JPH0235044B2 - - Google Patents
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- JPH0235044B2 JPH0235044B2 JP60001747A JP174785A JPH0235044B2 JP H0235044 B2 JPH0235044 B2 JP H0235044B2 JP 60001747 A JP60001747 A JP 60001747A JP 174785 A JP174785 A JP 174785A JP H0235044 B2 JPH0235044 B2 JP H0235044B2
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- Japan
- Prior art keywords
- fibers
- pva
- spinning
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- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Description
本発明は、極細で強度が高く耐水性のすぐれた
ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法に関
するものである。 極細繊維の典型的な用途として合成皮革があ
る。この主たる製造方法は、相溶性を有しない熱
溶融性の2種のポリマーチツプを溶融混合紡糸し
て海島状の繊維を得て、この繊維を不織布等の2
次元加工物とした後、繊維中の海成分を抽出除去
して島成分のみとした極細繊維成形物となすもの
である。この製造方法は、極細繊維より直接2次
元成形物を製造することが困難である分野へは当
を得た方法ではあるが、かかる方法で得られる極
細繊維は強度が低いので、合成皮革ならともか
く、産業資材用途としては性能的に不向きであ
り、さらに海成分を抽出除去する等の工程を必要
とするので、原料的にあるいは操作上無駄が多く
得られる極細繊維は非常に高価にならざるを得な
い。 一方、ポリビニルアルコール(以下PVAと略
記)系繊維についても極細繊維製造の試みがなさ
れている。 例えば特公昭47−31376号公報には、完全ケン
化PVAと低ケン化PVAを常法により混合紡糸
し、延伸熱処理して得られた通常デニールの繊維
を叩解によりフイブリル状の極細として製紙用極
細繊維を得る方法が記載されている。この方法
は、大きな側鎖を有する部分ケン化PVAを使用
するために混合紡糸繊維は延伸されにくく、かつ
結晶化が著しく阻害される。従つて叩解前におい
てすら強度が低く、かつ耐水性も低いが、さらに
機械的な叩解により非晶中の分子及び結晶の配向
が乱されたり、結晶が破壊されることとなるため
繊維の低強度および低耐水性が一層助長されるこ
ととなる。 また特開昭54−77720号公報にもPVA系極細繊
維の製造方法が開示されている。これも高ケン化
PVAと低ケン化PVAを混合紡糸する方法であ
り、その特徴とするところは、得られた通常デニ
ールの繊維から低ケン化PVAを水洗により溶解
除去する点にある。この製造法と前者製造法の差
は、通常デニールを極細デニールにする手段が、
前者は叩解という機械的な力を借りて低ケン化
PVAを溶出させてフイブリル化する方法である
のに対して、後者は水洗により低ケン化PVAを
著しく膨潤させて洗い出すという点にあり、いず
れの方法で得られる極細繊維も低強力で耐水性が
低いということに変わりがない。 また特公昭58−38526号公報に記載された方法
も、上記特許公報記載の方法と同様の方法であ
り、単に部分ケン化PVAとして低重合度PVAを
使用するに過ぎない技術であり、得られる繊維も
前記方法と同様に低強力、低耐水性である。たと
えばこの特許の実施例にはPVA系の極細フイブ
リルが例示されているが、水洗前の通常デニール
繊維においてもわずか3.4g/デニールと記載さ
れており、極めて低強力である。 さらに特開昭54−30930号公報には、低ケン化
PVAのかわりに非晶性の水溶性高分子を使用す
る方法が記載されているが、基本的には上記の方
法と同様である。 いずれにしても公知の方法は、強度成分となる
結晶性PVAと低結晶性で水に易溶性である高分
子とを混合紡糸し、得られた通常デニールの
PVA系繊維から何等かの方法で易溶性成分を溶
出除去して極細化するものであり、これらの方法
で得られる繊維は、いずれも強度、耐水圧が低い
