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JP7849700B2 - 新規酢酸菌とその利用 - Google Patents
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JP7849700B2 - 新規酢酸菌とその利用 - Google Patents

新規酢酸菌とその利用

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NPMD NITE P-04018
本発明は、グルコンアセトバクター・タカマツズケンシス (Gluconacetobacter takamatsuzukensis) に帰属する新規の酢酸菌株と、その利用に関する。
酢酸菌は、一般的に醸造酢の生産に用いられる発酵用微生物であるが(特許文献1など参照)、更に生体(例えば人体)の生理機能などに対する酢酸菌の効果に関する報告がいくつかある(特許文献2~6)。特許文献2には、酢酸菌の菌体を含む免疫賦活剤が開示されており、当該免疫賦活剤が抗体生産を高めることが示されている。特許文献3には、酢酸菌が乳酸菌(腸内細菌)の増殖を促進することが示されている。特許文献4には、酢酸菌を含むアレルギー症状改善用組成物が開示され、ホコリやハウスダストなどによる鼻の不快感が軽減されることが報告されている。特許文献5には、酢酸菌がビフィズス菌(腸内細菌)の増殖を促進することが示されている。特許文献6には、プラズマサイトイド樹状細胞を活性化する酢酸菌を含有する免疫賦活組成物が記載されている。しかしながら、健康食品市場などでの酢酸菌の原料化は殆どなされておらず、酢酸菌の機能性に関する知見は未知な部分が多い。
酢酸菌は、代表的な種類として、グルコンアセトバクター(Gluconacetobacter) 属、アセトバクター(Acetobacter)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属等を挙げることができる。また、グルコンアセトバクター属の酢酸菌として、グルコンアセトバクター・タカマツズケンシス(Gluconacetobacter takamatsuzukensis)(T61213-20-1a)が報告されている(非特許文献1参照)。
また、インターロイキン12 (IL-12) は、マクロファージや樹状細胞から分泌されるサイトカインであり、免疫賦活作用が報告されている。それを踏まえて、マクロファージ細胞においてIL-12発現を亢進する特定の乳酸菌を、プロバイオティクスとして用いることが提案されている(非特許文献2参照)。
特開昭63-059874号 特開昭58-105923号 特開2016-106528号 特開2021-059522号 特開2022-188416号 特開2023-085212号
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology (2013), 63, 3981~3988, Gluconacetobacter tumulisoli sp. nov., Gluconacetobacter takamatsuzukensis sp. nov. and Gluconacetobacter aggeris sp. nov., isolated from Takamatsuzuka Tumulus samples before and during the dismantling work in 2007 前橋工科大学研究紀要 第25巻 第47~48頁 (2022) IL-12発現を亢進するプロバイオティクスの探索・解析
酢酸菌の発酵能や生理機能に対する効果については更なる研究が進められており、とりわけ、酢酸菌の食品や健康食品への適用が試みられている。そのため、これまで見出されていない新規酢酸菌を、発酵用微生物として利用したり、免疫賦活剤として利用したりすることが求められている。そこで本発明は、酢酸菌の新規菌株を提供するとともに、その利用又は用途を提供する。
本発明の第一は、以下に示す新規の酢酸菌に関する。
