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JP7836026B2 - 高炉への還元ガス吹込方法及び高炉 - Google Patents
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JP7836026B2 - 高炉への還元ガス吹込方法及び高炉 - Google Patents

高炉への還元ガス吹込方法及び高炉

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Description

本願は高炉への還元ガス吹込方法及び高炉を開示する。
製鉄プロセスにおいてCO排出量を削減することが検討されている。例えば、高炉にて銑鉄を製造する際、還元材としてのコークス等の一部に替えて、水素ガス等の還元ガスを利用することがあり得る。高炉への還元ガス吹込方法として、特許文献1には、熱風羽口の流路内に還元ガス吹込用のランスを配置し、当該ランス及び羽口を介して還元ガスを吹き込む方法が開示されている。尚、還元ガスの吹き込みを想定したものではないが、特許文献2には、熱風羽口の壁面内に燃料噴射ランスを挿入し、当該燃料噴射ランスを介して高炉内へと燃料としての粉炭を吹き込む方法が開示されている。
特許第4997734号公報 特許第5840202号公報
特許文献1に開示されているように、熱風羽口の内部にランスを配置する場合、熱風羽口の形状やサイズに応じて、ランス径を一定以下のサイズにする必要がある。そのため、熱風羽口の内部に配置されたランスを介して多量の還元ガスを吹き込もうとすると、当該還元ガスの流速が音速を超える事態となる。この点、従来技術においては、還元ガスの流速制御に関して、改善の余地がある。また、従来技術においては、高炉の炉況が不安定となって溶融スラグ等が熱風羽口内に逆流する事態となった場合、高炉内に還元ガスを安定して吹き込むことが困難となる。以上の観点から、本願は、高炉の内部へと還元ガスを吹き込む場合に、還元ガスの流速を容易に制御可能であり、かつ、熱風羽口内にスラグ等が逆流する事態となったとしても、高炉内に還元ガスを安定して吹き込む可能性が高まる技術を開示する。
本願は、上記課題を解決するための手段として、以下の複数の態様を開示する。
<態様1>
高炉への還元ガス吹込方法であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口から、前記高炉の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた還元ガス吹込口から、前記高炉の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含み、
前記還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガス吹込口が、前記熱風羽口とは別に設けられ、
前記還元ガス吹込口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する、
高炉への還元ガス吹込方法。
<態様2>
高炉であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口と、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた還元ガス吹込口と、
を有し、
前記還元ガス吹込口から前記高炉の内部へと吹き込まれる還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガス吹込口が、前記熱風羽口とは別に設けられ、
前記還元ガス吹込口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する、
高炉。
本開示の技術によれば、高炉の内部へと還元ガスを吹き込む場合に、還元ガスの流速を制御可能であり、かつ、熱風羽口内にスラグ等が逆流するような事態になったとしても、高炉内に還元ガスを安定して吹き込むことが可能である。
高炉の構成を概略的に示している。高炉に備えられる一部の構成については省略して示している。 高炉における熱風羽口と還元ガス吹込口との位置関係の一例を概略的に示している。 高炉における熱風羽口と還元ガス吹込口との位置関係の一例を概略的に示している。 熱風羽口にスラグが逆流した場合におけるスラグ到達位置を説明するための概略図である。
以下、本開示の高炉への還元ガス吹込方法及び高炉の一実施形態について説明する。ただし、本開示の高炉への還元ガス吹込方法及び高炉は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.高炉への還元ガス吹込方法
図1に示されるように、一実施形態に係る高炉10への還元ガス吹込方法は、
前記高炉10のシャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に設けられた熱風羽口13から、前記高炉10の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
前記高炉10のシャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に設けられた還元ガス吹込口14から、前記高炉10の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含む。
前記還元ガスは、前記高炉10の内部において還元材として機能するガスである。
前記還元ガス吹込口14は、前記熱風羽口13とは別に設けられる。
前記還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pは、前記熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する。
1.1 熱風羽口
高炉10は、シャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に熱風羽口13を有する。「シャフト下端」とは、シャフト11aと炉腹(ベリー)11bとの境界部分をいう。「シャフト」とは、炉腹11bよりも上方の部分であって、通常、上から下に向かうにつれて炉径が増大する部分をいう。「炉腹」とは、シャフトよりも下方かつ朝顔(ボッシュ)11cよりも上方の部分であって、通常、炉径が最大となる部分をいう。炉腹11bの炉径(直径)は、例えば、5m以上20m以下、又は、10m以上18m以下であってもよい。「出銑口」とは、高炉10の下部に設けられた溶銑出湯口をいう。「熱風羽口」とは、高炉に熱風を吹き込むためのノズルをいう。高炉10は、炉腹下端11bxよりも下方かつ出銑口12よりも上方に熱風羽口13を有していてもよく、朝顔下端11cxよりも下方かつ出銑口12よりも上方に熱風羽口13を有していてもよい。
熱風羽口13の構成は公知である。例えば、熱風羽口13は、水冷構造を有するものであってもよい。熱風羽口13は、高炉10の外部の熱風炉に対して、熱風管等を介して接続され得る。言い換えれば、高炉10は、熱風炉から熱風管及び熱風羽口13を介して、高炉10の内部に熱風が吹き込まれるように構成され得る。熱風羽口13の直径(高炉10の内部に面する開口の円相当直径、ノズル径)は、例えば、20mm以上400mm以下、又は、40mm以上300mm以下であってもよい。
高炉10に設けられる熱風羽口13の数は、特に限定されるものではなく、高炉の内容積に応じて、決定され得る。高炉10には、複数の熱風羽口13が高炉10の周方向に配置され得る。言い換えれば、高炉10においては、上面視において、複数の熱風羽口13が、円周方向上に配置され得る。通常、複数の熱風羽口13の各々の中心の高さ位置Pは、同様である。
1.2 還元ガス吹込口
高炉10は、シャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に還元ガス吹込口14を有する。これにより、高炉10の内部において還元反応を効率的に進行させることができる。また、シャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方で、炉の高さ方向において熱風用羽口近傍に還元ガス吹込口14が設けられる場合、還元ガス吹込口14によって溶銑やスラグの排出が阻害されるようなことも起こり難い。
還元ガス吹込口14の形状に特に制限はない。還元ガス吹込口14は、例えば、羽口(ノズル)であってもよい。還元ガス吹込口14は、金属(例えば銅)や耐火物によって画定され得る。
高炉10においては、溶融した鉄やスラグが還元ガス吹込口14へと滴下する可能性がある。また、還元ガス吹込口14から還元ガスとしての水素ガスを吹き込み、炭材の投入を減らす場合、高炉10の内部における熱量が低下し、還元ガスそのものを加熱して熱補償する場合がある。この場合、還元ガスによって還元ガス吹込口14を冷却することが難しい。この点、還元ガス吹込口14を画定する金属や耐火物の溶損等を抑制するため、還元ガス吹込口14の周囲(還元ガス吹込口14が羽口である場合、当該羽口の壁面内)に水冷構造が設けられてもよい。
還元ガス吹込口14は、高炉10の外部の還元ガス供給源に対して、還元ガス供給流路等を介して接続され得る。言い換えれば、高炉10は、還元ガス供給源から還元ガス供給流路及び還元ガス吹込口14を介して、高炉10の内部に還元ガスが吹き込まれるように構成され得る。還元ガス供給源や還元ガス供給流路の形態に特に制限はない。
本実施形態においては、還元ガス吹込口14が、上記の熱風羽口13とは別に設けられることが重要である。還元ガス吹込口14が熱風羽口13とは別に設けられる場合、熱風羽口13の形状やサイズによらず、還元ガス吹込口14の径を大きくすることが可能である。これにより、還元ガス吹込口14から多量の還元ガスを吹き込む場合であっても、還元ガスの流速を音速未満に制御することができる。還元ガス吹込口14を介して高炉10の内部へと多量に還元ガスを吹き込むことを想定した場合、還元ガス吹込口14の直径(高炉10の内部に面する開口の円相当直径)は、例えば、30mm以上400mm以下であってもよく、60mm以上100mm以下であってもよい。或いは、還元ガス吹込口14の直径は、炉腹11bの直径の0.15%以上8%以下、又は、0.5%以上3%以下であってもよい。或いは、還元ガス吹込口14の直径は、熱風羽口13の直径の7.5%以上200%以下であってもよい。
高炉10に設けられる還元ガス吹込口14の数は、特に限定されるものではない。例えば、複数の還元ガス吹込口14が、高炉の周方向に配置されていてもよい。言い換えれば、高炉10においては、上面視において、複数の還元ガス吹込口14が、円周方向に設けられていてもよい。複数の還元ガス吹込口14の各々の中心の高さ位置Pは、互いに同じであってもよい。
1.3 熱風羽口と還元ガス吹込口との位置関係
本実施形態において、還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pは、熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも上方に存在することが重要である。本発明者らの新たな知見によると、還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pが熱風羽口13の中心の高さ位置Pと同じか、それよりも下方に存在する場合で、かつ、熱風羽口13内にスラグ等が逆流するような状況下では、還元ガス吹込口14内にもスラグ等が逆流し易い状況にある。言い換えれば、熱風羽口13だけでなく還元ガス吹込口14内へとスラグ等が逆流して、還元ガス吹込口14から高炉10内へと還元ガスを安定して吹き込むことが困難となる。これに対し、還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pが熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する場合、熱風羽口13内にスラグ等が逆流するような状況下においても、還元ガス吹込口14内へのスラグ等の逆流は回避され得る。結果として、還元ガス吹込口14から高炉10内へと還元ガスを安定して吹き込むことができる可能性が高まる。特に、還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pが熱風羽口13の上端よりも上方に存在する場合に、還元ガス吹込口14内へのスラグ等の逆流が一層回避され易い。
図2A及びBに、還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pが熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する場合を示す。図2Aに示されるように、還元ガス吹込口14の中心は、熱風羽口13の中心の真上に設けられていてもよい。すなわち、高炉10の周方向における還元ガス吹込口14の中心の位置が、熱風羽口13の中心の位置と同じであってもよい。また、図2Bに示されるように、還元ガス吹込口14の中心は、熱風羽口13の中心の斜め上に設けられていてもよい。すなわち、高炉10の周方向において、還元ガス吹込口14の中心が、熱風羽口13の中心とは異なる位置に存在していてもよい。例えば、高炉10の周方向に複数の熱風羽口13が設けられている場合において、高炉10の周方向における還元ガス吹込口14の位置が、当該複数の熱風羽口13の間に存在していてもよい。
還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pと、熱風羽口13の中心の高さ位置Pとの間の長さLは、0mm超である。当該長さLは、例えば、0mm超3000mm以下、又は、0mm超300mm以下であってもよい。
1.4 熱風
熱風羽口13から吹き込まれる熱風は、例えば、空気からなるものであってもよいし、空気を酸素富化したものであってもよい。熱風の温度は、例えば、1000℃以上である。熱風の温度は、1000℃以上2000℃以下、1000℃以上1700℃以下、1000℃以上1500℃以下、又は、1000℃以上1300℃以下であってもよい。熱風羽口13における熱風の流速(熱風の流量(m/s)/熱風羽口13の吹出口の開口面積(m))は、高炉10の操業状況に応じて、調整されてもよい。一実施形態において、熱風の流速は、後述する流速V1であってもよい。
1.5 還元ガス