ことに加えて溶解除去する工程が必要なこと、溶
解除去成分が損失となること等のために高価なも
のとならざるを得ない。 近年、極細で高強度かつ耐水性にすぐれた安価
なPVA系繊維のニーズが高まつている。例えば
セメント硬化体のような脆性物性やプラスチツク
のような低強力塑性物質の補強分野がそうであ
る。 補強には基本的には繊維が強いことが重要であ
るが、加えてマトリツクスとの接着力も大きな因
子である。繊維を細くすることはマトリツクスと
の接触面積を著しく増加させることになり、従つ
て接着力が大きく向上し、補強効果を高めること
になる。さらに成形の際の工程通過性を著しく改
善することにもなる。 マトリツクスが水硬性物質の場合は特に耐水性
が重要である。すなわち成形中や凝固過程で比較
的高温水にさらされることとなるので、そのよう
な条件下で膨潤したり強度低下があつてはならな
い。 また通常のPVA繊維は高強力故に主として産
業資材用途として使用されている。該繊維はヤン
グ率も非常に高いために、この繊維から造つたヤ
ーン、コード、ロープ、網、織物等は剛直なもの
となるという特徴があるが、用途によつては欠点
となる。かかる場合は単繊維デニールを小さくす
ることが効果的である。加えて小さくすることに
より強力利用率が大きくなるために製品の強度が
一層大きくなり一挙両得である。 さらには近年病院やエレクトロニクス産業等で
は無菌、無塵室が必要とされ、高性能フイルター
の要求が強い。この目的には極細繊維の不織布が
有効である。 以上述べたように、高強力で耐水性のすぐれた
PVA系の極細繊維が望まれている。 本発明の目的は、極細で強度が高く耐水性のす
ぐれたPVA繊維を安価に製造する方法を提供す
ることにある。 本発明は、公知の溶解除去法の如く高価な方法
とは全く異なり、単に通常の紡止装置を用い、特
定の条件を採用するものであり、極めて安価な経
済的な方法である。 すなわち本発明は、平均重合度1200〜3000のポ
リビニルアルコールと、そのポリビニルアルコー
ルに対して0.5〜5重量%の硼酸又は硼酸塩と、
溶解後の紡糸原液のPHが5以下となるような酸
を、水に溶解してポリビニルアルコール濃度8〜
14重量%の水溶液を調製し、この水溶液を紡糸原
液として平均直径0.02〜0.04mmの孔径を有する口
金よりバスドラフト10〜−60%の範囲内でアルカ
リを含む脱水能を有する高濃度水溶液よりなる浴
中へ吐出させ、その後10倍以上の延伸を行うこと
を特徴とする極細PVA系繊維の製造法である。 本発明に使用するPVAは、平均重合度が1200
〜3000、ケン化度が96%以上(後述のアルカリ性
凝固浴中でほぼ完全にケン化される程度のケン化
度以上)のものである。このようなPVAを、
PVAに対して0.5〜5重量%の硼酸もしくは硼酸
塩と、溶解後の紡糸原液PHが5以下になるような
量の酸と共に、常法により水に溶解してPVA濃
度8〜14重量%の水溶液とし、この液を紡糸原液
とする。PVA濃度が8%未満の場合には凝固不
良となり、また14%を越える場合には紡糸調子が
著しく悪化する。より好ましくは10〜13重量%で
ある。硼酸塩の代表としてはホウ砂が挙げられ
る。硼酸または硼酸塩の量が0.5重量%未満であ
る場合または5重量%を越える場合には、共に高
強力の繊維が得られない。また紡糸原液をPH5以
下にするために添加される酸としては、酢酸、酒
石酸、シユウ酸等の有機酸および硝酸で代表され
る鉱酸が挙げられるが、好ましくは有機酸であ
る。紡糸原液のPHを5以下に保つことは、紡糸調
子を保つ上で極めて重要である。 該紡糸原液を、単孔の直径が0.02〜0.04mmの細
孔径口金よりバスドラフト10〜−60%の範囲内で
アルカリを含む脱水能を有する高濃度塩水溶液よ
りなる浴中へ吐出させ洩糸する。本発明で称する
バスドラフトとは、次式で定義されるものであ
る。 バスドラフト%=離浴速度−吐出速度/吐出速度×100 なお、上記離浴速度とは、第1ローラー速度の
ことである。 湿式紡糸用口金の孔径は溶融紡糸、乾式紡糸の
それに比し一般に小さいが、PVA系繊維の湿式
紡糸の場合は、これまでの常識では0.05mmが最低
とされていた。その理由は、それ以下では紡糸調
子が著しく不安定になるからである。本発明者等
は、極細繊維を得るには口金孔径をさらに小さく
する必要があると考え、そのような小さい口金孔
径であつても安定して紡糸できる方法について
種々検討した。その結果、原液の過を高度に行
つて異物をなくすることも必要であるが、それ以
上にバスドラフトを10〜−60%、より好ましくは
