JP7844937B2 - 熱間鍛造材の製造方法 - Google Patents
熱間鍛造材の製造方法Info
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Description
このM50NiLの製造方法としては、例えば特許文献1に記されるように、棒状の被加工材を素材とし、所定の長さに切断され、鍛造、旋削などの加工が実施されることにより、所定の形状に加工が施される。
よって本発明の目的は、M50NiL相当合金の熱間鍛造時および焼入れ後の結晶粒度のばらつきを抑制することが可能な熱間鍛造材の製造方法を提供することである。
すなわち本発明は、質量%でC:0.11~0.15%、Si:0.10~0.25%、Mn:0.15~0.35%、Cr:4.00~4.25%、Ni:3.20~3.60%、Mo:4.00~4.50%、V:1.13~1.33%、残部はFe及び不可避的不純物でなる鍛造用素材を準備する準備工程と、前記鍛造用素材を1070~1200℃の温度に加熱した後熱間鍛造して、仕上鍛造用素材を得る分塊工程と、前記仕上鍛造用素材を1100~1200℃の温度に加熱した後、前記加熱した仕上鍛造用素材をラジアル鍛造にて、仕上鍛造用素材を周方向に回転しつつ、全長にわたって4方向から押圧することで全長を伸長する操作を繰り返して熱間鍛造材とする仕上熱間鍛造工程とを含む、熱間鍛造材の製造方法である。
C:0.11~0.15%
Cは硬さを向上させるのに有効な元素であり、最低0.11%を必要とするが、0.15%を超えるCの添加は靭性を低下させてしまうため、Cは0.11%~0.15%とする。
Si:0.10~0.25%
Siはフェライト相を強化するのに有効な元素である。Siが0.10%未満では、材料の延性が高すぎ、冷間での切削加工性を阻害してしまう。一方0.25%を超えるSiの添加は靭性を低下させてしまうため、Siは0.10%~0.25%とする。
Mn:0.15~0.35%
Mnは焼入性を向上させるのに有効な元素であり、最低0.15%を必要とする。一方、Mnが0.35質量%を超えると、硬度が上昇しすぎてしまい、加工性を悪くするといった問題が発生するため、Mnは0.15%~0.35%とする。
Niは焼入性を向上させるのに有効な元素であり、最低3.20%必要であるが、過度な添加はMs点が下がり残留オーステナイトが多くなり、冷間加工後の変形が多くなるといった問題が発生するため、Niは3.20~3.60%の範囲とする。
Cr:4.00~4.25%
Crは後述するするMoと同様、焼入性の向上、及び高温での焼戻し軟化抵抗を向上させる効果があるため最低4.00%の添加が必要である。一方、Crが4.25%を超えると、炭化物の析出が促進され、製造上での硬さの制御が困難となる。したがって、Crは4.00%~4.25%とする。
Moは焼入性と向上と高温での焼戻し軟化抵抗を向上させる効果があるため最低4.00%の添加が必要である。一方、Moが4.50%を超えると、炭化物の析出が促進され、製造上での硬さの制御が困難となる。したがって、Moは4.00%~4.50%とする。
V:1.13~1.33%
Vは焼戻し軟化抵抗を向上させる効果と結晶粒を細かくする効果がある。Vが1.13%未満では、VCの析出が少なく、結晶粒が粗大化する。一方、Vが1.33%を超えると、炭化物の析出が促進され、製造上での硬さの制御が困難となる。したがって、Vは1.13%~1.33%とする。
以上、説明する各元素の他は、Feと不可避的不純物である。
<準備工程>
先ず、上記組成を有するM50NiL相当合金の鋼塊を製造する。上述のようにM50NiL相当合金は航空機のエンジン部品等に用いられる合金であるため、真空溶解で消耗電極を製造し、真空再溶解を行って非金属介在物の低減、成分偏析の低減を行うことが好ましい。本発明では鋼塊を鍛造用素材としてもよく、例えばさらに機械加工を行って丸棒状または角棒状の鍛造用素材としてもよい。なお、成分偏析を更に低減するため、鍛造用素材に均質化熱処理を行っても良い。
