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JP7846882B2 - 回転電気機械 - Google Patents
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JP7846882B2 - 回転電気機械 - Google Patents

回転電気機械

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Description

本発明は、回転電気機械に係り、特に、効率的な運転を実行する場合に好適な回転電気機械に関する。
回転電気機械としてのモータの特性を変化させる技術としては、特許文献1や特許文献2に開示されているように、内部巻き線の接続形態を切り替えるという事が提案されている。例えば特許文献1は、工作機用のモータに関する技術であり、3つの相により構成されるコイルをステータとし、各相を構成するコイルを巻回数の異なる複数のコイル要素により構成している。そして、高速回転時には、コイル全体の巻回数が少なくなるように、低速回転時には、コイル全体の巻回数が多くなるように、1から複数のコイル要素を選択的に直列接続する構成としている。
また、特許文献2には、主に電動工具または自動車用のスタータジェネレータ用のモータに関する技術が開示されている。特許文献2に開示されているモータも、特許文献1に開示されているモータと同様に3つの相により構成されるコイルをステータとしている。そして、各相を複数のコイル要素により構成し、各相を構成する複数のコイル要素を、直列または並列に接続切り替えする事のできるスイッチ装置を備える構成としている。このような構成とする事で、直列接続では、コイルにより励磁される磁界が強くなりトルクの向上を図る事ができ並列接続では、磁界が弱くなることで、高速回転を実現させることができる。
また、特許文献3、4には、複数の相を有するコアレスモータにおいて、各相の接続方式を直列、または並列と定めることで、モータの特性を異ならせることができる旨の記載がある。さらに、特許文献5には、固定コイルを有するモータにおいて、3相のコイルを構成するコイル要素の接続方式を直列と、並列に切り替える際、回路を用いる旨の記載がある。
特許第3596711号公報 特表2010-537621号公報 特開2014-121102号公報 特開2019-54628号公報 特開2011-229221号公報
特許文献1、2に開示されている技術によれば、確かにモータの特性を変化させ、複数のモータの作用を1つのモータにより実現する事が可能となると考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、実質的にコイルの巻き数が変化するため、高回転域においては極端にトルクが低下する虞がある。また、特許文献2に開示されている技術は、鉄心の影響により自己インダクタンスが大きく、スイッチングから特性変化までの間にタイムラグが生じることが懸念される。
また、特許文献3、4に開示されているコアレスモータは容量が小さなものである。このため、使用段階においてモータの特性を切り替えるという概念が生じ得なかった。また、コアレスモータを大容量化した場合、ステータコイルがロータを回転させる際の反トルクを受けて変形する虞があり、大容量化には向かないというのが当業者における常識とされてきた。よって、特許文献5に開示されているようなコアドモータの技術をそのまま適用する事はできないという技術常識があった。
そこで本発明では、上記課題を解決すると共に従来の技術常識を打開し、コアレスモータの大容量化にも適用出来て、かつ、高回転時においても所定のトルクを維持しつつ、特性切替時の応答性を高める事のできる回転電気機械を提供することを目的とする。
以下の説明において、コイル要素とはコイル体を形成するコイル単位(パーツ)であり、各コイル要素は同形、同質である。
