JP7829288B2 - 積層コアおよび積層コアの製造方法 - Google Patents
積層コアおよび積層コアの製造方法Info
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Description
また、加熱および/又は加圧により接着可能な(接着能を有する)絶縁被膜を備える、下記特許文献3、4に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板が知られている。
本願発明者は、この種の絶縁被膜付き電磁鋼板を、コアバック部(ヨーク部)およびティース部を備える積層コアに適用したときに、積層コアにおける磁気特性を改善できることを見出した。
(1)本発明の一態様に係る積層コアは、絶縁被膜を有する複数の電磁鋼板が積層されて形成された積層コアであって、前記複数の電磁鋼板はそれぞれ、環状のコアバック部と、前記コアバック部から前記コアバック部の径方向に突出するとともに、前記コアバック部の周方向に間隔をあけて配置された複数のティース部と、を備え、前記複数の電磁鋼板のうち、積層方向の第1側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、および、積層方向の第2側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、のうちの少なくとも片方が、積層方向に隣り合う電磁鋼板のティース部同士が互いに接着された第1積層鋼板を形成し、前記第1積層鋼板の前記ティース部同士では、各電磁鋼板の絶縁被膜同士が接着されている。
本態様に係る積層コアによれば、積層方向の第1側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、および、積層方向の第2側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板のうちの少なくとも片方が、第1積層鋼板を形成している。言い換えると、積層方向の第1側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、および、積層方向の第2側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板では、ティース部同士が接着されている。そのため、積層コアのうち、積層方向の第1側の端、および、積層方向の第2側の端のうちの少なくとも片方において、ティース部の浮き上がりを抑制することができる。よって、ティース部の浮き上がりによる磁気特性の低下の影響を抑えることができる。
しかも、ティース部の浮き上がりが、かしめや溶接ではなく、接着によって規制されている。ここで、かしめの場合には機械的応力が生じ、溶接の場合には熱応力が生じる。これらの機械的応力や熱応力は、歪による影響以上に磁気特性に影響を与える。また、かしめ、溶接のいずれの場合においても、層間短絡によって電磁鋼板の磁気特性が劣化するおそれがある。よって、ティース部の浮き上がりを接着により規制することで、磁気特性の低下の影響を抑えることができる。
更に本態様に係る積層コアによれば、第1積層鋼板を形成する電磁鋼板同士が、積層方向に隣り合う各電磁鋼板の表面を覆っていた絶縁被膜が一体化し均質となることによって接着されている。すなわち、電磁鋼板同士が、電磁鋼板とは別に設けられた接着剤によって接着されているのではない。ここで、電磁鋼板同士が接着剤によって接着される場合、隣り合う電磁鋼板の間に接着剤が配置されることから、隣り合う電磁鋼板が、接着剤の厚み分、離れてしまう。このため積層コアにおける占積率が低下してしまう。さらに、隣り合う電磁鋼板の全面に接着剤が塗布されず、部分的に接着される場合、非接着領域において隣り合う電磁鋼板同士の接触状態が弱くなる。このため、積層コアが回転電機に組付けられて動作する際の該非接着領域の不用意な振動が増大してロータの回転が不安定化し、回転電機全体の磁気特性が低下する。これに対して、本態様にかかる積層コアのように、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士が、電磁鋼板の絶縁被膜によって接着されている場合、隣り合う電磁鋼板が、前述のような接着剤を起因として離れることがない。このため、隣り合う電磁鋼板が部分的に接着され非接着領域が存在する場合においても、隣り合う電磁鋼板との強い接触状態が実現される。そのため、磁気特性の低下の影響を抑えることができる。
以上より、ティース部の浮き上がりによる磁気特性の低下の影響、接着剤の配置による磁気特性の低下の影響をいずれも抑えることができる。結果として、積層コアにおける磁気特性を改善することができる。
