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JP7832221B2 - 視力向上用の組成物 - Google Patents
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JP7832221B2 - 視力向上用の組成物 - Google Patents

視力向上用の組成物

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Description

本発明は、矯正視力、裸眼視力および実用視力から選択される1種以上の視力を向上させることができる組成物に関するものである。
アスタキサンチンは、食品添加物の色素として、あるいは養殖魚の色揚げ剤として長年使用されてきた。アスタキサンチンにビタミンEの1000倍もの優れた抗酸化作用があることが見出されてからというもの、アスタキサンチンは医薬品やサプリメントなどの健康食品、基礎化粧品などにおいて利用されている。
例えば、非特許文献1には、アスタキサンチン含有食品が目の調節機能や疲れ目に有効であったことが開示されている。しかしながら、非特許文献1ではアスタキサンチンが視力向上効果を有することまでは記載されていない。
眼科臨床紀要3(5):2010 461~468頁
本発明は、視力、特に矯正視力、裸眼視力および/または実用視力向上用の組成物を提供することである。
本発明者らが上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アスタキサンチン類を含有する組成物を摂取することで矯正視力および裸眼視力が向上することを見出し、さらに、アスタキサンチン類及びビタミンEを含有する組成物を摂取することで矯正視力、裸眼視力および実用視力が向上することを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は以下を含む。
[1] 成分(A)または成分(A)及び成分(B)を含有する、視力向上用の組成物;
成分(A):アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステル体からなる群から選ばれる少なくとも1種、および
成分(B):ビタミンE。
[2] ビタミンEが、トコトリエノールである、[1]に記載の組成物。
[3] 成分(A)を含有し、視力が矯正視力および/または裸眼視力である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 成分(A)および(B)を含有し、視力が矯正視力、裸眼視力、および/または実用視力である、[1]または[2]に記載の組成物。
[5] 前記成分(A)の含有量が、0.1質量%以上35質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記アスタキサンチンのエステル体が、モノエステル体及びジエステル体であり、モノエステル体のジエステル体に対する含有量の質量比(モノエステル体/ジエステル体)が、2以上25以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記組成物は、成分(A)が1日当たり3mg以上15mg以下の用量で摂取されるように調製されている、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記組成物は、成分(B)が1日当たり30mg以上70mg以下の用量で摂取されるように調製されている、[2]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 前記摂取が、経口摂取である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 食品である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[11] 食品添加物である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[12] 成分(A)または成分(A)及び成分(B)を対象に摂取させることを含む、対象における視力を向上させる方法;
成分(A):アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステル体からなる群から選ばれる少なくとも1種、および
成分(B):ビタミンE。
[13] 成分(A)または成分(A)及び成分(B)の、視力向上用組成物の製造における使用;
成分(A):アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステル体からなる群から選ばれる少なくとも1種、および
成分(B):ビタミンE。
本発明によれば、矯正視力、裸眼視力および/または実用視力を向上させる効果を有する組成物を提供することができる。
