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JP7831430B2 - パスラインロール及び鋼板製造方法 - Google Patents
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パスラインロール及び鋼板製造方法

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本発明は、複数の圧延機を有する圧延ラインにおいて、複数の圧延機の間に配設されるパスラインロール及び鋼板製造方法に関する。
鋼板の圧延においては、圧延ラインに沿って複数の圧延機をタンデム状に配置すると共に、圧延対象の鋼板を当該複数の圧延機に亘って通板させることで圧延を行うタンデム式圧延が行われている。タンデム式圧延においては、通板させる鋼板を所定の板厚に圧延するため、圧延機間の張力の測定及び制御が不可欠となっている。このため、圧延機間にパスラインロールを配設し、当該パスラインロールにより圧延ラインにおける張力の測定及び制御を行っている。具体的に、パスラインロールに対して圧延ラインの上流側に配設された圧延機の出側の張力について、測定及び制御を行っている。パスラインロールは、圧延ラインの張力を測定するテンションメータロールと、テンションメータロールの補助ロールとして利用されるデフロールとを含む。
タンデム式圧延においては、通板される鋼板と圧延ライン上のロール(圧延機におけるワークロール及びパスラインロール)との速度差に起因して、鋼板とロールとの間でスリップが発生する。これに対し、特許文献1では、ワークロールの表面粗さRaを調整することで、ワークロールと鋼板との間のスリップを防止する方法が開示されている。
また、鋼板とパスラインロールとの間においてもスリップは発生する。パスラインロールは、非駆動方式の回転を行う構成上、スリップの発生の際には回転が停止した状態となる。よって、鋼板とパスラインロールとの間においてスリップが発生した際には、鋼板の表面に擦りキズ状の欠陥が発生してしまう。擦りキズ状の欠陥は、鋼板の板厚が0.6mm未満の薄物材である場合に発生し易い。
このため、鋼板とパスラインロールとの間のスリップの発生に対しては、当該パスラインの上流側に配設された圧延機のワークロールの表面に粗さを付与し、当該ワークロールによる圧延にて鋼板の表面に粗さを転写する方法が行われている。この方法により、粗さを転写された鋼板がパスラインロールを通板する際には、鋼板とパスラインロールとの間の摩擦力(摩擦係数)が増加しスリップが抑制される。そして、表面品質がより必要とされる薄物材においては、薄物材とパスラインロールとの間のスリップを回避するため、圧延ラインにおける圧延に先んじて、表面に粗さを付与したワークロールに交換する作業が行われている。
特開平08-24903号公報
しかしながら、ワークロールの表面に粗さを付与すると共に鋼板の表面に当該粗さを転写させて、鋼板とパスラインロールとの間の摩擦係数を増加させる方法では、鋼板の表面品質への影響が大きく積極的な適用は難しい。また、ワークロールの表面は、度重なる圧延による摩耗の進行が著しく早いため、ワークロールの表面の粗さを鋼板の表面に転写することによるスリップの抑制は、運用上、現実的に難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、複数の圧延機の間に配設されるパスラインロールについて、鋼板の表面品質への影響を回避し、鋼板との間のスリップの発生を抑制できるパスラインロールを提供することにある。
[1]複数の圧延機を有する圧延ラインにおいて前記複数の圧延機の間に配設されるパスラインロールであって、前記圧延ラインにて通板される鋼板との接触面の表面粗さRaが1.0μm以上3.0μm以下である、パスラインロール。
[2]前記接触面に硬質金属メッキ層を有する、[1]に記載のパスラインロール。
[3]複数の圧延機を有する圧延ラインにおいて鋼板を通板させて圧延を行う鋼板製造方法であって、前記複数の圧延機の間に配設されると共に鋼板との接触面の表面粗さRaが1.0μm以上3.0μm以下であるパスラインロールにより鋼板を通板させる、鋼板製造方法。
本発明によれば、複数の圧延機の間に配設されるパスラインロールについて、鋼板の表面品質への影響を回避し、鋼板との間のスリップの発生を抑制できる。
圧延ラインの一例の概略側面図を示す図である。 鋼板に転写された表面粗さとワークロール圧延長との関係を示す図である。 パスラインロールの表面粗さと使用期間との関係を示す図である。 表面粗さRaを0.2μm以下とするパスラインロールを圧延ラインに適用した場合におけるワークロールの回転速度とパスラインロールの回転速度との関係を示す図である。 表面粗さRaを2.5μmとするパスラインロールを圧延ラインに適用した場合におけるワークロールの回転速度とパスラインロールの回転速度との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。図1に、圧延ライン1の一例としての概略側面図を示す。圧延ライン1は、複数の圧延機を有するタンデム式圧延が可能な圧延設備であってよい。圧延ライン1は、鋼板Sの通板方向Tに沿って上流側から順に、上流側圧延機10と、パスラインロール20と、下流側圧延機30とを有する。
