JPWO2009107672A1 - ロボット安全装置、及びロボット - Google Patents
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Abstract
ロボットが人間に対してダメージを与える可能性を検知するとともに、その検知をトリガーとして速やかにロボットの駆動力を停止させる。ロボットの駆動軸と、該駆動軸を駆動するアクチュエータとの間に設けられ、該ロボットの周囲に位置するユーザに対する不測の作用を防止する安全装置であって、アクチュエータからの出力を駆動軸へ伝達する伝達部と、アクチュエータによる伝達部の伝達加速度動作に対応して、アクチュエータからの出力による伝達部の動作を規制するための規制補助力を機械的に発生させる加速度動作対応部と、加速度動作対応部によって発生させられた規制補助力によって駆動され、伝達部の動作を規制する規制部と、を備える。
Description
本発明は、ロボットの周囲に位置するユーザに対する不測の作用を防止する安全装置に関する。
工場での製造現場等では、人間に代替する労働力として広くロボットが活用されている。一般に、ロボットは与えられた指示に従って、必要とされる作業を実現する。このようなロボットが用いられる場面において、ロボットのみが作業を行うのであれば人間に対してダメージを与える可能性は極めて低くなるものの、実際にはロボットと協調して別の作業を人間が行ったり、またロボットの保守や点検を行うためにロボットが作業を行っている領域に人間が入っていったりする場合がある。このような場合、人間がロボットから受けるダメージを極力回避する必要がある。
そこで、ロボットからのダメージを回避するために、ロボットの可動範囲と人間の進入禁止領域を適切に且つ随時変更していくことで、安全な環境と効率的な作業を実現しようとする技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、ロボットと協調して作業を行う必要のある作業者に対して、作業者の動作が制限されるべき範囲を効果的に提示する技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
更に、直接的には人間との衝突防止に関する技術ではないが、作業対象物とロボットとの衝突が発生しても、その衝突によるダメージを低減するための技術が開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。当該技術では、ロボットの関節を駆動するサーボモータからのトルクの大きさに基づいて、作業対象物とロボットの衝突が判断されることになる。
特開2007−283450号公報
特開2005−335000号公報
特開2007−249524号公報
ロボットと作業者との衝突を回避するために、先行技術のように作業者への効果的な作業領域の提示は有用な方法ではある。しかし、作業者に対して有用な情報を通知した場合であっても、ロボットとの衝突という不測の事態を完全にさけることは難しい。また、従来技術のようにロボットと作業者との衝突を何等かの方法により検知しようとする場合であっても、いわば衝突の危険性の検知が間に合わず、又は衝突が生じてからの該衝突の検知となるため、作業者を確実に保護することは難しいと言わざるを得ない。
一方で、作業者とロボットのとの衝突によって作業者へのダメージを低減するために、ロボットの駆動力を制限する方法も考えられるが、それでは人間に代わる労働力としてのロボットの採用意義が薄れてしまい、本末転倒となる。
本発明では、上記した問題に鑑み、ロボットが人間に対してダメージを与える可能性を検知するとともに、その検知をトリガーとして速やかにロボットの駆動力を停止させる安全装置を提供することを目的とする。
そこで、上記の課題を解決するために、本発明では、ロボットを駆動するアクチュエータからの駆動力によって得られる、駆動軸の加速度又は速度を基準として、ロボットの危険性を機械的に検知し、当該駆動軸の駆動を停止することとした。機械的に、危険性の検知と駆動軸停止を行うことで、センサーを介した様々な処理よりも速やかにロボットの出力軸の停止が可能となる。更に、制御用のコンピュータ等が故障した場合にも、出力軸の停止が可能となる。
詳細には、本発明に係るロボットの安全装置は、ロボットの駆動軸と、該駆動軸を駆動するアクチュエータとの間に設けられ、該ロボットの周囲に位置するユーザに対する不測の作用を防止する安全装置であって、前記アクチュエータからの出力を前記駆動軸へ伝達する伝達部と、前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達加速度動作に対応して、前記アクチュエータからの出力による前記伝達部の動作を規制するための規制補助力を機械的に発生させる加速度動作対応部と、前記加速度動作対応部によって発生させられた前記規制補助力によって駆動され、前記伝達部の動作を規制する規制部と、を備える。
上記ロボット安全装置(以下、単に「安全装置」とも言う。)は、アクチュエータとロボットの駆動軸との間に設けられ、該アクチュエータから伝えられた駆動力による伝達部での伝達加速度動作を基準として、ロボットへ駆動力を伝える伝達部の動作が規制されることになる。即ち、加速度動作対応部が、その伝達加速度動作に対応して、伝達部の動作を規制する規制部を駆動するための規制補助力を機械的に発生させることで、機械的な危険性の判断と伝達部の機械的な停止を実現する。これにより、ロボットの周囲に位置するユーザに対して、ロボットが不測の作用(衝突等)を与えることを、速やかに防止することができる。
そして、上記安全装置において、前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達加速度が所定加速度を超えると、前記規制部は、前記加速度動作対応部からの前記規制補助力により前記伝達部の動作を規制するようにしてもよい。これにより、伝達部の伝達加速度が所定加速度を超えるとき、ロボットがユーザに対して不測の作用を及ぼす可能性があると判断され、規制部による伝達部の動作規制が行われることになる。
また、上述までの安全装置において、前記加速度動作対応部は、前記伝達部に対して固定状態で連結される第一伝達補助部と、前記伝達部に対して相対移動可能な状態で配置される第二伝達補助部と、前記第一伝達補助部と前記第二伝達補助部とを弾性的に連結し、前記伝達部の伝達加速度動作に対応して、前記第二伝達補助部が前記伝達部に対して相対移動可能とする、弾性連結部と、前記弾性連結部を介した前記第二伝達補助部の変位によって前記規制補助力を発生させる規制補助力発生部と、を有するようにしてもよい。
上記の構成を有する安全装置では、第一伝達補助部は伝達部と連動して同じ動作を行うが、第二伝達補助部は、弾性連結部を介して、第一伝達補助部と伝達部に接続されているため、必ずしも伝達部との動作が連動するとは限らない。特に、伝達部が伝達加速度動作を行っている場合には、第一伝達補助部と第二伝達補助部との間に当該加速度に起因する慣性トルク等が生じ、慣性トルク等が生じていない場合の両伝達補助部の相対関係と比べて「相対移動」が生じることになる。そこで、この慣性力に従って相対移動による変位を介して、規制補助力発生部が上記規制補助力を発生するように機械的に安全装置を設計することで、ダメージ発生の可能性検知と、伝達部の速やかな停止を実現することが可能となる。
ここで、上記の安全装置において、前記所定加速度が変更可能であってもよい。更には、前記加速度動作対応部は、前記弾性連結部による前記第一伝達補助部と前記第二伝達補助部との弾性連結の程度を調整可能な弾性連結調整部を更に有し、前記弾性連結調整部によって前記弾性連結部による弾性連結を調整することで、前記所定加速度が変更可能としてもよい。所定加速度を変更可能とすることで、ロボットが使用される条件等に合わせてユーザを効果的に保護する安全装置の仕様設定が可能となる。また、所定加速度は、上述した第二伝達補助部の伝達部に対する相対移動の条件によって変更するものであるから、上記のように弾性連結部による弾性連結の程度を調整する以外にも、当該相対移動に関連する種々のパラメータを調整してもよい。
ここで、上述までの安全装置において、上記規制補助力の発生に関し、より具体的な構成を以下に示す。先ず、前記加速度動作対応部は、前記第一伝達補助部に対して相対移動可能に取り付けられ、且つ前記弾性連結部を介した前記第二伝達補助部の変位によって該相対移動を行う係合部を更に有し、そして、前記規制補助力発生部は、前記係合部が前記第一伝達補助部に対して前記相対移動を行うと該係合部と係合状態となり、該係合部を介して前記伝達部の動作が伝えられることで前記規制補助力を発生させてもよい。即ち、この構成を有する安全装置は、第二伝達補助部の相対移動を基点として、係合部と規制補助力発生部との係合状態が生み出され、そしてその係合状態が更に規制補助力を生み出すという、機械的な一連の流れを実現するものである。
また、別の具体的な構成としては、前記規制部は、前記伝達部に対する相対位置が可変となるように設けられ、且つ該伝達部に連動して駆動されるブレーキ部と、前記ブレーキ部と接触して前記伝達部の動作を規制するためのブレーキ力を発生させるブレーキドラム部と、を有し、前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達加速度によって、前記弾性連結部を介した前記第二伝達補助部が変位することで、前記ブレーキ部の前記伝達部に対する相対位置が変更され、該ブレーキ部と前記ブレーキドラム部とが接触状態に至るようにしてもよい。即ち、この構成を有する安全装置は、第二伝達補助部の相対移動を基点として、ブレーキ部に規制補助力を及ぼし伝達部との相対位置の変更状態を生み出すとともに、その変更状態によってブレーキ部とブレーキドラム部との間にブレーキ力発生のための接触状態を形成するという、機械的な一連の流れを実現するものである。
ここで、上述までの安全装置において、前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達速度が所定速度を超えると、前記第二伝達補助部を該伝達部に対して前記相対移動させ、その変位により前記規制部を駆動する速度動作対応部を、更に有するようにしてもよい。即ち、上述までのように伝達部の伝達加速度に加えて伝達速度に基づいて、機械的な伝達部の動作停止を実現するものである。この場合においても、伝達速度に基づいて第二伝達補助部を上記相対移動させることで、伝達部の動作停止を行う。
また、本発明に係る安全装置を、伝達部の伝達速度に基づいた機械的な動作停止を行う安全装置の観点から捉えることも可能である。即ち、本発明に係る安全装置は、ロボットの駆動軸と、該駆動軸を駆動するアクチュエータとの間に設けられ、該ロボットの周囲に位置するユーザに対する不測の作用を防止する安全装置であって、前記アクチュエータからの出力を前記駆動軸へ伝達する伝達部と、前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達速度動作に対応して、前記アクチュエータからの出力による前記伝達部の動作を規制するための規制補助力を機械的に発生させる速度動作対応部と、前記速度動作対応部によって発生させられた前記規制補助力によって駆動され、前記伝達部の動作を規制する規制部と、を備える。これにより、伝達加速度に基づく場合と同様に、ロボットの周囲に位置するユーザに対して、ロボットが不測の作用を与えることを、速やかに防止することができる。
また、上記安全装置において、前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達速度が所定速度を超えると、前記規制部は、前記規制補助力により前記伝達部の動作を規制するようにしてもよい。これにより、伝達部の伝達速度が所定速度を超えるとき、ロボットがユーザに対して不測の作用を及ぼす可能性があると判断され、規制部による伝達部の動作規制が行われることになる。そして、この所定速度は、変更可能であってもよい。これにより、ロボットが使用される条件等に合わせてユーザを効果的に保護する安全装置の仕様設定が可能となる。
ここで、上述までの安全装置において、前記規制部が前記伝達部の動作を規制する際に、前記アクチュエータへの電力供給を停止する電力停止部を、更に備えるようにしてもよい。規制部による伝達部の動作規制に加えて、アクチュエータへの電力供給を停止させることで、より確実にユーザへのダメージを回避することができる。尚、この電力供給の停止も、第二伝達補助部の上記相対移動に機械的に連動して行われるのが好ましい。電力供給の停止をより確実なものとすることができるからである。
また、前記電力停止部は、前記規制部が前記伝達部の動作を規制する前に、前記アクチュエータへの電力供給を停止するのが好ましい。このようにすれば、アクチュエータからの電力がより速やかに遮断されるため、ユーザへのダメージ回避がより確実となる。
尚、上述までの安全装置をロボットに組み込むことは、ロボットの使用時における安全性を高めるためにも極めて有用である。その際、前記ロボットの一部又は全部の駆動軸に対して、前記ロボット安全装置が取り付けられればよいが、安全性の向上を考慮すると、ロボットの全ての駆動軸に本発明に係る安全装置が取り付けられることが好ましい。ここで言うロボットとは、アクチュエータで駆動される機械全般を指すものである。
ロボットが人間に対してダメージを与える可能性を検知するとともに、その検知をトリガーとして速やかにロボットの駆動力を停止させる安全装置を提供する。
以下に、本発明に係るロボット用の安全装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。ロボットは様々な現場で使用される一般的な機械装置であるが、ロボットと人間がともに作業を行う場合、または人間がロボットの操作や保守を行うような場合、ロボットの動作領域と人間の動作領域とが干渉する可能性がある。その結果、場合によっては、ロボットが人間に接触し、何等かのダメージを与えてしまうことが考えられる。そこで、本発明に係るロボット用の安全装置(以下、単に「安全装置」と言う。)は、ロボットの周囲に位置する人間に対する不測の作用を防止することを主な目的として用いられる。
即ち、当該安全装置をロボットに組み込むことで、図1(a)に示すようなロボットの暴走およびそれによる人間へのダメージを回避し、例えば、図1(b)に示すように、ロボットを構成する駆動軸の動き、特に加速度あるいは速度のいずれかが予め設定されている閾値を超えたときに、その駆動軸の動きを早急に規制し、人間へのダメージを軽減もしくは回避することを可能とする。このとき駆動軸の可及的に速やかな停止を実現するために、本発明に係る安全装置は、ロボットの駆動軸の動作に対して機械的に反応し、その動作を規制するものであり、以下にその詳細を示す。
図2に、本発明に係る安全装置1がロボットの一部であるアーム部100に組み込まれた際の一例を示す。アーム部100は、モータ等のアクチュエータ200を動力源として、その出力軸210とロボットの駆動軸110との間の伝達軸220に配置される。尚、伝達軸としては、駆動力伝達のためのベルトやロボットの駆動軸110と連結される軸等が例示できるが、アクチュエータ200の出力軸210の直後や、アーム部100の駆動軸110の直前に安全装置1が設けられても構わない。
また、アーム部100の正転方向・反転方向の両方向でその駆動軸110をロックしたい場合は、正転方向をロックする安全装置1と反転方向をロックする安全装置1’を図のように設置する。また、駆動軸110の正転方向のみ、あるいは、反転方向のみをロックできればよい場合は、それぞれの方向のみをロックする安全装置1又は1’だけを取り付ければよい。これらの安全装置1、1’の構造は、実質的に同一であるため、以下においては主に片方の安全装置1について言及していく。
また、安全装置1は、図3に示すように、ロボットの本体(胴体)部130側に設置してもよい。即ち、アーム部110から離れたロボット本体部130に、アクチュエータ200が設置され、ベルトや歯車等の動力伝達装置120により、アクチュエータ200の駆動力が伝達されアーム部100の駆動軸110に伝達される場合において、図2に示す場合と同じように、アクチュエータ200とアーム部100の駆動軸110との間の伝達軸であってロボット本体部130内に、安全装置1が設置されてもよい。
次に、安全装置1の詳細な構造を、分解した状態で図4に示す。回転軸22は、アクチュエータ200からの出力が入力され、アーム部100の駆動軸110に出力するための、駆動力伝達のための軸である。この回転軸22は、ロボットの本体部等の固定部側(即ち、アクチュエータ200によって駆動されない部分)上に設置されたフレーム10に設けられた貫通孔12に挿通され、そこでベアリング11によって回転可能状態に支持される。
ここで、回転軸22は、周囲にラチェットが設けられているラチェットホイール24と一体となっている。そして、このラチェットホイール24のラチェットに係止爪20が引っ掛かることで、回転軸22の回転が規制されることになる。ここで、回転軸22に対してベアリング支持された状態で爪回転板27が配置され、その円筒部分の内側面には内歯29が設けられている。この爪回転板27に設置されたピン25にバネ23の一端が接続され、バネ23の他端はフレーム10のピン13に接続されている。すなわち、爪回転板27はバネ23を介してフレーム10に拘束されている。
次に、係止爪20が、フレーム10上の貫通孔14を介して、フレーム10に対して回転可能な状態で取り付けられている。尚、この係止爪20の回転方向は、後述するようにラチェットホイール24に対して接近、離間が可能となる回転方向である。そして、係止爪20の先端部分には、上記爪回転板27の方向に向けてガイドバー21が設けられており、このガイドバー21は、安全装置1の組み立て状態において爪回転板27に設けられたガイド孔28に挿入される。
また、爪回転板27の上記円筒部分に収まるように、加速度検知部30が回転軸22に対して相対的に配置される。この加速度検知部30は、プレート31、ストッパ32、バネ33、ラチェットホイール34で構成される。ラチェットホイール34はバネ33を介してプレート31に取り付けられている。尚、加速度検知部30の詳細については後述する。更に、加速度検知部30の隣にギア40が回転軸22に対して固定状態で連結される。
ここで、上記ギア40に加えて、ラチェットホイール24と、加速度検知部30のプレート31も回転軸22に対して固定状態で連結され、回転軸22と一体となって回転する。更に、ギア40が回転すると、それに噛み合っているギア41も回転するとともに、ギア41に接続されているロータリダンパ42も回転するように、ギア41とロータリダンパ42が配置される。そして、ロータリダンパ42の回転軸にはストッパ44が取り付けられており、ストッパ44は、当該回転軸の速度(回転速度)に応じてロータリダンパ42から制動トルクを受ける。また、ストッパ44にはバネ43の一端が取り付けられており、ストッパ44にはバネ43からの弾性力によるスプリングトルクが作用する。尚、このバネ43の他端はフレーム45に固定されており、このフレーム45はフレーム10に連結される。また、ストッパ44の回転軸はベアリング46を介してフレーム45に対して回転可能状態で設置されている。
また、安全装置1においては、爪回転板27が回転した場合に、該爪回転板27上に設けられたピン26により押される位置にスイッチ15が設置されている。このスイッチ15は、アクチュエータ200への電力供給を接続、遮断するためのスイッチであり、本実施例ではスイッチ15がピン26によって押されると、電力供給が遮断されることになる。この点については、後述にて更に説明する。
<加速度検知および回転軸22のロックについて>
