル付加した不飽和アルコール
ALA250:アリルアルコールにエチレンオキサイドを平均250モル付加した不飽和アルコール
MLA100:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均100モル付加した不飽和アルコール
MLA150:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均150モル付加した不飽和アルコール
MLA200:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均200モル付加した不飽和アルコール
MLA250:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均250モル付加した不飽和アルコール
IPN10:3-メチル-3-ブテン-1-オールにエチレンオキシドが平均10モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体
MLA10:メタリルアルコールにエチレンオキサイドを平均10モル付加した不飽和アルコール
SA:アクリル酸ナトリウム
SMAA:メタクリル酸ナトリウム
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
HAPS:3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム
HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート
AMPS:2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム。
[試験例1]フロー試験
JIS R5201:2015の内容を参考に、以下の方法でフロー試験を行った。尚、フロー試験、及び後述する積層性評価試験は温度が20±1℃、相対湿度が60±15%RHの環境下で行った。
まず、実施例1~29及び比較例1、2の重合体のいずれかを事前に水で薄めて調製しておいた10%ポリマー液、及び消泡剤としてアデカノールLG-299(アデカ社製)、及び水を混合させて、溶液(A)を調製した。該溶液(A)は、該10%ポリマー液を該溶液(A)を用いた場合の以下フロー試験の結果が196mm以上204mm以下になる量で混合し、アデカノールLG-299を該10%ポリマー液の固形分の5%量で混合し、水を該溶液(A)が331.2gになる量で混合することで調製した。
次に、ハイパワーミキサー(型番CB-34;丸東製作所社製)の釜に普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)を690g添加した後、細骨材(掛川産砂)を1600g添加し、ただちに低速でミキサーの混練を始動した。ミキサーの混練を開始してから10秒後に、溶液(A)を10秒間かけて添加した。ミキサーの混練の始動を開始してから60秒後に、60秒間休止し、休止の最初の30秒間に釜を取り外し、パドル及びスパチュラを用いて、釜とパドルに付着したモルタルのかき落としを行った。上記の休止が終了した後、高速で60秒間混錬した。
上記で混練した各モルタルは、円錐台形のフローコーン(下部直径100mm、上部直径70mm、高さ60mm)を用いてフロー値の測定を行った。尚、当該フロー値の測定の際の詳細条件は以下に記載した通りである。
コーンの設置:コーンは使用前に汚れ、傷及びへこみがないことを目視によって確認した。コーンの内面及びフローテーブルの上面はあらかじめ湿布等で拭き清潔な状態とした。
フローテーブル:JIS R5201:2015に記載のフローテーブルを使用した。
試料充填方法:コーンは、水平に設置した平板上に置き、試料はほぼ等しい量の2層に分けて詰めた。その各層は、突き棒でならした後、25回偏りがないように一様に突いた。各層を突く際の突き棒の突き入れ深さは,その前層にほぼ達する程度とした。最後に必要に応じて、不足分を補い、表面をならした。ただちにコーンを垂直方向に取り去り、1秒間に1回の頻度で計15回落下運動を与え、モルタルが広がった後の、最大と認められる方向の長さおよび、これに直角方向の長さを測り、平均値をフロー(mm)として記録した。
[試験例2]積層性評価試験
あらかじめ、ポリエチレン製の袋(幅200mm、長さ280mm、厚さ0.04mm、日本ハイテック株式会社製パコールチャック袋、4I)の底の角を1か所だけ切り取り、モルタルを吐出するための吐出袋を作成した。なお、切り取る形は、高さ15mm*底辺15mmの直角二等辺三角形とした。
実施例1~29及び比較例1、2の重合体の其々につき、モルタルを混練して上述のフロー試験を行った後、以下の手順で積層性指数の評価を行った。
(1)モルタル(フロー試験結果:196mm~204mm)を吐出袋に流し込み、吐出前の重量を計測した。ここで、流動性と積層性はトレードオフの関係にあるため、積層性評価試験においては、フロー値を196mm~204mmに揃えて評価した。
(2)吐出袋を持ち上げて、1辺100mmの正方形の辺を10秒間に1回転する速度で、手動で絞りながら吐出を行い、3回転させて、3層積み上げた。同じ吐出を更に1回繰り返し、合計2個の積層体を作製した。吐出完了後、吐出袋の重量を計測し、以下の式で吐出量を算出した。
吐出量(kg)=吐出前の吐出袋の重量(kg)-吐出後の吐出袋の重量(kg)
(3)吐出量が0.45kg以上0.55kg以下の範囲内であることを確認した場合につき、該積層体の高さを評価した。該積層体の4つの角と各辺の中央の8か所の高さ(mm)を測定し、(積層体が2個あるため)合計16か所の高さを計測し、平均を算出した。
(4)積層性の指標として、以下の計算式で算出される積層性指数を定義した。
積層性指数=16か所の高さの平均値(mm)÷吐出量(kg)
ここでの積層性指数の値が高いほど、積層性が高いことを意味する。なお、積層性指数は、例えば、30以上、35以上、40以上、42以上、45以上であることが好ましい。
上記に依って評価した、各実施例・比較例に係る積層性指数は上記表1の右欄に記載の通りである。
表1の結果より、本発明の添加剤を用いた場合には、積層造形用水硬性組成物の積層性を有意に向上できることが示唆された。また、本発明の構造単位(I)のn(オキシアルキレン基の平均付加モル数)は、20以上、25以上、40以上、50以上、75以上、100以上、150以上、200以上又は250以上に該当することが望ましく、より大きい数値範囲に該当することが望ましいことが理解される。
本出願は、2022年9月6日に出願された日本特許出願番号2022-141353号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (9)

