JPS6156310B2 - - Google Patents
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
湿り蒸気下の使途に供される新規な低C−低Si
−Cr−Mo鋼に関してこの明細書では、とくに原
子力発電設備用給水加熱器または類似物の用途に
て特有なエロージヨン・コロージヨン(E.C.と
略す)のアタツクを受ける環境中でも適切に使用
することができるように成分組成を調整した、上
記種類の鋼に係る開発研究の成果を提案しようと
するものである。 ここに通常250℃以下の、湿り蒸気および高温
凝縮水、あるいは高温凝縮水自体につき単に、語
“湿り蒸気”で一括してあらわすこととして、こ
れら高温の気液二相流又は高温水流の高速流動に
より、たとえば軽水炉のごとき原子力発電設備用
給水加熱器のような密閉容器の胴体内表面が、
E.C.によるアタツクを受けた場合、E.C.による
腐食生成物が、原子炉系統内を循環することによ
る系統全体の放射化弊害や、給水加熱器自体の
E.C.損傷に由来した信頼性低下が懸念される。 これらの問題を排除する手段として、まず設計
面からは、系統内全体の流体の低流速化、すなわ
ち給水加熱器胴体径および配管系統口径の増大に
よる流体の低流速化、そして材料面から耐E.C.
性のより優れた鋼種の採用が考えられる。 前者の系統内流体の低流速化は設備の大型化に
つながり、鋼材使用量の増加、ひいては材料費、
建設費の増加を招くため、むしろ、材料面でこの
種の弊害を未然に防止することが要請される。 (従来の技術) E.C.に関する従来の数多くの知見、研究の成
果が解析、検討された結果、第1表に示すJIS
G4109、SCMV−3(通称11/4%Cr−1/2%Mo
−3/4%Si鋼)の化学組成、熱処理(焼ならし焼
もどし(以下N−Tと略記する)と焼なまし(以
下Aと略記する)との二種類)および機械的性質
(N−T鋼およびA鋼について、それそれ高強度
レベルおよび低強度レベル)の規格範囲のうち、
C含有量をとくに、規格上限近傍の0.15〜0.17%
に規制し、熱処理もN−Tに限定した高強度レベ
ルの11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼こそ、給水
加熱器に適するすぐれた耐E.C.性をもつ鋼であ
るとの結論に従い、その特性が実際にも実験で確
認され、かようにしてこの高C−11/4%Cr−1/
2%Mo−3/4%Si鋼が、原子力発電設備のより高
い安全性強化策とし我国で独自に、前記給水加熱
器用鋼材として採用されるに至つたのである。
−Cr−Mo鋼に関してこの明細書では、とくに原
子力発電設備用給水加熱器または類似物の用途に
て特有なエロージヨン・コロージヨン(E.C.と
略す)のアタツクを受ける環境中でも適切に使用
することができるように成分組成を調整した、上
記種類の鋼に係る開発研究の成果を提案しようと
するものである。 ここに通常250℃以下の、湿り蒸気および高温
凝縮水、あるいは高温凝縮水自体につき単に、語
“湿り蒸気”で一括してあらわすこととして、こ
れら高温の気液二相流又は高温水流の高速流動に
より、たとえば軽水炉のごとき原子力発電設備用
給水加熱器のような密閉容器の胴体内表面が、
E.C.によるアタツクを受けた場合、E.C.による
腐食生成物が、原子炉系統内を循環することによ
る系統全体の放射化弊害や、給水加熱器自体の
E.C.損傷に由来した信頼性低下が懸念される。 これらの問題を排除する手段として、まず設計
面からは、系統内全体の流体の低流速化、すなわ
ち給水加熱器胴体径および配管系統口径の増大に
よる流体の低流速化、そして材料面から耐E.C.
性のより優れた鋼種の採用が考えられる。 前者の系統内流体の低流速化は設備の大型化に
つながり、鋼材使用量の増加、ひいては材料費、
建設費の増加を招くため、むしろ、材料面でこの
種の弊害を未然に防止することが要請される。 (従来の技術) E.C.に関する従来の数多くの知見、研究の成
果が解析、検討された結果、第1表に示すJIS
G4109、SCMV−3(通称11/4%Cr−1/2%Mo
−3/4%Si鋼)の化学組成、熱処理(焼ならし焼
もどし(以下N−Tと略記する)と焼なまし(以
下Aと略記する)との二種類)および機械的性質
(N−T鋼およびA鋼について、それそれ高強度
レベルおよび低強度レベル)の規格範囲のうち、
C含有量をとくに、規格上限近傍の0.15〜0.17%
に規制し、熱処理もN−Tに限定した高強度レベ
ルの11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼こそ、給水
加熱器に適するすぐれた耐E.C.性をもつ鋼であ
るとの結論に従い、その特性が実際にも実験で確
認され、かようにしてこの高C−11/4%Cr−1/
2%Mo−3/4%Si鋼が、原子力発電設備のより高
い安全性強化策とし我国で独自に、前記給水加熱
器用鋼材として採用されるに至つたのである。
【表】
ここでC含有量が0.15%以上のこの種鋼が適用
される理由は、一つに耐E.C.性の確保のため鋼
に硬さを付与するのに必要であるということに主
として由来し、これに加えてSCMV−3のうちと
くにN−T鋼の規格、すなわち高い引張強度(例
えば引張強さ53Kgf/mm2上)を、保証することにあ
つた。 しかるに今日原子力発電設備用給水加熱器の耐
E.C.性向上策として我国では、専ら材料面で対
処すべく高級な高C−11/4%Cr−1/2%Mo−3/
4%Si鋼を採用するすう勢にあるとは言え、その
一方で上記のような高C−11/4%Cr−1/2%Mo
−3/4%Si鋼の使用は次に示すとおり溶接施工性
がわるいため数多くの問題を抱えている。 つまり前記給水加熱器は、直径約2m、長さ約
10mに及ぶ巨大な容器状である。先ず胴板は鋼板
を曲げ加工により円筒状として長手方向を溶接
し、この円筒状のものを数個、円周溶接でつな
ぎ、この円筒内部にさらに管板、管および各種部
材が溶接などにより組込まれた後、両端に鏡板を
溶接して組み立てられる。かかる溶接組立にあた
つて、高C−11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼
は、 溶接硬化性指数、C当量(C+Si/24+Mn/
6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14)が例え
ば0.72%、 また溶接われ感受性指数、PCM値(C+Si/30
+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15
