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JP7842582B2 - 押出フィルム成形性に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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JP7842582B2 - 押出フィルム成形性に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

押出フィルム成形性に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法

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Description

本発明は、特定の多層構造重合体粒子及び熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含む押出フィルム成形性に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法に関する。
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは機械的特性、熱的特性、電気的特性等種々の特性に優れ広く使用されている。その用途は射出成形に限らず、シート・フィルム押出に代表されるような押出成形用途にも使用されている。熱可塑性ポリウレタンエラストマーの有する優れた機械物性や柔軟性を実質的に損なうことなく、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとの親和性に優れブリードアウトや相分離等の問題が発生しないポリウレタン系樹脂組成物として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーと多層構造重合体粒子との樹脂組成物が知られている。特許文献1では、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとアクリル系軟質多層構造重合体との軟質樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2では、熱可塑性エラストマーとゴム成分層と熱可塑性樹脂成分層の組成、最外層の熱可塑性樹脂成分の数平均分子量(Mn)、平均粒子径等を好適化した2層以上の多層構造重合体粒子とを含む熱可塑性エラストマー組成物が開示されており、熱可塑性エラストマーとして熱可塑性ポリウレタンエラストマーが実施例に記載されている。
特開2004-238590号公報 特開2005-255872号公報
熱可塑性ポリウレタンエラストマーをフィルム押出成形した場合、フィルム表面のタック性が高くコンテナで海外へ輸送する際にフィルム同士が膠着してしまうという問題がある。また、熱可塑性ポリウレタンに特定の多層構造重合体粒子を加えるとそのフィルムのタック性は改善するが、押出成形したフィルムにブツ欠点が多く発生してしまうという問題がある。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、タック性が低く、かつブツ欠点が少ないフィルムが得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究をした結果、以下の形態を包含する本発明を完成させるに至った。
(項1)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)を含むポリウレタン系樹脂組成物であって、
該多層構造重合体粒子(B)が以下の(イ)~(ヘ):
(イ)該多層構造重合体粒子(B)が少なくとも1つのゴム成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層(II)を最外部に有する、2以上の層からなり、
(ロ)ゴム成分層(I)が、アクリル酸エステル50~99.99質量%、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99~0質量%及び多官能性単量体0.15~10質量%からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成される重合体層であり、
(ハ)該熱可塑性樹脂成分層(II)が、メタクリル酸エステル40~100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60~0質量%からなる単量体混合物(ii)の重合によって形成される重合体層であり、
(ニ)該熱可塑性樹脂成分層(II)のうち、最外層の重合体の数平均分子量がGPC法で30,000以下であり、
(ホ)該ゴム成分層(I)と該熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量比〔(I)/(II)〕が30/70~90/10であり、かつ
(ヘ)該多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径が150nm以下、
の条件を満たし、該多層構造重合体粒子(B)が0.1~10μmに分散しているポリウレタン系樹脂組成物。
(項2)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)の質量比が95/5~70/30である、項1に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項3)
JIS K 6253に準拠した方法で測定したショアA硬度が60~95である、項1又は2に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項4)
押出成形用樹脂組成物である、項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項5)
フィルム押出用樹脂組成物である、項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
(項6)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び多層構造重合体粒子(B)を含み、210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(B2)が100~1200であり、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(A)と前記溶融粘度η(B2)との差の絶対値|η(A)-η(B2)|が200Pa・s未満である樹脂組成物(B2)を製造する工程、
前記樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する工程、
を含む、項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
本発明により、タック性が低く、フィルム製膜性に優れた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。
本発明においては、ポリウレタン系樹脂組成物に熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)とを含ませることにより、ポリウレタン系樹脂組成物のタック性を抑えるとともに、ポリウレタン系樹脂組成物中の多層構造重合体粒子(B)ドメインの分散径が0.1~10μmであることにより、良好なフィルム成形性を有するポリウレタン系樹脂組成物を与えることができるものである。なお、多層構造重合体粒子(B)ドメインの分散径は、透過型電子顕微鏡によって測定することができる。本発明のポリウレタン系樹脂組成物を四酸化ルテニウムで電子染色し、透過型電子顕微鏡にて観察した像における、多層構造重合体粒子(B)に由来するドメインの長径と短径を計測し、長径と短径の和を2で除した値をドメイン径とする。分散径は、任意の10個以上のドメインについて上記計測、算出を行い、その平均値を計算することにより求めることができる。