[1]独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号NITE P-04018で寄託された、グルコンアセトバクター・タカマツズケンシス (Gluconacetobacter takamatsuzukensis) に帰属する株。
[2]サクラの花から単離される、前記[1]に記載の株。
[3]経口的に投与又は服用される、前記[1]又は[2]に記載の株。
本発明の第二は、新規の酢酸菌の形態に関する。
[4]前記[1]~[3]に記載の株の酢酸菌の生菌、又は死菌、あるいはその乾燥粉末又は破砕物。
本発明の第三は、新規の酢酸菌を含む免疫賦活組成物に関する。
[5]前記[1]又は[2]に記載の株の酢酸菌を含有する、免疫賦活組成物。
[6]インターロイキン12の発現を促進する、前記[5]に記載の免疫賦活組成物。
[7]食品用である、前記[5]又は[6]に記載の免疫賦活組成物。
本発明の第四は、新規の酢酸菌を含む発酵用組成物、及びそれから得られる発酵組成物に関する。
[8]前記[1]又は[2]に記載の株の酢酸菌と、被発酵原料と、を含む発酵用組成物。
[9]前記[8]に記載の発酵用組成物から得られる発酵組成物。
[10]食品用である、前記[9]に記載の発酵組成物。
本発明の酢酸菌は新規の菌株であり、当該菌株は、これまでの酢酸菌とは異なる優れた作用を有することが期待され、広範な用途に応用することができる。
本発明の酢酸菌株の分子系統樹である。 本発明の酢酸菌株と基準株である「T61213-20-1a」との、生理・生化学性状に関する対比表である。 本発明の酢酸菌株のコロニー観察、形態観察、及びBarrow&Felthamの各種試験の結果を示す表である。 マウスマクロファージ様細胞(J774.1)に本発明の酢酸菌又は他の酢酸菌を処理した際のIL-12p40の発現量の変化を示すグラフである。
1.本発明の酢酸菌
本発明の酢酸菌は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号NITE P-04018で、2023年11月22日に寄託された菌株であり、「A192株」と称することがある。また、本発明の酢酸菌は、サクラの花から単離され得る。具体的には、淡墨桜(例えば、加納天満宮(岐阜県岐阜市)境内の淡墨桜の移植木)の花から単離することができる。
1-1.菌種の同定
本発明において新規に取得した細菌(淡墨桜の移植木の桜の花から単離)がグルコンアセトバクター・タカマツズケンシス(Gluconacetobacter takamatsuzukensis)であることは、微生物同定システム「ENKI」(株式会社テクノスルガ・ラボ)を用いたDB-BA及び国際塩基配列データベース(DDBJ/ENA(EMBL)/GenBank)に対するBLAST相同性検索と形態学的及び生理学的性状の評価結果(図2及び図3参照)により同定された。
より具体的には、本発明の酢酸菌を以下の表1に示す培地で培養し、表2に示す手法で分析した。
本発明の酢酸菌についてのカタラーゼ反応、オキシダーゼ反応、グルコースからの酸/ガス産生、グルコースの酸化/発酵(O/Fテスト)を評価した。その結果を図3に示す。図3に示されるように、本発明の酢酸菌は、グラム陰性桿菌であり、カタラーゼ反応陽性、オキシダーゼ反応陰性で、グルコースを発酵した。
1-2.本発明の酢酸菌の特性
本発明の酢酸菌は、G. takamatsuzukensis に帰属する菌株であるが、その基準株であるT61213-20-1aとは、糖資化性などにおいて異なる(図2参照)。例えば、本発明の酢酸菌は、D-マンニトールを酸化する点及びマロン酸ナトリウムを資化する点が基準株とは異なる。また、本発明の酢酸菌は、1-プロパノール、エタノール、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムの資化性が基準株と比較して弱い。これら糖資化性などの違いから、本発明の酢酸菌は新規の菌株である。また本特性が、免疫賦活活性の違いなどの原因になっている可能性もある。
2.酢酸菌の利用又は用途
本発明の酢酸菌は、任意の方法で利用され得るが、例えば、生体に投与(特に、経口的に投与又は服用)されることで、生体において種々の機能を発揮しうる。本発明の酢酸菌は、生菌及び死菌(殺菌処理した菌)のいずれの形態で使用されてもよい。また、本発明の酢酸菌は、その酢酸菌を含む発酵物として利用されてもよい。発酵物に含まれる酢酸菌は、生菌及び死菌(殺菌処理した菌)のいずれの形態でもよい。
