JP7828213B2 - 金属板上の有機付着物のサンプリング方法および有機化合物の同定方法 - Google Patents
金属板上の有機付着物のサンプリング方法および有機化合物の同定方法Info
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Description
以上の知見を基に、本発明者らは、以下に述べる本発明を完成させた。
(1)撥液処理を施した溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、加圧-減圧機構により有機溶媒の吐出および吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置を用いる、金属板上の有機付着物のサンプリング方法であって、
前記の細管状部材が有機溶媒の吐出と吸引とを行うための開口部を有する一つの部材であり、前記開口部の径は25μm以下であり、有機溶媒を注入した当該細管状部材を、顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、
圧力を加えることにより前記の細管状部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出して有機溶媒の膜を形成して有機付着物を溶解した後、
前記の細管状部材の内部を減圧することにより、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を前記の開口部から吸引し、
前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を含む前記の細管状部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、圧力を加えることにより前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して前記の溶媒揮発部上で液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮する、金属板上の有機付着物のサンプリング方法が提供される。
(2)前記の細管状部材の開口部が前記の有機溶媒の液滴と接触している状態で有機付着物を溶解させる、上記(1)に記載のサンプリング方法が提供される。
(3)撥液処理を施した溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、有機溶媒の吐出または吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置を用いる、金属板上の有機付着物のサンプリング方法であって、
前記の細管状部材が、有機溶媒を有機付着物上に吐出するための開口部を有する吐出用部材と当該吐出した有機溶媒を吸引するための開口部を有する吸引用部材の一対の部材であり、前記吐出用部材の開口部の径が25μm以下であり、当該一対の細管状部材を顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、
加圧機構により圧力を加えることにより、有機溶媒を注入した前記の吐出用部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出するとともに、前記の吸引用部材により前記の吐出された有機溶媒を吸引し、前記の有機付着物の表面に有機溶媒の流れを形成することにより前記の有機付着物を溶解し、
前記の吸引用部材により、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吸引し、
前記の吸引用部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、前記の吸引用部材の内部の前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒に圧力を加えることにより、前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して前記の溶媒揮発部上で液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮する、金属板上の有機付着物のサンプリング方法が提供される。
(4)撥液処理の施されていない溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、加圧-減圧機構により有機溶媒の吐出および吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置1、あるいは、撥液処理の施されていない溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、有機溶媒の吐出または吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置2を用いる、金属板上の有機付着物のサンプリング方法であって、