本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)は、押出成形可能な熱可塑性ポリウレタン系エラストマーである。該熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、ジイソシアネート化合物と、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物とを反応させて得ることができる。中でも、長鎖ポリオール、ジイソシアネート、鎖伸長剤から構成された、いわゆるソフトセグメントとハードセグメントからなるミクロ相分離構造を有するものが好ましく使用できる。
本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)を合成するためのジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート;p-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート等を例示することができる。これらの中では、力学的物性の観点から4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートが好適である。
また、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物としては、アジピン酸、フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、1,4-ブタンジオール等のグリコールとの縮合反応物であるポリエステル系ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;エチレンカーボネート等のカーボネートとグリコールとの反応物であるポリカーボネート系ポリオール;その他、ヒマシ油系ポリオール、ブタジエン骨格を用いたポリオール等が用いられる。本発明のポリウレタン系樹脂組成物においては、押出加工性が改善し成形加工温度範囲を広げることができるため、熱酸化劣化に対する安定性が低いポリエーテル系ポリオールに対しより効果的である。
前記ポリオールの数平均分子量は、500~8,000、とくに1,000~6,000のポリオールが好ましく用いられる。ここで、本明細書でいうポリオールの数平均分子量は、JIS K1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
鎖伸長剤としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールA、p-キシリレングリコール等を例示することができる。
本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)の製造に関しては、上記成分に加え、触媒、分子量調節剤等が必要に応じ適宜使用される。製造方法については、塊状重合法、溶液法等の従来公知の方法が適用できる。例えば塊状重合法では、ポリオール、鎖伸長剤及びジイソシアネートを同時に重合させるワンショット法と、ポリオールとジイソシアネートとを予め反応させ、プレポリマーを合成後、鎖伸長剤を添加し、重合させるプレポリマー法があり、これらの方法を用いて、バッチ法、バンドキャスティング法及び反応押出法によって工業的に製造することができる。
本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)の溶融粘度m(A)は、190℃において測定した値が500~10,000Pa・sが好ましく、1,000~8,000Pa・sがより好ましく、1,500~5,000Pa・sがさらに好ましい。また、210℃において測定した値が100~1,500Pa・sが好ましく、200~1,300Pa・sがより好ましく300~1,000Pa・sがさらに好ましい。190℃、210℃における溶融粘度が上記範囲にあると、本発明のポリウレタン系樹脂組成物は押出成形加工性が良好である。なお、本明細書において、溶融粘度は、キャピラリーレオメーターを使用し、直径1mmΦ、長さ40mmのキャピラリーを用いて、ピストンスピード10mm/分の速度(せん断速度は121.6sec)で押出し、その際に生じるせん断応力から測定することができる。
本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)のメルトフローレート(以下、「MFR」と称する)は、0.1~50g/10分、特に0.5~40g/10分程度のものを使用するのが好ましい。MFRが、0.1~50g/10分の範囲にあると、押出成形加工性が良好である。なお、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)におけるMFRとは、JIS K7210に準拠し、メルトインデクサーを用いて、温度190℃、2.16kg荷重下で測定した値である。
本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)のショアA硬度は、70~98、特に80~95程度のものを使用するのが好ましい。ショアA硬度が、70~98の範囲にあると柔軟性が良好である。なお、本明細書におけるショアA硬度とは、JIS K6253に準拠し、デュロメータを用いて、タイプA圧子にて測定した値である。
多層構造重合体粒子(B)は、内部に少なくとも1つのゴム成分層(I)(以下、単に「層(I)」と略記する場合がある。)を有し、かつ最外部に少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層(II)(以下、単に「層(II)」と略記する場合がある。)を有する。本発明で用いる多層構造重合体粒子(B)の層数は2層以上であればよく、3層又は4層以上でもよい。層構造としては、中心から、層(I)-層(II)の2層構造;層(I)-層(I)-層(II)、層(I)-層(II)-層(II)、又は層(II)-層(I)-層(II)の3層構造;層(I)-層(II)-層(I)-層(II)等の4層構造等が挙げられる。中でも、取扱い性の観点から、層(I)-層(II)の2層構造;層(I)-層(I)-層(II)又は層(II)-層(I)-層(II)の3層構造が好ましい。
ゴム成分層(I)の総量と熱可塑性樹脂成分層(II)の総量との質量比(層(I)/層(II))は、30/70~90/10であることが必要である。層(I)の割合が上記範囲未満では、本発明のポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性が不十分となる恐れがある。層(I)の割合が上記範囲超では、粒子構造の形成が困難となり、また溶融流動性が低下して他の成分との混練及び本発明のポリウレタン系樹脂組成物の成形が困難となる恐れがある。質量比(層(I)/層(II))は、好ましくは50/50~90/10、より好ましくは60/40~80/20である。
層(I)は、アクリル酸エステル単量体単位50~99.99質量%、他の単官能性単量体単位49.99~0質量%、及び多官能性単量体単位0.15~10質量%からなる共重合体からなることが必要である。他の単量体単位は、層(I)を構成する共重合体中に含まれていても良く、含まれていなくても良いが、含まれていることが好ましい。アクリル酸エステル単量体単位の含有量は好ましくは55~99.9質量%、他の単官能性単量体単位の含有量は好ましくは44.9~0質量%、多官能性単量体単位の含有量は好ましくは0.16~2質量%である。アクリル酸エステル単量体単位の量が50質量%未満であると、多層構造重合体粒子(B)のゴム弾性や得られるポリウレタン系樹脂組成物の耐候性が低下し、99.99質量%を超えると多層構造重合体粒子(B)が層構造を完全な形態では形成しにくくなって溶融流動性が極端に低下し、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)等の他の成分との溶融混練及び成形が困難となる。また、多官能性単量体単位の量が10質量%を超えると、多層構造重合体粒子(B)がゴム弾性を示さなくなって柔軟性が不十分となり、0.15質量%未満であると、層(I)の柔軟性が過剰となり、ポリウレタン系樹脂組成物のタック性が悪化する。ここで、アクリル酸エステル単量体単位とは、アクリル酸エステルの重合によって導入される構造単位を示し、単官能性単量体単位とは、単官能性単量体の重合によって導入される構造単位を示し、多官能性単量体単位とは、多官能性単量体の重合によって導入される構造単位を示す。
