JP7844962B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びこれを成形してなる成形品 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物及びこれを成形してなる成形品Info
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Description
OA機器分野や光学部品分野等に適用する場合、得られる熱可塑性樹脂からなる成形体の位相差が大きく、この成形体を通した像が二重になったり、ぶれたりする等の歪みが生じるおそれがある。そのため、位相差を低減する必要がある。
ここで、イソソルビドポリカーボネートポリマーにメタクリル樹脂、フェニルメタクリル樹脂などのメタクリル系樹脂をアロイすることで位相差を低減する方法が提案されている(特許文献2)。
[1]下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)、(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分由来の構成単位(b)を有する樹脂(B)、アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)から選ばれる少なくとも一種の構成単位を有する樹脂(C)、並びにコア・シェル構造からなるエラストマー(D)を含み、前記の樹脂(B)と樹脂(C)とは互いに相溶し、前記樹脂(B)と樹脂(C)の重量比がB:C=99:1~1:99である熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記樹脂(C)がアクリロニトリルスチレン共重合体である[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記エラストマー(D)は、コア層に対して共重合可能な単量体成分がシェル層としてグラフト共重合されたものであり、この単量体成分が(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる単量体を少なくとも一種含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記樹脂(B)と樹脂(C)との含有比が、重量比でB:C=99:1~65:35である[1]~[5]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分由来の構成単位(b)を有する樹脂(B)と、アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)から選ばれる少なくとも一種の構成単位を有する樹脂(C)と、コア・シェル構造からなるエラストマー(D)を混合して熱可塑性樹脂組成物を製造する工程を有し、前記樹脂(B)と樹脂(C)の重量比がB:C=99:1~1:99である熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[11]前記の樹脂(B)と樹脂(C)とは、互いに相溶する[9]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
本発明は、特定のポリカーボネート樹脂(A)(以下、単に「ポリカーボネート樹脂(A)」や「樹脂(A)」と称することがある。)、所定の樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」と称することがある。)、樹脂(C)(以下、単に「樹脂(C)」と称することがある。)、及びコア・シェル構造からなるエラストマー(D)(以下、単に「エラストマー(D)」と称することがある。)を含む熱可塑性樹脂組成物、及びこの熱可塑性樹脂組成物を含有してなる成形品に係る発明である。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)(樹脂(A))は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(a)を含むポリカーボネート樹脂である。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
フィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、及びバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが特に好ましい。
上記の中でも2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また、上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
重合反応の形式は、公知の形式を用いることができ、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm~0.45μmであることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると樹脂組成物としたときの靱性が小さい可能性があり、還元粘度が大きすぎると、電気・電子機器部品や自動車内外装部品を成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。また、成形温度を適正以上に高くしなければならず、色調が悪化する場合がある。
尚、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の全光線透過率及びヘイズ(Haze)は、下記の方法により測定することができる。
3つのベント口及び注水設備を供えた二軸押出機に連続的に溶融状態のポリカーボネート樹脂を供給し、該ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF・ジャパン(株)製、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を0.1質量部、アデカスタブ2112((株)ADEKA製、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05質量部及び離型剤としてユニスターE-275(日油(株)製)0.3質量部を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮した後、ペレタイザーによりペレット化を行う。
二軸押出機で混練したペレットについて、100℃で6時間予備乾燥したペレットを(株)日本製鋼所製J85AD型射出成形機で、シリンダー温度240℃、成形サイクル40秒、金型温度60℃で、100mm×100mm×2mmtの平板を成形する。