+V/10+5B)が例えば0.32% であることからも明らかなように、溶接われを起
こし易い鋼であるので、溶接に際しては溶接われ
などの回避のため予熱、後熱をことさらに入念に
行うと同時に溶接後の応力除去焼きなまし(通常
Stress Relieving、略してSRと呼ばれる。)も極
力高温で長時間行う必要がある。 しかしここに入念な予熱とは、例えば通常ガス
バーナで溶接予定箇所を250℃程度の温度に上げ
ることであり、従つて溶接作業環境をわるくする
ばかりか溶接能率を落とし、ガスバーナによるエ
ネルギー消費も著しいなど、多大の不利を生ず
る。 (発明が解決しようとする問題点) このようにして現在の原子力発電設備用給水加
熱器の建設に対して、省エネルギーや作業環境、
能率などの改善のためには、溶接われ感受性の低
いCr−Mo鋼の開発はきわめて重要である。 ここに湿り蒸気に対する耐E.C.性を具備して
いること、給水加熱器に適する強度およびじん性
をもつことが不可欠の条件である。なお、この耐
E.C.性に関し、これまで使用されていた高C−
11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼は決して完壁で
はなく、容器の寿命、操業の安全性を考慮し、さ
らに少しでもより改善されることもまた切望され
ている。 すなわち、この発明の目的は溶接性がよく、し
かも湿り蒸気下での耐E.C.性にすぐれた鋼組成
を提供することにある。 まず溶接性を改良するにはC含有量を低減すれ
ばよいことは前記C当量、PCM値などの計算式か
ら明白であるが、そうした場合、鋼の硬さは当然
低下するので耐E.C.性は劣化することが通常推
定される。 ここに耐E.C.性を損なわずに溶接性を改善す
るというより、むしろ耐E.C.をさらに向上さ
せ、しかも溶接性も改善させることが望まれてい
るわけで、耐E.C.性の向上に対してC含有量の
低減は元来不適切と考えるのが当業技術者の一般
常識であり、事実C含有量の低減によつて耐E.
C.性の改良を試みた事例は見出せない。 そして一方でこの課題は、現在の技術水準の下
では経済性を考慮すると克服不可能な難題である
と考えられ、前述したようないわば妥協を余儀な
くしていたのが実情である。 (問題点を解決するための手段) 発明者らはかような難題につき、敢えてより有
利な解決を目指してとくにこの鋼種におけるC含
有量および微量合金元素が耐E.C.性、溶接性、
機械的性質に及ぼすべき関係の本質を、系統的、
基礎的に鋭意研究を進めた結果、意外な事実、即
ちこの種Cr−Mo鋼では耐E.C.性は、 C含有量を0.14%以下に低減させる方がより
すぐれるようになること、 Si含有量の少ない方がすぐれるようになるこ
と、 さらに微量のCuおよびNiの同時添加に加え
てVの添加によつて顕著に改善されること、 、、の各場合とも強度レベルが低くて
も優れた性能が実現されること、 などを発見した。 かような事実は何れもこれまでの関係技術上の
常識ないしは学術的概念とは相反する予想外の知
見といえる。 発明者らはこれらの知見事実を前記給水加熱器
のごとき湿り蒸気下で使用される鋼に応用し、か
ような用途において上述のように難題とされた、
耐E.C.性ならびに溶接性の両面的な改善を一挙
に成し遂げたものである。 この発明は、C:0.02〜0.14重量%(以下単に
%で示す)、Si:0.45%未満、Mn:0.30〜0.80
%、Cr:0.70〜1.60%及びMo:0.40〜0.70%を含
み残余は不可避不純物を除き実質的にFeの組成
を基本成分として、これに主として固溶体硬化で
強度上昇に寄与するとともに耐E.C.性を向上さ
せる元素であるCu及びNiをそれぞれ0.02〜0.5%
で同時に含有させ、さらにV:0.005〜0.08%と
Al:0.005〜0.08%を含有させ、Vの析出硬化に
よる強度上昇により、C含有量を低減できること
で耐E.C.性及び溶接性の改善を達成した。 なお上記したところのうちの重要成分であるC
含有量をとくに0.02〜0.13%、同じくCu及びNi含
有量につきそれぞれ0.16〜0.30%を、この各発明
で初期した効果を一層高める領域として限定した
実施態様を包含する。 (作 用) さて上記成分範囲の限定理由はつぎのとおりで
ある。 C含有量はこの発明で最重要な要件であり、溶
接硬化性および溶接われ感受性を低減させ溶接の
予熱温度の低下、後熱の省略、そして応力除去焼
きなまし温度の低下、さらにはすぐれた耐E.C.
性をとくに在来観念を打破して実現するために
は、0.14%以下に限定されなければならない。溶
接性の点ではC量はもとより低ければ低いほどよ
いが、原子力発電設備用給水加熱器などの湿り蒸
気下での使途に供用する鋼として要求されるよう
な、常温並びに約250℃までの温度域における強
度およびじん性を得るには少なくとも0.02%は必
要であるので下限を0.02%とする。 とくにこの発明に従う組成のCr−Mo鋼はC含
有量を極く微量ではあつても上記のように低減さ
せると、溶接われ感受性が著しく改善されるとこ
ろに顕著な特徴をあらわし、さらにこのC含有量
の上限0.14%から0.13%への低下により強度レベ
ルの大きな低下を招くことなく溶接われ感受性を
著しく改善することができ従つて各発明の実施態
様の面でC含有量は好ましくは0.13%、より好ま
しくは0.11%までとするのが良い。 次にSiは常温およびに高温における強度の増加
に有効な元素であり、従来はCが0.15〜0.17%の
高い値であることに加えて一般にSiも0.45〜0.90
%含有されていた。 しかしこの含有量を0.45%未満に限定すること
により低C化とあいまつて耐E.C.性が著しく向
上することが見い出されたためにこの発明ではSi
含有量を0.45%未満に限定するものであり、この
限定もまた重要な要件のひとつであるが、ここに
他の強化元素であるMn、Cr、Moなどの強化効果
により必要な強度が確保できることは後述のとお
りである。 Mnは鋼に強度と延性を与えるために0.30%以
上を必要とする反面、この発明の組成の鋼では強
度確保に対してむしろCrおよびMoが大きく寄与
するため、強度の点でMnを大量に使用する必要
はなくむしろ0.80%を超えると却つて溶接硬化性
が上昇し問題を生じるので0.30〜0.80%に限定す
る。 CrおよびMoはともに高い流速の湿り蒸気によ
るE.C.に対する抵抗を増す重要な元素である。
原子力発電設備用給水加熱器などの用途ですぐれ
た耐E.C.性を付与するには、この発明の組成の
鋼ではCrおよびMoはそれぞれ少なくとも0.70%
および0.40%必要である。CrおよびMoは耐E.C.