前記鍛造用素材を1070~1200℃の鍛造温度に加熱した後、この鍛造温度(鍛造開始温度)で熱間鍛造する分塊工程を行う。上述した温度で分塊工程を実施することで、後述する仕上熱間鍛造工程と組み合わせて結晶粒が微細かつ均一な組織を得ることができる。加熱温度が1070℃未満となった場合、成長しきれていない微細結晶粒や粗大な未再結晶粒が残存した混粒組織となることにより、機械特性が低下する懸念がある。なお、本実施形態における「混粒」とは、1視野内において最大頻度を有する粒度番号と3以上異なったものが存在し、それが面積率で20%以上を占めたものを示す。加熱温度が1200℃を超える場合、結晶粒の過大な成長により粗大結晶粒が形成される懸念がある。なお本実施形態の分塊工程における「熱間鍛造」は、大きい鋼塊形状の加工を容易とするために、表面が平面または曲面である金敷の上に被加工材を載置し、同じく表面が平面または曲面であるハンマーにより材料を加工する熱間自由鍛造とすることができるが、金型を用いた型入鍛造でもよい。また、鍛造用素材を周方向に回転しつつ、全長にわたって4方向から押圧することで全長を伸長する操作を繰り返して鍛造材を得るラジアル鍛造を、上述した自由鍛造または型入鍛造と組み合わせて実施してもよい。また、分塊工程と仕上熱間鍛造工程との間に熱処理工程や研磨工程を導入することもできる。
続いて前記分塊工程後の仕上鍛造用素材を、1100~1200℃の鍛造温度に加熱し、この鍛造温度(鍛造開始温度)によるラジアル鍛造にて熱間鍛造材(以下、「鍛造材」とも記載する)を得る、仕上熱間鍛造工程を実施する。仕上熱間鍛造工程においてラジアル鍛造を適用するのは、送り量・素材の回転量・素材への圧下量を高精度で制御しながら徐々に多角形に鍛造し、最終的には丸形状に加工することを可能にしている制御機構を利用することによって、加工発熱をコントロールし製品内部及び表面の温度制御を行なえるからである。本実施形態において加熱温度の下限を1100℃とした理由は、再結晶を促進させて結晶粒度のばらつきを小さくするためであり、加熱温度の上限を1200℃とした理由は、結晶粒の粗大化を抑制するためである。好ましい加熱温度の下限は1120℃である。
なお、ラジアル鍛造による鍛伸(鍛造)は、押圧による圧下を50~210回/分、1パス当たりの減面率を20~28%、前記被鍛造材の挿入側での送り速度を2.7~6m/分の範囲とするのがよい。この条件で鍛造することにより、全長に渡り均一な組織制御を可能にし、かつ加工発熱量の調整が容易なため、終了温度のコントロールを行なえる。そして、鍛造終了温度を800℃以上と設定できる。なお、鍛造終了温度を800℃以上にするためには、1パス当りの鍛造時間が短くなる条件で鍛造するとよい。鍛造終了温度が800℃未満となると、材料表層の温度が下がり、オーステナイト粒の再結晶が促進されないため、部分的に粗大な結晶粒が残存する。そのため、鍛伸終了温度は800℃以上とする。好ましい鍛伸終了温度は820℃以上である。なお、鍛造終了温度は鍛造材の表面温度である。以上説明する本発明の熱間鍛造材の製造方法によれば、熱間鍛造時および焼入れ後の結晶粒度のばらつきを防止することができる。
真空溶解で消耗電極を作製し、その後前記消耗電極を用いて真空再溶解を行ってM50NiL相当合金の鋼塊を得た。その後、熱間加工、機械加工を行って、直径320mm、全長2000mmの角棒状の鍛造用素材を得た。この鍛造用素材から、長さ15mmの模擬実験用素材を得た。組成を表1に示す。
次に仕上熱間鍛造工程の最適温度を確認するための実験を行った。実施例1と同じ模擬実験用素材から圧縮試験用素材を採取し、仕上熱間鍛造工程を模擬した圧縮試験を実施した。加工条件は塑性加工シミュレーションソフトを用いて、実工程で面積円相当径240mmの仕上鍛造用素材から、面積円相当径で140mmの鍛造材とした場合と同等の圧縮条件となるように素材を圧縮した。加工温度条件は1150℃(試料No.1)、1130℃(試料No.2)、1100℃(試料No.3)、1070℃(試料No.4)、1050℃(試料No.5)、1000℃(試料No.6)の6条件とし、加工後の試料を光学顕微鏡で観察した。また、鍛造後に実施する焼入れ処理後の結晶粒度への影響を確認するため、圧縮試験後の試料に焼なまし処理と焼入れ処理を実施した。なお、焼入れ処理後の結晶粒度は光学顕微鏡により倍率200倍、観察視野30視野の条件で観察し、画像解析ソフトウェアを用いて導出した。仕上模擬圧縮試験後の縦断面のミクロ組織写真を図2(上段の観察倍率:100倍、下段の観察倍率:200倍)に示す。また、仕上模擬圧縮試験後、焼なまし処理および1100℃×15minの焼入れ処理を実施した後の縦断面のミクロ組織写真を図3(上段の観察倍率:100倍、下段の観察倍率:200倍)、画像解析により測定した結晶粒度測定結果(平均結晶粒度と最大結晶粒度)を表2に示す。図2より、圧縮温度1050℃以上の試料No.1~5では全面再結晶組織であり、圧縮温度が高いほど微細な結晶粒が減少して結晶粒サイズが均一になる傾向であることを確認した。対して圧縮温度1000℃の試料No.6では未再結晶粒と微細な結晶粒が混在していた。そして図3および表2より、いずれの試料も平均結晶粒度は同等水準であるが、圧縮温度1100℃以上の試料No.1~3では、最大結晶粒が小さく、結晶粒度のばらつきが小さくなっていることを確認した。
実施例1および実施例2で加工温度が結晶粒度に与える影響が確認できたが、実施例1および実施例2は模擬実験であり、試料サイズが小さく、実際の鍛造材と比較して加熱ムラや歪による影響が少ない。そこで仕上熱間鍛造工程での加熱温度の影響を実際の製造工程で確認した。実施例1で用いたものと同じM50NiL相当合金の鋼塊に1100℃で熱間自由鍛造を行う分塊加工を実施し、直径140mm、全長3000mmの丸棒状の仕上鍛造用素材(本発明例の仕上鍛造用素材)と面積円相当径240mm、全長3000mmの角棒状の鍛造用素材(比較例の仕上鍛造用素材)を得た。本発明例の仕上鍛造用素材は1150℃に加熱しながら直径80mmまでラジアル鍛造して本発明例の鍛造材とし、比較例の仕上鍛造用素材は1050℃に加熱しながら直径140mmまでラジアル鍛造し、それぞれ鍛造材を得た。ここで本発明例と比較例とは、実体鍛錬成形比が同等となるように仕上熱間鍛造を実施した。その他の熱間鍛造条件は、本発明例及び比較例共に、押圧による圧下を75~105回/分、1パス当たりの減面率を25~30%、前記被鍛造材の挿入側での送り速度を4~5.5m/分の範囲とした。
得られた本発明例および比較例の鍛造材から試験片を採取して、光学顕微鏡で観察した結果を図4(上段:観察倍率200倍、下段:観察倍率500倍)に示す。試料の採取箇所について、径方向は鍛造材の表面から軸心方向に深さD/4(D:面積円相当径の直径)の位置、長さ方向は柱状鍛造材の頂部、中心部、底部の三か所とした。図4より、比較例では鍛伸方向に伸長した粗大な未再結晶粒が確認された。一方、本発明では結晶粒サイズが微細かつ均一な等軸の結晶粒組織であった。鍛造後の各素材を焼なまし処理と焼入れ処理を実施し、ASTM規格に従って光学顕微鏡により結晶粒度を測定した結果を図5に示す。観察方法は実施例2と同じである。図5より本発明例の鍛造材は、平均結晶粒度は比較例の鍛造材と同水準であるが、最大結晶粒度が比較例の鍛造材よりも微細化していた。以上の結果より、本発明で規定する熱間鍛造工程を適用することで、M50NiL相当合金の熱間鍛造時および焼入れ後の結晶粒度のばらつきを防止することが可能であることを確認した。
Claims (1)
- 質量%でC:0.11~0.15%、Si:0.10~0.25%、Mn:0.15~0.35%、Cr:4.00~4.25%、Ni:3.20~3.60%、Mo:4.00~4.50%、V:1.13~1.33%、残部はFe及び不可避的不純物でなる鍛造用素材を準備する準備工程と、
前記鍛造用素材を1070~1200℃の温度に加熱した後熱間鍛造して、仕上鍛造用素材を得る分塊工程と、
前記仕上鍛造用素材を1100~1200℃の温度に加熱した後、前記加熱した仕上鍛造用素材をラジアル鍛造にて、仕上鍛造用素材を周方向に回転しつつ、全長にわたって4方向から押圧することで全長を伸長する操作を繰り返して熱間鍛造材とする仕上熱間鍛造工程とを含む、熱間鍛造材の製造方法。
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