例えば、本発明の酢酸菌を免疫賦活組成物(後述の2-1参照)の成分として用いる場合には、酢酸菌は生菌でも死菌でもよいが、生菌が生成する酵素などが、免疫賦活組成物の他の成分と相互作用して悪影響を及ぼす可能性があり;また、生菌を含む組成物は安定性に問題があることがある(例えば、生菌を配合する組成物の場合、製剤化において生菌数が減衰することがある)ため、死菌であることが好ましい場合がある。一方で、本発明の酢酸菌は、その用途によっては(例えば発酵用組成物として用いる場合など)、生菌であることが好ましい場合もある。
また、酢酸菌を培養等の処理をして増殖してから使用してもよい。酢酸菌の培養方法としては、特に制限されず、例えば公知の方法に従った方法又は準じた方法を採用することができる。培養に用いる培地は、通常の一般的な培養培地であり得る。例えば、培地は、窒素源として酵母エキス、ペプトン、肉エキス又はコーンスチープリカーなどを含むことができ、炭素源としてグルコース、スクロース、麦芽糖又はアルコールなどを含むことができ、カルシウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩又は食塩などの無機塩類を含むことができる。培養条件も特に制限はないが、好気培養で行うことが好ましく、pHは6.0~7.2の範囲に調整され、温度は20~45℃の範囲に調整され、培養時間は8~100時間程度であり得る。培養方法は特に限定されず、静置培養法、振とう培養法、通気攪拌培養法等により培養することができる。
培養後の培地に含まれる本発明の酢酸菌は、培地に含まれた状態で使用してもよいし、培地から集菌してもよい。集菌は、遠心分離やフィルタープレスによる濾過などにより行い、集菌した酢酸菌体は、水、生理食塩水、リンゲル液などで洗浄され得る。更に酢酸菌は、乾燥処理(凍結乾燥処理など)、低pH下における高温処理等をすることもできる。
本発明の酢酸菌は、湿状菌体であってもよいし、凍結乾燥によって乾燥粉末としてもよい。あるいは、酢酸菌(生菌)を加熱殺菌してから乾燥粉末としてもよいし、菌体破砕物としてもよい。菌体破砕物とは、培養により得られた酢酸菌体を加熱後に物理的に破砕したものであり、破砕は超音波法、ボールミル法、フレンチプレス法などの方法で行うことができる。
本発明の酢酸菌組成物は、酢酸菌だけを含む組成物であってもよいし、酢酸菌とともに任意の添加剤を含む組成物であってもよい。本発明の酢酸菌組成物は、その用途に応じて、含有する酢酸菌の菌数を設定すればよい。組成物に含まれる酢酸菌の菌数は、例えば、酢酸菌を染色することによって可視化し計測することができる。酢酸菌の可視化は、例えば、DAPI染色法を用いることができる。本発明の酢酸菌組成物は、その用途に応じて、適宜公知の方法を利用して製造することができる。
本発明の酢酸菌組成物は、固体であっても液状であってもよい。固体の組成物は、粉末、顆粒、カプセル、錠剤など任意の形態であってよく、また、液状の組成物は、水溶液、懸濁液、ペースト、ゼリーなど任意の形態であってよい。また、本発明の酢酸菌を含む組成物は、典型的には経口によって摂取される場合が多いが、これに限定されるわけではなく、非経口投与されてもよい。
本発明の酢酸菌は、これまでの酢酸菌の用途と同様の用途に適用され得る。好ましくは、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧料等、いずれの用途としても用いることができる。本発明の酢酸菌を飲食品に適用する場合には、例えば、水、清涼飲料水、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンクなどの飲料であったり;パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醤油、味噌、菓子類、クリーム、ソース類、マヨネーズ、ドレッシング、サプリメント等の食品であり得る。また、手軽に摂取しやすいことからカプセル剤(ソフトカプセルやハードカプセル)や錠剤(チュアブル錠などを含む)等のサプリメントが飲食品として好ましい場合がある。