図5に加速度検知部30の詳細を示す。加速度検知部30は、回転軸22の加速度(回転加速度)を検知する。上述したように、プレート31は回転軸22と一体となって回転する。そして、プレート31上には、ストッパ32用の回転軸31aが設けられ、ストッパ32がこの回転軸31aに取り付けられることで、プレート31に対して相対的に回転可能となる。また、ストッパ32の先端部分には、ラチェットホイール34の方に向かって延在するガイドバー32aが設けられ、このガイドバー32aは、安全装置1の組み立て状態においてラチェットホイール34上に設けられたガイド孔34aに挿入されることになる。また、プレート31のピン31bにはバネ33の一端が接続され、ラチェットホイール34のピン34b(図5においては、ラチェットホイール34に隠れた位置にあるため点線で示されている。)に、そのもう一端が接続されている。従って、ラチェットホイール34は回転軸22に固定されているプレート31に対して、バネ33によって弾性的に連結されている。そのため、回転軸22の回転は、プレート31のピン31bからバネ33を介してラチェットホイール34に伝わり、バネ33を介した状態でラチェットホイール34は回転することになる。
図5に加速度検知部30の詳細を示す。加速度検知部30は、回転軸22の加速度(回転加速度)を検知する。上述したように、プレート31は回転軸22と一体となって回転する。そして、プレート31上には、ストッパ32用の回転軸31aが設けられ、ストッパ32がこの回転軸31aに取り付けられることで、プレート31に対して相対的に回転可能となる。また、ストッパ32の先端部分には、ラチェットホイール34の方に向かって延在するガイドバー32aが設けられ、このガイドバー32aは、安全装置1の組み立て状態においてラチェットホイール34上に設けられたガイド孔34aに挿入されることになる。また、プレート31のピン31bにはバネ33の一端が接続され、ラチェットホイール34のピン34b(図5においては、ラチェットホイール34に隠れた位置にあるため点線で示されている。)に、そのもう一端が接続されている。従って、ラチェットホイール34は回転軸22に固定されているプレート31に対して、バネ33によって弾性的に連結されている。そのため、回転軸22の回転は、プレート31のピン31bからバネ33を介してラチェットホイール34に伝わり、バネ33を介した状態でラチェットホイール34は回転することになる。
ここで、加速度検知部30による回転軸22の加速度の検知について説明する。図6には、爪回転板27の円筒部分に収められた加速度検知部30と、爪回転板27側に設けられた内歯29との相関関係が示されている。尚、図6の左側に示す当該相関関係は、回転軸22の加速度がゼロもしくは比較的に低い場合、即ち所定加速度以下であるときのものであり、右側に示すのが、回転軸22の加速度が所定加速度を超えたときのものである。図6に示すように、回転軸22の加速度が上昇し、ラチェットホイール34を拘束している、バネ33からのスプリングトルク以上の慣性トルクがスプリングトルクとは逆の方向に作用することで、ラチェットホイール34が回転軸22に対して、該回転軸22を中心として相対的に回転し当初の相対位置よりずれた場合(図6中に示す「ずれ」が生じた場合)、ストッパ32は、ラチェットホイール34に設けられたガイド孔34aとガイドバー32aとの幾何学的拘束により、爪回転板27側の内歯29と接触する方向に導かれ、最終的にストッパ32の先端部分が内歯29に引っ掛かる状態となる。
以上を踏まえて、加速度検知部30による回転軸22の加速度検知、およびその検知された加速度に基づく回転軸22のロックの詳細について、図7A〜7C及び図8に基づいて説明する。図7A〜7C及び図8は、安全装置1が所定加速度を機械的に検知し、ロボットのアーム部100の電力供給を遮断し、その駆動をロックするまでのプロセスを示している。本実施例では、図7A、7Bに示した白抜き矢印の方向、即ち回転軸22が左周りの方向に、予め設定した所定加速度が生じた場合の安全装置1の動作を示している。回転軸22が逆方向に回転した場合については、同様のプロセスにより逆方向の回転をロックするために設置した安全装置1’が作動することになる。
先ず、図7Aのように、回転軸22の加速度が小さい通常状態の場合、その加速度によるラチェットホイール34に生じる慣性トルクも比較的小さいので(即ち、所定加速度より小さい)、バネ33によるスプリングトルクに負け、ラチェットホイール34は回転軸22とともに回転する。この場合、当然のことながら回転軸22のロックは行われない。そして、回転軸22の加速度が大きくなるとラチェットホイール34に生じる慣性トルクも次第に大きくなり、当該加速度が所定加速度を超えると、当該慣性トルクがバネ33によるスプリングトルクに打ち勝ち、ラチェットホイール34の回転と回転軸22の回転に「ずれ」(図6に示す「ずれ」)が生じる(図7B参照)。その結果、図7Bに示すように、内歯29内でストッパ32がガイド孔34aによって内歯29側に導かれ、両者が接触する。
ストッパ32が内歯29と接触した後は、ストッパ32は内歯29に引っ掛かる位置まで移動する(図7C(a)を参照)。内歯29とストッパ32が互いに引っ掛かった状態となった後、回転軸22の回転はストッパ32により爪回転板27に伝えられ、回転軸22の回転に対して影響されない状態であった爪回転板27が、回転軸22とともに回転することになる。ここで、爪回転板27上のガイド孔28は、係止爪20のガイドバー21と幾何学的拘束関係にあるため、図7C(b)に示すように、係止爪20を回転軸22に接近する方向に回転させる回転力が、該係止爪20に作用することになる。また、それとともに、爪回転板27に取り付けられたピン26によりスイッチ15が切られ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。
その後、上記回転力によって、図8(a)に示すようにラチェットホイール24のラチェットと係止爪20がかみ合い、回転軸22はロックされる。これにより、ロボットのアーム部100による人間に対する不測の作用を防止することが可能となる。尚、回転軸22がロックされた後、回転軸22の加速度がなくなると、ラチェットホイール34に作用する慣性トルクも消失する。これにより、ストッパ32はバネ33により元の位置へ戻ることになる。しかし、ロボットのアーム部100の自重によるトルクが図8(b)のように作用している場合は、そのトルクが作用している限り、ラチェットホイール24のラチェットと係止爪20とのかみ合いは維持され、以て、回転軸22のロックは維持され続ける。
また、仮に、回転軸22がロックされた後、ロボットの自重によるトルクが図8(b)とは逆方向に作用しても、逆方向の回転のために設置された安全装置1’により、回転軸22の回転における加速度が検知され、上述した構成を有する安全装置1’によって回転軸22が確実にロックされる。このとき、回転軸22の加速度が所定加速度にまで至らなければ回転軸22にはロックが掛からないが、アクチュエータ200への電力供給が遮断されているので、ロボットのアーム部100はゆっくり落下し、回転軸22でぶら下がり止ることになり人間へのダメージは抑えられる。
<速度検知および回転軸22のロックについて>
次に、回転軸22の速度(回転速度)に基づいた安全装置1の動作について、図9に基づいて説明する。図9には、ストッパ44による回転軸22の速度検知のメカニズムを示す。先ず、回転軸22の速度は、回転軸22に固定されたギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。ロータリダンパ42にはストッパ44が取り付けられているので、ストッパ44には、回転軸22の速度に比例したロータリダンパ42からの制動トルクが作用する。また、ストッパ44にはバネ43も接続されており、このバネ43からは、ロータリダンパ42からの制動トルクとは逆方向にスプリングトルクも作用している。
次に、回転軸22の速度(回転速度)に基づいた安全装置1の動作について、図9に基づいて説明する。図9には、ストッパ44による回転軸22の速度検知のメカニズムを示す。先ず、回転軸22の速度は、回転軸22に固定されたギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。ロータリダンパ42にはストッパ44が取り付けられているので、ストッパ44には、回転軸22の速度に比例したロータリダンパ42からの制動トルクが作用する。また、ストッパ44にはバネ43も接続されており、このバネ43からは、ロータリダンパ42からの制動トルクとは逆方向にスプリングトルクも作用している。
ここで、回転軸22の速度が大きくなると、ロータリダンパ42による制動トルクも増加し、その値が所定速度に至るとストッパ44はラチェットホイール34の外周に設けられたラチェット部分と接触しかみ合う。これによりラチェットホイール34がストッパ44により拘束され、回転軸22の回転とラチェットホイール34の回転に「ずれ」が生じる。このずれは上述した加速度検知部30における「ずれ」と同義である。そして、この「ずれ」が生じると、内歯29内のストッパ32が内歯29と接触し、その後は加速度検出部30による場合と同様のプロセスで、回転軸22がロックされることになる。これにより、ロボットのアーム部100による人間に対する不測の作用を防止することが可能となる。
<回転軸22のロック後における、人間の救出について>
図10に示すように、回転軸22をロックした後(係止爪20がラチェットホイール24に引っ掛かった状態となった後)、人間の身体あるいはその一部がロボットの自重等によりロボットに挟まれてしまう場合がある(図10(a)を参照)。しかし、安全装置1が取り付けられたロボットにおいては、人間を挟んでいる方向とは逆方向には、係止爪20によるロックは掛けられていないので、図10(b)に示すように、当該逆方向にロボットを動かすことができる。これにより、挟まれてしまった人間の救出が可能となる。
図10に示すように、回転軸22をロックした後(係止爪20がラチェットホイール24に引っ掛かった状態となった後)、人間の身体あるいはその一部がロボットの自重等によりロボットに挟まれてしまう場合がある(図10(a)を参照)。しかし、安全装置1が取り付けられたロボットにおいては、人間を挟んでいる方向とは逆方向には、係止爪20によるロックは掛けられていないので、図10(b)に示すように、当該逆方向にロボットを動かすことができる。これにより、挟まれてしまった人間の救出が可能となる。
<加速度もしくは速度検知から回転軸22のロックまでの時間短縮について>
安全装置1では、ラチェットホイール24のラチェットと係止爪20が確実にかみ合うように、ストッパ32が内歯29と引っ掛かった状態に至ったとき、係止爪20とラチェットホイール24のラチェットとの相対関係も必ず両者がかみ合う位置関係になるように設定されている(図11参照。図11においては、係止爪20はラチェットホイール24と噛み合っていない状態にある。この後、爪回転板27が回転することにより確実に係止爪20をラチェットホイール24に噛み合わせることになる。)。即ち、ストッパ32がどの内歯29と引っ掛かった状態になっても、かみ合った瞬間における係止爪20とラチェットホイール24のラチェットとの幾何学的関係は同一となるようにしている。
安全装置1では、ラチェットホイール24のラチェットと係止爪20が確実にかみ合うように、ストッパ32が内歯29と引っ掛かった状態に至ったとき、係止爪20とラチェットホイール24のラチェットとの相対関係も必ず両者がかみ合う位置関係になるように設定されている(図11参照。図11においては、係止爪20はラチェットホイール24と噛み合っていない状態にある。この後、爪回転板27が回転することにより確実に係止爪20をラチェットホイール24に噛み合わせることになる。)。即ち、ストッパ32がどの内歯29と引っ掛かった状態になっても、かみ合った瞬間における係止爪20とラチェットホイール24のラチェットとの幾何学的関係は同一となるようにしている。
加速度検知部30における1つのストッパ32でこのようなことを実現するためには、(1)ラチェットホイール24のラチェットの歯の数と内歯29の歯数を同一にする。
(2)ストッパ32を取り付けているプレート31とラチェットホイール24が回転軸22とともに回転する。
(3)ストッパ32が内歯29と引っ掛かった状態になるまで、爪回転板27は回転軸22とともに回転しない。
ことが必要である。
(2)ストッパ32を取り付けているプレート31とラチェットホイール24が回転軸22とともに回転する。
(3)ストッパ32が内歯29と引っ掛かった状態になるまで、爪回転板27は回転軸22とともに回転しない。
ことが必要である。
安全装置1は上記3つの条件を全て満たしている。ここで、このような構造を有する安全装置1において、回転軸22の加速度が所定加速度を超え、又は速度が所定速度を超えたことが機械的に検知されてから、回転軸22をロックするまでの時間は、人体へのダメージを考慮すると可及的に短い方が好ましい。そこで当該時間を短縮する方法として、爪回転板27の内歯29の歯数およびラチェットホイール24のラチェットの歯数を増加させることが挙げられる。爪回転板27の内歯29の歯数を増加させることにより、内歯29の歯幅が小さくなりストッパ32が内歯29に接触してからそれに沿って動く時間が短縮される。また、ラチェットホイール24のラチェットの歯数を増やし歯を小さくすることにより、係止爪20を回転させる角度も小さくなり、該係止爪20を回転させる時間が短縮されることになる。
しかし、安全装置1はロボットに搭載することを考慮すると、可能な限りその大きさをコンパクトにすることが求められる。そのため、爪回転板27の内歯29の内径を一定にしたままその歯数を増やすには限界がある。そこで、以下に、内歯29の歯数は一定のままで、ストッパ32の数を増やすことにより、内歯29の歯数を増やした場合と同じ効果が得られる機構を、図12及び図13に示す。
図12に一例として、加速度検知部30においてストッパ32(321、322、323)を3つ設置した場合を示す。同図に示すように、加速度検知部30が収められ対向する内歯29の歯幅を3等分した位置(図12においては、各ストッパ32の先端部分に、対応する内歯29の一つの歯を3等分する3本の線を示している。尚、図中のAで示す位置は、3本線のうち一方の端の線に対応し、Cで示す位置は3本線のうちもう片方の端の線に対応し、Bで示す位置は3本線のうち真ん中の線に対応している。)において、各ストッパ32の先端部分が一つずつずれた位置となるように、加速度検知部30が配置される。
このような構造にすることにより、例えば図12の線Aの位置のストッパ323が内歯29と接触した瞬間にその内歯29と噛み合わなかったとしても、線Bの位置のストッパ321が内歯29の歯幅の1/3を移動しさえすれば、そのストッパ321が内歯29と噛み合うことになる。これにより、内歯29の数は変わらずとも、実質的にその数が3倍にされたのと同じとなり、回転軸22をロックするための時間の短縮が図られる。尚、この場合、内歯29の数の3倍の歯数をもつラチェットホイール24を使用すれば、内歯29とストッパ32が引っ掛かった瞬間におけるラチェットホイール24の歯と係止爪20の幾何学的関係の同一性(図11に示した幾何学的関係)が保たれることになり、以て、内歯29とストッパ32が引っ掛かった瞬間に係止爪20とラチェットホイール24の歯がかみ合う。更に、ラチェットホイール24のラチェットの歯数を増やし、その歯を小さくすることにより係止爪20を回転させる角度も小さくすることでも、係止爪20を回転させる時間が短縮される。
ここで、上記ではストッパ32を3つ使用した場合を示したが、このストッパの数は、ストッパを設置するスペースが許す限り、さらに多くしても構わない。N個のストッパを配置する場合には、内歯29の歯幅をN等分した位置にそれぞれのストッパの先端部分が来る位置に各ストッパを配置すればよい。更に、内歯29とストッパ32との引っ掛かるタイミングと、ラチェットホイール24と係止爪20とがかみ合うタイミングを合わせるために、内歯29の歯数のN倍の歯をもつラチェットホイールを用いればよい。ただし、ラチェットホイールの歯の数にも限度があり、またストッパに作用する摩擦なども考えると、ストッパを増やすにも限界がある。従って、ストッパの数としては1〜8程度であり、好ましくは1〜4である。
尚、図13に、図12に示した3つのストッパ321、322、323を用いた場合の加速度検知部300の構成例を示している。3つのストッパは、それぞれプレート310上に設けられた回転軸311a、312a、313aを介して、該プレート310に対して相対的に回転可能な状態で設置される。また、各ストッパの先端部分には、ガイドバー321a、322a、323aがそれぞれ設けられ、各ガイドバーは、安全装置1の組み立て状態においては、ラチェットホイール340上に設けられた対応するガイド孔34a1、34a2、34a3にそれぞれ挿入された状態となる。
<ラチェットホイール24の強度不足の解決について>
上述したように、ラチェットホイール24の歯数を増やした方が、回転軸22のロックに要する時間を短縮することはできる。しかし、同径のラチェットホイール24でラチェットの歯数を多くすると、歯が小さくなるため、歯の強度が低下し、またラチェットホイール24の径を大きくすればアクチュエータの負荷が増大する。そこで、図14に示すように、ラチェットホイール24とかみ合う係止爪201〜204を複数設置する。ここで、爪回転板27には、係止爪の数に対応させて各係止爪が有するガイドバーが挿入されるガイド孔が複数設置される。
上述したように、ラチェットホイール24の歯数を増やした方が、回転軸22のロックに要する時間を短縮することはできる。しかし、同径のラチェットホイール24でラチェットの歯数を多くすると、歯が小さくなるため、歯の強度が低下し、またラチェットホイール24の径を大きくすればアクチュエータの負荷が増大する。そこで、図14に示すように、ラチェットホイール24とかみ合う係止爪201〜204を複数設置する。ここで、爪回転板27には、係止爪の数に対応させて各係止爪が有するガイドバーが挿入されるガイド孔が複数設置される。
このような構成を採用することにより、図15A〜15Dに示すように爪回転板27が回転して回転軸22に対してずれが生じた際、複数の係止爪201〜204が同時に動き、ラチェットホイール24を複数の係止爪で同時にロックすることができる。図15Aは、回転軸22の加速度等が所定の閾値より低い通常状態を示している。図15Bは、回転軸22の加速度等が所定の閾値を超えて、ストッパ321〜323が内歯29に接触した状態を示している。図15Cは、図15Bに示す状態を経た結果、爪回転板27の回転により複数の係止爪201〜204が、同時にラチェットホイール24に向かって動き出したときの状態を示す図である。図15Dは、図15Cに示す状態を経た結果、複数の係止爪201〜204がラチェットホイール24と同時にかみ合った状態を示す図である。このように複数の係止爪201〜204で同時に回転軸22をロックすることにより、ラチェットホイール24の歯に掛かる負担は、係止爪の数だけ小さくなり、強度不足が解決される。爪の数は1〜8程度で、好ましくは1〜4である。
<変形例>
次に、加速度検知部の変形例について、図16〜図21に基づいて説明する。図16は、当該変形例に係る加速度検知部600を有する安全装置1の構成を示す図である。当該安全装置の構成のうち、先に示した図4、14等に示した安全装置1の構成と同一のものについては、同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は省略する。加速度検知部600は、プレート601、バネ604、ストッパ611、ラチェットホイール621を含んで成る。この加速度検知部600の詳細を、図17に示す。尚、図17では、プレート601、バネ604、ストッパ611が先ず一体となり(図17上段)、次にラチェットホイール621が取り付けられることで(図17中段)、加速度検知部600が組み立てられる(図17下段)手順が分かるように、記載されている。
次に、加速度検知部の変形例について、図16〜図21に基づいて説明する。図16は、当該変形例に係る加速度検知部600を有する安全装置1の構成を示す図である。当該安全装置の構成のうち、先に示した図4、14等に示した安全装置1の構成と同一のものについては、同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は省略する。加速度検知部600は、プレート601、バネ604、ストッパ611、ラチェットホイール621を含んで成る。この加速度検知部600の詳細を、図17に示す。尚、図17では、プレート601、バネ604、ストッパ611が先ず一体となり(図17上段)、次にラチェットホイール621が取り付けられることで(図17中段)、加速度検知部600が組み立てられる(図17下段)手順が分かるように、記載されている。
プレート601の中央には、回転軸22と固定連結されるための貫通孔603が設けられ、更にその貫通孔603を挟んで両側に突起状のガイドピン602が2つ設けられている。従って、プレート601は、回転軸22と一体となって回転する。また、ストッパ611には、回転軸22を挿通するための貫通孔614が設けられている。尚、ストッパ611は回転軸22とは固定されない。ストッパ611上には突起状のピン613が設けられ、更に、貫通孔614を挟んで両側に矩形状の貫通孔であるガイド孔612が2つ設けられている。このガイド孔612は、図17に示すように、二本のガイドピン602を結んだ線に平行な方向に長手方向が延びており、短手方向は、各ガイド孔612に対応するガイドピン602が挿入可能な程度の幅となっている。更に、ストッパ611の外周の一部は、爪回転板27の内歯29と引っ掛かることが可能な形状を有する突起部615が設けられている。
次に、ラチェットホイール621には、回転軸22を挿通するための貫通孔623が設けられている。尚、ラチェットホイール621は回転軸22とは固定されない。更に、ラチェットホイール621には、ストッパ611に取り付けられたピン613が挿入されるピン孔624と、プレート601に取り付けられたガイドピン602がラチェットホイール621と接触しないための逃げ孔622が設けられている。これらのプレート601、ストッパ611、ラチェットホイール621は、先ずプレート601がバネ604を介してストッパ611と連結され(図17中段に示す状態)、その後ストッパ611のピン613がピン孔624に挿入されることで、ストッパ611とラチェットホイール621が連結される(図17下段に示す状態)。このようにすることで、ラチェットホイール621は回転軸22に固定されているプレート601に対して、バネ604によって弾性的に連結されることになる。そのため、回転軸22の回転は、プレート601からバネ604を介してラチェットホイール621に伝わり、バネ604を介した状態でラチェットホイール621は回転することになる。
このような構成を採用することにより、回転軸22の加速度に比例した慣性トルクが、あるいは、回転軸22が所定速度に至ったときにストッパ44とのかみ合いにより作用する拘束トルクが、図18(a)の白抜き矢印に示すようにラチェットホイール621に作用する。これにより、図18(b)に示すように、ストッパ611をスライドさせようとする力F2がピン613に作用する。ここで、ストッパ611とプレート601の間には、バネ604によって所定のバネ力Fkが作用しているため、この力F2が所定のバネ力Fk以上となると、ストッパ611はスライドして、その突起部615を介して内歯29と接触する(図18(c)に示す状態)。尚、このストッパ611のスライド方向は、ガイド孔612とガイドピン602との幾何学的関係によって決まる。その後、回転軸22の回転により、ストッパ611は内歯29に接触しながらそれに沿って回転し、最終的に内歯29に引っ掛かった状態となる(図18(d)に示す状態)。この後は、先に示した安全装置1と同様に、爪回転板27が回転し、複数の係止爪201〜204がラチェットホイール24に対して同時にかみ合い、回転軸22のロックが行われる。
尚、加速度検知部600における所定加速度の変更は、バネ604によってプレート601とストッパ611との間に作用する所定のバネ力Fkを変更すればよい。そのためには、バネ604とバネ定数が異なるバネを採用してもよく、又は図19に示すように安全装置1の組み立て状態におけるバネ604の全長が変更可能となる構造を採用してもよい。以下に、図19に基づいて、バネ604による所定のバネ力Fkを変更する構造について説明する。図19は、加速度検知部600のうち、プレート601とストッパ611の相対関係を、バネ604を中心にして示す図である。
ここで、プレート601側には、バネ604の設置方向に延在するネジ605が設置される。そして、このネジ605に対して螺合し、ネジ605上を移動可能なナット606が設けられている。そして、このナット606に対してバネ604の一端が接続され、またストッパ611に対してバネ604の他端が接続される。このように構成することで、ナット606をネジ605上で移動させることで、安全装置1の組み立て状態におけるバネ604の全長を調整でき、その結果、上記所定のバネ力Fkの値を変更することが可能となる。
また、先に示した加速度検知部300と同じ趣旨に基づいて、上記ストッパ611に代えて、図20に示す二つのストッパ611aと611bを採用し、内歯29に対して複数箇所で接触することで、回転軸22の加速度が所定加速度を超えたことを検知してから回転軸22をロックするまでの時間を短縮することが可能となる。具体的には、図20に示すストッパ611aと611bは、概ね半円形上の同一の形状を有している。上記ガイド孔に相当するものとしてストッパ611aにはガイド孔612aが設けられ、ストッパ611bにはガイド孔612bが、それぞれ二つずつ設けられている。更に、上記ピンに相当するものとしてストッパ611aにはピン613aが設けられ、ストッパ611bにはピン613bが設けられている。更に、上記突起部に相当するものとしてストッパ611aには突起部615aが設けられ、ストッパ611bには突起部615bが設けられている。
ここで、プレート601においては、ストッパ611a上のガイド孔612aに対応する2つのガイドピンと、ストッパ611b上のガイド孔612bに対応する2つのガイドピンの合計4つのガイドピン602が設けられている。更に、ストッパ611aとプレート601とを弾性的に連結するバネ604aが設けられるとともに、ストッパ611bとプレート601とを弾性的に連結するバネ604bが設けられている。尚、図20には明示されてはいないが、ラチェットホイール621にはピン613aとピン613bとが挿入される二つのピン孔が設けられている。これにより、ラチェットホイール621は回転軸22に固定されているプレート601に対して、バネ604a、604bによって弾性的に連結されることになる。更に、各バネは、上述したネジ605とナット606を介してプレート601に接続されているため、プレート601とストッパ611aと611bとの間で作用させる所定のバネ力Fkを適宜調整することが可能となる。
更に、先に示した加速度検知部300と同じ趣旨(図12を参照)に基づいて、図21に示すように、内歯29の歯幅をストッパの数で等分(本実施例では2等分)した位置に、複数のストッパ611aと611bの突起部615a、615bが来るように各ストッパを設置する。このような構造を採用することにより、例えば図21のAの位置(内歯の端側の部位)に突起部615aがあるストッパ611aが、内歯29と接触した瞬間に内歯29に引っ掛かった状態にならなかったとしても、図21のBの位置(内歯の中央の部位)に突起部615bが来るストッパ611bが内歯29の歯幅の1/ストッパ数(本実施例では1/2)だけ移動すればBの位置にある突起部615bのストッパ611bが内歯29と引っ掛かった状態となる。このようにすることで、内歯29の数は実質的にストッパの数の分だけ数倍にされたのと同じ効果が得られるため、回転軸22のロックに要する時間の短縮に資する。
本発明に係る安全装置1の第二の実施例を、図22および図23に示す。本実施例に係る安全装置1においても、アクチュエータ200からの駆動力が伝えられる回転軸22の加速度と速度のうち少なくとも何れかに基づいて、その回転動作の停止が行われる。図22は、本実施例に係る安全装置1の構造を示すものであり、そのうち上記実施例に係る安全装置の構成と同一のものについては、同一の参照番号を付すことでその詳細な説明は省略する。尚、回転軸22の速度が所定速度を超えたとき回転軸22の停止に寄与するギア40等を含む速度検知部は、先の実施例と同一である。
ロボットの本体側に設置されるフレーム10上にブレーキドラム50が設けられる。これは、後述する半円形ブレーキ52との相互作用により、回転軸22に制動力を与えるブレーキとして機能する。そして、ブレーキドラム50内に収まるように、アーム51、ステイ58、ギア40は回転軸22に固定して取り付けられ、以て回転軸22と一体となって回転する。尚、アーム51は、回転軸22に対して垂直に取り付けられた棒状体であり、ブレーキドラム50内部の底面(フレーム10の壁面に沿った面)上を、回転軸22の回転に伴って回転する。ここで、図22に示すように、ブレーキドラム50とステイ58の間に、ブレーキドラム50側から順に、半円形ブレーキ52(これは、2つの半円形ブレーキ52a、52bの総称である。)、ラチェットホイール54、ねじりコイルバネ56が設置される。
半円形ブレーキ52は、図示するように、概ね半円形状であって、その中央部にアーム51の一部が引っ掛かるように矩形のくぼみが設けられている。従って、安全装置1の組み立て時においては、2つの半円形ブレーキ52a、52bによって、アーム51が挟まれることになる。これにより、半円形ブレーキ52は、アーム51の回転によりブレーキドラム50内を回転する。ここで、半円形ブレーキ52のそれぞれには、回転軸22の延在方向に突出したガイドピン(半円形ブレーキ52a側のガイドピンを53a、半円形ブレーキ52b側のガイドピンを53bで参照する。)が2つずつ取り付けられ、これら4つのガイドピン53a、53bは、ラチェットホイール54上に設けられた4つの長方形孔54a(図23を参照。)に挿入される。この長方形孔54aは、当該挿入状態で、ガイドピン53a、53bに対してその長手方向にスペースを有する。
また、ラチェットホイール54は、ねじりコイルバネ56を介して回転軸22に固定されたステイ58と接続されている。従って、ラチェットホイール54は回転軸22に固定されているステイ58に対して、ねじりコイルバネ56によって弾性的に連結されている。そのため、回転軸22の回転は、ステイ58からねじりコイルバネ56を介してラチェットホイール54に伝わり、ねじりコイルバネ56を介した状態でラチェットホイール54は回転することになる。更に、ステイ58にはアクチュエータ200への電力供給を遮断するスイッチ57が取り付けられており、後述するラチェットホイール54とステイ58との回転に「ずれ」が生じたとき、ラチェットホイール54上に取り付けられたスイッチ用ピン55によりスイッチ57がOFFにされ、アクチュエータへの電力供給が遮断される。
以上のような構造を有する安全装置1では、図23に示すように左回りに回転軸22がある加速度で回転したとすると、ラチェットホイール54にはその加速度に比例する慣性トルクが発生する(図23(a))。ここで、ラチェットホイール54はねじりコイルバネ
56を介して回転軸22と接続された状態となっているので、回転軸22の加速度が上昇していくといずれ慣性トルクはねじりコイルバネ56による弾性トルクに打ち勝ち、ラチェットホイール54と回転軸22の回転に「ずれ」(先の実施例における「ずれ」に相当する。)が生じる。そして、ラチェットホイール54と回転軸22の回転との間にずれが生じると、半円形ブレーキ52a、52bのガイドピン53a、53bと、ラチェットホイール54の長方形孔54aとの幾何学的関係により、図23(b)に示すように半円形ブレーキ52a、52bがブレーキドラム50側にスライドするスライド力Faが、各半円形ブレーキに作用することになる。また、同時にラチェットホイール54と回転軸22の回転のずれにより、ステイ58に取り付けたスイッチ57がスイッチ用ピン55によって切られ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。
56を介して回転軸22と接続された状態となっているので、回転軸22の加速度が上昇していくといずれ慣性トルクはねじりコイルバネ56による弾性トルクに打ち勝ち、ラチェットホイール54と回転軸22の回転に「ずれ」(先の実施例における「ずれ」に相当する。)が生じる。そして、ラチェットホイール54と回転軸22の回転との間にずれが生じると、半円形ブレーキ52a、52bのガイドピン53a、53bと、ラチェットホイール54の長方形孔54aとの幾何学的関係により、図23(b)に示すように半円形ブレーキ52a、52bがブレーキドラム50側にスライドするスライド力Faが、各半円形ブレーキに作用することになる。また、同時にラチェットホイール54と回転軸22の回転のずれにより、ステイ58に取り付けたスイッチ57がスイッチ用ピン55によって切られ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。
その後、上記スライド力によって半円形ブレーキ52a上のブレーキ部材59aがブレーキドラム50に接触し、また半円形ブレーキ52b上のブレーキ部材59bがブレーキドラム50に接触することで、そこに制動力が発生し、以て回転軸22の回転が停止させられ、ロック状態に至る。尚、回転軸22がロックされた後、回転軸22の加速度がなくなると、ラチェットホイール54に作用する慣性トルクも消失する。これにより、半円形ブレーキ52はねじりコイルバネ56により元の位置へ戻ることになる。しかし、ロボットのアーム部100の自重によるトルクが作用している場合は、そのトルクが作用している限りアーム51によりスライド力Faが作用するため、半円形ブレーキ52による制動力が作用し続ける。
また、本実施例に係る安全装置1においても、図24に示すように、この安全装置1によって回転軸22をロックした際に、人体の一部を挟んでしまった場合も、先の実施例で示した安全装置1と同様、逆方向にゆっくりロボットのアーム部100を持ち上げればコイルバネ56により半円形ブレーキ52が元の位置に戻り、回転軸22のロックが解除されるので、挟まれてしまった人間を救出することができる。
尚、速度検知においても、先に説明したストッパ44により、回転軸22の角速度が所定速度に至ったとき、ラチェットホイール54がストッパ44によってロックされ、ラチェットホイール54と回転軸22との回転にずれが発生するので、加速度の場合と同様にして回転軸22がロックされることになる。
また、上記の実施例では、半円形ブレーキ52とブレーキドラム50との間にブレーキ部材59a、59bによる制動力をもって、回転軸22を停止させたが、図25に示すように、半円形ブレーキ52とブレーキドラム50との間に、互いにかみ合うブレーキ用ギア60、61を設けてもよい。ブレーキ用ギア60はブレーキドラム50側に設けられ、ブレーキ用ギア61は半円形ブレーキ52側に設けられ、両者がかみ合うことで回転軸22に対して制動力が与えられることになる。この他にもブレーキ力を発生させる構成として種々の構成(例えば、図23においては、ブレーキ部材(59a、59b)を半円形ブレーキ側に取り付けた場合を示しているが、ブレーキドラム側のその内周部にブレーキ部材を取り付ける等)が考えられるが、半円形ブレーキ52とブレーキドラム50との間に制動力が発生できる構成であればよい。
<変形例>
また、上述した実施例1および実施例2の2種類の安全装置(ラチェットホイール24を利用した安全装置1と、回転軸22に設置したアーム51を利用した安全装置1)において、ラチェットホイール34又はラチェットホイール54を拘束するバネとしてトルクを作用させるバネ33又はコイルバネ56を示したが、それらに代えて、ラチェットホイール34又はラチェットホイール54を回転軸22まわりに拘束できる弾性体であれば、線形バネでも、定荷重バネ(バネのストロークに依存せず一定の力を出力するバネ)でもよく、特に限定されない。
また、上述した実施例1および実施例2の2種類の安全装置(ラチェットホイール24を利用した安全装置1と、回転軸22に設置したアーム51を利用した安全装置1)において、ラチェットホイール34又はラチェットホイール54を拘束するバネとしてトルクを作用させるバネ33又はコイルバネ56を示したが、それらに代えて、ラチェットホイール34又はラチェットホイール54を回転軸22まわりに拘束できる弾性体であれば、線形バネでも、定荷重バネ(バネのストロークに依存せず一定の力を出力するバネ)でもよく、特に限定されない。
図26には、上記実施例1に係るラチェットホイール24を利用した安全装置1での、バネ33に代わる線形バネ330の使用例を示す。線形バネ330は、プレート31とラチェットホイール34とを連結するように配置される。また、図27には、上記実施例2に係る回転軸22に設置したアーム51を利用した安全装置1での、ねじりコイルバネ56に代わる線形バネ560の使用例を示す。線形バネ560は、ステイ58とラチェットホイール54とを連結するように配置される。
上述までの実施例において示すように、本発明に係る安全装置1によってロボットの駆動軸の停止が、安全装置1内の回転軸22の加速度と速度のうち少なくとも何れかに基づいて行われる。即ち、加速度検出部および速度検知部に設けられたバネ33、ねじりコイルバネ56、バネ43等による弾性体によって付与される弾性トルクの大きさが基準となり、回転軸22の加速度および速度が、その基準となる弾性トルクに関連付けられた一定の大きさ(所定加速度、所定速度)を超えると、回転軸22の停止が行われることになる。そこで、本実施例では、これらの弾性部材による弾性トルクやその他の要素を変更することで、回転軸22の停止の基準となる所定加速度、所定速度を実質的に調整可能とするための手法について、説明する。
<所定速度の設定>
先ず、所定速度の調整について図28、29に基づいて説明する。上述までの安全装置1における所定速度は、バネ43又はロータリダンパ42によって決定されている。そこで、所定速度を調整するためには、以下に挙げる手法が考えられる。
(1)バネ43を異なるバネ定数のバネに変更する
(2)ロータリダンパ42の粘性係数を調節する。あるいは、粘性係数の異なるロータリダンパ42に取り替える。
(3)バネ43のフレーム45に対する取り付け位置を変更し、取り付け時におけるバネ43の長さを変更する。
先ず、所定速度の調整について図28、29に基づいて説明する。上述までの安全装置1における所定速度は、バネ43又はロータリダンパ42によって決定されている。そこで、所定速度を調整するためには、以下に挙げる手法が考えられる。
(1)バネ43を異なるバネ定数のバネに変更する
(2)ロータリダンパ42の粘性係数を調節する。あるいは、粘性係数の異なるロータリダンパ42に取り替える。
(3)バネ43のフレーム45に対する取り付け位置を変更し、取り付け時におけるバネ43の長さを変更する。
ここで上記(3)について、以下に説明する。図28には、バネ43の取り付け位置を変更するためのスライダ装置700が示される。スライダ装置700においては、ボルト701をフレーム45に通し、ナット702を取り付け、該ボルト701が落下しないようにする。ここで、スライダ704をボルト701のネジ部701aに螺合させるとともに、スライダ704がネジ部701aの延在方向にスライド可能となるように、ボルト701の横にガイドレール703が設置される。このような構成を有するスライダ装置700では、ボルト701を回転させると、スライダ704はガイドレール703に沿ってスライドすることが可能となる。そして、このスライダ704にバネ43の一端を接続し、そのもう一端をストッパ44に接続することで、ボルト701の回転により、バネ43からストッパ44に作用する弾性力を調整することができ、これは実質的に回転軸22の回転を停止するための基準となる所定速度を調整することに相当する。