上記目的を達成するための本発明に係る回転電気機械は、永久磁石とステータとステータコイルを備え、前記ステータコイルが複数相から成り、各相について、短コイル要素を2本と、前記短コイル要素の2倍の長さの長コイル要素2本とを併用することで前記短コイル要素6本分のコイル要素を用いて構成し、前記短コイル要素6本を使用するよりもコイル要素間接点数を減らし、使用する全コイル要素を直列に繋げた第1のパターンと、前記短コイル要素2本を直列に繋げて1本の長コイル相当のコイル要素にしたものと前記長コイル要素2本とを並列に繋げた第2のパターンと、前記短コイル要素と前記長コイル要素を直列に繋げたコイル要素2組を並列に繋げ、若しくは2本の前記長コイル要素を並列に繋げたものと2本の前記短コイル要素を並列に繋げたものとを直列に繋げた第3のパターンとを、接続切替できるようにしたことを特徴とする。尚、回転数とトルクの関係における最高回転数を前記の第2のパターンとし、起動時の回転数を前記の第1のパターンとし、中間の回転数は前記第3のパターンで得るようにすることが好ましい。また、回転数ゼロから第1のパターンに切り替わるまでの回転数の間隔と、第1から第3のパターンに切り替わるまでの回転数の間隔と、第3から第2のパターンに切り替わるまでの回転数の間隔とが、実質的に同じ幅となるように切り替えるようにすることが使い勝手良く、運転者も操作し易く使い心地が良い。尚、長コイル要素は最初から長コイル使用で調整された1本のコイル要素でも良いし、短コイル要素同士を直列に配置してその接合間にスイッチを介在させないよう直接(つまり接点レス)繋げたものでも良い。
また、上記目的を達成するための本発明に係る回転電気機械は、永久磁石とステータとステータコイルを備え、そのステータコイルが複数相から成り、各相について、長コイル要素は短コイル要素の倍の長さでなくとも、短コイル要素の長さのN倍の長さの長コイル要素がN本と短コイル要素N本(Nは整数)で構成しても良い。
本発明を適用するに好適な回転電気機械はコアレスモータであるが、それはコアドモータのような鉄心を有さないことからインダクタンスが小さくなるからである。その意味ではコアドモータであっても鉄心歯の無いスロットレスタイプのモータも好適である。
また、上記した本発明の回転電気機械は短コイル要素を2本用意しているが複数本を長コイル要素相当長さに直列に繋がっていても良い。また、長コイル要素も2本には限定されず複数本用意して良い。
要するに、短コイル要素と長コイル要素(2つの短コイル間を接点無しに直接つなげたものも含む概念)の併用により、全てを短コイル要素(=通常従来から用いられているコイル要素)で構成した場合に比べてコイル要素間の接点数(スイッチの数)を減らすことができる。
本来であればコイル要素総数に見合った切替パターンが用意できるのだが、本発明においては敢えて可能パターンのいくつかを不使用の状態にしている(コイルの接点数が減るから不使用パターンができる)。接点数が減れば不良発生リスク、故障リスクは減り、コスト低減にもつながる。T(トルク)-N(回転数)特性の観点から、回転数はほぼ近い幅(間隔:差分)で切り替わることが運転者にとって快適であり使い勝手が良い。そのような切り替わり回転数の間隔の平均化を狙えば細かいコイルパターンを間引きして良いと本発明者は考えた。また、総コイル要素数(前述のコイル全長)に対応する最高回転数は通常は使わぬようにし(不使用とし)、本発明のコイル組み合わせで可能な範囲の上限を通常使用における最高回転数とすれば良い。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械において前記ステータコイルは、円筒状を成す構造とするのが良い。このような構成とすることで、モータの内部空間に空隙を設ける事が可能となる。よって、モータの内部空間を有効活用する事も可能となる。さらに、耐変形性を有する事により、モータ容量を大きくした場合であっても、ロータが回転する際の反トルクによるステータコイルの変形を防ぐことができる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械において前記ステータコイルは、U、V、Wの3相から成ると良い。このような特徴を有する事によれば、コイルや回路数の煩雑化を避け、量産時における製造コストの低減を図る事が可能となる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では、前記コイルは、リッツ線を用いて構成すると良い。このような特徴を有する事により、ステータコイルの形状維持のための強度を得る事ができると共に、ステータコイルに鉄板や銅板を使用する必要が無くなるため、自己インダクタンスの低減を図ることができる。
上記のような特徴を有する回転電気機械によれば、従来の技術常識に無い大容量化にも対応し、高回転時においても所定のトルクを維持しつつ、特性切替時の応答性を高める事が可能となる。さらに加えて、コイル要素間接点の数を減らせるから不良リスクや故障リスクが減り、コスト低減にも寄与する。