0〜−50%にすることが安定な紡糸調子を確保す
る上で非常に重要であることを見出した。通常の
湿式紡糸には一般にバスドラフト−60%以下の条
件が採用されており、そのような条件と比べると
本発明で用いられるバスドラフトは常識を逸脱し
たものと言える。 本発明方法に類似したPVA系繊維の製造法は
既に本出願人により出願され、公知となつてい
る。たとえば特公昭47−50330号公報には、PVA
の水溶液に硼酸を添加して得た紡糸原液を紡糸
し、得られた繊維を水洗、熱延伸して高強力な
PVA系繊維を得ることが記載されている。しか
しながら、この公報に記載された方法は、あくま
でも通常デニールのPVA繊維を得ることを目的
とするものであり、本発明が目的とするような極
細繊維を得ることを目的とするものではない。さ
らに従来の紡糸条件から著しく異なる本発明のバ
スドラフト条件および口金孔径条件は、極細
PVA系繊維を得る際に初めて必要となる条件で
あり、極細繊維を得ることを目的としない上記公
報の方法では、通常デニールの繊維を得る際には
ほとんどメリツトをもたらさない本発明のバスド
ラフト条件および口金孔径条件は通常採用されて
いない。 なお本発明において、口金孔径が0.02mm未満で
ある場合には、バスドラフトに関係なく紡糸調子
がやや不安定であつた。 吐出量は、デニールが0.05〜0.5デニールにな
るように調整する。吐出量が少なく、得られる繊
維が0.05デニールより細くなる場合には、繊維が
細すぎて紡糸筒内で切れたりして調子が不安定で
安定生産ができないし、また使用上の面からも、
例えばセメント、プラスチツクの補強や製紙用を
考慮した場合、分散上の問題より1mm以下に切断
する必要があるが、このように短かく切断するこ
とは工業的には不可能であり意味がない。 また0.5デニールを越える場合には期待する細
デニールの効果が充分でない。 凝固浴としては、アルカリを含む脱水能を有す
る高濃度塩水溶液が用いられる。脱水能を有する
塩としては、芒硝、硫酸アンモニウムが代表例と
して挙げられる。水溶液中における脱水能を有す
る塩の濃度は200g/〜飽和量である。またア
ルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムが代表例として挙げられ、その濃度は1〜
100g/である。 かかる紡糸後の繊維には、まず湿潤状態での延
伸および中和、水洗が行われる。具体的には、ロ
ーラー延伸後中和し、引続いて残存硼酸を水洗除
去したのち、芒硝浴中で湿熱延伸する方法、又は
ローラー延伸後中和し、湿熱延伸し、その後に残
存硼酸を水洗除去する方法が代表例として挙げら
れる。その結果、繊維中の残存硼酸を0.1〜0.6重
量%/PVAとなす。残存硼酸が0.6重量%/PVA
より多い場合には延伸性が著しく阻害され、所望
の強度、耐水性を得ることが出来ない。また0.1
重量%/PVAより少なくするためには、厳しい
水洗条件を取らざるを得ず、したがつて繊維が著
しく膨潤し、品質の低下を招くことになる。 湿潤部の全延伸倍率(すなわち、上記の場合に
はローラー延伸での延伸倍率と湿熱延伸での延伸
倍率の積)は少なくとも3倍、特に4倍以上が好
ましい。 しかる後に乾燥を行い、引続き全延伸倍率が10
倍以上になるように乾熱延伸をする。さらに必要
に応じ、熱収縮、熱処理を行い水中軟化点を105
℃以上となす。10倍以上延伸をしないと9.0g/
デニール以上の強度が得られない。引張強度が
9.0g/デニール未満では補強用繊維としてはそ
の効果が充分でなく、また一般的な産業資材とし
ての適性も欠くことになる。 また水中軟化点は特にセメント等の水硬化性物
質の補強用途に用いる場合重要であり、105℃よ
り低い場合には成形工程で膨潤が起こり、本来の
強度が低下し、従つて補強効果が著しく低下する
ことになる。また一般的な用途においても水系で
後加工する場合が多く、105℃の温度での加工処
理後の乾燥で繊維が膨潤し強度低下をきたした
り、表面が一部溶解し膠着する等の問題を引き起
こす結果となる。水中軟化点を高めるためには、
延伸倍率を高めたり熱処理条件を高めたりすれば
よい。なお本発明で称する水中軟化点は、次の測
定法によつて求めたものである。 水中軟化点:繊維束デニールが約1000drになる
ように任意に取り出し、引揃えた上で繊維束デニ
ールの1/500gのおもりを一端につけて目盛板
上におもりより10cmのところに固定する。これを
水のはいつた加圧可能なガラス管に垂直にして水
中に浸漬する。常温より約1分間に1℃の速度で
