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JP7829066B2 - 樹脂フィルム - Google Patents
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JP7829066B2 - 樹脂フィルム - Google Patents

樹脂フィルム

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JP7829066B2 JP2024564793A JP2024564793A JP7829066B2 JP 7829066 B2 JP7829066 B2 JP 7829066B2 JP 2024564793 A JP2024564793 A JP 2024564793A JP 2024564793 A JP2024564793 A JP 2024564793A JP 7829066 B2 JP7829066 B2 JP 7829066B2
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Description

本開示は、樹脂フィルムに関する。
従来、装飾及び保護のために、被着体の表面にフィルムを貼り付けることが行われている。例えば、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、(A)(a-1)一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物の少なくとも一種及び/又は(a-2)一般式(II)で表されるサリチル酸アマイド化合物の少なくとも一種0.001~1質量部、(B)β-ジケトン化合物0.001~1質量部、および、(C)フェノール系酸化防止剤0.001~1質量部、を含有する印刷フィルム用樹脂組成物が開示されている。
特開2012-219244号公報
樹脂フィルムは加熱により変色することがあり、高温環境下でも変色し難い耐変色性が要求される。更に、高温環境下で樹脂フィルムの成分の一部が揮発することがあり、例えば上記揮発物がガラス等に付着すると、冷却された揮発物がガラス等を曇らせる、いわゆるフォギングが発生することがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高温環境下で長時間放置しても変色し難く、かつフォギングの発生が抑制された樹脂フィルムを提供することを目的とする。
(1)本発明の一実施形態は、熱可塑性樹脂と、ポリエステル系可塑剤と、芳香環を有するβ-ジケトンと、紫外線吸収剤とを含む、樹脂フィルム。
(2)本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記ポリエステル系可塑剤は、脂肪族エステル化合物、又は、脂環式エステル化合物を含む、樹脂フィルム。
(3)本発明のある実施形態は、上記(1)又は(2)の構成に加え、上記ポリエステル系可塑剤は、アジピン酸系ポリエステル化合物を含む、樹脂フィルム。
(4)本発明のある実施形態は、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加え、上記ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、500以上、4000以下である、樹脂フィルム。
(5)本発明のある実施形態は、上記(1)~(4)のいずれかの構成に加え、上記ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、1600以上、3000以下である、樹脂フィルム。
(6)本発明のある実施形態は、上記(1)~(5)のいずれかの構成に加え、上記芳香環を有するβ-ジケトンは、炭素数が7以上のアルキル基を含む、樹脂フィルム。
(7)本発明のある実施形態は、上記(1)~(6)のいずれかの構成に加え、上記芳香環を有するβ-ジケトンは、ステアロイルベンゾイルメタンである、樹脂フィルム。
(8)本発明のある実施形態は、上記(1)~(7)のいずれかの構成に加え、更に、エポキシ化合物を含む、樹脂フィルム。
(9)本発明のある実施形態は、上記(1)~(8)のいずれかの構成に加え、上記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニルである、樹脂フィルム。
(10)本発明のある実施形態は、上記(1)~(9)のいずれかの構成に加え、加熱前の樹脂フィルムの重量に対する、95℃で24時間加熱した後の樹脂フィルムの重量減少率が1.5%以下である、樹脂フィルム。
(11)本発明のある実施形態は、上記(1)~(10)のいずれかの構成に加え、上記樹脂フィルムは、車載用加飾フィルムである、樹脂フィルム。
本発明によれば、高温環境下で長時間放置しても変色し難く、かつフォギングの発生が抑制された樹脂フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で適宜設計変更を行うことが可能である。