本発明の実施例に係る回転電気機械におけるステータコイルの回路構成のパターンとT-N特性の関係を説明する図である。 図1の実施例をアレンジした回転電気機械におけるステータコイルの回路構成のパターンとT-N特性の関係を説明する図である。 図1の実施例のコイル及びスイッチの接続回路図の1例である。 図1の実施例のコイル及びスイッチの接続回路図の図3とは別の例である。 図3の案の回路図をU、V、Wの3相分併記した図である。 本発明の回転電気機械の構造例を説明する側断面図である。 本発明の各実施例に適用できるコイル切替装置を含めた回転電気機械の動作用システム図である。 本発明の各実施例に適用できるスイッチング素子を用いた回路部に指令信号を出力する制御部の構成例を示す図である。 本発明の他の実施例に係るステータコイルの接続パターン例を説明する図である。 本発明の更に他の実施例に係るステータコイルの接続パターン例を説明する図である。 本発明の他の実施形態に係るコイル要素パターンを示す図である。
以下、本発明の回転電気機械に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態としては、回転電気機械としてモータを例に挙げて説明する。
[基本構成]
まず、図6を参照して、本実施形態に係るモータ装置10の基本構成について説明する。本実施形態に係るモータ装置10は、ハウジング12と、回転軸14、ステータコイル18、及びロータ16を基本として構成される、いわゆるコアレスモータである。ハウジング12は、外殻を構成する要素であり内部空間に回転軸14やステータコイル18、及びロータ16を収容している。回転軸14は、ハウジング12を貫通するように配置され、ハウジング12との交点に備えられた軸受12aにより、回転自在に支持されている。
ステータコイル18は、複数の相(本実施形態ではU相、V相、W相の3相)に分けられたコイル要素群により、円筒状を成すように構成されている。ステータコイル18を構成するU相、V相、W相は、それぞれ極を構成する複数のコイル要素から成っている。このような構成のステータコイル18は、一方の端面が固定部材であるステータ(図6に示す例ではハウジング12)に支持されるように構成されている。
また、ロータ16は、円筒状を成すアウターヨーク16cとインナーヨーク16b、及び永久磁石16aを有し、一方の端面が回転軸14と接続されている。アウターヨーク16cは、上述したステータコイル18の外周側(円筒中心を基点とした半径方向外周側)に位置する要素であり、インナーヨーク16bは、ステータコイル18の内周側に位置する要素である。また、本実施形態に係るモータ装置10では永久磁石16aを、アウターヨーク16cの内側であって、ステータコイル18の対向面に備えるように構成している。
このような構成のコアレスモータは、動力発生源と回転軸14とが離れている事より、モータの大きさに比して大きな出力、及びトルクを得る事が可能となる。また、ステータコイル18が鉄心を備えないため、自己インダクタンスを小さく抑える事ができる。
さらに、本明細書の各実施例では、ステータコイル18を構成する際、巻き線にリッツ線を用いると共に絶縁層によるコーティングで形状形成する構成としている。なおリッツ線は、複数の導電細線が束ねられて構成されており、各導電細線の外周は、エナメル層で覆われている。さらに、その導電細線(束としての導電線)の外周には、ガラス繊維のような繊維状物による外皮層が設けられている。
このような構成により、形状維持のために鉄板や銅板を用いる事による渦電流の発生(渦電流損)を抑制し、自己インダクタンスの低減を図る事に寄与することができる。
[第1実施形態]
先ず図1から図5を参照して、第1実施形態に係るモータ装置10の詳細な構成について説明する。なお、本実施形態に係るモータ装置10もその基本構成は、図6に示す構成である。
本実施形態に係るステータコイル18は、短コイル要素と長コイル要素を併用していることが特徴である。本実施形態においては、長コイル要素は短コイル要素を2倍にした長さとしている。ここで、“短コイル要素”、“長コイル要素”という文言は、以下の説明についての便宜上用いた表現であるが、要するに通常用いるコイルを本願では短コイル要素と呼び、その2倍の長さのコイル要素を本実施形態では長コイル要素と呼んでいる。本実施形態では、この短コイル要素を2本と長コイル要素を2本の、合計4本のコイル要素を用いている。