昇温し、繊維束が10%収縮するか又は溶断する時
の温度。 かくして得られたPVA系繊維はデニールが
0.05〜0.5dr、強度9.0g/dr以上、水中軟化点105
℃以上のすぐれた物性を有している。加えて本発
明によれば従来の湿式製造設備、工程で製造可能
であり、かつ紡糸調子が非常に良好なために生産
性が高く、通常デニールのPVA系繊維とあまり
変らないコストで極細繊維が出来るという大きな
特長を有するものである。 以下実施例をもつて本発明を説明する。 実施例1〜2、比較例1〜2 重合度1750、ケン化度99.0モル%のPVAを、
硼酸、酢酸をPVAに対してそれぞれ1.5、0.3重量
%の量で加えて共に溶解し、PVA濃度13重量%、
PH4.5の水溶液とし紡糸原液とした。 この紡糸原液を、孔直径0.03mm、孔数10000の
口金より苛性ソーダ50g/、芒硝300g/を
含む水溶液からなる凝固浴中へ吐出させ糸篠を形
成せしめた。この時の吐出量を変更してバスドラ
フトを−10%(実施例1)、−40%(実施例2)、+
20%(比較例1)、−70%(比較例2)とした。離
浴速度10m/分とし、ローラー間で2.5倍に延伸
し、中和後1.8倍の湿熱延伸を施した後、残存硼
酸が0.3重量%/PVAになるように水洗し、さら
に集束処理して乾燥した。しかる後2.8倍の乾熱
延伸を行つて全延伸倍率を12.6倍とし、2%の熱
収縮を施した。 紡糸調子は10錘で8時間連続紡糸を行い、判断
した。品質測定結果を含めて表−1に示した。
ポリビニルアルコール系合成繊維の製造方法に関
するものである。 極細繊維の典型的な用途として合成皮革があ
る。この主たる製造方法は、相溶性を有しない熱
溶融性の2種のポリマーチツプを溶融混合紡糸し
て海島状の繊維を得て、この繊維を不織布等の2
次元加工物とした後、繊維中の海成分を抽出除去
して島成分のみとした極細繊維成形物となすもの
である。この製造方法は、極細繊維より直接2次
元成形物を製造することが困難である分野へは当
を得た方法ではあるが、かかる方法で得られる極
細繊維は強度が低いので、合成皮革ならともか
く、産業資材用途としては性能的に不向きであ
り、さらに海成分を抽出除去する等の工程を必要
とするので、原料的にあるいは操作上無駄が多く
得られる極細繊維は非常に高価にならざるを得な
い。 一方、ポリビニルアルコール(以下PVAと略
記)系繊維についても極細繊維製造の試みがなさ
れている。 例えば特公昭47−31376号公報には、完全ケン
化PVAと低ケン化PVAを常法により混合紡糸
し、延伸熱処理して得られた通常デニールの繊維
を叩解によりフイブリル状の極細として製紙用極
細繊維を得る方法が記載されている。この方法
は、大きな側鎖を有する部分ケン化PVAを使用
するために混合紡糸繊維は延伸されにくく、かつ
結晶化が著しく阻害される。従つて叩解前におい
てすら強度が低く、かつ耐水性も低いが、さらに
機械的な叩解により非晶中の分子及び結晶の配向
が乱されたり、結晶が破壊されることとなるため
繊維の低強度および低耐水性が一層助長されるこ
ととなる。 また特開昭54−77720号公報にもPVA系極細繊
維の製造方法が開示されている。これも高ケン化
PVAと低ケン化PVAを混合紡糸する方法であ
り、その特徴とするところは、得られた通常デニ
ールの繊維から低ケン化PVAを水洗により溶解
除去する点にある。この製造法と前者製造法の差
は、通常デニールを極細デニールにする手段が、
前者は叩解という機械的な力を借りて低ケン化
PVAを溶出させてフイブリル化する方法である
のに対して、後者は水洗により低ケン化PVAを
著しく膨潤させて洗い出すという点にあり、いず
れの方法で得られる極細繊維も低強力で耐水性が
低いということに変わりがない。 また特公昭58−38526号公報に記載された方法
も、上記特許公報記載の方法と同様の方法であ
り、単に部分ケン化PVAとして低重合度PVAを
使用するに過ぎない技術であり、得られる繊維も
前記方法と同様に低強力、低耐水性である。たと
えばこの特許の実施例にはPVA系の極細フイブ
リルが例示されているが、水洗前の通常デニール
繊維においてもわずか3.4g/デニールと記載さ
れており、極めて低強力である。 さらに特開昭54−30930号公報には、低ケン化
PVAのかわりに非晶性の水溶性高分子を使用す
る方法が記載されているが、基本的には上記の方
法と同様である。 いずれにしても公知の方法は、強度成分となる
結晶性PVAと低結晶性で水に易溶性である高分
子とを混合紡糸し、得られた通常デニールの
