JP7839405B2 - 鋼歯車及び鋼歯車の製造方法 - Google Patents
鋼歯車及び鋼歯車の製造方法Info
- Publication number
- JP7839405B2 JP7839405B2 JP2022129155A JP2022129155A JP7839405B2 JP 7839405 B2 JP7839405 B2 JP 7839405B2 JP 2022129155 A JP2022129155 A JP 2022129155A JP 2022129155 A JP2022129155 A JP 2022129155A JP 7839405 B2 JP7839405 B2 JP 7839405B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel
- hardened layer
- carburized hardened
- crystal orientation
- intermediate product
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
前記浸炭硬化層以外の部分である芯部とを含み、
前記浸炭硬化層において、前記歯面の法線方向及び前記歯の歯すじ方向を含む断面のうち、前記歯面から深さ10μm、前記歯すじ方向の長さ50μmの領域を最表層矩形域と定義したとき、
前記浸炭硬化層の少なくとも一部では、
前記最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である、
鋼歯車。
複数の歯の歯面を含む表層に形成されている浸炭硬化層と、前記浸炭硬化層以外の部分である芯部とを備え、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である、中間品を準備する中間品準備工程と、
前記中間品の複数の前記歯と噛み合い前記中間品の前記歯の歯面よりも硬い歯面を有する複数の工具歯を含む鋼歯車工具を、前記中間品に噛み合わせ、かつ、前記中間品に8.5~15.0GPaで押し当てながら回転させることにより、前記工具歯を前記中間品の前記歯の歯すじ方向に摺動させて前記浸炭硬化層の最表層を塑性変形させ、前記浸炭硬化層の少なくとも一部で、前記最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率を7.0%以上とする、最表層結晶方位調整工程とを備える、
鋼歯車の製造方法。
複数の歯の歯面を含む表層に形成されている浸炭硬化層と、
前記浸炭硬化層以外の部分である芯部とを含み、
前記浸炭硬化層において、前記歯面の法線方向及び前記歯の歯すじ方向を含む断面のうち、前記歯面から深さ10μm、前記歯すじ方向の長さ50μmの領域を最表層矩形域と定義したとき、
前記浸炭硬化層の少なくとも一部では、
前記最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である、
鋼歯車。
[1]に記載の鋼歯車であって、
前記{203}結晶方位の面積率が10.0%以上である、
鋼歯車。
[1]に記載の鋼歯車であって、
前記{203}結晶方位の面積率が12.5%以上である、
鋼歯車。
[1]~[3]のいずれか1項に記載の鋼歯車の製造方法であって、
複数の歯の歯面を含む表層に形成されている浸炭硬化層と、前記浸炭硬化層以外の部分である芯部とを備え、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である、中間品を準備する中間品準備工程と、
前記中間品の複数の前記歯と噛み合い前記中間品の前記歯の歯面よりも硬い歯面を有する複数の工具歯を含む鋼歯車工具を、前記中間品に噛み合わせ、かつ、前記中間品に8.5~15.0GPaで押し当てながら回転させることにより、前記工具歯を前記中間品の前記歯の歯すじ方向に摺動させて前記浸炭硬化層の最表層を塑性変形させ、前記浸炭硬化層の少なくとも一部で、前記最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率を7.0%以上とする、最表層結晶方位調整工程とを備える、
鋼歯車の製造方法。
[4]に記載の鋼歯車の製造方法であって、
前記中間品準備工程は、
鋼材を加工する加工工程と、
加工された前記鋼材に対して浸炭処理及び焼戻しを実施して、前記鋼材の表層に前記浸炭硬化層を形成し、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%とする熱処理工程とを含む、
鋼歯車の製造方法。
[5]に記載の鋼歯車の製造方法であって、
前記中間品準備工程はさらに、
前記熱処理工程後の前記鋼材の前記浸炭硬化層の表面粗さを調整して、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmである前記中間品を製造する表面粗さ調整工程を含む、