例えば長コイル要素A、Bが夫々20ターン、短コイル要素C、Dが夫々10ターンのもので構成(A、BがC、Dの2倍の長さ(ターン))されているとする。そうすると2つの長コイル要素と2つの短コイル要素から全部で短コイル要素6つ分の能力が潜在するコイル体になる。しかしながらコイル要素材料数は合計4本で接点数が少なくなっているので、図1に示すようにパターンはA、B、C、Dが全部直列で逆起電圧は6V、抵抗値は6Ω(1コイル要素につき1V、1Ωと仮定)になるものと、AとCの直列(つまり短コイル要素換算で、短コイル要素3本分)とBとDの直列(つまり短コイル要素換算で、短コイル要素3本分)を並列にして3V、1.5Ωになるものと、A(つまり短コイル要素換算で、短コイル要素2本分)とB(つまり短コイル要素換算で、短コイル要素2本分)とC+Dを直列に繋げたコイル要素を並列にして2V、0.67Ωになるものの計3パターンが用意できることになる。仮に長コイル要素AやBが短コイル要素であったなら6コイル要素全部並列のようなパターンも作れるが、本発明においては長コイル要素と短コイル要素を併用しているから6コイル要素全部並列のようなパターンは作れない。
図1のT-N特性図は、これらの3パターンの特性を記入している。各パターン毎にモータが構成されるため、本発明では3つのパターンのモータが1つのモータ装置に内在することになり、コイル要素の接続切り替えによって3つのモータに変貌していくことになる。図1の縦軸は回転数でありスピードに相当し、横軸はトルクとなる。縦軸、横軸、夫々の目盛りは等間隔であるが、イメージ図の為、具体的数字は省略した(例えば縦軸の一番上の目盛りを2000rpmに設定しても良いし10000rpmに設定しても良く、スピードに置き換えても良い。横軸もしかりである)。
第1のパターンとして長短のコイル要素2つずつを全て直列に繋げた場合、第1のパターンにより構成されるモータの最高回転数は6V/6V=1となり、縦軸の目盛り1からトルク目盛り1の線のようになる。次に、第2のパターンとして長コイル要素1本+短コイル要素1本を直列に繋げたコイル要素を2つ並列に繋げた場合、逆起電圧は3Vとなる。このため、第2のパターンにより構成されるモータの最高回転数は6V/3V=2となって図1の縦軸の目盛り2とトルク2を結ぶ線のようになる。そして第3のパターンとして短コイル要素C+Dを直列に繋げたコイル要素と長コイル要素A、Bとを並列に繋げた場合、逆起電圧は2Vとなる。このため、第3のパターンにより構成されるモータの最高回転数は6V/2V=3となり、図1の目盛り3とトルクの目盛り3を結ぶ線のようになる。このように3パターンを作ると、第1のパターンのモータと第2のパターンのモータとの最高回転数の間隔は、第2のパターンのモータと第3のパターンのモータとの最高回転数の間隔と実質的に等しくなる。
なお、このようなパターン切り替えによりモータ装置10を構成すると、本来の6コイル要素(短コイル要素6つ)により想定される6パラ相当、つまり縦軸の最上位の目盛り位置の最高回転数を持つモータが存在し無いことになるが、6パラ相当のモータの最高回転数と第3のパターンのモータの最高回転数との間隔(差分)が第1~第2や第2~第3のパターンのモータの最高回転数の間隔に比べて格段に大きいので操作者にも装置にも切替ショックが大きくなる。このため、本実施形態では、6パラ相当のモータへの切り替えを無くすことで、ギア機能の切り替えによる操作者や装置へのショックを解消しスムーズな装置運転ができるようになる。
そして図1の特性図の縦軸に示すように、採用するモータの最高回転数間の間隔(全部直列時のモータの最大回転数の場合は回転数ゼロからの間隔を含む)が実質的に近似(使用コイル要素数を全部直列に繋いだ時の最大回転数の(1±0.5)倍の間隔(差分)の範囲)するように前記モータを選定し、この条件に満たないパターンのモータを不使用にして良い。例えば0.5倍未満であれば、切替が細か過ぎて切換制御が複雑化するが、実用上、そこまで複雑化する必要は無い。こうして最大回転数に応じた切替間隔が実質的に等しくなれば運転者の感覚的負担が軽減される。また、切替間隔の均一化は装置に対しても負担軽減になる。
図2には第1実施形態の代案を説明している。第1実施形態では長コイル要素が最初から短コイル要素の2倍長さで巻かれたものとしているが、図2の例では長コイル要素という素材を使わずに全て通常コイル(=本願において短コイル要素と呼んできたもの)で構成し、その通常コイル要素(短コイル要素)2本を接点無しで直列に繋げたものを第1実施形態の長コイル要素相当として用いている。そして短コイル要素の6パラ相当(6つの短コイル要素を全部並列に繋げる)は使わず、4Vパターン(4つの短コイル要素を直列に繋げたものと、不使用となるコイル要素から成る)も使わないので第1実施形態と結果的に同様の構成になり同様の効果を得ることができる(以下、図1、図2共通の例として説明する)。
