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JP7836766B2 - 2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料及び生コン出荷型急硬コンクリート組成物 - Google Patents
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JP7836766B2 - 2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料及び生コン出荷型急硬コンクリート組成物 - Google Patents

2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料及び生コン出荷型急硬コンクリート組成物

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Description

本発明は、2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料及び生コン出荷型急硬コンクリート組成物に関する。
世界的に見るとセメントの生産量は増加しており、急速にインフラ整備が進められている。特に、中国や東南アジアでの建設ラッシュは現在も続いている。インフラ整備の中でも、道路整備は重要な位置付けにある。道路は新設の際にも、また、補修の際にも、早期解放が望まれるため、使用する材料としても早期供用を可能とする材料が求められている。その一例として、急硬コンクリートが挙げられる。
急硬コンクリートの要求性能としては、可使時間も重要な性能となる。生コンプラントで生コンを製造し、施工現場まで搬送し、施工にかかる時間や生コン運搬車であるアジテータ車の洗浄時間も考慮すると、最低でも120分以上、できれば180分以上の可使時間の確保が望ましい。しかしながら、可使時間を長く確保することは、硬化時間を遅らせることになるため、短期材齢での要求強度を満たすことができなくなる。このため、従来の技術では、十分な可使時間を確保しつつ、初期材齢で必要な強度発現性を満たすことは困難であった。
現在、急硬コンクリートは、施工現場で調製されているのが実情である。少量の打設量の工事では、0.1~0.2m程度のミキサで急硬コンクリートを練り混ぜ、人海戦術で急硬コンクリートの調製と打設を行っている。この方法では、人手が多く必要となり工数が嵩みコスト高である上に、供給できる急硬コンクリートのボリュームに限界があった。また、打設量の多い工事では、コンクリートモービル車を用いて急硬コンクリートを連続して供給している。しかしながら、この方法では、コンクリートモービル車を手配しなければならないことに加えて、予め、水分を一定に管理した細骨材や粗骨材をフレコンパックに詰めて現場に搬送したり、急硬セメントをフレコンパックに詰めて現場に搬送して準備しておいたり等の工数が嵩むこともあり、急硬コンクリートのコストが著しく高くなるという課題があった。また、コンクリートモービル車の手配にも限界があった。
今日では、生コンプラントから出荷できる急硬コンクリートの開発が強く望まれている。生コンプラントから急硬コンクリートを出荷できれば、既存の練り混ぜ設備や搬送システムをそのまま活用して大量の急硬コンクリートを施工現場に供給できる。
例えば特許文献1では、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムアルミネート系化合物、カルシウムシリケート系化合物、コロイダルシリカ、ポルトランドセメント、カルシウムサルフォアルミネートセメント、及び高炉スラグからなる群から選択される少なくとも1種を含む生コン出荷型急硬コンクリート用起硬剤を用いた生コン出荷型急硬コンクリート材料が開示されている。
国際公開第2018/154890号
特許文献1の生コン出荷型急硬コンクリート材料によれば、十分な可使時間を確保しつつ、初期の強度発現性に優れた生コン出荷型急硬コンクリート組成物を製造することができる。しかしながら、特許文献1には急結剤として硫酸アルミニウムを用いると瞬結してしまい可使時間を確保できないことが示されている。そして、低温環境下における初期の強度発現性については、更なる改良の余地があった。
以上から、本発明は、低温環境下でも十分な可使時間を確保しつつ、初期の強度発現性に優れる実用性の高い2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料を提供することを目的とする。また、当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物を製造するために好適な生コン出荷型急硬コンクリート材料を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく、種々努力を重ねた結果、急硬セメント及び眠剤を含むA材を混合したコンクリートを生コンプラントで調製し、現場まで搬送後、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤からなるB材を添加混合することにより、低温環境下でも十分な可使時間を確保しつつ、初期の強度発現性に優れる実用的な急硬コンクリート組成物を調製できることを知見し、本発明を完成するに至った。すわち、本発明は下記のとおりである。
[1]急硬セメント及び眠剤を含むA材と、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤からなるB材とを含み、前記B材中のナトロアルナイトの含有量が0.3~5質量%である2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[2]下記式(1)で表される前記眠剤と前記B材との量論比が0.5~5である[1]に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
式(1):量論比=[B材中アルミニウムの物質量(mol)]×アルミニウムの数×アルミニウムイオンの価数/(眠剤に配合されるオキシカルボン酸の物質量(mol)×眠剤に配合されるオキシカルボン酸の価数)
[3]前記B材作製の直後から、0~40℃で48時間保存した後であって、前記B材中の前記ナトロアルナイトの含有量が5質量%以下である[1]又は[2]に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[4]前記B材に含有されるナトロアルナイトが氷晶石に由来する[1]~[3]のいずれかに記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[5]前記B材のpHが1~4である[1]~[4]のいずれかに記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[6]前記B材中の前記アルミニウムがAl換算で0.1~20質量部、前記硫黄がSO換算で0.1~30質量部、前記ナトリウムがNaO換算で0.01~5質量部、及び前記フッ素が0.01~10質量部である[1]~[5]のいずれかに記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[7]前記B材の固形分濃度が20~70質量%である[1]~[6]のいずれかに記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[8]前記B材の20℃における粘度が1,400mPa・s以下である[1]~[7]のいずれかに記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[9]Al換算での前記アルミニウムとSO換算での前記硫黄との質量比(Al/SO)が0.05~1.0である[1]~[8]のいずれかに記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
[10]急硬セメント及び眠剤を含むA材と、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤からなるB材とを含み、前記B材中のナトロアルナイトの含有量が0.3~5質量%である生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
本発明によれば、低温環境下でも十分な可使時間を確保しつつ、初期の強度発現性に優れる実用性の高い生コン出荷型急硬コンクリート組成物を提供することができる。また、当該生コン出荷型急硬コンクリート組成物を製造するために好適な2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本明細書における「部」や「%」は特に規定しない限り質量基準とする。また、本明細書における組成物とは、セメント組成物、モルタル組成物、コンクリート組成物を総称するものである。
[1]2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料
本実施形態の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料は、急硬セメント及び眠剤を含むA材と、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤からなるB材とを含む、少なくとも2材で構成されている。
本実施形態でいう「生コン出荷型急硬コンクリート」とは、生コン工場や生コンプラント等で生コン(レディミクストコンクリート)を混練した後、アジテータ車等によって搬送されて、土木工事現場や建設現場等の施工現場に出荷され、打ち込み作業後に比較的早く硬化するコンクリートをいう。生コン出荷型急硬コンクリートの場合、搬送時間の関係から、出荷から作業完了まで、最低でも可使時間は120分以上必要であり、搬送距離が長い場合には180分以上の可使時間を確保することが望まれる。本実施形態は、このような用途に特化して用いられるものである。
なお、上記の「アジテータ車」とは、生コンを撹拌しながら輸送することができる、荷台部分にミキシング・ドラム(練り混ぜ用容器)を備えた貨物自動車であり、その機能に大きな差はないが、最大積載量2~26t級のものがあり、用途に応じて使い分けられている。
本実施形態では、A材中の眠剤により、生コン出荷型急硬コンクリートが眠らされたような状態、すなわち、水和硬化がほぼ停止した状態となる。これにより可使時間の確保が可能となる。また、B材中のアルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤の添加により、眠剤を多量に添加し眠らされた急硬コンクリートの水和硬化が施工現場で再び呼び覚まされる。そして、急硬材などのその他の成分により優れた初期強度発現性が得られる。
B材を添加することで凝結・硬化が進行するようになるが、B材を添加した後も、作業時間を確保する必要があり、少なくとも15分以上の可使時間の確保が必要である。しかし、B材中のナトロアルナイトの含有量が一定量を超えると、硬化促進剤が発揮し得る急硬性が阻害され、これによって良好な施工性を発揮しにくくなる。これに対して本実施形態では、B材中のナトロアルナイトの含有量を検討し、その範囲を0.3~5%の範囲とすることで、低温環境下でも十分な可使時間を確保し、優れた初期強度発現性を実現した。
また、B材は取り扱い性に優れており、液状及び固形状(好ましくは粉末)のいずれの形態でも使用できるため、施工場所や状況に応じてその形態を選択できる等、実用性が高い。
以下、B材、A材について詳細に説明する。
[B材]
本発明の実施形態(本実施形態)に係るB材は、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤である。硬化促進剤としてのB材がこれらを含むことで低温環境下でも急硬性及び強度発現性を良好にすることができる。
また、本実施形態に係るB材は、当該B材中のナトロアルナイトの含有量が5%以下である。ナトロアルナイトの含有量が5%を超えると、硬化促進剤が発揮し得る急硬性が阻害され、これによって良好な施工性を発揮しにくくなる。ナトロアルナイトの含有量は4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。なお、ナトロアルナイトは無いことが好ましいが、熱加水分解より生成することから実際的には0.3%程度存在してしまうことがある。
ナトロアルナイトの含有量が5%以下となるのは、少なくとも、B材の作製直後から、0~40℃で48時間保存した後であることが好ましい。この時点でナトロアルナイトの含有量が5%以下であれば、その後の0~40℃の保管でナトロアルナイトによる急硬阻害が抑制される。なお、「0~40℃」は、B材の実使用の際の温度範囲を想定したものである。ナトロアルナイトの含有量は実施例の記載の方法で測定することができる。
ここで、ナトロアルナイト(Natroalunaite)とは、ソーダ明礬石とも言われ、(NaAl(SO(OH)、(Na,K)Al(SO(OH)、又は、[Na][Al3+][Al3+ ][(OH)|(SO10-)で表される。本発明者らによれば、ナトロアルナイトは、主に原料である氷晶石に由来するもので、特に、氷晶石中のチオライト(NaAl14)やエルパソライト(KNaAlF)に由来することが見出している。
したがって、B材中のナトロアルナイトの含有量を5%以下となるには、氷晶石中のチオライト及びエルパソライトを低減させる等の処理を施せばよい。また、後述するようにB材を作製する際の温度条件を調整してもよい。
本実施形態に係るB材は、酸性であることが好ましく、pHが1~4であることがより好ましい。B材が酸性であることで、塩基性の硬化促進剤に比べて取り扱い性が向上する。B材のpHを上記範囲内とするためには、水及び硫酸等を添加して調整するとよい。
B材中のアルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素の含有量は特に限定されるものではなく、急硬性の観点から、アルミニウムはAl換算で0.1~20部、硫黄はSO換算で0.1~30部、ナトリウムはNaO換算で0.01~5部、及びフッ素は0.01~10部であることが好ましい。アルミニウムはAl換算で0.1~10部であることがより好ましい。硫黄はSO換算で0.1~10部であることがより好ましい。ナトリウムはNaO換算で0.01~2部であることがより好ましい。フッ素は0.01~2部であることがより好ましい。
さらに、B材の貯蔵安定性やペースト、モルタル、コンクリートへの添加時の混合性の観点から、Al換算でのアルミニウムとSO換算での硫黄との質量比(Al/SO)は0.05~1.0であることが好ましく、0.1~0.8であることがより好ましい。
本実施形態に係るB材の固形分濃度は、硬化促進剤の貯蔵安定性やペースト、モルタル、コンクリートへの添加時の混合性の観点から、20~70%であることが好ましく、23~60%であることがより好ましい。
また、本実施形態に係るB材の20℃における粘度は1,400mPa・s以下であることが好ましく、1~1,000mPa・sがより好ましい。粘度は1,400mPa・s以下であることで混合性が高まり、安定した物性が得られる。粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態では、後述の眠剤とB材との量論比を検討し、その範囲を0.5~5の範囲とすることで、十分な可使時間を確保し、優れた初期強度発現性を実現した。当該量論比は下記式(1)で表される。式(1)は、眠剤とB材が含まれるコンクリートにおいて、眠剤に対する硬化促進剤であるB材の比率を意味するもので、この比が0.5~5の範囲にあるということは、この比が低すぎると眠剤が過多で急硬性が得られず、この比が高すぎるとB材が過多で瞬結してしまうことになる。
式(1):量論比=[B材中アルミニウムの物質量(mol)]×アルミニウムの数×アルミニウムイオンの価数/(眠剤に配合されるオキシカルボン酸の物質量(mol)×眠剤に配合されるオキシカルボン酸の価数)
以下では、硫酸アルミニウムを含有するB材と、A材の眠剤として炭酸カリウムとクエン酸(炭酸カリウム:クエン酸=75:25(質量比))を用いた場合を例に量論比の説明をする。
まず、硫酸アルミニウム、クエン酸のモル質量は下記のとおりである。
・硫酸アルミニウム(Al(SO) 分子量(M.W.)=342.2
・クエン酸(C) 分子量(M.W.)=192.1
コンクリート中の結合材500kgに対して、硫酸アルミニウムを1%、眠剤を1.5%含有させるとすると、そのコンクリートあたり、それぞれの成分は下記のとおりとなる。B材は眠剤の遅延剤であるクエン酸に作用する。
・硫酸アルミニウム:結合材500,000g×0.01(=1%)÷342.2=14.6mol
・クエン酸:結合材500,000g×0.015(=1.5%)×0.25(=25%)÷192.1=9.7mol
アルミニウムイオンは3価の酸として働くこと、及び、硫酸アルミニウムにはAlが2つあること、クエン酸イオンは3価の塩基(遅延剤イオンの価数=3)であることから、既述の式(1)は下記のとおり計算される。
式(1):量論比=(14.6×2×3)/(9.7×3)=3.0
本実施形態に係るB材は、例えば、硫酸アルミニウム、各種ミョウバン、水酸化アルミニウム、水酸化ナトリウム、硫酸、天然又は合成の氷晶石、フッ化ナトリウム、及びフッ化アルミニウム等の原料を液体中で混合し、80~95℃で30~120分加熱して作製することができる。良好な生産性の観点から、原料は硫酸、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム又は各種ミョウバンと、天然若しくは合成の氷晶石とを用いることが好ましい。また、液体としては水等を用いることが好ましい。
ここで、本実施形態に係るB材を作製する際の原材料として、氷晶石を用いると、不溶性析出物が発生しやすい。特に、氷晶石に含有されるチオライト及びエルパソライトが不溶性析出物の発生に寄与していると推察される。また、硬化促進剤を作製する際に特定の操作を行うと不溶性析出物の発生が抑えられることがわかった。これらのいずれかを考慮し、B材中のナトロアルナイトの含有量を5%以下とするために、例えば、下記(1)又は(2)のような操作をすることが好ましい。
(1)当該原材料として氷晶石を用いる際に、この氷晶石に含有されるチオライト及びエルパソライトの量が氷晶石中5%以下のものを使用する。
(2)既述の80~95℃での加熱後に60分以内に常温(例えば25℃)になるように急冷する。
以上のようにして作製されるB材は、後述するような生コン出荷型急硬コンクリート用として好適である。
[A材]
A材は、急硬セメント及び眠剤を含む。
(眠剤)
本実施形態で使用する眠剤は、生コンから出荷した急硬コンクリートを眠らせる(水和硬化をほぼ停止させる)働きを持つものであり、生コンプラントでの急硬トラブルや、アジテータ車で搬送する際の急硬トラブルを回避するものである。眠剤としては、例えば、オキシカルボン酸、又は、その塩、或いはこれらとアルカリ金属炭酸塩の併用、糖類、ホウ酸等が挙げられる。オキシカルボン酸とアルカリ金属炭酸塩を併用することが、急硬コンクリートを眠らせる効果が大きい面や、B材を添加した後の強度発現性が良好な面から好ましい。ただし、アルカリ金属炭酸塩はリチウム以外のアルカリ金属炭酸塩を選定することが好ましい。ベースコンクリートの十分な可使時間を確保し、かつ、B材を添加した後も一定の可使時間を確保し、さらに、強度発現性を良好にする必要があり、この観点から炭酸リチウムの適用は好ましくない。また、オキシカルボン酸と併用しないアルカリ金属炭酸塩のみの場合は眠剤とはならない。
なお、本明細書において、ベースコンクリートとは、少なくとも、急硬セメント、眠剤、骨材、及び混練水を混練してなるコンクリートをいう。
眠剤としては、オキシカルボン酸、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含むことが好ましく、リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含むことがより好ましい。リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩とオキシカルボン酸との混合比(質量比)は、アルカリ金属炭酸塩/オキシカルボン酸で、10/90~90/10であることが好ましく、20/80~80/20であることがより好ましい。
オキシカルボン酸としては、オキシカルボン酸又はその塩を含み、オキシカルボン酸としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられ、その塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
眠剤の含有量は、急硬セメント100部に対して、0.3~5部が好ましく、0.3~4.5部がより好ましい。0.3~5部であることで、現場までの搬送時間に加え、十分な作業時間の確保がしやすくなる。また、B材を添加した際に水和硬化を再び呼び起こしやすくなる。
(急硬セメント)
急硬セメントとは、材齢3時間で圧縮強度24N/mm以上を発現する急硬コンクリート向けのセメントであり、急硬成分より、カルシウムフロロアルミネート系、アウイン系、カルシウムアルミネート系、に大別される。中でもスランプロス低減の点からもカルシウムアルミネート系急硬セメントの使用が好適である。
カルシウムアルミネート系の急硬セメントは、セメント、急硬材、そして凝結調整剤を配合するものであり、急硬材とは、カルシウムアルミネート系化合物とセッコウ類からなるものである。
(セメント)
本実施形態でいう「セメント」とは、特に限定されるものではないが、例えば、日本工業規格(JIS)で定められる普通、早強、中庸熱、低熱の各種ポルトランドセメント、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカを混合した各種の混合セメント、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などを混合したフィラーセメント、並びに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)などのあらゆるセメントが挙げられる。また、海外のEN197-2000で定められたセメントや中国GB規格で定められるあらゆるセメントを挙げることができ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
ポルトランドセメントの構成化合物は、エーライト(3CaO・SiO)、ビーライト(2CaO・SiO)、アルミネート(3CaO・Al)、フェライト(4CaO・Al・Fe)と、さらに、二水セッコウが混合されている(この一部が半水セッコウに変化することもある)。本実施形態では、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、石灰石微粉末などの混合材を含まないセメントを選定することが強度発現性の観点から望ましく、中でも、エーライト含有量が高く、粉末度の高い(粒度が細かい)セメントを選定することが好ましい。これに該当するセメントとしては、例えば、日本のセメントで例示すると、早強セメントや普通セメントを挙げることができる。また、中国のセメントで例示すると、PII・52.5やPII・42.5を挙げることができる。
(急硬材)
本実施形態の急硬材は、カルシウムアルミネート系化合物とセッコウ類とからなることが好ましい。ここで、カルシウムアルミネート系化合物とは、CaOとAlを主体とする化合物を総称するものであり、特に限定されるものではない。その具体例としては、CaO・Al、12CaO・7Al、11CaO・7Al・CaF、3CaO・Al、3CaO・3Al・CaSO、更に、CaOとAlを主体とする非晶質物質(例えば、CaO-Al-SiO系化合物)等が挙げられる。中でも、非晶質物質を選定することが強度発現性の観点から好ましい。
ここで、本実施形態における非晶質度とは、以下のように定義する。対象物質を1000℃で2時間焼きなました後、5℃/分の冷却速度で徐冷して結晶化させる。そして、結晶化させたものを粉末X線回折法により測定し、結晶鉱物のメインピークの面積Sを求める。次いで、焼きなまし前の物質の結晶のメインピーク面積Sから、以下の式により非晶質度Xを求める。
X(%)=100×(1-S/S
なお、一般の工業原料にはSiO、MgO、Fe、TiO、KO、NaO等の不純物が含まれているが、これらの不純物は、カルシウムアルミネート系化合物の非晶質化を助長する面もあり、これらの総量が20%以下の範囲で存在しても差し支えない。中でも、SiOの存在は好ましく、非晶質物質を得る目的で、1~18%の範囲で含有させることもできる。
したがって、急硬材としては、CaO-Al-SiO系化合物とセッコウ類とを含み、このCaO-Al-SiO系化合物の非晶質度が70%以上で、かつ、SiOが1~18%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、CaO-Al-SiO系化合物の非晶質度が80%以上で、かつ、SiOが2~13%の範囲である。
カルシウムアルミネート系化合物は、粉砕処理により、ブレーン比表面積で3,000~9,000cm/gに調整することが好ましく、4,000~8,000cm/gに調整することがより好ましい。カルシウムアルミネート系化合物の粉末度(ブレーン比表面積)が、4,000~9,000cm/gであることで十分な急硬性が得られやすくなり、低温での強度発現性も得られやすくなる。
また、本実施形態の急硬材は、粉砕処理により、ブレーン比表面積で3,000~9,000cm/gに調整することが好ましく、4,000~8,000cm/gに調整することがより好ましい。急硬材の粉末度が、3,000~9,000cm/gであることで十分な超速硬性が得られやすくなり、低温での強度発現性も得られやすくなる。
急硬材の含有量は、セメントと急硬材との合計100部中、10~35部が好ましく、15~30部がより好ましく、20~25部がさらに好ましい。10~35部であることで、良好な初期強度発現性が得られやすくなり、長期強度の低下も起こりにくくなる。
本実施形態で使用するセッコウ類は、無水セッコウ、半水セッコウ、二水セッコウのいずれのセッコウも使用できる。さらに天然セッコウや、リン酸副生セッコウ、排脱セッコウ、及びフッ酸副生セッコウなどの化学セッコウ、または、これらを熱処理して得られるセッコウなども使用できる。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウ及び/又は半水セッコウが好ましいが、コストの観点から無水セッコウを選定することが望ましく、II型無水セッコウ及び/又は天然無水セッコウが好ましい。セッコウの粒度はブレーン値で3,000cm/g以上が好ましく、4,000~7,000cm/gがより好ましい。3,000cm/g以上であることで初期強度発現性を良好に発揮させることができる。
セッコウ類の使用量は、カルシウムアルミネート系化合物100部に対して10~200部が好ましく、15~150部がより好ましく、20~130部がさらに好ましい。セッコウ類の使用量がこれらの範囲であることで強度発現性を良好に発揮させることができる。
本実施形態では、既述の急硬材、眠剤、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤の他に、膨張材、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高炉徐冷スラグ微粉末や高炉徐冷スラグ微粉末などのスラグ、石灰石微粉末やフライアッシュ、シリカフューム等の混和材料、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲でA材及び/又はB材に使用することが可能である。
[2]生コン出荷型急硬コンクリート組成物
本実施形態に係る生コン出荷型急硬コンクリート組成物は、急硬セメント及び眠剤を含むA材と、アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤からなるB材とが混合されてなる。そして、B材中のナトロアルナイトの含有量が0.3~5%となっている。なお、好ましい範囲等は、「2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料」で言及したものと同様である。