前記装置1を用いる場合、当該装置1の前記の細管状部材が有機溶媒の吐出と吸引とを行うための開口部を有する一つの部材であり、前記開口部の径は25μm以下であり、有機溶媒を注入した当該細管状部材を、顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、圧力を加えることにより前記の細管状部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出して有機溶媒の膜を形成して有機付着物を溶解した後、前記の細管状の部材の内部を減圧することにより、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を前記の開口部から吸引し、前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を含む前記の細管状部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、圧力を加えることにより前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して、前記の溶媒揮発部上で長径600μm以下に制御した液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮し、
前記装置2を用いる場合、当該装置2の前記の細管状部材が、有機溶媒を有機付着物上に吐出するための開口部を有する吐出用部材と当該吐出した有機溶媒を吸引するための開口部を有する吸引用部材の一対の部材であり、前記吐出用部材の開口部の径が25μm以下であり、当該一対の細管状部材を顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、加圧機構により圧力を加えることにより、有機溶媒を注入した前記の吐出用部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出するとともに、前記の吸引用部材により前記の吐出された有機溶媒を吸引し、前記の有機付着物の表面に有機溶媒の流れを形成することにより前記の有機付着物を溶解し、前記の吸引用部材により、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吸引し、前記の吸引用部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、前記の吸引用部材の内部の前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒に圧力を加えることにより、前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して、前記の溶媒揮発部上で長径600μm以下に制御した液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮する、金属板上の有機付着物のサンプリング方法が提供される。
(5)前記(1)~(4)のいずれかに記載の金属板上の有機付着物のサンプリング方法を用い、前記の試料ステージ上の溶媒揮発部に形成された、前記の有機付着物の濃縮物を顕微反射フーリエ変換赤外分光法で測定する、前記有機付着物を構成する有機化合物の同定方法が提供される。
本発明の有機付着物のサンプリング方法の対象試料は、有機物が付着した金属板である。これにおける有機付着物は、有機化合物だけで構成されるものでも、無機物との混合物であってもよい。有機化合物は1種類でも複数種類の混合物でもよい。前記金属板の構成材料は特に限定するものではないが、有機付着物の溶解に用いる有機溶媒に溶解せず、当該有機溶媒に対する濡れ性の高い金属である場合に発明の効果を好適に発揮する。なお金属板がめっき製品など、金属の積層体である場合には、有機付着物が付着している表面の金属種が重要である。前記金属板(積層体である場合は表面の金属層)の構成材料の例としては、銅、銅合金、銀、スズが挙げられる。
本発明の有機付着物のサンプリング方法においては、試料ステージ上に、後述する表面に撥液処理を施した溶媒揮発部を設ける。有機付着物の同定方法として、顕微FT-IRを用いる場合には、試料ステージとして赤外線反射部材からなるものを用いると、本発明のサンプリング方法を実施したステージをそのまま顕微鏡反射FT-IRに供することができるので、好ましい。サンプリングの際には、異物である微小な有機物が付着したサンプリング対象試料を、当該溶媒揮発部の近くに載置することが、操作性の観点から好ましい。なお、本発明のサンプリング方法においては特に限定するものではないが、前記の溶媒揮発部およびサンプリング対象試料の近くに、有機付着物の溶解に用いる有機溶媒を貯留した容器を配置することが、操作性の観点から好ましい。当該試料ステージは、後述する細管状部材に対して相対的に移動を可能とする必要があるが、試料ステージを可動とする場合には、少なくとも二軸方向に移動可能なものを用いる。
本発明の有機付着物のサンプリング方法では、後述する細管状部材の移動および細管状部材からの有機溶媒の吐出および溶解した有機付着物を含む有機溶媒の吸引は、顕微鏡観察システムによる観察下で行う。その場合、顕微鏡の視野内の映像をCRTディスプレイ等の表示装置に表示させても構わない。従来、有機付着物と前記の細管状部材の相対的な位置合わせは目視で、手作業で行っていたが、目視の場合、有機付着物が微小な場合には、前記の相対的位置合わせの精度が悪くなり、測定対象の有機付着物のそばにあるコンタミネーションをサンプリングする可能性が増大する。
本発明の有機付着物のサンプリング方法では、微小な有機付着物を有機溶媒で溶解して回収するために、加圧-減圧機構により有機溶媒の吐出および/または吸引を可能とした細管状部材を用いる。当該細管部材としては、バイオテクノロジー分野でマイクロインジェクションに用いられる、ピストン付きのマイクロピペット等を用いることができる。当該マイクロピペットには圧力調整機構としてのゴム球を装着してもよい。
本発明の有機付着物のサンプリング方法では、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吸引した細管状部材を、溶媒揮発部の上に移動し、前記有機溶媒を溶媒揮発部に吐出し、形成された液滴から有機溶媒を揮発させて、有機付着物を蒸発乾固(濃縮)する。当該溶媒揮発部として、後述のように、撥液処理を施さない状態の試料ステージ表面を用いることができるが、操作の迅速性が要求される場合には、表面に撥液処理を施したものを用いることが好ましい。なお溶媒揮発部は、試料ステージ上に金属板を配置する位置の近くにあることが、操作の簡便性から好ましい。
本発明の有機付着物のサンプリング方法の第一の実施形態においては、有機溶媒の吐出用と吸引用を兼ねた、一本の細管状部材を使用する。この実施態様においては、予め有機付着物を溶解するための有機溶媒を注入した細管状部材を、顕微鏡観察下で搬送手段を用いて有機付着物の近傍に移動した後、加圧-減圧機構を用い、圧力を加えることで当該有機付着物の表面に有機溶媒を吐出することにより有機溶媒の液滴からなる膜を形成する。なお、加圧-減圧機構を用いなくても、有機溶媒の蒸発による内圧の増加により細管状部材から有機溶媒を吐出させることが可能な場合もあるが、その場合も加圧-減圧機構を用いたとみなす。
図1に、第一の実施形態における抽出操作の形態を模式的に示す。
本発明の有機付着物のサンプリング方法の第二の実施形態においては、有機付着物を溶解するための有機溶媒の吐出を行う細管状部材(以下吐出用部材ともいう)と、溶解した有機付着物用を含む有機溶媒を吸引する吸引用部材の、二本の細管状部材を使用する。この実施態様においては、予め有機付着物を溶解するための有機溶媒を注入した吐出用部材と吸引用部材とを、顕微鏡観察下で搬送手段を用いて有機付着物の近傍に移動した後、吐出用部材の内部を加圧することにより、吐出用部材の吐出口から当該有機付着物の表面に有機溶媒を吐出するとともに、吸引用部材の内部を減圧し、有機付着物表面に吐出された有機溶媒を吸引口から吸引することにより、前記の吐出用部材の吐出口から前記の吸引用部材の吸引口まで、有機付着物の表面に有機溶媒の連続的な流れを形成し、その有機溶媒の流れの中に有機付着物を溶解することにより有機付着物を抽出する。その場合、吐出用部材の開口径が小さいため形成される液滴が小さいことに加えて、有機溶媒の吐出と吸引とを同時に行うため、有機溶媒の濡れ広がりをさらに効果的に防止することができる。前記の連続的な流れを形成するため、また有機付着物を溶解させる場を提供する観点から、吐出用部材の吐出口と吸引用部材の吸引口との間の距離は、5~500μmの範囲にあることが好ましい。
図2に、第二の実施形態における抽出操作の形態を模式的に示す。
前記の有機付着物のサンプリング方法により得られた蒸発乾固物を測定試料とすることにより、極微量の有機付着物の成分(有機化合物)の定性分析が可能になる。微量の有機付着物の成分の同定には、顕微FT-IR、顕微ラマン分光法、微小領域X線光電子分光法(μ-XPS)、マイクロサンプリング質量分析(μ-MS)等の微小部分析法(マイクロアナリシス)を用いることが可能である。これらの中でも、大気中で測定可能で測定装置が安価であり、かつ、有機官能基の情報が得られるために有機付着物の化学構造の特定が容易である、顕微FT-IR測定を用いることが好ましい。
以上説明した本発明のサンプリング方法及び同定方法の具体的な運用の形態について、一例を挙げて説明する。
顕微FT-IR測定には、Thermo Fisher Scientific社製赤外分光装置赤外顕微システム(Nicolet 4700, Continuμm)を用いた。試料ステージにはMicro Support社製アクシスプロSSマイクロスコープ一体型マニピュレーターを用い、(株)東レリサーチ社製ピンポイント濃縮プレート(2020-01)(撥液処理されている)を試料ステージ上に載置して溶媒揮発部とした。細管用部材としては、10μm径の円状口径のマイクロピペット(Micro Support社製、マイクロピペット、先端内径10μm(10本)、型式:MP-010、容量10μL、以下10μmマイクロピペットともいう)を用いた。図3に、本発明の実施に用いた装置の一部および操作状況を示す。
泰豊トレーディング(株)社製のCu板(板厚1mm)を2~3cm角に切断したものを、関東化学(株)社製Primepure純度(純度99.9質量%以上)のトルエン中で2分間超音波処理し、ブロワーで乾燥した後、その表面上に疑似的な有機付着物(以下疑似シミと呼称する)を形成したものを供試材とした。疑似シミの形成方法は以下の通りである。
上記の溶液4を用い、実施例1と同じ手順でCu板上に円環状の疑似シミを形成した後、その近くに指紋を3点付着させ、疑似シミ4-2とした。顕微鏡観察により確認したところ、付着した指紋と円環との距離は500μm~1mm程度であった。その疑似シミに対し、付着した指紋の近くで、(1)上記170μmシリンジ1本を使った目視、手操作による有機付着物の抽出、(2)10μmマイクロピペット1本を使った第一の実施形態による有機付着物の抽出、および(3)10μmマイクロピペット2本を使った第二の実施形態による有機付着物の抽出をそれぞれ行い、有機付着物の蒸発乾固物(濃縮スポット)を得た後、顕微FT-IR測定を行った。なおいずれの抽出操作も前記トルエンを用いて行った。また(1)の操作で得られた濃縮スポットは300μm径程度、(2)および(3)の操作で得られた濃縮スポットは100μm径程度であった。図6に、得られた蒸発乾固物に対して行った、顕微FT-IRの測定結果を示す。
市販品の棒状のポリカーボネート(アズワン(株)社製)をカッターで細かく切断したもの約10mgを精密天秤で秤量し、超音波洗浄機を用いて100mLの前記トルエンに溶解して溶液5とした。10mLの溶液5にトルエン10mLを加えて溶液6とした。さらに、10mLの溶液6にトルエン10mLを加えて溶液7とし、10mLの溶液7にトルエン10mLを加えて溶液8とした。また、粉末状のポリメタクリル酸メチル(KULZER社製Technovit 4004 Powder、純度95質量%)を精密天秤で約10mg秤量し、超音波洗浄機を用いて100mLのアセトン(関東化学(株)製、Primepure純度(純度99.9質量%以上))に溶解し、溶液9とした。10mLの溶液9にアセトン10mLを加えて溶液10とした。さらに、10mLの溶液10にアセトン10mLを加えて溶液11とし、10mLの溶液11にアセトン10mLを加えて溶液12とした。溶液8および12を用い、実施例1と同様な手順で円環状の疑似シミ5および6を形成した。その場合、疑似シミ5および6の円環状のシミはいずれも、直径が10mm程度、円環(輪郭部分)の幅が200μm程度のものであるが、連続したものではなく、大きさ100μm径程度の島状のシミが点在したものとなった。得られた疑似シミ5および6に対し、疑似シミ5に対しては有機溶媒としてトルエンを、疑似シミ6に対しては有機溶媒としてアセトンを用いて、実施例1に記載した第二の実施形態の手順で抽出操作を行ったところ、いずれも直径100μm程度の有機付着物の蒸発乾固物(濃縮スポット)が得られた。なお、抽出操作はいずれもシミの円環に沿っておよそ円環の1/4程度の長さにわたり移動しながら行った。図7に、有機付着物の種類をポリカーボネートとした場合(疑似シミ5の場合)に、図8に、有機付着物の種類をポリメタクリル酸メチルとした場合(疑似シミ6の場合)に、得られた蒸発乾固物に対して行った、顕微FT-IRの測定結果を示す。なお、図7および8には、抽出操作を行わず、疑似シミに対して直接顕微FT-IR測定を行った時に得られた赤外吸収スペクトルも併せて示している。
市販品の棒状のABS樹脂(アズワン(株)社製)をカッターで細かく切断したもの約10mgを精密天秤で秤量し、超音波洗浄機を用いて100mLのアセトニトリル(関東化学(株)製 LC/MC用、純度99.9質量%以上)に溶解して溶液13とした。また、10mLの溶液13に10mLのアセトニトリルを加え、溶液14とした。さらに、10mLの溶液14に10mLのアセトニトリルを加え、溶液15とした。続いて、実施例1で調製した溶液3(ステアリン酸アミドのトルエン溶液)と溶液15を等量混合して溶液16を作成した後、当該溶液16を用い、実施例1に記載の方法と同様な手順により、円環状の疑似シミ7を形成した。当該円環状の疑似シミは、直径が10mm程度、円環(輪郭部分)の幅が100μm程度のものである。
測定対象試料として、実際の工場でサンプリングされた、成分が未知の有機物のシミ状の汚染がある金属板を用いた。シミは長さ約1cm、幅200~300μmの直線状のものであった。
<実施例6-1>
測定対象試料として、実施例5と同じ試料(成分が未知の有機物のシミ状の汚染がある金属板)を用いた。
測定対象試料として、実施例4と同じ試料(Cu板上の円環状の疑似シミ7(ABS樹脂のアセトニトリル溶液とステアリン酸アミドのトルエン溶液とを等量混合した溶液を使用して形成したシミ))を用いた。
