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JP7837469B2 - 放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブ - Google Patents
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JP7837469B2 - 放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブ - Google Patents

放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブ

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Description

本開示は、放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブに関するものである。
LED(Light-Emitting Diode)素子、IC(Integrated Circuit)などの発熱部品を搭載した電気、電子機器については、高出力化による発熱量の増大によって、放熱技術の重要性が増している。特に、防塵防水のため、密閉筐体に収容されて使用される車載電装品、或いは、真空中で使用される宇宙機器、電力機器の真空バルブなどは、空気の対流による放熱が困難であるという問題がある。
そのため、従来の放熱技術であるアルミヒートシンクによる自然空冷および電動ファンによる強制空冷などでは、十分な放熱効果が得られない。
そこで、近年、これら従来の放熱技術では放熱対策が困難な製品を対象として、金属部材にセラミックコーティングを施すことによって、セラミックの熱放射を利用した高効率な放熱技術が注目されている。
例えば、特許文献1では、セラミックスとアルミニウムからなる複合材料によって形成された基板と、その少なくとも一表面の基板表面にアルマイト層が形成されていることを特徴とする放熱用材料が開示されている。
特開2008―255410号公報
しかしながら、上記の特許文献1で開示されている方法では、軽金属(Al、Mg)からなる部材の表面に金属酸化物被膜を形成して赤外線の放射性能を付与することは可能であるが、電気電子機器の導電部材として多用される銅などの重金属の表面に金属酸化物被膜を形成して赤外線の放射性能を付与することは困難であった。
本開示は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、基材の導電率を低下させることなく、基材とコーティング層の密着性に優れ、かつ放射率が高い放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブを提供することを目的とする。
また、本開示の放熱部材は、
銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、前記金属元素は、亜鉛または、ニッケルである。
また、本開示の放熱部材は、
銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、
前記コーティング層は、前記基材と、前記セラミック層の間に、前記金属元素からなる金属層を有するものである。
また、本開示の放熱部材の製造方法は、
前記基材に、前記コーティング層としての金属めっき層を形成する工程と、前記金属めっき層を熱処理で酸化させて前記セラミック層を形成する工程とを含むものである。
また、本開示の真空バルブは、
前記放熱部材を少なくとも固定側電極棒及び可動側電極棒のどちらか一方の表面に備えるものである。
本開示の放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブによれば、
基材の導電率を低下させることなく、基材とコーティング層の密着性に優れ、かつ放射率が高い放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブを提供できる。
実施の形態1に係る放熱部材の断面模式図である。 実施の形態1に係るコーティング層の他の例を示す断面模式図である。 実施の形態1に係るコーティング層の結晶の一例を示す断面模式図である。 実施の形態1に係るコーティング層の結晶の他の例を示す断面模式図である。 実施の形態1に係る放熱部材の拡散層に形成された合金層を示す断面模式図である。 実施の形態1に係る合金層の他の例を示す断面模式図である。 実施の形態1に係るコーティング層に金属層が残存している放熱部材の断面模式図である。 実施の形態1に係る放熱部材の製造工程を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る放熱部材の実施例1から実施例5の構成を示す図である。 実施の形態1に係る放熱部材の実施例6から実施例8の構成を示す図である。 比較例1から比較例3の放熱部材の構成を示す図である。 実施の形態2に係る真空バルブの断面模式図である。 実施の形態3に係る放熱部材の実施例9から実施例13の構成を示す図である。
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る放熱部材および放熱部材の製造方法について図を用いて説明する。なお、以下の説明および図面の中で、各種の「層」について言及、記載するが、それぞれの「層」は、厳密な境界を有するものではない。