鋼歯車の製造方法。
図1は、本実施形態の鋼歯車の模式図である。図1を参照して、鋼歯車1は、複数の歯GTを備える。複数の歯GTは、回転軸Cの周囲に配列されている。
鋼歯車1は、鋼からなる。鋼歯車1を構成する鋼の化学組成は特に限定されない。鋼歯車1を構成する鋼の化学組成は例えば、90.0%以上のFeを含有する。鋼歯車1を構成する鋼の化学組成は例えば、90.0%以上のFeと、0.05~0.28%のCと、0.10~2.00%のSiと、0.30~2.00%のMnとを含有する。
静止摩擦係数変化率=当該鋼歯車の静止摩擦係数/従来の鋼歯車の静止摩擦係数×100
また、図4Bは、鋼歯車1の浸炭硬化層の最表層矩形域20での{203}結晶方位の面積率と、従来の鋼歯車の動摩擦係数に対する動摩擦係数の比である、動摩擦係数変化率(%)との関係を示す図である。動摩擦係数変化率は次の式で定義される。
動摩擦係数変化率=当該鋼歯車の動摩擦係数/従来の鋼歯車の動摩擦係数×100
図4A及び図4Bは、後述のブロックオンリング試験により得られた静止摩擦係数変化率及び動摩擦係数変化率を用いて作成した。
鋼歯車1の浸炭硬化層の最表層矩形域20での法線N20の結晶方位解析により得られた{203}結晶方位の面積率は、電子線後方散乱回折(EBSD:Electron Back Scatter Diffraction)を用いて、次の方法により求める。
以上の構成を有する鋼歯車1において、浸炭硬化層の少なくとも一部では、最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である。そのため、鋼歯車1の当該部分での摩擦係数(静止摩擦係数及び動摩擦係数)が低い。そのため、鋼歯車1が使用されるエンジンやパワートレイン等の動力源での摩擦損失を低減でき、燃費の向上に寄与することができる。
図1では、鋼歯車1の一例として、平鋼歯車を示した。しかしながら、鋼歯車1は平鋼歯車に限定されない。鋼歯車1は例えば、歯すじが回転軸Cに対して公差する、はすば鋼歯車、ねじ鋼歯車、やまば鋼歯車であってもよい。鋼歯車1はまた、円錐面上に歯が配列される傘鋼歯車であってもよい。傘鋼歯車は例えば、すぐば傘鋼歯車、はすば傘鋼歯車、ハイボイド鋼歯車等である。鋼歯車1はさらに、内ば鋼歯車であってもよい。
本実施形態による鋼歯車1の製造方法の一例を説明する。以降に説明する鋼歯車1の製造方法は、本実施形態による鋼歯車1を製造するための一例である。したがって、上述の構成を有する鋼歯車1は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。しかしながら、以降に説明する製造方法は、本実施形態による鋼歯車1の製造方法の好ましい一例である。
(工程1)中間品準備工程
(工程2)最表層結晶方位調整工程
以下、各工程について説明する。
中間品準備工程では、中間品を準備する。中間品は最終製品である鋼歯車に近い形状を有する。具体的には、中間品は、複数の歯の歯面を含む表層に形成されている浸炭硬化層と、芯部とを含む。中間品は第三者から提供されたものでもよい。また、中間品を製造して準備してもよい。
(A)JIS B 0601:2013に準拠した浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmである。
(B)浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である。
中間品の浸炭硬化層の表面粗さは、後述の最表層結晶方位調整工程での鋼歯車1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率に影響する。中間品の浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05μm未満であれば、中間品が構成(B)を有していても、最表層結晶方位調整工程後の鋼歯車1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率が7.0%未満となる。したがって、中間品の浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaを0.05μm以上とする。
中間品の浸炭硬化層中の残留オーステナイトの体積率は、鋼歯車1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率に影響する。残留オーステナイトの体積率が10.0%未満、又は、40.0%を超えれば、最表層結晶方位調整工程を実施しても、鋼歯車1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率が7.0%未満となる。したがって、構成(A)を有する中間品の浸炭硬化層中の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%とする。この場合、最表層結晶方位調整工程を実施することにより、鋼歯車1の最表層矩形域20の{203}結晶方位の面積率を7.0%以上とすることができる。