アスタキサンチン(ASX)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の矯正視力(対数視力)のうち、共分散分析(ANCOVA)後の優位眼の視力を示した図である。 アスタキサンチン(ASX)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の矯正視力(対数視力)のうち、Studentのt検定後の優位眼の視力の変化量を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の矯正視力(対数視力)のうち、共分散分析(ANCOVA)後の優位眼の視力を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の矯正視力(対数視力)のうち、Studentのt検定後の優位眼の視力の変化量を示した図である。 アスタキサンチン(ASX)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷前の裸眼視力(対数視力)のうち、共分散分析(ANCOVA)後の左眼の視力を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の裸眼視力(対数視力)のうち、共分散分析(ANCOVA)後の左眼の視力を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の実用視力のうち、共分散分析(ANCOVA)後の左眼の視力を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の実用視力のうち、共分散分析(ANCOVA)後の両眼平均の視力を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の実用視力のうち、Studentのt検定後の左眼の視力の変化量を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の実用視力のうち、Studentのt検定後の両眼平均の視力の変化量を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷後の実用視力のうち、Studentのt検定後の優位眼の視力の変化量を示した図である。 アスタキサンチン類及びビタミンE(ASX+VE)の摂取前、摂取6週間後におけるVDT作業負荷前後の実用視力の差分(負荷後-負荷前)のうち、Studentのt検定後の左眼の視力の差分の変化量を示した図である。
本発明は、アスタキサンチン類を含有する矯正視力および裸眼視力から選択される1種類以上の視力の向上用の組成物、又は、アスタキサンチン類及びビタミンEを含有する裸眼視力、矯正視力および実用視力から選択される1種類以上の視力の向上用の組成物に関する。
アスタキサンチン(astaxanthin,astaxanthine,3,3’-ジヒドロキシ-β,β-カロテン-4,4’-ジオン)とは、ニンジンのβ-カロテンやトマトのリコペンと同じカロテノイドの一種であって、キサントフィル類に分類される食経験豊富な赤橙色の色素物質である。アスタキサンチンは自然界に広く分布し、身近なところでは甲殻類の殻の他、それらを餌とするマダイの体表やサケ科魚類の筋肉の赤色部分などに見ることができる。
アスタキサンチンには、立体異性体が存在する。具体的には、(3R,3'R)-アスタキサンチン、(3R,3'S)-アスタキサンチン及び(3S,3'S)-アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られている。天然物由来のアスタキサンチンには、(3S,3'S)-アスタキサンチンが多いと言われている。本明細書の記載で、特に記載がない限り、単にアスタキサンチンと表示する場合は上記3種の立体異性体を含むアスタキサンチンのフリー体を指す。
本明細書の記載で、アスタキサンチン類と表示する場合は、アスタキサンチンのフリー体及びアスタキサンチンのエステル体からなる群から選ばれる少なくとも1種を指す。アスタキサンチンのエステル体は、モノエステル体及び/又はジエステル体を含む。さらに、アスタキサンチンのモノエステル体及び/又はジエステル体には、アスタキサンチンの3種の異性体それぞれのモノエステル体及び/又はジエステル体を含む。
本発明では、アスタキサンチン類は、アスタキサンチンのフリー体及びエステル体からなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられる。アスタキサンチンのエステル体は2つの水酸基のうち一方、又は両方がエステル結合により保護されているため物理的にフリー体よりも安定性が高く飲食物中や薬剤中で酸化分解されにくい。しかし、生体中に取り込まれると生体内酵素により速やかにフリー体のアスタキサンチンに加水分解され、効果を示すものと考えられている。