この実施形態のスイッチとコイル要素の回路図は各相について図3の例と図4の例が挙げられる。図3の例では各相につきスイッチが13個必要になるが、スイッチ数は少なくて済み、各切り替えにより生じるモータの最大回転数の差分(間隔)は近似することとなる。図4の例では各相につきスイッチが11個必要になるが、図3の例よりも更にスイッチの数を減らすことができる。同じ長さのコイル要素6本(6コイル要素)であればスイッチ数は15個必要になる。一方、同じ長さのコイル要素4本(4コイル要素)であればスイッチ数は9個必要になるが、本例は本来の6コイル要素よりも必要スイッチ数を少なくできる。
図5は図4の案をU、V、Wの3相分併記したものである。尚、空白の四角はスイッチを示している。
ところで以上の説明では短コイル要素と長コイル要素を夫々2本用いているが本発明はこれに限定されず、要するに接点数を減らすべく通常コイル要素(=短コイル要素)と通常コイル要素の2倍の長さのコイル要素(=長コイル要素)とを併用することを特徴としている。従って長・短各コイル要素数には限定されないが、併用に当たっては循環電流が発生しないような接続工夫をすべきである。
[効果]
このような構成のモータ装置10によれば、高回転域においても所定のトルクを得る事ができる。また、コアレスモータやスロットレスモータに適用すればコイルに鉄心を備えないから自己インダクタンスを小さく抑える事ができ、回路部による接続切り替えによるスイッチングから特性切り替えに至るまでの応答性を高める事ができる。そして何より接点数が少ないので不良や故障の要因を減らしつつコスト低減に寄与するという効果が得られる。
一般的に、モータを高トルクにする事とモータの最大回転数を上げることとは、トレードオフの関係にあり、モータを高トルクにしようとすると最大回転数が低くなり、モータの最大回転数を上げようとすると最大トルクが低くなる。そこで従来は電源の高電圧化による高回転化と電源の大電流化による高トルク化が図られて来た。しかしながら、こうした制御方式では安全面での課題や技術的限界がある。そこで本発明者等は、特性が異なるモータを電気的に自動的に切り替えることを考え、この従来の課題を解決した。このような手段を講じる事により、モータ装置自体は1つとした上で、例えばLowギア、2´ndギア、Topギアのように複数段の回路切替(コイル切替装置によるコイル要素接続の切り替え)を可能にし、特性が異なる複数のモータを自動で切り替えることと同様な効果を得ることが可能となる。
ここで、Lowギアは高トルク、低回転数であり、少ない電流で高トルクを発生できる。Lowギアにおいて回転数を向上させるためには、高電圧が必要となるが、Lowギア段階では低回転数での運用となるため高電圧が必要となることはない。また、2´ndギアでは中トルク、中回転数となり、Topギアでは低トルク、高回転数(低い電圧で高速回転が可能)となる。Topギアにおいて高トルクを得るためには大電流が必要となるが、Topギア段階では低トルクでの運用となるため大電流が必要となることはない。
このように、モータに対してコイル要素接続の切換え機能を付与することにより、1台のモータ装置で様々な走行シーンに対応できるようになる。従ってドライバの高電圧出力化、及び大電流出力化も不要となり、モータ装置に対する過負荷が低減され、モータ装置の温度の急上昇を抑制することができる。
以上に述べた通り、本発明に係るモータ装置10では、各相のコイル要素の位置及び数を選択することによって直列のLo状態と、複数の並列(例えばセカンド、サード)や直列・並列の混用と言ったコイル要素の接続パターンの切り替えによって、3段以上の特性切り替えを可能にできる。すなわち、各相のコイル要素の位置及び数を選択することによって、接続形式を直列形式、及び複数パターンの並列形式に切り替え可能とすることができる。このため、自転車、バイク、所謂シニアカー、車椅子、自動車などの電動車両に適用した場合には、機械式のギアを介装させる事無く複数段のギア切り替え相当の機能(コイル要素接続の切替)が可能となる。なお、このような構成は、本発明に係るコアレスモータのみならず、コアドモータにも適用することができる。