実施形態に係る樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂と、ポリエステル系可塑剤と、芳香環を有するβ-ジケトンと、紫外線吸収剤とを含む。本実施形態に係る樹脂フィルムは、熱に対する耐変色性(以下耐熱変色性ともいう)を有し、かつ、加熱による重量減少率が低い。加熱による樹脂フィルムの重量減少率が低いということは、加熱による樹脂フィルム成分の揮発が抑制されていることを意味し、フォギングの発生を抑制できるといえる。本発明者は、芳香環を有するβ-ジケトンと、紫外線吸収剤とを含むことで、高温環境下での変色を効果的に抑制することができることを見出した。更に本発明者は、上記加熱による重量減少の原因について、種々の検討を行い、樹脂フィルムに含まれる可塑剤が揮発することが原因であることを見出し、可塑剤としてポリエステル系可塑剤を用いることで、加熱による樹脂フィルムの重量減少を抑制できることを見出した。なお、フォギングは、ドイツ規格協会(DIN)のDIN 752901-A、Bに準拠した方法で評価することもできる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。なかでも、透明性が高く、伸びが良く、被着体の表面形状に追従し、破断し難いことから、上記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニルが好ましい。上記樹脂フィルムの樹脂成分全体に対するポリ塩化ビニルの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
上記ポリ塩化ビニルとしては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体と塩化ビニルとの共重合体を挙げることができる。上記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方」を表す。
上記共重合体における上記共重合可能な他の単量体の含有量は、通常、50質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。上記ポリ塩化ビニルのなかでも、寸法安定性に優れる点から、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
上記ポリ塩化ビニルの平均重合度は800~1300が好ましい。なお、本発明において、ポリ塩化ビニルの平均重合度は、JIS K 6721:1977「塩化ビニル系樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。上記平均重合度が1300を超えると、ポリ塩化ビニルフィルムの伸びが不十分となるおそれがある。透明性の高いポリ塩化ビニルフィルムが得られる観点からは、ポリ塩化ビニルの平均重合度は1100以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂フィルムは、可塑剤としてポリエステル系可塑剤を含む。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸系可塑剤と比較して分子量が高く、熱分解しにくいため、高温環境下でフタル酸系可塑剤よりも揮発し難いため、樹脂フィルムの重量減少率を低くでき、フォギングの発生を抑制することができる。また、ポリエステル系可塑剤は、トリメリット酸系可塑剤よりも、吸水白化性及び耐熱性に優れる。
上記ポリエステル系可塑剤としては、脂肪族エステル化合物、脂環式エステル化合物を含む可塑剤が好ましい。上記脂肪族エステル化合物(非環式の脂肪族エステル)としては、アジピン酸エステル、アジピン酸とポリアルコールが結合したポリエステル等のアジピン酸系ポリエステル化合物を含む可塑剤等が好適に用いられる。脂肪族エステル化合物の具体例としては、ADEKA社製のアデカサイザー(登録商標) PN-7535、PN-7230、PN-7160、PN-9302、新日本理化株式会社製のグリーンサイザー BZ-100等が挙げられる。上記脂環式エステル化合物としては、例えば、シクロヘキサン系カルボン酸エステルが好適に用いられる。脂環式エステル化合物の具体例としては、BASF社製のHEXAMOLL(登録商標)DINCH(ヘキサモールディンチ)、等が挙げられる。上記HEXAMOLL DINCHは、ジ-イソノニル-シクロヘキサン-ジカルボキシレートを含む可塑剤である。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、吸水白化が起こり難いことから、上記ポリエステル系可塑剤は、脂肪族エステル化合物を含むことがより好ましい。
可塑剤の数平均分子量が小さいと、樹脂フィルムに粘着剤層を積層した場合に、可塑剤が粘着剤層に移行しやすく、樹脂フィルムを長期間保存したような場合に、接着力の低下が発生することがある。樹脂フィルムの収縮を抑制する観点からは、上記可塑剤の数平均分子量は大きい方が好ましく、例えば、500以上であることが好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上が更に好ましい。上記可塑剤の数平均分子量の上限は、例えば4000であってもよい。上記可塑剤の数平均分子量が4000を超えると、ポリ塩化ビニルフィルムが硬くなり、成型時に基材形状に沿って成型することが困難になる恐れがある。
上記ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、500以上、4000以下であることが好ましく、1600以上、3000以下であることがより好ましい。
上記可塑剤の数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定する。なお、測定条件は以下の通りである。
装置名:HLC-8120(東ソー社製)