アスタキサンチンのモノエステル体としては、脂肪酸によりエステル化されたモノエステル類をあげることができる。アスタキサンチンのエステル体を形成する脂肪酸は、炭素数の限定はなく例えば炭素数4以上30以下の脂肪酸があげられる。また、アスタキサンチンのエステル体を形成する脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。アスタキサンチンのエステル体を形成する脂肪酸の具体例としては、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、へブタデカン酸、エライジン酸、リシノール酸、ベトロセリン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、プニシン酸、リカン酸、パリナリン酸、ガドール酸、5-エイコセン酸、5-ドコセン酸、セトール酸、エルシン酸、5,13-ドコサジエン酸、セラコール酸、デセン酸、ステリング酸、ドデセン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などをあげることができる。
さらに、アスタキサンチンのモノエステル体としては、グリシン、アラニンなどのアミノ酸;酢酸、クエン酸などの一価又は多価カルボン酸;リン酸、硫酸などの無機酸;グルコシドなどの糖;グリセロ糖脂肪酸、スフィンゴ糖脂肪酸などの糖脂肪酸;グリセロ脂肪酸などの脂肪酸;グリセロリン酸などによりエステル化されたモノエステル類があげられる。アスタキサンチンのモノエステル体として前記モノエステル類の塩も含む。
アスタキサンチンのジエステル体としては、前記脂肪酸、アミノ酸、一価又は多価カルボン酸、無機酸、糖、糖脂肪酸、脂肪酸及びグリセロリン酸からなる群から選択される同一又は異種の酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記ジエステル類の塩も含む。
本発明においてアスタキサンチン類とは、天然物由来のもの又は合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、エビ、オキアミ、カニなどの甲殻類の甲殻、卵及び臓器、種々の魚介類の皮及び卵、緑藻ヘマトコッカスなどの藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、海洋性細菌パラコッカスなどの細菌類、福寿草及び金鳳花などの種子植物から得られるものをあげることができる。天然からの抽出物及び化学合成品は市販されており、入手は容易である。
アスタキサンチン類は、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌パラコッカスなどのアスタキサンチン類産生微生物を、公知の方法に準拠して、適切な培地で培養することにより得られる。培養や抽出のしやすさ、アスタキサンチンを最も高濃度で含有すること及び生産性の高さから緑藻ヘマトコッカスが最も好適である。
緑藻は、アスタキサンチン類を生産し得る能力がある緑藻であれば、特に制限はない。例えば、ヘマトコッカス(Haematococcus)属に属する単細胞藻類が好ましく用いられる。好ましい緑藻としては、ヘマトコッカス・プルビアリス(H. pluvialis)、ヘマトコッカス・ラクストリス(H. lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(H. capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバケンシ(H. droebakensi)、ヘマトコッカス・ジンバブエンシス(H. zimbabwiensis)などがあげられる。
緑藻ヘマトコッカスから得られるアスタキサンチン類は、アスタキサンチンの片方の水酸基に脂肪酸が結合したモノエステル体が多く、次いで、両端に脂肪酸の結合したジエステル体が多く、無修飾のフリー体で存在するものの割合はわずかである。赤色酵母ファフィアから得られるアスタキサンチン類は、無修飾のフリー体で存在しているものが多い。また、海洋性細菌パラコッカスから得られるアスタキサンチン類も、無修飾のフリー体で存在しているものが多い。
本発明において、アスタキサンチン類含有抽出物は、次のように製造される。アスタキサンチン類産生微生物を、栄養培地にて培養し、次いでアスタキサンチンを含有する油性物質を抽出する。アスタキサンチンを含有する油性物質の抽出手段には特に制限はなく、当業者が通常用いる手段が用いられる。例えば、培養したアスタキサンチン類産生微生物に対して、溶媒懸濁、乾燥、機械的破砕、圧搾、超臨界抽出などの操作により抽出が行われる。これらの抽出操作は単独で行われてもよいし、これらを組み合わせて行われてもよい。
抽出に用いられる溶媒としては、クロロホルム、ヘキサン、アセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒が用いられる。乾燥方法は、棚式乾燥、流動層乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥など常法にしたがって行うことができる。機械的に粉砕する方法は、湿式、乾式のどちらでもよく、ビーズミル、ロールミル、ハンマーミル、ジェットミル、ピンミルなどで行うことができる。圧搾方法は常法にしたがって行うことができる。超臨界抽出は、常法に従って、粉砕処理したアスタキサンチン類産生微生物をペレット状に成形し、超臨界状態の二酸化炭素を又は超臨界点近傍の状態の二酸化炭素をそのペレットを充填した層を通過させて抽出し、次いで減圧を行って二酸化炭素を除去して抽出物を得る。ペレットからの抽出効率を高めるために高級不飽和脂肪酸や、グリセリン、アルコール、水などを加えてよい。