本態様に係る積層コアによれば、第2積層鋼板では、ティース部同士が接着されていない。よって、第2積層鋼板において、歪の発生による磁気特性の低下の影響を抑えることができる。
以上より、ティース部の浮き上がりによる磁気特性の低下の影響、接着剤の配置による磁気特性の低下の影響をいずれも抑えることに加えて、歪の発生による磁気特性の低下の影響も抑えることができる。結果として、積層コアにおける磁気特性を更に改善することができる。
本態様に係る積層コアによれば、第1積層鋼板において、積層方向に隣り合う電磁鋼板のティース部同士では、ティース部のうち、少なくとも先端を含む部分同士が接着されている。よって、ティース部の浮き上がりを効果的に抑制することができる。しかも、浮き上がりを効果的に抑制することで、浮き上がりの抑制に必要となる接着面積を小さく抑えることができる。結果として、歪の発生による積層コアの磁気特性の低下の影響を一層抑えることができる。
すなわち、電磁鋼板を素材から打ち抜く場合、電磁鋼板の板厚は素材の板厚に依存し、素材の板厚は電磁鋼板の板厚と等しい。電磁鋼板の板厚が0.10mm未満である場合、素材の板厚も0.10mm未満となる。この場合、素材から電磁鋼板を打ち抜くときに、所定の積厚とする際の打ち抜き枚数(打ち抜き回数)が増加することとなり、積層コアの生産効率が低下する。また、積層コアにおいて電磁鋼板(母材鋼板)の占める割合である占積率が低下することとなり、積層コアの磁気特性が低下するおそれがある。
一方、電磁鋼板の板厚が0.30mm超である場合、電磁鋼板が厚すぎて、積層コアの鉄損が高まるおそれがある。なお、電磁鋼板の板厚は、0.27mm以下であることが好ましい。
図1に示すように、回転電機10は、ステータ20と、ロータ30と、ケース50と、回転軸60と、を備える。ステータ20およびロータ30は、ケース50内に収容される。ステータ20は、ケース50内に固定される。
本実施形態では、回転電機10として、ロータ30がステータ20の径方向内側に位置するインナーロータ型を採用している。しかしながら、回転電機10として、ロータ30がステータ20の外側に位置するアウターロータ型を採用してもよい。また、本実施形態では、回転電機10が、12極18スロットの三相交流モータである。しかしながら、極数、スロット数、相数などは、適宜変更することができる。
回転電機10は、例えば、各相に実効値10A、周波数100Hzの励磁電流を印加することにより、回転数1000rpmで回転することができる。
ステータコア21は、環状のコアバック部22と、複数のティース部23と、を備える。以下では、ステータコア21(又はコアバック部22)の中心軸線O方向を軸方向と言い、ステータコア21(又はコアバック部22)の径方向(中心軸線Oに直交する方向)を径方向と言い、ステータコア21(又はコアバック部22)の周方向(中心軸線O回りに周回する方向)を周方向と言う。
複数のティース部23は、コアバック部22の内周から径方向内側に向けて(径方向に沿ってコアバック部22の中心軸線Oに向けて)突出する。複数のティース部23は、周方向に同等の角度間隔をあけて配置されている。本実施形態では、中心軸線Oを中心とする中心角20度おきに18個のティース部23が設けられている。複数のティース部23は、互いに同等の形状でかつ同等の大きさに形成されている。よって、複数のティース部23は、互いに同じ厚み寸法を有している。
前記巻線は、ティース部23に巻回されている。前記巻線は、集中巻きされていてもよく、分布巻きされていてもよい。
ロータコア31は、ステータ20と同軸に配置される環状(円環状)に形成されている。ロータコア31内には、前記回転軸60が配置されている。回転軸60は、ロータコア31に固定されている。
複数の永久磁石32は、ロータコア31に固定されている。本実施形態では、2つ1組の永久磁石32が1つの磁極を形成している。複数組の永久磁石32は、周方向に同等の角度間隔をあけて配置されている。本実施形態では、中心軸線Oを中心とする中心角30度おきに12組(全体では24個)の永久磁石32が設けられている。
なお、ステータコア21およびロータコア31それぞれの積厚(中心軸線Oに沿った全長)は、例えば50.0mm~200.0mm、好ましくは60.0mm~170.00mmとされる。ステータコア21の外径は、200.0mm~300.0mm、例えば250.0mmとされる。ステータコア21の内径は、130.0mm~180.0mm、例えば165.0mmとされる。ロータコア31の外径は、例えば163.0mmとされる。ロータコア31の内径は、例えば30.0mmとされる。ただし、これらの値は一例であり、ステータコア21の積厚、外径や内径、およびロータコア31の積厚、外径や内径は、これらの値のみに限られない。ここで、ステータコア21の内径は、ステータコア21におけるティース部23の先端部を基準とする。すなわち、ステータコア21の内径は、全てのティース部23の先端部に内接する仮想円の直径である。