本発明に係るモータ装置10を電動車の推進用の動力に適用する場合、適用対象とする電動車の車両速度(車速)をエンコーダやレゾルバにて検出し、検出した車速値に基づいて本件のコイル要素の接続切替の適用をする。車速の検出に関しては、図示しないセンサ等を用いて行うようにしても良く、従前(既知)の様々な方式を用いることができる。尚、コイル要素の接続切替のタイミングはこのように種々の速度検知による切替タイミング設定を施したコイル要素接続パターン切替装置80(図7参照)によって行われる。
図7のシステム図ではコントローラ31、ドライバ40、コイル要素接続パターン切替装置80とモータ装置10の接続関係を示している。先ずコントローラ31は、スロットル情報と速度情報から、モータ装置10から出力するトルクを決定する。スロットル情報はスロットル開度であり、例えば、スロットルを閉じている場合は0%、フルスロットルの場合は100%になる。尚、コントローラ31では自動か手動でギア値が選択される。選択されたギア値とトルク値からモータ電流を計算する。尚、モータ電流計算にはギア毎のトルク定数情報が与えられている。
ドライバ40は、モータ電流値がコントローラ31からの指令値となるようにモータ装置10を制御すると共に、速度情報としてモータ装置10の回転数(速度)Nをコントローラ31に与える。ギア選択に関しては、回転数が低い場合はローギア、高い場合はギアを上げることになる。トルクは、コントローラ31に予め記憶されているトルクマップに従い決定される。このトルクマップは、例えば複数のスロットル状態、および、複数の速度(回転数)それぞれに対するトルク値で構成されており、実際のスロットル状態と速度と、このトルクマップから補間計算により実際に出力すべきトルクが計算される。例えば、スロットルが閉じている(0%)場合、20%開いている場合、40%開いている場合、60%開いている場合、80%開いている場合、フルスロットル(100%)の場合、の全6種類のスロットル情報と速度に対する出力すべきトルクがトルクマップとしてコントローラ31に記憶されている。そしてコントローラ31は、速度(回転数)Nとスロット情報と、このトルクマップからトルク値を算出する。スロットル値が前述の6種類(0%、20%、40%、60%、80%、100%)以外の場合には、補間計算によりトルク値を算出する。
以上により、ギアの切り替えは今まで説明した通りコイル要素接続パターン切替装置80にてコイル要素接続パターンの切り替えを行うことにより実行される。こうしてギアはモータ装置10の回転数に応じて切り替わる。
コントローラ31は出力すべき所定のトルクを出すために必要な電流値をギア毎に計算しドライバ40に指示する。ドライバ40に対する電流指令はギア切替指示と同時に実行され、従ってギアを切替え時の出力トルク変動は非常に小さく、円滑な切替が実現される 。すなわち、切替前後でトルクが変わらないような電流指令を、切替と同時に行うから、円滑な切替となる。例えば、1速ではトルク定数が0.4Nm/A、2速ではトルク定数が0.2Nm/Aであるシステムを想定すると、ギアが1速で出力すべきトルクが1Nmであった場合、コントローラ31は2.5Aの電流指令をドライバ40に指示する。回転速度が上昇してきて、2速に切り替えることになった場合は、コントローラ31は切替指令と同時にドライバ40に与える電流指令を2.5Aから5Aへ変更する。これにより、切替前後でモータ装置10から出力されるトルクは1Nmに保たれ、円滑な切替が実現されることになる。
ところで、以上の実施形態に示した回路はモータ装置10に内蔵させることができる。回路をモータ装置10内に収める場合には特に、コアレスモータ特有の内部空間を有効に活用することができる。さらに、コアレスモータは、必ずしも回転軸14を設けなくとも、回転電気機械としての機能を保つことができる。これは、回転軸14とロータ16がコアにより接続されていないために可能とされる構成であり、例えば、ロータ16に直接、入出力機器の回転軸を接続することで実現することができる。このような構成とした場合には、モータ装置10の内部が中空構造となることより、内部空間をより有効に活用することが可能となる。
また、上記実施形態では主に、モータ装置10の回転数に基づいてコイル要素接続パターン切替装置80による切り替えを行う旨説明している。しかしながら、本発明に係るモータ装置10を電動車の推進用の動力に適用する場合、適用対象とする電動車の車両速度(車速)を検出し、検出した車速値に基づいてコイル要素接続パターン切替装置による切り替えを行うようにすることもできる。なお、車速の検出に関しては、図示しないセンサ等を用いて行うようにすれば良く、従前(既知)の様々な方式を用いることができる。
