JP7852230B2 - 多孔質膜及び多孔質膜の製造方法 - Google Patents
多孔質膜及び多孔質膜の製造方法Info
- Publication number
- JP7852230B2 JP7852230B2 JP2021194052A JP2021194052A JP7852230B2 JP 7852230 B2 JP7852230 B2 JP 7852230B2 JP 2021194052 A JP2021194052 A JP 2021194052A JP 2021194052 A JP2021194052 A JP 2021194052A JP 7852230 B2 JP7852230 B2 JP 7852230B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- porous membrane
- film
- polymer
- porous
- amphiphilic copolymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
Description
特許文献1では、ポリフッ化ビニリデン多孔質膜を、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとブチルメタクリレートとのランダムコポリマーを溶媒に溶解した溶液に接触させる方法が提案されている。
しかし、本発明者らの検討によれば、特許文献1の方法では、多孔質膜表面をランダムコポリマーにより薄く被覆しようとすると、被覆されていない部分が生じ、その部分に活性汚泥由来の汚れが付着してしまう。このため充分な防汚性が得られない懸念がある。また、充分な被覆率を得ようとすると、多孔質膜の細孔が閉塞してしまい、透水性が下がる懸念がある。
本発明の目的は、防汚性に優れる多孔質膜及びその製造方法を提供することにある。
[1]膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)とを含む多孔質膜であって、
前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)と前記両親媒性コポリマー(B)との組成比が100:10~100:50であり、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下である、多孔質膜。
[2]前記両親媒性コポリマー(B)が、双性イオン構造を含む構成単位を含む[1]の多孔質膜。
[3]両親媒性コポリマー(B)が、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである[1]又は[2]の多孔質膜。
[4]前記膜形成ポリマー(A)が、フッ素含有ポリマーである[1]から[3]のいずれかの多孔質膜。
[5]前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)に対応する292eVのピーク面積と前記両親媒性コポリマー(B)に対応する287eVのピーク面積との比が1.0:0.75~1.0:5.0である、[4]の多孔質膜。
[6]膜形成ポリマー(A)を含む第1の多孔質膜を、両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)を含む液状組成物に接触させる工程を含む、多孔質膜の製造方法。
[7]前記両親媒性コポリマー(B)が、双性イオン構造を含む構成単位を含む[6]の多孔質膜の製造方法。
[8]前記両親媒性コポリマー(B)が、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーである[6]又は[7]の多孔質膜の製造方法。
[9]前記膜形成ポリマー(A)が、フッ素含有ポリマーである[6]から[8]のいずれかの多孔質膜の製造方法。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の総称である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本発明の一態様に係る多孔質膜(以下、「本多孔質膜」とも記す。)は、膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)とを含む。また、本多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析(以下、「XPS」とも記す。)による膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)との組成比が100:10~100:50であり、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下である。
膜形成ポリマー(A)は、本多孔質膜の構成成分の一つである。膜形成ポリマー(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
膜形成ポリマー(A)は、多孔質膜の構造を維持させるためのものである。膜形成ポリマー(A)の組成は、本多孔質膜に求められる特性に応じて選択することができる。
本発明において疎水性とは、ポリマーのバルクの純水に対する接触角が60°以上であることをいう。バルクの接触角とは、ポリマーを後述する溶剤(S)に溶解し、溶解した溶液を流涎した後に溶剤(S)を蒸発させることで平滑なフィルムを形成し、その表面に水滴を付着させたときの接触角をいう。
フッ素含有ポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。フッ素含有ポリマーとしては、多孔質膜に耐酸化劣化性及び機械的耐久性を付与できる点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
膜形成ポリマー(A)として前記範囲の重量平均分子量を有するものを用いる場合、異なる重量平均分子量を有するものを混合して、所定の重量平均分子量を有する膜形成ポリマー(A)とすることができる。
膜形成ポリマー(A)の重量平均分子量は、ポリスチレン又はポリメタクリル酸メチルを標準試料として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求められる。
「両親媒性コポリマー」とは、分子内に親水性部と疎水性部とを含むコポリマーを意味する。「親水性部」は水に溶解しやすい、又は水に膨潤しやすい性質を有する部位(ポリマー鎖)を意味する。「疎水性部」は水に溶解しにくい、又は水に膨潤しにくい性質を有する部位(ポリマー鎖)を意味する。