  1. 下記構造単位(I)および下記構造単位(II)を有する重合体を含
    前記重合体は、前記重合体100重量部に対して、前記構造単位(I)を50.0~99.0重量部、前記構造単位(II)を1.0~30.0重量部含む、積層造形用水硬性組成物用の添加剤。

    (構造単位(I)中、XはC=O又は(CH[pは0~5の整数]であり、ROは炭素数2~8のオキシアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって40~500の数であり、Rは水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基であって、残りのR~Rが同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基を表す。)

    (構造単位(II)中、R ~R が同一又は異なって、水素原子、炭素数1~8の炭化水素基又はカルボキシル基を表し、Mは水素原子又はカチオン種を表す。)
  2. 下記構造単位(I)を有する重合体を含み、
    前記重合体は、前記重合体100重量部に対して、前記構造単位(I)を50.0~99.0重量部含み、
    前記重合体が、さらにスルホン酸基、リン酸基及び其れらの塩の基からなる群から選択される少なくとも1種を有する不飽和単量体由来の構造単位を前記重合体100重量部に対して、1.0~30.0重量部含む、積層造形用水硬性組成物用の添加剤。

    (構造単位(I)中、XはC=O又は(CH [pは0~5の整数]であり、R Oは炭素数2~8のオキシアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であって15~500の数であり、R は水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基であって、残りのR ~R が同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~8の炭化水素基を表す。)
  3. 前記nが50~500の数である、請求項1または2に記載の添加剤。
  4. 前記nが100~500の数である、請求項1または2に記載の添加剤。
  5. 前記Xが(CH[pは0~2の整数]である、請求項1または2に記載の添加剤。
  6. 前記重合体が、さらに下記構造単位(II)を含む共重合体である、請求項に記載の添加剤。

    (構造単位(II)中、R~Rが同一又は異なって、水素原子、炭素数1~8の炭化水素基又はカルボキシル基を表し、Mは水素原子又はカチオン種を表す。)
  7. 積層性向上剤である、請求項1または2に記載の添加剤。
  8. 請求項1または2に記載の添加剤を含む、積層造形用水硬性組成物。
  9. 水硬性組成物及び請求項1または2に記載の添加剤を混合して攪拌する工程、
    を含む積層造形用水硬性組成物の製造方法。
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