(工程11)加工工程
(工程12)熱処理工程
(工程13)表面粗さ調整工程
以下、各工程について説明する。
加工工程では、鋼歯車の素材となる鋼材を加工して、鋼材を、最終製品である鋼歯車の形状に近い形状とする。
熱処理工程では、加工された鋼材に対して熱処理を実施して、中間品の表層に浸炭硬化層を形成する。具体的には、加工された鋼材に対して、浸炭処理及び焼戻しを実施する。本製造工程例での浸炭処理は、浸炭工程と、焼入れ工程とを含む。つまり、熱処理工程は、次の工程を含む。
(工程121)浸炭工程
(工程122)焼入れ工程
(工程123)焼戻し工程
熱処理工程を実施することにより、中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%に調整する。以下、各工程について説明する。
浸炭工程では、ガス浸炭処理、ガス浸炭窒化処理、真空浸炭処理、真空浸炭窒化処理のいずれかを実施する。浸炭工程により、中間品の表層のC濃度を、芯部のC濃度よりも高める。以降の説明では、ガス浸炭処理とガス浸炭窒化処理を合わせて、「ガス浸炭処理」と称する。また、真空浸炭処理と真空浸炭窒化処理とを合わせて、「真空浸炭処理」と称する。
ガス浸炭処理の浸炭工程は、時系列順に、加熱工程、ガス浸炭工程、拡散工程を含む。
真空浸炭処理の浸炭工程は、時系列順に加熱工程、真空浸炭工程、拡散工程を含む。
焼入れ工程は、浸炭工程後に実施される。焼入れ工程では、浸炭工程後の鋼材に対して、周知の焼入れを実施する。具体的には、焼入れ工程では、浸炭工程後の鋼材をAr3点以上の焼入れ温度で保持する。その後、鋼材を急冷して焼入れする。
焼戻し工程は、焼入れ工程後に実施される。焼戻し工程では、焼入れ工程後の鋼材に対して、周知の焼戻しを実施する。焼戻し温度は例えば、100~200℃である。焼戻し温度での保持時間は例えば、90~150分である。
表面粗さ調整工程では、熱処理工程後の鋼材に対して、切削加工を実施したり、研削加工を実施したり、ショットピーニングを実施したりして、中間品の浸炭硬化層の表面粗さを所定の粗さに調整する。具体的には、表面粗さ調整工程では、最表層結晶方位調整工程前の中間品の浸炭硬化層の表面での算術平均粗さRaを0.05~2.00μmの範囲に調整する。算術平均粗さRaの好ましい下限は0.10μmであり、さらに好ましくは0.15μmであり、さらに好ましくは0.20μmであり、さらに好ましくは0.25μmである。算術平均粗さRaの好ましい上限は、1.50μmである。なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2013に準拠して測定される。
中間品の残留オーステナイトの体積率、及び、中間品の表面の算術平均粗さRaは、次の方法で測定できる。
中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を、X線回折法により求める。具体的には、中間品から、浸炭硬化層を含むサンプルを採取する。サンプルの浸炭硬化層の表面に対してX線回折を実施して、bcc構造の(211)面と、fcc構造の(220)面の回折ピークの積分強度比を得る。得られた回折強度比に基づいて、残留オーステナイトの体積率(%)を求める。光源にはCr管球を使用する。光源の電圧は40kV、電流値は40mAとする。
中間品の浸炭硬化層表面の算術平均粗さRaを、JIS B 0601:2013に規定された測定方法に準拠して測定する。具体的には、中間品の浸炭硬化層の表面において、任意の10箇所を測定箇所とする。測定箇所において、軸方向Lに延びる評価長さで、算術平均粗さRaを測定する。基準長さ(カットオフ波長)は、算術平均粗さRaが0.02~0.10μmの場合は0.25mmとし、算術平均粗さRaが0.10超~2.00μmの場合は0.80mmとする。さらに、評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とする。算術平均粗さRaの測定は、触針式の粗さ計を用いて行い、測定速度は、0.2mm/secとする。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、算術平均粗さRa(μm)と定義する。
最表層結晶方位調整工程では、JIS B 0601:2013に準拠した浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である中間品の浸炭硬化層の最表層矩形域において、最表層矩形域の法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率を高める。