両親媒性コポリマー(B)は、例えば、1以上の親水性部と1以上の疎水性部とが結合したブロックコポリマー、1以上の親水性部と1以上の疎水性部とが結合したグラフトコポリマー、親水部と疎水部がランダムに結合したランダムコポリマーのいずれであってもよく、それらの混合物であってもよい。多孔質膜表面の親水性を向上させる点では、組成が平均化してしまうランダムコポリマーと比較してブロックコポリマー又はグラフトコポリマーを使用するほうが、疎水部及び親水部の性能をより高く発揮できるため好ましい。
双性イオン構造としては、例えば、スルホベタイン構造、カルボキシベタイン構造、ホスホベタイン構造が挙げられる。
親媒性コポリマー(B)が単位(b1)を含む場合、典型的には、両親媒性コポリマー(B)の親水性部に単位(b1)が含まれる。
Rb及びRcにおけるアルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基が挙げられる。
Rd、Re及びRfにおけるアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基が挙げられる。
単位(b2)としては、例えば、以下のモノマーに基づく構成単位が挙げられる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、プラクセルFM(商品名、ダイセル化学(株)製、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン)、ブレンマー(登録商標)PME-100(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの))、ブレンマー(登録商標)PME-200(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの))、ブレンマー(登録商標)PME-400(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの))、ブレンマー(登録商標)50POEP-800B(商品名、日油(株)製、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの))、ブレンマー(登録商標)20ANEP-600(商品名、日油(株)製、ノニルフェノキシ(エチレングリコール-ポリプロピレングリコール)モノアクリレート)、ブレンマー(登録商標)AME-100(商品名、日油(株)製)、ブレンマー(登録商標)AME-200(商品名、日油(株)製)、ブレンマー(登録商標)50AOEP-800B(商品名、日油(株)製)等。
第1のポリマー鎖は、単位(b2)をさらに含んでいてもよい。
コポリマー(B1)は、ブロックコポリマーであってもよく、グラフトコポリマーであってもよく、ランダムコポリマーであってもよく、それらの混合物であってもよい。
第2のポリマー鎖中、疎水基を有する単位の含有量は、第2のポリマー鎖を構成する全ての構成単位の合計に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
両親媒性コポリマー(B)の分子量分布(Mw/Mn:重量平均分子量/数平均分子量)は、液状組成物へ均一に溶解しやすい点から、1.0~3.0が好ましい。
両親媒性コポリマー(B)として前記範囲の数平均分子量又は分子量分布を有するものを用いる場合、異なる数平均分子量又は分子量分布を有するものを混合して、所定の数平均分子量又は分子量分布を有する両親媒性コポリマー(B)とすることができる。
両親媒性コポリマー(B)の数量平均分子量及び重量平均分子量は、ポリスチレンを標準試料として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求められる。
両親媒性コポリマー(B)の製造方法としては、分子量や一次構造の制御のしやすさの点から、リビングラジカル重合(制御ラジカル重合と称されることもある。)による方法が好ましい。リビングラジカル重合としては、可逆的付加開裂連鎖移動(以下、「RAFT」という。)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキサイド媒介重合(NMP)等が挙げられる。
RAFT剤としては、公知のものを使用できる。RAFT剤の具体例としては、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸(CPADB)等のチオカルボニルチオ化合物が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ジクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステルが挙げられる。これらの中では、ベンゾイルパーオキシドが好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、例えば、RAFT剤1モルに対し、0.1~10モルである。
重合は、室温~200℃の範囲、好ましくは50~150℃の範囲で行うことができる。
重合後、必要に応じて、精製、乾燥等を行ってもよい。
本多孔質膜は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、ビニルピロリドンに基づく単位を有するポリマー(D)をさらに含んでいてもよい。
ポリマー(D)は、多孔質膜の製造に際し、製膜原液の構成成分の一つとすることができる。ポリマー(D)は、膜形成ポリマー(A)と後述する溶剤(S)との相分離を制御するための開孔助剤として添加される。
他のモノマーとしては、ビニルピロリドと共重合可能であれば特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等の水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、プラクセルFM(商品名、(株)ダイセル製、カプロラクトン付加モノマー)、メタクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、ブレンマー(登録商標)PME-100(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの))、ブレンマー(登録商標)PME-200(商品名、日油(株)製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの))、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルスルフェート、3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3-(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、メタクリル酸ジメチルアミノエチル4級塩が挙げられる。他のモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー(D)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本多孔質膜は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、膜形成ポリマー(A)、両親媒性コポリマー(B)及びポリマー(D)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、セルロースナノファイバー、ガラスファイバー、カーボンファイバー、アクリルファイバーのような繊維状物質;ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、アクリル樹脂のような樹脂粉末:シリカ粒子、酸化チタン粒子、活性炭等の無機粒子;塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム等の無機塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン等の界面活性剤等の種々の添加剤が挙げられる。
また、膜形成ポリマー(A)の含有量は、本多孔質膜の総質量に対し、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましい。本多孔質膜がポリマー(D)を含む場合には、99.98質量%以下であってもよく、99.8質量%以下であってもよい。膜形成ポリマー(A)の含有量が前記上限値以下であれば、本多孔質膜の防汚性がより優れる。
上記下限値及び上限値は適宜組み合わせることができる。例えば、膜形成ポリマー(A)の含有量は、本多孔質膜の総質量に対し、93~99.99質量%であってもよく、95~99.9質量%であってもよく、83~99.98質量%であってもよく、90~99.8質量%であってもよい。
両親媒性ポリマー(B)は、典型的には、後述する第1の多孔質膜上に極めて薄膜(例えば5~10nm程度)にコーティングされている。この場合、両親媒性コポリマー(B)は、XPSによる観測が可能であるレベルではあるが、その含有量は実質的に極めて少量である。
本多孔質膜が複数の多孔質層を有する場合、複数の多孔質層の間に支持体を有していてもよい。支持体を有することによって、複数の多孔質層が支持体によって補強され、破裂圧や引張強度といった物理的特性を向上させることができる。
支持体としては、織布、不織布、組紐、編紐、ネット等が挙げられる。支持体の材料としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等が挙げられる。
半合成繊維としては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、キチン、キトサン等を原料としたセルロース誘導体系繊維:プロミックスと呼称される蛋白質系繊維等が挙げられる。
再生繊維としては、ビスコース法、銅-アンモニア法、有機溶剤法等により得られるセルロース系再生繊維(レーヨン、キュプラ、ポリノジック等。)が挙げられる。
天然繊維としては、亜麻、黄麻等が挙げられる。
第1の多孔質膜は、本発明の目的を逸脱しない範囲において、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
第1の多孔質膜における他の成分としては、例えば、前記した繊維状物質、樹脂粉末、無機粒子、界面活性剤等の種々の添加剤が挙げられる。
なお、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)の合計の含有量は、第1の多孔質膜の総質量に対し、100質量%を超えない。
第1の多孔質膜の平均細孔径は、500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。
平均細孔径は、走査型電子顕微鏡を用いて多孔質膜の断面を撮影し、画像解析処理によって求めた値である。例えば、走査型電子顕微鏡を用いて多孔質膜の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定し、30個の細孔の最長径を平均して求める。
複数の多孔質層それぞれにおける膜形成ポリマー(A)の含有量は同一でもよく、異なっていてもよい。
第1の多孔質膜が複数の多孔質層を有する場合、複数の多孔質層の間に支持体を有していてもよい。
被覆層における他の成分としては、例えば、両親媒性コポリマー(B)以外のポリマー、エチレングリコール、前記した無機塩が挙げられる。
被覆層は、膜形成ポリマー(A)を含まないことが好ましい。
本多孔質膜の表面における、XPSによる膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)との組成比(以下、「(A):(B)」とも記す。)は、100:10~100:50であり、100:12~100:40が好ましく、100:15~100:30がより好ましい。(A):(B)が上記範囲内であれば、多孔質膜表面に膜形成ポリマー(A)が存在しないか存在してもわずかであるため、優れた防汚性が発現する。
(A):(B)の測定に際し、XPSにおけるTake off Angle(取り出し角)は45°とする。XPSの測定条件によって(A):(B)が変化する。これは、Take OFF Angleが異なる場合、検出深さが異なるためである。Take off Angleが45°の場合、凡そ、多孔質膜最表面から10nm程度の情報であると考えられる。XPSの詳しい測定条件は後述する実施例に記載のとおりである。
(A):(B)は、例えば、後述する製造方法において、液状組成物中の両親媒性コポリマー(B)の含有量、接触工程における液状組成物の接触時間によって調節できる。
多孔質膜の表面において、膜形成ポリマー(A)に対応する292eVのピーク面積と両親媒性コポリマー(B)に対応する287eVのピーク面積との比(以下、「ピーク面積比(A):(B)」とも記す。)は、1.0:0.75~1.0:5.0が好ましい。ピーク面積比(A):(B)が上記範囲内であれば、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下となりやすい。また、多孔質膜の表面に非常に薄く両親媒性コポリマー(B)が存在するため、多孔質膜の孔の閉塞を軽減することが出来る。ピーク面積比(A):(B)は、親水性と透水性を両立する観点から、1.0:1.0~1.0:4.0がより好ましく、1.0:0.75~1.2:3.0がさらに好ましい。
水中のヘキサデカンの接触角は、ヘキサデカンの液滴量6.0μL、25℃の条件で測定される。詳しい測定方法は後述する実施例に記載のとおりである。
