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JP7828313B2 - 熱伝導材およびその製造方法 - Google Patents
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JP7828313B2 - 熱伝導材およびその製造方法 - Google Patents

熱伝導材およびその製造方法

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Description

本発明は、熱伝導材等に関する。
素子、機器、装置等は、高密度化や高性能化等に伴い発熱量が増加しており、それらの機能や寿命等を確保するため、十分な放熱が必要となる。例えば、電子機器(半導体モジュール等)なら、熱伝導性に優れる放熱材(ヒートシンク、筐体、熱伝導性シート等)を通じて放熱される。放熱材には、金属単体の他、成形性等に優れる複合材が用いられることが多い。複合材は、通常、熱伝導性に優れるフィラーと、そのフィラーを保持するマトリックス(例えば、エラストマー、ゴム等を含む樹脂)とからなる。
フィラーとして、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックス粒子(繊維を含む)が用いられてきた。最近では、フィラーとして、熱伝導性、電気絶縁性、化学的安定性等に優れる窒化ホウ素(BN)粒子も用いられる。窒化ホウ素には、六方晶系の常圧相(適宜「h-BN」という。)と、立方晶系の高圧相(適宜「c-BN」という。)とがあるが、通常h-BN粒子がフィラーとして用いられる。h-BN粒子は、黒鉛と類似した六角網目層が積層された板状(扁平状、鱗片状)の粒子であり、その面方向(a軸(100)方向)の熱伝導率が厚さ方向(c軸(002)方向)の熱伝導率よりも大きい(熱伝導異方性)。
単種の粒子からなるフィラーの他、複数種の粒子を混在させてなるフィラーも用いられる。このようなフィラーをマトリックスで保持した複合材も提案なされており、例えば、下記の特許文献に関連した記載がある。
特開2008-106231 特開2011-184507 特開2019-38912
特許文献1は、窒化硼素粉末と球状アルミナ粉末を単純混合した粉末(フィラー)を、エポキシ樹脂(マトリックス)中に混在させた電子機器用接着剤シート(複合材)を提案している([0056]、表1の実施例9)。その熱伝導率は高々3.6W/mKに留まっている。
特許文献2は、アルミナ、窒化ホウ素および窒化アルミニウムを単純混合した粉末(フィラー)を、シリコーン樹脂(マトリックス)中に混在させたシート(複合材)を提案している([0027]、表4)。その熱伝導率も高々7.2W/mKに留まっている。
特許文献3は、衝撃吸収材やシール材性に求められる柔軟性に加えて、放熱性も備えた熱伝導性発泡体シートを提案している。そのシートは、窒化ホウ素からなる板状フィラーと酸化マグネシウムからなる球状フィラーとが、発泡したエチレンプロピレンジエンゴム中に分散してなる。特許文献3の実施例から明らかなように、板状フィラーの平均長さ(B)が酸化マグネシウムの平均粒径(C)よりも大きいとき(例えばB/C=2のとき)に、シートの熱伝導率が発泡前・後を問わずに大きくなっている。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、新たな熱伝導材等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、樹脂(マトリックス)中に分散させるフィラーが所定条件を満たす熱伝導材は、熱伝導率がピーク的に向上することを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《熱伝導材》