PVA系繊維から何等かの方法で易溶性成分を溶
出除去して極細化するものであり、これらの方法
で得られる繊維は、いずれも強度、耐水圧が低い
ことに加えて溶解除去する工程が必要なこと、溶
解除去成分が損失となること等のために高価なも
のとならざるを得ない。 近年、極細で高強度かつ耐水性にすぐれた安価
なPVA系繊維のニーズが高まつている。例えば
セメント硬化体のような脆性物性やプラスチツク
のような低強力塑性物質の補強分野がそうであ
る。 補強には基本的には繊維が強いことが重要であ
るが、加えてマトリツクスとの接着力も大きな因
子である。繊維を細くすることはマトリツクスと
の接触面積を著しく増加させることになり、従つ
て接着力が大きく向上し、補強効果を高めること
になる。さらに成形の際の工程通過性を著しく改
善することにもなる。 マトリツクスが水硬性物質の場合は特に耐水性
が重要である。すなわち成形中や凝固過程で比較
的高温水にさらされることとなるので、そのよう
な条件下で膨潤したり強度低下があつてはならな
い。 また通常のPVA繊維は高強力故に主として産
業資材用途として使用されている。該繊維はヤン
グ率も非常に高いために、この繊維から造つたヤ
ーン、コード、ロープ、網、織物等は剛直なもの
となるという特徴があるが、用途によつては欠点
となる。かかる場合は単繊維デニールを小さくす
ることが効果的である。加えて小さくすることに
より強力利用率が大きくなるために製品の強度が
一層大きくなり一挙両得である。 さらには近年病院やエレクトロニクス産業等で
は無菌、無塵室が必要とされ、高性能フイルター
の要求が強い。この目的には極細繊維の不織布が
有効である。 以上述べたように、高強力で耐水性のすぐれた
PVA系の極細繊維が望まれている。 本発明の目的は、極細で強度が高く耐水性のす
ぐれたPVA繊維を安価に製造する方法を提供す
ることにある。 本発明は、公知の溶解除去法の如く高価な方法
とは全く異なり、単に通常の紡止装置を用い、特
定の条件を採用するものであり、極めて安価な経
済的な方法である。 すなわち本発明は、平均重合度1200〜3000のポ
リビニルアルコールと、そのポリビニルアルコー
ルに対して0.5〜5重量%の硼酸又は硼酸塩と、
溶解後の紡糸原液のPHが5以下となるような酸
を、水に溶解してポリビニルアルコール濃度8〜
14重量%の水溶液を調製し、この水溶液を紡糸原
液として平均直径0.02〜0.04mmの孔径を有する口
金よりバスドラフト10〜−60%の範囲内でアルカ
リを含む脱水能を有する高濃度水溶液よりなる浴
中へ吐出させ、その後10倍以上の延伸を行うこと
を特徴とする極細PVA系繊維の製造法である。 本発明に使用するPVAは、平均重合度が1200
〜3000、ケン化度が96%以上(後述のアルカリ性
凝固浴中でほぼ完全にケン化される程度のケン化
度以上)のものである。このようなPVAを、
PVAに対して0.5〜5重量%の硼酸もしくは硼酸
塩と、溶解後の紡糸原液PHが5以下になるような
量の酸と共に、常法により水に溶解してPVA濃
度8〜14重量%の水溶液とし、この液を紡糸原液
とする。PVA濃度が8%未満の場合には凝固不
良となり、また14%を越える場合には紡糸調子が
著しく悪化する。より好ましくは10〜13重量%で
ある。硼酸塩の代表としてはホウ砂が挙げられ
る。硼酸または硼酸塩の量が0.5重量%未満であ
る場合または5重量%を越える場合には、共に高
強力の繊維が得られない。また紡糸原液をPH5以
下にするために添加される酸としては、酢酸、酒
石酸、シユウ酸等の有機酸および硝酸で代表され
る鉱酸が挙げられるが、好ましくは有機酸であ
る。紡糸原液のPHを5以下に保つことは、紡糸調
子を保つ上で極めて重要である。 該紡糸原液を、単孔の直径が0.02〜0.04mmの細
孔径口金よりバスドラフト10〜−60%の範囲内で
アルカリを含む脱水能を有する高濃度塩水溶液よ
りなる浴中へ吐出させ洩糸する。本発明で称する
バスドラフトとは、次式で定義されるものであ
る。 バスドラフト%=離浴速度−吐出速度/吐出速度×100 なお、上記離浴速度とは、第1ローラー速度の
ことである。 湿式紡糸用口金の孔径は溶融紡糸、乾式紡糸の
それに比し一般に小さいが、PVA系繊維の湿式
紡糸の場合は、これまでの常識では0.05mmが最低
とされていた。その理由は、それ以下では紡糸調
子が著しく不安定になるからである。本発明者等
は、極細繊維を得るには口金孔径をさらに小さく
する必要があると考え、そのような小さい口金孔