本多孔質膜の平均細孔径は、500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。
本発明の一態様に係る多孔質膜の製造方法(以下、「本製造方法」とも記す。)は、膜形成ポリマー(A)を含む第1の多孔質膜を、両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)を含む液状組成物に接触させる工程(以下、「接触工程」とも記す。)を含む。接触工程により、前記した第2の多孔質膜が得られる。
本製造方法は、必要に応じて、接触工程の前に、第1の多孔質膜を製造する工程をさらに含んでいてもよい。
本製造方法は、必要に応じて、接触工程の前に、液状組成物を調製する工程をさらに含んでいてもよい。
第1の多孔質膜は、公知の方法により製造できる。
第1の多孔質膜の製造方法の一例を以下に説明する。
得られた製膜原液を凝固液に接触させることで凝固させて多孔質膜前駆体を得る(凝固工程)。
得られた多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やポリマー(D)の一部又は全部を洗浄して取り除く(洗浄工程)。
洗浄した多孔質膜前駆体を乾燥して、多孔質膜を得る(乾燥工程)。
製膜原液は、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)を溶剤(S)と混合することにより得られる。このとき、必要に応じて、他の成分を混合してもよい。
製膜原液においては、膜形成ポリマー(A)、ポリマー(D)、及び他の成分が含まれる場合には他の成分の一部又は全部が、溶剤(S)中に溶解していることが好ましいが、均一に分散していれば必ずしも溶解していなくてもよい。
凝固液としては、膜の孔径制御の点から、溶剤(S)を50質量%以下含む水溶液が好ましい。
凝固液に含まれる溶剤(S)と、製膜原液に含まれる溶剤(S)とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、同じ種類であることが好ましい。
多孔質膜前駆体は、40~100℃の、水及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の水溶液のいずれか一方又は両方に接触させることにより、多孔質膜前駆体中に残存する溶剤(S)やポリマー(D)の一部又は全部を洗浄して除去することが好ましい。
ポリマー(D)を除去するため、水及び/又は次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の水溶液へ接触させる工程は、複数回繰り返すことができる。
洗浄された多孔質膜前駆体の乾燥は、60~120℃で、1分間~24時間にて行われることが好ましい。乾燥温度が前記下限値以上であれば、乾燥処理時間が短縮され、生産コストを抑えることができるため、工業生産上好ましく、前記上限値以下であれば、乾燥工程で多孔質膜前駆体が収縮しすぎることを抑制でき、多孔質膜の外表面に微小な亀裂が発生しにくくなる傾向にある。
工程(b):複数の製膜原液を用いて、複数の製膜原液のそれぞれに対応した複数の多孔質前駆体層を有する多孔質膜前駆体を製膜する工程。
工程(c):多孔質膜前駆体からポリマー(D)の一部又は全部を除去して、膜形成ポリマー(A)を含む複数の多孔質層を有する多孔質膜を得る工程。
工程(a)においては、例えば、膜形成ポリマー(A)及びポリマー(D)、必要に応じて他の成分を溶剤(S)に溶解させて、複数の製膜原液を調製する。
工程(a)は、前述の調製工程に準じて行うことができる。
工程(b)においては、例えば、複数の製膜原液を層状に配置した状態で凝固液に接触させ、凝固させて、複数の製膜原液のそれぞれに対応した複数の多孔質前駆体層を有する多孔質膜前駆体を製膜する。
工程(b)は、前述の凝固工程に準じて行うことができる。
工程(c)は、前述の洗浄工程及び乾燥工程に準じて行うことができる。
液状組成物は、両親媒性コポリマー(B)と液状媒体(C)とを含む。
液状媒体(C)は、典型的には、水を含む。水を含む液状媒体は、水であってもよく、水と水溶性有機溶剤との混合媒体であってもよい。水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性のアミド系、アセトンが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液状媒体(C)としては、コスト及び環境への負荷の点から、水が好ましい。
液状組成物における他の成分としては、例えば、両親媒性コポリマー(B)以外のポリマー、エチレングリコール、前記した無機塩が挙げられる。
液状組成物は、膜形成ポリマー(A)を含まないことが好ましい。
接触工程では、第1の多孔質膜を液状組成物に接触させる。これにより、第2の多孔質膜が得られる。
接触方法としては、例えば、第1の多孔質膜を液状組成物に浸漬する方法が挙げられる。第1の多孔質膜を液状組成物に接触させる際、液状組成物中の両親媒性コポリマー(B)は、液状媒体(C)に溶解していることが好ましい。
(1)メタクリル酸メチル(MMA):市販品(富士フイルム和光純薬社製、純度98.0%)を水酸化ナトリウム水溶液で分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。水素化カルシウム存在下で減圧蒸留し、冷蔵庫で保管した。
(2)2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):市販品(富士フイルム和光純薬社製、純度98.0%)をメタノールで再結晶した。析出した結晶を吸引ろ過で濾別し、冷蔵庫で保管した。
(3)N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド:市販品(東京化成工業社製、純度98.0%)を減圧蒸留し、冷蔵庫で保管した。
(4)以下のものは市販品をそのまま使用した。
4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸(CPADB):Aldrich社製。
水酸化ナトリウム:富士フイルム和光純薬社製、純度85.0%。
水素化カルシウム:富士フイルム和光純薬社製。
硫酸マグネシウム:富士フイルム和光純薬社製、純度95.0%。
ジクロロメタン:富士フイルム和光純薬社製。
ヘキサン:富士フイルム和光純薬社製。
1,3-プロパンスルトン:富士フイルム和光純薬社製、純度97.0%。
メタノール:富士フイルム和光純薬社製、純度99.8%。
トルエン:富士フイルム和光純薬社製、純度99.0%。
アセトン:富士フイルム和光純薬社製。
エタノール:富士フイルム和光純薬社製。
N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc):東京化成工業社製、純度99.0%。