性の向上の目的に照らして多ければその効果も大
きいが、Crは1.60%を超えると、またMoは0.70
%を超えると何れも加工性、溶接性の低下が懸念
される。従つて、Cr含有量は0.70〜1.60%に、ま
たMoは0.40〜0.70%にそれぞれ限定される。な
おCrはそもそも焼入性を向上させる元素として
高強度組織の形成に寄与するのみならず固溶体強
化作用を有するものであり、一方Moは析出硬化
型元素であり、焼もどし処理時に炭化物を微細に
析出して何れも強度の上昇にも寄与し、その結果
として上述の効果がそれぞれの制限範囲内で適切
に発揮される。 次にCu:0.02〜0.5%、Ni:0.02〜0.5%で両者
を同時に含有させる理由は、高い流速の湿り蒸気
に対する耐E.C.性がさらに著しく改善できるこ
とにある。耐E.C.性の改善の点ではCuおよびNi
は多ければ多いほどよいがいずれか一方が0.5%
を超えると溶接性を著しく低下させるのでこれら
の各含有量の上限を0.5%とした。 CuおよびNiは元来固溶体強化作用をもち焼入
性を向上させる元素であり、これらを複合で含有
させることにより強度は大きく上昇する。かよう
にCuおよびNiにより強度が向上できるので、強
度面でのC含有量の低減が可能になるわけで、ひ
いてはCu、Niの含有が耐E.C.性の改善にも役立
つわけである。すなわちCuとNiは合わせ含有さ
れるとそれら自身が耐E.C.性を改善するととも
に高強度化に役立ち、その高強度化はC含有量の
低減を可能にするのでこの点でも耐E.C.性の向
上に二重に寄与することになる。 この発明の実施態様においてはCをすでにのべ
たようにして0.02〜0.13%に限定するがこれとと
もにCuおよびNiにつきいずれも0.16〜0.30%とさ
らに限定するのは、CuおよびNiの同時添加が耐
E.C.性の向上に対しては、おのおの0.16%以上あ
ることが好ましく、多ければ多いほど効果は大き
いが、これら自身溶接われ感受性に関してはむし
ろ少ない方がよく、おのおの0.30%以下であるこ
とが望まれる。つまり耐E.C.性と感受性を最高
にするには、Cを0.13%以下に限定し、かつ0.16
〜0.30%でCuおよびNiの両者を含有させること
が実施上望ましい。 またV:0.005〜0.08%を含有させるのは、
0.005%以上で析出硬化により鋼の強化に寄与す
る元素であり、これにより強度上昇を図り、その
結果強度面でC含有量の低減が可能となり、ひい
ては溶接硬化性、溶接われ感受性、耐E.C.性を
改善するように作用する。しかし、Vは0.08%を
超えると逆に溶接部の再熱われ感受性を助長し、
また溶接熱影響部のじん性も劣化させるので0.08
%以下に限定する。 Alを0.005〜0.08%の範囲で含有させるのは、
AINを形成することによる細粒化作用に基づい
て、とくにじん性の向上に役立つからで、その効
果は、0.005%以上で明瞭に発現されて増量とと
もに最初は著しくなるが、約0.08%で飽和するの
で、0.005〜0.08%に限定する。 この発明の実施態様においてはCをすでにのべ
たようにして0.02〜0.13%に限定するがこれとと
もにCuおよびNiにつきいずれも0.16〜0.30%とさ
らに限定するのは、CuおよびNiの同時添加が耐
E.C.性の向上に対しては、おのおの0.16%以上あ
ることが好ましく、多いほどその効果は大きい
が、これら自身溶接われ感受性に関してはむしろ
少ない方がよく、おのおの0.30%以下であること
が望まれる。つまり耐E.C.性と溶接性を最高に
するには、Cを0.13%以下に限定し、かつ0.16〜
0.30%でCuおよびNiの両者を含有させることが
実施上望ましいわけである。 この発明において通常の製鋼工程で含有される
程度の不可避的な混入不純物は許容できる。すな
わち、その一般的な限度はSおよびPについては
溶接部の高温われ感受性を高くするためいずれも
0.025%以下にすることが好ましい。一方Nは通
常の製鋼工程で含有される0.0020〜0.0150%は許
容されるが、0.0150%を超えるとブローホールな
どの発生により鋼塊性状がわるくなるとともに溶
接性も劣化するので上記の範囲であることが好ま
しい。 さらに上記組成の鋼は湿り蒸気下で使用する部
材に用いて前述のとおり耐E.C.性、溶接性、強
度、じん性等を兼備し、これらの特性が要求され
る上記用途に充当してこそ価値があり、経済的で
ある。換言すればこの発明は上記用途へ使用され
た場合に限つて品質、経済性の両面で効果を発揮
する。 以上、この発明の鋼組成、用途等の各限定理由
を説明したが、この各発明の鋼は前述のような成
分調整の下に溶製したのち、常法による圧延又は
鍛造工程を経てから焼ならしおよび引続き焼もど
しを施すか又は焼なましを施すことにより鋼材と
して製造され、ここに熱処理は上記の2種類に限
定される。 なおここでいう焼ならしとはAc3点以上に加熱
後空冷(例えば板厚100mm未満では単なる空冷、
100mm以上の極厚材では空冷または強制冷却)す
る処理であり、焼もどしとはAc1点以下に加熱後
空冷する処理であり、また焼なましとはAc3点以
上に加熱後徐冷する処理である。焼ならし焼もど
し材は通常フエライト・パーライト組織であり、
ベイナイトを含むこともある。焼なまし材は通常
フエライト+パーライト組織である。 湿り蒸気下で使用される機器の代表例として原
子力発電設備用給水加熱器について念のために述
べれば、この各発明の熱処理が給水加熱器用鋼に
はれまで採用された事例のない“焼なまし”でも
よいということは大きな特長であり、次に述べる