積層コアの説明の途中ではあるが、以下では、この素材1について説明する。なお本明細書において、電磁鋼板40の母材となる帯状の鋼板を素材1という場合がある。素材1を打ち抜き加工して積層コアに用いられる形状にした鋼板を電磁鋼板40という場合がある。
素材1は、例えば、コイル1Aに巻き取られた状態で取り扱われる。本実施形態では、素材1として、無方向性電磁鋼板を採用している。無方向性電磁鋼板としては、JIS C 2552:2014の無方向性電磁鋼帯を採用できる。しかしながら、素材1として、無方向性電磁鋼板に代えて方向性電磁鋼板を採用してもよい。この場合の方向性電磁鋼板としては、JIS C 2553:2019の方向性電磁鋼帯を採用できる。また、JIS C 2558:2015の無方向性薄電磁鋼帯や方向性薄電磁鋼帯を採用できる。
素材1が薄くなるに連れて素材1の製造コストは増す。そのため、製造コストを考慮すると、素材1の平均板厚t0の下限値は、0.10mm、好ましくは0.15mm、より好ましくは0.18mmとなる。
一方で素材1が厚すぎると、製造コストは良好になるが、素材1が電磁鋼板40として用いられた場合に、渦電流損が増加してコア鉄損が劣化する。そのため、コア鉄損と製造コストを考慮すると、素材1の平均板厚t0の上限値は、0.65mm、好ましくは0.35mm、より好ましくは0.30mmとなる。
素材1の平均板厚t0の上記範囲を満たすものとして、0.20mmを例示できる。
Al:0.001%~3.0%
Mn:0.05%~5.0%
残部:Fe及び不純物
アクリル樹脂としては、特に限定されない。アクリル樹脂に用いるモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートを例示できる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。アクリル樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
素材1が電磁鋼板40として用いられる場合において、絶縁被膜3の平均厚みt1(電磁鋼板40(素材1)片面あたりの厚さ)は、互いに積層される電磁鋼板40間での絶縁性能及び接着能を確保できるように調整する。
複層構成の絶縁被膜3の場合、下地絶縁被膜の平均厚みは、例えば、0.3μm以上1.2μm以下とすることができ、0.7μm以上0.9μm以下が好ましい。上地絶縁被膜の平均厚みは、例えば、1.5μm以上8.0μm以下とすることができる。
なお、素材1における絶縁被膜3の平均厚みt1の測定方法は、素材1の平均板厚t0と同様の考え方で、複数箇所の絶縁被膜3の厚みを求め、それらの厚みの平均として求めることができる。
なお、このように絶縁被膜3の平均厚みt1を、積層方向の最も外側に位置する電磁鋼板40において測定した理由は、絶縁被膜3の厚みが、電磁鋼板40の積層方向に沿った積層位置で殆ど変わらないように、絶縁被膜3が作り込まれているからである。
以下、積層コアの説明に戻る。ステータコア21を形成する複数の電磁鋼板40は、図3に示すように、絶縁被膜3を介して積層されている。
図3に示すように、第1積層鋼板51では、積層方向に隣り合う電磁鋼板40のティース部23同士が互いに接着されている。第1積層鋼板51のティース部23同士では、ティース部23のうち、少なくとも径方向の先端23aを含む部分同士が接着されている。
第1積層鋼板51の前記ティース部23同士では、各電磁鋼板40の絶縁被膜3同士が接着されている。言い換えると、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士の間に、接着剤が配置されていないが、電磁鋼板40同士が接着されている。絶縁被膜3は、前述したように母材鋼板2の両面を全面にわたって覆っているものの、絶縁被膜3のうち、接着されている部分は、全面ではなくて一部である。
なお接着領域41aとは、電磁鋼板40の第1面において、絶縁被膜3が、隣り合う他の電磁鋼板40の絶縁被膜3と一体に界面なく接着されている領域を意味する。非接着領域41bとは、電磁鋼板40の第1面において、絶縁被膜3が、隣り合う他の電磁鋼板40の絶縁被膜3に接着されていない領域を意味する。すなわち、非接着領域41bでは、積層方向に隣り合う電磁鋼板40の絶縁被膜3の表面同士が、互いに接触しているだけで、接着されていない。
また、ステータコア21やロータコア31などの積層コアは、いわゆる回し積みにより形成されていてもよい。