抽出に溶媒を利用した場合は、抽出後、当業者が通常用いる手段によって、溶媒が除去される。さらに溶媒を除去したい場合は、分子蒸留装置などを用いることができる。アスタキサンチン類含有抽出物は、所望により分離カラムやリパーゼ分解によりさらに精製することができる。
組成物におけるアスタキサンチン類の含有量は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、また、通常35質量%以下であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下であり、これらの上限と下限はいずれの組み合わせであってもよい。また、アスタキサンチン類の含有量は、通常0.1質量%以上35質量%以下、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上25質量%以下である。
組成物が含有するアスタキサンチン類におけるモノエステル体の割合は通常40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。アスタキサンチン類におけるモノエステル体の含有量の上限は特にないが、通常100質量%以下である。アスタキサンチン類におけるモノエステル体の割合について、これらの上限と下限はいずれの組み合わせであってもよい。組成物が含有するアスタキサンチン類におけるモノエステル体の割合は、40質量%以上100質量%以下、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは70質量%以上100質量%以下、特に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
組成物が含有するアスタキサンチン類におけるジエステル体の割合は、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。組成物が含有するアスタキサンチン類におけるジエステル体の割合の下限は、特に限定されないが、通常0質量%以上である。またアスタキサンチン類におけるジエステル体の割合について、これらの上限と下限はいずれの組み合わせであってもよい。組成物が含有するアスタキサンチン類におけるジエステル体の割合は、通常0質量%以上40質量%以下、好ましくは0質量%以上35質量%以下、より好ましくは0質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは0質量%以上25質量%以下、特に好ましくは0質量%以上20質量%以下である。
組成物が含有するアスタキサンチン類におけるモノエステル体のジエステル体に対する質量比(モノエステル体/ジエステル体)は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、特に好ましくは8以上であり、また、通常25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは13以下、特に好ましくは10以下である。これらの上限と下限はいずれの組み合わせであってもよい。組成物が含有するアスタキサンチン類におけるモノエステル体のジエステル体に対する質量比(モノエステル体/ジエステル体)について、通常2以上25以下、好ましくは3以上20以下、より好ましくは4以上15以下、さらに好ましくは6以上13以下、特に好ましくは8以上10以下である。組成物が含有するアスタキサンチン類におけるモノエステル体のジエステル体に対する質量比が上記範囲内であることは、組成物中の安定性及び生体内での効果を両立できる点で好ましい。
アスタキサンチン類の1日当たりの摂取量は、通常3mg以上、好ましくは5mg以上、より好ましくは8mg以上、特に好ましくは9mg以上、また、通常15mg以下、好ましくは13mg以下、より好ましくは11mg以下、特に好ましくは10mg以下であり、これらの上限と下限はいずれの組み合わせであってもよい。アスタキサンチン類の1日当たりの摂取量は、通常3mg以上15mg以下、好ましくは3mg以上10mg以下、より好ましくは8mg以上10mg以下、特に好ましくは9mg以上10mg以下であってよい。アスタキサンチン類の1日当たりの摂取量が上記範囲内であることは、本発明の効果を十分に得る上で好ましい。
本発明の組成物は、上記のアスタキサンチン類を含有する組成物でもよいが、アスタキサンチン類及びビタミンEを含有する組成物でもよい。
その場合、上記のようなアスタキサンチン類にビタミンEを配合すればよい。なお、アスタキサンチン類とビタミンEの配合の順序は問わない。アスタキサンチン類及びビタミンEを含有する組成物におけるアスタキサンチン類の好ましい含有量は上述したとおりである。
ビタミンEの主な生理作用は抗酸化作用で、生体内で細胞膜を酸化障害から守る作用を持つ。本発明においてビタミンEは、アスタキサンチン類とともに摂取されることで、アスタキサンチン類の作用効果を高める活性化剤として働く。ビタミンEは脂溶性のビタミンであり、構造中の環状部分に付くメチル基の位置や有無によって8種類の化学的に異なる化合物が存在する。ビタミンEはα-、β-、γ-およびδ-でそれぞれ始まる4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールを含む。この中でもトコトリエノールが好ましく用いられる。トコトリエノールは、トコフェロール類よりも高い抗酸化作用を持つ可能性がある。