日本電色工業社製ヘイズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて上記試験片のヘイズ(Haze(%))及び全光線透過率(%)を測定する。本発明のポリカーボネート樹脂(A)の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、さらに88%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。この全光線透過率が上記下限よりも高いと、熱可塑性樹脂組成物としたときの全光線透過率が高くなる。この全光線透過率の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂(A)として、1種を単独で用いてもよく、他のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の種類や共重合割合、物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
本発明で用いられる樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分由来の構成単位(b)を有する樹脂、すなわち、アクリル系樹脂である。
前記アクリル系樹脂の分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量で3万
以上、30万以下の範囲であれば、多層体として成形する際に流れムラ等の外観不良を生じることがなく、機械特性、耐熱性に優れた多層体を提供することができる。
本発明で用いられる樹脂(C)は、アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)から選ばれる少なくとも一種の構成単位を有する樹脂である。この樹脂(C)としては、構成単位(c1)及び構成単位(c2)の両構成単位を有する樹脂(C1)を用いてもよく、また、構成単位(c1)を有する樹脂(C2-1)及び構成単位(c2)を有する樹脂(C2-2)を併用してもよい。
ところで、樹脂(C)は、樹脂(B)と互いに相溶することが好ましい。ここで、「相溶」とは、複数の物質を混合した場合、分離せずに混ざり合う性質をいう。
本発明において、樹脂(B)と樹脂(C)とが互いに相溶するので、樹脂(A)の屈折率に合わせやすくなり、高い透明性を維持することができるという特徴を発揮することができる。
樹脂(B)と樹脂(C)とが互いに相溶していることは、例えば、樹脂(B)と樹脂(C)が示すそれぞれのガラス転移温度とは異なるガラス転移温度を熱可塑性樹脂組成物が示すことによって確認することができる。
前記の構成単位(c1)を有する単量体の例としては、アクリロニトリル等があげられる。また、構成単位(c2)を有する単量体としては、スチレンや、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、特にスチレンが好ましい。さらにこれらは単独又は2種以上用いることができる。
樹脂(C1)は、アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)の両構成単位を有する樹脂である。この両構成単位を有し、かつ、前記の通り、樹脂(B)と相溶性のある樹脂(C1)としては、アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)の両構成単位のみからなる樹脂(C1’)、具体的には、アクリロニトリル-スチレン共重合体をあげることができる。
樹脂(C2-1)は、アクリロニトリル由来の構成単位(c1)を有する樹脂であり、前記構成単位(c2)を含まない樹脂である。この樹脂(C2-1)の例としては、ポリアクリロニトリル等があげられる。
また、樹脂(C2-2)は、芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)を有する樹脂であり、前記構成単位(c1)を含まない樹脂である。この樹脂(C2-2)の例としては、ポリスチレン、ポリα-メチルスチレン等があげられる。
本発明は、コア・シェル構造からなるエラストマー(D)を含有することを特徴とする。なお、本明細書において、「コア・シェル構造からなるエラストマー」とは最内層(コア層)とそれを覆う1以上の層(シェル層)から構成され、コア層に対してグラフト共重合可能な単量体成分をシェル層としてグラフト共重合したコア・シェル型グラフト共重合体である。
これらのうち、シェルが(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも一つ含むコア・シェル構造からなるエラストマーを用いることが好ましい。
前記ブタジエン-メチルメタクリレート-アルキルアクリレート共重合体の場合、ダウ・ケミカル社製、商品名パラロイドEXL-2650J、EXL-2690などが挙げられる。また、これらのコア・シェル型構造からなるエラストマーは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
本発明のエラストマー(D)の重合方法としては、一般的な重合方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等をあげることができる。例として、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物の重合方法について説明する。アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・スチレン共重合物の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれを採用してもよいが、乳化重合、すなわち、乳化グラフト重合が好ましい。具体的には、攪拌機を備えた反応容器に、ラテックスを加え、さらにビニル系単量体、重合開始剤、水を加え、必要に応じて連鎖移動剤や酸化還元剤を仕込み、加熱攪拌すればよい。
前記の樹脂(B)と樹脂(C)の混合比(重量比)は、B/Cで、99/1以下がよく、95/5以下が好ましい。樹脂(B)が多すぎると、全光線透過率が下がってヘイズが上昇するという問題点が生じるおそれがある。また、B/Cの下限は、1/99以上がよく、65/35以上が好ましい。樹脂(C)が多すぎると、全光線透過率が下がってヘイズが上昇するという問題点が生じるおそれがある。