本発明は、窒化アルミニウムからなる球状粒子と窒化ホウ素からなる板状粒子とを含むフィラーが、樹脂からなるマトリックス中に分散してなる熱伝導材であって、該球状粒子に対する該板状粒子の体積比が0.4~1.5であり、該球状粒子に対する該板状粒子の粒径比が0.05~0.5であり、該熱伝導材全体に対するフィラーの体積割合が73~93体積%である熱伝導材である。
本発明の熱伝導材は、優れた熱伝導性を発現し得る。この理由は定かではないが、次のように考えられる。窒化アルミニウムからなる球状粒子と窒化ホウ素からなる板状粒子が所定条件を満たすとき、柔軟性や潤滑性(低摩擦性、摺動性)に優れる板状粒子は、球状粒子間に密に介在して、フィラーの充填性や熱伝導材の成形性を高め得る。これにより空隙が少ない密な熱伝導材が得られ、球状粒子と板状粒子の接触機会や板状粒子間の接触機会が増えて、熱伝導パスが十分に形成されるようになり、熱伝導材の熱伝導性が向上したと考えられる。なお、相対的に大きな球状粒子の回りに、小さい板状粒子が略均一的に配設されることにより、略等方的な熱伝導性が発現され易くなると考えられる。
《熱伝導材の製造方法》
本発明は、熱伝導材の製造方法としても把握される。例えば、本発明は、窒化アルミニウムからなる球状粒子と窒化ホウ素からなる板状粒子と樹脂との混合物を得る調製工程と、その混合物を成形体にする成形工程とを備える上述した熱伝導材の製造方法でもよい。
《熱伝導部材》
本発明は、熱伝導部材としても把握される。熱伝導部材は、例えば、加工前の素材(バルク材)でもよいし、所望形態に成形、加工等された製品(放熱部材、基板、ケース、シート、フィルム等)でもよい。本明細書では、このような熱伝導部材も含めて「熱伝導材」という。
《その他》
本明細書でいう「x~y」は、特に断らない限り、下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a~b」のような範囲を新設し得る。本明細書でいう「x~yμm」は、特に断らない限り、xμm~yμmを意味する。他の単位系(W/mK、Ωm等)についても同様である。
熱伝導材(試料)の製作工程例を示す模式図である。 試料33の断面を観察したSEM像である。 試料C31の断面を観察したSEM像である。 試料C32の断面を観察したSEM像である。 フィラーの体積比(板状粒子/球状粒子)と熱伝導材の熱伝導率との関係を示す散布図である。 フィラーの粒径比(板状粒子/球状粒子)と熱伝導材の熱伝導率との関係を示す散布図である。
本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、熱伝導材のみならず、その製造方法等にも該当し得る。方法的な構成要素であっても物に関する構成要素となり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《フィラー》
フィラーは、少なくとも、窒化アルミニウムからなる球状粒子(「AlN粒子」ともいう。)と、窒化ホウ素からなる板状粒子(「BN粒子」ともいう。)とを含む。窒化ホウ素は、主に六方晶系窒化ホウ素(h-BN)である。
(1)粒形
球状粒子は略球状であればよい。「略球状」とは、例えば、粒子の観察像(例えばSEM像)から求まる円形度が0.6以上さらには0.7以上であればよい。円形度の理論的な上限値は1であるが、実質的な上限値は0.98以下である。
円形度は、粒子の最大長(L/粒径)とその面積(S)から、4S/πLとして求まる。具体的には、観察像をソフトウェア(ImageJ等)で画像処理して求めることができる。通常、視野内(650μm×450μm)にある複数の粒子について求めた円形度の算術平均値を「円形度」とすればよい。
板状粒子は扁平状であればよい。「扁平状」とは、例えば、粒子の最小長(t/厚さ)に対する粒子の最大長(L/粒径)の割合であるアスペクト比(L/t)が、例えば、3~300(さらには20~200)である。粒子の最小長(t)と最大長(L)は、上述した観察像から求まる。通常、上述した視野内にある複数の粒子について求めたアスペクト比の算術平均値を「アスペクト比(AR)」とすればよい。