本発明においてビタミンEは、天然物由来のもの又は合成により得られるものを用いることができる。トコフェロールは、ひまわり油、綿実油、サフラワー油、米ぬか油、とうもろこし油、なたね油、大豆油、パーム油、オリーブ油、えごま油、アマニ油、ごま油などの植物油から得ることができる。トコトリエノールは、米、大麦、小麦、ライ麦、アブラヤシ(パーム油)及びアナトー・シードから得ることができる。α-、β-、γ-およびδ-トコトリエノールの全種類を相当量含むことから、トコトリエノールはアブラヤシ(パーム油)から得たものを用いることが好ましい。
アスタキサンチン類及びビタミンEを含有する組成物におけるビタミンEの含有量は、通常10質量%以上、好ましくは14質量%以上、より好ましくは16質量%以上、また、通常50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり、これらの上限と下限はいずれの組み合わせであってもよい。また、ビタミンEの含有量は、通常10質量%以上50質量%以下、好ましくは14質量%以上40質量%以下、より好ましくは16質量%以上30質量%以下である。
ビタミンEの1日当たりの摂取量は、通常30mg以上、好ましくは35mg以上、より好ましくは40mg以上、特に好ましくは45mg以上、また、通常70mg以下、好ましくは65mg以下、より好ましくは60mg以下、特に好ましくは55mg以下であり、これらの上限と下限はいずれの組み合わせであってもよい。ビタミンEの1日当たりの摂取量は、通常30mg以上70mg以下、好ましくは35mg以上65mg以下、より好ましくは40mg以上60mg以下、特に好ましくは45mg以上55mg以下である。
本明細書において1日当たりの摂取量とは、成人1人が1日当たりに摂取する量を指す。
本明細書中における視力向上用の組成物は、1~数回の摂取により、1日当たりの摂取量が定められた範囲内となるようにアスタキサンチン類および/またはビタミンEを含有する配合量で調製される。
なお、アスタキサンチン類(濃度、摂取量)は、アスタキサンチン類を含有する素材を用いる場合にあっては、当該素材中の当該成分そのものの量に基づいて算出されるものとする。また、アスタキサンチン類の含有量(濃度、摂取量)は、アスタキサンチンがエステル体又は塩を形成している場合にあっては、エステル体又は塩の質量を等モルのフリー体の質量に換算した値に基づいて算出されるものとする。
本発明の別の態様は、アスタキサンチン類、又は、アスタキサンチン類及びビタミンEをヒトなどの対象に摂取させることで、対象において視力を向上させる方法である。アスタキサンチン類を対象に摂取させることで矯正視力および裸眼視力の1つ以上を向上させることができ、アスタキサンチン類及びビタミンEを対象に摂取させることで裸眼視力、矯正視力および実用視力の1つ以上を向上させることができる。アスタキサンチン類、又は、アスタキサンチン類及びビタミンEの含有量、並びに、アスタキサンチン類、又は、アスタキサンチン類及びビタミンEの1日当たりの摂取量は、上述の通りである。摂取方法としては、例えば経口摂取があげられる。本発明における方法では、ビタミンEとアスタキサンチン類であるアスタキサンチンのフリー体、モノエステル体、及び/又はジエステル体をそれぞれ別々に摂取させることを含む。本発明における方法では、アスタキサンチン類、又は、アスタキサンチン類及びビタミンEを通常4週間以上、好ましくは8週間以上、特に好ましくは12週間以上継続して摂取させることが、十分に効果を得る上で好ましい。摂取対象の年齢は特に制限されないが、例えば、40歳以上の中高年であることが好ましい。なお、摂取は医師の指導によらない自発的摂取を含む。
本発明において、アスタキサンチン類、又は、アスタキサンチン類及びビタミンEを含み本発明の効果を得られる限り、組成物の形状については特に限定されず、例えば、液状、ペースト状、ゲル状、固形状等任意の形状で使用できる。また、組成物の使用形態は、本発明の効果を得られる限り特に限定されず、ドリンク、シロップ、クリーム、ゼリー、粉末、顆粒、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル等の任意の形態で使用できる。特に本発明はソフトカプセルの形態で使用されることが好ましい。また本発明の視力向上用の組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、甘味料、香料、賦形剤、着色料等の他の任意成分を含んでいてもよい。本発明では公知の方法によって視力向上用の組成物を例示の形態に製造することができる。本発明では赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌パラコッカスなどの乾燥品及びそれらの破砕品がそのままビタミンEとともに使用されてもよい。アスタキサンチン類は上記抽出方法で得たアスタキサンチン含有抽出物及びそれを含有する粉末や水溶液の形態で単独で使用され、又は、ビタミンEとともに使用されてもよい。