2,2,2-トリフルオロエタノール:東京化成工業社製、純度99.0%。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF):アルケマ社製、商品名:カイナー761A、重量平均分子量(Mw)550,000。
200mLナスフラスコにN-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド3.0mL(17mmol)、アセトン20mLを加えた。アセトン5mLに1,3-プロパンスルトン1.5mL(17mmol)を溶かした溶液を氷冷したフラスコに滴下し、室温で5時間撹拌した。沈殿物を減圧濾過で回収し、少量のメタノールに溶解させ、アセトンに滴下して再沈殿精製した。減圧濾過で粉末を濾別し、減圧乾燥した(収量4.1g、収率81.6%)。得られた乾燥粉末について1H-NMR測定により分子構造を確認した。1H-NMRシグナルのケミカルシフト、カップリング状態と積分値からSBMAに帰属されるシグナルが観測できたので、生成物はSBMAであると同定した。また、不純物由来のシグナルは観測されておらず、十分に純度の高いSBMAであると判断した。
1H-NMR(0.1M NaCl重水溶液):/ppm 1.8(s,3H,CH2CH(CH3)CO-),1.9-2.0(m,2H,-CH2CH2SO3),2.0-2.1(m,4H,-CH2CH2N(CH3)2CH2CH2CH2-),2.8-2.9(t,2H,-CH2N(CH3)2-),3.0(s,6H,-CH2N(CH3)2-),3.2-3.3(m,2H,-CONHCH2-),3.3-3.4(m,2H,-N(CH3)2CH2-),5.3-5.4(s,1H,CH2C(CH3)2CO-),5.6(s,1H,CH2C(CH3)2CO-)
重合管にMMA10.65mL(100mmol)、AIBN65.7mg(0.4mmol)、CPADB558.7mg(2.0mmol)、トルエン5.0mLを加えた。Arガスを20分間バブリングし、重合管を密閉し、75℃で16時間撹拌した。生成物をジクロロメタンで希釈し、ヘキサンで再沈殿した。減圧濾過で沈殿物を濾別し、減圧乾燥した(収量11.0g、収率73.6%)。得られた乾燥粉末について1H-NMR測定により分子構造を確認した。1H-NMRスペクトルより算出したモノマー転化率は97.6%であった。また、GPC測定により求めたMnは5000、Mw/Mnは1.14であった。
重合管に、合成例2で得たPMMA697mg(0.14mmol)、合成例1で得たSBMA3.00g(10mmol)、AIBN16.4mg(0.10mmol)、トリフルオロエタノール10.0mLを加えた。Arガスを20分間バブリングし、重合管を密閉し、65℃で20時間撹拌した。生成物をメタノールに滴下して再沈殿精製し、減圧濾過で粉末を濾別し、減圧乾燥した(収量2.8818g、収率77.6%)。得られた乾燥粉末について1H-NMR測定とIR測定により分子構造を確認した。なお、1H-NMRスペクトルにPSBMA由来のシグナルは観測されたが、PMMA鎖は凝集するためNMRシグナルが観測されなかった。1H-NMRスペクトルより算出したモノマー転化率は66.1%であった。PMMAとSBMAのmol比(PMMA/SBMA=1/70)とモノマー転化率より、PMMA-b-PSBMAのPSBMA部分のMnは13500と見積もられた。
重合管にSBMA200mg(0.6mmol)、開始剤VA-044(2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド)1.3mg(0.004mmol)、CPADB5.6mg(0.02mmol)、メタノール/0.1M NaCl水溶液=3/1(質量比)の混合溶媒4.0mLを加えた。Arガスを20分間バブリングし、重合管を密閉し、45℃で15時間撹拌した。透析を2日間行い、凍結乾燥により重合物を得た(収量72.5mg、収率36.3%)。得られた重合物について、1H-NMR測定とIR測定により分子構造を確認した。また、GPC測定により求めたMnは8700、Mw/Mnは1.06であった。
重合管にn-ブチルメタクリレート(BMA)5.56mL(35.2mmol)、CPADB272.8mg(0.98mmol)、AIBN64.1mg(0.39mmol)、トルエン3.3mLを加えた。Arガスで20分間バブリングし、重合管を密閉して75℃で6時間撹拌し、重合反応を停止させた。メタノール/ヘキサンで再沈殿精製してジクロロメタンに溶解させ、ジクロロメタンを減圧留去して乾燥した重合物(PBMA)を得た。得られた重合物の1H-NMR測定を行い、構造確認した(1H-NMR 重溶媒:CDCl3)。モノマーと連鎖移動剤のモル比(モノマー/CPADB=36/1)とモノマー転化率から計算した分子量は、Mn_NMR=5280g/molであった。
重合管に、合成例5で得たPBMA500mg(0.046mmol)、合成例1で得たSBMA947.6mg(3.24mmol)、AIBN15.2mg(0.09mmol)、トリフルオロエタノール6.5mLを加えた。Arガスで20分間バブリングし、重合管を密閉して65℃で16時間撹拌し、重合反応を停止させた。メタノール:水=1:1の混合溶媒で再沈殿精製して遠心分離した。吸引ろ過して得られた重合物(PBMA-b-PSBMA)のIR測定を行い、構造確認した。図1にPBMA-b-PSBMAのIRスペクトルを示す。PBMA-b-PSBMAのIRスペクトルから1040cm-1にスルホン酸基の対称伸縮振動、1730cm-1にエステル基のカルボニル伸縮振動、1645cm-1にアミド基のカルボニル伸縮振動に帰属されるシグナルが観測された。この結果より、PBMA-CTAを高分子連鎖移動剤とするRAFT重合による鎖延長によりPBMA-b-PSBMAの合成を確認することができた。エステル基のカルボニル伸縮振動とアミド基のカルボニル伸縮振動のIR吸収強度がPBMAとPSBMAの重合度と対応すると仮定し、これらのピークをIgorでピーク分離して積分比を求め、PSBMA鎖の分子量を計算したところ、Mn_PSBMA=18300g/mоlであった。
<核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)測定>
AVANCE III 400 MHz(Bruker製)にて、PMMAは重溶媒にクロロホルム-d1、SBMAとPMMA-b-PSBMAは重溶媒に0.1M NaCl重水溶液を用いた。25℃で測定した。