以下、層(I)の原料単量体について、説明する。
アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、及びオクタデシルアクリレート等のアクリル酸と飽和脂肪族アルコール(好ましくはC1~C18の飽和脂肪族アルコール)とのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニルアクリレート等のアクリル酸とフェノール類とのエステル;ベンジルアクリレート等のアクリル酸と芳香族アルコールとのエステル等が挙げられる。アクリル酸エステルは、1種又は2種以上用いることができる。
多官能性単量体は、分子内に炭素-炭素二重結合を2個以上有する単量体である。多官能性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、及び桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸と、アリルアルコール及びメタリルアルコール等の不飽和アルコールとのエステル;前記の不飽和モノカルボン酸と、エチレングリコール、ブタンジオール、及びヘキサンジオール等のグリコールとのジエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びマレイン酸等のジカルボン酸と、前記の不飽和アルコールとのエステル等が挙げられる。具体的には、アリルアクリレート、メタリルアクリレート、アリルメタクリレート(ALMA)、メタリルメタクリレート、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、及びヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、アリルメタクリレート(ALMA)が好ましい。多官能性単量体は、1種又は2種以上用いることができる。
他の単官能性単量体としては、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、及びベヘニルメタクリレート等のメタクリル酸と飽和脂肪族アルコール(好ましくはC1~C22の飽和脂肪族アルコール)とのエステル;シクロヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸とフェノール類とのエステル、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸と芳香族アルコールとのエステル等のメタクリル酸エステル、スチレン(St)、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、及びハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体等が挙げられる。他の単官能性単量体は、1種又は2種以上用いることができる。
層(II)は、メタクリル酸エステル単量体単位40~100質量%及び他の単量体単位60~0質量%からなる共重合体からなることが必要である。他の単量体単位は、層(II)を構成する共重合体中に含まれていても良く、含まれていなくても良いが、含まれていることが好ましい。メタクリル酸エステル単量体単位の含有量は好ましくは60~99質量%、より好ましくは80~99質量%、他の単量体単位の含有量は好ましくは40~1質量%、より好ましくは20~1質量%である。メタクリル酸エステル単量体単位の含有量が40質量%未満では、多層構造重合体粒子(B)と熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(A)等の他の成分とのの相溶性が低下し、溶融混練及び成形時の分散が不充分となる恐れがある。ここで、メタクリル酸エステル単量体単位とは、メタクリル酸エステルの重合によって導入される構造単位を示す。
以下、層(II)の原料単量体について、説明する。
メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、及びベンジルメタクリレート等が挙げられる。中でも、メチルメタクリレート(MMA)が好ましい。
他の単量体としては、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、及びオクタデシルアクリレート等のアクリル酸と飽和脂肪族アルコール(好ましくはC1~C18の飽和脂肪族アルコール)とのエステル;シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸とC5又はC6の脂環式アルコールとのエステル;スチレン(St)、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、及びハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(p-ブロモフェニル)マレイミド、及びN-(クロロフェニル)マレイミド等のマレイミド系単量体;層(I)で例示した多官能性単量体等が挙げられる。中でも、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート、及びn-ブチルアクリレート(BA)等のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
本発明で使用する多層構造重合体粒子(B)においては、その中に含有される層(II)のうち少なくとも粒子の最外層を構成する共重合体の数平均分子量がGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法での測定に基づいて30,000以下であることが必要であり、好ましくは29,000以下、より好ましくは28,000以下、さらに好ましくは25,000以下である。数平均分子量が30,000を超える場合、多層構造重合体粒子(B)を成形して得た成形品における柔軟性が不十分となり、さらに溶融流動性が低下する場合もある。数平均分子量の下限については、必ずしも厳密な制限はないが、生産工程における多層構造重合体粒子(B)の工程通過性の点からは、数平均分子量は1,000を下回らないことが好ましい。柔軟性及び生産工程での通過性の両立の点からは、数平均分子量を3,000~20,000の範囲内とすることが特に好ましい。
本発明で使用する多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径は、150nm以下であることが必要である。多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径が150nmを超えると柔軟性が不十分となる。また、溶融流動性が良くない場合もある。平均粒子径の下限値については特に限定されるものではないが、多層構造重合粒子(B)の所定の層構造を形成させやすい観点からは、平均粒子径は30nm以上であることが好ましい。平均粒子径は80~120nmであることがさらに好ましい。なお、多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径は、多層構造重合体粒子重合時のラテックスをサンプリングし、堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950V2を用いて光散乱法によって測定することができる。またポリウレタン系樹脂組成物の状態では、透過型電子顕微鏡によって測定することもできる。