本発明の酢酸菌を適用する飲食品は、一般食品であってもよいが、特定保健用食品(健康増進法第43条第1項に基づいて許可を受けた食品)や、機能性表示食品(食品表示法に基づいて届け出られた食品)などの保健機能食品であってもよい。これら保健機能食品には、その機能を表示することができるため、本発明の酢酸菌が奏する機能(例えば、免疫賦活作用)を表示してもよく、例えば、健常者や境界域者の免疫機能の維持に役立つ旨を表示することができる。
本発明の酢酸菌を飲食品に適用する場合に、当該飲食品には、他の菌や酵母をさらに配合してもよい。他の菌の例には、乳酸菌、ビフィズス菌、麹菌、酪酸菌、納豆菌などが含まれる。
本発明の酢酸菌を飲食品に適用する場合には、任意の他の原料を含んでいてもよい。任意の他の原料としては、例えば、食物繊維;トレハロース、スクラロース、アスパルテーム、オリゴ糖等の甘味料;クエン酸、酢酸、乳酸、リン酸、レモン果汁等の酸味料;グルタミン酸、グリシン、γ -アミノ酪酸(GABA)、タウリン、アラニン等のアミノ酸;蔗糖、乳糖、塩、醤油等のその他調味料;ウコン、肝臓エキス、ケイヒ、ウイキョウ、シャクヤク、甘草等の生薬;コラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタ、コエンザイムQ10、コンドロイチン、ローヤルゼリー等の美容原料;大豆多糖類、グアーガム、キサンタンガム等の増粘多糖類;グレープフルーツ、レモン等の香料が挙げられる。
本発明の酢酸菌を医薬品、医薬部外品、化粧品等に適用する場合には、経口(内服)組成物であってもよいし、外用組成物などであってもよい。外用組成物の例には、皮膚や髪などに適用する組成物や、オーラルケア用の組成物などが含まれる。医薬部外品としての外用組成物は、口中清涼剤、腋臭防止剤、育毛剤、浴用剤、薬用化粧品、薬用歯みがき類などであり得る。
本発明の酢酸菌を含む組成物は、ヒトに投与(摂食など)されてもよいし、その他の動物に投与されてもよい。その他の動物は、哺乳類などを含み、ペットや家畜などであり得る。
本発明の酢酸菌を含む組成物は、好ましくは、各種免疫機能を高める免疫賦活組成物であるか(後述の2-1参照)、発酵用組成物(例えば、アルコール成分を発酵するための組成物)であるか(後述の2-2参照)、腸内環境改善用組成物(後述の2-3参照)、更には各種細菌(例えば、腸内細菌として知られる菌(具体的には乳酸菌やビフィズス菌など))の増殖を促進する組成物(後述の2-4参照)などであり得るが、特に限定されない。これまでの酢酸菌にはない、新しい用途の開発も可能である。
2-1.免疫賦活組成物
本発明の酢酸菌は、免疫賦活組成物の成分として用いることができる。つまり、本発明の免疫賦活組成物は、本発明の酢酸菌を含有する、好ましくは「有効成分として」含有することができる。
本発明の酢酸菌を含む免疫賦活組成物は、例えば、アレルギー症状を改善したり、肝機能の低下を抑制することができる可能性がある。アレルギー症状とは、鼻炎やくしゃみ、鼻汁、鼻閉、鼻のかゆみ等の鼻の不快感、かゆみや異物感、目やに、腫れ等の目の不快感、蕁麻疹や腫れ等の皮膚の症状、せきやぜんそく、呼吸困難等の呼吸器の症状等が挙げられ、その原因物質としては、ホコリ、ハウスダスト、花粉症、食物等が挙げられる。
本発明の酢酸菌を含む免疫賦活組成物は、例えば、1日当たりの酢酸菌の摂取量が、好ましくは1×10個以上、より好ましくは5×10個以上、更に好ましくは2×1010個以上となるように、酢酸菌を含有することができる。1日当たりの酢酸菌の摂取量の上限は特に制限されないが、1×1013個以下であり、1×1011個以下であり得る。なお、組成物中における酢酸菌の数は、任意の方法で測定することができ、例えばDAPI染色法を用いて測定することができる。
本発明の酢酸菌は、インターロイキン12 (IL-12) の発現を促進する効果が高いことが好ましい。インターロイキン12は、一般的に、マクロファージや樹状細胞から発現されるサイトカインであり、免疫賦活作用を有することが報告されている。すなわち、発現されたインターロイキン12 は、ナイーブT 細胞をTh1 細胞へと分化させ、さらにインターフェロンγの産生を亢進し、インターフェロンγはナチュラルキラー(NK)細胞を活性化することでウィルス感染細胞やがん細胞などに対する攻撃を増強し、生体防御能を高めることが知られている。つまり、本発明の酢酸菌は、インターロイキン12の発現を促進することで、免疫賦活作用を発揮することができる。