前記の樹脂(A)と樹脂(B)と樹脂(C)及びエラストマー(D)の混合比(重量比)は、樹脂(A)、樹脂(B)と樹脂(C)及びエラストマー(D)の合計量を100重量部としたとき、樹脂(B)及び樹脂(C)の合計量は1重量部以上がよく、5重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましく、20重量部以上が特に好ましい。樹脂(B)及び樹脂(C)の合計量が少なすぎると、位相差の低減が不十分という問題点が生じるおそれがある。また、樹脂(B)及び樹脂(C)の合計量の上限は、50重量部以下がよく、45重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。樹脂(B)及び樹脂(C)の合計量が多すぎると、耐衝撃性が低下するという問題点が生じるおそれがある。また、エラストマー(D)の含有量は1重量部以上がよく、3重量部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましい。エラストマー(D)の含有量が少なすぎると、層間剥離や表面の外観不良が生じるおそれがある。また、エラストマー(D)の含有量の上限は、20重量部以下がよく、18重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましい。エラストマー(D)の含有量が多すぎると、耐熱性が低下するという問題点が生じるおそれがある。
前記樹脂(A)の屈折率と、樹脂(B)及び樹脂(C)の混合樹脂の屈折率の差、すなわち、(樹脂(A)の屈折率)-(樹脂(B)と樹脂(C)の混合樹脂の屈折率)は、±0.009の範囲内がよく、±0.007の範囲内が好ましい。この屈折率の差が大きすぎると、全光線透過率が低下したり、ヘイズが上昇するおそれがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の樹脂(A)、樹脂(B)、樹脂(C)及びエラストマー(D)を所定の割合で同時に、又は任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合することにより製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、充填剤等を添加することも出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、シート成形時の冷却ロールからのロール離れ、或いは射出成形時の金型からの離型性をより向上させるなどのために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤が配合されていてもよい。
かかる離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点から、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、及びフェノール系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤の添加量が5質量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001質量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
前記ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル-3,3´-チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル-3,3´-チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル-3,3´-チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル-3,3´-チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル-3,3´-チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール-3-ステアリルチオプロピオネート、ビス[2-メチル-4-(3-ラウリルチオプロピオニルオキシ)-5-tert-ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプト-6-メチルベンズイミダゾール、1,1´-チオビス(2-ナフトール)等が挙げられる。
これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4´-ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、その分子量は、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。分子量が5000を超えると、成形品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。また分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300未満では、耐熱性に乏しく、成形時に金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、それら複数のピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。
005質量部以上3質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上1質量部以下である。
光安定剤の添加量が5質量部より多いと、着色する傾向にあり、着色剤を添加したとしても、例えば深みと清澄感のある漆黒を得難い。一方、0.001質量部未満であると、自動車内外装品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤を含有することができる。例えば、2 -(2´-ヒドロキシ-5´-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2´-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ- 3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2, 2´-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)等が挙げられる。かかる紫外線吸収剤の含有量は、樹脂(A)100重量部に対して0.01~2重量部が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以下の物性を有することが好ましい。