還元ガス吹込口14から吹き込まれる還元ガスは、高炉10の内部において還元材として機能するガスである。すなわち、高炉10に吹き込まれる前において還元材として機能しないようなガスであっても、高炉10の内部において熱分解するなどして還元材(還元成分)を生成し得るガスであれば、本願にいう「還元ガス」に含まれるものとする。このような還元ガスとしては、例えば、水素ガス、炭化水素ガス(例えば、メタンガス)、一酸化炭素ガス、アンモニアガス、及び、アルコールガス(例えば、メタノールガスやエタノールガス)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。また、本開示の技術においては、還元ガスとして、コークス炉ガス(COG)、転炉ガス(LDG)、高炉ガス(BFG)、天然ガス(NG)、及び、合成ガス(Syngas)等から選ばれる少なくとも1種が用いられてもよい。これら還元ガスは、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が複数組み合わされて用いられてもよい。還元ガス吹込口14から吹き込まれる還元ガスの温度は、例えば、0℃以上2000℃以下、又は、25℃以上1500℃以下であってもよい。また、上述の通り、本実施形態においては、熱風羽口13とは別に還元ガス吹込口14が設けられることで、還元ガスの流速(還元ガスの流量(m/s)/還元ガス吹込口14の吹出口の開口面積(m))を音速未満に制御可能である。すなわち、還元ガス吹込口14における還元ガスの流速は、音速未満である。尚、「音速」は気体の種類のほか、気体の温度にも依存することが知られている。「音速」は高炉10へと吹き込む気体の種類や温度に応じて計算等によって求めることができる。一実施形態において、還元ガスの流速は、後述の流速V2であってもよい。
1.6 熱風の流速及び還元ガスの流速
熱風羽口13から吹き込まれる熱風の流速V1は、特に限定されるものではないが、例えば、当該流速V1が100m/s以上1000m/s以下、中でも200m/s以上400m/s以下であると、高炉10の操業が安定化し易い。また、還元ガス吹込口14から吹き込まれる還元ガスの流V2は、特に限定されるものではないが、例えば、当該流V2が100m/s以上1000m/s以下、中でも200m/s以上800m/s以下であると、高炉10の内部における通気が安定し、炉内還元反応が安定的に進む操業となる。
1.7 その他のガス
還元ガス吹込口14からは、還元ガスとともにその他のガスが吹き込まれてもよい。その他のガスとしては、例えば、窒素ガス等の不活性ガスが挙げられる。
2.高炉
本開示の技術は、高炉への還元ガス吹込方法としての側面のほか、高炉そのものとしての側面も有する。すなわち、図1に示されるように、一実施形態に係る高炉10は、
前記高炉10のシャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に設けられた熱風羽口13と、
前記高炉10のシャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に設けられた還元ガス吹込口14と、を有する。
前記還元ガス吹込口14から前記高炉10の内部へと吹き込まれる還元ガスは、前記高炉10の内部において還元材として機能するガスである。
前記還元ガス吹込口14は、前記熱風羽口13とは別に設けられる。
前記還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pは、前記高さ位置Pよりも上方に存在する。
上述の通り、高炉10においては、還元ガス吹込口14が、熱風羽口13とは別に設けられることで、還元ガスの流量制御性が向上する。また、高炉10においては、還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pが、熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも上方に存在することで、熱風羽口13内にスラグ等が逆流するような状況下においても、還元ガス吹込口14から高炉10内へと還元ガスを安定して吹き込むことができる可能性が高まる。
3.補足
高炉10の操業においては、例えば、高炉10の上部から高炉10の内部へと鉄鉱石(酸化鉄)やコークス等が装入される一方で、高炉10の外部の熱風炉から熱風管及び熱風羽口13を介して高炉10の内部へと熱風が吹き込まれるとともに、高炉10の外部の還元ガス供給源から還元ガス流路及び還元ガス吹込口14を介して高炉の内部へと還元ガスが吹き込まれる。高炉10の内部に供給されたコークス等は、燃焼して還元ガスを発生させる。当該コークス等の燃焼によって生じた還元ガスや、還元ガス吹込口14から吹き込まれた還元ガスによって、酸化鉄が還元及び溶解されて、溶銑が得られる。当該溶銑は、高炉10の下部に設けられた出銑口12から出湯される。本実施形態においては、還元ガス吹込口14を介して高炉10の内部へと還元ガスが吹き込まれることで、その分、コークス等のカーボン含有の還元材の使用量を削減することができる。結果として、CO発生量を削減することができる。高炉10は、上記のようにして銑鉄を製造可能である限りにおいて、様々な構成を採り得る。高炉10は、例えば、上述の熱風羽口13や還元ガス吹込口14に加えて、その他の羽口や吹込口を有していてもよい。また、高炉10において、熱風羽口13と同じ高さ位置、又は、熱風羽口13よりも下方に、その他の還元ガス吹込口が存在してもよい。熱風羽口13及び還元ガス吹込口14以外の高炉10の構成については、本技術分野において公知であることから、ここでは詳細な説明を省略する。
4.効果
以上の通り、本実施形態によれば、熱風羽口13とは別に設けられた還元ガス吹込口14を介して高炉10の内部へと還元ガスを吹き込むことで、還元ガスの流速を音速未満に制御可能である。また、還元ガス吹込口14の中心の高さ位置Pが、熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも上方に存在することで、熱風羽口13内にスラグ等が逆流するような状況下においても、還元ガス吹込口14から高炉10内へと還元ガスを安定して吹き込むことができる可能性が高まる。
以下、実施例を示しつつ本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱せず、その目的を達する限りにおいて、種々の条件を採用可能とするものである。以下の実施例においては、還元ガスとして水素ガスを採用した場合を例示するが、還元ガスの種類はこれに限定されるものではない。
1.水素ガスの流速についての検討
シミュレーションモデルを使用し、平均出銑量12000t/dの高炉において、炭素消費原単位の削減率が30%以上となる場合の水素ガス吹込口1つ当たりの必要水素吹込量について、水素の吹込み温度600℃を前提にて推定した。推定された必要水素吹込量と、水素ガス吹込口径から、水素ガス流速を計算した。計算された流速が、水素雰囲気中の音速より遅い場合を「○」、音速以上である場合を「×」と評価した。尚、600℃における水素雰囲気における音速は約1269m/sである。下記表1に計算結果を示す。
表1に示される結果から明らかなように、従来のランス(熱風羽口に内蔵されたランス)では、音速未満の流速で水素ガスを吹き込むことはできない。言い換えれば、従来のランスでは、高炉に吹き込まれる水素ガスの流量に制限があり、炭素消費原単位を十分に削減することはできない。これに対し、内径の大きな吹込口(例えば、熱風羽口とは別に設けられた還元ガス吹込羽口)を介して水素ガスを吹き込む場合、1気圧の場合は内径60mm、炉内圧の場合でも内径80mmにすることで、音速未満の流速で水素ガスを吹き込むことができる。60mmや80mmの内径は、高炉に備えられる熱風羽口の内径と大差がなく、高炉において問題なく採用可能といえる。尚、水素の温度を上昇させることで、音速となる速度がより高速となる。すなわち、水素の温度を上昇させることで、吹込口の径を縮小した場合でも、音速未満の流速で水素ガスを吹き込むことができる。しかしながら、仮に水素の温度を上昇させたとしても、吹込口の径を従来のランス径まで縮小すると、水素ガスの流量を音速未満に制御し難くなることが確認された。
以上のことから、熱風羽口に内蔵されたランスではなく、熱風羽口とは別に設けられた還元ガス吹込口(例えば、還元ガス吹込羽口)を介して高炉の内部へと還元ガスを吹き込むことで、還元ガスの流速を音速未満に制御することができるといえる。
2.スラグ返りの実績調査
高炉の熱風羽口へのスラグ返り発生の実績を調査したところ、過去10年間において、スラグ返りによる熱風羽口の閉塞が8回確認された。ここで、スラグ返り時のスラグの到達高さについてさらに調査した。具体的には、図3に示されるように、熱風羽口の開口の上端から下端までを高さ方向に4分割し、「最上部」、「中央上部」、「中央下部」及び「最下部」の各々にまで到達した回数を調査した。結果を下記表2に示す。
表2に示されるように、過去10年間において、スラグ返りにより熱風羽口の開口の「最下部」までスラグが到達した回数は5回、熱風羽口の開口の「中央下部」までスラグが到達した回数は2回、熱風羽口の開口の「中央上部」までスラグが到達した回数は1回、熱風羽口の開口の「最上部」までスラグが到達した回数は0回であった。
以上のことから、熱風羽口とは別に設けられた還元ガス吹込口(例えば、還元ガス吹込羽口)から還元ガスを吹き込む場合、還元ガス吹込口の中心の高さ位置Pが、熱風羽口の中心の高さ位置Pよりも上方に存在することで、熱風羽口内へとスラグ等が逆流するような状況下においても、還元ガス吹込羽口から高炉内へと還元ガスを安定して吹き込むことができる可能性が高まるといえる。