本発明の酢酸菌によるインターロイキン12の発現促進効果は、例えば、後述の実施例の手順の試験で確認され得る。
2-2.発酵用組成物
本発明の酢酸菌は、発酵用組成物の発酵用微生物として用いることができる。酢酸菌は、アルコール(エタノール)を発酵して酢酸(醸造酢)にすることができるほか、グルコース、ソルビトール、各種多糖類等の炭素源、各種ペプチド、タンパク質等の窒素源、その他の微量成分などを含む生体由来素材などの各種被発酵原料を発酵することができる。そのため、本発明の発酵用組成物は、少なくとも、酢酸菌及び被発酵原料を含む。
本発明の発酵用組成物から得られる発酵組成物は、例えば発酵食品、典型的には醸造酢である。発酵食品とは、微生物によって独特な味や香り、舌触りなどのもともとの食品にはない特別な風味を付与された食品である。醸造酢とは、穀類、糖類、エタノールを原料とし、酢酸菌の作用で生成した発酵酢酸を主成分とする酸性調味料である。醸造酢は、その原料に応じて、穀物酢(米、大麦、トウモロコシ、酒粕などの穀物を原料とするもの)、果実酢(ぶどう、りんご、かきなどの果実を原料としたもの)、アルコール酢(醸造用エタノールを主原料としたもの)などに分類され得る。
本発明の酢酸菌は、いずれの醸造酢の製造のための発酵用微生物としても用いることができる。醸造酢の製造は、糖質を含む原料をアルコール発酵させて、更に本発明の酢酸菌を添加して酢酸発酵させることで行われる。酢酸発酵の手法は、「表面発酵法(静置発酵法)」と「全面発酵法(深部発酵法)」とに大別され得る。表面発酵法は、酒に酢酸菌を添加して混合して静置する。容器の中で液体が自然に循環して酢酸発酵が進行して、一般的には1~3か月で醸造酢が得られる。全面発酵法は、液体を攪拌(かくはん)することで空気を入れ、酢酸発酵を促進する。そのため、通常は、表面発酵法よりも短期間で酢酸が生成する。本発明の酢酸菌は、酢酸発酵の手法によらず、醸造酢の製造のための発酵用微生物として用いることができる。
2-3.腸内環境改善用組成物
本発明の酢酸菌は、生体内における腸内環境を改善するための組成物に適用してもよい。腸内環境の改善とは、腸内フローラの改善や、腸内の細菌(特に、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌)を増殖させることを含む。また、腸内環境の改善により、免疫機能の調整、アレルギー症状の改善、便通改善、脳機能改善、皮膚美容、オーラルケア、体臭改善などの効果も期待される。腸内細菌とこれらの効果との関係は、公知文献にて報告されている。
2-4.細菌増殖促進組成物
本発明の酢酸菌は、他の細菌、特に腸内細菌として知られる細菌を培養する際に増殖促進剤として用いてもよい。つまり、本発明の腸内細菌増殖促進組成物は、少なくとも、本発明の酢酸菌と他の細菌(特に腸内細菌として知られる細菌)とを含有する。腸内細菌とは、好ましくは乳酸菌又はビフィズス菌である。本発明の腸内細菌増殖促進組成物において、酢酸菌と腸内細菌との菌体数比率は特に限定されないが、酢酸菌添加時において、10:1~1:10の範囲であることが好ましく、10:1~1:1の範囲であることがより好ましい。酢酸菌が腸内細菌を増殖させる効果を有することは、前述の特許文献2や4などにて報告されている。
以下において、実施例を参照して、本発明の酢酸菌が免疫賦活組成物の成分として有用であることを示す。
(試験した酢酸菌)以下の3株の酢酸菌を準備した。
菌株1(実施例):Gluconacetobacter takamatsuzukensis(A192、本発明の酢酸菌)
菌株2(比較例):Komagataeibacter saccharivorans(JCM 25288)
菌株3(比較例):Komagataeibacter xylinus(NBRC 13773)
(酢酸菌末の作製)
酵母エキス30g、グルコース60g、硫酸マグネシウム・七水和物3gに水を加え、全量を3kgとして調製した培地を用意した。この培地を用いて各酢酸菌を、30℃で72時間培養した。その後、85℃の温浴中で40分間加温して殺菌した。殺菌後の培養液を遠心分離処理して菌体を回収した。回収した菌体を凍結乾燥し、酢酸菌末を得た。