RID-10A(島津製作所(株)製)RI検出器、LC-20AD(島津製作所(株)製)ポンプ、CTO-10ASVP(島津製作所(株)製)カラムオーブンを備えたGPCシステムにて、TSKgel a-4000(排除限界分子量:1.0×106、東ソー社製)(島津製作所(株)製)分離カラム、TSKguardcolumn PWXLガードカラムを用い、40℃、流速0.8mL/分で測定した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)はポリスチレン(M=133,000、55,100、19,600、7,210、3,070を標準試料として検量線を作成し算出した。高分子濃度2.0mg/mLのPMMA THF溶液を孔径0.2μm親水化PTFEフィルターADVANTEC,HP020ANでろ過して測定した。
IRAffinity-1(島津製作所(株)製)を用いた。検出器はTGS検出器を用いた。
・PSBMA
CaF2光学結晶を用いて、薄膜法にて積算回数:64回、分解能:2.0cm-1で測定した。
・PMMA-b-PSBMA、PBMA-b-PSBMA
KBr錠剤を作成し、透過法にて積算回数:64回、分解能:2.0cm-1で測定した。
<液状組成物の調製>
PMMA-b-PSBMAに、最終的なPMMA-b-PSBMA濃度が0.1%となるように水を加えて液状組成物を調製した。これらの液状組成物においてPMMA-b-PSBMAは、室温では水に完全に溶解せず、白濁した分散状態を示した。
ビーカーにPVDFとDMAcを入れて攪拌し、PVDF濃度が2%のPVDF DMAc溶液を調製した。シリコンウエハ(10mm×20mm×0.5mm厚)をエタノールに接触させ、10分間超音波処理して洗浄した。洗浄したシリコンウエハを、2体積%のシラン化合物(3-Aminopropyl trimethoxysilane)を含む95%エタノール水溶液中に5分間浸漬させた後、過剰量のエタノールで洗浄し、室温で24時間静置することでシランカップリング剤処理を行った。このシランカップリング処理をしたシリコンウエハを、スピンコーター(K-359S1簡易型、株式会社共和理研)のサンプルステージに設置した。そこに、細孔径0.2m再生セルロースフィルター(Sartorius RC 0.20mm)で濾過したPVDF DMAc溶液を滴下し、室温にて3000rpmで30秒間スピンコートしてPVDFの薄膜(第1の多孔質膜)を製膜した。
製膜した薄膜を減圧乾燥し、調製した液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)に室温下で1時間浸積した。浸漬後、薄膜を液状組成物から取り出し、純水で充分洗浄し、室温下に放置して乾燥させることで第2の多孔質膜1-1を得た。
実施例1の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を80℃に加熱し、そこに薄膜を浸漬した以外は、同じ方法で第2の多孔質膜1-2を得た。
実施例1の液状組成物の調製において、最終的なPMMA-b-PSBMA濃度が0.1%となるように、水ではなく0.1MのNaCl水溶液を加えた以外は、同じ方法で第2の多孔質膜2-1を得た。
実施例2の液状組成物の調製において、最終的なPMMA-b-PSBMA濃度が0.1%となるように、水ではなく0.1MのNaCl水溶液を加えた以外は、同じ方法で第2の多孔質膜2-2を得た。
実施例1の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜3-1を得た。
実施例2の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜3-2を得た。
実施例3の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜4-1を得た。
実施例4の接触工程において、液状組成物(PMMA-b-PSBMA濃度0.1%)を合成例6で得た(PBMA-b-PSBMA濃度0.1%)をした以外は、同じ方法で第2の多孔質膜4-2を得た。
実施例1と同様にしてPVDF薄膜を製膜した。その後、接触工程を行わず、製膜したPVDF薄膜を比較例1の多孔質膜とした。
実施例1と同様にしてPVDF薄膜を製膜した。その後、合成例4で得られたPSBMA1.0mgを10mLの水に溶解した水溶液を、細孔径0.2m親水化PTFEフィルター(ADVANTEC,HP020AN)で濾過し、得られた濾液をPVDF薄膜上に滴下し、減圧乾燥させることで、PSBMAをコーティングした比較例2の多孔質膜を得た。
実施例1と同様にしてPVDF薄膜を製膜した。その後、合成例4で得られたPSBMA10mgを10mLの水に溶解した水溶液を、細孔径0.2m親水化PTFEフィルター(ADVANTEC,HP020AN)で濾過し、得られた濾液をPVDF薄膜上に滴下し、減圧乾燥させることで、PSBMAをコーティングした比較例3の多孔質膜を得た。
<薄膜の表面組成(XPS)>
各例の多孔質膜について、以下に示す条件で、XPS C1sスペクトルを測定した。
また、PVDFの代わりに合成例2で得たPMMAを用いた以外は上記と同様にしてスピンコートによりPMMAの薄膜を製膜した。このPMMA薄膜についても同様にXPS C1sスペクトルを測定した。
図2に、比較例1の多孔質膜(接触工程前のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルを示す。図3に、PMMA薄膜のXPS C1sスペクトルを示す。図4~5に、比較例2~3各々の多孔質膜(PSBMAをコーティングしたPVDF多孔質膜)のXPS C1sスペクトルを示す。図6~9に、第2の多孔質膜1-1、1-2、2-1、3-1各々のXPS C1sスペクトルを示す。
装置:K-Alpha Thermo Fisher Scientific
検出器:180°二重収束半球型アナライザー 128チャネル検出器
Take OFF Angle:45°
X線源:AlK,X線スポットサイズ:400mm
Survey scan:Energy step size:1.00eV,1351 Energy Channels,Pass Energy:200eV,Number of scan:3,Dwell Time:10msec
Narrow scan:Energy step size:0.100eV,191 Energy Channels,Pass Energy:50 eV,Number of scan:10,Dwell Time:50 msec
図3より、PMMA薄膜のXPS C1sスペクトルでは、カルボニル炭素のシグナル、主鎖のCH2と主鎖に結合したメチル基に起因するシグナル、エステル結合したメチル基に起因するシグナルが観測された。