多層構造重合体粒子(B)としては、物性及び製造容易性等の観点から、中心から、第1のゴム成分層(I)であるゴム成分層(Ia)と、第2のゴム成分層(I)であるゴム成分層(Ib)と、熱可塑性樹脂成分層(II)との3層構造の多層構造重合体粒子(BX)が好ましい。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性と他の機械的物性との両立の観点から、ゴム成分層(Ia)とゴム成分層(Ib)との質量比((Ia)/(Ib))は、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは20/80~80/20である。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性と他の機械的物性との両立の観点から、ゴム成分層(Ia)中のアクリル酸エステル単量体単位の含有率(CAE(Ia)(質量%))がゴム成分層(Ib)中のアクリル酸エステル単量体単位の含有率(CAE(Ib)(質量%))より高いことが好ましい(CAE(Ia)>CAE(Ib))。さらに、ゴム成分層(Ia)中のアクリル酸エステル単量体単位の含有率(CAE(Ia)(質量%))からゴム成分層(Ib)中のアクリル酸エステル単量体単位の含有率(CAE(Ib)(質量%))を差し引いた量が3質量%以上であることが好ましく(3≦[CAE(Ia)-CAE(Ib)])、4~30質量%であることがより好ましい(4≦[CAE(Ia)-CAE(Ib)]≦30)。
多層構造重合体粒子(B)は、ゴム成分層(I)を形成する重合反応工程(S1)と熱可塑性樹脂成分層(II)を形成する重合反応工程(S2)とを積層順序で行うことで、製造することができる。
重合反応工程(S1)では、ゴム成分層(I)の共重合体組成に対応した単量体混合物(i)を公知方法により共重合する。同様に、重合反応工程(S2)では、熱可塑性樹脂成分層(II)の共重合体組成に対応した単量体混合物(ii)を公知方法により共重合する。なお、重合反応工程(S2)においては、少なくとも最外部を構成する層(II)の構成共重合体のMnが30,000以下となるように、重合条件を調整する。また、全重合反応工程で使用する単量体混合物(i)の総量と単量体混合物(ii)の総量との質量比((i)/(ii))が30/70~90/10の範囲内となり、最終的に得られる多層構造重合体粒子(A)の平均粒子径が150nm以下となるように、全重合反応工程の重合条件を調整する。
少なくとも最外部の熱可塑性樹脂成分層(II)を形成する重合反応工程(S2)において、分子量調節剤を単量体混合物(ii)に対して、0.4~10質量%の割合で使用することが好ましい。分子量調節剤の使用量は、単量体混合物(ii)に対して、より好ましくは0.4~5質量%、特に好ましくは0.6~2質量%である。
一般的に、多層構造重合体粒子の製造において、最外部の熱可塑性樹脂成分層を形成する重合反応工程で使用される分子量調節剤の使用量は、単量体(混合物)に対して0~0.3質量%程度である。しかしながら、本発明者らの知見では、分子量調節剤の使用量が0.4質量%未満では、最外部を構成する熱可塑性樹脂成分のMnが高くなることで、本発明のポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性が不充分となる恐れがあり、また溶融流動性が低下して他の成分との混練及び本発明のポリウレタン系樹脂組成物の成形が困難となる恐れがある。分子量調節剤の使用量が0.4質量%以上であれば、最外部を構成する熱可塑性樹脂成分のMnが安定的に30,000以下となりポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性と成形性を安定的に両立できる。なお、分子量調節剤の使用量が10質量%を超えても、それ以上の柔軟性向上効果は得られず、本来不要な分子量調節剤の残存量が多くなるだけである。
分子量調節剤としては、n-オクチルメルカプタン、t-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、及びメルカプトエタノール等のメルカプタン類;ターピノーレン、ジペンテン、t-テルピネン、及び少量の他の環状テルペン類よりなるテルペン混合物;クロロホルム及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。中でも、n-オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが好ましい。分子量調節剤は、1種又は2種以上用いることができる。
多層構造重合体粒子(B)の重合法としては特に制限されず、乳化重合法、懸濁乳化重合法、溶液重合法、及びこれらの組合せ等の公知方法を採用することができる。
以下、例として、乳化重合法による多層構造重合体粒子(B)の好適な重合条件について、説明する。
重合温度は、一般的に0~100℃である。
乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、及びステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪アルコールの硫酸エステル塩;ロジン酸カリウム等のロジン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸等が挙げられる。乳化剤は、1種又は2種以上用いることができる。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が一般的である。ラジカル重合開始剤としては、過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、及びベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物を単独で用いることができる。クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、及びパラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類と、遷移金属塩等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤を使用することもできる。
多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径は、乳化剤の添加量等の重合条件を調整することで、150nm以下に制御することができる。
重合終了後の多層構造重合体粒子(B)の反応系からの分離取得は、酸析法、塩析法、スプレードライ法、及び凍結凝固法等の公知方法にて行うことができる。
本発明で用いる多層構造重合体粒子(B)の溶融粘度は、190℃において測定した値が1,000~4,000Pa・sが好ましく、1,200~3,500Pa・sがより好ましく、1,500~3,000Pa・sがさらに好ましい。また、210℃において測定した値が800~3,000Pa・sが好ましく、900~2,500Pa・sがより好ましく1,000~2,000Pa・sがさらに好ましい。180℃、200℃における溶融粘度が上記範囲にあると、本発明のポリウレタン系樹脂組成物は押出成形加工性が良好である。
本発明で用いる多層構造重合体粒子(B)のメルトフローレート(以下、「MFR」と称する)は、1.0~50g/10分、特に5.0~20g/10分程度のものを使用するのが好ましい。MFRが、1.0~50g/10分の範囲にあると、押出成形加工性が良好である。なお、多層構造重合体粒子(B)におけるMFRとは、JIS K7210に準拠し、メルトインデクサーを用いて、温度230℃、10kg荷重下で測定した値である。
本発明で用いる多層構造重合体粒子(B)のショアA硬度は、60~95、特に70~90程度のものを使用するのが好ましい。ショアA硬度が、60~95の範囲にあると柔軟性が良好である。なお、本明細書におけるショアA硬度とは、JIS K6253に準拠し、デュロメータを用いて、タイプA圧子にて測定した値である。
本発明においてのポリウレタン系樹脂組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)とを含む。熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)との質量比((A)/(B))は、タック性とフィルム成形性の両立の観点から、95/5~70/30が好ましく、92.5/2.5~75/25がより好ましい。