カラム:G7000HXL 7.8mmID×30cm 1本 GMHXL 7.8mmID×30cm 2本 G2500HXL 7.8mmID×30cm 1本(東ソー社製)
サンプル濃度:1.5mg/mlになるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
上記可塑剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して5質量部以上、80質量部以下であってもよい。上記含有量が5質量部未満であると、加熱による変色が起こりやすくなるおそれがあり、また、樹脂フィルムが硬くなり過ぎるおそれがある。上記含有量が80質量部を超えると、フォギングが発生するおそれがある。上記含有量のより好ましい下限は10質量部であり、より好ましい上限は60質量部であり、更に好ましい上限は50質量部であり、更に好ましい上限は30質量部である。なお、本明細書中、熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニルである場合、各成分の含有量の基準となる「熱可塑性樹脂100質量部に対して」は、「ポリ塩化ビニル100質量部に対して」に読み替える。
上記ポリエステル系可塑剤は、ベンゼン環を有する可塑剤を含まないことが好ましい。上記ベンゼン環を有する可塑剤は、例えば、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル(DINP)、テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOTP)等のフタル酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤等が挙げられる。上記ベンゼン環を有する可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して5質量部未満が好ましく、上記ベンゼン環を有する可塑剤を含まないことがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂フィルムは、上記芳香環を有するβ-ジケトンを含む。上記β-ジケトンを含むことで、加熱による変色を抑制することができる。上記β-ジケトンを含まない場合、樹脂組成物の溶融混錬時に着色してしまう。なお、β-ジケトンは、一つの炭素原子を介して結合された2つのケトン基を有する化合物であり、上記芳香環を有するβ-ジケトンは、上記2つのケトン基の少なくとも一方に芳香環を有するものをいう。
上記芳香環を有するβ-ジケトンは、下記化学式(1)で表される化合物において、R及びR(R及びRは、同一又は異なって、炭化水素基を表す)のいずれか一方が芳香環を有することが好ましい。更に、上記芳香環を有するβ-ジケトンは、下記化学式(1)で表される化合物において、R及びRの他方がアルキル基であることがより好ましい。芳香環とアルキル基とを有するβ-ジケトンを用いることで、アルキル基を有さないβ-ジケトンを用いた場合より、更に耐熱変色性を向上させることができる。
上記芳香環を有するβ-ジケトンは、下記化学式(2)に示したように、上記化学式(1)で表される化合物において、R及びRのいずれか一方がベンジル基であり、他方がアルキル基であることが更に好ましい。すなわち、上記芳香環を有するβ-ジケトンは、アルカロイルベンゾイルメタンであることが更に好ましい。上記アルカロイルベンゾイルメタンは、上記化学式(1)で表される化合物において、R及びRの両方がベンジル基であるジベンゾイルメタンよりも、樹脂フィルムの耐熱変色性を向上させることができる。
上記芳香環を有するβ-ジケトンは、炭素数が7以上のアルキル基を含むことが好ましい。上記芳香環を有するβ-ジケトンが、炭素数が7以上のアルキル基を含むことで、ポリエステル系可塑剤とのなじみがよく、樹脂組成物材料を混合する際に均一分散させることができるため、局所的に材料が偏在することに起因する高温環境下での変色をより効果的に抑制することができる。上記アルキル基の炭素数は、10以上がより好ましく、16以上が更に好ましい。上記アルキル基の炭素数の上限は、例えば25である。
上記芳香環を有するβ-ジケトンは、下記化学式(3)で表されるステアロイルベンゾイルメタン(上記化学式(2)のRが炭素数17のアルキル基を表す)であることがより好ましい。
上記芳香環を有するβ-ジケトンの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上、2.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上、1.0質量部以下がより好ましく、0.4質量部以上、0.8質量部以下が更に好ましい。
上記樹脂フィルムは、紫外線吸収剤を含む。上記樹脂フィルムは、紫外線吸収剤を含むことで、加熱による変色を抑制することができる。なお、紫外線吸収剤は、樹脂フィルム表面に当たる紫外線を吸収することで、樹脂成分の光劣化を抑制する作用を有するため、紫外線照射による変色も抑制できる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、株式会社ADEKA製のアデカスタブ LA-29、LA-24、LA-31RG、LA-32、LA-36等が挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、株式会社ADEKA製のアデカスタブ 1413等が挙げられる。トリアジン系紫外線吸収剤としては、ADEKA社製のアデカスタブ LA-46、LA-F70、BASFジャパン社製のTinuvin1600等が挙げられる。特に主にポリ塩化ビニルは光劣化しやすいことから、樹脂フィルムがポリ塩化ビニルフィルムである場合に、上記紫外線吸収剤は、好適に用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、3.0質量部以下が好ましい。上記含有量が0.5質量部未満であると、熱による変色が充分に抑制できないおそれがある。上記含有量が3.0質量部を超えると、紫外線吸収剤が樹脂フィルムの表面に移行し、ブリードアウトするおそれがある。ブリードアウトが生じると、フォギングが発生することにより、樹脂フィルムの透明性が低下することがある。また、樹脂フィルムに粘着剤層を積層した場合には、上記粘着剤層の粘着特性が低下することがある。上記紫外線吸収剤の含有量は、1質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましい。
樹脂フィルムは、ヒンダードアミン系光安定剤を含んでもよい。ヒンダードアミン系光安定剤は、構造中にヒンダードアミンを含み、紫外線等の光照射によって生じたラジカルを捕捉(トラップ)することで、フィルム等の劣化を抑制する化合物である。上記ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環の窒素原子に、水素基、アルキル基又はアルコキシル基が結合した構造を有する化合物を含んでもよい。更に、上記ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環の窒素原子にアルコキシル基が結合した構造を有する化合物を含むことが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤としては、株式会社ADEKA製のアデカスタブ LA-52、LA-81、LA-77Y、LA-63P、LA-72、BASFジャパン社製の「Tinuvin(チヌビン)123」等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、例えば、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、2質量部以下である。上記含有量が2質量部を超えると、ブリードアウトするおそれがある。上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量のより好ましい下限は0.2質量部であり、より好ましい上限は1質量部である。
上記樹脂フィルムは、更に、エポキシ化合物を含むことが好ましい。樹脂フィルムにエポキシ化合物を配合することにより、樹脂フィルムの加工性(フィルム加工時の高温条件下での熱劣化、分解の抑制)を向上することができる。上記エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ基含有アクリル樹脂等が挙げられる。エポキシ化大豆油の具体例としては、株式会社ADEKA製のアデカサイザー O-130P等が挙げられる。エポキシ基含有アクリル樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製のメタブレン(登録商標)P-1901、日油社製のマープルーフ(登録商標)G-0150M等が挙げられる。
上記エポキシ化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上、6質量部以下であることが好ましく、1質量部以上、4質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上、2質量部以下が更に好ましい。
上記樹脂フィルムは、更に、安定剤を含んでもよい。ポリ塩化ビニルのような含ハロゲン樹脂は、溶融混練やフィルム成形の際に脱ハロゲン化水素に起因する熱分解を起こし易いため、熱安定剤を添加し、加工工程における劣化を抑制することがある。樹脂組成物の混錬時やフィルムの形成時の劣化、分解を抑制する添加物を安定剤ともいい、特に熱分解を抑制する添加剤を熱安定剤ともいう。加工工程での熱分解を抑制することで、変色を抑制することができる。
上記熱安定剤としては、亜リン酸エステル、Ba-Zn系熱安定剤、ハイドロタルサイト、ステアリン酸亜鉛等を含むものが挙げられる。これらの熱安定剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂フィルムは、必要に応じて酸化防止剤、プレートアウト防止剤等を含んでもよい。
上記熱安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上、7質量部以下であることがより好ましい。3質量部以上、4質量部以下であることが更に好ましい。
樹脂フィルムの厚さは、例えば、50μm以上、300μm以下である。上記厚さが50μm未満であると、強度が不足し充分な耐久性が得られないことがある。上記厚さが300μmを超えると、コシが強くなり、被着体への貼付けが困難になるおそれがある。上記厚さの好ましい下限は60μmであり、好ましい上限は160μmである。
実施形態に係る樹脂フィルムは、加熱前の樹脂フィルムの重量に対する、95℃で24時間加熱した後の樹脂フィルムの重量減少率が1.5%以下であることが好ましい。上記樹脂フィルムの重量減少率が1.5%を超えると、高温環境下での揮発物が多く、フォギングが発生しやすくなる。上記樹脂フィルムの重量減少率は、1.2%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましく、0.8%が特に好ましい。
上記樹脂フィルムの重量減少率は、具体的には、樹脂フィルムを縦10cm、横10cmに切り出した試験片を作製し、上記試験片を95℃に設定した恒温機(送風オーブン)(楠本化成株式会社製、ETAC HS260)に入れ、24時間後に取り出し、下記式により重量減少率(%)を算出する。
重量減少量=加熱前の重量(g)-加熱後の重量(g)
重量減少率(%)=(重量減少量/加熱前の重量)×100
本実施形態に係る樹脂フィルムは、熱による変色が抑制された樹脂フィルムである。本実施形態に係る樹脂フィルムは、95℃で500時間加熱した後の変色度ΔEが、4.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。95℃で500時間加熱した後の変色度ΔEが4.5を超えると、耐熱変色性が著しく劣ると判断できる。
上記変色度ΔEは、以下の方法で測定することができる。まず、加熱前の樹脂フィルムのL*a*b*表色系におけるL*、a*及びb*を測定する。上記L*、a*及びb*は、色差計(日本電色工業社製、SE6000)を用いることができる。その後、樹脂フィルムを95℃に設定した恒温機(送風オーブン)(楠本化成株式会社製、ETAC HS260)に入れ、500時間後のL*、a*及びb*を測定する。加熱後のL*から加熱前のL*を引いた値をΔL*、加熱後のa*から加熱前のa*を引いた値をΔa*、加熱後のb*から加熱前のb*を引いた値をΔb*とし、ΔL*の二乗、Δa*の二乗及びΔb*の二乗の合計の平方根(下記数式)によりΔEを算出する。
樹脂フィルムの製造方法としては、例えば、バンバリーミキサー等を用いて、材料を加熱しながら混合(溶融混練)し、樹脂組成物を得た後、該樹脂組成物を成膜する方法が挙げられる。上記成膜方法としては、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法を用いることができるが、厚さの薄いフィルムであっても優れた厚み精度で作製できることから、カレンダー成形が好適である。
本実施形態に係る樹脂フィルムと他の層とが積層された積層フィルムもまた、本発明の一実施形態である。上記他の層としては、粘着剤層、意匠層、プライマー層等が挙げられる。
上記粘着剤層は、粘着機能(感圧接着性)を有するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤を含有するものが挙げられる。なかでも、透明性、粘着性、加工性、耐熱老化性、耐候性等に優れ、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。粘着剤層の厚さは特に限定されないが、10~60μmであることが好ましく、20~50μmであることがより好ましい。
上記樹脂フィルムに上記粘着剤層が積層される場合、上記意匠層は、樹脂フィルムの粘着剤層側と反対側に配置されてもよい。
上記意匠層は、印刷層であってもよく、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、静電印刷等により行うことができる。また、着色されたフィルム等を張り付けてもよい。
上記積層フィルムは、被着体に貼り付けて用いることができる。本実施形態に係る樹脂フィルムは、被着体に意匠を付与する加飾フィルムであることが好ましい。上記被着体の材質は、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);鉄、銅、アルミニウム等の金属;合金等が挙げられる。上記被着体としては、化粧板(壁装材)、室内ドア、クローゼットやキッチンの扉、家具、フローリング等の内装材、車等の車両の内装材等が挙げられる。上記車等の車両の内装材としては、インストルメンタルパネル、ドリンクホルダー等が挙げられる。車内は夏場には高温になりやすく、また狭い閉鎖空間であることから、フォギングが発生しやすい環境であり、フォギングにより車の窓が曇ると、ユーザーの視界が遮られ運転に支障をきたすおそれがある。本実施形態に係る樹脂フィルムは、耐熱変色性、耐フォギング性に優れることから、車等の車両の内装材に用いる車載用の加飾フィルムとして好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
下記実施例及び比較例で用いたβ-ジケトン以外の成分を下記表1に示した。
(実施例1)
ポリ塩化ビニル100質量部に対して、下記表2に示した配合で各成分を添加し、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を得た。実施例1では、β-ジケトンとしてステアロイルベンゾイルメタンを用いた。得られたポリ塩化ビニル系樹脂組成物を2軸ロールで180℃で10分間、溶融混練した後、カレンダー成形を行ってシート状に成形し、実施例1のポリ塩化ビニルフィルムを作製した。
(実施例2~7、比較例1)
表2に示したように、各成分の配合を変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2~7、比較例1のポリ塩化ビニルフィルムを作製した。
<耐熱変色性の評価>
各実施例及び比較例について、PVCフィルム(厚さ90μm)を10cm×10cmに切り出した試験片を3個ずつ準備し、各試験片のL*a*b*表色系におけるL*、a*及びb*を測定した。測定装置としては、色差計(日本電色工業社製、SE6000)を用いた。各実施例及び比較例について、3個の試験片で測定したL*、a*及びb*の平均値を、各実施例及び比較例の加熱前(0時間)のL*、a*及びb*とした。