径であつても安定して紡糸できる方法について
種々検討した。その結果、原液の過を高度に行
つて異物をなくすることも必要であるが、それ以
上にバスドラフトを10〜−60%、より好ましくは
0〜−50%にすることが安定な紡糸調子を確保す
る上で非常に重要であることを見出した。通常の
湿式紡糸には一般にバスドラフト−60%以下の条
件が採用されており、そのような条件と比べると
本発明で用いられるバスドラフトは常識を逸脱し
たものと言える。 本発明方法に類似したPVA系繊維の製造法は
既に本出願人により出願され、公知となつてい
る。たとえば特公昭47−50330号公報には、PVA
の水溶液に硼酸を添加して得た紡糸原液を紡糸
し、得られた繊維を水洗、熱延伸して高強力な
PVA系繊維を得ることが記載されている。しか
しながら、この公報に記載された方法は、あくま
でも通常デニールのPVA繊維を得ることを目的
とするものであり、本発明が目的とするような極
細繊維を得ることを目的とするものではない。さ
らに従来の紡糸条件から著しく異なる本発明のバ
スドラフト条件および口金孔径条件は、極細
PVA系繊維を得る際に初めて必要となる条件で
あり、極細繊維を得ることを目的としない上記公
報の方法では、通常デニールの繊維を得る際には
ほとんどメリツトをもたらさない本発明のバスド
ラフト条件および口金孔径条件は通常採用されて
いない。 なお本発明において、口金孔径が0.02mm未満で
ある場合には、バスドラフトに関係なく紡糸調子
がやや不安定であつた。 吐出量は、デニールが0.05〜0.5デニールにな
るように調整する。吐出量が少なく、得られる繊
維が0.05デニールより細くなる場合には、繊維が
細すぎて紡糸筒内で切れたりして調子が不安定で
安定生産ができないし、また使用上の面からも、
例えばセメント、プラスチツクの補強や製紙用を
考慮した場合、分散上の問題より1mm以下に切断
する必要があるが、このように短かく切断するこ
とは工業的には不可能であり意味がない。 また0.5デニールを越える場合には期待する細
デニールの効果が充分でない。 凝固浴としては、アルカリを含む脱水能を有す
る高濃度塩水溶液が用いられる。脱水能を有する
塩としては、芒硝、硫酸アンモニウムが代表例と
して挙げられる。水溶液中における脱水能を有す
る塩の濃度は200g/〜飽和量である。またア
ルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウムが代表例として挙げられ、その濃度は1〜
100g/である。 かかる紡糸後の繊維には、まず湿潤状態での延
伸および中和、水洗が行われる。具体的には、ロ
ーラー延伸後中和し、引続いて残存硼酸を水洗除
去したのち、芒硝浴中で湿熱延伸する方法、又は
ローラー延伸後中和し、湿熱延伸し、その後に残
存硼酸を水洗除去する方法が代表例として挙げら
れる。その結果、繊維中の残存硼酸を0.1〜0.6重
量%/PVAとなす。残存硼酸が0.6重量%/PVA
より多い場合には延伸性が著しく阻害され、所望
の強度、耐水性を得ることが出来ない。また0.1
重量%/PVAより少なくするためには、厳しい
水洗条件を取らざるを得ず、したがつて繊維が著
しく膨潤し、品質の低下を招くことになる。 湿潤部の全延伸倍率(すなわち、上記の場合に
はローラー延伸での延伸倍率と湿熱延伸での延伸
倍率の積)は少なくとも3倍、特に4倍以上が好
ましい。 しかる後に乾燥を行い、引続き全延伸倍率が10
倍以上になるように乾熱延伸をする。さらに必要
に応じ、熱収縮、熱処理を行い水中軟化点を105
℃以上となす。10倍以上延伸をしないと9.0g/
デニール以上の強度が得られない。引張強度が
9.0g/デニール未満では補強用繊維としてはそ
の効果が充分でなく、また一般的な産業資材とし
ての適性も欠くことになる。 また水中軟化点は特にセメント等の水硬化性物
質の補強用途に用いる場合重要であり、105℃よ
り低い場合には成形工程で膨潤が起こり、本来の
強度が低下し、従つて補強効果が著しく低下する
ことになる。また一般的な用途においても水系で
後加工する場合が多く、105℃の温度での加工処
理後の乾燥で繊維が膨潤し強度低下をきたした
り、表面が一部溶解し膠着する等の問題を引き起
こす結果となる。水中軟化点を高めるためには、
延伸倍率を高めたり熱処理条件を高めたりすれば
よい。なお本発明で称する水中軟化点は、次の測
定法によつて求めたものである。 水中軟化点:繊維束デニールが約1000drになる
ように任意に取り出し、引揃えた上で繊維束デニ
ールの1/500gのおもりを一端につけて目盛板
上におもりより10cmのところに固定する。これを
水のはいつた加圧可能なガラス管に垂直にして水
中に浸漬する。常温より約1分間に1℃の速度で
昇温し、繊維束が10%収縮するか又は溶断する時
の温度。 かくして得られたPVA系繊維はデニールが
0.05〜0.5dr、強度9.0g/dr以上、水中軟化点105
℃以上のすぐれた物性を有している。加えて本発
明によれば従来の湿式製造設備、工程で製造可能
であり、かつ紡糸調子が非常に良好なために生産
性が高く、通常デニールのPVA系繊維とあまり
変らないコストで極細繊維が出来るという大きな
特長を有するものである。 以下実施例をもつて本発明を説明する。 実施例1〜2、比較例1〜2 重合度1750、ケン化度99.0モル%のPVAを、
硼酸、酢酸をPVAに対してそれぞれ1.5、0.3重量
%の量で加えて共に溶解し、PVA濃度13重量%、
PH4.5の水溶液とし紡糸原液とした。 この紡糸原液を、孔直径0.03mm、孔数10000の
口金より苛性ソーダ50g/、芒硝300g/を
含む水溶液からなる凝固浴中へ吐出させ糸篠を形
成せしめた。この時の吐出量を変更してバスドラ
フトを−10%(実施例1)、−40%(実施例2)、+
20%(比較例1)、−70%(比較例2)とした。離
浴速度10m/分とし、ローラー間で2.5倍に延伸
し、中和後1.8倍の湿熱延伸を施した後、残存硼
酸が0.3重量%/PVAになるように水洗し、さら
に集束処理して乾燥した。しかる後2.8倍の乾熱
延伸を行つて全延伸倍率を12.6倍とし、2%の熱
収縮を施した。 紡糸調子は10錘で8時間連続紡糸を行い、判断
した。品質測定結果を含めて表−1に示した。
【表】
実施例は比較例に比し紡糸調子が非常
によく、又品質的にもすぐれて
いる。
実施例3、比較例3〜4 重合度、1650、ケン化度99.9モル%のPVAを、
硼酸、酢酸をPVAに対してそれぞれ2.0、0.3重量
%の量で加えて共に溶解し、濃度を11重量%(実
施例3)、7重量%(比較例3)、16重量%(比較
例4)の各水溶液(PHはいずれも4.5)を作成し
紡糸原液とした。該原液を孔直径0.03mm、孔数
10000の口金を用い、苛性ソーダ20g/、芒硝
350g/を含む水溶液からなる凝固浴へ吐出さ
せて糸篠を形成せしめた。バスドラフトは−40%
とし、離浴速度は10m/分とした。この紡糸繊維
を2倍にローラー延伸し、中和後水洗して残存す
る硼酸を0.4重量%/PVAとし、芒硝浴で処理
し、延伸倍率を4.5倍とするように湿熱延伸を施
した。さらに乾燥後乾熱延伸をして全延伸倍率を
12.5倍とした。但し12.5倍の延伸ができないもの
は切断延伸倍率を求めてその8割の倍率とした。
引続き2%の熱収縮を施し、オイリング、乾燥
後、品質を測定した。 その結果を表−2に示した。
によく、又品質的にもすぐれて
いる。
実施例3、比較例3〜4 重合度、1650、ケン化度99.9モル%のPVAを、
硼酸、酢酸をPVAに対してそれぞれ2.0、0.3重量
%の量で加えて共に溶解し、濃度を11重量%(実
施例3)、7重量%(比較例3)、16重量%(比較
例4)の各水溶液(PHはいずれも4.5)を作成し
紡糸原液とした。該原液を孔直径0.03mm、孔数
10000の口金を用い、苛性ソーダ20g/、芒硝
350g/を含む水溶液からなる凝固浴へ吐出さ
せて糸篠を形成せしめた。バスドラフトは−40%
とし、離浴速度は10m/分とした。この紡糸繊維
を2倍にローラー延伸し、中和後水洗して残存す
る硼酸を0.4重量%/PVAとし、芒硝浴で処理
し、延伸倍率を4.5倍とするように湿熱延伸を施
した。さらに乾燥後乾熱延伸をして全延伸倍率を
12.5倍とした。但し12.5倍の延伸ができないもの
は切断延伸倍率を求めてその8割の倍率とした。
引続き2%の熱収縮を施し、オイリング、乾燥
後、品質を測定した。 その結果を表−2に示した。
【表】
実施例は比較例に比し、紡糸性良好で高
品質である。
実施例4〜5、比較例5 原液濃度を13.0%(PH4.5)としたこと及び全
延伸倍率を13.5倍(実施例4)、10.5倍(実施例
5)、8.5倍(比較例5)としたこと以外は実施例
3と同一条件にした。結果を表−3にまとめた。
品質である。
実施例4〜5、比較例5 原液濃度を13.0%(PH4.5)としたこと及び全
延伸倍率を13.5倍(実施例4)、10.5倍(実施例
5)、8.5倍(比較例5)としたこと以外は実施例