尚、図29に示すように、フレーム45にモータ706を取り付け、ボルト701をモータ706で回転させてもよい。また、ボルト701の先端部分には、スライダ704の脱落防止のための留め具(例えばダブルナット等)705が設置されている。これにより、スライダ704を介したバネ43による弾性力の調整は、限られた範囲で行われるため、安全装置1の操作上の安全性が担保される。
<所定加速度の設定>
次に、所定加速度の調整について図30A〜37に基づいて説明する。上述までの安全装置1における所定加速度は、バネ33、ねじりコイルバネ56等又はラチェットホイール34、ラチェットホイール54の慣性モーメントによって決定されている。そこで、所定加速度を調整するためには、以下に挙げる手法が考えられる。
(1)バネ33等を取替え、それらによって作用する弾性トルクの大きさを調整する。
(2)バネ33等の取り付け位置を変更し、取り付け時におけるバネ33等の長さを変更する。
(3)ラチェットホイール34等の慣性モーメントを変更する。
次に、所定加速度の調整について図30A〜37に基づいて説明する。上述までの安全装置1における所定加速度は、バネ33、ねじりコイルバネ56等又はラチェットホイール34、ラチェットホイール54の慣性モーメントによって決定されている。そこで、所定加速度を調整するためには、以下に挙げる手法が考えられる。
(1)バネ33等を取替え、それらによって作用する弾性トルクの大きさを調整する。
(2)バネ33等の取り付け位置を変更し、取り付け時におけるバネ33等の長さを変更する。
(3)ラチェットホイール34等の慣性モーメントを変更する。
上記(2)について、バネ33等の取り付け位置を変更させるために、その取り付けのための位置を複数設定する実施例について、図30A、30Bに基づいて説明する。図30A(a)は、上記実施例1に係るラチェットホイール24を用いた安全装置1における、バネ33を固定するためのピンを複数設けた例を示す。このように、プレート31にバネ33を取り付けるためのピン31bを複数設けるとともに、ラチェットホイール34にバネ33を取り付けるためのピン34bを複数設け、バネ33の取り付けに際して、適宜使用するピンを選択することで、バネ33によって作用する弾性トルクを調整する。また、図30A(b)は、上記実施例2に係るアーム51を用いた安全装置1における、バネ56を固定するためのピンを複数設けた例を示す。このように、ステイ58にバネ56を取り付けるためのピン58aを複数設けるとともに、ラチェットホイール54にバネ56を取り付けるためのピン54bを複数設け、バネ56の取り付けに際して、適宜使用するピンを選択することで、バネ56によって作用する弾性トルクを調整する。この弾性トルクの調整が、実質的に回転軸22の回転を停止するための基準となる所定加速度を調整することに相当する。
また、図30Aに示すようにバネ33等の取り付けのためのピンを複数設ける代わりに、ピンの数をバネ33等の端部に合わせて一つずつとし、そのピンを取り付けるためのピン孔を複数設けるようにしてもよい。即ち、バネ33等による弾性トルクを調整する場合には、バネ33等が取り付けられるピン31b等をはめ込むピン孔を適宜選択する。
また、図30Bに示すように、上述した線形バネ330、560を利用する場合にも、それらの端部が接続されるピンの位置を調整することで、それらによる弾性トルクの調整が行われる。例えば、図30B(a)は、図26に示す線形バネ330を用いた安全装置1であるが、線形バネ330の一端をプレート31側に接続するピン330aと、そのもう一端をラチェットホイール34側に接続するピン330bが、それぞれ複数設けられている。また、30B(b)は、図27に示す線形バネ560を用いた安全装置1であるが、線形バネ560の一端をステイ58側に接続するピン560aと、そのもう一端をラチェットホイール54側に接続するピン560bが、それぞれ複数設けられている。これらの場合も、上記と同様に一つのピンと複数のピン孔による構成としてもよい。
次に、バネ33等の取り付け位置を移動させるために、上述したスライダ装置700を適用した実施例を図31に示す。図31(a)は、ラチェットホイール24が用いられ且つバネ33が組み込まれた安全装置1での、スライダ装置700が適用された状態を示す。この状態では、バネ33の一端がスライダ装置700によって移動されることで、結果的にバネ33による弾性トルクの大きさが調整される。また、図31(b)は、同じようにラチェットホイール24が用いられ且つ線形バネ330が組み込まれた安全装置1での、スライダ装置700が適用された状態を示す。この状態でも、線形バネ330の一端がスライダ装置700によって移動されることで、結果的に線形バネ330による弾性トルクの大きさが調整される。このスライダ装置700は、移動される一端が取り付けられるべきプレート31又はラチェットホイール34上に設けられる。
次に、図31(c)は、アーム51が用いられ且つバネ56が組み込まれた安全装置1での、スライダ装置700が適用された状態を示す。この状態では、バネ56の一端がスライダ装置700によって移動されることで、結果的にバネ56による弾性トルクの大きさが調整される。また、図31(d)は、同じようにアーム51が用いられ且つ線形バネ560が組み込まれた安全装置1での、スライダ装置700が適用された状態を示す。この状態でも、線形バネ560の一端がスライダ装置700によって移動されることで、結果的に線形バネ560による弾性トルクの大きさが調整される。このスライダ装置700は、移動される一端が取り付けられるべきステイ58又はラチェットホイール54上に設けられる。
また、図30A、図30Bに示す安全装置1において、スライダ装置700を取り付けるスペースが加速度検知部30等に確保できない場合は、図32に示す構成を有する加速度検知部301を採用することでスライダ装置700の取り付けスペースを確保するようにしてもよい。加速度検知部301では、回転軸22に対して固定されているギア40側に、回転軸22に固定されるステイ35を新たに設け、そして、そのステイ35とラチェットホイール34との間にバネ33が配置される。この構成により、加速度検知部30’では、スライダ装置700をステイ35上に設けることができ、以て比較的スペースの制限を受けることなくスライダ装置700を設置することができる。
また、スライダ装置700の別の実施例として、図33に示すようにモータ710の回転軸にネジ軸712を取り付け、それを覆うように直方体の外郭を有するナット部711を取り付け、該ナット部711の先端部分にバネ取り付け用のピン713を設けてもよい。ナット部711が直方体の外郭を有するため、スライダ装置700の取り付け面がガイドレールの役割を果たし、ネジ軸712の回転に伴ってナット部711がその取り付け面に沿ってスライド移動することになる。ここまでは、スライダ装置700及びその変形例を使用したが、これに代えて、ボルトとナットから構成される装置であって、ナットが固定されることでボルトが前進・後進する機構を有する装置を使用してもよい。この場合、ボルトの先端に、該ボルトの回転を伝えないように取り付けられたピンにバネを取り付けるようにすればよい。
次に、上記(3)について、ラチェットホイール34等の慣性モーメントを変更するための実施例について、図34に基づいて説明する。図34(a)には、慣性モーメントを変更可能なラチェットホイール34の例が示されている。ラチェットホイール34には、その外周を4等分する位置に、ネジ部341と調整錘342の対がそれぞれ設けられている。調整錘342はネジ部341に螺合し、ネジ部341に対する相対位置を任意に調整することができる。従って、調整錘342がネジ部341上を移動し、外周側に位置するに従いラチェットホイール34の慣性モーメントを増大させることが可能となる。尚、回転軸22の回転バランスを考慮して、4本のネジ部341における錘部342の相対位置は何れも同じ位置であることが望ましい。
尚、速度検知部のストッパ44とラチェットホイール34との係合を考慮して、ラチェットホイール34の構成を、図34(b)に示すように、ストッパとかみ合うラチェットホイール部343と、上記ネジ部341が設けられる慣性モーメント可変部344の組合せとすることが望ましい。尚、調整錘部341の移動は手動で行ってもよく、モータ等のアクチュエータで行ってもよい。
また、上記(1)〜(3)以外の手法においても、所定加速度を実質的に調整することが可能である。その一例として、ねじりコイルバネ56等の剛性を変化させるようにしてもよい。そこで、以下にねじりコイルバネ56等の剛性を可変とする機構について、図35〜37に基づいて説明する。尚、これらの図に示す剛性可変機構はねじりコイルバネ56に関するものであるが、同様にそれ以外のバネであるバネ33等にも適宜変更を加えることで採用が可能である。図35(b)に示すように、ねじりコイルバネ56の一端はラチェットホイール54に固定部sf1で取り付け、他端はステイ58側に固定部sf2で取り付けられる。ここで、固定部sf2は、ステイ58から回転軸22に沿って延びた突起部580上に設けられる。
更に、ステイ58にはネジ部581が設けられており、それに螺合し覆うようにガイドロッド70が設けられる。また、ガイドロッド70には図示するようにテーパ部71が設けられ、このテーパ部71はねじりコイルバネ56の内部に潜り込み、該バネと接触することが可能なように配置されている。ここで、ガイドロッド70をラチェットホイール54方向に進む向きに回転させると、ガイドロッド70のテーパ部71がねじりコイルバネ56を押し拡げて、その内部を進んでいく。図35(b)のうち上段に示す状態が、ガイドロッド70がねじりコイルバネ56の内部に入る前の状態であり、そのため該ねじりコイルバネ56の有効バネ長さは、その全長の全てとなる。一方で、図35(b)のうち下段に示す状態が、ガイドロッド70がねじりコイルバネの内部にある程度入り込んだ状態であり、そのためねじりコイルバネ56のうち一部がガイドロッド70もしくはそのテーパ部61と接触してしまい弾性体としての機能が停止された状態となっている。従って、この状態では、図35(b)下段に示すように、ねじりコイルバネ56の有効バネ長さは、その全長のうち一部分となる。このようにガイドロッド70を移動させてねじりコイルバネ56の有効長を調整することで、そのバネ定数を増減させ、以てその剛性を可変とすることができる。これにより、実質的に回転軸22の回転を停止するための基準となる所定加速度を調整することに至る。
また、上記と同様の技術的思想に従って、以下のようにねじりコイルバネ56の剛性を変化させ、以て所定加速度を調整することも可能である。図36Aに示すように、ガイドロッド70のステイ58側にフランジ部72が設けられ、更にこのフランジ部72には、ボルト80と螺合可能な複数のネジ孔73が設けられる。また、回転軸22に固定されているステイ58には、ボルト80が貫通可能な貫通孔58が二箇所設けられている。ここで、ねじりコイルバネ56の一端はガイドロッド70のフランジ部72に固定し、他端をラチェットホイール54に固定する。ガイドロッド70の中心部には回転軸22が挿入できるように貫通孔をあけておく。
このように構成されるバネ56の剛性可変機構では、図36Bに示すようにガイドロッド70をステイ58に設けられたネジ部581に対して回転させると、ねじりコイルバネ56もねじられていき、それに伴いねじりコイルバネ56とテーパ部71との接触量が増加していく。その結果、上記の通りねじりコイルバネ56の有効長が変動する。目的とする所定加速度に対応するねじりコイルバネ56の有効長が得られる状態まで、ねじりコイルバネ56をねじった後、図36Aに示すボルト80によりガイドロッド70をステイ58に対して固定する。所望する所定加速度に対応する位置にネジ孔73を予め設けておくことで、安全装置1における所定加速度を容易に調整することができる。尚、ここでは、例としてガイドロッド70を固定する手段としてボルト等を用いたが、コイルバネ56をねじった後でガイドロッド70を固定できる手段であれば別の手段でもよい。
また、図36A、36Bに示した剛性可変機構においては、ガイドロッド70を手動で回転させたが、例えば、図37に示すように、ステイ58にモータ81を取り付け、そのモータ81の回転をギア82を介して、ギア72が取り付けられたガイドロッド70へ伝えることで、ガイドロッド70を回転させてもよい。これにより、ねじりコイルバネ56の有効長を可変とすることが可能となる。
<変形例>
上述した実施例1〜3において、ストッパ44とかみ合うラチェットホイール34、54、340等は、図38(尚、図38はラチェットホイール340に関する図である。)に示すようにラチェットの歯の部分とガイド孔が設けられているプレート部に分けてそれらをバネなどの弾性体で結合したものとしてもよい。これにより、プレート部はラチェット歯部の内側に弾性体を介して結合、固定される。その結果、ストッパ44とかみ合ったときに発生する衝撃力等が緩和され、ストッパ44やラチェットの歯への負担の軽減ばかりでなく、ストッパ44とのかみ合いによる回転軸22とラチェットホイールとの「ずれ」を、より円滑に発生させることができる。また、ストッパ44とのかみ合いによる回転軸22とラチェットホイールとの「ずれ」を円滑に発生させることができる構造であれば、他の構造でもよい。例えば、図38の弾性体を用いずに、回転軸とラチェットホイールとの「ずれ」を円滑に発生させることができる程度の摩擦力を、ラチェット歯側の溝とプレート部で発生させる構造でもよい。
上述した実施例1〜3において、ストッパ44とかみ合うラチェットホイール34、54、340等は、図38(尚、図38はラチェットホイール340に関する図である。)に示すようにラチェットの歯の部分とガイド孔が設けられているプレート部に分けてそれらをバネなどの弾性体で結合したものとしてもよい。これにより、プレート部はラチェット歯部の内側に弾性体を介して結合、固定される。その結果、ストッパ44とかみ合ったときに発生する衝撃力等が緩和され、ストッパ44やラチェットの歯への負担の軽減ばかりでなく、ストッパ44とのかみ合いによる回転軸22とラチェットホイールとの「ずれ」を、より円滑に発生させることができる。また、ストッパ44とのかみ合いによる回転軸22とラチェットホイールとの「ずれ」を円滑に発生させることができる構造であれば、他の構造でもよい。例えば、図38の弾性体を用いずに、回転軸とラチェットホイールとの「ずれ」を円滑に発生させることができる程度の摩擦力を、ラチェット歯側の溝とプレート部で発生させる構造でもよい。
<検知速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成>
本実施例は、ロボットを駆動するためのアクチュエータへの電力供給に関するON、OFFを行うスイッチに関して、アクチュエータによって回転駆動される回転軸の速度に基づいたその電源OFFを機械的に実行する構成を開示する。そして、本実施例では、説明の簡略化のために着目すべきスイッチによる電源OFFを行う構成を主に開示し、上記実施例1〜3で示した回転軸をロックする構成の開示は省略するが、これは回転軸をロックする構成の採用を妨げるものではない。当業者の有する設計能力に応じて先の実施例で示した構成と適宜組み合わせることができる。なお、先の実施例で示した構成と本質的に同じ構成は同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
本実施例は、ロボットを駆動するためのアクチュエータへの電力供給に関するON、OFFを行うスイッチに関して、アクチュエータによって回転駆動される回転軸の速度に基づいたその電源OFFを機械的に実行する構成を開示する。そして、本実施例では、説明の簡略化のために着目すべきスイッチによる電源OFFを行う構成を主に開示し、上記実施例1〜3で示した回転軸をロックする構成の開示は省略するが、これは回転軸をロックする構成の採用を妨げるものではない。当業者の有する設計能力に応じて先の実施例で示した構成と適宜組み合わせることができる。なお、先の実施例で示した構成と本質的に同じ構成は同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
本実施例に係る安全装置1の構成を図39および図40に示す。図39は、安全装置1の概略構成を表し、図40は、回転軸が正常に駆動されている回転軸低速回転時の安全装置1の状況(図40(a))と、回転軸の回転速度が所定の速度を超えて暴走した際の安全装置1の状況(図40(b))とを表している。これらの図で示される安全装置1は、上述したように、実施例1〜3に示す回転軸22をロックする機構を省略し、且つ回転軸22の駆動を行うアクチュエータ200への供給電力を制御するためのスイッチ15に対して、該回転軸の回転速度に基づいてのOFF(供給遮断)制御を機械的に行うものである。以下に、その詳細を示す。
本実施例の安全装置1においては、回転軸22をロックする構成が省略されていることより、ロボットのアーム100のつながる回転軸22の端部において、ギア40が接続された構成となっている。そして、回転軸22の回転は、ギア40を介してギア41に伝達される。さらに、ギア41にロータリダンパ42が接続されている構成までは上述までの実施例と同じであるが、上記ストッパ44に代えてプレート801が、ロータリダンパ42の制動トルクが伝達されるように、ギア41、ロータリダンパ42の回転軸と同軸上に回転可能に配置される。そして、このプレート801の回転軸部分は、フレーム45上に設置されたベアリング46に対して嵌め込まれ、且つプレート801の板状部分については、その背面にバネ43の一端が接続され、一方で、その正面側には板状部分に相対するようにアクチュエータ200用のスイッチ15が配置される。なお、このスイッチ15は、フレーム45上に設置されるとともに、フレーム45自体はフレーム10上に固定され、またバネ43の他端はフレーム45に接続される。
このように構成される安全装置1では、回転軸22が回転するとギア40、41を介してプレート801にロータリダンパ42による制動トルクが作用する。回転軸22の回転速度が比較的低いとき(図40(a)を参照)は、バネ43によるスプリングトルクがロータリダンパ42による制動トルクよりも大きいため、プレート801はスイッチ15に対して押圧力を付与する状態には至らず、スイッチ15はON(通電)状態となっている。そして、回転軸22が所定の回転速度に至ったとき(図40(b)を参照)、ロータリダンパ42による制動トルクがバネ43によるスプリングトルクに打ち勝つため、プレート801はスイッチ15のレバーを押し上げる。これにより、アクチュエータ200の電源がカットされ、アクチュエータ200を停止させることが可能となる。
このように、回転軸22の回転速度に基づいて、機械的にアクチュエータを停止し、ロボットの周囲で作業する人間を効果的に保護することができる。また、上記の実施例ではロボットのアーム部100の片側の安全装置1についてのみ言及したが、反対側の安全装置1’においても同様の構成を採用することで、アーム部の反対回転方向における暴走時の動きに対しても十分な安全を確保することが可能である。
<変形例1>
上述した、検知速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の第一の変形例を以下に示す。大きく異なる点は、上記の例ではロボットのアーム部100の両側にそれぞれ異なる回転方向に対応した安全装置1、1’を設けていたが、本変形例ではアーム部100の片側にのみ、アーム部の異なる二つの回転方向に対応する安全装置1を設けた点である。これにより、安全装置1の小型化が図られ、その省スペース、省コストが促進する。