組成物をソフトカプセルに調製する場合、ソフトカプセル全体に対する皮膜の質量は、通常35質量%以上50質量%以下、好ましくは40質量%以上45質量%以下である。
本発明における組成物は、医薬品成分、食品成分、食品添加物などとして使用することができる。
本発明における組成物は、カプセル剤、水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、注射剤、坐剤、吸入剤、経鼻剤、経皮剤などとして使用することができる。
前記食品としては、常法により、サプリメント、固形食品、流動食品、飲料などに製造されるが、これらに限定されない。ここで、「食品」とは、飲料及び食料を指し、経口的に用いられる形態のものすべてを含む。前記食品としては機能性食品であってよい。機能性食品とは、例えば、健康食品、健康補助食品、病者用食品、栄養補助食品、または、厚生労働省の定める保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)のような、通常の食品に比べて優れた生理的特性を有する食品をいう。本発明における組成物は、健康食品、健康補助食品、病者用食品、栄養補助食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の成分として使用することができる。
さらに、上記の機能性食品に付する表示には、例えば、厚生労働省の定める保健機能食品に対して認められた表示、又は、矯正視力、裸眼視力および/または実用視力を含む視力の向上のために用いられる旨の表示が含まれる。それらの表示は、具体的には、例えば機能性食品の包装容器に付される。
本発明において矯正視力とは、メガネやコンタクトレンズなどの視力矯正手段を装着した状態での視力をいい、矯正視力の向上とは、本発明の組成物を摂取したときに、摂取しない場合と比べて矯正視力が向上することをいう。
本発明において裸眼視力とは、メガネやコンタクトレンズなどの視力矯正手段を装着しない裸眼の状態での視力をいい、裸眼視力の向上とは、本発明の組成物を摂取したときに、摂取しない場合と比べて裸眼視力が向上することをいう。
本発明において実用視力とは、時間の要素を考慮した日常で要求される視力であり、一定の時間維持される視力をいう。実用視力は、例えば、コーワ AS-28などの実用視力計を用い、一定時間内に連続的に測定して正解が得られた全ての視力を測定し、その視力変動の平均を算出することで測定できる。実用視力の向上とは、本発明の組成物を摂取したときに、摂取しない場合と比べて実用視力が向上することをいう。
実用視力を向上させることで、デスクワークや自動車運転などの長時間作業の際の視力維持が可能となり、ドライアイの防止にもつながる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、単位は質量基準である。
<アスタキサンチン類を含有する組成物の調製>
緑藻ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)を、25℃にて光照射条件下3%COを含むガスを通気しながら栄養ストレス(窒素源欠乏)をかけて培養し、シスト化した。シスト化した細胞を、ビーズビーターによって破砕し、エタノールでアスタキサンチンを含む油性物質を抽出した。粗抽出物を減圧濃縮してエタノールを留去し、アスタキサンチンをフリー体換算で5質量%含むエタノール抽出物を調製した。
<製造例>
上記の方法で得られたエタノール抽出物180mg(アスタキサンチン量9mg)及びMCT(中鎖脂肪酸)オイル50mgを混合し、さらにゼラチンとグリセリンを加えてソフトカプセル(アスタキサンチン含量3.26質量%)を製造した(製造例1)。
上記の方法で得られたエタノール抽出物180mg(アスタキサンチン量9mg)及びコメ由来トコトリエノール50mgを混合し、さらにゼラチンとグリセリンを加えてソフトカプセル(アスタキサンチン含量3.26質量%、トコトリエノール含量18.1質量%)を製造した(製造例2)。
アスタキサンチン類において、モノエステル体としては89.3質量%、ジエステル体としては9.4質量%が含まれていた。
また、サフラワー油230mgをソフトカプセルに調製し、プラセボ群の被験食とした。
<被験者>
アスタキサンチン類の評価試験においては、被験者は40歳以上64歳以下かつ両眼の矯正視力が1.0以上である健常な日本人成人男女22名(アスタキサンチン群:n=12名、プラセボ群:n=10名)とした。
アスタキサンチン類及びビタミンEの評価試験においては、被験者は40歳以上64歳以下かつ両眼の矯正視力が1.0以上である健常な日本人成人男女21名(アスタキサンチン類及びビタミンE群:n=11名、プラセボ群:n=10名)とした。
<被験食の摂食>
アスタキサンチン類の被験者は製造例3のソフトカプセル1粒を朝食中又は朝食後に摂取することを6週間継続して行った。アスタキサンチン類及びビタミンE群の被験者は製造例4のソフトカプセル1粒を朝食中又は朝食後に摂取することを6週間継続して行った。一方、プラセボ群の被験者はサフラワー油ソフトカプセル1粒を朝食中又は朝食後に摂取することを6週間継続して行った。