ようにとくに高い価値をもつ。 すなわち焼なましの熱処理を受けた鋼は焼なら
し焼もどしの処理を受けたものに比べ、溶接後の
応力除去焼なまし等の熱サイクルに鈍感であり組
織および機械的性質の変動も少ない。 従つて大型溶接構造物の応力除去焼なましのよ
うに相当の温度のばらつきが予想されるような場
合、構造物の各部の品質をできるだけ均一にする
ためには、その構造物には焼ならし焼もどし鋼よ
りむしろ焼なまし鋼を用いる方がより望ましいと
いえる。 焼なまし鋼にこのような特徴があるにもかかわ
らず、原子力発電設備用給水加熱器には従来焼な
らし焼もどし鋼のみが用いられ、これまで焼なま
し鋼を用いようとする動きは全くなかつたのであ
り、その大きな理由は焼なまし鋼は焼もどし鋼に
比べ強度が低く、耐E.C.性が著しく劣ると思わ
れていたからである。しかし発明者らは従来の固
定観念にとらわれることなく鋭意研究の結果、こ
の各発明に従う成分において焼なましの熱処理を
施しても耐E.C.性は頗る大きく、低C化も可能
で溶接性も充分改善でき、その上、原子力発電設
備用給水加熱器用鋼として適切な強度、じん性を
もつことを確認した。 (実施例) さて以上述べたようなこの各発明の構成要件を
さらに明瞭にしこの各発明による特別の効果を具
体的に示すため以下実施例について説明する。 供試鋼の化学組成を第2表に示す。 表中の記号No.1〜4がこの発明に従う鋼であ
り、記号No.5、6は我国において湿り蒸気下で
使用される機器の代表例として原子力発電設備用
給水加熱器にこれまで使用されてきた市販の高C
−11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼であり、いわ
ゆる従来鋼に相当し、C含有量がこの発明の上限
値0.14%を大きく上廻つて0.16〜0.17%である。 また記号No.7、8については、耐E.C.性の改
良効果が不十分なことを示す比較鋼であり、その
うち記号No.9は溶接性試験に充当した比較鋼で
ある。
される理由は、一つに耐E.C.性の確保のため鋼
に硬さを付与するのに必要であるということに主
として由来し、これに加えてSCMV−3のうちと
くにN−T鋼の規格、すなわち高い引張強度(例
えば引張強さ53Kgf/mm2上)を、保証することにあ
つた。 しかるに今日原子力発電設備用給水加熱器の耐
E.C.性向上策として我国では、専ら材料面で対
処すべく高級な高C−11/4%Cr−1/2%Mo−3/
4%Si鋼を採用するすう勢にあるとは言え、その
一方で上記のような高C−11/4%Cr−1/2%Mo
−3/4%Si鋼の使用は次に示すとおり溶接施工性
がわるいため数多くの問題を抱えている。 つまり前記給水加熱器は、直径約2m、長さ約
10mに及ぶ巨大な容器状である。先ず胴板は鋼板
を曲げ加工により円筒状として長手方向を溶接
し、この円筒状のものを数個、円周溶接でつな
ぎ、この円筒内部にさらに管板、管および各種部
材が溶接などにより組込まれた後、両端に鏡板を
溶接して組み立てられる。かかる溶接組立にあた
つて、高C−11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼
は、 溶接硬化性指数、C当量(C+Si/24+Mn/
6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14)が例え
ば0.72%、 また溶接われ感受性指数、PCM値(C+Si/30
+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15
+V/10+5B)が例えば0.32% であることからも明らかなように、溶接われを起
こし易い鋼であるので、溶接に際しては溶接われ
などの回避のため予熱、後熱をことさらに入念に
行うと同時に溶接後の応力除去焼きなまし(通常
Stress Relieving、略してSRと呼ばれる。)も極
力高温で長時間行う必要がある。 しかしここに入念な予熱とは、例えば通常ガス
バーナで溶接予定箇所を250℃程度の温度に上げ
ることであり、従つて溶接作業環境をわるくする
ばかりか溶接能率を落とし、ガスバーナによるエ
ネルギー消費も著しいなど、多大の不利を生ず
る。 (発明が解決しようとする問題点) このようにして現在の原子力発電設備用給水加
熱器の建設に対して、省エネルギーや作業環境、
能率などの改善のためには、溶接われ感受性の低
いCr−Mo鋼の開発はきわめて重要である。 ここに湿り蒸気に対する耐E.C.性を具備して
いること、給水加熱器に適する強度およびじん性
をもつことが不可欠の条件である。なお、この耐
E.C.性に関し、これまで使用されていた高C−
11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼は決して完壁で
はなく、容器の寿命、操業の安全性を考慮し、さ
らに少しでもより改善されることもまた切望され
ている。 すなわち、この発明の目的は溶接性がよく、し
かも湿り蒸気下での耐E.C.性にすぐれた鋼組成
を提供することにある。 まず溶接性を改良するにはC含有量を低減すれ
ばよいことは前記C当量、PCM値などの計算式か
ら明白であるが、そうした場合、鋼の硬さは当然
低下するので耐E.C.性は劣化することが通常推
定される。 ここに耐E.C.性を損なわずに溶接性を改善す
るというより、むしろ耐E.C.をさらに向上さ
せ、しかも溶接性も改善させることが望まれてい
るわけで、耐E.C.性の向上に対してC含有量の
低減は元来不適切と考えるのが当業技術者の一般
常識であり、事実C含有量の低減によつて耐E.