前記ステータコア21は、例えば、図7に示す製造装置100を用いて製造される。以下では、製造方法の説明にあたり、まず先に、積層コアの製造装置100(以下、単に製造装置100という)について説明する。
製造装置100では、コイル1A(フープ)から素材1を矢印F方向に向かって送り出しつつ、各ステージに配置された金型により複数回の打ち抜きを行って電磁鋼板40の形状に徐々に形成していく。そして、打ち抜いた電磁鋼板40を積層して昇温させながら加圧する。その結果、積層方向に隣り合う電磁鋼板40を絶縁被膜3によって接着させ(すなわち、絶縁被膜3のうちの接着領域41aに位置する部分に接着能を発揮させ)、接着が完了する。
第1加熱装置141a、外周打ち抜き雌金型142、断熱部材143は、素材1の下方に配置されている。一方、外周打ち抜き雄金型144及びスプリング145は、素材1の上方に配置されている。
第1工程では、積層された電磁鋼板40のティース部23を加熱して絶縁被膜3に接着能(融着能)を発揮させることで、第1積層鋼板51を形成する。この第1工程は、第1側D1の第1積層鋼板51a、第2側D2の第1積層鋼板51bそれぞれを形成するために2回実施する。
第2工程では、第1工程における加熱の影響を受けない状態で電磁鋼板40を積層し、第2積層鋼板52を形成する。
第3工程では、第1工程および第2工程の後、第1積層鋼板51と第2積層鋼板52とを積み重ねる。
以上により、第1積層鋼板51が形成される。
なお、完成したステータコア21は、例えば、図示しない治具によりコアバック部22を積層方向の両側から挟んで、確実に保持しておくことが好ましい。前記治具により形状を保持したステータコア21に巻線を施すと、ステータ20が製造される。巻線後、ステータ20から治具を取り外しても、巻線によりステータコア21の形状が保持される。
本実施形態に係るステータコア21によれば、第2積層鋼板52では、ティース部23同士が接着されていない。よって、第2積層鋼板52において、歪の発生による磁気特性の低下の影響を抑えることができる。
本実施形態に係るステータコア21によれば、積層方向の第1側D1の最も端に位置する電磁鋼板40を含む一部の電磁鋼板40、および、積層方向の第2側D2の最も端に位置する電磁鋼板40を含む一部の電磁鋼板40のうちの少なくとも片方が、第1積層鋼板51を形成している。言い換えると、積層方向の第1側D1の最も端に位置する電磁鋼板40を含む一部の電磁鋼板40、および、積層方向の第2側D2の最も端に位置する電磁鋼板40を含む一部の電磁鋼板40では、ティース部23同士が接着されている。そのため、ステータコア21のうち、積層方向の第1側D1の端、および、積層方向の第2側D2の端のうちの少なくとも片方において、ティース部23の浮き上がりを抑制することができる。よって、ティース部23の浮き上がりによる磁気特性の低下の影響を抑えることができる。
しかも、ティース部23の浮き上がりが、かしめや溶接ではなく、接着によって規制されている。本実施形態では、接着と、かしめや溶接と、を併用するのではなく、接着のみにより、ティース部23の浮き上がりを規制する。ここで、かしめの場合には機械的応力が生じ、溶接の場合には熱応力が生じる。これらの機械的応力や熱応力は、歪による影響以上に磁気特性に影響を与える。また、かしめ、溶接のいずれの場合においても、層間短絡によって電磁鋼板40の磁気特性が劣化するおそれがある。よって、ティース部23の浮き上がりを接着により規制することで、磁気特性の低下の影響を抑えることができる。
枚数N1および枚数N2が、いずれも複数の電磁鋼板40の全枚数(以下、枚数N0という)の1/3以下である。よって、ステータコア21全体において、ティース部23が接着されている電磁鋼板40の枚数の比率を低くすることができる。その結果、歪の発生によるステータコア21の磁気特性の低下の影響を一層抑えることができる。
枚数N1と枚数N2とが等しい。したがって、ステータコア21において、積層方向の第1側D1における磁気特性と第2側D2における磁気特性との間に相違が生じるのを抑えることができる。これにより、ステータコア21の取り扱い性を高めることができる。
枚数N1および枚数N2が、枚数N3と等しい。したがって、第1側D1の第1積層鋼板51、第2側D2の第1積層鋼板51、中央の第2積層鋼板52のどの部分を製造する過程においても、同じ枚数の電磁鋼板40を積み重ねればよい。結果として、ステータコア21の製造の更なる簡素化を図ることができる。
本実施形態に係るステータコア21によれば、第1積層鋼板51において、積層方向に隣り合う電磁鋼板40のティース部23同士では、ティース部23のうち、少なくとも先端23aを含む部分同士が接着されている。よって、ティース部23の浮き上がりを効果的に抑制することができる。しかも、浮き上がりを効果的に抑制することで、浮き上がりの抑制に必要となる接着面積を小さく抑えることができる。結果として、歪の発生によるステータコア21の磁気特性の低下の影響を一層抑えることができる。
第1積層鋼板51および第2積層鋼板52では、積層方向に隣り合う電磁鋼板40のコアバック部22同士が互いに接着されていない。したがって、歪の発生によるステータコア21の磁気特性の低下の影響を一層抑えることができる。
すなわち、電磁鋼板40を素材1から打ち抜く場合、電磁鋼板40の板厚は素材1の板厚に依存し、素材1の板厚は電磁鋼板40の板厚と等しい。電磁鋼板40の板厚が0.10mm未満である場合、素材1の板厚も0.10mm未満となる。この場合、素材1から電磁鋼板40を打ち抜くときに、所定の積厚とする際の打ち抜き枚数(打ち抜き回数)が増加することとなり、ステータコア21の生産効率が低下する。また、ステータコア21において電磁鋼板40(母材鋼板2)の占める割合である占積率が低下することとなり、ステータコア21の磁気特性が低下するおそれがある。
一方、電磁鋼板40の板厚が0.30mm超である場合、電磁鋼板40が厚すぎて、ステータコア21の鉄損が高まるおそれがある。なお、電磁鋼板40の板厚は、0.27mm以下であることが好ましい。
第1工程における加熱の影響を受けない状態で電磁鋼板40を積層し、第2積層鋼板52を形成する。したがって、第2積層鋼板52を形成する電磁鋼板40同士が意図せず接着するのを抑制することができる。
図8に示す第1変形例の電磁鋼板40Aでは、接着領域41aが、図3に示す電磁鋼板40の接着領域41aに比べてティース部23の基端に向けて広がっている。接着領域41aにおいて、径方向の外側に位置する境界線は、径方向の外側に向けて突となる曲線をなす。
図9に示す第2変形例の電磁鋼板40Bでは、ティース部23の全域が接着領域41aとなっている。接着領域41aにおいて、径方向の外側に位置する境界線は、ティース部23とコアバック部22との境界線上に位置する。
図10に示す第3変形例の電磁鋼板40Cでは、ティース部23のうち、先端23aだけでなく、側端23bにも接着領域41aが設けられている。ここで、ティース部23の径方向の先端23aとは、ティース部23のうちの周方向の縁を言う。図示の例では、ティース部23は、平面視において径方向に長い矩形状に形成されている。そして、ティース部23の側端23bとは、平面視において、周方向に位置する辺に相当する部分をいう。なお図示の例では、接着領域41aは、ティース部23の側端23bのうち、径方向の中央よりも先端23a寄りに配置されている。接着領域41aは、平面視において、ティース部23の先端23aおよび側端23bに連続するU字状に形成されている。
図11に示す第4変形例の電磁鋼板40Dでは、図10に示す第3変形例の電磁鋼板40Cと同様に、ティース部23のうち、先端23aだけでなく、側端23bにも接着領域41aが設けられている。ただし、図11に示す電磁鋼板40Dでは、図10に示す電磁鋼板40Cに比べて、接着領域41aが広くなっている。
なお、図10や図11に示す電磁鋼板40C、40Dは、第1積層鋼板51を作成する過程で、図10に破線で示すように、第1加熱装置141aに加えて、第2加熱装置141bを用いることで実現することができる。第2加熱装置141bは、周方向に隣り合うティース部23の間(スロット)に配置される。第2加熱装置141bは、第1加熱装置141aと同様に、発熱体やコイルなどを採用することができる。
第1積層鋼板51において、ティース部23の基端同士が接着されていて、ティース部23の先端23a同士が接着されていなくてもよい。
例えば、N1≠((N0)/3)であったり、N2≠((N0)/3)であったり、N1>((N0)/3)であったり、N2>((N0)/3)であったり、N1≠N2であったり、N1≠N3であったり、N2≠N3であったり、N3<N1であったり、N3<N2であったりしてもよい。
前記実施形態におけるロータ30では、2つ1組の永久磁石32が1つの磁極を形成しているが、本発明はこの形態のみに限られない。例えば、1つの永久磁石32が1つの磁極を形成していてもよく、3つ以上の永久磁石32が1つの磁極を形成していてもよい。
上記実施形態では、回転電機10として、永久磁石界磁型電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれのみに限られない。例えば、回転電機10がリラクタンス型電動機や電磁石界磁型電動機(巻線界磁型電動機)であってもよい。
上記実施形態では、交流電動機として、同期電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、回転電機10が誘導電動機であってもよい。