上述した、検知速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の第一の変形例を以下に示す。大きく異なる点は、上記の例ではロボットのアーム部100の両側にそれぞれ異なる回転方向に対応した安全装置1、1’を設けていたが、本変形例ではアーム部100の片側にのみ、アーム部の異なる二つの回転方向に対応する安全装置1を設けた点である。これにより、安全装置1の小型化が図られ、その省スペース、省コストが促進する。
本変形例に係る安全装置1の構成を図41および図42〜図46に示す。図41は、安全装置1の概略構成を表し、図42〜図46は、安全装置1の動作(安全装置1によるスイッチのOFF動作)の様子を表す。なお、図41は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図42〜図46を参照すれば容易に理解できる。
ここで、回転軸22はロボットのアーム部100と接続されており、その回転軸22の回転速度は、回転軸22に固定されたギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。ロータリダンパ42には穴803を介し、プレート802が取り付けられているので、プレート802にロータリダンパ42からの制動トルクが作用する。ここでプレート802は、穴803が設けられている基端部から矩形状に延在する本体部806を有し、更にその本体部806の先端部分には、該本体部806の延在方向に直交する方向に延在する先端部807を有する。したがって、プレート802においては、本体部806と先端部807でT字形状が形成される。この本体部806の幅方向(本体部806の延在方向に垂直な方向で、先端部807が延在する方向と同じ方向)に穴804および穴805が設けられている。
一方で、フレーム45においては、ロボットのアーム部100を駆動するアクチュエータ200への供給電力を遮断する2つのスイッチ15、15’が縦方向に並置されている。ここで、上側に設置されたスイッチ15は、そのレバーが上側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断でき、一方で下側に設置されたスイッチ15’は、その逆に、そのレバーが下側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断できる。これらのスイッチが倒れこむ方向にフレーム45上に延在する2つのスライド溝が設けられ、スイッチ15に対応する方をスライド溝818とし、スイッチ15’に対応する方をスライド溝819とする。さらに、フレーム45には、縦に並ぶスライド溝818、819に並ぶように、穴814と穴815が縦に配置されている。
ここで、穴814にはピン808、穴804にはピン809、穴805にはピン810、穴815にはピン811が挿入され固定されている。そして、引張りバネ812の一端はピン808に、もう一端はピン809に取り付けられている。同様にピン810とピン811の間に引張りバネ813が取り付けられている。これにより、プレート802は、二つの引張りバネ812、813を介してフレーム45に連結された状態になり、このとき、これらのピンと引張りバネによってプレート802にバネによる力が作用する。また、プレート802に作用するバネの力は、バネの剛性を変えることにより変更できる。更に、スライド溝818にはピン816、スライド溝819にはピン817が挿入される。これらのピン816、817は各スライド溝間でスライド可能であり、且つ各ピンは対応するそれぞれのスイッチのレバーに対して接触した状態となっている。
このように構成される本変形例の安全装置1では、図42に示すように、フレーム45上に縦方向に並置されたスイッチ15、15’の間に、プレート802の先端部807が挟まれた状態で、該プレート802がロータリダンパ42からの制動トルクを受けることになり、その結果、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。
まず、回転軸22が反時計回りに回転している状態を前提として説明する。回転軸22の回転速度は、ギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。そしてプレート802には速度に比例したロータリダンパ42による制動トルクが作用する(図43を参照)。このとき、プレート802には、該制動トルクとは逆方向に引張りバネ813によるスプリングトルクも作用している。ここで回転軸22の回転速度が大きくなるに従いロータリダンパ42による制動トルクも増加し、そして所定速度に至ると、当該制動トルクがスプリングトルクに打ち勝つことで、プレート802が回転し先端部807がスイッチ15のレバーを倒しこみ、OFF状態に切り替える(図44を参照)。これにより、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。このときスイッチ15の切り替えによってピン816はスライド溝818に沿って移動する。その後、スイッチ15が切り替えられアクチュエータ200への電力供給が遮断されると、ロータリダンパ42による制動トルクが解消するため、プレート802は引張りバネ812によって時計回りに回転させられ、引張りバネ813によるスプリングトルクと均衡がとれる元の位置で止まる(図45を参照)。このときスイッチ15はOFF状態になったままであるので、ロボットのアーム部100は動作しない。再度アーム部100を動作させるためには、ピン816を介してスイッチ15のレバーに外力を与えて(図46を参照)スイッチ15を元の状態に戻せばよい(図42に示す状態に戻る)。
また、回転軸22が時計回りに回転している場合についても、上記の場合と本質的には同様に、回転軸22の回転速度が所定速度を超えると、プレート802の先端部807がスイッチ15’のレバーを倒しこむことによって、アクチュエータ200への電力供給が遮断されることになる。
また図47〜図51には、更なる変形例を示す。図47は、上記引張りバネ812、813に代えてねじりコイルバネ812’、813’を採用した形態を示す。これらのねじりコイルバネのそれぞれも、その一端をフレーム45側に接続し、もう一端をプレート802上のピン809、810に接続すればよい。図48は、ねじりコイルバネ812’、813’のプレート802側の接続端の接続位置を複数箇所から選択できる形態を示す。図48に示す形態では、ピン809、810を設置できる穴をそれぞれ3か所用意し、そのいずれかを選択することで、バネによってプレート802に付与するスプリングトルクを変更できる。これにより、プレート802に作用するスプリングトルクを細かく調整することができ、以てアクチュエータ200への供給電力を遮断する際の閾値となる回転軸22の回転速度(所定速度)を細かく設定することが可能となる。なお、図48においては、黒丸で示される穴はピンが差し込まれている穴であり、白丸で示される穴はピンが差し込まれていない穴であり、以下に示す図でもこの表示形態は同様とする。
次に、図49はプレート802の形状を、穴803が設けられる基端部をはさんで両側にアーム部806’が延在する形状に変更した形態を示す。更にこの形態では、各アーム部806’にピン809、810を設置できる穴をそれぞれ3か所ずつ用意し、且つフレーム45側にも、アーム部806’に設けられた穴に対応するように3か所のピン808、811設置用の穴を3か所ずつ用意する。このように構成することで、左右に延在するアーム部806’に加えられる引張りバネ812、813からの力による、基端部を中心として作用するスプリングトルクの大きさを変更することが可能となる。また、同様の技術的思想に基づいて、図50に示すように、コイルバネとアーム部806’との接続位置を調整することで図49に示すケースと同様にスプリングトルクの大きさを変更することができる。
また、図51に示す形態では、図41、図42に示す変形例において、引張りバネ812、813によるスプリングトルクを変更するものである。この形態では、フレーム45側の各引張りバネの接続位置を調整することで、プレート802に作用するスプリングトルクの大きさが変更される。なお、上述までの形態におけるプレート802に対して二つのバネによるスプリングトルクの付与については、各バネによるスプリングトルクの大きさを同じとするのが好ましい。
更に、図41に示す形態では、回転軸22の回転をギア40、41を介してロータリダンパ42に入力していたが、図52に示すように回転軸22に直接ロータリダンパ42を接続する構成としてもよい。
<変形例2>
上述した、検知速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の第二の変形例を以下に示す。本変形例は、先の変形例1の形態においてプレート802の形状を円形状に変更したものである。そして、本変形例に係る安全装置1の構成を図53および図54〜図58に示す。図53は、安全装置1の概略構成を表し、図54〜図58は、安全装置1の動作(安全装置1によるスイッチのOFF動作)の様子を表す。なお、図53は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図54〜図58を参照すれば容易に理解できる。
上述した、検知速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の第二の変形例を以下に示す。本変形例は、先の変形例1の形態においてプレート802の形状を円形状に変更したものである。そして、本変形例に係る安全装置1の構成を図53および図54〜図58に示す。図53は、安全装置1の概略構成を表し、図54〜図58は、安全装置1の動作(安全装置1によるスイッチのOFF動作)の様子を表す。なお、図53は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図54〜図58を参照すれば容易に理解できる。
ここで、回転軸22はロボットのアーム部100と接続されており、その回転軸22の回転速度は、回転軸22に固定されたギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。ロータリダンパ42には穴821を介し、プレート820が取り付けられているので、プレート820にロータリダンパ42からの制動トルクが作用する。ここでプレート820は、円形の板状体であり、その中心に穴821が設けられ、該穴821の下方に、且つ該穴821からの距離が等距離となる2つの位置に穴822と穴823が設けられている。また、これらの穴822、823と反対側の穴821の上方に、プレート820の表面から飛び出した突起824が設置されている。なお、この突起824は、プレート820の表面のうちフレーム45に面する側の表面に設けられており、そのため図53においては、プレート820に隠された状態となっている。
一方で、フレーム45においては、ロボットのアーム部100を駆動するアクチュエータ200への供給電力を遮断する2つのスイッチ15、15’が横方向に並置されている。ここで、左側に設置されたスイッチ15は、そのレバーが左側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断でき、一方で右側に設置されたスイッチ15’は、その逆に、そのレバーが右側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断できる。これらのスイッチが倒れこむ方向にフレーム45上に延在する2つのスライド溝が設けられ、スイッチ15に対応する方をスライド溝833とし、スイッチ15’に対応する方をスライド溝834とする。さらに、フレーム45には、横に並ぶスライド溝833、834に並ぶように、穴831と穴832が横に配置されている。
ここで、穴822にはピン825、穴823にはピン826、穴831にはピン827、穴832にはピン828が挿入され固定されている。そして、引張りバネ829の一端はピン825に、もう一端はピン827に取り付けられている。同様にピン826とピン828の間に引張りバネ830が取り付けられている。これにより、プレート820は、二つの引張りバネ829、830を介してフレーム45に連結された状態になり、このとき、これらのピンと引張りバネによってプレート820にバネによる力が作用する。また、プレート820に作用するバネの力は、バネの剛性を変えることにより変更できる。更に、スライド溝833にはピン835、スライド溝834にはピン836が挿入される。これらのピン835、836は各スライド溝間でスライド可能であり、且つ各ピンは対応するそれぞれのスイッチのレバーに対して接触した状態となっている。
このように構成される本変形例の安全装置1では、図54に示すように、フレーム45上に横方向に並置されたスイッチ15、15’の間に、プレート820上に設置された突起824が挟まれた状態で、該プレート820がロータリダンパ42からの制動トルクを受けることになり、その結果、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。
まず、回転軸22が反時計回りに回転している状態を前提として説明する。回転軸22の回転速度は、ギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。そしてプレート820には速度に比例したロータリダンパ42による制動トルクが反時計回りに作用する(図55を参照)。このとき、プレート820には、この制動トルクとは逆方向に引張りバネ830によるスプリングトルクも作用している.ここで回転軸22の回転速度が大きくなるに従い制動トルクも増加し、当該制動トルクがスプリングトルクに打ち勝つことで、プレート820が回転し突起824がスイッチ15のレバーを倒しこみ、OFF状態に切り替える(図56を参照)。これにより、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。このときスイッチ15の切り替えによってピン835はスライド溝833に沿って移動する。その後、スイッチ15が切り替えられアクチュエータ200への電力供給が遮断されると、ロータリダンパ42による制動トルクが解消するため、プレート820は引張りバネ829によって時計回りに回転させられ、引張りバネ830によるスプリングトルクと均衡がとれる元の位置で止まる(図57を参照)。このときスイッチ15はOFF状態になったままであるので、ロボットのアーム部100は動作しない。再度アーム部100を動作させるためには、ピン835を介してスイッチ15のレバーに外力を与えて(図58を参照)スイッチ15を元の状態に戻せばよい(図54に示す状態に戻る)。
また、回転軸22が時計回りに回転している場合についても、上記の場合と本質的には同様に、回転軸22の回転速度が所定速度を超えると、プレート820の突起824がスイッチ15’のレバーを倒しこむことによって、アクチュエータ200への電力供給が遮断されることになる。
また図59〜図62には、更なる変形例を示す。図59は、上記引張りバネ829、830に代えてねじりコイルバネ829’、830’を採用した形態を示す。これらのねじりコイルバネのそれぞれも、その一端をフレーム45側に接続し、もう一端をプレート820上のピン825、826に接続すればよい。図60は、ねじりコイルバネ829’、830’のプレート820側の接続端の接続位置を複数箇所から選択できる形態を示す。図60に示す形態では、ピン825、826を設置できる穴をそれぞれ3か所用意し、そのいずれかを選択することで、バネによってプレート820に付与するスプリングトルクを変更できる。これにより、プレート820に作用するスプリングトルクを細かく調整することができ、以てアクチュエータ200への供給電力を遮断する際の閾値となる回転軸22の回転速度(所定速度)を細かく設定することが可能となる。
また、図61に示す形態では、図53、図54に示す変形例において、引張りバネ829、830によるスプリングトルクを変更するものである。この形態では、フレーム45側の各引張りバネの接続位置を調整することで、プレート820に作用するスプリングトルクの大きさが変更される。なお、上述までの形態におけるプレート820に対して二つのバネによるスプリングトルクの付与については、各バネによるスプリングトルクの大きさを同じとするのが好ましい。
更に、図53に示す形態では、回転軸22の回転をギア40、41を介してロータリダンパ42に入力していたが、図62に示すように回転軸22に直接ロータリダンパ42を接続する構成としてもよい。
<変形例3>
上述した、検知速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の第三の変形例を以下に示す。本変形例は、先の変形例1の形態においてプレート802の形状を更に変更したものである。そして、本変形例に係る安全装置1の構成を図63および図64〜図68に示す。図63は、安全装置1の概略構成を表し、図64〜図68は、安全装置1の動作(安全装置1によるスイッチのOFF動作)の様子を表す。なお、図63は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図64〜図68を参照すれば容易に理解できる。
上述した、検知速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の第三の変形例を以下に示す。本変形例は、先の変形例1の形態においてプレート802の形状を更に変更したものである。そして、本変形例に係る安全装置1の構成を図63および図64〜図68に示す。図63は、安全装置1の概略構成を表し、図64〜図68は、安全装置1の動作(安全装置1によるスイッチのOFF動作)の様子を表す。なお、図63は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図64〜図68を参照すれば容易に理解できる。
ここで、回転軸22はロボットのアーム部100と接続されており、その回転軸22の回転速度は、回転軸22に固定されたギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。ロータリダンパ42には穴841を介し、プレート840が取り付けられているので、プレート840にロータリダンパ42からの制動トルクが作用する。ここでプレート840は、穴841を中心として左右対称に延在する矩形状の本体部842と、この本体部842の中央(穴841の上方)部に設けられT字形状をした接触部843とを有する。
一方で、フレーム45においては、ロボットのアーム部100を駆動するアクチュエータ200への供給電力を遮断する2つのスイッチ15、15’が横方向に並置されている。ここで、左側に設置されたスイッチ15は、そのレバーが左側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断でき、一方で右側に設置されたスイッチ15’は、その逆に、そのレバーが右側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断できる。これらのスイッチが倒れこむ方向にフレーム45上に延在する2つのスライド溝が設けられ、スイッチ15に対応する方をスライド溝854とし、スイッチ15’に対応する方をスライド溝855とする。さらに、フレーム45には、横に並ぶスライド溝854、855に並ぶように、スライド溝852とスライド溝853が横に配置されている。これらのスライド溝852、853の延在方向は、先のスライド溝854、855と溝の延在する方向に直交する方向、すなわちフレーム45における縦方向である。さらに、フレーム45に対して直交するようにフレーム45’が設けられており、このフレーム45’上には、上記スライド溝852、853と隣り合う位置に、二つの穴850、851が設けられている。