図4より、比較例2の多孔質膜のXPS C1sスペクトルでは、PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、比較例2の多孔質膜においては非常に薄膜のPSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図5より、比較例3の多孔質膜のXPS C1sスペクトルでは、PSBMAに由来するシグナルが明確に観測され、PVDFのCH2とCF2に起因するシグナルが観測されなかったことから、比較例3の多孔質膜においては非常に厚いPSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図6より、第2の多孔質膜1-1(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PMMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜1-1には非常に薄膜のPMMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図7より、第2の多孔質膜1-2(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PMMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜1-2には非常に薄膜のPMMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図8より、第2の多孔質膜2-1(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PMMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜2-1には非常に薄膜のPMMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
図9より、第2の多孔質膜3-1(接触工程後のPVDF薄膜)のXPS C1sスペクトルでは、PBMA-b-PSBMA及びPVDFに由来するシグナルが明確に観測されたことから、第2の多孔質膜3-1には非常に薄膜のPBMA-b-PSBMAがPVDF上に被覆されていることがわかった。
各例の多孔質膜の表面の水中のヘキサデカンの接触角(以下、「水中油滴接触角」とも記す。)を、以下に示す条件で測定した。結果を表3に示す。水中でヘキサデカン油滴が多孔質膜に付着せず、水中油接触角を測定することができなかった場合は、水中油滴接触角を180°とした。水中油滴接触角が大きいほど親水性が高く、防汚性に優れる。
水温:25℃
ヘキサデカン油滴量:6.0μL
油滴:ヘキサデカン表面張力:27.6mN/m(25.0℃)
水とヘキサデカンの界面張力:53.7mN/m(25.0℃)
優れた親水性が発現したのは、PVDF膜を、PMMA-b-PSBMAを含む液状組成物に接触させることで、PMMA-b-PSBMAのPMMA鎖がPVDF膜に吸着し、PMMA-b-PSBMAがPVDF膜に固定化されると考えられる。この吸着挙動は自発的かつ均一な表面を形成するため、ヘキサデカン油滴が付着しないほどの親水性が付与できたと考えられる。
PVDF膜を、PBMA-b-PSBMAを含む液状組成物に接触させることで、PMMA-b-PSBMAと同様にPVDF膜を親水化できる。
単純な親水性材料であるPSBMAを分散させた溶液をPVDF膜上にコーティングしてもコーティングした厚みが少ないと親水性が高くならなかった。また、厚くコーティングすれば親水性を付与することはできるが、PSBMAを大量に付着させる必要があり、多孔質膜の孔を閉塞させてしまう懸念がある。
このことから、上記現象は、PMMA-b-PSBMAのようなブロックコポリマーを用いた場合に特異的な現象であると考えられる。また、PMMA-b-PSBMAの液状組成物を、浸漬工程を経ずにコーティングすると、コート液の濃度を高くする必要があり経済的に不利に働く。一方、薄くコートしようとすると不均一化してしまい、親水性が付与しにくいというデメリットがある。
Claims (8)
- 膜形成ポリマー(A)と両親媒性コポリマー(B)とを含む多孔質膜であって、
前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)と前記両親媒性コポリマー(B)との組成比が100:10~100:50であり、水中のヘキサデカンの接触角が100°以上180°以下であり、
前記両親媒性コポリマー(B)が、ブロックコポリマーであり、
前記両親媒性コポリマー(B)が、双性イオン構造を含む構成単位を含み、
前記双性イオン構造は、3-(メタクリルアミノ)プロピル-N,N-ジメチル)アンモナトプロパンスルホネート(SBMA)である、多孔質膜。 - 前記膜形成ポリマー(A)が、フッ素含有ポリマーである請求項1に記載の多孔質膜。
- 前記膜形成ポリマー(A)が、ポリフッ化ビニリデンである請求項1又は2に記載の多孔質膜。
- 前記多孔質膜の表面は、X線光電子分光分析による前記膜形成ポリマー(A)に対応する292eVのピーク面積と前記両親媒性コポリマー(B)に対応する287eVのピーク面積との比が1.0:0.75~1.0:5.0である、請求項3に記載の多孔質膜。
- 両親媒性コポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は、10,000~15,000である、請求項1に記載の多孔質膜。
- 両親媒性コポリマー(B)の分子量分布(Mw/Mn:重量平均分子量/数平均分子量)は、1.0~3.0である、請求項1に記載の多孔質膜。
- 前記ブロックコポリマーは、メタクリル酸メチルとSBMAのブロックコポリマー(PMMA-b-PSBMA)又はn-ブチルメタクリレートとSBMAのブロックコポリマー(PBMA-b-PSBMA)である、請求項1に記載の多孔質膜。
- 請求項1から7のいずれか一項に記載の多孔質膜の製造方法であって、
前記膜形成ポリマー(A)を含む第1の多孔質膜を、前記両親媒性コポリマー(B)及び液状媒体(C)を含む液状組成物に接触させる工程を含む多孔質膜の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2021194052A JP7852230B2 (ja) | 2021-11-30 | 2021-11-30 | 多孔質膜及び多孔質膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2021194052A JP7852230B2 (ja) | 2021-11-30 | 2021-11-30 | 多孔質膜及び多孔質膜の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2023080616A JP2023080616A (ja) | 2023-06-09 |
| JP7852230B2 true JP7852230B2 (ja) | 2026-04-28 |
Family
ID=86656809
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2021194052A Active JP7852230B2 (ja) | 2021-11-30 | 2021-11-30 | 多孔質膜及び多孔質膜の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7852230B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN118059699B (zh) * | 2024-04-08 | 2024-09-13 | 江苏中连碧水环境科技有限公司 | 一种芳香聚酰胺复合膜表面接枝不饱和磺基甜菜碱的方法 |
Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012506772A (ja) | 2008-10-28 | 2012-03-22 | アーケマ・インコーポレイテッド | 水分流動性ポリマー膜 |
| JP2016516108A (ja) | 2013-03-13 | 2016-06-02 | ポリメム | 両親媒性ブロックを有するコポリマー、及びポリマー濾過膜を製造するためのその使用 |
| JP2017502101A (ja) | 2013-11-15 | 2017-01-19 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 親水性−疎油性コポリマー組成物及びこれらの使用 |
| JP2017047411A (ja) | 2015-09-02 | 2017-03-09 | 三菱レイヨン株式会社 | 中空状多孔質膜 |
| CN109663510A (zh) | 2019-01-25 | 2019-04-23 | 苏州科技大学 | 两性离子无规共聚物P(MMAx-r-CBMAy)改性PVDF抗污膜及其制备方法 |
-
2021
- 2021-11-30 JP JP2021194052A patent/JP7852230B2/ja active Active
Patent Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012506772A (ja) | 2008-10-28 | 2012-03-22 | アーケマ・インコーポレイテッド | 水分流動性ポリマー膜 |
| JP2016516108A (ja) | 2013-03-13 | 2016-06-02 | ポリメム | 両親媒性ブロックを有するコポリマー、及びポリマー濾過膜を製造するためのその使用 |
| JP2017502101A (ja) | 2013-11-15 | 2017-01-19 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 親水性−疎油性コポリマー組成物及びこれらの使用 |
| JP2017047411A (ja) | 2015-09-02 | 2017-03-09 | 三菱レイヨン株式会社 | 中空状多孔質膜 |
| CN109663510A (zh) | 2019-01-25 | 2019-04-23 | 苏州科技大学 | 两性离子无规共聚物P(MMAx-r-CBMAy)改性PVDF抗污膜及其制备方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2023080616A (ja) | 2023-06-09 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| KR101785184B1 (ko) | 다공질막용 수지 조성물, 제막 원액, 다공질막, 상기 다공질막을 사용한 중공사막, 수처리 장치, 전해질 지지체 및 세퍼레이터 | |
| JP6690780B2 (ja) | 多孔質膜、膜モジュール、水処理装置、及び多孔質膜の製造方法 | |
| JP5768928B2 (ja) | 多孔質膜形成用ポリマー組成物及び多孔質膜 | |
| Meng et al. | Surface modification of PVDF membrane via AGET ATRP directly from the membrane surface | |
| AU2017213592B2 (en) | Fluoropolymers and membranes comprising fluoropolymers (II) | |
| AU2017213595B2 (en) | Fluoropolymers and membranes comprising fluoropolymers (I) | |
| JP6464866B2 (ja) | 表面修飾基材、ポリマー被覆基材、およびそれらの製造方法 | |
| JP6866635B2 (ja) | 多孔質膜、及び多孔質膜の製造方法 | |
| JP6524806B2 (ja) | 多孔質膜の製造方法 | |
| JP7852230B2 (ja) | 多孔質膜及び多孔質膜の製造方法 | |
| JP7099467B2 (ja) | 中空糸膜 | |
| WO2016084958A1 (ja) | 積層半透膜 | |
| JP6805527B2 (ja) | 中空状多孔質膜 | |
| JP2017154072A (ja) | 複合高分子膜 | |
| JP2018104541A (ja) | 多孔質膜、及び多孔質膜の製造方法 | |
| JP2018069115A (ja) | 多孔質膜の製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240723 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20250326 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20250422 |
|
| A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20250603 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20250804 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20251209 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20260203 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20260317 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20260330 |