C.性の改良を試みた事例は見出せない。 そして一方でこの課題は、現在の技術水準の下
では経済性を考慮すると克服不可能な難題である
と考えられ、前述したようないわば妥協を余儀な
くしていたのが実情である。 (問題点を解決するための手段) 発明者らはかような難題につき、敢えてより有
利な解決を目指してとくにこの鋼種におけるC含
有量および微量合金元素が耐E.C.性、溶接性、
機械的性質に及ぼすべき関係の本質を、系統的、
基礎的に鋭意研究を進めた結果、意外な事実、即
ちこの種Cr−Mo鋼では耐E.C.性は、 C含有量を0.14%以下に低減させる方がより
すぐれるようになること、 Si含有量の少ない方がすぐれるようになるこ
と、 さらに微量のCuおよびNiの同時添加に加え
てVの添加によつて顕著に改善されること、 、、の各場合とも強度レベルが低くて
も優れた性能が実現されること、 などを発見した。 かような事実は何れもこれまでの関係技術上の
常識ないしは学術的概念とは相反する予想外の知
見といえる。 発明者らはこれらの知見事実を前記給水加熱器
のごとき湿り蒸気下で使用される鋼に応用し、か
ような用途において上述のように難題とされた、
耐E.C.性ならびに溶接性の両面的な改善を一挙
に成し遂げたものである。 この発明は、C:0.02〜0.14重量%(以下単に
%で示す)、Si:0.45%未満、Mn:0.30〜0.80
%、Cr:0.70〜1.60%及びMo:0.40〜0.70%を含
み残余は不可避不純物を除き実質的にFeの組成
を基本成分として、これに主として固溶体硬化で
強度上昇に寄与するとともに耐E.C.性を向上さ
せる元素であるCu及びNiをそれぞれ0.02〜0.5%
で同時に含有させ、さらにV:0.005〜0.08%と
Al:0.005〜0.08%を含有させ、Vの析出硬化に
よる強度上昇により、C含有量を低減できること
で耐E.C.性及び溶接性の改善を達成した。 なお上記したところのうちの重要成分であるC
含有量をとくに0.02〜0.13%、同じくCu及びNi含
有量につきそれぞれ0.16〜0.30%を、この各発明
で初期した効果を一層高める領域として限定した
実施態様を包含する。 (作 用) さて上記成分範囲の限定理由はつぎのとおりで
ある。 C含有量はこの発明で最重要な要件であり、溶
接硬化性および溶接われ感受性を低減させ溶接の
予熱温度の低下、後熱の省略、そして応力除去焼
きなまし温度の低下、さらにはすぐれた耐E.C.
性をとくに在来観念を打破して実現するために
は、0.14%以下に限定されなければならない。溶
接性の点ではC量はもとより低ければ低いほどよ
いが、原子力発電設備用給水加熱器などの湿り蒸
気下での使途に供用する鋼として要求されるよう
な、常温並びに約250℃までの温度域における強
度およびじん性を得るには少なくとも0.02%は必
要であるので下限を0.02%とする。 とくにこの発明に従う組成のCr−Mo鋼はC含
有量を極く微量ではあつても上記のように低減さ
せると、溶接われ感受性が著しく改善されるとこ
ろに顕著な特徴をあらわし、さらにこのC含有量
の上限0.14%から0.13%への低下により強度レベ
ルの大きな低下を招くことなく溶接われ感受性を
著しく改善することができ従つて各発明の実施態
様の面でC含有量は好ましくは0.13%、より好ま
しくは0.11%までとするのが良い。 次にSiは常温およびに高温における強度の増加
に有効な元素であり、従来はCが0.15〜0.17%の
高い値であることに加えて一般にSiも0.45〜0.90
%含有されていた。 しかしこの含有量を0.45%未満に限定すること
により低C化とあいまつて耐E.C.性が著しく向
上することが見い出されたためにこの発明ではSi
含有量を0.45%未満に限定するものであり、この
限定もまた重要な要件のひとつであるが、ここに
他の強化元素であるMn、Cr、Moなどの強化効果
により必要な強度が確保できることは後述のとお
りである。 Mnは鋼に強度と延性を与えるために0.30%以
上を必要とする反面、この発明の組成の鋼では強
度確保に対してむしろCrおよびMoが大きく寄与
するため、強度の点でMnを大量に使用する必要
はなくむしろ0.80%を超えると却つて溶接硬化性
が上昇し問題を生じるので0.30〜0.80%に限定す
る。 CrおよびMoはともに高い流速の湿り蒸気によ
るE.C.に対する抵抗を増す重要な元素である。
原子力発電設備用給水加熱器などの用途ですぐれ
た耐E.C.性を付与するには、この発明の組成の
鋼ではCrおよびMoはそれぞれ少なくとも0.70%
および0.40%必要である。CrおよびMoは耐E.C.
性の向上の目的に照らして多ければその効果も大
きいが、Crは1.60%を超えると、またMoは0.70
%を超えると何れも加工性、溶接性の低下が懸念
される。従つて、Cr含有量は0.70〜1.60%に、ま
たMoは0.40〜0.70%にそれぞれ限定される。な
おCrはそもそも焼入性を向上させる元素として
高強度組織の形成に寄与するのみならず固溶体強
化作用を有するものであり、一方Moは析出硬化
型元素であり、焼もどし処理時に炭化物を微細に
析出して何れも強度の上昇にも寄与し、その結果
として上述の効果がそれぞれの制限範囲内で適切
に発揮される。 次にCu:0.02〜0.5%、Ni:0.02〜0.5%で両者
を同時に含有させる理由は、高い流速の湿り蒸気
に対する耐E.C.性がさらに著しく改善できるこ
とにある。耐E.C.性の改善の点ではCuおよびNi
は多ければ多いほどよいがいずれか一方が0.5%
を超えると溶接性を著しく低下させるのでこれら
の各含有量の上限を0.5%とした。 CuおよびNiは元来固溶体強化作用をもち焼入
性を向上させる元素であり、これらを複合で含有
させることにより強度は大きく上昇する。かよう
にCuおよびNiにより強度が向上できるので、強
度面でのC含有量の低減が可能になるわけで、ひ
いてはCu、Niの含有が耐E.C.性の改善にも役立
つわけである。すなわちCuとNiは合わせ含有さ
れるとそれら自身が耐E.C.性を改善するととも
に高強度化に役立ち、その高強度化はC含有量の
低減を可能にするのでこの点でも耐E.C.性の向
上に二重に寄与することになる。 この発明の実施態様においてはCをすでにのべ
たようにして0.02〜0.13%に限定するがこれとと
もにCuおよびNiにつきいずれも0.16〜0.30%とさ
らに限定するのは、CuおよびNiの同時添加が耐
E.C.性の向上に対しては、おのおの0.16%以上あ
ることが好ましく、多ければ多いほど効果は大き
いが、これら自身溶接われ感受性に関してはむし
ろ少ない方がよく、おのおの0.30%以下であるこ
とが望まれる。つまり耐E.C.性と感受性を最高
にするには、Cを0.13%以下に限定し、かつ0.16
〜0.30%でCuおよびNiの両者を含有させること
が実施上望ましい。 またV:0.005〜0.08%を含有させるのは、