上流側圧延機10は、鋼板Sを挟んで上下一対のバックアップロール11と、ワークロール12とを有する。パスラインロール20は、テンションメータロール21と、デフロール22とを有する。テンションメータロール21は、圧延ライン1における鋼板Sの張力を測定する。デフロール22は、テンションメータロールの補助ロールとして用いられる。上流側圧延機10及び下流側圧延機30は、圧延ライン1を通板する鋼板Sに圧延を施す。
ここで、ワークロールの表面に粗さを付与すると共に鋼板の表面に当該粗さを転写させて、鋼板とパスラインロールとの間の摩擦力を増加させた場合における、鋼板の表面粗さとワークロール圧延長との関係について、図2を用いて説明する。図2は、鋼板における転写された表面粗さとワークロール圧延長との関係を示す図である。ワークロール圧延長は、当該ワークロールを用いて圧延した鋼板の長さの合計を意味する。
図2に示す通り、ワークロール圧延長が短い場合には、鋼板の表面粗さRaが0.4~0.6μmの範囲の値となっている。このため、ワークロール圧延長が短い場合には、粗さを転写された鋼板とパスラインロールとの間におけるスリップの発生が抑制されることが確認できる。つまり、鋼板の表面粗さRaを高く維持することで、鋼板とパスラインロールとの間の摩擦力(摩擦係数)が増加し、スリップが抑制できていると考えられる。
その一方で、ワークロール圧延長が長くなると、鋼板の表面粗さRaが0.4μm以下の値となり、粗さを転写された鋼板とパスラインロールとの間において、スリップが発生し易い状況となることが確認できる。これは、図2に示す通り、鋼板の表面粗さRaが低下したタイミングでスリップが発生していることから確認できる。
このため、鋼板とパスラインロールとの間におけるスリップの発生を抑制するためには、鋼板とパスラインロールとの間における摩擦力(摩擦係数)が重要な因子となり、摩擦力(摩擦係数)を増加させることが必要となる。
なお、図2に示す鋼板の表面粗さとワークロール圧延長との関係は、ワークロールの表面の粗さを鋼板の表面に転写させる方法を前提とした結果であるため、鋼板の表面品質への影響が大きく積極的な適用は難しい。
このため、本発明においては、パスラインロールの表面に粗さを付与することで、当該パスラインロールを通板する鋼板との間において、スリップの発生を抑制することとした。具体的に、パスラインロールの表面粗さRaを1.0μm以上とすることで、スリップの発生の抑制が可能となった。そして、圧延ライン1を用いた圧延において、パスラインロールの表面粗さRaの値について、1.0μmを閾値とし、表面粗さRaが1.0μmを下回った場合には当該パスラインロールの交換を行う。
タンデム式圧延が可能な圧延設備(圧延ライン1)においては、複数の圧延機のうち最も下流側の圧延機に、表面粗さが高いダルロールを用いている。ダルロールは、表面粗さRaが3.0μm超えとする値になっている。このため、圧延設備において鋼板を製造する際には、最終的に3.0μm超えの値を有する表面粗さRaを有するダルロールを用いることで、鋼板の表面粗さを制御(調整)している。これを踏まえ、鋼板の表面品質への影響の観点から、ダルロールを用いた鋼板の表面粗さRaの制御への影響を抑えるため、パスラインロールの表面粗さRaの上限を3.0μm以下とする。
ここで、パスラインロール20の表面粗さRaの範囲(1.0μm以上3.0μm以下)に基づき、表面粗さRaの値が2.5±0.5μmであるパスラインロール20を圧延ライン1へ適用した場合における、表面粗さRaの経過状況を調査した。
パスラインロール20の表面粗さRaの経過状況について、図3を用いて説明する。図3は、パスラインロール20の表面粗さと使用期間との関係を示す図である。図3に示す通り、表面粗さRaの値が2.5±0.5μmであるパスラインロール20を圧延ライン1に適用した時点(グラフの左端)では、表面粗さRaの値が2.0μm以上の値を示していることが確認できる。そして、1年間の使用を経た場合であっても、表面粗さRaの値を1.0μm以上に維持できることが確認できた。
パスラインロール20の表面粗さは、ショットブラスト法やサンドブラスト法、グリッドブラスト法等により付与(表面加工)してよい。また、ショットブラスト法と比較して、表面を球状粗化することで局部的に圧加集中を緩和できるディンプル加工により、パスラインロール20に表面粗さを付与してもよい。
パスラインロール20への表面粗さの付与(表面加工)を行った後、表面粗さを有する接触面に硬質金属メッキ層を形成することが好ましい。表面粗さを有する接触面に硬質金属メッキ層を有することで、表面加工が施された表面粗さを長期間に亘って維持することができる。この場合、硬質金属メッキ層は、例えば、パスラインロール20の表面に近い側から順に、1層目を硬さHV650程度のNiやCr等を含むNi系自溶合金により形成し、2層目を硬さHV1000程度のWCサーメット加工により形成してよい。硬質金属メッキ層は、WCサーメット加工による単層として形成した場合にも表面粗さの維持に有効である。しかし、パスラインロール20の硬度と硬質金属メッキ層の硬度との差が大きいことに起因し、パスラインロール20と硬質金属メッキ層との剥離が発生し易くなる。このため、硬質金属メッキ層とパスラインロール20との間に、硬質金属メッキ層より硬度の低い層を形成することが好ましい。
