JP7842582B2 - 押出フィルム成形性に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
押出フィルム成形性に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法Info
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Description
(項1)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)を含むポリウレタン系樹脂組成物であって、
該多層構造重合体粒子(B)が以下の(イ)~(ヘ):
(イ)該多層構造重合体粒子(B)が少なくとも1つのゴム成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層(II)を最外部に有する、2以上の層からなり、
(ロ)ゴム成分層(I)が、アクリル酸エステル50~99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99~0質量%及び多官能性単量体0.15~10質量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成される重合体層であり、
(ハ)該熱可塑性樹脂成分層(II)が、メタクリル酸エステル40~100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60~0質量%からなる単量体混合物(ii)の重合によって形成される重合体層であり、
(ニ)該熱可塑性樹脂成分層(II)のうち、最外層の重合体の数平均分子量がGPC法で30,000以下であり、
(ホ)該ゴム成分層(I)と該熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量比〔(I)/(II)〕が30/70~90/10であり、かつ
(ヘ)該多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径が150nm以下、
の条件を満たし、該多層構造重合体粒子(B)が0.1~10μmに分散しているポリウレタン系樹脂組成物。
(項2)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)の質量比が95/5~70/30である、項1に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項3)
JIS K 6253に準拠した方法で測定したショアA硬度が60~95である、項1又は2に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項4)
押出成形用樹脂組成物である、項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項5)
フィルム押出用樹脂組成物である、項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項6)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び多層構造重合体粒子(B)を含み、210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(B2)が100~1200であり、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(A)と前記溶融粘度η(B2)との差の絶対値|η(A)-η(B2)|が200Pa・s未満である樹脂組成物(B2)を製造する工程、
前記樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する工程、
を含む、項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、及びオクタデシルアクリレート等のアクリル酸と飽和脂肪族アルコール(好ましくはC1~C18の飽和脂肪族アルコール)とのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニルアクリレート等のアクリル酸とフェノール類とのエステル;ベンジルアクリレート等のアクリル酸と芳香族アルコールとのエステル等が挙げられる。アクリル酸エステルは、1種又は2種以上用いることができる。
メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、及びベンジルメタクリレート等が挙げられる。中でも、メチルメタクリレート(MMA)が好ましい。
一般的に、多層構造重合体粒子の製造において、最外部の熱可塑性樹脂成分層を形成する重合反応工程で使用される分子量調節剤の使用量は、単量体(混合物)に対して0~0.3質量%程度である。しかしながら、本発明者らの知見では、分子量調節剤の使用量が0.4質量%未満では、最外部を構成する熱可塑性樹脂成分のMnが高くなることで、本発明のポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性が不充分となる恐れがあり、また溶融流動性が低下して他の成分との混練及び本発明のポリウレタン系樹脂組成物の成形が困難となる恐れがある。分子量調節剤の使用量が0.4質量%以上であれば、最外部を構成する熱可塑性樹脂成分のMnが安定的に30,000以下となりポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性と成形性を安定的に両立できる。なお、分子量調節剤の使用量が10質量%を超えても、それ以上の柔軟性向上効果は得られず、本来不要な分子量調節剤の残存量が多くなるだけである。
(1)熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び多層構造重合体粒子(B)を含み、210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(B2)が100~1200であり、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(A)と前記溶融粘度η(B2)との差の絶対値|η(A)-η(B2)|が200Pa・s未満である樹脂組成物(B2)を製造する工程、
(2)前記樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する工程、
を含む方法によって製造することが好ましい。
成形方法としては、異形押出成形法、押出シート成形法、Tダイラミネート成形法、インフレーション法、及び押出被覆法等の押出成形法;インサート射出成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、及びインジェクションブレス成形法等の射出成形法;ブロー成形法;カレンダー成形法;プレス成形法;スラッシュ成形法;中空成形法;真空成形法;発泡成形法等が挙げられる。
製造例、実施例及び比較例における評価項目及び評価方法は、以下の通りである。
多層構造重合体粒子の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採取した試料を用いて、大塚電子社製光散乱光度計DLS-600を用いて、動的光散乱法により測定し、キュムラント法により解析し求めた。
多層構造重合体粒子の最外層を構成する重合体成分の数平均分子量は、多層構造重合体粒子の試料を室温下にトルエン中で十分に攪拌した後、遠心分離して得られた溶液を用いて、GPC法により測定し、これにより得られた値を本発明においては最外層を構成する重合体の数平均分子量とみなした。
実施例、比較例に示す樹脂組成物をキャピラリーレオメーター(東洋精機製作所社製のキャピログラフ1D)を用いて、210℃で、直径1mmΦ、長さ40mmのキャピラリーより押出し、その際に生じるせん断応力から評価される数値とした。ピストンスピード10mm/分の速度(せん断速度は121.6sec)で押出し、その際に生じるせん断応力から評価される数値とした。
実施例、比較例に示す樹脂組成物から凍結ミクロトームにて、厚さ70~90nmの超薄切片を切り出した。その超薄切片を四酸化ルテニウム水溶液で染色し、透過型電子顕微鏡で多層構造重合体粒子(B)からなるドメインの分散径を評価した。
実施例、比較例に示す樹脂組成物を、幅約15cmのシートが成形可能な単軸フィルム押出機を用いて、ダイ厚みを0.3mmに調整し、吐出量が35kg/hrとなるようにスクリュー回転数を調整し、フィルム押出を実施した。得られたフィルムについてOCS社製ポリマー品質検査装置FSA-100を用いて40μm以上の欠点を測定し、1m2あたりの個数ををブツ欠点数とした。
尚、ブツ欠点数については以下の評価基準にて評価した。
〇:ブツ欠点数が5000個/m2以下
×:ブツ欠点数が5000個/m2より多い
実施例、比較例に示す樹脂組成物を210℃でプレス成型することで厚さ0.15mmのプレスシートを得た。荷重100gの分銅の裏面に前記プレスシートから切り出した小片を貼り付けた。小片を切り出した後のプレスシート残部を水平面上に置き、その上に、前記プレスシート小片を貼り付けた分銅を乗せた。そして、分銅を水平方向に引っ張った際に、分銅が動き出したときの力の大きさをばねばかりにて測定し、プレスシート小片とプレスシート残部の間のタック性を評価した。なお、タック性については、本評価において70g以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例において、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)としては次のものを使用した。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(A-1):
ディーアイシーコベストロポリマー(株)社製の「パンデックス T-1190」を使用した。該製品は、アジペートエステル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーである。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(A-2):
ディーアイシーコベストロポリマー(株)社製の「パンデックス T-8190」を使用した。該製品は、エーテル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーである。
メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸n-ブチル(BA)、アクリル酸メチル(MA)、スチレン(St)、メタクリル酸アリル(ALMA)。
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部、乳化剤(花王社製「ネオペレックスG-15」)1.3質量部、及び分散剤(花王社製「ポイズ520」)1.0質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.05質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)41.25質量部、他の単官能性単量体としてのスチレン(St)8.75質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.3質量部、及び界面活性剤(ADEKA社製「アデカコールCS-141E」)0.25質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水100質量部、乳化剤(日光ケミカルズ社製「ニッコールECT-3NEX」)0.02質量部、及び炭酸ナトリウム0.1質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.035質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてメチルアクリレート(MA)2.11質量部、他の単官能性単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)32.89質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.07質量部、及び乳化剤(日光ケミカルズ社製「ニッコールECT-3NEX」)0.25質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに40分反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部、乳化剤(花王社製「ネオペレックスG-15」)1.3質量部、及び分散剤(花王社製「ポイズ520」)1.0質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.07質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)100質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.12質量部、及び界面活性剤(ADEKA社製「アデカコールCS-141E」)0.35質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部、乳化剤(花王社製「ネオペレックスG-15」)1.3質量部、及び分散剤(花王社製「ポイズ520」)1.0質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.095質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)100質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.57質量部、及び界面活性剤(ADEKA社製「アデカコールCS-141E」)0.475質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と表1で得られた多層構造重合体粒子(b-1)~(b-4)とを表2に記載の比率でφ40mmの単軸押出機にてシリンダ温度210℃で溶融混練後、溶融混練物を押出して、ペレット状の樹脂組成物(マスターバッチ)(B2-1)~(B2-5)を得た。ポリウレタン系樹脂組成物の組成及び押出条件を表2に示す。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と樹脂組成物(B2)を表3記載の比率でドライブレンドし、単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A-1)単体を単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と樹脂組成物(B2)を表3記載の比率でドライブレンドし、単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(b-1)を表3記載の比率でドライブレンドし、単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
Claims (6)
- 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)を含むポリウレタン系樹脂組成物であって、
該多層構造重合体粒子(B)が以下の(イ)~(ヘ):
(イ)該多層構造重合体粒子(B)が少なくとも1つのゴム成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層(II)を最外部に有する、2以上の層からなり、
(ロ)ゴム成分層(I)が、アクリル酸エステル50~99.99質量部、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99~0質量部及び多官能性単量体0.15~10質量部からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成される重合体層であり、
(ハ)該熱可塑性樹脂成分層(II)が、メタクリル酸エステル40~100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60~0質量%からなる単量体混合物(ii)の重合によって形成される重合体層であり、
(ニ)該熱可塑性樹脂成分層(II)のうち、最外層の重合体の数平均分子量がGPC法で30,000以下であり、
(ホ)該ゴム成分層(I)と該熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量比〔(I)/(II)〕が30/70~90/10であり、かつ
(ヘ)該多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径が150nm以下、
の条件を満たし、ポリウレタン系樹脂組成物中の多層構造重合体粒子(B)ドメインの分散径が0.1~10μmであるポリウレタン系樹脂組成物。 - 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)の質量比が95/5~70/30である、請求項1に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
- JIS K 6253に準拠した方法で測定したショアA硬度が60~95である、請求項1又は2に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
- 押出成形用樹脂組成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
- フィルム押出用樹脂組成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び多層構造重合体粒子(B)を含み、210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(B2)が100~1200であり、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(A)と前記溶融粘度η(B2)との差の絶対値|η(A)-η(B2)|が200Pa・s未満である樹脂組成物(B2)を製造する工程、
前記樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する工程、
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
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