0.005%以上で析出硬化により鋼の強化に寄与す
る元素であり、これにより強度上昇を図り、その
結果強度面でC含有量の低減が可能となり、ひい
ては溶接硬化性、溶接われ感受性、耐E.C.性を
改善するように作用する。しかし、Vは0.08%を
超えると逆に溶接部の再熱われ感受性を助長し、
また溶接熱影響部のじん性も劣化させるので0.08
%以下に限定する。 Alを0.005〜0.08%の範囲で含有させるのは、
AINを形成することによる細粒化作用に基づい
て、とくにじん性の向上に役立つからで、その効
果は、0.005%以上で明瞭に発現されて増量とと
もに最初は著しくなるが、約0.08%で飽和するの
で、0.005〜0.08%に限定する。 この発明の実施態様においてはCをすでにのべ
たようにして0.02〜0.13%に限定するがこれとと
もにCuおよびNiにつきいずれも0.16〜0.30%とさ
らに限定するのは、CuおよびNiの同時添加が耐
E.C.性の向上に対しては、おのおの0.16%以上あ
ることが好ましく、多いほどその効果は大きい
が、これら自身溶接われ感受性に関してはむしろ
少ない方がよく、おのおの0.30%以下であること
が望まれる。つまり耐E.C.性と溶接性を最高に
するには、Cを0.13%以下に限定し、かつ0.16〜
0.30%でCuおよびNiの両者を含有させることが
実施上望ましいわけである。 この発明において通常の製鋼工程で含有される
程度の不可避的な混入不純物は許容できる。すな
わち、その一般的な限度はSおよびPについては
溶接部の高温われ感受性を高くするためいずれも
0.025%以下にすることが好ましい。一方Nは通
常の製鋼工程で含有される0.0020〜0.0150%は許
容されるが、0.0150%を超えるとブローホールな
どの発生により鋼塊性状がわるくなるとともに溶
接性も劣化するので上記の範囲であることが好ま
しい。 さらに上記組成の鋼は湿り蒸気下で使用する部
材に用いて前述のとおり耐E.C.性、溶接性、強
度、じん性等を兼備し、これらの特性が要求され
る上記用途に充当してこそ価値があり、経済的で
ある。換言すればこの発明は上記用途へ使用され
た場合に限つて品質、経済性の両面で効果を発揮
する。 以上、この発明の鋼組成、用途等の各限定理由
を説明したが、この各発明の鋼は前述のような成
分調整の下に溶製したのち、常法による圧延又は
鍛造工程を経てから焼ならしおよび引続き焼もど
しを施すか又は焼なましを施すことにより鋼材と
して製造され、ここに熱処理は上記の2種類に限
定される。 なおここでいう焼ならしとはAc3点以上に加熱
後空冷(例えば板厚100mm未満では単なる空冷、
100mm以上の極厚材では空冷または強制冷却)す
る処理であり、焼もどしとはAc1点以下に加熱後
空冷する処理であり、また焼なましとはAc3点以
上に加熱後徐冷する処理である。焼ならし焼もど
し材は通常フエライト・パーライト組織であり、
ベイナイトを含むこともある。焼なまし材は通常
フエライト+パーライト組織である。 湿り蒸気下で使用される機器の代表例として原
子力発電設備用給水加熱器について念のために述
べれば、この各発明の熱処理が給水加熱器用鋼に
はれまで採用された事例のない“焼なまし”でも
よいということは大きな特長であり、次に述べる
ようにとくに高い価値をもつ。 すなわち焼なましの熱処理を受けた鋼は焼なら
し焼もどしの処理を受けたものに比べ、溶接後の
応力除去焼なまし等の熱サイクルに鈍感であり組
織および機械的性質の変動も少ない。 従つて大型溶接構造物の応力除去焼なましのよ
うに相当の温度のばらつきが予想されるような場
合、構造物の各部の品質をできるだけ均一にする
ためには、その構造物には焼ならし焼もどし鋼よ
りむしろ焼なまし鋼を用いる方がより望ましいと
いえる。 焼なまし鋼にこのような特徴があるにもかかわ
らず、原子力発電設備用給水加熱器には従来焼な
らし焼もどし鋼のみが用いられ、これまで焼なま
し鋼を用いようとする動きは全くなかつたのであ
り、その大きな理由は焼なまし鋼は焼もどし鋼に
比べ強度が低く、耐E.C.性が著しく劣ると思わ
れていたからである。しかし発明者らは従来の固
定観念にとらわれることなく鋭意研究の結果、こ
の各発明に従う成分において焼なましの熱処理を
施しても耐E.C.性は頗る大きく、低C化も可能
で溶接性も充分改善でき、その上、原子力発電設
備用給水加熱器用鋼として適切な強度、じん性を
もつことを確認した。 (実施例) さて以上述べたようなこの各発明の構成要件を
さらに明瞭にしこの各発明による特別の効果を具
体的に示すため以下実施例について説明する。 供試鋼の化学組成を第2表に示す。 表中の記号No.1〜4がこの発明に従う鋼であ
り、記号No.5、6は我国において湿り蒸気下で
使用される機器の代表例として原子力発電設備用
給水加熱器にこれまで使用されてきた市販の高C
−11/4%Cr−1/2%Mo−3/4%Si鋼であり、いわ
ゆる従来鋼に相当し、C含有量がこの発明の上限
値0.14%を大きく上廻つて0.16〜0.17%である。 また記号No.7、8については、耐E.C.性の改
良効果が不十分なことを示す比較鋼であり、その
うち記号No.9は溶接性試験に充当した比較鋼で
ある。
【表】
これらの鋼は市販のものを用いた記号No.5及
び7の従来鋼を除き、すべて小型高周波誘導加熱
式真空溶解炉を用いて溶製した100Kg鋼塊を、小
型圧延機により板厚30mmに熱間圧延したものであ
る。 圧延後の熱処理は原子力発電設備用給水加熱器
用鋼材に従来施されていた焼ならし焼もどし処理
に限定することなく焼なましも行つた。 なおここでいう焼ならし処理は930℃の加熱炉
に装入、1時間保持後抽出し大気中で放冷するも
のである。焼もどし処理条件は660℃×1hとし
た。 また焼なましの熱処理は930℃の加熱炉に装
入、1時間保持後炉中で鋼板の冷却速度が800〜
400℃間の平均で0.8℃/分にあるよう調節して徐
冷させるものである。 鋼板は溶接組立てを行つた後必ず応力除去焼な
ましを受けるので焼ならし焼もどし材、焼ならし
材ともさらに645℃×1hの応力除去焼なまし
(SR)が付与され試験に供された。ただし溶接性
試験に対しては応力除去焼なましを行つていない
試験材が充当されていることは説明するまでもな
い。 これらの供試材料を用いて、まず発明鋼が原子
力発電設備用給水加熱器に用いられる鋼として妥
当な強度、じん性を有することを常温並びに250
℃における引張試験およびV−シヤルピー衝撃試
験をおこなうことにより験証した。なおここでい
う妥当な強度、じん性とは、例えば引張強さにつ
いて言えば常温でおよそ40Kgf/mm2以上であればよ
く、給水加熱器が150℃程度に加熱されることを
考慮しそれより高めの250℃でも同様に40Kgf/mm2
以上が維持されることが望まれ、0℃における吸
収エネルギーについて言えば使用条件を考慮する
とおよそ2.1Kgf・m以上であればよいというこ