(2)粒径(サイズ)
粒子の形状を問わず、粒子のサイズを「粒径」という。「粒径」は、例えば、粒子の最大長(L)により指標する。複数の粒子について求めた最大長(L)の平均値を「粒径」としてもよい。この場合、例えば、上述した観察像の視野内(650μm×450μm)にある各粒子の粒径の算術平均値を「粒径」とすればよい。こうして、熱伝導材(複合材)に含まれる粒子または熱伝導材から分離・抽出した粒子について「粒径」が求まる。
粒子が原料粉末の段階なら、レーザ回折法で得られる粒度分布から定まる50%径(D50:メディアン径)を、本明細書でいう「粒径」としてもよい。さらには、原料粉末に関する公称値(カタログ値)を、本明細書でいう「粒径」として採用してもよい。
(3)粒径比
球状粒子の粒径(L1)に対する板状粒子の粒径(L2)の比率(粒径比:L2/L1)は、例えば、0.05~0.5、0.08~0.35、0.15~0.3または0.18~0.25である。粒径比が過小でも過大でも、熱伝導材の熱伝導率が低下し得る。
粒径比が所定範囲内にある限り、具体的な「粒径」自体は問わない。敢えていえば、球状粒子の粒径は、例えば、10~200μm、20~150μm、35~120μmまたは40~95μmである。また板状粒子の粒径は、例えば、2~100μm、4~75μm、8~50μmまたは15~35μmである。
(4)体積比
球状粒子の合計体積(V1)に対する板状粒子の合計体積(V2)の比率(体積比:V2/V1)は、例えば、0.4~1.5、0.5~1.4または0.6~1.2である。体積比が過小でも過大でも熱伝導材の熱伝導率が低下し得る。また体積比が過大になると、板状粒子の増加により原料コストも上昇し得る。
粒子の体積は、その質量(含有量)とその真密度から算出される。例えば、熱伝導材に含まれる粒子なら、分離・抽出した粒子の質量と真密度から体積が算出される。原料粉末の段階なら、配合質量と真密度から粒子の体積が算出される。
(5)他粒子
フィラーには、上述した粒子(AlN粒子とBN粒子)以外の他粒子が一種以上含まれてもよい。他粒子として、例えば、酸化アルミニウム(Al等)、酸化ケイ素(SiO等)、立方晶系窒化ホウ素(c-BN)などがある。なお、電子機器等に用いる熱伝導材は、いずれの粒子も非伝導物質(絶縁材)からなるとよい。
(6)表面処理
フィラーの全体または一部は、マトリックスとの親和性を高める表面処理がなされてもよい。表面処理により、マトリックス中におけるフィラーの分散性、充填性、密着性等が向上し、熱伝導材の熱伝導率の向上が図られる。
表面処理は、例えば、疎水化処理またはカップリング処理である。具体的にいうと、シランカップリング処理やフッ素プラズマ処理等がある。表面処理は、混合(混練を含む。)前のフィラーに直接的になされてもよいし、マトリックスとフィラーの混合(混練)時に表面処理剤(カップリング剤等)を加えてなされてもよい。
《マトリックス》
フィラーは、樹脂からなるマトリックス中に略均一的に分散して保持される。樹脂(ゴム・エラストマー等を含む。)は、熱硬化性樹脂でも、熱可塑性樹脂でもよい。熱硬化性樹脂は、適宜、熱硬化処理(キュア処理)がなされてもよい。
熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等である。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド等である。ゴムは、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム等である。
《充填率》