生コンプラントでは、A材を混合した各種のベースコンクリートを用意する必要があり、B材は現場まで搬送後に各種のベースコンクリートに対して添加混合する必要がある。B材を施工現場でなく生コンプラントで予め各種のベースコンクリートに対して混合すると、可使時間が確保できない。また、生コン工場で急硬材とB材の双方を添加すると、可使時間が極端に短くなり、搬送途中でコンクリートの破棄を余儀なくされる。
B材を生コン工場で添加し、施工現場で急硬材を添加する場合には、急硬材を添加した後の可使時間が10分以下と極端に短くなり、施工ができない。急硬材とB材を施工現場で添加する場合には、可使時間が短縮され、圧縮強度も低い値となることに加え、アジテータのドラム容積の30%程度しか搬送できない。このように、A材とB材の添加タイミングは極めて重要である。
そこで、本実施形態では、A材と、B材とからなる2材型とすることで、具体的には、生コンプラントでA材を混合したベースコンクリートを施工現場まで搬送し、施工現場でB材を混合することで、本実施形態の生コン出荷型急硬コンクリート組成物とすることができる。
[生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法]
本発明の生コン出荷型急硬コンクリートの調製方法の実施形態は、少なくともA材を混練水とともに練り混ぜ用容器内で練り混ぜてベースコンクリートとする工程(練り混ぜ工程)と、さらに、B材を例えば施工現場で混合する工程と、を順次含む。
なお、上記混練水は例えば、生コン工場や生コンプラント等から供給される。また、練り混ぜ工程では、練り混ぜとともに運搬も行われる場合が多い。
練り混ぜ工程においては、少なくとも、A材及び混練水を含むベースコンクリートの容量を、練り混ぜ(運搬)用容器の内容積の40容量%以上とすることが好ましく、50容量%以上とすることがより好ましい。
ここで、練り混ぜ(運搬)用容器とは、例えば、アジテータ車のドラム等のような生コン運搬車に備え付けられ、生コンを撹拌しながら保持できる容器をいう。
そして、B材を混合した後の可使時間が10分以上、好ましくは15分以上確保できるようにB材の種類、既述の量論比を適切な範囲に定めることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料は、生コン(レディミクストコンクリート)を混練した後、この混練物が搬送されて施工現場に出荷され、打ち込み作業後に添加される材料としての使用に好適である。そして、可使時間を例えば、120分以上、好ましくは180分以上とすることができる。
以下、実験例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験No.1-1~1-29)
Al換算におけるアルミニウム、SO換算における硫黄、NaO換算におけるナトリウム、及びフッ素の各割合が表1に示す割合となるように、水に硫酸アルミニウムと氷晶石を混合し、90℃で60分間加熱した。加熱後、50分間で25℃となるように循環冷却装置により、急冷して硬化促進剤としてのB材を製造した。B材の固形分濃度、B材の20℃における粘度を下記のようにして測定した。また、pHメータによりB材のpHを測定した。結果を表1に示す。
<使用材料>
・水:水道水
・硫酸アルミニウム:硫酸バンド粉末(14~18水)、試薬
・氷晶石:試薬 チオライト:2%、エルパソライト:0.5%(XRDにより測定)
・固形分濃度:原料からのSO、Al、氷晶石の合計量を求めた。
・粘度(20℃):B回転粘度計を用いて、測定した。
B材50gを20℃で48時間保管した。その後、下記のようにしてナトロアルナイトの析出量を測定した。結果を表1に示す。
・ナトロアルナイトの含有量
保管したB材50gをガラスフィルターに流して、吸引ろ過し、更に真空デシケーターで24時間乾燥させたサンプルについてX線回折の測定を行った。ナトロアルナイト単味のピーク強度と、サンプルのナトロアルナイトのピーク強度を比較して、含有量として求めた。
セメント375kg/m、急硬材125kg/m、水/結合材比32%、s/a=42%、空気量2.0±1.5容量%の急硬コンクリートを調製した。この際、セメントと急硬材からなる結合材100部に対して、眠剤を1.5部添加し、24時間以上、水和硬化しないようにした(A材)。現場までの搬送時間と施工現場に到着後に待機時間が発生したことを想定して、120分後に硬化促進剤としてのB材を下記表1に示す量論比で添加した。B材を添加してからの可使時間を測定するとともに、B材添加後から6時間後(練り上がりから8時間後)の圧縮強度を測定した。なお、s/aは、細骨材率で、コンクリート中の全骨材量に対する細骨材量の絶対容積比を百分率で表した値である。また、環境温度は20℃とした。また、量論比は既述の式(1)から計算した。
<使用材料>
・急硬材:CaO-Al-SiO系非晶質物質と無水セッコウの等量混合物。CaO-Al-SiO系非晶質物質のCaOが43%、Alが44%、SiOが10%、その他3%。密度2.85g/cm、ブレーン比表面積5,000cm/g、非晶質度90%
・眠剤:試薬1級の炭酸カリウム75部と試薬1級のクエン酸25部の混合物
・セメント:市販の普通ポルトランドセメント(デンカ社製、密度3.15g/cm
・無水石膏:II型無水石膏、pH3.0、ブレーン比表面積5,000cm/g
・水:水道水
・細骨材:天然川砂
・粗骨材:砕石
<測定方法>
・可使時間:JIS A 1147に準じて凝結の始発時間を測定し、可使時間とした。
・圧縮強度:JIS A 1108に準じて測定した。
本発明の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料及び生コン出荷型急硬コンクリート組成物は、低温環境下でも十分な可使時間を確保しつつ、初期の強度発現性に優れるため、特に、土木建築分野で好適に用いられる。

Claims (9)

  1. 急硬セメント及び眠剤を含むA材と、
    アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤からなるB材とを含み、
    前記眠剤がオキシカルボン酸又はリチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含み、
    前記B材中のナトロアルナイトの含有量が0.3~5質量%であり、
    前記B材100質量部に対して、前記B材中の前記アルミニウムがAl換算で0.1~20質量部、前記硫黄がSO換算で0.1~30質量部、前記ナトリウムがNaO換算で0.01~5質量部、及び前記フッ素が0.01~10質量部である2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  2. 下記式(1)で表される前記眠剤と前記B材との量論比が0.5~5である請求項1に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
    式(1):量論比=[B材中アルミニウムの物質量(mol)]×アルミニウムの数×アルミニウムイオンの価数/(眠剤に配合されるオキシカルボン酸の物質量(mol)×眠剤に配合されるオキシカルボン酸の価数)
  3. 前記B材中の前記ナトロアルナイトの含有量が、前記B材作製の直後から、0~40℃で48時間保存した後で5質量%以下である請求項1又は2に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  4. 前記B材に含有されるナトロアルナイトは、NaAl(SO(OH)、(Na,K)Al(SO(OH)、又は、[Na][Al3+][Al3+ ][(OH)|(SO10-で表されるものである請求項1~3のいずれか1項に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  5. 前記B材のpHが1~4である請求項1~4のいずれか1項に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  6. 前記B材の固形分濃度が20~70質量%である請求項1~5のいずれか1項に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  7. 前記B材の20℃における粘度が1,400mPa・s以下である請求項1~6のいずれか1項に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  8. 前記B材におけるAl換算での前記アルミニウムとSO換算での前記硫黄との質量比(Al/SO)が0.05~1.0である請求項1~7のいずれか1項に記載の2材型の生コン出荷型急硬コンクリート材料。
  9. 急硬セメント及び眠剤を含むA材と、
    アルミニウム、硫黄、ナトリウム、及びフッ素を含む硬化促進剤からなるB材とを含み、
    前記眠剤がオキシカルボン酸又はリチウム以外のアルカリ金属炭酸塩及びオキシカルボン酸の混合物を含み、
    前記B材中のナトロアルナイトの含有量が0.3~5質量%であり、
    前記B材100質量部に対して、前記B材中の前記アルミニウムがAl換算で0.1~20質量部、前記硫黄がSO換算で0.1~30質量部、前記ナトリウムがNaO換算で0.01~5質量部、及び前記フッ素が0.01~10質量部である生コン出荷型急硬コンクリート組成物。
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