3と同一条件にした。結果を表−3にまとめた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 平均重合度1200〜3000のポリビニルアルコー
ルと、そのポリビニルアルコールに対して0.5〜
5重量%の硼酸又は硼酸塩と、溶解後の紡糸原液
のPHが5以下となるような酸を、水に溶解してポ
リビニルアルコール濃度8〜14重量%の水溶液を
調製し、この水溶液を紡糸原液として平均直径
0.02〜0.04mmの孔径を有する口金よりバスドラフ
ト10〜−60%の範囲内でアルカリを含む脱水能を
有する高濃度塩水溶液よりなる浴中へ吐出させ、
その後10倍以上の延伸を行ない0.05〜0.5デニー
ルの太さの繊維とすることを特徴とするポリビニ
ルアルコール系極細繊維の製造方法。 2 紡糸原液中のPVA濃度が10〜13重量%であ
る特許請求の範囲第1項記載の方法。 3 バスドラフトが0〜−50%である特許請求の
範囲第1項記載の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP174785A JPS61160414A (ja) | 1985-01-08 | 1985-01-08 | 高強力ポリビニルアルコール系極細繊維の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP174785A JPS61160414A (ja) | 1985-01-08 | 1985-01-08 | 高強力ポリビニルアルコール系極細繊維の製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS61160414A JPS61160414A (ja) | 1986-07-21 |
| JPH0235044B2 true JPH0235044B2 (ja) | 1990-08-08 |
Family
ID=11510156
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP174785A Granted JPS61160414A (ja) | 1985-01-08 | 1985-01-08 | 高強力ポリビニルアルコール系極細繊維の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS61160414A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH02145809A (ja) * | 1988-11-16 | 1990-06-05 | Toray Ind Inc | 極細ゲル繊維およびその製法 |
| JP2503092B2 (ja) * | 1989-08-04 | 1996-06-05 | 株式会社クラレ | ポリビニルアルコ―ル系合成繊維の製造方法 |
Family Cites Families (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS53122815A (en) * | 1977-03-29 | 1978-10-26 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | Superfine fibrous materials and their production |
| JPS56125266A (en) * | 1980-03-06 | 1981-10-01 | Kuraray Co | Fiber reinforced cement material |
| JPS58185474A (ja) * | 1982-04-22 | 1983-10-29 | 株式会社クラレ | 繊維強化水硬性成型品 |
| JPS5943112A (ja) * | 1982-08-27 | 1984-03-10 | Unitika Ltd | ポリビニルアルコ−ル系合成繊維の製造法 |
| JPS60161362A (ja) * | 1984-02-01 | 1985-08-23 | 株式会社クラレ | 繊維強化水硬性無機質抄造製品及びその製造方法 |
-
1985
- 1985-01-08 JP JP174785A patent/JPS61160414A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS61160414A (ja) | 1986-07-21 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |