JP7838752B2 - ガラスヤーン、ガラスクロス及びガラスヤーンの製造方法 - Google Patents
ガラスヤーン、ガラスクロス及びガラスヤーンの製造方法Info
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Description
項1.複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiO2を40~60質量%、B2O3を15~35質量%含み、前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%である、ガラスヤーン。
項2.前記ガラスヤーンの撚り数が0.3~1.2回/25mmである、項1に記載のガラスヤーン。
項3.項1又は2に記載のガラスヤーンを経糸及び/又は緯糸として製織されてなるガラスクロス。
項4.投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、前記溶融部の下部に設けられるノズルプレートと、前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、を備えるブッシングを用いて、ガラスフィラメントを製造する工程を含む、項1又は2に記載のガラスヤーンの製造方法であって、前記溶融部が、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域とを含み、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域の温度Tinと前記ノズルプレート付近の温度Toutの差(Tout-Tin)を10~200℃としてガラスフィラメントを製造する、項1又は2に記載のガラスヤーンの製造方法。
本発明のガラスヤーンは、複数のガラスフィラメントが集束されてなり、該ガラスフィラメントはSiO2を40~60質量%、B2O3を15~35質量%含むガラス材料から構成される。
ガラスフィラメントを構成するガラス材料において、SiO2は、ガラスの網目構造を形成する必須成分である。SiO2は誘電率を低くする作用を有し、SiO2の含有率が40%以上とすることにより低誘電率のガラスヤーンとすることができる。一方、当該含有率を60%以下とすることにより、溶融ガラスの粘性を適度なものとすることができ、ガラスフィラメントを紡糸する際に均質なガラス組成物としやすくなる。これらの観点から、SiO2の含有率は、45~55質量%が好ましく、45~53質量%がより好ましく、45~49質量%がさらに好ましい。
B2O3は、ガラスの網目構造を形成する必須成分である。B2O3は誘電率を下げる作用を有するとともに、溶融ガラスの粘性を下げ、脱泡性(泡抜け性)を向上させ、形成したガラスフィラメントにおける気泡の混入を抑制する作用を有する。B2O3の含有率が15%以上とすることにより、低誘電率のガラスヤーンとすることができ、また、ガラス溶融時の溶融ガラスの粘性を低くして、平均繊維径が3~6μmのガラスフィラメントを得ることが可能となる。一方、当該含有率を35質量%以下とすることにより、ガラスフィラメントを紡糸する際に均質なガラス組成物としやすくなる。これらの観点から、B2O3の含有率は、15~30質量%が好ましく、20~30質量%がより好ましく、25~30質量%がさらに好ましい。
ガラスヤーンの誘電率を低くすることと、ガラスフィラメントにおける気泡の混入と、ガラスフィラメントにおけるガラス組成物の均質性と、をより並立させる観点から、SiO2とB2O3との比(SiO2/B2O3)は、1.5~1.9が好ましく、1.7~1.8がより好ましい。
Al2O3は、ガラスの網目構造を形成する成分である。Al2O3は、ガラス組成物の化学的耐久性を高める作用を有する。一方で、Al2O3は、紡糸時におけるガラス組成物の失透を起こりやすくする。Al2O3の含有率は、5~18質量%が好ましく、8~18質量%がより好ましく、12~16質量%がさらに好ましい。
MgOは、溶融時におけるガラス組成物の粘性を下げてガラス繊維への泡の混入を抑制し、ガラス組成物としての均質性を向上させる任意成分である。MgOの含有率は0~10質量%、好ましくは1~8質量%、さらに好ましくは1~6質量%である。
CaOは、ガラス原料の溶解性を向上させ、溶融時におけるガラス組成物の粘性を下げる任意成分であるがガラス組成物の誘電率を増加させてしまう効果が大きい。よって、CaOの含有率は0~10質量%、好ましくは3~8質量%、特に4~7質量%がさらに好ましい。
Li2Oは、少量の添加であっても溶融時におけるガラス組成物の粘性を下げてガラス繊維への泡の混入を抑制する作用を有し、さらには失透を抑制する作用も有する任意成分である。Li2Oは、他のアルカリ金属酸化物よりもその作用は相対的に弱いものの、ガラス組成物の誘電率を上昇させる。Li2Oの含有率は、1.5%質量以下、1%質量以下、0.5質量%以下が好ましい。
Fe2O3は、その熱線吸収作用によってガラス原料の溶解性を向上させると共に、溶融時におけるガラス組成物の均質性を向上させる任意成分である。Fe2O3による均質性向上の効果により、形成するガラス繊維の繊維径が小さい場合においても、紡糸時におけるガラス繊維の糸切れの発生が抑制され、紡糸操業性が向上する。Fe2O3の含有率は、0.01~0.50質量%、特に好ましくは0.05~0.30質量%である。
本発明のガラスヤーンは、前述したガラス材料から構成されるガラスフィラメントが集束されてなる。
(測定条件)
測定モード:ノーマル
給糸速度:200m/分
測定糸長:500m
ツイスター:Z撚 12000ターン/分
ディスクテンション強さ:10%
本発明のガラスクロスは、本発明のガラスヤーンを経糸及び/又は緯糸として製織されてなることが好ましく、本発明のガラスヤーンを経糸及び緯糸として製織されたものであることがより好ましい。
本発明のガラスヤーンの製造方法は、投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、前記溶融部の下部に設けられるノズルプレートと、前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、を備えるブッシングを用いて、ガラスフィラメントを製造する工程を含み、前記溶融部が、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域とを含み、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域の温度Tinと前記ノズルプレート付近の温度Toutの差(Tout-Tin)を10~200℃としてガラスフィラメントを製造することを主な特徴とする。以下、本発明のガラスヤーンの製造方法について詳述する。まず、本発明のガラスヤーンとするガラスストランド(ガラスフィラメント束)を製造するガラスフィラメント束製造装置の概略について説明し、その後に、本発明のガラスヤーンの製造方法の主な特徴部分について説明する。
図1は、本発明のガラスヤーンとするガラスストランド(ガラスフィラメント束)を製造するガラスフィラメント束製造装置の一例を示す模式的側面図であり、図2は図1のガラスフィラメント束製造装置の上面図である。
図1に示すように、ブッシング100は、投入されたガラス原料を溶融する領域である溶融部20と、溶融された溶融ガラスを吐出する複数のノズル40が形成されたノズルプレート30とを備えている。
溶融部20は、第1領域21、第2領域23を備える。投入口10は、第1領域21に含まれ、上下方向に貫通する筒体により形成されており、第1領域21の上端部に設けられている。また、投入口10は、上面視において例えば第2領域23よりも小さく形成されており、これによって、投入口10による溶融部20の開口を小さくすることができ、溶融部20内の温度の過度な低下を抑制できる。第1領域21、第2領域23は、投入口10から投入されたガラス原料を溶融する筐体を備えている。この筐体は、図2に示すように、左右方向に対向する1組の側壁101a、101bと、前後方向に対向する101c、101dと、上部壁102とが組み合わされ、下部にノズルプレート30が配置されることで、内部空間を有する概ね直方体状に形成されている。そして、この溶融部20は、後述する耐火材料で形成されている。また、図1に示すように溶融部20の内部空間には、上から下方に並ぶ、後述の仕切り部材50が配置されており、内部空間は、仕切り部材50により、上から順に、第1領域21、第2領域23に仕切られている。そして、第1領域は、上下方向において、ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域(固形ガラス原料存在領域)27と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29とを含む。また、この溶融部20には、ガラス原料を溶融するための加熱手段70が設けられている。なお、図1では、溶融ガラスをGL、少なくとも一部が固形のまま存在するガラス原料をGSとして示している。以下、溶融部20を構成する部材について、詳細に説明する。
図1に示すように、仕切り部材50は、第1領域21と第2領域23との間に配置されている。図3に示すように、仕切り部材50は、直方体状の溶融部20の形状に対応して、長方形状の板状に形成されている。仕切り部材50は、板状面が左右方向に沿うように、例えば溶接等により溶融部20の側壁101a~101dに取り付けられている。この仕切り部材50は、図1、図3に示すように、側面視において、ノズルプレート30と平行にとなるように設置されていてもよいが、場合によっては上下方向に対してV字、W時、U字、逆V字、逆W字形状等になるよう設置していてもよい。また、仕切り部材は1枚以上設置してもよく、好ましくは1~2枚設置してもよい。3枚以上設置すると溶融炉内の圧力損失が大きくなりすぎることから3枚未満の設置が好ましい。また、同じ開口形状の仕切り板を複数枚設置してもよく、異なる開口形状の仕切り板を複数枚設置してもよい。
図1に示すように、溶融部20の第2領域23の底部には、ノズルプレート30が設けられている。図4、図5に示すように、ノズルプレート30は、直方体状の溶融部20の形状に対応して、長方形状の板状に形成され所定の厚みを有する板状部31と、板状部31から下方に突出する複数のノズル40とを有している。板状部31は、板状面が左右方向に沿うように、例えば溶接等により溶融部20の側壁101a~101dに取り付けられており、溶融部20の底壁を構成している。
次にノズル40から溶融ガラスを吐出させてガラスフィラメントを紡糸する紡糸装置200について説明する。紡糸装置200は、ノズル40から吐出したガラスフィラメントに集束剤を塗布する集束剤トレイ201と、ガラスフィラメントを所定数のガラスフィラメント束に束ねる集束機構202と、ガラスフィラメント束を綾振りする綾振り機構206と、ガラスフィラメント束を巻き取る巻取りローラ211とを備えている。
次に、ブッシング100にガラス原料が投入されてから、ノズル40からガラスフィラメントが吐出され、紡糸装置200で巻き取られるまでの流れについて説明する。まず、ブッシング100の溶融部20の第1領域21には、投入口10から次々とガラス原料が投入され、ガラス原料が溶融される。そのため、第1領域21は、上下方向において、ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域(固形ガラス原料存在領域)27と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29とを含む。溶融部20には、加熱手段70(70a、70b)により電圧が印加されており、溶融部20の第1領域21の、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29は、ガラス材料の軟化点以上の温度、好ましくはノズル温度以上の温度、より好ましくはノズル温度以上の温度であって、かつ、ガラス材料の粘性を400ポイズ以下とする温度、さらに好ましくはノズル温度以上の温度であって、溶融ガラスの粘性を100ポイズ以下とする温度が挙げられ、例えば、1500℃以上1700℃以下、好ましくは1500℃以上1650℃以下、より好ましくは1550℃以上1630℃以下に加熱されている。なお、本発明において、溶融温度とは、ブッシング100内における溶融ガラスが最も高くなる温度である。
ガラス原料を溶融するため、少なくともブッシング100のうち溶融部20は、耐火材料で形成されている。耐火材料としては、例えば、白金元素単体からなる金属;ロジウム元素単体からなる金属;パラジウム元素単体からなる金属;金元素単体からなる金属;白金元素を含む金属化合物;ロジウム元素を含む金属化合物;パラジウム元素を含む金属化合物;金元素を含む金属化合物;白金元素、ロジウム元素、パラジウム元素及び金元素からなる群より選ばれる2種以上からなる合金;並びに耐火煉瓦からなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、その他、モリブデン、黒鉛、酸化スズ、セラミック、アルミナ、酸化クロム、マグネシア、ジルコン、ジルコニア、酸化
イットリウムからなる群から選択される少なくとも1つが含まれる。また、耐火材料としては、上記に記載した材料の組み合わせも含まれ、例えば、複数の材料による合金を耐火材料として用いてもよい。また、複数の耐火材料を各層として組み合わせてもよく、例えば、耐火煉瓦を外壁とする炉において、その内壁に白金又は白金-ロジウム合金等の板材や被膜が形成されてもよい。
ブッシング100に投入されるガラス原料には、固形ガラス等が含まれる。また、固形ガラスは、粉末等のガラス原料を溶融して、例えば棒状、球状(マーブル)、フレーク状、鱗片状等の所定の形状に成形したガラスである。
本発明のガラスヤーンの製造方法では、間接法によるガラスフィラメント紡糸時において、ブッシング100の固形ガラス原料存在領域27の温度(Tin)とガラスフィラメントが紡出されるノズルプレート30付近の温度(Tout)との差((Tout)-(Tin))を特定の温度範囲となるように制御して紡糸することが重要である。