3.まとめ
以上の結果をまとめると、以下の方法(1)や高炉(2)によれば、高炉の内部へと還元ガスを吹き込む場合に、還元ガスの流速を容易に制御可能であり、かつ、熱風羽口内へとスラグ等が逆流するような状況下においても、還元ガス吹込羽口から高炉内へと還元ガスを安定して吹き込むことができる可能性が高まるといえる。
(1)高炉への還元ガス吹込方法であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口から、前記高炉の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた還元ガス吹込口から、前記高炉の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含み、
前記還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガス吹込口が、前記熱風羽口とは別に設けられ、
前記還元ガス吹込口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する、
高炉への還元ガス吹込方法。
(2)高炉であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口と、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた還元ガス吹込口と、
を有し、
前記還元ガス吹込口から前記高炉の内部へと吹き込まれる還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガス吹込口が、前記熱風羽口とは別に設けられ、
前記還元ガス吹込口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する、
高炉。
10 高炉
11a シャフト
11b 炉腹(ベリー)
11c 朝顔(ボッシュ)
12 出銑口
13 熱風羽口
14 還元ガス吹込口

Claims (4)

  1. 高炉への還元ガス吹込方法であって、
    前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口から、前記高炉の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
    前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた還元ガス吹込口から、前記高炉の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含み、
    前記還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
    前記還元ガス吹込口が、前記熱風羽口に内蔵されることなく、前記熱風羽口とは別に設けられ、
    前記還元ガス吹込口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pよりも上方に存在
    前記還元ガス吹込口から吹き込まれる還元ガスの流速が、100m/s以上1000m/s以下である、
    高炉への還元ガス吹込方法。
  2. 請求項1に記載の高炉への還元ガス吹込方法であって、
    前記高炉の周方向において、前記還元ガス吹込口の中心が、前記熱風羽口の中心とは異なる位置に存在する、
    高炉への還元ガス吹込方法。
  3. 高炉であって、
    前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口と、
    前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた還元ガス吹込口と、
    を有し、
    前記還元ガス吹込口から前記高炉の内部へと吹き込まれる還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
    前記還元ガス吹込口が、前記熱風羽口に内蔵されることなく、前記熱風羽口とは別に設けられ、
    前記還元ガス吹込口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pよりも上方に存在
    前記還元ガス吹込口から吹き込まれる還元ガスの流速が、100m/s以上1000m/s以下である、
    高炉。
  4. 請求項3に記載の高炉であって、
    前記高炉の周方向において、前記還元ガス吹込口の中心が、前記熱風羽口の中心とは異なる位置に存在する、
    高炉。
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