JP7837469B2 - 放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブ - Google Patents
放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブInfo
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Description
銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、前記金属元素は、亜鉛または、ニッケルである。
また、本開示の放熱部材は、
銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、
前記コーティング層は、前記基材と、前記セラミック層の間に、前記金属元素からなる金属層を有するものである。
また、本開示の放熱部材の製造方法は、
前記基材に、前記コーティング層としての金属めっき層を形成する工程と、前記金属めっき層を熱処理で酸化させて前記セラミック層を形成する工程とを含むものである。
また、本開示の真空バルブは、
前記放熱部材を少なくとも固定側電極棒及び可動側電極棒のどちらか一方の表面に備えるものである。
基材の導電率を低下させることなく、基材とコーティング層の密着性に優れ、かつ放射率が高い放熱部材、放熱部材の製造方法および真空バルブを提供できる。
以下、実施の形態1に係る放熱部材および放熱部材の製造方法について図を用いて説明する。なお、以下の説明および図面の中で、各種の「層」について言及、記載するが、それぞれの「層」は、厳密な境界を有するものではない。
図1は、実施の形態1に係る放熱部材100の断面模式図である。
放熱部材100は、銅の基材2(以下、単に基材2と称す。)と、コーティング層3と、拡散層4とからなる。
図2は、コーティング層3の他の例を示す断面模式図である。
図2に示すように、コーティング層3を材質の異なる2種類のセラミック材料によってコーティング層3A(第1コーティング層)、コーティング層3B(第2コーティング層)の積層構造にしても良い。コーティング層3を2層の積層構造にすることで、基材2側の下層に、上層のコーティング層3Bよりも基材2の熱膨張率に近いコーティング層3Aを形成し、上層にコーティング層3Aよりも放射率の高いコーティング層3Bを形成することが出来る。
図4は、コーティング層3の結晶粒子6の他の例を示す断面模式図である。
コーティング層3であるセラミック層の形態は、放射性能を阻害しない範囲で、図3のように結晶粒子6の多結晶体からなる緻密な膜でも良いし、図4に示すような結晶粒子6間に空隙7(マイクロポア)を多く含むポーラスな膜でも良い。基材2との密着性の観点から、セラミック層の材質に応じて使い分けると良い。基材2との熱膨張率の差異が大きいセラミック層を用いる場合には、密着性を阻害する要因となる熱応力を緩和する目的で、ポーラスなセラミック層が好ましい。
図6は、合金層8の他の例を示す断面模式図である。
さらに基材2とコーティング層3の密着性を向上させる観点から、拡散層4には、銅と、コーティング層3を構成する金属元素の酸化物の金属成分との合金層8が形成されていることがさらに好ましい。合金層8が形成されることで、より強固な化学的な密着力が得られる。このとき、合金層8は、基材2とコーティング層3の界面に、均一な厚みの連続膜で形成されていなくてもよく、部分的に形成されていても良い。
図7に示すように、放熱部材100は、コーティング層3を構成する酸化物層であるセラミック層3Sと基材2との間に、コーティング層3の金属成分と同一の金属成分からなる金属層5が残存して形成されていることがさらに好ましい。金属層5は、コーティング層3を形成するためにメッキ処理した金属の下層部分が、酸化処理時に酸化せずに残存した部分である。
図8は、放熱部材100の製造工程を示すフローチャートである。
まず、銅を所望の形状および寸法に加工し、基材2を作製する(ステップS01)。基材2の形状は、板状、円柱状、フィン形状など、放熱部材としての機能を果たせる形状であれば良い。
次に、めっき層を空気中で熱処理し、酸化処理することでコーティング層3(セラミック層3S)を形成する(ステップS03)。
図9は、放熱部材100の実施例1から実施例5の構成を示す図である。
図10は、放熱部材100の実施例6から実施例8の構成を示す図である。
図11は、比較例1から比較例3の放熱部材の構成を示す図である。
各図に放熱部材の構成として、基材、コーティング層、拡散層の有無、合金層の有無、金属層の有無を示し、性能評価結果として、実施例1に対する相対評価を示している。
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、基材2の表面に電界めっきでニッケルめっき層を厚み0.3μmになるように形成した。
次に、バッチ式の電気炉を用いて、空気中で700℃で40分、熱処理することで、めっき層を酸化し、厚み0.3μmのコーティング層3(全てセラミック層)と合金層8を有する評価用の放熱部材100を得た。
ニッケルめっき層を厚み3μmになるように形成したことと、空気中で700℃で9時間、熱処理したこと、および厚み3μmのコーティング層3(全てセラミック層)を有すること以外は実施例1と同様にした。
ニッケルめっき層を厚み18μmになるように形成したことと、空気中で800℃で13時間、熱処理したこと、および厚み18μmのコーティング層3(全てセラミック層)を有すること以外は実施例1と同様にした。
ニッケルめっき層を厚み25μmになるように形成したことと、空気中で800℃で18時間、熱処理したこと、および厚み25μmのコーティング層3(全てセラミック層)を有すること以外は実施例1と同様にした。
ニッケルめっき層を厚み3μmになるように形成したことと、空気中で500℃で4時間、熱処理したこと、および厚み1.5μmのセラミック層3Sと厚み1.5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み2.5μmのセラミック層3Sと厚み5.5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、基材2の表面に電界めっきで亜鉛めっき層を厚み3μmになるように形成した。
次に、バッチ式の電気炉を用いて、空気中で500℃で12時間、熱処理することで、めっき層を酸化し、厚み3μmのコーティング層3(全てセラミック層)と拡散層4と合金層8を有する評価用の放熱部材100を得た。
亜鉛めっき層を厚み6μmになるように形成したことと、空気中で500℃で7時間、熱処理したこと、および厚み2μmのセラミック層3Sと厚み4μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例7と同様にした。
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、表面にコーティング層を形成せずに、評価用の放熱部材を得た。
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、表面にめっき処理をせずに、バッチ式の電気炉を用いて、空気中で500℃で12時間、熱処理することで評価用の放熱部材を得た。
無酸素銅(C1020)の板材(50mm×50mm×5mm)を基材2として準備し、表面にスパッタ法を用いて、酸化ニッケルターゲットをスパッタすることで、厚み2μmのコーティング層を有する評価用の放熱部材を得た。
(1)放射率
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、放熱性の指標として、表面の放射率を放射率測定装置を用いて測定した。
この放射率の結果は、実施例1の放熱部材100で得られた放射率を基準とする各実施例又は各比較例の放熱部材で得られた放射率の相対値([各実施例又は各比較例の放熱部材で得られた放射率]/[実施例1の放熱部材で得られた放射率]の値)として図9に示した。
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、密着性の指標として、コーティング層3のサイカス強度を測定した。このサイカス強度の結果は、実施例1の放熱部材で得られたサイカス強度を基準とする各実施例又は各比較例の放熱部材で得られたサイカス強度の相対値([各実施例又は各比較例の放熱部材で得られたサイカス強度]/[実施例1の放熱部材で得られたサイカス強度]の値)として図9~図11に示した。
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、四端子法を用いて、基材2の体積抵抗率を評価した。得られた体積抵抗率の値が、未処理の無酸素銅の体積抵抗率(1.65μΩ・cm)と同等の場合は○、10%以上増加した場合は×とした。
上述の実施例1~8及び比較例1~3で得られた放熱部材について、真空加熱炉を用いて、ロウ付け条件を模擬した高真空中(10-3Pa)での熱処理(800℃)を実施し、金属成分の蒸発の有無を調べた。蒸発の有無は、熱処理前後での断面のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)分析および表面のXRD(X-ray Diffraction)分析によって、金属層の元素分布およびXRDパターンに変化が無い場合を蒸発無し、変化がある場合を蒸発有りとして評価した。
銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、前記金属元素は、亜鉛または、ニッケルであるので、基材2の導電率を低下させることなく、基材2とコーティング層3の密着性に優れ、かつ放射率が高い放熱部材を得ることが出来る。また、基材2の酸化を防止できる。
前記基材に、前記コーティング層としての金属めっき層を形成する工程と、前記金属めっき層を熱処理で酸化させて前記セラミック層を形成する工程とを含むので、用途に合わせて最適な厚みのセラミック層3S、金属層5、合金層8を形成できる。
以下、実施の形態2に係る真空バルブについて図を用いて説明する。
図12は、真空バルブ50の断面模式図である。
真空バルブ50は、絶縁筒51、固定側端板52、可動側端板53、固定側電極棒54、可動側電極棒55、ベローズ56、固定側接点57、可動側接点58、コーティング層59を備えている。筐体である真空容器50Aは、円筒状の絶縁筒51と、絶縁筒51の両端部にろう付けによって固着された固定側端板52及び可動側端板53とを含む。絶縁筒51の中間部には、金属製のアークシールド51Aが配置されている。
なお、真空バルブ50の固定側電極棒54と可動側電極棒55とは、表面にコーティング層29を備えているものを説明したが、コーティング層59は、少なくとも固定側電極棒54と可動側電極棒55とのどちらか一方の表面にあればよい。
前記放熱部材を表面に備えた固定側電極棒及び可動側電極棒を備えるので、
放熱性能および耐久性能に優れた真空バルブを提供できる。
以下、実施の形態3に係る放熱部材および放熱部材の製造方法について説明する。なお、以下に記載した構成以外の部分については、実施の形態1と同様の構成が有効に成り立つ。
本実施の形態の放熱部材100を構成する基材2は、熱伝導性及び電気伝導性に優れ、かつコスト的に有利であることから、銅系の材料が好ましく、例えば、純銅のほかに、黄銅、白銅などの銅合金を用いることが出来る。
本実施の形態3の放熱部材100の製造方法は、実施の形態1の放熱部材100の製造方法である図8のフローチャートに準拠しているため、ここでは、異なる部分のみを説明する。
[実施例9]
光沢材であるサッカリンを1mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように、基材2に形成したことと、空気中で700℃で8時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
光沢材であるサッカリンを3mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
光沢材であるサッカリンを5mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
光沢材であるサッカリンを15mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
光沢材であるサッカリンを20mL/L添加しためっき液を用いて、ニッケルめっき層を厚み8μmになるように形成したことと、空気中で700℃で7.5時間、熱処理したこと、および厚み3μmのセラミック層3Sと厚み5μmの金属層5からなるコーティング層3を有すること以外は実施例1と同様にした。
実施例9~13の放熱部材100は、酸化ニッケルのセラミック層3Sおよび、密着性向上に有効な、拡散層4、合金層8、金属層5を全て有しているため、放熱性と基材2との密着性に優れている。さらに、コーティング層3の硫黄含有量が1000ppm以下である実施例9~12は、コーティング層3の基材2に対する密着性が更に優れていることが分かる。
前記金属元素は、ニッケルであり、前記コーティング層は、硫黄成分の含有量が1000ppm以下であるので、
腐食に強いコーティング層を形成できる。
前記セラミック層は、平均粒径1μm以下の酸化ニッケル粒子から構成され、かつ平均サイズ1μm以下のマイクロポアを有するので、
セラミック層の強度を低下させずに、基材との熱膨張差による熱応力を緩和する効果が生まれる。これによって、基材とセラミック層との密着性が向上する。
前記拡散層は、銅とニッケルの含有比率が40:60~60:40である銅とニッケルの合金層からなるので、
合金層が化学的に安定し、セラミック層が厚くなった場合でも、基材との密着性を向上できる。
従って、例示されていない無数の変形例が、本開示に示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
Claims (14)
- 銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、前記金属元素は、亜鉛または、ニッケルである放熱部材。
- 銅を主成分とする基材と、前記基材の表面を覆うコーティング層を有する放熱部材において、前記コーティング層は、銅よりもイオン化傾向が大きい金属元素の酸化物を主成分とするセラミック層を有し、前記基材と前記コーティング層との界面に、前記銅に前記金属元素が拡散した拡散層を有し、
前記コーティング層は、前記基材と、前記セラミック層の間に、前記金属元素からなる金属層を有する放熱部材。 - 前記拡散層の中に銅と前記金属元素からなる合金層を有する請求項1又は請求項2に記載の放熱部材。
- 前記金属元素は、銅よりも蒸気圧が低い金属元素である請求項2に記載の放熱部材。
- 前記セラミック層の厚みは、0.5μm以上20μm以下である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
- 前記基材の体積抵抗率は、2.5μΩ・cm以下である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
- 前記金属元素の酸化物は、結晶質である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
- 前記コーティング層は、2層からなり、前記基材側の第1コーティング層の熱膨張率は、上層の第2コーティング層の熱膨張率よりも前記基材の熱膨張率に近い請求項1または請求項2に記載の放熱部材。
- 前記第2コーティング層の放射率は、前記第1コーティング層の放射率よりも高い請求項8に記載の放熱部材。
- 前記金属元素は、ニッケルであり、
前記コーティング層は、硫黄成分の含有量が1000ppm以下である請求項1または請求項2に記載の放熱部材。 - 前記金属元素は、ニッケルであり、
前記セラミック層は、平均粒径1μm以下の酸化ニッケル粒子から構成され、かつ平均サイズ1μm以下のマイクロポアを有する請求項1または請求項2に記載の放熱部材。 - 前記金属元素は、ニッケルであり、
前記拡散層は、銅とニッケルの含有比率が40:60~60:40である銅とニッケルの合金層からなる請求項1または請求項2に記載の放熱部材。 - 請求項1または請求項2に記載の放熱部材の製造方法であって、
前記基材に、前記コーティング層としての金属めっき層を形成する工程と、前記金属めっき層を熱処理で酸化させて前記セラミック層を形成する工程とを含む放熱部材の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の放熱部材を少なくとも固定側電極棒及び可動側電極棒のどちらか一方の表面に備えた真空バルブ。
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