各試験片を95℃に設定した恒温機(送風オーブン)(楠本化成株式会社製、ETAC HS260)に入れ、100時間後、200時間後、300時間後、400時間後及び500時間後のL*、a*及びb*を測定した。各実施例及び比較例について、3個の試験片で測定したL*、a*及びb*の平均値を、各実施例及び比較例の各経過時間でのL*、a*及びb*とした。各実施例及び比較例の所定時間経過後のL*、a*及びb*(平均値)から、加熱前(0時間)のL*、a*及びb*(平均値)を引いた値を、それぞれΔL*、Δa*及びΔb*で表した。また、ΔL*、Δa*及びΔb*から、下記数式によりΔEを算出した。結果を下記表3及び表4に示した。500時間後の上記ΔEが、1.5以下であると耐熱変色性が非常に優れると判断できる。一方で、上記ΔEが4.5を超えると、耐熱変色性が著しく劣ると判断できる。
<加熱による重量減少率の測定>
各実施例及び比較例について、PVCフィルム(厚さ90μm)を10cm×10cmに切り出した試験片を準備し、各試験片の重量を測定した(加熱前の重量)。各試験片を95℃に設定した恒温機(送風オーブン)(楠本化成株式会社製、ETAC HS260)に入れ、24時間後に取り出し、各試験片の重量を測定した(加熱後の重量)。下記式から、各実施例及び比較例の重量減少率(%)を算出し、結果を下記表5に示した。
重量減少量=加熱前の重量(g)-加熱後の重量(g)
重量減少率(%)=(重量減少量/加熱前の重量)×100
上記重量減少率が小さいほど、高温環境下での揮発物が少ないと判断でき、上記重量減少率が1.5%以下であると、車載用加飾フィルムで懸念されるフォギングを低減することができる。
表2の配合と、上記500時間後の上記ΔEの結果と、上記加熱による重量減少率の結果とを下記表6にまとめた。
表6から、可塑剤としてポリエステル系可塑剤を用いた実施例1~7は、加熱後の重量減少率が低く、可塑剤の揮発が抑制されていた。一方で、可塑剤としてフタル酸系可塑剤を用いた比較例1は、加熱後の重量減少率が1.5%を超えており、可塑剤の揮発が起こりやすかった。

Claims (11)

  1. ポリ塩化ビニルと、ポリエステル系可塑剤と、芳香環を有するβ-ジケトンと、紫外線吸収剤とを含む樹脂フィルムであって
    前記ポリエステル系可塑剤の含有量は、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以上、50質量部以下であり、
    前記紫外線吸収剤は、前記芳香環を有するβ-ジケトンに該当するものを含まず、
    前記樹脂フィルムは、下記(1)、(2)及び(3)のうち少なくとも1つを満たす、樹脂フィルム。
    (1)前記樹脂フィルムは、エポキシ化合物を更に含む。
    (2)加熱前の前記樹脂フィルムの重量に対する、95℃で24時間加熱した後の前記樹脂フィルムの重量減少率が、1.5%以下である。
    (3)前記樹脂フィルムは、車載用加飾フィルムである。
  2. 前記紫外線吸収剤の含有量は、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して0.5質量部以上である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  3. 前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  4. 前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  5. 前記芳香環を有するβ-ジケトンの含有量は、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対して0.4質量部以上である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  6. 前記ポリエステル系可塑剤は、脂肪族エステル化合物、又は、脂環式エステル化合物を含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  7. 前記ポリエステル系可塑剤は、アジピン酸系ポリエステル化合物を含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  8. 前記ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、500以上、4000以下である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  9. 前記ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、1600以上、3000以下である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  10. 前記芳香環を有するβ-ジケトンは、炭素数が7以上のアルキル基を含む、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  11. 前記芳香環を有するβ-ジケトンは、ステアロイルベンゾイルメタンである、請求項1に記載の樹脂フィルム。
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