そして、本発明に係る鋼板製造方法は、複数の圧延機(上流側圧延機10及び下流側圧延機30)を有する圧延ライン1において、鋼板Sを通板させて圧延を行う。具体的に、複数の圧延機(上流側圧延機10及び下流側圧延機30)の間に配設されると共に鋼板Sとの接触面の表面粗さRaが1.0μm以上3.0μm以下であるパスラインロール20により鋼板Sを通板させる。
次に、本発明に係るパスラインロールを圧延ラインに適用すると共に、当該圧延ラインにて鋼板を通板させて圧延加工を実施した実施結果を説明する。圧延機を通板する鋼板は、当該圧延機におけるワークロールの回転速度に基づき、当該回転速度と同等の通板速度によって圧延機の出側を通板する。そして、圧延機の下流側に配設されたパスラインロールは、非駆動方式であるため、通板する鋼板との接触により、鋼板の通板速度に基づいて、当該通板速度と同等の回転速度を以て回転することとなる。
これらの速度に関する関係を踏まえ、本実施例においては、圧延機におけるワークロールの回転速度と、パスラインロールの回転速度との関係について評価を行った。具体的に、圧延機におけるワークロールの回転速度とパスラインロールの回転速度とが同等である場合には、パスラインロールにおいて「スリップ無し」と評価し、ワークロールの回転速度がパスラインロールの回転速度よりも速い場合には、パスラインロールにおいて「スリップ有り」と評価した。
表面粗さRaを0.2μmとするパスラインロールを圧延ラインに適用して、ワークロールの回転速度とパスラインロールの回転速度との関係を調査した結果を、図4に示す。また、表面粗さRaを2.5μmとするパスラインロールを圧延ラインに適用して、ワークロールの回転速度とパスラインロールの回転速度との関係を調査した結果を、図5に示す。何れのパスラインロールにおいても、ショットブラスト法により表面粗さを付与した。圧延ラインを通板する鋼板は、引張強度を270MPaとし、表面粗さRaを約0.3μm(推定)とする鋼板を用いた。圧延ラインにおける圧延速度は、1000mpm付近の速度となるように設定した。圧延の前におけるワークロールの交換は行わなかった。上記したパスラインロールの表面粗さRaは、「JIS B 0601:2013 表面粗さ」に基づいて、評価長さを4mm、カットオフを0.8mmとして、測定した。
図4に示す通り、表面粗さRaを0.2μmとするパスラインロールを圧延ラインに適用した場合には、ワークロールの回転速度とパスラインロールの回転速度との間に大きな速度差があり、パスラインロールと鋼板との間においてスリップが発生したことが確認できた。
その一方で、表面粗さRaを2.5μmとするパスラインロールを圧延ラインに適用した場合には、図5に示す通り、ワークロールの回転速度とパスラインロールの回転速度とが常に一致する結果となり、パスラインロールと鋼板との間においてスリップが発生していないことが確認できた。
以上の通り、パスラインロールにおける鋼板との接触面に表面粗さを付与し、鋼板とパスラインロールとの間における摩擦力(摩擦係数)を増加させることで、鋼板の表面粗さを問わず、鋼板とパスラインロールとの間におけるスリップの発生を抑制できた。また、ワークロールの表面に粗さを付与すると共に鋼板の表面に当該粗さを転写させて、鋼板とパスラインロールとの間の摩擦力(摩擦係数)を増加させる方法を行う必要が無くなり、鋼板の表面品質への影響を回避できた。更に、スリップの発生を抑制できたことに基づき、鋼板の表面品質の向上、及び、鋼板の製造における歩留の改善を図ることができる。
1 圧延ライン
10 上流側圧延機
11 バックアップロール
12 ワークロール
20 パスラインロール
21 テンションメータロール
22 デフロール
30 下流側圧延機
S 鋼板
T 通板方向

Claims (2)

  1. 複数の圧延機を有する圧延ラインにおいて前記複数の圧延機の間に配設されるパスラインロールであって、前記圧延ラインにて通板される鋼板との接触面の表面粗さRaが1.0μm以上3.0μm以下であり、前記パスラインロールの表面に近い側から順にNi系自溶合金の層とWCサーメット加工により形成された層とを有する硬質金属メッキ層を前記接触面に有する、パスラインロール。
  2. 複数の圧延機を有する圧延ラインにおいて鋼板を通板させて圧延を行う鋼板製造方法であって、前記複数の圧延機の間に配設されると共に鋼板との接触面の表面粗さRaが1.0μm以上3.0μm以下であり、前記パスラインロールの表面に近い側から順にNi系自溶合金の層とWCサーメット加工により形成された層とを有する硬質金属メッキ層を前記接触面に有するパスラインロールにより鋼板を通板させる、鋼板製造方法。
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