とになる。 引張試験には直径6mm、平行部30mm、ゲージ長
25mmの丸棒試片を、また衝撃試験には2mmVノツ
チヤルピー試片を用いた。 また代表的供試材を用いてこの発明の主目的で
ある溶接性の改善効果を調べた。溶接性試験には
JIS Z 3158に定められた斜めY形溶接われ試験
法を用い、われ阻止予熱温度を明らかにした。 次に代表的試験材について行つた高速高温水に
よるE.C.試験の方法を述べる。試験片は第1図
に示すように直径9mm、厚さ10mmの円板に幅3
mm、深さ5mmの溝を十字に切込んだものである。
試験は溝の交叉部に上部より直径1mmのノズルを
通し150℃、酸素5ppb以下の原子炉水を模擬した
高温高圧水を10m/sの高流速で500時間吹きつ
け、E.C.による試験片の重量減を調べることに
よつて行つた。 以上の試験方法に基づく試験結果を第3表に示
す。
び7の従来鋼を除き、すべて小型高周波誘導加熱
式真空溶解炉を用いて溶製した100Kg鋼塊を、小
型圧延機により板厚30mmに熱間圧延したものであ
る。 圧延後の熱処理は原子力発電設備用給水加熱器
用鋼材に従来施されていた焼ならし焼もどし処理
に限定することなく焼なましも行つた。 なおここでいう焼ならし処理は930℃の加熱炉
に装入、1時間保持後抽出し大気中で放冷するも
のである。焼もどし処理条件は660℃×1hとし
た。 また焼なましの熱処理は930℃の加熱炉に装
入、1時間保持後炉中で鋼板の冷却速度が800〜
400℃間の平均で0.8℃/分にあるよう調節して徐
冷させるものである。 鋼板は溶接組立てを行つた後必ず応力除去焼な
ましを受けるので焼ならし焼もどし材、焼ならし
材ともさらに645℃×1hの応力除去焼なまし
(SR)が付与され試験に供された。ただし溶接性
試験に対しては応力除去焼なましを行つていない
試験材が充当されていることは説明するまでもな
い。 これらの供試材料を用いて、まず発明鋼が原子
力発電設備用給水加熱器に用いられる鋼として妥
当な強度、じん性を有することを常温並びに250
℃における引張試験およびV−シヤルピー衝撃試
験をおこなうことにより験証した。なおここでい
う妥当な強度、じん性とは、例えば引張強さにつ
いて言えば常温でおよそ40Kgf/mm2以上であればよ
く、給水加熱器が150℃程度に加熱されることを
考慮しそれより高めの250℃でも同様に40Kgf/mm2
以上が維持されることが望まれ、0℃における吸
収エネルギーについて言えば使用条件を考慮する
とおよそ2.1Kgf・m以上であればよいというこ
とになる。 引張試験には直径6mm、平行部30mm、ゲージ長
25mmの丸棒試片を、また衝撃試験には2mmVノツ
チヤルピー試片を用いた。 また代表的供試材を用いてこの発明の主目的で
ある溶接性の改善効果を調べた。溶接性試験には
JIS Z 3158に定められた斜めY形溶接われ試験
法を用い、われ阻止予熱温度を明らかにした。 次に代表的試験材について行つた高速高温水に
よるE.C.試験の方法を述べる。試験片は第1図
に示すように直径9mm、厚さ10mmの円板に幅3
mm、深さ5mmの溝を十字に切込んだものである。
試験は溝の交叉部に上部より直径1mmのノズルを
通し150℃、酸素5ppb以下の原子炉水を模擬した
高温高圧水を10m/sの高流速で500時間吹きつ
け、E.C.による試験片の重量減を調べることに
よつて行つた。 以上の試験方法に基づく試験結果を第3表に示
す。
【表】
第3表によればいずれの発明鋼も上記使途に適
合して充分に高い常温および250℃における引張
強さとじん性を示し、耐E.C.性および溶接性の
改善のためC含有量を低減させても強度の点で全
く問題がないことが明らかである。また従来給水
加熱器用鋼に施されていた焼ならし焼もどし処理
を、強度のでにくい焼なまし処理に変更しても強
度の点ではC含有量を従来に比べて著しく低減で
きるということで得られた全く新規なものであ
る。 次に溶接われ感受性とC含有量の関係について
は、この発明の上限値を超えたC含有量を有する
従来鋼の記号No.5、6及び比較鋼の記号No.8の
われ阻止予熱温度は150〜200℃であるのに反し、
この発明に従いC含有量を0.14%以下に限定する
と上記予熱温度を100℃以下に低下できるのであ
る。 つまり溶接のわれ阻止するには従来鋼では少な
くとも150〜200℃の高い温度に予熱する必要があ
つたのに対し、この発明による鋼では、せいぜい
100℃程度に予熱すればよく、溶接施工上飛躍的
改良ということができる。 また、耐E.C.性については比較鋼No.7、8の
ごとく、従来鋼並みのC含有量(0.15〜0.17%)
でSi含有量のみ0.45%未満にした場合に従来鋼
No.6に対する耐E.C.性の改善はわずかであるの
に反し、低C化と低Si化の両者を組合せCu、
Ni、V及びAlを添加した発明鋼No.1〜4は、耐
E.C.性が著しく改善されることが明らかであ
る。 即ち給水加熱器用鋼としてC含有量を0.14%以
下に、またSi含有量を0.45%未満に限定すること
に加えて微量のCuおよびNiの同時添加、好まし
くは各々が0.16%〜0.30%の添加に加え、さらに
Vの添加により著しく耐E.C.性を改善し得るこ
とが見出されたわけである。 (発明の効果) 以上詳細に述べたようにこの発明によれば溶接
に当たつての予熱温度を100℃程度またはそれよ
りもかなり低い温度にすることができ、作業環境
を損なう恐れが少ないとともに溶接時の予熱に要
するエネルギーも少なくても済むためエネルギー
コストも低下でき、しかももちろん湿り蒸気に対
する耐E.C.性が格段にすぐれているため容器の
長寿命化が達成できるなど、各種の効果を得るこ
とができる。とくにこの各発明は原子力発電設備
用給水加熱器のごときに使用して、顕著な効果を
あげることができる。
合して充分に高い常温および250℃における引張
強さとじん性を示し、耐E.C.性および溶接性の
改善のためC含有量を低減させても強度の点で全
く問題がないことが明らかである。また従来給水
加熱器用鋼に施されていた焼ならし焼もどし処理
を、強度のでにくい焼なまし処理に変更しても強
度の点ではC含有量を従来に比べて著しく低減で
きるということで得られた全く新規なものであ
る。 次に溶接われ感受性とC含有量の関係について
は、この発明の上限値を超えたC含有量を有する
従来鋼の記号No.5、6及び比較鋼の記号No.8の
われ阻止予熱温度は150〜200℃であるのに反し、
この発明に従いC含有量を0.14%以下に限定する
と上記予熱温度を100℃以下に低下できるのであ
る。 つまり溶接のわれ阻止するには従来鋼では少な
くとも150〜200℃の高い温度に予熱する必要があ
つたのに対し、この発明による鋼では、せいぜい
100℃程度に予熱すればよく、溶接施工上飛躍的
改良ということができる。 また、耐E.C.性については比較鋼No.7、8の
ごとく、従来鋼並みのC含有量(0.15〜0.17%)