フィラーは、例えば、熱伝導材全体に対して73~93体積%、75~90体積%または77~87体積%含まれる。フィラーが過少では熱伝導率が低下し得る。フィラーが過多になると、成形自体が困難になる。なお、フィラー以外の残部は、通常、樹脂(マトリックス)である。
フィラーの充填率(体積%)は、熱伝導材の製造時なら、原料の配合量と密度から特定される。熱伝導材中におけるフィラーの充填率は、熱伝導材の全体量と、熱伝導材から抽出・分離したフィラー量とから特定される。フィラーを抽出・分離できないときなら、熱伝導材(断面)の観察像(SEM像等)から間接的または代替的に充填率が特定されてもよい。
《製造方法》
熱伝導材は、例えば、少なくとも球状粒子と板状粒子と樹脂が混在した混合物を得る調製工程と、その混合物を成形体にする成形工程とを経て得られる。
(1)調製工程
粒子(粉末)と樹脂の混合は、一工程でなされてもよいし、複数工程でなされてもよい。複数工程は、例えば、粒子および/または樹脂の一部を混合した第1混合物を得る第1混合工程と、粒子および/または樹脂の残部と第1混合物とを混合した第2混合物を得る第2混合工程とからなる。このとき、粒子を分割して混合してもよいし、樹脂を分割して混合してもよいし、両方を分割して混合してもよい。分割は、混合量を分けてもよいし、種類を分けてもよい。例えば、第1混合工程で球状粒子と板状粒子の一方と樹脂の一部とを混合し、第2混合工程で球状粒子と板状粒子の他方と樹脂の残部とを混合してもよい。
樹脂量を分ける場合なら、例えば、樹脂全体の5~25質量%さらには10~20質量%と各粒子(球状粒子と板状粒子)を混合した第1混合物を得る第1混合工程と、樹脂全体の残部と第1混合物を混合した第2混合物を得る第2混合工程とにより、調製工程がなされてもよい。このような調製工程の多段化により、空隙率の低い緻密な熱伝導材が得られ易くなり、熱伝導材の熱伝導率の向上が図られる。
混合は、例えば、ボールミル、振動ミル、V型混合機等を用いてなされる。調製工程(混合工程)は、樹脂の粘度を調整する溶媒等を添加してなされてもよい。溶媒等は、揮発・蒸発させて除去されてもよい(乾燥工程)。混合物は、適宜、解砕、粉砕等され、コンパウンドとして、成形工程に供されてもよい。コンパウンドは、例えば、平均粒径(メディアン径:D50)で、5~60μmさらには15~55μmに粒度調整されてもよい。
(2)成形工程
成形体は、例えば、混合物(コンパウンド)を加圧成形して得られる。成形圧力は、例えば、10~100MPaさらには20~50MPaである。成形工程は、圧縮成形の他、射出成形、トランスファー成形等によりなされてもよい。
成形工程は、常温(室温)域でなされる冷間成形でも、混合物を加熱してなされる温間成形でもよい。温間成形は、例えば、樹脂が軟化または溶融する温度でなさるとよい。温間成形の温度(T)は、例えば、樹脂の軟化点(Ts)または融点(Tm)に対して、-30~30℃(|T-(Ts、Tm)|≦30℃)さらには-20~20℃(|T-(Ts、Tm)|≦20℃)である。
成形体(熱伝導材)は、最終製品形状またはそれに近い形状のものでもよいし、加工される素材や中間材等でもよい。
《用途》
熱伝導材は、例えば、放熱シート、基板、ケース等の熱伝導部材として用いられる。その熱伝導率は、例えば、10~40W/mK、15~30W/mKまたは20~25W/mKとなり得る。熱伝導材は、熱伝導率が異方的でも等方的でもよい。直交2方向の熱伝導率差が、例えば、6W/mK以下、4mK以下さらには2W/mK以下であると、熱伝導材の用途が拡大され得る。電子機器等に用いられる熱伝導材は、その比抵抗が、例えば、10~1012Ωmまたは10~1010Ωmであるとよい。
フィラーをマトリックス中に分散保持した複合材(熱伝導材)を種々製作し、それらの熱伝導特性を評価した。このような具体例を示しつつ、本発明をより詳しく説明する。
《フィラー》
下記に示す球状粒子と板状粒子の一種以上をフィラーとした。
(1)球状粒子