モータ装置10を回転させるべく複数相(上記説明では3相)必要だが、夫々の相について切り替え方は同じになる。なお、切替操作はオートでもマニュアルでも良く、3段以上の切り替えが可能であることが本実施例の本質になる。切替の操作は、例えば図7のシステムと図8のギア切替操作手段30により段数を選定し、その選定指示をコントローラ31に送り、コントローラ31にて操作信号Sinをシフトレジスタに送ることになる。
本発明の実施態様に用いている仕組回路について図8により説明する。図8は回路構成の全景となり、ブロックを構成する回路図の例を示す。なお、図8に示す例は、U相を構成するブロックにおける回路図の例であるが、V相、W相を構成するブロックについても同様な構成となる。例えばLu1hについては、V相の場合Lv1h、W相の場合Lw1h、Lu2hについては、Lv2h、Lw2hとなる。また、Lu1lはLv1lとLw1l、VuはVv、Vwにそれぞれなる。
上記実施形態では、コイル要素の数や回路部の数を限定的なものとしているが、コイルや回路の数を増減させ、コイルを直列接続と並列接続させる際の組み合わせを増やすようにしても良い。また、コイル要素の接続形態の組み合わせを増やすだけでなく、用途に応じた適正回転数やトルクを選定し、コイルの接続形態の組み合わせを限定的に定めるようにしても良い。例えば、電動工具などの初期動作のトルクよりも回転数を稼ぎたい用途への適用する場合には、高回転域の特性運転を行う事ができるコイルの組み合わせを選択切り替えできるようにすれば良い。
また、上記実施形態では、コイル要素の接続形態の切り替えを理解しやすくするために、回路部(スイッチ)を機械的に示しているが、スイッチは、半導体チップにより、同様な機能を持たせるようにしても良い。
また、上記実施形態では、いずれもステータコイル18の形態については、円筒状とする旨記載した。しかしながら、本発明に係るモータ装置10は、ステータコイルを円盤状に配置した形態についても含むものとすることができるし、コアレスモータに限定せず、スロットレスモータを含むブラシレスモータに展開できる。スロットレスモータはコアドモータではあるが鉄心歯が無いのでその分鉄損が無く、インダクタンスが小さくなる点はコアレスモータに準じている。
図9に長コイル要素と短コイル要素を組み合わせて短コイル要素換算で10コイル要素分のコイル要素接続パターン例を説明する。パターン(A)、(E)、(J)、(N)はいずれも1本の長コイル要素と8本の短コイル要素で成り、パターン(B)、(F)、(G)、(K)、(O)はいずれも2本の長コイル要素と6本の短コイル要素で成り、パターン(C)、(H)、(L)、(P)はいずれも長コイル要素3本と短コイル要素4本から構成され、パターン(D)、(I)(M)、(Q)はいずれも長コイル要素4本と短コイル要素1本で構成され、夫々、図示のように長コイル要素と短コイル要素が接続されている。尚、各パターンの図中にスイッチは省略している。
本発明のコイル要素接続パターンは、この図に示すパターンに限定されるものではないが、短コイル要素と長コイル要素(短コイル要素2本を接点無しに直接に接合して1本のコイル要素として構成されている場合を含む)との併用が必須で有り、この長コイル要素を分解して使う事はない。これにより、接点が少なく、スイッチを減らしているが切換制御としてはトータルの短コイル要素換算数分(つまり図9の例では10コイル要素分)のギア切替幅を得ることができる。
以上の例では長コイル要素の長さを短コイル要素の長さの2倍に設定しているが、本発明は接点を減らすべく長さの異なるコイル要素を併用することが特徴であり、長コイル要素の長さを短コイル要素の長さの2倍にすることには限らない。ただし任意の数を使用すると循環電流の懸念がある。そこで短コイル長要素の長さ:長コイル要素の長さ=1:Nとし、長コイル要素N本、短コイル要素N本を用いる例も本発明の範囲である。例えば図10は短コイル要素3本で長コイル要素1本の長さに相当する。この場合、短コイル要素3本、長コイル要素3本の組み合わせで図10のようなパターンの切り替えができる。
図11は、12コイル要素の例であり、a~lはコイル要素を、sw1~sw27はスイッチを示している。コイル要素a、bとコイル要素g、hはコイル要素間に接点(スイッチ)が無く、半田等で直接接続されるか最初から短コイル要素の長さの倍で形成されている。
各スイッチは箱しか描いていないが夫々開閉機能を有する。中央線上の9つのスイッチsw1~sw9が全てON(開)とし、残りのスイッチを全てOFF(閉)にすれば逆起電圧は12Vになる(1コイル要素につき1Vと仮定)。こうしてsw1~sw27の開閉を選択しコイル要素の接続の仕方を多数に切り替えることができるが、この場合でも12コイル全てを並列にした12パラの使い方は不使用にし、巻き数の多いコイル要素(長コイル要素相当)を用いることで接点数を減らすことができる。