各実施例、比較例において、図1~6に記載のガラスフィラメント製造装置を用い、間接法によりガラスストランドを得た。なお、各実施例、比較例において、上部壁102の上に保温材として多孔質セラミックの板を設置し、当該多孔質セラミックの板の厚さを表1のようにして、Tout-Tinを制御した。また、各実施例、比較例において、ガラスフィラメントを構成するガラス材料の組成は、表1に記載のとおりであった。また、図6に示すように、ブッシング100の固形ガラス原料存在領域)27の温度Tinは熱電対81により測定し、ガラスフィラメントが紡出されるノズルプレート付近の温度Toutは熱電対82により測定し、第1領域21のガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域29の温度(溶融温度、Tm)は熱電対83により測定し、制御した。各実施例、比較例におけるTout-Tin、Tm-Tin、Tm-Toutについて、表1に示す。
1.ガラスフィラメントの平均繊維径
得られたガラスヤーンをその断面が観察可能なようにエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製商品名3091)に包埋して硬化させ、観察可能となるように研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM-6390A)を用い、倍率1000倍で観察し、ガラスヤーンを構成する全ガラスフィラメントの直径(最も大きい部分)を測定して平均値を算出し、当該平均値をガラスフィラメントの平均繊維径とした。結果を表1に示す。
JIS R 3420 2013の「ガラス繊維一般試験方法」の「7.1 番手」に規定されている方法に準じて、測定した。結果を表1に示す。
ツェルベガーウースター社製ウースターテスター型番4-CX-R1.7を用い、下記の測定条件にて測定した。結果を表1に示す。
(測定条件)
測定モード:ノーマル
給糸速度:200m/分
測定糸長:500m
ツイスター:Z撚 12000ターン/分
ディスクテンション強さ:10%
JIS R 3420:2013 7.5に準じて測定した。結果を表1に示す。
ホローファイバーの個数について、実施例1~3、5及び比較例1~4については、ガラスヤーンの長手方向に、長さ1cmずつ任意に100か所切り出し、測定サンプルを採取した。また、実施例4については、ガラスヤーンの長手方向に、長さ1cmずつ任意に200か所切り出し、測定サンプルを採取した。次いで、切り出した長さ1cmの各サンプルを、それぞれベンジルアルコールに浸し、ガラスヤーン中のガラスフィラメントを1本1本が観察可能となるように横並びとなるようにほぐし、上から光源LEDを照射し、光学顕微鏡を用いて倍率10倍で観察し、ホローファイバーの個数(個/10000か所)をカウントした。結果を表1に示す。
各ガラスヤーンパッケージを軸方向が水平方向に向くようにセットし、円筒状ボビンの
先端部(図1でいうつかみ部21の先端部)から250mmの位置にスネイルガイドをセ
ットし、スネイルガイドの先に取り付けたセラミック製パイプガイドと摩擦させ、さらにスネイルガイドの先に長さ1.5mm以上の毛羽数をカウントするセンサーをセットし、ガラスヤーンをつかみ部21の先端部の方向へ糸速300m/minで20km解舒して、毛羽数を測定した。1km当たりの毛羽数が4.0個以下を合格とした。
70:加熱手段
100:ブッシング
200:紡糸装置
300:ガラスフィラメント束製造装置
Claims (1)
- 複数のガラスフィラメントが集束されてなるガラスヤーンであって、
前記ガラスフィラメントを構成するガラス材料が、SiO2を40~60質量%、B2O3を15~35質量%含み、
前記ガラスフィラメントの本数が30~120本であり、
前記ガラスフィラメントの平均繊維径が3~6μmであり、
前記ガラスヤーンの番手が0.3~6texであり、
前記ガラスヤーンのウースター斑が0.5~2.0%である、ガラスヤーンの製造方法であって、
投入されたガラス原料を溶融して溶融ガラスを生成する溶融部と、
前記溶融部の下部に設けられるノズルプレートと、
前記溶融部及び前記ノズルプレートを加熱する加熱手段と、を備えるブッシングを用いて、ガラスフィラメントを製造する工程を含み、
前記溶融部が、前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域と、ガラス原料が完全に溶融され、固形のガラス原料が存在しない領域とを含み、
前記ガラス原料が完全に溶融されず、固形のまま存在する領域の温度T in と前記ノズルプレート付近の温度T out の差(T out -T in )を10~200℃としてガラスフィラメントを製造する、ガラスヤーンの製造方法。
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