(被験試料溶液の調製)
得られた各種酢酸菌末を、RPMI1640培養液(10%FBS(ウシ胎児血清)と、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンとを含有する)に加えて、酢酸菌末の濃度を50μg/mLとした。
(インターロイキン(IL)-12の発現と測定)
7.5×10cells/mLに調製したマウスマクロファージ様細胞 (J774.1)を、24ウェルプレートに450μL播種し、37℃、5% CO2 条件下で6時間前培養した。その後、50μLの被験試料溶液、または陰性コントロールとして培地を添加し、37℃、5% CO2 条件下で24時間培養した。培養後の培養上清を回収し、上清中のIL-12p40の量をELISA法にて測定した。測定結果を図4のグラフに示す。
IL-12p40とは、IL-12を構成する2つのサブユニット(IL-12Ap35とIL-12Bp40)のうちの1つである。IL-12p40の発現量が増加していることは、IL-12の分泌量が増加していることを示す。
図4に示すように、本発明の酢酸菌である菌株1は、菌株2や菌株3と比較して、マウスマクロファージ様細胞からのIL-12の発現を促進していることがわかる。IL-12の発現促進は、免疫機能や生体防御能に重要なナチュラルキラー細胞を活性化すると考えられるため、本発明の酢酸菌は、免疫賦活組成物の成分として有用であることがわかる。
本発明の酢酸菌は、従来の酢酸菌とは異なる優れた機能を有しており;これまでの酢酸菌の用途に適用することで、これまで以上の性能を発揮することが期待され、または新しい酢酸菌の用途の開発が期待される。特に本発明の酢酸菌は、免疫賦活組成物の有効成分として用いられることで、動物(特にヒト)の免疫力を高めることが期待される。

Claims (10)

  1. 独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号NITE P-04018で寄託された、グルコンアセトバクター・タカマツズケンシス(Gluconacetobacter takamatsuzukensis) に帰属する株。
  2. サクラの花から単離される、請求項1に記載の株。
  3. 経口的に投与又は服用される、請求項1又は2に記載の株。
  4. 請求項1又は2に記載の株の酢酸菌の生菌、又は死菌、あるいはその乾燥粉末又は破砕物。
  5. 請求項1又は2に記載の株の酢酸菌を含有する、免疫賦活組成物。
  6. インターロイキン12の発現を促進する、請求項5に記載の免疫賦活組成物。
  7. 食品用である、請求項5に記載の免疫賦活組成物。
  8. 請求項1又は2に記載の株の酢酸菌と、被発酵原料と、を含む発酵用組成物。
  9. 請求項8に記載の発酵用組成物から得られる発酵組成物。
  10. 食品用である、請求項9に記載の発酵組成物。
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Miyuki NISHIJIMA et al.,"Gluconacetobacter tumulisoil sp.nov., Gluconacetobacter takamatsuzukensis sp. nov. and Gluconacetobacter aggeris sp. nov., isolated from Takamatsuzuka Tumulus samples before and during the dismantling work in 2007",International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology,2013年,Vol.63, No.11,p.3981-3988,doi:10.1099/ijs.0.051292-0
木村守 ほか著,酢酸菌(Gluconacetobacter hansenii GK-1)のTLR4反応性と乳酸菌との抗アレルギー相乗効果,薬理と治療(ライフサイエンス出版),2019年,Vol.47, No.12,p.2001-p.2006

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