尚、T-N特性の縦軸(回転数相当)の想定最大値を12パラの12とすれば、縦軸の中心は6となるが、この状態は高速下の風の影響による負荷が増えて6には届かないと考えられる。そこでコイル要素数は12個分でも実際に切り替える最大回転数は6未満で良いことになり、最大回転数間の間隔が均等化する最大回転数1(12Vの接続パターン)、最大回転数2(sw1~sw4、sw6~sw9、sw14、sw23の計10スイッチをON、他をOFFにする。6コイル要素直列が2系列になる)、最大回転数3(sw1、sw2、sw4、sw5、sw7~sw9、sw12、sw15、sw21、sw24をON、他をOFFにし、4コイル要素直列を3系列作る)、最大回転数4(sw1、sw3、sw4、sw6、sw8、sw9、sw11、sw14、sw16、sw20、sw23、sw25をON、他をOFFにする(3コイル要素直列を4系列)だけを選択使用することにしてスイッチを減らすことも有効である。
10………モータ装置、12………ハウジング、12a………軸受、14……… 回転軸、16………ロータ、16a………永久磁石、16b………インナーヨーク、16c………アウターヨーク、18………ステータコイル、30………ギア切替操作手段、31………コントローラ、32………シフトレジスタ、33………NOR素子、34………NOT素子、35………AND素子、36………AND素子、37………U相ブロック、38………V相ブロック、39………W相ブロック、A,B………長コイル要素、C,D………短コイル要素。

Claims (4)

  1. 永久磁石とロータ、及びステータコイルを備え、
    前記ステータコイルが複数相から成り、各相について、短コイル要素を2本と、前記短コイル要素の2倍の長さの長コイル要素2本とを併用することで前記短コイル要素6本分の コイル要素を用いて構成し、
    各コイル要素間に接点を配置する構成とし
    使用する全コイル要素を直列に繋げた第1のパターンと、
    前記短コイル要素2本を直列に繋げて1本の長コイル相当のコイル要素にしたものと前記長コイル要素2本とを並列に繋げた第2のパターンと、
    前記短コイル要素と前記長コイル要素を直列に繋げたコイル要素2組を並列に繋げ、若しくは2本の前記長コイル要素を並列に繋げたものと2本の前記短コイル要素を並列に繋げたものとを直列に繋げた第3のパターンとを、接続切替できるようにしたことを特徴とする回転電気機械。
  2. 永久磁石とロータ、及びステータコイルを備え、
    前記ステータコイルが複数相から成り、各相について、N本(Nは2以上の整数)の短コイル要素と、前記短コイル要素のN倍の長さの長コイル要素N本とを併用すると共に、各コイル要素間に接点を配置する構成とし、
    全コイル要素を直列に繋げた第1のパターンと、
    前記短コイル要素N本を直列に繋げて1つのコイル要素としたものを1本と前記長コイル要素N本とを全て並列に繋げた第2のパターンと、
    前記短コイル要素と前記長コイル要素を直列に繋げたものをN本並列に繋げ、若しくはN本の前記長コイル要素を並列に繋げたコイル要素とN本の前記短コイル要素を並列に繋げたコイル要素とを直列に繋げた第3のパターンとを、接続切替できるようにしたことを特徴とする回転電気機械。
  3. 永久磁石とロータ、及びステータコイルを備えた回転電気機械であって、
    前記ステータコイルが複数相から成り、各相について、短コイル要素N本(Nは2以上の整数)と、前記短コイル要素のN倍の長さの長コイル要素N本とを併用すると共に、各コイル要素間に接点を配置する構成とし、
    構成するコイル要素の接続を切り替えることによって夫々の切替パターンごとに前記ロータのT-N特性を異ならせ、任意の2つの前記切替パターンの各最大回転数の間隔(全コイル要素直列時の最大回転数の場合は回転数ゼロからの間隔を含む)が、実質的に等しくなるように前記切替パターンを選択することを特徴とする回転電気機械。
  4. 前記長コイル要素は、前記短コイル要素2本を接点無しで直列接続したもので構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電気機械。
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