前記のサンプルに対し、有機付着物を溶解するための溶媒としてトルエンとアセトニトリルの等量混合溶媒を用い、実施例1に記載の10μmマイクロピペットを2本使用する抽出方法を用い、直径200μm程度の有機付着物の蒸発乾固物(以下、濃縮スポット7とよぶ)を形成した。なお、抽出操作はシミの円環に沿っておよそ円環の1/4程度の長さにわたり移動しながら行った。またこの際、抽出を行った箇所はシミの色が消失したためトルエンとアセトニトリルの等量混合溶媒によってシミ成分が溶解できたものと考えられる。
測定対象試料として、実施例5と同じ試料(成分が未知の有機物のシミ状の汚染がある金属板)を用いた。
まず上記のマニピュレーターの試料ステージ上に、シミの付着した金属板と、有機溶媒収容用のAlパン、および溶媒揮発部として、撥液処理を行っていない、泰豊トレーディング(株)社製のCu板(板厚1mm)を2~3cm角に切断したものを並べて載置した。なお、抽出操作に当たっては、操作(溶媒吸入・抽出・濃縮)の迅速性を確保するために、試料、Alパンおよび溶媒揮発部の座標を、予め操作コンピュータに入力しておき、当該座標に基づきステージを種々移動させた。そして、マニピュレーターにおけるマイクロスコープの拡大倍率を200倍として操作部を観察しながら、以下の操作を行った。
なお、上記の抽出操作については他にも金属板上のシミ上の2箇所、つまりは計3箇所で行い、いずれもCu板上の同一箇所に微量ずつ吐出させてシミ成分を蓄積させ、最終的に約500μm径程度の円環状の濃縮物1を得た。
まず上記のマニピュレーターの試料ステージ上に、シミの付着した金属板と、有機溶媒収容用のAlパン、および上記と同じCu板を並べて載置した。なお、抽出操作に当たっては、操作(溶媒吸入・抽出・濃縮)の迅速性を確保するために、試料、Alパンおよび溶媒揮発部の座標を、予め操作コンピュータに入力しておき、当該座標に基づきステージを種々移動させた。そして、マニピュレーターにおけるマイクロスコープの拡大倍率を200倍として操作部を観察しながら、以下の操作を行った。
Claims (5)
- 撥液処理を施した溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、加圧-減圧機構により有機溶媒の吐出および吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置を用いる、金属板上の有機付着物のサンプリング方法であって、
前記の細管状部材が有機溶媒の吐出と吸引とを行うための開口部を有する一つの部材であり、前記開口部の径は25μm以下であり、有機溶媒を注入した当該細管状部材を、顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、
圧力を加えることにより前記の細管状部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出して有機溶媒の膜を形成して有機付着物を溶解した後、
前記の細管状部材の内部を減圧することにより、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を前記の開口部から吸引し、
前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を含む前記の細管状部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、圧力を加えることにより前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して前記の溶媒揮発部上で液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮する、金属板上の有機付着物のサンプリング方法。 - 前記の細管状部材の開口部が前記の有機溶媒の液滴と接触している状態で有機付着物を溶解させる、請求項1に記載のサンプリング方法。
- 撥液処理を施した溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、有機溶媒の吐出または吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置を用いる、金属板上の有機付着物のサンプリング方法であって、
前記の細管状部材が、有機溶媒を有機付着物上に吐出するための開口部を有する吐出用部材と当該吐出した有機溶媒を吸引するための開口部を有する吸引用部材の一対の部材であり、前記吐出用部材の開口部の径が25μm以下であり、当該一対の細管状部材を顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、
加圧機構により圧力を加えることにより、有機溶媒を注入した前記の吐出用部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出するとともに、前記の吸引用部材により前記の吐出された有機溶媒を吸引し、前記の有機付着物の表面に有機溶媒の流れを形成することにより前記の有機付着物を溶解し、
前記の吸引用部材により、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吸引し、
前記の吸引用部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、前記の吸引用部材の内部の前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒に圧力を加えることにより、前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して前記の溶媒揮発部上で液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮する、金属板上の有機付着物のサンプリング方法。 - 撥液処理の施されていない溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、加圧-減圧機構により有機溶媒の吐出および吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置1、あるいは、撥液処理の施されていない溶媒揮発部を設けた試料ステージと、顕微鏡観察システムと、有機溶媒の吐出または吸引を可能とした細管状部材とを有し、前記の試料ステージと前記の細管状部材とを顕微鏡観察システムの観察下で搬送機構により相対的に移動可能とした、金属板上に付着した有機化合物を含む有機付着物を有機溶媒で溶解した後に吸引するための装置2を用いる、金属板上の有機付着物のサンプリング方法であって、
前記装置1を用いる場合、当該装置1の前記の細管状部材が有機溶媒の吐出と吸引とを行うための開口部を有する一つの部材であり、前記開口部の径は25μm以下であり、有機溶媒を注入した当該細管状部材を、顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、圧力を加えることにより前記の細管状部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出して有機溶媒の膜を形成して有機付着物を溶解した後、前記の細管状の部材の内部を減圧することにより、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を前記の開口部から吸引し、前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を含む前記の細管状部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、圧力を加えることにより前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して、前記の溶媒揮発部上で長径600μm以下に制御した液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮し、
前記装置2を用いる場合、当該装置2の前記の細管状部材が、有機溶媒を有機付着物上に吐出するための開口部を有する吐出用部材と当該吐出した有機溶媒を吸引するための開口部を有する吸引用部材の一対の部材であり、前記吐出用部材の開口部の径が25μm以下であり、当該一対の細管状部材を顕微鏡観察下で試料ステージ上に載置した金属板表面の有機付着物の近傍に移動し、加圧機構により圧力を加えることにより、有機溶媒を注入した前記の吐出用部材の内部の有機溶媒を前記の有機付着物の表面に吐出するとともに、前記の吸引用部材により前記の吐出された有機溶媒を吸引し、前記の有機付着物の表面に有機溶媒の流れを形成することにより前記の有機付着物を溶解し、前記の吸引用部材により、溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吸引し、前記の吸引用部材を前記の溶媒揮発部の上に移動し、前記の吸引用部材の内部の前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒に圧力を加えることにより、前記の溶解した有機付着物を含む有機溶媒を吐出して、前記の溶媒揮発部上で長径600μm以下に制御した液滴を形成し、当該液滴の有機溶媒を揮発させることにより前記の有機付着物を濃縮する、金属板上の有機付着物のサンプリング方法。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の金属板上の有機付着物のサンプリング方法を用い、前記の試料ステージ上の溶媒揮発部に形成された、前記の有機付着物の濃縮物を顕微反射フーリエ変換赤外分光法で測定する、前記有機付着物を構成する有機化合物の同定方法。
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