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)との混合方法は特に制限されず、溶融混合法が好ましい。溶融混合法では、一軸又は二軸以上の多軸混練機、オープンロール、バンバリーミキサー、及びニーダー等の溶融混練機を用い、必要に応じて、窒素ガス、アルゴンガス、及びヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気下で溶融混練を行うことができる。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、組成物中の多層構造重合体粒子の分散性の観点から、
(1)熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び多層構造重合体粒子(B)を含み、210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(B2)が100~1200であり、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(A)と前記溶融粘度η(B2)との差の絶対値|η(A)-η(B2)|が200Pa・s未満である樹脂組成物(B2)を製造する工程、
(2)前記樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する工程、
を含む方法によって製造することが好ましい。
前記樹脂組成物(B2)は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)を含み、その質量比((A)/(B))は95/5~50/50であることが好ましく、90/10~55/45であることがより好ましく、85/15~60/40であることがさらに好ましい。
前記の溶融粘度差の絶対値|η(A)-η(B2)|は、200Pa・s未満であることが好ましく、180Pa・s未満であることがより好ましく、150Pa・s未満であることがさらに好ましい。溶融粘度差を上記範囲とすることにより、樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の混合が良好となり、ポリウレタン系樹脂組成物中の多層構造重合体粒子(B)の分散性が良好となる。
(2)の工程において、樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する際の、樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の質量比((A)/(B2))は5/95~75/25であることが好ましく、10/90~60/40であることがより好ましい。
なお、(1)の工程において、樹脂組成物(B2)を製造する際の温度は、特に限定されないが、130~240℃であることが好ましい。また、(2)の工程において、前記樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する際の温度は、特に限定されないが、130~240℃であることが好ましい。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)以外に、さらにメタクリル系樹脂を含有していてもよい。メタクリル系樹脂のGPC法で測定される数平均分子量(Mn)は、好ましくは10,000~100,000、より好ましくは15,000~50,000である。Mnが上記範囲内のメタクリル系樹脂を用いた場合、本発明のポリウレタン系樹脂組成物がより成形性に優れたものとなる。メタクリル系樹脂の含有量は特に制限されず、本発明のポリウレタン系樹脂組成物の柔軟性と成形性向上の観点から、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)との合計量100質量部に対して、好ましくは1~20質量部、より好ましくは1~10質量部である。
メタクリル系樹脂は、メチルメタクリレート(MMA)単量体単位を含む樹脂である。メタクリル系樹脂は、MMAの単独重合体(ポリメチルメタクリレート(PMMA))でもよいし、MMAを含む複数種の単量体の共重合体でもよい。メタクリル系樹脂としては、MMA単位40~100質量%(好ましくは70~100質量%)、及びMMAと共重合可能な他の単量体単位60~0質量%(好しくは30~0質量%)からなるメタクリル系樹脂(CX)が好ましい。
MMAと共重合可能な他の単量体としては、他のメタクリル酸エステルが挙げられる。かかるメタクリル酸エステルとしては、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、及びドデシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;1-メチルシクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-イルメタクリレート等のメタクリル酸シクロアルキルエステル;フェニルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル;ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アラルキルエステル等が挙げられる。入手性の観点から、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、及びt-ブチルメタクリレートが好ましい。
また、他の単量体としては、メタクリル酸エステル以外の他の単量体が挙げられる。かかる他の単量体としては、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ペンタフルオロエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アリルアクリレート、フェニルアクリレート、トルイルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、及び3-ジメチルアミノエチルアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。中でも、入手性の観点から、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、及びt-ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルが好ましく、メチルアクリレート(MA)及びエチルアクリレートがより好ましく、メチルアクリレート(MA)が特に好ましい。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)、及びメタクリル系樹脂以外に、必要に応じて他の重合体を含有していてもよい。他の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、及びポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、及びMBS樹脂等のスチレン系樹脂;メタクリル酸メチル-スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、及びポリアミドエラストマー等のアミド系樹脂;ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、及びフェノキシ系樹脂等の他の熱可塑性樹脂;フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、及びエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;シリコーン変性樹脂;アクリルゴム、シリコーンゴム;SEPS、SEBS、及びSIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、及びEPDM等のオレフィン系ゴム等が挙げられる。