<統計解析>
本試験では、いずれも試験登録時(被験食の摂取前)、摂取開始から6週間後に計2回の検査を行った。アスタキサンチン群とプラセボ群の2群間、アスタキサンチン類及びビタミンE群の2群間それぞれにおいて、各測定時点の実測値、及び0週時(摂取前)から6週時(摂取後)の変化量について、Studentのt検定を用いて評価した。また、6週時の実測値について、0週時の実測値を共変量とした共分散分析(ANCOVA)を実施した。
すべての統計解析は両側検定で行うものとし、有意水準は5%に設定した。ソフトウェアは、Windows版のSPSS Ver. 23.0(日本アイ・ビー・エム株式会社製)を用いた。多項目、多時点に起因する多重性は考慮せず有意確率は調整しないこととした。
<VDT作業負荷検査>
0週時、6週時における試験において、試験前後にVDT作業負荷検査を実施した。VDT作業負荷検査は、ニンテンドー3DS(テトリス)を使用して被験者に60分間作業を実施させた。
[試験例1]矯正視力
試験例1では、アスタキサンチン群、アスタキサンチン類及びビタミンE群及びプラセボ群における被験食の摂取前、摂取後6週間後の矯正視力を測定した。なお、矯正に使用するコンタクトレンズやメガネ等は試験期間中に変更しないこととし、視力値はLOGMAR換算値とした。矯正視力(対数視力)の実測値及び変化量をそれぞれ図1~4に示す。
図1~図2によれば、アスタキサンチン群の矯正視力(対数視力)がプラセボ群と比べて6週間後に有意に向上していることが判る。
図3~図4によれば、アスタキサンチン類及びビタミンE群の矯正視力(対数視力)がプラセボ群と比べて6週間後に有意に向上していることが判る。
[試験例2]裸眼視力
試験例2では、アスタキサンチン群、アスタキサンチン類及びビタミンE群及びプラセボ群における被験食の摂取前、摂取後6週間後の裸眼視力を測定した。視力値はLOGMAR換算値とした。裸眼視力(対数視力)の実測値を図5~図6に示す。
図5~図6によれば、アスタキサンチン群、アスタキサンチン類及びビタミンE群の裸眼視力(対数視力)がプラセボ群と比べて6週間後に向上する傾向が認められた。
[試験例3]実用視力
試験例3では、アスタキサンチン類及びビタミンE群及びプラセボ群における被験食の摂取前、摂取後6週間後の実用視力を測定した。実用視力検査は覗き込みタイプの実用視力計(コーワ社製、AS-28)を用いて、60秒間の視力変動の測定を行った。あらかじめ測定した最高視力に相当するランドルト環を表示して検査を開始するが、回答の正誤によって次に表示される指標の大きさが変化していく。正答すれば指標は小さくなり、誤答により指標は大きくなる。一定時間内に答えられなかった場合も誤答とみなされる。60秒間の視力変動を平均したものが実用視力となる。実用視力の実測値および変化量を図7~12に示す。
図7~図12によれば、アスタキサンチン類及びビタミンE群の実用視力がプラセボ群と比べて6週間後に有意に向上していることが判る。

Claims (10)

  1. 成分(A)含有する、健常者のVDT作業負荷後の矯正視力向上用の組成物であって、
    成分(A)が1日当たり8mg以上15mg以下の用量で摂取されように調製されている、前記組成物;
    成分(A):アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステル体からなる群から選ばれる少なくとも1種
  2. 前記成分(A)の含有量が、0.1質量%以上35質量%以下である、請求項1記載の組成物。
  3. 前記アスタキサンチンのエステル体が、モノエステル体及びジエステル体であり、モノエステル体のジエステル体に対する含有量の質量比(モノエステル体/ジエステル体)が、2以上25以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 摂取対象が、中高年の対象である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記摂取対象が、40歳以上の中高年の対象である、請求項に記載の組成物。
  6. 前記摂取が、経口摂取である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 食品である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 食品添加物である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 成分(A)、健常者のVDT作業負荷後の矯正視力向上用組成物の製造における使用であって、
    前記組成物において、成分(A)が1日当たり8mg以上15mg以下の用量で摂取されように調製されている、前記使用;
    成分(A):アスタキサンチン及びアスタキサンチンのエステル体からなる群から選ば
    れる少なくとも1種
  10. 摂取対象が、中高年の対象である、請求項に記載の使用。
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