・全光線透過率
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、全光線透過率が75%以上であることが好ましい。この場合には、ポリカーボネート樹脂組成物の透明性により一層優れる。同様の観点から、全光線透過率は85%以上であることが特に好ましい。全光線透過率は、後述の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ヘイズが45%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、15%以下であることが特に好ましく、5%以下であることが最も好ましい。この場合には、熱可塑性樹脂組成物の透明性により一層優れる。ヘイズは、後述の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、位相差が150nm以下であることが好ましく、130nm以下であることがより好ましく、125nm以下であることが特に好ましい。この場合には、熱可塑性樹脂組成物から成形される成形体は、位相差がより小さいので、この成形体を通した像が二重になったり、ぶれたりする等の歪みの抑制効果がより優れる。位相差は、後述の方法により測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品を成形する際、任意の成形法を用いることができるが、射出成形、射出圧縮、射出プレス成形が好適に用いられる。その際に用いるランナーも、通常のコールドランナー方式だけでなく、ホットランナー方式を用いることも可能である。また、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形等も可能である。さらに意匠性を得るために、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形を用いることも可能である。
(1)屈折率
真空乾燥機を用いて、ペレットを80℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したペレットをミニテストプレス((株)東洋精機製作所製MP-2FH)を用いて、230℃でプレス成形板(幅7mm×長さ15mm×厚さ1mm)を作製した。得られたプレス成形板を所定の寸法(幅160mm×長さ160mm×厚さ1mm)に切断し、アッベ屈折計(アタゴ社製「DR-M4」)で、589nm(D線)の干渉フィルターを用いて、屈折率nDを測定した。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、100℃で6時間乾
燥した。次に、乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製:J85AD型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形板(幅100mm×長さ100mm×厚さ2mm)を成形した。得られた射出成形板についてJIS K7361-1に準拠し、日本電色工業(株)製のNDH-7000IIを使用して前記試験片の全光線透過率を測定した。
前記の全光線透過率測定と同じ試験片を使用し、JIS K7136に準拠して日本電色工業社製のNDH-7000IIを用いて前記試験片のヘイズを測定した。
前記のヘイズ測定と同じ試験片を使用し、JIS K5600-5-4に準拠して、株式会社マイズ試験機製鉛筆硬度計を用いて鉛筆硬度を測定した。
前記の鉛筆硬度測定と同じ試験片を使用し、王子計測機器(株)製の位相差測定装置「KOBRA WWR/XY」により、波長590nmに対する位相差を測定した。測定は10mmx10mmのメッシュに分割して行い、分割したメッシュの各位相差の平均を平均位相差とした。
前記の位相差測定と同じ試験片を使用し、ゲート部分を目視観察して層間剥離の有無を調べ、以下の3段階で評価した。層間剥離の程度が僅かであれば、金型の設計で成形品の強度低下に影響を及ぼさないようにすることができることから、「◎」又は「○」を合格とした。
◎:層間剥離がみられない
〇:層間剥離が僅かにみられる(MD方向への層間剥離の進展距離が2mm未満)
×:層間剥離がみられる(MD方向への層間剥離の進展距離が2mm以上)
前記の位相差測定と同じ試験片を使用し、表面を目視観察して筋状模様の有無を調べ、以下の2段階で評価した。
〇:筋状模様がみられない
×:筋状模様がみられて表面外観不良を発生
前記の位相差測定と同じ試験片を使用し、コニカミノルタ(株)製の色相装置「CM-5」により、明度L*値を測定した。測定は、D65/10光源で反射測定径φ30mmを使用し反射法にてL*値を測定した
・全光線透過率:75%以上
・ヘイズ:45%以下
・鉛筆硬度:F以上
・平均位相差:170nm以下
・層間剥離:◎又は〇
・表面外観:〇
<ポリカーボネート樹脂(A)の原料>
・イソソルビド…ロケットフルーレ社製:POLYSORB、以下「ISB」と称する。
・シクロヘキサンジメタノール…イーストマン社製、以下「CHDM」と称する。
・ジフェニルカーボネート…三菱ケミカル(株)製、以下「DPC」と称する。
・ポリメタクリル酸メチル…三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリペットVH、屈折率:nd=1.492、以下「PMMA」と称する。
<樹脂(C)>
・アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂…テクノUMG社製、屈折率:nd=1.569、商品名:サンレックス、以下「AS」と称する。
<コア・シェル構造からなるエラストマー(D)>
・アルキルアクリレート-メチルメタクリレート-スチレン共重合体…三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリペットIR-491、屈折率:nd=1.494、以下「D-1」と称する。
・アルキルアクリレート-メチルメタクリレート-スチレン共重合体…(株)カネカ製、商品名:カネエースM-590、屈折率:nd=1.50、以下「D-2」と称する。
・ブタジエン-メチルメタクリレート-アルキルアクリレート共重合体…ダウ・ケミカル社製、商品名パラロイドEXL-2650J、屈折率:nd=1.51、以下「D-3」と称する。
(製造例1)
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISB、CHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPC及び酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10-6になるように仕込み、十分に窒素置換して、酸素濃度0.0005~0.001体積%に調節した。
続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。
その後、20分かけて内温230℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で大気圧に復圧し、内容物をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでカーボネート共重合体のペレットにした。得られた樹脂(A-1)を以下の実施例及び比較例に用いた。なお、樹脂(A-1)の屈折率(nD)は、1.50であった。
(製造例2)
ISB、CHDMをモル比率でISB/CHDM=0.30/0.70にした以外は製造例1と同様に製造した。得られた樹脂(A-2)を以下の実施例及び比較例に用いた。なお、樹脂(A-2)の屈折率(nD)は、1.50であった。
(製造例3)
CHDMをTCDDMにした以外は製造例1と同様に製造した。得られた樹脂(A-3)を以下の実施例及び比較例に用いた。なお、樹脂(A-3)の屈折率(nD)は、1.511であった。
製造例1~3において製造した樹脂A(A-1、A-2、A-3)、樹脂B(PMMA)、樹脂C(AS)、樹脂D(D-1、D-2、D-3)を用い、表1に示すポリカーボネート樹脂組成物配合で各成分を配合し、2つのベント口を有する(株)日本製鋼所製2軸押出機(LABOTEX30HSS-32)を用いて、押出機出口の樹脂温度が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。参考例3は、実施例5の配合をベースに黒色に着色した。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価を前記した方法で行い、結果を表1に示した。
なお、PMMA及びASの位相差を参考例1、2に示し、各実施例との差異を確認した。
前記の結果から、実施例1~13においては、十分に高い透明性と低い平均位相差が得られ、層間剥離が低減され、表面外観に優れることが明らかとなった。特に、樹脂(A-2)を含有する実施例1~4、6~10は、層間剥離がみられないことが明らかとなった。さらに、参考例1~2からも明らかなように、樹脂(C)単独の平均位相差は著しく高いにもかかわらず、樹脂(B)と樹脂(C)の相溶化樹脂を含有する実施例1~13は、樹脂(A-1)と樹脂(B)のみを含有する比較例1より高い透明性を保持しつつ、低い平均位相差が得られた。
一方、比較例2では試料の透明性が悪すぎたため、平均位相差の測定ができなかった。また、比較例3では実施例1~13と同様に十分に高い透明性が得られる反面、実施例1~13より高い平均位相差が得られることが明らかとなった。また、比較例4では実施例1~13と同様に十分に高い透明性が得られ、低い平均位相差が得られるものの、層間剥離がみられ表面外観不良を発生することが明らかとなった。
参考例3ではL*値が0.79となり、十分に高い透明性が得られることで漆黒性を発現できることが明らかとなった。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分由来の構成単位(b)を有する樹脂(B)、
アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)の両構成単位を有する樹脂(C1)からなる樹脂(C)、並びに
コア・シェル構造からなるエラストマー(D)を含み、
前記の樹脂(B)と樹脂(C)とは互いに相溶し、
前記樹脂(B)と樹脂(C)の重量比がB:C=99:1~1:99である熱可塑性樹脂組成物。
- 前記樹脂(C)がアクリロニトリルスチレン共重合体である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記エラストマー(D)は、コア層に対して共重合可能な単量体成分がシェル層としてグラフト共重合されたものであり、この単量体成分が(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる単量体を少なくとも一種含む、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記の樹脂(A)、樹脂(B)、樹脂(C)、及びエラストマー(D)の合計量を100重量部としたとき、前記樹脂(B)及び樹脂(C)の合計量が1重量部以上50重量部以下、前記エラストマー(D)が1重量部以上20重量部以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記樹脂(B)と樹脂(C)との含有比が、重量比でB:C=99:1~65:35である請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分由来の構成単位(b)を有する樹脂(B)、
アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)の両構成単位のみからなる樹脂(C1’)、並びに
コア・シェル構造からなるエラストマー(D)を含み、
前記樹脂(B)と、前記樹脂(C1’)の重量比がB:C1’=99:1~1:99である熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)と、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体成分由来の構成単位(b)を有する樹脂(B)と、
アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)の両構成単位を有する樹脂(C1)からなる樹脂(C)と、
コア・シェル構造からなるエラストマー(D)
を混合して熱可塑性樹脂組成物を製造する工程を有し、前記樹脂(B)と樹脂(C)の重量比がB:C=99:1~1:99である熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記樹脂(C)は、アクリロニトリル由来の構成単位(c1)及び芳香族ビニル系単量体由来の構成単位(c2)の両構成単位のみからなる樹脂(C1’)である請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記の樹脂(B)と樹脂(C)とは、互いに相溶する請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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