他の重合体は、1種又は2種以上用いることができる。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染料・顔料、光拡散剤、艶消し剤、膠着防止剤、耐衝撃性改質剤、及び蛍光体等が挙げられる。これら添加剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定でき、ポリウレタン系樹脂組成物100質量部に対して、例えば、酸化防止剤の含有量は0.01~1質量部、紫外線吸収剤の含有量は0.01~3質量部、光安定剤の含有量は0.01~3質量部、滑剤の含有量は0.01~3質量部、染料・顔料の含有量は0.01~3質量部、膠着防止剤は0.001~1質量部とすることが好ましい。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物に他の重合体及び/又は添加剤を含有させる場合、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び/又は多層構造重合体粒子(B)の重合時に添加してもよいし、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)との混合時に添加してもよいし、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び多層構造重合体粒子(B)を混合した後に添加してもよい。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物のショアA硬度は、60~95が好ましく、65~90程度のものがより好ましい。ショアA硬度が、60~95の範囲にあると柔軟性が良好である。なお、本明細書におけるショアA硬度とは、JIS K6253に準拠し、デュロメータを用いて、タイプA圧子にて測定した値である。
上記の本発明のポリウレタン系樹脂組成物を成形して、ペレット状、シート状、フィルム状、パイプ状、繊維状、中空状、及び箱状等の任意形状の成形体を得ることができる。
成形方法としては、異形押出成形法、押出シート成形法、Tダイラミネート成形法、インフレーション法、及び押出被覆法等の押出成形法;インサート射出成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、及びインジェクションブレス成形法等の射出成形法;ブロー成形法;カレンダー成形法;プレス成形法;スラッシュ成形法;中空成形法;真空成形法;発泡成形法等が挙げられる。
成形体の一態様として、フィルムがある。通常、厚みが5~200μmの場合は主に「フィルム」に分類され、200μmより厚い場合には主に「シート」に分類されるが、本明細書では、フィルムとシートとを明確に区別せず、両者を合わせて「フィルム」と称している。一般的分類による「フィルム」の用途では、厚みは8~200μmが好ましい。一般的分類による「シート」の用途では、厚みは0.2~4.0mmが好ましい。
フィルム成形方法(成膜方法)としては、押出成形法が好ましい。溶融押出法としては、Tダイ法及びインフレーション法等が挙げられ、厚み精度及び生産性の観点からTダイ法が好ましい。溶融押出温度は、130~240℃が好ましい。熱可塑性ポリウレタンエラストマーの熱分解抑制の観点から押出機のシリンダー温度は、220℃以下となる温度で押出すことが好ましい。また薄膜化及び生産性向上の観点からTダイ部における溶融樹脂温度は、200℃以上となる温度で押出すことが好ましい。押出機としては、単軸押出機及び二軸以上の多軸押出機等が挙げられる。
Tダイ法では、溶融樹脂組成物を略均一な厚みで所望のフィルム幅に拡げてスリット状口金(リップ)より膜状に押出し、これを冷却ロールに接触させて冷却するフィルム成形法である。一般的にTダイ法では薄膜化及び生産性向上のために冷却ロールの回転速度(フィルム引取り速度)を比較的高く設定したいが、この場合、組成によっては、フィルムの幅及び厚みにムラが生じ、フィルムの波打ち又は破断が生じることがある。本発明のポリウレタン系樹脂組成物は押出成形性に優れる。そのため、Tダイ法によるフィルム成膜においてフィルム引取り速度を比較的高く設定した場合においても、フィルムの幅及び厚みにムラが生じ難く、フィルムに波打ち及び破断が生じ難い。したがって、本発明のポリウレタン系樹脂組成物は、フィルムの生産性に優れる。
本発明のポリウレタン系樹脂組成物からなる成形体(フィルムを含む)は、一般に、柔軟性に優れるため、自動車内外装部材、家電部材、電線被覆、医療用部材、雑貨、履物、輸送用ベルト等の分野の軟質部材に好適に使用される。
以下、本発明に係る製造例と実施例、及び比較例について、説明する。
[評価項目及び評価方法]
製造例、実施例及び比較例における評価項目及び評価方法は、以下の通りである。
(多層構造重合体粒子の平均粒子径)
多層構造重合体粒子の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採取した試料を用いて、大塚電子社製光散乱光度計DLS-600を用いて、動的光散乱法により測定し、キュムラント法により解析し求めた。
(多層構造重合体粒子の最外層の数平均分子量)
多層構造重合体粒子の最外層を構成する重合体成分の数平均分子量は、多層構造重合体粒子の試料を室温下にトルエン中で十分に攪拌した後、遠心分離して得られた溶液を用いて、GPC法により測定し、これにより得られた値を本発明においては最外層を構成する重合体の数平均分子量とみなした。
(溶融粘度)
実施例、比較例に示す樹脂組成物をキャピラリーレオメーター(東洋精機製作所社製のキャピログラフ1D)を用いて、210℃で、直径1mmΦ、長さ40mmのキャピラリーより押出し、その際に生じるせん断応力から評価される数値とした。ピストンスピード10mm/分の速度(せん断速度は121.6sec)で押出し、その際に生じるせん断応力から評価される数値とした。
(多層構造重合体粒子凝集物の直径)
実施例、比較例に示す樹脂組成物から凍結ミクロトームにて、厚さ70~90nmの超薄切片を切り出した。その超薄切片を四酸化ルテニウム水溶液で染色し、透過型電子顕微鏡で多層構造重合体粒子(B)からなるドメインの分散径を評価した。
(ブツ欠点数)
実施例、比較例に示す樹脂組成物を、幅約15cmのシートが成形可能な単軸フィルム押出機を用いて、ダイ厚みを0.3mmに調整し、吐出量が35kg/hrとなるようにスクリュー回転数を調整し、フィルム押出を実施した。得られたフィルムについてOCS社製ポリマー品質検査装置FSA-100を用いて40μm以上の欠点を測定し、1mあたりの個数ををブツ欠点数とした。
尚、ブツ欠点数については以下の評価基準にて評価した。
〇:ブツ欠点数が5000個/m以下
×:ブツ欠点数が5000個/mより多い
(タック性)
実施例、比較例に示す樹脂組成物を210℃でプレス成型することで厚さ0.15mmのプレスシートを得た。荷重100gの分銅の裏面に前記プレスシートから切り出した小片を貼り付けた。小片を切り出した後のプレスシート残部を水平面上に置き、その上に、前記プレスシート小片を貼り付けた分銅を乗せた。そして、分銅を水平方向に引っ張った際に、分銅が動き出したときの力の大きさをばねばかりにて測定し、プレスシート小片とプレスシート残部の間のタック性を評価した。なお、タック性については、本評価において70g以下であることが好ましい。
(原料)
以下、実施例及び比較例において、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)としては次のものを使用した。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(A-1):
ディーアイシーコベストロポリマー(株)社製の「パンデックス T-1190」を使用した。該製品は、アジペートエステル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーである。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(A-2):
ディーアイシーコベストロポリマー(株)社製の「パンデックス T-8190」を使用した。該製品は、エーテル系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーである。
製造例中に用いた単量体名及びその略称〔括弧内〕を下記に示す。
メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸n-ブチル(BA)、アクリル酸メチル(MA)、スチレン(St)、メタクリル酸アリル(ALMA)。
(多層構造重合体粒子(b-1))
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部、乳化剤(花王社製「ネオペレックスG-15」)1.3質量部、及び分散剤(花王社製「ポイズ520」)1.0質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.05質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)41.25質量部、他の単官能性単量体としてのスチレン(St)8.75質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.3質量部、及び界面活性剤(ADEKA社製「アデカコールCS-141E」)0.25質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.02質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)15.81質量部、他の単官能性単量体としてのスチレン(St)3.19質量部、他の単官能性単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)1.0質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.16質量部、及び界面活性剤(「アデカコールCS-141E」)0.1質量部からなる混合物を滴下ロートより40分かけて滴下し、2層目を形成した(層(Ib))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.03質量部を加えた後、メタクリル酸エステル単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)28.5質量部、他の単量体としてのメチルアクリレート(MA)1.5質量部、n-オクチルメルカプタン(n-OM)0.3質量部、及び界面活性剤(「アデカコールCS-141E」)0.15質量部からなる混合物を滴下ロートより40分かけて滴下し、3層目を形成した(層(II))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99.9%以上消費されたことを確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子の光散乱法による平均粒子径は、100nmであった。
得られたラテックスを-30℃で24時間冷却して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出した。50℃で2日間減圧乾燥して、粉末状の3層構造の多層構造重合体粒子(b-1)を得た。最外層を構成する重合体成分の数平均分子量(Mn)は、25,000であった。粒子構造を表1に示す。
(多層構造重合体粒子(b-2))
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水100質量部、乳化剤(日光ケミカルズ社製「ニッコールECT-3NEX」)0.02質量部、及び炭酸ナトリウム0.1質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.035質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてメチルアクリレート(MA)2.11質量部、他の単官能性単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)32.89質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.07質量部、及び乳化剤(日光ケミカルズ社製「ニッコールECT-3NEX」)0.25質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに40分反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.045質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)37.0質量部、他の単官能性単量体としてのスチレン(St)8.0質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.9質量部、及び乳化剤(日光ケミカルズ社製「ニッコールECT-3NEX」)0.12質量部からからなる混合物を滴下ロートより70分かけて滴下し、2層目を形成した(層(Ib))。滴下終了後、80℃で、さらに90分反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.02質量部を加えた後、メタクリル酸エステル単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)18.80質量部、他の単量体としてのメチルアクリレート(MA)1.2質量部、及びn-オクチルメルカプタン(n-OM)0.04質量部からなる混合物を滴下ロートより30分かけて滴下し、3層目を形成した(層(II))。滴下終了後、80℃で、さらに40分反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99.9%以上消費されたことを確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子の光散乱法による平均粒子径は、230nmであった。
上記ラテックスを-30℃で24時間冷却して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出した。50℃で2日間減圧乾燥して、粉末状の3層構造の多層構造重合体粒子(b-2)を得た。最外層を構成する重合体成分の数平均分子量(Mn)は、31,000であった。粒子構造を表1に示す。
(多層構造重合体粒子(b-3))
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部、乳化剤(花王社製「ネオペレックスG-15」)1.3質量部、及び分散剤(花王社製「ポイズ520」)1.0質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.07質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)100質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.12質量部、及び界面活性剤(ADEKA社製「アデカコールCS-141E」)0.35質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.03質量部を加えた後、メタクリル酸エステル単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)28.5質量部、他の単量体としてのメチルアクリレート(MA)1.5質量部、n-オクチルメルカプタン(n-OM)0.3質量部、及び界面活性剤(「アデカコールCS-141E」)0.15質量部からなる混合物を滴下ロートより40分かけて滴下し、3層目を形成した(層(II))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99.9%以上消費されたことを確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子の光散乱法による平均粒子径は、100nmであった。
得られたラテックスを-30℃で24時間冷却して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出した。50℃で2日間減圧乾燥して、粉末状の3層構造の多層構造重合体粒子(b-3)を得た。最外層を構成する重合体成分の数平均分子量(Mn)は、25,000であった。粒子構造を表1に示す。
(多層構造重合体粒子(b-4))
窒素雰囲気下、攪拌翼、冷却管、及び滴下ロートを装着した重合器に、蒸留水150質量部、乳化剤(花王社製「ネオペレックスG-15」)1.3質量部、及び分散剤(花王社製「ポイズ520」)1.0質量部を入れ、80℃に加熱して均一に溶解させた。次いで、同温度にて、ペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.095質量部を加えた後、アクリル酸エステル単量体としてのn-ブチルアクリレート(BA)100質量部、多官能性単量体としてのアリルメタクリレート(ALMA)0.57質量部、及び界面活性剤(ADEKA社製「アデカコールCS-141E」)0.475質量部からなる混合物を滴下ロートより60分かけて滴下し、1層目を形成した(層(Ia))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99%以上消費されたことを確認した。
次いで、得られた共重合体ラテックスにペルオキソ二硫酸カリウム3%水溶液0.005質量部を加えた後、メタクリル酸エステル単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)28.5質量部、他の単量体としてのメチルアクリレート(MA)1.5質量部、n-オクチルメルカプタン(n-OM)0.3質量部、及び界面活性剤(「アデカコールCS-141E」)0.15質量部からなる混合物を滴下ロートより40分かけて滴下し、3層目を形成した(層(II))。滴下終了後、80℃でさらに1時間反応を続け、ガスクロマトグラフィで各単量体が99.9%以上消費されたことを確認して重合を終了した。得られたラテックスにおける粒子の光散乱法による平均粒子径は、100nmであった。
得られたラテックスを-30℃で24時間冷却して凍結凝集させた後、凝集物を融解させて取り出した。50℃で2日間減圧乾燥して、粉末状の3層構造の多層構造重合体粒子(b-4)を得た。最外層を構成する重合体成分の数平均分子量(Mn)は、25,000であった。粒子構造を表1に示す。
(製造例1~5)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と表1で得られた多層構造重合体粒子(b-1)~(b-4)とを表2に記載の比率でφ40mmの単軸押出機にてシリンダ温度210℃で溶融混練後、溶融混練物を押出して、ペレット状の樹脂組成物(マスターバッチ)(B2-1)~(B2-5)を得た。ポリウレタン系樹脂組成物の組成及び押出条件を表2に示す。
(実施例1~3)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と樹脂組成物(B2)を表3記載の比率でドライブレンドし、単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
(比較例1)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A-1)単体を単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
(比較例2~4)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と樹脂組成物(B2)を表3記載の比率でドライブレンドし、単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
(比較例5)
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(b-1)を表3記載の比率でドライブレンドし、単軸フィルム押出成形した。フィルム押出条件はシリンダー温度210℃、Tダイ210℃とした。ポリウレタン系樹脂組成物の組成と物性評価結果を表3に示す。
本発明により、タック性が少なく、かつフィルム成形性に優れたポリウレタン系樹脂組成物が提供される。該組成物を成形した成型品、フィルム又はシートは、自動車内外装部材、家電部材、電線被覆、医療用部材、雑貨、履物、輸送用ベルト等の軟質部材に好適に使用される。

Claims (6)

  1. 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)を含むポリウレタン系樹脂組成物であって、
    該多層構造重合体粒子(B)が以下の(イ)~(ヘ):
    (イ)該多層構造重合体粒子(B)が少なくとも1つのゴム成分層(I)を内部に有し、かつ少なくとも1つの熱可塑性樹脂成分層(II)を最外部に有する、2以上の層からなり、
    (ロ)ゴム成分層(I)が、アクリル酸エステル50~99.99質量、該アクリル酸エステルと共重合可能な他の単官能性単量体49.99~0質量及び多官能性単量体0.15~10質量からなる単量体混合物(i)の共重合によって形成される重合体層であり、
    (ハ)該熱可塑性樹脂成分層(II)が、メタクリル酸エステル40~100質量%及び該メタクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体60~0質量%からなる単量体混合物(ii)の重合によって形成される重合体層であり、
    (ニ)該熱可塑性樹脂成分層(II)のうち、最外層の重合体の数平均分子量がGPC法で30,000以下であり、
    (ホ)該ゴム成分層(I)と該熱可塑性樹脂成分層(II)の総質量比〔(I)/(II)〕が30/70~90/10であり、かつ
    (ヘ)該多層構造重合体粒子(B)の平均粒子径が150nm以下、
    の条件を満たし、ポリウレタン系樹脂組成物中の多層構造重合体粒子(B)ドメインの分散径が0.1~10μmであるポリウレタン系樹脂組成物。
  2. 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)と多層構造重合体粒子(B)の質量比が95/5~70/30である、請求項1に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
  3. JIS K 6253に準拠した方法で測定したショアA硬度が60~95である、請求項1又は2に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
  4. 押出成形用樹脂組成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
  5. フィルム押出用樹脂組成物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物。
  6. 熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)及び多層構造重合体粒子(B)を含み、210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(B2)が100~1200であり、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)の210℃下せん断速度121.6sec-1における溶融粘度η(A)と前記溶融粘度η(B2)との差の絶対値|η(A)-η(B2)|が200Pa・s未満である樹脂組成物(B2)を製造する工程、
    前記樹脂組成物(B2)と熱可塑性ポリウレタンエラストマー(A)とを溶融混錬する工程、
    を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
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