図1は、実施の形態1に係る放熱部材100の断面模式図である。
放熱部材100は、銅の基材2(以下、単に基材2と称す。)と、コーティング層3と、拡散層4とからなる。
放熱部材100を構成する基材2は、熱伝導性及び電気伝導性に優れ、かつコスト的に有利であることから、銅系の材料が好ましく、例えば、純銅のほかに、黄銅、白銅などの銅合金を用いることが出来る。
特に、高い熱伝導性及び電気伝導性が要求される用途では、純銅が好ましく、体積抵抗率は2.5μΩ・cm以下が好ましく、1.8μΩ・cm以下がさらに好ましい。さらに、高真空中での使用が想定される場合には、純銅の中でも無酸素銅が好ましい。無酸素銅を使用することで、銅中に溶存した酸素の放出による真空度の低下を防止することが可能となる。
一般に、銅の基材にセラミック層であるコーティング層3を形成する方法として、煩雑な真空プロセスが必要なスパッタ、或いは、超高温プロセスが必要な溶射などの方法が知られている。
しかしながら、これらの方法では、複雑な形状の部材の表面に均一にコーティング層3を形成することが難しく、かつ銅の基材に対する密着性も弱い場合がある。また、樹脂マトリックスにセラミックフィラーを混合した樹脂複合材をコーティングする方法もあるが、銅の基材との密着性が悪く、かつ真空中では樹脂の分解ガスが発生するため、真空中で使用する放熱部材に適用出来ないというデメリットがある。
そこで、本実施の形態1の放熱部材100では、基材2の表面に、金属元素からなるめっき被膜を形成し、めっき被膜を空気中で酸化させることで、基材2に簡便にセラミックのコーティング層3を形成している。その際、銅よりもイオン化傾向の大きい金属元素からなるめっき被膜を用いることで、空気中で酸化させた場合に、めっき被膜のみが酸化し、基材2は酸化されず、基材2の熱伝導率および電気伝導率がともに低下しないという効果も得られる。なお、本明細書では、コーティング層3は、基材2に施したメッキ皮膜の部分を指し、コーティング層3の中で酸化された部分を特にセラミック層と称する。コーティング層3の全てがセラミック層となる場合もあるし、後述するようにコーティング層3の一部がセラミック層となる場合もある。
また、コーティング層3と基材2の間に金属元素が相互に拡散した拡散層4を形成することで、基材2とコーティング層3の密着性が強固になっている。そのため、本実施の形態1の放熱部材100は、基材2の導電率を低下させることなく、コーティング層3の密着性に優れ、かつ放射率が高い、放熱性に優れたものとなる。
放熱部材100を構成するコーティング層3は、放熱部材100において赤外線の放射性能を向上させる役割を担っている。そのため、放射率が高い材料からなるセラミック材料からなることが好ましい。さらに、基材2にコーティング層3を形成するプロセスの一つの工程である酸化処理工程において、基材2の酸化を防止する観点から、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物であることが好ましい。そこで、例えば、酸化亜鉛、シリカ、酸化ニッケルなどのセラミック材料を用いる。
特に、放熱性能を重視した放熱部材100に適用する場合には、さらに放射性能の高い酸化亜鉛が好適である。酸化亜鉛を用いることで、さらに放熱性能の高い放熱部材を得ることが出来る。また、高真空中での放熱部材の使用を想定した場合、或いは、放熱部材を真空ロウ付けなどの高真空下での熱処理プロセスを経て使用する場合には、真空中での金属元素の蒸発を防止する観点から、蒸気圧の低いニッケルを用いた酸化ニッケルが好適となる。
酸化ニッケルを用いることで、放熱性が高く、かつ真空中での金属成分の蒸発が発生しない信頼性の高い放熱部材を得ることが出来る。
図2は、コーティング層3の他の例を示す断面模式図である。
図2に示すように、コーティング層3を材質の異なる2種類のセラミック材料によってコーティング層3A(第1コーティング層)、コーティング層3B(第2コーティング層)の積層構造にしても良い。コーティング層3を2層の積層構造にすることで、基材2側の下層に、上層のコーティング層3Bよりも基材2の熱膨張率に近いコーティング層3Aを形成し、上層にコーティング層3Aよりも放射率の高いコーティング層3Bを形成することが出来る。
これによって、さらに基材2に対する密着性に優れ、さらに放射性能の高いコーティング層3を形成することができる。本実施の形態の放熱部材のコーティング層3であるセラミック層は、結晶質であることがさらに好ましい。
コーティング層3として、結晶質のセラミック層を用いることで、セラミック層内部の熱伝導率が高くなり、放射を担うセラミック層に熱が効率的に伝熱するため、放射性能が向上し易い。ここで、セラミック層の結晶状態は、X線回折によって確認することが出来る。X線回折パターンに結晶構造に起因する回折ピークが見られた場合を結晶質、ハローパターンのみが見られた場合を非晶質として確認することが出来る。
また、コーティング層3の厚みは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。厚みが0.5μm未満であると、十分な放射性能が得られない場合がある。一方、膜厚が20μmを超えると、セラミック層が脆くなり、長期使用において剥がれなどの不具合が発生する場合がある。
図3は、コーティング層3の結晶粒子6の一例を示す断面模式図である。
図4は、コーティング層3の結晶粒子6の他の例を示す断面模式図である。
コーティング層3であるセラミック層の形態は、放射性能を阻害しない範囲で、図3のように結晶粒子6の多結晶体からなる緻密な膜でも良いし、図4に示すような結晶粒子6間に空隙7(マイクロポア)を多く含むポーラスな膜でも良い。基材2との密着性の観点から、セラミック層の材質に応じて使い分けると良い。基材2との熱膨張率の差異が大きいセラミック層を用いる場合には、密着性を阻害する要因となる熱応力を緩和する目的で、ポーラスなセラミック層が好ましい。
例えば、コーティング層3であるセラミック層に熱膨張率の小さい酸化亜鉛を用いる場合には、ポーラスなセラミック層にすることで、セラミック層の見かけの弾性率が下がり、基材2とセラミック層の熱膨張差による熱応力が発生しにくくなる。そのため、基材2との密着性をさらに強固にすることが可能となる。
一方、基材2との熱膨張率の差異が小さい酸化ニッケルをセラミック層に用いる場合には、ポーラスなセラミック層にしなくても、基材2との界面に発生する熱応力が小さく、剥がれの要因となる可能性が少ない。
そのため、セラミック層自体の強度が高い緻密なセラミック層を選択することが、コーティング層3の機械的な強度を向上させる観点から好ましい。
基材2とコーティング層3の界面には、コーティング層3を構成する金属元素の酸化物の金属成分が拡散した拡散層4が形成されている。拡散層4にNiとCuとOの三元系の金属酸化物を形成しても良い。拡散層4を形成することで、化学的な効果によって、基材2とコーティング層3の密着性が向上する。
図5は、放熱部材100の拡散層4に形成された合金層8を示す断面模式図である。
図6は、合金層8の他の例を示す断面模式図である。
さらに基材2とコーティング層3の密着性を向上させる観点から、拡散層4には、銅と、コーティング層3を構成する金属元素の酸化物の金属成分との合金層8が形成されていることがさらに好ましい。合金層8が形成されることで、より強固な化学的な密着力が得られる。このとき、合金層8は、基材2とコーティング層3の界面に、均一な厚みの連続膜で形成されていなくてもよく、部分的に形成されていても良い。
例として、酸化物層に酸化ニッケルを用いた場合の合金層8は、Cu-Ni合金である。CuとNiは、全率固溶するため、Cu-Ni合金におけるCuとNiの比率は、任意の比率を取ることが出来る。さらに、Cu-Ni合金におけるCuとNiの比率は、単一の比率だけでなく、図6に示すように、上層の合金層8aから基材2側の合金層8b、合金層8cへと、銅比率が次第に高くなるようにグラデーションが付いていても良い。このようにグラデーションを付けた場合には、合金層8全体の熱膨張率にもグラデーションが付くため、熱応力緩和のバッファ層の役目を果たし、基材2とコーティング層3の密着性向上にさらに寄与する効果が得られる。また、コーティング層3に酸化亜鉛を用いた場合の合金層は、Cu-Zn合金である。
図7は、コーティング層3に金属層5が残存している放熱部材100の断面模式図である。
図7に示すように、放熱部材100は、コーティング層3を構成する酸化物層であるセラミック層3Sと基材2との間に、コーティング層3の金属成分と同一の金属成分からなる金属層5が残存して形成されていることがさらに好ましい。金属層5は、コーティング層3を形成するためにメッキ処理した金属の下層部分が、酸化処理時に酸化せずに残存した部分である。
酸化していない金属層5を残すことで、基材2と、セラミック層3Sのそれぞれの熱膨張率の中間の熱膨張率を有する金属層5がコーティング層3の下層に残存することになり、基材2とコーティング層3の熱膨張率差による熱応力を緩和する効果が得られ、基材2と金属層5との密着性がさらに向上する。例として、コーティング層3としての酸化物層に酸化ニッケルを用いた場合の金属層は、ニッケル層である。
また、コーティング層3としてのセラミック層3Sに酸化亜鉛を用いた場合の金属層5は、亜鉛層である。なお、基材2とセラミック層3Sとの間に上記の金属層5を形成した放熱部材100を、高真空中で使用する場合、或いは真空ロウ付けなどの高真空下での熱処理プロセスを経て使用する場合には、金属層5の蒸発を防止するため、銅よりも蒸気圧の低いニッケル層が好ましい。金属層5の厚みは、特に制限されないが、製造性の観点から1μm以上10μm以下が好ましい。
次に、本実施の形態の放熱部材100の製造方法の一例ついて説明する。
図8は、放熱部材100の製造工程を示すフローチャートである。
まず、銅を所望の形状および寸法に加工し、基材2を作製する(ステップS01)。基材2の形状は、板状、円柱状、フィン形状など、放熱部材としての機能を果たせる形状であれば良い。
基材2の寸法は、後の工程で形成するコーティング層3の厚みを考慮して決定する。また、寸法公差が厳しい放熱部材100を作製する場合には、基材2を他の金属でコーティングした後に、寸法の微調整として表面研磨を施しても良い。表面研削処理を施すことで、表面の平滑性および寸法精度を向上させることが可能となる。基材2の材質は、銅系の材料が好ましく、例えば、純銅のほかに、黄銅、白銅などの銅合金を用いることが出来る。
特に、高い熱伝導性及び電気伝導性が要求される用途では、純銅が好ましく、体積抵抗率は2.5μΩ・cm以下が好ましく、1.8μΩ・cm以下がさらに好ましい。さらに、高真空中での使用が想定される場合には、純銅の中でも無酸素銅が好ましい。
次に、基材2の表面にめっき処理を施し、めっき層を形成する(ステップS02)。基材2の表面に形成するめっき被膜は、基材2の酸化を防止する観点から、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素であることが好ましく、例えば、亜鉛、シリカ、ニッケルなどを用いることが出来る。銅よりもイオン化傾向の大きい金属元素からなるめっき被膜を用いることで、空気中で酸化させた場合に、めっき被膜のみが酸化し、基材2は酸化されず、基材2の熱伝導率および電気伝導率がともに低下しない効果も得られる。
めっき処理は、公知の方法を用いればよく、無電解めっき法、或いは電解めっき法を用いることが出来る。基材2とめっき層の密着性の観点からは、電界めっき法を用いることが、さらに好ましい。また、めっき処理工程の前処理については、選択しためっきの種類に応じた脱脂処理、酸洗浄、水洗などの公知の方法で実施すれば良い。例えば、電界ニッケルめっきでは、ワット浴、或いはスルファミン酸浴を用いためっき処理法を用いることが出来るが、コスト的な観点からは、ワット浴を用いためっき処理が好ましい。
めっき層は、1回のめっき処理で形成しても良いし、複数回のめっき処理で形成しても良い。さらに、図2に示すように、コーティング層3を、材質の異なるセラミック層の積層構造にて形成するために、材質の異なるめっき被膜の積層構造にしても良い。電解めっき処理におけるめっき層の厚みは、印加する電界強度、処理液への浸漬時間などの条件で適宜調整すればよく、厚み1μm以上30μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がさらに好ましい。
厚みが1μm未満であると、厚みのバラツキによって極端にめっき層が薄い箇所が発生する恐れがある。また、30μmを超えると、めっき層が剥がれ易くなる場合がある。
次に、めっき層を空気中で熱処理し、酸化処理することでコーティング層3(セラミック層3S)を形成する(ステップS03)。
熱処理の方法は、酸素がある状況でめっき層を酸化できればよく、バッチ式電気炉、ベルト式電気炉などを用いることが出来る。酸化処理の温度は、選択しためっき被膜の種類によって、適宜選択すればよく、金属の酸化還元温度の指標であるエリンガム図を参考に決定することも出来る。
例えば、亜鉛めっきを選択した場合には、400℃以上600℃以下での酸化処理が好ましく、450℃以上550℃以下がさらに好ましい。さらに、ニッケルめっきを選択した場合には、600以上850℃以下が好ましく、650℃以上750℃以下がさらに好ましい。また、めっき層を酸化して形成するセラミック層の厚みは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。セラミック層の厚みの調整は、酸化処理の温度と時間によって、適宜調整することが出来る。
また、基材2とセラミック層3Sとの間の金属層5は、めっき層を完全に酸化させないような熱処理条件を選択することで形成することができる。また、拡散層4は、酸化処理の際に、基材2とめっき層の界面付近に、基材2の金属元素と、めっき層の金属元素が相互に拡散することで形成される。さらに、熱処理の条件によっては、相互に拡散した金属元素が化学反応することで、拡散層4の中に、合金層8を形成することもできる。
次に、実施例および比較例によって、放熱部材100の詳細を説明するが、これらによって本開示が限定されるものではない。
図9は、放熱部材100の実施例1から実施例5の構成を示す図である。
図10は、放熱部材100の実施例6から実施例8の構成を示す図である。
図11は、比較例1から比較例3の放熱部材の構成を示す図である。
各図に放熱部材の構成として、基材、コーティング層、拡散層の有無、合金層の有無、金属層の有無を示し、性能評価結果として、実施例1に対する相対評価を示している。
[実施例1]
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、基材2の表面に電界めっきでニッケルめっき層を厚み0.3μmになるように形成した。
次に、バッチ式の電気炉を用いて、空気中で700℃で40分、熱処理することで、めっき層を酸化し、厚み0.3μmのコーティング層3(全てセラミック層)と合金層8を有する評価用の放熱部材100を得た。
[実施例2]
ニッケルめっき層を厚み3μmになるように形成したことと、空気中で700℃で9時間、熱処理したこと、および厚み3μmのコーティング層3(全てセラミック層)を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例3]
ニッケルめっき層を厚み18μmになるように形成したことと、空気中で800℃で13時間、熱処理したこと、および厚み18μmのコーティング層3(全てセラミック層)を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例4]
ニッケルめっき層を厚み25μmになるように形成したことと、空気中で800℃で18時間、熱処理したこと、および厚み25μmのコーティング層3(全てセラミック層)を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例5]
ニッケルめっき層を厚み3μmになるように形成したことと、空気中で500℃で4時間、熱処理したこと、および厚み1.5μmのセラミック層3Sと厚み1.5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例6]
ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み2.5μmのセラミック層3Sと厚み5.5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例7]
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、基材2の表面に電界めっきで亜鉛めっき層を厚み3μmになるように形成した。
次に、バッチ式の電気炉を用いて、空気中で500℃で12時間、熱処理することで、めっき層を酸化し、厚み3μmのコーティング層3(全てセラミック層)と拡散層4と合金層8を有する評価用の放熱部材100を得た。
[実施例8]
亜鉛めっき層を厚み6μmになるように形成したことと、空気中で500℃で7時間、熱処理したこと、および厚み2μmのセラミック層3Sと厚み4μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例7と同様にした。
[比較例1]
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、表面にコーティング層を形成せずに、評価用の放熱部材を得た。
[比較例2]
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、表面にめっき処理をせずに、バッチ式の電気炉を用いて、空気中で500℃で12時間、熱処理することで評価用の放熱部材を得た。
[比較例3]
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、表面にスパッタ法を用いて、酸化ニッケルターゲットをスパッタすることで、厚み2μmのコーティング層を有する評価用の放熱部材を得た。
次に、上記の実施例及び比較例で得られた放熱部材について以下の評価を行った。
(1)放射率
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、放熱性の指標として、表面の放射率を放射率測定装置を用いて測定した。
この放射率の結果は、実施例1の放熱部材100で得られた放射率を基準とする各実施例又は各比較例の放熱部材で得られた放射率の相対値([各実施例又は各比較例の放熱部材で得られた放射率]/[実施例1の放熱部材で得られた放射率]の値)として図9に示した。
(2)サイカス強度
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、密着性の指標として、コーティング層3のサイカス強度を測定した。このサイカス強度の結果は、実施例1の放熱部材で得られたサイカス強度を基準とする各実施例又は各比較例の放熱部材で得られたサイカス強度の相対値([各実施例又は各比較例の放熱部材で得られたサイカス強度]/[実施例1の放熱部材で得られたサイカス強度]の値)として図9~図11に示した。
(3)基材2の体積抵抗率
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、四端子法を用いて、基材2の体積抵抗率を評価した。得られた体積抵抗率の値が、未処理の無酸素銅の体積抵抗率(1.65μΩ・cm)と同等の場合は○、10%以上増加した場合は×とした。
(4)真空中での金属成分の蒸発
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、真空加熱炉を用いて、ロウ付け条件を模擬した高真空中(10-3Pa)での熱処理(800℃)を実施し、金属成分の蒸発の有無を調べた。蒸発の有無は、熱処理前後での断面のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)分析および表面のXRD(X-ray Diffraction)分析によって、金属層の元素分布およびXRDパターンに変化が無い場合を蒸発無し、変化がある場合を蒸発有りとして評価した。
図9、図10に示すように、実施例1~8の放熱部材100は、基材2よりもイオン化傾向が大きいニッケルおよび亜鉛を用いていることから、基材2の体積抵抗率が良好である。また、放射率の比が大きく、サイカス強度の比も大きいため、放熱性と密着強度が良好であることが分かる。
一方、コーティング層なしの比較例1では、放熱性が非常に低いことが分かる。また、基材2の表面をそのまま酸化処理した比較例2は、基材2の表面に生成した酸化銅の膜が剥がれており、コーティングになっていない。
そのため、放熱性も向上していなかった。さらに、基材2の表面に、スパッタ法で酸化ニッケルをコーティングした比較例3は、基材2に拡散層が無く、化学的な密着力が無いことから、密着性が非常に低いことが分かる。
さらに、実施例1~4と実施例5とを比較すると、コーティング層3の酸化ニッケルが結晶質である方が、さらに放熱性が良好であることが分かる。また、実施例1~4と実施例6とを比較すると、セラミック層3Sと基材2との間に、熱膨張差を緩和する厚い金属層5を有している実施例6の方が、コーティング層3と基材2との密着性がさらに良好であることが分かる。
コーティング層3の材質の違いに着目すると、酸化ニッケルよりも、酸化亜鉛の方が、放熱性がさらに良好である。しかしながら、真空中での金属成分の蒸発の有無に着目すると、金属層5を有する実施例6と実施例8との比較から、実施例6の酸化ニッケルは、真空中での金属成分の蒸発が無く、高真空中での使用に適している。一方、実施例8の酸化亜鉛は、真空中での金属成分の蒸発が有り、高真空中での使用に適していないことが分かる。
実施の形態1に係る放熱部材100によれば、
銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、前記金属元素は、亜鉛または、ニッケルであるので、基材2の導電率を低下させることなく、基材2とコーティング層3の密着性に優れ、かつ放射率が高い放熱部材を得ることが出来る。また、基材2の酸化を防止できる。
また、銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、前記コーティング層は、前記基材と、前記セラミック層の間に、前記金属元素からなる金属層を有するものなので、コーティング層3の中の基材2側に酸化していない金属層5を残すことで、基材2と、コーティング層3のそれぞれの熱膨張率の中間の熱膨張率を有する金属層5が存在することになり、基材2とコーティング層3の熱膨張率差による熱応力を緩和する効果が得られる。
また、前記拡散層の中に銅と前記金属元素からなる合金層を有するので、コーティング層3と基材2のさらに強固な化学的な密着力が得られる。
また、前記金属元素は、銅よりも蒸気圧が低い金属元素であるので、真空バルブなど真空中での金属元素の蒸発を防止できる。
また、前記セラミック層の厚みは、0.5μm以上20μm以下であるので、放熱部材100の放射性能と耐久性を両立できる。
また、前記基材の体積抵抗率は、2.5μΩ・cm以下であるので、高い熱伝導性及び電気伝導性が要求される用途に利用できる。
また、前記金属元素の酸化物は、結晶質であるので、放熱性の高いセラミック層を形成できる。
また、前記コーティング層は、2層からなり、前記基材側の第1コーティング層の熱膨張率は、上層の第2コーティング層の熱膨張率よりも前記基材の熱膨張率に近いので、さらに基材2に対する密着性に優れたコーティング層3を形成できる。
また、前記第2コーティング層の放射率は、前記第1コーティング層の放射率よりも高いので、さらに放射性能の高いコーティング層3を形成できる。
また、実施の形態1に係る放熱部材100の製造方法によれば、
前記基材に、前記コーティング層としての金属めっき層を形成する工程と、前記金属めっき層を熱処理で酸化させて前記セラミック層を形成する工程とを含むので、用途に合わせて最適な厚みのセラミック層3S、金属層5、合金層8を形成できる。
実施の形態2.
以下、実施の形態2に係る真空バルブについて図を用いて説明する。
図12は、真空バルブ50の断面模式図である。
真空バルブ50は、絶縁筒51、固定側端板52、可動側端板53、固定側電極棒54、可動側電極棒55、ベローズ56、固定側接点57、可動側接点58、コーティング層59を備えている。筐体である真空容器50Aは、円筒状の絶縁筒51と、絶縁筒51の両端部にろう付けによって固着された固定側端板52及び可動側端板53とを含む。絶縁筒51の中間部には、金属製のアークシールド51Aが配置されている。
固定側電極棒54は、固定側端板52を貫通して設けられ、ろう付けによって固定側端板52に取り付けられている。また、可動側電極棒55は、可動側端板53を貫通し、ベローズ56を介してろう付けによって可動側端板53に接合され、軸方向Zに自在に移動できるように設けられている。
固定側電極棒54の可動側電極棒55側の端部には、固定側接点57がろう付けによって接合されている。また、可動側電極棒55の固定側電極棒54側の端部には、可動側接点58がろう付けによって接合されている。
そして、可動側電極棒55の真空容器50A外の端部には駆動装置(図示省略)が取り付けられ可動側電極棒55が駆動されると、ベローズ56が伸縮することによって、真空容器の内部を真空状態に保った状態で可動側接点58と固定側接点57とが開閉する。
真空バルブ50は、図12に示すように接点が閉じて通電すると、真空容器内部の固定側電極棒54、可動側電極棒55、固定側接点57、及び可動側接点58が発熱部となる。
実施の形態2における真空バルブ50の固定側電極棒54と可動側電極棒55とは、表面にコーティング層59を備えており、真空中で放射によって熱を逃がす実施の形態1で説明した放熱部材100の役割も果たしており、放熱部材100の構成を組み込んだものとなっている。このように、真空バルブ50は、放熱性能に優れたものとなる。
なお、真空バルブ50の固定側電極棒54と可動側電極棒55とは、表面にコーティング層29を備えているものを説明したが、コーティング層59は、少なくとも固定側電極棒54と可動側電極棒55とのどちらか一方の表面にあればよい。
実施の形態2に係る真空バルブ50によれば、
前記放熱部材を表面に備えた固定側電極棒及び可動側電極棒を備えるので、
放熱性能および耐久性能に優れた真空バルブを提供できる。
実施の形態3.
以下、実施の形態3に係る放熱部材および放熱部材の製造方法について説明する。なお、以下に記載した構成以外の部分については、実施の形態1と同様の構成が有効に成り立つ。
本実施の形態の放熱部材100を構成する基材2は、熱伝導性及び電気伝導性に優れ、かつコスト的に有利であることから、銅系の材料が好ましく、例えば、純銅のほかに、黄銅、白銅などの銅合金を用いることが出来る。
特に、高い熱伝導性及び電気伝導性が要求される用途では、純銅が好ましく、体積抵抗率は2.5μΩ・cm以下が好ましく、1.8μΩ・cm以下がさらに好ましい。さらに、高真空中での使用が想定される場合には、純銅の中でも無酸素銅が好ましい。無酸素銅を使用することで、銅中に溶存した酸素の放出による真空度の低下を防止することが可能となる。
本実施の形態3の放熱部材100では、基材2の表面に、銅よりもイオン化傾向の大きい金属元素であるニッケルからなるめっき被膜を形成し、めっき被膜を空気中で酸化させることで、基材2に簡便にセラミックのコーティング層を形成している。一般に、ニッケルめっきに使用されるめっき液には硫黄成分が含まれるため、ニッケルめっき皮膜中には硫黄成分を含有している。ニッケル皮膜中に含まれる硫黄成分は、ニッケル皮膜の酸化還元電位に影響し、硫黄成分を多く含有している場合には、ニッケル皮膜が非常に酸化しやすくなる。
そのため、ニッケルめっき皮膜を空気中で酸化させる際に、急激に酸化反応が起こり、基材2とコーティング層3を構成するセラミック層3Sとの密着性が低下する場合がある。そのため、本実施の形態3の放熱部材100では、比較的に硫黄含有量の少ないニッケルめっき皮膜を使用することで、急激な酸化反応を抑制し、かつ酸化後のコーティング層3の硫黄含有量も少なくすることが好ましい。
具体的には、本実施の形態3のコーティング層3の硫黄成分の含有量は、1000ppm以下にすることが好ましい。また、600ppm以下がさらに好ましく、さらに400ppm以下が好ましく、200ppm以下が最も好ましい。
本実施形態3の放熱部材100のコーティング層3を構成するセラミック層3Sは、平均粒径1μm以下の酸化ニッケル粒子から構成されることが好ましく、平均粒径0.5μm以下の酸化ニッケル粒子から構成されることがさらに好ましい。酸化ニッケル粒子の粒径を上記のようにすることで、セラミック層3Sの強度が増し、さらに基材2から剥がれにくいセラミック層3Sになる効果が得られる。
また、さらに基材2との密着性を向上させる観点から、セラミック層3Sには、多数のマイクロポア(上述の空隙7)を有することが好ましい。このとき、マイクロポアの平均サイズは、セラミック層3Sを構成する酸化ニッケルの平均粒径と同等以下であることが好ましく、平均サイズ1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。マイクロポアの平均サイズをこのようにすることで、セラミック層3Sの強度を低下させずに、基材2との熱膨張差による熱応力を緩和する効果が生まれるため、基材2とセラミック層3Sとの密着性が向上する。
本実施の形態3の放熱部材100の拡散層4中には、銅とニッケルの合金層8が形成されていることが好ましく、その際、合金を構成する銅とニッケルの含有比率は、一定範囲内であることが好ましい。具体的には、合金を構成する銅とニッケルの比率が質量部で、40:60~60~40が好ましく、さらに好ましくは、45:55~55:45である。このように、銅とニッケルの含有比率が一定範囲内の合金層8を形成することで、合金層8が化学的に安定し、セラミック層3Sが厚くなった場合でも、さらに基材2との密着性を向上できる。
次に、本実施の形態3の放熱部材100の製造方法の一例ついて説明する。
本実施の形態3の放熱部材100の製造方法は、実施の形態1の放熱部材100の製造方法である図8のフローチャートに準拠しているため、ここでは、異なる部分のみを説明する。
基材2の表面にめっき処理を施し、めっき層を形成する(ステップS02)。基材2の表面に形成するめっき被膜は、基材2の酸化を防止する観点から、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素であるニッケルを用いる。ニッケルめっき処理は、基材2とめっき層の密着性の観点からは、電界めっき法を用いることが好ましい。また、めっき処理工程の前処理については、脱脂処理、酸洗浄、水洗などの公知の方法で実施すれば良い。さらに、電界ニッケルめっきでは、ワット浴、或いはスルファミン酸浴を用いためっき処理法を用いることが出来るが、コスト的な観点からは、ワット浴を用いためっき処理が好ましい。
電界ニッケルめっきでは、一般にめっき液に光沢材を添加するが、光沢材の種類によっては、硫黄成分を多量に含有する光沢材が存在し、ニッケルめっき層に硫黄成分が多量に取り込まれる原因となる。硫黄成分は、コーティング層3となるめっき層の腐食の原因となる。そのため、めっき処理後のニッケルめっき層の硫黄成分の含有量を抑える観点から、光沢材は硫黄成分を含有しないものを用いることが好ましい。また、光沢材として、サッカリンなどの硫黄成分を含有する光沢材を使用する必要がある場合には、できるだけ添加量を少なくすることが好ましい。
また、電界ニッケルめっきでは、めっき処理後にニッケルめっき皮膜中に炭素成分が取り込まれる添加材がある。本実施の形態3の放熱部材100では、そのような添加材をめっき液に添加して、めっき処理を施すことが好ましい。例えば、ブチンジオールなどの添加材を用いることが好ましい。
めっき皮膜に炭素成分を含有させることで、酸化処理工程(ステップS03)において、炭素成分が燃焼してガス化して抜ける際に、セラミック層3Sを構成する酸化ニッケル粒子の粒成長が抑制され、微細な粒子になりやすい。さらに、炭素成分の燃焼ガスが抜ける際に、セラミック層3Sにマイクロポアが生成しやすくなるため、基材2との密着性が更に優れたコーティング層3を形成することができる。
以下に具体的な実施例を記載する。
[実施例9]
光沢材であるサッカリンを1mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように、基材2に形成したことと、空気中で700℃で8時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例10]
光沢材であるサッカリンを3mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例11]
光沢材であるサッカリンを5mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例12]
光沢材であるサッカリンを15mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
[実施例13]
光沢材であるサッカリンを20mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
次に、上記の実施例9~13で得られた放熱部材100について、実施例1~8および比較例1~3と同様の評価を行った。また、コーティング層3に含有する硫黄成分の含有量をGD-OES(Glow Discharge Optical Emission Spectrometry)分析によって分析した。その結果を図13に示す。
実施例9~13の放熱部材100は、酸化ニッケルのセラミック層3Sおよび、密着性向上に有効な、拡散層4、合金層8、金属層5を全て有しているため、放熱性と基材2との密着性に優れている。さらに、コーティング層3の硫黄含有量が1000ppm以下である実施例9~12は、コーティング層3の基材2に対する密着性が更に優れていることが分かる。
実施の形態1に係る放熱部材100によれば、
前記金属元素は、ニッケルであり、前記コーティング層は、硫黄成分の含有量が1000ppm以下であるので、
腐食に強いコーティング層を形成できる。
また、前記金属元素は、ニッケルであり、
前記セラミック層は、平均粒径1μm以下の酸化ニッケル粒子から構成され、かつ平均サイズ1μm以下のマイクロポアを有するので、
セラミック層の強度を低下させずに、基材との熱膨張差による熱応力を緩和する効果が生まれる。これによって、基材とセラミック層との密着性が向上する。
また、前記金属元素は、ニッケルであり、
前記拡散層は、銅とニッケルの含有比率が40:60~60:40である銅とニッケルの合金層からなるので、
合金層が化学的に安定し、セラミック層が厚くなった場合でも、基材との密着性を向上できる。
本開示は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本開示に示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
100 放熱部材、2 基材、3,3A,3B コーティング層、3S セラミック層、4 拡散層、5 金属層、50 真空バルブ、50A 真空容器、6 結晶粒子、7 空隙、51 絶縁筒、51A アークシールド、52 固定側端板、53 可動側端板、54 固定側電極棒、55 可動側電極棒、56 ベローズ、57 固定側接点、58 可動側接点、59 コーティング層、8,8a,8b,8c 合金層、Z 軸方向。

Claims (14)

  1. 銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、前記金属元素は、亜鉛または、ニッケルである放熱部材。
  2. 銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、
    前記コーティング層は、前記基材と、前記セラミック層の間に、前記金属元素からなる金属層を有する放熱部材。
  3. 前記拡散層の中に銅と前記金属元素からなる合金層を有する請求項1又は請求項2に記載の放熱部材。
  4. 前記金属元素は、銅よりも蒸気圧が低い金属元素である請求項2に記載の放熱部材。
  5. 前記セラミック層の厚みは、0.5μm以上20μm以下である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
  6. 前記基材の体積抵抗率は、2.5μΩ・cm以下である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
  7. 前記金属元素の酸化物は、結晶質である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
  8. 前記コーティング層は、2層からなり、前記基材側の第1コーティング層の熱膨張率は、上層の第2コーティング層の熱膨張率よりも前記基材の熱膨張率に近い請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
  9. 前記第2コーティング層の放射率は、前記第1コーティング層の放射率よりも高い請求項8に記載の放熱部材。
  10. 前記金属元素は、ニッケルであり、
    前記コーティング層は、硫黄成分の含有量が1000ppm以下である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
  11. 前記金属元素は、ニッケルであり、
    前記セラミック層は、平均粒径1μm以下の酸化ニッケル粒子から構成され、かつ平均サイズ1μm以下のマイクロポアを有する請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
  12. 前記金属元素は、ニッケルであり、
    前記拡散層は、銅とニッケルの含有比率が40:60~60:40である銅とニッケルの合金層からなる請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
  13. 請求項1または請求項2に記載の放熱部材の製造方法であって、
    前記基材に、前記コーティング層としての金属めっき層を形成する工程と、前記金属めっき層を熱処理で酸化させて前記セラミック層を形成する工程とを含む放熱部材の製造方法。
  14. 請求項1または請求項2に記載の放熱部材を少なくとも固定側電極棒及び可動側電極棒のどちらか一方の表面に備えた真空バルブ。
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