球状粒子源として、下記に示す複数の窒化アルミニウム粉末を用意した。各粉末は、略球状(例えば円形度:0.90)のAlN粒子からなる。
粉末a1:古河電子株式会社製FAN-f50/D50:50μm
粉末a2:古河電子株式会社製FAN-f80/D50:90μm
(2)板状粒子
板状粒子源として、下記に示す複数の窒化ホウ素粉末を用意した。各粉末は、板状(扁平状/例えばAR:4~18)のBN粒子からなる。
粉末b1:デンカ株式会社製HGP /D50:5μm
粉末b2:デンカ株式会社製GP /D50:13μm
粉末b3:デンカ株式会社製SGP /D50:20μm
粉末b4:モメンティブ社製PT110 /D50:40μm
《マトリックス》
フィラーを保持するマトリックスには、エポキシ樹脂(セメダイン株式会社製EP-160/一液加熱硬化形エポキシ系接着剤)を用いた。このエポキシ樹脂は、常温域で高粘度な液状であった。
《複合材》
(1)粒子源となる粉末と樹脂を用いて、表1に示す多数の試料(複合材)を製作した。試料C1と試料C31は、球状粒子のみをフィラーとした。試料C32は、板状粒子のみ(粉末b3)をフィラーとした。試料41~49で用いた板状粒子は、粒度調整して用いた。
球状粒子と板状粒子を混合したフィラーを用いた試料では、球状粒子に対する板状粒子の粒径比および体積比を表1に併せて示した。球状粒子と板状粒子の体積は、各粒子の真密度と粒子源である粉末の配合量(質量割合)とから求めた。
(2)各試料の複合材は、図1に示す手順に沿って製作した。具体的には次の通りである。
ポリプロピレン製の容器内で、エポキシ樹脂:0.04g(全樹脂量の10%)に溶媒(ジクロロメタン):1~10ccとフィラー:4.4gを加えて混練(混合)した(工程I/第1混合工程)。混練は、室温下で、ミキサー(株式会社シンキー製ARE-310「練太郎」)を用いて2000rpm×0.5minで行った。
得られた混練物を真空チャンバーに入れて、室温下で真空乾燥(30分間)させた(工程II/第1乾燥工程)。こうして溶媒を揮発させた混練物(第1混合物)を得た。
その混練物に、エポキシ樹脂:0.35g(全樹脂量の残部)と溶媒(ジクロロメタン):1~10ccを加えて混練(混合)した(工程III/第2混合工程)。混練は、室温下で、上述した装置をそのまま用いて2000rpm×0.5minで行った。
得られた混練物を真空チャンバーに入れて、室温下で真空乾燥(30分間)させた(工程IV/第2乾燥工程)。こうして溶媒を揮発させた混練物(第2混合物)を得た。
この混練物(第2混合物)を、ヒータで加熱した金型(ダイ)のキャビティへ充填して、一軸方向に温間圧縮成形した(工程V/成形工程)。このとき、金型温度:130℃、成形圧力:20MPaとした。また、加圧状態を30分間保持して樹脂を熱硬化させた。これにより、フィラーが樹脂で保持された円柱状の複合体(φ14mm×20mm)を得た。なお、成形工程前のエポキシ樹脂が軟化または溶融する温度は80℃であった。
《観察》
試料33、試料C31および試料C32に係る複合材の断面(複合材の成形時の加圧方向に平行な面)を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。それらの観察像を図2A~図2C(これらを併せて「図2」という。)にそれぞれに示した。図2Aと図2Bには、全体像と拡大像とを併せて示した。
《測定》
(1)空隙率
各試料の複合材に係る空隙率も表1に併せて示した。空隙率は、複合材の真密度(ρ)と理論密度(ρth)から、{(ρth-ρ)/ρth}×100(%)として求めた。ρは、複合材について実測した質量と体積(アルキメデス法)から算出した。ρthは、複合材の製作に供した原料(粒子と樹脂)の配合割合と密度に基づいて算出した。
(2)熱伝導率