上記実施形態では、回転電機10として、交流電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、回転電機10が直流電動機であってもよい。
上記実施形態では、回転電機10として、電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、回転電機10が発電機であってもよい。
検証試験として、第1の検証試験と、第2の検証試験と、を実施した。
第1の検証試験では、(1)積層方向の全電磁鋼板が接着されていること、(2)積層方向の両側の電磁鋼板が接着され、中央の電磁鋼板が接着されていないこと、および、(3)積層方向の両側の電磁鋼板が接着能を有する絶縁被膜により接着されていることに基づく作用効果について検証した。
この検証試験では、比較例1、2、3のステータ、実施例1、2、3のステータについて積層コアの損失を評価した。
鉄損は、積層コア中で発生するエネルギー損失に基づく。鉄損の元となるエネルギー損失の値としては、コアバック部の周方向の異なる4か所へサーチコイルを施し、これらの4か所の平均で1.0Tとなるよう磁化した際のエネルギー損失の値を採用した。そして、このエネルギー損失と各積層コアの重量とから、鉄損(W/kg)を換算した。上記エネルギー損失は、積層コアを300rpmで回転させた状態で、積層コアの中央部に配置した励磁ヨークに励磁電流を流したときと、励磁電流を切ったときと、の誘起トルクの差から算出した。すなわち、誘起トルクと回転数との積が、積層コア中で発生するエネルギーと等しいとの関係を利用して当該のエネルギー損失を求めた。
ティース部の浮き上がりは、ティース部に1.0MPaの圧力を加えた状態でのティース部積厚T1に対する、除荷した状態でのティース部積厚T2の比(すなわち、T2/T1)で評価した。いずれの積厚T1、T2もノギスで測定し、除荷した状態のティース部積厚T2は、ノギスがティース部鋼板に接した際の測定値とした。前記の比T2/T1が1.06以内を◎、1.06超~1.15を○、1.15超を×とし、◎、○を良好と判断した。
また、接着範囲を全層接着とした例(実施例1、比較例2)に対する、接着範囲を両側接着とした例(実施例2、比較例3)における鉄損の改善効果は、接着能を有する絶縁被膜による接着の場合(実施例1:1.57W/kg、実施例2:1.10W/kg)において、接着剤塗布による接着の場合(比較例2:1.73W/kg、比較例3:1.53W/kg)より顕著となった。これは、塗布した接着剤による占積率の低下および前記した非接着領域での振動増加が関係していると考えられる。
第2の検証試験では、接着される枚数の相違に基づく効果の相違について検証した。
この検証試験では、実施例11~15のステータについて積層コアの損失を評価した。
実施例11のステータでは、99枚の電磁鋼板のうち、積層方向の両側に位置する10枚ずつ(全枚数の10.1%ずつ)を接着し、積層方向の中央に位置する79枚(全枚数の79.8%)を接着しなかった。
実施例12のステータでは、99枚の電磁鋼板のうち、積層方向の両側に位置する20枚ずつ(全枚数の20.2%ずつ)を接着し、積層方向の中央に位置する59枚(全枚数の59.6%)を接着しなかった。
実施例13のステータでは、99枚の電磁鋼板のうち、積層方向の両側に位置する30枚ずつ(全枚数の30.3%ずつ)を接着し、積層方向の中央に位置する39枚(全枚数の39.4%)を接着しなかった。
実施例14のステータでは、99枚の電磁鋼板のうち、積層方向の両側に位置する33枚ずつ(全枚数の1/3ずつ)を接着し、積層方向の中央に位置する33枚(全枚数の1/3)を接着しなかった。
実施例15のステータでは、99枚の電磁鋼板のうち、積層方向の両側に位置する40枚ずつ(全枚数の40.4%ずつ)を接着し、積層方向の中央に位置する19枚(全枚数の19.2%)を接着しなかった。
実施例11~15のステータそれぞれについて、積層コアの鉄損を評価した。評価方法は、第1の検証試験と同様である。
21 ステータコア
22 コアバック部
23 ティース部
23a 先端
40、40A、40B、40C、40D、40E 電磁鋼板
51 第1積層鋼板
52 第2積層鋼板
D1 第1側
D2 第2側
Claims (12)
- 絶縁被膜を有する複数の電磁鋼板が積層されて形成された積層コアであって、
前記複数の電磁鋼板はそれぞれ、環状のコアバック部と、前記コアバック部から前記コアバック部の径方向に突出するとともに、前記コアバック部の周方向に間隔をあけて配置された複数のティース部と、を備え、