でSi含有量のみ0.45%未満にした場合に従来鋼
No.6に対する耐E.C.性の改善はわずかであるの
に反し、低C化と低Si化の両者を組合せCu、
Ni、V及びAlを添加した発明鋼No.1〜4は、耐
E.C.性が著しく改善されることが明らかであ
る。 即ち給水加熱器用鋼としてC含有量を0.14%以
下に、またSi含有量を0.45%未満に限定すること
に加えて微量のCuおよびNiの同時添加、好まし
くは各々が0.16%〜0.30%の添加に加え、さらに
Vの添加により著しく耐E.C.性を改善し得るこ
とが見出されたわけである。 (発明の効果) 以上詳細に述べたようにこの発明によれば溶接
に当たつての予熱温度を100℃程度またはそれよ
りもかなり低い温度にすることができ、作業環境
を損なう恐れが少ないとともに溶接時の予熱に要
するエネルギーも少なくても済むためエネルギー
コストも低下でき、しかももちろん湿り蒸気に対
する耐E.C.性が格段にすぐれているため容器の
長寿命化が達成できるなど、各種の効果を得るこ
とができる。とくにこの各発明は原子力発電設備
用給水加熱器のごときに使用して、顕著な効果を
あげることができる。
第1図はE.C.試験片の斜視図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.02〜0.14重量% Si:0.45重量%未満 Mn:0.30〜0.80重量% Cr:0.70〜1.60重量% Mo:0.40〜0.70重量% Cu:0.02〜0.5重量% Ni:0.02〜0.5重量% Al:0.005〜0.08重量%及び V:0.005〜0.08重量% を含有し、残余は不可避不純物を除き実質的に
Feの組成になり、耐E.C.性及び溶接性に優れる
ことを特徴とする、湿り蒸気下で使用する低C−
低Si−Cr−Mo鋼。 2 C含有量が0.13重量%以下でCu及びNi含有
量がそれぞれ0.16〜0.30重量%である、特許請求
の範囲1に記載した低C−低Si−Cr−Mo鋼。
Priority Applications (5)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2697681A JPS57143467A (en) | 1981-02-27 | 1981-02-27 | Low c-low si-cr-mo steel used in wet vapor |
| US06/351,752 US4529454A (en) | 1981-02-27 | 1982-02-24 | Low C-Cr-Mo steel used under wet steam |
| DE19823207032 DE3207032A1 (de) | 1981-02-27 | 1982-02-26 | Staehle mit niedrigen c-,cr-und mo-gehalten |
| SE8201211A SE459664B (sv) | 1981-02-27 | 1982-02-26 | Anvaendning av ett cr-mo-staal till en matarvattenvaermare |
| US07/071,709 USRE33006E (en) | 1981-02-27 | 1987-07-08 | Feed-water heater comprising low C-Cr-Mo steel components used under wet steam |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2697681A JPS57143467A (en) | 1981-02-27 | 1981-02-27 | Low c-low si-cr-mo steel used in wet vapor |
Related Child Applications (3)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7755086A Division JPS6250439A (ja) | 1986-04-05 | 1986-04-05 | 湿り蒸気下で使用する低C−低Si−Cr−Mo鋼 |
| JP7755286A Division JPS6250440A (ja) | 1986-04-05 | 1986-04-05 | 湿り蒸気下で使用する低C−低Si−Cr−Mo鋼 |
| JP7755186A Division JPS6250443A (ja) | 1986-04-05 | 1986-04-05 | 湿り蒸気下で使用する原子力発電給水加熱器用の耐E.C.性に優れる溶接性の良好な低C―低Si―Cr―Mo鋼材の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS57143467A JPS57143467A (en) | 1982-09-04 |
| JPS6156310B2 true JPS6156310B2 (ja) | 1986-12-02 |
Family
ID=12208182
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2697681A Granted JPS57143467A (en) | 1981-02-27 | 1981-02-27 | Low c-low si-cr-mo steel used in wet vapor |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS57143467A (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61139650A (ja) * | 1984-12-10 | 1986-06-26 | Hitachi Ltd | タ−ビンダイヤフラム |
| JPS61291948A (ja) * | 1985-06-20 | 1986-12-22 | Kawasaki Steel Corp | 原子炉用金属材料の製造方法 |
| JPH02250941A (ja) * | 1989-03-24 | 1990-10-08 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 低炭素クロムモリブデン鋼及びその製造方法 |
| JP4781767B2 (ja) * | 2005-10-05 | 2011-09-28 | 三菱重工業株式会社 | 高温用構造体の製造方法 |
-
1981
- 1981-02-27 JP JP2697681A patent/JPS57143467A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS57143467A (en) | 1982-09-04 |
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