各試料の複合材に係る熱伝導率も表1に併せて示した。熱伝導率(λ)はナノフラッシュ法(測定装置:NETZSCH製LFA447)により求めた。具体的にいうと、ナノフラッシュ法で測定した熱拡散率(α)と、示差走査熱量計(DSC)で求めた比熱(Cp)と、アルキメデス法で求めた密度(ρ)とから、λ=α・Cp・ρとして熱伝導率を算出した。
この際、軸方向(加圧方向)に垂直な方向の薄い板状のサンプル(「垂直サンプル」という。)と、その軸方向に平行な方向の薄い板状のサンプル(「平行サンプル」という。)とを各試料の複合材から切り出し、それぞれのサンプルについて熱伝導率を求めた。但し、両者の熱伝導率に大差がなかったため、表1には垂直サンプルから得られた熱伝導率のみを示した。
《評価》
(1)体積比
表1に示した試料31~36、試料C31および試料C32に基づいて、体積比と熱伝導率の関係を図3Aに示した。図3Aから明らかなように、フィラーが球状粒子と板状粒子からなり、それらの体積比が0.4~1.5のときに熱伝導率が顕著に大きくなることが明らかとなった。
また、試料33と試料37の比較からもわかるように、その傾向は粒径比や板状粒子の粒径が変化しても同様であった。
(2)粒径比
表1に示した試料41~49に基づいて、粒径比と熱伝導率の関係を図3Bに示した。図3Bから明らかなように、フィラーが球状粒子と板状粒子からなり、それらの粒径比が0.05~0.5のときに熱伝導率が顕著に大きくなることが明らかとなった。
(3)充填率
表1に示した試料11~C1、試料21~C2、試料31~C32および試料41~49は、フィラーの充填率がそれぞれ異なる。これらを比較すると、上述した傾向(熱伝導率と体積比または粒径比との関係)は、フィラーの充填率が70体積%超(73体積%以上)のときに生じ得ることもわかった。
(4)構造・組織
図2Aに示した試料33の観察像から、高い熱伝導率を発現する熱伝導材は、空隙がなく、板状粒子が球状粒子間を架橋して多くの熱伝導パスを形成していることがわかった。
一方、図2Bに示した試料C31の観察像から、フィラーが球状粒子のみからなる熱伝導材は、空隙を多く生じて熱伝導率が低くなることがわかった。
また、図2Cに示した試料C32の観察像から、フィラーが板状粒子のみからなる熱伝導材は、空隙率は小さいものの、熱伝導率も向上しないこともわかった。
以上から、本発明の熱伝導材が、顕著に優れた熱伝導性を発現し得ることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 窒化アルミニウムからなる球状粒子と窒化ホウ素からなる板状粒子とを含むフィラーが、樹脂からなるマトリックス中に分散してなる熱伝導材であって、
    該球状粒子に対する該板状粒子の体積比が0.4~1.5であり、
    該球状粒子に対する該板状粒子の粒径比が0.05~0.5であり、
    該熱伝導材全体に対するフィラーの体積割合が73~93体積%である熱伝導材。
  2. 前記体積比は、0.6~1.2である請求項1に記載の熱伝導材。
  3. 前記粒径比は、0.08~0.35である請求項1に記載の熱伝導材。
  4. 前記樹脂は、熱硬化性樹脂である請求項1に記載の熱伝導材。
  5. 窒化アルミニウムからなる球状粒子と窒化ホウ素からなる板状粒子と樹脂との混合物を得る調製工程と、
    該混合物を成形体にする成形工程とを備え、
    請求項1~4のいずれかに記載の熱伝導材が得られる製造方法。
  6. 前記調製工程は、前記樹脂全体の5~25質量%と前記球状粒子および前記板状粒子とからなる第1混合物を得る第1混合工程と、
    該第1混合物と該樹脂全体の残部とからなる第2混合物を得る第2混合工程と、
    を備える請求項5に記載の熱伝導材の製造方法。
  7. 前記樹脂は、熱硬化性樹脂であり、
    前記成形体を加熱して該樹脂を硬化させる熱硬化工程をさらに備える請求項5に記載の熱伝導材の製造方法。
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