前記複数の電磁鋼板のうち、積層方向の第1側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、および、積層方向の第2側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、のうちの少なくとも片方が、前記コアバック部の周方向に間隔をあけて配置された複数のティース部のうち、一部のティース部において、積層方向に隣り合う電磁鋼板のティース部同士が互いに接着され、残りのティース部において、積層方向に隣り合う電磁鋼板のティース部同士が互いに接着されていない第1積層鋼板を形成し、前記第1積層鋼板を形成していない残りの電磁鋼板は、積層方向に隣り合う電磁鋼板のティース部同士が互いに接着されていない第2積層鋼板を形成し、
前記第1積層鋼板の前記一部のティース部では、各電磁鋼板の絶縁被膜同士が接着されている、積層コア。 - 前記複数の電磁鋼板のうち、積層方向の第1側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、および、積層方向の第2側の最も端に位置する電磁鋼板を含む一部の電磁鋼板、がいずれも、前記第1積層鋼板を形成し、
前記複数の電磁鋼板のうち、積層方向の中央に位置する残りの電磁鋼板が、前記第2積層鋼板を形成している、請求項1に記載の積層コア。 - 積層方向の中央の前記第2積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数は、積層方向の第1側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数以上であり、かつ、積層方向の第2側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数以上である、請求項2に記載の積層コア。
- 積層方向の第1側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数、および、積層方向の第2側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数は、いずれも前記複数の電磁鋼板の全枚数の1/3以下である、請求項2または3に記載の積層コア。
- 積層方向の第1側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数と、積層方向の第2側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数と、が等しい、請求項2から4のいずれか1項に記載の積層コア。
- 積層方向の第1側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数、および、積層方向の第2側の前記第1積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数が、積層方向の中央の前記第2積層鋼板を形成する電磁鋼板の枚数と等しい、請求項5に記載の積層コア。
- 前記第1積層鋼板では、積層方向に隣り合う電磁鋼板のティース部同士が互いにかしめられておらず、かつ、溶接されていない、請求項1から6のいずれか1項に記載の積層コア。
- 前記第1積層鋼板の前記一部のティース部同士では、前記一部のティース部のうち、少なくとも前記径方向の先端を含む部分同士が接着されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の積層コア。
- 前記第1積層鋼板では、積層方向に隣り合う電磁鋼板のコアバック部同士が互いに接着されていない、請求項1から8のいずれか1項に記載の積層コア。
- 前記複数の電磁鋼板それぞれの板厚は、0.10mm以上0.30mm以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の積層コア。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の積層コアを製造する方法であって、
積層された前記電磁鋼板の前記一部のティース部を加熱して前記絶縁被膜に接着能を発揮させることで、前記第1積層鋼板を形成する第1工程を含む、積層コアの製造方法。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の積層コアを製造する方法であって、
積層された前記電磁鋼板の前記一部のティース部を加熱して前記絶縁被膜に接着能を発揮させることで、前記第1積層鋼板を形成する第1工程と、
前記第1工程における加熱の影響を受けない状態で前記電磁鋼板を積層し、前記第2積層鋼板を形成する第2工程と、
前記第1工程および前記第2工程の後、前記第1積層鋼板と前記第2積層鋼板とを積み重ねる第3工程と、を含む、積層コアの製造方法。
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