ここで、安全装置1には、スライド溝852、853内でスライド可能なプレート844、845が設けられる。これらのプレート844、845は、その上部にプレート840側に突出した爪部844’、845’を有しており、図64に示すように安全装置1の組み立て状態においては、プレート844、845のそれぞれの爪部が、プレート840の本体部の、穴841を挟んで反対側の箇所に引っ掛かるように配置される。このとき、プレート844、845の下端部には、それぞれ引張りバネ846、847が接続されている。そして、これらの引張りバネ846、847の他の端部は、それぞれ調整ねじ848、849を介してフレーム45’上の穴850、851に接続される。これらの調整ねじ848、849はそこに接続される引張りバネ846、847の取り付け位置を調整し、プレート840へそれぞれのバネから作用するバネ力を調整することが可能である。したがって、本変形例に係る安全装置1においては、ロータリダンパ42から制動トルクを受けるプレート840は、プレート844、845を介してフレーム45、45’と弾性的に連結されており、換言すると、プレート840の制動トルクによる回転は、プレート844、845の何れかに邪魔をされた状態となっている。
このように構成される本変形例の安全装置1では、図64に示すように、フレーム45上に横方向に並置されたスイッチ15、15’の間に、プレート840上に設置されたT字形状の接触部824が挟まれた状態で、該プレート840がロータリダンパ42からの制動トルクを受けることになり、その結果、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。なお、プレート840がロータリダンパ42から制動トルクを受けていない状態は、図64に示す状態であり、このときプレート840の本体部842は水平な状態となっており、またプレート844、845はそれぞれに対応するスライド溝852、853の最下位置に位置した状態で、それぞれの爪部844’、845’が引張りバネ848、849の弾性力によって本体部842に引っ掛かった状態となっている。
まず、回転軸22が反時計回りに回転している状態を前提として説明する。回転軸22の回転速度は、ギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。そしてプレート840には速度に比例したロータリダンパ42による制動トルクが反時計回りに作用する(図65を参照)。このとき、プレート840には、この制動トルクとは逆方向に引張りバネ847によるスプリングトルクも作用している。なお、引張りバネ846については、それが接続されているプレート844がスライド溝852内で動けないため、爪部844’と本体部842との接触状態が解消され、その結果該引張りバネ846からプレート840に対しては、スプリングトルクは作用しない。その後、回転軸22の回転速度が大きくなるに従い制動トルクも増加し、当該制動トルクがスプリングトルクに打ち勝つことで、プレート840が回転し接触部843がスイッチ15のレバーを倒しこみ、OFF状態に切り替える(図66を参照)。これにより、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。このときスイッチ15の切り替えによってピン856はスライド溝854に沿って移動する。その後、スイッチ15が切り替えられアクチュエータ200への電力供給が遮断されると、ロータリダンパ42による制動トルクが解消するため、プレート840は引張りバネ847によって時計回りに回転させられ(図67を参照)、引張りバネ846によるスプリングトルクと均衡がとれる元の位置で止まる。このときスイッチ15はOFF状態になったままであるので、ロボットのアーム部100は動作しない。再度アーム部100を動作させるためには、ピン856を介してスイッチ15のレバーに外力を与えて(図68を参照)スイッチ15を元の状態に戻せばよい(図64に示す状態に戻る)。
また、回転軸22が時計回りに回転している場合についても、上記の場合と本質的には同様に、回転軸22の回転速度が所定速度を超えると、プレート840の接触部843がスイッチ15’のレバーを倒しこむことによって、アクチュエータ200への電力供給が遮断されることになる。
また図69〜図71には、更なる変形例を示す。図69は、プレート840の本体部842に対して接触する爪部を有するプレート(844、845)の数を、3個以上にした形態である(図69では、爪部を有するプレートの数は6個)。この形態においては、穴841を挟んで左右に、対称的に爪部を有するプレートが設置されるのが好ましい。これにより、プレート840に作用するスプリングトルクを細かく調整することができ、以てアクチュエータ200への供給電力を遮断する際の閾値となる回転軸22の回転速度(所定速度)を細かく設定することが可能となる。
また、図70に示す形態では、プレート840の本体部の形状を、先の変形例1で示したT字形状にしたものである。したがって、図70に示す形態においては、変形例1と同じように、スイッチ15、15’は縦方向に並置されている。この場合、プレート840の本体部842に対しては、それぞれ逆方向から、プレート844、845の爪部844’、845’が引っ掛かった状態とすることで、本変形例と同じようにスイッチ15、15’のOFF制御が可能となる。
更に、図63に示す形態では、回転軸22の回転をギア40、41を介してロータリダンパ42に入力していたが、図71に示すように回転軸22に直接ロータリダンパ42を接続する構成としてもよい。
<変形例4>
上述までの変形例においては、回転軸22の回転速度をロータリダンパ42によって制動トルクに変換し、その制動トルクを利用することで回転速度に基づいたスイッチのOFF制御を行った。本変形例では、ロータリダンパ42に代えて慣性体を利用することで回転軸22の回転速度に基づいたスイッチのOFF制御の実現を図る安全装置1を開示する。そこで、本変形例に係る安全装置1について、図72〜図79に基づいて説明する。
上述までの変形例においては、回転軸22の回転速度をロータリダンパ42によって制動トルクに変換し、その制動トルクを利用することで回転速度に基づいたスイッチのOFF制御を行った。本変形例では、ロータリダンパ42に代えて慣性体を利用することで回転軸22の回転速度に基づいたスイッチのOFF制御の実現を図る安全装置1を開示する。そこで、本変形例に係る安全装置1について、図72〜図79に基づいて説明する。
図72、図73に示すように回転軸22はロボットのアーム軸100に取り付けられている。ここで、本実施例に係る安全装置1は、主にリンク機構で構成される。そのリンク機構においては、リンク862、リンク867は回転軸22とピン864、ピン869によりピン支持されている。更に、慣性体875とリンク863はピン865によりリンク862に接続され、一方で、慣性体876とリンク868はピン870によりリンク867に接続されている。また、リンク863はピン866によりスライダ872と接続され、且つリンク868はピン871によりスライダ872に接続されている。そして、リンク862、863、867、868の長さはそれぞれ等しく、そのため安全装置1を構成するリンク機構は菱形形状を形成する。
ここで、スライダ872は回転軸22の軸方向にベアリングにより滑ることが可能である。そして、スライダ872のアーム部100側の端部にはバネ(圧縮バネ)874が取り付けられており、更にバネ874の他端には、2つのナットで構成され、回転軸22のネジ部に固定されたダブルナット861がある。また、スライダのもう一端側(バネ874が接続された端部とは逆の端部側)にも、ダブルナット860が配置されている。スライダ872には、他の表面よりも突出しているツバ873が取り付けられており、その横にスイッチ15のレバーが配置されている。したがって、スライダ872が回転軸22の軸方向(図72、73においては、右方向)に滑ると、スライダ872に設けられたツバ873がスイッチ15のレバーを倒しこみ、以てアクチュエータへの電力供給を遮断することができる。
詳細には、図74に示すように、回転軸22が回転角速度ω[rad/s]で回転すると、ピン865、ピン870には慣性体875、876により遠心力がFが作用する。ここで、慣性体875、876の質量をそれぞれm[kg]、慣性体の回転軸の中心からの距離をr[m]とすると、ピン865、ピン870に作用する遠心力は F=mrω2[N])で表わされる。そして、ピン865、870に作用する遠心力Fは、リンクによる幾何学的拘束により、スライダ872をバネ874側へスライドさせる力に変換され、このスライド力とバネ874による力が釣り合う位置までスライダ872はスライドする。したがって、回転軸22が予め設定した回転速度に至ると、アクチュエータ200のスイッチ15のレバーとスライダ872のツバ873との接触により、アクチュエータ200の電源が切られ、ロボットの暴走を防止することができる。
ここで、アクチュエータ200の電源を切る回転軸22の回転速度の設定は、(1)バネ874側のダブルナット861の位置を調整する、(2)バネ874を剛性の異なるバネに変更する、(3)上述の実施例3で示したバネの剛性可変機構(図35〜図37を参照)を用いてバネの剛性を調節する、(4)スライダ872両端のダブルナット860、861の位置を調整することにより回転軸22から慣性体875、876までの距離rを変更する、(5)慣性体875、876の質量を異なるものとする、(6)スイッチ15の取り付け位置を軸方向に移動させる、ことにより実現できる。なお、上記では圧縮バネ874を用いたが、図75に示すように、スライダ872の逆側の端部に引張バネ877を取り付け、バネ877の他端をダブルナット860に固定するようにしてもよい。この場合のアクチュエータ200の電源を切る回転軸22の回転速度の設定は、(1)ダブルナット860の位置の調整、(2)バネ877を剛性の異なるバネに変更する、(3)上記剛性可変機構を用いたバネの剛性調節、(4)ダブルナット860、861による上記距離rの調整、(5)慣性体875、876の質量を異なるものとする、(6)スイッチ15の取り付け位置を軸方向に移動させる、ことにより実現できる。
ここで、上述した慣性体に係る「遠心力」を利用した回転軸22の速度検知によるスイッチ15のOFF制御を、上記実施例1等に示したロック機構へ応用する態様について、図76、図77に基づいて説明する。図76に示す「ロック機構」とは、上記実施例1等で示した回転軸22の角加速度が所定の値を超えるとその回転をロックする機構であるので、その詳細な説明は省略する。ここで、本変形例に係るスライダ872を含むリンク機構は、このロック機構を介して回転軸22の先端側に設置される。ここで、スライダ872に取り付けられているツバ873は、スライダ872との間にベアリング881を有しており、ツバ873の側面にはツバ873が軸方向に移動するように拘束するガイド880が設置されている。この構成により、ツバ873は回転軸22の軸方向にはスライダ872とともに動くが、ツバ873にはスライダ873(回転軸22)の回転は伝わらない。さらに、ツバ873にはワイヤ882が取り付けられており、ワイヤ882はプーリー883を介して、ロボットのアーム部100の左右両側のストッパ44へ接続される(図76では一方側のストッパ44のみが記載)。なお、このときのストッパ44には、バネ43のみが取り付けられており、先の実施例1等で示したロータリダンパ42は設置されていない。なお、ストッパ44の支持については、先の実施例1等と同様に、フレーム45にベアリング46で支持されている。
このような構成を採用することで、回転軸22の回転速度の増加に伴い、ツバ873はガイド880に沿って動く。このツバ873の動きによりワイヤ883が引かれ、その結果ストッパ44がその軸周りに回転する。そして、回転軸22が所定の回転速度に至ったとき、ストッパ44はロック機構内のラチェットホイール34とかみ合う。その後は、既に示したとおりのプロセスで回転軸22がロックされる。この回転軸22のロックのための設定速度の調節は、スライダ872のバネ874、ストッパ44のバネ43のバネ力を調整するなど、これまでに述べた手法を用いることにより、行うことができる。
なお、ストッパ44とラチェットホイール34のかみ合いにおいて、ワイヤ882、プーリー883の設置が困難な場合は、図77に示すように、ワイヤ882をストッパ44に取り付けてもよい。すなわち、ワイヤ882が引かれることによりストッパ44がラチェットホイール34とかみ合うことが可能である実施形態であればどのような形態でも構わない。また、本変形例では、ワイヤ882とプーリー873を用いて、スライダ872のスライド力をストッパ44へ伝達する構造を示したが、ワイヤ882とプーリー883に加えて、ギア、リンク機構、タイミングベルト等の伝達要素を用いて該スライド力をストッパ44へ伝える構造でも構わない。
また図78、図79には、更なる変形例を示す。図78は、上記の変形例に対して慣性体の設置位置を変更したものである。具体的には、リンク862、867を伸ばし、回転軸22とピンで接続し、それぞれのリンク先端に慣性体875’、876’を取り付けた構造を採用する。この形態では、慣性体に働く遠心力は、回転軸22とリンク862、867の先端に設置された各慣性体との距離によって決定される。また、図79は、リンク機構の数を変化させた形態を示す。図72、図73で示す形態では慣性体が取り付けられるリンク機構は、2つ含まれているが(リンク862、863によるリンク機構と、リンク867、868によるリンク機構の2つ)、図79に示す形態ではこのリンク機構を4つ含む。すなわち、回転軸22の周りに90度間隔で4個のリンク機構(リンク862、863によるリンク機構と、リンク867、868によるリンク機構、リンク890、891によるリンク機構(慣性体892を有する)、図の表現上回転軸22の背後に位置する2つのリンク(図示されない慣性体を有する)の4つ。)を配した形態が図79に示すものである。これにより、慣性体に働く遠心力の総和を大きくすることができるため、回転軸22の回転速度の検出を速やかに行い得る。また、回転軸22の回転のバランスに支障がなければ、リンク機構の数を1個にしても構わない。
<検知加速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成>
本実施例は、ロボットを駆動するためのアクチュエータへの電力供給に関するON、OFFを行うスイッチに関して、アクチュエータによって回転駆動される回転軸の加速度に基づいたその電源OFFを機械的に実行する構成を開示する。そして、本実施例では、説明の簡略化のために着目すべきスイッチによる電源OFFを行う構成を主に開示し、上記実施例1〜3で示した回転軸をロックする構成の開示は省略するが、これは回転軸をロックする構成の採用を妨げるものではない。当業者の有する設計能力に応じて先の実施例で示した構成と適宜組み合わせることができる。なお、先の実施例で示した構成と本質的に同じ構成は同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
本実施例は、ロボットを駆動するためのアクチュエータへの電力供給に関するON、OFFを行うスイッチに関して、アクチュエータによって回転駆動される回転軸の加速度に基づいたその電源OFFを機械的に実行する構成を開示する。そして、本実施例では、説明の簡略化のために着目すべきスイッチによる電源OFFを行う構成を主に開示し、上記実施例1〜3で示した回転軸をロックする構成の開示は省略するが、これは回転軸をロックする構成の採用を妨げるものではない。当業者の有する設計能力に応じて先の実施例で示した構成と適宜組み合わせることができる。なお、先の実施例で示した構成と本質的に同じ構成は同一の参照番号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
本実施例に係る安全装置1の構成を図80および図81に示す。図80は、安全装置1の概略構成を表し、図81は、図80に示すプレート900、903の互いに向かい合う面上の構成を示す図である。なお、図80は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図81〜図87を参照すれば容易に理解できる。
回転軸22はアクチュエータ200で駆動されるロボットのアーム部100の駆動軸と接続されている。回転軸22の回転はギア40、41を介して軸22’に伝わる。なお、軸22’は、その先端側に段部917、918を有する段付形状であり、更に中空になっている。この段部917は段部918と比べて、その外径は大きく、また段部917の中腹には、その内部に存在する軸22’の中空部分と連通する穴912が設けられている。また軸22’の材質は、導電部913、914で示される部分を除き絶縁体の材質が採用される。
ここで、円形状のプレート903が、軸22’の段部917に固定され、軸22’と一体となって回転する。そして、プレート903の歯車41側とは反対側の表面に、ピン904とピン905が設置される。また、プレート903の表面上の、軸22’近くに、ロボットのアーム部100を駆動するアクチュエータ200への供給電力を遮断する2つのスイッチ15、15’が横方向に並置されている。このとき、スイッチ15、15’のレバーは互いに反対側に延出しており、図80において左側に設置されたスイッチ15は、そのレバーが下側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断でき、一方で図80で右側に設置されたスイッチ15’は、そのレバーが下側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断できる。なお、スイッチ15、15’の導線は軸22’の穴912に挿入され軸22’の中空部分を通り、導電部913、914に接続されている。また、これらのスイッチが倒れこむ方向にプレート903上に延在する2つのスライド溝が設けられ、スイッチ15に対応する方をスライド溝910とし、スイッチ15’に対応する方をスライド溝911とする。このスライド溝910にはピン906、スライド溝911にはピン907が挿入される。これらのピン906、907は各スライド溝間でスライド可能であり、且つ各ピンは対応するそれぞれのスイッチのレバーに対して接触した状態となっている。
また、円形状のプレート900が用意される。このプレート900上のギア41側の表面(プレート903側の表面)にはピン901、902が設置されている。そして、引張りバネ908の一端はピン901に、もう一端はピン904に取り付けられている。同様にピン902とピン905の間に引張りバネ909が取り付けられている。なお、プレート900は軸22’の段部918に配置されるが、軸22’に対しては固定されてはいない。これにより、プレート900はピン901、902の取り付けられている引張りバネ908、909を介し、プレート903と一体となって回転する。つまり軸22‘の回転が弾性的にプレート900に伝わる。ここで、安全装置1の組み立て時には、上記の通り、プレート900がプレート903と弾性的に連結されるが、このとき、プレート900上のピン901、902は、それぞれピン906、907とともに、スイッチ15のレバー、スイッチ15’のレバーを挟んで位置する状態となる(図82等を参照)。
このように構成される本変形例の安全装置1では、図82に示すように、プレート903上に横方向に並置されたスイッチ15、15’のスイッチに対して、プレート900上のピン901、902が接触し力を掛け得る構成となる。そして、回転軸22の回転加速度に応じたプレート900の慣性力によって、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。
まず、回転軸22が反時計回りに回転している状態を前提として説明する。回転軸22に発生する加速度はギア40、41を介して、軸22’、プレート903に伝わる。そして、その伝わった加速度により、プレート900に慣性トルクが作用する(図82を参照)。これと同時に、プレート900には慣性トルクとは逆方向に、ピン902とピン905の間に取り付けられた引張りバネ905のバネ力によるスプリングトルクも作用している(図83を参照)。ここで回転軸22の加速度が大きくなるに従い、図82に示すプレート900に作用する慣性トルクも増加し、そして回転軸22の加速度が所定の加速度に至ると、この慣性トルクによりプレート900とプレート903に相対位置のずれ、すなわち回転のずれが生じる。このずれにより、プレート1に固定されたピン902がスイッチ15’のレバーを倒しこみ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される(図84を参照)。なお、電力供給が遮断された後はプレート900の慣性トルクは消失するので、引張りバネ909により、プレート900は当初の相対位置に戻るが、スイッチ15’が切られたままであるので、ロボットのアーム部100は動作しない(図85を参照)。再度アーム部100を動作させる場合は、ピン907をスイッチ15’のレバーが元に戻るようにスライドさせればよい。
また、回転軸22が時計回りに回転している場合についても、上記の場合と本質的には同様に、回転軸22の回転速度が所定の加速度を超えると、プレート900上のピン901がスイッチ15のレバーを倒しこむことによって、アクチュエータ200への電力供給が遮断されることになる。
ここで、図86および図87に基づいて、軸22’に設けられた導電部913、914の詳細を説明する。スイッチ15とスイッチ15’は直列に結線されており(図86右図参照)、スイッチ15から延出する導線は導電部913に、スイッチ15’から延出する導線は導電部914に接続されている(図86左図参照)。そして、軸22’側の導電部913、導電部914と、アクチュエータ200の電源につながる導線が接続されている端子915、916はブラシ構造になっており、これにより軸22’が回転しながらスイッチ15、15’からのアクチュエータ200の電源遮断のための信号を電源に伝えることが可能となる。
また図88には、更なる変形例を示す。図88は、上記引張りバネ908、909に代えてねじりコイルバネ908’、909’を採用した形態を示す。これらのねじりコイルバネのそれぞれも、その一端をプレート903側に接続し、もう一端をプレート900上のピン901、902に接続すればよい。
<変形例>
上述した、検知加速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の変形例を以下に示す。本変形例に係る安全装置1の構成を図89〜図99に示す。図89、図90は、安全装置1の概略構成を表し、図91〜図98は、安全装置1の動作(安全装置1によるスイッチのOFF動作)の様子を表す。なお、図89は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図90〜図99を参照すれば容易に理解できる。
上述した、検知加速度に基づくアクチュエータの電源OFFを行う構成の変形例を以下に示す。本変形例に係る安全装置1の構成を図89〜図99に示す。図89、図90は、安全装置1の概略構成を表し、図91〜図98は、安全装置1の動作(安全装置1によるスイッチのOFF動作)の様子を表す。なお、図89は、本変形例の理解のために安全装置1を分解した状態で示したものであり、その組み合わされた状態は、図90〜図99を参照すれば容易に理解できる。
ここで、回転軸22はロボットのアーム部100と接続されている。また、フレーム10においては、ロボットのアーム部100を駆動するアクチュエータ200への供給電力を遮断する2つのスイッチ15、15’が縦方向に並置されている。ここで、上側に設置されたスイッチ15は、そのレバーが上側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断でき、一方で下側に設置されたスイッチ15’は、その逆に、そのレバーが下側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断できる。これらのスイッチが倒れこむ方向にフレーム10上に延在する2つのスライド溝が設けられ、スイッチ15に対応する方をスライド溝950とし、スイッチ15’に対応する方をスライド溝951とする。更に、スライド溝950にはピン952、スライド溝951にはピン953が挿入される。これらのピン952、953は各スライド溝間でスライド可能であり、且つ各ピンは対応するそれぞれのスイッチのレバーに対して接触した状態となっている。
ここで、本変形例に係る安全装置1は、3枚の円形状のプレート920、923、928を含んで構成される。プレート928には異なる内歯929、930が2段に重ねて設けられており、図95等で示すように内歯929の内径は、内歯930の内径よりも大きい。なお、このプレート928は、軸22に対しては固定されてはおらず、一方で、プレート928の表面上に設けられたピン932に対して二方向から引張りバネ935、936が接続されており、これらの引張りバネによる復元力を常時受けている状態である。なお、引張りバネ935、936は、回転軸22の回転から隔離された静的な構造物上にその一端が接続されている。また、プレート928の一部は、図89、図96等に示すように一部が切り欠かれており、そこにピン931が設けられている。
次に、プレート923について説明する。プレート923は、上記内歯929、930の内径部分に収まる形で、回転軸22に対して固定されている。そして、プレート923にはピン925、ピン927が固定され、さらに図90の左図に示すようにスライド溝9233、スライド溝9234が設けられ、各スライド溝にはさらに掘り込まれた溝9233a、9234aが設けられている。これらの溝9233a等は、対応するスライド溝9233等と延在する方向は同じである。そして、それぞれのスライド溝には爪938、爪940が挿入されている(図90の右図参照)。詳細には、各爪には、図89に示すように対応するスライド溝での動きを拘束するための円柱状の突起部938a、940aが設けられ、この突起部が対応するスライド溝に設けられた溝9233a等内を移動することで、爪がスライドする。更に、爪938は引張りバネ942を介してピン925に接続され、爪940は引張りバネ944を介してピン927に接続されている。
また、爪940は爪938より大きく、プレート923に設置された状態では、図90の右図に示すように反転した形状となっている。そして、爪938は、スライド溝9233をスライドし、内径の小さい内歯930と噛み合いが可能となるように、且つ爪940は、スライド溝9234をスライドし、内径の大きい内歯929と噛み合いが可能となるように、爪938と、爪940とでは、プレート923への各爪の設置における高さ(プレート923の厚さ方向における位置)が異なっている。
次に、プレート920について説明する。プレート920の表面のうち、プレート923に対向する表面上には突起921、突起922が設けられている。これらの突起について、安全装置1の組み立て時において、突起921が爪938に接触するように配置され、突起922が爪940に接触するように配置される構成となっており(図91等を参照)、またプレート920自体は回転軸22には固定されていない。したがって、プレート920は各爪、各引張りバネ、各突起を介して、プレート923の回転が伝わるようになっている。
このように構成される本変形例の安全装置1では、図96等に示すように、フレーム10上に縦方向に並置されたスイッチ15、15’の間に、プレート928のピン931が挟まれた状態で、該プレート928が外力を受けることになり、その結果、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。
まず、回転軸22が反時計回りに回転している状態を前提として説明する。回転軸22の回転加速度はプレート923に伝わり、その結果、プレート920に慣性力による慣性トルクが作用する(図92を参照)。これと同時に、図93に示すように、プレート920には引張りバネ944のバネ力が突起922を介して働き、慣性トルクとは逆方向にスプリングトルクが作用している。ここで回転軸22の加速度が大きくなると、プレート920に作用する慣性トルクも増加し、その後回転軸22の加速度が所定の加速度に至ると、プレート920とプレート923に相対位置のずれ、すなわち回転のずれが生じる。このずれにより、図94に示すように、突起922が爪940をスライドさせることになる。
このように爪940がずれることにより図95に示すように内歯929と接触し、さらに回転すると噛み合う。なお、内歯929、930はラチェットの歯の形状になっており、内歯929と内歯930は歯の方向が逆に取り付けられている。このように異なる向きのラチェットの2つの内歯と、内歯毎に対応する異なる向きの爪が1つ(合計で2つの爪が)用意されているのは、回転軸22の時計回り、反時計回りのそれぞれの方向の加速度が発生することを踏まえて、内歯と爪との噛み合わせを対応させるためである。本変形例では、爪940と内歯929が接触し、噛み合うこととする(図95を参照)。
そして、爪940と内歯929が接触し、噛み合うとプレート923の回転がプレート928に伝わり一体となって回転し始める(図96を参照)。すると、プレート928上に設けられたピン931によりスイッチ15のレバーが倒しこまれ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される(図97を参照)。その後、電力遮断により回転軸22の加速度が消滅すると、引張りバネ935、936により復元力を受けているプレート928は、その復元力に従って元の位置に戻る。このプレート928の復帰とともに、爪940と内歯929との噛み合いが解消され、また爪940は、引張りバネ944によって元の位置に戻り、その結果プレート920とプレート923は、当初の相対位置に戻る。なお、この状態のままではスイッチ15のレバーは倒しこまれたままであるので、再度ロボットを動作させる場合は、ピン952をスイッチ15のレバーが元に戻るようにスライドさせ、スイッチ15を元の状態に戻せばよい(図98を参照)。
上述した爪940と内歯929との噛み合い以外でも、回転軸22の回転方向と、プレート920に発生する慣性力の向きに応じて、爪と内歯の噛み合いが発生し、以て回転軸22に発生する回転方向と同じ方向の加速度に基づいて、アクチュエータ200の電力供給を遮断することが可能となる。
また図99、図100に、プレート923における爪の配置の変形例を示す。図99に示すように、内歯929、930に対応してプレート923上に配置される2つの爪の向きを図90の右図に示す状態と反対となるようにしても構わない。また、図100に示すように、4つの爪をプレート923上に配置してもよい。この図100に示す爪の配置は、いわば図90に示す配置と図99に示す配置を組み合わせた形態である。なお、図100には、爪を4つ設置しているが、その数をこれに限定する意図はなく、内歯929、930との適切な噛み合わせが可能であれば、その数は適宜変更してもよい。
ロボットと作業者との衝突を回避するために、先行技術のように作業者への効果的な作業領域の提示は有用な方法ではある。しかし、作業者に対して有用な情報を通知した場合であっても、ロボットとの衝突という不測の事態を完全に避けることは難しい。また、従来技術のようにロボットと作業者との衝突を何等かの方法により検知しようとする場合であっても、いわば衝突の危険性の検知が間に合わず、又は衝突が生じてからの該衝突の検知となるため、作業者を確実に保護することは難しいと言わざるを得ない。
図2に、本発明に係る安全装置1がロボットの一部であるアーム部100に組み込まれた際の一例を示す。アーム部100は、モータ等のアクチュエータ200を動力が、出力軸210からベルト220を介してロボットの駆動軸110に伝達されることで回転する。尚、伝達軸としては、駆動力伝達のためのベルトやロボットの駆動軸110と連結される軸等が例示できるが、アクチュエータ200の出力軸210の直後や、アーム部100の駆動軸110の直前に安全装置1が設けられても構わない。
また、加速度検知部30は、プレート31、ストッパ32、バネ33、ラチェットホイール34で構成される。ラチェットホイール34はバネ33を介してプレート31に取り付けられている。尚、加速度検知部30の詳細については後述する。更に、加速度検知部30の隣にギア40が回転軸22に対して固定状態で連結される。
ここで、加速度検知部30による回転軸22の加速度の検知について説明する。図6には、爪回転板27の円筒部分に収められたプレート31及びストッパ32と、爪回転板27側に設けられた内歯29との相関関係が示されている。尚、図6の左側に示す当該相関関係は、回転軸22の加速度がゼロもしくは比較的に低い場合、即ち所定加速度以下であるときのものであり、右側に示すのが、回転軸22の加速度が所定加速度を超えたときのものである。図6に示すように、回転軸22の加速度が上昇し、ラチェットホイール34を拘束している、バネ33からのスプリングトルク以上の慣性トルクがスプリングトルクとは逆の方向に作用することで、ラチェットホイール34が回転軸22に対して、該回転軸22を中心として相対的に回転し当初の相対位置よりずれた場合(図6中に示す「ずれ」が生じた場合)、ストッパ32は、ラチェットホイール34に設けられたガイド孔34aとガイドバー32aとの幾何学的拘束により、爪回転板27側の内歯29と接触する方向に導かれ、最終的にストッパ32の先端部分が内歯29に引っ掛かる状態となる。
その後、上記回転力によって、図8(a)に示すようにラチェットホイール24のラチェットと係止爪20がかみ合い、回転軸22はロックされる。これにより、ロボットのアーム部100による人間に対する不測の作用を防止することが可能となる。尚、回転軸22がロックされた後、回転軸22の加速度がなくなると、ラチェットホイール34に作用する慣性トルクも消失する。しかし、ロボットのアーム部100の自重によるトルクが図8(b)のように作用している場合は、そのトルクが作用している限り、ラチェットホイール24のラチェットと係止爪20とのかみ合いは維持され、以て、回転軸22のロックは維持され続ける。
このような構成を採用することにより、図15A〜15Dに示すように爪回転板27が回転して回転軸22に対してずれが生じた際、複数の係止爪201〜204が同時に動き、
ラチェットホイール24を複数の係止爪で同時にロックすることができる。図15Aは、回転軸22の加速度等が所定の閾値より低い通常状態を示している。図15Bは、回転軸22の加速度等が所定の閾値を超えて、ストッパ321〜323が内歯29に接触した状態を示している。図15Cは、図15Bに示す状態を経た結果、爪回転板27の回転により複数の係止爪201〜204が、同時にラチェットホイール24に向かって動作中の状態を示す図である。図15Dは、図15Cに示す状態を経た結果、複数の係止爪201〜204がラチェットホイール24と同時にかみ合った状態を示す図である。このように複数の係止爪201〜204で同時に回転軸22をロックすることにより、ラチェットホイール24の歯に掛かる負担は、係止爪の数だけ小さくなり、強度不足が解決される。爪の数は1〜8程度で、好ましくは1〜4である。
ラチェットホイール24を複数の係止爪で同時にロックすることができる。図15Aは、回転軸22の加速度等が所定の閾値より低い通常状態を示している。図15Bは、回転軸22の加速度等が所定の閾値を超えて、ストッパ321〜323が内歯29に接触した状態を示している。図15Cは、図15Bに示す状態を経た結果、爪回転板27の回転により複数の係止爪201〜204が、同時にラチェットホイール24に向かって動作中の状態を示す図である。図15Dは、図15Cに示す状態を経た結果、複数の係止爪201〜204がラチェットホイール24と同時にかみ合った状態を示す図である。このように複数の係止爪201〜204で同時に回転軸22をロックすることにより、ラチェットホイール24の歯に掛かる負担は、係止爪の数だけ小さくなり、強度不足が解決される。爪の数は1〜8程度で、好ましくは1〜4である。
また、先に示した加速度検知部300と同じ趣旨に基づいて、上記ストッパ611に代えて、図20に示す二つのストッパ611aと611bを採用し、内歯29に対して複数箇所で接触することで、回転軸22の加速度が所定加速度を超えたことを検知してから回転軸22をロックするまでの時間を短縮することが可能となる。具体的には、図20に示すストッパ611aと611bは、概ね半円形状の同一の形状を有している。上記ガイド孔に相当するものとしてストッパ611aにはガイド孔612aが設けられ、ストッパ611bにはガイド孔612bが、それぞれ二つずつ設けられている。更に、上記ピンに相当するものとしてストッパ611aにはピン613aが設けられ、ストッパ611bにはピン613bが設けられている。更に、上記突起部に相当するものとしてストッパ611aには突起部615aが設けられ、ストッパ611bには突起部615bが設けられている。
ロボットの本体側に設置されるフレーム10上にブレーキドラム50が設けられる。これは、後述する半円形ブレーキ52との相互作用により、回転軸22に制動力を与えるブレーキとして機能する。そして、アーム51、ステイ58、ギア40は回転軸22に固定して取り付けられ、以て回転軸22と一体となって回転する。尚、アーム51は、回転軸22に対して垂直に取り付けられた棒状体であり、ブレーキドラム50内部で、回転軸22の回転に伴って回転する。ここで、図22に示すように、ブレーキドラム50とステイ58の間に、ブレーキドラム50側から順に、半円形ブレーキ52(これは、2つの半円形ブレーキ52a、52bの総称である。)、ラチェットホイール54、ねじりコイルバネ56が設置される。
以上のような構造を有する安全装置1では、図23に示すように左回りに回転軸22がある加速度で回転したとすると、ラチェットホイール54にはその加速度に比例する慣性トルクが発生する(図23(a))。ここで、ラチェットホイール54はねじりコイルバネ56を介して回転軸22と接続された状態となっているので、回転軸22の加速度が上昇していくといずれ慣性トルクはねじりコイルバネ56による弾性トルクに打ち勝ち、ラチェットホイール54と回転軸22の回転に「ずれ」(先の実施例における「ずれ」に相当する。)が生じる。そして、ラチェットホイール54と回転軸22の回転との間にずれが生じると、半円形ブレーキ52a、52bのガイドピン53a、53bと、ラチェットホイール54の長方形孔54aとの幾何学的関係により、図23(b)に示すように半円形ブレーキ52a、52bがブレーキドラム50側にスライドするスライド力Faが、各半円形ブレーキに作用することになる。また、同時にラチェットホイール54と回転軸22の回転のずれにより、ステイ58に取り付けたスイッチ57がスイッチ用ピン55によって切られ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。
その後、上記スライド力によって半円形ブレーキ52a上のブレーキ部材59aがブレーキドラム50に接触し、また半円形ブレーキ52b上のブレーキ部材59bがブレーキドラム50に接触することで、そこに制動力が発生し、以て回転軸22の回転が停止させられ、ロック状態に至る。尚、回転軸22がロックされた後、回転軸22の加速度がなくなると、ラチェットホイール54に作用する慣性トルクも消失する。しかし、ロボットのアーム部100の自重によるトルクが作用している場合は、そのトルクが作用している限りアーム51によりスライド力Faが作用するため、半円形ブレーキ52による制動力が作用し続ける。
また、図30Bに示すように、上述した線形バネ330、560を利用する場合にも、それらの端部が接続されるピンの位置を調整することで、それらによる弾性トルクの調整が行われる。例えば、図30B(a)は、図26に示す線形バネ330を用いた安全装置1であるが、線形バネ330の一端をプレート31側に接続するピン330aと、そのもう一端をラチェットホイール34側に接続するピン330bが、それぞれ複数設けられている。また、図30B(b)は、図27に示す線形バネ560を用いた安全装置1であるが、線形バネ560の一端をステイ58側に接続するピン560aと、そのもう一端をラチェットホイール54側に接続するピン560bが、それぞれ複数設けられている。これらの場合も、上記と同様に一つのピンと複数のピン孔による構成としてもよい。
また、図30A、図30Bに示す安全装置1において、スライダ装置700を取り付けるスペースが加速度検知部30等に確保できない場合は、図32に示す構成を有する加速度検知部301を採用することでスライダ装置700の取り付けスペースを確保するようにしてもよい。加速度検知部301では、回転軸22に対して固定されているギア40側に、回転軸22に固定されるステイ35を新たに設け、そして、そのステイ35とラチェットホイール34との間にバネ33が配置される。この構成により、加速度検知部301では、スライダ装置700をステイ35上に設けることができ、以て比較的スペースの制限を受けることなくスライダ装置700を設置することができる。
また、上記と同様の技術的思想に従って、以下のようにねじりコイルバネ56の剛性を変化させ、以て所定加速度を調整することも可能である。図36Aに示すように、ガイドロッド70のステイ58側にフランジ部72が設けられ、更にこのフランジ部72には、ボルト80と螺合可能な複数のネジ孔73が設けられる。また、回転軸22に固定されているステイ58には、ボルト80が貫通可能な貫通孔582が二箇所設けられている。ここで、ねじりコイルバネ56の一端はガイドロッド70のフランジ部72に固定し、他端をラチェットホイール54に固定する。ガイドロッド70の中心部には回転軸22が挿入できるように貫通孔をあけておく。
まず、回転軸22が反時計回りに回転している状態を前提として説明する。回転軸22の回転速度は、ギア40からギア41を経て、ロータリダンパ42に伝えられる。そしてプレート820には速度に比例したロータリダンパ42による制動トルクが反時計回りに作用する(図55を参照)。このとき、プレート820には、この制動トルクとは逆方向に引張りバネ830によるスプリングトルクも作用している。ここで回転軸22の回転速度が大きくなるに従い制動トルクも増加し、当該制動トルクがスプリングトルクに打ち勝つことで、プレート820が回転し突起824がスイッチ15のレバーを倒しこみ、OFF状態に切り替える(図56を参照)。これにより、アクチュエータ200への電力供給が遮断される。このときスイッチ15の切り替えによってピン835はスライド溝833に沿って移動する。その後、スイッチ15が切り替えられアクチュエータ200への電力供給が遮断されると、ロータリダンパ42による制動トルクが解消するため、プレート820は引張りバネ829によって時計回りに回転させられ、引張りバネ830によるスプリングトルクと均衡がとれる元の位置で止まる(図57を参照)。このときスイッチ15はOFF状態になったままであるので、ロボットのアーム部100は動作しない。再度アーム部100を動作させるためには、ピン835を介してスイッチ15のレバーに外力を与えて(図58を参照)スイッチ15を元の状態に戻せばよい(図54に示す状態に戻る)。
一方で、フレーム45においては、ロボットのアーム部100を駆動するアクチュエータ200への供給電力を遮断する2つのスイッチ15、15’が横方向に並置されている。ここで、左側に設置されたスイッチ15は、そのレバーが左側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断でき、一方で右側に設置されたスイッチ15’は、その逆に、そのレバーが右側に倒れることでアクチュエータ200への供給電力を遮断できる。これらのスイッチが倒れこむ方向にフレーム45上に延在する2つのスライド溝が設けられ、スイッチ15に対応する方をスライド溝854とし、スイッチ15’に対応する方をスライド溝855とする。さらに、フレーム45には、横に並ぶスライド溝854、855に並ぶように、スライド溝852とスライド溝853が横に配置されている。これらのスライド溝852、853の延在方向は、先のスライド溝854、855の延在する方向に直交する方向、すなわちフレーム45における縦方向である。さらに、フレーム45に対して直交するようにフレーム45’が設けられており、このフレーム45’上には、上記スライド溝852、853と隣り合う位置に、二つの穴850、851が設けられている。
このように構成される本変形例の安全装置1では、図64に示すように、フレーム45上に横方向に並置されたスイッチ15、15’の間に、プレート840上に設置されたT字形状の接触部843が挟まれた状態で、該プレート840がロータリダンパ42からの制動トルクを受けることになり、その結果、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。なお、プレート840がロータリダンパ42から制動トルクを受けていない状態は、図64に示す状態であり、このときプレート840の本体部842は水平な状態となっており、またプレート844、845はそれぞれに対応するスライド溝852、853の最下位置に位置した状態で、それぞれの爪部844’、845’が引張りバネ846、847の弾性力によって本体部842に引っ掛かった状態となっている。
図72、図73に示すように回転軸22はロボットのアーム部100に取り付けられている。ここで、本実施例に係る安全装置1は、主にリンク機構で構成される。そのリンク機構においては、リンク862、リンク867は回転軸22とピン864、ピン869によりピン支持されている。更に、慣性体875とリンク863はピン865によりリンク862に接続され、一方で、慣性体876とリンク868はピン870によりリンク86
7に接続されている。また、リンク863はピン866によりスライダ872と接続され、且つリンク868はピン871によりスライダ872に接続されている。そして、リンク862、863、867、868の長さはそれぞれ等しく、そのため安全装置1を構成するリンク機構は菱形形状を形成する。
7に接続されている。また、リンク863はピン866によりスライダ872と接続され、且つリンク868はピン871によりスライダ872に接続されている。そして、リンク862、863、867、868の長さはそれぞれ等しく、そのため安全装置1を構成するリンク機構は菱形形状を形成する。
詳細には、図74に示すように、回転軸22が回転角速度ω[rad/s]で回転すると、ピン865、ピン870には慣性体875、876により遠心力Fが作用する。ここで、慣性体875、876の質量をそれぞれm[kg]、慣性体の回転軸の中心からの距離をr[m]とすると、ピン865、ピン870に作用する遠心力はF=mrω2[N]で表わさ
れる。そして、ピン865、870に作用する遠心力Fは、リンクによる幾何学的拘束により、スライダ872をバネ874側へスライドさせる力に変換され、このスライド力とバネ874による力が釣り合う位置までスライダ872はスライドする。したがって、回転軸22が予め設定した回転速度に至ると、アクチュエータ200のスイッチ15のレバーとスライダ872のツバ873との接触により、アクチュエータ200の電源が切られ、ロボットの暴走を防止することができる。
れる。そして、ピン865、870に作用する遠心力Fは、リンクによる幾何学的拘束により、スライダ872をバネ874側へスライドさせる力に変換され、このスライド力とバネ874による力が釣り合う位置までスライダ872はスライドする。したがって、回転軸22が予め設定した回転速度に至ると、アクチュエータ200のスイッチ15のレバーとスライダ872のツバ873との接触により、アクチュエータ200の電源が切られ、ロボットの暴走を防止することができる。
ここで、上述した慣性体に係る「遠心力」を利用した回転軸22の速度検知によるスイッチ15のOFF制御を、上記実施例1等に示したロック機構へ応用する態様について、図76、図77に基づいて説明する。図76に示す「ロック機構」とは、上記実施例1等で示した回転軸22の角加速度が所定の値を超えるとその回転をロックする機構であるので、その詳細な説明は省略する。ここで、本変形例に係るスライダ872を含むリンク機構は、このロック機構を介して回転軸22の先端側に設置される。ここで、スライダ872に取り付けられているツバ873は、スライダ872との間にベアリング881を有しており、ツバ873の側面にはツバ873が軸方向に移動するように拘束するガイド880が設置されている。この構成により、ツバ873は回転軸22の軸方向にはスライダ872とともに動くが、ツバ873にはスライダ872(回転軸22)の回転は伝わらない。さらに、ツバ873にはワイヤ882が取り付けられており、ワイヤ882はプーリー883を介して、ロボットのアーム部100の左右両側のストッパ44へ接続される(図76では一方側のストッパ44のみが記載)。なお、このときのストッパ44には、バネ43のみが取り付けられており、先の実施例1等で示したロータリダンパ42は設置されていない。なお、ストッパ44の支持については、先の実施例1等と同様に、フレーム45にベアリング46で支持されている。
このような構成を採用することで、回転軸22の回転速度の増加に伴い、ツバ873はガイド880に沿って動く。このツバ873の動きによりワイヤ882が引かれ、その結果ストッパ44がその軸周りに回転する。そして、回転軸22が所定の回転速度に至ったとき、ストッパ44はロック機構内のラチェットホイール34とかみ合う。その後は、既に示したとおりのプロセスで回転軸22がロックされる。この回転軸22のロックのための設定速度の調節は、スライダ872のバネ874、ストッパ44のバネ43のバネ力を調整するなど、これまでに述べた手法等を用いることにより、行うことができる。
なお、ストッパ44とラチェットホイール34のかみ合いにおいて、ワイヤ882、プーリー883の設置が困難な場合は、図77に示すように、ワイヤ882をストッパ44に取り付けてもよい。すなわち、ワイヤ882が引かれることによりストッパ44がラチェットホイール34とかみ合うことが可能である実施形態であればどのような形態でも構わない。また、本変形例では、ワイヤ882とプーリー883を用いて、スライダ872のスライド力をストッパ44へ伝達する構造を示したが、ワイヤ882とプーリー883に加えて、ギア、リンク機構、タイミングベルト等の伝達要素を用いて該スライド力をストッパ44へ伝える構造でも構わない。
また、円形状のプレート900が用意される。このプレート900上のギア41側の表面(プレート903側の表面)にはピン901、902が設置されている。そして、引張りバネ908の一端はピン901に、もう一端はピン904に取り付けられている。同様にピン902とピン905の間に引張りバネ909が取り付けられている。なお、プレート900は軸22’の段部918に配置されるが、軸22’に対しては固定されてはいない。これにより、プレート900はピン901、902に取り付けられている引張りバネ908、909を介し、プレート903と一体となって回転する。つまり軸22‘の回転が弾性的にプレート900に伝わる。ここで、安全装置1の組み立て時には、上記の通り、プレート900がプレート903と弾性的に連結されるが、このとき、プレート900上のピン901、902は、それぞれピン906、907とともに、スイッチ15のレバー、スイッチ15’のレバーを挟んで位置する状態となる(図82等を参照)。
このように構成される本変形例の安全装置1では、図82に示すように、プレート903上に横方向に並置されたスイッチ15、15’のレバーに対して、プレート900上の
ピン901、902が接触し力を掛け得る構成となる。そして、回転軸22の回転加速度に応じたプレート900の慣性力によって、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。
ピン901、902が接触し力を掛け得る構成となる。そして、回転軸22の回転加速度に応じたプレート900の慣性力によって、回転軸22の回転方向に応じたスイッチに対して、そのレバーを倒れこませることができ、以てアクチュエータ200への電力供給を遮断することができる。以下に、その電力供給遮断のプロセスについて詳細に説明する。
まず、回転軸22が反時計回りに回転している状態を前提として説明する。回転軸22に発生する加速度はギア40、41を介して、軸22’、プレート903に伝わる。そして、その伝わった加速度により、プレート900に慣性トルクが作用する(図82を参照)。これと同時に、プレート900には慣性トルクとは逆方向に、ピン902とピン905の間に取り付けられた引張りバネ909のバネ力によるスプリングトルクも作用している(図83を参照)。ここで回転軸22の加速度が大きくなるに従い、図82に示すプレート900に作用する慣性トルクも増加し、そして回転軸22の加速度が所定の加速度に至ると、この慣性トルクによりプレート900とプレート903に相対位置のずれ、すなわち回転のずれが生じる。このずれにより、プレート900に固定されたピン902がスイッチ15’のレバーを倒しこみ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される(図84を参照)。なお、電力供給が遮断された後はプレート900の慣性トルクは消失するので、引張りバネ909により、プレート900は当初の相対位置に戻るが、スイッチ15’が切られたままであるので、ロボットのアーム部100は動作しない(図85を参照)。再度アーム部100を動作させる場合は、ピン907をスイッチ15’のレバーが元に戻るようにスライドさせればよい。
そして、爪940と内歯929が接触し、噛み合うとプレート923の回転がプレート928に伝わり一体となって回転し始める(図96を参照)。すると、プレート928上に設けられたピン931によりスイッチ15のレバーが倒しこまれ、アクチュエータ200への電力供給が遮断される(図97を参照)。その後、回転軸22を図97の矢印方向とは逆方向に回転させる、ないしは回転すると、爪940と内歯929との噛み合いが解消され、また爪940は、引張りバネ944によって元の位置に戻り、その結果プレート920とプレート923は、当初の相対位置に戻る。なお、この状態のままではスイッチ15のレバーは倒しこまれたままであるので、再度ロボットを動作させる場合は、ピン952をスイッチ15のレバーが元に戻るようにスライドさせ、スイッチ15を元の状態に戻せばよい(図98を参照)。
Claims (15)
- ロボットの駆動軸と、該駆動軸を駆動するアクチュエータとの間に設けられ、該ロボットの周囲に位置するユーザに対する不測の作用を防止する安全装置であって、
前記アクチュエータからの出力を前記駆動軸へ伝達する伝達部と、
前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達加速度動作に対応して、前記アクチュエータからの出力による前記伝達部の動作を規制するための規制補助力を機械的に発生させる加速度動作対応部と、
前記加速度動作対応部によって発生させられた前記規制補助力によって駆動され、前記伝達部の動作を規制する規制部と、
を備える、ロボット安全装置。 - 前記規制部は、前記アクチュエータへの電力供給を行う制御装置に対して前記規制補助力を作用させることで、該アクチュエータへの供給電力を遮断し、前記伝達部の動作を規制する、
請求項1に記載のロボット安全装置。 - 前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達加速度が所定加速度を超えると、前記規制部は、前記加速度動作対応部からの前記規制補助力により前記伝達部の動作を規制する、
請求項1又は請求項2に記載のロボット安全装置。 - 前記所定加速度が変更可能である、
請求項3に記載のロボット安全装置。 - 前記加速度動作対応部は、
前記伝達部に対して固定状態で連結される第一伝達補助部と、
前記伝達部に対して相対移動可能な状態で配置される第二伝達補助部と、
前記第一伝達補助部と前記第二伝達補助部とを弾性的に連結し、前記伝達部の伝達加速度動作に対応して、前記第二伝達補助部が前記伝達部に対して相対移動可能とする、弾性連結部と、
前記弾性連結部を介した前記第二伝達補助部の変位によって前記規制補助力を発生させる規制補助力発生部と、
を有する請求項1から請求項4の何れか一項に記載のロボット安全装置。 - 前記加速度動作対応部は、前記第一伝達補助部に対して相対移動可能に取り付けられ、且つ前記弾性連結部を介した前記第二伝達補助部の変位によって該相対移動を行う係合部を更に有し、
前記規制補助力発生部は、前記係合部が前記第一伝達補助部に対して前記相対移動を行うと該係合部と係合状態となり、該係合部を介して前記伝達部の動作が伝えられることで前記規制補助力を発生させる、
請求項4又は請求項5に記載のロボット安全装置。 - 前記規制部は、
前記伝達部に対する相対位置が可変となるように設けられ、且つ該伝達部に連動して駆動されるブレーキ部と、
前記ブレーキ部と接触して前記伝達部の動作を規制するためのブレーキ力を発生させるブレーキドラム部と、を有し、
前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達加速度によって、前記弾性連結部を介した前記第二伝達補助部が変位することで、前記ブレーキ部の前記伝達部に対する相対位置が変更され、該ブレーキ部と前記ブレーキドラム部とが接触状態に至る、
請求項4又は請求項5に記載のロボット安全装置。 - 前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達速度が所定速度を超えると、前記第二伝達補助部を該伝達部に対して前記相対移動させ、その変位により前記規制部を駆動する速度動作対応部を、更に有する
請求項4から請求項7の何れか一項に記載のロボット安全装置。 - ロボットの駆動軸と、該駆動軸を駆動するアクチュエータとの間に設けられ、該ロボットの周囲に位置するユーザに対する不測の作用を防止する安全装置であって、
前記アクチュエータからの出力を前記駆動軸へ伝達する伝達部と、
前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達速度動作に対応して、前記アクチュエータからの出力による前記伝達部の動作を規制するための規制補助力を機械的に発生させる速度動作対応部と、
前記速度動作対応部によって発生させられた前記規制補助力によって駆動され、前記伝達部の動作を規制する規制部と、
を備える、ロボット安全装置。 - 前記規制部は、前記アクチュエータへの電力供給を行う制御装置に対して前記規制補助力を作用させることで、該アクチュエータへの供給電力を遮断し、前記伝達部の動作を規制する、
請求項9に記載のロボット安全装置。 - 前記アクチュエータによる前記伝達部の伝達速度が所定速度を超えると、前記規制部は、前記規制補助力により前記伝達部の動作を規制する、
請求項9又は請求項10に記載のロボット安全装置。 - 前記所定速度は変更可能である、
請求項11に記載のロボット安全装置。 - 前記規制部が前記伝達部の動作を規制する際に、前記アクチュエータへの電力供給を停止する電力停止部を、更に備える請求項1又は請求項9に記載のロボット安全装置。
- 前記電力停止部は、前記規制部が前記伝達部の動作を規制する前に、前記アクチュエータへの電力供給を停止する、
請求項13に記載のロボット安全装置。 - 請求項1から請求項14の何れか一項に記載のロボット安全装置を備えるロボットであって、
前記ロボットの一部又は全部の駆動軸に対して、前記ロボット安全装置が取り付けられる、ロボット。
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2009
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