(C)表層塑性加工において、8.5~15.0GPaの圧力で鋼歯車工具32を中間品100に押し当てる。以下、上記圧力を「押圧力」という。
一方、押圧力が高すぎれば、鋼歯車1の表面に割れが発生する場合がある。そのため、押圧力の上限は15.0GPaである。
したがって、本実施形態では、押圧力を8.5~15.0GPaとする。
ガス浸炭処理を次の条件で実施した。鋼材を熱処理炉に装入し、930℃で60分均熱した。その後、ガス浸炭工程を実施した。具体的には、930℃の浸炭温度で100分保持した。このとき、カーボンポテンシャルCp1及びCp2を0.6~1.2で調整した。ガス浸炭工程後、拡散工程を実施した。拡散工程では、ガス浸炭工程と同じ浸炭温度で60分保持した。カーボンポテンシャルCp1及びCp2を上記の範囲で調整して、中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を調整した。
真空浸炭処理を次の条件で実施した。鋼材を熱処理炉に装入し、930℃で60分均熱した。その後、炉内を1kPaまで減圧した。減圧後、真空浸炭工程を実施した。具体的には、炉内にアセチレンガスを導入しながら、930℃の浸炭温度で20~120分保持した。真空浸炭工程後、拡散工程を実施した。拡散工程では、アセチレンガスの導入を停止した状態で、減圧下において930℃で60~150分保持した。以上の工程において、真空浸炭工程の保持時間、及び、拡散工程の保持時間を調整して、中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を調整した。
表面粗さ調整工程後の各試験番号の中間品の残留オーステナイトの体積率及び表面の算術平均粗さRaを次の方法で求めた。
中間品の浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を、X線回折法により求めた。具体的には、各試験番号の中間品から、浸炭硬化層を含むサンプルを採取した。サンプルの浸炭硬化層の表面に対してX線回折を実施して、bcc構造の(211)面と、fcc構造の(220)面の回折ピークの積分強度比を得た。得られた回折強度比に基づいて、残留オーステナイトの体積率(%)を求めた。なお、X線回折には、株式会社リガク製の商品名:RINT-2500HL/PCを使用した。また、光源にはCr管球を使用した。光源の電圧は40kV、電流値は40mAとした。得られた残留オーステナイトの体積率を表2の「残留γ(体積%)」欄に示す。
各試験番号の中間品の浸炭硬化層表面の算術平均粗さRaを、JIS B 0601:2013に規定された測定方法に準拠して測定した。具体的には、中間品の浸炭硬化層の表面において、任意の10箇所を測定箇所とした。測定箇所において、軸方向Lに延びる評価長さで、算術平均粗さRaを測定した。基準長さ(カットオフ波長)は、算術平均粗さRaが0.02~0.10μmの場合は0.25mmとし、算術平均粗さRaが0.10超~2.00μmの場合は0.80mmとした。さらに、評価長さは、基準長さ(カットオフ波長)の5倍とした。算術平均粗さRaの測定は、触針式の粗さ計を用いて行い、測定速度は、0.2mm/secとした。求めた10個の算術平均粗さRaのうち、最大の算術平均粗さRa、2番目に大きい算術平均粗さRa、最小の算術平均粗さRa、及び、2番目に小さい算術平均粗さRaを除いた、6個の算術平均粗さRaの算術平均値を、算術平均粗さRaと定義した。
各試験番号の鋼歯車に対して、次の評価試験を実施した。
各試験番号の鋼歯車の浸炭硬化層において、歯面の法線方向及び歯の歯すじ方向を含む断面のうち、歯面を含み、歯面から深さが10μm、歯すじ方向の長さが50μmの最表層矩形域を含む試験片を採取した。試験片の複数の表面のうち、最表層矩形域を含む表面を観察面と定義した。
各試験番号の鋼歯車に対して、ブロックオンリング試験を実施して、最大静止摩擦係数を求めた。
工程1:
ブロック試験片300の上方から下方に向かって100Nの荷重Pで、ブロック試験片
300をリング試験片203の周面に押し付けた。
工程2:
潤滑油202を、ブロック試験片300の接触面と、リング試験片203の周面との間から排出させるため、工程1の状態で30秒保持した。
工程3:
すべり速度0.1m/秒(55rpm)で、リング試験片203の回転を開始し、その後、30秒回転させた。
工程4:
30秒回転させた後、荷重Pを除荷した。その後、リング試験片203の回転を停止した。
F=μP
得られた摩擦係数μと試験時間との関係を求めた。図7は、2回目以降の回転試験の摩擦係数のグラフの一例を示す図である。図7のグラフの横軸は時間、縦軸は摩擦係数である。図7を参照して、リング回転時の摩擦係数のピーク(図中の丸領域内)を、静止摩擦係数と定義した。2回目~10回目の試験で得られた静止摩擦係数の算術平均値を、各試験番号の静止摩擦係数(-)と定義した。
静止摩擦係数変化率=対応の試験番号の静止摩擦係数/基準鋼歯車の静止摩擦係数×100
各試験番号の鋼歯車に対して、静止摩擦係数測定試験と同様のブロックオンリング試験を実施して、動摩擦係数を求めた。
工程1:
すべり速度1.0m/秒(550rpm)で、リング試験片203の回転を開始した。
工程2:
ブロック試験片300の上方から下方に向かって300Nの荷重Pで、ブロック試験片
300をリング試験片203の周面に押し付けた。
工程3:
300秒回転させた後、荷重Pを除荷した。その後、リング試験片203の回転を停止した。
F=μP
300秒間の回転中に得られた摩擦係数μのピークを除いた算術平均値を、各試験番号の動摩擦係数(-)と定義した。
動摩擦係数変化率=対応の試験番号の動摩擦係数/基準鋼歯車の動摩擦係数×100
試験番号1~20は、最表層結晶方位調整工程前の中間品の浸炭硬化層の算術平均粗さRa、及び、浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が適切であった。さらに、最表層結晶方位調整工程での押圧力が適切であった。そのため、製造された鋼歯車の最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率は、7.0%以上であった。静止摩擦係数変化率が90.0%未満と低く、さらに、動摩擦係数変化率も80.0%未満と低く、摩擦係数が十分に低減された。
Claims (6)
- 複数の歯の歯面を含む表層に形成されている浸炭硬化層と、
前記浸炭硬化層以外の部分である芯部とを含み、
前記浸炭硬化層において、前記歯面の法線方向及び前記歯の歯すじ方向を含む断面のうち、前記歯面から深さ10μm、前記歯すじ方向の長さ50μmの領域を最表層矩形域と定義したとき、
前記浸炭硬化層の少なくとも一部では、
前記最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率が7.0%以上である、
鋼歯車。 - 請求項1に記載の鋼歯車であって、
前記{203}結晶方位の面積率が10.0%以上である、
鋼歯車。 - 請求項1に記載の鋼歯車であって、
前記{203}結晶方位の面積率が12.5%以上である、
鋼歯車。 - 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の鋼歯車の製造方法であって、
複数の歯の歯面を含む表層に形成されている浸炭硬化層と、前記浸炭硬化層以外の部分である芯部とを備え、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmであり、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率が10.0~40.0%である、中間品を準備する中間品準備工程と、
前記中間品の複数の前記歯と噛み合い前記中間品の前記歯の歯面よりも硬い歯面を有する複数の工具歯を含む鋼歯車工具を、前記中間品に噛み合わせ、かつ、前記中間品に8.5~15.0GPaで押し当てながら回転させることにより、前記工具歯を前記中間品の前記歯の歯すじ方向に摺動させて前記浸炭硬化層の最表層を塑性変形させ、前記浸炭硬化層の少なくとも一部で、前記最表層矩形域での法線方向の結晶方位解析により得られる{203}結晶方位の面積率を7.0%以上とする、最表層結晶方位調整工程とを備える、
鋼歯車の製造方法。 - 請求項4に記載の鋼歯車の製造方法であって、
前記中間品準備工程は、
鋼材を加工する加工工程と、
加工された前記鋼材に対して浸炭処理及び焼戻しを実施して、前記鋼材の表層に前記浸炭硬化層を形成し、前記浸炭硬化層の残留オーステナイトの体積率を10.0~40.0%とする熱処理工程とを含む、
鋼歯車の製造方法。 - 請求項5に記載の鋼歯車の製造方法であって、
前記中間品準備工程はさらに、
前記熱処理工程後の前記鋼材の前記浸炭硬化層の表面粗さを調整して、JIS B 0601:2013に準拠した前記浸炭硬化層の表面の算術平均粗さRaが0.05~2.00μmである前記中間品を製造する表面粗さ調整工程を含む、
鋼歯車の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2022129155A JP7839405B2 (ja) | 2022-08-15 | 2022-08-15 | 鋼歯車及び鋼歯車の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2022129155A JP7839405B2 (ja) | 2022-08-15 | 2022-08-15 | 鋼歯車及び鋼歯車の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2024025848A JP2024025848A (ja) | 2024-02-28 |
| JP7839405B2 true JP7839405B2 (ja) | 2026-04-02 |
Family
ID=90038097
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2022129155A Active JP7839405B2 (ja) | 2022-08-15 | 2022-08-15 | 鋼歯車及び鋼歯車の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7839405B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2024042978A (ja) * | 2022-09-16 | 2024-03-29 | 日本製鉄株式会社 | 鋼部品及び鋼部品の製造方法 |
Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004144279A (ja) | 2002-08-28 | 2004-05-20 | Nissan Motor Co Ltd | ころ軸受及びその製造方法 |
| JP2011184768A (ja) | 2010-03-10 | 2011-09-22 | Kobe Steel Ltd | 高強度肌焼き鋼部品およびその製造方法 |
| WO2012141297A1 (ja) | 2011-04-13 | 2012-10-18 | 新日本製鐵株式会社 | ガス軟窒化用熱延鋼板及びその製造方法 |
| WO2015162932A1 (ja) | 2014-04-23 | 2015-10-29 | 新日鐵住金株式会社 | テーラードロールドブランク用熱延鋼板、テーラードロールドブランク、及びそれらの製造方法 |
| WO2016153009A1 (ja) | 2015-03-25 | 2016-09-29 | 新日鐵住金株式会社 | 耐摩耗性と耐ピッティング性に優れた窒化、軟窒化処理部品および窒化、軟窒化処理方法 |
| US20160298203A1 (en) | 2015-04-08 | 2016-10-13 | Metal Improvement Company, Llc | High fatigue strength components requiring areas of high hardness |
| WO2017154964A1 (ja) | 2016-03-08 | 2017-09-14 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | 鋼部品、歯車部品および鋼部品の製造方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP3701036B2 (ja) * | 1993-12-27 | 2005-09-28 | 株式会社神戸製鋼所 | 高強度歯車 |
-
2022
- 2022-08-15 JP JP2022129155A patent/JP7839405B2/ja active Active
Patent Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004144279A (ja) | 2002-08-28 | 2004-05-20 | Nissan Motor Co Ltd | ころ軸受及びその製造方法 |
| JP2011184768A (ja) | 2010-03-10 | 2011-09-22 | Kobe Steel Ltd | 高強度肌焼き鋼部品およびその製造方法 |
| WO2012141297A1 (ja) | 2011-04-13 | 2012-10-18 | 新日本製鐵株式会社 | ガス軟窒化用熱延鋼板及びその製造方法 |
| WO2015162932A1 (ja) | 2014-04-23 | 2015-10-29 | 新日鐵住金株式会社 | テーラードロールドブランク用熱延鋼板、テーラードロールドブランク、及びそれらの製造方法 |
| WO2016153009A1 (ja) | 2015-03-25 | 2016-09-29 | 新日鐵住金株式会社 | 耐摩耗性と耐ピッティング性に優れた窒化、軟窒化処理部品および窒化、軟窒化処理方法 |
| US20160298203A1 (en) | 2015-04-08 | 2016-10-13 | Metal Improvement Company, Llc | High fatigue strength components requiring areas of high hardness |
| WO2017154964A1 (ja) | 2016-03-08 | 2017-09-14 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | 鋼部品、歯車部品および鋼部品の製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2024025848A (ja) | 2024-02-28 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US9783879B2 (en) | Nitrided steel member and manufacturing method thereof | |
| JP6212190B2 (ja) | 窒化鋼部材の製造方法 | |
| CN103348031B (zh) | 氮化用钢以及氮化部件 | |
| JP5682485B2 (ja) | 冷鍛窒化用鋼材 | |
| JP7839405B2 (ja) | 鋼歯車及び鋼歯車の製造方法 | |
| Cai et al. | The influence of ultrasonic shot peening on the microstructure and fatigue behavior of TC17 alloy | |
| JP7751181B2 (ja) | 鋼部品及び鋼部品の製造方法 | |
| Shi et al. | Enhanced wear resistance and wettability of 20Cr2Ni4A steel by supersonic fine particle bombardment treatment | |
| CN1286992C (zh) | 油回火钢丝的制造方法 | |
| Segurado et al. | Enhanced fatigue behavior in quenched and tempered high-strength steel by means of double surface treatments | |
| JP2007113027A (ja) | 鋼の熱処理方法、転がり支持装置の製造方法、転がり支持装置 | |
| WO2000075522A1 (en) | Bearing device and method of manufacturing the bearing device | |
| JP2024059022A (ja) | 鋼歯車及び鋼歯車の製造方法 | |
| JP2024042978A (ja) | 鋼部品及び鋼部品の製造方法 | |
| JP7779711B2 (ja) | 歯車の製造方法及び歯車 | |
| JP3605948B2 (ja) | トロイダル式無段変速機用転動体の製造方法 | |
| JP7684828B2 (ja) | 浸炭部品 | |
| CN112881207A (zh) | 一种渗碳钢超高周疲劳性能的评价方法 | |
| Oh et al. | Factors affecting the hardness characteristics of microstructures in gas carburized chromium alloy steels | |
| JP2022059872A (ja) | 鋼材摺動部品及び鋼材摺動部品の製造方法 | |
| JP2024059023A (ja) | 鋼摺動部品及び鋼摺動部品の製造方法 | |
| JP2016186120A (ja) | 浸炭窒化用鋼材および浸炭窒化部品 | |
| WO2015090958A1 (en) | Process for treating steel components | |
| Steinbacher et al. | Heat Treatment of 20MnCr5 and X20NiCrAlMoV6-5-2-1 for High Temperature Gear Applications | |
| Seemikeri et al. | The influence of surface enhancement by low plasticity burnishing on the surface integrity of steels |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20250414 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20260127 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20260217 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20260302 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7839405 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |